JPWO2018074269A1 - 固形分濃度管理方法及びトリクロロシランの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
Si+3HCl→SiHCl3+H2 (1)
Si+4HCl→SiCl4+2H2 (2)
3SiCl4+2H2+Si→4SiHCl3 (3)
例えば、特許文献1においては、金属シリコンに塩化水素を反応させてトリクロロシランを生成せしめる第1の製造プロセスと、金属シリコンにテトラクロロシラン及び水素を反応させてトリクロロシランを生成せしめる第2の製造プロセスとを、互いに独立したプロセスで含み、前記第1の製造プロセスにより得られたトリクロロシランを含む反応生成ガスから、該トリクロロシランを凝縮分離し、トリクロロシランが凝縮分離された後の排ガスを、水素源として第2の製造プロセスに供給することを特徴とするトリクロロシランの製造方法が記載されている。
前記トリクロロシランの製造方法は、主にテトラクロロシラン還元工程1と反応生成ガス処理工程2とを含み得る。
まず、原料である金属シリコンに、テトラクロロシラン及び水素を、反応装置等を用いて反応させる。本明細書においては、この反応が行われる工程をテトラクロロシラン還元工程1と称する。テトラクロロシラン還元工程1における主な反応は、下記式(3)で表される。
3SiCl4+2H2+Si→4SiHCl3 (3)
前記反応に用いられる金属シリコンとしては、冶金製金属シリコン、珪素鉄、或いはポリシリコン等の金属状態の珪素元素を含む固体物質が挙げられ、公知のものが何ら制限なく使用される。また、それら金属シリコンには鉄化合物等の不純物が含まれていてもよく、その成分及び含有量において特に制限はない。かかる金属シリコンとしては、通常、平均粒径が100〜300μm程度の微細な粉末の形態のものが使用される。
反応生成ガス7には、トリクロロシランの他に、未反応のテトラクロロシラン及び水素、その他のクロロシラン化合物、並びに集塵装置で除去できなかった金属シリコン粒子等が含まれ得る。また、上述のテトラクロロシラン還元工程1において原料として用いられる金属シリコンには、通常0.01〜10質量%のアルミニウム等の不純物が含まれ得る。そのため、反応生成ガス7には、塩化アルミニウム等が含まれ得る。従って、トリクロロシランの製造方法は、前記反応生成ガスからトリクロロシランを精製するために、反応生成ガスを更に処理する工程を含むことが好ましい。本明細書においては、この工程を反応生成ガス処理工程2と称する。
前記トリクロロシランの製造方法は、反応生成ガス処理工程2から得られた晶析前残渣8を冷却し、塩化アルミニウムの一部を晶析させる晶析工程3を含んでいてもよい。晶析工程3によって晶析された塩化アルミニウムは後の工程で加熱されても再溶解せずに固形分として安定した状態で存在する。また、晶析された塩化アルミニウムは再分散性も非常に良いため、残渣を滞らせることがなければリボイラー等に沈着して閉塞するトラブルを起こすことは殆どない。このように得られた晶析された塩化アルミニウムを含む残渣を、本明細書においては、晶析後残渣9と称する。
前記トリクロロシランの製造方法は、晶析工程から得られた残渣(晶析後残渣9)を加熱して濃縮する残渣濃縮工程5を含んでいてもよい。これにより、残渣に含まれる液体を蒸発させ、固形分をさらに濃縮することができる。すなわち、利用可能なクロロシラン化合物をさらに回収したうえで、残渣を廃棄することができる。このように濃縮した残渣を、本明細書においては、濃縮後残渣10と称する。
前記トリクロロシランの製造方法は、その製造過程で得られた残渣を排出する残渣排出工程6を含んでいてもよい。なお、残渣排出工程6へ送られる残渣は、図1では濃縮後残渣10を例示しているが、これに限られず、晶析前残渣8または晶析後残渣9であってもよい。残渣排出工程6は、例えば、残渣を廃棄ピット等の設備に送ることによって行われる。
本発明の一実施形態に係る固形分濃度管理方法は、金属シリコン、テトラクロロシラン及び水素を反応させてトリクロロシランを製造する方法(すなわち、上述のトリクロロシランの製造方法)において反応生成ガス処理工程により排出される残渣に含まれる固形分の濃度の管理方法であって、前記残渣を冷却して、当該残渣に含有される塩化アルミニウムの一部を晶析させる晶析工程によって得られた晶析後残渣に含まれる固形分の濃度を測定する濃度測定工程を含む。また、前記トリクロロシランの製造方法は、本発明の一実施形態に係る固形分濃度管理方法を一工程として含んでいることが好ましい。
濃度測定工程4は、晶析後残渣9に含まれる固形分の濃度を測定する工程である。すなわち、濃度測定工程4は、上述の晶析工程3の後に行われる。これにより、残渣に含まれる金属シリコン粒子とともに、晶析した塩化アルミニウムを含む固形分の濃度を測定することができる。例えば、反応装置における反応が正常に進行していない場合、または、集塵装置によって金属シリコン粒子が正常に除去されていない場合等には、固形分の濃度が上昇し得る。前記構成によれば、固形分濃度の上昇を素早く検知することができる。また、前記構成によれば、晶析後残渣9における固形分の濃度を把握しておくことによって、下流における残渣の濃度を正確に把握することができる。そのため、テトラクロロシランの回収率も向上させることができる。
前記濃度測定工程は、手動で行われてもよいが(手分析)、濁度計を用いて行われることが好ましい。濁度計による測定値と手分析による測定値とは相関することを本発明者らは見出した。これにより、濃度測定を自動化することができる。前記トリクロロシランの製造方法における配管は高圧になり得る。そのため、濃度測定を手分析で行う場合、サンプリング作業は危険を伴い、保護メガネ、防毒マスク、保護カッパ及びゴム手袋を着用する必要がある。濃度測定を自動化できれば、手分析による危険性及び労力を軽減することができる。また、リアルタイムでの濃度測定が可能である。
本発明の一実施形態は、以下のような構成であってもよい。
(テトラクロロシラン還元工程)
流動床式反応装置を使用し、純度98%、平均粒径150μmの金属シリコン粒子35質量部、平均粒径が150μmの、表面に銅シリサイド層を有する金属シリコン粒子6質量部を充填し、温度500℃、圧力0.7MPaGの条件下で、水素とテトラクロロシランとのモル比2.5:1の混合ガスを金属シリコン粒子の合計量100質量部に対して、43Nm3/Hrとなるように供給して流動化させて流動層を形成した。このときの珪素原子に対する銅原子の割合は6質量%であった。その後、銅シリサイド層を有しない金属シリコン粒子を、流動層粉面位置を一定に保つように逐次供給しながらさらに反応を継続させた。
上記反応により得られる反応生成ガスは、後の反応生成ガスの凝縮により得られる凝縮液の一部を循環してシャワー状に噴霧させて接触させることにより洗浄した。洗浄後の液は、シリコン微粉を含むクロロシラン液であった。該クロロシラン液に溶解した塩化アルミニウムの濃度は0.5質量%であった。この液を晶析前残渣(1)として晶析工程に供給した。
前記反応ガス処理工程で得られた晶析前残渣(1)と晶析前残渣(2)とを、ジャケット冷却方式の晶析槽に供給し、槽内の温度を10℃に調節して、塩化アルミニウムを析出させた。
前記晶析工程から残渣濃縮工程へ晶析後残渣を送る配管に、一部がガラス管により構成された分岐管を取り付けて分岐させ、濁度計サンプルラインを構成した。この濁度計サンプルラインに、透過光測定方式の自動計測濁度計(optek-Danulat社製:吸光式濁度計 AF16N)を設置して、配管内を通過する液の濁度を経時的に測定した。
前記テトラクロロシラン還元工程において、異常の無い定常運転時に測定される濁度は、正常値の1〜3質量%であったが、流動床式反応装置の流動層のレベルが上昇した際の濁度は、4質量%以上に上昇する。このように、濁度の経時的な測定により、前記流動床式反応装置の異常を検出できる。
2 反応生成ガス処理工程
3 晶析工程
4 濃度測定工程
5 残渣濃縮工程
6 残渣排出工程
7 反応生成ガス
8 晶析前残渣
9 晶析後残渣
10 濃縮後残渣
Claims (6)
- 金属シリコン、テトラクロロシラン及び水素を反応させてトリクロロシランを製造する方法において反応生成ガス処理工程により排出される残渣に含まれる固形分の濃度の管理方法であって、
前記残渣を冷却して、当該残渣に含有される塩化アルミニウムの一部を晶析させる晶析工程によって得られた晶析後残渣に含まれる固形分の濃度を測定する濃度測定工程を含むことを特徴とする固形分濃度管理方法。 - 前記濃度測定工程は、前記晶析後残渣を濃縮する残渣濃縮工程の前に行われることを特徴とする請求項1に記載の固形分濃度管理方法。
- 前記濃度測定工程は、濁度計を用いて行われることを特徴とする請求項1または2に記載の固形分濃度管理方法。
- 前記濁度計は、前記晶析後残渣を移送する配管とは分岐した配管に設けられることを特徴とする請求項3に記載の固形分濃度管理方法。
- 前記配管内の圧力は、100kPa(ゲージ圧)以上であることを特徴とする請求項4に記載の固形分濃度管理方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の固形分濃度管理方法を一工程として含むことを特徴とするトリクロロシランの製造方法。
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