JP5402824B2 - 溶接性に優れた多電極サブマージアーク溶接方法 - Google Patents
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Description
また、溶接電流等の各溶接条件を適性化するとともに、上記同様、電極を揺動(ウィービング)させながらサブマージアーク溶接することにより、溶接ビードを、高温割れを抑制することが可能な形状とする方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(d×1/N×tanθ)/2≦w1(mm)≦(d×1/N×tanθ) ・・・(1)
(d×2/N×tanθ)/2≦w2(mm)≦(d×2/N×tanθ) ・・・(2)
0.6≦f(Hz)/v(m/min) ・・・(3)
{但し、上記(1)〜(3)式において、d:開先深さ(mm)、N:電極の総数、θ:開先角度/2、W1:第2の電極の先端部の振幅(mm)、W2:第3の電極の先端部の振幅(mm)、f:周波数(Hz)、v:溶接速度(m/min)である。}
[3] 前記第1の電極に印加する溶接電流をI1(A)とし、前記第2の電極に印加する溶接電流をI2(A)とし、前記第3の電極に印加する溶接電流をI3(A)とした際、各溶接電流I1〜I3の関係が下記(4)〜(6)式を同時に満足し、さらに、前記複数の電極の総数Nが4の場合に、前記第4の電極に印加する溶接電流をI4(A)とした際、各溶接電流I1〜I4の関係が下記(4)〜(7)式を同時に満足することを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載の溶接性に優れた多電極サブマージアーク溶接方法。
500 ≦ I1 ≦2000 ・・・・・・・・(4)
1/2×I1 ≦ I2 ≦ I1 ・・・・・・・・(5)
1/3×I1 ≦ I3 ≦ 3/4×I1 ・・・・・(6)
1/4×I1 ≦ I4 ≦ 3/4×I1 ・・・・・(7)
{但し、上記(4)〜(7)式において、I1:第1の電極に印加する溶接電流(A)、I2:第2の電極に印加する溶接電流(A)、I3:第3の電極に印加する溶接電流(A)、I4:第4の電極に印加する溶接電流(A)である。}
溶接速度v(m/min)で、前記複数の電極を下向き姿勢として、前記突合せ端における開先角度が2θ(°)、開先深さdが5〜22mmの範囲とされた鋼材を溶接する場合に、溶接進行方向において最も先行する第1の電極に次いで配置される第2の電極の先端部を下記(8)式で表される振幅w1(mm)とし、下記(3)式で表される周波数f(Hz)で、溶接線と交差する方向にウィービングさせつつ溶接するとともに、溶接進行方向において前記第2の電極に次いで配置される第3の電極をウィービングさせずに固定電極とすることを特徴とする、溶接性に優れた多電極サブマージアーク溶接方法。
0.6≦f(Hz)/v(m/min) ・・・(3)
(d×1/4×tanθ)/2≦w1(mm)≦(d×1/4×tanθ) ・・・(8)
{但し、上記(3)、(8)式において、f:周波数(Hz)、v:溶接速度(m/min)、d:開先深さ(mm)、θ:開先角度/2、W1:第2の電極の先端部の振幅(mm)である。}
[6] 前記第1の電極に印加する溶接電流をI1(A)とし、前記第2の電極に印加する溶接電流をI2(A)とし、前記第3の電極に印加する溶接電流をI3(A)とし、さらに、前記第4の電極に印加する溶接電流をI4(A)とした際、各溶接電流I1〜I4の関係が、下記(4)〜(7)式を同時に満足することを特徴とする、上記[4]又は[5]に記載の溶接性に優れた多電極サブマージアーク溶接方法。
500 ≦ I1 ≦2000 ・・・・・・・・(4)
1/2×I1 ≦ I2 ≦ I1 ・・・・・・・・(5)
1/3×I1 ≦ I3 ≦ 3/4×I1 ・・・・・(6)
1/4×I1 ≦ I4 ≦ 3/4×I1 ・・・・・(7)
{但し、上記(4)〜(7)式において、I1:第1の電極に印加する溶接電流(A)、I2:第2の電極に印加する溶接電流(A)、I3:第3の電極に印加する溶接電流(A)、I4:第4の電極に印加する溶接電流(A)である。}
(d×1/N×tanθ)/2≦w1(mm)≦(d×1/N×tanθ) ・・・(1)
(d×2/N×tanθ)/2≦w2(mm)≦(d×2/N×tanθ) ・・・(2)
0.6≦f(Hz)/v(m/min) ・・・(3)
但し、上記(1)〜(3)式において、f:ウィービングの周波数(Hz)、v:溶接速度(m/min)、d:開先2の深さ(mm)、N:電極5の総数、θ:開先2の角度/2、W1:第2の電極52先端部52aの振幅(mm)、W2:第3の電極53の先端部53aの振幅(mm)である。
(d×1/4×tanθ)/2≦w1(mm)≦(d×1/4×tanθ) ・・・(8)
但し、上記(8)式において、d:開先深さ(mm)、θ:開先角度/2、W1:第2の電極の先端部の振幅(mm)である。
以下に、発明において規定する多電極サブマージアーク溶接方法の各条件について詳述する。
本発明の溶接性に優れた多電極サブマージアーク溶接方法において被溶接物となる鋼材としては、例えば、船舶や橋梁構造体、建築物の鋼柱材の他、高強度が要求される鋼管等に用いられる、板厚が12〜100mm程度の厚鋼板が挙げられる。
本発明においては、3本又は4本(複数の電極の総数N)の、複数の電極5を用いた多電極でのサブマージアーク溶接を行う。このように、複数の電極5を用いるとともに、後述する各溶接条件の範囲内でサブマージアーク溶接を行うことで、板厚の大きな厚鋼板1を溶接する場合であっても、溶け込みが深く、また、溶接速度を高めることができ、生産性及び溶接品質の両方が向上するという効果が得られる。
また、溶接進行方法で第2の電極52に次いで配置される第3の電極53は、上記(2)式で規定される振幅w2(mm)として、上記(3)式で規定される周波数f(Hz)でウィービングさせる。
本発明の溶接方法における溶接速度v(m/min)は、特に制限されず、適宜設定することができるが、0.1〜2.5(m/min)の範囲とすることが好ましい。本発明のように、複数の電極5を用いて多電極サブマージアーク溶接を行う場合、被溶接物である鋼材のサイズや鋼特性の他、工程設備の生産能力や溶接性を考慮しながら、溶接速度v(m/min)が決定される。
本発明では、上述した溶接速度v(m/min)と、第2及び第3の電極52、53の先端部52a、53aを溶接線W方向と交差する方向にウィービングさせる際の周波数f(Hz)との関係が、上記(3)式、即ち、次式{0.6≦f(Hz)/v(m/min)}で規定される。
上記(3)式から明らかなように、溶接速度vを大きく設定した場合には、それに伴って、各電極52、53がウィービングする周波数fも大きく設定する。
例えば、溶接速度vが0.6m/minである場合には、1秒あたりで進む溶接距離が10mmとなる。この間に各電極52、53がウィービングする回数は、次式{0.6≦f(Hz)/0.6(m/min)}から0.36Hz以上、即ち、往復で0.36回分以上となる。図2に示す例においては、溶接線W方向で、第2の電極52が10mm進む間にウィービングを1往復完了しており、約1Hzのウィービングであることがわかる。
本発明において、第2の電極52の先端部52aをウィービングさせる際の振幅w1は、上記(1)式、即ち、次式{(d×1/N×tanθ)/2≦w1(mm)≦(d×1/N×tanθ)}で規定される。つまり、第2の電極52の先端部52aの振幅w1は、開先2の深さd(mm)、複数の電極5の総数N、並びに、開先の角度θによって規定され、特に、開先2の深さd(mm)や角度θ(°)が大きい場合には、振幅w1を大きな振れ寸法とする。一方、電極の総数Nが多い場合には、この数量の増大に伴って、振幅w1を小さな振れ寸法とする。
図1に示すように、第1〜第4の電極51〜54の、4つの電極を用いて多電極サブマージアーク溶接を行う場合、まず、第1の電極51は、ウィービングを行わない固定電極とする。
そして、第2の電極52は、その先端部52aの振幅w1を、次式{(d×1/4×tanθ)/2≦w1(mm)≦(d×1/4×tanθ)}で表される範囲として、ウィービングを行う。この振幅w1を上記範囲としたのは、開先2の底から開先深さdの1/4程度の位置が第2の電極52のアーク発生位置と考えられることから、この位置における開先2の幅の1/4〜1/2程度の寸法で振幅させることが、溶け込みが不足することなく溶接性が向上するためである。
そして、第2の電極のウィービングの振幅w1は、図7に示す模式図において、次式{(d×1/3×tanθ)/2≦w1(mm)≦(d×1/3×tanθ)}で表される範囲とする。この場合も上記同様の考え方であり、第2の電極のアーク発生点を、開先の底から1/3の深さの位置としたうえで、その位置における開先幅をウィービングの振幅の上限とし、また、開先幅の1/2程度を下限としている。
また、複数の電極5の総数Nを3とした場合には、第3の電極はウィービングさせず、固定電極とする。
本発明において、多電極サブマージアーク溶接で鋼材(厚鋼板1)を溶接する際、複数の電極5に印加される溶接電流としては、特に限定されず、生産性等を考慮しながら適宜設定することができる。
500 ≦ I1 ≦2000 ・・・・・・・・(4)
1/2×I1 ≦ I2 ≦ I1 ・・・・・・・・(5)
1/3×I1 ≦ I3 ≦ 3/4×I1 ・・・・・(6)
1/4×I1 ≦ I4 ≦ 3/4×I1 ・・・・・(7)
但し、上記(4)〜(7)式において、I1:第1の電極に印加する溶接電流(A)、I2:第2の電極に印加する溶接電流(A)、I3:第3の電極に印加する溶接電流(A)、I4:第4の電極に印加する溶接電流(A)である。
本発明において、多電極サブマージアーク溶接で鋼材(厚鋼板1)を溶接する際の溶接電圧としては、溶接電流と同様、特に限定されない。しかしながら、溶接電圧は、溶接アークの不安定が起きない実用範囲の電圧とすることが好ましく、その範囲は、概ね15〜50Vの範囲である。
本発明において、多電極サブマージアーク溶接を行う際に用いられる溶接材料(溶接ワイヤ55)としては、特に限定されず、従来からサブマージアーク溶接に用いられている溶接ワイヤを何ら制限無く採用することができる。
また、溶接ワイヤ55の直径についても何ら制限されないが、ワイヤの剛性や溶接電流、
溶接性等を考慮し、2.0〜6.4mmの範囲とすることが好ましい。
本発明の多電極サブマージアーク溶接方法において用いられるフラックスとしては、特に限定されず、従来からサブマージアーク溶接に用いられているものを何ら制限無く採用することができる。
まず、各電極5の各々に溶接ワイヤ55及び図示略のフラックスを取り付けた後、母材(厚鋼板1)を各電極5の給電用コンタクトチップ(図示略)の下に配し、給電用コンタクトチップ、即ち先端部51a〜54aと厚鋼板1との間隔を、例えば20mm程度に調整する。
次いで、詳細な図示を省略するが、溶接装置の制御器により、溶接電流及び電圧、溶接速度v等を上記した範囲で大まかに設定する。この際、各設定値はアークを発生していない場合でも制御器の表示手段に正確に表示されるが、多くの場合、溶接電流及び電圧は実際にアークを出射しないと正確な値が得られないため、追って微調整を行う。
次いで、図示略の電極送り手段を溶接開始位置に移動した後、フラックスを導出してサブマージアーク溶接を開始する。ここで、最初に設定した溶接電流及び電圧に対し、制御器の電流計及び電圧計における実測値が合っているかどうかを確認し、実測値と設定値とがずれている場合には修正する。また、サブマージアーク溶接を行っている間、溶接部3はフラックスに隠れて見ることが不可能なので、リアルタイムでの溶接状況については、作業中の音等によって確認する。
なお、上記手順はあくまで一例であり、被溶接物の形状やサイズ等を勘案しながら、適宜、最適化することが好ましい。
実施例1においては、まず、下記表1に示すような母材成分を有し、JIS G3105準拠とされるとともに、引張り強さ:519MPa、降伏強さ:353MPa、伸び:32%程度とされた、板厚が40mmの厚鋼板を準備した。
電極総数Nを4とした試験番号4、7の比較例においては、第2の電極がウィービングしない条件であったため、それぞれ、3〜8%の発生率で高温割れが生じた。また、試験番号6の比較例においては、開先深さdが25mmと大きいのにも関わらず、第3電極がウィービングしない条件であったため、5%の発生率で高温割れが生じた。また、試験番号9〜12の比較例においては、第2の電極及び第3の電極の何れもウィービングさせなかったため、それぞれ、11〜34%の大きな発生率で高温割れが生じた。
また、電極総数Nを3とした試験番号24〜26比較例においては、何れも第2の電極をウィービングさせなかったため、46〜56%と極めて大きな発生率で高温割れが生じた。
実施例2においては、多電極サブマージアーク溶接における電極のウィービング周波数fと、融合不良欠陥発生率との関係について検討を行った。
本実施例では、まず、各厚鋼板の突合せ端に、開先深さd:22mm、開先角度2θ:60°のV開先形状を加工した。そして、複数の電極の総数Nを4とし、溶接速度を0.8m/min、各電極に印加する溶接電流を、第1電極:1300A、第2電極:1000A、第3電極:800A、第4電極:700A、各電極の振幅を、第2電極:2mm、第3電極:4mmとし、第2及び第3の電極のウィービング周波数f(Hz)を下記表5に示す条件とした点以外は、実施例1と同様の手順及び条件で多電極サブマージアーク溶接を行った。この際、溶接距離1000mmにおいて発生した融合不良欠陥の合計長さを割り出し、溶接長あたりの百分率(%)で融合不良欠陥発生率を評価し、ウィービングの周波数fと融合不良欠陥発生率との関係の予備実験とした。この際、融合不良欠陥についてはX線透過法によって観察した。
下記表5に、複数の電極の総数Nを4として多電極サブマージアーク溶接を行った際の、第2及び第3の電極のウィービングの周波数条件、並びに、融合不良欠陥発生率の一覧を示す。
一方、試験番号39の比較例では、開先深さが25mmであるのにも関わらず第3の電極のウィービングを行わない条件であり、また、試験番号40では、第2の電極がウィービングしない条件であるため、高温割れ発生率が5〜8%となった。
下記表7に、複数の電極の総数Nを3として多電極サブマージアーク溶接を行った際の、第2の電極のウィービングの周波数条件、並びに、融合不良欠陥発生率の一覧を示す。
実施例3においては、多電極サブマージアーク溶接における電極の振幅w1、w2と、高温割れ発生率との関係について検討を行った。
本実施例では、まず、各厚鋼板の突合せ端に、開先深さd:22mm、開先角度2θ:60°のV開先形状を加工した。そして、複数の電極の総数Nを4とし、溶接速度vについては0.8m/min、各電極に印加する溶接電流については、第1電極:1300A、第2電極:1000A、第3電極:800A、第3の電極の振幅w2:4.0mm、第2及び第3の電極のウィービング周波数f:0.48(Hz)とし、第2の電極の振幅w1を下記表9に示す条件とした点以外は、実施例1と同様の手順及び条件で多電極サブマージアーク溶接を行った。そして、上記同様、この際、溶接距離1000mmにおいて発生した高温割れの合計長さを割り出し、溶接長あたりの百分率(%)で高温割れ発生率を評価した。この際、高温割れについてはX線透過法によって観察し、第2の電極の振幅w1と高温割れ発生率との関係の予備実験とした。
下記表9に、複数の電極の総数Nを4として多電極サブマージアーク溶接を行った際の、第2の電極の振幅条件、並びに、高温割れ発生率の一覧を示す。
下記表10に、複数の電極の総数Nを4として多電極サブマージアーク溶接を行った際の、第3の電極の振幅条件、並びに、高温割れ発生率の一覧を示す。
下記表11に、複数の電極の総数Nを4として多電極サブマージアーク溶接を行った際の、第2の電極の振幅条件、並びに、高温割れ発生率の一覧を示す。
下記表12に、複数の電極の総数Nを4として多電極サブマージアーク溶接を行った際の、第3の電極の振幅条件、並びに、高温割れ発生率の一覧を示す。
開先深さdを22mmとした予備実験における、第2の電極の振幅w1と高温割れ発生率の一覧を下記表14に示すとともに、開先深さdを25mmとした予備実験における、第2の電極の振幅w1と高温割れ発生率の一覧を下記表15に示す。
実施例4においては、多電極サブマージアーク溶接における複数の電極の中心間距離と、アンダーカットの発生率及びスラグインの発生個数との関係について検討を行った。
本実施例では、多電極サブマージアーク溶接における複数の電極の中心間距離を下記表17〜表20に示した条件(本発明の請求項2及び請求項5で規定する条件)とした点を除き、上記各実施例と同様の手順及び条件で多電極サブマージアーク溶接を行った。ここで、下記表17に示す試験番号91〜98は、表3に示す試験番号5と同様の開先及び溶接条件とし、また、下記表18に示す試験番号101〜108は、表3に示す試験番号8、下記表19に示す試験番号111〜118は、表4に示す試験番号28、下記表20に示す試験番号121〜128は、表4に示す試験番号29と同様の開先及び溶接条件とした。
また、スラグインとは、溶接金属内やフュージョンラインに溶接で発生したスラグが巻き込まれ、溶融せずに残存した状態の欠陥を言う。
また、スラグインの評価は、常法のX線透過試験及び超音波探傷試験により、溶接金属等の内部を観察することによって行った。この際、丸いスラグインは、超音波探傷試験では、試験用の20mm角程度のプローブから発した超音波が、欠陥で反射して戻ってくるのを、同じプローブもしくは他方の検出専用プローブで検出する方法のため、欠陥が丸いと戻ってくる超音波が少なくなり、検出し難いことから、主としてX線透過試験によって行った。
下記表17〜20に、多電極サブマージアーク溶接における複数の電極の中心間距離の条件、及び、アンダーカットの発生率並びにスラグインの発生個数の一覧を示す。
実施例5においては、多電極サブマージアーク溶接において複数の電極に印加する溶接電流と、アンダーカットの発生率及びスラグインの発生個数との関係について検討を行った。
本実施例では、多電極サブマージアーク溶接に用いる溶接ワイヤの径を下記表21及び表23に示す条件とするとともに、複数の電極に印加する各溶接電流を下記表22及び表24に示す条件(本発明の請求項3及び請求項6で規定する関係)とし、さらに、その他の溶接条件を下記表22及び表24に示す条件とした点を除き、上記各実施例と同様の手順及び条件で多電極サブマージアーク溶接を行った。ここで、下記表21及び表22は、複数の電極の総数Nを4とした場合の例であり、また、下記表23及び表24は、複数の電極の総数Nを3とした場合の例である。
Claims (6)
- 鋼材同士を突合せ、その突合せ端を、3本又は4本の複数の電極を用いて溶接する多電極サブマージアーク溶接方法であって、
前記複数の電極の総数をNとし、溶接速度v(m/min)で、前記複数の電極を下向き姿勢として、前記突合せ端における開先角度が2θ(°)、開先深さがd(mm)とされた鋼材を溶接するにあたり、前記複数の電極の総数Nが3の場合には、溶接進行方向において最も先行する第1の電極を固定とし、該第1の電極に次いで配置される第2の電極の先端部を下記(1)式で表される振幅w1(mm)でウィービングさせるとともに、前記第2の電極に次いで配置される第3の電極を固定とし、
前記複数の電極の総数Nが4の場合には、前記第1の電極を固定とし、前記第2の電極の先端部を下記(1)式で表される振幅w1(mm)でウィービングさせるとともに、溶接進行方向において前記第2の電極に次いで配置される第3の電極の先端部を下記(2)式で表される振幅w2(mm)でウィービングさせ、前記第3の電極に次いで配置される第4の電極を固定とし、
前記第2の電極、並びに、前記第3の電極をウィービングさせる際、下記(3)式で表される周波数f(Hz)で、溶接線と交差する方向にウィービングさせつつ溶接することを特徴とする、溶接性に優れた多電極サブマージアーク溶接方法。
(d×1/N×tanθ)/2≦w1(mm)≦(d×1/N×tanθ) ・・・(1)
(d×2/N×tanθ)/2≦w2(mm)≦(d×2/N×tanθ) ・・・(2)
0.6≦f(Hz)/v(m/min) ・・・(3)
{但し、上記(1)〜(3)式において、d:開先深さ(mm)、N:電極の総数、θ:開先角度/2、W1:第2の電極の先端部の振幅(mm)、W2:第3の電極の先端部の振幅(mm)、f:周波数(Hz)、v:溶接速度(m/min)である。} - 前記溶接速度vが、0.1〜2.5(m/min)の範囲であるとともに、前記第1の電極と前記第2の電極との間の中心間距離が10〜50(mm)の範囲であり、前記第2の電極と前記第3の電極との間の中心間距離が10〜50(mm)の範囲であり、さらに、前記複数の電極の総数Nが4の場合には、前記第3の電極と前記第4の電極との間の中心間距離が10〜50(mm)の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の溶接性に優れた多電極サブマージアーク溶接方法。
- 前記第1の電極に印加する溶接電流をI1(A)とし、前記第2の電極に印加する溶接電流をI2(A)とし、前記第3の電極に印加する溶接電流をI3(A)とした際、各溶接電流I1〜I3の関係が下記(4)〜(6)式を同時に満足し、さらに、前記複数の電極の総数Nが4の場合に、前記第4の電極に印加する溶接電流をI4(A)とした際、各溶接電流I1〜I4の関係が下記(4)〜(7)式を同時に満足することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の溶接性に優れた多電極サブマージアーク溶接方法。
500 ≦ I1 ≦2000 ・・・・・・・・(4)
1/2×I1 ≦ I2 ≦ I1 ・・・・・・・・(5)
1/3×I1 ≦ I3 ≦ 3/4×I1 ・・・・・(6)
1/4×I1 ≦ I4 ≦ 3/4×I1 ・・・・・(7)
{但し、上記(4)〜(7)式において、I1:第1の電極に印加する溶接電流(A)、I2:第2の電極に印加する溶接電流(A)、I3:第3の電極に印加する溶接電流(A)、I4:第4の電極に印加する溶接電流(A)である。} - 鋼材同士を突合せ、その突合せ端を、電極の総数Nが4とされた複数の電極を用いて溶接する多電極サブマージアーク溶接方法であって、
溶接速度v(m/min)で、前記複数の電極を下向き姿勢として、前記突合せ端における開先角度が2θ(°)、開先深さdが5〜22mmの範囲とされた鋼材を溶接する場合に、溶接進行方向において最も先行する第1の電極に次いで配置される第2の電極の先端部を下記(8)式で表される振幅w1(mm)とし、下記(3)式で表される周波数f(Hz)で、溶接線と交差する方向にウィービングさせつつ溶接するとともに、溶接進行方向において前記第2の電極に次いで配置される第3の電極をウィービングさせずに固定電極とすることを特徴とする、溶接性に優れた多電極サブマージアーク溶接方法。
0.6≦f(Hz)/v(m/min) ・・・(3)
(d×1/4×tanθ)/2≦w1(mm)≦(d×1/4×tanθ) ・・・(8)
{但し、上記(3)、(8)式において、f:周波数(Hz)、v:溶接速度(m/min)、d:開先深さ(mm)、θ:開先角度/2、W1:第2の電極の先端部の振幅(mm)である。} - 前記溶接速度vが、0.1〜2.5(m/min)の範囲であるとともに、前記第1の電極と前記第2の電極との間の中心間距離が10〜50(mm)の範囲であり、前記第2の電極と前記第3の電極との間の中心間距離が10〜50(mm)の範囲であり、さらに、前記第3の電極と前記第4の電極との間の中心間距離が10〜50(mm)の範囲であることを特徴とする、請求項4に記載の溶接性に優れた多電極サブマージアーク溶接方法。
- 前記第1の電極に印加する溶接電流をI1(A)とし、前記第2の電極に印加する溶接電流をI2(A)とし、前記第3の電極に印加する溶接電流をI3(A)とし、さらに、前記第4の電極に印加する溶接電流をI4(A)とした際、各溶接電流I1〜I4の関係が、下記(4)〜(7)式を同時に満足することを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の溶接性に優れた多電極サブマージアーク溶接方法。
500 ≦ I1 ≦2000 ・・・・・・・・(4)
1/2×I1 ≦ I2 ≦ I1 ・・・・・・・・(5)
1/3×I1 ≦ I3 ≦ 3/4×I1 ・・・・・(6)
1/4×I1 ≦ I4 ≦ 3/4×I1 ・・・・・(7)
{但し、上記(4)〜(7)式において、I1:第1の電極に印加する溶接電流(A)、I2:第2の電極に印加する溶接電流(A)、I3:第3の電極に印加する溶接電流(A)、I4:第4の電極に印加する溶接電流(A)である。}
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