JP6763168B2 - バイオレットインク、インクセットおよび画像形成方法 - Google Patents
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Description
[1]顔料、光重合性化合物、高分子分散剤、分散シナジストおよび光重合開始剤を含有するバイオレットインクであって、
前記顔料はジオキサジン骨格を有するバイオレット顔料を含み、
前記光重合性化合物は、エチレンオキサイド基またはプロピレンオキサイド基を6個以上有する高極性光重合性化合物を、前記光重合性化合物の全質量に対して25質量%以上含み、
前記分散シナジストは水性染料を含むことを特徴とする、バイオレットインク。
[2]前記水性染料の含有量は、前記バイオレット顔料の全質量に対して、2質量%以上10質量%以下であることを特徴とする、[1]に記載のバイオレットインク。
[3]前記水性染料は、前記バイオレット顔料と同じ主骨格を有する水性染料を含むことを特徴とする、[1]または[2]に記載のバイオレットインク。
[4]前記バイオレット顔料は、C.I.Pigment Violet 23またはC.I.Pigment Violet 37を含むことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のバイオレットインク。
[5]前記染料は、Direct Blue 106を含むことを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載のバイオレットインク。
[6]ゲル化剤を更に含有することを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載のバイオレットインク。
[7]前記ゲル化剤の含有量は、1.0質量%以上7.0質量%以下であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載のバイオレットインク。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載のバイオレットインクと、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクとを含むことを特徴とする、インクセット。
[9][1]〜[7]のいずれかに記載のバイオレットインクをインクジェットヘッドのノズルから射出して記録媒体に着弾させる工程、および前記着弾した前記インクに活性光線を照射して前記インクを硬化させる工程、を含む、インクジェット法による画像形成方法。
本発明に係るバイオレットインクは、顔料、光重合性化合物、高分子分散剤、分散シナジストおよび光重合開始剤を含有するバイオレットインクである。
顔料は、ジオキサジン骨格を有するバイオレット顔料を含む。ジオキサジン骨格を有するバイオレット顔料は、バイオレットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
光重合性化合物は、活性光線を照射されることにより重合し、インクを硬化させることができる。活性光線の例には、紫外線、電子線、α線、γ線およびX線が含まれる。安全性の観点や低いエネルギー量でも光重合性化合物を重合させることができるという観点から、活性光線は、紫外線または電子線であることが好ましい。
高極性光重合性化合物は、エチレンオキサイド基(以下、単に「EO基」ともいう。)またはプロピレンオキサイド基(以下、単に「PO基」ともいう。)を6個以上有する光重合性化合物である。高極性光重合性化合物は、バイオレットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。また、特に制限されるわけではないが、高極性光重合性化合物が有するEO基またはPO基は、30個以下であることが好ましい。
低極性光重合性化合物は、EO基とPO基とを合わせた数が6個未満である光重合性化合物である。
高分子分散剤は、顔料表面に直接的に吸着するか、又は後述する分散シナジストを介して間接的に吸着することで、顔料の分散性を高める機能を有しうる。高分子分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、及びステアリルアミンアセテートが含まれる。
分散シナジストは、バイオレット顔料の分散性を高めるために使用する分散助剤であり、本発明においては水性染料を含む。
光重合開始剤は、前記光重合性化合物がラジカル重合性の官能基を有する化合物であるときは、光ラジカル開始剤であり、前記光重合性化合物がカチオン重合性の官能基を有する化合物であるときは、光酸発生剤である。光重合開始剤は、バイオレットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。光重合開始剤は、光ラジカル開始剤と光酸発生剤の両方の組み合わせであってもよい。
本発明のバイオレットインクは、ゲル化剤を含んでもよい。ゲル化剤は、記録媒体に着弾したインクの液滴をゲル状態にして仮固定(ピニング)することができる。インクがゲル状態でピニングされると、インクの濡れ広がりが抑えられて隣り合うドットが同一しにくくなるため、より高精細な画像を形成することができる。また、インクがゲル状態になると、インク液滴中への環境中の酸素の入り込みが抑えられて酸素による硬化阻害が生じにくくなるため、高精細な画像をより高速で形成することができる。ゲル化剤は、バイオレットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
一般式(G1)において、R1およびR2は、いずれも炭素数が9以上25以下である直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基である。
一般式(G2)において、R3およびR4は、いずれも炭素数が9以上25以下である直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基である。
バイオレットインクは、本発明の効果が得られる範囲において、光重合開始剤助剤および重合禁止剤を含むその他の成分をさらに含んでいてもよい。これらの成分は、バイオレットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
インクジェットヘッドからの射出性をより高める観点からは、バイオレットインクの80℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。また、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させる観点からは、バイオレットインクの25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。
インクセットは、バイオレットインクと、バイオレットインクとは異なる組成の、顔料、光重合性化合物、高分子分散剤および光重合開始剤を含有し、バイオレットインクがゲル化剤を含有する場合には、更にゲル化剤も含有する、活性光線の照射によって硬化するインク(以下、単に「他のインク」ともいう。)とを含む。たとえば、インクセットがイエローインク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクを含むことで、フルカラーの画像を形成することが可能となり、インクセットが、オレンジインクおよびグリーンインクをさらに含むことで、より多彩な色調の画像を形成することが可能となる。
上記バイオレットインクおよび他のインクは、たとえば、前述の顔料、光重合性化合物、高分子分散剤、分散シナジストおよび光重合開始剤と、所望によりゲル化剤と、任意の各成分とを、加熱下において混合することにより得ることができる。得られた混合液を所定のフィルターで濾過することが好ましい。このとき、顔料、高分子分散剤、分散シナジストが光重合性化合物の一部に分散された顔料分散体をあらかじめ調製しておき、これに残りの成分を添加して加熱しながら混合してもよい。
本発明の画像形成方法は、前述したバイオレットインクを用いる以外は、バイオレットインクをインクジェットヘッドから吐出して記録媒体に着弾させ、硬化させる公知の画像形成方法と同様に行い得る。
第1の工程では、バイオレットインクの液滴をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体の、形成すべき画像に応じた位置に着弾させる。
第2の工程では、第2の工程で着弾させたバイオレットインクに活性エネルギー線を照射して、バイオレットインクが硬化してなる画像を形成する。活性エネルギー線は、インク着弾後0.001秒以上1.0秒以下の間に照射されることが好ましく、高精細な画像を形成するためには、0.001秒以上0.5秒以下の間に照射されることがより好ましい。
本発明の画像形成方法に用いる記録媒体は、前記インクセットで画像が形成されればよく、たとえば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブタジエンテレフタレート等のプラスチックで構成される非吸収性の記録媒体(プラスチック基材)、金属類およびガラス等の非吸収性の無機記録媒体、ならびに吸収性の紙類(たとえば、印刷用コート紙および印刷用コート紙B)とすることができる。
<バイオレット顔料>
PV23:下記式で表されるPigment Violet 23
BASF製 efka PX4701
(1)高極性光重合性化合物
PEG600DA:ポリエチレングリコール600ジアクリレート(A−600、新中村化学工業株式会社製、エチレンオキサイド基の数:14個)
PEG400DA:ポリエチレングリコール400ジアクリレート(A−400、新中村化学工業株式会社製、エチレンオキサイド基の数:9個)
(2)低極性光重合性化合物
3PO変性TMPTA:3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(ミラマー M360、美源スペシャリティケミカル株式会社製、プロピレンオキサイド基の数:3個)
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート
PEG200DA:ポリエチレングリコール200ジアクリレート(A−200、新中村化学工業株式会社製、エチレンオキサイド基の数:4個)
フェノキシエチルアクリレート
Irgacure819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製)
1S−1:下記式で表されるDirect Blue 106(スルホン酸)
カオーワックスT−1:ジステアリルケトン(花王社製)
<インク1A−1の調製>
(顔料分散体の調製)
以下の成分及び直径0.5mmφのジルコニアビーズ120gを200mlのポリビンに入れて蓋を締め、振動ミル(レッドデビル4500L、西村製作所製)で4時間分散した。分散した後にビーズを分離して分散体を取出して、顔料分散体1を得た。
Pigment Violet 23(顔料):15.0質量%
ポリエチレングリコール600ジアクリレート(高極性光重合性化合物):50.0質量%
3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(低極性光重合性化合物):29.85質量%
efkaPX4701(高分子分散剤):5質量%
Direct Blue 106(分散シナジスト):0.15質量%
得られた顔料分散体を60℃に加熱しながら、以下の成分を以下の割合となるように加えて、インク1A−1を調製した。
顔料分散体1:10.0質量%
追加ポリエチレングリコール600ジアクリレート(高極性光重合性化合物):20.0質量%
追加3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(低極性光重合性化合物):65.0質量%
BASF社製Irgacure819(光重合開始剤):5.0質量%
バイオレット顔料、高極性光重合性化合物、低極性光重合性化合物、分散シナジストの種類、ならびに高極性光重合性化合物、低極性光重合性化合物および分散シナジストの量を、表3または表5に記載の組みあわせまたは数値になるように変更した以外はインク1A−1と同様にして、インク1A−2〜7A−3および1B−1〜2B−3を調製した。光重合性化合物中の高極性光重合性化合物の含有量の調整は、低極性光重合性化合物の量を調整することによって行った。
(顔料分散体の調製)
インク1A−1と同様にして顔料分散体を調製した。
得られた顔料分散体を60℃に加熱しながら、以下の成分を以下の割合となるように加えて、ゲル化剤を含むインク8A−1を調製した。
顔料分散体:10.0質量%
追加ポリエチレングリコール600ジアクリレート(高極性光重合性化合物):20.0質量%
追加3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(低極性光重合性化合物):61.0質量%
花王社製カオーワックスT−1(ゲル化剤):4.0質量%
BASF社製Irgacure819(光重合開始剤):5.0質量%
バイオレット顔料、高極性光重合性化合物、低極性光重合性化合物、分散シナジストの種類、ならびに高極性光重合性化合物、低極性光重合性化合物および分散シナジストの量を、表4または表5に記載の組みあわせまたは数値になるように変更した以外はインク8A−1と同様にして、インク8A−2〜10A−9および3B−1〜8B−3を調製した。光重合性化合物中の高極性光重合性化合物の含有率やゲル化剤の含有量の調整は、追加する光重合性化合物の量を調整することによって行った。また、インク7B−1〜8B−3では、低極性光重合性化合物の組成比(PEG200DA/フェノキシエチルアクリレートの質量比)は、25/75(インク7B−1と8B−1、40/60(インク7B−2と8B−2)、及び65/35(インク7B−3と8B−3)とした。
得られたインクについて、回転式の粘弾性測定装置であるレオメータPhysica MCR52(コーンプレートの直径:95mm、コーン角:1.0°)、AntonPaar社製を用いて80℃で120秒間の粘度測定を行い、その後、未露光状態の暗室内、80℃の条件下で、2週間保存した。保存後に、上記と同様にして、80℃で粘度を再度測定した。保存前と保存後の粘度の差(即ち、粘度増加量)を求めた。粘度増加量が3.0mPa・s以下であれば、保存安定性は良好とした。
得られたインクを、インクジェットヘッドHA1024型、コニカミノルタ社製に導入した。解像度720×720dpi、電圧16Vの条件で、周囲温度25℃、周囲湿度55%の条件でインクを吐出して記録媒体に着弾させた後、該着弾したインク液滴に、LEDランプにて250mJ/cm2のエネルギーの紫外線を照射してインク液滴を硬化させて、印字幅30mmのベタ画像(30mm×100mm)を形成した。記録媒体としては、OKトップコート(印刷用紙)を使用した。
標準サンプルであるPMS2613(Pantone社)の最大エリア部のa*、b*の値を、ポータブル積分球分光測色計Ci6X(エックスライト社製)で測定して、それぞれa*0、b*0とした。同様にして、吐出安定性の測定で形成したベタ画像のa*、b*の値を、ベタ画像(30mm×100mm)の中心部の10mm×10mmのところで測定して、それぞれa*1、b*1とした。そして、これらの値を下記式に当てはめて、それぞれのインクによる画像と標準サンプルとの色域差ΔEとした。
色域差ΔE=[(a*0)2+(b*0)2]1/2−[(a*1)2+(b*1)2]1/2
色域差ΔEが5.0未満であれば良好とした。
吐出安定性の測定で形成したベタ画像を、顕微鏡にて×100倍の条件で観察して、10個の液滴の平均寸法値を求めた。ドット径は50μm〜65μmの範囲内であれば良好とした。
Claims (9)
- 顔料、光重合性化合物、高分子分散剤、分散シナジストおよび光重合開始剤を含有するバイオレットインクであって、
前記顔料はジオキサジン骨格を有するバイオレット顔料を含み、
前記光重合性化合物は、エチレンオキサイド基またはプロピレンオキサイド基を6個以上有する高極性光重合性化合物を、前記光重合性化合物の全質量に対して25質量%以上含み、
前記分散シナジストは、スルホン酸塩基を有し、且つ、バイオレット顔料と同じジオキサジン骨格を有する水性染料を含むことを特徴とする、バイオレットインク。 - 前記水性染料の含有量は、前記バイオレット顔料の全質量に対して、2.0質量%以上10.0質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のバイオレットインク。
- 前記水性染料は、前記バイオレット顔料と同じ主骨格を有する水性染料を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のバイオレットインク。
- 前記バイオレット顔料は、C.I.Pigment Violet 23またはC.I.Pigment Violet 37を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオレットインク。
- 前記水性染料は、Direct Blue 106を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオレットインク。
- ゲル化剤を更に含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオレットインク。
- 前記ゲル化剤の含有量は、1.0質量%以上7.0質量%以下であることを特徴とする、請求項6に記載のバイオレットインク。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のバイオレットインクと、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクとを含むことを特徴とする、インクセット。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のバイオレットインクをインクジェットヘッドのノズルから射出して記録媒体に着弾させる工程、および前記記録媒体に着弾した前記バイオレットインクに活性光線を照射して前記バイオレットインクを硬化させる工程、を含む、インクジェット法による画像形成方法。
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