JPWO2018105617A1 - 蓄熱層形成用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な方法且つ穏やかな温度条件にて、基材との密着性に優れる均一な膜状の蓄熱層を得ることができ、しかも該蓄熱層が、原材料である蓄熱材の蓄熱性能と同等の性能を発揮できる、蓄熱層形成用組成物を提供すること。【解決手段】(A)蓄熱材 100質量部、(B)微細化されたセルロースファイバー 0.01〜100質量部、及び(C)水溶性高分子 0.01〜100質量部を含有することを特徴とする、蓄熱層形成用組成物及びそれから作成された蓄熱層。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄熱層形成用組成物に関する。
蓄熱材とは、一時的に熱を蓄えることができる性質を有し、一般に、物質の相変化や化学反応を利用して熱の出入りを制御することができる物質や該物質を含む材料を指す。蓄熱材は、使用用途に応じて各種装置・機器の所定の空間(容器)に充填され、蓄熱システムとして、船舶・車両、空調等の各種熱交換器などにおいて幅広く利用されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
蓄熱材としては、材料の熱容量(温度変化)を利用した顕熱蓄熱材、物質の相変化を利用した潜熱蓄熱材、化学反応熱を利用した化学蓄熱材に大別される。
近年、より効率的な熱利用やシステムの省スペース化を目的として、蓄熱材を金属等の基材に直接塗布するなどの技術が報告されている。
例えば特許文献2では、熱交換型反応器の熱交換効率を向上させるために、熱交換面に酸化カルシウム粒子を分散させた塗布液を塗布して、化学蓄熱材を含む熱交換構造体を形成する技術が開示されている。
特許文献3には、任意の形状に成形可能とする化学蓄熱材形成用組成物が提案され、例えば該組成物を金属基板へ塗布後に焼成することにより、自身の体積の増減によって生じる形状の歪みを吸収できる、多孔質の化学蓄熱材が得られる点が報告されている。
一方、多孔質である機能性材料(吸湿性材料)を、有機バインダを使用してシート状とした提案(特許文献4)や、リチウム二次電池の電極活物質及び導電助剤のバインダとして、微細化されたセルロースファイバーを利用する提案(特許文献5)がある。
特開2015−215155号公報 特開2012−127588号公報 特開2015−098582号公報 特開2013−202505号公報 国際公開第2013/0427720号
上述したように、蓄熱材は、従来の所定の空間(容器)への充填による利用のみならず、基材への塗布などにより得られるシート状物といった、任意の形状(成形物)での利用が検討されている。この場合、得られた蓄熱材の成形物において、所望の形状を保つことが求められる。
しかし特許文献2に開示された技術では、化学蓄熱材である酸化カルシウムを含む熱交換構造体において、化学蓄熱材の化学反応、すなわち化学蓄熱材と水蒸気との可逆反応によって生じ得る蓄熱材の体積の増減について何ら考慮されていない。
また特許文献3にあっては、化学蓄熱材に多孔質な形状を設けることで、体積増減による形状の歪みの吸収を図っているもものの、そのためには高温(680℃以上)による焼成が必要とされ、使用できる基材が制限される。
また特許文献4及び特許文献5には、そこに記載の有機バインダやセルロースファイバーを、蓄熱材のバインダとする検討はなされていない。
本発明は、塗布という簡便な方法により膜形成でき、そして該膜を100℃前後の比較的穏やかな温度にて乾燥させることにより、均一な膜状の蓄熱層を得ることができる、蓄熱層形成用組成物を提供することを目的とする。
また本発明は、得られた膜状の蓄熱層において、使用した蓄熱材の蓄熱性能を大きく損なうこと無く、同等の性能を発揮できる、蓄熱層形成用組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、蓄熱材、微細化されたセルロースファイバー及び水溶性高分子を配合した組成物が、これを塗布し乾燥させることで、割れ等が無く、均一な膜状の層、すなわち蓄熱層を得られること、そして該蓄熱層が、原材料である蓄熱材の蓄熱性能とほぼ同等の性能を得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、第1観点として、
(A)蓄熱材 100質量部、
(B)微細化されたセルロースファイバー 0.01〜100質量部、及び
(C)水溶性高分子 0.01〜100質量部
を含有することを特徴とする、蓄熱層形成用組成物に関する。
第2観点として、前記(B)微細化されたセルロースファイバーは、レーザー回折・散乱式粒度分布計を用いて水を分散媒として測定される繊維メジアン寸法を表す体積累計50%での粒子径が、0.01〜40μmであることを特徴とする、第1観点に記載の蓄熱層形成用組成物に関する。
第3観点として、前記(A)蓄熱材が、10nm〜100μmの平均粒子径を有する粉体の形態をなす化合物である、第1観点又は第2観点に記載の蓄熱層形成用組成物に関する。
第4観点として、前記(A)蓄熱材が潜熱蓄熱材である、第1観点乃至第3観点のうち何れか一項に記載の蓄熱層形成用組成物に関する。
第5観点として、前記(A)蓄熱材が、無機塩水和物、炭化水素(パラフィン)、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、包接水和物、及び強相関電子系物質からなる群から少なくとも一種選択される、第4観点に記載の蓄熱層形成用組成物に関する。
第6観点として、前記(A)蓄熱材が化学蓄熱材である、第1観点乃至第3観点のうち何れか一項に記載の蓄熱層形成用組成物に関する。
第7観点として、前記(A)蓄熱材が、アルミノケイ酸塩、フェニルホスホン酸化合物金属塩及び芳香族カルボン酸化合物金属塩からなる群から少なくとも一種選択される、第6観点に記載の蓄熱層形成用組成物に関する。
第8観点として、前記(C)水溶性高分子が、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸塩の部分中和物、カチオン化セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、(カルボキシメチル)(エチル)セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、(ヒドロキシエチル)(メチル)セルロース、(エチル)(ヒドロキシエチル)セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、(ヒドロキシプロピル)(メチル)セルロース、カチオン化デンプンからなる群から少なくとも一種選択される、第1観点乃至第7観点のうち何れか一項に記載の蓄熱層形成用組成物に関する。
第9観点として、前記(C)水溶性高分子がポリビニルアルコールである、第8観点に記載の蓄熱層形成用組成物に関する。
第10観点として、第1観点乃至第9観点のうち何れか一項に記載の蓄熱層形成用組成物から作製された蓄熱層に関する。
第11観点として、蓄熱材、微細化されたセルロースファイバー及び水溶性高分子を含有する蓄熱層であって、前記蓄熱層は、0.1〜5,000μmの厚さを有する層であり、前記蓄熱材は、それらが互いに前記セルロースファイバー及び前記水溶性高分子によって捕捉され、膜形状を形成してなる、蓄熱層に関する。
第12観点として、第10観点又は第11観点に記載の蓄熱層が、熱伝導性基材の表面に形成されている、熱交換器に関する。
第13観点として、前記熱伝導性基材が、熱媒体が流通する流路の隔壁であり、該隔壁の熱媒体が流通する側とは反対側の面に前記蓄熱層が形成されている、第12観点に記載の熱交換器に関する。
第14観点として、前記熱媒体が原動機の冷却水である、第13観点に記載の熱交換器に関する。
第15観点として、車両に積載される、第13観点又は第14観点に記載の熱交換器に関する。
本発明の蓄熱層形成用組成物は、これを塗布し乾燥させることで、孔や割れ等のクラックが生じることがなく均一な膜状の蓄熱層を得ることができ、また、基材との密着性に優れ、基材に固定化された蓄熱層を得ることができる。
図1は、実施例1の蓄熱層形成用組成物より得られた試料のTG−DTAチャートを示す図である。 図2は、実施例2の蓄熱層形成用組成物より得られた試料のTG−DTAチャートを示す図である。 図3は、比較例1の蓄熱層形成用組成物より得られた試料のTG−DTAチャートを示す図である。 図4は、比較例3の蓄熱層形成用組成物より得られた試料のTG−DTAチャートを示す図である。
本発明者らは、膜状の蓄熱層を形成するにあたり、層構造の形状の保持に寄与し、且つ、蓄熱性能を阻害することのない材料の採用を検討した。
具体的には、蓄熱層形成時や、蓄熱材の相転移や化学反応によって生じる形態変化及び体積変化を吸収・緩和できる材料、また、蓄熱材同士や、蓄熱材と基材との結着性を高め得る材料、そして水蒸気等の作動流体と蓄熱材との接触による化学反応熱を利用する化学蓄熱材にあっては、該作動流体の化学蓄熱材への到達を阻害しない材料について、検討を進めた。
そして本発明者らは、微細化されたセルロースファイバーの水分散液から水を除去すると、セルロースファイバーが不織布状或いは網目状の構造体を形成することに着目し、この構造体により、上述の体積変化の抑制や、蓄熱材同士の結着性の向上を達成できるか、そして該構造体が、作動流体と蓄熱材との接触を阻害しないかを検討し、本発明を完成させるに至った。
以下、本発明についてさらに詳述する。
[(A)蓄熱材]
本発明に使用可能な蓄熱材としては特に限定されず、上述した顕熱蓄熱材、潜熱蓄熱材及び化学蓄熱材として使用可能な各種の蓄熱材が挙げられる。
前記顕熱蓄熱材としては、例えば、土壌、砂、岩石、コンクリートスラブ、煉瓦などの非金属系材料;鋼、マグネシウム、溶融塩、セラミック煉瓦などの金属系材料等が挙げられる。本発明では、蓄熱層として固定化して使用するため、前記顕熱蓄熱材は粉末の形態をなしているものが好ましい。
前記潜熱蓄熱材としては、相変化に伴い発熱・吸熱を行うことができる化合物であれば特に制限はなく、例えば、無機塩水和物、炭化水素(パラフィン)、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、包接水和物、強相関電子系物質等が挙げられる。
中でも、蓄熱層としての使いやすさから、これら化合物の示差走査熱量測定法(DSC法)により測定される融点は、10〜250℃の範囲にあることが好ましく、20〜200℃の範囲にあることがより好ましい。
上記無機塩水和物の具体例としては、炭酸ナトリウム10水和物、炭酸カリウム6水和物、硝酸リチウム3水和物、硝酸ニッケル6水和物、硝酸マグネシウム6水和物、硝酸アルミニウム9水和物、硝酸鉄6水和物、硫酸ナトリウム10水和物、硫酸アルミニウム10水和物、チオ硫酸ナトリウム5水和物、四ホウ酸ナトリウム10水和物、酢酸ナトリウム3水和物、塩化マグネシウム6水和物、水酸化ストロンチウム8水和物、水酸化バリウム8水和物等が挙げられる。
上記炭化水素としては、炭素原子数8〜60の炭化水素を用いることができ、具体例としては、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘネイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、トリトリアコンタン等が挙げられる。
上記脂肪酸の具体例としては、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸等が挙げられる。これらの中でも、入手性の観点から、炭素原子数10〜18の直鎖飽和脂肪酸が好ましい。
上記脂肪酸エステルとしては、炭素原子数8〜30の長鎖脂肪酸エステルを用いることができ、具体例としては、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ビニル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジメチル等が挙げられる。また、入手性の観点から、炭素原子数10〜18の直鎖飽和脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステルが好ましく用いられる。
上記脂肪族ケトンとしては、炭素原子数8〜30の脂肪族ケトンを用いることができ、具体例としては、2−ノナノン、トリデカナール、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、3−ヘキサデカノン、4,4−ビシクロヘキサノン等が挙げられる。これらの中でも、産業上の利用に適した潜熱量を有し、合成も容易であるという観点から、酸素原子数1の脂肪族ケトンが好ましく用いられる。
上記脂肪族アルコールとしては、炭素原子数4〜60の脂肪族アルコールを用いることができ、1分子中に1個のヒドロキシ基を有するモノアルコールであっても、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する多価アルコールであってもよい。また、同一分子中に、カルボキシ基、スルホ基、カルボン酸無水物基、アルコキシカルボニル基、ハロホルミル基、カルバモイル基、シアノ基、ホルミル基、メルカプト基、アミノ基、イミノ基等のアルコール性ヒドロキシ基以外の官能基を有していてもよい。
上記脂肪族アルコールの具体例としては、2−ドデカノール、1−テトラデカノール、7−テトラデカノール、1−オクタデカノール、1−エイコサノール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。また、固相−固相転移を示す、1,1,1−トリメチロール−2−アミノエタン等が挙げられる。
また、炭化水素直鎖構造を有し、かつ炭素原子1個あたり1つのヒドロキシ基を有する、一般に式[1]で表される化合物は、高い潜熱(すなわち融解熱)を有し、蓄熱材としての性能を高めるという観点から、これらの多価アルコールを用いることもできる。
式[1]:H−(CH(OH))−H(式中、nは4〜10である。)
このような多価アルコールの具体例としては、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、リキシトール、アリトール、タリトール、アルトリトール、グルシトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトール、グリトール等のアルジトールなどが挙げられる。
これらの中でも、産業上の利用に適した潜熱量を得るという観点から、少なくとも1つのヒドロキシ基が分子末端に存在するアルコール(1級アルコール)が好ましく用いられる。
上記脂肪族エーテルとしては、炭素原子数14〜60の脂肪族エーテルを用いることができ、具体例としては、ヘプチルエーテル、オクチルエーテル、テトラデシルエーテル、ヘキサデシルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、高い潜熱量を有し、合成も容易であるという観点から、酸素原子数1の、対称構造を持つエーテル(対称エーテル)が好ましく用いられる。
上記包接水和物の具体例としては、フッ化テトラブチルアンモニウム水和物、臭化テトラブチルアンモニウム水和物、トリメチロールエタン水和物、シクロペンタン水和物、HCHC−141b水和物、HFC−134a水和物、二酸化炭素水和物等が挙げられる。
上記強相関電子系物質の具体例としては、V(1−X)(0≦X≦0.0650)、V(1−X)Ta(0≦X≦0.117)、V(1−X)Nb(0≦X≦0.115)、V(1−X)Ru(0≦X≦0.150)、V(1−X)Mo(0≦X≦0.161)、V(1−X)Re(0≦X≦0.0964)、LiMn、LiVS、LiVO、NaNiO、LiRh、V、V、V11、Ti、SmBaFe、EuBaFe、GdBaFe、TbBaFe、DyBaFe、HoBaFe、YBaFe、PrBaCo5.5、DyBaCo5.54、HoBaCo5.48、YBaCo5.49などの遷移金属酸化物等が挙げられる。これらは何れも、金属−絶縁体相転移を示す。
前記化学蓄熱材としては、可逆的な化学反応に伴い発熱・吸熱を行うことができる化合物であれば特に制限はなく、例えば、水蒸気(水)、アンモニア、水素、二酸化炭素等の気体の吸収(吸蔵)又は放出により、発熱又は吸熱を示す金属塩化合物が挙げられる。
上記金属塩化合物における金属としては、第一族元素、第二族元素及び遷移元素における金属並びにアルミニウム等が挙げられ、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、スズ及びアルミニウムからなる群から少なくとも一種選択される金属が挙げられる。
上記金属塩化合物としては、上述した金属の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、ホスホン酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物、酸化物及び水酸化物、金属複合酸化物、金属塩添加金属酸化物、並びにこれらの水和物が挙げられる。
このような金属塩化合物の具体例としては、水酸化マグネシウム(酸化マグネシウム)、硫酸カルシウム(水和物)、塩化カルシウム(水和物)、水酸化カルシウム(酸化カルシウム)、アルミノケイ酸塩(ゼオライト)等が挙げられる。
また、例えば、特開2015−215155号公報に開示されている蓄熱材、すなわち、フェニルホスホン酸マグネシウム、フェニルホスホン酸マンガンなどのフェニルホスホン酸化合物の金属塩;2,5−ジヒドロキシテレフタル酸マグネシウム、テレフタル酸マンガンなどの芳香族カルボン酸化合物の金属塩等が挙げられる。
これらの中でも、アルミノケイ酸塩、フェニルホスホン酸化合物の金属塩、芳香族カルボン酸化合物の金属塩が好ましく用いられる。
好ましい態様において、本発明では上記蓄熱材として、10nm〜100μmの平均粒子径を有する粉体の形態をなす化合物を用いることが望ましい。
なお本発明で使用する蓄熱材における平均粒子径とは、Mie理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定して得られる50%体積径(メジアン径)をいう。
また、これら蓄熱材は、一種単独で、又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
[(B)微細化されたセルロースファイバー]
本発明の蓄熱層形成用組成物は、(B)微細化されたセルロースファイバーを含有することを特徴とする。
微細化されたセルロースファイバーは、実際には後述するセルロースファイバー分散液の形態で用いられる。蓄熱層の形成にあたり、該分散液より水を除去すると、セルロースファイバーは互いに重なり或いは絡み合うなどし、そして後述する(C)水溶性高分子とともに、蓄熱材同士を捕捉し謂わば結着させ、蓄熱材を含む膜(すなわち層構造)の形成に寄与する。また、基材上に蓄熱層を形成する場合には、該基材上に蓄熱層を結着させるための有用なバインダとしての役割をも担い得るものである。
本発明で使用する微細化されたセルロースファイバーの原料となるセルロースとしては、従来のセルロースファイバーの製造に使用されている原料を広く用いることができる。例えば木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農作物・食物残渣など植物由来のセルロース、又はバクテリアセルロース、ホヤセルロースなど微生物若しくは動物産生のセルロースを原料として用いることができる。これらセルロースは、一種単独で、又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
中でも、植物由来のセルロース又はバクテリアセルロースを原料として用いることが好ましい。
上記セルロースの粉砕方法は限定されないが、本発明の目的に合うファイバーの大きさ(長さ)にまで微細化するには、高圧ホモジナイザー、グラインダー(石臼式摩砕機)、或いはビーズミルなどの媒体撹拌ミルといった、強いせん断力が得られる方法が好ましい。また、これらの中でも高圧ホモジナイザーを用いて微細化することが好ましく、例えば特開2005−270891号公報に開示されるような湿式粉砕法、すなわち、セルロースを分散させた水分散液を、一対のノズルから高圧でそれぞれ噴射して衝突させることにより、セルロースを粉砕するものであって、例えばスターバーストシステム((株)スギノマシン製の湿式微粒化装置)を用いることにより実施できる。
前述の高圧ホモジナイザーを用いてセルロースファイバーを微細化する際、微細化や均質化の程度は、高圧ホモジナイザーの超高圧チャンバーへ圧送する圧力と、超高圧チャンバーに通過させる回数(処理回数)、及び水分散液中のセルロース濃度に依存することとなる。
圧送圧力(処理圧力)は、通常、50〜250MPaであり、好ましくは100〜245MPaである。圧送圧力が50MPa未満の場合には、セルロースファイバーの微細化が不充分となり、微細化により期待される効果が得られない。
また、微細化処理時の水分散液中のセルロース濃度は0.1〜30質量%、好ましくは1〜10質量%である。水分散液中のセルロース濃度が0.1質量%未満だと生産性が著しく低く、30質量%より高い濃度だと粉砕効率が低く、所望の微細化されたセルロースファイバーが得られない。
微細化の処理回数は、前記水分散液中のセルロース濃度にもよるが、セルロース濃度が0.1〜1質量%の場合には処理回数は10〜50パス程度で充分に微細化されるが、1〜10質量%では50〜200パス程度必要となる。また、30質量%を超える高濃度な場合は、数百回以上の処理回数が必要となり、工業的観点から非現実的である。
本発明に用いられる微細化されたセルロースファイバー(C)は、例えばレーザー回折・散乱式粒度分布計を用いることにより、微細化の程度を評価可能である。
本発明においては、前述の湿式粉砕法などによって得られたセルロースファイバーの水分散液の体積粒度分布を測定したとき、繊維メジアン寸法を表す体積累計50%における粒子径(メジアン径)が0.01〜40μm、特に好ましくは0.05〜10μmであるセルロースファイバーを用いることが好ましい。
粒子径として測定される繊維メジアン寸法が、0.01μm未満であると、セルロースファイバーが短繊維化され過ぎることにより添加効果が得られず、すなわち、次いで得られる蓄熱層形成用組成物から蓄熱層を形成しようとしても、膜の均一性が不十分となって膜に孔や割れが生じるなどの成膜性に劣り、また該膜の基材への結着性が十分に得られない場合がある。また、繊維メジアン寸法が40μmより大きいと、セルロースファイバーの微細化が不充分なものとなり、この場合においても、形成しようとした蓄熱層の膜の均一性が不充分となるために期待した効果(成膜性、基材への結着性)が得られず、さらには蓄熱材への流体(気体)の接触を低下させ、蓄熱材の性能を大きく損なう虞もある。また、上記範囲とすることで、形成した蓄熱層においてセルロースファイバーがメッシュ状の網目構造を形成し、蓄熱材の相変化や化学反応に伴う体積変化が緩和され得る。
なお、本発明に用いられる微細化されたセルロースファイバーは、繊維径について特に制限するものでは無いが、例えば0.001〜10μm、好ましくは0.01〜1μmのものである。
また、アスペクト比(L/D)についても特に制限されるものでは無いが、例えば10〜100,000であり、好ましくは100〜10,000である。
また本発明に用いられる微細化されたセルロースファイバーは、前述の湿式粉砕法によって得られたセルロースファイバーの水分散液の形態にて、蓄熱層形成用組成物の調製に用いることができる。
本発明の蓄熱層形成用組成物において、(B)微細化されたセルロースファイバーの配合量は、前記(A)蓄熱材100質量部に対して0.01〜100質量部であり、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
微細化されたセルロースファイバーの配合量を、上記数値範囲を超えたものとすると、蓄熱材への流体(気体)の接触を低下させ、蓄熱材の蓄熱性能を損なう虞があり、また該配合量を上記数値範囲未満とすると、所望の成膜性や基材への結着性を十分に得られない場合がある。
[(C)水溶性高分子]
本発明の蓄熱層形成用組成物は、成膜性を向上させる目的でバインダ成分として水溶性高分子を含む。水溶性高分子は前述の(B)微細化されたセルロースファイバーとともに、蓄熱材同士或いは蓄熱材と基材との結着に寄与できる。
該水溶性高分子としては特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸塩の部分中和物、カチオン化セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、(カルボキシメチル)(エチル)セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、(ヒドロキシエチル)(メチル)セルロース、(エチル)(ヒドロキシエチル)セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、(ヒドロキシプロピル)(メチル)セルロース、カチオン化デンプンからなる群から少なくとも一種選択される。これらの中でも、ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
該水溶性高分子のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは、特に限定されないが、例えば10,000〜1,000,000、好ましくは50,000〜500,000であり、より好ましくは、100,000〜300,000である。
本発明の蓄熱層形成用組成物において、(C)水溶性高分子の配合量は、前記(A)蓄熱材100質量部に対して0.01〜100質量部であり、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、特に好ましくは0.5〜1質量部である。
水溶性高分子の配合量を上記数値範囲を超えたものとすると、蓄熱材への流体(気体)の接触を低下させ、蓄熱材の蓄熱性能を損なう虞があり、また蓄熱材の相変化や化学反応に伴う体積変化を緩和できず、形成した蓄熱層が破損する虞がある。該配合量を上記数値範囲未満とすると、所望の成膜性や基材への結着性を十分に得られない場合がある。
[その他添加剤]
本発明の蓄熱層形成用組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じてその他成分を含有してもよい。
その他成分としては、有機バインダ、シランカップリング剤等の接着補助剤、増粘剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、流動性改良剤、消泡剤などの添加剤を含有することができる。
[蓄熱層形成用組成物の調製方法]
本発明の蓄熱層形成用組成物は、(A)蓄熱材、(B)微細化されたセルロースファイバー、(C)水溶性高分子、並びに所望によりその他添加剤が、該組成物中に均一に分散・溶解された状態にあることが好ましい。その調製方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を所定の割合で混合し、所望によりその他添加剤をさらに添加して混合し、均一な溶液とする方法、これら各成分のうち、例えば(A)成分及び(B)成分の一部を混合して均一な溶液とした後、残りの(C)成分を加え、所望によりその他添加剤をさらに添加して混合し、均一な溶液とする方法、又はこれらの成分に加えさらに慣用の溶媒(水等)を使用する方法等が挙げられる。
また、前述の湿式粉砕法により水分散液の形態にて(B)微細化されたセルロースファイバーを調製し、得られた水分散液に(A)成分及び(C)成分(及び所望によりその他添加剤)を混合する方法が挙げられる。
水等の溶媒を使用する場合、蓄熱層形成用組成物における固形分の割合は、各成分が溶媒に均一に分散・溶解されている限りは特に限定はないが、例えば1〜50質量%であり、又は1〜30質量%であり、又は1〜25質量%である。ここで固形分とは、蓄熱層形成用組成物の全成分から溶媒成分(水等)を除いたものである。
[蓄熱層]
本発明は、蓄熱材、微細化されたセルロースファイバー及び水溶性高分子を含有する蓄熱層も対象とし、ここで前記蓄熱材は、それらが互いに前記セルロースファイバー及び前記水溶性高分子によって捕捉され、膜形状を形成してなる。
例えば適当な基材上に本発明の蓄熱層形成用組成物を塗布し、得られた塗膜を乾燥させる方法により、本発明の蓄熱層形成用組成物から蓄熱層を作製でき、こうして本発明の蓄熱層形成用組成物より作製された蓄熱層も本発明の対象である。
前記基材は、該蓄熱層が適用される用途に応じて適宜選択され得、例えばアルミニウム、銅、鋼材、ステンレスなどの金属材料;ガラス、アルミナなどのセラミックス等が挙げられる。
前記蓄熱層形成用組成物の基材上への塗布方法は、特に限定されないが、例えば、スプレー塗布、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布、キャスト塗布、印刷等の一般的に用いられている手法が採用され得る。
塗布後、基材の表面に形成された塗膜を乾燥させる手段は特に制限されず、例えば、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥等、従来公知の技術を採用することができる。
塗膜の乾燥条件(乾燥時間、乾燥温度など)は、上記蓄熱層形成用組成物の塗布量及び蓄熱層形成用組成物からの水分揮発速度に応じて、例えば40〜100℃にて、1〜24時間の範囲より適宜選択される。
このようにして得られる蓄熱層の厚さは、一般的に、0.1〜5,000μm、好ましくは1〜2,000μmである。
[熱交換器]
本発明は、前記蓄熱層が設けられた熱交換器、具体的には、熱伝導性基材の表面に前記蓄熱層が形成されている熱交換器も対象とする。
前記熱伝導性基材は、熱媒体が流通する流路(熱媒体流路)の隔壁を構成してなり、そして該隔壁の熱媒体が流通する側とは反対側の面に前記蓄熱層が形成されることで、蓄熱層と熱媒体との間の熱伝導が促進される。
前記熱媒体は、例えば原動機の冷却水とすることができる。
本発明が対象とする熱交換器は、例えば車両に積載される熱交換器として使用可能である。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
(1)レーザー回折・散乱式粒度分布計
装置:Malvern Instruments社製 Mastersizer(登録商標)2000
(2)TG−DTA
装置:(株)リガク製 Thermo plus EVO II TG8120
ガス流量調整器:(株)リガク製 Thermo plus EVO II用 MASS FLOW UNIT
(3)バブラー
装置:アズワン(株)製 PFAガス洗浄瓶(ボールフィルター孔径:20〜30μm)
また試料の調製に用いた成分の詳細は以下のとおりである。
・ポリビニルアルコール(PVA):日本酢ビ・ポバール(株)製、製品名 AT−17
・ゼオライト:三菱樹脂(株)製、製品名 AQSOA(登録商標)Z02
[製造例1:微細化されたセルロースファイバー水分散液の調製]
市販セルロース粉末[Celite社製、Fibra−Cell BH−100]5質量部を純水495質量部に分散させて、微細化処理((株)スギノマシン製 スターバーストシステム)(200MPa、50Pass)を行い、微細化されたセルロースファイバー水分散液を得た。得られたセルロースファイバー水分散液をシャーレに測りとり、110℃にて5時間乾燥を行い、水分を除去して残渣の量を測定し、濃度を測定した。その結果、水中の微細化されたセルロースファイバー濃度(固形分濃度)は、0.74質量%であった。
得られたセルロースファイバーを、レーザー回折・散乱式粒度分布計を用いて、水を分散媒として測定される繊維メジアン寸法を表す体積累計50%での粒子径は、0.6μmであった。
[実施例1]
製造例1により得られた微細化されたセルロースファイバー水分散液1.35g(固形分0.01g)に、予め調製した2質量%ポリビニルアルコール水溶液0.50g(固形分0.01g)及び水2.15gを加えた。さらにゼオライト1.00gを添加し、およそ15分間撹拌することで、蓄熱層形成用組成物(固形分:20質量%)を得た。
[実施例2]
微細セルロース水分散液0.10g[中越パルプ工業(株)製、商品名 BB−CNF−A−10、パルプ原料:竹漂白パルプ、固形分濃度:10質量%、上記測定による粒子径(繊維メジアン寸法):18μm](固形分0.01g)に、予め調製した2質量%ポリビニルアルコール水溶液0.50g(固形分0.01g)及び水3.40gを加えた。さらにゼオライト1.00gを添加し、およそ15分間撹拌することで、蓄熱層形成用組成物(固形分:20質量%)を得た。
[比較例1]
ゼオライト1.00gを水4.00gに加え、およそ15分間撹拌することで、比較例の蓄熱層形成用組成物(固形分:20質量%)を得た。
[比較例2]
予め調製した2質量%ポリビニルアルコール水溶液0.50g(固形分0.01g)に水3.50gを加えて希釈した。さらにゼオライト1.00gを添加し、およそ15分間撹拌することで、比較例の蓄熱層形成用組成物(固形分:20質量%)を得た。
[比較例3]
予め調製した2質量%ポリビニルアルコール水溶液2.50g(固形分0.05g)に水1.50gを加えて希釈した。さらにゼオライト1.00gを添加し、およそ15分間撹拌することで、比較例の蓄熱層形成用組成物(固形分:21質量%)を得た。
[比較例4]
製造例1により得られた微細化されたセルロースファイバー1.35g(固形分0.01g)に水2.65gを加えた。さらにゼオライト1.00gを添加し、およそ15分間撹拌することで、比較例の蓄熱層形成用組成物(固形分:20質量%)を得た。
表1に実施例及び比較例の蓄熱層形成用組成物の配合を示す。なお表1中、「部」は「質量部」を表す。
Figure 2018105617
[成膜性の評価]
実施例1及び実施例2並びに比較例1乃至比較例4で調製した蓄熱層形成用組成物1.5mLを、溶液キャスト法により25mm角のガラス基板上に塗布して、塗膜を形成した。該塗膜を110℃で乾燥して、厚さおよそ1mmの蓄熱層を形成した。
乾燥後の塗膜(蓄熱層)を目視にて観察し、クラックの有無を評価した。また、該蓄熱層が形成されたガラス基板を該基板の水平面に対して垂直にまで傾け、このとき、基板からの蓄熱層(膜)の浮きや外れの有無を目視にて確認し、基板への密着性を評価した。なお、評価はそれぞれ以下の基準に基づいて評価した。得られた結果を表3に併せて示す。
《クラック有無評価基準》
A:クラックなし
C:クラックあり
《密着性評価基準》
A:蓄熱層が基板に密着し、浮きや外れがない
C:蓄熱層が基板に密着していない
表3に示すように、実施例1及び実施例2で調製した蓄熱層形成用組成物は、ガラス基板上にクラックのない均一な膜状のゼオライト含有蓄熱層が形成され、且つ、該蓄熱層が形成されたガラス基板を該基板の水平面に対して垂直にまで傾けた場合においても、該蓄熱層がガラス基板からの浮きや外れが観察されず、ガラス基板上に密着し、固定化されたことが確認された。
一方、ゼオライトのみを含む組成物(比較例1)、ゼオライトと水溶性高分子又はセルロースファイバーのみを含む組成物(比較例2、比較例4)にあっては、乾燥後の塗膜(蓄熱層)にクラックが見られ、また、ガラス基板を傾けた場合に、蓄熱層においてガラス基板からの浮きや外れが観察された。
なお、ゼオライトと水溶性高分子のみを含む組成物であっても、水溶性高分子の配合量を増やした場合(比較例3)にあっては、実施例の組成物同様に、クラックのない均一な膜状の、そしてガラス基板に密着し、固定化された蓄熱層が形成された。
[水蒸気吸着性の評価]
前述の成膜性の評価の結果に基づき、実施例1及び実施例2並びに比較例3の蓄熱層形成用組成物を用いて、以下に示す水蒸気吸着性の評価を行った。またゼオライト粉末のみを用いた例を比較例1として採用し、同様に水蒸気吸着性の評価を行った。
なお、本実施例は、蓄熱層(ゼオライト)に対する水蒸気の吸着・脱水挙動により、蓄熱層としての蓄熱性能を評価したものである。
《試験手順》
TG−DTA用アルミパン(φ5mm)に、固形分が10mgとなるように、実施例1、実施例2、又は比較例3で調製した蓄熱層形成用組成物を約50μL分取した。
これを110℃のホットプレート上で乾燥し、アルミパン中に蓄熱層を形成して試料とした。また別途、アルミパンにゼオライト粉末を10mg量り取り、これを比較例1の試料とした。
TG−DTA装置本体とガス流量調整器との間にバブラー(23℃)を設置し、高湿度の空気(水蒸気含有空気:Air/HO)の装置本体への導入を可能とした。なお、Air/HO流路を23℃以上に保つことにより、気体流路中の結露を防止した。
下記表2に示す温度/ガスプログラムを用い、TG−DTA装置本体にAir/HOを導入して、各試料(蓄熱層、ゼオライト粉末)の質量変化及び発熱・吸熱挙動を追跡した。各試料より得られたTG及びTG/DTAチャートを、図1(実施例1)、図2(実施例2)、図3(比較例1)及び図4(比較例3)にそれぞれ示す。
なお表2に示すプログラム中、TG−DTA装置においてAir/HOを流す間(No.3、No.7)は、蓄熱層(ゼオライト)への水蒸気の吸着工程に対応し、装置中の気体(Air/HO、N)の流量がゼロの間(No.4、No.8(、No.10))は、蓄熱層(ゼオライト)の脱水工程に対応する。またNガスを流す間(No.1−2、No.5−6、No.9)は、系内の水蒸気を除去する工程に対応する。
Figure 2018105617
各試料より得られたTG/DTA結果に基づき、Air/HOガス流入30分後の試料の質量増加率を水蒸気の吸着率[%]として、またAir/HOガス流入による試料の質量増加初期の増加速度を初期の水蒸気の吸着速度[%/分]として、各試料における水蒸気の吸着挙動を評価した。なお、表2におけるNo.2〜No.5、No.6〜No.9をそれぞれ1周期として各値を算出し、計2周期の平均値にて評価した。得られた結果を表3に併せて示す。
・蓄熱層乾燥質量[mg]
=アルミパンへの試料の仕込み質量[mg]×(100+TG(質量変化)の最小値[%])/100
・蓄熱層質量変化量[mg]
={アルミパンへの試料の仕込み質量[mg]×〔(100+TG(質量変化)の値[%])/100〕}−蓄熱層乾燥質量[mg]
・蓄熱層質量変化率[%]
=〔蓄熱層質量変化量[mg]/蓄熱層乾燥質量[mg]〕×100
・Air/HOガス流入30分後の吸着率
=Air/HOガスを流した30分後(表2中のプログラムNo.3、No.7終了直後)の蓄熱層質量変化率[%]
・初期の水蒸気の吸着速度[%/分]
=(質量増加開始時間tにおける蓄熱層質量変化率[%]−質量増加開始時間tから1分後の蓄熱層質量変化率[%])/〔質量増加開始時間t[分]−(質量増加開始時間t+1)[分]〕
また各試料より得られたTG/DTA結果に基づき、DTA曲線のピーク温度[℃]及びDTA面積[μV・sec/mg]を得、各試料における水蒸気の脱水挙動として評価した。なお吸着挙動と同様に、表2におけるNo.2〜No.5、No.6〜No.9(をそれぞれ1周期として各値を算出し、計2周期の平均値にて評価した。得られた結果を表3に併せて示す。
Figure 2018105617
表3に示すように、実施例1及び実施例2で調製した蓄熱層形成用組成物より得られた試料は、蓄熱材自体(ゼオライト、比較例1)と同等の水蒸気吸着挙動及び脱水挙動を示し、すなわち蓄熱性能を維持した良好な層を形成してなることが確認された。
一方、比較例3で調製した蓄熱層形成用組成物より得られた試料は、蓄熱材(ゼオライト、比較例1)と比べて水蒸気の吸着率・質量増加速度が大きく劣り、またDTAにピークが見られず、水蒸気の吸着・脱水を殆ど行っていないこと、すなわち層は形成されているものの蓄熱性能が大きく劣る層となったことが確認された。

Claims (15)

  1. (A)蓄熱材 100質量部、
    (B)微細化されたセルロースファイバー 0.01〜100質量部、及び
    (C)水溶性高分子 0.01〜100質量部
    を含有することを特徴とする、蓄熱層形成用組成物。
  2. 前記(B)微細化されたセルロースファイバーは、レーザー回折・散乱式粒度分布計を用いて水を分散媒として測定される繊維メジアン寸法を表す体積累計50%での粒子径が、0.01〜40μmであることを特徴とする、請求項1に記載の蓄熱層形成用組成物。
  3. 前記(A)蓄熱材が、10nm〜100μmの平均粒子径を有する粉体の形態をなす化合物である、請求項1又は請求項2に記載の蓄熱層形成用組成物。
  4. 前記(A)蓄熱材が潜熱蓄熱材である、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の蓄熱層形成用組成物。
  5. 前記(A)蓄熱材が、無機塩水和物、炭化水素(パラフィン)、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、包接水和物、及び強相関電子系物質からなる群から少なくとも一種選択される、請求項4に記載の蓄熱層形成用組成物。
  6. 前記(A)蓄熱材が化学蓄熱材である、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の蓄熱層形成用組成物。
  7. 前記(A)蓄熱材が、アルミノケイ酸塩、フェニルホスホン酸化合物金属塩及び芳香族カルボン酸化合物金属塩からなる群から少なくとも一種選択される、請求項6に記載の蓄熱層形成用組成物。
  8. 前記(C)水溶性高分子が、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸塩の部分中和物、カチオン化セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、(カルボキシメチル)(エチル)セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、(ヒドロキシエチル)(メチル)セルロース、(エチル)(ヒドロキシエチル)セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、(ヒドロキシプロピル)(メチル)セルロース、カチオン化デンプンからなる群から少なくとも一種選択される、請求項1乃至請求項7のうち何れか一項に記載の蓄熱層形成用組成物。
  9. 前記(C)水溶性高分子がポリビニルアルコールである、請求項8に記載の蓄熱層形成用組成物。
  10. 請求項1乃至請求項9のうち何れか一項に記載の蓄熱層形成用組成物から作製された蓄熱層。
  11. 蓄熱材、微細化されたセルロースファイバー及び水溶性高分子を含有する蓄熱層であって、
    前記蓄熱層は、0.1〜5,000μmの厚さを有する層であり、
    前記蓄熱材は、それらが互いに前記セルロースファイバー及び前記水溶性高分子によって捕捉され、膜形状を形成してなる、
    蓄熱層。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の蓄熱層が、熱伝導性基材の表面に形成されている、熱交換器。
  13. 前記熱伝導性基材が、熱媒体が流通する流路の隔壁であり、該隔壁の熱媒体が流通する側とは反対側の面に前記蓄熱層が形成されている、請求項12に記載の熱交換器。
  14. 前記熱媒体が原動機の冷却水である、請求項13に記載の熱交換器。
  15. 車両に積載される、請求項13又は請求項14に記載の熱交換器。
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