JP4294387B2 - シリコンの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クロロシラン類と水素との反応によって多結晶シリコンを製造する方法に関する。より詳しくは、シリコン析出工程において発生する反応排ガス中に含まれるシリコン微粉を簡便に除去することにより、多結晶シリコンを効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体または太陽光発電用電池の原料として用いられる多結晶シリコンを製造する方法は種々知られている。たとえば、ベルジャー内部に配置されたシリコン棒の表面を加熱し、これにトリクロロシラン(SiHCl3;以下、TCSともいう)、モノシラン(SiH4)などのクロロシラン類と、水素等の還元性ガスとを含むシリコン析出用原料ガスを接触させて多結晶シリコンを析出させるシーメンス法と呼ばれる方法などが挙げられる。
【0003】
上記シーメンス法は、高純度なシリコンが得られることを特徴としており、最も一般的な方法として実施されているが、析出がバッチ式であるため、種となるシリコン棒の設置、通電加熱、析出、冷却、取り出し、ベルジャーの洗浄などの極めて煩雑な手順を行なわなければならないという問題点がある。
【0004】
また、従来のシーメンス法などにおいては、安定してシリコンの析出を行うため、通常900〜1250℃、実質的には900〜1150℃の温度で行われている。しかしながら、このような温度範囲においては、シリコンの析出反応に伴って化学的に極めて安定なテトラクロロシラン(SiCl4;以下、STCともいう)が多く副生するため、シリコン析出反応の効率が著しく低下する。
【0005】
そのため、工業的にシリコンの析出反応を行う設備においては、シリコン析出反応時に大量に副生するSTCの一部または全部を、近接または遠隔の処理設備に排出せざるを得ないのが現状であった。これに対して、STCの副生量を減らし、STCを排出しない自立型のプロセスとして、クローズドシステムが提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、これらの方法は、いずれも理想系の上にのみ成り立つ方法であり、工業的に有効な生産量を確保することが困難である。
【0006】
また、副生するSTCの量を低く抑え、かつ、工業的に有利な生産量を確保するために、TCSと水素とを1300℃以上の温度で反応させてシリコンを析出させることは極めて有利であるが、このような高温の反応条件下では、析出表面近傍に形成される高温のガス境膜中でシリコン微粉が生成することが判明した。
【0007】
すなわち、1300℃以上の温度で実施するシリコン析出反応の反応排ガス中にはシリコン微粉が含有されるため、該反応排ガスを処理して、その一部をシリコン析出反応に再循環させる工程を設ける場合には、該排ガス処理系統における配管や機械装置等にシリコン微粉が付着し、配管の閉塞や機械装置等の不良発生の原因となり、操業に支障をきたすという問題が生じる。
【0008】
【特許文献1】
特開昭52−133022号公報
【特許文献2】
特開平10−287413号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、クロロシラン類と水素とを含むシリコン析出用原料ガスを1300℃以上の温度で反応させて多結晶シリコンを製造する方法において、シリコン微粉を含有する反応排ガスからシリコン微粉を効率的に除去することができるシリコンの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、クロロシラン類と水素とを1300℃以上の温度で反応させてシリコンを析出させることで、副生するSTCの量を低く抑え、かつ、反応排ガス中に含まれるシリコン微粉の除去を効率的に行い、シリコン微粉を除去した反応排ガスの一部を原料ガスとして循環し、多結晶シリコンの生産効率を大幅に向上することができるシリコンの製造方法を確立した。
【0011】
すなわち、本発明に係るシリコンの製造方法は、
クロロシラン類と水素とを含むシリコン析出用原料ガスを、1300℃以上の温度に加熱した反応容器表面に接触させてシリコンを析出させるシリコン析出工程、および
上記シリコン析出工程において発生するシリコン微粉を含む反応排ガスから該シリコン微粉を除去する微粉除去工程を含み、
上記微粉除去工程において微粉が除去された反応排ガスの少なくとも一部を、前記シリコン析出用原料ガスの一部として使用することを特徴としている。
【0012】
本発明に係るシリコンの製造方法は、上記微粉除去工程において、排ガスライン中に設けられたフィルターに、シリコン微粉を含む反応排ガスを通過させることによって、反応排ガスからのシリコン微粉を除去することが好ましい。
【0013】
しかしながら、フィルターに捕捉されたシリコン微粉はフィルターに強固に付着しているため、通常のガスによる逆洗では、フィルターからシリコン微粉を除去することが困難である。また、フィルターを解体してアルカリ洗浄などによりシリコン微粉を除去する方法では、フィルターの腐食や劣化が生じやすくなるだけでなく、シリコン微粉による発火の危険性などもある。
【0014】
このような問題に対して、本発明者らは、上記シリコン微粉が、液状のクロロシラン類に対して良好な分散性を示すことを見出した。そして、フィルターに固着したシリコン微粉をクロロシラン類からなる洗浄液で洗浄することにより、フィルターを解体することなくシリコン微粉をフィルターから除去することができ、かつ、装置および配管を汚染することなく、シリコン微粉を除去した反応排ガスの一部を原料ガスとして再利用することができることを見出した。
【0015】
すなわち、本発明に係るシリコンの製造方法は、上記シリコン微粉を捕捉したフィルターを、クロロシラン類からなる洗浄液で洗浄する工程をさらに含むことが好ましい。
【0016】
また、排ガスライン中に複数のフィルターを並列して設け、濾過圧が上昇したフィルターを排ガスラインから切り離し、フィルターを解体することなくクロロシラン類からなる洗浄液で洗浄する工程、および洗浄後のフィルターを再度排ガスラインに接続する工程をさらに含むことが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシリコン製造方法について具体的に説明する。
【0018】
本発明のシリコン製造方法によってシリコンを製造するための装置は、特に制限されないが、たとえば図1に示す装置が挙げられる。すなわち、
(1)下端に開口部2を有する筒状の反応容器1、
(2)上記筒状反応容器1の下端から任意の高さまでの内壁を、シリコンの融点以上の温度に加熱することができる加熱装置3、
(3)上記筒状反応容器1において、1300℃以上に加熱された内壁により囲まれた空間5に、下方に向かって開口するように設けられ、クロロシラン類と水素とを含む原料ガスAを供給する原料ガス供給管4、
(4)上記筒状反応容器1の内壁と原料ガス供給管4の外壁とによって形成される間隙に、シールガスBとして水素ガスを供給するシールガス供給管6、
(5)反応排ガスDが排出される取出配管12、および
(6)析出したシリコンを溶融落下させて回収する回収部9より構成されるシリコン製造装置が挙げられる。
【0019】
上記筒状反応容器1は、シリコンの融点以上に加熱され、その内部はクロロシラン類およびシリコン融液に接触するため、このような温度条件および接触物に対して充分に耐える材質を選択することが好ましい。このような材質としては、たとえば、グラファイトなどの炭素材料、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミなどのセラミックス材料が挙げられ、好ましくは炭素材料である。また、炭素材料の表面に、炭化珪素、熱分解炭素、窒化ホウ素などを被覆したものは、反応容器の耐久性向上およびシリコン製品の純度向上を達成するために特に好ましい。
【0020】
上記加熱装置3は、上記筒状反応容器1の内壁を1300℃以上に加熱することができるものであれば特に制限されないが、エネルギー効率などを考慮すると、高周波コイルにより加熱することが好ましい。
【0021】
上記原料ガス供給管4は、筒状反応容器1の内壁によって囲まれた空間5に、クロロシラン類と水素とを含む原料ガスを直接供給するためのものであり、原料ガス供給管4の材質としては、上記筒状反応容器1と同様の材質のほか、石英ガラス、鉄およびステンレス鋼なども使用することができる。
【0022】
上記シールガス供給管6は、原料ガス供給管4の開口位置より上部に存在する筒状反応容器1の内壁と原料ガス供給管4の外壁とによって形成される間隙に、シールガスBを供給するために設けられる。上記間隙は、シリコンを析出することはできるが溶融することができない低温領域であるため、該間隙にシールガスを満たすことにより、該低温領域に固体シリコンが析出するのを効果的に防止することができる。シールガス供給管6の材質としては、上記原料ガス供給管4と同様の材質を使用することができる。
【0023】
上記装置においては,筒状反応容器1から排出される反応排ガスの回収を効率的に行うために、筒状反応容器1および回収部9を反応排ガスDの取出配管12を設けた密閉容器7により覆うことが好ましい。
【0024】
また、その際、筒状反応容器1の外壁と密閉容器7の内壁とによって形成される間隙には、シールガス供給管11を設けて、窒素、水素、アルゴンなどのシールガスCを供給することが好ましい。
【0025】
本発明のシリコンの製造方法は、シリコン析出工程および微粉除去工程を含み、微粉を除去した反応排ガスの少なくとも一部を、シリコン析出用原料ガスの一部として使用する。
【0026】
本発明におけるシリコン析出工程は、クロロシラン類と水素とを含むシリコン析出用原料ガスを、1300℃以上、好ましくは1300〜1700℃の温度、さらに好ましくは1350〜1700℃の温度に加熱した筒状反応容器1の表面に接触させてシリコンを析出させる工程である。
【0027】
反応温度を1300℃以上とすることで、上記シリコン析出工程において副生するSTCの量を効果的に低減させることができる。
【0028】
上記反応に供されるクロロシラン類と水素とのモル比(水素/クロロシラン類)を10以上、好ましくは15〜30に調整することは、上記シリコン析出工程において副生するSTCの量をより効果的に低減することができるために好ましい。また、上記反応の圧力は特に制限されないが、一般的には常圧〜3MPaG、好ましくは常圧〜1MPaGである。
【0029】
本発明においてシリコン析出用原料ガスとして用いられるクロロシラン類としては、公知の各種クロロシラン類が挙げられ、具体的には、モノシラン、ジクロロシラン(以下、DCSともいう)、TCS、STCなどが挙げられる。これらの中では、モノシランまたはTCSが工業的に高純度のものを大量に入手可能であることから好ましい。
【0030】
上記のようにして筒状反応容器1の内壁に析出したシリコンは、該筒状反応容器をシリコンの融点以上に加熱する場合は、筒状反応容器内壁でシリコン融液となり、該内壁を流下し、その開口部2より液滴14として自然落下するため、周期的な昇温操作を行わなくても、筒状反応容器の内部は常に初期状態を保つことができる。
【0031】
また、筒状反応容器1を1300℃以上でシリコンの融点未満の温度に加熱する場合は、シリコンの析出量がある程度に達したら、加熱出力を上昇させるか、あるいはガス供給量を低減して、該筒状容器をシリコンの融点温度以上に上昇させ、析出物の一部または全部を溶融させて析出物を落下回収することにより、連続して析出を行うことができる。
【0032】
上記筒状反応容器1から落下するシリコン融液の液滴または部分溶融した固体シリコンは、下方のシリコン回収部9に落下して固化、回収される。
【0033】
シリコン回収部9に落下したシリコン析出物は、析出反応を一旦停止してから取り出してもよいが、析出反応を継続しながら取り出す方が好ましい。反応を継続しながら回収を行う具体的な方法としては、筒状反応容器1の温度を一旦シリコンの融点未満に調節して、シリコン融液が落下するのを防止し、析出反応容器と回収容器の間に設置したバルブを閉じて回収部9を開放する方法、または回収部9に設置した破砕装置により、回収部9で固化したシリコン析出物に機械的な力を付与してある程度粉砕し、回収部9のさらに下部に位置するシリコン取出口13からシリコンEを間欠的に取り出す方法などが挙げられる。
【0034】
本発明における微粉除去工程は、上記シリコン析出工程において発生するシリコン微粉を含む反応排ガスからシリコン微粉を除去する工程である。
【0035】
反応排ガス中に含まれるシリコン微粉の除去方法としては、排ガスライン中に設けられたフィルターに、シリコン微粉を含む反応排ガスを通過させることによって、反応排ガスからシリコン微粉を除去する方法が挙げられる。
【0036】
本発明における微粉除去工程の設備は特に制限されないが、たとえば図3に示す設備が挙げられる。すなわち、シリコン析出工程において発生した反応排ガスDを、必要に応じて冷却し、ガスフィルター装置16に流通させることで、反応排ガス中のシリコン微粉がフィルター17に捕捉され、シリコン微粉が除去された反応排ガスは、反応排ガス精製設備に供給される。
【0037】
上記フィルター17としては、メタルフィルター、セラミックフィルター、ガラスフィルター、プラスチックフィルターおよびカーボンフィルターなどが挙げられる。フィルター17の目開きは、反応排ガス中に含まれるシリコン微粉の粒径および除去率などを考慮して、0.1〜100μm、好ましくは1〜30μmであることが望ましい。
【0038】
また、シリコン析出工程での操作条件の安定化、シリコン製造設備全体での操作業効率を考慮すると、フィルターの洗浄頻度を少なくすることが好ましい。そのため、フィルター17の濾過面積は、フィルター17に通過させる反応排ガス1Nm3/Hあたり10cm2以上、好ましくは20cm2以上、さらに好ましくは30cm2以上であることが望ましい。
【0039】
フィルター17に捕捉された微粉をフィルターから除去する方法としては、ガスによる逆洗を行うのが一般的であるが、シリコン微粉はフィルター17に強固に付着しているため、ガスによる逆洗ではシリコン微粉をフィルター17から除去することが困難である。
【0040】
これに対して、シリコン微粉に対する良分散媒であることを見出した液状のクロロシラン類を用いてフィルター17を洗浄することにより、シリコン微粉をフィルター17から容易に除去することができる。また、ガスフィルター装置16に残留したクロロシラン類が蒸発して排ガス処理系統に混入しても、原料ガスと同様のクロロシラン類を用いているため、再循環させるガスや装置類を汚染することがない。
【0041】
すなわち、本発明におけるシリコンの製造方法は、シリコン微粉を捕捉したフィルター17を、液状のクロロシラン類からなるクロロシラン洗浄液Fで洗浄する工程をさらに含むことが望ましい。
【0042】
クロロシラン洗浄液Fによるフィルター17の洗浄方法としては、シリコン微粉を捕捉したフィルター17に、フィルター17の二次側(すなわち、ガスの下流側)からクロロシラン洗浄液Fを供給することが、洗浄効果をさらに高めるために好ましい。また、フィルターの二次側から供給することで、逆洗効果も同時に得られる。
【0043】
クロロシラン洗浄液Fの温度は、洗浄液が液体として維持されるように、操作条件やクロロシラン類の組成などに応じて、適宜調整すればよい。
【0044】
クロロシラン洗浄液Fの供給量は、充分な洗浄を行うために、フィルター17の濾過面積1cm2に対して、通常は10cm3以上、好ましくは30cm3以上である。上記のような量のクロロシラン洗浄液Fを、通常は10〜600秒、好ましくは30〜300秒供給することが、洗浄効率の点から望ましい。
【0045】
クロロシラン洗浄液Fでフィルター17を洗浄した後、フィルター乾燥用ガス、たとえば窒素ガスGによりフィルター17を乾燥させてもよい。また、フィルター17を充分に再生するために、クロロシラン類による洗浄および乾燥用ガスによる乾燥を2回以上繰り返すことが好ましい。
【0046】
上記微粉除去工程において、排ガスライン中に複数のガスフィルター装置を並列して設け、排ガスラインを切り替えることができるようにすることが好ましい。そうすることで、一方のガスフィルター装置の濾過圧が上昇したら、他方のガスフィルター装置に排ガスラインを切り替えて、濾過圧が上昇したガスフィルター装置を排ガスラインから切り離して冷却し、ガスフィルター装置を解体することなくクロロシラン類からなる洗浄液で洗浄し、洗浄したフィルター装置を再度排ガスラインに接続することができる。そのため、フィルターの洗浄の際に、シリコンの析出反応を停止する必要がなく、効率的にシリコンを製造することができる。
【0047】
上記クロロシラン洗浄液Fを構成するクロロシラン類としては、原料ガスに用いられるクロロシラン類と同様のものが挙げられるが、沸点が低いものは冷却する必要があるため、DCS、TCSおよびSTCから選ばれることが好ましい。これらは、1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0048】
フィルター洗浄後のシリコン微粉を含む洗浄液を、たとえばフィルター装置16の下部に設置されている洗浄液排出口18から連続的または断続的に抜出して、液ガス分離容器19に回収し、必要に応じてシリコン微粉を除去した後、洗浄液を蒸留精製することにより、精製したクロロシラン液を洗浄液として再利用することができる。
【0049】
上記のようにしてシリコン微粉を除去した反応排ガス中には、未反応のクロロシラン類および水素のほかに、副生物として塩化水素およびSTCなどが含まれているが、これらの混合ガスを直接、またはクロロシラン類の一部を除去して、280〜400℃で原料シリコンと接触させることにより、塩化水素と原料シリコンとが選択的に反応してTCSが生成される。このようにして得られるTCS、未反応のクロロシラン類および水素を分離してシリコン析出用原料ガスの一部として使用することができる。
【0050】
上記原料シリコンとしては、シリコンの製造用原料として一般に使用されている公知の冶金級シリコンを使用することができる。
【0051】
上記TCS生成反応に用いられる反応器としては、原料シリコンと反応排ガスとが接触可能な装置を使用することができる。たとえば、原料シリコン粉体をガスにより流動化させながらガスと粉体とを反応させる流動層反応器が、工業的実施において好適である。
【0052】
TCS生成工程において、シリコンと塩化水素との反応が開始する温度は250℃程度であることから、反応温度は250℃以上が好ましく、またTCSの収率を向上させるためには、400℃以下の温度で行われることが好ましい。したがって、工業的に安定して反応を維持するためには、反応温度は280〜350℃で調節されることが好ましい。
【0053】
上記TCS生成工程で得られる反応後のガスをシリコン析出工程に循環する際に、純度を高めるために、水素とクロロシラン類の一部とを分離することが好ましい。水素とクロロシラン類とを分離する方法は、特に制限されないが、工業的にはガスを冷却することによって容易に達成できる。
【0054】
ガスの冷却方法としては、単に冷却された熱交換器に通過させるだけでもよいし、あるいは凝縮され冷却された凝縮物によってガスを冷却する方法でもよい。これらの方法を単独でまたは併用して採用することができる。
【0055】
上記の冷却温度は、クロロシラン類の一部が凝縮される温度であれば特に制限されないが、水素の高純度化を図るためには、通常は10℃以下、より好ましくは−10℃以下、最も好ましくは−30℃以下である。このように、クロロシラン類の一部を除去する操作により、上記原料シリコンに含まれる不純物、たとえば重金属類、リン、ホウ素などの大部分を水素から除去でき、析出するシリコンを高純度化することができる。
【0056】
クロロシラン類の一部が分離された水素を主とするガスは、原料ガスとして充分に高純度であるが、分離条件によってはホウ素化合物を含有している場合がある。したがって、要求されるシリコン製品の純度に応じて、上記ガスからホウ素化合物を除去することが好ましい。
【0057】
ホウ素化合物の除去方法は特に限定されないが、−NR2(Rは炭素数1〜10のアルキル基)、−SO3H、−COOH、−OHなどの官能基を有する物質と上記ガスとを接触させる方法が好ましい。最も簡便には、それらの官能基を有するイオン交換樹脂を使用することことができる。
【0058】
一方、上記のようにして分離したクロロシラン類を主とするガスには、重金属化合物などの不純物が含まれるため、上記ガスを蒸留精製することによってクロロシラン類の純度を高くすることが好ましい。
【0059】
上記蒸留精製によりクロロシラン類を分離した後の残余成分には、重金属化合物およびSTCなどが含まれている。この残余成分中のSTCを水素により還元してTCSに変換してもよい。なお、このようにしてSTCの大部分を分離回収した残りの成分は、一般に中和廃棄される。
【0060】
上記のようにして回収されたクロロシラン類からホウ素化合物をさらに除去する必要がある場合には、上述した官能基を有する固体または液体の化合物とクロロシラン類とを接触させた後、必要に応じて蒸留精製することにより除去することができる。
【0061】
上記のようにして反応排ガスから水素およびクロロシラン類を分離して循環することにより、シリコン微粉が除去された反応排ガスの少なくとも一部を、シリコン析出用原料ガスの一部として有効に使用することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明のシリコン製造方法によれば、クロロシラン類と水素とを1300℃以上の温度で反応させてシリコンを析出させることで、副生するSTCの量を低く抑え、かつ、反応排ガス中に含まれるシリコン微粉の除去を効率的に行い、シリコン微粉を除去した反応排ガスの一部を原料ガスとして循環して、多結晶シリコンを製造することができる。
【0063】
また、シリコン微粉の付着による配管の閉塞や機械装置等の故障を引き起こすことなく多結晶シリコンを製造することができるため、多結晶シリコンの生産効率を大幅に向上することができる。
【0064】
さらに、本発明のシリコン製造方法によれば、シリコン微粉を捕捉したフィルターを解体することなく、シリコン微粉をフィルターから除去することができるため、設備コストおよび作業コストを低減し、かつ安全性を向上することができる。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
【0066】
〔実施例1〕
シリコンの析出反応は、図1と同様なシリコン析出装置を用いて行った。筒状反応容器1は、肉厚15mmの等方性カーボン製であって、図2に示したように、内径50mm、長さ300mmの反応ゾーンIを有する。加熱装置3として、周波数8kHzの高周波を発生する高周波コイルを、筒状反応容器1を取り囲むようにして設置した。原料ガス供給管4は、ステンレス製であって、内径4mmの原料ガス吹き出し口15を有する。密閉容器7は、内径が1000mmのステンレス製とした。
【0067】
反応排ガス中に含まれる微粉の除去は、図3に示したような微粉除去設備で行った。ガスフィルター装置16は、内容積20Lの炭素鋼製ガスフィルター装置である。フィルター17として、約600cm2の濾過面積および10μmの目開きを有する焼結ステンレス製フィルターを用いた。
【0068】
高周波コイルによって、筒状反応容器1の内表面を1300〜1400℃に加熱しながら、原料ガス供給管4から、シリコン析出用原料ガスAとして水素およびトリクロロシランを、それぞれ28Nm3/Hおよび9kg/Hで供給し、シリコン析出反応を行った。反応圧力は50kPaGとした。なお、1時間に1回5分程度、筒状反応容器1の内表面を1450℃以上に上昇させ、析出物を断続的に溶融落下させながら反応を継続した。回収部9にて回収された多結晶シリコンは高純度に維持されていた。
【0069】
析出反応で発生した反応排ガスを水冷式熱交換器によって300℃以下に冷却した後、ガスフィルター装置16に流通させて、反応排ガス中に含まれるシリコン微粉をフィルター17により捕捉した。
【0070】
析出反応を開始してから24時間後に、ガスフィルター装置16の濾過圧が反応開始前の濾過圧より50kPa増大したため、同様な性能を有する予備のガスフィルター装置にガス流通を切り替えた。
【0071】
濾過圧が増大したガスフィルター装置を室温程度まで冷却した後、フィルター17の二次側から、約90重量%のSTCおよび約10重量%のTCSからなる30℃のクロロシラン洗浄液Fを、供給速度35L/分で1分間供給した。このとき、供給されたクロロシラン洗浄液を、ガスフィルター装置16の下部にある洗浄液排出口18から連続的に排出して、液ガス分離容器19に回収した。
【0072】
次いで、クロロシラン洗浄液Fに代えて窒素ガスGを供給してフィルター17を乾燥させた後、フィルター装置16の濾過圧を測定したところ、ほぼ初期状態に回復していた。
【0073】
液ガス分離容器19に回収されたクロロシラン洗浄液は、茶色い懸濁物を含有していたため、クロロシラン洗浄液処理設備にて蒸留精製したところ、留分のクロロシラン液は無色透明であった。
【0074】
微粉除去後の反応排ガスは、反応排ガス精製設備にて精製し、原料ガスの一部として使用した。なお、微粉除去工程以降の反応排ガス処理系統における配管や装置等にシリコン微粉の付着は見られなかった。
【0075】
〔比較例1〕
実施例1と同様の設備でシリコン析出反応を行った後、濾過圧の上昇したフィルター17の洗浄を、クロロシラン洗浄液Fによる洗浄から、窒素ガスGによる逆洗に変更した。窒素ガスGによる逆洗として、窒素ガスで約1MPaGの昇圧と急激な脱圧の操作を10回行ったが、濾過圧の回復は20%程度であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いられるシリコン製造装置の概略図である。
【図2】 本発明に用いられるシリコン製造装置における筒状反応器の概略図である。
【図3】 本発明における微粉除去設備の概略図である。
【符号の説明】
1 筒状反応容器
2 開口部
3 加熱装置
4 原料ガス供給管
5 空間
7 密閉容器
8 シリコン
9 回収部
12 取出配管
16 ガスフィルター装置
17 フィルター
19 液ガス分離容器
A 原料ガス
D 反応排ガス
F クロロシラン洗浄液
G 窒素ガス

Claims (3)

  1. クロロシラン類と水素とを含むシリコン析出用原料ガスを、1300℃以上の温度に加熱した反応容器表面に接触させてシリコンを析出させるシリコン析出工程
    排ガスライン中に設けられたフィルターに、上記シリコン析出工程において発生するシリコン微粉を含む反応排ガスを通過させることによって、反応排ガスから該シリコン微粉を除去する微粉除去工程、および
    上記シリコン微粉を捕捉したフィルターを、クロロシラン類からなる洗浄液で洗浄する工程を含み、
    上記微粉除去工程において微粉が除去された反応排ガスの少なくとも一部を、前記シリコン析出用原料ガスの一部として使用することを特徴とするシリコンの製造方法。
  2. クロロシラン類と水素とを含むシリコン析出用原料ガスを、1300℃以上の温度に加熱した反応容器表面に接触させてシリコンを析出させるシリコン析出工程
    排ガスライン中に設けられたフィルターに、上記シリコン析出工程において発生するシリコン微粉を含む反応排ガスを通過させることによって、反応排ガスから該シリコン微粉を除去する微粉除去工程
    上記排ガスライン中に複数のフィルターを並列して設け、濾過圧が上昇したフィルターを排ガスラインから切り離し、フィルターを解体することなくクロロシラン類からなる洗浄液で洗浄する工程、および
    洗浄後のフィルターを再度排ガスラインに接続する工程を含み、
    上記微粉除去工程において微粉が除去された反応排ガスの少なくとも一部を、前記シリコン析出用原料ガスの一部として使用することを特徴とするシリコンの製造方法。
  3. 上記洗浄液を構成するクロロシラン類が、テトラクロロシラン、トリクロロシランおよびジクロロシランからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリコンの製造方法。
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