JPWO2018131400A1 - インクジェットインク組成物及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、有機顔料の分散安定性が高いインクジェットインク組成物、およびそれを用いた画像形成方法を提供することにある。本発明は、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット39、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー25、またはC.I.ピグメントブルー60を含む有機顔料、ベンゾオキサゾ−ル誘導体、高分子分散剤、光重合性化合物、および光重合開始剤を含有するインクジェットインク組成物である。

Description

本発明は、インクジェットインク組成物及び画像形成方法に関する。
インクジェット画像形成方法は、簡易かつ安価に画像を形成できることから、各種印刷分野で用いられている。インクジェットインクの一つとして、活性光線を照射されることで硬化する光重合性化合物を含有するインク(以下、単に「活性光線硬化型インク」ともいう。)が知られている。活性光線硬化型インクは、吸水性が低い記録媒体においても、高い密着性を有する画像を形成できることから、近年注目されつつある。
インクジェット画像形成方法では、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクから、形成すべき色に応じて好適なインクの組みあわせを選択し、選択されたインクを重ね打ちすることで、フルカラーの画像を形成することができる。また、Pantone(登録商標)の色見本帳で示される色域をカバーできるように、特色としてバイオレットインク、オレンジインク、およびグリーンインクを更に使用して、色域の拡大を図る方法(特許文献1)が実施されている。
特色に使用される有機顔料(例えば、バイオレット、オレンジ、グリーン、ブルーの有機顔料)は、一般的に顔料表面が不活性であり、分散性が低いことが知られている。そのため、従来から使用されている高分子分散剤だけではうまく顔料表面に吸着しないため、インク中で顔料の分散性を維持させることが困難であった。このような問題を改善する方法として、例えば、顔料と共に、顔料誘導体を分散シナジストとしてインクに添加して、顔料の分散安定性を改善する方法が知られている(特許文献2)。
特開2010−13574号公報 特開2005−173459号公報
特許文献2に記載されているような顔料誘導体は、分散シナジストとしての作用が不十分であり、インク中の顔料を分散させ、分散状態を安定に維持することが困難であった。その結果、インクの粘度上昇に伴うサテライト(インクジェットヘッドのノズルから吐出されたインクが丸くならず、尾を引いたような形状となる現象)やミスト(サテライトの尾の部分がちぎれて飛散する現象)が発生し、それらに起因する画像ムラが発生しやすくなる。さらにインクの保存中に顔料同士が凝集することにより、吐出欠が発生することもある。
上記課題に鑑み、本発明は、バイオレット、オレンジ、グリーンまたはブルーの有機顔料を含有するインクジェットインク組成物において、有機顔料の分散安定性をより高めたインクジェットインク組成物、およびそのようなインクジェットインク組成物を用いた画像形成方法を提供することをその目的とする。
本発明の第一は、以下のインクジェットインク組成物にある。
[1] 有機顔料、高分子分散剤、ベンゾオキサゾ−ル誘導体、光重合性化合物、および光重合開始剤を含有するインクジェットインク組成物であって、
前記有機顔料は、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット37、およびC.I.ピグメントバイオレット39からなる群より選ばれる少なくとも1種のバイオレット顔料、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、およびC.I.ピグメントオレンジ71からなる群より選ばれる少なくとも1種のオレンジ顔料、C.I.ピグメントグリーン7、およびC.I.ピグメントグリーン36からなる群より選ばれる少なくとも1種のグリーン顔料、あるいはC.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー25、およびC.I.ピグメントブルー60からなる群より選ばれる少なくとも1種のブルー顔料であり、
前記ベンゾオキサゾ−ル誘導体は、下記一般式(1)で表される化合物である、インクジェットインク組成物。
Figure 2018131400
(式中、
〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、またはアルキル基であり、R〜Rは環を形成していてもよく、
Aは、下記式(2)〜(5):
Figure 2018131400
のいずれかで表される連結基であり、
式(2)〜(5)の*は、各式中におけるAの結合位置を表す。)
[2] 前記ベンゾオキサゾ−ル誘導体が、1,4−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ナフタレン、2,5−ビス(5−tert−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、または4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)スチルベンである、[1]に記載のインクジェットインク組成物。
[3] 前記高分子分散剤が、くし型ブロックコポリマーを含む、[1]または[2]に記載のインクジェットインク組成物。
[4] 前記光重合性化合物が、エチレンオキサイド変性化合物またはプロピレンオキサイド変性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェットインク組成物。
[5] ゲル化剤を更に含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェットインク組成物。
本発明の第二は、以下の画像形成方法にある。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェットインク組成物をインクジェット記録ヘッドのノズルから吐出して基材に着弾させる工程と、
前記基材上に着弾した前記インクジェットインク組成物に、活性光線を照射して、前記インクジェットインク組成物を硬化させる工程と、
を含むことを特徴とする、画像形成方法。
本発明によれば、バイオレット、オレンジ、グリーンまたはブルーの有機顔料を含有するインクジェットインク組成物において、有機顔料の分散安定性をより高めたインクジェットインク組成物、およびそのようなインクジェットインク組成物を用いた画像形成方法が提供される。
本発明者は、分散性の非常に低い、疎水性の構造を有する有機顔料を用いたインクジェットインク組成物について、画像ムラやドット欠による白いすじがより少ない、より高精細の画像を形成するためのインクジェットインク組成物を開発するために鋭意研究を行った。その結果、インクジェットインク組成物中への分散性が低い特定の有機顔料について、高分子分散剤と共にベンゾオキサゾ−ル誘導体を使用してインクジェットインク組成物を調製すると、有機顔料の分散性が向上することを見出した。これはベンゾオキサゾ−ル誘導体が、有機顔料の疎水性部位と高分子分散剤の疎水性部位の両方に対して高い親和性を示すためと考えられる。よって、ベンゾオキサゾ−ル誘導体は、疎水性の有機顔料の分散性を高め、有機顔料の凝集を防ぐことによって、インクジェットインク組成物の粘度上昇に伴う画像ムラや吐出欠の防止に有効であると考えられる。
1.インクジェットインク組成物
本発明のインクジェットインク組成物は、有機顔料、高分子分散剤、ベンゾオキサゾ−ル誘導体、光重合性化合物、および光重合開始剤を含有するインクジェットインク組成物である(以下、しばしば、「インク組成物」とも称する)。
1−1.有機顔料
有機顔料は、バイオレット顔料、オレンジ顔料、グリーン顔料またはブルー顔料を含む。有機顔料は、インクジェットインク組成物中に一種のみが含まれていてもよく、同じ色の顔料が二種類以上が含まれていてもよい。
バイオレット顔料は、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット37、およびC.I.ピグメントバイオレット39からなる群より選ばれる少なくとも1種である。好ましいバイオレット顔料は、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
C.I.ピグメントバイオレット23の市販品の例には、Fastogen Super Violet LBP02、Fastogen Super Violet LBP03、Fastogen Super Violet LBP04(いずれもDIC株式会社製、「Fastogen」は同社の登録商標)、Cromophtal Violet D5808(BASF社製、「Cromophtal」は同社の登録商標)、Hostaperm Violet RL−NF、Hostaperm Violet P−RL、PV Fast Violet RL(クラリアント社製、「Hostaperm」は同社の登録商標)等のが含まれる。
C.I.ピグメントバイオレット37の市販品の例には、Cromophtal Violet D5808(BASF社製、「Cromophtal」は同社の登録商標)が含まれる。
C.I.ピグメントバイオレット39の市販品の例には、Fanal violet D6060、Fanal violet D6070(いずれもBASF社製、「Fanal」は同社の登録商標)が含まれる。
オレンジ顔料は、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、およびC.I.ピグメントオレンジ71からなる群より選ばれる少なくとも1種である。好ましいオレンジ顔料は、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71であり、更に好ましくはC.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ71である。
C.I.ピグメントオレンジ36の市販品の例には、PV Fast Orange HL(クラリアント社製)が含まれる。
C.I.ピグメントオレンジ38の市販品の例には、NOVOPERM Red HFG(クラリアント社製、「Novoperm」は同社の登録商標)が含まれる。
C.I.ピグメントオレンジ43の市販品の例には、PV Fast Orange GRL(クラリアント社製)が含まれる。
C.I.ピグメントオレンジ64の市販品の例には、PV Fast Orange H2GL VP3044(クラリアント社製)が含まれる。
C.I.ピグメントオレンジ71の市販品の例には、IRGAZIN ORANGE D2905(BASF社製、「IRGAZIN」は同社の登録商標)が含まれる。
グリーン顔料は、C.I.ピグメントグリーン7およびC.I.ピグメントグリーン36からなる群より選ばれる少なくとも1種のグリーン顔料である。好ましいグリーン顔料は、ピグメントグリーン7である。
C.I.ピグメントグリーン7の市販品の例には、FASTOGEN Green S(DIC株式会社製、「Fastogen」は同社の登録商標)が含まれる。
C.I.ピグメントグリーン36の市販品の例には、FASTOGEN Green 2YK(DIC株式会社製、「Fastogen」は同社の登録商標)が含まれる。
ブルー顔料は、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー25、およびC.I.ピグメントブルー60からなる群より選ばれる少なくとも1種である。好ましいブルー顔料は、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー60である。
C.I.ピグメントブルー15:6の市販品の例には、LIONOL BLUE ES(トーヨーカラー株式会社製)が含まれる。
C.I.ピグメントブルー25の市販品の例には、Symuler Fast Blue 4198(DIC株式会社製、「Symuler」は同社の登録商標)が含まれる。
C.I.ピグメントブルー60の市販品の例には、LIONOGEN BLUE 6510(トーヨーカラー株式会社製)が含まれる。
顔料の含有量は、得られる画像における発色を十分なものにして、かつインクジェットインク組成物の粘度をインクジェットヘッドから吐出できる程度にできる範囲であればよい。上記観点からは、たとえば、前記顔料の含有量は、インクジェットインク組成物に対して0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
1−2.高分子分散剤
高分子分散剤は、顔料表面に直接的に吸着するか、又は後述するベンゾオキサゾ−ル誘導体を介して間接的に吸着することで、顔料の分散性を高める機能を有しうる。高分子分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、及びステアリルアミンアセテートが含まれる。
中でも、上記有機顔料およびベンゾオキサゾ−ル誘導体との親和性がよい点から、くし型ブロックコポリマーが好ましく、塩基性基を有するくし型ブロックコポリマーがより好ましい。
くし型ブロックコポリマーとは、主鎖を形成する直鎖状のポリマーと、直鎖状の主鎖を構成するモノマー由来の構成単位に対してグラフト重合した別の種類のポリマーとを含むコポリマーをいう。側鎖としては長鎖ポリオキシアルキル基(エチレンオキサイド(EO)−プロピレンオキサイド(PO)共重合基)が好ましい。くし型ブロックコポリマーの例には、主鎖がアクリル酸エステルのポリマーであり、側鎖が長鎖ポリオキシアルキル基(エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合基)であるものが含まれる。
塩基性基を有するくし型ブロックコポリマーにおける塩基性基は、3級、2級又は1級のアミン基であることが好ましい。
塩基性基を有するくし型ブロックコポリマーは、グラフト重合した側鎖が立体障害を生じるため、有機顔料同士の凝集を抑制することができる。有機顔料は、一次粒子径が50nm以下と小さいため、粒子間の相互作用が強く、凝集しやすい性質を有する。そのため、くし型ブロックコポリマーによる分散性の向上は、そのような小さい粒径を有する有機顔料を含むインクジェットインク組成物において特に顕著となる。上記作用によって有機顔料の分散性が高まることにより、凝集した顔料粒子による吐出不良やインク吐出用記録ヘッドの穴詰まりが発生しにくくなる。
塩基性基を有するくし型ブロックコポリマータイプの市販品の例には、BYK社製のDISPERBYK−161、168、2155、Jet9150及びJet9151;BASF社製のefkaPX4701、FA4431;味の素ファインテクノ社製のPB−821、822、824;ルーブリゾール社製のソルスパース24000GR、32000、35000、39000、J−100、J−180、J−200及びX−300等が含まれる。「DISPERBYK」はBYK社の登録商標であり、「efka」はBASF社の登録商標であり、「ソルスパース」はルーブリゾール社の登録商標である。
1−3.ベンゾオキサゾ−ル誘導体
本発明においてベンゾオキサゾ−ル誘導体とは、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2018131400
(式中、
〜Rはそれぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり、R〜Rは環を形成していてもよく、
Aは、下記式(2)〜(5):
Figure 2018131400
のいずれかで表される連結基であり、
式(2)〜(5)の*は、各式中におけるAの結合位置を表す。)
上記一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子またはアルキル基である。上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、アルキル基は直鎖状、分枝状、環状のいずれでもよい。上記アルキル基は置換されてもよく、その置換基としては、カルボキシル基、アルコキシ基等の炭素原子を含む基や、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられる。
一般式(1)で表されるベンゾキサゾール系化合物の市販品の例には、式中のAが式(2)の構造であるFLUORESCENT BRIGHTENER KCB(Xcolor Pigment社製)、式中のAが式(3)の構造であるFLUORESCENT BRIGHTENER PF(Xcolor Pigment社製)、式中のAが式(4)の構造であるFLUORESCENT BRIGHTENER OBやFLUORESCENT BRIGHTENER PB(共にXcolor Pigment社製)、式中のAが式(5)の構造であるFLUORESCENT BRIGHTENER OB−1やFLUORESCENT BRIGHTENER KSN(共にXcolor Pigment社製)などが挙げられる。
一般式(1)で表されるベンゾオキサゾ−ル誘導体は、本発明で使用する有機顔料との親和性が高く、且つ高分子分散剤との親和性も高く、インクジェットインク組成物において有機顔料の分散性を向上させるものである限り特に限定はない。しかし、本発明で使用する有機顔料との親和性が特に高いことから、下記の化合物が好ましい。
一般式(1)中のAが式(2)の構造である、1,4−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ナフタレン(cas: 5089−22−5)、一般式(1)中のAが式(4)の構造である、2,5−ビス(5−tert−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン(cas:7128−64−5)、および一般式(1)中のAが式(5)の構造である、4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン(cas:1533−45−5)。なお、4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)スチルベンにはシス体とトランス体が存在するが、いずれの異性体でも、混合物でもかまわない。
ベンゾオキサゾ−ル誘導体は、前記インクジェットインク組成物の全質量に対して0.01質量%以上1.0質量%以下含まれることが好ましく、0.05質量%以上0.5質量%以下含まれることがより好ましく、0.05質量%以上0.3質量%以下含まれることが更に好ましい。ベンゾオキサゾ−ル誘導体による着色や光源依存性の変色などを生じることなく、顔料の分散性を高めるためには、ベンゾオキサゾ−ル誘導体の使用量は上記範囲内であることが好ましい。具体的には、ベンゾオキサゾ−ル誘導体の含有量が0.01質量%以上であると、有機顔料をインクジェットインク組成物中に均一に分散させることが可能となり、1.0質量%以下であれば、ベンゾオキサゾ−ル誘導体による着色やインクジェットインク組成物の変色の恐れはない。
1−4.光重合性化合物
光重合性化合物は、活性光線を照射されることにより重合し、インクジェットインク組成物を硬化させることができる。活性光線の例には、紫外線、電子線、α線、γ線およびX線が含まれる。安全性の観点や低いエネルギー量でも光重合性化合物を重合させることができるという観点から、活性光線は、紫外線または電子線であることが好ましい。
光重合性化合物には、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物が含まれる。重合および架橋を発生させやすく、かつ、形成する画像に応じて多様な化合物から選択することができるという観点からは、光重合性化合物はラジカル重合性化合物であることが好ましい。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物である。ラジカル重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマーあるいはこれらの混合物のいずれであってもよい。ラジカル重合性化合物は、インクジェットインク組成物中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例には、不飽和カルボン酸とその塩、不飽和カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸ウレタン化合物、不飽和カルボン酸アミド化合物およびその無水物、アクリロニトリル、スチレン、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等が挙げられる。不飽和カルボン酸の例には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸などが含まれる。
なかでも、ラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレートであることがより好ましい。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタアクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基またはメタアクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」には、アクリレートモノマー及び/またはアクリレートオリゴマー、メタアクリレートモノマー及び/またはメタアクリレートオリゴマーが含まれる。
(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の単官能モノマー;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等の二官能モノマー;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等の三官能以上の多官能モノマー等が含まれる。
光重合性化合物は、変性物であることが好ましい。変性物である(メタ)アクリレート化合物としては、プロピレンオキサイドもしくはエチレンオキサイドで変性された、プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物またはエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物であることが特に好ましい。「プロピレンオキサイドまたはエチレンオキサイドで変性された」とは、分子鎖中にプロピレンオキサイドまたはエチレンオキサイドからなる繰返し単位が1以上導入されていることをいう。プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物またはエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物に含まれるプロピレンオキサイドまたはエチレンオキサイドからなる繰返し単位の数は、(メタ)アクリレート基1つに対して1以上14以下であることが好ましく、3以上14以下であることがより好ましい。
親水性であるエチレンオキサイド基やプロピレンオキサイド基を有する重合性化合物は、高分子分散剤の有する親水性の構成単位との親和性が高い。そのため、エチレンオキサイド変性重合性化合物またはプロピレンオキサイド変性重合性化合物は、高分子分散剤の分散性を高めることができると考えられる。
エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物の例には、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ヘキサンジオールジアクリレート等が含まれる。
エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物の市販品の例には、Sartomer社製の4EO変性ヘキサンジオールジアクリレートCD561(分子量358)、3EO変性トリメチロールプロパントリアクリレートSR454(分子量429)、6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレートSR499(分子量560)、4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートSR494(分子量529);新中村化学工業社製のポリエチレングリコール♯400ジアクリレート(NKエステルA−400(分子量508))、ポリエチレングリコール♯600ジアクリレート(NKエステルA−600(分子量742))、ポリエチレングリコールジメタクリレート(NKエステル9G(分子量536))、ポリエチレングリコールジメタクリレート(NKエステル14G(分子量770));大阪有機化学社製のテトラエチレングリコールジアクリレート(V#335HP(分子量302));等が含まれる。
一方、プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物の例には、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート等が含まれる。
プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物の市販品の例には、Cognis社製の3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Photomer 4072(分子量471))、新中村化学社製のジプロピレングリコールジアクリレート(NKエステルAPG−100(分子量242))、トリプロピレングリコールジアクリレート(NKエステルAPG−200(分子量300))、ポリプロピレングリコール♯400ジアクリレート(NKエステルAPG−400(分子量533))、ポリプロピレングリコール♯700ジアクリレート(NKエステルAPG−700(分子量823))、Sartomer社製の6PO変性トリメチロールプロパントリアクリレートCD501(分子量645)等が含まれる。
なお、多官能光重合性化合物は、上述した(メタ)アクリレート化合物と他の官能基を有する化合物とを重合したオリゴマーであってもよい。このようなオリゴマーの例には、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等が含まれる。
カチオン重合性化合物は、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、及びオキセタン化合物等でありうる。カチオン重合性化合物は、活性光線硬化型インクジェットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
エポキシ化合物は、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド、または脂肪族エポキシド等であり、硬化性を高めるためには、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましい。
芳香族エポキシドは、多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるジまたはポリグリシジルエーテルでありうる。反応させる多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体の例には、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体等が含まれる。アルキレンオキサイド付加体におけるアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等でありうる。
脂環式エポキシドは、シクロアルカン含有化合物を、過酸化水素や過酸等の酸化剤でエポキシ化して得られるシクロアルカンオキサイド含有化合物でありうる。シクロアルカンオキサイド含有化合物におけるシクロアルカンは、シクロヘキセンまたはシクロペンテンでありうる。
脂肪族エポキシドは、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるジまたはポリグリシジルエーテルでありうる。脂肪族多価アルコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール等が含まれる。アルキレンオキサイド付加体におけるアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等でありうる。
ビニルエーテル化合物の例には、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物;
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジまたはトリビニルエーテル化合物等が含まれる。これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性や密着性などを考慮すると、ジまたはトリビニルエーテル化合物が好ましい。
インクジェットインク組成物の光重合性化合物の含有量は、1質量%以上97質量%以下であることが好ましく、30質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
1−5.光重合開始剤
光重合開始剤は、前記光重合性化合物がラジカル重合性の官能基を有する化合物であるときは、光ラジカル開始剤であり、前記光重合性化合物がカチオン重合性の官能基を有する化合物であるときは、光酸発生剤である。光重合開始剤は、インクジェットインク組成物中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。光重合開始剤は、光ラジカル開始剤と光酸発生剤の両方の組み合わせであってもよい。
光ラジカル開始剤には、開裂型ラジカル開始剤および水素引き抜き型ラジカル開始剤が含まれる。
開裂型ラジカル開始剤の例には、アセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン系の開始剤、アシルホスフィンオキシド系の開始剤、ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステルが含まれる。
アセトフェノン系の開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンが含まれる。
ベンゾイン系の開始剤の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
アシルホスフィンオキシド系の開始剤の例には、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドが含まれる。
水素引き抜き型ラジカル開始剤の例には、ベンゾフェノン系の開始剤、チオキサントン系の開始剤、アミノベンゾフェノン系の開始剤、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノンおよびカンファーキノンが含まれる。
ベンゾフェノン系の開始剤の例には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンが含まれる。
チオキサントン系の開始剤の例には、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンおよび2,4−ジクロロチオキサントンが含まれる。
アミノベンゾフェノン系の開始剤の例には、ミヒラーケトンおよび4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが含まれる。
光酸発生剤の例には、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページに記載の化合物が含まれる。
光重合開始剤の含有量は、インクジェットインク組成物が十分に硬化できる範囲であればよく、たとえばインクジェットインク組成物の全質量に対して0.01質量%以上10質量%以下とすることができる。
1−6.ゲル化剤
本発明のインクジェットインク組成物は、ゲル化剤を含んでもよい。ゲル化剤は、記録媒体に着弾したインクジェットインク組成物の液滴をゲル状態にして仮固定(ピニング)することができる。インクジェットインク組成物がゲル状態でピニングされると、インクジェットインク組成物の濡れ広がりが抑えられて隣り合うドットが同一しにくくなるため、より高精細な画像を形成することができる。また、インクジェットインク組成物がゲル状態になると、インクジェットインク組成物の液滴中への環境中の酸素の入り込みが抑えられて酸素による硬化阻害が生じにくくなるため、高精細な画像をより高速で形成することができる。ゲル化剤は、インクジェットインク組成物中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
ゲル化剤の含有量は、インクジェットインク組成物の全質量に対して1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。ゲル化剤の含有量を1.0質量%以上とすることで、インクジェットインク組成物のピニング性を高めることができる。特に吸水性の基材に画像を形成したときに、インクジェットインク組成物が基材の内部に入り込むことによる発色不足を生じにくくすることができ、所望の色域の画像を形成しやすくなる。ゲル化剤の含有量を10.0質量%以下とすることで、形成した画像の表面にゲル化剤が析出しにくくなり、画像の光沢を他のインクジェットインク組成物による画像の光沢により近づけることができ、かつ、インクジェットヘッドからのインクジェットインク組成物の吐出性をより高めることができる。上記観点からは、インクジェットインク組成物中のゲル化剤の含有量は、1.0質量%以上7.0質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以上4.0質量%以下であることがさらに好ましい。
また、以下の観点から、ゲル化剤は、インクジェットインク組成物のゲル化温度以下の温度で、インクジェットインク組成物中で結晶化することが好ましい。ゲル化温度とは、加熱によりゾル化または液体化したインクジェットインク組成物を冷却していったときに、ゲル化剤がゾルからゲルに相転移し、インクジェットインク組成物の粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化または液体化したインクジェットインク組成物を、粘弾性測定装置(たとえば、MCR300、Physica社製)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、そのインクジェットインク組成物のゲル化温度とすることができる。
ゲル化剤がインクジェットインク組成物中で結晶化すると、板状に結晶化したゲル化剤によって形成された三次元空間に光重合性化合物が内包される構造が形成されることがある(このような構造を、以下「カードハウス構造」という。)。カードハウス構造が形成されると、液体の光重合性化合物が前記空間内に保持されるため、インクジェットインク組成物の液滴がより濡れ広がりにくくなり、インクジェットインク組成物のピニング性がより高まる。インクジェットインク組成物のピニング性が高まると、記録媒体に着弾したインクジェットインク組成物の液滴同士が合一しにくくなり、より高精細な画像を形成することができる。
カードハウス構造を形成するには、インクジェットインク組成物中で溶解している光重合性化合物とゲル化剤とが相溶していることが好ましい。これに対して、インクジェットインク組成物中で溶解している光重合性化合物とゲル化剤とが相分離していると、カードハウス構造を形成しにくい場合がある。
結晶化によるカードハウス構造の形成に好適なゲル化剤の例には、ケトンワックス、エステルワックス、石油系ワックス、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、硬化ヒマシ油、変性ワックス、高級脂肪酸、高級アルコール、ヒドロキシステアリン酸、N−置換脂肪酸アミドおよび特殊脂肪酸アミドを含む脂肪酸アミド、高級アミン、ショ糖脂肪酸のエステル、合成ワックス、ジベンジリデンソルビトール、ダイマー酸ならびにダイマージオールが含まれる。
上記ケトンワックスの例には、ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジラウリルケトン、ジミリスチルケトン、ミリスチルパルミチルケトンおよびパルミチルステアリルケトンが含まれる。
上記エステルワックスの例には、ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、セロチン酸ミリシル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸オレイル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン脂肪酸エステルが含まれる。
上記エステルワックスの市販品の例には、EMALEXシリーズ、日本エマルジョン社製(「EMALEX」は同社の登録商標)、リケマールシリーズおよびポエムシリーズ、理研ビタミン社製(「リケマール」および「ポエム」はいずれも同社の登録商標)が含まれる。
上記石油系ワックスの例には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスおよびペトロラクタムを含む石油系ワックスが含まれる。
上記植物系ワックスの例には、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウおよびホホバエステルが含まれる。
上記動物系ワックスの例には、ミツロウ、ラノリンおよび鯨ロウが含まれる。
上記鉱物系ワックスの例には、モンタンワックスおよび水素化ワックスが含まれる。
上記変性ワックスの例には、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体、12−ヒドロキシステアリン酸誘導体およびポリエチレンワックス誘導体が含まれる。
上記高級脂肪酸の例には、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸,ラウリン酸、オレイン酸、およびエルカ酸が含まれる。
上記高級アルコールの例には、ステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールが含まれる。
上記ヒドロキシステアリン酸の例には、12−ヒドロキシステアリン酸が含まれる。
上記脂肪酸アミドの例には、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミドおよび12−ヒドロキシステアリン酸アミドが含まれる。
上記脂肪酸アミドの市販品の例には、ニッカアマイドシリーズ、日本化成社製(「ニッカアマイド」は同社の登録商標)、ITOWAXシリーズ、伊藤製油社製、およびFATTYAMIDシリーズ、花王社製が含まれる。
上記N−置換脂肪酸アミドの例には、N−ステアリルステアリン酸アミドおよびN−オレイルパルミチン酸アミドが含まれる。
上記特殊脂肪酸アミドの例には、N,N’−エチレンビスステアリルアミド、N,N’−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリルアミドおよびN,N’−キシリレンビスステアリルアミドが含まれる。
上記高級アミンの例には、ドデシルアミン、テトラデシルアミンおよびオクタデシルアミンが含まれる。
上記ショ糖脂肪酸のエステルの例には、ショ糖ステアリン酸およびショ糖パルミチン酸が含まれる。
上記ショ糖脂肪酸のエステルの市販品の例には、リョートーシュガーエステルシリーズ、三菱化学フーズ社製(「リョートー」は同社の登録商標)が含まれる。
上記合成ワックスの例には、ポリエチレンワックスおよびα−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックスが含まれる。
上記合成ワックスの市販品の例には、UNILINシリーズ、Baker−Petrolite社製(「UNILIN」は同社の登録商標)が含まれる。
上記ジベンジリデンソルビトールの例には、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトールが含まれる。
上記ジベンジリデンソルビトールの市販品の例には、ゲルオールD、新日本理化株式会社製(「ゲルオール」は同社の登録商標)が含まれる。
上記ダイマージオールの市販品の例には、PRIPORシリーズ、CRODA社製(「PRIPOR」は同社の登録商標)が含まれる。
これらのゲル化剤のうち、よりピニング性を高める観点からは、ケトンワックス、エステルワックス、高級脂肪酸、高級アルコールおよび脂肪酸アミドが好ましく、上記観点からは、下記一般式(G1)で表されるケトンワックスおよび下記一般式(G2)で表されるエステルワックスがさらに好ましく、上述した高極性光重合性化合物と共に使用する観点からは、ケトンワックスが好ましい。下記一般式(G1)で表されるケトンワックスおよび下記一般式(G2)で表されるエステルワックスは、インクジェットインク組成物中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。また、下記一般式(G1)で表されるケトンワックスおよび下記一般式(G2)で表されるエステルワックスは、インクジェットインク組成物中に、いずれか一方のみが含まれていてもよいし、双方が含まれていてもよい。
一般式(G1):R9−CO−R10
一般式(G1)において、R9およびR10は、いずれも炭素数が9以上25以下である直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基である。
一般式(G2):R11−COO−R12
一般式(G2)において、R11およびR12は、いずれも炭素数が9以上25以下である直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基である。
上記一般式(G1)で表されるケトンワックスまたは上記一般式(G2)で表されるエステルワックスは、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基の炭素数が9以上であるため、ゲル化剤の結晶性がより高まり、かつ、上記カードハウス構造においてより十分な空間が生る。そのため、光重合性化合物が上記空間内に十分に内包されやすくなり、インクのピニング性がより高くなる。また、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基の炭素数が25以下であるため、ゲル化剤の融点が過度に高まらないため、インクジェットインク組成物を出射するときにインクジェットインク組成物を過度に加熱する必要がない。上記観点からは、R9およびR10は炭素原子数11以上23未満の直鎖状の炭化水素基であることが特に好ましい。
また、インクジェットインク組成物のゲル化温度を高くして、着弾後により急速にインクジェットインク組成物をゲル化させる観点からは、R9もしくはR10のいずれか、またはR11もしくはR12のいずれかが飽和している炭素原子数11以上23未満の炭化水素基であることが好ましい。上記観点からは、R9およびR10の双方、またはR11およびR12の双方が飽和している炭素原子数11以上23未満の炭化水素基であることがより好ましい。
上記一般式(G1)で表されるケトンワックスの例には、ジリグノセリルケトン(炭素数:23−24)、ジベヘニルケトン(炭素数:21−22)、ジステアリルケトン(炭素数:17−18)、ジエイコシルケトン(炭素数:19−20)、ジパルミチルケトン(炭素数:15−16)、ジミリスチルケトン(炭素数:13−14)、ジラウリルケトン(炭素数:11−12)、ラウリルミリスチルケトン(炭素数:11−14)、ラウリルパルミチルケトン(11−16)、ミリスチルパルミチルケトン(13−16)、ミリスチルステアリルケトン(13−18)、ミリスチルベヘニルケトン(13−22)、パルミチルステアリルケトン(15−18)、バルミチルベヘニルケトン(15−22)およびステアリルベヘニルケトン(17−22)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、カルボニル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
一般式(G1)で表されるケトンワックスの市販品の例には、18−Pentatriacontanon、Alfa Aeser社製、Hentriacontan−16−on、Alfa Aeser社製およびカオーワックスT1、花王社製が含まれる。
一般式(G2)で表される脂肪酸またはエステルワックスの例には、ベヘニン酸ベヘニル(炭素数:21−22)、イコサン酸イコシル(炭素数:19−20)、ステアリン酸ステアリル(炭素数:17−18)、ステアリン酸パルミチル(炭素数:17−16)、ステアリン酸ラウリル(炭素数:17−12)、パルミチン酸セチル(炭素数:15−16)、パルミチン酸ステアリル(炭素数:15−18)、ミリスチン酸ミリスチル(炭素数:13−14)、ミリスチン酸セチル(炭素数:13−16)、ミリスチン酸オクチルドデシル(炭素数:13−20)、オレイン酸ステアリル(炭素数:17−18)、エルカ酸ステアリル(炭素数:21−18)、リノール酸ステアリル(炭素数:17−18)、オレイン酸ベヘニル(炭素数:18−22)およびリノール酸アラキジル(炭素数:17−20)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、エステル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
一般式(G2)で表されるエステルワックスの市販品の例には、ユニスターM−2222SLおよびスパームアセチ、日油社製(「ユニスター」は同社の登録商標)、エキセパールSSおよびエキセパールMY−M、花王社製(「エキセパール」は同社の登録商標)、EMALEX CC−18およびEMALEX CC−10、日本エマルジョン社製(「EMALEX」は同社の登録商標)ならびにアムレプスPC、高級アルコール工業社製(「アムレプス」は同社の登録商標)が含まれる。これらの市販品は、二種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製してインクジェットインク組成物に含有させてもよい。
1−7.その他の成分
インクジェットインク組成物は、本発明の効果が得られる範囲において、分散シナジスト、光重合開始剤助剤および重合禁止剤を含むその他の成分をさらに含んでいてもよい。これらの成分は、インクジェットインク組成物中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
分散シナジストは、有機顔料の分散性を更に高めるために使用してもよい。本発明においては、高分散剤とベンゾオキサゾ−ル誘導体とによって、高い分散性が達成されるため必須ではない。特に分散性の低い有機顔料、例えばグリーン顔料の場合には、分散シナジストを併用してもよい。分散シナジストの例には、ソルスパース5000(ノベオン社製)が含まれる。
光重合開始剤助剤の例には、芳香族第3級アミン化合物を含む第3級アミン化合物が含まれる。芳香族第3級アミン化合物の例には、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸イソアミルエチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミンおよびN,N−ジメチルヘキシルアミンが含まれる。
重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1−ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p−ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5−ジ−t−ブチル−p−ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、N−(3−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシムおよびシクロヘキサノンオキシムが含まれる。
1−8.物性
インクジェットヘッドからの吐出性をより高める観点からは、インクジェットインク組成物の80℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。また、インクジェットインク組成物がゲル化剤を含む場合には、着弾して常温に降温した際にインクジェットインク組成物を十分にゲル化させる観点からは、インクジェットインク組成物の25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。
インクジェットインク組成物がゲル化剤を含む場合には、そのゲル化温度は、40℃以上70℃以下であることが好ましい。インクジェットインク組成物のゲル化温度が40℃以上であると、記録媒体に着弾後、インクジェットインク組成物が速やかにゲル化するため、ピニング性がより高くなる。インクジェットインク組成物のゲル化温度が70℃以下であると、インクジェットインク組成物の温度が通常80℃程度であるインクジェットヘッドからのインクジェットインク組成物の吐出時にインクジェットインク組成物がゲル化しにくいため、より安定してインクジェットインク組成物を吐出することができる。
インクジェットインク組成物の80℃における粘度、25℃における粘度およびゲル化温度は、レオメータにより、インクジェットインク組成物の動的粘弾性の温度変化を測定することにより求めることができる。例えば、これらの粘度およびゲル化温度は、以下の方法によって得ることができる。インクジェットインク組成物を100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータ(例えば、Physica MCR301(コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°)、AntonPaar社製)によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で20℃までインクジェットインク組成物を冷却して、粘度の温度変化曲線を得る。80℃における粘度および25℃における粘度は、粘度の温度変化曲線において80℃、25℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求めることができる。ゲル化温度は、粘度の温度変化曲線において、粘度が200mPa・sとなる温度として求めることができる。
インクジェットヘッドからの吐出性をより高める観点からは、顔料粒子の平均粒子径は0.08μm以上0.5μm以下であり、最大粒子径は0.3μm以上10μm以下であることが好ましい。本発明における顔料粒子の平均粒子径とは、データサイザーナノZSP、Malvern社製を使用して動的光散乱法によって求めた値を意味する。なお、色材を含むインクジェットインク組成物は濃度が高く、この測定機器では光が透過しないので、インクジェットインク組成物を200倍で希釈してから測定する。測定温度は常温(25℃)とする。
2.インクジェットインク組成物の調製
インクジェットインク組成物は、たとえば、前述の有機顔料、高分子分散剤、ベンゾオキサゾ−ル誘導体、光重合性化合物、および光重合開始剤と、所望によりゲル化剤と、任意の各成分とを、加熱下において混合することにより得ることができる。得られた混合液を所定のフィルターで濾過することが好ましい。このとき、有機顔料、高分子分散剤が光重合性化合物の一部に分散された顔料分散体をあらかじめ調製しておき、これに残りの成分を添加して加熱しながら混合してもよい。尚、ベンゾオキサゾ−ル誘導体は、顔料分散体を調製する際に添加してもよいし、あらかじめ調製した顔料分散体に添加してもよい。また、ベンゾオキサゾ−ル誘導体の一部を顔料分散体を調製する際に添加して、残りを顔料分散体に添加してもよい。
有機顔料、高分子分散剤、および光重合性化合物、所望によりベンゾオキサゾ−ル誘導体の分散は、たとえば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、およびペイントシェーカーにより行うことができる。
3.画像形成方法
本発明の画像形成方法は、前述したインクジェットインク組成物をインクとして用いる以外は、インクをインクジェットヘッドから吐出して記録媒体に着弾させ、硬化させる公知の画像形成方法と同様に行い得る。
たとえば、本発明の画像形成方法は、インクジェットインク組成物を吐出して記録媒体に着弾させる第1の工程、および前記着弾した前記インクジェットインク組成物に活性光線を照射して前記インクジェットインク組成物を硬化させる第2の工程、を含む。
3−1.第1の工程
第1の工程では、インクジェットインク組成物の液滴をインクジェットヘッドのノズルから吐出して、記録媒体の、形成すべき画像に応じた位置に着弾させる。
インクジェットヘッドからの吐出方式は、オンデマンド方式およびコンティニュアス方式のいずれでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドは、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型等の電気−機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型等の電気−熱変換方式等のいずれでもよい。
インクジェットインク組成物の液滴は、加熱した状態でインクジェットヘッドから吐出することで、吐出安定性を高めることができる。吐出される際のインクジェットインク組成物の温度は、35℃以上100℃以下であるが好ましく、吐出安定性をより高めるためには、35℃以上80℃以下であることがより好ましい。特には、インクジェットインク組成物の粘度が7mPa・s以上15mPa・s以下、より好ましくは8mPa・s以上13mPa・s以下となるようなインクジェットインク組成物の温度において出射を行うことが好ましい。
インクジェットインク組成物がゲル化剤を含むゾルゲル相転移型のインクジェットインク組成物である場合には、吐出用記録ヘッドからのインクジェットインク組成物の吐出性を高めるために、吐出用記録ヘッドに充填されたときのインクジェットインク組成物の温度が、当該インクジェットインク組成物の(ゲル化温度+10)℃〜(ゲル化温度+30)℃に設定されることが好ましい。吐出用記録ヘッド内のインクジェットインク組成物の温度が、(ゲル化温度+10)℃未満であると、吐出用記録ヘッド内もしくはノズル表面でインクジェットインク組成物がゲル化して、インクジェットインク組成物の吐出性が低下しやすい。一方、吐出用記録ヘッド内のインクジェットインク組成物の温度が(ゲル化温度+30)℃を超えると、インクジェットインク組成物が高温になりすぎるため、インク成分が劣化することがある。
インクジェットインク組成物を所定の温度に加熱する方法は特に制限されない。たとえば、ヘッドキャリッジを構成するインクタンク、供給パイプおよびヘッド直前の前室インクタンク等のインク供給系、フィルター付き配管ならびにピエゾヘッド等の少なくともいずれかを、パネルヒーター、リボンヒーターおよび保温水等のうちいずれかによって所定の温度に加熱することができる。
吐出される際のインクジェットインク組成物の液滴量は、記録速度および画質の面から、2pL以上20pL以下であることが好ましい。
3−2.第2の工程
第2の工程では、第1の工程で着弾させたインクジェットインク組成物に活性エネルギー線を照射して、インクジェットインク組成物が硬化してなる画像を形成する。活性エネルギー線は、インクジェットインク組成物の着弾後0.001秒以上1.0秒以下の間に照射されることが好ましく、高精細な画像を形成するためには、0.001秒以上0.5秒以下の間に照射されることがより好ましい。
インクジェットインク組成物に照射する活性エネルギー線は、たとえば、電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線等から選択することができるが、これらのうち紫外線を照射することが好ましい。紫外線は、たとえば、395nm、水冷LED、Phoseon Technology社製 によって照射することができる。LEDを光源とすることで、光源の輻射熱によってインクジェットインク組成物が溶けることによる、インクジェットインク組成物の硬化不良の発生を抑制することができる。
LED光源は、370nm以上410nm以下の波長を有する紫外線の画像表面におけるピーク照度が0.5W/cm以上10W/cm以下となるように設置され、1W/cm以上5W/cm以下となるように設置することがより好ましい。輻射熱がインクジェットインク組成物に照射されることを抑制する観点からは、画像に照射される光量は350mJ/cm未満であることが好ましい。
また、活性エネルギー線の照射を2段階に分け、まずインクジェットインク組成物が着弾した後0.001秒以上2.0秒以下の間に前述の方法で活性エネルギー線を照射してインクジェットインク組成物を仮硬化させ、全印字終了後にさらに活性エネルギー線を照射してインクジェットインク組成物を本硬化させてもよい。活性エネルギー線の照射を2段階に分けることで、インクジェットインク組成物の硬化の際に起こる記録材料の収縮がより生じにくくなる。
本発明の画像形成方法では、記録媒体上に着弾したインクジェットインク組成物に活性エネルギー線を照射して硬化した後の総インク膜厚を、2μm以上20μm以下であるようにすると、記録媒体のカールおよび皺の発生ならびに記録媒体の質感変化等をより効率的に防ぐことができる。なお、「総インク膜厚」とは、記録媒体上に塗布または印字されたすべてのインクジェットインク組成物の膜厚の合計値、またはインクジェットインク組成物の着弾量が多いと見込まれる複数の地点で測定した前記膜厚の平均値を意味する。
3−3.記録媒体
本発明の画像形成方法に用いる記録媒体は、インクジェットインク組成物で画像が形成されればよく、たとえば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブタジエンテレフタレート等のプラスチックで構成される非吸収性の記録媒体(プラスチック基材)、金属類およびガラス等の非吸収性の無機記録媒体、ならびに吸収性の紙類(たとえば、印刷用コート紙、印刷用コート紙B、および段ボール)とすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.インクジェットインク組成物材料
<バイオレット顔料>
PV23: Pigment Violet 23
PV32: C.I.ピグメントバイオレット32
PV37: Pigment Violet 37
PV39: Pigment Violet 39
<オレンジ顔料>
PO36: Pigment Orange 36
PO38: Pigment Orange 38
PO43: Pigment Orange 43
PO64: Pigment Orange 64
PO71: Pigment Orange 71
<グリーン顔料>
PG7 : Pigment Green 7
PG36: Pigment Green 36
<ブルー顔料>
PB15:6: Pigment Blue 15:6
PB25: Pigment Blue 25
PB60: Pigment Blue 60
<ブラック顔料>
MOGUL−L(キャボット社製)
<高分子分散剤>
HD1: ソルスパース32000(ノベオン社製)(櫛形ブロックコポリマー)
HD2: フローレンG−700(共栄社化学社製)(直鎖状ブロックコポリマー)
<分散シナジスト>
ソルスパース5000(ノベオン社製)
<光重合性化合物>
(エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドで変性した重合性化合物)
TPGDA: トリプロピレングリコールジアクリレート(M220、東亜合成社製)
PEG600DA: ポリエチレングリコール#600ジアクリレート(SR610、SARTOMER社製)
3PO変性TMPTA: 3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(M360、MIWON社製)
(未変性の重合性化合物)
TMPTA: トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学社製)
PEA: フェノキシエチルアクリレート(PEA、第一工業製薬社製)
DCPOEA: ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト(FA512A、新中村化学社製)
<光重合開始剤>
IRG819: ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE 819、BASF社製)
IRG369: 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(IRGACURE 369、BASF社製)
<ベンゾオキサゾール誘導体>
BO1: 1,4−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ナフタレン(FLUORESCENT BRIGHTENER KCB、Xcolor Pigment社製)(式(6)の化合物)
BO2: 2,5−ビス(5−tert−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン(FLUORESCENT BRIGHTENER OB、Xcolor Pigment社製)(式(7)の化合物)
BO3: 4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン(FLUORESCENT BRIGHTENER OB−1、Xcolor Pigment社製)(式(8)の化合物)
BO4: 1,2−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)エテン(FLUORESCENT BRIGHTENER PF、Xcolor Pigment社製)(式(1)中のAが式(3)であるの化合物)
<重合禁止剤>
Irg UV−10: Irg4,4’−[(1,10−ジオキソ−1,10−デカンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,2,6,6−テトラメチル]−1−ピペリジジニルオキシ(Irgastab UV−10、BASF社製)
<界面活性剤>
BYK: ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK307、ビックケミージャパン社製)
<ゲル化剤>
SS: ステアリン酸ステアリル(WEP2、日油社製)
EGDS: ジステアリン酸エチレングリコール(EMALEX EG−di−S、日本エマルジョン社製)
2.インクジェットインク組成物の調製
<顔料分散体1−1の調製>
以下の成分および直径0.5mmφのジルコニアビーズ120gを200mlのポリビンに入れて蓋を締め、振動ミル(レッドデビル4500L、西村製作所製)で4時間分散した。分散した後にビーズを分離して分散体を取出して、顔料分散体1−1を得た。
PV23(顔料):20.0質量%
HD2(直鎖状の高分子分散剤):8.0質量%
PEA(光重合性化合物):72重量%
<顔料分散体1−2〜1−4の調製>
高分子分散剤の種類および量、ならびにベンゾオキサゾ−ル誘導体および光重合性化合物の量を表1に記載の組みあわせに変更した以外は顔料分散体1−1と同様にして、顔料分散体1−2〜1−4を調製した。
<顔料分散体2−1〜4−4の調製>
顔料および高分子分散剤の種類および量、ならびにベンゾオキサゾ−ル誘導体および光重合性化合物の量を表1に記載の組みあわせに変更した以外は顔料分散体1−1と同様にして、顔料分散体2−1〜4−4を調製した。尚、顔料分散体3−1〜3−4のみ、分散シナジストも使用した。
<顔料分散体5の調製>
顔料の種類および量、ならびに光重合性化合物の量を表1に記載の組みあわせに変更した以外は顔料分散体1−1と同様にして、顔料分散体5を調製した。
Figure 2018131400
<顔料分散体1−5〜1−16の調製>
バイオレット顔料の種類をPV32(C.I.ピグメントバイオレット32)、PV37(PigmentViolet 37)またはPV39(PigmentViolet 39)に変更した以外は顔料分散体1−1〜1−4と同様にして、顔料分散体1−5〜1−8、1−9〜1−12および1−13〜1−16をそれぞれ調製した。
<顔料分散体2−5〜2−20の調製>
オレンジ顔料の種類をPO38(Pigment Orange 38)、PO43(Pigment Orange 43)、PO64(Pigment Orange 64)またはPO71(Pigment Orange 71)に変更した以外は顔料分散体2−1〜2−4と同様にして、顔料分散体2−5〜2−8、2−9〜2−12、2−13〜2−16および2−17〜2−20を調製した。
<顔料分散体3−5〜3−12の調製>
グリーン顔料の種類をPG36(Pigment Green 36)に変更した以外は顔料分散体3−1〜3−4と同様にして、顔料分散体3−5〜3−8をれ調製した。
<顔料分散体4−5〜4−12の調製>
ブルー顔料の種類をPB25(Pigment Blue 25)またはPB60(Pigment Blue 60)に変更した以外は顔料分散体4−1〜4−4と同様にして、顔料分散体4−5〜4−8および4−9〜4−12をそれぞれ調製した。
3.インクジェットインク組成物の調製と評価
<実施例1>
得られた顔料分散体1−1を60℃に加熱しながら、以下の成分を以下の割合となるように加えて、バイオレットのインク組成物を調製した。
顔料分散体1:15.0質量%
TMPTA(光重合性化合物):29.55質量%
PEA(光重合性化合物):20.0質量%
DCPOEA(光重合性化合物):30.0質量%
IRG819(光重合開始剤):3.0質量%
IRG369(光重合開始剤):2.0質量%
BO4(ベンゾオキサゾール誘導体):0.3質量%
Irg UV−10:0.1質量%
BYK:0.05質量%
<実施例2〜9および比較例1と2>
顔料分散体、光重合性化合物およびベンゾオキサゾール誘導体の種類および量を、表2に記載の組みあわせに変更した以外は、実施例1と同様にしてバイオレットのインク組成物を調製した。
<参考例1>
顔料分散体、光重合性化合物およびベンゾオキサゾール誘導体の種類および量を、表2に記載の組みあわせに変更した以外は、実施例1と同様にしてブラックのインク組成物を調製した。
<実施例10>
顔料分散体1−2を60℃に加熱しながら、以下の成分を以下の割合となるように加えて、ゲル化剤を含むインクジェットインク組成物を調製した。
顔料分散体1−2:15.0質量%
TPGDA(光重合性化合物):30.0質量%
PEG600DA(光重合性化合物):20.0質量%
3PO変性TMPTA(光重合性化合物):21.55質量%
DCPOEA(光重合性化合物):5.0質量%
IRG819(光重合開始剤):3.0質量%
IRG369(光重合開始剤):2.0質量%
BO3(ベンゾオキサゾール誘導体):0.3質量%
Irg UV−10:0.1質量%
BYK:0.05質量%
SS(ゲル化剤):1.50質量%
EDGS(ゲル化剤):1.50質量%
<実施例11〜19と比較例3と4>
顔料分散体、光重合性化合物およびベンゾオキサゾール誘導体の種類および量を、表3に記載の組みあわせに変更した以外は、実施例1と同様にしてオレンジのインク組成物を調製した。
<実施例21〜29と比較例5と6>
顔料分散体、光重合性化合物およびベンゾオキサゾール誘導体の種類および量を、表4に記載の組みあわせに変更した以外は、実施例1と同様にしてグリーンのインク組成物を調製した。
<実施例31〜39と比較例7と8>
顔料分散体、光重合性化合物およびベンゾオキサゾール誘導体の種類および量を、表5に記載の組みあわせに変更した以外は実施例1と同様にしてブルーのインク組成物を調製した。
<実施例20、30および40>
顔料分散体の種類を表6に示したように変更した以外は、実施例10と同様にして、ゲル化剤を含むインク組成物を調製した。
<実施例41〜49、51〜59、61〜69、71〜79、81〜89、91〜99、101〜109、111〜119、121〜129、および131〜139、ならびに比較例9〜28>
顔料分散体としてバイオレット顔料を含む顔料分散体1−5〜1−8、1−9〜1−12と1−13〜1−16、オレンジ顔料を含む顔料分散体2−5〜2−8、2−9〜2−12、2−13〜2−16と2−17〜2−20、グリーン顔料を含む顔料分散体3−5〜3−8、ならびにブルー顔料を含む顔料分散体4−5〜4−8と4−9〜4−12をそれぞれ使用し、実施例1〜9および比較例1と2と同様にインク組成物を調製した。
<実施例50、60、70、80、90、100、110、120、130および140>
顔料分散体としてバイオレット顔料を含む顔料分散体1−6、1−10と1−14、オレンジ顔料を含む顔料分散体2−6、2−10、2−14と2−18、グリーン顔料を含む顔料分散体3−6、ならびにブルー顔料を含む顔料分散体4−6と4−10をそれぞれ使用し、実施例10と同様にして、ゲル化剤を含むインク組成物を調製した。
得られたインク組成物について、画像ムラおよび保存後のインク組成物によるドット欠を下記方法で評価した。
(画像ムラの評価)
各インク組成物を、インクジェットヘッドHA1024型、コニカミノルタ社製に導入した。ドット面積率が10%から100%までの10段階の階調パターンのパッチをデータとして入力して、解像度720×720dpi、電圧16Vの条件で、周囲温度25℃、周囲湿度55%の条件でインク組成物を吐出して記録媒体に着弾させた後、着弾したインク組成物の液滴に、LEDランプにて250mJ/cmのエネルギーの紫外線を照射してインク組成物の液滴を硬化させて、ドット面積率が10%から100%までの10段階の階調パターンを形成した。記録媒体としては、OKトップコート(印刷用紙)を使用した。
形成した各画像について、画像ムラの有無を目視で確認し、下記の基準に従って評価した。
◎: 10段階すべての階調パッチにおいて画像ムラが発生していない
○: 10段階の階調パッチのうち、1つのパッチに画像ムラが観察された
△: 10段階の階調パッチのうち、2つまたは3つのパッチに画像ムラが観察された
×: 10段階の階調パッチのうち、4つ以上のパッチに画像ムラが観察された
尚、◎から△レベルの画像であるならば、市場で一般的に出力される画像パターンにおいて、画像ムラがあるとは判別できないレベルである。
(保存後のインク組成物によるドット欠の評価)
各インク組成物を、未露光状態の暗室内、60℃の条件下で、10日間保存した。
保存後のインク組成物を、上記と同様に、インクジェットヘッドHA1024型、コニカミノルタ社製に導入した。解像度720×720dpi、電圧16Vの条件で、周囲温度25℃、周囲湿度55%の条件でインク組成物を吐出して記録媒体に着弾させた後、該着弾したインク組成物の液滴に、LEDランプにて250mJ/cmのエネルギーの紫外線を照射してインク組成物の液滴を硬化させて、印字幅30mmのベタ画像(30mm×100mm)を形成した。記録媒体としては、OKトップコート(印刷用紙)を使用した。
形成した30mm幅のベタ画像中のドット欠の数を目視でカウントした。ドット欠は、得られたベタ画像において、目視で確認される白いスジ(印字できていない部分の基材の色がそのまま出た部分)である。ドット欠の数に基づいて、下記の基準に従って評価した。
◎: ドット欠が9個以下
○: ドット欠が10〜14個
△: ドット欠が15〜19個
×: ドット欠が20個以上
実施例1〜40および比較例1〜8の評価結果を、インク組成物の組成と共に表2〜6に示す。
Figure 2018131400
Figure 2018131400
Figure 2018131400
Figure 2018131400
Figure 2018131400
表2の参考例1の結果から明らかなように、ブラック顔料のような分散性の高い含量を用いたインク組成物の場合、ベンゾオキサゾ−ル誘導体を含まなくとも、均一なインク組成物が得られ、それを用いた画像形成も良好であった。しかしながら、分散性の低い有機顔料を用いた比較例1のインク組成物の場合、高分子分散剤だけでは、4つ以上のパッチに画像ムラが観察され、さらに保存後のインク組成物を用いて形成した画像においては、ドット欠の数は20個以上であった。また、高分子分散剤とベンゾオキサゾ−ル誘導体の両方を含まない比較例2のインク組成物は、顔料凝集してしまい、画像形成に基づく評価を行うことができなかった。
一方、高分子分散剤に加えて、ベンゾオキサゾ−ル誘導体を使用した実施例1〜9のインク組成物は、分散性の低い顔料を使用しながらも、画像ムラ、ドット欠の両方において、改善が認められた。特にベンゾオキサゾ−ル誘導体として式(6)〜(8)の化合物を使用した実施例2〜4のインク組成物の場合、画像ムラは1つのパッチにのみ発生し、ドット欠も10〜14個と少なかった。更に、高分子分散剤として櫛形ブロックコポリマーを使用した実施例5〜7のインク組成物の場合、ドット欠は認められたものの、画像ムラは発生しなかった。また、光重合性化合物としてEO変性またはPO変性した(メタ)アクリレート化合物を使用した実施例8と9のインク組成物の場合、画像ムラは発生せず、ドット欠は9個以下であった。
また、顔料分散体の製造時にはベンゾオキサゾ−ル誘導体を添加せず、インク組成物の製造時に添加した実施例8のインク組成物と、ベンゾオキサゾ−ル誘導体を顔料分散体の製造時に添加した実施例9のインク組成物は、形成した画像に格段の差は認められず、いずれの場合も良好な画像を形成可能なインク組成物が得られた。
表6の結果から明らかなように、高分子分散剤とベンゾオキサゾ−ル誘導体の併用による同様の優れた効果は、ゲル化剤を含む実施例10のインク組成物についても認められた。
尚、バイオレット顔料を用いた上記実施例1〜10および比較例1と2と同様の結果が、オレンジ顔料を使用した実施例11〜20および比較例3と4(表3と表6)、グリーン顔料を使用した実施例21〜30および比較例5と6(表4と表6)、ならびにブルー顔料を使用した実施例31〜40および比較例7と8(表5と表6)についても観察された。
更に、顔料分散体として他のバイオレット顔料を使用した実施例41〜49と比較例9と10、実施例51〜59と比較例11と12、および実施例61〜69と比較例13と14のインク組成物についても、それぞれ上記表2に示した対応する実施例または比較例と同様の評価結果が得られた。
顔料分散体として他のオレンジ顔料を使用した実施例71〜79と比較例15と16、実施例81〜89と比較例17と18、実施例91〜99と比較例19と20、および実施例101〜109と比較例21と22のインク組成物についても、それぞれ上記表3に示した対応する実施例または比較例と同様の評価結果が得られた。
顔料分散体として他のグリーン顔料を使用した実施例111〜119と比較例23と24のインク組成物についても、上記表4に示した対応する実施例または比較例と同様の評価結果が得られた。
顔料分散体として他のブルー顔料を使用した実施例121〜129と比較例25と26、および実施例131〜139と比較例27と28のインク組成物についても、それぞれ上記表5に示した対応する実施例または比較例と同様の評価結果が得られた。
また、実施例50、60、70、80、90、100、110、120、130および140のゲル化剤を含むインク組成物についても、上記表6に示した、それぞれ同じ色の顔料を使用した対応する実施例と同様の評価結果が得られた。
本出願は、2017年1月12日出願の特願2017−003314に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明によれば、バイオレット、オレンジ、グリーンまたはブルーの有機顔料を含有するインクジェットインク組成物において、有機顔料の分散安定性をより高めたインクジェットインク組成物、およびそのようなインクジェットインク組成物を用いた画像形成方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 有機顔料、高分子分散剤、ベンゾオキサゾ−ル誘導体、光重合性化合物、および光重合開始剤を含有する、インクジェットインク組成物であって、
    前記有機顔料は、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット37、およびC.I.ピグメントバイオレット39からなる群より選ばれる少なくとも1種のバイオレット顔料、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、およびC.I.ピグメントオレンジ71からなる群より選ばれる少なくとも1種のオレンジ顔料、C.I.ピグメントグリーン7およびC.I.ピグメントグリーン36からなる群より選ばれる少なくとも1種のグリーン顔料、あるいはC.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー25、およびC.I.ピグメントブルー60からなる群より選ばれる少なくとも1種のブルー顔料であり、
    前記ベンゾオキサゾ−ル誘導体は、下記一般式(1)で表される化合物である、インクジェットインク組成物。
    Figure 2018131400
    (式中、
    〜Rはそれぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり、R〜Rは環を形成していてもよく、
    Aは、下記式(2)〜(5):
    Figure 2018131400
    のいずれかで表される連結基であり、
    式(2)〜(5)の*は、各式中におけるAの結合位置を表す。)
  2. 前記ベンゾオキサゾ−ル誘導体が、1,4−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ナフタレン、2,5−ビス(5−tert−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、または4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)スチルベンである、請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  3. 前記高分子分散剤が、くし型ブロックコポリマーを含む、請求項1または2に記載のインクジェットインク組成物。
  4. 前記光重合性化合物が、エチレンオキサイド変性重合性化合物またはプロピレンオキサイド変性重合性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  5. ゲル化剤を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物をインクジェット記録ヘッドのノズルから吐出して基材に着弾させる工程と、
    前記基材上に着弾した前記インクジェットインク組成物に、活性光線を照射して、前記インクジェットインク組成物を硬化させる工程と、
    を含むことを特徴とする、画像形成方法。
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