JP2019039003A - 樹脂組成物および該樹脂組成物を用いた成形体 - Google Patents

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Hiroaki Tanimoto
裕亮 谷本
精隆 浜口
Kiyotaka Hamaguchi
精隆 浜口
憲文 有留
Norifumi Aritome
憲文 有留
豊一郎 森
Toyoichiro MORI
豊一郎 森
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Abstract

【課題】所定の樹脂に、超高分子量ポリエチレン系樹脂が添加された樹脂組成物であって、耐衝撃性の低下および外観の悪化を抑制して、超高分子量ポリエチレン系樹脂由来の優れた特性(例えば、耐摩耗性)を備える成形体を形成し得る樹脂組成物を提供すること。【解決手段】本発明の樹脂組成物は、粘度平均分子量が30万〜1500万の超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)と、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)と、側鎖にマレイン酸由来の構造を有するポリエチレン系樹脂(C)と、ポリメチルペンテン、ポリアセタール、ポリアミド、飽和ポリエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂(D)とを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物および該樹脂組成物を用いた成形体に関する。
超高分子量ポリエチレンは、例えば30万以上の分子量を有し、強度、耐摩耗性、潤滑性、衛生性等の向上に寄与し得、摺動材料などの工業部品の材料として広く使われている(例えば、特許文献1〜3)。しかしながら、この超高分子量ポリエチレンは、その分子の巨大さに起因して溶融粘度が高く、溶融加工することが困難である。特に、二軸押出機等を用いて、超高分子量ポリエチエレンとその他の樹脂とを溶融混合する場合、混合される樹脂の溶融粘度の差が大きいために、良好な混合が難しく、そのため、所望の特性(例えば、成形体の耐衝撃性、外観)を得られないという問題が生じる。
特公昭43−24525号公報 特開昭57−193319号公報 特開昭57−177036号公報
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、所定の樹脂に、超高分子量ポリエチレン系樹脂が添加された樹脂組成物であって、耐衝撃性の低下および外観の悪化を抑制して、超高分子量ポリエチレン系樹脂由来の優れた特性(例えば、耐摩耗性)を備える成形体を形成し得る樹脂組成物を提供することにある。
本発明の樹脂組成物は、粘度平均分子量が30万〜1500万の超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)と、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)と、側鎖にマレイン酸由来の構造を有するポリエチレン系樹脂(C)と、ポリアミド、ポリメチルペンテン、ポリアセタール、飽和ポリエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂(D)とを含む。
1つの実施形態においては、上記樹脂組成物は、上記超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)および上記側鎖にマレイン酸由来の構造を有するポリエチレン系樹脂(C)以外のポリエチレン系樹脂(E)をさらに含む。
1つの実施形態においては、上記樹脂(D)が、ポリアミドである。
1つの実施形態においては、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の含有割合が、前記樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、0.01重量部〜30重量部である。
本発明の別の局面によれば、成形体が提供される。この成形体は、上記樹脂組成物を用いて形成される。
本発明の樹脂組成物においては、溶融時、当該樹脂組成物に含まれる樹脂が各々、流動しやすく、常用の混練装置(例えば、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー)により良好に溶融混練することが可能である。このような樹脂組成物を用いれば、耐衝撃性の低下および外観の悪化を抑制して、超高分子量ポリエチレン系樹脂由来の優れた特性(例えば、耐摩耗性)を備える成形体を得ることができる。
A.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)と縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)(以下、化合物(B)ともいう)と、側鎖にマレイン酸由来の構造を有するポリエチレン系樹脂(C)(以下、マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂(C)または樹脂(C)ともいう)と、ポリメチルペンテン、ポリアセタール、ポリアミド、飽和ポリエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂(D)(以下、樹脂(D)ともいう)を含む。1つの実施形態においては、本発明の樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)およびマレイン酸由来の構造を有するポリエチレン系樹脂(C)以外のポリエチレン系樹脂(E)(以下、樹脂(E)ともいう)をさらに含む。
本発明においては、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)にマレイン酸変性ポリエチレン系樹脂(C)を組み合わせて用い、かつ、樹脂(D)を添加することにより、樹脂(A)および樹脂(C)の流動性を高めることができ、これらの樹脂を良好に混合することができる。このような樹脂組成物を用いれば、耐衝撃性および外観に優れる成形体を形成することができる。
また、本発明によれば、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)を添加することにより、超高分子量ポリエチレン系樹脂由来の優れた特性(例えば、耐摩耗性)を損なうことなく、成形加工性に優れる樹脂組成物を得ることができる。
A−1.超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の粘度平均分子量は、30万〜1500万である。このように分子量が高いポリエチレン系樹脂を用いれば、耐摩耗性、自己潤滑性、耐衝撃性、低温特性、耐薬品性等に優れる成形体を形成し得る樹脂組成物を得ることができる。超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の粘度平均分子量は、好ましくは30万〜800万であり、より好ましくは50万〜800万であり、さらに好ましくは100万〜600万である。このような範囲であれば、上記特性に優れる成形体を加工性よく形成し得る樹脂組成物を得ることができる。本発明の樹脂組成物は、分子量が異なる2種以上の超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)を含んでいてもよい。なお、上記粘度平均分子量(Mv)は、ASTMD4020に規定の粘度法により測定することができる。具体的には、ASTMD4020の粘度法に基づき極限粘度(η(dl/g))を測定し、次式(1)から粘度平均分子量(Mv)を求めることができる。
Mv=5.37×10η1.37 ・・・(1)
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の極限粘度は、例えば、3.5dl/g以上である。超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の極限粘度の上限は、例えば、60dl/g以下である。
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)は、エチレンを主成分とする単量体組成物(全単量体中、エチレンの含有割合が最大となる単量体組成物)を重合して得られる樹脂である。超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)は、エチレンの単独重合体であってもよく、エチレンと該エチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)中、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である。
エチレンと共重合可能な他の単量体としては、例えば、炭素数3以上(好ましくは、炭素数3〜20)のα−オレフィンなどが挙げられる。この炭素数3以上のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン等が挙げられる。
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)は、任意の適切な方法により製造され得る。例えば、特開昭58−83006号公報に記載されている方法により、任意の適切な触媒の存在下で、上記単量体を重合して得ることができる。
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の含有割合は、樹脂組成物中の樹脂100重量部(すなわち、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)と樹脂(C)と樹脂(D)と、必要に応じて添加される樹脂(E)との合計量100重量部)に対して、好ましくは0.2重量部〜40重量部であり、より好ましくは0.5重量部〜40重量部であり、さらに好ましくは1重量部〜30重量部であり、特に好ましくは1重量部〜10重量部である。このような範囲であれば、加工性に特に優れる樹脂組成物を得ることができる。
A−2.縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)
本発明においては、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)を含有させることにより、樹脂成分として超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)を含む樹脂組成物であっても、汎用ポリエチレン系樹脂と同様の成形方法(例えば、押し出し成形、射出成形)により加工することが可能な樹脂組成物を得ることができる。
上記縮合ヒドロキシ脂肪酸は、ヒドロキシ脂肪酸を脱水縮合して得ることができる。縮合ヒドロキシ脂肪酸は、例えば、ヒドロキシ脂肪酸に苛性ソーダ等のアルカリ触媒を添加し、加熱下で反応水を除去することにより脱水縮合して、得ることができる。
上記縮合ヒドロキシ脂肪酸は、ヒドロキシ脂肪酸の縮合体であり、その縮合度は、好ましくは2以上であり、より好ましくは4以上である。縮合ヒドロキシ脂肪酸の縮合度の上限は、例えば、20である。なお、縮合度とは、原料ヒドロキシ脂肪酸の酸価と縮合反応後の酸価とから計算して求めることができる。
上記ヒドロキシ脂肪酸は、分子内に1個以上の水酸基を有する脂肪酸である。ヒドロキシ脂肪酸の具体例としては、例えば、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、サビニン酸、2−ヒドロキシテトラデカン酸、イプロール酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、ヤラピノール酸、ユニペリン酸、アンブレットール酸、アリューリット酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸、9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸、カムロレン酸、フェロン酸、セレブロン酸等が挙げられる。ヒドロキシ脂肪酸は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルは、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸とアルコールとをエステル化反応させることで得られ得る。縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルは、例えば、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸とアルコールとを混合し、得られた混合物に苛性ソーダ等のアルカリ触媒または燐酸等の酸触媒を添加し、加熱下で反応水を除去することにより、得ることができる。この反応中のエステル化の進行度は酸価、ケン化価、水酸基価等を測定することで確認することができる。ここで用いられる縮合ヒドロキシ脂肪酸においても、その縮合度は、上記のとおり、2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。
上記アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコールなどの二価アルコール等が挙げられる。また、上記アルコールとして、多価アルコールを用いてもよい。多価アルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、グリセリンなどのアルカンポリオール;該アルカンポリオールの重合体であるポリアルカンポリオール;ショ糖などの糖類;ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコールに代表される糖誘導体等が挙げられる。これらのアルコールは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記化合物を原料として合成された縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の具体例としては、例えば、リシノレイン酸を脱水縮合した縮合リシノレイン酸、12ヒドロキシステアリン酸を脱水縮合した縮合12ヒドロキシステアリン酸、縮合リシノレイン酸とグリセリン6重合体のヘキサグリセリンのエステルである縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリンエステル、縮合リシノレイン酸とグリセリン4重合体のテトラグリセリンのエステルである縮合リシノレイン酸テトラグリセリンエステル、縮合12ヒドロキシステアリン酸とプロピレングリコールのエステルである縮合12ヒドロキシステアリン酸プロピレングリコールエステル、縮合リシノレイン酸とプロピレングリコールとのエステルである縮合リノレイン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の含有割合は、樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜30重量部であり、より好ましくは0.01重量部〜20重量部であり、さらに好ましくは0.02重量部〜10重量部であり、さらに好ましくは0.02重量部〜5重量部であり、特に好ましくは0.02重量部〜1重量部である。このような範囲であれば、耐摩耗性、自己潤滑性、耐衝撃性、低温特性、耐薬品性等の特性が特に優れる成形体を、加工性よく形成し得る樹脂組成物を得ることができる。「縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の含有割合」とは、縮合ヒドロキシ脂肪酸と縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルの合計含有割合を意味する。したがって、上記樹脂組成物が化合物(B)として縮合ヒドロキシ脂肪酸のみを含む場合、「縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の含有割合」とは、縮合ヒドロキシ脂肪酸の含有割合を意味する。また、上記樹脂組成物が化合物(B)として縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルのみを含む場合、「縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の含有割合」とは、縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルの含有割合を意味する。
A−3.マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂(C)
側鎖にマレイン酸由来の構造を有するポリエチレン系樹脂(C)は、例えば、ベースとなるポリエチレン系樹脂に、マレイン酸を任意の適切な方法によりグラフト重合して、得ることができる。樹脂(C)として、2種以上の側鎖にマレイン酸由来の構造を有するポリエチレン系樹脂を組み合わせて用いてもよい。
グラフト重合のベースとなるポリエチレン系樹脂は、エチレンを主成分とする単量体組成物(全単量体中、エチレンの含有割合が最大となる単量体組成物)を重合して得られる樹脂である。ベースとなるポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体であってもよく、エチレンと該エチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。ベースとなるポリエチレン系樹脂中、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である。
エチレンと共重合可能な他の単量体としては、例えば、炭素数3以上(好ましくは、炭素数3〜20)のα−オレフィンなどが挙げられる。この炭素数3以上のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン等が挙げられる。
マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂(C)の粘度平均分子量は、例えば、30万未満である。
樹脂(C)として用いるポリエチレン系樹脂の190℃、2.16kgfにおけるメルトフローレートは、好ましくは0.0001g/10min〜150g/minであり、より好ましくは0.001g/10min〜100g/minであり、さらに好ましくは0.002g/10min〜50g/minであり、特に好ましくは0.003g/10min〜30g/minである。このような範囲であれば、成形加工性に特に優れ、かつ、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)由来の特性が十分に発揮される樹脂組成物を得ることができる。
樹脂(C)の含有量は、樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、好ましくは0重量部を超えて80重量部以下であり、より好ましくは0.1重量部〜50重量部であり、さらに好ましくは0.3重量部〜40重量部であり、特に好ましくは0.5重量部〜20重量部である。このような範囲であれば、成形加工性に特に優れ、かつ、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)由来の特性が十分に発揮される樹脂組成物を得ることができる。
A−4.樹脂(D)
上記のとおり、本発明の樹脂組成物は、ポリアミド、ポリメチルペンテン、ポリアセタール、飽和ポリエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂(D)を含む。好ましくは、樹脂(D)はポリアミドである。
ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド66/6I、ポリアミド66/6T、ポリアミド6T/66、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6T/6I/66、ポリアミド6T−5MT、ポリアミド6T/6、ポリアミドMXD−6、ポリアミド9T、全芳香族ポリアミド等が挙げられる。
ポリメチルペンテンとしては、例えば、4−メチルペンテン−1の単独重合体や、4−メチルペンテン−1と他のオレフィンとの共重合体等を挙げることができる。4−メチルペンテン−1と他のオレフィンとの共重合体としては、4−メチルペンテン−1と、α−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。
ポリアセタールとしては、例えば、ホルムアルデヒドの単独重合体、トリオキサンと少量のエチレンオキシド、1,3−ジオキサン等の環状エーテルとの共重合体等が挙げられる。
飽和ポリエステルとしては、任意の適切な飽和ポリエステルが用いられ得る。飽和ポリエステルは、任意の適切なグリコール成分と、任意の適切なジカルボン酸成分とのエステル化反応により得られ得る。上記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−4,4−テトラメチル−シクロブタンジオールなどが挙げられる。ジカルボン酸成分としては、琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸)、芳香族多価カルボン(オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸)、ハロゲン化フタル酸などが挙げられる。また、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水琥珀酸、無水クロレンディク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物;ジメチルオルソフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルテレフタレートなどの低級アルキルエステル等を用いてもよい。
樹脂(D)の含有量は、樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、好ましくは70重量部〜99.99重量部であり、より好ましくは80重量部〜99重量部であり、さらに好ましくは85重量部〜95重量部である。このような範囲であれば、耐衝撃性および外観に優れる成形体を形成し得る樹脂組成物を得ることができる。
A−5.ポリエチレン系樹脂(E)
1つの実施形態においては、上記のとおり、本発明の樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)および前記側鎖にマレイン酸由来の構造を有するポリエチレン系樹脂(C)以外のポリエチレン系樹脂(E)をさらに含む。ポリエチレン系樹脂(E)は、粘度平均分子量が、例えば、20万以下である。また、ポリエチレン系樹脂(E)は、未変性のポリエチレン系樹脂または、マレイン酸以外の化合物により変性されたポリエチレン系樹脂であり得る。樹脂(E)として、2種以上のポリエチエレン系樹脂を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(E)中、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である。エチレン由来の構成単位以外の構成単位としては、エチレンと共重合体と共重合可能な単量体由来の構成単位が挙げられ、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン等が挙げられる。
樹脂(E)として用いるポリエチレン系樹脂の190℃、2.16kgfにおけるメルトフローレートは、好ましくは0.01g/10min〜150g/minであり、より好ましくは0.1g/10min〜100g/minであり、さらに好ましくは10g/10min〜90g/minであり、特に好ましくは20g/10min〜80g/minである。このような範囲であれば、成形加工性に特に優れ、かつ、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)由来の特性が十分に発揮される樹脂組成物を得ることができる。
樹脂(E)の含有量は、樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、好ましくは0重量部を超えて80重量部以下であり、より好ましくは0.5重量部〜60重量部であり、さらに好ましくは1重量部〜30重量部であり、特に好ましくは1重量部〜10重量部である。このような範囲であれば、成形加工性に特に優れ、かつ、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)由来の特性が十分に発揮される樹脂組成物を得ることができる。
A−6.その他の成分
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、例えば、流動改質剤、メヤニ防止剤、熱安定剤、耐候剤等の安定剤、顔料、染料等の着色剤、滑剤、架橋剤、架橋助剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、有機フィラー、無機フィラー等が挙げられる。
流動改質剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン等の各種シリコーン油、液体潤滑剤、各種脂肪族化合物又はその金属塩、脂環式化合物、各種ワックス類、個体潤滑剤、各種界面滑性剤、これらの混合物等が挙げられる。1つの実施形態としては、流動改質剤として、脂肪酸アミド(好ましくはエルカ酸アミド)が用いられる。脂肪酸アミドの含有割合は、例えば、樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、0.05重量部〜1重量部である。このようにして脂肪酸アミドを添加すれば、樹脂組成物の流動性が改質され、該樹脂組成物によるフィルムの薄膜成形性が向上する。
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサンタイプ、メチルハイドロジェンポリシロキサンタイプ、両末端ハイドロジェンポリシロキサンタイプ、メチルフェニルポリシロキサンタイプ、アルキル変性シリコーンタイプ、アミノ変性シリコーンタイプ、カルボキシル変性シリコーンタイプ、高級脂肪酸変性シリコーンタイプ、エポキシ変性シリコーンタイプ、ビニル基含有シリコーンタイプ、アルコール変性シリコーンタイプ、ポリエーテル変性シリコーンタイプ、アルキル・ポリエーテル変性シリコーンタイプ、フッソ変性シリコーンタイプのシリコーン油が挙げられる。
液体潤滑剤としては、例えば、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル油、エステル油、リン酸エステル油、ポリクロロトリフルオロエチレン油、フルオロエステル油、塩素化ビフェニル油、シリコーン油等の合成潤滑油、エチレン−α−オレフィン共重合合成潤滑油等が挙げられる。
脂肪族化合物としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸;エチレンビス−ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビス−オレイン酸アミド、カプリンアミド、ラウリンアミド、パルミチンアミド、ステアリルアミド等、ベヘンサンアミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイルパルチミン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N′−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N′−ジステアリルセバシン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミド等の脂肪酸アミド;ジオクチルエーテル{(C17O}、ジデシルエーテル{(C1025O}、ジドデシルエーテル{(C1225O}、ジオクタデシルエーテル{(C1837O}等の脂肪酸のエーテル化合物;メチルテトラデシルケトン{CHCO(CH13CH}、n−プロピルヘキシサデシルケトン{CH(CHCO(CH15CH}、ジドテシルケトン{CH(CH11CO(CH11CH}、ジオクタデシルケトン{CH(CH17CO(CH17CH}等の脂肪酸のケトン化合物;ラウリン酸オクチル{CH(CH10COO(CHCH}、パルミチン酸エチル{CH(CH14COOCHCH}、ステアリン酸ブチル{CH(CH16COO(CHCH}、ステアリン酸オクチル{CH(CH16COO(CHCH}等の脂肪酸のエステル化合物;ラウリンアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(CH(CH14CHOH)、ヘプタデシルアルコール(CH(CH15CHOH)、ステアリルアルコール(CH(CH16CHOH)、セリルアルコール(CH(CH24CHOH)、ベヘニルアルコール(CH3(CHC(CH)11CHOH)等の脂肪族アルコール;等が挙げられる。
脂肪酸の金属塩としては、例えば、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ジンクステアレート、ジンクラウレート、ジンクベヘネート、モンタン酸カルシウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸バリウム、モンタン酸リチウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸亜鉛、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸バリウム、ベヘン酸リチウムベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。
脂環式化合物としては、例えば、エステル化ロジン、環状テルペン樹脂、テルペン樹脂誘導体、ポリシクロペンタジエン、水添ポリシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンを主成分として1、3−ペンタジエンまたは共役ジオレフィンなどを加えて重合したポリシクロペンタジエン系樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等挙げられる。
ワックス類としては、例えば、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−テトラデカン、n−オクタデカン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、トリアコンタン等の炭素数22以上のn−アルカンあるいはこれらを主成分とした低級n−アルカンとの混合物;石油から分離精製されたいわゆるパラフィンワックス、エチレンあるいはエチレンと他のα−オレフィンとを共重合して得られる低分子量重合体である中・低級ポリエチレンワックス、高圧法ポリエチレンワックス、エチレン共重合ワックス、あるいは中・低圧法ポリエチレン、高圧法ポリエチレン等のポリエチレンを熱減成等により分子量を低下させたワックス及びそれらのワックスの酸化物あるいはマレイン酸変性等の酸化ワックス、マレイン酸変性ワックス、モンタン酸エステル系ワックス、脂肪酸誘導体のワックス(例:ジカルボン酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アマイドワックス等が挙げられる。
固体潤滑剤としては、例えば、黒鉛、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、二硫化タングステン、酸化鉛、ガラス粉、金属石ケン等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、グリセリンモノステアレート、パーム硬化油モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、ナタネ硬化油脂肪酸モノ・ジグリセリド、自己乳化型ステアリン酸モノ・ジグリセリド、オレイン酸モノ・ジグリセリド、カプリル酸モノグリセリド、ラウリン酸モノグリセリド、カプリン酸モノグリセリド、カプリル酸モノ・ジグリセリド、カプリル酸ジグリセリド、モノ・ジオレイン酸ジグリセリン、モノ・ジステアリン酸ジグリセリン、モノステアリン酸ジグリセリン、ペンタオレイン酸デカグリセリン、ペンタステアリン酸デカグリセリン、ペンタステアリン酸デカグリセリン、デカオレイン酸デカグリセリン、デカステアリン酸デカグリセリン、トリオレイン酸ペンタグリセリン、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリン、モノラウリン酸デカグリセリン、モノミリスチン酸デカグリセリン、モノオレイン酸デカグリセリン、モノステアリン酸デカグリセリン、ジステアリン酸デカグリセリン、モノラウリン酸ペンタグリセリン、モノミリスチン酸ペンタグリセリン、モノオレイン酸ペンタグリセリン、モノステアリン酸ペンタグリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ソルビタントリオレート、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
メヤニ防止剤としてはフッソ系エラストマー、12−ヒドロキシステアリン酸金属塩、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸金属塩、カルボン酸アマイド系ワックス等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、低分子型界面活性剤タイプの帯電防止剤、高分子型タイプの帯電防止剤等が挙げられる。低分子型界面活性剤タイプの帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜3級アミノ基等のカチオン性基を有するカチオン性帯電防止剤、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、スルホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性帯電防止剤、アミノ酸帯電防止剤、アミノ硫酸エステル帯電防止剤等の両性帯電防止剤、アミノアルコール帯電防止剤、グリセリン帯電防止剤、ポリエチレングリコール帯電防止剤等のノニオン性帯電防止剤等が挙げられる。高分子型タイプの帯電防止剤としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルポリオレフィン、エチレンオキシド・エピクロルヒドリン系共重合体などの非イオン性の高分子型帯電防止剤、ポリスチレンスルホン酸などのアニオン性の高分子型帯電防止剤、四級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体、四級アンモニウム塩基含有スチレン重合体、四級アンモニウム塩基含有ポリエチレングリコールメタクリレート系共重合体などのカチオン性の高分子型帯電防止剤などが挙げられる。
また、帯電防止機能を付与する観点から、導電性物質を用いることができる。導電性物質としては、例えば、金属、金属酸化物、金属又は金属酸化物で被覆された粒子、無機金属塩化合物、カーボン系材料、変性シリコーン材料、イオン性有機化合物、非イオン性有機化合物、導電性高分子、イオン性液体等が挙げられる。金属としては、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、鉄、パラジウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化セリウム、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、金属ドープ酸化スズ、及び金属ドープ酸化亜鉛等が挙げられる。金属ドープ酸化スズとしては、例えば、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)が挙げられる。無機金属塩化合物としては、例えば、金属ケイ酸塩、金属チタン酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属過塩素酸塩、アルカリ金属スルホン酸塩、アルカリ金属カルボン酸塩、テトラフルオロホウ酸の金属錯体、ヘキサフルオロリン酸の金属錯体等が挙げられる。カーボン系材料としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェンなどが挙げられる。導電性付与材としては、例えば、導電性フィラーが挙げられる。導電性フィラーとしては、例えば、カーボン系、金属系、金属酸化物系、金属被覆系の導電性フィラーが挙げられる。カーボン系導電性フィラーとしては、例えば、ケッチェンブラックやアセチレンブラック、オイルファーネスブラック等が挙げられる。金属系の導電性フィラーを構成する金属としては、例えば、Ag、Ni、Cu、Zn、Al、ステンレス等が挙げられる。金属酸化物系導電性フィラーを構成する金属酸化物としては、例えば、SnO、In、ZnO等が挙げられる。金属被覆系導電性フィラーとしては、例えば、被覆材として、Ni、Al等が用いられ、ベースフィラーとして、マイカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が用いられたフィラーが採用される。
1つの実施形態においては、カーボン系導電性フィラー(好ましくはケッチェンブラック)が用いられる。カーボン系導電性フィラーの含有割合は、例えば、樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、2重量部〜20重量部である。このようにしてカーボン系導電性フィラーを添加すれば、表面固有抵抗値(例えば、10Ω/□〜10Ω/□)が適切に設定された成形体を形成し得る樹脂組成物を得ることができる。
着色材としては、例えば、ペリレンレッド(C.I.PigmentRed178)、キナクリドンレッド(C.I.Pigment122、202)、アンスラキノンエロー(C.I.Pigment Yellow147)、ベンズイミザゾロンエロー(C.I.PigmentYellow180、181)、モノアゾレーキエロー(C.I.Pigment 183)、銅フタロシアニンブルー(C.I.PigmentBlue15−1)、銅フタロシアニングリーン(C.I.PigmentGreen7)等の有機顔料;二酸化チタン(C.I.PigmentWhite6)、硫化亜鉛(C.I.PigmentWhite22)、カーボンブラック(C.I.PigmentBlack7)、焼成ブラック(C.I.PigmentBlack28)、ビスマスバナデートエロー(C.I.PigmentYellow184)、ニッケルチタンエロー(C.I.PigmentYellow53)、クロムチタンエロー(C.I.PigmentBrown24)、弁柄(C.I.PigmentRed101)、酸化クロム(C.I.PigmentGreen17)、コバルトグリーン(C.I.PigmentGreen19)、群青(C.I.PigmentBlue29)、コバルトブルー(C.I.PigmentBlue28)、群青バイオレット(C.I.PigmentViolet15)及びアルミニウム(C.I.Pigmentmetal1)等の無機顔料等が挙げられる。
A−7.樹脂組成物の製造方法
本発明の樹脂組成物は、任意の適切な方法により製造され得る。該製造方法としては、例えば、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)と、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)と、マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂(C)と、樹脂(D)と、必要に応じて添加される樹脂(E)とを、溶融混練する方法(メルトブレンド法)が挙げられる。1つの実施形態においては、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)と、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)と、マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂(C)と、必要に応じて添加される樹脂(E)とを溶融混練した後、当該溶融混練により得られた樹脂組成物に樹脂(D)を添加し、さらに溶融混練することにより、本発明の樹脂組成物を得ることができる。溶融混練の方法としては、例えば、単軸押出機、多軸押出機、タンデム式押出機、バンバリーミキサー等を用いた方法が挙げられる。縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)存在下で上記樹脂を溶融混練すれば、塊状物の発生を抑制することができ、樹脂分散状態の良好な樹脂組成物を得ることができる。
上記溶融混練における加工温度は、樹脂組成物に含有される樹脂が溶融し得る温度であることが好ましい。該温度は、例えば、150℃〜330℃である。
B.成形体
本発明によれば、上記樹脂組成物を用いて形成された成形体が提供され得る。該成形体を成形する方法としては、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、異形押出成形法、発泡成形法、ラム押出成形法、固化押出法、パイプ成形法、チューブ成形法、異種成形体の被覆成形法、インジェクションブロー成形法、ダイレクトブロー成形法、Tダイシートまたはフィルム成形法、延伸成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、プレス成形法、回転成形法、真空成形法、圧空成形法、溶融紡糸等が挙げられる。
上記成形体は、用途に応じて、例えば、シート状、フィルム状、棒状、チューブ状、塊状、異形状等に成形され得る。上記成形体の形態としては、例えば、容器、冷凍バッグ、ブローボトル、トレー、包装材、テープ、蓋材等が挙げられる。また、被覆材として上記成形体を用いることもできる。
上記成形体は、超高分子量ポリエチレン系樹脂由来の特性(優れた機械的特性、耐衝撃性、耐摩耗性、自己潤滑性等)を有し、かつ、上記樹脂組成物の成形容易性に由来して外観にも優れる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。実施例における評価方法は以下のとおりである。なお、部および%は特に断りのない限り重量基準に基づく。
(1)衝撃強度
樹脂組成物をJISK6936−2に準じて圧縮成形し、評価サンプルを作製した。該評価サンプルについて、JISK7111に準じ、東洋精機製作所社製の「DG−CB」を用いて、シャルピー衝撃特性を評価した。評価サンプルの形状および測定条件は以下のとおりとした。
(評価サンプル)
・ノッチ付サンプル
長さl:80.0±0.2cm
幅b :10.0±0.2cm
厚さh:4.0±0.2cm
ノッチ後の残り幅bn:8.0±0.2cm
ノッチ:形状A(ノッチ先端半径r;0.25±0.05mm)
(測定条件)
振り子エネルギー:4J
衝撃速度 :2.9m/s(±5%)
(2)耐摩耗性(摩耗量)
得られた樹脂組成物について、JIS K 7204に準拠し、テーバー摩耗試験を実施し、摩耗量を評価した。安田精機製作所製No101型を使用し、試験条件は荷重:1000g、摩耗輪:CS−17、回転回数:1000回、回転速度:60rpmとした。上記試験前の評価サンプルの重量と、試験後の評価サンプルの重量との差を摩耗量とした。
(3)外観
得られた樹脂組成物について、110トン射出成形機(日本製鋼所社製、商品名「J110AD」、成形温度:200℃)により、評価サンプル、幅100mm×長さ100mm×厚み2mmを成形し、目視で外観観察を行った。表1中、成形品に外観不良がないものを◎、成形品表面にわずかなフローマークが見られるが、成形品中にブツは見られないものを〇、成形品中にブツが見られたものを×とした。
[実施例1]
上記超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)として下記超高分子量ポリエチレン系樹脂(A−1)2.9重量部と、上記樹脂(C)としての下記マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂(C−1)1.2重量部およびポリエチレン系樹脂(E−1)1.9重量部と、および上記化合物(B)としての下記縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステル(B−1)0.03重量部を二軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM37SS」)で溶融混練りして、樹脂組成物を得た。
さらに得られた樹脂組成物に対して、樹脂(D−1)94重量部を二軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM18SS」)で溶融混練りし、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を上記評価(1)〜(3)に供した。結果を表1に示す。
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A−1):セラニーズ社製、商品名「GUR4012」、粘度平均分子量:100万
縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステル(B−1):縮合リシノレイン酸テトラグリセリン(ヒドロキシ脂肪酸の縮合度10)
マレイン酸変成ポリエチレン系樹脂(C−1):ALKEMA社製、商品名「OREVAC OE808」、MFR(190℃/2.16kgf):0.6g/10min
樹脂(D−1):BASF社製、商品名「Ultramid B3K」、ポリアミド6
ポリエチレン系樹脂(E−1):ポリエチレン系樹脂、旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンテックJ300」、MFR(190℃/2.16kgf):40g/10min
[実施例2〜44、比較例1〜23]
表1に示す超高分子量ポリエチレン系樹脂(A−2〜A−3)、マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂(C−2〜C−3)、樹脂(D−2〜D−4)を、表1に示す配合量で用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を上記評価(1)〜(3)に供した。結果を表1〜3に示す。
(超高分子量ポリエチレン系樹脂(A))
A−2:セラニーズ社製、商品名「GUR4032」、粘度平均分子量:300万
A−3:旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンファインUH650」、粘度平均分子量:100万
A−4:旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンファインUH850」、粘度平均分子量:200万
(樹脂(C))
C−2:マレイン酸変成ポリエチレン系樹脂、三菱化学社製、商品名「モディックH511」、MFR(190℃/2.16kgf):0.3g/10min
C−3:マレイン酸変成ポリエチレン系樹脂、三菱化学社製、商品名「モディックH503」、MFR(190℃/2.16kgf):1.5g/10min
(樹脂(D))
D−2:ポリアセタール(ポリオキシメチレン共重合体)、セラニーズ社製、商品名「セルコン M90」
D−3:ポリメチルペンテン(4−メチルペンテン−1の単独重合体)、三井化学社製、商品名「TPX004」
D−4:飽和ポリエステル(ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル樹脂)、イーストマンケミカル社製、商品名「TRITAN TX1001」
D−5:BASF社製、商品名「Ultramid A3K」、ポリアミド66
Figure 2019039003

Figure 2019039003
Figure 2019039003
実施例5と比較例2との比較に代表されるように、超高分子量ポリエチレン系樹脂を添加することにより、耐摩耗性に優れる成形体を形成し得る樹脂組成物を得ることができる。また、実施例の結果から明らかなように、本発明によれば、樹脂(C)および樹脂(D)を添加することにより、衝撃強性の低下や外観の悪化を抑制しつつ、超高分子量ポリエチレン由来の優れた耐摩耗性を有する成形体を形成し得る樹脂組成物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、容器、冷凍バッグ、ブローボトル、トレー、包装材、テープ、蓋材、自動車部品等の各種成形体の材料として好適に用いられ得る。

Claims (5)

  1. 粘度平均分子量が30万〜1500万の超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)と、
    縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)と、
    側鎖にマレイン酸由来の構造を有するポリエチレン系樹脂(C)と、
    ポリアミド、ポリメチルペンテン、ポリアセタール、飽和ポリエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂(D)とを含む、
    樹脂組成物。
  2. 前記超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)および前記側鎖にマレイン酸由来の構造を有するポリエチレン系樹脂(C)以外のポリエチレン系樹脂(E)をさらに含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記樹脂(D)が、ポリアミドである、請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 前記縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(B)の含有割合が、前記樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、0.01重量部〜30重量部である、請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて形成された、成形体。

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