JPWO2017150367A1 - 樹脂組成物および該樹脂組成物を用いた成形体 - Google Patents

樹脂組成物および該樹脂組成物を用いた成形体 Download PDF

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Abstract

超高分子量ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物であって、超高分子量ポリエチレン系樹脂由来の優れた特性を損なうことなく、汎用ポリエチレン同様の方法により成形し得る樹脂組成物を提供する。本発明の樹脂組成物は、粘度平均分子量が30万以上の超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)と、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)とを含む。1つの実施形態においては、上記樹脂組成物が、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)以外の樹脂(C)を含み、該樹脂(C)が、オレフィン系樹脂である、

Description

本発明は、樹脂組成物および該樹脂組成物を用いた成形体に関する。
超高分子量ポリエチレンは、例えば30万以上の分子量を有し、強度、耐摩耗性、潤滑性、衛生性等に優れ、摺動材料などの工業部品の材料として広く使われている。しかしながら、超高分子量ポリエチレンは、その分子の巨大さに起因して成形加工性が悪く、汎用ポリエチレンで一般に採用される成形方法(例えば、押し出し成形、射出成形)を適用し難いという問題がある。
超高分子量ポリエチレンの成形加工性を改良する方法としては、超高分子量ポリエチレンを含む樹脂組成物に、所定の滑材を添加する方法(特許文献1)、パラフィンワックス、石油樹脂または高級アルコールを添加する方法(特許文献2)、低分子量ポリエチレンを添加する方法(特許文献3)等が提案されている。しかしながら、超高分子量ポリエチレン由来の優れた特性と成形加工性とはトレードオフの関係にあり、いずれの方法においても、優れた特性を維持しつつ、成形加工性を向上させることはできていない。
特公昭43−24525号公報 特開昭57−193319号公報 特開昭57−177036号公報
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、超高分子量ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物であって、超高分子量ポリエチレン系樹脂由来の優れた特性を損なうことなく、汎用ポリエチレン同様の方法により成形し得る樹脂組成物を提供することにある。
本発明の樹脂組成物は、粘度平均分子量が30万以上の超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)と、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)とを含む。
1つの実施形態においては、上記超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の粘度平均分子量が30万〜1500万である。
1つの実施形態においては、上記樹脂組成物が、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)以外の樹脂(C)を含み、該樹脂(C)が、オレフィン系樹脂である。
1つの実施形態においては、上記超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の含有割合が、前記樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、20重量部〜95重量部である。
1つの実施形態においては、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の含有割合が、前記樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部である。
1つの実施形態においては、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸の縮合度が、2以上である。
1つの実施形態においては、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルが、縮合度が2以上の縮合ヒドロキシ脂肪酸と、アルコールとの反応生成物である。
1つの実施形態においては、上記樹脂(C)の含有割合が、前記樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、0重量部を超えて80重量部以下である。
本発明の別の局面によれば、成形体が提供される。この成形体は、上記樹脂組成物を用いて形成される。
本発明によれば、超高分子量ポリエチレンを含む樹脂組成物に、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステルを添加することにより、超高分子量ポリエチレン由来の優れた特性を損なうことなく、成形加工性に優れる樹脂組成物を得ることができる。本発明の樹脂組成物は、汎用ポリエチレンと同様の方法(例えば、押し出し成形、射出成形)により、良好に成形することが可能である。より具体的には、本発明の樹脂組成物は、成形時のせん断剥離が防止される、シート形成時には薄膜形成が可能となる等の利点を有する。また、本発明の樹脂組成物から得られた成形体は、機械的特性、耐摩耗性、外観、自己潤滑性、耐衝撃性、外観等に優れる。
A.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)と縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)(以下、単に化合物(B)ともいう)とを含む。1つの実施形態においては、上記樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)以外の樹脂(C)(以下、単に樹脂(C)ともいう)を含み得る。
本発明によれば、上記のとおり、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステルを添加することにより、超高分子量ポリエチレン由来の優れた特性を損なうことなく、成形加工性に優れる樹脂組成物を得ることができる。成形加工性の優劣は、例えば、樹脂組成物のメルトフローレートで評価することができる。本発明の樹脂組成物の190℃、21.6kgfにおけるメルトフローレートは、好ましくは1g/10min以上であり、より好ましくは3g/10min以上であり、さらに好ましくは5g/10min以上であり、特に好ましくは8g/10min以上である。該メルトフローレートの上限は、例えば、100g/10minである。メルトフローレートは、JISK7210に準じた方法により測定することができる。
A−1.超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の粘度平均分子量は、30万以上である。このように分子量が高いポリエチレン系樹脂を用いれば、耐摩耗性、自己潤滑性、耐衝撃性、低温特性、耐薬品性等に優れる成形体を形成し得る樹脂組成物を得ることができる。超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の粘度平均分子量は、好ましくは30万〜1500万であり、より好ましくは50万〜800万であり、さらに好ましくは100万〜600万である。このような範囲であれば、上記特性に優れる成形体を加工性よく形成し得る樹脂組成物を得ることができる。本発明の樹脂組成物は、分子量が異なる2種以上の超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)を含んでいてもよい。なお、上記粘度平均分子量(Mv)は、ASTMD4020に規定の粘度法により測定することができる。具体的には、ASTMD4020の粘度法に基づき極限粘度(η(dl/g))を測定し、次式(1)から粘度平均分子量(Mv)を求めることができる。
Mv=5.37×10η1.37 ・・・(1)
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の極限粘度は、例えば、3.5dl/g以上である。超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の極限粘度の上限は、例えば、60dl/g以下である。
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)は、エチレンを主成分とする単量体組成物(全単量体中、エチレンの含有割合が最大となる単量体組成物)を重合して得られる樹脂である。超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)は、エチレンの単独重合体であってもよく、エチレンと該エチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)中、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である。
エチレンと共重合可能な他の単量体としては、例えば、炭素数3以上(好ましくは、炭素数3〜20)のα−オレフィンなどが挙げられる。この炭素数3以上のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン等が挙げられる。
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)は、任意の適切な方法により製造され得る。例えば、特開昭58−83006号公報に記載されている方法により、任意の適切な触媒の存在下で、上記単量体を重合して得ることができる。
1つの実施形態においては、上記のとおり、本発明の樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)以外の樹脂(C)をさらに含む。この場合、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の含有割合は、樹脂組成物中の樹脂100重量部(すなわち、樹脂(A)と樹脂(C)との合計量100重量部)に対して、好ましくは20重量部〜95重量部であり、より好ましくは30重量部〜85重量部であり、さらに好ましくは40重量部〜80重量部である。このような範囲であれば、加工性に特に優れる樹脂組成物を得ることができる。
別の実施形態においては、本発明の樹脂組成物は、樹脂成分として、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)のみを含む。
A−2.縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)
本発明においては、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)を含有させることにより、樹脂成分として超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)を含む樹脂組成物であっても、汎用ポリエチレン系樹脂と同様の成形方法(例えば、押し出し成形、射出成形)により加工することが可能な樹脂組成物を得ることができる。
上記縮合ヒドロキシ脂肪酸は、ヒドロキシ脂肪酸を脱水縮合して得ることができる。縮合ヒドロキシ脂肪酸は、例えば、ヒドロキシ脂肪酸に苛性ソーダ等のアルカリ触媒を添加し、加熱下で反応水を除去することにより脱水縮合して、得ることができる。
上記縮合ヒドロキシ脂肪酸は、ヒドロキシ脂肪酸の縮合体であり、その縮合度は、好ましくは2以上であり、より好ましくは4以上である。縮合ヒドロキシ脂肪酸の縮合度の上限は、例えば、20である。なお、縮合度とは、原料ヒドロキシ脂肪酸の酸価と縮合反応後の酸価とから計算して求めることができる。
上記ヒドロキシ脂肪酸は、分子内に1個以上の水酸基を有する脂肪酸である。ヒドロキシ脂肪酸の具体例としては、例えば、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、サビニン酸、2ーヒドロキシテトラデカン酸、イプロール酸、2ーヒドロキシヘキサデカン酸、ヤラピノール酸、ユニペリン酸、アンブレットール酸、アリューリット酸、2ーヒドロキシオクタデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸、9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸、カムロレン酸、フェロン酸、セレブロン酸等が挙げられる。ヒドロキシ脂肪酸は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルは、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸とアルコールとをエステル化反応させることで得られ得る。縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルは、例えば、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸とアルコールとを混合し、得られた混合物に苛性ソーダ等のアルカリ触媒または燐酸等の酸触媒を添加し、加熱下で反応水を除去することにより、得ることができる。この反応中のエステル化の進行度は酸価、ケン化価、水酸基価等を測定することで確認することができる。ここで用いられる縮合ヒドロキシ脂肪酸においても、その縮合度は、上記のとおり、2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。
上記アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコールなどの二価アルコール等が挙げられる。また、上記アルコールとして、多価アルコールを用いてもよい。多価アルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、グリセリンなどのアルカンポリオール;該アルカンポリオールの重合体であるポリアルカンポリオール;ショ糖などの糖類;ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコールに代表される糖誘導体等が挙げられる。これらのアルコールは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記化合物を原料として合成された縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の具体例としては、例えば、リシノレイン酸を脱水縮合した縮合リシノレイン酸、12ヒドロキシステアリン酸を脱水縮合した縮合12ヒドロキシステアリン酸、縮合リシノレイン酸とグリセリン6重合体のヘキサグリセリンのエステルである縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリンエステル、縮合リシノレイン酸とグリセリン4重合体のテトラグリセリンのエステルである縮合リシノレイン酸テトラグリセリンエステル、縮合12ヒドロキシステアリン酸とプロピレングリコールのエステルである縮合12ヒドロキシステアリン酸プロピレングリコールエステル、縮合リシノレイン酸とプロピレングリコールとのエステルである縮合リノレイン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の含有割合は、樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜30重量部であり、より好ましくは0.1重量部〜20重量部であり、さらに好ましくは0.1重量部〜10重量部であり、さらに好ましくは0.5重量部〜10重量部であり、特に好ましくは0.5重量部〜8重量部であり、最も好ましくは0.6重量部〜6重量部である。このような範囲であれば、耐摩耗性、自己潤滑性、耐衝撃性、低温特性、耐薬品性等の特性が特に優れる成形体を、加工性よく形成し得る樹脂組成物を得ることができる。「縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の含有割合」とは、縮合ヒドロキシ脂肪酸と縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルの合計含有割合を意味する。したがって、上記樹脂組成物が化合物(B)として縮合ヒドロキシ脂肪酸のみを含む場合、「縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の含有割合」とは、縮合ヒドロキシ脂肪酸の含有割合を意味する。また、上記樹脂組成物が化合物(B)として縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルのみを含む場合、「縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の含有割合」とは、縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルの含有割合を意味する。
A−3.樹脂(C)
1つの実施形態においては、上記のとおり、本発明の樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)以外の樹脂(C)を含む。樹脂(C)としては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、α−オレフィンの単独重合体、2種以上のα−オレフィンから構成される共重合体等)が挙げられる。樹脂(C)として、2種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(C)を構成するα−オレフィンとしては、炭素数が2〜10のα−オレフィンが好ましく、炭素数が2〜8のα−オレフィンがより好ましく、エチレン、プロピレンまたは1−ブテンがさらに好ましい。
1つの実施形態においては、樹脂(C)として、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)以外のポリエチレン系樹脂が用いられる。該ポリエチレン系樹脂中、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である。
樹脂(C)がポリエチレン系樹脂である場合、その粘度平均分子量は、例えば、20万以下である。比較的分子量の低い樹脂(C)を含有させることにより、樹脂組成物の成形加工性がさらに向上する。
樹脂(C)として用いるポリエチレン系樹脂の190℃、2.16kgfにおけるメルトフローレートは、好ましくは0.01g/10min〜150g/minであり、より好ましくは0.1g/10min〜100g/minであり、さらに好ましくは10g/10min〜90g/minであり、特に好ましくは20g/10min〜80g/minである。このような範囲であれば、成形加工性に特に優れ、かつ、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)由来の特性が十分に発揮される樹脂組成物を得ることができる。
1つの実施形態においては、樹脂(C)として、プロピレン系樹脂が用いられる。プロピレン系樹脂は、超高分子量ポリエチレン樹脂(A)との相溶性が良好であるという観点から、好ましい。プロピレン系樹脂として、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンとから構成されるランダムポリプロピレン、プロピレンとエチレンとから構成されるブロックポリプロピレン、プロピレンとエチレンと1−ブテンとから構成されるポリプロピレンターポリマー、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、長鎖分岐ポリプロピレン等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。プロピレン系樹脂中のプロピレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である。
樹脂(C)として用いるプロピレン系樹脂の230℃、2.16kgfにおけるメルトフローレートは、好ましくは0.1g/10min〜100g/minであり、より好ましくは0.5g/10min〜80g/minであり、さらに好ましくは1g/10min〜50g/minである。このような範囲であれば、成形加工性に特に優れ、かつ、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)由来の特性が十分に発揮される樹脂組成物を得ることができる。
樹脂(C)の含有割合は、樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、好ましくは0重量部を超えて80重量部以下であり、より好ましくは5重量部〜60重量部であり、さらに好ましくは10重量部〜50重量部である。このような範囲であれば、成形加工性に特に優れ、かつ、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)由来の特性が十分に発揮される樹脂組成物を得ることができる。
A−4.その他の成分
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、例えば、流動改質剤、メヤニ防止剤、熱安定剤、耐候剤等の安定剤、顔料、染料等の着色剤、滑剤、架橋剤、架橋助剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、有機フィラー、無機フィラー等が挙げられる。
流動改質剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン等の各種シリコーン油、液体潤滑剤、各種脂肪族化合物又はその金属塩、脂環式化合物、各種ワックス類、個体潤滑剤、各種界面滑性剤、これらの混合物等が挙げられる。1つの実施形態としては、流動改質剤として、脂肪酸アミド(好ましくはエルカ酸アミド)が用いられる。脂肪酸アミドノ含有割合は、例えば、樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、0.05重量部〜1重量部である。このようにして脂肪酸アミドを添加すれば、樹脂組成物の流動性が改質され、該樹脂組成物によるフィルムの薄膜成型性が向上する。
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサンタイプ、メチルハイドロジェンポリシロキサンタイプ、両末端ハイドロジェンポリシロキサンタイプ、メチルフェニルポリシロキサンタイプ、アルキル変性シリコーンタイプ、アミノ変性シリコーンタイプ、カルボキシル変性シリコーンタイプ、高級脂肪酸変性シリコーンタイプ、エポキシ変性シリコーンタイプ、ビニル基含有シリコーンタイプ、アルコール変性シリコーンタイプ、ポリエーテル変性シリコーンタイプ、アルキル・ポリエーテル変性シリコーンタイプ、フッソ変性シリコーンタイプのシリコーン油が挙げられる。
液体潤滑剤としては、例えば、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル油、エステル油、リン酸エステル油、ポリクロロトリフルオロエチレン油、フルオロエステル油、塩素化ビフェニル油、シリコーン油等の合成潤滑油、エチレン−α−オレフィン共重合合成潤滑油等が挙げられる。
脂肪族化合物としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸;エチレンビス−ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビス−オレイン酸アミド、カプリンアミド、ラウリンアミド、パルミチンアミド、ステアリルアミド等、ベヘンサンアミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイルパルチミン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の脂肪酸アミド;ジオクチルエーテル{(C17O}、ジデシルエーテル{(C1025O}、ジドデシルエーテル{(C1225O}、ジオクタデシルエーテル{(C1837O}等の脂肪酸のエーテル化合物;メチルテトラデシルケトン{CHCO(CH13CH}、n−プロピルヘキシサデシルケトン{CH(CHCO(CH15CH}、ジドテシルケトン{CH(CH11CO(CH11CH}、ジオクタデシルケトン{CH(CH17CO(CH17CH}等の脂肪酸のケトン化合物;ラウリン酸オクチル{CH(CH10COO(CHCH}、パルミチン酸エチル{CH(CH14COOCHCH}、ステアリン酸ブチル{CH(CH16COO(CHCH}、ステアリン酸オクチル{CH(CH16COO(CHCH}等の脂肪酸のエステル化合物;ラウリンアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(CH(CH14CHOH)、ヘプタデシルアルコール(CH(CH15CHOH)、ステアリルアルコール(CH(CH16CHOH)、セリルアルコール(CH(CH24CHOH)、ベヘニルアルコール(CH3(CHC(CH)11CHOH)等の脂肪族アルコール;等が挙げられる。
脂肪酸の金属塩としては、例えば、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ジンクステアレート、ジンクラウレート、ジンクベヘネート、モンタン酸カルシウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸バリウム、モンタン酸リチウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸亜鉛、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸バリウム、ベヘン酸リチウムベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。
脂環式化合物としては、例えば、エステル化ロジン、環状テルペン樹脂、テルペン樹脂誘導体、ポリシクロペンタジエン、水添ポリシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンを主成分として1、3−ペンタジエンまたは共役ジオレフィンなどを加えて重合したポリシクロペンタジエン系樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等挙げられる。
ワックス類としては、例えば、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−テトラデカン、n−オクタデカン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、トリアコンタン等の炭素数22以上のn−アルカンあるいはこれらを主成分とした低級n−アルカンとの混合物;石油から分離精製されたいわゆるパラフィンワックス、エチレンあるいはエチレンと他のα−オレフィンとを共重合して得られる低分子量重合体である中・低級ポリエチレンワックス、高圧法ポリエチレンワックス、エチレン共重合ワックス、あるいは中・低圧法ポリエチレン、高圧法ポリエチレン等のポリエチレンを熱減成等により分子量を低下させたワックス及びそれらのワックスの酸化物あるいはマレイン酸変性等の酸化ワックス、マレイン酸変性ワックス、モンタン酸エステル系ワックス、脂肪酸誘導体のワックス(例:ジカルボン酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アマイドワックス)等が挙げられる。
固体潤滑剤としては、例えば、黒鉛、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、二硫化タングステン、酸化鉛、ガラス粉、金属石ケン等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、グリセリンモノステアレート、パーム硬化油モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、ナタネ硬化油脂肪酸モノ・ジグリセリド、自己乳化型ステアリン酸モノ・ジグリセリド、オレイン酸モノ・ジグリセリド、カプリル酸モノグリセリドラウリン酸モノグリセリド、カプリン酸モノグリセリド、カプリル酸モノ・ジグリセリド、カプリル酸ジグリセリド、モノ・ジオレイン酸ジグリセリン、モノ・ジステアリン酸ジグリセリン、モノステアリン酸ジグリセリン、ペンタオレイン酸デカグリセリン、ペンタステアリン酸デカグリセリン、ペンタステアリン酸デカグリセリン、デカオレイン酸デカグリセリン、デカステアリン酸デカグリセリン、トリオレイン酸ペンタグリセリン、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリン、モノラウリン酸デカグリセリン、モノミリスチン酸デカグリセリン、モノオレイン酸デカグリセリン、モノステアリン酸デカグリセリン、ジステアリン酸デカグリセリン、モノラウリン酸ペンタグリセリン、モノミリスチン酸ペンタグリセリン、モノオレイン酸ペンタグリセリン、モノステアリン酸ペンタグリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ソルビタントリオレート、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
メヤニ防止剤としてはフッソ系エラストマー、12−ヒドロキシステアリン酸金属塩、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸金属塩、カルボン酸アマイド系ワックス等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、低分子型界面活性剤タイプの帯電防止剤、高分子型タイプの帯電防止剤等が挙げられる。低分子型界面活性剤タイプの帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜3級アミノ基等のカチオン性基を有するカチオン性帯電防止剤、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、スルホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性帯電防止剤、アミノ酸帯電防止剤、アミノ硫酸エステル帯電防止剤等の両性帯電防止剤、アミノアルコール帯電防止剤、グリセリン帯電防止剤、ポリエチレングリコール帯電防止剤等のノニオン性帯電防止剤等が挙げられる。高分子型タイプの帯電防止剤としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルポリオレフィン、エチレンオキシド・エピクロルヒドリン系共重合体などの非イオン性の高分子型帯電防止剤、ポリスチレンスルホン酸などのアニオン性の高分子型帯電防止剤、四級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体、四級アンモニウム塩基含有スチレン重合体、四級アンモニウム塩基含有ポリエチレングリコールメタクリレート系共重合体などのカチオン性の高分子型帯電防止剤などが挙げられる。
また、帯電防止機能を付与する観点から、導電性物質を用いることができる。導電性物質としては、例えば、金属、金属酸化物、金属又は金属酸化物で被覆された粒子、無機金属塩化合物、カーボン系材料、変性シリコーン材料、イオン性有機化合物、非イオン性有機化合物、導電性高分子、イオン性液体等が挙げられる。金属としては、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、鉄、パラジウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化セリウム、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、金属ドープ酸化スズ、及び金属ドープ酸化亜鉛等が挙げられる。金属ドープ酸化スズとしては、例えば、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)が挙げられる。無機金属塩化合物としては、例えば、金属ケイ酸塩、金属チタン酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属過塩素酸塩、アルカリ金属スルホン酸塩、アルカリ金属カルボン酸塩、テトラフルオロホウ酸の金属錯体、ヘキサフルオロリン酸の金属錯体等が挙げられる。カーボン系材料としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェンなどが挙げられる。導電性付与材としては、例えば、導電性フィラーが挙げられる。導電性フィラーとしては、例えば、カーボン系、金属系、金属酸化物系、金属被覆系の導電性フィラーが挙げられる。カーボン系導電性フィラーとしては、例えば、ケッチェンブラックやアセチレンブラック、オイルファーネスブラック等が挙げられる。金属系の導電性フィラーを構成する金属としては、例えば、Ag、Ni、Cu、Zn、Al、ステンレス等が挙げられる。金属酸化物系導電性フィラーを構成する金属酸化物としては、例えば、SnO、In、ZnO等が挙げられる。金属被覆系導電性フィラーとしては、例えば、被覆材として、Ni、Al等が用いられ、ベースフィラーとして、マイカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が用いられたフィラーが採用される。
1つの実施形態においては、カーボン系導電性フィラー(好ましくはケッチェンブラック)が用いられる。カーボン系導電性フィラーの含有割合は、例えば、樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、2重量部〜20重量部である。このようにしてカーボン系導電性フィラーを添加すれば、表面固有抵抗値(例えば、10Ω/□〜10Ω/□)が適切に設定された成形体を形成し得る樹脂組成物を得ることができる。
着色材としては、例えば、ペリレンレッド(C.I.PigmentRed178)、キナクリドンレッド(C.I.Pigment122、202)、アンスラキノンエロー(C.I.Pigment Yellow147)、ベンズイミザゾロンエロー(C.I.PigmentYellow180、181)、モノアゾレーキエロー(C.I.Pigment 183)、銅フタロシアニンブルー(C.I.PigmentBlue15−1)、銅フタロシアニングリーン(C.I.PigmentGreen7)等の有機顔料;二酸化チタン(C.I.PigmentWhite6)、硫化亜鉛(C.I.PigmentWhite22)、カーボンブラック(C.I.PigmentBlack7)、焼成ブラック(C.I.PigmentBlack28)、ビスマスバナデートエロー(C.I.PigmentYellow184)、ニッケルチタンエロー(C.I.PigmentYellow53)、クロムチタンエロー(C.I.PigmentBrown24)、弁柄(C.I.PigmentRed101)、酸化クロム(C.I.PigmentGreen17)、コバルトグリーン(C.I.PigmentGreen19)、群青(C.I.PigmentBlue29)、コバルトブルー(C.I.PigmentBlue28)、群青バイオレット(C.I.PigmentViolet15)及びアルミニウム(C.I.Pigmentmatal1)等の無機顔料等が挙げられる。
A−5.樹脂組成物の製造方法
本発明の樹脂組成物は、任意の適切な方法により製造され得る。該製造方法としては、例えば、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)と、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)と、必要に応じて添加される樹脂(C)とを、溶融混練する方法(メルトブレンド法)が挙げられる。溶融混練の方法としては、例えば、単軸押出機、多軸押出機、タンデム式押出機、バンバリーミキサー等を用いた方法が挙げられる。縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)存在下で上記樹脂を溶融混練すれば、塊状物の発生を抑制することができ、樹脂分散状態の良好な樹脂組成物を得ることができる。
上記溶融混練における加工温度は、樹脂組成物に含有される樹脂が溶融し得る温度であることが好ましい。該温度は、例えば、150℃〜330℃である。
B.成形体
本発明によれば、上記樹脂組成物を用いて形成された成形体が提供され得る。該成形体を成形する方法としては、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、異形押出成形法、発泡成形法、ラム押出成形法、固化押出法、パイプ成形法、チューブ成形法、異種成形体の被覆成形法、インジェクションブロー成形法、ダイレクトブロー成形法、Tダイシートまたはフィルム成形法、延伸成型法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、プレス成形法、回転成形法、真空成形法、圧空成形法、溶融紡糸等が挙げられる。
上記成形体は、用途に応じて、例えば、シート状、フィルム状、棒状、チューブ状、塊状、異形状等に成形され得る。上記成形体の形態としては、例えば、容器、冷凍バッグ、ブローボトル、トレー、包装材、テープ、蓋材等が挙げられる。また、被覆材として上記成形体を用いることもできる。
上記成形体は、超高分子量ポリエチレン系樹脂由来の特性(優れた機械的特性、耐衝撃性、耐摩耗性、自己潤滑性等)を有し、かつ、上記樹脂組成物の成形容易性に由来して外観にも優れる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。実施例における評価方法は以下のとおりである。なお、部および%は特に断りのない限り重量基準に基づく。
(1)流動性
得られた樹脂組成物について、JISK7210準じ、立山科学工業社製の「L268」を用いてメルトフローレート(MFR)を測定し、流動性を評価した。樹脂組成物のMFR試験における試験条件は、温度:190℃、荷重:21.6kgfとした。
(2)押し出し成形性
40mmφ単軸押出機(GSI Creos社製、商品名「691C−EF049」、押し出し温度:250℃)により、樹脂組成物の押し出し成形性を評価した。表1および表2中、良好に押し出し成形できた場合を〇、押し出し成形に不具合が生じた場合(樹脂組成物の吐出不可の場合)を×とする。
(3)衝撃強度
樹脂組成物をJISK6936−2に準じて圧縮成形し、評価サンプルを作製した。該評価サンプルについて、JISK7111に準じ、東洋精機製作所社製の「DG−CB」を用いて、シャルピー衝撃特性を評価した。評価サンプルの形状および測定条件は以下のとおりとした。表1中、当該試験により、評価サンプルが破壊されなかった場合を「非破壊」とする。また、評価サンプルが破壊された場合、表1には、当該評価サンプルのシャルピー衝撃強さを記載する。
(評価サンプル)
・ノッチ付サンプル
長さl:80.0±0.2cm
幅b :10.0±0.2cm
厚さh:4.0±0.2cm
ノッチ後の残り幅bn:8.0±0.2cm
ノッチ:形状A(ノッチ先端半径r;0.25±0.05mm)
(測定条件)
振り子エネルギー:4J
衝撃速度 :2.9m/s(±5%)
(4)耐摩耗性(摩耗量)
攪拌翼を備える攪拌槽内に、水と砥粒(粒径200μm〜1000μmの珪砂)とをそれぞれ同量混合して得られた混合液を仕込んだ。
圧縮成形(JISK6936−2)により、幅100mm×長さ100mm×厚み4mmの評価サンプルを得た。
この評価サンプルの幅と長さで規定される面が、攪拌翼の回転軸と平行になるようにして、該評価サンプルを攪拌翼に取り付けた。
その後、500rpmの回転速度で攪拌翼を60000回転させた。
上記試験前の評価サンプルの重量と、試験後の評価サンプルの重量との差を摩耗量とした。
[実施例1]
上記超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)として下記超高分子量ポリエチレン系樹脂(A1)60重量部と、上記樹脂(C)としての下記ポリエチレン樹脂(C1)40重量部と、および上記化合物(B)としての下記縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステル(B1)2重量部を二軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM37SS」)で溶融混練りして、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を上記評価(1)〜(4)に供した。結果を表1に示す。
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A1):旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンファインUH970」、粘度平均分子量:590万
ポリエチレン樹脂(C1):旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンテックJ300」、MFR(190℃/2.16kgf):40g/10min
縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステル(B1):縮合リシノレイン酸テトラグリセリン(ヒドロキシ脂肪酸の縮合度10)
[実施例2〜20、比較例1〜14]
表1に示す超高分子量ポリエチレン系樹脂(A2〜A6)、ポリエチレン樹脂(C2〜C6)、ポリプロピレン樹脂/ポリエチレン樹脂混合品(C7)、化合物(B2、B3)および化合物(d1〜d4)を、表1に示す配合量で用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を上記評価(1)〜(4)に供した。結果を表1に示す。
(超高分子量ポリエチレン系樹脂(A))
A2:旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンファインUH950」、粘度平均分子量:450万
A3:旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンファインUH900」、粘度平均分子量:330万
A4:旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンファインUH850」、粘度平均分子量:200万
A5:旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンファインUH650」、粘度平均分子量:100万
A6:セラニーズ社製、商品名「GUR5113」、粘度平均分子量:50万
(樹脂(C))
C2:ポリエチレン樹脂、東ソー社製、商品名「ニポロンハード4020」、MFR(190℃/2.16kgf):5.4g/10min
C3:ポリエチレン樹脂、東ソー社製、商品名「ニポロンハード7300A」、MFR(190℃/2.16kgf):0.05g/10min
C4:ポリエチレン樹脂、プライムポリマー社製、商品名「エボリューH SP50800P」、MFR(190℃/2.16kgf):135g/10min
C5:ポリエチレン樹脂、東ソー社製、商品名「ペトロセン203」、MFR(190℃/2.16kgf):8g/10min 12.5重量部、ポリエチレン樹脂、旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンテックJ300」、MFR(190℃/2.16kgf):40g/10min 87.5重量部
C6:ポリエチレン樹脂、住友化学社製、商品名「エクセレンFX558」、MFR(190℃/2.16kgf):75g/10min 50重量部、ポリエチレン樹脂、旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンテックJ300」、MFR(190℃/2.16kgf):40g/10min 50重量部
C7:ポリプロピレン樹脂、日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックBC2E」、MFR(230℃/2.16kgf):16g/10min 50重量部、ポリエチレン樹脂、プライムポリマー製、商品名「NEO−ZEX45200」、MFR(190℃/2.16kgf):20g/10min 50重量部
(化合物(B))
B2:縮合リシノレイン酸プロピレングリコールエステル(ヒドロキシ脂肪酸の縮合度4)
B3:縮合12ヒドロキシステアリン酸(ヒドロキシ脂肪酸の縮合度4)
(化合物(d))
d1:オレイン酸グリセリンエステル
d2:リシノレイン酸グリセリンエステル
d3:オレイン酸プロピレングリコールエステル
d4:ステアリン酸ヘキサグリセリンエステル
Figure 2017150367
表1から明らかなように、本発明の樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン系樹脂由来の優れた特性(耐衝撃性、摩耗性)を損なうことなく、汎用ポリエチレン同様の方法により成形し得、その実用性は極めて大きいものである。
[実施例21]
上記超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)として超高分子量ポリエチレン系樹脂(A3)60重量部と、上記樹脂(C)としてのポリエチレン樹脂(C1)40重量部と、上記化合物(B)としての縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステル(B1)2重量部と、流動改質剤(E1)としてのエルカ酸アミド(花王社製、商品名「脂肪酸アマイドE」0.2重量部を二軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM26SS」)で溶融混練りして、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を上記評価(1)〜(2)に供した。結果を表2に示す。
[実施例22]
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A3)60重量部に代えて、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A5)60重量部を用い、アルコールエステル(B1)の配合量を0.5重量部としたこと以外は、実施例21と同様にして、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を上記評価(1)〜(2)に供した。結果を表2に示す。
Figure 2017150367
表2から明らかなように、本発明の樹脂組成物は、流動改質剤を添加することにより、流動性がさらに高まる。
[成形体の製造例1:シート]
実施例6で得られた樹脂組成物を原料として、40mmφ単軸押出機(GSI Creos社製、商品名「691C−EF049」)を使用して、Tダイスを使用したフィルム成形により、ダイス幅300mm、リップクリアランス0.5mm、加工温度250℃の条件で、厚さ300μmのシートを成形した。
本発明の樹脂組成物から得られるシートは、耐摩耗性、摺動性、耐衝撃性に優れる。
[成形体の製造例2:フィルム]
実施例15で得られた樹脂組成物を原料として、成形体の製造例1と同様の設備を使用し、ダイス幅300mm、リップクリアランス0.3mm、加工温度250℃の条件で、厚さ50μmのフィルムを成形した。
本発明の樹脂組成物から得られるフィルムは、摩耗特性、摺動性、耐衝撃性等の性能を保持しつつ薄膜成型性が可能になっている点が優れており、商品設計の幅が格段に広がる。
[成形体の製造例3:粘着テープ]
成形体の製造例1、2で成形した基材にコロナ処理を行い、粘着剤組成物溶液をダイレクト塗工方式で塗布し乾燥する方法で粘着テープを作製した。塗布法は特に限定はされないが、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などを採用できる。
本発明の樹脂組成物から得られる粘着テープは優れた、摩耗特性、摺動性、耐衝撃性等の性能を有している。
[成形体の製造例4:保護用バック]
実施例11で得られた樹脂組成物を原料として、単層成形法または他の樹脂との多層フィルム成型法によりフィルムを作製し、当該フィルムを用いて熱融着等の方法で凍結保存用バッグ(保護用バック)を作製した。
本発明の樹脂組成物から得られる凍結保存用バッグ(保護用バック)は、摺動性、摩耗特性、耐衝撃性、耐寒衝撃性、耐薬品性を保持している点に優れ、生体組織の冷凍保存バック、食品保存バックに有用である。
[成形体の製造例5:トラック荷台保護材]
実施例1で得られた樹脂組成物を原料として、異型押出成形法によりスノコ状のパーツを成型し組み立てることでトラック荷台の保護材を作製した。
本発明の樹脂組成物から得られる保護材はトラック等の荷台を貨物より保護すると同時に貨物を滑りやすくすることで運搬作業の効率も優れるものである。
[成形体の製造例6:搬送トレー]
実施例1で得られた樹脂組成物を原料として、成形体の製造例1と同様の方法で成形した厚み1mm、2mmのシートを使用し、成型温度300〜350℃で真空成型することで搬送用トレーを作製した。
本発明の樹脂組成物から得られる搬送用トレーは摩耗特性、摺動性、耐衝撃性に優れ、製品の長寿命化が図れる。
[成形体の製造例7:発泡成形体]
実施例11で得られた樹脂組成物を原料として、化学発泡剤を添加し異型押出成形法により板状の成形体を作製した。表面未発泡のスキン層部分は摩耗性、摺動性を維持しつつ中心層が発泡することで成形品の軽量化が図れる。
[成形体の製造例8:中空トレー]
実施例11で得られた樹脂組成物を原料として、ブロー成型法により中空のトレーを作製した。
本発明の樹脂組成物から得られる搬送用トレーは摩耗特性、摺動性、耐衝撃性に優れ、製品の長寿命、軽量化に優れる。
本発明の樹脂組成物は、容器、冷凍バッグ、ブローボトル、トレー、包装材、テープ、蓋材等の各種成形体の材料として好適に用いられ得る。

Claims (8)

  1. 粘度平均分子量が30万以上の超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)と、
    縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)とを含む、
    樹脂組成物。
  2. 前記超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の粘度平均分子量が、30万〜1500万である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)以外の樹脂(C)をさらに含み、
    該樹脂(C)が、オレフィン系樹脂である、
    請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の含有割合が、前記樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部である、請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記縮合ヒドロキシ脂肪酸の縮合度が、2以上である、請求項1から4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルが、縮合度が2以上の縮合ヒドロキシ脂肪酸と、アルコールとの反応生成物である、請求項1から4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記樹脂(C)の含有割合が、前記樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、0重量部を超えて80重量部以下である、請求項2から6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて形成された、成形体。

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