JP5686055B2 - トリクロロシラン製造方法 - Google Patents
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Description
また、この転化反応で生じたガス中には、生成されるトリクロロシランの他に、未反応のテトラクロロシラン、水素が含まれているとともに、原料として用いた金属シリコンの粉末やその他金属シリコン中の不純物(Fe、Al、Ti、Ni等)が反応して生成された金属塩化物及びポリマーが含まれる。この金属塩化物のうち塩化アルミニウム(AlCl3)は、比較的昇華点が低く、配管閉塞や腐食の原因となる。そこで、転化反応ガスからトリクロロシランを回収する際の蒸留塔の塔底から塩化アルミニウム等を抜き出して処分しているとともに、転化炉から蒸留塔までの間の配管閉塞を防止するために、原料の金属シリコンにおけるアルミニウム濃度を一定量未満に管理している(特許文献2参照)。
粗蒸留塔の底部より抜き出した液には塩化アルミニウムが含まれており、濃度が高まっているため析出し易い。このため、粗蒸留塔の抜出し液、及び濃縮器の濃縮物をそれぞれ下方に流し落すように移送することにより、蒸留塔、濃縮器、乾燥器の間を連絡する配管内で詰まり等が生じにくくしている。
リボイラでは、粗蒸留塔から抜き出した液を加熱して粗蒸留塔に戻すことにより、粗蒸留塔との間で液を循環させるが、このとき加熱により液の一部が蒸発してガス化するため、残った液がリボイラ内で濃縮して塩化アルミニウムが析出するおそれがある。このため、導入液量の20%以上の循環液量を維持することにより、塩化アルミニウムの析出を抑えて溶解状態で循環させることができる。
図1は、トリクロロシラン製造装置の概略構成を示しており、図中、金属シリコンはMeSi、トリクロロシランはTCS、テトラクロロシランはSTC、水素はH2として表記している。
凝縮系6は、反応ガスをテトラクロロシラン液により洗浄しながら冷却する洗浄塔11、洗浄塔11からのガスをさらに冷却する冷却器12を備えており、冷却器12を経由した水素は原料ガスの一部として用いられ、冷却により生じた凝縮液は洗浄塔11に循環して反応ガスの洗浄に用いられる。この場合、凝縮系6は高圧に保持され、配管にスチーム配管を添わせたスチームトレースが用いられるなどにより、循環する凝縮液が後述する温度となるように維持される構成である。
また、粗蒸留塔13には残渣処理系8が接続されており、残渣処理系8には、塔底に残った塩化アルミニウムを含む液を抜き出して煮詰めることによりクロロシランを蒸発させる蒸発器16、この蒸発器16内でのクロロシランの蒸発により底部に溜まった濃縮物を乾燥させる乾燥器17が備えられている。この場合、これら粗蒸留塔13、蒸発器16、乾燥器17は垂直方向に並んで配置され、垂直配管18,19により接続されている。蒸発器16及び乾燥器17には、発生するクロロシラン蒸気を液化して二次蒸留塔15に送る凝縮器21が接続されている。
原料としては、金属シリコン、テトラクロロシラン、水素が用いられる。金属シリコンは、珪石(SiO2)を精錬して、純度98%程度にした粒状のシリコンである。
これらのうち、テトラクロロシランと水素とを含む混合ガスを転化炉2に供給する前に加熱する。まず、これらの混合ガスが、熱交換器5により、転化炉2で生成される反応ガスと熱交換され、その後、加熱器3により、例えば580℃以上の温度に加熱される。
一方、転化炉2内には金属シリコンが供給され、流動層を形成しており、加熱された混合ガスが転化炉2に供給されると、これらが反応してトリクロロシランを含む反応ガスが生成される。この場合、反応触媒として塩化銅(CuCl)などの銅系の触媒が用いられる。
前述したように転化反応工程で生成される転化反応ガスには、トリクロロシランの他に、未反応のテトラクロロシラン、水素が含まれているとともに、金属シリコンの微粉や金属シリコン中の不純物(Fe、Al、Ti、Ni等)が反応して生成された金属塩化物及び高次塩化珪素化合物からなるポリマーが含まれる。
このとき、洗浄塔11及び冷却器12、これらの間の配管内が高温に保持され、凝縮液は、洗浄塔11で75℃以上、冷却器12で40℃以上に維持される。
そして、粗蒸留塔13より留出した液は二次蒸留塔15に送られ、この二次蒸留塔15で蒸留され、トリクロロシラン、テトラクロロシランが回収され、テトラクロロシランは原料の一部として利用され、トリクロロシランは多結晶シリコン製造用に供される。
蒸留系7の粗蒸留塔13の塔底抜出し液は、垂直配管18を介して抜き出され、蒸発器16に送られる。蒸発器16では、スラリー状の残渣を煮詰めることによりクロロシランを蒸発させる。そのクロロシラン蒸気は、凝縮器21で液化され、粗蒸留塔13の留出液とともに二次蒸留塔15に供給され、蒸留される。一方、蒸発器16の底部には塩化アルミニウム等の固形物を含むスラリー状の液が濃縮されて溜まっており、その濃縮物が一定量溜まったら、下方の垂直配管19を介して乾燥器17に送られ、乾燥器17内で乾燥される。乾燥により生じた固形物は、スクリューフィーダ等の掻き出し装置によって掻き出され、処分される。また、この乾燥器17でもクロロシラン蒸気が発生し、そのクロロシラン蒸気も、蒸発器16からのクロロシラン蒸気と同様、凝縮器21で液化された後、粗蒸留塔13の留出液とともに二次蒸留塔15に供給され、蒸留される。
また、二次蒸留塔15の残渣はポリマーが主成分であり、排出されて分解等の処理がされる。
また、凝縮系6においては、凝縮液が洗浄塔11で75℃以上、冷却器12で40℃以上に維持されており、75℃での飽和溶解度が2.0質量%、40℃での飽和溶解度が0.5質量%に対して、凝縮液中の塩化アルミニウム濃度は、それより十分に低い値(洗浄塔11で0.007質量%、冷却器12で0.005質量%)であり、したがって、塩化アルミニウムは、凝縮液中に溶解状態に維持される。
最後は、乾燥器17で乾燥され、塩化アルミニウムを含む固形物がスクリューフィーダ等によって掻き出される。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
2 転化炉
3 加熱器
4 ダスト除去器
5 熱交換器
6 凝縮系
7 蒸留系
8 残渣処理系
11 洗浄塔
12 冷却器
13 粗蒸留塔
15 二次蒸留塔
16 蒸発器
17 乾燥器
18、19 垂直配管
20 リボイラ
21 凝縮器
Claims (3)
- 金属シリコンとテトラクロロシラン、水素を反応させて、その反応ガスを凝縮した後、その凝縮液を粗蒸留塔及び二次蒸留塔を有する蒸留系で蒸留してトリクロロシランを精製するトリクロロシラン製造方法において、前記凝縮液中の塩化アルミニウム濃度が飽和溶解度以下となるように40℃以上の高温状態に維持し、その高温状態に維持したまま前記凝縮液を前記粗蒸留塔まで流通させ、前記粗蒸留塔において留出する液を前記二次蒸留塔で蒸留してトリクロロシランを精製するとともに、前記粗蒸留塔の底部より塩化アルミニウムが濃縮した液を抜き出し、その抜出し液を濃縮、乾燥させて前記塩化アルミニウムを排出することを特徴とするトリクロロシラン製造方法。
- 前記抜出し液を濃縮、乾燥させる際に、前記粗蒸留塔から前記抜出し液を下方に流下させて濃縮器に供給し、さらに前記濃縮器の下方から濃縮物を下方に移送して乾燥器に供給することを特徴とする請求項1記載のトリクロロシラン製造方法。
- 前記粗蒸留塔のリボイラを循環液量が導入液量の20%以上となるように運転することを特徴とする請求項1又は2記載のトリクロロシラン製造方法。
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