JPWO2018051775A1 - 高純度テレフタル酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

以下の工程(a)〜(e);(a)p−フェニレン化合物を液相酸化することにより粗テレフタル酸結晶を得る工程、(b)前記粗テレフタル酸結晶を水に溶解させた後、接触水素化処理する工程、(c)前記接触水素化後の反応液を2段以上の晶析槽を用いて段階的に落圧、降温してテレフタル酸を晶析させてテレフタル酸スラリーを得る工程、(d)前記テレフタル酸スラリーを母液置換塔の上部に導入し、テレフタル酸結晶を塔内で沈降させながら母液置換塔の塔底部から導入された置換水の上昇流と接触させ、前記テレフタル酸結晶を前記置換水とのスラリーとして塔底部より抜き出す工程、(e)前記塔底部より抜き出したスラリーを、水とテレフタル酸結晶とに固液分離し、分離したテレフタル酸結晶を乾燥させる工程、を含む、高純度テレフタル酸の製造方法であって、前記接触水素化処理を行う結晶の処理量をQ[ton/hr]、前記2段以上の晶析槽の1段目の晶析槽の滞留時間をT1[hr]、前記母液置換塔の断面積をA[m2]とするとき、下記の条件(1)〜(3);(1)0.07≦T1≦0.5(2)0.3≦A/Q≦0.8(3)0.035≦T1×A/Q≦0.25を全て満たす、高純度テレフタル酸の製造方法は、効率的に母液置換が行われ、固液分離後の精製テレフタル酸ケーキの乾燥工程時の加熱負荷が小さく、かつ、ポリエステルの原料として良好な挙動を示すテレフタル酸を製造できる。

Description

本発明は、高純度テレフタル酸の製造方法に関する。
テレフタル酸は、p−キシレンを代表とするp−アルキルベンゼン等のp−フェニレン化合物の液相酸化反応により製造される。通常、テレフタル酸の製造では、酢酸を溶媒としてコバルト、マンガン等の触媒を利用し、またはコバルト、マンガン等の触媒に臭素化合物、アセトアルデヒドのような促進剤を加えた触媒が用いられる。
しかしながら、この液相酸化反応は酢酸を溶媒とし、得られた粗テレフタル酸スラリーには4−カルボキシベンズアルデヒド(以下、4CBAとも記載する。)、パラトルイル酸(以下、p−TOLとも記載する。)、安息香酸等の不純物、あるいはその他にも種々の着色性不純物が多く含まれる。そして粗テレフタル酸スラリーから分離して得られた粗テレフタル酸にも、上記の不純物が混入しており、高純度のテレフタル酸を得ることはかなり高度の精製技術を必要とする。
粗テレフタル酸を精製する方法としては、粗テレフタル酸を酢酸や水、あるいはこれらの混合溶媒等に高温、高圧下で溶解し、接触水素化処理、脱カルボニル化処理、酸化処理、再結晶処理、あるいはテレフタル酸結晶が一部溶解したスラリー状態での高温浸漬処理等の種々の方法が知られている。いずれの精製方法を用いた場合でも、最終的にはテレフタル酸結晶を母液から分離する操作が必要となる。
しかし、粗テレフタル酸を精製処理したスラリー中に不純物として存在する4CBA、p−TOL、安息香酸等の酸化物中間体あるいは着色原因物質等は、高温ではそのほとんどがスラリー母液中に溶解しているが、スラリーを100℃前後まで冷却し、テレフタル酸結晶を含むスラリーを形成させると、これらの不純物はテレフタル酸結晶の中に取り込まれるようになり、高純度のテレフタル酸を得ることは困難になる。
従って、粗テレフタル酸の精製処理後のスラリーから高純度のテレフタル酸を得るためには、高温、高圧の条件下において母液からテレフタル酸を分離することが必要となってくる。テレフタル酸結晶を含むスラリーから母液を分離する方法として最も一般的に用いられているのは遠心分離法である。遠心分離法は、高速回転をしているバスケット中にスラリー溶液を導入し、母液を上部からオーバーフローさせ、結晶を下部へ誘導する方法である。遠心分離法では、遠心分離機の構造上および機能上の制約から、高温、高圧下での連続運転において、いくつかの困難を伴うことが知られている。
まず、遠心分離中または分離後の結晶のリンスが難しいため、結晶への母液付着量が多くなり易いという問題点がある。上記問題点を解消するために、通常は、遠心分離されたテレフタル酸結晶のケーキを再び新鮮な高温溶媒でスラリー化する方法が採られている。しかしながら、再びスラリー化する方法は、分離操作を複数回行なわなければならないという課題を残している。さらには、高温、高圧で高速回転を行なうために、遠心分離機の保全、保守が煩雑、困難となり、それに対する投資が増し、この分野の技術としては高度化されているとは言い難い。
遠心分離法に代わる分離法として、重力によるテレフタル酸結晶の沈降作用を利用した母液置換装置が提案されている。例えば、特許文献1には、内部に複数の孔を有する横方向の棚段が設けられた母液置換装置が開示されており、このような構造を有さない場合、装置内流体のチャンネリングまたはバックミキシングによって置換の効率が低下することが記載されている。また、特許文献2には、装置内に斜面を形成する棚段を設けることにより置換性能が向上することが記載されている。
また、棚段を必要としない母液置換装置も提案されている。特許文献3には、テレフタル酸スラリーを塔上部より、また置換用分散媒を同塔下部よりそれぞれ導入し、塔内を沈降するテレフタル酸結晶と塔内を上昇する置換用分散媒を向流で接触させる分散媒置換塔において、同塔下部に攪拌装置を設け、更に下部領域におけるスラリー中のテレフタル酸含有量を中間部領域におけるスラリー中のテレフタル酸含有量よりも高くすることを特徴とする、棚段を必要としないシンプルな構造の分散媒置換装置が記載されている。
母液置換工程を経ない精製テレフタル酸の製造方法に関して、特許文献4には、粗テレフタル酸を水に溶解させ、白金族金属の触媒存在下で、水素と接触させて還元処理し、この処理液を晶析させてスラリーとし、上記スラリー中の結晶を、固液分離装置により分離して精製テレフタル酸を得るプロセスを記載している。このプロセスの固液分離で得られたテレフタル酸の脱水ケーキのテレフタル酸に対する含水率は15〜20質量%であり、さらに流動層乾燥機を用いて、乾燥させる場合は、フラッシュ乾燥、または、ヒーターによる予備乾燥、乾燥したテレフタル酸を混合する等の方法により、テレフタル酸の含水率を14質量%以下に低減する工程が必要であることを開示している。特許文献4には、スクリーンボウル型遠心分離機や、ロータリーバキュームフィルターや、水平ベルトフィルター等の種々の固液分離の方法を試みたが、固液分離のみでは含水率を14質量%以下に低減することは困難であることが開示されている。
一方、テレフタル酸は、エチレングリコール等と反応させ、主にポリエステルの原料として使用される。テレフタル酸の粒径が200μmを超えるような大粒径粒子が増えすぎると、テレフタル酸が未反応分として残存しやすく、その結果として反応時間を長くする必要が生じ、副生物が増加する問題が生じる。
特許文献5には、粒径が210μmを超える割合を10質量%以下にする方法が開示されている。特許文献5における方法では、粗テレフタル酸を水性媒体に溶解し、白金族金属触媒により接触水素化処理を行い、直列に接続された多段晶析槽にて段階的に冷却することによる晶析する際の第1晶析槽における晶析温度と、撹拌翼による撹拌動力の範囲とを規定することにより、210μmを超える粒径の割合を10質量%以下にする。
特開昭57−053431号公報 特開昭55−087744号公報 特開平8−231465号公報 特開2009−203163号公報 特開平08−225489号公報
本発明の課題は、液相酸化して得られた粗テレフタル酸含有液の接触水素化処理後に晶析を行い、さらにテレフタル酸結晶スラリーを母液置換装置により清浄な水の精製テレフタル酸スラリーへと置換を行い、さらに固液分離、乾燥する工程を含む、高純度テレフタル酸の製造方法において、効率的に母液置換が行われ、固液分離後の精製テレフタル酸ケーキの乾燥工程時の加熱負荷が小さく、かつ、ポリエステルの原料として良好な挙動を示す高純度テレフタル酸の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、粗テレフタル酸含有液の接触水素化処理後の晶析工程および母液置換工程を特定の条件で操作することにより、効率的に母液置換が行われ、固液分離後の精製テレフタル酸ケーキ乾燥時の加熱負荷が小さく、かつ、ポリエステルの原料として良好な挙動を示す高純度テレフタル酸を製造する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、本発明は次のとおりである。
[1]
以下の工程(a)〜(e);
(a)p−フェニレン化合物を液相酸化することにより粗テレフタル酸結晶を得る工程、
(b)前記粗テレフタル酸結晶を水に溶解させた後、接触水素化処理する工程、
(c)前記接触水素化後の反応液を2段以上の晶析槽を用いて段階的に落圧、降温してテレフタル酸を晶析させてテレフタル酸スラリーを得る工程、
(d)前記テレフタル酸スラリーを母液置換塔の上部に導入し、テレフタル酸結晶を塔内で沈降させながら母液置換塔の塔底部から導入された置換水の上昇流と接触させ、前記テレフタル酸結晶を前記置換水とのスラリーとして塔底部より抜き出す工程、
(e)前記塔底部より抜き出したスラリーを、水とテレフタル酸結晶とに固液分離し、分離したテレフタル酸結晶を乾燥させる工程、
を含む、高純度テレフタル酸の製造方法であって、
前記接触水素化処理を行う結晶の処理量をQ[ton/hr]、前記2段以上の晶析槽の1段目の晶析槽の滞留時間をT[hr]、前記母液置換塔の断面積をA[m]とするとき、下記の条件(1)〜(3);
(1)0.07≦T≦0.5
(2)0.3≦A/Q≦0.8
(3)0.035≦T×A/Q≦0.25
を全て満たす、高純度テレフタル酸の製造方法。
[2]
前記2段以上の晶析槽の段数が、3〜5段である、[1]記載の製造方法。
[3]
メジアン径が、100〜130μmであり、
粒径53μm未満の結晶が、15%以下であり、
粒径212μm以上の結晶が、15%以下である、
高純度テレフタル酸。
[4]
粒径38μm未満の結晶が、7%以下である、[3]記載の高純度テレフタル酸。
本発明によれば、母液置換塔を用いた高純度テレフタル酸の製造において、効率的に母液置換が行われ、固液分離後の精製テレフタル酸ケーキの乾燥工程時の加熱負荷が小さく、かつ、ポリエステルの原料として良好な挙動を示す精製テレフタル酸を製造することができる。
実施例で使用したテレフタル酸精製プロセスの概略図である。
発明の実施の形態
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態の高純度テレフタル酸の製造方法は、
以下の工程(a)〜(e);
(a)p−フェニレン化合物を液相酸化することにより粗テレフタル酸結晶を得る工程、
(b)前記粗テレフタル酸結晶を水に溶解させた後、接触水素化処理する工程、
(c)前記接触水素化後の反応液を2段以上の晶析槽を用いて段階的に落圧、降温してテレフタル酸を晶析させてテレフタル酸スラリーを得る工程、
(d)前記テレフタル酸スラリーを母液置換塔の上部に導入し、テレフタル酸結晶を塔内で沈降させながら母液置換塔の塔底部から導入された置換水の上昇流と接触させ、前記テレフタル酸結晶を前記置換水とのスラリーとして塔底部より抜き出す工程、
(e)前記塔底部より抜き出したスラリーを、水とテレフタル酸結晶とに固液分離し、分離したテレフタル酸結晶を乾燥させる工程、
を含む。
また、本実施形態の高純度テレフタル酸の製造方法は、前記接触水素化処理を行う結晶の処理量をQ[ton/hr]、前記2段以上の晶析槽の1段目の晶析槽の滞留時間をT[hr]、前記母液置換塔の断面積をA[m]とするとき、下記の条件(1)〜(3);
(1)0.07≦T≦0.5
(2)0.3≦A/Q≦0.8
(3)0.035≦T×A/Q≦0.25
を全て満たす。
本実施形態の製造方法における高純度テレフタル酸とは、上記の工程(a)〜(e)を経て精製されたテレフタル酸(以下、精製テレフタル酸ともいう。)を指す。本実施形態における精製テレフタル酸の形態は、好ましくは結晶である。
[工程(a)]
工程(a)は、p−フェニレン化合物を液相酸化することにより粗テレフタル酸結晶を得る工程である。
工程(a)は、好ましくは、p−フェニレン化合物を液相酸化した後、落圧、降温して得られる粗テレフタル酸スラリーから反応母液を分離することにより粗テレフタル酸結晶を得る工程である。
本実施形態におけるp−フェニレン化合物は、フェニル上に2つの、カルボキシル基または液相空気酸化によりカルボキシル基を生成する被酸化性置換基を有し、上記2つのカルボキシル基または被酸化性置換基はパラ位の位置関係である。
該被酸化性置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アルデヒド基、アセチル基等が例示される。フェニル上の2つの置換基は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
液相酸化に使用される酸化剤としては、酸素または空気が使用され、いずれか一方に限定されるものではないが、酢酸溶液中、コバルトおよびマンガン触媒ならびに臭化化合物の助触媒の存在下での酸化の場合は、空気で充分である。また、酢酸溶液中、コバルト触媒の存在下で酸化を行う場合は酸素を用いることが好ましい。
触媒としてコバルトおよびマンガン触媒を使用する場合、臭化化合物も併用することが好ましい。臭化化合物は、通常、助触媒として機能すると考えられており、臭化化合物としては、例えば、臭化水素、臭素化ナトリウムが好ましい。
触媒としてコバルト触媒を使用する場合は、促進剤として、アセトアルデヒド、メチルエチルケトン等を併用することが好ましい。
酢酸溶液中の液相酸化反応で得られる粗テレフタル酸結晶は、通常4CBAをはじめ多くの不純物が含まれ、白色度の指標であるOD340の値も、直接ポリマー原料として使用できる水準ではない。本実施形態において、粗テレフタル酸結晶中の4CBAやその他の不純物の含量に特に上限はない。OD340についても同様に特に上限はない。液相酸化工程における条件を、粗テレフタル酸結晶中の4CBA含量が500ppm以上となるような条件に設定した場合、酸化反応による酢酸の燃焼損失を抑制できる傾向にある。
[工程(b)]
工程(b)は、前記粗テレフタル酸結晶を接触水素化処理する工程である。
工程(b)は、好ましくは、前記粗テレフタル酸結晶を、高温、高圧下で水に溶解させた後、接触水素化処理する工程である。
本実施形態の製造方法において、粗テレフタル酸結晶は、水と混合して接触水素化処理工程に供される。この接触水素化処理は、溶液状態で行うために高温、高圧条件下で行われる。接触水素化処理とは、接触水素化反応を行うことである。
接触水素化反応の温度は、好ましくは260℃以上であり、より好ましくは270〜300℃である。
溶液中の粗テレフタル酸の濃度は、好ましくは10〜40質量%である。
接触水素化反応の圧力は、テレフタル酸含有処理液が液相を維持するに充分であり、且つ、接触水素化反応に適切な水素分圧を保持できる圧力であれば特に制限されず、通常6〜10MPaであることが好ましい。
接触水素化反応に用いられる触媒としては、第8族貴金属が使用される。第8族貴金属としては、好ましくはパラジウム、白金、ルテニウム、ロジウムであり、より好ましくはパラジウムおよび白金である。なお、これらの金属は必ずしも単独で使用する必要はなく、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
触媒は、長期活性維持の観点から、担体に担持して使用することが好ましい。担体としては、通常は、多孔性物質が使用され、材質的には炭素系担体が好ましい。炭素系担体としては、例えば、活性炭および椰子殻炭等が挙げられ、好ましくは椰子殻炭である。触媒の担体への担持量は、微量でも触媒の効果があるため特に限定されるものではないが、長期活性を維持する観点から、好ましくは0.1〜0.5質量%程度である。
接触水素化処理における水素量は、粗テレフタル酸溶液に含まれる4CBAに対して、好ましくは2倍モル以上である。接触水素化処理に供する時間は、実質的に水素化反応が進行するのに充分な時間であればよく、通常1〜60分、好ましくは2〜20分である。通常、接触水素化処理は連続式で行われる。
接触水素化処理後の粗テレフタル酸溶液は、例えば、触媒担体に使用した活性炭の摩耗により生ずる微粉末の混入を防止するために、焼結チタンやその他の焼結金属あるいは炭素粒子で作られた濾過器で濾過することが好ましい。
[工程(c)]
工程(c)は、前記接触水素化後の反応液を2段以上の晶析槽を用いて段階的に落圧、降温してテレフタル酸を晶析させてテレフタル酸スラリーを得る工程である。
前記接触水素化後の反応液は、直列に連結された2段以上の晶析槽へ導入され、段階的に落圧することで、水分のフラッシュ蒸発によって120〜200℃まで降温され、テレフタル酸結晶が晶析し、テレフタル酸結晶スラリーが得られる。
前記直列に連結された晶析槽の段数は、精製テレフタル酸結晶の平均粒径や粒度分布に影響する。適度な平均粒径と狭い粒度分布を持つテレフタル酸結晶は、乾燥時の加熱負荷が小さく、かつ、ポリエステルの原料として良好な挙動を示す。また、晶析槽の段数が多いほど、結晶中の不純物量を低減することができる。晶析槽の段数を7段以上にしても不純物を低減する効果が小さくなることから、晶析槽の段数は、好ましくは2〜6段であり、より好ましくは3〜5段である。
各晶析槽の温度と滞留時間も、精製テレフタル酸結晶の平均粒径や粒度分布、および結晶中の不純物量に影響する。特に、1段目の晶析槽(第1晶析槽)の温度と滞留時間は、結晶の平均粒径に与える影響が大きい。第1晶析槽の温度は、好ましくは230〜270℃であり、より好ましくは240〜260℃である。第1晶析槽の温度を230〜270℃とすることにより、乾燥時の加熱負荷が小さく、不純物量が少ない精製テレフタル酸結晶を得ることができる。
また、第1晶析槽の滞留時間(以下、Tと記載する場合がある)は、0.07〜0.5hrであり(以下、条件(1)ともいう。)、好ましくは0.08〜0.4hrであり、より好ましくは0.1〜0.3hrである。滞留時間が長いほど精製テレフタル酸結晶の平均粒径が大きくなる傾向にあり、Tを0.07〜0.5hrとすることにより、適度な平均粒径を持ち、乾燥時の加熱負荷が小さく、かつ、ポリエステルの原料として良好な挙動を示す精製テレフタル酸結晶が得られる。
2段目以降の晶析槽の滞留時間は、好ましくは0.08〜0.5hrであり、より好ましくは0.1〜0.4hrである。2段目以降の晶析槽における滞留時間を0.08〜0.5hrとすることにより、乾燥時の加熱負荷が小さく、ポリエステルの原料として良好な挙動を示す精製テレフタル酸結晶が得られる。第2晶析槽の滞留時間(以下Tと記載する場合がある)もまた結晶の平均粒径や粒度分布への影響が大きいため、第1晶析槽の滞留時間との合計の滞留時間T+T[hr]は、好ましくは0.15〜0.7hrである。
2段目以降の晶析槽の温度は、最終の晶析槽の温度が120〜200℃となるように段階的に温度を下げることが好ましく、具体的には1段につき前段よりも20〜40℃ずつ低い温度にすることが好ましい。2段以上の晶析槽を用いて段階的に晶析を行なうことにより、次工程の母液置換塔への供給に適したテレフタル酸結晶スラリーが得られる。
[工程(d)]
工程(d)は、前記テレフタル酸結晶スラリーを母液置換塔の上部に導入し、テレフタル酸結晶を塔内で沈降させながら母液置換塔の塔底部から導入された置換水の上昇流と接触させ、前記テレフタル酸結晶を前記置換水とのスラリーとして塔底部より抜き出す工程(以下、「母液置換工程」ともいう。)である。
母液置換塔の上部に導入するテレフタル酸結晶スラリーの温度は、好ましくは120〜200℃であり、より好ましくは130〜180℃であり、さらに好ましくは140〜170℃である。テレフタル酸結晶スラリーの温度を120〜200℃にすることによって、テレフタル酸結晶中への不純物の混入を抑制するとともに、母液中に溶解しているテレフタル酸の量を抑えることができる。
母液置換工程では、供給するテレフタル酸結晶スラリー(以下、「原スラリー」ともいう。)の不純物を多く含有している母液が新鮮な水に置き換えられる。
母液置換工程に用いられる装置(即ち「母液置換塔」)は、大きく分けて塔上部、塔底部および塔中間部からなる。
塔上部は、テレフタル酸結晶を含有する母液からなる原スラリーの導入部を有する。原スラリーの導入部は、塔上部内壁に開口していてもよいが、結晶の分散を良好にする観点から、塔上部内に延びて開口していることが好ましい。さらに、原スラリー導入部の開口先端部は下向きに設置されていてもよく、また、開口先端部に分散板等の結晶の分散を促進する機構を備えていてもよい。塔上部は母液排出口をさらに備え、母液排出口からはテレフタル酸結晶をほとんど含まない母液が抜き出され、所定の処理槽に導かれる。
塔中間部は、重力で沈降するテレフタル酸結晶の動きを阻害するような棚段等の構造物を設ける必要はない。
塔底部は、置換水供給部と、置換水で置換された精製テレフタル酸スラリーの抜き出し口、置換水供給流量および置換スラリー抜き出し流量の調節部、並びに塔底部内スラリーの攪拌装置を備えている。置換水で置換された精製テレフタル酸スラリーの抜き出し口の位置は、スラリーが高比重であるため、塔底部の下方に近い方が好ましい。
母液置換塔の大きさは、処理するテレフタル酸結晶の処理量によって適宜変更することができる。塔中間部の内径は、接触水素化処理を行うテレフタル酸結晶の処理量をQ[ton/hr]、母液置換塔の塔断面積をA[m]としたとき、
0.3≦A/Q≦0.8
となる(以下、条件(2)ともいう。)ような内径にすることが必要である。さらに、塔中間部の内径は、
0.35≦A/Q≦0.6
となるような内径にするのが好ましい。
A/Qを0.3よりも小さくする内径である場合、母液とテレフタル酸結晶との分離が不十分となり、精製テレフタル酸中の不純物量が増加する。また、場合によっては、塔上部の母液抜き出し部からのテレフタル酸結晶の流出が起きる。一方、A/Qを0.8よりも大きくする内径である場合、塔断面積が大きいことにより母液が塔底部に混入する量が増えるために、精製テレフタル酸中の不純物量が増加する。
塔上部や塔底部の径は、塔中間部と同程度の径であればよいが、より大きな径とすることもできる。
また、塔の高さは、供給したテレフタル酸結晶が塔内全体に分散する高さにすることが好ましく、具体的には原スラリー導入部から塔底までの距離が、塔内径に対して1〜3倍となるような高さにすることが好ましい。
母液置換塔における母液の置換効果は、塔内径だけでなく処理するテレフタル酸結晶の平均粒径や粒度分布の影響を受ける。このため、テレフタル酸結晶の平均粒径や粒度分布への影響が大きい第1晶析槽の滞留時間Tによって母液の置換効果が変動する。高い母液の置換効果を維持するためには、T×A/Qが次式の条件(条件(3)ともいう。)を満たすことが必要である。
0.035≦T×A/Q≦0.25
×A/Qは、次式の条件を満たすことが好ましい。
0.04≦T×A/Q≦0.2
×A/Qは、次式の条件を満たすことがより好ましい。
0.045≦T×A/Q≦0.15
×A/Qを0.035〜0.25とすることにより、高い母液の置換効果を得ることができる。T×A/Qが0.035よりも小さいと母液の置換効果が低下し、T×A/Qが0.25よりも大きい場合は、母液の置換効果が低下すると共に、過大なサイズの晶析槽や母液置換塔が必要になる。
母液置換塔の運転方法の具体例について説明する。
塔上部から導かれたテレフタル酸スラリーは、重力による沈降により、母液置換塔底部にスラリー濃度が高い層を成し、高スラリー濃度の層と、テレフタル酸結晶が重力で沈降する低スラリー濃度の領域との間に界面が形成される。
塔底部のスラリー層は結晶の固結や閉塞を防ぐために攪拌装置によって流動性を与えることが好ましい。必要以上に撹拌を行なうと、置換すべき不純物の濃度も均一に撹拌されて置換効率が著しく低下するため、スラリー層の流動性が損なわれない程度の適度な撹拌が好ましい。攪拌機の動力としては、塔底部のスラリー層の単位体積あたりの動力として0.05〜1.0kWh/mであることが好ましく、0.1〜0.8kWh/mであることがより好ましく、0.2〜0.7kWh/mであることがさらに好ましい。
塔下部から導入された置換水の上昇流に伴って、塔頂部から、主に母液が抜き出される。供給テレフタル酸スラリー中の微細な結晶は、沈降せずに上昇流に伴って上昇し、塔頂部から、母液と共に抜き出される。このため、母液置換装置を経て製造された高純度テレフタル酸は、53μm以下の小粒径の割合が少なく、38μm以下の微細粒径の割合が特に少なくなる。
前記晶析工程の第1晶析相の滞留時間Tと母液置換塔の断面積が、前記条件(1)〜(3)を満たすようにすることにより、これらの小粒径の結晶の割合をさらに低減することが可能になり、53μm未満の小粒径の結晶が15%以下、38μm未満の微細粒径の結晶が7%以下である高純度テレフタル酸を得ることができる。なお、本願において結晶の粒径割合は、結晶の篩分けによる分級で得られた割合を示している。
母液置換塔中間部における置換水の上昇液流の線速度は、好ましくは0.2〜1.5m/hr(空塔基準)であり、より好ましくは0.5〜1.0m/hrである。線速度が小さ過ぎると母液とテレフタル酸結晶の分離が不十分となり、精製テレフタル酸中の不純物量が増加する。また、線速度が小さ過ぎると前記の塔頂部から抜き出される母液に伴って上昇するテレフタル酸の微細な結晶が少なくなる。一方、線速度が大き過ぎると、置換水の使用量が増えるという欠点がある。
ここで、置換水の上昇液流の線速度は、置換水供給量と塔底からの抜き出しスラリーとの水のバランスから計算することができる。
母液置換塔の圧力は、少なくとも原スラリーおよび置換水の温度を維持することのできる圧力である。圧力の上限については、運転上の制約はないものの、過大な圧力で運転することは置換塔の耐圧を高める必要があるため装置費用の増大を招く。母液置換塔の圧力は、好ましくは0.1〜2MPaであり(ゲージ圧力)、より好ましくは0.2〜1.5MPaである。
[工程(e)]
工程(e)は、前記塔底部より抜き出したスラリーを水とテレフタル酸結晶に固液分離し、分離したテレフタル酸結晶を乾燥させる工程である。
母液置換塔底部より抜き出したスラリーは、ロータリーバキュームフィルター等の固液分離装置でテレフタル酸結晶と水に分離する。固液分離により得られるテレフタル酸結晶は、ケーキとして得られ、固液分離後のケーキの含水率は12〜13質量%である。すなわち、本実施形態の製造方法により、固液分離工程のみで容易にケーキの含水率を15質量%以下にすることができる。ケーキの含水率が低いことで、続く乾燥工程におけるエネルギー消費量を抑えることが可能である。次の乾燥工程では、テレフタル酸製造に通常用いられるスチームチューブドライヤー等を使用することができ、さらに、テレフタル酸ケーキの含水率が低いことで、分離後のケーキを直接、流動層乾燥機を用いて乾燥することが可能である。
本実施形態で製造される高純度テレフタル酸は、粒度分布が狭く、粒径53μm未満である結晶の割合が15%以下に低減され、粒径212μm以上の結晶もまた15%以下に低減される。
本実施形態の一つは、メジアン径が100〜130μmであり、全結晶の質量に対し、53μm未満の結晶が15質量%以下であり、粒径212μm以上の結晶が15質量%以下の高純度テレフタル酸である。メジアン径が100〜130μmであり、全結晶の質量に対し、粒径53μm以下の結晶が15質量%以下であり、粒径212μm以上の結晶が15質量%以下の高純度テレフタル酸は、本実施形態の製造方法により製造することができる。
本実施形態の高純度テレフタル酸における粒径212μm以上の結晶の割合は、好ましくは12%以下である。
本実施形態の高純度テレフタル酸は、粒径38μm未満の結晶の割合が7%以下であることが好ましい。
粒径212μm以上の結晶が15質量%以下であることにより、ポリエステルの原料として良好な挙動を示すことができる。
また、53μm未満の結晶が15質量%以下であることにより、固液分離して乾燥する際の加熱負荷を小さくすることができる。
次に実施例によって本発明を更に具体的に説明する。ただし本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
以下の実施例における母液の置換効果(以下、母液置換率ともいう)は、以下の式に従って算出した。
母液置換率(%)=(塔上部の母液排出口より抜き出された母液中に含まれる安息香酸量)/(粗テレフタル酸スラリー中に不純物として含まれる安息香酸量)×100
また、母液置換塔上部から排出される母液中のテレフタル酸含有量(質量%)は、常温まで冷却した母液をフィルターで濾過して得られる結晶重量から算出した。
[実施例1]
コバルトおよびマンガン触媒と臭化化合物の助触媒を用いて、酢酸溶液中でp−キシレンの液相酸化反応を行った後、晶析して冷却し、析出した粗テレフタル酸結晶を分離した。得られた粗テレフタル酸を水と混合して加熱溶解し、図1の水素添加反応槽1を用いて281℃で接触水素化反応を行い、該反応液であるテレフタル酸の溶液を、晶析槽2の第1晶析槽に毎時126トンの流量(テレフタル酸含有量は24.8質量%でテレフタル酸結晶処理量Qは毎時31.3ton)で送り、250℃の晶析スラリーを生成させた。この時、第1晶析槽の液面から計算される第1晶析槽におけるスラリー滞留時間は0.12hrであった。この250℃の晶析スラリーを、移送配管を介して230℃の第2晶析槽に毎時114トンの流量で連続的に供給した(テレフタル酸含有量は27.4質量%)。この時、第2晶析槽におけるスラリー滞留時間は0.20hrであった。さらに、約195℃の第3晶析槽に毎時111トンの流量で連続的に供給した(テレフタル酸含有量は28.2質量%)。さらに、165℃の第4晶析槽に毎時104トンの流量で連続的に供給した(テレフタル酸含有量は30.1質量%)。なお、第3晶析槽および第4晶析槽におけるスラリー滞留時間は、共に0.20hrであった。
第4晶析槽から得られた165℃のテレフタル酸スラリーを、原スラリー供給ポンプ3を用いて、塔内径4m、塔断面積12.6mの母液置換塔4に、原スラリー導入ノズル5を介して毎時100トンの流量(テレフタル酸含有量は31.3質量%)で導入した。100℃の置換水を置換水供給ポンプ8により、置換水導入口9を介して母液置換塔4に毎時66トンの流量で導入した。導入されたテレフタル酸スラリーは、重力による沈降により、母液置換塔4の下部にスラリー濃度の高いテレフタル酸結晶の堆積層bが形成され、スラリー濃度の低い部分との界面(堆積層上面ともいう。)aを形成した。置換水導入口から供給され置換水の上昇流に乗って、沈降仕切れなかった微細なテレフタル酸結晶は、母液排出口6から、母液と共に毎時74トンの流量(テレフタル酸含有量は0.11質量%)で排出された。母液置換塔4の下部の精製テレフタル酸スラリー抜き出し口7から精製されたテレフタル酸スラリーが毎時92トンの流量(テレフタル酸含有量は33.9質量%)で抜き出された。
精製テレフタル酸スラリー抜き出し口7から、温度110℃のテレフタル酸スラリーを抜き出して、晶析槽10に送り、100℃のスラリーを生成させた。得られたスラリーはロータリーバキュームフィルターへ毎時95トンの流量(テレフタル酸含有量は32.8質量%)で送り、水と固液分離した。乾燥工程に送る前の精製テレフタル酸のウェットケーキをサンプリングした。
サンプリングしたウェットケーキを窒素置換した乾燥機で120℃9時間乾燥させて、乾燥前後の重量から含水率を計算した。ウェットケーキ中の水分量を質量百分率として計算した結果、12.4質量%だった。
実施例1で得られた乾燥後の精製テレフタル酸結晶を、セイシン企業製ロボットシフターを用いて篩分けし、分級した。38μm以下の結晶は5.18質量%。メジアン径は116μmだった。
実施例1の運転条件、母液置換率、母液排出口中のテレフタル酸濃度、バキュームフィルターのウェットケーキの含水率、乾燥結晶の粒径分布を表1に示す。
[実施例2〜5、比較例1〜3]
実施例1で使用した装置を用いて粗テレフタル酸の精製を行なった。テレフタル酸処理量Q、および第1晶析槽、第2晶析槽の液面を調節して、晶析槽滞留時間T1、T2、A/Q、T×A/Qを変えて装置の運転を行なった。なお、粗テレフタル酸精製用の水および置換水の流量は、スラリー濃度が実施例1と同じになるようにテレフタル酸処理量Qに比例した流量とし、各部のスラリー流量もテレフタル酸処理量Qに合わせて調節した。また、水素添加反応槽、各晶析槽および母液置換塔の温度、および第3晶析槽、第4晶析槽の滞留時間は、実施例1と同じにして運転を行なった。
各実施例、比較例の運転条件、母液置換率、母液排出口中のテレフタル酸濃度、ウェットケーキの含水率、乾燥結晶の粒径分布を表1に示す。
[比較例4]
実施例1で使用した装置において、母液置換塔を用いずに第4晶析槽のスラリーを晶析槽10に直接供給する方法で粗テレフタル酸の精製を行なった。第4晶析槽の温度を155℃とした以外は、各部の温度は実施例1と同じとし、各晶析槽の滞留時間は実施例2と同じとして運転を行なった。
運転条件、母液置換率、母液排出口中のテレフタル酸濃度、ウェットケーキの含水率、乾燥結晶の粒径分布を表1に示す。
テレフタル酸処理量Qが大きく、A/Qが過小である比較例1では母液置換率が著しく低下している。第1晶析槽における滞留時間Tが過小である比較例2では、結晶粒径が小さくなると共に母液置換率の低下が認められる。T×A/Qが過小である比較例3は、テレフタル酸処理量Qが同等である実施例4に比べて、結晶の粒径が小さくなり母液置換率が大きく悪化している。母液置換塔を使用しない比較例4は、53μm未満、38μm未満の微細結晶の比率が高く、固液分離機のウェットケーキの含水率が高い。
本出願は、2016年9月14日出願の日本特許出願(特願2016−179404号)に基づくものであり、この内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の製造方法は、テレフタル酸製造の分野において産業上の利用可能性を有する。また、本発明のテレフタル酸は、ポリエステルの原料として使用することができ、ポリエステル製造において産業上の利用可能性を有する。
1:水素添加反応槽
2:晶析槽
3:原スラリー供給ポンプ
4:母液置換塔
5:原スラリー導入ノズル
6:母液排出口
7:精製テレフタル酸スラリー抜き出し口
8:置換水供給ポンプ
9:置換水導入口
10:晶析槽
a:堆積層上面
b:テレフタル酸結晶の堆積層

Claims (4)

  1. 以下の工程(a)〜(e);
    (a)p−フェニレン化合物を液相酸化することにより粗テレフタル酸結晶を得る工程、
    (b)前記粗テレフタル酸結晶を水に溶解させた後、接触水素化処理する工程、
    (c)前記接触水素化後の反応液を2段以上の晶析槽を用いて段階的に落圧、降温してテレフタル酸を晶析させてテレフタル酸スラリーを得る工程、
    (d)前記テレフタル酸スラリーを母液置換塔の上部に導入し、テレフタル酸結晶を塔内で沈降させながら母液置換塔の塔底部から導入された置換水の上昇流と接触させ、前記テレフタル酸結晶を前記置換水とのスラリーとして塔底部より抜き出す工程、
    (e)前記塔底部より抜き出したスラリーを、水とテレフタル酸結晶とに固液分離し、分離したテレフタル酸結晶を乾燥させる工程、
    を含む、高純度テレフタル酸の製造方法であって、
    前記接触水素化処理を行う結晶の処理量をQ[ton/hr]、前記2段以上の晶析槽の1段目の晶析槽の滞留時間をT[hr]、前記母液置換塔の断面積をA[m]とするとき、下記の条件(1)〜(3);
    (1)0.07≦T≦0.5
    (2)0.3≦A/Q≦0.8
    (3)0.035≦T×A/Q≦0.25
    を全て満たす、高純度テレフタル酸の製造方法。
  2. 前記2段以上の晶析槽の段数が、3〜5段である、請求項1記載の製造方法。
  3. メジアン径が、100〜130μmであり、
    粒径53μm未満の結晶が、15%以下であり、
    粒径212μm以上の結晶が、15%以下である、
    高純度テレフタル酸。
  4. 粒径38μm未満の結晶が、7%以下である、請求項3記載の高純度テレフタル酸。
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