JPWO2017130830A1 - 溶接接合部およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

溶接金属の引張強度が鋼材の引張強度より低い場合(アンダーマッチ)でも溶接接合部強度を確保し、脆性的な破断を防止できる溶接接合部を提供する。両鋼材とそれらの接合部に溶接金属を備え、かつ、少なくとも一方の面は前記両鋼材の表面に肉盛りした余盛を備える溶接接合部であって、前記鋼材の表面に肉盛りした余盛である各補強ビードの幅が鋼材表面端部の余盛厚さ以上であり、各補強ビード止端部のフランク角が145°以上170°以下であり、前記溶接金属の引張強度が前記各鋼材の引張強度より小さく、特定式の条件を満たす。

Description

本発明は、溶接接合部に関わる。より具体的には、鉄骨構造の溶接接合部に関わる。
鋼材どうしを溶接接合した溶接接合部において、溶接金属の引張強度が鋼材の引張強度規格下限値を上回るような溶接施工を行った継手(溶接接合部)とするのが一般的である(オーバーマッチ)。これは、溶接部の溶接金属の引張強度を溶接される鋼材より強くすることで、溶接部での早期破断を防止し、所定の設計強度を十分満足させるためである。このような発明として、下記特許文献1の発明が提案されている。
近年、高強度鋼材が開発され使用されるようになっている。高強度鋼材を使用し、該鋼材の引張強度に対してオーバーマッチとなるような溶接施工を行うには、溶接条件の管理が難しく、施工効率も著しく低下する。また、引張強度780MPa以上といった超高強度鋼材に対しては、安心して使える溶接材料が乏しく、その入手も困難なのが現状である。
高強度鋼材を使用した場合のこれらの問題に関し、隅肉溶接では、下記特許文献2、3の発明が提案されている。
特許第3752616号公報 特開2013−139047号公報 特開2014−8515号公報
しかし、特許文献2、3に記載の発明では、形状的に補強盛溶接金属の止端部に応力集中が発生しやすいため引張応力が作用した場合に脆性的な破断が発生する可能性が高いという問題がある。
なお、高強度鋼材の溶接部では、低入熱での溶接施工により溶け込み量が小さくなりやすい。また、特許文献2のような補強盛溶接金属がガスシールドアーク溶接にて1溶接ビードで形成される場合には前記止端部近傍の母材熱影響部の靱性低下が生じる等の問題も発生し、溶接部での早期脆性的破断が懸念される。
本発明は、溶接金属の引張強度が鋼材の引張強度より低い場合(アンダーマッチ)でも溶接接合部強度を確保し、脆性的な破断を防止できる溶接接合部を提供することを目的とする。
本発明は、前記問題を解決するために、1)溶接部よりも鋼材での破断が先行するように溶接部強度(=余盛と鋼材板厚と裏面溶け込み深さ等の総厚さ×溶接金属強度)が鋼材強度(=板厚×鋼材応力)を上回るような余盛を設ける、2)鋼材破断がより確実に先行するように所定の幅の補強ビードを鋼材表面に設ける、3)補強ビード止端部での脆性的破断を防止するため前記補強ビード止端部のフランク角が所定の値である、等の工夫をしたものである。
上記工夫により、1)溶接金属は鋼材より低引張強度であっても、十分な強度となる、2)補強ビード止端部の応力・ひずみ集中を低減できる、3)超高強度鋼材に対しても施工条件を緩和(オーバーマッチ溶接の場合の余熱を低減する、大入熱溶接を可能として溶接工程を簡略化する)し継手耐力を確保できる、等の効果が得られる。
本発明者らは以上の知見に基づいて更に検討を重ねて本発明を完成した。本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]両鋼材とそれらの接合部に溶接金属を備え、かつ、少なくとも一方の面は前記両鋼材の表面に肉盛りした余盛を備える溶接接合部であって、前記鋼材の表面に肉盛りした余盛である各補強ビードの幅が鋼材表面端部の余盛厚さ以上であり、各補強ビード止端部のフランク角θが145°〜170°であり、前記溶接金属の引張強度が前記各鋼材の引張強度より小さく、下記式(1)の条件を満たす、溶接接合部。
式(1)において、aは余盛の最大厚さ(mm)、tは鋼材の厚さ(mm)、σuwは溶接金属の引張強度(MPa)、αは安全率(単位なし)であって1.01〜1.20により定める値、Tslは鋼材の引張強度(MPa)である。dは0以上であって、両表面に余盛がある場合は他の余盛の最大厚さ(mm)である。
[2]αは安全率(単位なし)であって1.03〜1.20により定める値である、[1]に記載の溶接接合部。
[3]前記余盛を備える面とは反対側の面において凹部を有する凹型裏当金を備え、前記式(1)におけるdが該凹型裏当金における充填深さ(mm)である、[1]または[2]に記載の溶接接合部。
[4]前記余盛を備える面とは反対側の面において裏当金を備え、該裏当金が溶け込み部を有し、前記式(1)におけるdが該溶け込み部における溶け込み深さ(mm)である、[1]または[2]に記載の溶接接合部。
[5]前記鋼材の少なくとも一方はベベル角度φが15°〜35°の開先を有する[1]〜[4]のいずれかに記載の溶接接合部。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の溶接接合部の製造方法であって、両鋼材のルートギャップに溶接金属を形成し、さらに少なくとも一方の面は前記両鋼材の表面に肉盛りした余盛を形成する、溶接接合部の製造方法。
[7]前記ルートギャップに裏当金又は凹型裏当金を備えて溶接を行う、[6]に記載の溶接接合部の製造方法。
本発明により、高強度鋼材を使用したアンダーマッチ溶接接合部での溶接接合部強度を確保し、脆性的な破断が防止でき、溶接施工条件の緩和が可能な溶接接合部を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態を説明する概略図である。 図2は、溶接接合部の寸法等を説明する概略図である。 図3は、溶接接合部の寸法等を説明する概略図である。 図4は、補強ビード止端部のフランク角と応力集中係数の関係を示す図面である。 図5は、本発明の一実施形態を説明する概略図である。 図6は、本発明の一実施形態を説明する概略図である。 図7は、本発明の一実施形態を説明する概略図である。 図8は、2次元平面ひずみ要素モデルの一例である。 図9は、フランク角を調べるゲージを説明する概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、溶接金属の引張強度が鋼材の引張強度よりも小さい、アンダーマッチの溶接接合部である。本発明は、従来適用し難かった高強度の鋼材にも適用することができ、さらには、鋼材と溶接金属の引張強度差が大きいものについても適用することができる。具体的には、本発明においては、鋼材の引張強度が、600〜900MPaの高強度のものに好ましく適用可能であり、鋼材の引張強度はさらに好ましくは600〜800MPaである。また、溶接金属の引張強度は、例えば550MPa以上であり、また、上限は例えば800MPaである。溶接施工性の観点等から、溶接金属の引張強度は、現実的には例えば550〜700MPaである。また、本発明においては、鋼材と溶接金属の引張強度差を200MPa超とすることもできる。勿論、鋼材と溶接金属の引張強度差が200MPa以下のものに適用することもできる。鋼材と溶接金属の引張強度差は、好ましくは250MPa以下である。なお、本発明において、鋼材の引張強度はJIS Z 2241金属材料引張試験方法に従い求める。溶接金属の引張強度は、JIS Z 3111 A0号試験片、A1号試験片またはA2号試験片を用い、JIS Z 2241金属材料引張試験方法に従い求める。
図1は、突合せ溶接における溶接接合部の断面概略図であり、本発明の一実施形態を説明する概略図である。図1に示すように、本発明の溶接接合部は、突合せ溶接によるものであって、母材(鋼材)の全厚にわたって溶け込ませる完全溶け込み溶接によるものである。図1に示された溶接接合部は左右でほぼ対称の形状を有している。以下、本発明の説明では溶接熱影響部の図示は省略してある。
溶接接合部(溶接継手)1は、両鋼材4とそれらの接合部に溶接金属3を備える、すなわち、溶接接合部(溶接継手)1は、溶接金属3とその両側の鋼材4を備える。溶接金属3において、点線であらわされた幅(鋼材4の最も溶接金属部3側どうしの間)の領域は幅方向中心部2である。鋼材4どうしのルートギャプ部に裏当金6を備えた状態で溶接を行うことで、このような溶接接合部を得ることができる。なお、「裏当金」は、溶接前は溶接される鋼材側の表面に凹部を有さない平板(例えば平鋼)であり、溶接によって一部が溶けて図1のように凹部を有する形状になる。
図1上側の面は、最大厚さaの余盛を有し、両鋼材4の表面にも肉盛りした余盛(補強ビード5)を備えている。鋼材表面端部の余盛厚さは両矢印9で示してある。また、鋼材表面端部から溶接止端部8までが補強ビードの幅である。溶接止端部8のフランク角はθ、鋼材4における開先部のベベル角度はφで示した。余盛を備える面とは反対側の面には裏当金6が備えられ、該裏当金は深さdの溶け込み部7を有する。
図2により、幅方向中心部2上の余盛、鋼材表面端部の余盛、補強ビード幅について、好ましい実施形態を更に説明する。図2では、横軸をXとし、幅方向中心部2の中央がX=0である。Xは開先の先端位置、Xは鋼材表面端部位置、Xは補強ビード止端部位置である。
図2におけるaは余盛の最大厚さであり、幅方向中心部2上(幅方向中心部2真上)において余盛が最大厚さとなることが好ましい。なお、溶接部よりも鋼材での破断を先行させる観点から、本発明の溶接接合部は下記式(1)の条件を満たす。また、各補強ビードの幅が鋼材表面端部の余盛厚さ以上としてある。
式(1)において、aは余盛の最大厚さ(mm)、tは鋼材の厚さ(mm)、σuwは溶接金属の引張強度(MPa)、αは安全率(単位なし)であって1.01〜1.20により定める値、Tslは鋼材の引張強度(MPa)である。dは0以上であって、両表面に余盛がある場合は他の余盛の最大厚さ(mm)である。すなわち、dは鋼材の裏面の余盛の最大厚さ(mm)(裏面に裏当金を設ける場合は、裏当金の溶け込み深さ)であり、裏面に余盛が無い場合は0である。図1においては、dは溶け込み部における溶け込み深さ(mm)である。なお、裏当金を備えない、裏当金において溶け込み部が無い場合は、d=0としてよい。また、式(1)において、αは安全率(単位なし)であって1.03〜1.20により定める値であることが好ましい。このようにαが1.03〜1.20であると、本発明の効果、すなわち、高強度鋼材を使用したアンダーマッチ溶接接合部での溶接接合部強度を確保し、脆性的な破断が防止でき、溶接施工条件の緩和が可能な溶接接合部を提供できるという効果を、より確実に発揮することができる。
図2において、X位置における余盛厚さが鋼材表面端部の余盛厚さである。図2におけるX〜X間の任意の位置における開先部余盛aは下記式(2)の条件を満たすことが好ましい。
ここで、tは鋼材の厚さ(mm)、tは開先部の鋼材の厚さ(mm)、σuwは溶接金属の引張強度(MPa)、αは安全率(単位なし)であって1.01〜1.20により定める値、Tslは鋼材の引張強度(MPa)である。式(2)において、αは安全率(単位なし)であって1.03〜1.20により定める値であることが好ましい。このようにαが1.03〜1.20であると、本発明の効果をより確実に発揮することができる。
図2におけるX−Xは補強ビードの幅(mm)である。補強ビードの幅は下記式(3)の条件を満たすことが好ましい。
なお、上記式(3)において、ax2は鋼材表面端部の余盛厚さ(mm)、θはフランク角である。
図3は、溶接接合部の寸法等を説明する概略図であり、本発明の実施形態について、複数の板厚での余盛高さ(厚さ)と幅方向中心部の中央からの距離の関係をあらわすグラフである。条件は以下の通り。なお、図3のグラフは以下条件にて式(1)〜(3)により求めた。
・幅方向中心部2の幅方向距離(各鋼材の最も溶接金属部側どうしの間隔)=7.0mm、ベベル角度φ=35°、フランク角θ=150°、鋼材の厚さ=25〜50mm、d=0mm
・鋼材引張強さ規格下限値Tsl=780MPa、溶接金属引張強度σuw=650MPa
・安全率α=1.1
図3に示すように、上述のとおり、幅方向中心部(図3における0〜X)のいずれかにおいて余盛高さは最大となることが好ましい。幅方向中心部の余盛高さ(余盛の最大厚さa)は、t=25mmのときに8.0mm、t=28mmのときに9.0mm、t=32mmのときに10.2mm、t=36mmのときに11.5mm、t=40mmのときに12.8mm、t=45mmのときに14.4mm、t=50mmのときに16.0mm、である。
鋼材表面端部(図3におけるX)における余盛高さ(鋼材表面端部の余盛の厚さax2)は、t=25mmのときに3.0mm、t=28mmのときに3.4mm、t=32mmのときに3.8mm、t=36mmのときに4.3mm、t=40mmのときに4.8mm、t=45mmのときに5.4mm、t=50mmのときに6.0mm、である。
幅方向中心部の中央から補強ビード止端部までの距離は、t=25mmのときに26.2mm、t=28mmのときに28.9mm、t=32mmのときに32.6mm、t=36mmのときに36.2mm、t=40mmのときに39.8mm、t=45mmのときに44.4mm、t=50mmのときに48.9mm、である。
また、補強ビードの幅X−Xは、t=25mmのときに5.2mm、t=28mmのときに5.8mm、t=32mmのときに6.6mm、t=36mmのときに7.5mm、t=40mmのときに8.3mm、t=45mmのときに9.4mm、t=50mmのときに10.4mm、である。
なお、本発明において、溶接部強度確保の観点から余盛高さの最大値(余盛の最大厚さa)は7.0〜20.0mmが好ましく、15mm〜20mmとすることがより好ましい。
また、補強ビード止端部での破断防止の観点から鋼材表面端部の余盛厚さax2は2.5〜10mmが好ましく、5mm〜10mmとすることがより好ましい。
また、補強ビード止端部の応力集中緩和の観点から補強ビードの幅X−Xは5.0mm〜50mmとすることが好ましい。
また、補強ビード溶接施工性の観点から鋼材の厚さtは12〜80mmが好ましく、12mm〜60mmとすることがより好ましい。
また、溶接部溶け込み量確保の観点から幅方向中心部の幅方向距離(ルートギャップ)は3.0mm〜10.0mmとすることが好ましい。
次に、フランク角について説明する。本発明において、フランク角はラジアスゲージにより求める。なお、フランク角とは、補強ビード止端部8における補強ビード5の接線と鋼材4表面とのなす角θである。
図1に示す構成を備える溶接接合部について、補強ビード止端部のフランク角と応力集中係数(溶接継ぎ手部材に作用する平均応力の何倍の応力が発生しているか)をFEM弾性塑性解析にて検討した。モデルは、2次元平面ひずみ要素モデルでフランク角を180°から140°まで変化させた解析を行った。図8は要素モデルの一例である。また、解析結果例として、鋼材板厚32mm、鋼材強度780MPa、溶接金属強度700MPaの場合の結果を図4に示す。
これまでの実験からFEM弾性解析での応力集中係数が3以下であれば、実際の溶接接合部では塑性化の影響によりほぼ最大耐力を保持することを確認している。本発明では、やや安全を見て、応力集中係数2.5以下となるようなフランク角θとした。
補強ビード止端部での応力・ひずみ集中を低減して脆性的破断を防止するため、フランク角θは145°以上である。一方、溶接施工性の観点から、フランク角θは170°以下である。フランク角は、好ましくは145°〜160°である。
図1の溶接接合部1において、各鋼材4は片側開先を有している。なし割れ等を防ぐためベベル角度φは15°〜35°であることが好ましい。
図1の溶接接合部1において、下側の面は裏当金6が備えられ、溶接部よりも鋼材での破断を先行させる観点から該裏当金6は深さdの溶け込み部7を有している。深さdは、2mm以上とすることが好ましく、3mm以上とすることがより好ましい。鋼材強度が780MPa以上の場合や、鋼材の厚さ(t)が19mm〜40mmの場合に、板厚に対して過大な余盛を避けるという観点から、深さdを5mm〜10mmとする(深溶け込み部)ことがより好ましい。なお、深溶け込み部を形成する場合は、予め溶接条件を決め、どの程度溶け込むかを確認しておくことが好ましい。なお、溶け込み深さdを考慮し余盛高さを決定する場合には、裏当金6は溶接金属強度確保の観点から、強度590〜780MPaの材料を用いるのが望ましい。
図5は、図1に示した実施形態の変形例を示す概略図である。図5に記載の実施形態では、鋼材の上下側両面において余盛を備えており、各面において上記図1に基づく実施形態と同様の構成を備えている。上記式(1)では、dは溶け込み部における溶け込み深さではなく、余盛の高さ(mm)である。すなわち、上記式(1)では、上下面の余盛高さをそれぞれa、dとする。
以下、更に他の実施形態を説明する。以下の実施形態においても、既に述べた構成を備えることができる。いずれの実施形態についても、図5に示したように、鋼材の上下側両面において余盛を備えてよい。
図6は、本発明の一実施形態を説明する概略図であり、この実施形態では、凹部を有する凹型裏当金6を用いている。前記凹部は幅方向中心部2上に位置していればよい。該凹部内には溶接金属の充填部10がある。凹部(充填部10)の深さdは特に限定されず、5mm〜10mmが好ましい。なお、充填部10の深さ(充填深さ)dと上記溶け込み部の深さdは、いずれも、溶接部よりも鋼材での破断を先行させる観点から設けられる点で共通する。図6に示す実施形態は、溶接施工性の観点から、鋼材強度が780MPa以上の場合や、鋼材の厚さ(t)が40mm〜80mmの場合に、好ましく適用される。
図7は、本発明の一実施形態を説明する概略図である。各鋼材4の厚さが異なり、かつ、一方の鋼材4は開先を備えていないレ型開先である。この場合であっても、両側に補強ビード5を設ける。左側鋼材(厚い方の鋼材)の表面端部の余盛厚さaは右側鋼材(薄い方の鋼材)の表面端部の余盛厚さaX2、両鋼材の厚さt、t(薄いほうの鋼材の厚さがt、厚いほうの鋼材の厚さがt)から求めることができる(a=aX2−(t−t))。左右いずれも、補強ビード5の幅(mm)が鋼材表面端部の余盛厚さ以上である。一方の鋼材が開先を備えない場合、他方の鋼材のベベル角度φは溶接施工性の観点から25°〜35°が好ましい。
なお、図7に示す実施形態では幅方向中心部2における余盛厚さは一義的には決まらない。しかし、左側の鋼材を基準として判断した場合に幅方向中心部2における余盛厚さが余盛厚さa以上であり、かつ、右側の鋼材を基準として判断した場合に幅方向中心部2における余盛厚さが余盛厚さaX2以上であれば、「幅方向中心部2上において余盛が最大」と判断することができる。また、上記式(1)では、薄い方の板厚を採用する。
本発明において、鋼材は適宜選択して使用可能である。例えば、鋼材の組合せとして、鋼板と鋼板、H形鋼のフランジと鋼板の組合せとすることができる。また、UOE鋼管やスパイラル鋼管の溶接接合部として本発明を適用してもよい。
上記本発明の溶接接合部の製造方法、すなわち、形成方法(溶接方法)は特に限定されない。例えば、両鋼材のルートギャップに溶接金属を形成し、さらに少なくとも一方の面は両鋼材の表面に肉盛りした余盛を形成する本発明の溶接接合部の製造方法により、製造することができる。その際、ルートギャップに裏当金又は凹型裏当金を備えて溶接を行うことが好ましい。具体的には、例えば、サブマージアーク溶接により形成可能である。また、入熱量50〜200kJ/cmでの1パスで溶接接合部を形成してもよいし、入熱量10〜40kJ/cmでの2パス以上の複数パスにより溶接接合部を形成してもよい。
溶接継手(溶接接合部)の引張試験を実施した。具体的には、図1に示すように、まず、2枚の同じ鋼板(板厚25mm×幅400mm×長さ200mmの引張強度780MPa級の鋼板)を余盛厚さ目標値が10mm(安全率α=1.1狙い)、8mm(安全率α=1.01狙い)、4mmとなるように突合わせ溶接をし、溶接継手(溶接部材)を得た。そして、試験体として、得られた溶接継手から試験部位が幅75mmとなるように機械加工にて切り出した。得られた試験体のマクロ試験(溶接部の断面を観察する試験)から、試験体No.1〜No.3はいずれも、補強ビード止端部のフランク角θは145°であった。なお、フランク角θについて、図8に示すようなステンレス製のゲージ20を用いることにより、所定の範囲内の角度であるかを簡単に確認することもできる。図8はフランク角を調べるゲージを説明する概略図であり、例えば角度Zが145°であるゲージと角度Zが170°であるゲージとを用いることにより、フランク角θが145°〜170°の範囲内か否かを簡単に判断することができる。開先・溶接条件は、以下である。
<開先>
開先形状:V形開先、開先角度(ベベル角度φ):35°、ルートギャップ(R.G.):5mm、裏当金:厚さ9mm×幅25mm
<溶接条件>
溶接材料:680N/mm級ソリッドワイヤ、直径=1.4mm
電流:280〜300(A)、電圧:28〜30(V)、速度:18〜30(cm/min)、パス間温度:最大250℃
引張強度、溶接部の測定結果および引張試験結果を表1に示す。母材(鋼材)および溶接金属の引張強度は、それぞれ上記の方法で求めた。母材(鋼材)の降伏強度および溶接金属の0.2%耐力は、それぞれJIS Z 2241の規定に準拠して求めた。なお、No.3では補強ビードは存在しなかった。
表1に示すように、本発明に従い製作した試験体、すなわち、補強ビードの幅が鋼材表面端部の余盛厚さ以上であり、補強ビード止端部のフランク角が145°以上170°以下であり、溶接金属の引張強度が各鋼材の引張強度より小さく、上記式(1)の条件を満たす、No.1試験体およびNo.1試験体より安全率αがやや低いNo.2試験体では、溶接金属強度が弱くても母材(鋼材)での破断が先行することが確認できた。一方、余盛厚さの少ないNo.3試験体では、溶接金属での破断が先行する結果となった。試験結果から、本発明による効果が確認された。
1 溶接接合部
2 幅方向中心部
3 溶接金属
4 鋼材
5 補強ビード
6 裏当金
7 溶け込み部
8 補強ビード止端部
9 鋼材表面端部の余盛厚さ
10 充填部

Claims (7)

  1. 両鋼材とそれらの接合部に溶接金属を備え、かつ、少なくとも一方の面は前記両鋼材の表面に肉盛りした余盛を備える溶接接合部であって、
    前記鋼材の表面に肉盛りした余盛である各補強ビードの幅が鋼材表面端部の余盛厚さ以上であり、
    各補強ビード止端部のフランク角θが145°〜170°であり、
    前記溶接金属の引張強度が前記各鋼材の引張強度より小さく、
    下記式(1)の条件を満たす、溶接接合部。
    式(1)において、aは余盛の最大厚さ(mm)、tは鋼材の厚さ(mm)、σuwは溶接金属の引張強度(MPa)、αは安全率(単位なし)であって1.01〜1.20により定める値、Tslは鋼材の引張強度(MPa)である。dは0以上であって、両表面に余盛がある場合は他の余盛の最大厚さ(mm)である。
  2. αは安全率(単位なし)であって1.03〜1.20により定める値である、請求項1に記載の溶接接合部。
  3. 前記余盛を備える面とは反対側の面において凹部を有する凹型裏当金を備え、前記式(1)におけるdが該凹型裏当金における充填深さ(mm)である、請求項1または2に記載の溶接接合部。
  4. 前記余盛を備える面とは反対側の面において裏当金を備え、該裏当金が溶け込み部を有し、前記式(1)におけるdが該溶け込み部における溶け込み深さ(mm)である、請求項1または2に記載の溶接接合部。
  5. 前記鋼材の少なくとも一方はベベル角度φが15°〜35°の開先を有する請求項1〜4のいずれかに記載の溶接接合部。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の溶接接合部の製造方法であって、
    両鋼材のルートギャップに溶接金属を形成し、さらに少なくとも一方の面は前記両鋼材の表面に肉盛りした余盛を形成する、溶接接合部の製造方法。
  7. 前記ルートギャップに裏当金又は凹型裏当金を備えて溶接を行う、請求項6に記載の溶接接合部の製造方法。
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