JP3850621B2 - クロロシラン類の回収方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冶金級シリコンを塩素化或いは水素塩素化して得られる、塩化アルミニウム等の不純物を含有するクロロシラン類液から、クロロシラン類を高回収率で且つ長期間に亘ってスケーリングを防止しながら回収する方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
冶金級シリコンを塩素化または水素化塩素化して得られるクロロシラン類は、冶金級シリコン中に通常的に0.01〜10重量%程度含有されているアルミニウム、鉄、チタン等の成分が同時に塩素化或いは水素化塩素化されることにより、これらの塩化物である、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化チタン等を不純物として含有する。
【0003】
これらの金属塩化物は、半導体級高純度シリコンや太陽光発電級シリコンの製造工程において、好ましくない不純物となるためにクロロシラン類から分離除去する必要がある。
【0004】
一般的にこれらの金属塩化物は、トリクロロシラン(以下、TCSとする)や四塩化珪素(以下、STCとする)等の有用なクロロシラン類よりも沸点が高いため、従来から、蒸留塔を利用してクロロシラン類を蒸発回収することにより、残渣として分離する方法が提案されている。
【0005】
しかしながら、上記蒸留塔を使用するクロロシラン類の回収方法においては、工業的実施において解決すべき問題点を有する。
【0006】
即ち、上記金属塩化物のうち、塩化アルミニウムは、これを含有するクロロシラン類液をある程度以上に濃縮すると、蒸発加熱面へのスケーリングが発生し、蒸発効率が低下するだけでなく、場合によっては蒸留塔の加熱面や配管が閉塞するという現象を招くことである。
【0007】
そして、上記閉塞が起こると、開放洗浄のために製造工程が停止して生産性が低下するだけでなく、該閉塞物は水分と激しく反応するため、洗浄作業を非常に危険なものとしていた。
【0008】
蒸留塔における加熱面へのスケーリングが起こり始める塩化アルミニウムの濃度は、クロロシラン類を蒸発させる通常の温度領域(50〜180℃)において経験的に約2重量%程度であることが知られている。
【0009】
そのため、従来は、塩化アルミニウム濃度がこの濃度を超えないように、蒸留塔下部液を適宜抜き出して廃棄処理していた。
【0010】
ところが、かかる廃棄処理される蒸留塔下部液の中には、有用なTCSやSTCなどのクロロシラン類が95重量%前後も含有されており、廃棄処理液から有用なクロロシラン類を回収する有効な方法の開発が望まれていた。
【0011】
上記課題に対して、塩化アルミニウムを含有するクロロシラン類をさらに高濃度に濃縮する方法の一つとして、蒸発面をスクレーパーによって掻き取りながら蒸発濃縮を行う機構の蒸発装置が提案されている。
【0012】
しかし、この方法によっても、スケーリングの防止は完全に行うことができず、加熱面でのスケーリングにより、蒸発能力が経時的に低下するという問題を有していた。
【0013】
一方、蒸留塔のリボイラーよりも下部に沈降槽を設けて、クロロシラン類の蒸発により塩化アルミニウム濃度が約2重量%を超えた液を該沈降槽に導き、過飽和分の塩化アルミニウムをここで析出、沈降させて分離し、蒸発器へのスケーリングを低減する方法が示されている。この方法により、伝熱面におけるスケーリング防止について、若干の改善が図られたものの、十分に解消するには至っていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従って、上述したような、塩化アルミニウムを含有するクロロシラン類液からクロロシラン類を蒸発によって回収する方法において、加熱面での塩化アルミニウムによるスケーリングや閉塞トラブルをほぼ完全に解消し、しかも、高い収率でクロロシラン類を回収し得る技術の開発が望まれていた。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、塩化アルミニウムを含有するクロロシラン類液よりクロロシラン類を蒸発回収する場合、濃縮物中の塩化アルミニウム濃度が従来知られている析出限界の2重量%を超えても、それから約10分間は塩化アルミニウムが固形物として析出し難い状態が存在するという知見を得た。
【0016】
尚、従来の蒸留塔を使用した場合は、塩化アルミニウム濃度が2重量%を超えた濃縮物が塔底液として滞留し、リボイラー等を循環するうちに過飽和部分の塩化アルミニウムのほぼ全量が塔内で析出し、前記スケーリングによる装置の閉塞等の問題を引き起こすものと思われる。
【0017】
本発明者らは、上記知見に基づいて更に研究を重ねた。その結果、被処理液の滞在時間が短くでき、且つ、蒸発効率の良い薄膜蒸発器を使用する、薄膜蒸発法により、且つ、濃縮物が液状で取り出される条件下に塩化アルミニウムを含有するクロロシラン類液からのクロロシラン類の蒸発による回収を行えば、加熱面におけるスケーリングの発生が極めて効果的に防止されながら長期間安定した回収を実施でき、しかも、従来では考えられない位いの極めて高いクロロシラン類の回収率を達成し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
即ち、本発明は、塩化アルミニウムを含有するクロロシラン類液からクロロシラン類を蒸発せしめて回収する方法において、上記クロロシラン類の蒸発を薄膜蒸発法により行い、且つ、塩化アルミニウムの濃縮物を液状で取り出すことを特徴とするクロロシラン類の回収方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明において、薄膜蒸発法に供するクロロシラン類液は、冶金級シリコンを原料として塩素化或いは水素化塩素化により得られたクロロシラン類の凝縮液、該凝縮液からクロロシラン類を他の蒸留方法によって一部回収した後の液状の濃縮物が挙げられる。
【0020】
また、上記クロロシラン類液は、含有される塩化アルミニウムの全部が溶解状態で含有されていてもよいし、その一部が析出して固形物を含有する状態であってもよい。かかる固形物を含有する状態のクロロシラン類液としては、上記クロロシラン類を他の蒸留方法によって一部回収した後の液状の濃縮物である態様が代表的である。上記濃縮物をクロロシラン類液として薄膜蒸発法に供給する場合、蒸留により液中に過飽和で存在する塩化アルミニウムを十分析出せしめた後、その析出物である固形物を含む状態で薄膜蒸発法を適用することが好ましい。
【0021】
尚、前記クロロシラン類の製造工程において凝縮液として得られるクロロシラン類液中の塩化アルミニウム含有量は、使用した冶金級シリコン中のアルミニウム含有率、およびクロロシラン類生成の反応条件、および他の蒸留装置等での濃縮度により変化する。
【0022】
本発明において、薄膜蒸発法に供されるクロロシラン類液中の塩化アルミニウム濃度は、後述する濃縮物における好ましい上限値である80重量%以下であることが望ましいが、薄膜蒸発器の効率を考慮すると、その上限値は、50重量%、好ましくは30重量%、さらに好ましくは10重量%、最も好ましいのは2重量%である。また、上記塩化アルミニウム含有率の下限値は、0.01重量%である。
【0023】
本発明に供するクロロシラン類液の製造方法をより具体的に説明すれば、下記の方法が挙げられる。例えば、冶金級シリコン粉末と塩素含有ガスを100℃以上、一般には、100〜500℃で塩素化反応させる方法、冶金級シリコン粉末と塩化水素含有ガスを250℃以上、一般には、250〜450℃で塩素化反応させる方法、或いは、冶金級シリコン粉末と、STCと水素の混合ガスを400℃以上、一般には、400〜600℃の温度で水素化塩素化反応させる方法等が一般的に知られている。
【0024】
これらの反応において、冶金級シリコンと反応させるガスについては、相互に混合して反応させることも可能であるし、また、水素や窒素等の反応不活性ガスと混合させて反応することも可能である。
【0025】
このようにして得られたクロロシラン類ガスを凝縮して得られるクロロシラン類液には、通常0.01〜2重量%の塩化アルミニウムが含有される。
【0026】
勿論、本発明において、クロロシラン類液中には、塩化アルミニウム以外の前記他の塩化物や珪素微粉を含んでいても良い。
【0027】
本発明において、薄膜蒸発法は、加熱面上に被処理液の薄膜を形成して液成分を蒸発せしめることのできる公知の薄膜蒸発器を特に制限なく使用することができる。
【0028】
代表的な薄膜蒸発器としては、固定された加熱面(蒸発面)に対して内部の羽根が回転して薄膜を形成する攪拌式薄膜蒸発器と、加熱面が回転する遠心式薄膜蒸発器が挙げられる。
【0029】
また、上記薄膜蒸発器は、回転軸方向により縦型と横型に、また、回転軸への羽根の取付形式により固定羽根式と可動羽根式に、さらに、羽根が蒸発面に接触するかしないかにより接触羽根式と非接触羽根式とに分類されるが、これらの方式を適宜組み合わせて使用することができる。
【0030】
この中でより好ましい形式としては、縦型接触可動羽根形式と、縦型非接触羽根形式が例示でき、これらの薄膜蒸発器は、スケーリングを抑制する効果が比較的優れている。特に、縦型接触可動羽根形式は、羽根が蒸発面に接触するためにスケーリングを抑制する効果が最も高い。
【0031】
上記薄膜蒸発器において、その運転条件により蒸発ガス成分に飛沫が同伴する場合、塩化アルミニウムの除去率を低下させることがある。このような場合、凝縮器への飛沫同伴を防ぐ手段として、薄膜蒸発器の蒸気出口に飛沫補集器を設置する事は有効な手段である。上記飛沫補集器としては、飛沫を補集し除去できる装置であれば、如何なる形式でも良い。例えば、邪魔板形式、遠心分離形式が挙げられる。
【0032】
また、薄膜蒸発器が接触可動羽根を有する形式の場合、羽根先端の周速は0.1m/s以上、好ましくは0.5m/s以上、さらに好ましくは1m/s以上が好適である。また、蒸発面のある1点での羽根の回遊頻度は、1秒に1回以上、好ましくは0.5秒に1回以上、さらに好ましくは0.3秒に1回以上であることが、十分なスケール抑制効果を発揮する上で好ましい。
【0033】
一方、縦型非接触羽根形式の場合、羽根が蒸発面に接触しないために、羽根が接触するタイプのものよりも高速回転させる必要があり、羽根先端の周速は1m/s以上、好ましくは3m/s以上、さらに好ましくは5m/s以上である。また、蒸発面のある1点での羽根の回遊頻度は、0.5秒に1回以上、好ましくは0.3秒に1回以上、さらに好ましくは0.1秒に1回以上が好ましく、伝熱面積、羽根形式等の応じて、好適な条件を適宜採用すればよい。
【0034】
本発明における塩化アルミニウムのスケーリング防止効果は、薄膜蒸発器を使用することによる装置内での滞在時間の短縮に起因するものが大であるが、これと共に上記した薄膜蒸発器の構造或いは運転条件の選定によるスケーリング防止効果とが相乗的に働き、スケーリングをより一層良好に防止できる。
【0035】
本発明において、クロロシラン類液を薄膜蒸発器に供給すると、該液は蒸発面に液膜を形成しながら加熱され、クロロシラン類が蒸発し、一方、液側は濃縮が起こる。
【0036】
このようにして蒸発器の出口からは濃縮物が取り出され、ガス出口から回収されるクロロシラン類がガス状で取り出される。
【0037】
この場合、該クロロシラン類液が供給されてその濃縮物が取り出されるまでの蒸発器内における液の滞在時間は、縦型の薄膜蒸発器で、通常、およそ1分以内、長くとも数分以内であるため、濃縮物中の塩化アルミニウム濃度が前記2重量%を超えても新規な塩化アルミニウムの析出は殆ど防止され、蒸発面へのスケーリングを効果的に防止することができる。
【0038】
尚、横型の場合、滞在時間をある程度調整できるが、前記10分以内、好ましくは5分以内に調整することが好ましい。
【0039】
上記薄膜蒸発における操作条件としては、熱媒温度、操作圧力等が挙げられるが、これらは常法の蒸発操作と同様に、処理されるクロロシラン類液の組成、供給量、伝熱面積及び濃縮倍率等に応じて、適宜適切な操作条件を採用することができる。
【0040】
このとき、塩化アルミニウムは約180℃で昇華するため、回収されるクロロシラン類中の塩化アルミニウム含有量を効果的に低減させるためには、薄膜蒸発器出口の濃縮物温度が180℃以下、好ましくは150℃以下になるように蒸発条件を設定することが好ましい。
【0041】
本発明において、上記クロロシラン類液に対する塩化アルミニウムの特殊な挙動を利用することにより、蒸発後に得られる濃縮物は極めて高濃度まで塩化アルミニウムを含むことが許容されるが、濃縮物が乾固してしまうと、一部スケーリングしたもの、或いは始めから含有する固形分を洗い流す機能が無くなり、スケーリングが激しくなり、たとえ前記掻取式の薄膜蒸発器を使用したとしても、連続処理が困難となる。
【0042】
従って、本発明において、得られる濃縮物が液状を維持する条件下で薄膜蒸発を実施することが必要である。特に、該濃縮物中の塩化アルミニウム濃度の好適な上限は80重量%、好ましくは50重量%、より好ましくは40重量%である。
【0043】
また、下限は、従来技術によっては濃縮が困難であった3重量%、更に10重量%とすることが、本発明の効果を十分発揮することができるため好ましい。
【0044】
本発明の方法によって回収されるクロロシラン類は、必要に応じて、公知の蒸留方法、公知の精留方法により精製し、シリコン製造用の原料として使用することができる。
【0045】
上記蒸留或いは製留を実施するための装置としては、別途設けても良いし、既存の設備において同種のクロロシラン類の処理を行う設備があれば、これを利用しても良い。
【0046】
一方、濃縮物は、公知の除害方法、例えば、アルカリによる中和、水による加水分解等を施して処理すればよい。
【0047】
また、上記処理に先立ち、析出した塩化アルミニウムを濾過、遠心分離等の公知の分離手段により分離することにより、更に、クロロシラン類を回収しても良い。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明によれば、塩化アルミニウムを含有するクロロシラン類液から、高い回収率でのクロロシランの蒸発回収を、スケーリングによる加熱面での伝熱性の低下や、装置の閉塞を起こすことなく実施することが可能であり、工業的に極めて有利な方法である。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を詳細に説明するために実施例をあげて説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
なお、回収率、塩化アルミニウム除去率は次のようにして求めた。
【0051】
1.回収率
クロロシラン類液供給量および蒸発成分回収量(kg/H)から下記式により算出した。
【0052】
回収率(%)=[蒸発成分回収量/クロロシラン類液供給量]×100
2.塩化アルミニウム除去率
クロロシラン類供給液中と蒸発成分回収液中の塩化アルミニウム濃度を測定し、クロロシラン類供給液中の塩化アルミニウム量と、蒸発成分回収液中の塩化アルミニウム量(kg/H)求め、下記式により算出した。
【0053】
【数1】
Figure 0003850621
【0054】
3.塩化アルミニウム濃度測定
濃度測定するクロロシラン類を容器に正確に量り取り、50℃以下で、該クロロシラン類液の上部空間部を十分乾燥した不活性ガスで流通しながら該クロロシラン類を十分に蒸発除去する。蒸発残さに希塩酸を加えて塩化アルミニウムを溶解させた後ろ過し、該ろ液をICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析装置等で塩化アルミニウムを定量し、蒸発前の液量で除して求めた。
【0055】
実施例1
伝熱面積が0.15m2、内径が0.15mの接触可動羽根形式縦型薄膜蒸発器の熱媒ジャケットを予めスチームにより102℃に昇温した。次に、周速3m/sになるように回転数を設定した後、定量ポンプを用いて、温度55℃のクロロシラン類液(TCS19重量%、STC77重量%、高沸点シラン類3重量%、塩化アルミニウム1重量%)を109kg/Hで供給した。
【0056】
蒸発ガスが凝縮器により液化した回収液と、薄膜蒸発器下部より排出された濃縮液の重量、および塩化アルミニウム濃度を測定した。
【0057】
その結果、蒸発成分回収液量95kg/H、濃縮物量14kg/H、蒸発成分回収液中の塩化アルミニウム濃度0.06重量%、濃縮物中の塩化アルミニウム濃度7.4重量%、回収率87%、塩化アルミニウム除去率95%であった。
【0058】
また、50時間経過後の回収率、塩化アルミニウム除去率に変化はなく、薄膜蒸発器内部を点検したところスケーリングはほとんど認められなかった。
【0059】
比較例1
内径1.2mで下部が円錐状であり、伝熱面積3.5m2、液体保有容積0.8m3の蒸発缶を用いた。伝熱面部分をスクレーパーにより最大周速3m/sで掻き取り、蒸発面ジャケットは105℃のスチームで加熱した。温度55℃のクロロシラン類(TCS19重量%、STC77重量%、高沸点シラン類3重量%、塩化アルミニウム1重量%)を液保有量が一定になるように供給する一方、該蒸発缶下部から100kg/Hの流量で内容物を抜出した。蒸発ガスは凝縮器により液化して回収液とした。
【0060】
その結果、当初の供給量は約1,300kg/Hであったが、50時間後には約800kg/Hに低下していた。この間の平均的な蒸発成分回収液中の塩化アルミニウム濃度0.04重量%、濃縮物中の塩化アルミニウム濃度10.1重量%、回収率90%、塩化アルミニウム除去率96%であった。
【0061】
その後、蒸発缶を点検したところ蒸発面にスケーリングが多量に発生しており洗浄が必要であった。
【0062】
上記のように、液が長時間滞在する形式の蒸発缶においては、たとえ蒸発面をスクレーパーにより掻き取ってもスケーリングの防止は完全でなく、蒸発面へのスケーリングにより処理能力が経時的に低下して行くことが解る。
【0063】
実施例2〜6
実施例1において、クロロシラン類供給量、ジャケット温度を表1に示す条件に変更する以外は、実施例1と同様にした蒸発操作を行った。得られた結果を表1に示した。
【0064】
【表1】
Figure 0003850621
【0065】
実施例7〜9
実施例1において、クロロシラン類組成を表2に示す条件に変更する以外は、実施例1と同様にして蒸発操作を行った。得られた結果を表2に示した。
【0066】
【表2】
Figure 0003850621
【0067】
実施例10
実施例1において、蒸発器を非接触可動羽根形式縦型薄膜蒸発器とし、周速を10m/sに変更する以外は、実施例1と同様にして蒸発操作を行った。
【0068】
その結果、蒸発成分回収液量93kg/H、濃縮物量16kg/H、蒸発成分回収液中の塩化アルミニウム濃度0.06重量%、濃縮物中の塩化アルミニウム濃度6.4重量%、回収率85%、塩化アルミニウム除去率94%であった。
【0069】
また、50時間経過後の回収率、塩化アルミニウム除去率に変化はなく、薄膜蒸発器内部を点検したところスケーリングは認められなかった。

Claims (3)

  1. 塩化アルミニウムを含有するクロロシラン類液からクロロシラン類を蒸発せしめて回収する方法において、上記クロロシラン類の蒸発を薄膜蒸発法により行い、且つ、塩化アルミニウムの濃縮物を液状で取り出すことを特徴とするクロロシラン類の回収方法。
  2. 塩化アルミニウムを含有するクロロシラン類液が、塩素または塩化水素または四塩化珪素と水素を含有するガスを冶金級シリコンと反応させる際に生成する塩化アルミニウムを含有する請求項1記載の回収方法。
  3. 濃縮物中の塩化アルミニウムの含有率を、3〜80重量%に調整する請求項1記載の回収方法。
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