JP6348363B2 - ポリアミド樹脂組成物ペレットおよび成形品 - Google Patents
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Description
(B)成分は高級脂肪酸金属塩または高級脂肪酸エステルであることが好ましく、モンタン酸金属塩またはモンタン酸エステルであることがより好ましい。
(A)成分の硫酸相対粘度は2.0〜3.0であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物ペレットは、(A)ポリアミド610樹脂ペレットが、(B)滑剤および(C)無機充填剤を含む溶融コーティング層を有するものである。以下、各成分について詳細に説明する。
本発明で用いるポリアミド610樹脂ペレット((A)成分)は、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸とを重合してなるポリヘキサメチレンセバカミドである。これは市販のものを入手することにより、あるいは常法により合成することにより得られる。
本発明で用いる滑剤((B)成分)としては、熱可塑性樹脂ペレットに添加することにより可塑化性や離型性等の成形性を改良する作用のあるもので、例として、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス等の脂肪族炭化水素系、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸、ステアリルアルコール等の高級脂肪族アルコール、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、ステアリルステアレート、モンタンワックス等の高級脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの滑剤は一種を単独で用いてもよく、また二種以上のものを併用してもよい。
中でも、モンタン酸のナトリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩等の金属塩、上記のモンタン酸エステルが好ましい。
本発明で用いる無機充填剤((C)成分)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ウォラストナイト、カオリン、マイカ、シリカ、二酸化チタン、タルク、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸カリウム、およびホウ酸アルミニウムが挙げられ、これらは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。結晶核剤としての効果や強度等を向上させる観点から、ウォラストナイト、カオリン、二酸化チタン、酸化カルシウムおよびタルクからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、ウォラストナイト、カオリンおよびタルクからなる群より選択される少なくとも一種がさらに好ましい。本発明のポリアミド樹脂組成物ペレットを成形して得られる成形品の表面外観を向上させる観点からは、カオリンおよび/またはタルクがさらに好ましい。
ポリアミド610樹脂ペレットの25℃の相対粘度(ηr)は、ポリアミド610樹脂ペレット1質量%を含む98%濃硫酸溶液中、オストワルド粘度計を用いて、JIS K6810に準拠して測定した。
以下の標準方法に従って測定した。
(2−1)引張強さ、引張破断伸び
ASTM D638に従って、ASTMダンベル型試験片(試験片厚み:1/8インチ)を用い、試験速度50mm/分で測定した。
(2−2)アイゾット衝撃強さ
ASTM D256に従って、ASTM短冊型試験片(試験片厚み:1/8インチ)を切削加工を施したアイゾット衝撃試験用のノッチ入り試験片を用いて測定を行った。
上述のダンベル型試験片およびノッチ入りの試験片を3質量%の塩化カルシウム水溶液に60℃で500時間浸漬して耐薬品性試験を行った。耐薬品性試験後の試験片の引張特性、アイゾット衝撃値について下記のようにして評価した。
(3−1)引張強さ保持率
上記耐薬品性試験後のダンベル型試験片を塩化カルシウム水溶液から取り出してその表面を拭き、室温23℃、相対湿度55%の室内に1時間静置した。次いで、そのダンベル型試験片について、ASTM D638に準拠して、引張強度(単位:MPa)を測定した。耐薬品性試験後の引張強さ(単位:MPa)÷耐薬品性試験前の引張強さ(単位:MPa)×100を引張強さ保持率(単位:%)として算出した。この保持率が高いほど、耐薬品性に優れていることを示す。
(3−2)アイゾット衝撃保持率
上記耐薬品性試験後のノッチ入りの試験片を塩化カルシウム水溶液から取り出してその表面を拭き、室温23℃、相対湿度55%の室内に1時間静置した。次いで、そのノッチ入りの試験片について、ASTM D256に準拠して、アイゾット衝撃値(単位:J/m)を測定した。耐薬品性試験後のアイゾット衝撃値(単位:J/m)÷耐薬品性試験前のアイゾット衝撃値(単位:J/m)×100をアイゾット衝撃値の保持率(単位:%)として算出した。この保持率が高いほど、耐薬品性に優れていることを示す。
日精樹脂製射出成形機FN−3000を用い、金型表面温度70℃、ポリアミド樹脂温度250℃、射出速度50mm/秒、保圧力70MPaに設定し、内径60mm×長さ30mm×厚み1.5mmの円筒カップ状成形片を30ショット連続成形を行い、離型性や成形品外観などの量産性評価を行った。なお、金型として、ゲートを成形片の円筒部片端の外側に設定し、ゲートの反対側の端にはアンダーカット部を配したものを使用した。
成形性評価は、以下の基準で行った。
AA:30ショット連続成形問題なし。アンダーカット部に変形見られない。
A :30ショット連続成形問題なし。アンダーカット部に一部変形見られる。
B :30ショットまでに不具合傾向あり(キャビ取られ発生)。アンダーカット部に一部変形見られる。
C :30ショットまでに不具合発生して連続成形不可。アンダーカット部全変形。
上述(4)のカップ状成形片に1cmφの鉄球と水道水を入れ、側面部厚み1.5mm越しから目視にて水面(カップ中に注いだ水と空気との界面)と鉄球の影の視認度評価を行った。
A:界面がくっきり観察でき、鉄球の影も視認できる。
B:界面がぼんやり観察でき、鉄球の影が視認しずらい。
C:鉄球の影が視認できない。
この透明性が高いほど、成形品自体の異物混入や成形品を組み込んだ製品中の異物や異常の確認が容易となり、製品品質の向上を図ることができる。
重合成分としてヘキサメチレンジアミンとセバシン酸との等モル塩をポリアミド樹脂として50質量%相当含有する水溶液を15kg調製した。次いで、撹拌装置を有し、かつ下部に抜出しノズルを有する40リットルのオートクレーブ中に上記水溶液を仕込み、50℃の温度下で十分に水溶液を攪拌した。次に、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した後、水溶液を撹拌しながらオートクレーブ内の温度を50℃から約270℃まで昇温した。この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして約1.8MPaであったが、この圧力が1.8MPa以上にならないよう水を随時系外に排出した。また、重合時間は、ポリアミド樹脂の相対粘度が目的の相対粘度になるように調整した。オートクレーブ内での重合終了後、下部ノズルからストランド状にポリアミド樹脂を送出し、水冷・カッティングを経て、ペレット状のポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)を得た。このポリアミド610樹脂ペレットを80℃、24時間の条件で真空乾燥した。ポリアミド610樹脂ペレットの相対粘度(ηr)を上述のようにして測定したところ、2.50であった。
上記と同様に目的粘度を調整して、ペレット状のポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)を得た。ポリアミド610樹脂ペレットの相対粘度(ηr)を上述のようにして測定したところ、2.30であった。
上記で得られたηr=2.50のポリアミド610樹脂ペレットと、(B)成分としてステアリン酸カルシウム(融点155℃)、(C)成分としてタルク(日本タルク製、商品名:ミクロエースL−1)を用いた。ポリアミド610樹脂ペレット100質量部をバッチ式のヘンシェルミキサーに投入し、ステアリン酸カルシウム0.03質量部とタルク0.03質量部を室温で添加した。次にヘンシェルミキサーのジャケット部に1kg/cm2のスチームを通して加熱しながら、ペレットと添加剤との撹拌混合を約15分間行った。ペレット温度は90℃であった。加熱を中止し、ジャケット部に冷却水を流して冷却を行い、ペレット温度が60℃以下に低下した段階で撹拌を中止して、ペレットを払い出した。
得られた樹脂組成物ペレットを用いて、日精樹脂製射出成形機PS60E9ASE、シリンダー温度280℃、金型温度80℃で試験片の射出成形を行い、各特性評価を行った。成形性と外観評価は上記記載の方法で成形片を作製し、評価を行った。
実施例1と同様にして表1に示す配合により樹脂組成物ペレットを製造した。なお、展着剤を用いた実施例2〜6、8および比較例1〜4は、展着剤をポリアミド610樹脂ペレットとともに先にヘンシェルミキサーに投入し、ヘンシェルミキサーのジャケット部に1kg/cm2のスチームを通して加熱しながら、ペレットと展着剤との撹拌混合を約15分間行った後、(B)成分と(C)成分を加えてさらに撹拌混合を約15分間行った。得られた樹脂組成物ペレットを用いて、同様に射出成形を行い、各特性評価を行った。
ポリアミド610樹脂ペレット(ηr=2.50)100質量部をドラムブレンダーに投入し、展着剤であるポリエチレングリコール(三洋化成工業製、商品名:PEG400)0.01質量部を添加して約3分撹拌混合した後、滑剤であるモンタン酸カルシウム0.08質量部、無機充填剤であるタルク0.03質量部を添加して約10分間撹拌混合し、外潤ペレットを得た。得られたペレットを用いて、実施例1と同様に成形片を作製して評価を行った。
ポリアミド610樹脂ペレット(ηr=2.30)100質量部と、滑剤であるモンタン酸カルシウム0.05質量部、無機充填剤であるタルク0.08質量部を二軸押出機(コペリオン社製、商品名:ZSK26MC)に投入して、270℃の条件下で溶融混練してポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。得られたペレットを用いて、実施例1と同様に成形片を作製して評価を行った。
(B)滑剤
(B−1)ステアリン酸カルシウム:日本油脂製「StCa」
(B−2)ステアリン酸アルミニウム:日東化成製「AlSt 103」
(B−3)モンタン酸カルシウム:クラリアントジャパン製「Licomont CaV102」
(B−4)モンタン酸ナトリウム:クラリアントジャパン製「Licomont NaV101」
(B−5)モンタン酸エチレングリコールエステル:クラリアントジャパン製「Licowax E」
(C)無機充填剤
(C−1)タルク:日本タルク製「ミクロエースL−1」
(C−2)酸化カルシウム:入交産業製「ミクロンライム」
(C−3)カオリン:林化成製「トランスリンク445」
(その他)展着剤
(D−1)ポリエチレングリコール:三洋化成工業製「PEG#400」
(D−2)ソルビタン酸モノラウレート:丸菱油化工業製「バルー7220」
Claims (7)
- (A)ポリアミド610樹脂ペレットが、(B)滑剤および(C)無機充填剤を含む溶融コーティング層を有し、前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分および前記(C)成分を合わせた量が0.05〜0.3質量部であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記(B)成分が0.01〜0.29質量部、前記(C)成分が0.01〜0.29質量部であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記(B)成分が高級脂肪酸金属塩または高級脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記(B)成分がモンタン酸金属塩またはモンタン酸エステルであることを特徴とする請求項3記載のポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記(C)成分がタルクであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記(A)成分の硫酸相対粘度が2.0〜3.0であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 請求項1〜6いずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物ペレットを成形して得られる成形品。
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