JPWO2018016197A1 - 車両用空調ユニット - Google Patents

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Abstract

本開示は、排水時の異音の発生を抑制しつつ、換気ロスを抑えることが可能な車両用空調ユニットを提供する。
車両用空調ユニット(10)は、空調ケース(12)に通風路(13)に対して区画された排水用空間(21)を形成する空間形成部(20)が設けられている。この空間形成部には、空調ケースの内部の水を空調ケースの外部に排出する排水部(24)が形成されている。また、空間形成部には、通風路における送風機(18)の空気流れ上流側の上流側空間(131)と排水用空間とを連通させる上流側連通部(26)が形成されている。さらに、空間形成部には、通風路における送風機の空気流れ下流側の下流側空間(132)と排水用空間とを連通させる下流側連通部(27)が形成されている。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2016年7月22日に出願された日本出願番号2016−144484号に基づくものであって、ここにその記載内容を援用する。
本開示は、車室内を空調する車両用空調ユニットに関する。
従来、冷却用熱交換器である蒸発器にて冷却された空気と、加熱用熱交換器であるヒータコアにて加熱された空気との混合割合を調整して、車室内へ吹き出す空気の温度を調整するエアミックス方式の車両用空調ユニットが広く知られている。
このような車両用空調ユニットには、蒸発器等の熱交換器の空気流れ下流側に車室内へ空気を吹き出す送風機が配置された、いわゆる吸込式レイアウトの車両用空調ユニットがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−23590号公報
一般的な車両用空調ユニットでは、蒸発器に流入する空気が蒸発器にて露点温度以下にまで冷却されると、蒸発器の表面に凝縮水が発生する。このため、車両用空調ユニットの空調ケースには、蒸発器の下方側に凝縮水を外部に排水するドレイン穴が設けられている。
ところで、上述の吸込み式レイアウトの車両用空調ユニットでは、送風機が蒸発器の空気流れ下流側に配置される構造となる。このような構造では、空調ケースにおけるドレイン穴が設けられた空間の圧力が空調ケースの外部の圧力よりも低くなることで、空調ケースの外部の空気がドレイン穴を介して空調ケースの内部空間に流入し易くなる。
空調ケースの外部の空気がドレイン穴から空調ケースの内部に流入すると、ドレイン穴からの排水時に異音が生じたり、車室外の空気を吸い込むことによる換気ロスが大きくなったりしてしまう。
これに対して、送風機の空気吹出側にドレイン穴を設けることが考えられる。このような構造では、空調ケースの内部空間のうちドレイン穴が設けられた空間の圧力が空調ケースの外部の圧力よりも高くなるので、空調ケースの外部の空気がドレイン穴を介して空調ケースの内部空間に流入し難くなる。
しかしながら、送風機の空気吹出側にドレイン穴を設ける構造では、熱交換器で温度調整された空気の一部が、ドレイン穴を介して空調ケースの外部に流れてしまうため、換気ロスが大きくなってしまう。
本開示は、排水時の異音の発生を抑制しつつ、換気ロスを抑えることが可能な車両用空調ユニットを提供することを目的とする。
本開示は、車室内を空調する車両用空調ユニットを対象としている。
本開示の1つの観点によれば、車両用空調装置は、
車室内への送風空気の通風路を形成する空調ケースと、
空調ケースの内部に収容され、内部を流通する流体と送風空気と熱交換させる熱交換器と、
熱交換器の空気流れ下流側に配置され、車室内に向かって流れる気流を発生させる送風機と、を備える。
空調ケースには、通風路に対して区画された排水用空間を形成する空間形成部が設けられている。
空間形成部には、空調ケースの内部の水を空調ケースの外部に排出する排水部と、通風路における送風機の空気流れ上流側の上流側空間と排水用空間とを連通させる上流側連通部と、が形成されている。さらに、空間形成部には、通風路における送風機の空気流れ下流側の下流側空間と排水用空間とを連通させる下流側連通部が形成されている。
排水用空間は、送風機の空気流れ上流側の上流側空間および送風機の空気流れ下流側の下流側空間の双方に連通している。このため、排水用空間の内部の圧力は、上流側空間の圧力と下流側空間の圧力との間の中間圧力となる。すなわち、本開示の車両用空調ユニットでは、従来の車両用空調ユニットに比べて、空調ケースにおける排水部が設けられた空間の圧力と、空調ケースの外部の圧力との圧力差が小さくなる。
これにより、本開示の車両用空調ユニットでは、排水部を介して空調ケースの外部の空気が空調ケースの上流側空間に流入し難くなるので、排水時の異音の発生を抑制しつつ、空調ケースの外部の空気の流入に伴う換気ロスを抑えることができる。
さらに、本開示の車両用空調ユニットでは、排水部を介して空調ケースの下流側空間の空気が空調ケースの外部に流出し難くなるので、空調ケース内の空気の流出に伴う換気ロスを抑えることができる。
第1実施形態の車両用空調ユニットの模式的な断面図である。 図1のII−II断面図である。 図1のIII−III断面図である。 図3のIV−IV断面図である。 第1実施形態の車両用空調ユニットの模式的な断面図である。 第1比較例の車両用空調ユニットの模式的な断面図である。 第2比較例の車両用空調ユニットの模式的な断面図である。 第2実施形態の車両用空調ユニットの模式的な断面図である。 図8のIX−IX断面図である。 第3実施形態の車両用空調ユニットの模式的な断面図である。 図10のXI−XI断面図である。 図10のXII−XII断面図である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。なお、各図面における上下、左右、前後を示す各矢印は、車両搭載状態における上下方向、左右方向、前後方向を示している。
図1に示す車両用空調ユニット10は、車室内の前部に配置されるインストルメントパネルに内側等に配置されている。図1に示すように、車両用空調ユニット10は、空調ケース12、図示しない内外気ドア、蒸発器16、送風機18、図示しないヒータコア、図示しないエアミックスドア等を備えている。
空調ケース12は、車両用空調ユニット10の外殻を構成すると共に、その内部に車室内への送風空気が流れる通風路13が形成されている。空調ケース12は、ある程度の弾性を有し、強度的に優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。なお、空調ケース12は、樹脂成形上の都合、内部部品の組付上の都合等から、実際には複数の分割ケースの組付体として構成されている。具体的には、空調ケース12は、ネジ、クリップ等の締結部材によって複数の分割ケースを締結することで構成されている。
図示しないが、空調ケース12には、送風機18の空気流れ上流側に、車室外空気(すなわち、外気)を導入する外気導入部、車室内空気(すなわち、内気)を導入する内気導入部が隣接して形成されている。また、図示しないが、空調ケース12の内部には、外気導入部および内気導入部の開口割合を調整する内外気ドアが配置されている。
図示しないが、空調ケース12には、送風機18の空気流れ下流側に、デフロスタ開口部、フェイス開口部、およびフット開口部が形成されている。デフロスタ開口部は、車両の窓ガラスの内側に向けて空気を供給するための開口部である。フェイス開口部は、車室内の乗員の上半身側に向けて空気を供給するための開口部である。フット開口部は、車室内の乗員の下半身側に向けて空気を供給するための開口部である。なお、図示しないが、空調ケース12の内部には、前述の各開口部の開閉状態を調整する吹出モードドアが設けられている。
空調ケース12には、外気導入部または内気導入部から導入された空気に含まれる塵等の異物を捕集するエアフィルタ14が配置されている。エアフィルタ14は、図示しないフィルタ枠、フィルタエレメント等で構成されている。
空調ケース12には、その内部を流れる空気を冷却する冷却用熱交換器として機能する蒸発器16が収容されている。蒸発器16は、エアフィルタ14を通過した空気が通過するように、エアフィルタ14の空気流れ下流側に配置されている。
本実施形態の蒸発器16は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルにおける低圧側の熱交換器で構成されている。すなわち、蒸発器16は、内部を流れる低温低圧の流体(すなわち、冷媒)を空気と熱交換させて蒸発させることで、空調ケース12の内部を流れる空気を冷却する熱交換器である。蒸発器16は、外形状が矩形状の薄型形状となっている。そして、蒸発器16は、冷媒と空気とを熱交換させる熱交換部の厚み方向が、前後方向となるように配置されている。
空調ケース12には、車室内へ吹き出す気流を発生させる送風機18が配置されている。送風機18は、空調ケース12の内部における蒸発器16よりも空気流れ下流側に配置されている。送風機18は、ファン181、ファン181に連結された回転軸182を回転駆動する電動機183を備える。本実施形態の送風機18は、回転軸182の軸方向が蒸発器16の厚み方向に沿って延びるように配置されている。
ファン181は、回転軸182の軸方向から吸い込んだ空気を回転軸182の軸方向に交差する方向に吹き出す構成となっている。本実施形態のファン181は、軸流ファンよりも動圧が小さく、静圧が大きくなる特性を有する遠心ファンで構成されている。遠心ファンは、回転軸182の軸方向から吸い込んだ空気を回転軸の径方向の外側に吹き出すファンである。
ここで、遠心ファンは、羽根形状によってシロッコファン、ラジアルファン、ターボファンに区分される。本実施形態のファン181は、遠心ファンの中でも高い静圧が得られるターボファンで構成されている。なお、遠心ファンは、ターボファン以外のシロッコファン、ラジアルファンで構成されていてもよい。
空調ケース12には、ファン181を収容するファン収容部15が形成されている。ファン収容部15は、空調ケース12における蒸発器16の空気流れ下流側に形成されている。
ファン収容部15には、回転軸182の軸方向の一端側に位置する部位に、ファン181の内部に空気を導く空気吸入部151が設定されている。また、ファン収容部15には、回転軸182の径方向の外側にファン181の内部で生じた気流を吹き出す空気吹出部152が設定されている。
本実施形態のファン収容部15は、通風路13における送風機18の空気流れ上流側の上流側空間131と送風機18の空気流れ下流側の下流側空間132とを仕切る仕切壁部153を含んで構成されている。
本実施形態の送風機18は、蒸発器16を通過した空気が空気吸入部151に導かれ易くなるように、空気吸入部151が蒸発器16における空気の流出面161に対向した配置形態となっている。換言すれば、本実施形態の蒸発器16は、空気吸入部151から視認可能なように、空気の流出面161が空気吸入部151と対向した状態で配置されている。
空調ケース12には、空気吹出部152の空気流れ下流側に図示しないヒータコアが配置されている。ヒータコアは、蒸発器16を通過した空気を加熱する加熱用熱交換器である。ヒータコアとしては、例えば、内燃機関を冷却する冷却水を熱源として、蒸発器16を通過した空気を加熱する熱交換器を採用することができる。
また、空調ケース12には、空気吹出部152の下流側に図示しない冷風バイパス通路が形成されている。冷風バイパス通路は、送風機18から吹き出された気流をヒータコアを迂回して流す通路である。
さらに、空調ケース12には、エアミックスドアが配置されている。エアミックスドアは、ヒータコアを通過する空気および冷風バイパス通路を通過する空気の風量割合を調整する部材である。なお、空調ケース12には、ヒータコアおよび冷風バイパス通路の空気流れ下流側に、前述したデフロスタ開口部、フェイス開口部、およびフット開口部が形成されている。
空調ケース12には、空気が流通する通風路13に対して区画された排水用空間21を形成する空間形成部20が設けられている。排水用空間21は、空調ケース12の内部の水を空調ケース12の外部に排出するための空間である。
空間形成部20は、通風路13における送風機18の空気流れ上流側の上流側空間131と、通風路13における送風機18の空気流れ下流側の下流側空間132との間に設けられている。具体的には、空間形成部20は、ファン収容部15における仕切壁部153の下方側であって、空調ケース12の下壁面121に隣接する位置に設けられている。
空間形成部20は、空調ケース12の下壁面121の一部を構成する下壁形成部22と、上流側空間131と下流側空間132とを区画する区画部23とを有している。排水用空間21は、下壁形成部22と区画部23との間に形成されている。
下壁形成部22は、空調ケース12の下壁面121と一体に構成されている。なお、下壁形成部22は、空調ケース12の下壁面121との一体成形物ではなく、空調ケース12と別の部材で構成されていてもよい。
下壁形成部22には、空調ケース12の内部の水を空調ケース12の外部に排水する排水部24が形成されている。下壁形成部22は、空調ケース12の下壁面121側に垂れ落ちた水が排水部24に集まるように、排水部24が設けられた部位が他の部位に比べて上下方向の下方側に位置するように傾斜している。
排水部24は、下壁形成部22から下方に突き出るパイプ状の部位で構成されている。排水部24には、空調ケース12の内部の水を車室外に導くためのドレインホース25が接続されている。
空間形成部20の区画部23は、空調ケース12のファン収容部15の仕切壁部153と一体に構成されている。なお、区画部23は、仕切壁部153との一体成形物ではなく、仕切壁部153と別の部材で構成されていてもよい。
区画部23には、通風路13における送風機18の空気流れ上流側の上流側空間131と排水用空間21とを連通させる上流側連通部26が形成されている。上流側連通部26は、区画部23における上流側空間131に面する部位に形成されている。
本実施形態の上流側連通部26は、少なくとも一部が区画部23における下壁形成部22に連なる第1接続部位231にかかる位置に形成されている。具体的には、本実施形態の上流側連通部26は、図2に示すように、区画部23における下壁形成部22に隣接する位置に形成された複数の連通穴261で構成されている。複数の連通穴261は、左右方向に並んで形成された縦長の穴で構成されている。なお、連通穴261は、横長の穴で構成されていてもよい。
図1に戻り、空間形成部20の区画部23には、通風路13における送風機18の空気流れ下流側の下流側空間132と排水用空間21とを連通させる下流側連通部27が形成されている。本実施形態の下流側連通部27は、区画部23における下流側空間132に面する部位に形成されている。
本実施形態の下流側連通部27は、少なくとも一部が区画部23における下壁形成部22に連なる第2接続部位232にかかる位置に形成されている。具体的には、本実施形態の下流側連通部27は、図3に示すように、区画部23における下壁形成部22に隣接する位置に形成された複数の連通穴271で構成されている。複数の連通穴271は、左右方向に並んで形成された縦長の穴で構成されている。なお、連通穴271は、横長の穴で構成されている。
ここで、本実施形態の空調ケース12は、上流側連通部26および下流側連通部27を避けた位置で切断すると、図4に示すように、下壁形成部22と区画部23とで略四角形状の排水用空間21が形成される。なお、区画部23における下壁形成部22に連なる各接続部位231、232は、区画部23における下壁形成部22に交差する下方側の部位である。
ここで、本実施形態では、図2および図3に示すように、上流側連通部26および下流側連通部27が、同じ数および同じ形状の連通穴261、271で構成したものを例示したが、これに限定されない。排水用空間21の圧力状態は、上流側連通部26および下流側連通部27それぞれの連通穴261、271の数や形状に応じて変化する。上流側連通部26および下流側連通部27それぞれの連通穴261、271の数や形状は、排水用空間21の圧力状態が所望の圧力状態となるように適宜変更すればよい。
次に、本実施形態の車両用空調ユニット10の作動について図5を参照して説明する。車両用空調ユニット10は、送風機18のファン181が電動機183によって回転駆動されると、図5に示すように、空調ケース12の内部に車室内に向かって流れる気流が発生する。
具体的には、通風路13における上流側空間131では、図5の矢印AFUに示すように、外気導入部または内気導入部から導入された気流が、エアフィルタ14を経由して蒸発器16に流入する。この気流は、蒸発器16にて所定の温度まで冷却された後、空気吸入部151からファン181に吸い込まれる。
ファン181に吸い込まれた空気は、図5の矢印AFDに示すように、ファン181の内側から径方向外側に向かって吹き出される。この気流は、通風路13における下流側空間132を流れる。下流側空間132では、図示しないヒータコアまたは冷風バイパス通路を通過した後、各開口部のいずれかを介して車室内に吹き出される。
続いて、本実施形態の車両用空調ユニット10における水の流れ方について説明する。本実施形態の車両用空調ユニット10では、上流側空間131を流れる空気が蒸発器16にて冷却される際に、空気に含まれる水分が凝縮する。凝縮水は、図5の矢印Wcdに示すように、蒸発器16の空気の流出面161に沿って下方に流れ、上流側空間131を形成する下壁面121に垂れ落ちる。空調ケース12の下壁面121に垂れ落ちた凝縮水は、上流側連通部26から排水用空間21に流入し、排水部24およびドレインホース25を介して車室外に排出される。
ここで、凝縮水の一部が、蒸発器16で冷却された空気と共に、ファン181に吸い込まれることがある。この凝縮水は、空気と共にファン181の径方向外側に吹き出されることで、下流側空間132に侵入する。下流側空間132に侵入した凝縮水は、下流側連通部27から排水用空間21に流入し、排水部24およびドレインホース25を介して車室外に排出される。
ここで、本実施形態の排水用空間21は、送風機18の空気流れ上流側の上流側空間131および送風機18の空気流れ下流側の下流側空間132の双方に連通している。このため、排水用空間21の内部の圧力は、上流側空間131の圧力と下流側空間132の圧力との間の中間圧力となる。すなわち、本実施形態の車両用空調ユニット10では、排水用空間21と空調ケース12の外部との圧力差が、上流側空間131と空調ケース12の外部との圧力差および下流側空間132と空調ケース12の外部との圧力差よりも小さくなる。このため、本実施形態の車両用空調ユニット10では、排水部24が設けられた空間と空調ケース12の外部との圧力差に起因する各種不具合の発生を抑制することができる。
ここで、本実施形態の車両用空調ユニット10の比較例について、図6、図7を参照して説明する。図6は、第1比較例の車両用空調ユニットCE1の模式的な断面図である。また、図7は、第2比較例の車両用空調ユニットCE2の模式的な断面図である。なお、説明の便宜上、図6、図7では、比較例の車両用空調ユニットCE1、CE2について本実施形態の車両用空調ユニット10と同様の構成について同一の参照符号を付している。
第1比較例の車両用空調ユニットCE1は、図6に示すように、排水部DH1が空調ケース12の上流側空間131を形成する下壁面121に形成されている。具体的には、排水部DH1は、空調ケース12における蒸発器16の下方側に位置する部位に設けられている。
第1比較例の車両用空調ユニットCE1では、蒸発器16に生じた凝縮水が、図6の矢印Wcdに示すように、上流側空間131を形成する下壁面121に垂れ落ちた後、排水部DH1およびドレインホース25を介して車室外に排出される。
しかし、第1比較例の車両用空調ユニットCE1では、排水部DH1が空調ケース12の外部よりも圧力の低い上流側空間131に形成されている。このため、図6の矢印AFinに示すように、空調ケース12の外部の空気が排水部DH1を介して空調ケース12の内部に侵入し易くなる。
空調ケース12の外部の空気が排水部DH1から空調ケース12の内部に侵入すると、排水部DH1からの排水時に異音が生じたり、車室外の空気を吸い込むことによる換気ロスが大きくなったりしてしまう。
続いて、第2比較例の車両用空調ユニットCE2は、図7に示すように、排水部DH2が空調ケース12の下流側空間132を形成する下壁面121に形成されている。具体的には、排水部DH2は、空調ケース12におけるファン181の下方側に位置する部位に設けられている。
第2比較例の車両用空調ユニットCE2では、蒸発器16に生じた凝縮水が、図7の矢印Wcdに示すように、下流側空間132を形成する下壁面121に流れた後、排水部DH2およびドレインホース25を介して車室外に排出される。
しかし、第2比較例の車両用空調ユニットCE2では、排水部DH2が空調ケース12の外部よりも圧力の高い下流側空間132に形成されている。このため、図7の矢印AFoutに示すように、ファン181から吹き出された空気の一部が排水部DH2を介して空調ケース12の外部に流れ易くなる。ファン181から吹き出された空気の一部が排水部DH2を介して空調ケース12の外部に流れると、蒸発器16にて冷却された空気が空調ケース12の外部に流出することによる換気ロスが大きくなってしまう。
これに対して、本実施形態の車両用空調ユニット10は、送風機18の空気流れ上流側の上流側空間131および送風機18の空気流れ下流側の下流側空間132の双方に連通する排水用空間21を空間形成部20によって形成している。そして、本実施形態の車両用空調ユニット10では、空間形成部20に対して排水部24が形成されている。
これによれば、空調ケース12における排水部24が設けられた空間の圧力が、上流側空間131の圧力と下流側空間132の圧力と間の中間圧力となる。このため、本実施形態の車両用空調ユニット10では、各比較例の車両用空調ユニットCE1、CE2に比べて、空調ケース12における排水部24が設けられた空間の圧力と、空調ケース12の外部の圧力との圧力差が小さくなる。
従って、本実施形態の車両用空調ユニット10では、第1比較例の車両用空調ユニットCE1に比べて、排水部24を介して空調ケース12の外部の空気が空調ケース12の上流側空間131に流入し難くなる。このため、本実施形態の車両用空調ユニット10では、排水時の異音の発生を抑制しつつ、空調ケース12の外部の空気の流入に伴う換気ロスを抑えることができる。
さらに、本実施形態の車両用空調ユニット10では、第2比較例の車両用空調ユニットCE2に比べて、排水部24を介して空調ケース12の下流側空間132の空気が空調ケース12の外部に流出し難くなる。このため、本実施形態の車両用空調ユニット10では、空調ケース12内の空気の流出に伴う換気ロスを抑えることができる。
また、本実施形態の車両用空調ユニット10では、上流側連通部26が区画部23における下壁形成部22に連なる第1接続部位231にかかる位置に形成されている。これによれば、空調ケース12の上流側空間131において下壁面121に垂れ落ちた水が上流側連通部26から排水部24に流れ易くなる。このため、本構成では、空調ケース12の上流側空間131における円滑な排水を実現することができる。
さらに、本実施形態の車両用空調ユニット10では、下流側連通部27が区画部23における下壁形成部22に連なる第2接続部位232にかかる位置に形成されている。これによれば、空調ケース12の下流側空間132において下壁面121に垂れ落ちた水が下流側連通部27から排水部24に流れ易くなる。このため、本構成では、空調ケース12の下流側空間132における円滑な排水を実現することができる。
ここで、本実施形態では、蒸発器16で生じた凝縮水が排水部24等を介して空調ケース12の外部に排出される例について説明したが、排水部24から排出される水は、凝縮水に限定されない。空調ケース12の内部には、外気導入部等から雨水等が侵入することがある。本実施形態の車両用空調ユニット10では、外気導入部等から侵入した水についても、凝縮水と同様に、排水部24等を介して空調ケース12の外部に排出することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図8、図9を参照して説明する。本実施形態では、区画部23における下流側連通部27Aを設ける位置が第1実施形態と相違している。
図8、図9に示すように、本実施形態の下流側連通部27Aは、区画部23における下流側空間132に面する部位のうち、下壁形成部22に連なる第2接続部位232よりも上方側の位置に形成されている。
具体的には、本実施形態の下流側連通部27Aは、区画部23における下壁形成部22から上方に離れた位置に形成された複数の連通穴272で構成されている。複数の連通穴272は、左右方向に並んで形成された縦長の穴で構成されている。なお、連通穴272は、横長の穴で構成されていてもよい。
なお、本実施形態の上流側連通部26Aは、第1実施形態と同様に、区画部23における上流側空間131に面する部位のうち、下壁形成部22に連なる第1接続部位231にかかる位置に形成されている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の車両用空調ユニット10は、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の車両用空調ユニット10は、下流側連通部27Aが区画部23における下流側空間132に面する部位のうち、下壁形成部22に連なる第2接続部位232よりも上方側の位置に形成されている。このように、下流側連通部27Aを区画部23における下壁形成部22に連なる第2接続部位232よりも上方に位置する部位に形成すれば、空調ケース12の下流側空間132において下壁面121に水が垂れ落ちることを抑制することができる。これにより、本構成では、例えば、送風機18の空気流れ下流側に電気部品、電子部品等が配置されている場合、電気部品、電子部品等の被水を抑制することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図10〜図12を参照して説明する。本実施形態では、上流側連通部26Bおよび下流側連通部27Bの形状が第1実施形態と相違している。
図10、図11に示すように、本実施形態の上流側連通部26Bは、下壁形成部22の壁面に交差するスリット状の複数の連通穴263で構成されている。上流側連通部26Bを構成する複数の連通穴263それぞれは、区画部23における上流側空間131に面する部位のうち、下壁形成部22に連なる第1接続部位231から上方側に向かって延びている。
また、図10、図12に示すように、本実施形態の下流側連通部27Bは、下壁形成部22の壁面に交差するスリット状の複数の連通穴273で構成されている。下流側連通部27Bを構成する複数の連通穴273それぞれは、区画部23における下流側空間132に面する部位のうち、下壁形成部22に連なる第2接続部位232から上方側に向かって延びている。
ここで、空調ケース12における区画部23を含む部位を上下の金型を用いて射出成形によって一体成形する場合、上流側連通部26Bおよび下流側連通部27Bを構成する複数の連通穴263、273によってアンダーカット等が生じてしまう可能性がある。
このため、本実施形態では、上流側連通部26Bおよび下流側連通部27Bを構成する複数の連通穴263、273それぞれは、区画部23における下壁形成部22に連なる各接続部位231、232から上方側の端部まで延びるスリット状の穴で構成している。これにより、本実施形態の車両用空調ユニット10は、空調ケース12における区画部23を含む部位を上下の金型を用いて射出成形によって一体成形することが可能となっている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の車両用空調ユニット10は、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の車両用空調ユニット10は、上流側連通部26Bおよび下流側連通部27Bが下壁形成部22の壁面に交差する方向に延びるスリット状の複数の連通穴263、273で構成されている。
このように、上流側連通部26Bおよび下流側連通部27Bの双方を下壁形成部22の壁面に交差するスリット状の連通穴263、273で構成すれば、連通穴263、273の上方側の領域に空気を流しつつ、下方側の領域に水を流すことができる。このように、連通穴263、273において空気が流れる領域および水が流れる領域がそれぞれ確保されている構造では、水の流れと空気の流れとの干渉が抑えられるので、異音の発生を効果的に抑制することができる。
ここで、本実施形態では、上流側連通部26Bおよび下流側連通部27Bの双方を下壁形成部22の壁面に交差するスリット状の連通穴263、273で構成する例について説明したが、これに限定されない。車両用空調ユニット10は、例えば、上流側連通部26Bおよび下流側連通部27Bのうち、一方の連通部をスリット状の連通穴で構成されていてもよい。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の各実施形態では、送風機18のファン181を遠心ファンで構成する例について説明したが、送風機18のファン181は、遠心ファンに限らず、軸流ファン、クロスフローファンで構成されていてもよい。
上述の各実施形態では、蒸発器16の流出面161に対向する位置に送風機18のファン181を配置する例について説明したが、これに限定されない。蒸発器16と送風機18との配置形態は、空調ケース12の形状に応じて適宜変更することができる。
上述の各実施形態では、蒸発器16の熱交換部の厚み方向が前後方向となるように、蒸発器16が配置される例について説明したが、これに限定されない。蒸発器16は、熱交換部の厚み方向が前後方向に対して若干傾斜するように配置されていてもよい。
上述の各実施形態では、冷凍サイクルの蒸発器16によって空気を冷却する例について説明したが、これに限定されない。空気を冷却する熱交換器は、蒸発器16に限らず、例えば、内部に冷水が流通する熱交換器で構成されていてもよい。
上述の各実施形態では、通風路13の上流側空間131に蒸発器16が配置される構成を例示したが、これに限定されない。車両用空調ユニット10は、例えば、通風路13の上流側空間131に蒸発器16およびヒータコアの双方が配置される構成となっていてもよい。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、車両用空調ユニットは、空調ケースに通風路に対して区画された排水用空間を形成する空間形成部が設けられている。この空間形成部には、空調ケースの内部の水を空調ケースの外部に排出する排水部と、通風路における送風機の空気流れ上流側の上流側空間と排水用空間とを連通させる上流側連通部と、が形成されている。さらに、空間形成部には、通風路における送風機の空気流れ下流側の下流側空間と排水用空間とを連通させる下流側連通部が形成されている。
また、第2の観点によれば、車両用空調ユニットの空間形成部は、空調ケースの下壁面の一部を構成する下壁形成部と、下壁形成部との間に排水用空間を形成すると共に、上流側空間と下流側空間とを区画する区画部と、を有している。排水部は、下壁形成部に形成されている。そして、上流側連通部の少なくとも一部は、区画部における上流側空間に面する部位のうち、下壁形成部に連なる接続部位にかかる位置に形成されている。
このように、上流側連通部を区画部における下壁形成部に連なる接続部位にかかる位置に形成すれば、空調ケースの上流側空間において下壁面に垂れ落ちた水が上流側連通部から排水部に流れ易くなる。このため、本構成では、空調ケースの上流側空間における円滑な排水を実現することができる。
また、第3の観点によれば、車両用空調ユニットは、下流側連通部の少なくとも一部が、区画部における下流側空間に面する部位のうち、下壁形成部に連なる接続部位にかかる位置に形成されている。
このように、下流側連通部を区画部における下壁形成部に連なる接続部位にかかる位置に形成すれば、空調ケースの下流側空間において下壁面に垂れ落ちた水が下流側連通部から排水部に流れ易くなる。このため、本構成では、空調ケースの下流側空間における円滑な排水を実現することができる。
また、第4の観点によれば、車両用空調ユニットは、下流側連通部が、区画部における下流側空間に面する部位のうち、下壁形成部に連なる接続部位よりも上方に位置する部位に形成されている。
このように、下流側連通部を区画部における下壁形成部に連なる接続部位よりも上方に位置する部位に形成すれば、空調ケースの下流側空間において下壁面に水が垂れ落ちることを抑制することができる。このため、本構成では、例えば、送風機の空気流れ下流側に電気部品、電子部品等が配置されている場合、電気部品、電子部品等の被水を抑制することができる。
また、第5の観点によれば、車両用空調ユニットは、上流側連通部および下流側連通部のうち、少なくとも一方の連通部が、下壁形成部の壁面に交差するスリット状の連通穴で構成されている。
このように、上流側連通部および下流側連通部の一方の連通部を下壁形成部の壁面に交差するスリット状の連通穴で構成すれば、連通穴の上方側の領域に空気を流しつつ、下方側の領域に水を流すことができる。このように、連通穴において空気が流れる領域および水が流れる領域がそれぞれ確保されていることは、水の流れと空気の流れとの干渉が抑えられるので、異音の発生を効果的に抑制することができる。
また、第6の観点によれば、車両用空調ユニットは、熱交換器が送風空気を冷却する冷却用熱交換器で構成されている。そして、冷却用熱交換器は、上流側空間に配置されている。これによれば、空調ケースの外部から侵入した水に限らず、冷却用熱交換器で凝縮した凝縮水についても排水部を介して空調ケースの外部に排水することができる。
空間形成部は、空調ケースの内部の水を空調ケースの外部に排出する排水部と、通風路における送風機の空気流れ上流側の上流側空間と排水用空間とを連通させる上流側連通部と、が形成されている。さらに、空間形成部には、通風路における送風機の空気流れ下流側の下流側空間と排水用空間とを連通させる下流側連通部、空調ケースの下壁面の一部を構成する下壁形成部と、下壁形成部との間に排水用空間を形成すると共に、上流側空間と下流側空間とを区画する区画部と、を有している。排水部は、下壁形成部に形成されている。そして、請求項1記載の発明では、下流側連通部の少なくとも一部が、区画部における下流側空間に面する部位のうち、下壁形成部に連なる接続部位にかかる位置に形成されている。また、請求項2記載の発明では、下流側連通部が、区画部における下流側空間に面する部位のうち、下壁形成部に連なる接続部位よりも上方に位置する部位に形成されている。

Claims (6)

  1. 車室内を空調する車両用空調ユニットであって、
    前記車室内への送風空気の通風路(13)を形成する空調ケース(12)と、
    前記空調ケースの内部に収容され、内部を流通する流体と前記送風空気と熱交換させる熱交換器(16)と、
    前記熱交換器の空気流れ下流側に配置され、前記車室内に向かって流れる気流を発生させる送風機(18)と、を備え、
    前記空調ケースには、前記通風路に対して区画された排水用空間(21)を形成する空間形成部(20)が設けられており、
    前記空間形成部には、
    前記空調ケースの内部の水を前記空調ケースの外部に排出する排水部(24)と、
    前記通風路における前記送風機の空気流れ上流側の上流側空間(131)と前記排水用空間とを連通させる上流側連通部(26、26A、26B)と、
    前記通風路における前記送風機の空気流れ下流側の下流側空間(132)と前記排水用空間とを連通させる下流側連通部(27、27A、27B)と、
    が形成されている車両用空調ユニット。
  2. 前記空間形成部は、
    前記空調ケースの下壁面の一部を構成する下壁形成部(22)と、
    前記下壁形成部との間に前記排水用空間を形成すると共に、前記上流側空間と前記下流側空間とを区画する区画部(23)と、を有しており、
    前記排水部は、前記下壁形成部に形成されており、
    前記上流側連通部(26、26A、26B)の少なくとも一部は、前記区画部における前記上流側空間に面する部位のうち、前記下壁形成部に連なる接続部位(231)にかかる位置に形成されている請求項1に記載の車両用空調ユニット。
  3. 前記下流側連通部(26、26B)の少なくとも一部は、前記区画部における前記下流側空間に面する部位のうち、前記下壁形成部に連なる接続部位(232)にかかる位置に形成されている請求項2に記載の車両用空調ユニット。
  4. 前記下流側連通部(26A)は、前記区画部における前記下流側空間に面する部位のうち、前記下壁形成部に連なる接続部位(232)よりも上方に位置する部位に形成されている請求項2に記載の車両用空調ユニット。
  5. 前記上流側連通部(26B)および前記下流側連通部(27B)は、少なくとも一方の連通部が、前記下壁形成部の壁面に交差するスリット状の連通穴(263、273)で構成されている請求項2ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調ユニット。
  6. 前記熱交換器は、前記送風空気を冷却する冷却用熱交換器(18)で構成されており、
    前記冷却用熱交換器は、前記上流側空間に配置されている請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調ユニット。
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