JP2004058465A - 被服材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、外気温が高過ぎたり低過ぎたりしても、人間が快適と感じられる体温を長時間安定化せしめることが可能で、通常の布帛と全く同じ風合いと着心地を醸し出すことが可能な被服材料を提供する。
【解決手段】被服材料の外側に断熱材層、人体側に蓄熱材を内包するマイクロカプセルが担持された蓄熱材層を組み合わせる。断熱材層の熱伝導率は0.01〜0.1kcal/m・hr・degの範囲の繊維層が好ましい。蓄熱材層は、蓄熱材を内包するマイクロカプセルの組成物が塗工又は含浸された蓄熱性を有するシート等が用いられる。蓄熱材の融点は18〜38℃の脂肪族炭化水素化合物、エステル化合物が好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】被服材料の外側に断熱材層、人体側に蓄熱材を内包するマイクロカプセルが担持された蓄熱材層を組み合わせる。断熱材層の熱伝導率は0.01〜0.1kcal/m・hr・degの範囲の繊維層が好ましい。蓄熱材層は、蓄熱材を内包するマイクロカプセルの組成物が塗工又は含浸された蓄熱性を有するシート等が用いられる。蓄熱材の融点は18〜38℃の脂肪族炭化水素化合物、エステル化合物が好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は極めて保温性能に優れる被服材料に関するものであり、本発明の被服材料を身につけることにより本被服材料を構成する蓄熱材層に体温を蓄熱したり放熱することにより人体の皮膚温が適温に安定するため、特に冬場の寒冷時に外気温度が大きく低下しても快適に感じられる被服材料を提供することが可能となる。
【0002】
【従来の技術】
繊維に蓄熱性能や保温性能を保持させる方法として、特開平1−132816号公報では周期律表第4族に属する遷移金属の炭化物粉末を溶融紡糸する方法や、特開平8−170218号公報ではフタロシアニン化合物を含有した繊維の提案が成されている。また、特開平6−200417号公報では鞘部が熱可塑性重合体、芯部が潜熱蓄熱材から成る複合繊維が衣料用に適した蓄熱材入り繊維が提案されている。しかしながらこれらの方法ではかなりのコストアップにつながるばかりか風合いや着心地の点で充分なものは得られなかった。
【0003】
また、人体から発する熱を蓄えたり放熱することを防いだりする目的で、繊維自体に蓄熱材を内包したマイクロカプセルを塗工または含浸した布帛類の提案がなされている(特開昭64−85374号、特開平9−78470号、同10−295407号公報等)。このような布帛類を用いたジャケット、手袋、ブーツ等は蓄熱性があるために保温性に優れた効果を発揮するものであり、人体より発する熱をカプセル内の蓄熱材に蓄えることにより体温調節機能を意図するものである。
【0004】
その中で蓄熱材を内包するマイクロカプセルが合成ポリマーの中に練り込まれた繊維が特公平5−55607号公報で提案されており可逆的熱貯蔵性を示すと記載されている。しかしながら、充分な強度を有する繊維にするためには合成ポリマー中に練り込まれるマイクロカプセルの含有比率も自ずと低い割合に成らざるを得ず、結果的に蓄熱性能の乏しい繊維しか得られなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、外気温が高過ぎたり低過ぎたりしても、人間が快適と感じられる体温を長時間安定化せしめることが可能で、通常の布帛と全く同じ風合いと着心地を醸し出すことが可能な被服材料を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、被服材料の外側に断熱材層、人体側に蓄熱材を内包するマイクロカプセルが担持された蓄熱材層とを組み合わせることにより達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の被服材料は基本的に断熱材層と蓄熱材層とから構成される。本発明でいう断熱材層とは外界から皮膚への熱の進入を阻止する機能を有する層を意味し、空気(風)の進入を直接遮断したり、熱の対流及び伝導を阻止する効果をもたらす金属層、繊維層または樹脂層を意味する。具体的な素材としてアルミ、銅、金、銀等の金属フィルムや樹脂製のフィルムが遮断性良好な材料として挙げられるが、被服材料としては風合いや着心地に難点があるため柔軟性に富む軽量の空気及び水分を遮断する繊維素材を用いることが好ましい。
【0008】
また、ガラスウール等の空気を多く孕んだ繊維は建築材料の断熱材としても使用されており、本発明の断熱材層としても使用できる。通常断熱性を評価する数値として熱伝導率が用いられる。本発明で用いられる断熱材層の好ましい熱伝導率は、0.01〜0.1kcal/m・hr・deg、更に好ましくは0.01〜0.05kcal/m・hr・degの範囲に設定される。
【0009】
熱伝導率の測定法は定常法と非定常法の2種があり、更に定常法としては絶対測定法、比較測定法があり、非定常法としてフラッシュ法、熱線法、QTM法等に分類されるが本発明では、細線加熱法式を用いた京都電子工業(株)製熱伝導率計、QTM−500型を用いて熱伝導率を測定した。尚、測定は室温20℃、相対湿度65%の雰囲気内で行い、試料は水分を極力除去した状態で測定した。断熱材層を構成する材料の具体例として、発泡ポリウレタン樹脂、発泡ポリスチレン樹脂、発泡ポリエチレン樹脂、羊毛、羽毛、ガラス繊維、岩綿などが使用可能である。
【0010】
本発明の被服材料を構成する蓄熱材層として、1.蓄熱材を内包するマイクロカプセルの組成物が塗工又は含浸された蓄熱性を有するシート、2.蓄熱材を内包するマイクロカプセルを含む繊維分散液を湿式抄紙法でシート状に加工して得られる蓄熱性を有するシート、3.1.または2.の蓄熱性を有するシートを、幅0.1〜40mmの範囲に裁断し、その1本又は複数本を撚り合わせて得られる糸を編んで得られる織物の何れか一種、または二種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
【0011】
1.のマイクロカプセルの塗工又は含浸の工程で用いられる支持体としては、アクリル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、ビニロン繊維、ポリウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、アセテート繊維、キュプラ繊維、レーヨン繊維、セルロース繊維等の合成又は天然素材及び皮革類が用いられる。必要であれば表面を樹脂や撥水剤で覆ったり熱処理しても良い。これらのシートの厚みは特に限定はされないが、織物に加工し更に被服材料まで加工した場合に剛直感がなく着心地の良い感触が得られるためになるべく薄く、しかもしなやかな素材を用いることが好ましい。具体的には厚みが5〜100μm、好ましくは10〜30μmのセルロース繊維を用いた支持体が好ましい。この範囲以下であると強度に乏しく塗工又は含浸操作が困難になるため好ましくない。
【0012】
これらのシートにマイクロカプセルを塗工又は含浸する装置としては、エアーナイフコーター、ブレードナイフコーター、カーテンコーターなどの紙塗工用のコーターを用いてシートの片面又は両面に塗工したり、ディップコーター、ロールコーター等の含浸が可能なコーターを用いて支持体全体に含浸してもも良い。乾燥は熱風乾燥、高周波乾燥などの加熱手段が用いられ、マイクロカプセルや支持体に劣化を与えない程度の温度で乾燥される。これらの装置を用いてマイクロカプセルを水系又は溶剤系で塗工または含浸されるが、マイクロカプセルを粉体化した後、固形状態でシートに添着させることも可能である。
【0013】
支持体に塗工又は含浸されるマイクロカプセルの固形重量は、支持体の厚みにも影響されるが、1〜100g/m2、好ましくは5〜50g/m2の範囲で塗工又は含浸される。この範囲以下であると蓄熱性能に乏しく、この範囲以上であると撚糸操作が困難になったり織物の風合いに悪影響を与えるため好ましくない。
【0014】
支持体に塗工又は含浸する際には必要であればマイクロカプセルとともに適当なバインダーが添加される。使用されるバインダーの具体例としては、結着能及び皮膜形成能を有する従来より公知の天然高分子物質、天然高分子変性品(半合成品)、及び合成品を用いることができる。バインダーに用いる天然高分子物質としては、でんぷん類、ゼラチン、カゼイン等、半合成品としては、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶化でんぷんの様な酸分解でんぷん、また、合成品としては、ポリビニルアルコール、アクリル酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、及びビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体の親水性高分子や、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレンブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、アクリル酸メチルブタジエン共重合体、及びエチレン酢酸ビニル共重合体等のラテックス類等が挙げられるがポリウレタン樹脂が比較的柔らかく且つ臭いがなく接着性も強いので特に好ましい。
【0015】
2.の湿式抄紙法でシートに蓄熱材を内包するマイクロカプセルを含有させる方法としては、パルプや合成繊維等の繊維を水に分散した容器に蓄熱材を内包するマイクロカプセルを投入し攪拌した後、紙パルプ技術タイムス2000年版臨時増刊:224〜227頁に記載されているような一般的に湿式抄紙で使用されるカチオン系またはアニオン系の歩留向上剤を単独または併用で適量添加することにより蓄熱材を内包するマイクロカプセルがパルプや合成繊維とフロックを形成し、抄造の際に白水と共に流出することを抑え、シートに良好に留めることが出来る。
【0016】
2.のシートは、一般紙や湿式不織布を製造するための抄紙機、例えば、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜ワイヤー式抄紙機などの湿式抄紙機で製造できる。乾燥には、シリンダードライヤー、スルードライヤー、赤外線ドライヤーなどの乾燥機を用いることができる。
【0017】
2.のシートを湿式抄紙法で作製する場合、蓄熱材を内包するマイクロカプセルと併用できるシートの原料は、有機繊維、無機繊維、粉体等水に分散できるものであれば何でも可能であるが、シートとして柔軟性等を考慮すると有機繊維の中でも草木類からなる繊維が好ましい。草木類からなる繊維としてはケナフ、バガス、竹、わら、綿、麻(亜麻、ラミー)、木材パルプ等が挙げられる。また、耐水性、引っ張り強度等を付与するために、草木類以外の動物繊維としての絹、羊毛などの繊維、再生繊維としてのレーヨン、キュプラ、半合成繊維としてのアセテート、トリアセテート、プロミックス、合成繊維としてのナイロン、アクリル、ビニロン、ビニリデン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ベンゾエート、ポリクラール、フェノール系などの繊維も必要に応じて配合できる。
【0018】
なお、本発明においては、古紙、損紙などから得られるパルプ繊維も含まれる。また、本発明に使用できる繊維には必要に応じて高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ(商品名:メルテイ4080:ユニチカ社製)やビニロンバインダー繊維(VPB107×1:クラレ社製)などの熱水溶融タイプなど各種のバインダーを用いることができる。
【0019】
2.のシートの抄紙後の厚みは特に限定はされないが、織物に加工し、更に被服材料まで加工した場合に剛直感がなく着心地の良い感触が得られるためになるべく薄く、しかもしなやかに加工することが好ましい。具体的には厚みが5〜100μm、好ましくは10〜30μmの範囲が好ましい。また、シート中に保持されるマイクロカプセルの固形質量は、シートの厚みにも影響されるが、1〜100g/m2、好ましくは5〜50g/m2の範囲で抄き込まれる。この範囲以下であると蓄熱性能に乏しく、この範囲以上であると撚糸操作が困難になったり織物の風合いに悪影響を与えるため好ましくない。
【0020】
3.の織物は上記1.と2.のシートを撚糸して糸に加工し、更にその糸を織り上げることにより得られる。1.と2.のシートを用いて糸を撚る方法としては特に限定されないが、一例としては、1.または2.手法で得られたシートを約0.1〜40mm、好ましくは0.5〜20mm幅の短冊状に裁断し、そのシート片を1m当り、300〜2000回撚る方法があり、この方法により強靱さが増した糸を作ることが可能となる。この場合撚り合わせる短冊状シートは1種類だけでなく、異なった種類のマイクロカプセルを含有する複数の短冊状シートと組み合わせて撚り上げても良い。
【0021】
織物は、上記1.と2.のシートを用いて作製した糸を用いて、縦方向の糸と横方向の糸が一定の規則的なルールで組み合わされた布帛状の構造物を意味する。通常縦糸と横糸の太さは用途や糸の性質により変化し冬用及び強度を有するものであれば太めの糸を、夏向き及び薄手の風合いが必要であれば細目の糸が用いられる。縦糸と横糸は、のり付け、整経、たて巻、管巻き、製織の各工程を経て織物製品が完成する。本発明の織物は通常の横編み機、丸編み機、ラッシェル機、トリコット編み機等の織物産業で用いられている各種織機を用いて目的に応じた太さ、長さに加工される。
【0022】
蓄熱材をマイクロカプセル化する方法としては、複合エマルジョン法によるカプセル化法(特開昭62−1452号公報)、蓄熱材粒子の表面に熱可塑性樹脂を噴霧する方法(同62−45680号公報)、蓄熱材粒子の表面に液中で熱可塑性樹脂を形成する方法(同62−149334号公報)、蓄熱材粒子の表面でモノマーを重合させ被覆する方法(同62−225241号公報)、界面重縮合反応によるポリアミド皮膜マイクロカプセルの製法(特開平2−258052号公報)等に記載されている方法を用いることができる。
【0023】
カプセル膜材としては特に限定されないが、界面重合法、インサイチュー法等の手法で得られる、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアクリルアミド、エチルセルロース、ポリウレタン、アミノプラスト樹脂、またゼラチンとカルボキシメチルセルロース若しくはアラビアゴムとのコアセルベーション法を利用した合成あるいは天然の樹脂が用いられるが、物理的、化学的に安定で、脂肪族系炭化水素化合物でも良好な品質のマイクロカプセルが得られるインサイチュー法による尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂皮膜を用いたマイクロカプセルが特に好ましい。マイクロカプセル分散液のpHは特に限定されないが10以下が好ましい。
【0024】
本発明で用いられる蓄熱材の融点は18〜37℃の範囲が好ましく、特に人体の皮膚温度付近の25〜37℃付近に設定されることが特に好ましく、具体的には、炭素数が約16〜25までのノルマルパラフィン、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどのアルコール化合物、ステアリン酸等のカルボン酸化合物、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸ミリスチル等のエステル化合物等が挙げられるが、特に融解熱量が80kJ/kg以上の脂肪族炭化水素化合物、エステル化合物が特に好ましい蓄熱材として挙げられる。
【0025】
マイクロカプセルの粒子径の設定は、乳化剤の種類、界面活性剤の濃度、乳化時の乳化液の温度、乳化比(水相と油相の体積比率)、乳化機、分散機等の微粒化装置の種類や運転条件(攪拌回転数、時間等)を変更することにより所望の値に設定することができるが、糸に撚り合わせた場合に破壊が少ないように1〜10μmの範囲に設定することが好ましい。本発明の粒子径は、ベックマンコールター社製コールターカウンター、マルチサイザーを用いて測定した体積平均粒子径を示す。
【0026】
かくして得られた断熱材層と蓄熱材層を併せ持つ被服材料は、外気温度が大きく変化しても保温性に優れ極めて快適性に優れた被服材料となる。本発明の被服材料は、各種防寒具、帽子、下着、セーター、ズボン等の被服材料や靴の中敷きなどに加工される。
【0027】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。実施例中の部数は固形質量部を表す。また、融点及び融解熱量は示差熱熱量計(米国パーキンエルマー社製、DSC−7型)を用いて測定した。
【0028】
実施例1
蓄熱材マイクロカプセルの製法
メラミン粉末12部に37%ホルムアルデヒド水溶液15.4部と水40部を加え、pHを8に調整した後、約70℃まで加熱してメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を得た。pHを4.5に調整した10%スチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100部中に、蓄熱材として、ノルマルオクタデカン70部とノルマルノナデカン10部の混合液(融点約30℃)を激しく撹拌しながら添加し、粒子径が3.0μmになるまで乳化を行なった。得られた乳化液に、上記メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液全量を添加し70℃で2時間撹拌を施した後、pHを9まで上げて水を添加して乾燥固形分濃度40%の蓄熱材マイクロカプセル分散液を得た。
【0029】
次ぎに2m3の分散タンクに予め水を1m3投入し、木材パルプ(NBKP:カナダ標準濾水度480ml)、マニラ麻、及び上記マイクロカプセル分散液Aを各々の固形比率が35:35:30になるように混合し、分散濃度1.0%で30分間分散した後、市販のカチオン系歩留向上剤を添加し、円網抄紙機で乾燥質量で25g/m2のウェブを抄造し、表面温度130℃のシリンダードライヤーで乾燥してシートを作製した。作製したシートを10枚重ねにして本発明の蓄熱材層を得た。
【0030】
次ぎに厚み0.2mmのナイロン繊維と5mmの発泡ポリウレタンシート(熱伝導率0.032kcal/m・hr・deg)を貼り合わせて本発明の断熱材層を得、ポリウレタンシート面と上記蓄熱材層を貼り合わせて被服材料を得た。この被服材料を用いて手袋に加工したところ寒冷地では暖かく、しかも動き回って体温が上昇しても手のひら面は発汗することもなく快適な感覚を長時間得ることができた。
【0031】
実施例2
蓄熱材としてミリスチン酸ミリスチル(融点40℃、融解熱量176kJ/kg)80部に多価イソシアネートとしてポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(住友バイエルウレタン(株)製芳香族イソシアネート、商品名44V20)10部を50℃で溶解した蓄熱材を、5%(w/w)ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、商品名ポバール117)水溶液100部中に体積平均粒子径が8μmになるまで室温で強攪拌を施した。次にこの乳化液に3%ジエチレントリアミン水溶液60部を添加した後65℃で加熱と攪拌を1時間施してポリウレア皮膜を有する固形分濃度40%のミリスチン酸ミリスチルのマイクロカプセル分散液を得た。
【0032】
このマイクロカプセル分散液を、坪量12g/m2のセルロース繊維シートにエアーナイフコーターを用いて10g/m2の塗工シートを得た。この塗工シートを幅4mm幅に短冊状に裁断し、1m当り1100回の撚りを入れてマイクロカプセルとセルロース繊維から成る糸が得られた。更にこの糸を平織りすることにより本発明の蓄熱材層を得た。この織物を無圧状態で約10mmになるまで重ね上げ本発明の蓄熱層を得た。次ぎに断熱材層として、厚み1mmの合成皮革と上記蓄熱材層の間に熱伝導率0.041kcal/m・hr・degの羊毛を挟み込み、防寒服用の被服材料を得た。この被服材料を用いて防寒具に加工したところ寒冷地では暖かく、しかも動き回って体温が上昇しても快適な感覚を長時間得ることができた。
【0033】
【発明の効果】
実施例からも明らかなように、本発明の被服材料を身につけることにより本被服材料を構成する蓄熱材層に体温を蓄熱したり放熱することにより人体の皮膚温が適温に安定するため、特に冬場の寒冷時に外気温度が大きく低下しても快適に感じられる被服材料を提供することが可能となった。
【発明の属する技術分野】
本発明は極めて保温性能に優れる被服材料に関するものであり、本発明の被服材料を身につけることにより本被服材料を構成する蓄熱材層に体温を蓄熱したり放熱することにより人体の皮膚温が適温に安定するため、特に冬場の寒冷時に外気温度が大きく低下しても快適に感じられる被服材料を提供することが可能となる。
【0002】
【従来の技術】
繊維に蓄熱性能や保温性能を保持させる方法として、特開平1−132816号公報では周期律表第4族に属する遷移金属の炭化物粉末を溶融紡糸する方法や、特開平8−170218号公報ではフタロシアニン化合物を含有した繊維の提案が成されている。また、特開平6−200417号公報では鞘部が熱可塑性重合体、芯部が潜熱蓄熱材から成る複合繊維が衣料用に適した蓄熱材入り繊維が提案されている。しかしながらこれらの方法ではかなりのコストアップにつながるばかりか風合いや着心地の点で充分なものは得られなかった。
【0003】
また、人体から発する熱を蓄えたり放熱することを防いだりする目的で、繊維自体に蓄熱材を内包したマイクロカプセルを塗工または含浸した布帛類の提案がなされている(特開昭64−85374号、特開平9−78470号、同10−295407号公報等)。このような布帛類を用いたジャケット、手袋、ブーツ等は蓄熱性があるために保温性に優れた効果を発揮するものであり、人体より発する熱をカプセル内の蓄熱材に蓄えることにより体温調節機能を意図するものである。
【0004】
その中で蓄熱材を内包するマイクロカプセルが合成ポリマーの中に練り込まれた繊維が特公平5−55607号公報で提案されており可逆的熱貯蔵性を示すと記載されている。しかしながら、充分な強度を有する繊維にするためには合成ポリマー中に練り込まれるマイクロカプセルの含有比率も自ずと低い割合に成らざるを得ず、結果的に蓄熱性能の乏しい繊維しか得られなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、外気温が高過ぎたり低過ぎたりしても、人間が快適と感じられる体温を長時間安定化せしめることが可能で、通常の布帛と全く同じ風合いと着心地を醸し出すことが可能な被服材料を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、被服材料の外側に断熱材層、人体側に蓄熱材を内包するマイクロカプセルが担持された蓄熱材層とを組み合わせることにより達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の被服材料は基本的に断熱材層と蓄熱材層とから構成される。本発明でいう断熱材層とは外界から皮膚への熱の進入を阻止する機能を有する層を意味し、空気(風)の進入を直接遮断したり、熱の対流及び伝導を阻止する効果をもたらす金属層、繊維層または樹脂層を意味する。具体的な素材としてアルミ、銅、金、銀等の金属フィルムや樹脂製のフィルムが遮断性良好な材料として挙げられるが、被服材料としては風合いや着心地に難点があるため柔軟性に富む軽量の空気及び水分を遮断する繊維素材を用いることが好ましい。
【0008】
また、ガラスウール等の空気を多く孕んだ繊維は建築材料の断熱材としても使用されており、本発明の断熱材層としても使用できる。通常断熱性を評価する数値として熱伝導率が用いられる。本発明で用いられる断熱材層の好ましい熱伝導率は、0.01〜0.1kcal/m・hr・deg、更に好ましくは0.01〜0.05kcal/m・hr・degの範囲に設定される。
【0009】
熱伝導率の測定法は定常法と非定常法の2種があり、更に定常法としては絶対測定法、比較測定法があり、非定常法としてフラッシュ法、熱線法、QTM法等に分類されるが本発明では、細線加熱法式を用いた京都電子工業(株)製熱伝導率計、QTM−500型を用いて熱伝導率を測定した。尚、測定は室温20℃、相対湿度65%の雰囲気内で行い、試料は水分を極力除去した状態で測定した。断熱材層を構成する材料の具体例として、発泡ポリウレタン樹脂、発泡ポリスチレン樹脂、発泡ポリエチレン樹脂、羊毛、羽毛、ガラス繊維、岩綿などが使用可能である。
【0010】
本発明の被服材料を構成する蓄熱材層として、1.蓄熱材を内包するマイクロカプセルの組成物が塗工又は含浸された蓄熱性を有するシート、2.蓄熱材を内包するマイクロカプセルを含む繊維分散液を湿式抄紙法でシート状に加工して得られる蓄熱性を有するシート、3.1.または2.の蓄熱性を有するシートを、幅0.1〜40mmの範囲に裁断し、その1本又は複数本を撚り合わせて得られる糸を編んで得られる織物の何れか一種、または二種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
【0011】
1.のマイクロカプセルの塗工又は含浸の工程で用いられる支持体としては、アクリル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、ビニロン繊維、ポリウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、アセテート繊維、キュプラ繊維、レーヨン繊維、セルロース繊維等の合成又は天然素材及び皮革類が用いられる。必要であれば表面を樹脂や撥水剤で覆ったり熱処理しても良い。これらのシートの厚みは特に限定はされないが、織物に加工し更に被服材料まで加工した場合に剛直感がなく着心地の良い感触が得られるためになるべく薄く、しかもしなやかな素材を用いることが好ましい。具体的には厚みが5〜100μm、好ましくは10〜30μmのセルロース繊維を用いた支持体が好ましい。この範囲以下であると強度に乏しく塗工又は含浸操作が困難になるため好ましくない。
【0012】
これらのシートにマイクロカプセルを塗工又は含浸する装置としては、エアーナイフコーター、ブレードナイフコーター、カーテンコーターなどの紙塗工用のコーターを用いてシートの片面又は両面に塗工したり、ディップコーター、ロールコーター等の含浸が可能なコーターを用いて支持体全体に含浸してもも良い。乾燥は熱風乾燥、高周波乾燥などの加熱手段が用いられ、マイクロカプセルや支持体に劣化を与えない程度の温度で乾燥される。これらの装置を用いてマイクロカプセルを水系又は溶剤系で塗工または含浸されるが、マイクロカプセルを粉体化した後、固形状態でシートに添着させることも可能である。
【0013】
支持体に塗工又は含浸されるマイクロカプセルの固形重量は、支持体の厚みにも影響されるが、1〜100g/m2、好ましくは5〜50g/m2の範囲で塗工又は含浸される。この範囲以下であると蓄熱性能に乏しく、この範囲以上であると撚糸操作が困難になったり織物の風合いに悪影響を与えるため好ましくない。
【0014】
支持体に塗工又は含浸する際には必要であればマイクロカプセルとともに適当なバインダーが添加される。使用されるバインダーの具体例としては、結着能及び皮膜形成能を有する従来より公知の天然高分子物質、天然高分子変性品(半合成品)、及び合成品を用いることができる。バインダーに用いる天然高分子物質としては、でんぷん類、ゼラチン、カゼイン等、半合成品としては、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶化でんぷんの様な酸分解でんぷん、また、合成品としては、ポリビニルアルコール、アクリル酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、及びビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体の親水性高分子や、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレンブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、アクリル酸メチルブタジエン共重合体、及びエチレン酢酸ビニル共重合体等のラテックス類等が挙げられるがポリウレタン樹脂が比較的柔らかく且つ臭いがなく接着性も強いので特に好ましい。
【0015】
2.の湿式抄紙法でシートに蓄熱材を内包するマイクロカプセルを含有させる方法としては、パルプや合成繊維等の繊維を水に分散した容器に蓄熱材を内包するマイクロカプセルを投入し攪拌した後、紙パルプ技術タイムス2000年版臨時増刊:224〜227頁に記載されているような一般的に湿式抄紙で使用されるカチオン系またはアニオン系の歩留向上剤を単独または併用で適量添加することにより蓄熱材を内包するマイクロカプセルがパルプや合成繊維とフロックを形成し、抄造の際に白水と共に流出することを抑え、シートに良好に留めることが出来る。
【0016】
2.のシートは、一般紙や湿式不織布を製造するための抄紙機、例えば、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜ワイヤー式抄紙機などの湿式抄紙機で製造できる。乾燥には、シリンダードライヤー、スルードライヤー、赤外線ドライヤーなどの乾燥機を用いることができる。
【0017】
2.のシートを湿式抄紙法で作製する場合、蓄熱材を内包するマイクロカプセルと併用できるシートの原料は、有機繊維、無機繊維、粉体等水に分散できるものであれば何でも可能であるが、シートとして柔軟性等を考慮すると有機繊維の中でも草木類からなる繊維が好ましい。草木類からなる繊維としてはケナフ、バガス、竹、わら、綿、麻(亜麻、ラミー)、木材パルプ等が挙げられる。また、耐水性、引っ張り強度等を付与するために、草木類以外の動物繊維としての絹、羊毛などの繊維、再生繊維としてのレーヨン、キュプラ、半合成繊維としてのアセテート、トリアセテート、プロミックス、合成繊維としてのナイロン、アクリル、ビニロン、ビニリデン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ベンゾエート、ポリクラール、フェノール系などの繊維も必要に応じて配合できる。
【0018】
なお、本発明においては、古紙、損紙などから得られるパルプ繊維も含まれる。また、本発明に使用できる繊維には必要に応じて高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ(商品名:メルテイ4080:ユニチカ社製)やビニロンバインダー繊維(VPB107×1:クラレ社製)などの熱水溶融タイプなど各種のバインダーを用いることができる。
【0019】
2.のシートの抄紙後の厚みは特に限定はされないが、織物に加工し、更に被服材料まで加工した場合に剛直感がなく着心地の良い感触が得られるためになるべく薄く、しかもしなやかに加工することが好ましい。具体的には厚みが5〜100μm、好ましくは10〜30μmの範囲が好ましい。また、シート中に保持されるマイクロカプセルの固形質量は、シートの厚みにも影響されるが、1〜100g/m2、好ましくは5〜50g/m2の範囲で抄き込まれる。この範囲以下であると蓄熱性能に乏しく、この範囲以上であると撚糸操作が困難になったり織物の風合いに悪影響を与えるため好ましくない。
【0020】
3.の織物は上記1.と2.のシートを撚糸して糸に加工し、更にその糸を織り上げることにより得られる。1.と2.のシートを用いて糸を撚る方法としては特に限定されないが、一例としては、1.または2.手法で得られたシートを約0.1〜40mm、好ましくは0.5〜20mm幅の短冊状に裁断し、そのシート片を1m当り、300〜2000回撚る方法があり、この方法により強靱さが増した糸を作ることが可能となる。この場合撚り合わせる短冊状シートは1種類だけでなく、異なった種類のマイクロカプセルを含有する複数の短冊状シートと組み合わせて撚り上げても良い。
【0021】
織物は、上記1.と2.のシートを用いて作製した糸を用いて、縦方向の糸と横方向の糸が一定の規則的なルールで組み合わされた布帛状の構造物を意味する。通常縦糸と横糸の太さは用途や糸の性質により変化し冬用及び強度を有するものであれば太めの糸を、夏向き及び薄手の風合いが必要であれば細目の糸が用いられる。縦糸と横糸は、のり付け、整経、たて巻、管巻き、製織の各工程を経て織物製品が完成する。本発明の織物は通常の横編み機、丸編み機、ラッシェル機、トリコット編み機等の織物産業で用いられている各種織機を用いて目的に応じた太さ、長さに加工される。
【0022】
蓄熱材をマイクロカプセル化する方法としては、複合エマルジョン法によるカプセル化法(特開昭62−1452号公報)、蓄熱材粒子の表面に熱可塑性樹脂を噴霧する方法(同62−45680号公報)、蓄熱材粒子の表面に液中で熱可塑性樹脂を形成する方法(同62−149334号公報)、蓄熱材粒子の表面でモノマーを重合させ被覆する方法(同62−225241号公報)、界面重縮合反応によるポリアミド皮膜マイクロカプセルの製法(特開平2−258052号公報)等に記載されている方法を用いることができる。
【0023】
カプセル膜材としては特に限定されないが、界面重合法、インサイチュー法等の手法で得られる、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアクリルアミド、エチルセルロース、ポリウレタン、アミノプラスト樹脂、またゼラチンとカルボキシメチルセルロース若しくはアラビアゴムとのコアセルベーション法を利用した合成あるいは天然の樹脂が用いられるが、物理的、化学的に安定で、脂肪族系炭化水素化合物でも良好な品質のマイクロカプセルが得られるインサイチュー法による尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂皮膜を用いたマイクロカプセルが特に好ましい。マイクロカプセル分散液のpHは特に限定されないが10以下が好ましい。
【0024】
本発明で用いられる蓄熱材の融点は18〜37℃の範囲が好ましく、特に人体の皮膚温度付近の25〜37℃付近に設定されることが特に好ましく、具体的には、炭素数が約16〜25までのノルマルパラフィン、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどのアルコール化合物、ステアリン酸等のカルボン酸化合物、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸ミリスチル等のエステル化合物等が挙げられるが、特に融解熱量が80kJ/kg以上の脂肪族炭化水素化合物、エステル化合物が特に好ましい蓄熱材として挙げられる。
【0025】
マイクロカプセルの粒子径の設定は、乳化剤の種類、界面活性剤の濃度、乳化時の乳化液の温度、乳化比(水相と油相の体積比率)、乳化機、分散機等の微粒化装置の種類や運転条件(攪拌回転数、時間等)を変更することにより所望の値に設定することができるが、糸に撚り合わせた場合に破壊が少ないように1〜10μmの範囲に設定することが好ましい。本発明の粒子径は、ベックマンコールター社製コールターカウンター、マルチサイザーを用いて測定した体積平均粒子径を示す。
【0026】
かくして得られた断熱材層と蓄熱材層を併せ持つ被服材料は、外気温度が大きく変化しても保温性に優れ極めて快適性に優れた被服材料となる。本発明の被服材料は、各種防寒具、帽子、下着、セーター、ズボン等の被服材料や靴の中敷きなどに加工される。
【0027】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。実施例中の部数は固形質量部を表す。また、融点及び融解熱量は示差熱熱量計(米国パーキンエルマー社製、DSC−7型)を用いて測定した。
【0028】
実施例1
蓄熱材マイクロカプセルの製法
メラミン粉末12部に37%ホルムアルデヒド水溶液15.4部と水40部を加え、pHを8に調整した後、約70℃まで加熱してメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を得た。pHを4.5に調整した10%スチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100部中に、蓄熱材として、ノルマルオクタデカン70部とノルマルノナデカン10部の混合液(融点約30℃)を激しく撹拌しながら添加し、粒子径が3.0μmになるまで乳化を行なった。得られた乳化液に、上記メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液全量を添加し70℃で2時間撹拌を施した後、pHを9まで上げて水を添加して乾燥固形分濃度40%の蓄熱材マイクロカプセル分散液を得た。
【0029】
次ぎに2m3の分散タンクに予め水を1m3投入し、木材パルプ(NBKP:カナダ標準濾水度480ml)、マニラ麻、及び上記マイクロカプセル分散液Aを各々の固形比率が35:35:30になるように混合し、分散濃度1.0%で30分間分散した後、市販のカチオン系歩留向上剤を添加し、円網抄紙機で乾燥質量で25g/m2のウェブを抄造し、表面温度130℃のシリンダードライヤーで乾燥してシートを作製した。作製したシートを10枚重ねにして本発明の蓄熱材層を得た。
【0030】
次ぎに厚み0.2mmのナイロン繊維と5mmの発泡ポリウレタンシート(熱伝導率0.032kcal/m・hr・deg)を貼り合わせて本発明の断熱材層を得、ポリウレタンシート面と上記蓄熱材層を貼り合わせて被服材料を得た。この被服材料を用いて手袋に加工したところ寒冷地では暖かく、しかも動き回って体温が上昇しても手のひら面は発汗することもなく快適な感覚を長時間得ることができた。
【0031】
実施例2
蓄熱材としてミリスチン酸ミリスチル(融点40℃、融解熱量176kJ/kg)80部に多価イソシアネートとしてポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(住友バイエルウレタン(株)製芳香族イソシアネート、商品名44V20)10部を50℃で溶解した蓄熱材を、5%(w/w)ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、商品名ポバール117)水溶液100部中に体積平均粒子径が8μmになるまで室温で強攪拌を施した。次にこの乳化液に3%ジエチレントリアミン水溶液60部を添加した後65℃で加熱と攪拌を1時間施してポリウレア皮膜を有する固形分濃度40%のミリスチン酸ミリスチルのマイクロカプセル分散液を得た。
【0032】
このマイクロカプセル分散液を、坪量12g/m2のセルロース繊維シートにエアーナイフコーターを用いて10g/m2の塗工シートを得た。この塗工シートを幅4mm幅に短冊状に裁断し、1m当り1100回の撚りを入れてマイクロカプセルとセルロース繊維から成る糸が得られた。更にこの糸を平織りすることにより本発明の蓄熱材層を得た。この織物を無圧状態で約10mmになるまで重ね上げ本発明の蓄熱層を得た。次ぎに断熱材層として、厚み1mmの合成皮革と上記蓄熱材層の間に熱伝導率0.041kcal/m・hr・degの羊毛を挟み込み、防寒服用の被服材料を得た。この被服材料を用いて防寒具に加工したところ寒冷地では暖かく、しかも動き回って体温が上昇しても快適な感覚を長時間得ることができた。
【0033】
【発明の効果】
実施例からも明らかなように、本発明の被服材料を身につけることにより本被服材料を構成する蓄熱材層に体温を蓄熱したり放熱することにより人体の皮膚温が適温に安定するため、特に冬場の寒冷時に外気温度が大きく低下しても快適に感じられる被服材料を提供することが可能となった。
Claims (7)
- 外側に断熱材層、人体側に蓄熱材を内包するマイクロカプセルが担持された蓄熱材層とが組み合わされた被服材料。
- 蓄熱材の融点が18〜38℃である請求項1記載の被服材料。
- 断熱材層が、熱伝導率0.01〜0.1kcal/m・hr・degの範囲の繊維層から成る請求項1記載の被服材料。
- 蓄熱材層が、蓄熱材を内包するマイクロカプセルの組成物が塗工又は含浸された蓄熱性を有するシートである請求項1記載の被服材料。
- 蓄熱材層が、蓄熱材を内包するマイクロカプセルを含む繊維分散液を湿式抄紙法でシート状に加工して得られる蓄熱性を有するシートである請求項1記載の被服材料。
- 蓄熱材層が、請求項3記載または請求項4記載の蓄熱性を有するシートを、幅0.1〜40mmの範囲に短冊状に裁断し、その1本又は複数本を撚り合わせて得られる糸を編んで得られる織物である請求項1記載の被服材料。
- 蓄熱材が、脂肪族炭化水素化合物、及び、又はエステル化合物である請求項1記載の被服材料。
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