JP2007145946A - セルロース系蓄熱材 - Google Patents

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Abstract

【課題】遊離ホルムアルデヒドの発生による安全性の問題が無く、炭化水素化合物のしみ出しを十分に抑制し、かつ蓄熱効果を発揮できるだけの炭化水素化合物を含有した蓄熱材を得る。
【解決手段】固体と液体との相変化を起こす炭化水素化合物を蓄熱剤として使用し、セルロースの内部に、蓄熱剤を包含した親水性高分子固化物が含まれるセルロース系蓄熱材を製造する。
【選択図】なし

Description

この発明は、蓄熱材に関し、特に炭化水素化合物を主成分とする蓄熱剤の固体−液体相変化に伴う融解潜熱を利用する蓄熱材に関する。
従来、蓄熱剤としては取り扱いが容易な水が使用されており、その場合は水の顕熱が利用されていたが、近年になって、物質の相変化に伴う潜熱を利用して蓄熱を行う方法が一般的になりつつある。相変化の潜熱を利用して蓄熱を行う方法は、相変化を伴わずに顕熱のみを利用して蓄熱を行う方法に比べて、融点を含む狭い温度範囲に大量の熱エネルギーを高密度に貯蔵できる。
このような相変化に伴う、吸熱・放熱現象を利用した蓄熱材の潜熱蓄熱剤としては、パラフィンなどの炭化水素化合物や、塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、塩化カルシウム水和物、酢酸ナトリウム水和物などの無機塩類などが現在多方面で用いられている。
特にこれらの中でも、炭化水素化合物は、炭素数を選択することにより使用する温度条件に適した融点の物質を得やすいため好ましい。このような炭化水素化合物を用いた潜熱蓄熱材としては、例えば、特許文献1に記載のように、炭化水素化合物をマイクロカプセルに封入し、それを樹脂内に含有させて建材や容器、シートなどに利用することが検討されている。
一方、炭化水素化合物の取り扱いについては、ビスコースレーヨンの風合いや染色性を向上させる目的で含有させることが知られており、例えば、特許文献2に、界面活性剤を添加した流動パラフィンをビスコースに混合したビスコースレーヨンが記載されており、特許文献3に、炭化水素化合物類を再生セルロースに対して0.1〜10wt%含有するセルロース組成物が記載されている。
特開2005−23229号公報 特開昭52−137025号公報 特開2000−192326号公報
しかしながら、特許文献1のようなマイクロカプセルでは、カプセル材質がメラミン樹脂であるので、遊離ホルムアルデヒドが発生し得るために、安全性の面で問題があり、また、マイクロカプセル自体が10μm程度のものであるために、糸やフィルムに添加する場合や、ボード、粒状物などに成形する場合には二次工程が必要であった。
一方、特許文献2や特許文献3に記載の組成物は、レーヨンの風合い等の改善のために炭化水素化合物を含有させたのであって、蓄熱材としての使用は考慮されていなかった。また、レーヨン自体の耐久性はあるが、炭化水素化合物のしみ出しについてはまったく検討されていなかった。
そこでこの発明は、ホルムアルデヒドの発生による安全性の問題が無く、炭化水素化合物のしみ出しを十分に抑制し、かつ蓄熱効果を発揮できるだけの炭化水素化合物を含有した蓄熱材を提供することを目的とする。
この発明は、セルロースの内部に、固体と液体との相変化を起こす炭化水素化合物を主成分とする蓄熱剤を含有した親水性高分子固化物が含まれるセルロース系蓄熱材により、上記の課題を解決したのである。
すなわち、セルロース内部に、炭化水素化合物を包含した親水性高分子固化物を存在させることで、炭化水素化合物のしみ出しを防ぎ、かつ遊離ホルムアルデヒドを発生させる材料を使用せずに成型することができる。また、蓄熱材として使用する温度範囲において固体と液体との相変化を起こす炭化水素化合物を選ぶことで、その潜熱により蓄熱量を確保することができる。
さらに、上記セルロース系蓄熱材を樹脂でコーティングすることにより、炭化水素化合物のしみ出しをより強固に防ぐとともに、物理的強度を向上させることもできる。
この発明にかかるセルロース系蓄熱材を用いると、炭化水素化合物の炭素数を適切に選択して蓄熱剤とすることにより、蓄熱材を用いる温度前後で相変化を起こさせて多くの潜熱を蓄えることができる。また、その炭化水素化合物を親水性高分子固化物に包含し、さらにセルロース内部に包含しているので、炭化水素化合物がしみ出しにくく、扱いやすいものとなる。
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明は、炭化水素化合物を主成分とする蓄熱剤を包含した親水性高分子固化物を、セルロースの内部に包含させたセルロース系蓄熱材である。
上記蓄熱剤は、この発明にかかるセルロース系蓄熱材を実際に用いる際の使用温度範囲において、固体と液体との相変化を起こしうる炭化水素化合物を主成分として含むことが必要である。この蓄熱剤は、1種類の炭化水素化合物からなるものでもよいし、2種類以上の炭化水素化合物の混合体であってもよい。
この上記炭化水素化合物としては、融点が−5℃以上、90℃以下であるノルマルパラフィンや、イソパラフィン、シクロパラフィンであって、かつ、上記の温度範囲に融点があるか、少なくとも上記の温度範囲で相変化を起こすものが好適に用いられる。融点が前記の範囲外でも使用可能であるが、一般的にこの発明にかかるセルロース系蓄熱材の用途では、前記の融点範囲であると好ましい。
このようなノルマルパラフィン、イソパラフィン、又はシクロパラフィンとしては、具体的には炭素数が13〜48であるパラフィン類である、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、イナデカン、イコサン、ヘンイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、トリトリアコンタン、テトラトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサトリアコンタン、ヘプタトリアコンタン、オクタトリアコンタン、ノタトリアコンタン、テトラコンタンなどが挙げられる。
また、上記の蓄熱剤は、上記炭化水素化合物の他に、使用温度範囲において相変化を起こさない炭化水素化合物を含んでいても良い。ただし、これらの含有させるものによって、上記蓄熱剤が相変化を起こし得る温度が、上記の使用温度範囲から逸脱しないことが必要である。
なお、上記の主成分であるとは、上記の使用温度範囲において蓄熱可能な熱容量の半分以上が、上記炭化水素化合物によるものであることをいう。
上記のセルロースは、アルカリ型セルロース溶液から凝固・成形したものである必要がある。ここで、アルカリ型セルロース溶液とは、アルカリ性を示すセルロースの溶液か、又はセルロースを凝固再生可能なセルロース誘導体の溶液をいい、具体的には、ビスコース、銅アンモニア溶液、セルロース水酸化ナトリウム水溶液などが挙げられる。このようなアルカリ型セルロース溶液からセルロースを凝固・成形する方法は、硫酸や塩酸などを用いた一般的なセルロースの凝固・成形方法を用いることができる。
上記親水性高分子固化物とは、上記のアルカリ型セルロース溶液中のセルロースを凝固・成形する工程で固化する親水性高分子に、上記蓄熱剤を包含させた上で固化したものである。この発明にかかるセルロース系蓄熱材を製造する際に、前記親水性高分子は上記蓄熱剤を包んだ後にアルカリ型セルロース溶液と混合され、セルロースを凝固・成形する工程で上記親水性高分子も固化させることで、上記セルロースの内部に、上記蓄熱剤を包含した上記親水性高分子固化物が含まれるセルロース系蓄熱材が得られ、この固化した親水性高分子によって上記蓄熱剤がしみ出すのを食い止める効果が発揮される。このような挙動を示す上記親水性高分子としては、具体的には、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチンなどが挙げられる。ただし、ホルムアルデヒドを遊離しないものである必要がある。
この発明にかかるセルロース系蓄熱材は、粒状物であると、製造しやすく、また、蓄熱材として使用しやすいので好ましい。粒状物である場合、体積メジアン径での平均粒径が、0.1mm以上であると好ましく、0.5mm以上であるとより好ましい。0.1mm未満であると粒径が小さすぎて、含有させられる炭化水素化合物の量が少なく、蓄熱材として効率が悪くなってしまうとともに、ボードなどに成形する際に、粒子同士を固着したりする造粒工程などの二次工程が必要になってしまう。一方で、体積メジアン径での平均粒径は10mm以下であると好ましく、5mm以下であるとより好ましい。10mmを超えると、粒径が大きすぎるために実際の使用の際に充填密度が低下してしまったりするなど、扱いにくくなってしまう。なお、前記の平均粒径を測定する方法は、3mm以下であれば例えばレーザー回折式粒度分布測定装置で測定する方法が挙げられ、3mm以上では例えば標準篩で篩い分けて測定する方法が挙げられる。
この発明にかかるセルロース系蓄熱材は、上記蓄熱剤を20重量%以上含むと好ましく、30重量%以上含むとより好ましい。20重量%未満であると、体積及び重量当たりの蓄熱量が十分ではなく、実用上問題となる場合がある。一方で70重量%以下であると好ましく、60重量%以下であるとより好ましい。70重量%を超えると、上記蓄熱剤が多すぎてセルロース系蓄熱材が形状を維持するのが難しくなる場合がある。
この発明にかかるセルロース系蓄熱材の製造方法としては、以下のような手順による方法が挙げられる。
まず、上記蓄熱剤を、界面活性剤とともに水中に添加して乳化分散させる。このとき、上記蓄熱剤として併用する他の成分がある場合は、同時に水中に分散させる。このようにして得られた乳化液に、上記親水性高分子の水溶液を混合して分散液を得る。あるいは、上記蓄熱剤を界面活性剤と共に親水性高分子の水溶液に直接添加し、乳化分散することで分散液を得る。このように得られた分散液中では、上記炭化水素化合物の液滴のほとんどが、混合された上記親水性高分子によって包まれた油滴として分散している。この分散液にアルカリ型セルロース溶液を混合してアルカリ型セルロース溶液混合液を得る。
このアルカリ型セルロース溶液混合液を、ノズルから押し出して、上記親水性高分子を固化させる物質を含む酸性水溶液へ滴下することによって、上記アルカリ型セルロース溶液混合液中のセルロースが凝固して、粒状物が得られる。このとき同時に、上記親水性高分子が固化しつつ、凝固したセルロースの粒子内に取り込まれるため、上記親水性高分子によって周囲を囲まれていた上記蓄熱剤は、セルロースと上記親水性高分子固化物とによって包含され、この発明にかかるセルロース系蓄熱材が得られる。
なお、上記酸性水溶液の種類としては、塩酸、リン酸、硫酸などの溶液が挙げられる。上記酸性水溶液の濃度は、0.1〜5Nであることが望ましい。0.1N未満であると上記アルカリ型セルロース溶液の凝固に長時間を必要としてしまう。一方、5Nを越えると、セルロースの酸加水分解が激しくなりすぎ、得られるセルロース系蓄熱材の強度低下が著しいので望ましくない。また、上記酸性水溶液には、上記親水性高分子を固化させるために、例えば上記親水性高分子としてアルギン酸ナトリウムを使用した場合は、塩化カルシウムなどの2価以上のカチオンを有する物質を添加し、アルギン酸ナトリウムをカルシウムイオンなどにより架橋させて水不溶にする必要がある。また、上記親水性高分子としてポリビニルアルコールを使用した場合には、固化させる物質としてホウ砂が使用できる。
また、上記の界面活性剤としては一般的な界面活性剤を用いることができるが、上記アルカリ型セルロース溶液や、親水性高分子水溶液に混合した段階で、これらがゲル化したり増粘したりしない非イオン系の界面活性剤を主体としたものが好ましい。
上記のノズルの口径は、0.2mm以上であると好ましく、一方で20mm以下であると好ましい。0.2mm未満であると、細すぎてノズル自体が詰まりやすくなってしまい、生産性が悪い。また、20mmを超えると球状粒子とならず、粒度分布も広いものとなってしまう。なお、上記の範囲でこのノズルの口径を変えることで、得られるセルロース系蓄熱材の粒径を調整することができる。
この製造方法を用いる際に、これらの物質の配合比としては、上記蓄熱剤100重量部に対して、上記親水性高分子は10重量部以上であると好ましく、20重量部以上であるとより好ましい。10重量部未満であると上記蓄熱剤を包含するのに不十分となり、得られるセルロース系蓄熱材が上記親水性高分子によってしみ出すのを防止する効果が不十分となるおそれがある。一方で、100重量部以下であると好ましく、90重量部以下であると好ましい。100重量部を超えても特に弊害はないが、蓄熱剤の含有率が低くなりすぎて、その分、得られるセルロース系蓄熱材の蓄熱量が低くなってしまう。
また、上記のアルカリ型セルロース溶液中に含まれるセルロース分は、上記蓄熱剤100重量部に対して、10重量部以上であると好ましく、20重量部以上であるとより好ましい。10重量部未満であると、骨格となるセルロースが不足しすぎてしまい、セルロース系蓄熱材の形状が維持できなくなるおそれがある。一方で100重量部以下であると好ましく、90重量部以下であるとより好ましい。100重量部を超えても特に弊害はないが、蓄熱剤の含有率が低くなりすぎて、その分、得られるセルロース系蓄熱材の蓄熱量が低くなってしまう。
また、上記アルカリ型セルロース溶液中のセルロース濃度は、2重量%以上、15重量%以下であると好ましい。セルロース濃度が2重量%より低いと、得られるセルロース系蓄熱材の強度が低下しすぎてしまう。一方、15重量%より多いと、上記混合水溶液の粘度が高くなり、液滴状にするのが困難になる場合がある。
このようにして得られるセルロース系蓄熱材の表面を、樹脂で表面コーティングすると、上記蓄熱剤がしみ出すことをさらに強固に防ぐことができるとともに、物理的強度を上げて破損しにくくすることができる。このようなコーティング蓄熱材を得るのに用いる前記樹脂としては、ポリオレフィン樹脂以外の樹脂であって、かつガスバリア性の高い樹脂が使用でき、具体的には例えば、ポリアクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリルなどの合成樹脂や、セラック、キチン、キトサン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、セルロース誘導体などの天然樹脂などが挙げられる。また、表面コーティングする方法としては、パン型コーティング装置、流動コーティング装置などを使用し、粒子を転動あるいは流動させながら樹脂溶液を噴霧・乾燥してコーティングする方法が挙げられる。
この発明に係るセルロース系蓄熱材の具体的な用途としては、例えば、安価な夜間電力により予め加熱又は冷却を行っておき電力の高い昼間の暖房又は冷房として熱を放出又は吸収する蓄熱材としてビル内の冷暖房施設に組みこむ用途や、樹脂製の袋に詰めて家庭用冷凍庫で冷却したものを、飲料や食品等のための保冷剤に用いたり、保冷枕として用いたりすることや、逆に、蓄熱材を暖めて保温材として使用する用途などが挙げられる。
これらの場合に用いる最適な炭化水素としては、保冷用途としては融点が−5℃から36℃のパラフィン(パラフィン炭素数がC13〜C20)、保温用途では融点が36℃〜90℃のパラフィン(パラフィン炭素数がC20〜C48)が主に使用される。
具体的な使用方法としては、この発明に係るセルロース系蓄熱材の粒状物を、別の樹脂に埋め込む方法、容器に充填する方法、枕の充填材のように布袋や樹脂袋に入れる方法などが挙げられる。
以下、実施例によりこの発明をより詳細に説明する。まず、用いる材料について説明する。
・ノルマルパラフィン(蓄熱剤)……ナカライテスク(株)製:n−オクタデカン、融点28℃、炭素数18、融解熱240J/g
・界面活性剤……花王(株)製:レオドールTW−0106V
・アルギン酸ナトリウム(親水性高分子)……ナカライテスク(株)製
・ポリビニルアルコール(親水性高分子)……(株)クラレ製:PVA124(表中「PVA」と表記する。)
・塩酸(1N)……ナカライテスク(株)製
・ホウ砂……ナカライテスク(株)製
・塩化カルシウム(凝固剤)……ナカライテスク(株)製
・ビスコース……レンゴー(株)製(セルロース濃度9.5%)
・アクリル重合体エマルジョン(樹脂)……ジョンソンポリマー(株)製:ジョンクリル840(樹脂濃度30%)
・セラック(樹脂)……岐阜セラック製作所(株)製:GSN(エタノール溶液、樹脂濃度20%)
・セロファン粉末……レンゴー(株)製:セロファンPT#300粉砕物(30メッシュ)
・水酸化ナトリウム……ナカライテスク(株)製
(実施例1)
ノルマルパラフィン7.5gを、界面活性剤0.5gを含む水17.5gに乳化させた。この乳化液と、5%アルギン酸ナトリウム水溶液50g(アルギン酸ナトリウム:2.5g)を混合し、次いで、アルカリ型セルロース溶液としてビスコースを使用し、ビスコース52.6g(セルロース分:5.0g)を混合した。このビスコース混合液を、口径2mmのノズルから1Nの塩酸(5重量%の塩化カルシウムを含む。)中に滴下し、ビスコースを凝固再生させた後に、水洗、乾燥して、平均粒径3mmの粒状物を得た。
(熱量分析)
得られたセルロース系蓄熱材の25℃前後における蓄熱量を、示差走査熱量分析(DSC)計((株)リガク製:DSC8230B)で測定し、ノルマルパラフィンが含有されて蓄熱材として機能しているか否かを確認した。その結果を表1に示す。
Figure 2007145946
(ブリードアウト分析)
得られたセルロース系蓄熱材を、融点である25℃の上下温度である40℃と10℃との間で20サイクルの温度変化をさせて、容器へノルマルパラフィンの付着量を観測して、以下のように分類し、しみ出し(ブリードアウト)の抑制度を評価した。その結果を表1に示す。
○……容器への付着無し
△……僅かに容器への付着あり
×……容器への付着多
(実施例2)
実施例1において、5%アルギン酸ナトリウム水溶液を5%ポリビニルアルコール水溶液に変更し、また、1Nの塩酸中に含有される塩化カルシウムを3%ホウ砂に変更した以外は実施例1と同様の工程により、平均粒径3mmの粒状物を得て、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例3)
セロファン粉末を7.8重量%の水酸化ナトリウム水溶液に、4℃の環境でホモジナイザーを用いて溶解させ、セルロース濃度が5%のアルカリ型セルロース溶液であるセルロース水酸化ナトリウム水溶液を得た。実施例1において、ビスコースをこのセルロース水酸化ナトリウム水溶液100gに変更した以外は、実施例1と同様の工程で、平均粒径3mmの粒状物を得て、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例4)
ノルマルパラフィンの量を7.5gから12.5gに増やした以外は実施例1と同様の手順によりセルロース系蓄熱材を得て、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例4で得られた粒状物をパン型コーティング装置((株)畑鉄工所製:HC−200型)に投入し、続いて、樹脂であるアクリル重合体エマルジョン3gを添加し、粒子表面をコーティング後、水分を乾燥させた。このコーティング蓄熱材について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例5において、アクリル重合体エマルジョンを、セラックを20重量%含有するエタノール溶液4.5gに変更した以外は、実施例5と同様の工程でコーティング蓄熱材を得て、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例1)
ノルマルパラフィン7.5gを、界面活性剤0.5gを含む水17.5gに乳化させた。この乳化液にビスコース78.9g(セルロース分:7.5g)を混合したものを、実施例1と同様にノズルから滴下してセルロースを凝固再生させて粒状物を得た。この粒状物について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(結果)
親水性高分子を用いなかった比較例1ではノルマルパラフィンがしみ出したが、親水性高分子を含有させた実施例1及び2ではノルマルパラフィンのしみ出しは見られなかった。また、アルカリ型セルロース溶液としてセルロース水酸化ナトリウム水溶液を使用した実施例3でも同様の結果が得られた。ノルマルパラフィンの含有量を増やした実施例4では、僅かなしみ出しが見られたが、これを水系アクリル樹脂でコーティングした実施例5及び天然樹脂でコーティングした実施例6では、しみ出しを完全に防ぐことができた。
また、実施例1乃至6のいずれも、測定温度範囲でノルマルパラフィンの融解潜熱により高い蓄熱量を示した。

Claims (6)

  1. セルロースの内部に、固体と液体との相変化を起こしうる少なくとも1種類の炭化水素化合物を主成分とする蓄熱剤を包含した親水性高分子固化物が含まれるセルロース系蓄熱材。
  2. 上記炭化水素化合物が、融点が−5℃以上90℃以下であるノルマルパラフィン、イソパラフィン、又はシクロパラフィンである、請求項1に記載のセルロース系蓄熱材。
  3. 平均粒径が0.1mm以上、20mm以下である、請求項1又は2に記載のセルロース系蓄熱材。
  4. 請求項1又は3に記載のセルロース系蓄熱材の表面を、樹脂によって表面コーティングした、コーティング蓄熱材。
  5. 上記蓄熱剤を水中に乳化分散させた乳化液に親水性高分子の水溶液を混合するか、又は、上記蓄熱剤を親水性高分子の水溶液に直接乳化分散させることで分散液を得、この分散液にアルカリ型セルロース溶液を混合した後、その混合物中のセルロースを凝固させると共に前記親水性高分子を固化させることで、セルロースの内部に上記蓄熱剤を包含した上記親水性高分子固化物が含まれる上記セルロース系蓄熱材を製造する、請求項1乃至3のいずれかに記載のセルロース系蓄熱材の製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法で得られたセルロース系蓄熱材の表面を、樹脂によって表面コーティングする、コーティング蓄熱材の製造方法。
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