JPWO2017073556A1 - ラッピング材及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法 - Google Patents

ラッピング材及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2017073556A1
JPWO2017073556A1 JP2017547799A JP2017547799A JPWO2017073556A1 JP WO2017073556 A1 JPWO2017073556 A1 JP WO2017073556A1 JP 2017547799 A JP2017547799 A JP 2017547799A JP 2017547799 A JP2017547799 A JP 2017547799A JP WO2017073556 A1 JPWO2017073556 A1 JP WO2017073556A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
knitted fabric
wrapping material
material according
wrapping
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017547799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6944374B2 (ja
Inventor
伸 徳重
伸 徳重
恵介 中瀬
恵介 中瀬
栗原 浩
浩 栗原
太志 柏田
太志 柏田
堅一 小池
小池  堅一
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujibo Holdins Inc
Original Assignee
Fujibo Holdins Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujibo Holdins Inc filed Critical Fujibo Holdins Inc
Publication of JPWO2017073556A1 publication Critical patent/JPWO2017073556A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6944374B2 publication Critical patent/JP6944374B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B24GRINDING; POLISHING
    • B24BMACHINES, DEVICES, OR PROCESSES FOR GRINDING OR POLISHING; DRESSING OR CONDITIONING OF ABRADING SURFACES; FEEDING OF GRINDING, POLISHING, OR LAPPING AGENTS
    • B24B37/00Lapping machines or devices; Accessories
    • B24B37/11Lapping tools
    • B24B37/20Lapping pads for working plane surfaces
    • B24B37/24Lapping pads for working plane surfaces characterised by the composition or properties of the pad materials
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B24GRINDING; POLISHING
    • B24DTOOLS FOR GRINDING, BUFFING OR SHARPENING
    • B24D18/00Manufacture of grinding tools or other grinding devices, e.g. wheels, not otherwise provided for
    • B24D18/0027Manufacture of grinding tools or other grinding devices, e.g. wheels, not otherwise provided for by impregnation
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B24GRINDING; POLISHING
    • B24DTOOLS FOR GRINDING, BUFFING OR SHARPENING
    • B24D3/00Physical features of abrasive bodies, or sheets, e.g. abrasive surfaces of special nature; Abrasive bodies or sheets characterised by their constituents
    • B24D3/001Physical features of abrasive bodies, or sheets, e.g. abrasive surfaces of special nature; Abrasive bodies or sheets characterised by their constituents the constituent being used as supporting member
    • B24D3/002Flexible supporting members, e.g. paper, woven, plastic materials
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B24GRINDING; POLISHING
    • B24DTOOLS FOR GRINDING, BUFFING OR SHARPENING
    • B24D3/00Physical features of abrasive bodies, or sheets, e.g. abrasive surfaces of special nature; Abrasive bodies or sheets characterised by their constituents
    • B24D3/02Physical features of abrasive bodies, or sheets, e.g. abrasive surfaces of special nature; Abrasive bodies or sheets characterised by their constituents the constituent being used as bonding agent
    • B24D3/20Physical features of abrasive bodies, or sheets, e.g. abrasive surfaces of special nature; Abrasive bodies or sheets characterised by their constituents the constituent being used as bonding agent and being essentially organic
    • B24D3/28Resins or natural or synthetic macromolecular compounds
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/02Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof
    • H01L21/04Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having at least one potential-jump barrier or surface barrier, e.g. PN junction, depletion layer or carrier concentration layer
    • H01L21/18Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having at least one potential-jump barrier or surface barrier, e.g. PN junction, depletion layer or carrier concentration layer the devices having semiconductor bodies comprising elements of Group IV of the Periodic System or AIIIBV compounds with or without impurities, e.g. doping materials
    • H01L21/30Treatment of semiconductor bodies using processes or apparatus not provided for in groups H01L21/20 - H01L21/26
    • H01L21/302Treatment of semiconductor bodies using processes or apparatus not provided for in groups H01L21/20 - H01L21/26 to change their surface-physical characteristics or shape, e.g. etching, polishing, cutting
    • H01L21/304Mechanical treatment, e.g. grinding, polishing, cutting

Abstract

経編又は緯編で構成された編地と、該編地に含侵された樹脂と、を有する、ラッピング材。


Description

本発明は、ラッピング材及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法に関する。
近年、次世代パワー半導体素子材料として、ワイドバンドギャップ半導体である炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド、サファイア(Al23)及び窒化アルミニウム(AlN)などの材料が注目されている。例えば、炭化珪素(SiC)はSi半導体と比べてバンドギャップが3倍であり、絶縁破壊電界強度が約7倍である等優れた物性値を有しており、現在のシリコン半導体に比べ高温動作性に優れ、小型で省エネ効果も高いといった点で優れている。また、サファイアウエハについては、その化学的安定性、光学的特性(透明性)、機械的強度、熱的特性(熱伝導性)等から、光学的要素を持った電子機器、例えば高性能オーバーヘッドプロジェクター用部品としての重要性が高まりつつある。これらの次世代パワーデバイスの本格的普及に向けて、基板の大口径化・量産化が進められ、それに伴い、基板加工技術の重要性も増している。その加工プロセスでは、Siと同様に、ウエハに用いる円柱状単結晶(インゴット)をスライスすることで円盤状に切り出す。次に、スライスした円盤状単結晶の表面を平坦化するが、まずは、その表面の粗さを大まかに取り除くため、ラッピング定盤を用いてラッピング加工を行う。その後、円盤状単結晶の表面の平坦性を更に向上させ、かつ、表面の微細な傷を除去して鏡面化するためのポリシング加工を行う。したがって、ラッピング加工により円盤状単結晶表面の平坦性を高め、かつ微細な傷を少なくすることは、その後のポリシング加工に影響を与えるために重要である。
従来、一般的なSi半導体ウエハ等の研磨加工においては、フェルト状繊維質シートに熱可塑性ポリウレタン樹脂を含侵させた半導体ウエハ研磨用クロスや、発泡ポリウレタン研磨パッド等が用いられている(例えば、特許文献1参照)。また、特に、Siに比べて遙かに硬質であるSiC等の高硬度材料用のラッピング加工としては、銅及び錫等の金属系定盤を用い、その定盤とダイヤモンド砥粒とを組み合わせたラッピング加工(以下、「ダイヤモンドラッピング」ともいう。)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−8178号公報 特開2007−61961号公報
しかしながら、金属系定盤は重いため、取り扱い難く、またダイヤモンド砥粒が埋め込まれる定盤表面の手入れ等、使用後の維持管理に労力を要するという問題点がある。また、Siの研磨加工に用いられる一般的な研磨用クロスをSiC等の加工に採用すると、ラッピングレートが低く、実用的ではないという問題がある。また、SiCの他、サファイアも、ダイヤモンド、SiCに次ぐ修正モース硬度を有しており、薬品に対する耐性が高く、加工が極めて難しい。そのため、一般的なSi半導体ウエハ等の他、次世代パワー半導体素子材料として期待される材料、特に高硬度の難加工材料のラッピング加工において、取扱い性に優れ、かつ、ラッピングレートにも優れるラッピング材が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、取扱い性及び維持管理性に優れ、ラッピングレートに優れるラッピング材及びその製造方法、並びに、ラッピング材を用いた研磨物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、編地を備えるラッピング材であれば、上記課題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
経編又は緯編で構成された編地と、該編地に含侵された樹脂と、を有する、
ラッピング材。
〔2〕
前記編地を構成する繊維の少なくとも一部が、仮撚糸である、
〔1〕に記載のラッピング材。
〔3〕
前記樹脂が、第1の樹脂と、当該第1の樹脂とは異なる第2の樹脂と、を含み、
前記第2の樹脂が、NCO当量400以下のウレタンプレポリマーと硬化剤との反応物である、
〔1〕又は〔2〕に記載のラッピング材
〔4〕
前記樹脂が、第1の樹脂と、当該第1の樹脂とは異なる第2の樹脂と、を含み、
前記編地の含有量が、前記編地、前記第1の樹脂、及び前記第2の樹脂の総量に対して、30〜60質量%である、
〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔5〕
前記編地を構成する単糸の数平均直径が、3〜30μmである、
〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔6〕
研磨面の表面粗さRaが、25〜80μmである、
〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔7〕
圧縮率が、0.5〜20%である、
〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔8〕
圧縮弾性率が、50〜98%である、
〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔9〕
A硬度が、50〜98°である、
〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔10〕
厚さが、1.0〜5.0mmである、
〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔11〕
経編又は緯編で構成された編地に第1の樹脂を含む樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行うことにより、樹脂含浸編地を得る1次含浸工程と、
前記樹脂含浸編地を、前記第1の樹脂が可溶な溶媒を含む浸漬液に浸漬する浸漬工程と、
前記浸漬工程の後の前記樹脂含浸編地を、NCO当量400以下のウレタンプレポリマーと硬化剤とを含む溶液に含浸する2次含浸工程と、を有する、
ラッピング材の製造方法。
〔12〕
前記第1の樹脂が、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上に可溶である、
〔11〕に記載のラッピング材の製造方法。
〔13〕
前記溶媒が、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上の溶媒を含む、
〔11〕又は〔12〕に記載のラッピング材の製造方法。
〔14〕
〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のラッピング材を用いて、被研磨物をラッピングするラッピング工程を有する、
研磨物の製造方法。
本発明であれば、取扱い性及び維持管理性に優れ、ラッピングレートに優れるラッピング材及びその製造方法、並びに、ラッピング材を用いた研磨物の製造方法を提供することができる。
実施例1、2、4で得られたラッピング材の表面及び断面を示す顕微鏡写真である。 比較例1、2で得られたラッピング材の表面及び断面を示す顕微鏡写真である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
〔ラッピング材〕
本実施形態のラッピング材は、経編又は緯編で構成された編地と、該編地に含侵された樹脂と、を有する。本実施形態のラッピング材は、編地と樹脂とを有するため、金属系定盤と比べて軽く、取扱い性及び維持管理性に優れる。また、驚くべきことに、経編又は緯編で構成された編地を用いることにより、ラッピングレートに優れ、金属系定盤に匹敵するラッピングレートを発揮することができる。
ラッピング材の研磨面の表面粗さRaは、好ましくは25〜80μmであり、より好ましくは30〜75μmであり、さらに好ましくは35〜70μmである。表面粗さRaが25μm以上であることにより、ラッピングレートがより向上する傾向にある。また、表面粗さRaが75μm以下であることにより、被研磨物の面品位がより向上する傾向にある。表面粗さRaは、実施例に記載の方法により測定することができる。また、表面粗さRaは、例えば、編地の編み方、編地を構成する繊維の種類、繊維の撚り方及び単糸の数平均直径などを選択することにより、調整することが可能である。
ラッピング材の圧縮率は、好ましくは0.5〜20%であり、より好ましくは1〜10%であり、さらに好ましくは1〜5%である。圧縮率が0.5%以上であることにより、被研磨物の面品位がより向上し、ラッピング材と被研磨物との密着性がより向上する傾向にある。また、圧縮率が20%以下であることにより、ラッピングレートがより向上し、ラッピング材の変形をより抑制できる傾向にある。なお、圧縮率は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、圧縮率は、例えば、後述の好ましい製造方法において、得られるラッピング材の密度が低くなるように調整することにより、高くなる傾向にある。
ラッピング材の圧縮弾性率は、好ましくは50〜98%であり、より好ましくは70〜95%であり、さらに好ましくは80〜90%である。圧縮弾性率が50%以上であることにより、ラッピングレートがより向上し、ラッピング材の変形をより抑制できる傾向にある。また、圧縮弾性率が98%以下であることにより、被研磨物との密着性がより向上する傾向にある。なお、圧縮弾性率は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、圧縮弾性率は、例えば、後述の好ましい製造方法において、第2の樹脂の含有率を高くすることにより、高くなる傾向にある。
ラッピング材のA硬度は、好ましくは50〜98°であり、より好ましくは60〜95°であり、さらに好ましくは70〜95°である。A硬度が50°以上であることにより、ラッピング材の変形をより抑制できる傾向にある。また、A硬度が98°以下であることにより、被研磨物との密着性がより向上する傾向にある。なお、A硬度は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、A硬度は、例えば、後述の好ましい製造方法において、第2の樹脂の含有率を高くすることにより、高くなる傾向にある。
ラッピング材の密度は、好ましくは0.35〜0.70であり、より好ましくは0.35〜0.60であり、さらに好ましくは0.40〜0.60である。密度が0.35以上であることにより、ラッピング材の永久歪み、被研磨物との接触面積の増大による作用点の圧力低下をより抑制できる傾向にある。また、密度が0.70以下であることにより、スラリ保持性がより向上する傾向にある。なお、密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、密度は、例えば、後述の好ましい製造方法において、編地に対する第1の樹脂及び第2の樹脂の含有率を高くすることにより、高くなる傾向にある。
ラッピング材の厚さは、好ましくは1.0〜5.0mmであり、より好ましくは1.5〜3.5mmであり、さらに好ましくは2.0〜3.0mmである。厚さが1.0mm以上であることにより、被研磨物への追従性がより向上する傾向にある。また、厚さが5.0mm以下であることにより、被研磨物の変形(うねりや面形状)がより安定する向上する傾向にある。なお、厚さは、実施例に記載の方法により測定することができる。また、厚さは、例えば、編地の編み方を選択することにより、調整することが可能である。
〔編地〕
編地は、経編又は緯編で構成されたものである。不織布に比べ経編又は緯編で構成された編地は、編構造が規則的であるため、ラッピング材の内部構造がより均一化となる。そのため、含侵される樹脂の分布状態も均一化されやすく、ラッピングレートの向上が達成されうる。また、不織布の表面に比べ編地の表面は、規則的な凹凸(節)を有することとなる。この規則的な凹凸の凹部は、例えば砥粒を用いた研磨において、砥粒保持部として作用する。そのため、砥粒をより効率よく保持させることが可能となり、ラッピングレートを向上させることができる。また、規則的な凹凸の凸部は砥粒を効果的に作用させることができ、ラッピングレートの向上に寄与し得る。さらに、凹凸の規則的な分布は、より均質な研磨を可能とし、面品位に優れた研磨の達成に寄与し得る。
砥粒保持部を形成して作製された金属定盤との比較においては、編地は、わざわざ砥粒保持部を形成するような製造工程を経る必要がないという点、また、編地の編み方の種類や繊維の太さなどを調整することで、任意の大きさ及び分布で砥粒保持部を容易に形成可能であるという点において有利である。その他、編地は、金属定盤と比して軽いため、取扱い性の観点からも有利であり、また製造コストやその維持コストなどの観点からも有利である。
ところで、ラッピング加工は、粗ラッピング(1次ラッピング)及び仕上げラッピング(2次ラッピング)を含む多段階で行ってもよい。従来、1次ラッピングでは、ラッピング速度を重視する観点から、銅、錫、鋳鉄等の金属定盤と遊離ダイヤモンド砥粒を用いた機械的研磨が行われ、2次ラッピングでは、面品位など精度を重視する観点から、所謂CMP研磨に用いられるような樹脂含浸不織布パッドや発泡ウレタン樹脂パッドとダイヤモンド遊離砥粒を用いた機械的研磨が行われる。
本実施形態のラッピング材は、このような1次ラッピング用途及び2次ラッピング用途の両方に用いることができる。特に、編地の編み方を変えることで、必要とされるラッピングレート及び面品位に応じたラッピング材を容易に構成することが可能となる。例えば、経編で構成された編地の表面には比較的に深い凹部が形成される傾向にあり、より高いラッピングレートが要求される1次ラッピングに適するものとなる。また、緯編で構成された編地の表面には比較的に浅い凹部が形成される傾向にあり、被研磨物の研磨面に対してより均一な研磨圧を付加することができるため、より高い面品位など研磨精度が要求される2次ラッピングに適するものとなる。
すなわち、本実施形態のラッピング材は、従来の金属定盤に近いラッピングレートと面品位を達成しつつ、その取扱い性などの観点から有利であるため、従来の1次ラッピング用として金属定盤の代替として用いることが可能であり、また、従来の樹脂含浸不織布パッド等よりも高いラッピングレートと面品位を達成できる点において有利であるため、従来の2次ラッピング用として樹脂含浸不織布パッド等の代替として用いることが可能である。
なお、経編としては、特に限定されないが、例えば、シングルトリコット、ダブルトリコット等のトリコット;シングルラッセル、ダブルラッセル等のラッセル;及びミラニーズが挙げられる。経編のなかでも、本発明の効果をより効果的に発揮する観点からラッセルが好ましい。
また、緯編としては、特に限定されないが、例えば、シングル編、ダブル編等の丸編;リブ編、両面編、両頭編等の横編が挙げられる。また、シングル編としては、特に限定されないが、例えば、シンカー台丸編、吊り編、トンプキン編が挙げられる。ダブル編としては、特に限定されないが、例えば、フライス編、スムース編、ダンボール編が挙げられる。緯編のなかでも、本発明の効果をより効果的に発揮する観点から丸編が好ましい。
また、編地を構成する繊維としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系繊維;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610等のポリアミド系繊維;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維が挙げられる。
編地を構成する繊維の少なくとも一部は、仮撚糸であることが好ましい。仮撚糸を用いることにより、編地の内部構造は、規則的な編構造を有しつつ、繊維間の空隙が、仮撚糸を用いないものと比べて、撚られた繊維で充填されたような構造を有することとなる。これにより、繊維間の空隙が少なくなり、かつ、樹脂が撚られた繊維中に含侵しやすくなるため、ラッピング材の内部構造においては、編地を構成する繊維と樹脂とがより均一に分布する。その結果として、ラッピング材の内部構造がより均一化され、ラッピングレートがより向上する傾向にある。また、仮撚糸を用いることにより、編地への樹脂の含侵性もより向上する傾向にある。
また、編地表裏面を主に構成する繊維と、編地の中構造(表裏面の間の構造)を主に構成する繊維の種類が互いに異なっていてもよい。編地表裏面を主に構成する繊維と、編地の中構造を主に構成する繊維の種類は、編み方と繊維の選択により適宜調整することができる。例えば、編地表裏面を主に構成する繊維としては、生糸を用いることにより、ラッピングレートがより向上し、仮撚糸を用いることにより、面品位がより向上する傾向にある。また、これに対し、編地の中構造を主に構成する繊維として、仮撚糸を用いることにより、上述したとおりラッピング材の内部構造がより均一化され、ラッピングレートがより向上する傾向にある。1次ラッピング等のラッピングレート向上の観点から好ましい組み合わせとしては、編地表裏面を主に構成する繊維が生糸であり、編地の中構造を主に構成する繊維が仮撚糸である組合せが挙げられる。また、2次ラッピング等の面品位とラッピングレートの両立という観点から好ましい組み合わせとしては、編地表裏面を主に構成する繊維が生糸であり、編地の中構造を主に構成する繊維が生糸である組合せ、編地表裏面を主に構成する繊維が仮撚糸であり、編地の中構造を主に構成する繊維が仮撚糸である組合せが挙げられる。
編地を構成する単糸の数平均直径は、好ましくは3〜30μmであり、より好ましくは5〜25μmであり、さらに好ましくは10〜20μmである。編地を構成する単糸の数平均直径が上記範囲内であることにより、製糸や編地の製造がより容易となる傾向にある。
編地を構成する単糸繊度は、好ましくは0.1〜10dtexであり、より好ましくは0.3〜6dtexであり、さらに好ましくは0.9〜4dtexである。編地を構成する単糸繊度が上記範囲内にあることにより、製糸や編地の製造がより容易となる傾向にある。
編地を構成する繊維繊度は、好ましくは30〜300dtexであり、より好ましくは40〜250dtexであり、さらに好ましくは50〜200dtexである。編地を構成する繊維繊度が上記範囲内にあることにより、製糸や編地の製造がより容易となる傾向にある。ここで、「繊維」とは、単糸(モノフィラメント)が複数フィラメント集合したマルチフィラメントを言う。
編地を構成する繊維あたりのフィラメント数は、好ましくは10〜100であり、好ましくは15〜75であり、好ましくは20〜50である。繊維あたりのフィラメント数が上記範囲内にあることにより、製糸や編地の製造がより容易となる傾向にある。
〔樹脂〕
編地に含侵される樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレア等のポリウレタン系樹脂;ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のビニル系樹脂;ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のポリサルホン系樹脂;アセチル化セルロース、ブチリル化セルロース等のアシル化セルロース系樹脂;ポリアミド系樹脂;及びポリスチレン系樹脂が挙げられる。
このなかでも、編地に含侵される樹脂として、ポリウレタン系樹脂を含むことが好ましい。ポリウレタン系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。このような樹脂を用いることにより、ラッピングレートがより向上する傾向にある。
編地に含侵される樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。このなかでも、本実施形態の好ましい態様としては、樹脂として、第1の樹脂と、第1の樹脂とは異なる第2の樹脂とを含むことが好ましい。
第1の樹脂としては、いわゆる湿式凝固可能な樹脂で編地に含浸できるものであれば特に限定されず、種々公知のものを適用できる。そのような樹脂の例としては、以下に限定されないが、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリサルホン系樹脂、アシル化セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリスチレン系樹脂が挙げられる。ポリウレタン系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。なお、「湿式凝固」とは、樹脂を溶解させた樹脂溶液を編地に含侵し、これを凝固液(樹脂に対して貧溶媒である。)の槽に浸漬することにより、含浸した樹脂溶液中の樹脂を凝固再生させるものである。樹脂溶液中の溶媒と凝固液とが置換されることにより樹脂溶液中の樹脂が凝集して凝固される。なお、湿式凝固に用いる観点から、第1の樹脂は、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上に可溶であることが好ましい。
第1の樹脂の23±2℃における100%モジュラスは、好ましくは5MPa〜30MPaであり、より好ましくは10MPa〜20MPaである。100%モジュラスは、その樹脂からなるシートを100%伸ばしたとき、すなわち元の長さの2倍に伸ばしたとき、に掛かる荷重を単位面積で割った値である。
第2の樹脂としては、いわゆる乾式凝固可能な樹脂で編地に含浸できるものであり、NCO当量400以下のウレタンプレポリマーと硬化剤との反応物であれば特に限定されず、種々公知のものを適用できる。なお、「乾式凝固」とは、プレポリマーと硬化剤とを含む液を編地に含侵し、プレポリマーと硬化剤を反応させて樹脂を形成させるものである。このとき、液には、溶剤が含まれていてもよい。
ここで、ウレタンプレポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物;2,4−トリレンジイソシアネートとプレンツカテコールとの付加物;トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物;トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物;キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物;ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物;及びイソシアヌル酸とヘキサメチレンジイソシアネートとの付加物が挙げられる。ウレタンプレポリマーは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ウレタンプレポリマーのNCO当量は、好ましくは400以下であり、より好ましくは220〜400であり、さらに好ましくは230〜300である。ウレタンプレポリマーのNCO当量が上記範囲内であることにより、ラッピングレートがより向上する傾向にある。なお、本明細書中において、「NCO当量」とは、該当樹脂溶液中のウレタンプレポリマーの平均NCO当量を意味する。また、NCO当量は周知の方法で測定でき、例えばJIS K 7301(1995)に準拠して測定することができる。
また、硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4−メチル−2,6−ビス(メチルチオ)−1,3−ベンゼンジアミン、2−メチル−4,6−ビス(メチルチオ)−1,3−ベンゼンジアミン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[3−(イソプロピルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(1−メチルプロピルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(1−メチルペンチルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス(3,5−ジアミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,6−ジアミノ−4−メチルフェノール、トリメチルエチレンビス−4−アミノベンゾネート、及びポリテトラメチレンオキサイド−di−p−アミノベンゾネート等のアミン化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、及びトリメチロールメタン等の多価アルコール化合物が挙げられる。硬化剤は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン等が挙げられる。
樹脂が第1の樹脂と当該第1の樹脂とは異なる第2の樹脂とを含む場合において、編地の含有量は、編地、第1の樹脂、及び第2の樹脂の総量に対して、好ましくは30〜60質量%であり、より好ましくは35〜55である。編地の含有量が上記範囲内であることにより、ラッピングレートがより向上する傾向にある。
なお、編地、第1の樹脂、及び第2の樹脂の各含有量は、極性溶媒への溶解性(極性)の差や、アミン分解性の差を利用して、溶出する成分の質量又は残渣の質量より、求めることができる。また、後述する1次含浸工程後のラッピング材の密度と、後述する浸漬工程後のラッピング材の密度と、後述する2次含浸工程後のラッピング材の密度と、をそれぞれ測定し、密度差から算出することもできる。なお、密度の測定は上記と同様にして測定できる。
〔その他の成分〕
ラッピング材は、上述の編地及び樹脂の他、目的に応じて、通常のラッピング材に含まれ得る各種添加剤を含んでもよい。そのような添加剤としては、以下に限定されないが、例えば、カーボンブラック等の顔料またはフィラー、親水性添加剤、及び疎水性添加剤が挙げられる。
親水性添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩のようなアニオン界面活性剤;親水性のエステル系化合物、エーテル系化合物、エステル・エーテル系化合物、アミド系化合物のようなノニオン界面活性剤が挙げられる。
また、疎水性添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルのような炭素数3以上のアルキル鎖が付加したノニオン系界面活性剤が挙げられる。
さらには、ラッピング材には、その製造過程において用いられた溶媒などの各種の材料が、残存していてもよい。
〔ラッピング材の製造方法〕
本実施形態のラッピング材の製造方法は、編地に対して樹脂を含浸させ、固形化させる工程を有する方法であれば、特に限定されない。例えば、樹脂を複数種用いる場合には、複数の樹脂を混合して、一度で編地に含侵させてもよいし、一部の樹脂を編地に含侵させて固化させた後、残りの樹脂を編地に含侵させて固化させる多段階の含浸工程を有していてもよい。
上記第1の樹脂及び第2の樹脂を用いて、多段階の含浸工程を行う方法としては、特に限定されないが、例えば、経編又は緯編で構成された編地に第1の樹脂を含む樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行うことにより、樹脂含浸編地を得る1次含浸工程と、前記樹脂含浸編地を、前記第1の樹脂が可溶な溶媒を含む浸漬液に浸漬する浸漬工程と、前記浸漬工程の後の前記樹脂含浸編地を、NCO当量400以下のウレタンプレポリマーと硬化剤とを含む溶液に含浸する2次含浸工程と、を有する方法が挙げられる。
〔1次含浸工程〕
編地に第1の樹脂を含む樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行うことにより、樹脂含浸編地を得る工程である。編地に樹脂溶液を含浸させた上で湿式凝固法を用いる場合、凝固液中では、編地の繊維に付着している樹脂溶液の表面で樹脂溶液の溶媒と凝固液との置換の進行により樹脂が繊維の表面に凝固再生される。
上記1次含浸工程の具体例としては、次のとおりである。まず、上述したような第1の樹脂と、当該第1の樹脂を溶解可能であって、後述の凝固液に混和する溶媒と、必要に応じてその他の添加剤とを混合し、更に必要に応じて減圧下で脱泡して樹脂溶液を準備する。上記溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、メチルエチルケトン(MEK)及びジメチルスルホキシドが挙げられる。樹脂に対する良溶媒を選択する観点、さらに凝固浴に対して均一に混和させて湿式凝固をより容易にする観点から、第1の樹脂が、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上の溶媒に可溶であることが好ましい。同様に、上記溶媒が、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上の溶媒を含むことが好ましい。
編地の全体に亘って樹脂を含浸する観点、及び、樹脂の含浸量を十分に確保する観点から、上記樹脂溶液について、B型回転粘度計を用いて20℃で測定した粘度は、好ましくは8000cp以下であり、より好ましくは100cp〜5000cpであり、さらに好ましくは400cp〜3000cpである。そのような粘度の数値範囲にある樹脂溶液を得る観点から、例えば、ポリウレタン樹脂を、樹脂溶液の全体量に対して5〜25質量%の範囲、より好ましくは8〜20質量%の範囲で溶媒に溶解させてもよい。樹脂溶液の粘性は、用いる樹脂の種類及び分子量にも依存するため、これらを総合的に考慮し、樹脂の選定、濃度設定等を行うことが好ましい。
次に、樹脂溶液に編地を十分に浸漬した後、樹脂溶液が付着した編地から、1対のローラ間で加圧可能なマングルローラを用いて樹脂溶液を絞り落とすことで、樹脂溶液の編地への付着量を所望の量に調整し、編地に樹脂溶液を均一又は略均一に含浸させる。次いで、樹脂溶液を含浸した編地を、樹脂に対する貧溶媒、例えば、水を主成分とする凝固液中に浸漬することにより、樹脂(以下、湿式凝固する樹脂を「湿式樹脂」という。)を凝固再生させる。凝固液には、樹脂の再生速度を調整するために、樹脂溶液中の溶媒以外の極性溶媒等の有機溶媒を添加してもよい。また、凝固液の温度は、樹脂を凝固できる温度であれば特に限定されず、例えば、15〜60℃であってもよい。
本実施形態において、上述の湿式凝固を行ったのち、以下のような洗浄・乾燥工程に供することが好ましい。まず、湿式樹脂が凝固再生された編地を水等の洗浄液中で洗浄し、編地中に残存するDMF等の溶媒を除去する。洗浄後、編地を洗浄液から引き上げ、マングルローラ等を用いて余分な洗浄液を絞り落とす。その後、編地基材を、100℃〜150℃の乾燥機中で乾燥させてもよい。また、上記乾燥の後、得られる樹脂含浸編地をさらにスライス、バフ等による加工に供し、表層のスキン層を除去し、所定の厚さにすることが、次工程の浸漬工程の均一性を高める観点から好ましい。
〔浸漬工程〕
浸漬工程は、樹脂含浸編地を、前記第1の樹脂が可溶な溶媒を含む浸漬液に浸漬することで、当該湿式樹脂を溶媒に部分的に再溶解させる工程である。浸漬工程により、樹脂含浸編地内部の気泡(例えば閉気孔及び開口部の小さい開気孔)が減少し、編地と湿式樹脂との密着性が向上すると考えられる。浸漬工程に用いる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、メチルエチルケトン(MEK)、及びジメチルスルホキシドが挙げられる。また、浸漬させる際の温度条件としては、第1の樹脂の気泡を減少させ、かつ、溶媒への樹脂の溶出を防止する観点から、15.0〜25.0℃であることが好ましく、浸漬時間としては、同様の観点から、5〜30秒であることが好ましい。なお、上述の浸漬工程の後に、乾燥工程を設けることが好ましい。
〔2次含浸工程〕
2次含浸工程は、浸漬工程の後の樹脂含浸編地を、NCO当量400以下のウレタンプレポリマーと硬化剤とを含む溶液に含浸する工程である。2次含浸工程により、上述した湿式樹脂の表面に樹脂(以下、この樹脂を「乾式樹脂」ともいう。)が形成されるものと推測される。
2次含浸工程の具体例としては、まず、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、硬化剤と、それらを溶解可能な溶媒とを含む溶液を準備する。ここで、ウレタンプレポリマー、硬化剤、及び溶媒は、上記で例示したものと同様のものを用いることができる。
次に、上記溶液に浸漬工程の後の樹脂含浸編地を浸漬した後、溶液が付着した樹脂含浸編地から、1対のローラ間で加圧可能なマングルローラを用いて溶液を絞り落とすことで、溶液の樹脂含浸編地への付着量を所望の量に調整し、樹脂含浸編地に溶液を均一又は略均一に含浸させる。次いで、溶液を含浸させた樹脂含浸編地を乾燥機内で乾燥させる。これにより、ウレタンプレポリマーと硬化剤により重合して、樹脂含浸編地に乾式樹脂を含浸させた本実施形態のラッピング材が得られる。乾燥温度としては、例えば、100℃〜140℃であってもよい。
上述した1次含浸工程、浸漬工程及び2次含浸工程を経ることで、本実施形態の所望の構成を有するラッピング材が得られる。このラッピング材は、以下に説明する内容に限定する趣旨ではないが、次のような構成を有しているものと推察される。すなわち、1次含浸工程を経ることで、編地の表面に湿式樹脂が形成される。特に、1次含浸工程では湿式凝固を採用することにより、湿式樹脂が編地内で均一付着する。ただし、この段階では、得られる樹脂含浸編地の樹脂内部において、湿式凝固法に由来する微細な気泡が多く、編地と湿式樹脂との密着性及び強度は十分とはいえない。次いで、浸漬工程を経ることで、湿式樹脂の微細な気泡に浸漬溶液が充填され、乾燥による加温により湿式樹脂が再溶解し、樹脂含浸編地内部の微細な気泡(例えば閉気孔及び開口部の小さい開気孔)が減少すると共に、編地に含浸している樹脂(湿式樹脂)が繊維周辺で高密度化するので、編地の繊維と湿式樹脂との密着性が向上するとともに強度が向上する。また、微細気泡が減少することで、2次含浸工程における乾式樹脂の含浸の均一化や強度向上につながる。さらに、2次含浸工程を経ることで、編地繊維上の湿式樹脂の層の表面に、さらに乾式樹脂の層が形成される。
本実施形態によると、浸漬工程において、気泡が減少するため、2次含浸工程において含浸可能な空隙が確保されるとともに通気性が改善され、乾式樹脂が侵入し難い箇所が少なくなり、乾式樹脂の存在する領域が増加する。そのため、乾式樹脂が均一に含浸することができる。また、編地に直接付着していない部分の湿式樹脂が減少するため、研磨の際にラッピング材内の樹脂の剥離が抑制され、寿命を長くすることができる。このように、本実施形態のラッピング材においては、編地を基材とし、当該編地上に湿式樹脂の層が形成され、当該湿式樹脂の層上に乾式樹脂の層が形成されるものと推察される。また、ラッピング材の全体としては、編地と湿式樹脂の層との間の密着性及び湿式樹脂の層と乾式樹脂の層との密着性は、いずれも良好であるものと推察される。上記の観点から、本実施形態のラッピング材は、十分な強度を確保することができるものと考えられる。
上述のようにして得られたラッピング材は、その後、必要に応じて、円形等の所望の形状、寸法に裁断されてもよく、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を施されてもよい。
また、得られたラッピング材は、その表面が研磨面となるが、そのラッピング材を用いて被研磨物(以下、「ワーク」ともいう。)を研磨する場合、予め、ラッピング材の研磨面とは反対側の面に、研磨機の研磨定盤にラッピング材を貼着するための両面テープ(粘着層及び剥離紙を備えるもの)を貼り合わせてもよい。
〔研磨物の製造方法〕
本実施形態の研磨物の製造方法は、上記ラッピング材を用いて、被研磨物をラッピングするラッピング工程を有する方法であれば、特に限定されない。ラッピング工程は、1次ラッピング研磨(粗ラッピング)であってもよく、2次ラッピング(仕上げラッピング)であってもよく、それら両方の研磨を兼ねるものであってもよい。
被研磨物としては、特に限定されないが、例えば、半導体デバイス、電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、SiC(炭化珪素)基板、GaAs(ガリウム砒素)基板、ガラス、ハードディスクやLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の薄型基板(被研磨物)が挙げられる。このなかでも、本実施形態の研磨物の製造方法は、パワーデバイス、LEDなどに適用され得る材料、例えば、サファイア、SiC、GaN、及びダイヤモンドなど、研磨加工の困難な難加工材料の製造方法として好適に用いることができる。
ラッピング方法としては、従来公知の方法を用いることができ、特に限定されない。以下、砥粒の存在下、ラッピング材により被研磨物にラッピング加工を施す方法を例に説明する。
ラッピング方法は、ラッピング加工前に、ラッピング材に砥粒を埋め込む、砥粒埋め込み工程を有することが好ましい。砥粒埋め込み工程では、砥粒を、ラッピング材の研磨面Sとなる面側から、ラッピング材に埋め込む。埋め込む方法としては、例えば、ラッピング材の上記表面に砥粒を所望の量となるように散布した後、ラッピング材の上記表面上に載置された砥粒をラッピング材の方に向けて所定の圧力で押圧して、砥粒を埋め込む(チャージングする)方法が挙げられる。押圧するのに用いられる手段としては、例えば、リテーナリングが挙げられる。砥粒の散布は、砥粒を単独で散布してもよいが、複数の砥粒同士が凝集するのを防ぐ観点から、砥粒を分散剤に分散させた状態で塗布することで散布するのが好ましい。分散剤としては、通常のダイヤモンド砥粒分散液やダイヤモンド砥粒を含む研磨スラリに用いられる液であればよく、例えばグリセリンと水との混合液が挙げられる。
また、砥粒埋め込み工程は、ラッピング材を用いて被研磨物にラッピング加工を施す前に設けてもよいが、上記ラッピング加工の工程の際に設けてもよい。砥粒の埋め込みをラッピング加工と共に行う場合、砥粒を含む研磨スラリをラッピング材上に供給しながら、被研磨物によってラッピング材上の砥粒をラッピング材の方に押圧することによって埋め込むことができる。
砥粒は、予めラッピング材の研磨面Sに埋め込まれているが、それに加えて、ラッピング加工の際に新たに供給され、ラッピング材の研磨面に埋め込まれたものであってもよく、遊離しているもの(ラッピング材の研磨面に埋め込まれることなく遊離しているもの、及び/又は、一旦研磨面に埋め込まれていたが、その後遊離したもの)であってもよい。これらの結果、研磨表面のみに研削力の高い状態でダイヤモンド砥粒を密に固定化することができ、ラッピングレートを上げつつ、被研磨物の表面品質も上げることができる。
ラッピング方法では、まず、ラッピング装置の所定位置にラッピング材を装着する。この装着の際には、上述の粘着層を介して、ラッピング材がラッピング装置に固定されるよう装着される。そして、ラッピング定盤としてのラッピング材と対向するように配置された保持定盤に保持させた被研磨物を研磨面側へ押し付けると共に、外部からダイヤモンド砥粒を含む研磨スラリを供給しながら、ラッピング材及び/又は保持定盤を回転させる。これにより、ラッピング材と被研磨物との間に供給され、ラッピング材に埋め込まれた砥粒の作用で、被研磨物の加工面(被研磨面)にラッピング加工を施す。
研磨スラリは、好ましくは、ダイヤモンド砥粒と、それを分散する分散剤とを含む。研磨スラリにおけるダイヤモンド砥粒の含有割合は特に限定されないが、ラッピング加工をより有効に行うと共に、被研磨物における加工変質層が厚くなるのを抑制する観点から、研磨スラリの全体量に対して0.01〜1.0質量%であると好ましい。また、ダイヤモンド砥粒の平均粒径は0.5〜20μmが好ましく、1〜18μmがより好ましく、2〜15μmが更に好ましく、3〜10μmが特に好ましい。ダイヤモンド砥粒の平均粒径が上記範囲内にあることにより、ラッピングレートをより向上すると共に、ワーク表面におけるスクラッチの発生をより抑制することができる。
分散剤としては、例えば、水及び有機溶媒が挙げられ、被研磨物の変質をより抑制する観点から、有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、炭化水素が好ましく、高沸点を有する炭化水素がより好ましい。炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、芳香族系炭化水素及び脂環式炭化水素が挙げられる。高沸点を有する炭化水素としては、例えば、初留点220℃以上の石油系炭化水素が挙げられる。溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、溶媒には、必要に応じて、その他の添加剤が含まれていてもよい。そのような添加剤としては、例えば非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド及びカルボン酸等が挙げられる。
なお、ラッピング加工時にラッピング材と被研磨物との間の摩擦に伴う温度上昇を抑制する観点から、砥粒を含まず、添加剤を含んでもよい溶媒をラッピング材の研磨面に適宜供給してもよい。その溶媒及び添加剤の例としては上記のものが挙げられる。
被研磨物は、従来、ラッピング加工を施されるものであれば特に限定されず、例えば、半導体ウエハ、磁気ディスク及び光学ガラス等が挙げられる。これらの中では、本実施形態のラッピング材による作用効果をより有効に活用できる観点から、半導体ウエハが好ましく、SiC基板、サファイア基板又はGaN基板が好ましい。その材質としては、SiC単結晶及びGaN単結晶等の難削材が好ましいが、サファイア、窒化珪素、窒化アルミニウムの単結晶などであってもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔A硬度〕
バネを介して厚さ4.5mm以上の試験片表面に押針(測定子)を押し付け30秒後の押針の押し込み深さから、ラッピング材のA硬度を測定した。測定装置としては、デュロメータ タイプAを用いた。これを3回行って相加平均からA硬度を求めた。具体的には、ラッピング材を10cm×10cmに切り出し、試料片とし、厚さ4.5mm以上になるように複数枚重ねて測定した。
〔圧縮率及び圧縮弾性率〕
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、ラッピング材の圧縮率及び圧縮弾性率を測定した。具体的には、初荷重で30秒間加圧した後の厚さtを測定し、次に最終荷重のもとで5分間放置後の厚さtを測定した。全ての荷重を除き、1分間放置後、再び初荷重で30秒間加圧した後の厚さt’を測定した。このとき、初荷重は100g/cm、最終荷重は1120g/cmであった。圧縮率は、下記数式(1)で算出し、圧縮弾性率は、下記数式(2)で算出した。
数式(1):圧縮率(%)=(t−t)/t×100
数式(2):圧縮弾性率(%)=(t’−t)/(t−t)×100
〔厚さ〕
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、ラッピング材の厚さを測定した。具体的には、ラッピング材を10cm×10cmに切り出した試料片3枚用意し、各試料片毎に、厚さ測定器の所定位置にセットした後、480g/cmの荷重をかけた加圧面を試料片の表面に載せ、5秒経過後に厚さを測定した。1枚の試料片につき、5箇所の厚さを測定し相加平均を算出し、さらに3枚の試料片の相加平均を求めた。
〔密度〕
ラッピング材を10cm×10cmに切り出し、試料片とし、その質量を測定し、上記サイズから求めた体積と上記質量から、ラッピング材の密度(かさ密度)(g/cm)を算出した。
〔表面粗さRa〕
ラッピング材の研磨面の表面粗さRaを、レーザー顕微鏡(キーエンス社製 LASER MICROSCOPE VK−X100)を用いて測定した。
〔ラッピング加工試験〕
ラッピング材を両面ラッピング装置の所定位置にアクリル系接着剤を有する両面テープを介して設置し、被研磨物としての2インチの6H−SiC n型ウエハに対して、下記条件にてラッピング加工を施すラッピング加工試験を行った。なお、ラッピング加工試験の際には、まず、ダイヤモンド砥粒(多結晶、平均粒径:3μm又は9μm)0.1質量%と水及びグリセリンの混合液(分散剤)とからなる分散液を、ラッピング材の表面に滴下しながら、SUS製キャリヤで所定時間押圧しダイヤモンド砥粒をラッピング材に埋め込んでから、ラッピング加工を実施した。
(ラッピング条件)
使用したラッピング装置の定盤サイズ:直径935mm
定盤回転数:10rpm
加工圧力:278g/cm
ラッピング加工時間:1時間
(ラッピングレート)
ラッピングレート(単位:μm/hr)は、上記ラッピング加工前後の被研磨物の質量減少から求めた研磨量、被研磨物の研磨面積及び比重から、ラッピングにより除去された厚さを算出し、時間当たりの除去された厚さとして評価した。
(面品位)
上記ラッピング加工試験後の被研磨物5枚について、被研磨面のスクラッチを目視にて確認した。銅定盤と3μmのダイヤモンド砥粒を用いた場合の面品位と同程度の場合を「○」とし、それよりも優れる面品位を「◎」とする。
〔編地及び不織布〕
ポリエチレンテレフタレート繊維により構成される編地A〜Cと不織布A〜Bとを用意した。下記表1に各編地の構成を記載する。なお、経編及び丸編においては、編地表裏面を構成する繊維と、編地の中構造(表面と裏面の間)を構成する繊維とを分けて記載する。
なお、編地Aは、L1〜L6の給糸口を有するダブルラッシェル機で編成された、下記編地組織よりなる経編地(ダブルラッセル)であり、L3,4が仮撚糸であり、L1,2,5,6が生糸である。また、編地Cは、L1〜6全てが生糸である。
L1: 4−4−4−4/0−0−0−0//
L2: 0−1−1−1/1−0−0−0//
L3: 0−1−1−2/1−0−2−1//
L4: 1−2−0−1/2−1−1−0//
L5: 0−0−0−1/1−1−1−0//
L6: 0−0−4−4/4−4−0−0//
また、編地Bは、F1〜F6の給糸口を有する丸編機で編成された、下記編地組織よりなる丸編地(段ボールニット)である。
F1:タック(奇数番号のシリンダー針と偶数番号のダイヤル針とのタック組織(次編成と編成かぶり))
F2:ダイヤル半(シリンダーは編成せずに奇数番号のダイヤル針のみ編成)
F3:シリンダー半(ダイヤルは編成せずに偶数番号のシリンダー針のみ編成)
F4:タックニット(F1の逆で、偶数番号のシリンダー針と奇数番号のダイヤル針とのタック組織)
F5:ダイヤル半(F2の逆で、シリンダーは編成せずに偶数番号のダイヤル針のみ編成)
F6:シリンダー半(F3の逆で、ダイヤルは編成せずに偶数番号のシリンダー針のみ編成)
〔実施例1〕
(1次含浸工程)
ポリカーボネート系ウレタン樹脂(DIC社製、商品名「クリスボンS705」)56.7質量部と、N,N−ジメチルホルムアミド43.3質量部と、を混合し、樹脂溶液を調製した。得られた樹脂溶液に編地Aを浸漬させ、マングルローラを用いて余分な樹脂溶液を絞り落とすことで、編地Aに樹脂溶液を略均一に含浸させた。次いで、18℃の水からなる凝固液中に編地Aを浸漬することにより、1次含浸樹脂を凝固再生させて樹脂含浸編地を得た。その後、樹脂含浸編地を凝固液から取り出して乾燥させ、バフィングにより表面のスキン層が除去された樹脂含浸編地を得た。
(浸漬工程)
次いで、N,N−ジメチルホルムアミドと純水とを65対35で混合した浸漬溶媒に、上記で得られた樹脂含浸編地を浸漬した。その後、乾燥を行い、浸漬工程後の樹脂含浸編地を得た。
(2次含浸工程)
さらに、ウレタンプレポリマー(DIC社製、商品名「パンデックスTM363」、NCO当量:286)24.11質量部と、硬化剤(DIC社製、商品名「パンデックスE」)10.91質量部とN,N−ジメチルホルムアミド60.04質量部と、を混合し、樹脂溶液を調製した。得られた樹脂溶液に、浸漬工程後の樹脂含浸編地を浸漬した。その後、洗浄・乾燥を行い、実施例1のラッピング材を得た。ラッピング材全体に対して、編地含有量は37質量%であった。なお、上記のNCO当量は、JIS K 7301(1995)に準拠して測定した(以下同様)。
〔実施例2〜3〕
編地Aに代えて、編地Bを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2〜3のラッピング材を得た。ラッピング材全体に対して、編地含有量はそれぞれ53質量%であった。
〔実施例4〕
編地Aに代えて、編地Cを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例4のラッピング材を得た。ラッピング材全体に対して、編地含有量は55質量%であった。
〔比較例1〕
編地Aに代えて、不織布Aを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1のラッピング材を得た。ラッピング材全体に対して、不織布含有量は34質量%であった。
〔比較例2〕
(1次含浸工程)
エステル系ウレタン樹脂(DIC社製、商品名「クリスボン7667」)45.7質量部と、架橋剤としてウレタンプレポリマー(DIC社製、商品名「バーノックDN950」)1.4質量部と、N,N−ジメチルホルムアミド52.9質量部と、を混合し、樹脂溶液を調製した。得られた樹脂溶液に不織布Bを浸漬させ、マングルローラを用いて余分な樹脂溶液を絞り落とすことで、不織布Bに樹脂溶液を略均一に含浸させた。次いで、18℃の水からなる凝固液中に不織布Bを浸漬することにより、1次含浸樹脂を凝固再生させて樹脂含浸不織布を得た。その後、樹脂含浸不織布を凝固液から取り出して乾燥させ、バフィングにより表面のスキン層が除去された樹脂含浸織布を得た。
(浸漬工程)
次いで、N,N−ジメチルホルムアミドと純水とを65対35で混合した浸漬溶媒に、上記で得られた樹脂含浸不織布を浸漬した。その後、乾燥を行い、浸漬工程後の樹脂含浸不織布を得た。
(2次含浸工程)
さらに、ウレタンプレポリマー(三菱樹脂社製、商品名「ノバレタン UP121」、NCO当量440)31.15質量部と、硬化剤(DIC社製、商品名「パンデックスE」)7.85質量部と、N,N−ジメチルホルムアミド57.24質量部とを混合し、樹脂溶液を調製した。得られた樹脂溶液に、浸漬工程後の樹脂含浸不織布を浸漬した。その後、洗浄・乾燥を行い、比較例2のラッピング材を得た。ラッピング材全体に対して、不織布含有量は33質量%であった。
表2に、上記実施例及び比較例で得られた各ラッピング材の硬度、圧縮率、圧縮弾性率、厚さ、密度及び表面粗さRaを示す。また、ラッピングレート及び面品位の評価結果を示す。また、図1に実施例1、2、4で得られたラッピング材の表面及び断面を現す顕微鏡写真を示し、図2に比較例1、2で得られたラッピング材の表面及び断面を現す顕微鏡写真を示す。

※DMP:ダイヤモンドメカニカルポリッシング
本出願は、2015年10月27日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2015−211275)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明は、ラッピング材、特に難削材用のラッピング材として産業上の利用可能性を有する。

Claims (14)

  1. 経編又は緯編で構成された編地と、該編地に含侵された樹脂と、を有する、
    ラッピング材。
  2. 前記編地を構成する繊維の少なくとも一部が、仮撚糸である、
    請求項1に記載のラッピング材。
  3. 前記樹脂が、第1の樹脂と、当該第1の樹脂とは異なる第2の樹脂と、を含み、
    前記第2の樹脂が、NCO当量400以下のウレタンプレポリマーと硬化剤との反応物である、
    請求項1又は2に記載のラッピング材
  4. 前記樹脂が、第1の樹脂と、当該第1の樹脂とは異なる第2の樹脂と、を含み、
    前記編地の含有量が、前記編地、前記第1の樹脂、及び前記第2の樹脂の総量に対して、30〜60質量%である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のラッピング材。
  5. 前記編地を構成する単糸の数平均直径が、3〜30μmである、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のラッピング材。
  6. 研磨面の表面粗さRaが、25〜80μmである、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のラッピング材。
  7. 圧縮率が、0.5〜20%である、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のラッピング材。
  8. 圧縮弾性率が、50〜98%である、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のラッピング材。
  9. A硬度が、50〜98°である、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載のラッピング材。
  10. 厚さが、1.0〜5.0mmである、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載のラッピング材。
  11. 経編又は緯編で構成された編地に第1の樹脂を含む樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行うことにより、樹脂含浸編地を得る1次含浸工程と、
    前記樹脂含浸編地を、前記第1の樹脂が可溶な溶媒を含む浸漬液に浸漬する浸漬工程と、
    前記浸漬工程の後の前記樹脂含浸編地を、NCO当量400以下のウレタンプレポリマーと硬化剤とを含む溶液に含浸する2次含浸工程と、を有する、
    ラッピング材の製造方法。
  12. 前記第1の樹脂が、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上に可溶である、
    請求項11に記載のラッピング材の製造方法。
  13. 前記溶媒が、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上の溶媒を含む、
    請求項11又は12に記載のラッピング材の製造方法。
  14. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のラッピング材を用いて、被研磨物をラッピングするラッピング工程を有する、
    研磨物の製造方法。
JP2017547799A 2015-10-27 2016-10-25 ラッピング材及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法 Active JP6944374B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015211275 2015-10-27
JP2015211275 2015-10-27
PCT/JP2016/081563 WO2017073556A1 (ja) 2015-10-27 2016-10-25 ラッピング材及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2017073556A1 true JPWO2017073556A1 (ja) 2018-09-27
JP6944374B2 JP6944374B2 (ja) 2021-10-06

Family

ID=58630218

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017547799A Active JP6944374B2 (ja) 2015-10-27 2016-10-25 ラッピング材及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法

Country Status (7)

Country Link
US (1) US11465255B2 (ja)
EP (1) EP3354406B1 (ja)
JP (1) JP6944374B2 (ja)
KR (1) KR102597982B1 (ja)
CN (1) CN108349062B (ja)
TW (1) TWI703253B (ja)
WO (1) WO2017073556A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115284165A (zh) * 2022-07-12 2022-11-04 安徽禾臣新材料有限公司 一种多孔聚氨酯抛光垫及其制备方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000033553A (ja) * 1998-05-11 2000-02-02 Sony Corp 研磨パッドおよび研磨方法
JP2008207318A (ja) * 2007-01-30 2008-09-11 Toray Ind Inc 積層研磨パッド
JP2010029996A (ja) * 2008-07-30 2010-02-12 Toray Ind Inc 研磨パッド
JP2010188482A (ja) * 2009-02-19 2010-09-02 Teijin Fibers Ltd 研磨布用複合布帛および研磨布
JP2013182952A (ja) * 2012-02-29 2013-09-12 Fujibo Holdings Inc 研磨パッド及びその製造方法
JP2014012322A (ja) * 2012-07-05 2014-01-23 Fujibo Holdings Inc 研磨布及びその評価方法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3339911A1 (de) * 1983-11-04 1985-05-23 Akzo Gmbh, 5600 Wuppertal Verwendung von blasduesentexturierten garnen bei der herstellung von schleifmitteln auf unterlage
JPH074769B2 (ja) 1991-10-11 1995-01-25 ロデール・ニッタ株式会社 研磨用クロス
JPH05162085A (ja) * 1991-12-10 1993-06-29 Sumitomo Chem Co Ltd 研磨研削材およびその製造方法
WO2002043921A1 (fr) * 2000-12-01 2002-06-06 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Tampon de polissage, procede de fabrication de ce tampon de polissage, et couche d'amortissement pour ce tampon de polissage
JP4508514B2 (ja) * 2001-03-02 2010-07-21 旭ダイヤモンド工業株式会社 Cmpコンディショナ及びその製造方法
US6833014B2 (en) * 2002-07-26 2004-12-21 3M Innovative Properties Company Abrasive product, method of making and using the same, and apparatus for making the same
US7011731B2 (en) * 2003-07-02 2006-03-14 Albany International Corp. Long nip press belt made from thermoplastic resin-impregnated fibers
JP2007061961A (ja) 2005-08-31 2007-03-15 Matsushita Electric Ind Co Ltd ラッピング定盤の製作方法及びメカニカルラッピング方法
CN102448669B (zh) * 2009-05-27 2014-12-10 罗杰斯公司 抛光垫、其聚氨酯层及抛光硅晶片的方法
JP5687119B2 (ja) * 2011-04-15 2015-03-18 富士紡ホールディングス株式会社 研磨パッド及びその製造方法
WO2016021317A1 (ja) * 2014-08-05 2016-02-11 Dic株式会社 ウレタン組成物及び研磨材
US9931731B2 (en) * 2014-12-23 2018-04-03 Saint-Gobain Abrasives, Inc. Compressed polymer impregnated backing material abrasive articles incorporating same, and processes of making and using
US11890723B2 (en) * 2015-05-08 2024-02-06 Mirka Ltd Abrasive belt grinding product
TWI565735B (zh) * 2015-08-17 2017-01-11 Nanya Plastics Corp A polishing pad for surface planarization processing and a process for making the same
TWI769988B (zh) * 2015-10-07 2022-07-11 美商3M新設資產公司 拋光墊與系統及其製造與使用方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000033553A (ja) * 1998-05-11 2000-02-02 Sony Corp 研磨パッドおよび研磨方法
JP2008207318A (ja) * 2007-01-30 2008-09-11 Toray Ind Inc 積層研磨パッド
JP2010029996A (ja) * 2008-07-30 2010-02-12 Toray Ind Inc 研磨パッド
JP2010188482A (ja) * 2009-02-19 2010-09-02 Teijin Fibers Ltd 研磨布用複合布帛および研磨布
JP2013182952A (ja) * 2012-02-29 2013-09-12 Fujibo Holdings Inc 研磨パッド及びその製造方法
JP2014012322A (ja) * 2012-07-05 2014-01-23 Fujibo Holdings Inc 研磨布及びその評価方法

Also Published As

Publication number Publication date
US11465255B2 (en) 2022-10-11
TW201730403A (zh) 2017-09-01
EP3354406A4 (en) 2019-03-27
KR102597982B1 (ko) 2023-11-02
JP6944374B2 (ja) 2021-10-06
US20180311782A1 (en) 2018-11-01
WO2017073556A1 (ja) 2017-05-04
CN108349062B (zh) 2021-04-09
CN108349062A (zh) 2018-07-31
EP3354406B1 (en) 2023-11-22
EP3354406A1 (en) 2018-08-01
KR20180075533A (ko) 2018-07-04
TWI703253B (zh) 2020-09-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6324958B2 (ja) 研磨パッド及びその製造方法
US9956669B2 (en) Polishing pad and polishing method
JP5990830B2 (ja) 研磨パッド及びその製造方法
WO2017209050A1 (ja) 研磨パッド及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法
JP6494375B2 (ja) 研磨パッド
WO2017073556A1 (ja) ラッピング材及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法
TW201117917A (en) Polishing pad
JP2016196053A (ja) 研磨パッド、研磨パッドの製造方法及び研磨方法
JP6835517B2 (ja) 研磨パッド及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法
JP6800617B2 (ja) 研磨パッド及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法
JP2010157619A (ja) 研磨パッド
TWI404596B (zh) 製造研磨墊之方法及研磨墊
JP6912239B2 (ja) ラッピング材及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法
JP2018083282A (ja) 研磨パッド及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法
CN108068009B (zh) 研磨垫及其制造方法、以及研磨物的制造方法
JP5478956B2 (ja) ノッチ研磨用研磨パッド
JP7093521B2 (ja) 研磨シート
JP6980509B2 (ja) 研磨パッド及び研磨加工物の製造方法
TWM652961U (zh) 研磨墊
TW200829367A (en) Polishing pad and method of producing the same
TWM457604U (zh) 硏磨墊

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20180703

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180725

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190924

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200901

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210402

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210531

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210903

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210910

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6944374

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150