JP6699415B2 - H形鋼の製造方法 - Google Patents

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本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に関する。
H形鋼を製造する場合には、加熱炉から抽出されたスラブやブルーム等の素材を粗圧延機(BD)によって粗形材(所謂ドッグボーン形状の被圧延材)に造形し、中間ユニバーサル圧延機によって上記粗形材のウェブやフランジの厚さを圧下し、併せて前記中間ユニバーサル圧延機に近接したエッジャー圧延機によって被圧延材のフランジに対し幅圧下や端面の鍛錬と整形が施される。そして、仕上ユニバーサル圧延機によってH形鋼製品が造形される。
このようなH形鋼の製造方法において、矩形断面であるスラブ素材から所謂ドッグボーン形状の粗形材を造形する際には、粗圧延工程の第1の孔型においてスラブ端面に割り込みを入れた後、第2以降の孔型において当該割り込みを割広げる、又は、割り込み深さを深くさせ、それ以降の孔型にてスラブ端面の割り込みを消去する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、例えば特許文献2には、スラブ端面に割り込みを入れ当該割り込みを順次深くし、その後ボックス孔型において押し拡げ、H形鋼のフランジ相当部を形成させる技術が開示されている。
特開平7−88501号公報 特開昭60−21101号公報
近年、構造物等の大型化に伴い大型のH形鋼製品の製造が望まれている。特にH形鋼の強度・剛性に大きく寄与するフランジを従来に比べて広幅化した製品が望まれている。フランジが広幅化されたH形鋼製品を製造するためには、粗圧延工程における造形から従来に比べフランジ幅の大きな被圧延材を造形する必要がある。
しかしながら、例えば上記特許文献1に開示されている技術では、スラブ等の素材の端面(スラブ端面)に割り込みを入れ、当該端面をエッジングし、その幅拡がりを利用して粗圧延を行う方法では、フランジの広幅化に限界がある。即ち、従来の粗圧延方法においてフランジの広幅化を図るためにはウェッジ設計(割り込み角度の設計)、圧下調整、潤滑調整といった技術により幅拡がりの向上が図られるが、いずれの方法もフランジ幅に大幅に寄与するものではないため、エッジング量に対するフランジ幅の拡がり量の比率を示す幅拡がり率は、エッジングの初期段階の効率が最も高い条件でも0.8程度であり、同一孔型でエッジングを繰り返す条件では、フランジ幅の拡がり量が大きくなるにつれて低下し、最終的には0.5程度になることが知られている。また、スラブ等の素材自体を大型化し、エッジング量を大きくすることも考えられるが、粗圧延機の設備規模や圧下量等には装置限界があるため十分な製品フランジの広幅化が実現されないといった事情がある。
また、例えば特許文献2に開示されている技術では、割り込みを入れたスラブ等の素材に対して、特に割り込み形状の変遷等を経ずに、即座に底面がフラット形状のボックス孔型によってエッジング圧延を行い、フランジ相当部を造形しており、このような方法では被圧延材の形状を急激に変化させることに伴う形状不良が生じやすい。特に、このような造形における被圧延材の形状変化は、被圧延材とロールとの接触部の力と、被圧延材の曲げ剛性との関係によって定まるものであり、従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼を製造する場合には形状不良がより生じやすいといった問題がある。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の矩形断面素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げることによって、被圧延材における形状不良の発生を抑制させ、従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼製品を効率的且つ安定的に製造することが可能なH形鋼の製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、矩形断面素材に対し前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する4以上の複数の孔型が刻設され、当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、前記複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が形成され、前記複数の孔型のうち第2孔型以降では少なくとも1パス以上の造形において被圧延材の端面と孔型周面とが接触した状態で圧下が行われ、前記複数の孔型のうち第3孔型以降では前記割り込みによって成形された分割部位を順次折り曲げる、折り曲げ造形工程が行われ、前記矩形断面素材の厚みが290mm以上310mm以下である場合に、前記第2孔型での造形後の前記割り込みの線長である被圧延材フランジ幅と、前記折り曲げ造形工程の最終形状における前記割り込みの線長に相当する被圧延材フランジ幅との比であるフランジ幅拡がり率は、以下の式(2)で定められ、前記折り曲げ造形工程を行う孔型は当該式(2)に基づき設計されることを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。
フランジ幅拡がり率=a×Δθ+b ・・・(2)
但し、a、bは所定の定数であり、Δθは前記折り曲げ造形工程での前記分割部位の折り曲げ角度である。
前記複数の孔型は、被圧延材を造形する第1孔型〜第4孔型の4つの孔型であり、前記複数の孔型のうち、第3孔型及び第4孔型には、前記分割部位に押し当てることで当該分割部位を折り曲げる突起部が形成され、前記第1孔型及び第2孔型に形成される突起部の先端角度は25°以上40°以下であり、前記第3孔型及び/又は前記第4孔型における折り曲げ造形工程での折り曲げ角度Δθが30°以上150°以下の範囲内において、前記式(2)に基づき前記フランジ幅拡がり率は定められても良い。
前記式(2)によって定められるフランジ幅拡がり率に基づき、前記折り曲げ造形工程後の前記割り込みの線長に相当する被圧延材のフランジ幅の値を予測し、当該予測された被圧延材のフランジ幅と、折り曲げ造形工程を行う第4孔型との関係が以下の式(3)を満たすように前記第4孔型の前記割り込みの線長に対応する孔型フランジ幅を設計しても良い。
予測された折り曲げ造形後の被圧延材のフランジ幅−孔型フランジ幅=c×θ−d ・・・(3)
但し、c、dは所定の定数であり、θは第4孔型に形成される突起部の先端角度である。
本発明によれば、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の矩形断面素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げることによって、被圧延材における形状不良の発生を抑制させ、従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼製品を効率的且つ安定的に製造することが可能となる。
H形鋼の製造ラインについての概略説明図である。 第1孔型の概略説明図である。 第2孔型の概略説明図である。 第3孔型の概略説明図である。 第4孔型の概略説明図である。 第2孔型における造形の様子を説明する概略説明図である。 折り曲げ角度と、フランジ幅拡がり率との関係を示すグラフである。 折り曲げ造形を2段階とした場合と、3段階とした場合とのフランジ幅の比較を行った解析図である。 折り曲げ孔型のウェッジ角度を横軸とし、予測された折り曲げ造形後のフランジ幅の値と、実際に設計される折り曲げ孔型の孔型幅設定値との差を縦軸とし、それぞれの条件における圧延安定性の評価を行ったグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本実施の形態にかかる圧延設備1を含むH形鋼の製造ラインTについての説明図である。図1に示すように、製造ラインTには上流側から順に、加熱炉2、サイジングミル3、粗圧延機4、中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。また、中間ユニバーサル圧延機5に近接してエッジャー圧延機9が設けられている。なお、以下では、説明のために製造ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と記載し、各図において適宜その形状を破線・斜線等を用いて図示する場合がある。
図1に示すように、製造ラインTでは、加熱炉2から抽出された例えばスラブ11等の被圧延材Aがサイジングミル3ならびに粗圧延機4において粗圧延される。次いで、中間ユニバーサル圧延機5において中間圧延される。この中間圧延時には、必要に応じてエッジャー圧延機9によって被圧延材の端部等(フランジ対応部12)に対して圧下が施される。通常の場合、サイジングミル3及び粗圧延機4のロールには、合わせて4〜6個程度の孔型が刻設されており、これらを経由して複数パスのリバース圧延でH形粗形材13が造形され、該H形粗形材13を前記中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
ここで、加熱炉2から抽出されるスラブ11のスラブ幅Tは、例えば、290mm以上310mm以下の範囲内である。これは、一般的なH形鋼製品を製造する際に用いられるスラブ寸法である。
次に、以下では図1に示したサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型構成や孔型形状について図面を参照して説明する。なお、通常、粗圧延機4には、以下に説明する第1孔型〜第4孔型に加え、それら孔型にて造形された被圧延材Aをいわゆるドッグボーン形状のH形粗形材13とする孔型が更に設けられているが、この孔型は従来より既知のものであるため本明細書での図示・説明は省略する。また、製造ラインTにおける加熱炉2や中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8、エッジャー圧延機9等は、従来よりH形鋼の製造に用いられている一般的な装置であり、その装置構成等は既知であるため本明細書では説明を省略する。
図2〜図5は粗圧延工程を行うサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型についての概略説明図である。ここで、説明する第1孔型〜第4孔型は、例えばサイジングミル3に全て刻設されても良く、サイジングミル3及び粗圧延機4に第1孔型〜第4孔型の4つの孔型が分けて刻設されても良い。即ち、第1孔型〜第4孔型はサイジングミル3及び粗圧延機4の両方に亘って刻設されても良く、どちらか一方の圧延機に刻設されても良い。通常のH形鋼の製造における粗圧延工程では、これら各孔型において1又は複数パスでの造形が行われる。
また、本実施の形態では刻設される孔型が4つの場合を例示して説明するが、その孔型数についても、必ずしも4孔型である必要はなく、4以上の複数の孔型数であっても良い。即ち、H形粗形材13を造形するために好適な孔型構成であれば良い。なお、図2〜図5では、各孔型における造形時の被圧延材Aの概略最終パス形状を破線にて図示している。
図2は第1孔型K1の概略説明図である。第1孔型K1は、一対の水平ロールである上孔型ロール20と下孔型ロール21に刻設され、これら上孔型ロール20と下孔型ロール21のロール隙において被圧延材Aが圧下・造形される。また、上孔型ロール20の周面(即ち、第1孔型K1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部25が形成されている。更に、下孔型ロール21の周面(即ち、第1孔型K1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部26が形成されている。これら突起部25、26はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部25と突起部26とでそれぞれ等しく構成されている。突起部25、26の高さ(突出長さ)をh1とし、先端部角度をθ1aとする。
この第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される。ここで、突起部25、26の先端部角度(ウェッジ角度とも呼称される)θ1aは例えば25°以上40°以下であることが望ましい。
ここで、第1孔型K1の孔型幅は、被圧延材Aの厚み(即ち、スラブ厚)とほぼ等しいことが好ましい。具体的には、第1孔型K1に形成された突起部25、26の先端部における孔型の幅と、スラブ厚を同一にすることで、被圧延材Aの左右センターリング性が好適に確保される。また、このような孔型寸法の構成とすることで、図2に示すように、第1孔型K1での造形時において、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)においては、上記突起部25、26及び孔型側面(側壁)の一部が被圧延材Aと接していて、割り込み28、29により4つの要素(部位)に分割されたスラブ上下端部に対して、第1孔型K1の上面及び底面にて積極的な圧下が行われない方が好ましい。孔型の上面及び底面による圧下は、被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせてしまい、フランジ(後述するフランジ部80)の生成効率を低下させてしまうからである。即ち、第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される際の突起部25、26における圧下量(ウェッジ先端圧下量ΔT)は、スラブ上下端部における圧下量(スラブ端面圧下量ΔE)よりも十分に大きなものとされ、これにより割り込み28、29が形成される。
図3は第2孔型K2の概略説明図である。第2孔型K2は、一対の水平ロールである上孔型ロール30と下孔型ロール31に刻設される。上孔型ロール30の周面(即ち、第2孔型K2の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部35が形成されている。更に、下孔型ロール31の周面(即ち、第2孔型K2の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部36が形成されている。これら突起部35、36はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部35と突起部36とでそれぞれ等しく構成されている。これら突起部35、36の先端部角度は25°以上40°以下のウェッジ角度θ1bであることが望ましい。
また、上記第1孔型K1のウェッジ角度θ1aは、誘導性を高め、圧延の安定性を担保するためには、後段の第2孔型K2のウェッジ角度θ1bと同じ角度であることが好ましい。
また、突起部35、36の高さ(突出長さ)h2は、上記第1孔型K1の突起部25、26の高さh1より高く構成されており、h2>h1となっている。ここで、上述したように、突起部35、36の先端部角度(ウェッジ角度θ1b)は上記第1孔型K1の突起部25、26の先端部角度と同じ(即ち、θ1a=θ1b)であることが好ましい。これら上孔型ロール30と下孔型ロール31のロール隙において、上記第1孔型K1通材後の被圧延材Aが更に造形される。
ここで、第1孔型K1に形成される突起部25、26の高さh1より、第2孔型K2に形成される突起部35、36の高さh2の方が高く、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)への侵入長さも同様に第2孔型K2の方が長くなる。第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さは、突起部35、36の高さh2と同じである。即ち、第1孔型K1での突起部25、26の被圧延材Aへの侵入深さh1’と、第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さh2はh1’<h2との関係になっている。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと、突起部35、36の傾斜面とのなす角度θfは、図3に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
図3に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)へ押し当てられた時の突起部の侵入長さが長いことから、第2孔型K2においては、第1孔型K1において形成された割り込み28、29が更に深くなるように造形が行われ、割り込み38、39が形成される。
また、図3に示す第2孔型K2での造形は多パスにより行われるが、この多パス造形のうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第2孔型K2の上面及び底面)が接触している必要がある。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第2孔型K2での全てのパスにおいて被圧延材Aの上限端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部35、36を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当)の生成効率を低下させてしまうからである。
即ち、第2孔型K2での多パス造形においては、必要最小限のパス(例えば最終パスのみ)において被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させて圧下を行い、その他のパスにおいては積極的な圧下を行わないといったパススケジュールを設定することが好ましい。また、この第2孔型K2においても、上記第1孔型K1同様、突起部35、36における圧下量(ウェッジ先端圧下量ΔT)は、スラブ上下端部における圧下量(スラブ端面圧下量ΔE)よりも十分に大きなものとされ、これにより割り込み38、39が形成される。なお、第2孔型K2は、このように割り込み38、39を形成させる孔型であることから「割り込み孔型」とも呼称される。
図4は第3孔型K3の概略説明図である。第3孔型K3は、一対の水平ロールである上孔型ロール40と下孔型ロール41に刻設される。上孔型ロール40の周面(即ち、第3孔型K3の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部45が形成されている。更に、下孔型ロール41の周面(即ち、第3孔型K3の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部46が形成されている。これら突起部45、46はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部45と突起部46とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部45、46の先端部角度θ2は、上記角度θ1bに比べ広角に構成され、突起部45、46の被圧延材Aへの侵入深さh3は、上記突起部35、36の侵入深さh2よりも短くなっている(即ち、h3<h2)。また、突起部45、46の先端部角度θ2は70°以上110°以下であることが望ましい。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面40a、40b及び孔型底面41a、41bと、突起部45、46の傾斜面とのなす角度θfは、図4に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
図4に示すように、第3孔型K3では、第2孔型K2通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第2孔型K2において形成された割り込み38、39が、突起部45、46が押し当てられることにより、割り込み48、49となる。即ち、第3孔型K3での造形における最終パスでは、割り込み48、49の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ2となる。換言すると、第2孔型K2において割り込み38、39の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位、フランジ相当部とも呼称される)が外側に折り曲げられるような造形が行われる。
また、図4に示す第3孔型K3での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第3孔型K3の上面及び底面)が接触している必要がある。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第3孔型K3での全てのパスにおいて被圧延材Aの上限端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部45、46を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当)の生成効率を低下させてしまうからである。
図5は第4孔型K4の概略説明図である。第4孔型K4は、一対の水平ロールである上孔型ロール50と下孔型ロール51に刻設される。上孔型ロール50の周面(即ち、第4孔型K4の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部55が形成されている。更に、下孔型ロール51の周面(即ち、第4孔型K4の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部56が形成されている。これら突起部55、56はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部55と突起部56とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部55、56の先端部角度θ3は、上記角度θ2に比べ広角に構成され、突起部55、56の被圧延材Aへの侵入深さh4は、上記突起部45、46の侵入深さh3よりも短くなっている(即ち、h4<h3)。また、突起部55、56の先端部角度θ3は130°以上170°以下であることが望ましい。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面50a、50b及び孔型底面51a、51bと、突起部55、56の傾斜面とのなす角度θfは、上記第3孔型K3と同様に、図5に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
第4孔型K4では、第3孔型K3通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第3孔型K3において形成された割り込み48、49が、突起部55、56が押し当てられることにより押し広げられ、割り込み58、59となる。即ち、第4孔型K4での造形における最終パスでは、割り込み58、59の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ3となる。換言すると、第3孔型K3において割り込み48、49の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位、フランジ相当部とも呼称される)が更に外側に折り曲げられるような造形が行われる。このようにして造形された被圧延材Aの上下端部の部位は、後のH形鋼製品のフランジに相当する部位であり、ここではフランジ部80と呼称する。
なお、上記説明した第3孔型K3及び第4孔型K4は、折り曲げ造形によってフランジ部80の造形を行うことから、「折り曲げ孔型」とも呼称される。
なお、第4孔型K4の割り込み角度θ3は180°よりもやや小さい角度に設定されることが望ましく、例えば130°以上170°以下の角度に設定される。これは、割り込み角度θ3を180°としてしまうと、次工程である平造形孔型においてウェブ厚の減厚を行う際に、フランジ部80の外側に拡がりが生じ、平造形孔型での圧延においてかみ出しが生じやすいからである。即ち、次工程の平造形孔型の形状及びウェブ厚の圧下量に応じてフランジ部80の外側での拡がり量が決まるため、ここでの割り込み角度θ3は、平造形孔型の形状及びウェブ厚の圧下量を勘案して好適に定められることが望ましい。
また、図5に示す第4孔型K4での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、この多パス造形のうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第4孔型K4の上面及び底面)が接触している必要がある。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第4孔型K4での全てのパスにおいて被圧延材Aの上限端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部55、56を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ部80の生成効率を低下させてしまうからである。
以上説明した第1孔型K1〜第4孔型K4によって造形された被圧延材Aに対し、既知の孔型を用いて更に圧下・造形が行われ、いわゆるドッグボーン形状であるH形粗形材13が造形される。通常はこの後、スラブ厚に相当する部分を減厚する平造形孔型でウェブ厚が減厚される。その後、図1に示す中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、通常7〜10数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
上述したように、本実施の形態にかかる第1孔型K1〜第4孔型K4を用いて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを入れ、それら割り込みによって左右に分かれた各部分を左右に折り曲げる加工を行い、フランジ部80を形成するといった造形をすることで、被圧延材A(スラブ)の上下端面をほぼ上下方向に圧下することなくH形粗形材13の造形を行うことができる。即ち、従来行われていたスラブ端面を常に圧下する粗圧延方法に比べ、フランジ幅を広幅化させてH形粗形材13を造形することが可能となり、その結果、フランジ幅の大きな最終製品(H形鋼)を製造することができる。また、サイジングミル3あるいは粗圧延機4における圧下量や設備規模に装置限界があるといったことに影響されずにH形粗形材13の造形を行うことができるため、素材のスラブサイズを従来に比べ小型化(スラブ幅の縮小)させることができ、フランジ幅の大きな最終製品を効率的に製造することができる。
ところで、本実施の形態においては、第3孔型K3のウェッジ角度θ2(突起部45、46の先端部角度θ2)を70°以上110°以下に構成し、第4孔型K4のウェッジ角度θ3(突起部55、56の先端部角度θ3)を130°以上170°以下に構成することで、被圧延材Aのフランジ相当部(後のフランジ部80)を折り曲げる造形を実施している。
本発明者らは、このような第3孔型K3及び第4孔型K4で行われるいわゆる折り曲げ造形について鋭意検討を行った結果、これら折り曲げ造形においては、被圧延材Aのフランジ相当部の変形は曲げ変形が支配的になり、ロール(孔型)と接触するフランジ外面部には引張力が働き、且つ、フランジ内面部には圧縮力が働くことが知見された。このような引張力、圧縮力により、折り曲げ造形での折り曲げ角度に応じて、フランジ相当部の幅長さ(以下、単にフランジ幅とも記載する)が拡がるとの知見が得られた。
一方で、上述したように、第3孔型K3や第4孔型K4での圧延造形においては、通材性の面から、少なくとも1パス以上の圧延造形で被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(孔型の上面及び底面)が接触していることが必要とされている。
即ち、本実施の形態に係る第3孔型K3及び第4孔型K4での圧延造形では、フランジ幅の拡がりを考慮しつつ、且つ、通材性やフランジ寸法精度を確保するといった観点から、被圧延材Aの上下端部を孔型内部に接触させ、且つ、フランジ幅ができるだけ最大になるような孔型設計を実現させることが求められる。
そこで以下では、上述した知見に基づいて好適に設計される孔型寸法の条件について図面を参照して説明する。先ず、上記フランジ幅のもととなる、割り込み線長Lの定義について説明する。図6は、第2孔型K2における造形の様子を説明する概略説明図であり、図3の一部(上半分)を拡大したものである。具体的には、図3に示す第2孔型K2の上半分を拡大して図示したものである。
図6に示すように、フランジ相当部(後のフランジ部80)の幅長さ、即ち、フランジ幅は、上記割り込み38の割り込み線長Lの長さに基いて定まる。割り込み線長Lは、割り込み38の両側の側壁における直線部の長さL1及びL3と、割り込み38の深さ端部の曲率を有する部位の曲線長さL2の合計である。即ち、L=L1+L2+L3である。
第3孔型K3における折り曲げ造形では、上記割り込み線長Lが拡大しつつ造形が実施される。更に、第4孔型K4における折り曲げ造形では、第3孔型K3で折り曲げられたフランジ相当部が更に折り曲げられる。本発明者らは、この割り込み線長Lの拡大に所定の法則性を見出すべく解析を行い、図7を参照して以下に説明する知見を得た。
図7は、第2孔型K2での造形において形成された割り込み38、39を、1又は複数の折り曲げ孔型(例えば第3孔型K3及び第4孔型K4)での折り曲げ造形によって拡げる場合の、折り曲げ角度Δθ(突起部による角度変更量Δθ)と、フランジ幅拡がり率との関係を示すグラフである。なお、図7には素材スラブの厚みが約300mm(290mm〜310mm)の場合を記載し、また、折り曲げ角度が約30°〜150°の範囲内である場合を記載している。
また、上記フランジ幅拡がり率とは、第2孔型K2(割り込み孔型)での圧延造形仕上がり後のフランジ幅(割り込み線長)と、折り曲げ造形後のフランジ幅(割り込み線長)との比であり、以下の式(1)で示す値である。
フランジ幅拡がり率=折り曲げ孔型仕上がり幅/割り込み孔型仕上がり幅 ・・・(1)
図7に示すように、折り曲げ角度Δθが約30°〜150°の範囲内において、素材スラブ厚が300mmの場合、折り曲げ角度にほぼ比例してフランジ幅拡がり率が増加している。即ち、フランジ幅拡がり率は、図7に示すグラフにおいて所定の定数として、傾きa、切片bとした場合に以下の式(2)で表すことが可能である。
フランジ幅拡がり率=a×Δθ+b ・・・(2)
また、ここで図7に示したデータは、折り曲げ造形を行う孔型の数に依るものではなく、折り曲げ造形が1段階、2段階、あるいは3段階以上の種々の方法で行われる場合全般についてのデータである。具体的には、例えば本実施の形態に係る第3孔型K3及び第4孔型K4の2段階で折り曲げ造形を行う場合についても適用でき、本データの適用に際しては、折り曲げ造形は必ずしも2段階で行わなくとも良く、例えば3段階で行っても良い。その場合には、本実施の形態に係る孔型構成に加え、折り曲げ造形を行う孔型が1つ増える構成となる。
図8は折り曲げ造形を2段階とした場合と、3段階とした場合とのフランジ幅の比較を行った解析図である。図8に示す破線が折り曲げ造形が2段階の場合、実線が折り曲げ造形が3段階の場合を示している。図8の圧延条件は、ウェッジ(突起部)先端での圧下量を900mmとし、2段階での折り曲げ造形は、折り曲げ角度を30°、90°、120°として実施した場合であり、3段階での折り曲げ造形は、折り曲げ角度を30°、60°、90°、120°として実施した場合である。なお、図8に示す解析図は、被圧延材の1/4断面を拡大して図示したものである。
図8に示すように、破線の被圧延材形状と実線の被圧延材形状はほぼ同じ形状であり、折り曲げ造形の段階数によるフランジ幅への影響は極めて小さいものであると考えられる。この結果から、本実施の形態に係る粗圧延工程では、割り込み孔型(第1孔型K1及び第2孔型K2)のウェッジ角度を所定の角度、例えば25°以上40°以下、に設計することで、折り曲げ造形での途中経過(段階数等)にかかわらず、フランジ幅が一定のH形粗形材13が造形されると推定される。
上述したように、素材スラブ厚が300mmの場合、折り曲げ角度にほぼ比例してフランジ幅拡がり率が増加するため、折り曲げ造形後のフランジ幅の値は、予測可能な数値であることが分かる(図7参照)。即ち、このような特性に基づき、折り曲げ造形後のフランジ幅を予測し、予測した値に基づいて被圧延材Aの長手方向全長に亘ってフランジ相当部の先端(スラブ端面)と孔型内部(孔型ロール)が接触するように第3孔型K3や第4孔型K4の孔型設計を行うことで、通材性やフランジ寸法精度を確保しつつ、フランジ幅ができるだけ最大になるような折り曲げ造形が実現され、従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼製品を製造するためのH形粗形材を圧延造形することが可能となる。
本発明者らは、素材スラブ厚が300mmの場合において、最終的な折り曲げ造形を行う孔型(本実施の形態では第4孔型K4)の具体的な孔型幅の設定方法について更なる検討を行った。図9は、折り曲げ孔型(本実施の形態では例えば第4孔型K4)のウェッジ角度(本実施の形態におけるθ3)を横軸とし、予測された折り曲げ造形後のフランジ幅の値と、実際に設計される折り曲げ孔型(本実施の形態では例えば第4孔型K4)の孔型幅設定値との差を縦軸とし、それぞれの条件における圧延安定性の評価を行ったグラフである。即ち、図9は、折り曲げ孔型の1孔型当たりの折り曲げ角度に応じた圧延安定性(通材特性)の評価を示すデータである。
図9に示すように、折り曲げ孔型のウェッジ角度が所定の角度である場合に、予測された折り曲げ造形後のフランジ幅の値と、実際に設計される折り曲げ孔型の孔型幅設定値との差が所定値以上であると、圧延安定(グラフ中の◆)が図られている。
一方、折り曲げ孔型のウェッジ角度が所定の角度である場合に、予測された折り曲げ造形後のフランジ幅の値と、実際に設計される折り曲げ孔型の孔型幅設定値との差が所定値以下であると、圧延不安定(グラフ中の×)となってしまう。
圧延不安定になる要因としては、折り曲げ孔型のウェッジ角度が大きい程、被圧延材Aに対するセンターリング作用が低下するからである。圧延不安定の具体例としては、被圧延材誘導性が低下し、座屈等の圧延不良が生じてしまう。
即ち、折り曲げ孔型のウェッジ角度が大きい程、孔型幅の設計を、予測された折り曲げ造形後のフランジ幅の値に対し十分に小さく設計して被圧延材Aの拘束を行うことでセンターリングを実現させることが求められる。また、折り曲げ孔型のウェッジ角度が小さい程、被圧延材Aのセンターリング性が向上するため、孔型幅の設計を、予測された折り曲げ造形後のフランジ幅の値に対しそれほど小さく設計しなくとも圧延安定性が確保されることが分かる。
例えば、図9からは、折り曲げ孔型のウェッジ角度が90°以下であると、被圧延材Aのセンターリング性が十分であるために、折り曲げ孔型においてフランジ相当部の先端(スラブ端面)と孔型内部(孔型ロール)を接触させて被圧延材Aの拘束を行うことなく圧延安定が実現されることが分かる。
一方で、本願発明では、従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼製品を製造することを目的としていることから、折り曲げ孔型の孔型幅の設計はできる限り大きな値として設定されることが望ましいのは明らかである。従って、図9に示す圧延安定が実現される範囲内においてフランジ幅が最も大きくなる条件、即ち、孔型幅の設計を、予測された折り曲げ造形後のフランジ幅の値に対し可能な限り大きく設定することが望ましい。
以上のことから、以下の式(3)を満たす条件で折り曲げ孔型の孔型幅の設計を行うことが、フランジ幅の値をできるだけ大きな値とし、且つ、圧延安定性を確保するといった観点から望ましい。
予測された折り曲げ造形後の被圧延材のフランジ幅−孔型フランジ幅=c×θ−d ・・・(3)
ここで、cは図9に示すグラフの傾き、dは図9に示すグラフの切片であり、所定の定数である。また、θは、孔型幅の設計対象である折り曲げ孔型のウェッジ角度である。

以上説明したように、図7に示す折り曲げ角度(Δθ)とフランジ幅拡がり率との関係から、折り曲げ造形後の被圧延材のフランジ幅の値を予測し、当該予測されたフランジ幅の値に基づき、図9を参照して上述した折り曲げ孔型の孔型幅の設計方法により、圧延安定性が確保され、且つ、フランジ幅ができるだけ大きい値となるような孔型幅が算出される。このように算出された孔型幅に設計した折り曲げ孔型を、折り曲げ造形時の最終孔型(本実施の形態における第4孔型K4)として用いることで、圧延安定性を確保し、且つ、フランジ幅をできるだけ大きな値とし、従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼製品を製造するためのH形粗形材を圧延造形することができる。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施の形態において、第1孔型K1〜第4孔型K4の4つの孔型を刻設して被圧延材Aの造形を行うものとして説明したが、粗圧延工程を実施するための孔型数はこれに限られるものではない。即ち、サイジングミル3や粗圧延機4に刻設される孔型の数は任意に変更可能であり、好適に粗圧延工程を実施することができる程度に適宜変更される。
なお、折り曲げ造形を行う孔型を多段とした場合に関し、上記実施の形態で図8を参照して説明したように、折り曲げ造形の段階数によるフランジ幅への影響は極めて小さいものであるため、本発明技術は、折り曲げ造形を行う孔型の段階数に依らず適用可能である。
また、H形鋼を製造する際の素材(被圧延材A)としてはスラブを例示して説明したが、類似形状のその他素材についても本発明は当然適用可能である。即ち、例えばビームブランク素材を造形してH形鋼を製造する場合にも適用できる。
本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に適用できる。
1…圧延設備
2…加熱炉
3…サイジングミル
4…粗圧延機
5…中間ユニバーサル圧延機
8…仕上ユニバーサル圧延機
9…エッジャー圧延機
11…スラブ
12…フランジ対応部
13…H形粗形材
14…中間材
16…H形鋼製品
20…上孔型ロール(第1孔型)
21…下孔型ロール(第1孔型)
25、26…突起部(第1孔型)
28、29…割り込み(第1孔型)
30…上孔型ロール(第2孔型)
31…下孔型ロール(第2孔型)
35、36…突起部(第2孔型)
38、39…割り込み(第2孔型)
40…上孔型ロール(第3孔型)
41…下孔型ロール(第3孔型)
45、46…突起部(第3孔型)
48、49…割り込み(第3孔型)
50…上孔型ロール(第4孔型)
51…下孔型ロール(第4孔型)
55、56…突起部(第4孔型)
58、59…割り込み(第4孔型)
80…フランジ部
K1…第1孔型
K2…第2孔型
K3…第3孔型
K4…第4孔型
T…製造ライン
A…被圧延材

Claims (3)

  1. 粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、
    矩形断面素材に対し前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する4以上の複数の孔型が刻設され、
    当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、
    前記複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が形成され、
    前記複数の孔型のうち第2孔型以降では少なくとも1パス以上の造形において被圧延材の端面と孔型周面とが接触した状態で圧下が行われ、
    前記複数の孔型のうち第3孔型以降では前記割り込みによって成形された分割部位を順次折り曲げる、折り曲げ造形工程が行われ、
    前記矩形断面素材の厚みが290mm以上310mm以下である場合に、前記第2孔型での造形後の前記割り込みの線長である被圧延材フランジ幅と、前記折り曲げ造形工程の最終形状における前記割り込みの線長に相当する被圧延材フランジ幅との比であるフランジ幅拡がり率は、以下の式(2)で定められ
    前記折り曲げ造形工程を行う孔型は当該式(2)に基づき設計されることを特徴とする、H形鋼の製造方法。
    フランジ幅拡がり率=a×Δθ+b ・・・(2)
    但し、a、bは所定の定数であり、Δθは前記折り曲げ造形工程での前記分割部位の折り曲げ角度である。
  2. 前記複数の孔型は、被圧延材を造形する第1孔型〜第4孔型の4つの孔型であり、
    前記複数の孔型のうち、第3孔型及び第4孔型には、前記分割部位に押し当てることで当該分割部位を折り曲げる突起部が形成され、
    前記第1孔型及び第2孔型に形成される突起部の先端角度は25°以上40°以下であり、
    前記第3孔型及び/又は前記第4孔型における折り曲げ造形工程での折り曲げ角度Δθが30°以上150°以下の範囲内において、前記式(2)に基づき前記フランジ幅拡がり率は定められることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  3. 前記式(2)によって定められるフランジ幅拡がり率に基づき、前記折り曲げ造形工程後の前記割り込みの線長に相当する被圧延材のフランジ幅の値を予測し、
    当該予測された被圧延材のフランジ幅と、折り曲げ造形工程を行う第4孔型との関係が以下の式(3)を満たすように前記第4孔型の前記割り込みの線長に対応する孔型フランジ幅を設計することを特徴とする、請求項2に記載のH形鋼の製造方法。
    予測された折り曲げ造形後の被圧延材のフランジ幅−孔型フランジ幅=c×θ−d ・・・(3)
    但し、c、dは所定の定数であり、θは第4孔型に形成される突起部の先端角度である。
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