JP2016141767A - バイオレットインク、インクセットおよび画像形成方法 - Google Patents

バイオレットインク、インクセットおよび画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ジオキサジン構造を有するバイオレット顔料を含有するバイオレットインクにおいて、顔料の分散安定性が高いバイオレットインクを提供する。
【解決手段】本発明は、顔料、光重合性化合物、分散剤、ゲル化剤および光重合開始剤を含有し、活性光線の照射によって硬化する、インクジェット法による画像形成用のバイオレットインクである。前記顔料はジオキサジン構造を有するバイオレット顔料を含み、前記光重合性化合物は、前記光重合性化合物の全質量に対して40質量%以上の量の、エチレンオキサイド基またはプロピレンオキサイド基を6個以上有する高極性光重合性化合物を含み、前記分散剤は、3級アミン基を有するくし型ブロックコポリマーを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、バイオレットインク、インクセットおよび画像形成方法に関する。
インクジェット記録方式は、簡易かつ安価に画像を形成できることから、各種印刷分野で用いられている。インクジェットインクの一つとして、活性光線を照射されることで硬化する光重合性化合物を含有するインク(以下、単に「活性光線硬化型インク」ともいう。)が知られている。活性光線硬化型インクは、吸水性が低い記録媒体においても、高い密着性を有する画像を形成できることから、近年注目されつつある。
インクジェット記録方式では、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクから、形成すべき色に応じて好適なインクの組みあわせを選択し、選択されたインクを重ね打ちすることで、フルカラーの画像を形成することができる。このとき、特許文献1に記載のように、形成される画像の色域をさらに広げるため、オレンジインク、グリーンインクまたはバイオレットインクがさらに組みあわせられることがある。
また、活性光線硬化型インクがゲル化剤を含有すると、記録媒体に着弾して冷却したときに、ゲル化剤の結晶化によってインクがゲル化するため、インクのピニング性が高くなり、隣り合うドットの合一が生じにくい。また、ゲル化剤を含有するインクは、低い温度でも粘度が高くなるため、形成した画像の室温での擦過性を高めることもできる。
特許文献2には、顔料、分散剤およびゲル化剤を含有するバイオレットインクであって、パントン社が提供している各種色見本帳に掲載されているPantone Violet(「Pantone」は同社の登録商標)により近い色の画像を形成することができるインクが記載されている。
特許文献1および特許文献2に記載のバイオレットインクが含有しうる顔料には、C.I.Pigment Violet (以下、「C.I.Pigment Violet」を単に「PV」ともいう。)23およびPV37を含む、ジオキサジン構造を有するバイオレット顔料が含まれる。
特開2009−215460号公報 米国特許第8653153号明細書
本発明者らの知見によると、ジオキサジン構造を有するバイオレット顔料はインク中の分散安定性が低い。ため、このバイオレット顔料を含有するバイオレットインクは、保存中に顔料同士が凝集することにより、インクの粘度が増大しやすかった。また、本発明者らの知見によると、このバイオレット顔料を含有するバイオレットインクがインクジェットヘッドから吐出されるときに60℃以上に加熱されると、分散剤が顔料に吸着しにくくなる傾向があった。インクの粘度増大による吐出不良やインク吐出用記録ヘッドの穴詰まりの発生をより生じにくくするため、これらの特性による顔料同士の凝集をより生じにくくすることは有益である。
上記課題に鑑み、本発明は、ジオキサジン構造を有するバイオレット顔料を含有するバイオレットインクにおいて、顔料の分散安定性が高いバイオレットインク、そのようなバイオレットインクを含むインクセットおよびそのようなバイオレットインクを用いた画像形成方法を提供することをその目的とする。
本発明の第一は、以下に示すバイオレットインクに関する。
[1]顔料、光重合性化合物、分散剤、ゲル化剤および光重合開始剤を含有し、活性光線の照射によって硬化する、インクジェット法による画像形成用のバイオレットインクであって、
前記顔料はジオキサジン構造を有するバイオレット顔料を含み、
前記光重合性化合物は、前記光重合性化合物の全質量に対して30質量%以上の、エチレンオキサイド基またはプロピレンオキサイド基を6個以上有する高極性光重合性化合物を含み、
前記分散剤は、3級アミン基を有するくし型ブロックコポリマーを含むことを特徴とする、バイオレットインク。
[2]前記高極性光重合性化合物の含有量は、前記光重合性化合物の全質量に対して30質量%以上80質量%以下であることを特徴とする、[1]に記載のバイオレットインク。
[3]前記高極性光重合性化合物は6個以上のエチレンオキサイド基を有するポリエチレングリコールジアクリレートを含み、前記光重合性化合物はオキシアルキレンで変性されたトリメチロールプロパンをさらに含むことを特徴とする、[1]または[2]に記載のバイオレットインク。
[4]前記分散剤の含有量は0.5質量%以上3.0質量%以下であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のバイオレットインク。
[5]前記ゲル化剤の含有量は1.0質量%以上5.0質量%以下であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載のバイオレットインク。
本発明の第二は、以下に示すインクセットに関する。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載のバイオレットインクと、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクとを含むことを特徴とする、インクセット。
本発明の第三は、以下に示す画像形成方法に関する。
[7][1]〜[5]のいずれかに記載のバイオレットインクをインクジェットヘッドのノズルから射出して記録媒体に着弾させる工程、および前記着弾した前記インクに活性光線を照射して前記インクを硬化させる工程、を含む、インクジェット法による画像形成方法。
本発明によれば、ジオキサジン構造を有するバイオレット顔料を含有するバイオレットインクにおいて、顔料の分散安定性が高いバイオレットインク、そのようなバイオレットインクを含むインクセットおよびそのようなバイオレットインクを用いた画像形成方法が提供される。
1.バイオレットインク
本発明に係るバイオレットインクは、顔料、光重合性化合物、分散剤、ゲル化剤および光重合開始剤を含有し、活性光線の照射によって硬化する、インクジェット法による画像形成用のバイオレットインクである。
1−1.顔料
顔料は、ジオキサジン構造を有するバイオレット顔料を含む。ジオキサジン構造を有するバイオレット顔料は、バイオレットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
前記顔料の含有量は、得られる画像におけるバイオレットの発色を十分なものにして、かつインクの粘度をインクジェットヘッドから吐出できる程度にできる範囲であればよい。上記観点からは、たとえば、前記顔料の含有量は、バイオレットインクに対して0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
ジオキサジン構造を有するバイオレット顔料の例には、PV23およびPV37が含まれる。
PV23の市販品の例には、Fastogen Super Violet LBP02、Fastogen Super Violet LBP03、Fastogen Super Violet LBP04(いずれもDIC株式会社製、「FASTOGEN」は同社の登録商標)、Cromophtal Violet D5808(BASF社製、「Cromophtal」は同社の登録商標)、Hostaperm Violet RL−NF、Hostaperm Violet P−RL、PV Fast Violet RL(クラリアント社製、「Hostaperm」は同社の登録商標)が含まれる。
PV37の市販品の例には、Cromophtal Violet D5808(BASF社製)が含まれる。
1−2.光重合性化合物
光重合性化合物は、活性光線を照射されることにより架橋または重合し、インクを硬化させる。活性光線の例には、紫外線、電子線、α線、γ線およびX線が含まれる。安全性の観点、およびかつより低いエネルギー量でも前記重合および架橋を発生させることができるという観点から、活性光線は、紫外線または電子線であることが好ましい。
光重合性化合物は、後述する高極性光重合性化合物を含む。光重合性化合物は、高極性光重合性化合物に比べて低い極性を示す光重合性化合物(以下、単に「低極性光重合性化合物」ともいう。)をさらに含んでもよい。
高極性光重合性化合物および低極性光重合性化合物を合計した含有量は、活性光線を照射されたインクが十分に硬化する範囲であればよく、たとえば、バイオレットインクの全質量に対して1質量%以上97質量%以下とすることができる。上記観点からは、光重合性化合物の含有量は、バイオレットインクの全質量に対して30質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
光重合性化合物には、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物が含まれる。重合および架橋を発生させやすく、かつ、形成する画像に応じて多様な化合物から選択することができるという観点からは、光重合性化合物はラジカル重合性化合物であることが好ましい。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物である。ラジカル重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマーあるいはこれらの混合物のいずれであってもよい。ラジカル重合性化合物は、バイオレットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例には、不飽和カルボン酸とその塩、不飽和カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸ウレタン化合物、不飽和カルボン酸アミド化合物およびその無水物、アクリロニトリル、スチレン、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等が挙げられる。不飽和カルボン酸の例には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸などが含まれる。
なかでも、ラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレートであることがより好ましい。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタアクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基またはメタアクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味する。
1−2−1.高極性光重合性化合物
高極性光重合性化合物は、エチレンオキサイド基(以下、単に「EO基」ともいう。)またはプロピレンオキサイド基(以下、単に「PO基」ともいう。)を6個以上有する光重合性化合物である。高極性光重合性化合物は、バイオレットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
6つ以上のEO基およびPO基は、連結した1つのセグメントとして存在してもよいし、2以上のセグメントに分かれて存在してもよい。ただし、保存中および出射時の顔料の分散安定性をより高める観点からは、EO基およびPO基が2以上のセグメントに分かれて存在するときは、3個以上のEO基またはPO基を有するセグメントが分子内に2個以上あることが好ましい。
高極性光重合性化合物は、親水性であるEO基またはPO基を6個以上有するため、分散剤が有する親水性を有する構成単位との親和性が高い。そのため、高極性光重合性化合物は光重合性化合物内での分散剤の分散性を高めることができると考えられる。また、EO基およびPO基はバイオレット顔料が持つジオキサジン構造の中にある縮合環(厚いπ電子群)との親和性が高いので、高極性光重合性化合物は光重合性化合物内での顔料の分散性を高めることもできると考えられる。特に、本発明者らの知見によれば、高極性光重合性化合物は、インクジェットヘッドからバイオレットインクを出射する温度である60℃以上でも、顔料を分散させる能力が高いため、吐出中の顔料の析出によるノズル欠を生じにくくすることができると考えられる。
また、高極性光重合性化合物は、ゲル化剤をより結晶化しやすくすることができる。これは、以下の理由によるものと考えられる。つまり、EO基およびPO基はバイオレット顔料が持つジオキサジン構造の中の縮合環との親和性が高いため、顔料は、ゲル化剤よりも高極性光重合性化合物とより強く引かれあい、顔料によるゲル化剤の捕捉が生じにくくなる。これにより、インクのピニング性が高めるため、特に吸水性の基材に画像を形成したときに、インクが基材の内部に入り込むことによる発色不足を生じにくくすることができ、所望の色域の画像を形成しやすくなる。
上記効果を十分に奏する観点から、高極性光重合性化合物の含有量は、光重合性化合物の全質量に対して30質量%以上である。非極性部分を有するゲル化剤が画像形成中に析出しにくくして画像表面の光沢をより発生しにくくする観点からは、高極性光重合性化合物の含有量は、光重合性化合物の全質量に対して30質量%以上80質量%以下とすることが好ましく、30質量%以上60質量%以下とすることがより好ましい。
高極性光重合性化合物の市販品の例には、表1に記載の商品が含まれる。表1において、「EO基またはPO基の数」は、その銘柄で表される商品の1分子中に含まれるEO基またはPO基の数を表す。なお、表1中、「ニューフロンティア」は第一工業製薬株式会社の登録商標であり、「ファンクリル」は日立化成株式会社の登録商標である。
Figure 2016141767
1−2−2.低極性光重合性化合物
低極性光重合性化合物は、EO基とPO基とを合わせた数が6個未満である光重合性化合物である。
(メタ)アクリレートである低極性光重合性化合物の例には、単官能の(メタ)アクリレート、2官能の(メタ)アクリレートおよび3官能以上の(メタ)アクリレートが含まれる。
単官能の(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸およびt−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが含まれる。
2官能の(メタ)アクリレートの例には、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートおよびトリプロピレングリコールジアクリレートが含まれる。
3官能以上の(メタ)アクリレートの例には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートが含まれる。
画像形成時の光重合性化合物とゲル化剤との相分離をより生じにくくし、画像表面に光沢がより発生しにくくする観点からは、低極性光重合性化合物はEO基、PO基その他の極性がある構造を有していることが好ましい。
極性がある構造を有する低極性光重合性化合物の例には、表2に記載の商品が含まれる。表2において、「EO基またはPO基の数」は、その銘柄で表される商品の1分子中に含まれるEO基またはPO基の数を表す。なお、表2中、「アロニックス」は東亞合成株式会社の登録商標であり、「ミラマー」は美源スペシャリティケミカル株式会社の登録商標である。
Figure 2016141767
顔料の分散性とゲル化剤の結晶性をいずれもより高める観点からは、高極性光重合性化合物は6個以上のエチレンオキサイド基を有するポリエチレングリコールジアクリレートを含み、低極性光重合性化合物はオキシアルキレンで変性されたトリメチロールプロパンを含むことが好ましい。
1−3.分散剤
分散剤は、3級アミン基を有するくし型ブロックコポリマー(以下、単に「3級くし型分散剤」ともいう。)を含む。本発明において、くし型ブロックコポリマーとは、主鎖を形成する直鎖状のポリマーと、直鎖状の主鎖を構成するモノマー由来のそれぞれの構成単位に対してグラフト重合した別の種類のポリマーとを含むコポリマーをいう。3級くし型分散剤は、バイオレットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
3級くし型分散剤は、3級アミン基を有することで、顔料への吸着性を有する官能基であるアミンの電子密度が増大し、強い塩基性が発揮されるため、顔料表面の酸性基に強固に吸着することができる。そのため、バイオレットインクが射出される85℃近傍でも、3級くし型分散剤は顔料から解離しにくい。また、3級くし型分散剤は、グラフト重合した側鎖が立体障害を生じるため、顔料間の凝集を抑制することができる。前記バイオレット顔料は一次粒子径が50nm以下と小さいため、粒子間の相互作用が強く、凝集しやすい性質を有する。そのため、3級くし型分散剤による分散性の向上は、上記バイオレット顔料において特に顕著に奏することができる。側鎖と光重合性化合物とを相溶させて光重合性化合物中に顔料をより分散させやすくする観点からは、3級くし型分散剤は3級アミン基を主鎖に有することが好ましい。
上記作用によって顔料の分散性が高まることにより、凝集した顔料粒子による吐出不良やインク吐出用記録ヘッドの穴詰まりが発生しにくくなる。
アミンの置換基は、顔料と3級くし型分散剤とが解離しにくいという効果を奏することができる置換基であればよく、たとえば、炭素数1または2のアルキル基とすることができる。
3級くし型分散剤の含有量および種類は、顔料の分散性をより高めることができる範囲であればよい。
3級くし型分散剤の含有量は、たとえば、インクの全質量中に対して0.1質量%以上15.0質量%以下とすることができる。3級くし型分散剤の含有量を0.1質量%以上とすることで、分散剤が顔料に十分に吸着し、顔料の分散性をより高めることができる。3級くし型分散剤の含有量を15.0質量%以下とすることで、3級くし型分散剤同士が絡み合うことによる粘度の上昇を防ぎ、インク吐出用記録ヘッドのつまりをより生じにくくすることができる。上記観点からは、3級くし型分散剤の含有量は、インクの全質量中、0.5質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましい。
また、3級くし型分散剤および後述するその他の分散剤を合計した総含有量は、顔料の全質量に対して20質量%以上70質量%以下とすることができる。上記合計した総含有量を、顔料の全質量に対して20質量%以上とすることで、分散剤が顔料表面を被覆することにより、インク保存中の顔料同士の凝集をより生じにくくすることができる。上記合計した総含有量を、顔料の全質量に対して70質量%以下とすることで、分散剤とゲル化剤との会合がより生じにくくなり、記録媒体に着弾したインクをより十分にゲル化させてピニングさせることができる。上記観点から、上記合計した総含有量は、顔料の全質量に対して30質量%以上60質量%以下であることが好ましく、35質量%以上50質量%以下であることがさらに好ましい。
3級くし型分散剤は、2級または1級のアミン基を有するくし型ブロックコポリマーのアミン基が有する水素を、公知の方法で他の置換基で置き換えてアミン基を3級化することにより、製造することができる。たとえば、くし型ブロックコポリマーが有する2級アミン基または1級アミン基を、還元触媒の存在下でデシルアルコール等のアルコールと反応させて、アルキル基で置換された3級アミン基とすることができる。
2級または1級のアミン基を有するくし型ブロックコポリマーの市販品の例には、DISPERBYK−112、DISPERBYK−168およびDISPERBYK−181(いずれもビックケミー社製、「BYK」および「DISPERBYK」はいずれも同社の登録商標)、ならびにEFKA 7701(BASF社製、「EFKA」は同社の登録商標)が含まれる。
バイオレットインクは、3級くし型分散剤以外の分散剤を含有していてもよい。3級くし型分散剤以外の分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、およびステアリルアミンアセテートが含まれる。
1−4.ゲル化剤
ゲル化剤は、記録媒体に着弾したインクの液滴をゲル状態にして仮固定(ピニング)することができる。インクがゲル状態でピニングされると、インクの濡れ広がりが抑えられて隣り合うドットが同一しにくくなるため、より高精細な画像を形成することができる。また、インクがゲル状態になると、インク液滴中への環境中の酸素の入り込みが抑えられて酸素による硬化阻害が生じにくくなるため、高精細な画像をより高速で形成することができる。ゲル化剤は、バイオレットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
ゲル化剤の含有量は、インクの全質量に対して1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。ゲル化剤の含有量を1.0質量%以上とすることで、前記アルミナで表面処理されたマゼンタ顔料を含有するインクのピニング性を十分に高め、より高精細な画像を形成することができ、かつ、インクの濡れ広がりを少なくして、画像の光沢を他のインクによる画像の光沢により近づけることができる。また、インクのピニング性を高めることで、特に吸水性の基材に画像を形成したときに、インクが基材の内部に入り込むことによる発色不足を生じにくくすることができ、所望の色域の画像を形成しやすくなる。ゲル化剤の含有量を10.0質量%以下とすることで、形成した画像の表面にゲル化剤が析出しにくくなり、画像の光沢を他のインクによる画像の光沢により近づけることができ、かつ、インクジェットヘッドからのインク射出性をより高めることができる。上記観点からは、バイオレットインク中のゲル化剤の含有量は、1.0質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましく、2.5質量%以上4.0質量%以下であることがさらに好ましい。
また、以下の観点から、ゲル化剤は、インクのゲル化温度以下の温度で、インク中で結晶化することが好ましい。ゲル化温度とは、加熱によりゾル化または液体化したインクを冷却していったときに、ゲル化剤がゾルからゲルに相転移し、インクの粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化または液体化したインクを、粘弾性測定装置(たとえば、MCR300、Physica社製)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、そのインクのゲル化温度とすることができる。
ゲル化剤がインク中で結晶化すると、板状に結晶化したゲル化剤によって形成された三次元空間に光重合性化合物が内包される構造が形成されることがある(このような構造を、以下「カードハウス構造」という。)。カードハウス構造が形成されると、液体の光重合性化合物が前記空間内に保持されるため、インク液滴がより濡れ広がりにくくなり、インクのピニング性がより高まる。インクのピニング性が高まると、記録媒体に着弾したインク液滴同士が合一しにくくなり、より高精細な画像を形成することができる。
カードハウス構造を形成するには、インク中で溶解している光重合性化合物とゲル化剤とが相溶していることが好ましい。これに対して、インク中で溶解している光重合性化合物とゲル化剤とが相分離していると、カードハウス構造を形成しにくい場合がある。
結晶化によるカードハウス構造の形成に好適なゲル化剤の例には、ケトンワックス、エステルワックス、石油系ワックス、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、硬化ヒマシ油、変性ワックス、高級脂肪酸、高級アルコール、ヒドロキシステアリン酸、N−置換脂肪酸アミドおよび特殊脂肪酸アミドを含む脂肪酸アミド、高級アミン、ショ糖脂肪酸のエステル、合成ワックス、ジベンジリデンソルビトール、ダイマー酸ならびにダイマージオールが含まれる。
上記ケトンワックスの例には、ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジラウリルケトン、ジミリスチルケトン、ミリスチルパルミチルケトンおよびパルミチルステアリルケトンが含まれる。
上記エステルワックスの例には、ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、セロチン酸ミリシル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸オレイル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン脂肪酸エステルが含まれる。
上記エステルワックスの市販品の例には、EMALEXシリーズ、日本エマルジョン社製(「EMALEX」は同社の登録商標)、リケマールシリーズおよびポエムシリーズ、理研ビタミン社製(「リケマール」および「ポエム」はいずれも同社の登録商標)が含まれる。
上記石油系ワックスの例には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスおよびペトロラクタムを含む石油系ワックスが含まれる。
上記植物系ワックスの例には、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウおよびホホバエステルが含まれる。
上記動物系ワックスの例には、ミツロウ、ラノリンおよび鯨ロウが含まれる。
上記鉱物系ワックスの例には、モンタンワックスおよび水素化ワックスが含まれる。
上記変性ワックスの例には、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体、12−ヒドロキシステアリン酸誘導体およびポリエチレンワックス誘導体が含まれる。
上記高級脂肪酸の例には、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸,ラウリン酸、オレイン酸、およびエルカ酸が含まれる。
上記高級アルコールの例には、ステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールが含まれる。
上記ヒドロキシステアリン酸の例には、12−ヒドロキシステアリン酸が含まれる。
上記脂肪酸アミドの例には、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミドおよび12−ヒドロキシステアリン酸アミドが含まれる。
上記脂肪酸アミドの市販品の例には、ニッカアマイドシリーズ、日本化成社製(「ニッカアマイド」は同社の登録商標)、ITOWAXシリーズ、伊藤製油社製、およびFATTYAMIDシリーズ、花王社製が含まれる。
上記N−置換脂肪酸アミドの例には、N−ステアリルステアリン酸アミドおよびN−オレイルパルミチン酸アミドが含まれる。
上記特殊脂肪酸アミドの例には、N,N’−エチレンビスステアリルアミド、N,N’−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリルアミドおよびN,N’−キシリレンビスステアリルアミドが含まれる。
上記高級アミンの例には、ドデシルアミン、テトラデシルアミンおよびオクタデシルアミンが含まれる。
上記ショ糖脂肪酸のエステルの例には、ショ糖ステアリン酸およびショ糖パルミチン酸が含まれる。
上記ショ糖脂肪酸のエステルの市販品の例には、リョートーシュガーエステルシリーズ、三菱化学フーズ社製(「リョートー」は同社の登録商標)が含まれる。
上記合成ワックスの例には、ポリエチレンワックスおよびα−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックスが含まれる。
上記合成ワックスの市販品の例には、UNILINシリーズ、Baker−Petrolite社製(「UNILIN」は同社の登録商標)が含まれる。
上記ジベンジリデンソルビトールの例には、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトールが含まれる。
上記ジベンジリデンソルビトールの市販品の例には、ゲルオールD、新日本理化株式会社製(「ゲルオール」は同社の登録商標)が含まれる。
上記ダイマージオールの市販品の例には、PRIPORシリーズ、CRODA社製(「PRIPOR」は同社の登録商標)が含まれる。
これらのゲル化剤のうち、よりピニング性を高める観点からは、ケトンワックス、エステルワックス、高級脂肪酸、高級アルコールおよび脂肪酸アミドが好ましく、上記観点からは、下記一般式(G1)で表されるケトンワックスおよび下記一般式(G2)で表されるエステルワックスがさらに好ましい。下記一般式(G1)で表されるケトンワックスおよび下記一般式(G2)で表されるエステルワックスは、バイオレットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。また、下記一般式(G1)で表されるケトンワックスおよび下記一般式(G2)で表されるエステルワックスは、バイオレットインク中に、いずれか一方のみが含まれていてもよいし、双方が含まれていてもよい。
一般式(G1):R1−CO−R2
一般式(G1)において、R1およびR2は、いずれも炭素数が9以上25以下である直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基である。
一般式(G2):R3−COO−R4
一般式(G2)において、R3およびR4は、いずれも炭素数が9以上25以下である直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基である。
上記一般式(G1)で表されるケトンワックスまたは上記一般式(G2)で表されるエステルワックスは、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基の炭素数が9以上であるため、ゲル化剤の結晶性がより高まり、かつ、上記カードハウス構造においてより十分な空間が生る。そのため、光重合性化合物が上記空間内に十分に内包されやすくなり、インクのピニング性がより高くなる。また、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基の炭素数が25以下であるため、ゲル化剤の融点が過度に高まらないため、インクを出射するときにインクを過度に加熱する必要がない。上記観点からは、R1およびR2は炭素原子数11以上23未満の直鎖状の炭化水素基であることが特に好ましい。
また、インクのゲル化温度を高くして、着弾後により急速にインクをゲル化させる観点からは、R1もしくはR2のいずれか、またはR3もしくはR4のいずれかが飽和している炭素原子数11以上23未満の炭化水素基であることが好ましい。上記観点からは、R1およびR2の双方、またはR3およびR4の双方が飽和している炭素原子数11以上23未満の炭化水素基であることがより好ましい。
上記一般式(G1)で表されるケトンワックスの例には、ジリグノセリルケトン(炭素数:23−24)、ジベヘニルケトン(炭素数:21−22)、ジステアリルケトン(炭素数:17−18)、ジエイコシルケトン(炭素数:19−20)、ジパルミチルケトン(炭素数:15−16)、ジミリスチルケトン(炭素数:13−14)、ジラウリルケトン(炭素数:11−12)、ラウリルミリスチルケトン(炭素数:11−14)、ラウリルパルミチルケトン(11−16)、ミリスチルパルミチルケトン(13−16)、ミリスチルステアリルケトン(13−18)、ミリスチルベヘニルケトン(13−22)、パルミチルステアリルケトン(15−18)、バルミチルベヘニルケトン(15−22)およびステアリルベヘニルケトン(17−22)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、カルボニル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
一般式(G1)で表されるケトンワックスの市販品の例には、18−Pentatriacontanon、Alfa Aeser社製、Hentriacontan−16−on、Alfa Aeser社製およびカオーワックスT1、花王社製が含まれる。
一般式(G2)で表される脂肪酸またはエステルワックスの例には、ベヘニン酸ベヘニル(炭素数:21−22)、イコサン酸イコシル(炭素数:19−20)、ステアリン酸ステアリル(炭素数:17−18)、ステアリン酸パルミチル(炭素数:17−16)、ステアリン酸ラウリル(炭素数:17−12)、パルミチン酸セチル(炭素数:15−16)、パルミチン酸ステアリル(炭素数:15−18)、ミリスチン酸ミリスチル(炭素数:13−14)、ミリスチン酸セチル(炭素数:13−16)、ミリスチン酸オクチルドデシル(炭素数:13−20)、オレイン酸ステアリル(炭素数:17−18)、エルカ酸ステアリル(炭素数:21−18)、リノール酸ステアリル(炭素数:17−18)、オレイン酸ベヘニル(炭素数:18−22)およびリノール酸アラキジル(炭素数:17−20)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、エステル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
一般式(G2)で表されるエステルワックスの市販品の例には、ユニスターM−2222SLおよびスパームアセチ、日油社製(「ユニスター」は同社の登録商標)、エキセパールSSおよびエキセパールMY−M、花王社製(「エキセパール」は同社の登録商標)、EMALEX CC−18およびEMALEX CC−10、日本エマルジョン社製(「EMALEX」は同社の登録商標)ならびにアムレプスPC、高級アルコール工業社製(「アムレプス」は同社の登録商標)が含まれる。これらの市販品は、二種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製してインクに含有させてもよい。
1−5.光重合開始剤
光重合開始剤は、前記光重合性化合物がラジカル重合性の官能基を有する化合物であるときは、光ラジカル開始剤であり、前記光重合性化合物がカチオン重合性の官能基を有する化合物であるときは、光酸発生剤である。光重合開始剤は、バイオレットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。光重合開始剤は、光ラジカル開始剤と光酸発生剤の両方の組み合わせであってもよい。
光ラジカル開始剤には、開裂型ラジカル開始剤および水素引き抜き型ラジカル開始剤が含まれる。
開裂型ラジカル開始剤の例には、アセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン系の開始剤、アシルホスフィンオキシド系の開始剤、ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステルが含まれる。
アセトフェノン系の開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンが含まれる。
ベンゾイン系の開始剤の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
アシルホスフィンオキシド系の開始剤の例には、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドが含まれる。
水素引き抜き型ラジカル開始剤の例には、ベンゾフェノン系の開始剤、チオキサントン系の開始剤、アミノベンゾフェノン系の開始剤、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノンおよびカンファーキノンが含まれる。
ベンゾフェノン系の開始剤の例には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンが含まれる。
チオキサントン系の開始剤の例には、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンおよび2,4−ジクロロチオキサントンが含まれる。
アミノベンゾフェノン系の開始剤の例には、ミヒラーケトンおよび4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが含まれる。
光酸発生剤の例には、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページに記載の化合物が含まれる。
光重合開始剤の含有量は、インクが十分に硬化できる範囲であればよく、たとえば、バイオレットインクの全質量に対して0.01質量%以上10質量%以下とすることができる。
1−6.その他の成分
バイオレットインクは、本発明の効果が得られる範囲において、光重合開始剤助剤および重合禁止剤を含むその他の成分をさらに含んでいてもよい。これらの成分は、バイオレットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
光重合開始剤助剤の例には、芳香族第3級アミン化合物を含む第3級アミン化合物が含まれる。芳香族第3級アミン化合物の例には、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸イソアミルエチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミンおよびN,N−ジメチルヘキシルアミンが含まれる。
重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1−ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p−ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5−ジ−t−ブチル−p−ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、N−(3−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシムおよびシクロヘキサノンオキシムが含まれる。
1−7.物性
インクジェットヘッドからの射出性をより高める観点からは、バイオレットインクの80℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。また、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させる観点からは、バイオレットインクの25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。
バイオレットインクのゲル化温度は、40℃以上70℃以下であることが好ましい。インクのゲル化温度が40℃以上であると、記録媒体に着弾後、インクが速やかにゲル化するため、ピニング性がより高くなる。インクのゲル化温度が70℃以下であると、インク温度が通常80℃程度であるインクジェットヘッドからのバイオレットインクの射出時にインクがゲル化しにくいため、より安定してインクを射出することができる。
バイオレットインクの80℃における粘度、25℃における粘度およびゲル化温度は、レオメータにより、インクの動的粘弾性の温度変化を測定することにより求めることができる。本発明においては、これらの粘度およびゲル化温度は、以下の方法によって得られた値である。バイオレットインクを100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータPhysica MCR301(コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°)、AntonPaar社製によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で20℃までインクを冷却して、粘度の温度変化曲線を得る。80℃における粘度および25℃における粘度は、粘度の温度変化曲線において80℃、25℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求める。ゲル化温度は、粘度の温度変化曲線において、粘度が200mPa・sとなる温度として求める。
インクジェットヘッドからの射出性をより高める観点からは、顔料粒子の平均粒子径は0.08μm以上0.5μm以下であり、最大粒子径は0.3μm以上10μm以下であることが好ましい。本発明における顔料粒子の平均粒子径とは、データサイザーナノZSP、Malvern社製を使用して動的光散乱法によって求めた値を意味する。なお、色材を含むインクは濃度が高く、この測定機器では光が透過しないので、インクを200倍で希釈してから測定する。測定温度は常温(25℃)とする。
2.インクセット
インクセットは、バイオレットインクと、バイオレットインクとは異なる組成の、顔料、光重合性化合物、3級くし型分散剤、ゲル化剤および光重合開始剤を含有し、活性光線の照射によって硬化するインク(以下、単に「他のインク」ともいう。)とを含む。たとえば、インクセットがイエローインク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクを含むことで、フルカラーの画像を形成することが可能となり、インクセットが、オレンジインクおよびグリーンインクをさらに含むことで、より多彩な色調の画像を形成することが可能となる。
前記他のインクが含有する光重合性化合物、3級くし型分散剤、ゲル化剤および光重合開始剤は、上記バイオレットインクと同様の化合物とすることができる。インク同士の親和性をより高め、より高精細な画像を形成する観点からは、他のインクは、光重合性化合物、3級くし型分散剤、ゲル化剤および光重合開始剤として、バイオレットインクと同じ化合物を含有することが好ましい。
上記イエローインクが含有する顔料は、記録媒体上に着弾し硬化したインクがイエロー色を呈することができる顔料であればよい。このような顔料の例には、C.I.Pigment Yellow (以下、「C.I.Pigment Yellow」を単に「PY」ともいう。)1、PY3、PY12、PY13、PY14、PY17、PY34、PY35、PY37、PY55、PY74、PY81、PY83、PY93、PY94、PY95、PY97、PY108、PY109、PY110、PY137、PY138、PY139、PY153、PY154、PY155、PY157、PY166、PY167、PY168、PY180、PY185およびPY193が含まれる。これらの顔料は、イエローインク中に一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
上記マゼンタインクが含有する顔料は、記録媒体上に着弾し硬化したインクがマゼンタ色を呈することができる顔料であればよい。このような顔料の例には、C.I.Pigment Red (以下、「C.I.Pigment Red」を単に「PR」ともいう。)3、PR5、PR19、PR22、PR31、PR38、PR43、PR48:1、PR48:2、PR48:3、PR48:4、PR48:5、PR49:1、PR53:1、PR57:1、PR57:2、PR58:4、PR63:1、PR81、PR81:1、PR81:2、PR81:3、PR81:4、PR88、PR104、PR108、PR112、PR122、PR123、PR144、PR146、PR149、PR166、PR168、PR169、PR170、PR177、PR178、PR179、PR184、PR185、PR208、PR216、PR226およびPR257が含まれる。これらの顔料は、マゼンタインク中に一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
上記シアンインクが含有する顔料は、記録媒体上に着弾し硬化したインクがシアン色を呈することができる顔料であればよい。このような顔料の例には、C.I.Pigment Blue (以下、「C.I.Pigment Blue」を単に「PB」ともいう。)1、PB15、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PB16、PB17−1、PB22、PB27、PB28、PB29、PB36およびPB60が含まれる。これらの顔料は、シアンインク中に一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
上記ブラックインクが含有する顔料は、記録媒体上に着弾し硬化したインクがブラック色を呈することができる顔料であればよい。このような顔料の例には、C.I.Pigment Black (以下、「C.I.Pigment Black」を単に「PBk」ともいう。)7(カーボンブラック)、PBk28およびPBk26が含まれる。これらの顔料は、ブラックインク中に一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
上記オレンジインクが含有する顔料は、記録媒体上に着弾し硬化したインクがマゼンタ色を呈することができる顔料であればよい。このような顔料の例には、C.I.Pigment Orange (以下、「C.I.Pigment Orange」を単に「PO」ともいう。)16、PO34、PO36、PO38、PO43、PO64およびPO71が含まれる。これらの顔料は、オレンジインク中に一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
上記グリーンインクが含有する顔料は、記録媒体上に着弾し硬化したインクがマゼンタ色を呈することができる顔料であればよい。このような顔料の例には、C.I.PigmentGreen (以下、「C.I.Pigment Green」を単に「PG」ともいう。)7、PG26、PG36およびPG50が含まれる。これらの顔料は、グリーンインク中に一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
より高精細な画像を形成し、画像の光沢を他のインクによる画像の光沢により近づけ、かつ、インクジェットヘッドからのインク射出性をより高める観点から、他のインク中のゲル化剤の含有量は、インクの全質量に対して1.5質量%以上3.0質量%以下である。上記観点からは、他のインク中のゲル化剤の含有量は、2.0質量%以上2.5質量%以下であることが好ましい。
3.インクの調製
上記バイオレットインクおよび他のインクは、たとえば、前述の顔料、3級くし型分散剤、ゲル化剤、光重合性化合物および光重合開始剤と、任意の各成分とを、加熱下において混合することにより得ることができる。得られた混合液を所定のフィルターで濾過することが好ましい。このとき、顔料および3級くし型分散剤が溶媒中に分散された顔料分散体をあらかじめ調製しておき、これに残りの成分を添加して加熱しながら混合してもよい。
顔料および3級くし型分散剤の分散は、たとえば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、およびペイントシェーカーにより行うことができる。
4.画像形成方法
本発明の画像形成方法は、前述したバイオレットインクを用いる以外は、バイオレットインクをインクジェットヘッドから吐出して記録媒体に着弾させ、硬化させる公知の画像形成方法と同様に行い得る。
たとえば、本発明の画像形成方法は、上記インクセットに含まれるバイオレットインクをインクジェットヘッドのノズルから射出して記録媒体に着弾させる第1の工程、および前記着弾した前記バイオレットインクに活性光線を照射して前記バイオレットインクを硬化させる第2の工程、を含む。
4−1.第1の工程
第1の工程では、バイオレットインクの液滴をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体の、形成すべき画像に応じた位置に着弾させる。たとえば、オレンジとマゼンタの中間色を形成する位置には、バイオレットインクの両方を着弾させる。バイオレットインクは、いずれが先に吐出されてもよい。
インクジェットヘッドからの吐出方式は、オンデマンド方式およびコンティニュアス方式のいずれでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドは、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型等の電気−機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型等の電気−熱変換方式等のいずれでもよい。
インクの液滴は、加熱した状態でインクジェットヘッドから吐出することで、吐出安定性を高めることができる。吐出される際のインクの温度は、35℃以上100℃以下であるが好ましく、吐出安定性をより高めるためには、35℃以上80℃以下であることがより好ましい。特には、インクの粘度が7mPa・s以上15mPa・s以下、より好ましくは8mPa・s以上13mPa・s以下となるようなインク温度において出射を行うことが好ましい。
ゾルゲル相転移型のインクは、吐出用記録ヘッドからのインクの射出性を高めるために、吐出用記録ヘッドに充填されたときのインクの温度が、当該インクの(ゲル化温度+10)℃〜(ゲル化温度+30)℃に設定されることが好ましい。吐出用記録ヘッド内のインクの温度が、(ゲル化温度+10)℃未満であると、吐出用記録ヘッド内もしくはノズル表面でインクがゲル化して、インクの射出性が低下しやすい。一方、吐出用記録ヘッド内のインクの温度が(ゲル化温度+30)℃を超えると、インクが高温になりすぎるため、インク成分が劣化することがある。
インクを所定の温度に加熱する方法は特に制限されない。たとえば、ヘッドキャリッジを構成するインクタンク、供給パイプおよびヘッド直前の前室インクタンク等のインク供給系、フィルター付き配管ならびにピエゾヘッド等の少なくともいずれかを、パネルヒーター、リボンヒーターおよび保温水等のうちいずれかによって所定の温度に加熱することができる。
吐出される際のインクの液滴量は、記録速度および画質の面から、2pL以上20pL以下であることが好ましい。
4−2.第2の工程
第2の工程では、第2の工程で着弾させたバイオレットインクに活性エネルギー線を照射して、これらのインクが硬化してなる画像を形成する。活性エネルギー線は、インク着弾後0.001秒以上1.0秒以下の間に照射されることが好ましく、高精細な画像を形成するためには、0.001秒以上0.5秒以下の間に照射されることがより好ましい。
インクに照射する活性エネルギー線は、たとえば、電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線等から選択することができるが、これらのうち紫外線を照射することが好ましい。紫外線は、たとえば、395nm、水冷LED、Phoseon Technology社製 によって照射することができる。LEDを光源とすることで、光源の輻射熱によってインクが溶けることによる、インクの硬化不良の発生を抑制することができる。
LED光源は、370nm以上410nm以下の波長を有する紫外線の画像表面におけるピーク照度が0.5W/cm以上10W/cm以下となるように設置され、1W/cm以上5W/cm以下となるように設置することがより好ましい。輻射熱がインクに照射されることを抑制する観点からは、画像に照射される光量は350mJ/cm未満であることが好ましい。
また、活性エネルギー線の照射を2段階に分け、まずインクが着弾した後0.001秒以上2.0秒以下の間に前述の方法で活性エネルギー線を照射してインクを仮硬化させ、全印字終了後にさらに活性エネルギー線を照射してインクを本硬化させてもよい。活性エネルギー線の照射を2段階に分けることで、インク硬化の際に起こる記録材料の収縮がより生じにくくなる。
本発明の画像形成方法では、記録媒体上に着弾したインクに活性エネルギー線を照射して硬化した後の総インク膜厚を、2μm以上20μm以下であるようにすると、記録媒体のカールおよび皺の発生ならびに記録媒体の質感変化等をより効率的に防ぐことができる。なお、「総インク膜厚」とは、記録媒体上に塗布または印字されたすべてのインクの膜厚の合計値、またはインクの着弾量が多い吐見込まれる複数の地点で測定した前記膜厚の平均値を意味する。
4−3.記録媒体
本発明の画像形成方法に用いる記録媒体は、前記インクセットで画像が形成されればよく、たとえば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブタジエンテレフタレート等のプラスチックで構成される非吸収性の記録媒体(プラスチック基材)、金属類およびガラス等の非吸収性の無機記録媒体、ならびに吸収性の紙類(たとえば、印刷用コート紙および印刷用コート紙B)とすることができる。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明するが、これらの記載によって本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.インクの調製
1−1.モノマー組成液
以下の2種のモノマーを表3に記載の比で混合して、モノマー組成液1〜6とした。
高極性光重合性化合物:ポリエチレングリコール400ジアクリレート(A−400、新中村化学工業株式会社製、エチレンオキサイド基の数:9個)
低極性光重合性化合物:PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート (ミラマー M360、美源スペシャリティケミカル株式会社製、プロピレンオキサイド基の数:3個)
表3に、それぞれのモノマー組成液における高極性光重合性化合物および低極性光重合性化合物の比(単位は質量%)を示す。
Figure 2016141767
1−2.分散剤
活性触媒(ゼオライト)を内部に装填し、かつ、ラウリルアルコール(カルコール2098、花王株式会社製(「カルコール」は同社の登録商標))500gを入れたフラスコ反応器を緩衝槽に仕込んで、水素ガスを供給しながら、緩衝槽とフラスコ反応器との間で液を循環させた。フラスコ反応器内部の温度を65℃まで昇温した後、BYKJET−9151、ビックケミー社製(「BYKJET」は同社の登録商標)のジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルアクリレート溶液をフラスコ反応器に供給しながら、フラスコ反応器内部の温度を90℃までさらに昇温した。上記溶液の供給開始から3時間後に供給を停止し、全系を冷却して緩衝槽およびフラスコ反応器内部の液全量を抜き出して、3級アミン基を有するくし型ブロックコポリマーである分散剤を得た。
表4に記載の分散剤を、それぞれ分散剤A〜Fとした。
表4に、それぞれの分散剤の製造会社名、製品名、吸着基の種類およびコポリマー構造を示す。
Figure 2016141767
1−3.インク
以下の成分および直径0.5mmφのジルコニアビーズ120gを200mlのポリビンに入れて、蓋を締め、振動ミル(レッドデビル4500L、西村製作所製)で4時間分散した。分散した後にビーズを分離して分散体を取出して、バイオレット顔料分散体を得た。
バイオレット顔料: PV23 20質量%
モノマー組成液: モノマー組成液1 70質量%
分散剤: 分散剤A 9.9質量%
重合禁止剤: Irgastab UV−10、BASF社製(「Irgastab」は同社の登録商標) 0.1質量%
その後、それぞれの分散体を60℃に加熱しながら、以下の割合となるように以下のゲル化剤および光重合開始剤を加えて、インク1A−1を調製した。
顔料分散体: バイオレット顔料分散体 89質量%
ゲル化剤: カオーワックスT−1、花王社製 5質量%
光重合開始剤: ITX、BASF社製 3質量%
光重合開始剤: Irgacure819、BASF社製(「Irgacure」は同社の登録商標) 3質量%
バイオレット顔料、分散剤およびモノマー組成物の種類、ならびに分散剤およびゲル化剤の量を、表5〜表8に記載の組みあわせまたは数値になるように変更した以外はインク1A−1と同様にして、インク1A−2〜5B−6を調製した。
表5〜表8に、それぞれのインクが含有するバイオレット顔料、分散剤およびモノマー組成物の種類、ならびにそれぞれのインク中の分散剤およびゲル化剤の量を示す。
Figure 2016141767
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2.評価方法および評価結果
それぞれのインクの保存安定性および射出安定性、それぞれのインクによる画像の光沢性、ならびにインクによる画像と他の画像との間の色域差を、以下の基準で評価した。
2−1.保存安定性
それぞれのインクが含有する顔料粒子の平均粒子径を、データサイザーナノZSP、Malvern社製を使用して動的光散乱法によって測定した。その後、それぞれのインクを耐熱管に採取して、90℃で14日間高温槽に保存した。保存後のそれぞれのインクにおける顔料粒子の平均粒子径を同様に測定し、保存前の平均粒子径(P)と保存後の平均粒子径(P)との差(P−P)を計算した。
◎ 平均粒子径の差が7nm未満である
○ 平均粒子径の差が7nm以上10nm未満である
△ 平均粒子径の差が10nm以上である
2−2.射出安定性
それぞれのインクをインクジェットヘッドHA1024型、コニカミノルタ社製に導入した。解像度720×720dpiの条件で、周囲温度25℃、周囲湿度55%の条件でインクを吐出して印字基材に着弾させ、長さ100mmの細線を50本印字した。印字基材はOKトップコート(印刷用紙)を使用した。UV照射光源としてLEDランプを使用し、250mJのエネルギーの紫外線を印字したインクに照射してインクを硬化させた。
それぞれのインクによる上記50本の細線中に生じたドット欠の個数を目視で数えた。
○ 画像が形成されなかった画素が10個未満である
△ 画像が形成されなかった画素が10個以上である
2−3.光沢性
それぞれのインクをインクジェットヘッドHA1024型、コニカミノルタ社製に導入し、印字幅100mm×100mm、解像度720×720dpiの条件で45℃に加温した印字基材に着弾させ、印字率100%のベタ画像を印字した。印字基材はOKトップコート(印刷用紙)を使用した。UV照射光源としてLEDランプを使用し、250mJのエネルギーの紫外線を印字したインクに照射してインクを硬化させた。
それぞれのインクによる上記画像の60℃反射光沢値をデジタルハンディ光沢計(グロスチェッカーIG−331、堀場製作所製)で測定した。市販されているインクによるベタ画像の平均光沢値(40)とそれぞれの活性光線硬化型インクセットに含まれるマゼンタのベタ画像の反射光沢値との差を調べた。
◎ 平均光沢値と反射光沢値との差の絶対値が3.0未満である
○ 平均光沢値と反射光沢値との差の絶対値が3.0以上5.0未満である
△ 平均光沢値と反射光沢値との差の絶対値が5.0以上である
2−4.色域差
Pantone violet 2613 をポータブル積分球分光測色計 Ci6X、エックスライト社製で測定して得たa*、b*の値と、それぞれのインクによる2−3に記載の画像を同様に測定して得たa*、b*の値を測定し、それらのa*の値の差の2乗とそれらのb*の値の差の2乗との和の平方根を算出して、それぞれのインクセットによる画像と標準試料との間の色域差とした。
◎ 色域差が2.5未満である
○ 色域差が2.5以上5.0未満である
△ 色域差が5.0以上である
2−5.結果
結果を表9〜表12に示す。
Figure 2016141767
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高極性光重合性化合物のモノマー組成物に対する質量比率が40質量%以上であり、かつ、3級アミン基を有するくし型ブロックコポリマーを含む分散剤を含有するインクは、保存安定性および射出安定性が高く、かつ、Pantone violet 2613と同等の色域の画像を形成することができた(インク1A−1〜1A−18、2A−1〜2A−12)。
一方で、3級アミン基を有するくし型ブロックコポリマーを含まない分散剤を含有するインクは、保存安定性および射出安定性が低かった。これは、分散剤と顔料との親和性が低いため、顔料がモノマー組成物中に均一に分散せず、顔料の凝集が生じたためであると考えられる(インク2B−1〜2B−6、3B−1〜3B−6、4B−1〜4B−6、5B−1〜5B−6)。
また、高極性光重合性化合物のモノマー組成物に対する質量比率が40質量%以上であるインクは、保存安定性が低く、かつ、Pantone violet 2613と同等の色域の画像を形成することができなかった。これは、上記3級アミン基を有するくし型ブロックコポリマーを含む分散剤とモノマー組成物との間、および顔料とモノマー組成物との間の親和性がいずれも低いため、分散剤が顔料をモノマー組成物中に均一に分散させることができず、顔料の凝集が生じたためであると考えられる(インク1B−1〜1B−6)。
分散剤の含有量が0.5質量%以上3.0質量%以下であるインクは、保存安定性および射出安定性がいずれもより高くなる傾向が見られた。これは、分散剤により顔料がより均一に分散したためであると考えられる(インク1A−1〜1A−12とインク13−1〜1A−15との比較による。)。
ゲル化剤の含有量が1.0質量%以上5.0質量%以下であるインクは、市販されているインクによる画像により近い光沢およびPantone violet 2613により近い色域の画像を形成することができた。これは、ゲル化剤によりインクのピニング性がより高まったためであると考えられる(インク1A−1〜1A−12とインク16−1〜1A−18との比較による。)。
本発明のインクは、バイオレットインクとして、インクジェット法による画像形成に用いることができる。また、本発明のインクをイエローインク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクと組み合わせることで、色調がより多彩であり、かつ、光沢感が従来の画像と同等である画像を形成することができる。

Claims (7)

  1. 顔料、光重合性化合物、分散剤、ゲル化剤および光重合開始剤を含有し、活性光線の照射によって硬化する、インクジェット法による画像形成用のバイオレットインクであって、
    前記顔料はジオキサジン構造を有するバイオレット顔料を含み、
    前記光重合性化合物は、前記光重合性化合物の全質量に対して30質量%以上の、エチレンオキサイド基またはプロピレンオキサイド基を6個以上有する高極性光重合性化合物を含み、
    前記分散剤は、3級アミン基を有するくし型ブロックコポリマーを含むことを特徴とする、バイオレットインク。
  2. 前記高極性光重合性化合物の含有量は、前記光重合性化合物の全質量に対して30質量%以上80質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のバイオレットインク。
  3. 前記高極性光重合性化合物は6個以上のエチレンオキサイド基を有するポリエチレングリコールジアクリレートを含み、前記光重合性化合物はオキシアルキレンで変性されたトリメチロールプロパンをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のバイオレットインク。
  4. 前記分散剤の含有量は0.5質量%以上3.0質量%以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオレットインク。
  5. 前記ゲル化剤の含有量は1.0質量%以上5.0質量%以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオレットインク。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオレットインクと、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクとを含むことを特徴とする、インクセット。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオレットインクをインクジェットヘッドのノズルから射出して記録媒体に着弾させる工程、および前記着弾した前記インクに活性光線を照射して前記インクを硬化させる工程、を含む、インクジェット法による画像形成方法。
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