JP2010239834A - 同期モータ用インバータ制御回路及びこれを備える同期モータ制御装置 - Google Patents

同期モータ用インバータ制御回路及びこれを備える同期モータ制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010239834A
JP2010239834A JP2009087524A JP2009087524A JP2010239834A JP 2010239834 A JP2010239834 A JP 2010239834A JP 2009087524 A JP2009087524 A JP 2009087524A JP 2009087524 A JP2009087524 A JP 2009087524A JP 2010239834 A JP2010239834 A JP 2010239834A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
current value
phase
axis
current
input
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009087524A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruyuki Yoshioka
春幸 吉岡
Shuhei Otani
修平 大谷
Yoshichika Nishimaki
嘉哉 西牧
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Diamond Electric Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Diamond Electric Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Diamond Electric Manufacturing Co Ltd filed Critical Diamond Electric Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2009087524A priority Critical patent/JP2010239834A/ja
Publication of JP2010239834A publication Critical patent/JP2010239834A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Ac Motors In General (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Abstract

【課題】適正なPWM信号の生成を実現させ得る同期モータ用インバータ回路、及び、良好なフィードバック制御を実施させ得る同期モータ制御装置を提供する。
【解決手段】復元相電流値算出部511aでは、入力電流値Iiu$、Iiw$が入力されると、これに同期して、推定電流値Icu$、Icw$を算出させる。その後、復元相電流値算出部511aでは、入力電流値又は推定電流値を適宜に組合わせて3相分の復元相電流値を算出させ、復元相電流(Iu$,Iv$,Iw$)をステータ座標変換部511bへと出力させる。また、かかる復元相電流値算出部511aでは、復元相電流値(Iu$,Iv$,Iw$)に基づき、ステータ座標変換部511b及びローター座標変換部511cを介して、d軸検出電流値Id$及びq軸検出電流値Iq$を適宜に算出させる。
【選択図】図6

Description

本発明は、同期モータ用インバータ制御回路及びこれを備える同期モータ制御装置に関し、特に、適正なPWM信号の生成及び良好なフィードバック制御を実施させる際に用いて好適のものである。
回転磁界に同期して制御される3相同期ブラシレスモータは、指令角速度に追従するようベクトル制御が行われ、当該ベクトル制御によって与えられる電流ベクトルが回転子の磁束ベクトルに対して適宜な角度となるように制御される。かかる3相同期ブラシレスモータは、近年、回転子の位置検出機構を省略させたセンサレスモータの商品化が進められている。
かかるブラシレスモータを駆動制御させる同期モータ制御装置は、電流検出回路が適所に設けられており、電流検出回路から出力される電流値に基づいて出力電力を適宜に制御させる。かかる電流検出回路は、各相電流の電流供給ラインに各々設けても良いが、同期モータ制御装置のDCバスラインに設けられた抵抗(所謂One-Shunt抵抗)を利用することにより、同期モータ制御装置の構成をより簡素化できる。
特願2008−335374号公報では、かかるOne-Shunt抵抗を用いた電流検出方式による同期モータ制御装置が示されている。図1に示す如く、同期モータ制御装置1000は、電源回路100とインバータ回路200と電流検出回路400と同期モータ用インバータ制御回路(以下、制御回路と呼ぶ)500とから構成され、制御回路500からPWM信号(Su*,Sv*,Sw*)が出力されると、インバータ回路200を構成するスイッチング素子Tau〜Tbwが各々駆動される。このとき、同期モータ制御装置1000に接続された3相同期ブラシレスモータ300では、インバータ回路200で生成出力された3相の相電流を受けて、3相同期ブラシレスモータ300の回転子302が所望の角速度で回転するように制御される。そして、かかる相電流は、3相同期ブラシレスモータ300を通過した後、バスラインに設けられた電流検出回路400によって検出され、検出された相電流の電流値は、当該電流値の大きさを現した入力電流値Ii$(以下、「入力電流の電流値」を入力電流値と呼ぶ)として制御回路500へ入力される。
図8には、インバータ回路200へ供給されるPWM信号の状態とバスラインを通る電流波形が示されている。尚、同図では、制御回路500で生成される搬送波W1の一周期に相当するPWM信号及び電流波形が示されている。図示の如く、搬送波W1と制御回路内で生成された指令電圧(Vu*,Vv*,Vw*)とが比較されると、PWM信号(Sau*,Sbu*,Sav*,Sbv*,Saw*,Sbw*)が適宜な矩形波に形成される。かかるPWM信号(Sau*,Sbu*,Sav*,Sbv*,Saw*,Sbw*)は、各々が所定のスイッチング素子(Tau,Tbu,Tav,Tbv,Taw,Tbw)の信号端子に印加され、例えば、PWM信号Sau*は、インバータ回路のスイッチング素子Tauへ出力される。
同図最下段には、制御回路500へ送られる入力電流値Ii$の波形が示されている。かかる入力電流値Ii$の波形を参照すると、PWM信号の上アーム側(Sau*,Sav*,Saw*)が一様にLow状態とされ、PWM信号の下アーム側(Sbu*,Sbv*,Sbw*)が一様にHigh状態とされ、このとき、入力電流値Ii$は零とされる。その後、PWM信号Sau*及びSbu*の切換エッジが発生すると、入力電流値Ii$の波形には、3相の相電流のうちu相電流の波形Iiu$が現われる。更に後、PWM信号Sav*及びSbv*の切換エッジが発生すると、入力電流値Ii$の波形には、w相電流の波形Iiw$が現われる。かかる後、PWM信号Saw*及びSbw*の切換エッジが発生すると、バスラインに相電流が流れなくなるので、入力電流値Ii$の波形は再び零に戻る。また、更に時間が経過すると、切換エッジの発生に応じて、入力電流値Ii$の波形には、w相電流、u相電流が順に現われ、その後、再び、電流波形が現われなくなる。尚、入力電流値Ii$の波形は、PWM信号が同図の如く切替えられたため、w相電流の波形Iiw$及びu相電流の波形Iiu$が現われることとなり、これらの相電流の発生順序も同図の様に定まる。但し、切替えられるスイッチング素子の組み合わせが変更されれば、これに応じて、相電流の現われ方も変更される。
制御回路500では、2相分の電流値情報を重畳させた入力電流値Ii$を検出すると、当該入力電流値Ii$から3相分の電流値情報を復元させ、これに基づいて新たなPWM信号を生成出力する。そして、同期モータ制御装置1000では、制御回路500によって生成されたPWM信号によって3相同期モータ300を制御させ、併せて、このとき生じる入力電流値Ii$を制御回路500で検出することにより、指令角速度に追従したフィードバック制御を実現させている。
特願2008−335374号公報
一般に、制御回路500では、入力電流値Ii$を受信するAD変換回路が設けられ、ADタイミング毎に入力電流値Ii$を検出する。当該ADタイミングは、PWM信号の切換エッジを起算点とすると、当該起算点から数ナノ(sec)〜数マイクロ(sec)経過後に到来するように設定される。
ここで、特許文献1の技術では、インバータ回路200の駆動周波数が人体の聴覚で感知されないように、搬送波W1の周波数を高値に設定し、PWM信号の周波数が16kHz以上となるように調整されている。このため、PWM信号の切換エッジの間隔が近接し、かかる入力電流値Ii$を現す波形では、各々の相電流を現す段差状の各波形の発生時間を狭めてしまう。図9には、切換エッジの発生間隔が狭い場合に形成された入力電流値Ii$の波形が各々示されている。先ず、先段に現われる波形が狭くなると、図9(a)に示す如く、先段の波形を読むためのADタイミングt1は、当該先段波形の立下りエッジの発生後に現れるので、後段に現われる波形の電流値を誤って検出してしまう。また、後段に現われる波形が狭くなると、図9(b)に示す如く、後段の波形を読むためのADタイミングt2は、当該後段波形の立下りの発生後に現れるので、かかる場合にも誤検出を生じてしまう。更に、図9に示す如く、先段及び後段の双方の波形が狭くなると、ADタイミングt1及びt2の双方の検出値が誤った値とされてしまう。そして、かかる如く入力電流値Ii$が誤検出されると、同期モータ用インバータ制御回路では、実際の入力電流値Ii$に応じた適正なPWM信号を生成できなくなるとの問題が生じる。かかる場合、同期モータ制御装置では、指令角速度に追従した良好なフィードバック制御を実施できなくなるとの問題が生じる。
一方、ADタイミングで正しい波形を検出できない場合に備えて、誤った電流値と判断されたときに限り、前回のADタイミングで検出した入力電流値を今回のADタイミングで検出した入力電流値Ii$として用いる技術も存在する。しかし、かかる技術では、誤った入力電流値が一時的に入力されるため、指令角速度に対する制御応答の遅れが顕著になるとの問題が生じる。また、負荷が変動すると、当該制御応答の遅れが更に顕著となる。
本発明は上記課題に鑑み、適正なPWM信号の生成を実現させ得る同期モータ用インバータ回路の提供、及び、良好なフィードバック制御を実施させ得る同期モータ制御装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では次のような同期モータ用インバータ制御回路の構成とする。即ち、電流ベクトルを制御させる指令電流生成部と、3相同期ブラシレスモータに流れる相電流の電流値のうち2相分の電流値が入力電流値として各々入力され且つ当該入力電流値に基づいてd軸検出電流値及びq軸検出電流値を各々算出させる入力値算出部と、前記3相同期ブラシレスモータの回転子の角速度を推定する角速度推定部と、前記角速度推定部で算出された推定角速度に基づき位相情報を算出させる位相情報演算部とを備え、前記電流ベクトルの電流成分及び前記d軸検出電流値及び前記q軸検出電流値及び前記位相情報に基づいてPWM信号を出力させる同期モータ用インバータ制御回路において、前記入力値算出部は、更新d軸電流値情報及び更新q軸電流値情報を保持する電流値情報格納部と、前記更新d軸電流値情報及び前記更新q軸電流値情報及び前記位相情報に基づいて少なくとも2相分の推定電流値を算出させる推定電流値算出部と、前記入力電流値及び/又は前記推定電流値を適宜に組合わせて3相分の復元相電流値を算出させる復元相電流値算出部とを備え、前記復元相電流の電流値に基づいて前記d軸検出電流値及び前記q軸検出電流値を算出させることとする。
このとき、前記更新d軸電流値情報は、前記d軸検出電流値の算出処理毎に更新される電流値情報とされ、前記更新q軸電流値情報は、前記q軸検出電流値の算出処理毎に更新される電流値情報とされることとしても良い。また、前記更新d軸電流値情報は、前記電流ベクトルのうちd軸指令電流値の算出処理毎に更新される電流値情報とされ、前記更新q軸電流値情報は、前記電流ベクトルのうちq軸指令電流値の算出処理毎に更新される電流値情報とされることとしても良い。
より好ましくは、前記入力値算出部は、プログラムによって規定された処理を実現させる適宜な回路から成り、前記プログラムは、前記更新d軸電流値情報と前記更新q軸電流値情報とを前記電流値情報格納部へ保存させる処理を実行させることとする。
より好ましくは、前記プログラムは、更に、前記入力電流値で現われる第1相に対応する第1相入力電流値及び第2相に対応する第2相入力電流値が各々適正値であるか否かを判定する判定処理を実行させた後、前記判定処理にて前記第1相入力電流値及び前記第2相入力電流値の双方が適正であると判定された場合、前記第1相入力電流値及び前記第2相入力電流値を用いて前記d軸検出電流値及び前記q軸検出電流値を算出させる第1の算出処理と、前記判定処理にて前記第1相入力電流値のみが適正であると判定された場合、当該第1相入力電流値と前記推定電流のうち第2相に対応する第2相推定電流値とを用いて前記d軸検出電流値及び前記q軸検出電流値を算出し、前記判定処理にて前記第2相入力電流値のみが適正であると判定された場合、当該第2相入力電流値と前記推定電流のうち第1相に対応する第1相推定電流値とを用いて前記d軸検出電流値及び前記q軸検出電流値を算出させる第2の算出処理と、前記判定処理にて前記第1相入力電流値及び前記第2相入力電流値の双方が不適正であると判定された場合、前記第1相推定電流値及び前記第2相推定電流値を用いて前記d軸検出電流値及び前記q軸検出電流値を算出させる第3の算出処理と、のうち何れか1つの処理を択一的に実行させることとする。
より好ましくは、前記第2の算出処理又は前記第3の算出処理では、前記更新d軸電流に関する最新の電流値情報と前記更新q軸電流に関する最新の電流値情報とを前記電流値情報格納部から読み込むロード処理と、前記ロード処理で読み込まれた双方の電流値情報と前記位相情報とに基づいて前記推定電流値を算出させる推定電流値算出処理とを実行させることとする。
本発明では次のような同期モータ制御装置の構成とする。即ち、電力を供給する電源回路と、前記電源回路から電力を受け前記3相同期ブラシレスモータを駆動させるインバータ回路と、前記入力電流値を検知する電流検出回路と、請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の同期モータ用インバータ制御回路とを備えることとする。
本発明に係る同期モータ用インバータ制御回路によると、検出された入力電流値が不適正な電流値であっても、推定電流値算出部によって実際の入力電流値に近い推定電流値が用いられるので、これに応じて、実際の値に近い検出電流が算出され、適正なPWM信号が生成される。
本発明に係る同期モータ制御装置によると、同期モータ用インバータ制御回路によって適正なPWM信号が生成されるので、指令角速度に対する制御応答が良くなり、良好なフィードバック制御が実現される。
モータ制御装置の構成を示す図 電圧ベクトルとスイッチング素子の切換状態との関係を示す図 電圧ベクトルと3相同期モータの各相との関係を示す図 3相同期モータに流れる電流の状態を示す図 実施の形態に係る同期モータ用インバータ制御回路の構成を示す図 実施の形態に係る相電流復元部の回路構成を示す図 入力値算出部でプログラムが実施する処理のフローチャート PWM信号及び入力電流値の波形を示す図 入力電流値及びADタイミングを示す図
以下、本発明に係る実施の形態につき図面を参照して説明する。図1には、所謂One-Shunt抵抗を用いた電流検出方式による同期モータ制御装置が示されている。図示の如く、同期モータ制御装置1000は、電源回路100とインバータ回路200と電流検出回路400と同期モータ用インバータ制御回路(以下、制御回路と呼ぶ)500とから構成され、制御回路500の指令を受けてインバータ回路200が適宜に作動する。また、同期モータ制御装置1000は、インバータ回路200に3相同期ブラシレスモータ300が接続され、インバータ回路200から複数の相電流を供給し、これによって、3相同期ブラシレスモータ300を所望の状態にて駆動させる。
電源回路100は、電源部EaとコンデンサCsとから構成される。電源部Eaには直流電源が用いられても良く交流電源が用いられても良い。交流電源が用いられる場合、電源部Eaは、当該電源部とダイオードブリッジとから成る構成としても良いし、更に、リアクトル及びパワートランジスタ及びダイオード素子によってPFC回路を構成させても良い。また、コンデンサCsでは、電源部Eaから印加された電圧のリップル成分を平滑化させ、この他、当該印加電圧のノイズ成分を吸収させる役割を担う。即ち、コンデンサCsからは、ノイズが低減され且つ一定電圧に安定された電力が供給されることとなる。
インバータ回路200は、帰還ダイオードを具備する複数のパワートランジスタから成り、このうち上アーム側トランジスタTau及び下アーム側トランジスタTbuを直列に接続させたU相レッグと、上アーム側トランジスタTav及び下アーム側トランジスタTbvを直列に接続させたV相レッグと、上アーム側トランジスタTaw及び下アーム側Tbwを直列に接続させたW相レッグとが並列に接続されている。また、U相レッグでは、パワートランジスタ同士の接点にU相ラインLuが接続され、上アーム側トランジスタTauの通過電流を3相同期ブラシレスモータ300へ供給させる。同様に、V相レッグにはV相ラインLvが接続され、W相レッグにはW相ラインLwが接続されている。尚、上アーム側とは、電源部Eaの陽極側が接続される側を指し、下アーム側とは、電源部Eaの陰極側が接続される側を指す。
3相同期ブラシレスモータ300は、固定子(図示なし)と回転子302とから構成され、固定子は3相同期ブラシレスモータ300の筐体に固定される。固定子は、円環状の珪素鋼板の積層体から成り、当該積層体の内環側には複数の極形成体が連続的に形成される。また、固定子の極形成体には、各々にコイル巻線が巻回される。3相同期ブラシレスモータ300では、固定子へ電流が適宜に入力されることにより、内部に回転磁界が形成される。一方、回転子302は、珪素鋼板が円柱状に積層され、2極(S極、N極)を具備する永久磁石が適宜に埋設される。当該回転子302は、固定子の内環面に対して同心的に配置され、回動自在に軸支される。そして、かかる回転子302は、回転磁界によって回動され、回転子302に固定された駆動軸にトルクを与える。
電流検出回路400は、入力電流値Ii$を検知する検出抵抗Riを具備し、入力電流値Ii$を電圧値に変換させて出力する。当該入力電流値Ii$は、3相同期ブラシレスモータ300の各相コイルを流れる相電流の電流値のうち2相分の電流値に相当する波形が形成される。電流検出回路400は、電源回路100とインバータ回路200とを結ぶバスラインに設けられる。尚、かかる電流検出回路400は、同図では下アーム側の電源ラインへ設けられているが、上アーム側のバスラインに設けることとしても良い。
制御回路500は、信号変換部510とPWM信号成形部520とから成る。信号変換部510は、電流検出回路400に接続されており、入力電流値Ii$を受信する。また、信号変換部510では、受信した入力電流値Ii$に基づいて指令電圧(Vu*、Vv*、Vw*)を出力させる。PWM信号成形部520は、インバータ回路200を構成するパワースイッチング素子(以下、トランジスタと呼ぶこともある)の信号入力端子にそれぞれ接続され、印加された指令電圧(Vu*、Vv*、Vw*)に基づいてPWM信号(Su*、Sv*、Sw*)を生成出力し、これによりパワートランジスタを駆動させる。尚、PWM信号(Su*、Sv*、Sw*)は、実際には上アーム側トランジスタのPWM信号と下アーム側トランジスタのPWM信号とが必要となるため、全部で六種類のPWM信号によって構成されることとなる。以下、かかるトランジスタのスイッチング状態を表現する電圧ベクトルについて説明する。
図2には、パワートランジスタTau〜Tbwの切換状態と電圧ベクトルとの関係がマトリクスで示されている。電圧ベクトルとは、U相レッグのトランジスタの切換状態を表現した成分と、V相レッグのトランジスタの切換状態を表現した成分と、W相レッグのトランジスタの切換状態を表現した成分とによって構成される。ここで、切換状態を表現した各成分は、同一アームを構成する上下のトランジスタについて、上アーム側トランジスタがOFF状態とされ且つ下アーム側トランジスタがON状態とされる場合に「0」と表示される。一方、上アーム側トランジスタがON状態とされ且つ下アーム側トランジスタがOFF状態とされる場合に「1」と表示される。例えば、電圧ベクトルV0は、図示の如く、上アーム側トランジスタTauがOFF状態、下アーム側トランジスタTbuがON状態、上アーム側トランジスタTavがOFF状態、下アーム側トランジスタTbvがON状態、上アーム側トランジスタTawがOFF状態、下アーム側トランジスタTbwがON状態の組合せとされるので、V0=(0,0,0)と表現される。以下同様に、トランジスタの切換状態に応じて、V1=(1,0,0)、V2=(1,1,0) 、V3=(0,1,0) 、V4=(0,1,1) 、V5=(0,0,1) 、V6=(1,0,1)、V7=(1,1,1)と表現される。
図3には、上述した電圧ベクトルV0〜V7を3相同期ブラシレスモータ300の各相に対応させて二次元標記されている。電圧ベクトルV1の場合、U相のコイル端子には電源回路100の陽極電位が印加され、V相及びW相のコイル端子では電源回路100の陰極電位と同等な値とされるので、図4(a)に示す如く、3相同期ブラシレスモータ300のコイルでは、U相端子tuから流入してU相コイル及びV相コイルを介してV相端子tvから流出する電流と、U相端子tuから流入してU相コイル及びW相コイルを介してW相端子twから流出する電流とが発生する。また、電圧ベクトルV2の場合、U相及びV相のコイル端子には電源回路100の陽極電位が印加され、W相のコイル端子では電源回路100の陰極電位と同等な値とされるので、図4(b)に示す如く、3相同期ブラシレスモータ300のコイルでは、U相端子tu及びV相端子tvから流入してW相端子twから流出する電流が発生する。同様に、電圧ベクトルV3では、V相端子tvから流入してU相及端子tu及びW相端子twのそれぞれから流出する電流が発生する。電圧ベクトルV4では、V相端子tv及びW相端子twの双方から流入してU相及端子tuから流出する電流が発生する。また、電圧ベクトルV5では、W相端子twから流入してU相及端子tu及びV相端子tvのそれぞれから流出する電流が発生する。電圧ベクトルV6では、U相端子tu及びW相端子twの双方から流入してV相及端子tvから流出する電流が発生する。尚、電圧ベクトルV0及び電圧ベクトルV7では、パワートランジスタと3相同期ブラシレスモータ300との間で電流が還流するので、制御回路500では、入力電流値Ii$が検出されることはない。
かかる如く、同期モータ制御装置1000では、パワートランジスタの切換状態を制御させることにより、3相同期ブラシレスモータ300に生じる電流の方向を制御させ、これにより、3相同期ブラシレスモータ300では、固定子によって形成される回転磁界が制御され、回転子302に回転力を与える。尚、図4に示す如く、電圧ベクトルV1の場合、検出抵抗RiではU相端子tuへ流入する電流波形が検知される。また、電圧ベクトルV2の場合、検出抵抗RiではW相端子twから出力される電流が検知される。同様に、電圧ベクトルV3の場合、V相端子tvへ入力される電流が検知され、電圧ベクトルV4の場合、U相端子tuから出力される電流が検知され、電圧ベクトルV5の場合、W相端子twへ入力される電流が検知され、電圧ベクトルV6の場合、V相端子tvから出力される電流が検知され、電圧ベクトルV0及びV7の場合、電流の流出入は発生しない。かかる様子は、図2の「検出電流の相電流情報」の欄に表現されている。従って、電圧ベクトルが既知であれば、検出している相電流の種類と方向とが認識できることとなる。同図では、コイル端子への入力方向を正値とし、出力方向を負値としている。
図5には、本実施の形態に係る制御回路500の機能ブロックが示されている。当該制御回路500は、図示されないCPU、AD変換回路、クロック回路、メモリ回路等によって構成され、メモリ回路には制御プログラム及び各種演算処理を実現させるプログラム及び当該演算処理で用いられるパラメータが適宜格納されている。そして、これらの回路と所定のプログラムとが協働して、図示される機能部を実現させている。尚、同図には、制御回路500以外の構成とされるインバータ回路200及び3相同期ブラシレスモータ300が便宜的に示されている。
上述の如く、制御回路500は、信号変換部510及びPWM信号成形部520とから構成される。このうち、信号変換部510は、入力値変換部511と角速度推定部512と位相情報演算部513と指令電流生成部514とd軸指令値演算部515とq軸指令値演算部516と指令値換算部517とから構成される。
入力値変換部511は、相電流復元部511aとステータ座標変換部511bとローター座標変換部511cとから構成される。また、当該入力値変換部511には、検出抵抗Riから出力される入力電流値Ii$と位相情報θ#とが適所に入力される。
相電流復元部511aは、入力電流値Ii$に基づいて、3相同期ブラシレスモータ300の3相分の相電流の電流値を各々算出し、これによって得られた復元相電流の電流値(Iu$、Iv$、Iw$)に基づいて、後述するd軸検出電流値Id$及びq軸検出電流値Iq$を算出させる。尚、当該相電流復元部511aの詳細については、図6及び図7によって詳述することとする。
ステータ座標変換部511bは、復元相電流値(Iu$,Iv$,Iw$)を固定子座標系のα軸検出電流値Iα$及びβ軸検出電流値Iβ$に変換し、α軸及びβ軸の検出電流値を出力させる。尚、かかる固定座標系とは、3相同期ブラシレスモータ300の固定子の所定位置を観測系とする垂直座標である。
ローター座標変換部511cは、固定子座標系のα軸検出電流値Iα$及びβ軸検出電流値Iβ$を更に変換し、回転子座標系のd軸検出電流値Id$及びq軸検出電流値Iq$を算出出力させる。尚、かかる回転座標系とは、3相同期ブラシレスモータ300の回転子の磁束方向をdm軸とし当該磁束方向に垂直な方向をqm軸とする垂直座標であって、以下、回転子302の座標軸qm−dmと呼ぶ。従って、回転座標系は、回転子の回転動作と共に回転する。
角速度推定部512は、位相誤差推定部512aと換算部512bとを備える。位相誤差推定部512aは、d軸検出電流値Id$及びq軸検出電流値Iq$及び後述するd軸指令電圧Vd*及びq軸指令電圧Vq*が入力され、且つ、換算部512bにて算出された推定角速度ω#が帰還ループされている。当該位相誤差推定部512aは、更に、回転子のd軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqと、3相同期ブラシレスモータ300の抵抗値Rmとを取得可能に構成されており、これらの情報に基づいて位相誤差Δθ#を算出させる。
当該位相誤差Δθ#は、指令電圧生成部514で制御される電流ベクトルと回転子302の座標軸qm−dmとの間に生じる制御上の誤差である。また、電流ベクトルは、dm軸成分を現すd軸指令電流Id*と、qm軸成分を現すq軸指令電流Iq*とから成る。
換算部512bでは、回転子302の角速度を演算手段によって推定し、算出された推定角速度ω#を適所に出力させる。当該推定角速度ω#は、位相誤差Δθ#に応じた補正値が反映され、制御回路500では、当該位相誤差Δθ#を零へ収束させる値に調整される。
位相情報演算部513は、入力された推定角速度ω#に基づいて位相情報θ#を出力させる。位相情報θ#は、微小時間をdtとすると、θ#=∫ω#・dt、の数式にて算出される。従って、かかる位相情報θ#は、補正された推定角速度ω#に基づいて算出されるので、同期モータ制御装置1000では、推定角速度ω#を伴った制御を実施させる場合(クローズドループ制御)、位相誤差Δθ#を零へ収束させるように、即ち、電流ベクトルと回転子302の座標軸qm−dmとが一致するように制御を行う。
指令角速度出力部530は、3相同期ブラシレスモータ300に要求される回転子302の角速度を指令角速度ω*として出力させる。かかる指令角速度出力部530は、例えば、同期モータ制御装置1000の外部に載置された制御パネルが操作されると、当該操作指令に基づいて指令角速度ω*を演算処理させ、これにより、かかる指令角速度ω*を出力させるように構成されるもの等が一例として想定される。
指令電流生成部514は、d軸指令電流値Id*及びq軸指令電流値Iq*を生成出力させ、これにより、d軸指令電流値Id*及びq軸指令電流値Iq*を成分とする電流ベクトルを制御させる。かかる指令電流生成部514は、d軸指令電流値Id*及びq軸指令電流値Iq*を各々制御させることにより、3相同期ブラシレスモータ300のV/F制御または同期運転制御(ベクトル制御)を実現させる。
指令電流生成部514の後段に配された減算器では、d軸指令電流値Id*及びq軸指令電流値Iq*が入力され、差分値δId*及び差分値δIq*に各々変換される。
d軸指令値演算部515では、差分値δId*に基づいてPI制御又はPID制御を実施させ、当該差分値δId*を零に収束させるようなd軸指令電圧Vd*を算出させる。 同様に、q軸指令値演算部516では、差分値δIq*に基づいてPI制御又はPID制御を実施させ、差分値δIq*を零に収束させるようなq軸指令電圧Vq*を算出させる。
かかる如く得られたd軸指令電圧Vd*及びq軸指令電圧Vq*は、後段の指令値換算部517によって数値換算処理され、U相〜W相に対応した指令電圧(Vu*、Vv*、Vw*)を出力させる。尚、当該指令電圧(Vu*、Vv*、Vw*)は、位相情報θ#を反映させた三角関数で表現される値である。
次に、PWM信号成形部520について説明する。当該PWM信号成形部520は、図8に示す如く、適宜に設定された搬送波W1を生成する。かかる搬送波W1は、インバータ回路から可聴領域の周波数が発せられないように、高い周波数帯に設定される。その後、PWM信号成形部520は、図8の上段に示す如く、当該搬送波W1と入力された指令電圧(Vu*、Vv*、Vw*)とを比較させ、同図中段に示されるPWM信号を生成し、当該PWM信号をインバータ回路200へ出力させる。
即ち、かかる構成を具備する制御回路500では、図8の下段に示される2相分の情報を具備する入力電流値Ii$を検出すると、当該入力電流値Ii$に基づいて3相復元電流値(Iu$,Iv$,Iw$)を算出し、その後、当該電流値に基づいてd軸検出電流値Id$及びq軸検出電流値Iq$を算出させる。そして、当該制御回路500では、各種演算処理にて算出されたパラメータ(Id*、Iq*、Id$、Iq$、θ#)に基づいて指令電圧(Vu*、Vv*、Vw*)を生成出力させ、かかる後、搬送波W1と指令電圧(Vu*、Vv*、Vw*)とを比較させることにより、図8中段に示されるPWM信号を生成出力させる。
そして、制御回路500では、下アーム側バスラインに新たな電流を繰り返し検出することで、所謂フィードバック制御を実現させる。
図6には、相電流復元部511aに係る機能ブロックが示されている。かかる相電流復元部511aは、電流値情報格納部a1と推定電流演算部a2と復元相電流値算出部a3とから構成されている。
電流値情報格納部a1は、メモリ回路の所定の領域に、前回d軸検出電流格納部a11及び前回q軸検出電流格納部a12が割り当てられる。そして、前回d軸検出電流格納部a11には、d軸検出電流値Id$を新規に算出して得た更新d軸検出電流値情報Id$$が保持される。また、前回q軸検出電流格納部a12には、q軸検出電流値Iq$を新規に算出して得た更新q軸検出電流値情報Iq$$が保持される。かかる双方の電流値情報は、検出電流の算出処理毎に更新される電流値情報である。本実施例において、更新d軸検出電流値情報Id$$は、特許請求の範囲における更新d軸電流を指し、入力値算出部511で行われるd軸検出電流値Id$の算出処理毎に順次更新される電流値である。また、更新q軸検出電流値情報Iq$$は、特許請求の範囲における更新q軸電流を指し、入力値算出部511で行われるq軸検出電流値Iq$の算出処理毎に順次更新される電流値である。
本実施の形態に係る推定電流演算部a2は、2相分の推定電流演算部によって構成される。同図では、u相推定電流演算部a21とw相推定電流演算部a22とが算出される場面が示されているが、これに限られることは無い。例えば、v相の推定電流値とw相の推定電流値とが必要な場合には、当該2相分の推定電流演算部によって、v相の推定電流値とw相の推定電流値とが算出されることとなる。尚、これら双方の演算部には、逐次更新された位相情報θ#が入力されている(図5参照)。
u相推定電流演算部a21には、上述した位相情報θ#と、更新d軸検出電流値情報Id$$と、更新q軸検出電流値情報Iq$$とが入力される。そして、u相推定電流演算部a21では、これらの入力値に基づいて「数1」の演算を実施させ、u相に相当する推定電流値Icu$を出力させる。尚、u相推定電流演算部a21には、最新の電流値情報Id$$、Iq$$を入力させるのが好ましい。
Figure 2010239834
w相推定電流演算部a22には、上述した位相情報θ#と、更新d軸検出電流値情報Id$$と、更新q軸検出電流値情報Iq$$とが入力される。そして、w相推定電流演算部a22では、これらの入力値に基づいて「数2」の演算を実施させ、w相に相当する推定電流値Icw$を出力させる。尚、上述同様、w相推定電流演算部a22には、最新の電流値情報Id$$及びIq$$を入力させるのが好ましい。
Figure 2010239834
かかる如く、推定電流値(Icu$,Icw$)は、回転子302の現在位置を現す位相情報θ#が反映されるので、実際の入力電流値を検出できなくても、実際の入力電流値Ii$(ここでは、u相及びw相に相当する電流値)に限りなく近い電流値が算出される。また、更新d軸検出電流値情報及び更新q軸検出電流値は、最新の記録値が用いられることにより、より現実の入力電流値に近い値の推定電流値を再現させる。
本実施の形態に係る復元相電流値算出部a3は、図示の如く、u相電流値算定部a31とw相電流値算定部a32とv相電流値算定部a33とから構成される。当該復元相電流値算出部a3は、図示される構成の他に、入力電流値Ii$の各成分が適正であるか否かの判定を行う。ここで、入力電流値Ii$の各成分とは、3相同期ブラシレスモータに流れる相電流のうち2相分の電流値を指し、当該2相分の電流値は、図8の下段に示す如く、段差状の波形を成して現われる。例えば、入力電流値Ii$にu相電流とw相電流との電流波形が重畳される場合、入力電流値Ii$の各成分とは、u相の入力電流値Iiu$と、w相の入力電流値Iiw$とを指す。
かかる判定処理は、PWM信号の切換エッジの間隔に基づいて行われ、当該エッジ間隔が所定閾値より大きい場合に入力電流値Ii$が適正であると判定し、当該エッジ間隔が閾値時間より小さい場合に入力電流値Ii$が不適正であると判定する。
具体的には、図8下段に示す如く、制御回路500に入力電流値Ii$が入力されると、復元相電流値算出部a3では、先ず、切換エッジ(イ)と切換エッジ(ロ)との間隔Aを計測し、当該間隔Aが閾値時間より大きい場合、u相の電流値Iiu1$が適正であると判定し、当該間隔Aが閾値時間より小さい場合、u相の電流値Iiu1$が不適正であると判定する。また、切換エッジ(ロ)と切換エッジ(ハ)との間隔Bを計測し、当該間隔Bが閾値時間より大きい場合、w相の電流値Iiw1$が適正であると判定し、当該間隔Bが閾値時間より小さい場合、w相の電流値Iiw1$が不適正であると判定する。更に後段に現われるu相の電流値Iiu2$及びw相の電流値Iiw2$についても同様の処理を行っても良い。
ここで、u相電流値算定部a31へ入力されるu相の電流値情報Iiu$は、かかる如く検出されたu相の電流値情報Iiu1$又はu相の電流値情報Iiu2$の何れか一方の値が採用されることとしても良い。また、当該u相の電流値情報Iiu$は、u相の電流値情報Iiu1$及びu相の電流値情報Iiu2$の平均値として求められるようにしても良い。尚、w相の電流値情報Iiw$の算出法についても同様である。
u相電流値算定部a31は、電流検出回路400で検知された入力電流のうちu相に相当する入力電流値Iiu$と、推定電流値のうちu相に相当する電流値Icu$が入力される。かかるu相電流値算定部a31では、入力電流値Iiu$が適正な電流値であると判断された場合、入力電流値Iiu$を出力させ、入力電流値Iiu$が不適正な電流値であると判断された場合、u相に相当する推定電流値Icu$を出力させる。即ち、u相電流値算定部a31からは、入力電流値Iiu$又は推定電流値Icu$の何れかによって定まるu相の復元相電流Iu$を出力させる。
w相電流値算定部a32は、電流検出回路400で検知された入力電流のうちw相に相当する入力電流値Iiw$と、推定電流値のうちw相に相当する電流値Icw$が入力される。かかるw相電流値算定部a32では、入力電流値Iiw$が適正な電流値であると判断された場合、入力電流値Iiw$を出力させ、入力電流値Iiw$が不適正な電流値であると判断された場合、w相に相当する推定電流値Icw$を出力させる。即ち、w相電流値算定部a32からは、入力電流値Iiw$又は推定電流値Icw$の何れかによって定まるw相の復元相電流Iw$を出力させる。
尚、u相の復元相電流Iu$は、一方がステータ座標変換部511bへ出力され、他方がv相電流値算定部a33へ出力される。また、w相の復元相電流Iw$は、一方がステータ座標変換部511bへ出力され、他方がw相電流値算定部a33へ出力される。
v相電流値算定部a33には、u相の復元相電流値Iu$及びw相の復元相電流値Iw$が入力される。かかるv相電流値算定部a33では、これらの入力値に基づいて「数3」の演算を実施させ、v相に相当する復元電流値Iv$を出力させる。
Figure 2010239834
即ち、かかる構成を具備する復元相電流値算出部511aでは、入力電流値Iiu$、Iiw$が入力されると、これに同期して、推定電流値Icu$、Icw$を算出させる。その後、復元相電流値算出部511aでは、入力電流値及び/又は推定電流値を組合わせて3相分の復元相電流値を算出させ、復元相電流値(Iu$,Iv$,Iw$)をステータ座標変換部511bへと出力させる。また、かかる復元相電流値算出部511aでは、復元相電流の電流値(Iu$,Iv$,Iw$)に基づき、ステータ座標変換部511b及びローター座標変換部511cを介して、d軸検出電流値Id$及びq軸検出電流値Iq$を各々算出させる。
尚、本実施の形態では、推定電流演算部a2で2相分の推定電流値を算出することとしているが、これに限定することはない。例えば、推定電流演算部a2をu相推定電流演算部とv相推定電流演算部とw相推定電流演算部とから構成させ、v相電流値算定部a33では、v相推定電流演算部の出力値のみに基づいて復元相電流Iv$を算出させるようにしても良い。
上述の如く、本実施の形態に係る制御回路500によると、検出された入力電流値Ii$が不適正な電流値であっても、推定電流値算出部a2によって実際の入力電流値Ii$に近い推定電流値が用いられるので、これに応じて、実際の値に近い検出電流が算出され、適正なPWM信号が生成される。
また、本実施の形態に係る同期モータ制御装置1000によると、制御回路500によって適正なPWM信号が生成されるので、指令角速度ω*に対する制御応答が良くなり、良好なフィードバック制御が実現される。
図7には、上述した機能を実現させるためのプログラムによる処理がフローチャートによって示されている。かかるプログラム処理は、搬送波W1の1周期毎に起動さる。図示の如く、当該プログラムの処理が起動されると、先ず、位置情報θ#の認識処理を実行させる(S01)。
その後、制御回路500を構成するマイコンでは、PWM信号の切換エッジを監視し、切換エッジを基点として所定のADタイミングで入力電流値を検出することにより、入力電流で現われる第1相に対応する第1相入力電流値と第2相に対応する第2相入力電流値とを検出する(S02)。ここで、第1相がu相に相当し第2相がw相に相当する場合、図8に示す如く、第1相入力電流値がu相の入力電流値Iiu$に相当し、第2相入力電流値がw相の入力電流値Iiw$に相当する。
かかる処理の後、検出した第1相入力電流値と第2相入力電流値とが各々適性値であるか否かを判定する(S03)。ここの処理S03では、図8の切換エッジの間隔が適正間隔であるか否かによって、これらの電流値の適否判定を各々行う。
かかる処理の後、処理S03における判定結果に基づいて、第1の算出処理、第2の算出処理、第3の算出処理のうち何れか1つの処理が択一的に実施される。
仮に、処理S03における判定結果が第1相入力電流値及び第2相入力電流値ともに適正であるとする場合、第1の算出処理(S11→S41)を実施させる。かかる第1の算出処理では、第1相入力電流値及び第2相入力電流値を用いて、入力電流に現われない第3相入力電流値を算出させる(S11)。その後、第1相入力電流値〜第3相入力電流値を用いて、即ち、復元相電流の各々の電流値を用いて、d軸検出電流の電流値及びq軸検出電流の電流値を算出させ(S41)、処理S41にて算出された電流値を、バッファ回路又はCPUの適宜な演算処理部等へ出力させる。
即ち、第1の算出処理では、入力電流値の双方が実際に検出された値とされるので、当該第1の算出処理にて求められたd軸検出電流の電流値Id$及びq軸検出電流の電流値Iq$は、実際の復元相電流に対応した電流値とされる。
また、仮に、処理S03における判定結果が第1相入力電流値のみが適正であるとする場合、第2の算出処理(S21→S41)を実施させる。かかる第2の算出処理では、先ず、推定電流値のうち第2相に対応する電流値を算出させ(S21)、その後、第1相入力電流値と第2相の推定電流値とを用いて、入力電流に現われない第3相入力電流値を算出させる(S22)。そして、入力値算出部511では、これらの電流値を用いて、d軸検出電流及びq軸検出電流を算出させ(S41)、処理S41にて算出された電流値を、適宜な処理部へと出力させる。尚、処理S03における判定結果が第2相入力電流値のみが適正であるとする場合、上述同様、第2の算出処理(S21→S41)を実施させる。この場合、第2の算出処理では、推定電流値のうち第1相に対応する電流値を算出させ(S21)、入力電流値と推定電流値とを用いて、d軸検出電流とq軸検出電流とを算出させる。
即ち、第2の算出処理では、復元相電流の電流値成分について、実際の検出値ではない推定電流値が含まれることとなる。しかし、かかる電流値成分は実際の入力電流値に近い値が算出されるので、復元相電流の電流値成分は、実際に現われた電流値成分と実際の電流値に近い電流値成分とによって構成されることとなる。
尚、かかる第2の算出処理では、電流値情報格納部a1へ記録された更新d軸検出電流に関する最新の電流値情報Id$$’と更新q軸検出電流に関する最新の電流値情報Iq$$’とを読み込むロード処理と、当該ロード処理で読み込まれた双方の電流値情報Id$$’及びIq$$’と位相情報θ#とに基づいて推定電流値を算出させる推定電流値算出処理とを実行させるのが好ましい。
これにより、次回の推定電流値情報を算出させる場合、当該電流値情報格納部a1から最新の更新d軸検出電流及び最新の更新q軸検出電流が利用されるので、入力電流値を検出することができなかった場合でも、実際に発生した入力電流値に最も近い、精度の高い復元相電流の再現が可能となる。
更に、仮に、処理S03における判定結果が第1相入力電流値及び第2相入力電流値ともに不適正であるとする場合、第3の算出処理(S31→S41)を実施させる。かかる第3の算出処理では、先ず、第1相に対応する推定電流値と第2相に対応する推定電流値とを算出させ(S31)、その後、第1相の推定電流値と第2相の推定電流値とを用いて、入力電流に現われない第3相入力電流値を算出させる(S32)。そして、相電流算出部a3では、これらの電流値を用いて、d軸検出電流及びq軸検出電流の電流値を算出させ(S41)、処理S41にて算出された電流値を、適宜な処理部へと出力させる。
即ち、第3の算出処理では、復元相電流値の全成分が推定電流値によって算出される。しかし、かかる推定電流値は実際の入力電流値に近い値が算出されるため、復元相電流値は、実際に現われる電流値に近いものとされる。
尚、かかる第3の算出処理にあっても、電流値情報格納部a1へ記録された更新d軸検出電流に関する最新の電流値情報Id$$’と更新q軸検出電流に関する最新の電流値情報Iq$$’とを読み込むロード処理と、当該ロード処理で読み込まれた双方の電流値情報Id$$’及びIq$$’と位相情報θ#とに基づいて推定電流値を算出させる推定電流値算出処理とを実行させるのが好ましい。
これにより、入力電流値を検出することができなかった場合でも、実際に発生した入力電流値に最も近い、精度の高い復元相電流の再現が可能となる。
かかる処理後、d軸検出電流を新規に算出して得た更新d軸検出電流の電流値情報とq軸検出電流を新規に算出して得た更新q軸検出電流の電流値情報とを電流値情報格納部a1へ保存させ(S42)、更に後、入力値演算511で算出されたd軸検出電流の電流値情報とq軸検出電流の電流値情報とを適宜の処理部へと出力させる(S43)。
かかる処理を設けることにより、次回のプログラム起動時に、更新d軸検出電流及び更新q軸検出電流の最新の電流値情報を参照することが可能となる。
尚、特許請求の範囲における更新d軸電流の電流値情報の用語の意義は、本実施の形態に係る更新d軸検出電流の電流値情報に限定されるものでなく、更新d軸指令電流の電流値情報にも拡張される。かかる更新d軸指令電流の電流値情報は、指令電流生成部514から出力されるd軸指令電流の電流値Id*であって、電流値格納部a1に格納される情報を指す。同様に、特許請求の範囲における更新q軸電流の電流値情報の用語の意義は、本実施の形態に係る更新q軸検出電流の電流値情報に限定されるものでなく、更新q軸指令電流の電流値情報にも拡張される。かかる更新q軸指令電流の電流値情報は、指令電流生成部514から出力されるq軸指令電流の電流値Iq*であって、電流値格納部a1に格納される情報を指す。これら双方の電流値情報は、電流ベクトルの算出処理毎に新たに更新される値である。
かかる場合、推定電流値は、更新d軸指令電流の電流値情報と更新q軸指令電流の電流値情報とに基づいて算出されることとなる。そして、入力値算出部511では、上述同様、3相分の復元相電流に基づいてd軸検出電流及びq軸検出電流の電流値を算出させる。
1000 同期モータ制御装置
100 電源回路
200 インバータ回路
400 電流検出回路
500 同期モータ用インバータ制御回路
514 指令電流生成部
511 入力値算出部
a1 電流値情報格納部
a2 推定電流値算出部
a3 復元相電流値算出部
512 角速度推定部
513 位相情報演算部

Claims (7)

  1. 電流ベクトルを制御させる指令電流生成部と、3相同期ブラシレスモータに流れる相電流の電流値うち2相分の電流値が入力電流値として各々入力され且つ当該入力電流値に基づいてd軸検出電流値及びq軸検出電流値を各々算出させる入力値算出部と、前記3相同期ブラシレスモータの回転子の角速度を推定する角速度推定部と、前記角速度推定部で算出された推定角速度に基づき位相情報を算出させる位相情報演算部とを備え、前記電流ベクトルの電流成分及び前記d軸検出電流値及び前記q軸検出電流値及び前記位相情報に基づいてPWM信号を出力させる同期モータ用インバータ制御回路において、
    前記入力値算出部は、更新d軸電流値情報及び更新q軸電流値情報を保持する電流値情報格納部と、前記更新d軸電流値情報及び前記更新q軸電流値情報及び前記位相情報に基づいて少なくとも2相分の推定電流値を算出させる推定電流値算出部と、前記入力電流値及び/又は前記推定電流値を適宜に組合わせて3相分の復元相電流値を算出させる復元相電流値算出部とを備え、前記復元相電流値に基づいて前記d軸検出電流値及び前記q軸検出電流値を算出させることを特徴とする同期モータ用インバータ制御回路。
  2. 前記更新d軸電流値情報は、前記d軸検出電流値の算出処理毎に更新される電流値情報とされ、
    前記更新q軸電流値情報は、前記q軸検出電流値の算出処理毎に更新される電流値情報とされることを特徴とする請求項1に記載の同期モータ用インバータ制御回路。
  3. 前記更新d軸電流値情報は、前記電流ベクトルのうちd軸指令電流値の算出処理毎に更新される電流値情報とされ、
    前記更新q軸電流値情報は、前記電流ベクトルのうちq軸指令電流値の算出処理毎に更新される電流値情報とされることを特徴とする請求項1に記載の同期モータ用インバータ制御回路。
  4. 前記入力値算出部は、プログラムによって規定された処理を実現させる適宜な回路から成り、
    前記プログラムは、前記更新d軸電流値情報と前記更新q軸電流値情報とを前記電流値情報格納部へ保存させる処理を実行させることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の同期モータ用インバータ制御回路。
  5. 前記プログラムは、更に、
    前記入力電流値で現われる第1相に対応する第1相入力電流値及び第2相に対応する第2相入力電流値が各々適正値であるか否かを判定する判定処理を実行させた後、
    前記判定処理にて前記第1相入力電流値及び前記第2相入力電流値の双方が適正であると判定された場合、前記第1相入力電流値及び前記第2相入力電流値を用いて前記d軸検出電流値及び前記q軸検出電流値を算出させる第1の算出処理と、
    前記判定処理にて前記第1相入力電流値のみが適正であると判定された場合、当該第1相入力電流値と前記推定電流のうち第2相に対応する第2相推定電流値とを用いて前記d軸検出電流値及び前記q軸検出電流値を算出し、前記判定処理にて前記第2相入力電流値のみが適正であると判定された場合、当該第2相入力電流値と前記推定電流値のうち第1相に対応する第1相推定電流値とを用いて前記d軸検出電流値及び前記q軸検出電流値を算出させる第2の算出処理と、
    前記判定処理にて前記第1相入力電流値及び前記第2相入力電流値の双方が不適正であると判定された場合、前記第1相推定電流値及び前記第2相推定電流値を用いて前記d軸検出電流値及び前記q軸検出電流値を算出させる第3の算出処理と、
    のうち何れか1つの処理を択一的に実行させることを特徴とする請求項4に記載の同期モータ用インバータ制御回路。
  6. 前記第2の算出処理又は前記第3の算出処理では、前記更新d軸電流に関する最新の電流値情報と前記更新q軸電流に関する最新の電流値情報とを前記電流値情報格納部から読み込むロード処理と、前記ロード処理で読み込まれた双方の電流値情報と前記位相情報とに基づいて前記推定電流値を算出させる推定電流値算出処理とを実行させることを特徴とする請求項5に記載の同期モータ用インバータ制御回路。
  7. 電力を供給する電源回路と、前記電源回路から電力を受け前記3相同期ブラシレスモータを駆動させるインバータ回路と、前記入力電流値を検知する電流検出回路と、請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の同期モータ用インバータ制御回路とを備えることを特徴とする同期モータ制御装置。
JP2009087524A 2009-03-31 2009-03-31 同期モータ用インバータ制御回路及びこれを備える同期モータ制御装置 Pending JP2010239834A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009087524A JP2010239834A (ja) 2009-03-31 2009-03-31 同期モータ用インバータ制御回路及びこれを備える同期モータ制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009087524A JP2010239834A (ja) 2009-03-31 2009-03-31 同期モータ用インバータ制御回路及びこれを備える同期モータ制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010239834A true JP2010239834A (ja) 2010-10-21

Family

ID=43093666

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009087524A Pending JP2010239834A (ja) 2009-03-31 2009-03-31 同期モータ用インバータ制御回路及びこれを備える同期モータ制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010239834A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018050426A (ja) * 2016-09-23 2018-03-29 ダイキン工業株式会社 電力変換装置
JP2018050425A (ja) * 2016-09-23 2018-03-29 ダイキン工業株式会社 電力変換装置
US10008854B2 (en) 2015-02-19 2018-06-26 Enphase Energy, Inc. Method and apparatus for time-domain droop control with integrated phasor current control

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10008854B2 (en) 2015-02-19 2018-06-26 Enphase Energy, Inc. Method and apparatus for time-domain droop control with integrated phasor current control
US10951037B2 (en) 2015-02-19 2021-03-16 Enphase Energy, Inc. Method and apparatus for time-domain droop control with integrated phasor current control
US11355936B2 (en) 2015-02-19 2022-06-07 Enphase Energy, Inc. Method and apparatus for time-domain droop control with integrated phasor current control
JP2018050426A (ja) * 2016-09-23 2018-03-29 ダイキン工業株式会社 電力変換装置
JP2018050425A (ja) * 2016-09-23 2018-03-29 ダイキン工業株式会社 電力変換装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4631672B2 (ja) 磁極位置推定方法、モータ速度推定方法及びモータ制御装置
US20070296371A1 (en) Position sensorless control apparatus for synchronous motor
JP5271409B2 (ja) 回転電機の制御装置
JP6419361B2 (ja) 電力変換装置及び回転電機駆動装置
JP4771998B2 (ja) 電動機の駆動装置
JP2010246260A (ja) モータ制御装置およびモータ制御方法
JP4722002B2 (ja) Pwmインバータ制御装置及びpwmインバータ制御方法並びに冷凍空調装置
JP5615671B2 (ja) モータ制御装置およびモータ制御システム
JP6685452B1 (ja) 回転電機の制御装置
JP5510628B2 (ja) 同期モータ用インバータ制御回路及びこれを備える同期モータ制御装置
JP2002051580A (ja) 同期モータの位置センサレス制御方法および位置センサレス制御装置。
JP2000175483A (ja) 同期電動機のセンサレス制御方法及びその装置
JP2019208329A (ja) センサレスベクトル制御装置及びセンサレスベクトル制御方法
JP2010063221A (ja) モータ制御装置
JP6407175B2 (ja) 電力変換器制御装置
JP2010239834A (ja) 同期モータ用インバータ制御回路及びこれを備える同期モータ制御装置
JP2022066914A (ja) モータ駆動制御装置およびモータ駆動制御方法
JP2015139360A (ja) モータ制御装置
WO2021200389A1 (ja) モータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法
JP6116449B2 (ja) 電動機駆動制御装置
JP2005045990A (ja) 速度起電力検出装置及び方法、並びにインバータ制御装置等
JP2012090429A (ja) モータ駆動装置
US10491144B2 (en) Magnetic pole position detection device and motor control device
JP6318653B2 (ja) モータ制御装置
JP6494809B2 (ja) インバータ制御装置