JPWO2018079848A1 - 風味増強剤 - Google Patents
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Abstract
Description
また、これらの成分に比べてコク味付与効果が強い成分として、γ-Glu-Val-Gly等のγ−グルタミルペプチド(特許文献1)を、天然物の抽出物等からコク味を有する成分として高濃度に分離、または化学的に合成し、飲食品に添加する方法が報告されている。
また特許文献1及び5に示されるγ−グルタミルペプチドは、アミノ酸の選択によって差はあるものの、コク味と共に苦味や収斂味も感じられる場合がある。そのため、単に量的にコク味を付与するだけでは、飲食品の種類や添加量によっては呈味バランスが合わず、飲食品本来の呈味を活かせない場合がある。
すなわち本発明は、飲食品の風味、特に「コク」を付与できる新たな風味増強剤を提供することを目的とするものである。
(1)下記成分(A)及び(B)を含む、風味増強剤、
(A)γ−グルタミルペプチド
(B)三糖以上のオリゴ糖
(2)成分(A)が、γ-Glu-Xnの構造で表されるものである、前記(1)記載の風味増強剤(なお、Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導体、XnはXがn個結合した配列を表し、nは1〜7の整数とする。また、nが2以上の場合、Xは異なる種類のアミノ酸又はアミノ酸誘導体であってもよい。)、
(3)成分(A)中のXnのnが1〜4の整数である、前記(2)記載の風味増強剤、
(4)成分(B)の単糖の結合数が3〜10である、前記(1)〜(3)の何れか1項記載の風味増強剤、
(5)成分(B)の単糖の結合数が3〜7である、前記(1)〜(3)の何れか1項記載の風味増強剤、
(6)砂糖の甘味度を100とした場合における、成分(B)の甘味度が40以下である、前記(1)〜(5)の何れか1項記載の風味増強剤、
(7)成分(A)の含量に対する成分(B)の含量の重量比率が、0.001〜50000である、前記(1)〜(6)の何れか1項記載の風味増強剤、
(8)成分(A)中のXnのnが1〜3の整数である、前記(2)、(4)〜(7)の何れか1項記載の風味増強剤、
(9)成分(A)中のXnのnが1又は2の整数である、前記(2)、(4)〜(7)の何れか1項記載の風味増強剤、
(10)前記(1)〜(9)の何れか1項記載の成分(A)及び(B)を飲食品組成物中に添加することを特徴とする、風味が増強された飲食品組成物の製造方法、
(11)成分(A)が、飲食品組成物中の含量として0.1〜1000ppmとなるように添加される、前記(10)記載の風味が増強された飲食品組成物の製造方法、
(12)成分(B)が、飲食品組成物中の含量として1〜5000ppmとなるように添加される、前記(10)又は(11)記載の風味が増強された飲食品組成物の製造方法、
(13)前記(1)〜(9)の何れか1項記載の成分(A)及び(B)を飲食品組成物に添加することを特徴とする、飲食品組成物の風味増強方法、
(14)前記(1)〜(9)の何れか1項記載の成分(A)及び/又は(B)の、豆類からの抽出方法であって、豆類に対して、豆類の水分が所定含量となるように吸水させた状態で、マイクロ波加熱処理もしくは100℃を超える加熱処理を行うか、又は、豆類の水分が所定含量となるように、100℃を超える加湿加熱処理を行い、該加熱処理後の豆類から水性溶媒で該成分(A)及び/又は(B)を抽出することを特徴とし、該所定含量が8〜55重量%である、抽出方法。
なお、発明において、量比(濃度等)は、特記しない限り重量を基準とする比率である。すなわち、例えば「%」は特記しない限り「重量%(w/w)」を、「ppm」は特記しない限り「ppm(w/w)」を示す。また、本発明において、ある成分の「喫食時の濃度」とは、当該成分を含有する飲食品を喫食する際の、当該飲食品における当該成分の濃度をいう。
本発明において「風味増強剤」とは、風味を増強する作用のある剤をいう。ここで本発明において「風味」とは「呈味」と「香り」が合わさって感じる味をいう。本発明の風味増強剤は、呈味として特に人の嗜好性にプラスに作用しやすい甘味、塩味又はうま味などを増強すると共に、香りも増強する作用があり、呈味を増強することは「コク味を付与する」ことと同義であり、風味を増強することは「コクを付与する」ことと同義である。よって、本発明の風味増強剤は、「コク付与剤」と称することもできる。
本発明において、成分(A)はγ−グルタミルペプチドであり、構造的にはγ-Glu-Xnの構造式で表される。
本発明ではγ−グルタミルペプチドの中でも、特性として呈味増強作用を有するγ−グルタミルペプチドが風味増強剤として好ましい。対象とするγ−グルタミルペプチドが呈味増強作用を有するか否かは、官能評価法によって判定することができる。すなわち、下記実施例に記載の通り、各サンプルを口に含んだ直後(0秒後)の「呈味」の強さ(先味)から10秒後にかけての「呈味」の強さ(後味)がコントロールサンプルに比べて高ければ、呈味増強効果を有すると判定することができる。
共通する特性として呈味性を有するものであれば、「X」の種類や「n」の数は限定されるものではないが、具体例として「n」の数は1〜7の範囲を選択することができ、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、あるいは1〜2の範囲を選択することもできる。
本発明において、成分(B)は三糖以上のオリゴ糖である。オリゴ糖は、複数の単糖がグリコシド結合することで生じる糖類オリゴマーの総称である。通常は結合数の上限は10以下であり、本発明においては好ましくは8以下、より好ましくは7以下である。
もちろんこれらのオリゴ糖に限られるものではなく、同様の作用効果を示す他のオリゴ糖を用いることができる。なお、本発明における成分(B)は、天然物中に存在するものであってもよく、または微生物や酵素、酸やアルカリ等の化学薬品を用いて生成したものでもよい。
かかる範囲のオリゴ糖は適宜選択できるが、例えばフラクトオリゴ糖(約30)、ガラクトオリゴ糖(約30)、イソマルトオリゴ糖(約40)、キシロオリゴ糖(約35)、ラフィノース(約20)などである。
ただし、上記に示したオリゴ糖の甘味度は一例であり、オリゴ糖の混合物は製品の種類によって甘味度に差があるため、例えばフラクトオリゴ糖の各製品の中から甘味度が好ましい製品を選択できる。
なお、単一のオリゴ糖ではなく、市販品のフラクトオリゴ糖や水あめなどの三糖以上を含むオリゴ糖混合物を用いる場合、甘味度は混合物としての甘味度とする。
本発明の風味増強剤は、上記成分(A)及び(B)のみからなるものであってもよく、さらに成分(C)として他の成分を含むものであってもよい。成分(C)は、経口可能なものであれば特に制限されない。また成分(C)は、1種の成分であってもよいし、2種またはそれ以上の成分であっても良い。
より好ましくは、該重量比率を、例えば0.001〜50000とすることができ、さらに好ましくは0.1〜500とすることができる。
本発明の別の態様は、成分(A)及び成分(B)を飲食品組成物中に添加することを特徴とする、呈味が増強された飲食品組成物の製造方法である。
本発明の別の態様は、成分(A)及び(B)を飲食品組成物に添加することを特徴とする、飲食品組成物の風味増強方法である。
本発明において、γ-グルタミルペプチドとオリゴ糖との併用による風味増強作用の有無は、官能評価法によって判定することができる。すなわち、下記実施例に記載の通り、各サンプルを口に含んだ直後(0秒後)の口中の香りの強さから10秒後にかけての口中の香りの強さがコントロールサンプルに比べて高ければ、「香り」が高まったと判断し、これと同時に前記した官能評価法により呈味増強作用も有している場合は、風味増強作用を有すると判定することができる。
上述した通り、本発明の風味増強剤の有効成分である、成分(A)や成分(B)のような水溶性成分は、天然物から水性溶媒で抽出し、その抽出物、濃縮物や単離物を用いることもできる。ただしその場合、工業的には天然物から成分(A)や成分(B)のような水溶性成分を簡便かつ安価に、できるだけ多く抽出することが重要となってくる。
そこで本発明者らは、天然物から成分(A)や成分(B)等の水溶性成分を様々な条件で抽出し、その濃度を検討する中で、成分(A)や成分(B)を効率的かつ簡便に抽出する方法を見出した。以下に、その具体的態様について述べる。
豆類としては特に限定されず、大豆、ルピン、エンドウ、ソラマメ、緑豆、小豆、インゲンマメ、落花生等を挙げることができる。豆類は予め脱皮、脱胚、圧偏、スライス、粗砕、粉砕、搾油等の物理的処理や、ヘキサンによる脱脂等の化学的処理がされているものを用いても良い。
上記の豆類中の所定の水分含量は8〜55重量%であることが好ましく、より好ましくは9〜50重量%、10〜45重量%、10〜40重量%、10〜35重量%、10〜30重量%の範囲を選択することができ、下限値としては11重量%、12重量%、13重量%、14重量%又は15重量%を選択することもでき、上限値としては25重量%、又は20重量%を選択することもできる。豆類中の水分含量が少な過ぎると、水性溶媒で抽出される水溶性成分(A)又は(B)の量が少なくなる傾向となる。また豆類中の水分含量が多すぎても、同様の傾向となる。
本態様によれば、豆類から効率的に抽出される水溶性成分は、成分(A)や成分(B)に必ずしも限られず、グルタミン酸などの遊離アミノ酸など、他の水溶性成分も同様に効率的に抽出できる。
本態様における加熱処理は、豆類中の水分含量が上記所定含量にある状態で行われることが重要である。加熱処理の方式は、マイクロ波加熱、乾熱加熱、加湿加熱等を用いることができる。
本試験例では、γ-Glu-Tyrと各種オリゴ糖を単独で使用した場合と併用した場合についての呈味増強効果の有無を、下記試験方法により検証した。γ-Glu-Tyrは、BACHEM社製の試薬を用いた。オリゴ糖として、和光純薬工業(株)製のラフィノース(三糖、甘味度約20%)およびスタキオース(四糖、甘味度約30%)、Santa Cruz Biotechnology社製のマルトトリオース(三糖、甘味度約33%)、マルトテトラオース(四糖、甘味度約22%)、マルトペンタオース(五糖、甘味度約20%)およびマルトヘキサオース(六糖、甘味度約20%)など、市販の製品を用いた。コントロールサンプルへの各成分の添加濃度は、γ-Glu-Tyrを20ppm、各オリゴ糖を200ppmとした。
○評価サンプルの調製
グルタミン酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)、イノシン−5’−リン酸(Sigma-Aldrich社製)、及び塩化ナトリウムの混合水溶液を、うま味と塩味を有するコントロールサンプル(無添加)とした。各試薬の濃度は、グルタミン酸ナトリウム0.02%、イノシン−5’−リン酸0.01%、塩化ナトリウム0.5%とした。このコントロールサンプルに対して、γ-Glu-Tyrと各種糖類を所定の濃度で添加し、試験サンプルを調製した。
試験サンプルを口に含んだ直後(0秒後)、5秒後、10秒後の呈味の強さに関して、熟練したパネル3名に依頼し、以下の官能評価を実施した。
呈味強度を測定するため、全長100mmのラベルドマグニチュードスケールを用いて評価した。すなわち、スケール下端からの距離(mm)を味強度とし、スケール下端から100mm(上端)に位置する部分を「想像出来うる限り最も強い味」として、各パネラーが感じた味強度をスケール上に記録させた。コントロールサンプルの「0秒後」、「5秒後」、「10秒後」の味の強さを、スケール上の「50mm」、「40mm」、「30mm」として各パネラーに評価させ、パネラー3名の採点結果の平均値を各試験区の呈味の強さとして表した。そして、コントロールサンプルに比べて試験サンプルの点数が高い場合に、添加した成分は呈味増強効果(コク味付与効果)があると判断した。
結果を表1−1、表1−2に示した。
ところが、表1−2に示した通り、γ-Glu-Tyrと、単独使用では効果を示さなかった上記オリゴ糖を併用すると、三糖以上ではγ-Glu-Tyrを単独で使用した場合よりも、顕著な呈味増強効果が認められた。また三糖以上のオリゴ糖の中では、三糖よりも四糖、五糖及び六糖の呈味増強効果がより強く認められた。これは一般に単糖の結合数が増えるほど甘味度が小さくなることから、一定程度までは甘味度が低いほど呈味増強効果が強くなることが示唆される。また三糖の中ではパノースが四糖並みの呈味増強効果を示した。一方、二糖の場合はいずれの種類を併用しても呈味増強効果を示さなかった。
本試験例では、試験例1と同様の試験方法を用い、三糖以上の糖類を種々の濃度でγ-Glu-Tyrと併用し、呈味増強効果に関して検証を行った。各成分の添加濃度と結果は表2に示した通りである。
本試験例では、試験例1と同様の試験方法を用い、γ-Glu-Tyrを種々の濃度で三糖以上のオリゴ糖と併用した場合の呈味増強効果に関して検証を行った。各成分の添加濃度と結果は表3に示した通りである。
本実施例では、試験例1と同様の試験方法を用い、各種γ−グルタミルペプチドとラフィノースを併用した場合の呈味増強効果に関して検証した。γ−グルタミルペプチドとしては、γ-Glu-Tyrに加えて、γ-Glu-Phe(渡辺化学工業(株)製)、グルタチオンであるγ-Glu-Cys-Gly(和光純薬工業(株)製)を用いた。これらのγ−グルタミルペプチドは何れも呈味性を有するものである。各成分の添加濃度と結果は表4に示した通りである。
本試験例では、市販の粉末状スープ対して、γ-Glu-Tyrとラフィノースを併用して添加した場合の呈味増強効果に関して検証した。
市販の固形チキンコンソメスープ(味の素(株)製)を1キューブあたり300mlのお湯で調製し、これをコントロールサンプルとする。このコントロールサンプルに対して、γ-Glu-Tyrとラフィノースを所定の濃度で添加し、試験サンプルを調製した。得られた試験サンプルを試験例1と同様の方法にて呈味についての官能評価を実施した。また併せて香りについての官能評価を下記の方法にて実施した。各成分の添加濃度と官能評価結果は表5に示した通りである。
試験サンプルを口に含んだ直後(0秒後)、5秒後、10秒後の香りの強さに関して、熟練したパネル3名に依頼し、以下の官能評価を実施した。
香り強度を測定するため、全長100mmのラベルドマグニチュードスケールを用いて評価した。すなわち、スケール下端からの距離(mm)を香り強度とし、スケール下端から100mm(上端)に位置する部分を「想像出来うる限り最も強い香り」として、各パネラーが感じた香り強度をスケール上に記録させた。コントロールサンプルの「0秒後」、「5秒後」、「10秒後」の香りの強さを、スケール上の「50mm」、「40mm」、「30mm」として各パネラーに評価させ、パネラー3名の採点結果の平均値を各試験区の香りの強さで表した。そして、コントロールサンプルに比べて試験サンプルの点数が高い場合に、添加した成分は香りの増強効果があると判断し、さらに、呈味と香りの両方について増強効果が認められた場合には、風味増強効果(コク付与効果)があると判断した。
本比較例では、γ-Glu-Tyrと併用した場合の呈味増強効果に関して、試験例1と同様の方法により、三糖以上のオリゴ糖と単糖、二糖、多糖との比較検証を行った。単糖はグルコース、二糖はスクロース、多糖はペクチン(いずれも和光純薬工業(株)製)を用いた。各成分の添加濃度と結果は表6に示した通りである。
γ-Glu-Tyrと単糖、二糖、及び多糖を併用した場合、三糖以上のオリゴ糖を併用した場合に認められた呈味増強効果がなく、γ-Glu-Tyrをコントロールサンプルに添加した場合と同程度の呈味の強さしか示さなかった。
7種類の豆類(大豆、ソラマメ、エンドウ、緑豆、アズキ、インゲンマメ)を粉砕して得られた粉砕物25mgに対して、2mLのアセトニトリル:水(1:1)混合溶液を加え、超音波処理を10分間行い、水溶性成分を抽出した。得られた処理液を10,000×g、10分間で遠心分離して不溶物を除去し、上清をアセトニトリル:水(1:1)混合溶液でさらに100倍希釈することにより、豆類抽出液を得た。これをHPLC-MSを用いて表7の条件で分析することにより、各種水溶性成分を検出した。分析結果を表8に示した。
次に、各抽出液に含まれていたγ-Glu-Tyr、γ-Glu-Phe、γ-Glu-Glu、γ-Glu-Valおよびγ-Glu-Leuについて、試験例5の条件に準じて風味増強効果を確認したところ、いずれも呈味と香りを増強していたことから、これらはいずれも風味増強効果を有していた。同様のγ−グルタミル構造を有するγ-Glu-S-Methyl-cysteine、γ-Glu-γ-Glu-S-Methyl-cysteine、γ-Glu-β-Phe-β-Ala、γ-Glu-Cys-β-Alaなども強度の差はあれ風味増強効果を有すると考えられる。
湿熱加圧加熱(AC)、マイクロ波加熱(MW)、乾熱加熱(DH)の各処理を施した加熱大豆を作成し、各加熱大豆サンプルを原料として水溶性成分を抽出し、定量することにより、加熱条件と水溶性成分の抽出量の関係を調査した。
なお、ACでは加熱処理時に大豆の重量の約5%相当の水が水蒸気により加水される(これを)ため、MW及びDHを行う大豆に関しては、加熱処理を施す前に、大豆重量あたり5%の水が加水されるように、霧吹きで大豆に対して水を噴霧し、3時間程度静置して水をなじませたものを加熱原料として用いた。
具体的には、各加熱大豆は表9記載のT2〜T13の条件で調製し、得られた各加熱大豆サンプルをミクロパウダー(ウエスト社製)を用いて粉末化した。
すなわち、試料2.0gに100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分間遠心分離し、上清1を得る。残った沈殿に再度100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分遠心分離し、上清2を得る。上清1および上清2を合わせ、さらに水を加えて250mlとする。No.5Aろ紙にてろ過したのち、ろ液の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素含量をケルダール法にて測定し、ろ液として回収された窒素(水溶性窒素)の試料中の全窒 素に対する割合を重量%として表したものをNSIとする。
試験例8より、加水大豆を加熱することにより、水溶性成分の抽出量が増加することが示唆されたため、大豆に対する加水量と加熱後の成分抽出量との関係を調査した。
具体的には、表10記載の条件で加熱処理前の大豆に所定量を加水し、MW処理(500W、30秒)を行った。得られた加熱大豆を室温で風乾し、水分含量が10%以下になった段階で、試験例8記載の方法で水溶性成分を抽出し、定量分析を行った。結果を表10に示した。
試験例8のT1(未加熱、加水率0%)、T3(AC処理、加水率5%、120℃×4分)、T7(MW処理、加水率5%、500W×30秒)のサンプルについて、Cryoユニット付走査型電子顕微鏡(Cryo-SEM;SU8239、日立製)を用い、大豆の加水状態での加熱処理に伴う大豆細胞構造の変化を観察した。各大豆サンプルを試料ホルダーに挟み、スラッシュ窒素中で急速凍結し、Cryoユニット内で割断した。その後、−95℃で10分間水分を昇華させ、割断面をイオンスパッターを用いてコーティングした。このサンプルに関して、1.5kVの加速電圧で観察した。結果を図1〜3に示した。
OB オイルボディ
PB プロテインボディ
Claims (14)
- 下記成分(A)及び(B)を含む、風味増強剤。
(A)γ−グルタミルペプチド
(B)三糖以上のオリゴ糖 - 成分(A)が、γ-Glu-Xnの構造で表されるものである、請求項1記載の風味増強剤(なお、Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導体、XnはXがn個結合した配列を表し、nは1〜7の整数とする。また、nが2以上の場合、Xは異なる種類のアミノ酸又はアミノ酸誘導体であってもよい。)。
- 成分(A)中のXnのnが1〜4の整数である、請求項2記載の風味増強剤。
- 成分(B)の単糖の結合数が3〜10である、請求項3記載の風味増強剤。
- 成分(B)の単糖の結合数が3〜7である、請求項3記載の風味増強剤。
- 砂糖の甘味度を100とした場合における、成分(B)の甘味度が40以下である、請求項5記載の風味増強剤。
- 成分(A)の含量に対する成分(B)の含量の重量比率が、0.001〜50000である、請求項6記載の風味増強剤。
- 成分(A)中のXnのnが1〜3の整数である、請求項7記載の風味増強剤。
- 成分(A)中のXnのnが1又は2の整数である、請求項7記載の風味増強剤。
- 請求項1記載の成分(A)及び(B)を飲食品組成物中に添加することを特徴とする、風味が増強された飲食品組成物の製造方法。
- 成分(A)が、飲食品組成物中の含量として0.1〜1000ppmとなるように添加される、請求項10記載の風味が増強された飲食品組成物の製造方法。
- 成分(B)が、飲食品組成物中の含量として1〜5000ppmとなるように添加される、請求項11記載の風味が増強された飲食品組成物の製造方法。
- 請求項1記載の成分(A)及び(B)を飲食品組成物に添加することを特徴とする、飲食品組成物の風味増強方法。
- 請求項1記載の成分(A)及び/又は(B)の、豆類からの抽出方法であって、
豆類に対して、
豆類の水分が所定含量となるように吸水させた状態で、マイクロ波加熱処理もしくは100℃を超える加熱処理を行うか、又は、
豆類の水分が所定含量となるように、100℃を超える加湿加熱処理を行い、
該加熱処理後の豆類から水性溶媒で該成分(A)及び/又は(B)を抽出することを特徴とし、
該所定含量が8〜55重量%である、抽出方法。
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