JPWO2017141539A1 - インバータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
インバータ制御装置(10)は、インバータ(3)の直流母線(5)の電流値を検出する電流検出部(11)と、電流値検出タイミングにて、電流値を取得する検出電流格納部(12)と、交流電流値を復元する相電流演算部(13)と、交流電流値と回転速度指令値に基づいて指令電圧ベクトルを生成する指令電圧ベクトル生成部(14)と、補正された指令電圧ベクトルを生成する補正指令電圧ベクトル生成部(15)と、スイッチングタイムを設定し検出電流格納部(12)とインバータ制御部(17)に出力するスイッチングタイム設定部(16)と、で構成され、スイッチング周期の1/2を単位周期として、n周期(nは、2以上の自然数)において、そのベクトルの合計が零ベクトルとなる複数の電圧ベクトルを印加して、補正された指令電圧ベクトルを生成する。これにより、電流リプルの発生を抑えることで、うなり音の発生の低減が可能となる。
Description
本発明は、回転機、特に、電動機に用いられる直流電力を交流電力に変換するインバータを制御するインバータ制御装置に関するものである。
従来、直流電力を交流電力に変換して相電流を用いたフィードバック制御により電動機を駆動する電力変換装置では、相電流の検出手段が必要であるが、コスト低減のために電力変換器と電動機の間に電流センサを設けるのではなく、電力変換器(インバータ)の直流母線から検出した電流値により、電動機電流(相電流)を復元する方法が提案されている。
例えば、特許文献1のインバータ制御装置においては、インバータの三相電圧が追従すべき電圧のベクトルであって、三相の各相電圧の合成電圧のベクトルからなる電圧指令ベクトルを作成する電圧指令ベクトル作成手段と、作成された前記電圧指令ベクトルを補正する電圧指令ベクトル補正手段とを備え、補正後の前記電圧指令ベクトルに従って前記インバータを制御すると共に、前記電圧指令ベクトル補正手段は、当該電圧指令ベクトル補正手段によって補正された後の前記電圧指令ベクトルが、前記電流検出区間において前記三相電流が検出不可能な領域外のベクトルとなるように補正し、キャリア周期内の電流非検出区間においては、前記電流検出区間における補正を打ち消す逆補正を行うことが開示されている。これにより、キャリア周期内において電流検出を行う必要のない電流非検出区間において、電流検出区間で電流検出のために行った電圧指令ベクトルの補正を打ち消す逆補正を行い、補正に伴う相電流の歪みを軽減することが可能となる。
また、特許文献2の3相電圧型PWMインバータ装置においては、指令電圧ベクトルを作成可能な60度位相が異なる2つの基本電圧ベクトル成分V4,V5を、1PWM周期をなす第1の期間内に出力すると共に、前記基本電圧ベクトル成分に対しそれぞれ180度位相が異なる2つの基本電圧ベクトル成分V1,V2を、第1の期間に連続する1PWM周期をなす第2の期間内に出力する。よって、変調度が小さい場合や出力電圧ベクトルの位相が単一の基本電圧ベクトルに近い位相となる状態においても十分な長さのパルス幅となり、高精度に電流検出を行うことができる。これにより、変調度が小さい場合や単一の基本電圧ベクトルの位相に近い場合等においても高精度に電流検出が可能となる。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のインバータ制御方法では、電流検出が可能な変調率領域が増える一方で、低速駆動時など指令電圧の変調率が小さい領域では、常に指令電圧ベクトル成分が小さくなり、電流検出を行う区間が確保できなくなるため、電流検出を行うための電圧ベクトルを印加する必要がある。
また、各スイッチング周期の印加電圧を指令電圧と同じにするために補償電圧ベクトルを必要とする。そのため、電流リプルが増大し、騒音発生の要因となる。更に、これら二つの特許文献では、印加する電圧が指令電圧に依存して決定されるため、各制御周期で検出される相は、電圧指令によって決定され、選択することは出来ず、指令電圧の大小関係が切り替わる箇所においては、検出精度が低下するという課題があった。また、三相の指令電圧の電圧最大相と電圧最小相の電流リプルが大きく、電圧中間相の電流リプルが小さくなる。すなわち、三相電圧指令に依存して周期的な電流リプルの変化が発生し、電動機を駆動する周波数の6倍周期のうなり音が騒音として発生するという課題があった。
また、各スイッチング周期の印加電圧を指令電圧と同じにするために補償電圧ベクトルを必要とする。そのため、電流リプルが増大し、騒音発生の要因となる。更に、これら二つの特許文献では、印加する電圧が指令電圧に依存して決定されるため、各制御周期で検出される相は、電圧指令によって決定され、選択することは出来ず、指令電圧の大小関係が切り替わる箇所においては、検出精度が低下するという課題があった。また、三相の指令電圧の電圧最大相と電圧最小相の電流リプルが大きく、電圧中間相の電流リプルが小さくなる。すなわち、三相電圧指令に依存して周期的な電流リプルの変化が発生し、電動機を駆動する周波数の6倍周期のうなり音が騒音として発生するという課題があった。
さらに、特許文献2のインバータ装置では、スイッチング周期の2周期に一度しか三相交流電流を復元することが出来ず、キャリア周波数が小さくスイッチング周期が長いときに電流検出精度の低下を招くという課題もあった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、三相電圧指令に依存することなく直流母線から検出された二相分の電流値に基づいて三相交流電流値の復元を可能にすることで、各制御周期で検出を行う相を設定することが可能となり、常に同じ相を検出する等の処理を行うことで、検出精度の向上を図ることが可能となり、また、騒音となるうなり音を低減することが可能なインバータ制御装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のインバータ制御装置は、直流電力を交流電力に変換するインバータのスイッチング素子を所定のスイッチングタイムにより制御するインバータ制御部と、前記インバータに直流電力を供給する直流電源の電流値を検出する電流検出部と、前記スイッチングタイムに基づいて、電流値検出タイムを設定すると共に、前記電流検出部から前記電流値を取得、格納保持する検出電流格納部と、前記検出電流格納部から復元に必要な相数分の前記電流値から前記インバータで生成された交流電流値を演算し復元する相電流演算部と、復元された前記交流電流値と回転速度指令値に基づいて指令電圧ベクトルを生成する指令電圧ベクトル生成部と、前記指令電圧ベクトルに基づいて補正された指令電圧ベクトルを生成する補正指令電圧ベクトル生成部と、前記補正された指令電圧ベクトルに基づいて、前記スイッチングタイムを設定し、前記インバータ制御部及び前記検出電流格納部に出力するスイッチングタイム設定部と、を備え、前記補正指令電圧ベクトル生成部は、前記インバータのスイッチング周期の1/2を単位周期として、前記単位周期のn周期(nは、2以上の自然数)において、nが3以上の時は、そのベクトルの合計が零ベクトルとなる複数の電圧ベクトルを印加し、nが2の時は、前記単位周期の4周期において、そのベクトルの合計が零ベクトルとなる複数の電圧ベクトルを印加して、前記補正された指令電圧ベクトルを生成することを特徴とするものである。
本発明のインバータ制御装置によれば、スイッチング周期の1/2を単位周期とし、nを3以上の自然数としたn周期において、少なくとも2周期で検出用の電圧ベクトルの合計が零ベクトルとなるように印加し、それ以外の周期においては、指令電圧ベクトルに基づいた電圧ベクトルを印加する電流値検出区間の設定を行っているため、指令電圧ベクトルに依存することなく、各制御周期で検出を行う相を設定することが可能となり、これにより、kをn以下の自然数とし、n周期中のk番目に印加する電圧ベクトルを常に同じとすることにより、電流脈動の大きさが周期的に変化することに由来する騒音となるうなり音を低減することができるという効果がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るインバータ制御装置を含むモータ制御システムの概略構成図である。図2は、電流検出部により直流母線から電流値を取得する電流値検出タイムを設定する手順を説明するための図である。図3は、補正指令電圧ベクトル生成部において印加する電圧ベクトルの例を説明する図である。図4は、各周期で印加する電圧ベクトルの例を説明する図である。図5は、印加する電圧ベクトルの切替えの一例を示す図である。図6は、指令電圧ベクトル及び印加する電圧ベクトルとスイッチングタイムとの関係を説明する図である。図7は、インバータの出力電流波形を示す図である。
図1は、実施の形態1に係るインバータ制御装置を含むモータ制御システムの概略構成図である。図2は、電流検出部により直流母線から電流値を取得する電流値検出タイムを設定する手順を説明するための図である。図3は、補正指令電圧ベクトル生成部において印加する電圧ベクトルの例を説明する図である。図4は、各周期で印加する電圧ベクトルの例を説明する図である。図5は、印加する電圧ベクトルの切替えの一例を示す図である。図6は、指令電圧ベクトル及び印加する電圧ベクトルとスイッチングタイムとの関係を説明する図である。図7は、インバータの出力電流波形を示す図である。
図1に示すように、実施の形態1におけるモータ制御システム1は、回転機である電動機2と、電動機2に三相の交流電流値を供給するインバータ3と、インバータ3に直流電力を供給する直流電源4と、直流電源4とインバータ3とを通電接続する直流母線5と、インバータ3を制御するインバータ制御装置10と、で構成されている。
ここで、インバータ3は、上アーム31(正極側)のスイッチング素子31sと下アーム32(負極側)のスイッチング素子32sを対とする3組(三相分)と、これら各相のスイッチング素子31s,32sのそれぞれに逆並列に接続されたダイオード31d,32dと、から構成されており、インバータ制御装置10により、各相のスイッチング素子31s,32sを導通/遮断(オン/オフ)制御することで、直流電源4から供給された直流電力が三相交流電力へ変換される。この三相交流電力により負荷である電動機2を駆動する。なお、スイッチング素子としては、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)などの半導体スイッチング素子が一般的に使用される。
また、図1に示すように、インバータ制御装置10は、直流母線5に流れる電流値を検出する電流検出部11と、設定された電流値検出タイムで電流検出部11から電流値Idcを取得、格納保持する検出電流格納部12と、検出電流格納部12に格納された二相分の電流値IdcA,IdcBから電動機2に流れている三相の交流電流値Iu,Iv,Iwを演算し復元する相電流演算部13と、復元された三相の交流電流値Iu,Iv,Iwと外部から指示される回転速度指令値Wrefに基づいて目標とする三相の指令電圧ベクトルVu,Vv,Vwを生成する指令電圧ベクトル生成部14と、指令電圧ベクトル生成部14で生成された三相の指令電圧ベクトルVu,Vv,Vwを現在の三相の指令電圧ベクトルVu,Vv,Vwと比較して補正された三相の指令電圧ベクトルVu’,Vv’,Vw’を生成する補正指令電圧ベクトル生成部15と、補正指令電圧ベクトル生成部15で補正された三相の指令電圧ベクトルVu’,Vv’,Vw’に基づいてスイッチング素子31s,32sを駆動するスイッチングタイムを設定するスイッチングタイム設定部16と、スイッチングタイム設定部16で設定されたスイッチングタイムSup,Svp,Swp,Swn,Svn,Sunにより三相のスイッチング素子31s,32sのゲートにオン/オフの制御信号Guu,Gvu,Gwuを、三相のスイッチング素子32sのゲートにオン/オフの制御信号Gul,Gvl,Gwlをそれぞれ出力するインバータ制御部17と、で構成されている。
次に、図1に示すインバータ制御装置10を構成する各部のそれぞれの機能について説明する。
電流検出部11は、直流母線5の経路に設置された電流値を検出するための電流検出素子を備えたものである。電流検出素子としては、例えば、ホールセンサ、抵抗またはカレントトランス等で、電流検出素子の両端電圧あるいは出力電圧を必要に応じて増幅器及びバッファ等を介して検出する。なお、図1では、直流電源4の低電圧(負極)側に電流検出素子が設けられている例を示したが、高電圧(正極)側に電流検出素子が設けられている場合でもよく、本実施の形態の動作に影響を与えるものでは無い。
電流検出部11は、直流母線5の経路に設置された電流値を検出するための電流検出素子を備えたものである。電流検出素子としては、例えば、ホールセンサ、抵抗またはカレントトランス等で、電流検出素子の両端電圧あるいは出力電圧を必要に応じて増幅器及びバッファ等を介して検出する。なお、図1では、直流電源4の低電圧(負極)側に電流検出素子が設けられている例を示したが、高電圧(正極)側に電流検出素子が設けられている場合でもよく、本実施の形態の動作に影響を与えるものでは無い。
検出電流格納部12は、後で説明するスイッチングタイム設定部16で設定される電流値検出タイムTa,Tbで、電流検出部11から電流値Idcを取得して格納保持するものであり、後で説明する検出された二相分の電流値IdcA,IdcBを保持している。
相電流演算部13は、検出電流格納部12に格納されている直流母線5から検出された二相分の電流値IdcA,IdcBを使用して、電動機2に流れている三相の交流電流値Iu,Iv,Iwを演算し、復元する。なお、ここでは、後で説明する補正指令電圧ベクトル生成部15から出力される補正された三相の指令電圧ベクトルVu’,Vv’,Vw’を用いて、三相の交流電流値Iu,Iv,Iwの演算を行う。
指令電圧ベクトル生成部14は、外部からの指示による回転速度指令値Wrefと相電流演算部13で復元された三相の交流電流値Iu,Iv,Iwとに基づいて、設定されたスイッチング周期毎にインバータ3の駆動目標となる新たな三相の指令電圧ベクトルVu,Vv,Vwを生成し、更新する。
補正指令電圧ベクトル生成部15は、指令電圧ベクトル生成部14で生成された三相の指令電圧ベクトルVu,Vv,Vwに対して、電流値検出が可能となる大きさを有する二相分の電流値検出用の電圧ベクトルVa及びこの電圧ベクトルVaを打ち消すための電圧ベクトルVbを印加して、補正された三相の指令電圧ベクトルVu’,Vv’,Vw’を生成し、スイッチングタイム設定部16に出力する。また、この新たに補正された三相の指令電圧ベクトルVu’,Vv’,Vw’は、相電流演算部13にも出力、使用される。
スイッチングタイム設定部16は、補正指令電圧ベクトル生成部15で生成された補正された三相の指令電圧ベクトルVu’,Vv’,Vw’に基づいて、インバータ3を構成するスイッチング素子31s,32sを駆動するスイッチングタイムSup,Svp,Swp,Swn,Svn,Sunを設定し、この設定されたスイッチングタイムSup,Svp,Swp,Swn,Svn,Sunで、スイッチング素子31s,32sのゲートにオン/オフの制御信号を出力することで、インバータ3を駆動する。
検出電流格納部12は、スイッチングタイム設定部16で設定されたスイッチングタイムSup,Svp,Swp,Swn,Svn,Sunを用いて電流値検出タイムTa,Tbを設定し、この設定された電流値検出タイムTa,Tbにおいて、電流検出部11で検出された直流母線5の電流値IdcA,IdcBを取得し、格納保持する。
また、インバータ制御部17は、スイッチングタイム設定部16で設定されたスイッチングタイムSup,Svp,Swp,Swn,Svn,Sunで、上側のアームのスイッチング素子31sのゲートには、オン/オフの制御信号Guu,Gvu,Gwuを出力する。同時に、下側のアームのスイッチング素子32sのゲートには、上側のアームのスイッチング素子31sとは逆のオン/オフの制御信号Gul,Gvl,Gwlを出力する。
次に、インバータ制御装置10の動作について、図1から図6を参照して説明する。
図2は、上側のアームを構成するスイッチング素子31sのスイッチングタイムSup,Svp,Swpから電流値検出タイムTa,Tbを設定する手順を説明するための図である。ここで、図2(a)、図2(b)、図2(c)は、各相の上側のアームを構成するスイッチング素子31sのスイッチ状態を示し、それぞれ、電圧最大相(U相)のスイッチ状態、電圧中間相(V相)のスイッチ状態、電圧最小相(W相)のスイッチ状態を示す。また、図2(d)は、直流母線5の電流値を、図2(e)は、電流値検出タイムTa,Tbを、図2(f)は、スイッチング素子31s,32sのスイッチングタイムSup,Svp,Swp,Swn,Svn,Sunを示す。
図2は、上側のアームを構成するスイッチング素子31sのスイッチングタイムSup,Svp,Swpから電流値検出タイムTa,Tbを設定する手順を説明するための図である。ここで、図2(a)、図2(b)、図2(c)は、各相の上側のアームを構成するスイッチング素子31sのスイッチ状態を示し、それぞれ、電圧最大相(U相)のスイッチ状態、電圧中間相(V相)のスイッチ状態、電圧最小相(W相)のスイッチ状態を示す。また、図2(d)は、直流母線5の電流値を、図2(e)は、電流値検出タイムTa,Tbを、図2(f)は、スイッチング素子31s,32sのスイッチングタイムSup,Svp,Swp,Swn,Svn,Sunを示す。
スイッチングタイム設定部16は、スイッチング素子31sのスイッチングタイムSup,Svp,Swpを用いて、電流値検出タイムTa,Tbを設定する。直流母線5から二相分の電流値IdcA,IdcBを検出するためには、三相の上アームのスイッチング素子31sのスイッチ状態が全てオン、もしくは全てオフではない区間、すなわち、非零ベクトルのスイッチ状態の区間である電流値検出区間から二種類選択し、その区間で検出を行う必要がある。従って、電流値IdcA,IdcBを検出する電流値検出タイムTa,Tbは、電圧中間相(V相)のスイッチング素子31sのスイッチングタイムに依存して設定される。補正指令電圧ベクトル生成部15で生成される補正された三相の指令電圧ベクトルVu’,Vv’,Vw’の内、大きいものから順に電圧最大相、電圧中間相、電圧最小相と定義する。例えば、図2では、Vu’が電圧最大相(U相)、Vv’が電圧中間相(V相)、Vw’が電圧最小相(W相)である場合を示す。
なお、図2(a),図2(b)、図2(c)では、各相の上側のアームを構成するスイッチング素子31sのスイッチ状態を示したが、下側のアームを構成するスイッチング素子32sのスイッチ状態は、上側のスイッチ状態とは逆の状態となる。すなわち、電圧最大相(U相)の上アームのスイッチング素子31sがオン(導通)のときは、電圧最大相(U相)の下アームのスイッチング素子32sは、オフ(遮断)の状態となる。
二相分の検出された電流値IdcA,IdcBの内、最初に現れる非零電圧ベクトル期間中に検出される直流母線5の電流値をIdcA、二番目に現れる非零電圧ベクトル期間中に検出される直流母線5の電流値をIdcBとする。電流値IdcAの電流値検出タイムである図2中のTaは、電圧中間相(V相)のスイッチング素子31sのスイッチングタイムSvpから所定時間T1前に設定される。ここで、T1は、電流値検出に必要な時間よりも長い時間に設定される。続いて、電流値IdcBの電流値検出タイムである図2中のTbは、Taから所定時間T2後に設定される。ここで、T2は、インバータ3において直列接続されたスイッチング素子31s,32s対が、同時に導通されることを避けるために設けられるデッドタイム区間を考慮し、また、直流母線5の電流値Idcは、スイッチング素子31s,32sのオン、オフ動作に伴う電圧急変により電流が振動する場合があり、その電流の振動も考慮して設定する必要がある。
図2は、この一例を示したものであり、スイッチング素子31sのスイッチングタイムSup,Svp,Swpの非零電圧ベクトル区間におけるスイッチング素子31sのオン、オフ動作に伴う電圧急変により電流が振動して電流値検出が不可能となる区間(以下、電流値検出不可区間Tiと称す。)と電流値検出可能区間Tpが記載されている。従って、T2は、Tbが電流値検出不可区間Tiにかからないように設定される。このとき、IdcAは、電圧最大相(U相)の電流値、IdcBは、電圧最小相(W相)の電流値を示す。この二相分の電流値から相電流演算部13で電圧中間相(V相)の電流値を算出するが、IdcAとIdcBの電流値検出タイムの差を可能な限り短く設定する。これは、非零電圧ベクトルにより、電動機2に電流が流れ、直流母線5の電流値も変化するため、TaとTbが離れていると、電圧中間相(V相)の電流値検出精度が低下するためである。
また、図2では、スイッチング周期T内に四つある非零電圧ベクトル期間の内の前半の二つの非零電圧ベクトル期間で電流値検出を行う例を示したが、後半の二つ非零電圧ベクトル期間で電流値検出を行う場合であってもよく、同様の処理を行う。この場合におけるIdcAは、三番目の非零電圧ベクトル期間中に検出される直流母線5の電流値を示し、IdcBは、四番目の非零電圧ベクトル期間中に検出される直流母線5の電流値を示すことになる。このとき、IdcAは電圧最小相(W相)の電流値、IdcBは電圧最大相(U相)の電流値を示すこととなる。
相電流演算部13は、検出電流格納部12に格納されている二相分の検出された電流値IdcAとIdcBから三相の交流電流値Iu,Iv,Iwを復元する役割を持つ。指令電圧ベクトル生成部14で生成された三相の指令電圧ベクトルVu,Vv,Vwに基づいて、二相の電流値の符号を判定する。残りの一相の電流値は、三相の電流値の総和がゼロであることを利用すれば、既に符号が判定された二相の電流値IdcA,IdcBから容易に求めることが出来る。以上の演算により、求められている電動機2に流れる三相の交流電流値Iu,Iv,Iwを復元することが可能となる。この演算された三相の交流電流値Iu,Iv,Iwは、例えば、指令電圧ベクトル生成部14における三相の指令電圧ベクトルの更新(生成)処理に利用したり、電動機2の出力監視に用いたりするなど、各部の制御処理などに利用される。
指令電圧ベクトル生成部14は、インバータ3が出力する目標となる三相の指令電圧ベクトルVu,Vv,Vwを生成する役割を持つ。電動機2の制御方法により様々な指令電圧ベクトル生成法が知られているが、本発明の本質ではないので、ここでは、説明を省略する。
補正指令電圧ベクトル生成部15は、指令電圧ベクトル生成部14で生成された指令電圧ベクトルV(Vu,Vv,Vw)に電圧ベクトルを印加する役割を持つ。ここで、印加される電圧ベクトルは、二相分の電流値検出区間の確保を可能とする電圧ベクトルであり、この電圧ベクトルは、例えば、それぞれ異なる電圧ベクトルVa,Vbであるが、スイッチング周期の1/2を単位周期とし、単位周期n周期で印加する電圧ベクトルVaとVbの合計が、零ベクトルとなる条件を満たす必要がある。更に、スイッチング周期の各周期で印加する電圧ベクトルVa,Vbは、スイッチングにおけるロスを減らすため、連続する基本電圧ベクトルV1(100)からV6(101)の合成ベクトルであることが望ましい。
なお、ここで、基本電圧ベクトルの括弧内の3つの数字は、上アームのスイッチング素子31sの場合では、左からU相、V相、W相の各スイッチング素子31sのスイッチ状態を表わし、“1”はオンを、“0”はオフをそれぞれ表す。例えば、V1(100)は、U相のスイッチング素子31sがオンで、他の相のスイッチング素子31sがオフであることを表わしている。下アームのスイッチング素子32sの場合でも同様である。
ここで、図3を参照して印加する電圧ベクトルの一例について説明する。図3では、説明を簡単にする為に単位周期nを3として考える。図3(a)に示す単位周期の1周期目では、指令電圧ベクトルVに基づいて非零電圧ベクトルであるV1(100),V2(110)を出力し、図3(b)に示す単位周期の2周期目では、電流値検出区間を確保するための電圧ベクトルVaとして、V2(110),V3(010)を出力する。また、図3(c)に示す単位周期の3周期目では、電流値検出区間を確保するための電圧ベクトルVbとして、単位周期の2周期目の電圧ベクトルVaを打ち消すように、V5(001),V6(101)を出力する。従って、この単位周期の3周期で指令電圧ベクトルV以外に印加する電圧ベクトルVaとVbとの合計は、零ベクトルであるため、電流検出区間を確保するための電圧ベクトルVa,Vbを印加した後の指令電圧ベクトルVは、単位周期の3周期合計で見ると電圧ベクトルVa,Vbを印加する前の指令電圧ベクトルVと一致することになる。
図4に、各単位周期での指令電圧ベクトルVと出力電圧ベクトルVoの関係について一例を示す。図4(a)は、単位周期をnとした場合の1周期目からn周期目までの指令電圧ベクトルVと出力電圧ベクトルVoの関係を、図4(b)は、n+1周期目からn+n周期目までの指令電圧ベクトルVと出力電圧ベクトルVoの関係を示す。1周期目からn周期目までの単位周期において、k周期目にV6とV1を合成した電圧ベクトルを印加し、m周期目にV4とV5を合成した電圧ベクトルを印加し、n周期目にV2とV3を合成した電圧ベクトルを印加する。上記で述べた通り、1周期目からn周期目までの単位周期の間に印加する電圧ベクトルの合計は、零ベクトルとなるので、1周期目の出力電圧ベクトルVoは、指令電圧ベクトルVと同じとなる。また、同様に、n+1周期目からn+n周期目までの単位周期において、k周期目にV6とV1を合成した電圧ベクトルを印加し、m周期目にV4とV5を合成した電圧ベクトルを印加し、n周期目にV2とV3を合成した電圧ベクトルを印加する。n+1周期目からn周期目までの単位周期の間に印加する電圧ベクトルの合計は、零ベクトルとなるので、n+1周期目の出力電圧ベクトルVoは、指令電圧ベクトルVと同じとなる。但し、1周期目の出力電圧ベクトルVoとn+1周期目の出力電圧ベクトルVoの値は異なる。すなわち、単位周期の間に印加する電圧ベクトルの合計は、零ベクトルであり、また、n周期毎にk番目の周期とn+k番目の周期では、常に同じ電圧ベクトルを印加する。すなわち、指令電圧ベクトルVに依存しない電圧ベクトルを印加することとなる。
図5に、印加する電圧ベクトルの切替えの一例を示す。図4で示したようにn周期中のk周期目に印加する電圧ベクトル(V6とV1を合成した電圧ベクトル)は、常に同じ電圧ベクトルを印加するが、駆動周期よりも大きい周期、例えば、インバータ3が動作を停止し、次に再開するようなタイミングで動作停止前とは、異なる電圧ベクトル(V4とV5を合成した電圧ベクトル)を印加する。切替えられた電圧ベクトルは、また、図4で示したようにn周期毎に常に同じ電圧ベクトルを印加する。
このように、補正指令電圧ベクトル生成部15は、指令電圧ベクトル生成部14で生成された三相の指令電圧ベクトルVに対して、電流値検出が可能となる大きさを有する二相分の電流値検出用の電圧ベクトルVa及びこの電圧ベクトルVaを打ち消すための電圧ベクトルVbを印加して、補正された三相の指令電圧ベクトルVu’,Vv’,Vw’を生成する。
スイッチングタイム設定部16は、補正指令電圧ベクトル生成部15で生成された補正された三相の指令電圧ベクトルVu’,Vv’,Vw’に基づいて、スイッチングタイムSup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnを設定する役割を持つ。図6は、指令電圧ベクトル及び印加する電圧ベクトルとスイッチングタイムとの関係を説明する図である。図6では、図3で生成された1周期目の指令電圧ベクトルVに基づいて、スイッチングタイムSup〜Swnを設定する場合の一例を示す。図6において、図6(a)は、出力電圧ベクトルVoを、図6(b)は、印加する電圧ベクトルVaを、図6(c)は、指令電圧ベクトルVを、図6(d)は、出力電圧ベクトルVoを示す。また、図2と同様に、図6(e)、図6(f)、図6(g)は、各相の上側のアームのスイッチング素子31sのゲートのスイッチの状態を示し、それぞれ、電圧最大相(U相)のスイッチ状態、電圧中間相(V相)のスイッチ状態、電圧最小相(W相)のスイッチ状態を示す。下側のアームのスイッチング素子32sのゲートのスイッチの状態は、上側のアームのスイッチング素子31sのゲートのスイッチ状態とは逆の状態となる。図6(h)は、スイッチング素子31s,32sのスイッチングタイムSup,Svp,Swp,Swn,Svn,Sunを示す。
ここで、図6(d)に示すように、単位周期のn周期内において、指令電圧ベクトルV(図6(c))と印加する電圧ベクトルVa(図6(b))は、別々に出力される。図6(d)において、出力電圧ベクトルVo欄の括弧内の数字は、基本電圧ベクトルを示す。なお、“0”はV0(000)を表わし、三相のスイッチング素子31sが全てオフの状態を、“7”はV7(111)を表わし、三相のスイッチング素子31sが全てオンの状態であることをそれぞれ示している。図6の例では、まず、三相のスイッチング素子31sが全てオフの状態から、印加する電圧ベクトルVaに基づいてV相のスイッチング素子31sがオンの状態に、U相のスイッチング素子31sがオンの状態に、続いて、三相のスイッチング素子31sが全てオンの状態に、さらに、指令電圧ベクトルVに基づいて、W相のスイッチング素子31sがオフの状態に、V相及びW相のスイッチング素子31sがオフの状態に、最後に、三相のスイッチング素子31sが全てオフの状態になる。
したがって、図6(d)に示すように、三相に印加する電圧ベクトルVaに基づいて、出力されたスイッチング用のパルス状電圧の区間が、直流母線5の電流値検出区間となる。また、スイッチング周期内で指令電圧ベクトルVと印加する電圧ベクトルVaは、別々に出力されるため、各スイッチング周期における印加する電圧ベクトルVaの出力区間で、電流値検出が可能となり、各スイッチング周期で三相の交流電流値Iu,Iv,Iwの復元が可能となる。
インバータ制御部17は、スイッチングタイム設定部16で設定されたスイッチングタイムSup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnにより、上側のアームの三相のスイッチング素子31sのゲートには、オン/オフの制御信号Guu,Gvu,Gwuを、また、下側のアームの三相のスイッチング素子32sのゲートには、上側のアームの三相のスイッチング素子31sとは、反転されたオン/オフの制御信号Gul,Gvl,Gwlをそれぞれ出力し、インバータ3により出力される相電流を制御する。
本実施の形態のインバータ制御装置による相電流の出力波形の例を図7に示す。また、特許文献1に示された従来のインバータ制御方法による相電流の出力波形を図8に示す。ここでは、特許文献1に示された技術と本実施の形態による技術の効果を比較するため、スイッチング周波数2kHz、周波数指令0.5Hzで駆動した場合における相電流の波形を示している。図7から明らかなように、従来技術で発生していた周期的な電流リプルの変化(図8の丸で囲まれた部分)が、本実施の形態では低減されていることが分かる。
したがって、直流母線の電流値検出区間を確保するのに必要な最低限の電圧ベクトルのみを印加することで、指令電圧ベクトルの大小関係に依存した補償電圧を必要とせず、また、上記印加する電圧ベクトルも指令電圧ベクトルに依存せずに設定されるため、各制御周期で検出を行う相を設定することが可能となる。これにより、例えば、常に同じ相の電流値を検出し、検出精度の向上を図ることが可能となる。また、n周期毎のk番目に印加する電圧ベクトルを一定とすることで、指令電圧ベクトルの大小関係に関わらず、電流リプルの形状が一定となり、周期的な変化が発生しない。周期的な電流リプルの変化を無くすことで、電動機2を駆動する周波数の6倍の周波数のうなり音を無くすことが可能となる。また、駆動周期よりも大きい周期でk番目に印加する電圧ベクトルを切り替えることで、同じスイッチングを繰り返し行うことによる各スイッチング素子の消耗を防ぐことも可能となる。
このように、実施の形態1に係るインバータ制御装置では、スイッチング周期の1/2を単位周期とし、nを3以上の自然数としたn周期において、少なくとも2周期で電流値検出用に印加する電圧ベクトルの合計が零ベクトルとなるように設定し、それ以外の周期においては、指令電圧ベクトルに基づいた電圧ベクトルを印加することにより電流値検出区間の設定を行っているため、指令電圧ベクトルに依存することなく、各制御周期で検出を行う相を設定することが可能となり、これにより、kをn以下の自然数とし、n周期中のk番目に印加する電圧ベクトルを常に同じとすることにより、電流脈動の大きさが周期的に変化することに由来する騒音となるうなり音を低減することができるという効果がある。
なお、図9は、実施の形態1に係るインバータ制御装置のハードウエア構成を示すもので、インバータ制御装置10は、プロセッサ50、記憶装置51及び電流センサ52で構成され、上述した各部の機能はこれらにより実現される。例えば、記憶装置51には、制御用のプログラムの他、演算により得られたデータ、検出電流値、三相の指令電圧ベクトル等の各種データが保存格納されている。プロセッサ50は、記憶装置51に格納されている本実施の形態の動作を実行する上で必要なそれぞれのプログラム及びデータを用いて演算を行う。電流検出素子である電流センサ52は、直流母線5から電流値を取得する。記憶装置51は、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを具備している。また、不揮発性の補助記憶装置として、フラッシュメモリの代わりにハードディスク等の補助記憶装置を具備していてもよい。
実施の形態2.
図10は、実施の形態2に係るインバータ制御装置を含むモータ制御システムの概略構成図である。図11は、指令電圧ベクトル及び印加する電圧ベクトルとスイッチングタイミムとの関係を説明する図である。実施の形態2に係るインバータ制御装置と実施の形態1に係るインバータ制御装置との相違点は、図10に示すように実施の形態2のモータ制御システム9におけるインバータ制御装置20では、検出電流格納部12が検出電流格納部22に、相電流演算部13が相電流演算部23にそれぞれ変更されている点である。他の構成要素は、実施の形態1の図1と同様であるので説明を省略する。
図10は、実施の形態2に係るインバータ制御装置を含むモータ制御システムの概略構成図である。図11は、指令電圧ベクトル及び印加する電圧ベクトルとスイッチングタイミムとの関係を説明する図である。実施の形態2に係るインバータ制御装置と実施の形態1に係るインバータ制御装置との相違点は、図10に示すように実施の形態2のモータ制御システム9におけるインバータ制御装置20では、検出電流格納部12が検出電流格納部22に、相電流演算部13が相電流演算部23にそれぞれ変更されている点である。他の構成要素は、実施の形態1の図1と同様であるので説明を省略する。
上記実施の形態1では、図6に示すようにnを3以上とし、スイッチング周期の1/2である単位周期n周期で印加する電圧ベクトルの出力区間で電流値検出を行う場合について説明したが、実施の形態2では、nが2の時の電流値検出を行う場合について説明する。nを2とした場合、印加する電圧ベクトルの出力区間が一つしかないため、図11に示すようにスイッチング周期を前半と後半の二つに分割して、スイッチング周期毎に前半と後半交互に電流値検出用の電圧ベクトルを印加するものである。
次に、本実施の形態2に係るインバータ制御装置20の動作について、図10及び図11を参照して説明する。
実施の形態1では、図6で示したように、スイッチング周期の1/2の単位周期の1周期毎に指令電圧ベクトルVと電流値検出区間を確保するために印加する電圧ベクトルVaを別々に出力しているが、単位周期n周期で出力電圧ベクトルVoを指令電圧ベクトルVと同じにする必要がある。そのため、印加する電圧ベクトルVa,Vbを印加するために単位周期が少なくとも2周期必要となり、指令電圧ベクトルVを出力するための最低1単位周期と合わせると単位周期が3周期必要となる。実施の形態2では、図11で示すように、スイッチングタイム設定部16で単位周期2周期のうち、一方を指令電圧ベクトルV、他方を電流値検出区間を確保するために印加する電圧ベクトルVaを出力する。また、上記指令電圧ベクトルVと印加する電圧ベクトルVa,Vbの別々の出力を、スイッチング周期の1周期毎に出力する順番を入れ替える。それに伴い、電流値検出の位置も1周期毎に入れ替わる。このようにすることで、1周期目に印加した電流値検出用に印加する電圧ベクトルVaを2周期目で印加した電流値検出用に印加する電圧ベクトルVbで打ち消すことが可能となり、実施の形態1のように打ち消し用に印加する電圧ベクトルVbがn周期内で不要となり、単位周期2周期での指令電圧ベクトルVと電流値検出区間を確保するために印加する電圧ベクトルVa,Vbの出力が可能となる。
実施の形態1では、図6で示したように、スイッチング周期の1/2の単位周期の1周期毎に指令電圧ベクトルVと電流値検出区間を確保するために印加する電圧ベクトルVaを別々に出力しているが、単位周期n周期で出力電圧ベクトルVoを指令電圧ベクトルVと同じにする必要がある。そのため、印加する電圧ベクトルVa,Vbを印加するために単位周期が少なくとも2周期必要となり、指令電圧ベクトルVを出力するための最低1単位周期と合わせると単位周期が3周期必要となる。実施の形態2では、図11で示すように、スイッチングタイム設定部16で単位周期2周期のうち、一方を指令電圧ベクトルV、他方を電流値検出区間を確保するために印加する電圧ベクトルVaを出力する。また、上記指令電圧ベクトルVと印加する電圧ベクトルVa,Vbの別々の出力を、スイッチング周期の1周期毎に出力する順番を入れ替える。それに伴い、電流値検出の位置も1周期毎に入れ替わる。このようにすることで、1周期目に印加した電流値検出用に印加する電圧ベクトルVaを2周期目で印加した電流値検出用に印加する電圧ベクトルVbで打ち消すことが可能となり、実施の形態1のように打ち消し用に印加する電圧ベクトルVbがn周期内で不要となり、単位周期2周期での指令電圧ベクトルVと電流値検出区間を確保するために印加する電圧ベクトルVa,Vbの出力が可能となる。
検出電流格納部22では、直近のスイッチング周期の2周期分の検出された電流値IdcA,IdcB,IdcC,IdcDを取得、格納する機能を持ち、相電流演算部23では、上記四つの検出された電流値からスイッチング周期の2周期分の三相の交流電流値Iu1,Iv1,Iw1,Iu2,Iv2,Iw2を算出し、平均化された三相の交流電流値Iu,Iv,Iwを出力する機能を持つ。このように、直近のスイッチング周期の2周期の電流値検出位置を変え、その平均値を出力することで電流リプルの影響の小さい高精度な電流検出が可能となる。
このように、実施の形態2に係るインバータ制御装置では、単位周期2周期のうち、一方を指令電圧ベクトル、他方を電流値検出区間を確保するために印加する電圧ベクトルを出力することにより、電流値検出区間の設定を行っているため、指令電圧ベクトルに依存することなく、各制御周期で検出を行う相を設定することが可能となり、これにより、2周期中の1番目に印加する電圧ベクトルを常に同じとすることにより、電流脈動の大きさが周期的に変化することに由来する騒音となるうなり音をさらに低減することができるという効果がある。
なお、本発明に係るインバータ制御装置として、様々な電動機などの回転機を駆動するシステムに広く対応するモータ制御システムに有用であり、特に、低い三角搬送波周波数かつ指令電圧変調率が低い領域で駆動を行うモータ制御システムに適している。
また、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
また、図において、同一符号は、同一または相当部分を示す。
1,9 モータ制御システム、2 電動機、3 インバータ、4 直流電源、5 直流母線、10 インバータ制御装置、11 電流検出部、31s,32s スイッチング素子、31d,32d ダイオード、12,22 検出電流格納部、13,23 相電流演算部、14 指令電圧ベクトル生成部、15 補正指令電圧ベクトル生成部、16 スイッチングタイム設定部、17 インバータ制御部、50 プロセッサ、51 記憶装置、52 電流センサ
Claims (8)
- 直流電力を交流電力に変換するインバータのスイッチング素子を所定のスイッチングタイムにより制御するインバータ制御部と、
前記インバータに直流電力を供給する直流電源の電流値を検出する電流検出部と、
前記スイッチングタイムに基づいて、電流値検出タイムを設定すると共に、前記電流検出部から前記電流値を取得、格納保持する検出電流格納部と、
前記検出電流格納部から復元に必要な相数分の前記電流値から前記インバータで生成された交流電流値を演算し復元する相電流演算部と、
復元された前記交流電流値と回転速度指令値に基づいて指令電圧ベクトルを生成する指令電圧ベクトル生成部と、
前記指令電圧ベクトルに基づいて補正された指令電圧ベクトルを生成する補正指令電圧ベクトル生成部と、
前記補正された指令電圧ベクトルに基づいて、前記スイッチングタイムを設定し、前記インバータ制御部及び前記検出電流格納部に出力するスイッチングタイム設定部と、を備え、
前記補正指令電圧ベクトル生成部は、前記インバータのスイッチング周期の1/2を単位周期として、前記単位周期のn周期(nは、2以上の自然数)において、nが3以上の時は、そのベクトルの合計が零ベクトルとなる複数の電圧ベクトルを印加し、nが2の時は、前記単位周期の4周期において、そのベクトルの合計が零ベクトルとなる複数の電圧ベクトルを印加して、前記補正された指令電圧ベクトルを生成することを特徴とするインバータ制御装置。 - 前記n周期が3周期以上であり、少なくともその2周期において、それぞれ前記復元に必要な相数分の前記電流値の検出区間の確保が可能となる大きさを有する前記複数の電圧ベクトルを印加することを特徴とする請求項1に記載のインバータ制御装置。
- kをn以下の自然数として、前記n周期のk番目の周期に印加される前記電圧ベクトルが、n周期単位で同じ電圧ベクトルであることを特徴とする請求項2に記載のインバータ制御装置。
- 前記k番目の周期に印加される前記電圧ベクトルは、前記n周期よりも大きい場合に、異なる電圧ベクトルに切替えることを特徴とする請求項3に記載のインバータ制御装置。
- 前記n周期が2周期であり、前半周期及び後半周期の一方において、前記復元に必要な相数分の前記電流値の検出区間の確保が可能となる大きさを有する前記複数の電圧ベクトルを印加すると共に、異なる前記n周期毎において、前記前半周期と前記後半周期とで交互に前記複数の電圧ベクトルを印加することを特徴とする請求項1に記載のインバータ制御装置。
- 前記前半周期に印加される前記電圧ベクトルが、2n周期単位で同じ電圧ベクトルであり、前記後半周期に印加される前記電圧ベクトルが、2n周期単位で同じ電圧ベクトルであることを特徴とする請求項5に記載のインバータ制御装置。
- 前記前半周期及び前記後半周期の一方において、印加する前記複数の電圧ベクトルは、前記n周期よりも大きい場合に異なる値を持つ電圧ベクトルに切替えることを特徴とする請求項6に記載のインバータ制御装置。
- 異なる前記n周期で検出された前記復元に必要な相数分の前記電流値のそれぞれの平均値を前記電流値とすることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のインバータ制御装置。
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