JPWO2017171012A1

JPWO2017171012A1 - 昇華型熱転写シート、昇華型熱転写シートと被転写体との組合せ

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Publication number: JPWO2017171012A1
Application number: JP2018509659A
Authority: JP
Inventors: 絵美松葉; 晋也與田; 純平大村
Original assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Current assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date: 2016-03-31
Filing date: 2017-03-31
Publication date: 2019-02-28
Anticipated expiration: 2037-03-31
Also published as: JP6721038B2; KR20180118212A; KR102220685B1; WO2017171012A1; US20190263166A1

Abstract

高速プリンターにも対応可能であって、所望の濃度を確保でき、さらには印画物の耐光性や耐久性にも優れた昇華型熱転写シート、および昇華型熱転写シートと被転写体との組合せを提供すること。基材上に、少なくともイエロー色材層とマゼンタ色材層とシアン色材層とが面順次に設けられた昇華型熱転写シートにおいて、イエロー色材層およびマゼンタ色材層に所定の色材を所定量含有せしめる。

Description

本発明は、昇華型熱転写シートおよび昇華型熱転写シートと被転写体との組合せに関する。

熱転写を利用した画像の形成方法として、色材をプラスチックフィルム等の基材上に担持させたいわゆる昇華型熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材上に色材受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する昇華型熱転写方法が知られている。この方法は、いわゆる昇華性の色材を用いているため中間色の再現性や階調性に優れており、原稿通りのフルカラー画像を熱転写受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。

このような昇華型熱転写シートにあっては、例えば特許文献１に開示されている。

特開２００５−８８５１５号公報

近年、昇華型熱転写方法を採用したプリンターの高速化がめざましく、これに適応した昇華型熱転写シートの開発が望まれている。具体的には、プリンターを高速化する場合、昇華型熱転写シートに従来以上のエネルギーがかかることとなるため、高エネルギーに耐えることができ、かつ所望の濃度を確保することができ、さらには印画物の耐光性や耐久性にも優れた昇華型熱転写シートの開発が望まれている。

本発明は、このような状況下においてなされた発明であり、高速プリンターにも対応可能であって、所望の濃度を確保でき、さらには印画物の耐光性や耐久性にも優れた昇華型熱転写シート、および昇華型熱転写シートと被転写体との組合せを提供することを主たる課題とする。

上記の課題を解決するための本願発明は、基材上に、少なくともイエロー色材層とマゼンタ色材層とシアン色材層とが面順次に設けられた昇華型熱転写シートであって、前記イエロー色材層には、少なくとも、下記一般式（Ｙ−Ｉ）で示される色材が含まれており、かつ、イエロー色材層に含まれる全色材の合計質量に対する下記一般式（Ｙ−Ｉ）で示される色材の割合が６０質量％以上であり、前記マゼンタ色材層には、少なくとも、下記一般式（Ｍ−Ｉ）で示される色材と、下記一般式（Ｍ−ＩＩ）で示される色材および一般式（Ｍ−ＩＩＩ）で示される色材のいずれか一方または双方と、が含まれており、かつ、マゼンタ色材層に含まれる全色材の合計質量に対する下記一般式（Ｍ−Ｉ）で示される色材の割合が１０質量％以上５０質量％以下であることを特徴とする。

（一般式（Ｙ−Ｉ）中のＲ_１は炭素数８以下の直鎖又は分岐のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、水素原子、またはハロゲン原子を、Ｒ_２は置換又は非置換のカルボニルアミノ基または置換又は非置換のカルボニルアルコキシ基を表す。）

（一般式（Ｍ−Ｉ）中のＲ１及びＲ２は水素原子、直鎖又は分岐のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基又は置換又は非置換のアラルキル基を、Ｒ３は直鎖又は分岐のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノスルホニル基、水素原子又はハロゲン原子を、Ｒ４及びＲ５は直鎖又は分岐のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアミノ基、置換又は非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表わす。）

（一般式（Ｍ−ＩＩ）及び（Ｍ−ＩＩＩ）中、Ｘ及びＹはＳ、Ｏ又はＳＯ_２を、Ｒ１及びＲ２直鎖又は分岐のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基又は置換又は非置換のアリル基を表す。）

上記課題を解決するための別の本願発明は、昇華型熱転写シートと被転写体との組合せであって、前記昇華型熱転写シートが、請求項１に記載の昇華型熱転写シートであり、前記被転写体が、ＪＩＳＸ６３０５−１に規定されている曲げ強さ試験におけるたわみ量が３５ｍｍ以下のカード材である、ことを特徴する。

本発明の昇華型熱転写シート、および昇華型熱転写シートと被転写体との組合せによれば、高速プリンターにも対応することが可能であり、所望の濃度を確保することもできる。また本発明の昇華型熱転写シートを用いて形成した印画物は耐光性や耐久性にも優れている。

本発明の昇華型熱転写シートの一例を示す概略断面図である。

以下に、本発明の昇華型熱転写シートについて詳細に説明する。

図１は、本発明の昇華型熱転写シートの一例を示す概略断面図である。

図１に示すように、本発明の実施形態にかかる昇華型熱転写シート１０は、基材１上にイエロー色材層２Ｙ、マゼンタ色材層２Ｍ、およびシアン色材層２Ｃが面順次に設けられており、これらのうち、イエロー色材層２Ｙおよびマゼンタ色材層２Ｍには、所定の色材が所定量含有されていることに特徴を有している。なお、図１に示す本実施形態にかかる昇華型熱転写シート１０にあっては、基材１と各色材層２Ｙ、２Ｍ、２Ｃとの間にプライマー層３が設けられていると共に、基材１の各色材層２Ｙ、２Ｍ、２Ｃが設けられている面とは反対側の面には背面層５が設けられているが、これらの層は任意の層である。以下、本実施形態にかかる昇華型熱転写シート１０の各構成について具体的に説明する。

（基材）
基材１は、ある程度の耐熱性と強度を有するものであれば特に限定されることはなく、従来公知の材料を適宜選択して用いることができる。このような基材１として、例えば、０．５μｍ以上５０μｍ以下、好ましくは１μｍ以上１０μｍ以下の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、１，４−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。更に、これらの材料はそれぞれ単独でも使用できるが、他の材料と組み合わせた積層体として使用してもよい。

また、基材１は、各色材層２Ｙ、２Ｍ、２Ｃが形成される側の面に接着処理が施されていても良い。接着処理を施すことで、基材１と各色材層２Ｙ、２Ｍ、２Ｃ、あるいは基材１と各色材層２Ｙ、２Ｍ、２Ｃとの間に設けられる任意の層、例えばプライマー層３との密着性を向上させることができる。

接着処理としては、例えばコロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を二種以上併用することもできる。また、基材１に接着処理を施すことに代えて、基材１と各色材層２Ｙ、２Ｍ、２Ｃとの間に、プライマー層３（下引き層という場合もある。）を設けてもよい。また、接着処理が施された基材１と各色材層２Ｙ、２Ｍ、２Ｃとの間に、プライマー層３を設けてもよい。

（イエロー色材層）
・イエロー色材
図１に示すように基材１上にはイエロー色材層２Ｙが設けられており、当該イエロー色材層２Ｙには少なくとも下記一般式（Ｙ−Ｉ）で示される色材が含まれており、かつイエロー色材層に含まれる全色材の合計質量に対する下記一般式（Ｙ−Ｉ）で示される色材の割合が６０質量％以上であることを特徴の一つとしている。

（一般式（Ｙ−Ｉ）中のＲ_１は炭素数８以下の直鎖又は分岐のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、水素原子、またはハロゲン原子を表し、Ｒ_２は置換又は非置換のアミノカルボニル基または置換又は非置換のアルコキシカルボニル基を表す。）

上記一般式（Ｙ−Ｉ）で示される色材は、いわゆるキノフタロン系の色材であり、濃度、耐光性、および色材安定性に関しバランスがとれており、また種々のイエロー色材の中でも触媒退色が少ないことを特徴としている。この色材以外の色材を用いた場合、濃度を出すことができたとしても耐光性が悪くなったり、触媒退色が大きくなったり、さらには析出が生じたり、といった不具合を引き起こすことが多い。なお、触媒退色とは、色材同士の相互作用によって耐光性が悪化する現象をいう。一般式（Ｙ−Ｉ）で示される色材を、イエロー色材層に含まれる全色材の合計質量に対して６０質量％以上含有することにより、上記の作用効果を効率良く発揮することができる。一般式（Ｙ−Ｉ）で示される色材の含有割合の上限については特に限定することはないが、１００質量％であることが好ましい。

上記一般式（Ｙ−Ｉ）において、Ｒ_１は炭素数８以下の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素数３〜６の直鎖又は分岐のアルキル基であることがより好ましく、分岐のブチル基であることが特に好ましい。Ｒ_２はＣ（＝Ｏ）−ＮＲ_３Ｒ_４で表されるアルキルアミノカルボニル基であることが好ましい。ここで、アルキルアミノカルボニル基中のＲ_３およびＲ_４は炭素数１〜６の直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素数３〜６の直鎖または分岐のアルキル基であることがより好ましい。このようなＲ_２はＮ,Ｎ−ジブチルアミノ基であることが特に好ましい。

本実施形態にかかる昇華型熱転写シート１０におけるイエロー色材層２Ｙには、色材として、上記一般式（Ｙ−Ｉ）で示される色材以外の色材が含まれていてもよい。例えば、公知のイエロー色材であるジアリールメタン系色材；トリアリールメタン系色材；チアゾール系色材；メロシアニン系色材；ピラゾロンメチン等のメチン系色材；インドアニリン系色材；アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系色材；キサンテン系色材；オキサジン系色材；ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノスチレン系色材；チアジン系色材；アジン系色材；アクリジン系色材；ベンゼンアゾ系色材；ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等の上記一般式（Ｙ−Ｉ）以外のアゾ系色材；スピロピラン系色材；インドリノスピロピラン系色材；フルオラン系色材；ローダミンラクタム系色材；ナフトキノン系色材；アントラキノン系色材；キノフタロン系色材、等を用いてもよい。

また、市販品として入手することができることから、下記一般式（Ｙ−ＩＩ）で示されるＤｔｅｒｓｅＹｅｌｌｏｗ２０１（ＭａｃｒｏｌｅｘＹｅｌｌｏｗ６Ｇ、ランクセス社）や、ＳｏｌｖｅｎｔＹｅｌｌｏｗ９３（例えば、ＰｌａｓｔＹｅｌｌｏｗ８０００（商品名）などが特に好ましい。

・バインダー樹脂
本実施形態にかかる昇華型熱転写シート１０におけるイエロー色材層２Ｙには、上述のような一般式（Ｙ−Ｉ）をはじめ各種昇華性色材を担持するためのバインダー樹脂が含まれている。このバインダー樹脂は特に限定されることはなく、ある程度の耐熱性を有し、昇華性色材と適度の親和性があるものを使用することができる。このようなバインダー樹脂としては、例えば、ニトロセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂；ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂；ポリ（メタ）アクリレート、ポリ（メタ）アクリルアミド等のアクリル樹脂；ポリウレタン系樹脂；ポリアミド系樹脂；ポリエステル系樹脂；等を挙げることができる。

上記に例示した他のバインダー樹脂の中でも、ポリビニルブチラール樹脂や、ポリビニルアセタール樹脂は、基材１とイエロー色材層２Ｙとの間に任意で設けられるプライマー層３との密着性を向上させることができる点で好ましい。

バインダー樹脂の含有量について特に限定はないが、イエロー色材層２Ｙの固形分総量に対する、バインダー樹脂の含有量が２０質量％未満である場合には、イエロー色材層２Ｙで色材を十分に保持することができず、保存性が低下していく傾向にある。したがって、バインダー樹脂は、イエロー色材層２Ｙの固形分総量に対し、２０質量％以上含有されていることが好ましい。バインダー樹脂の含有量の上限値について特に限定はなく、色材や、任意の添加材の含有量に応じて適宜設定することができる。

また、色材と、バインダー樹脂との質量比率（色材／バインダー樹脂、以下Ｄ／Ｂ比という）を高くすることで、更なる濃度の向上を図ることもできる。具体的には、Ｄ／Ｂ比を１．０以上とすることで、本実施形態にかかる昇華型熱転写シート１０を用いて得られる印画物に高い濃度を付与することができる。なお、昇華性色材の質量とは、イエロー色材層２Ｙに含まれているすべての昇華性色材の合計質量であり、バインダー樹脂の質量とは、イエロー色材層２Ｙに含まれているすべてのバインダー樹脂の合計質量を意味する。

Ｄ／Ｂ比の好ましい上限値について特に限定はないが、Ｄ／Ｂ比が３．５を超える場合には、バインダー樹脂に対する色材の色材量が多くなりすぎ、バインダー樹脂が色材を保持しきれず保存安定性が低下する場合がある。したがって、この点を考慮すると、Ｄ／Ｂ比は０．７以上３．５以下の範囲内であることが好ましく、１．０以上２．０以下の範囲内であることが特に好ましい。

・その他の成分
また、イエロー色材層２Ｙは、無機微粒子、有機微粒子等の添加材を含有していてもよい。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス、シリコーン樹脂微粒子等が挙げられる。

また、イエロー色材層２Ｙは、離型剤を含有していてもよい。離型剤としては、変性或いは未変性のシリコーンオイル（シリコーン樹脂と称されるものも含む）、リン酸エステル、脂肪酸エステル等を挙げることができる。

・イエロー色材層の形成方法
イエロー色材層２Ｙの形成方法について特に限定はなく、バインダー樹脂、色材、必要に応じて添加される添加材や、離型剤を、適当な溶剤中に溶解または分散させて、イエロー色材層用塗工液を調製し、このイエロー色材層用塗工液をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバーなどの従来公知の塗工手段により、基材１または後述するプライマー層３上に塗布・乾燥することで形成することができる。なお、後述する各種塗工液の塗工手段についても同様である。イエロー色材層２Ｙの厚みは、０．２μｍ以上２．０μｍ以下が一般的である。

（マゼンタ色材層）
・マゼンタ色材
図１に示すように基材１上にはマゼンタ色材層２Ｍが設けられており、当該マゼンタ色材層２Ｍには、少なくとも、下記一般式（Ｍ−Ｉ）で示される色材と、下記一般式（Ｍ−ＩＩ）で示される色材および一般式（Ｍ−ＩＩＩ）で示される色材のいずれか一方または双方と、が含まれている。つまり、本実施形態には、以下の３つの組合せが含まれる。
（１）（Ｍ−Ｉ）と（Ｍ−ＩＩ）の組合せ
（２）（Ｍ−Ｉ）と（Ｍ−ＩＩＩ）の組合せ
（３）（Ｍ−Ｉ）と（Ｍ−ＩＩ）と（Ｍ−ＩＩＩ）の組合せ
そして、上記の何れの組合せであっても、マゼンタ色材層に含まれる全色材の合計質量に対する下記一般式（Ｍ−Ｉ）で示される色材の割合が１０質量％以上５０質量％以下であることを特徴の一つとしている。

（一般式（Ｍ−ＩＩ）及び（Ｍ−ＩＩＩ）中、Ｘ及びＹはＳ、Ｏ又はＳＯ_２を、Ｒ１及びＲ２は直鎖又は分岐のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基又は置換又は非置換のアリル基を表す。）

マゼンタ色材として、上記一般式（Ｍ−Ｉ）で示される色材は必須の色材である。この色材は濃度に非常に優れていることが特徴である。一方で上記一般式（Ｍ−Ｉ）と組み合わせて用いられる上記一般式（Ｍ−ＩＩ）および上記一般式（Ｍ−ＩＩＩ）は、いわゆるアントラキノン系の色材であり、耐光性に優れているが、濃度はそれほど出ない。本実施形態にあっては、タイプの異なる色材を組み合わせて用いることにより、濃度と耐光性のバランスを良好に保つことができる。従って、一般式（Ｍ−Ｉ）で示される色材は１０質量％より多く含有せしめることが必要である一方で、当該色材を５０質量％より多く含有せしめると赤色の耐光性が悪くなるおそれがあるため、当該色材の含有割合の上限は５０質量％であり、好ましい上限は３５質量％である。

上記一般式（Ｍ−Ｉ）において、Ｒ１およびＲ２は炭素数が１〜６の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素数が１〜３の直鎖のアルキル基であることがより好ましく、エチル基であることが特に好ましい。Ｒ３は炭素数が１〜６の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素数が１〜３の直鎖のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。Ｒ４は炭素数が１〜６の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素数が３〜６の分岐のアルキル基であることがより好ましく、３級のブチル基であることが特に好ましい。Ｒ５は置換又は非置換のアリール基であることが好ましく、置換又は非置換のフェニル基であることがさらに好ましく、メタトルイル基であることが特に好ましい。とりわけ下記一般式（Ｍ−Ｉ−Ｉ）が好ましい。

また、上記一般式（Ｍ−ＩＩ）において、Ｒ１は置換又は非置換のアリール基であることが好ましく、置換又は非置換のフェニル基であることがより好ましく、非置換のフェニル基であることが特に好ましい。また、ＸはＯであることが好ましい。とりわけ下記一般式（Ｍ−ＩＩ−Ｉ）であることが好ましい。また、上記一般式（Ｍ−ＩＩＩ）において、Ｒ１とＲ２は置換又は非置換のアリール基であることが好ましく、置換又は非置換のフェニル基であることがより好ましく、非置換のフェニル基であることが特に好ましい。また、ＸとＹはＯであることが好ましい。とりわけ下記一般式（Ｍ−ＩＩＩ−Ｉ）であることが好ましい。

本実施形態にかかる昇華型熱転写シート１０におけるマゼンタ色材層２Ｍには、色材として、上記一般式（Ｍ−Ｉ）、および一般式（Ｍ−ＩＩ）や一般式（Ｍ−ＩＩＩ）で示される色材以外の色材が含まれていてもよい。例えば、下記一般式（Ｍ−ＩＶ）で示される色材のような、いわゆるチアゾールアゾ系の色材を含有してもよい。

本実施形態にかかる昇華型熱転写シート１０におけるマゼンタ色材層２Ｍにあっても、前記イエロー色材層２Ｙと同様にバインダー樹脂が含まれているが、これについては、前記イエロー色材層２Ｙにおける「・バインダー樹脂」の記載と同じであるため、ここでの説明は省略する。また、「・その他の成分」および「マゼンタ色材層の形成方法」についても、前記イエロー色材層２Ｙと同じであるため、ここでの説明は省略する。

（シアン色材層）
・シアン色材
図１に示すように基材１上にはシアン色材層２Ｃが設けられている。本実施形態における昇華型熱転写シート１０にあっては、シアン色材層２Ｃに含まれる色材については特に限定されることはなく、従来公知のシアン色材を適宜用いることができる。

具体的には、例えばインドアニリン系の色材やアントラキノン系の色材を用いてもよく、またこれらに加えてシアノメチレン系の色材を用いてもよい。

本実施形態にかかる昇華型熱転写シート１０におけるシアン色材層２Ｃにあっても、前記イエロー色材層２Ｙおよびマゼンタ色材層２Ｍと同様にバインダー樹脂が含まれているが、これについては、前記イエロー色材層２Ｙにおける「・バインダー樹脂」の記載と同じであるため、ここでの説明は省略する。また、「・その他の成分」および「シアン色材層の形成方法」についても、前記イエロー色材層２Ｙと同じであるため、ここでの説明は省略する。

（ブラック色材層）
図示はしないが、本実施形態における昇華型熱転写シートにあっては、上記３色の色材層（２Ｙ、２Ｍ、２Ｃ）に加え、ブラック色材層が形成されていてもよい。ブラック色材層についても特に限定されることはなく、従来公知のブラック色材層から適宜選択して採用すればよい。

（プライマー層）
図１に示すように、本実施形態にかかる昇華型熱転写シート１０にあっては、基材１と各色材層２Ｙ、２Ｍ、２Ｃとの間にプライマー層３が設けられている。プライマー層３は任意の層であるが、これを設けることで基材１と各色材層２Ｙ、２Ｍ、２Ｃとの密着性を向上させることができる。

プライマー層３を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。

また、プライマー層３は無機微粒子を含有していてもよい。これにより熱転写時の熱転写受像シートへの各色材層２Ｙ、２Ｍ、２Ｃの異常転写を防止できるだけでなく、印画時の各色材層２Ｙ、２Ｍ、２Ｃからプライマー層３への色材の移行を防止し、熱転写受像シートの受容層側への色材拡散を有効に行なうことができ、印画濃度を高めることができる。

プライマー層３に含有される無機微粒子については、特に限定されることはなく、例えば、アルミナ、シリカ、カーボンブラック、二硫化モリブデン等の微粒子を挙げることができ、これらがコロイド状無機微粒子由来の無機微粒子であってもよい。コロイド状無機微粒子としては、シリカゾル、コロイダルシリカ、アルミナ或はアルミナ水和物（コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマイト等）、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。このようなコロイド状無機微粒子は、溶剤又は分散媒にゾル状に分散しやすいようにするため、酸性タイプに処理したものであってもよいし、正（＋）に帯電させたものであってよいし、表面処理したものであってもよい。

プライマー層３に含有される無機微粒子の形状について特に限定はなく、球状、針状、板状、羽毛状、無定形等、如何なる形状であってもよい。無機微粒子の粒子径についても特に限定はないが、一次粒子の大きさが１００ｎｍを超える無機微粒子を主として含有するプライマー層３とした場合には、プライマー層３の透明性が低下していく傾向にある。この点を考慮すると、プライマー層３は、主として一次粒子の大きさが１００ｎｍ以下の無機微粒子を含有していることが好ましく、５０ｎｍ以下であることがより好ましく、３０ｎｍ以下であることが特に好ましい。なお、一次粒子の大きさは、走査型電子顕微鏡（ＳＥＭ）、透過型電子顕微鏡（ＴＥＭ）等により目視計測してもよいし、動的光散乱法や静的光散乱法などを利用する粒度分布計等により機械計測してもよい。また「主として」とは、プライマー層３が含有している無機微粒子の総質量に対し、５０質量％以上を意味する。下限値については特に限定はないが、通常一次粒子の大きさで０．１ｎｍ程度であり、好ましくは３ｎｍ以上である。

プライマー層３は、上記で例示した樹脂や無機微粒子を適当な溶媒に溶解或いは分散したプライマー層用塗工液を調製し、これを従来公知の塗工手段を用いて、基材１の一方の面上に塗布・乾燥して形成することができる。プライマー層用塗工液の塗工量は、特に限定されないが、乾燥後のプライマー層の厚さが０．０２μｍ以上１．０μｍ以下となるような塗工量であることが好ましい。

また、プライマー層３とともに、又はこれにかえて、各種の機能層を設けてもよい。各種の機能層としては、例えば、帯電防止層等を例示することができる。

（背面層）
図１に示すように、基材１の各色材層２Ｙ、２Ｍ、２Ｃが設けられている面とは反対側の面に、背面層５が設けられている。背面層５も前記プライマー層３と同様、任意の層であるが、これを設けることで、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させることができる。

背面層５は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。

また、上記した樹脂に硬化剤を添加してもよい。硬化剤として機能するポリイソシアネート樹脂としては、特に制限なく従来公知のものを使用できるが、それらのなかでも、芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、２，４−トルエンジイソシアネート、２，６−トルエンジイソシアネート、又は、２，４−トルエンジイソシアネートと２，６−トルエンジイソシアネートの混合物、１，５−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ｐ−フェニレンジイソシアネート、ｔｒａｎｓ−シクロヘキサン−１，４−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス（イソシアネートフェニル）チオフォスフェートがあげられ、特に２，４−トルエンジイソシアネート、２，６−トルエンジイソシアネート、又は、２，４−トルエンジイソシアネートと２，６−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。このようなポリイソシアネート樹脂は、上記した水酸基含有熱可塑性樹脂をその水酸基を利用して架橋させ、背面層の塗膜強度や耐熱性を向上させることができる。

また、背面層５には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加材が含有されていることが好ましく、リン酸エステル又は金属石鹸の少なくとも１種が含有されていることが特に好ましい。

背面層５は、例えば、上記熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加材を適当な溶媒に分散又は溶解させた背面層用塗工液を調製し、これを従来公知の塗工手段を用いて、基材１の色材層が形成されている側とは反対の面上に塗布・乾燥して形成することができる。背面層用塗工液の塗工量は、特に限定されないが、乾燥後の背面層の厚さが３μｍ以下となるような塗工量であることが好ましく、０．１μｍ以上２μｍ以下となるような塗工量がより好ましい。

（被転写体）
上記で説明した本実施形態にかかる昇華型熱転写シートの相手側となる被転写体については特に限定されることはなく、受容層が設けられている熱転写受像シートや中間転写媒体、さらにはいわゆるカード材など、種々の被転写体を挙げることができる。なかでも、本実施形態にかかる昇華型熱転写シートは、ＪＩＳＸ６３０５−１に規定されている曲げ強さ試験におけるたわみ量が３５ｍｍ以下のカード材に好適に用いることができる。このようなカード材は固いため、一般的には熱転写しにくく、熱転写しても所望の色を再現できない場合があるところ、本実施形態にかかる昇華型熱転写シートは、イエロー色材層およびマゼンタ色材層に所定の色材が所定量含有されていることにより、このような固いカードにも所望の画像を形成することができる。

以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明する。なお、文中の「部」は特に断りのない限り質量基準である。

（実施例１）
基材として厚さ５μｍのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥後１．０μｍになるように塗布し、背面層を形成した。次いで、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面に、下記組成のプライマー層用塗工液を乾燥後０．１０μｍになるように塗布し、プライマー層を形成した。次いで、プライマー層上に下記組成のイエロー色材層用塗工液Ｙ１、マゼンタ色材層用塗工液Ｍ１、シアン色材層用塗工液Ｃ１を各層の厚みが乾燥後０．３５μｍになるように面順次に塗布し、乾燥（８０℃、２分間）することでイエロー色材層、マゼンタ色材層、シアン色材層を形成して、実施例１の昇華型熱転写シートを得た。

＜背面層用塗工液＞
・ポリビニルアセタール樹脂（水酸基価１２質量％）３６部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−１積水化学工業（株））
・ポリイソシアネート（ＮＣＯ＝１７．３質量％）２５部
（バーノック（登録商標）Ｄ７５０ＤＩＣ（株））
・シリコーン樹脂微粒子（粒子径；４μｍ多角形状）１部
（トスパール２４０モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社）
・ステアリルリン酸亜鉛１０部
（ＬＢＴ１８３０精製堺化学工業（株））
・ステアリン酸亜鉛１０部
（ＳＺ−ＰＦ堺化学工業（株））
・ポリエチレンワックス３部
（ポリワックス３０００東洋アドレ（株））
・エトキシ化アルコール変性ワックス７部
（ユニトックス７５０東洋アドレ（株））
・メチルエチルケトン２００部
・トルエン１００部

＜プライマー層用塗工液＞
・アルミナゾル３０部
（平均一次粒子径１０×１００ｎｍ（固形分１０％））
（アルミナゾル２００日産化学工業（株））
・ポリビニルピロリドン樹脂３部
（Ｋ−９０アイエスピー・ジャパン社）
・水５０部
・イソプロピルアルコール１７部

＜イエロー色材層用塗工液Ｙ１＞
・一般式（Ｙ−Ｉ−Ｉ）に示される化合物５．０部
（色材全体に対し１００質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

＜マゼンタ色材層用塗工液Ｍ１＞
・一般式（Ｍ−Ｉ−Ｉ）に示される化合物０．５部
（色材全体に対し１０質量％）
・一般式（Ｍ−ＩＩ−Ｉ）に示される化合物４．５部
（色材全体に対し９０質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

＜シアン色材層用塗工液Ｃ１＞
・ＳｏｌｖｅｎｔＢｌｕｅ６３３．０部
・下記一般式（Ｃ−Ｉ）に示される化合物２．０部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

（実施例２）
上記実施例１におけるマゼンタ色材層用塗工液Ｍ１に代えて、下記組成のマゼンタ色材層用塗工液Ｍ２を用いたことを除き、すべて実施例１と同一の条件にて、実施例２の昇華型熱転写シートを得た。

＜マゼンタ色材層用塗工液Ｍ２＞
・一般式（Ｍ−Ｉ−Ｉ）に示される化合物１．２５部
（色材全体に対し２５質量％）
・一般式（Ｍ−ＩＩ−Ｉ）に示される化合物２．０部
（色材全体に対し４０質量％）
・一般式（Ｍ−ＩＩＩ−Ｉ）に示される化合物１．７５部
（色材全体に対し３５質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

（実施例３）
上記実施例１におけるマゼンタ色材層用塗工液Ｍ１に代えて、下記組成のマゼンタ色材層用塗工液Ｍ３を用いたことを除き、すべて実施例１と同一の条件にて、実施例３の昇華型熱転写シートを得た。

＜マゼンタ色材層用塗工液Ｍ３＞
・一般式（Ｍ−Ｉ−Ｉ）に示される化合物２．５部
（色材全体に対し５０質量％）
・一般式（Ｍ−ＩＩ−Ｉ）に示される化合物２．５部
（色材全体に対し５０質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレックＫＳ−５（登録商標）積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

（実施例４）
上記実施例１におけるイエロー色材層用塗工液Ｙ１に代えて、下記組成のイエロー色材層用塗工液Ｙ２を用いたこと、上記実施例１におけるマゼンタ色材層用塗工液Ｍ１に代えて、上記組成のマゼンタ色材層用塗工液Ｍ２を用いたことを除き、すべて実施例１と同一の条件にて、実施例４の昇華型熱転写シートを得た。

＜イエロー色材層用塗工液Ｙ２＞
・一般式（Ｙ−Ｉ−Ｉ）に示される化合物３．０部
（色材全体に対し６０質量％）
・ＤｉｓｐｅｒｓｅＹｅｌｌｏｗ２０１２．０部
（色材全体に対し４０質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

（実施例５）
上記実施例１におけるイエロー色材層用塗工液Ｙ１に代えて、下記組成のイエロー色材層用塗工液Ｙ３を用いたこと、上記実施例１におけるマゼンタ色材層用塗工液Ｍ１に代えて、下記組成のマゼンタ色材層用塗工液Ｍ４を用いたことを除き、すべて実施例１と同一の条件にて、実施例５の昇華型熱転写シートを得た。

＜イエロー色材層用塗工液Ｙ３＞
・一般式（Ｙ−Ｉ−Ｉ）に示される化合物３．５部
（色材全体に対し７０質量％）
・ＤｉｓｐｅｒｓｅＹｅｌｌｏｗ２３１１．５部
（色材全体に対し３０質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

＜マゼンタ色材層用塗工液Ｍ４＞
・一般式（Ｍ−Ｉ−Ｉ）に示される化合物１．２５部
（色材全体に対し２５質量％）
・一般式（Ｍ−ＩＩ−Ｉ）に示される化合物３．７５部
（色材全体に対し７５質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

（実施例６）
上記実施例１におけるイエロー色材層用塗工液Ｙ１に代えて、下記組成のイエロー色材層用塗工液Ｙ４を用いたこと、上記実施例１におけるマゼンタ色材層用塗工液Ｍ１に代えて、上記組成のマゼンタ色材層用塗工液Ｍ２を用いたことを除き、すべて実施例１と同一の条件にて、実施例６の昇華型熱転写シートを得た。

＜イエロー色材層用塗工液Ｙ４＞
・一般式（Ｙ−Ｉ−Ｉ）に示される化合物４．０部
（色材全体に対し８０質量％）
・ＳｏｌｖｅｎｔＹｅｌｌｏｗ９３１．０部
（色材全体に対し２０質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

（比較例１）
上記実施例１におけるマゼンタ色材層用塗工液Ｍ１に代えて、下記組成のマゼンタ色材層用塗工液Ｍ５を用いたことを除き、すべて実施例１と同一の条件にて、比較例１の昇華型熱転写シートを得た。

＜マゼンタ色材層用塗工液Ｍ５＞
・一般式（Ｍ−ＩＩ−Ｉ）に示される化合物５．０部
（色材全体に対し１００質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

（比較例２）
上記実施例１におけるマゼンタ色材層用塗工液Ｍ１に代えて、下記組成のマゼンタ色材層用塗工液Ｍ６を用いたことを除き、すべて実施例１と同一の条件にて、比較例２の昇華型熱転写シートを得た。

＜マゼンタ色材層用塗工液Ｍ６＞
・一般式（Ｍ−Ｉ−Ｉ）に示される化合物０．２５部
（色材全体に対し５質量％）
・一般式（Ｍ−ＩＩ−Ｉ）に示される化合物４．７５部
（色材全体に対し９５質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

（比較例３）
上記実施例１におけるマゼンタ色材層用塗工液Ｍ１に代えて、下記組成のマゼンタ色材層用塗工液Ｍ７を用いたことを除き、すべて実施例１と同一の条件にて、比較例３の昇華型熱転写シートを得た。

＜マゼンタ色材層用塗工液Ｍ７＞
・一般式（Ｍ−Ｉ−Ｉ）に示される化合物３．５部
（色材全体に対し７０質量％）
・一般式（Ｍ−ＩＩ−Ｉ）に示される化合物１．５部
（色材全体に対し３０質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

（比較例４）
上記実施例１におけるイエロー色材層用塗工液Ｙ１に代えて、下記組成のイエロー色材層用塗工液Ｙ５を用いたこと、上記実施例１におけるマゼンタ色材層用塗工液Ｍ１に代えて、上記組成のマゼンタ色材層用塗工液Ｍ４を用いたことを除き、すべて実施例１と同一の条件にて、比較例４の昇華型熱転写シートを得た。

＜イエロー色材層用塗工液Ｙ５＞
・一般式（Ｙ−Ｉ−Ｉ）に示される化合物２．０部
（色材全体に対し４０質量％）
・ＤｉｓｐｅｒｓｅＹｅｌｌｏｗ２０１３．０部
（色材全体に対し６０質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

（比較例５）
上記実施例１におけるマゼンタ色材層用塗工液Ｍ１に代えて、下記組成のマゼンタ色材層用塗工液Ｍ８を用いたことを用いたことを除き、すべて実施例１と同一の条件にて、比較例５の昇華型熱転写シートを得た。

＜マゼンタ色材層用塗工液Ｍ８＞
・一般式（Ｍ−Ｉ−Ｉ）に示される化合物１．２５部
（色材全体に対し２５質量％）
・下記一般式（Ｍ−Ｖ）に示される化合物３．７５部
（色材全体に対し７５質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

（比較例６）
上記実施例１におけるマゼンタ色材層用塗工液Ｍ１に代えて、下記組成のマゼンタ色材層用塗工液Ｍ９を用いたことを用いたことを除き、すべて実施例１と同一の条件にて、比較例６の昇華型熱転写シートを得た。

＜マゼンタ色材層用塗工液Ｍ９＞
・一般式（Ｍ−ＩＩ−Ｉ）に示される化合物２．０部
（色材全体に対し４０質量％）
・一般式（Ｍ−ＩＩＩ−Ｉ）に示される化合物１．７５部
（色材全体に対し３５質量％）
・下記一般式（Ｍ−ＶＩ）に示される化合物１．２５部
（色材全体に対し２５質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

（比較例７）
上記実施例１におけるマゼンタ色材層用塗工液Ｍ１に代えて、下記組成のマゼンタ色材層用塗工液Ｍ１０を用いたことを用いたことを除き、すべて実施例１と同一の条件にて、比較例７の昇華型熱転写シートを得た。

＜マゼンタ色材層用塗工液Ｍ１０＞
・一般式（Ｍ−ＩＩ−Ｉ）に示される化合物２．０部
（色材全体に対し４０質量％）
・一般式（Ｍ−ＩＩＩ−Ｉ）に示される化合物１．７５部
（色材全体に対し３５質量％）
・下記一般式（Ｍ−ＶＩＩ）に示される化合物１．２５部
（色材全体に対し２５質量％）
・ポリビニルアセトアセタール樹脂３．５部
（エスレック（登録商標）ＫＳ−５積水化学工業（株））
・ポリオレフィンワックス０．２部
・トルエン４５．７５部
・メチルエチルケトン４５．７５部

（中間転写媒体の作製）
基材として厚さ１２μｍのＰＥＴフィルムを用い、該基材の一方の面へ、グラビアコート法で、下記組成の剥離層形成用塗工液を乾燥後１．０μｍになるように塗布し乾燥して剥離層を形成した。次いで、この剥離層上に、グラビアコート法で、下記の保護層形成用塗工液を乾燥後２．０μｍになるように塗布し乾燥して保護層を形成した。次いで、この保護層上に、グラビアコート法で、下記のプライマー層形成用塗工液を乾燥後１．０μｍになるように塗布し乾燥してプライマー層を形成した。次いで、このプライマー層上に、グラビアコート法で、下記の受容層形成用塗工液を乾燥後２．５μｍになるように塗布し乾燥して受容層を形成し中間転写媒体を作成した。

＜剥離層形成用塗工液＞
・アクリル樹脂９５部
（ダイヤナール（登録商標）ＢＲ−８７三菱レイヨン（株））
・ポリエステル樹脂５部
（バイロン（登録商標）２００東洋紡（株））
・トルエン２００部
・メチルエチルケトン２００部

＜保護層形成用塗工液＞
・スチレン−アクリル系樹脂１５０部
（ミューティクル（登録商標）ＰＰ３２０Ｐ三井化学（株））
・ポリビニルアルコール１００部
（Ｃ−３１８（株）ＤＮＰファインケミカル）
・水２３．３部
・エタノール４６．７部

＜プライマー層形成用塗工液＞
・ポリエステル樹脂３３部
（バイロン（登録商標）２００東洋紡（株））
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体２７部
（ソルバイン（登録商標）ＣＮＬ日信化学工業（株））
・イソシアネート硬化剤１５部
（ＸＥＬ硬化剤ＤＩＣグラフィックス（株））
・トルエン５０部
・メチルエチルケトン５０部

＜受容層形成用塗工液＞
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体９５部
（数平均分子量（Ｍｎ）：１２０００）
（ソルバイン（登録商標）ＣＮＬ日信化学工業（株））
・エポキシ変性シリコーン５部
（ＫＰ−１８００Ｕ信越化学工業（株））
・トルエン２００部
・メチルエチルケトン２００部

（保護層転写シートの作製）
基材として、厚さ４．５μｍのポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）フィルムを用い、当該基材の一方の面上に下記組成の離型層用塗工液をワイヤーコーターバーにて乾燥後の厚さが１．０μｍとなるように塗工し、１１０℃のオーブンにて１分間乾燥させることで剥離層を形成した。次いで、剥離層上に、下記組成のプライマー層用塗工液をワイヤーコーターバーにて乾燥後の厚さが０．２μｍとなるように塗工し、１１０℃のオーブンにて１分間乾燥させることでプライマー層を形成した。次いで、プライマー層上に、下記組成の接着層用塗工液をワイヤーコーターバーにて乾燥後の厚さが１．０μｍとなるように塗工し、１１０℃のオーブンにて１分間乾燥させることで接着層を形成した。また、基材の他方の面上に、下記組成の背面層用塗工液をワイヤーコーターバーにて乾燥後の厚さが１．０μｍとなるように塗工し、乾燥させることで背面層を予め形成した。これにより、基材の一方の面上に、転写性保護層を構成する剥離層、プライマー層、接着層がこの順で設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた保護層転写シートを得た。

＜剥離層用塗工液＞
・ポリメチルメタクリル酸（ＰＭＭＡ）２０部
（ダイヤナール（登録商標）ＢＲ−８７三菱レイヨン（株））
・トルエン４０部
・メチルエチルケトン４０部

＜接着層用塗工液＞
・ポリエステル樹脂２３．５部
（バイロン（登録商標）７００東洋紡（株））
・ＵＶＡ化合物６部
（チヌビン９００ＢＡＳＦジャパン社）
・シリカフィラー０．５部
（サイシリア３１０Ｐ富士シリシア（株））
・トルエン３５部
・メチルエチルケトン３５部

＜背面層用塗工液＞
・ポリビニルブチラール樹脂４．５５部
（エスレック（登録商標）ＢＸ−１積水化学工業（株））
・ポリイソシアネート（固形分４５質量％）２１．０部
（バーノック（登録商標）Ｄ７５０−４５ＤＩＣ（株））
・リン酸エステル系界面活性剤３．０部
（プライサーフ（登録商標）Ａ２０８Ｎ第一工業製薬（株））
・タルク０．７部
（ミクロエース（登録商標）Ｐ−３）日本タルク工業（株）
・メチルエチルケトン３５．３７５部
・トルエン３５．３７５部

（カードの準備）
以下の組成のカードを準備した。
・ポリ塩化ビニルコンパウンド（重合度８００）１００部
（安定化剤等の添加材を約１０％含有）
・白色顔料（酸化チタン）１０部
・可塑剤（フタル酸ジオクチル）０．５部

（第１印画物の作製）
上記実施例１乃至６および比較例１乃至７の昇華型熱転写シートを用いて、上記で作製した中間転写媒体の受像層上に熱転写画像を形成し、次いで、上記で準備したカードに剥離層、保護層、受容層からなる転写層を再転写することで、第１印画物を得た。その際に用いた転写条件および再転写条件は以下の通りである。

（転写条件）
・サーマルヘッド：ＫＥＥ−５７−１２ＧＡＮ−ＳＴＡ（京セラ（株））
・発熱体平均抵抗値：３３０３（Ω）
・主走査方向印字密度：３００（ｄｐｉ）
・副走査方向印字密度：３００（ｄｐｉ）
・印画電圧：１８（Ｖ）
・ライン周期：１．５（ｍｓｅｃ．／ｌｉｎｅ）
・印字開始温度：３５（℃）
・パルスＤｕｔｙ比：８５（％）

（再転写条件）
・ラミネーター：ラミパッカーＬＰＤ３２１２（フジプラ（株））
・温度：１４５℃
・速度：０．８（設定値）

（第２印画物の作製）
上記実施例１乃至６および比較例１乃至７の昇華型熱転写シートを用いて、上記で準備したカードに熱転写画像を直接形成した。その際に用いた転写条件は以下の通りである。

（転写条件）
・プリンタ：カードプリンタ
・印圧：２．２（ｋｇ／ｉｎｃｈ）
・ライン周期：３（ｍｓｅｃ．／ｌｉｎｅ）
・サーマルヘッド解像度：３００（ｄｐｉ）
・印画エネルギー：０．２６（ｍＪ／ｄｏｔ）

次いで、形成された熱転写画像上に上記で作製した保護層転写シートを用いて転写性保護層を転写し、第２印画物を得た。その際に用いた転写条件は以下の通りである。

（保護層の転写条件）
・サーマルヘッド：Ｆ３５９８（東芝ホクト電子（株））
・発熱体平均抵抗値：５１７６（Ω）
・主走査方向印字密度：３００（ｄｐｉ）
・副走査方向印字密度：３００（ｄｐｉ）
・ライン周期：２（ｍｓｅｃ．／ｌｉｎｅ）
・パルスＤｕｔｙ：８５（％）
・印画開始温度：３５．５（℃）
・階調値：１８０／２５５階調

（レッド耐光性の評価）
上記の条件にて、実施例１乃至６および比較例１乃至７の昇華型熱転写シートのイエロー色材層とマゼンタ色材層を用いてレッド画像パターン（ＲＧＢ（２５５，０，０））を有する第１印画物および第２印画物を作製し、下記の条件にて光を照射した。
・照射試験器：アトラス社製Ｃｉ４０００
・光源：キセノンランプ
・フィルター：内側＝ＣＩＲＡ、外側＝ソーダライム
・ブラックパネル温度：４５（℃）
・照射強度：１．２（Ｗ／ｍ²）・・・４２０（ｎｍ）での測定値
・照射エネルギー：４００（ｋＪ／ｍ²）・・・４２０（ｎｍ）での積算値

次に、上記照射条件による照射前後の画像の色差ΔＥ^*ａｂを、分光測定器（ｉ１Ｘ−ｒｉｔｅ社）により測定した。測定に際しては照射前のレッド画像パターンのＯＤ値（光学濃度）が１．０付近で測定を行なった。
ΔＥ^*ａｂ＝（（Δａ^*）²＋（Δｂ^*）²）^1/2
ＣＩＥ１９７６Ｌａ^*ｂ^*表色系（ＪＩＳＺ８７２９（１９８０））参照
Δａ^*＝ａ^*（照射後）−ａ^*（照射前）
Δｂ^*＝ｂ^*（照射後）−ｂ^*（照射前）
なお、ａ^*及びｂ^*は、ＣＩＥ１９７６Ｌ^*ａ^*ｂ^*表色系に基づくものであり、知覚明度指数を表す。

レッド耐光性（ΔＥ^*ａｂ）の評価基準は以下の通りである。
Ａ：ΔＥ^*ａｂが５未満
Ｂ：ΔＥ^*ａｂが５以上１０未満
Ｃ：ΔＥ^*ａｂが１０以上２０未満
ＮＧ：ΔＥ^*ａｂが２０以上

（ブラック濃度の評価）
上記の条件にて、実施例１乃至６および比較例１乃至７の昇華型熱転写シートを用いて、ブラック画像パターン（ＲＧＢ（０，０，０））を有する第１印画物および第２印画物を作製した。分光測定器（ｉｌＸ−Ｒｉｔｅ社）を用いて、形成したブラック画像のＯＤ値（光学濃度）を測定し、以下の評価基準で評価した。

ブラック濃度の評価基準は以下の通りである。
Ａ：ＯＤ値が２．０以上
Ｂ：ＯＤ値が１．８以上２．０未満
Ｃ：ＯＤ値が１．５以上１．８未満
ＮＧ：ＯＤ値が１．５未満

（耐久性の評価）
上記（ブラック濃度の評価）に用いた第１印画物および第２印画物を用い、カード表面の転写層の耐摩耗性試験（Ｔａｂｅｒ試験）を、ＡＮＳＩ−ＩＮＣＩＴＳ３２２−２００２、５．９ＳｕｒｆａｃｅＡｂｒａｓｉｏｎに準拠して行った。３００サイクル後にカード表面を目視にて観察し、以下の評価基準で評価した。

耐久性の評価基準は以下の通りである。
Ａ：印画物に全くキズが生じていない。
Ｂ：印画物に少しキズが生じているが使用上問題ないレベルである。
ＮＧ−１：印画物にキズが生じており、使用上も問題になるレベルである。
ＮＧ−２：印画物に大きくキズが生じている。

（にじみの評価）
上記の条件にて、実施例１乃至６および比較例１乃至７の昇華型熱転写シートを用いて、１８ＳＴＥＰ画像を印画することで第１印画物および第２印画物を作製した。ついでこの印画物を温度７０℃、湿度８０％ＲＨの環境（暗所）下に１６８時間保存して、保存前と比較した際の画像のにじみの有無を目視で調べた。なお、１８ＳＴＥＰ画像とは、白から漸次濃度が濃くなり１８段階目で黒となる画像である。

にじみの評価の評価基準は以下の通りである。
Ａ：にじみは認められない。
Ｂ：にじみが少し認められる。
Ｃ：にじみが認められる。

（評価結果）
上記各評価を行った結果を以下の表１にまとめる。

上記の結果からも、本願発明の実施例にかかる昇華型熱転写シートは、中間転写媒体を用いて印画物を作製した場合であっても、中間転写媒体を用いることなく、直接カードに熱転写画像を形成することで印画物を作製した場合であっても、赤色の耐光性に優れるとともに、黒色の濃度にも優れ、かつカード印画物の耐久性についても優れており、にじみが生じることもないことが分かった。

１０…昇華型熱転写シート
１…基材
２Ｙ…イエロー色材層
２Ｍ…マゼンタ色材層
２Ｙ…シアン色材層
３…プライマー層
５…背面層

Claims

基材上に、少なくともイエロー色材層とマゼンタ色材層とシアン色材層とが面順次に設けられた昇華型熱転写シートであって、
前記イエロー色材層には、少なくとも、
下記一般式（Ｙ−Ｉ）で示される色材が含まれており、かつ、
イエロー色材層に含まれる全色材の合計質量に対する下記一般式（Ｙ−Ｉ）で示される色材の割合が６０質量％以上であり、
前記マゼンタ色材層には、少なくとも、
下記一般式（Ｍ−Ｉ）で示される色材と、
下記一般式（Ｍ−ＩＩ）で示される色材および一般式（Ｍ−ＩＩＩ）で示される色材のいずれか一方または双方と、が含まれており、かつ、
マゼンタ色材層に含まれる全色材の合計質量に対する下記一般式（Ｍ−Ｉ）で示される色材の割合が１０質量％以上５０質量％以下であることを特徴とする昇華型熱転写シート。

（一般式（Ｙ−Ｉ）中のＲ_１は炭素数８以下の直鎖又は分岐のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、水素原子、またはハロゲン原子を、Ｒ_２は置換又は非置換のアミノカルボニル基または置換又は非置換のアルコキシカルボニル基を表す。）

（一般式（Ｍ−Ｉ）中のＲ１及びＲ２は水素原子、直鎖又は分岐のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基又は置換又は非置換のアラルキル基を、Ｒ３は直鎖又は分岐のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノスルホニル基、水素原子又はハロゲン原子を、Ｒ４及びＲ５は直鎖又は分岐のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアミノ基、置換又は非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。）

（一般式（Ｍ−ＩＩ）及び（Ｍ−ＩＩＩ）中、Ｘ及びＹはＳ、Ｏ又はＳＯ_２を、Ｒ１及びＲ２は直鎖又は分岐のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基又は置換又は非置換のアリル基を表す。）
昇華型熱転写シートと被転写体との組合せであって、
前記昇華型熱転写シートが、請求項１に記載の昇華型熱転写シートであり、
前記被転写体が、ＪＩＳＸ６３０５−１に規定されている曲げ強さ試験におけるたわみ量が３５ｍｍ以下のカード材である、ことを特徴する昇華型熱転写シートと被転写体との組合せ。