JP6912239B2 - ラッピング材及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、ラッピング材及びその製造方法、並びに、研磨物の製造方法に関する。
近年、次世代パワー半導体素子材料として、ワイドバンドギャップ半導体である炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド(C)、サファイア(Al23)及び窒化アルミニウム(AlN)などの材料が注目されている。例えば、炭化珪素(SiC)はシリコン(Si)と比べてバンドギャップが3倍であり、絶縁破壊電界強度が約7倍である等優れた物性値を有しており、現在のシリコン半導体に比べ高温動作性に優れ、小型で省エネ効果も高いといった点で優れている。また、サファイアウエハについては、その化学的安定性、光学的特性(透明性)、機械的強度、熱的特性(熱伝導性)等から、光学的要素を持った電子機器、例えば高性能プロジェクター用部品としての重要性が高まりつつある。これらの次世代パワーデバイスの本格的普及に向けて、基板の大口径化・量産化が進められ、それに伴い、基板加工技術の重要性も増している。その加工プロセスでは、Siと同様に、ウエハに用いる円柱状単結晶(インゴット)をスライスすることで円盤状に切り出す。次に、スライスした円盤状単結晶の表面を平坦化するが、まずは、その表面の粗さを大まかに取り除くため、ラッピング定盤を用いてラッピング加工を行う。その後、円盤状単結晶の表面の平坦性を更に向上させ、かつ、表面の微細な傷を除去して鏡面化するためのポリシング加工を行う。したがって、ラッピング加工により円盤状単結晶表面の平坦性を高め、かつ微細な傷を少なくすることは、その後のポリシング加工に影響を与えるために重要である。
従来、一般的なシリコンウエハ等の研磨加工においては、フェルト状繊維質シートに熱可塑性ポリウレタン樹脂を含浸させた半導体ウエハ研磨用クロスや、発泡ポリウレタン研磨パッド等が用いられている(例えば、特許文献1参照)。また、特に、Siに比べて遙かに硬質であるSiC等の高硬度材料用のラッピング加工としては、銅及び錫等の金属系定盤を用い、その定盤とダイヤモンド砥粒とを組み合わせたラッピング加工(以下、「ダイヤモンドラッピング」ともいう。)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−8178号公報 特開2007−61961号公報
しかしながら、金属系定盤は重いため、取り扱い難く、またダイヤモンド砥粒が埋め込まれる定盤表面の手入れ等、使用後の維持管理に労力を要するという問題点がある。また、Siの研磨加工に用いられる一般的な研磨用クロスをSiC等の加工に採用すると、ラッピングレートが低く、実用的ではないという問題がある。また、SiCの他、サファイアも、ダイヤモンド、SiCに次ぐ修正モース硬度を有しており、薬品に対する耐性が高く、加工が極めて難しい。そのため、一般的なシリコンウエハ等の他、次世代パワー半導体素子材料として期待される材料、特に高硬度の難加工材料のラッピング加工において、特に粒径の小さな砥粒を用いて仕上ラッピング加工する際に取扱い性に優れ、かつ、面品位及びラッピングレートにも優れるラッピング材が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特に仕上ラッピング加工において取扱い性及び維持管理性に優れ、ラッピングレートに優れ、研磨面品位の確保も可能なラッピング材及びその製造方法、並びに、ラッピング材を用いた研磨物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、編地に所定の樹脂を含浸させたラッピング材であれば、上記課題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
経編又は緯編で構成された編地と、該編地に含浸された樹脂と、を有し、
前記樹脂が、第1の樹脂と、当該第1の樹脂とは異なる第2の樹脂と、を含み、
前記第2の樹脂が、エポキシ樹脂を含み、
前記編地を構成する繊維の少なくとも一部が、仮撚糸である
ラッピング材。
〔2〕
前記編地を構成する繊維の表面の少なくとも一部を被覆する第1の樹脂被膜と、
該第1の樹脂被膜の表面の少なくとも一部を被覆する第2の樹脂被膜と、を有し、
前記第1の樹脂被膜が、前記第1の樹脂を含み、
前記第2の樹脂被膜が、前記第2の樹脂を含む、
〔1〕に記載のラッピング材。
〔3〕
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が、150〜300g/eqである、
〔1〕又は〔2〕に記載のラッピング材。
〔4〕
前記第1の樹脂が、ポリウレタン系樹脂を含む、
〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔5〕
前記編地の含有量が、前記編地、前記第1の樹脂、及び前記第2の樹脂の総量に対して、35〜65質量%である、
〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔6〕
前記編地を構成する単糸の数平均直径が、3〜30μmである、
〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔7〕
圧縮率が、2〜7%である、
〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔8〕
圧縮弾性率が、30〜80%である、
〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔9〕
A硬度が、50〜98°である、
〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔10〕
厚さが、0.5〜5.0mmである、
〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のラッピング材。
〔11〕
経編又は緯編で構成された編地に第1の樹脂を含む樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行うことにより、樹脂含浸編地を得る1次含浸工程と、
前記樹脂含浸編地を、前記第1の樹脂が可溶な溶媒を含む浸漬液に浸漬する浸漬工程と、
前記浸漬工程の後の前記樹脂含浸編地を、第2の樹脂を含む樹脂溶液に含浸する2次含浸工程と、を有し、
前記第2の樹脂が、エポキシ樹脂を含む、
ラッピング材の製造方法。
〔12〕
前記第1の樹脂が、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上に可溶である、
〔11〕に記載のラッピング材の製造方法。
〔13〕
前記浸漬工程において用いる前記溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上の溶媒を含む、
〔11〕又は〔12〕に記載のラッピング材の製造方法。
〔14〕
〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のラッピング材を用いて、被研磨物をラッピングするラッピング工程を有する、
研磨物の製造方法。
〔15〕
前記ラッピング工程において、平均粒径0.1〜5μmの砥粒を用いて被研磨物をラッピングする、
〔14〕に記載の研磨物の製造方法。
本発明であれば、取扱い性及び維持管理性に優れ、ラッピングレートに優れ、研磨面品位の確保も可能なラッピング材及びその製造方法、並びに、ラッピング材を用いた研磨物の製造方法を提供することができる。
本実施形態のラッピング材の製造方法における切断工程を示す概念図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔ラッピング材〕
本実施形態のラッピング材は、経編又は緯編で構成された編地と、該編地に含浸された樹脂と、を有し、前記樹脂が、第1の樹脂と、当該第1の樹脂とは異なる第2の樹脂と、を含み、前記第2の樹脂が、エポキシ樹脂を含む。本実施形態のラッピング材は、編地と樹脂とを有するため、金属系定盤と比べて軽く、取扱い性及び維持管理性に優れる。また、驚くべきことに、経編又は緯編で構成された編地を用いることにより、ラッピングレートに優れ、金属系定盤に匹敵するラッピングレートを発揮することができる。
また、本実施形態のラッピング材は、経編又は緯編で構成された編地と、該編地に含浸された樹脂と、を有し、編地の面方向の断面を研磨面として有するものであってもよい。経編又は緯編で構成された編地を面方向に切断された状態で備えることにより、研磨面において、繊維端面が均一に分布し、かつ、繊維の脱離が抑制されたものとなる。そのため、よりラッピングレートに優れ、研磨面品位の確保が可能となる。なお、編地の面方向の断面は、全部が樹脂に被覆されている研磨面であってもよいし、その少なくとも一部が樹脂に被覆されており、樹脂に被覆されていない断面と断面を被覆した樹脂の表面とを研磨面であってもよいし、また、全部が樹脂に被覆されていない研磨面であってもよい。
ところで、ラッピング加工は、粗ラッピング(1次ラッピング)及び仕上げラッピング(2次ラッピング)を含む多段階で行ってもよい。従来、1次ラッピングでは、ラッピング速度を重視する観点から、銅、錫、鋳鉄等の金属定盤とダイヤモンド砥粒を用いた機械的研磨が行われ、2次ラッピングでは、面品位など精度を重視する観点から、所謂CMP研磨に用いられるような樹脂含浸不織布パッドや発泡ウレタン樹脂パッドとダイヤモンド砥粒を用いた機械的研磨が行われる。
本実施形態のラッピング材は、このような1次ラッピング用途及び2次ラッピング用途の両方に用いることができる。特に、編地の編み方を変えることで、必要とされるラッピングレート及び面品位に応じたラッピング材を容易に構成することが可能となる。例えば、経編で構成された編地の表面には比較的に深い凹部が形成される傾向にあり、より高いラッピングレートが要求される1次ラッピングに適するものとなる。また、緯編で構成された編地の表面には比較的に浅い凹部が形成される傾向にあり、被研磨物の研磨面に対してより均一な研磨圧を付加することができるため、より高い面品位など研磨精度が要求される2次ラッピングに適するものとなる。
すなわち、本実施形態のラッピング材は、従来の金属定盤に近いラッピングレートと面品位を達成しつつ、その取扱い性などの観点から有利であるため、従来の1次ラッピング用として金属定盤の代替として用いることが可能であり、また、従来の樹脂含浸不織布パッド等よりも高いラッピングレートと面品位を達成できる点において有利であるため、従来の2次ラッピング用として樹脂含浸不織布パッド等の代替として用いることが可能である。
特に、ラッピング加工後に行うCMP研磨の負荷を減らすという観点からは、仕上げラッピング(2次ラッピング)において、可能な限り高い面品位を達成することが好ましい。面品位を向上させるためには、用いる砥粒の平均粒径を小さくすることが考えられるが、一般的に砥粒の平均粒径を小さくした場合にはランピングレートが低下するという問題がある。これに対して本実施形態のラッピング材においては、後述するように第2の樹脂としてエポキシ樹脂を用いることにより、平均粒径の大きい砥粒を用いる場合に限らず、平均粒径の小さい砥粒を用いた場合であっても、ラッピングレートを比較的に高く維持することができる。これにより、粗ラッピング(1次ラッピング)及び仕上げラッピング(2次ラッピング)においてラッピングレートと面品位をより高いレベルで両立することができる。
ラッピング材の圧縮率は、好ましくは2〜7%であり、より好ましくは2〜6%であり、さらに好ましくは2〜4%である。圧縮率が2%以上であることにより、被研磨物の面品位がより向上し、ラッピング材と被研磨物との密着性がより向上する傾向にある。また、圧縮率が7%以下であることにより、ラッピングレートがより向上し、ラッピング材の変形をより抑制できる傾向にある。なお、圧縮率は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、圧縮率は、例えば、後述の好ましい製造方法において、得られるラッピング材の密度が低くなるように調整することにより、高くなる傾向にある。
ラッピング材の圧縮弾性率は、好ましくは30〜80%であり、より好ましくは35〜75%であり、さらに好ましくは40〜70%である。圧縮弾性率が30%以上であることにより、ラッピングレートがより向上し、ラッピング材の変形をより抑制できる傾向にある。また、圧縮弾性率が低いほど、ラッピング材の研磨面を被研磨物に押圧させた場合に当該部分が被研磨物表面に追従して圧縮され、圧縮された部分は密度が高く相対的に硬くなる。そのため、圧縮弾性率が80%以下であることにより、砥粒がラッピング材の研磨面に埋もれることが抑制され、結果としてラッピングレートがより向上する傾向にある。なお、圧縮弾性率は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、圧縮弾性率は、例えば、後述の好ましい製造方法において、樹脂組成等で調整できる。
ラッピング材のA硬度は、好ましくは50〜98°であり、より好ましくは60〜95°であり、さらに好ましくは70〜95°である。A硬度が50°以上であることにより、ラッピング材の変形をより抑制できる傾向にある。また、A硬度が98°以下であることにより、被研磨物との密着性がより向上する傾向にある。なお、A硬度は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、A硬度は、例えば、後述の好ましい製造方法において、第2の樹脂の含有率を高くすることにより、高くなる傾向にある。
ラッピング材の密度は、好ましくは0.35〜0.70であり、より好ましくは0.35〜0.60であり、さらに好ましくは0.40〜0.60である。密度が0.35以上であることにより、ラッピング材の永久歪み、被研磨物との接触面積の増大による作用点の圧力低下をより抑制できる傾向にある。また、密度が0.70以下であることにより、スラリ保持性がより向上する傾向にある。なお、密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、密度は、例えば、後述の好ましい製造方法において、編地に対する第1の樹脂及び第2の樹脂の含有率を高くすることにより、高くなる傾向にある。
ラッピング材の厚さは、好ましくは0.5〜5.0mmであり、より好ましくは0.5〜3mmであり、さらに好ましくは0.5〜1.5mmである。厚さが0.5mm以上であることにより、被研磨物への追従性がより向上する傾向にある。また、厚さが5.0mm以下であることにより、被研磨物の形状(うねりや端部形状)がより安定する傾向にある。なお、厚さは、実施例に記載の方法により測定することができる。また、厚さは、例えば、編地の編み方を選択することにより、調整することが可能である。
〔編地〕
編地は、経編又は緯編で構成されたものである。不織布に比べ経編又は緯編で構成された編地は、編構造が規則的であるため、ラッピング材の内部構造がより均一化となる。そのため、含浸される樹脂の分布状態も均一化されやすく、ラッピングレートの向上が達成されうる。また、不織布の表面に比べ編地の表面は、規則的な凹凸(節)を有することとなる。この規則的な凹凸の凹部は、例えば砥粒を用いた研磨において、砥粒保持部として作用する。そのため、編地の表面を研磨面として有する態様の場合には、砥粒をより効率よく保持させることが可能となり、ラッピングレートを向上させることができる。また、規則的な凹凸の凸部は砥粒を効果的に作用させることができ、ラッピングレートの向上に寄与し得る。さらに、凹凸の規則的な分布は、より均質な研磨を可能とし、面品位に優れた研磨の達成に寄与し得る。
また、編地の面方向の断面を研磨面として有する態様の場合には、研磨面における繊維端面の分布及びラッピング材の内部構造がより均一となる。そのため、含浸される樹脂の分布状態も均一化されやすく、ラッピングレートの向上が達成されうる。また、規則的な繊維端面の分布は砥粒を効果的に作用させることができ、ラッピングレートの向上に寄与し得る。さらに、規則的な繊維端面の分布は、より均質な研磨を可能とし、面品位に優れた研磨の達成に寄与し得る。
砥粒保持部を形成して作製された金属定盤との比較においては、編地は、わざわざ砥粒保持部を形成するような製造工程を経る必要がないという点、また、編地の編み方の種類や繊維の太さなどを調整することで、任意の大きさ及び分布で砥粒保持部を容易に形成可能であるという点において有利である。その他、編地は、金属定盤と比して軽いため、取扱い性の観点からも有利であり、また製造コストやその維持コストなどの観点からも有利である。
なお、経編としては、特に限定されないが、例えば、シングルトリコット、ダブルトリコット等のトリコット;シングルラッセル、ダブルラッセル等のラッセル;及びミラニーズが挙げられる。経編のなかでも、本発明の効果をより効果的に発揮する観点からラッセルが好ましい。
また、緯編としては、特に限定されないが、例えば、シングル編、ダブル編等の丸編;リブ編、両面編、両頭編等の横編が挙げられる。また、シングル編としては、特に限定されないが、例えば、シンカー台丸編、吊り編、トンプキン編が挙げられる。ダブル編としては、特に限定されないが、例えば、フライス編、スムース編、ダンボール編が挙げられる。緯編のなかでも、本発明の効果をより効果的に発揮する観点から丸編が好ましく、ダンボール編がより好ましい。
また、編地を構成する繊維としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系繊維;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610等のポリアミド系繊維;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維が挙げられる。このなかでも、ポリエステル系繊維が好ましい。
編地を構成する繊維の少なくとも一部は、仮撚糸であることが好ましい。仮撚糸を用いることにより、編地の内部構造は、規則的な編構造を有しつつ、繊維間の空隙が、仮撚糸を用いないものと比べて、撚られた繊維で充填されたような構造を有することとなる。これにより、繊維間の空隙が少なくなり、かつ、樹脂が撚られた繊維中に含浸しやすくなるため、ラッピング材の内部構造においては、編地を構成する繊維と樹脂とがより均一に分布する。その結果として、ラッピング材の内部構造がより均一化され、ラッピングレートがより向上する傾向にある。また、仮撚糸を用いることにより、編地への樹脂の含浸性もより向上する傾向にある。
また、編地の面方向の断面を研磨面として有する態様の場合には、編地を構成する繊維の少なくとも一部として仮撚糸を用いることにより、研磨面の繊維端面の分布及びラッピング材の内部構造において繊維と樹脂とがより均一に分布する。その結果として、断面の繊維端面の分布が直接又は間接的に反映される研磨面の凹凸の分布及びラッピング材の内部構造がより均一化され、ラッピングレートがより向上する傾向にある。また、仮撚糸を用いることにより、編地への樹脂の含浸性もより向上する傾向にある。
また、編地表裏面を主に構成する繊維と、編地の中構造(表裏面の間の構造)を主に構成する繊維の種類が互いに異なっていてもよい。編地表裏面を主に構成する繊維と、編地の中構造を主に構成する繊維の種類は、編み方と繊維の選択により適宜調整することができる。例えば、編地表裏面を主に構成する繊維としては、なま糸を用いることにより、ラッピングレートがより向上し、仮撚糸を用いることにより、面品位がより向上する傾向にある。また、これに対し、編地の中構造を主に構成する繊維として、仮撚糸を用いることにより、上述したとおりラッピング材の内部構造がより均一化され、ラッピングレートがより向上する傾向にある。1次ラッピング等のラッピングレート向上の観点から好ましい組み合わせとしては、編地表裏面を主に構成する繊維がなま糸であり、編地の中構造を主に構成する繊維が仮撚糸である組合せが挙げられる。また、2次ラッピング等の面品位とラッピングレートの両立という観点から好ましい組み合わせとしては、編地表裏面を主に構成する繊維がなま糸であり、編地の中構造を主に構成する繊維がなま糸である組合せ、編地表裏面を主に構成する繊維が仮撚糸であり、編地の中構造を主に構成する繊維が仮撚糸である組合せが挙げられる。
また、編地の面方向の断面を研磨面として有する態様の場合には、例えば、編地の中構造を主に構成する繊維として、仮撚糸を用いることにより、上述したとおり研磨面の繊維端面の分布及びラッピング材の内部構造がより均一化され、ラッピングレートがより向上する傾向にある。
編地を構成する単糸の数平均直径は、好ましくは3〜30μmであり、より好ましくは5〜25μmであり、さらに好ましくは10〜20μmである。編地を構成する単糸の数平均直径が上記範囲内であることにより、編地の製造がより容易となる傾向にある。
編地を構成する単糸繊度は、好ましくは0.1〜10dtexであり、より好ましくは0.3〜6dtexであり、さらに好ましくは0.9〜4dtexである。編地を構成する単糸繊度が上記範囲内にあることにより、編地の製造がより容易となる傾向にある。
編地を構成する繊維繊度は、好ましくは30〜300dtexであり、より好ましくは40〜250dtexであり、さらに好ましくは50〜200dtexである。編地を構成する繊維繊度が上記範囲内にあることにより、編地の製造がより容易となる傾向にある。ここで、「繊維」とは、単糸(モノフィラメント)が複数集合したマルチフィラメントを言う。
編地を構成する繊維あたりのフィラメント数は、好ましくは10〜100であり、好ましくは15〜75であり、好ましくは20〜50である。繊維あたりのフィラメント数が上記範囲内にあることにより、編地の製造がより容易となる傾向にある。
編地を構成する単糸の数平均直径、単糸繊度、繊維繊度、繊維あたりのフィラメント数を上記とすることにより樹脂が均一に編地に含浸され製品寿命やラッピングレート、面品位が向上する傾向にある。
〔樹脂〕
編地に含浸される樹脂としては、第1の樹脂と、当該第1の樹脂とは異なる第2の樹脂と、を用い、第2の樹脂が、エポキシ樹脂を含む。本実施形態のラッピング材においては、編地を構成する繊維の表面の少なくとも一部を被覆する第1の樹脂被膜と、該第1の樹脂被膜の表面の少なくとも一部を被覆する第2の樹脂被膜と、を有し、第1の樹脂被膜が第1の樹脂を含み、第1の樹脂被膜が第1の樹脂を含む態様が好ましい。この態様では、第1の樹脂は、その樹脂自身が有する物理特性のほか、繊維と第2の樹脂とをつなぐ機能も果たし得る。これにより、繊維に対して定着しにくいエポキシ樹脂を繊維表面上に定着させることができる。このような態様を有することにより、ラッピングレート及び研磨面品位がより向上する傾向にある。
編地に含浸される樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。このなかでも、本実施形態の好ましい態様としては、樹脂として、第1の樹脂と、第1の樹脂とは異なる第2の樹脂とを含むことが好ましい。
(第1の樹脂)
第1の樹脂としては、いわゆる湿式凝固可能な樹脂で編地に含浸できるものであれば特に限定されず、種々公知のものを適用できる。そのような樹脂の例としては、以下に限定されないが、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレア等のポリウレタン系樹脂;ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のビニル系樹脂;ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のポリサルホン系樹脂;アセチル化セルロース、ブチリル化セルロース等のアシル化セルロース系樹脂;ポリアミド系樹脂;及びポリスチレン系樹脂が挙げられる。
このなかでも、ポリウレタン系樹脂を含むことが好ましい。ポリウレタン系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。このような樹脂を用いることにより、ラッピングレートがより向上する傾向にある。
なお、「湿式凝固」とは、樹脂を溶解させた樹脂溶液を編地に含浸し、これを凝固液(樹脂に対して貧溶媒である水等。)の槽に浸漬することにより、含浸した樹脂溶液中の樹脂を凝固再生させるものである。樹脂溶液中の溶媒と凝固液とが置換されることにより樹脂溶液中の樹脂が凝集して凝固される。なお、湿式凝固に用いる観点から、第1の樹脂は、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上に可溶であることが好ましい。
第1の樹脂の23±2℃における100%モジュラスは、好ましくは5MPa〜30MPaであり、より好ましくは10MPa〜20MPaである。100%モジュラスは、その樹脂からなるシートを100%伸ばしたとき、すなわち元の長さの2倍に伸ばしたとき、に掛かる荷重を単位面積で割った値である。
第1の樹脂の含有量は、樹脂の総量に対して、好ましくは28〜68質量%であり、より好ましくは35〜55質量%であり、さらに好ましくは40〜50質量%である。第1の樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、面品位がより向上する傾向にある。
(第2の樹脂)
第2の樹脂は、エポキシ樹脂を含み、エポキシ樹脂からなるものであってもよい。エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば、一般に公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。その具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、キシレンノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、t−ブチルカテコール型エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、グリシジルアミン、ブタジエンなどの二重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物、或いはこれらのハロゲン化物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、2エチル4メチルイミダゾール等の硬化触媒を併せて用いることができる。
このなかでも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、t−ブチルカテコール型エポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂を用いることにより、ラッピングレートと面品位をより高いレベルで両立できる傾向にある。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは150〜300g/eqであり、より好ましくは165〜285g/eqであり、さらに好ましくは175〜250g/eqである。エポキシ樹脂のエポキシ当量が上記範囲内であることにより、ラッピングレートと面品位をより高いレベルで両立できる傾向にある。
第2の樹脂の含有量は、樹脂の総量に対して、好ましくは32〜72質量%であり、より好ましくは45〜65質量%であり、さらに好ましくは50〜60質量%である。第2の樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、ラッピングレートと面品位をより高いレベルで両立できる傾向にある。
編地の含有量は、編地、第1の樹脂、及び第2の樹脂の総量に対して、好ましくは35〜65質量%であり、より好ましくは40〜60質量%である。編地の含有量が上記範囲内であることにより、ラッピングレートがより向上する傾向にある。
なお、編地、第1の樹脂、及び第2の樹脂の各含有量は、極性溶媒への溶解性(極性)の差や、アミン分解性の差を利用して、溶出する成分の質量又は残渣の質量より、求めることができる。また、後述する1次含浸工程後のラッピング材の密度と、後述する浸漬工程後のラッピング材の密度と、後述する2次含浸工程後のラッピング材の密度と、をそれぞれ測定し、密度差から算出することもできる。なお、密度の測定は上記と同様にして測定できる。
〔その他の成分〕
ラッピング材は、上述の編地及び樹脂の他、目的に応じて、通常のラッピング材に含まれ得る各種添加剤を含んでもよい。そのような添加剤としては、以下に限定されないが、例えば、カーボンブラック等の顔料またはフィラー、親水性添加剤、及び疎水性添加剤が挙げられる。特に、後述する製造方法において、一般的に低い粘度を有するエポキシ樹脂を増粘させて、より均一に繊維表面に付着させる観点から、第2の樹脂はフィラーが混合された状態で用いてもよい。
親水性添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩のようなアニオン界面活性剤;親水性のエステル系化合物、エーテル系化合物、エステル・エーテル系化合物、アミド系化合物のようなノニオン界面活性剤が挙げられる。
また、疎水性添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルのような炭素数3以上のアルキル鎖が付加したノニオン系界面活性剤が挙げられる。
さらには、ラッピング材には、その製造過程において用いられた溶媒などの各種の材料が、残存していてもよい。
〔ラッピング材の製造方法〕
本実施形態のラッピング材の製造方法は、経編又は緯編で構成された編地に第1の樹脂を含む樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行うことにより、樹脂含浸編地を得る1次含浸工程と、樹脂含浸編地を、第1の樹脂が可溶な溶媒を含む浸漬液に浸漬する浸漬工程と、浸漬工程の後の樹脂含浸編地を、第2の樹脂を含む樹脂溶液に含浸する2次含浸工程と、を有し、第2の樹脂が、エポキシ樹脂を含む。
〔1次含浸工程〕
1次含浸工程は、編地に第1の樹脂を含む樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行うことにより、樹脂含浸編地を得る工程である。編地に樹脂溶液を含浸させた上で湿式凝固法を用いる場合、凝固液中では、編地の繊維に付着している樹脂溶液の表面で樹脂溶液の溶媒と凝固液との置換の進行により樹脂が繊維の表面に凝固再生される。
上記1次含浸工程の具体例としては、次のとおりである。まず、上述したような第1の樹脂と、当該第1の樹脂を溶解可能であって、後述の凝固液に混和する溶媒と、必要に応じてその他の添加剤とを混合し、更に必要に応じて減圧下で脱泡して樹脂溶液を準備する。上記溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、メチルエチルケトン(MEK)及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上の溶媒を含むことが好ましい。樹脂に対する良溶媒を選択する観点、さらに凝固浴に対して均一に混和させて湿式凝固をより容易にする観点から、第1の樹脂が、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上の溶媒に可溶であることが好ましい。
編地の全体に亘って樹脂を含浸する観点、及び、樹脂の含浸量を十分に確保する観点から、上記樹脂溶液について、B型回転粘度計を用いて20℃で測定した粘度は、好ましくは8000cP(センチポアズ)以下であり、より好ましくは100cP〜5000cPであり、さらに好ましくは400cP〜3000cPである。そのような粘度の数値範囲にある樹脂溶液を得る観点から、例えば、ポリウレタン樹脂を、樹脂溶液の全体量に対して5〜25質量%の範囲、より好ましくは8〜20質量%の範囲で溶媒に溶解させてもよい。樹脂溶液の粘性は、用いる樹脂の種類及び分子量にも依存するため、これらを総合的に考慮し、樹脂の選定、濃度設定等を行うことが好ましい。
次に、樹脂溶液に編地を十分に浸漬した後、樹脂溶液が付着した編地から、1対のローラ間で加圧可能なマングルローラを用いて樹脂溶液を絞り落とすことで、樹脂溶液の編地への付着量を所望の量に調整し、編地に樹脂溶液を均一又は略均一に含浸させる。次いで、樹脂溶液を含浸した編地を、樹脂に対する貧溶媒、例えば、水を主成分とする凝固液中に浸漬することにより、樹脂(以下、湿式凝固する樹脂を「湿式樹脂」という。)を凝固再生させる。凝固液には、樹脂の再生速度を調整するために、樹脂溶液中の溶媒以外の極性溶媒等の有機溶媒を添加してもよい。また、凝固液の温度は、樹脂を凝固できる温度であれば特に限定されず、例えば、15〜60℃であってもよい。
本実施形態において、上述の湿式凝固を行ったのち、以下のような洗浄・乾燥工程に供することが好ましい。まず、湿式樹脂が凝固再生された編地を水等の洗浄液中で洗浄し、編地中に残存するDMF等の溶媒を除去する。洗浄後、編地を洗浄液から引き上げ、マングルローラ等を用いて余分な洗浄液を絞り落とす。その後、編地基材を、100℃〜150℃の乾燥機中で乾燥させてもよい。また、上記乾燥の後、得られる樹脂含浸編地をさらにスライス、バフ等による加工に供し、表層のスキン層を除去し、所定の厚さにすることが、次工程の浸漬工程の均一性を高める観点から好ましい。
〔浸漬工程〕
浸漬工程は、樹脂含浸編地を、第1の樹脂が可溶な溶媒を含む浸漬液に浸漬することで、当該湿式樹脂を溶媒に部分的に再溶解させる工程である。浸漬工程により、樹脂含浸編地内部の気泡(例えば閉気孔及び開口部の小さい開気孔)が減少し、編地と湿式樹脂との密着性が向上すると考えられる。浸漬工程に用いる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、メチルエチルケトン(MEK)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。また、浸漬させる際の温度条件としては、第1の樹脂の気泡を減少させ、かつ、溶媒への樹脂の溶出を防止する観点から、15.0〜25.0℃であることが好ましく、浸漬時間としては、同様の観点から、5〜30秒であることが好ましい。なお、上述の浸漬工程の後に、乾燥工程を設けることが好ましい。
〔切断工程〕
編地の面方向の断面を研磨面として有する態様の場合には、浸漬工程後の樹脂含浸編地を、編地の面方向に切断する切断工程を有していてもよい。切断工程により、研磨面として編地の面方向に切断された断面を形成することができる。図1に、切断工程の概念図を示す。図1は、浸漬工程後の樹脂含浸編地1を、編地の面方向に切断したときの断面図である。図1に示すように、本実施形態においては、編地を面方向に切断して研磨面2(2次含浸前)を作成する。研磨面2は、面方向に繊維の端面が均一に分布する。また、研磨面2において繊維の端面2’は露出している必要はなく、続く2次含浸工程等により、研磨面が樹脂で覆われていてもよい。
なお、切断方法は特に制限されず、バンドナイフなどを用いて切断することができる。
〔2次含浸工程〕
2次含浸工程は、浸漬工程の後の樹脂含浸編地を、第2の樹脂を含む樹脂溶液に含浸する工程である。なお、第2の樹脂はエポキシ樹脂を含む。2次含浸工程により、上述した湿式樹脂の表面に樹脂(以下、この樹脂を「乾式樹脂」ともいう。)が形成されるものと推測される。
2次含浸工程の具体例としては、まず、エポキシ樹脂と、必要に応じてフィラー及び/又は溶媒とを含む樹脂溶液を準備する。ここで、エポキシ樹脂、フィラー、及び溶媒は、上記で例示したものと同様のものを用いることができる。
次に、上記溶液に浸漬工程の後の樹脂含浸編地を浸漬した後、溶液が付着した樹脂含浸編地から、1対のローラ間で加圧可能なマングルローラを用いて溶液を絞り落とすことで、溶液の樹脂含浸編地への付着量を所望の量に調整し、樹脂含浸編地に溶液を均一又は略均一に含浸させる。次いで、溶液を含浸させた樹脂含浸編地を乾燥機内で乾燥させる。これにより、エポキシ樹脂を硬化させて、樹脂含浸編地に乾式樹脂を含浸させた本実施形態のラッピング材が得られる。乾燥温度としては、例えば70℃〜170℃であってもよい。更に、ラッピング材の厚さをより均一にするためラッピング材の切断面又は切断面の反対面の少なくとも一方をバフィングしてもよい。
上述した1次含浸工程、浸漬工程及び2次含浸工程を経ることで、本実施形態の所望の構成を有するラッピング材が得られる。このラッピング材は、以下に説明する内容に限定する趣旨ではないが、次のような構成を有しているものと推察される。すなわち、1次含浸工程を経ることで、編地の表面に湿式樹脂が形成される。特に、1次含浸工程では湿式凝固を採用することにより、湿式樹脂が編地内で均一付着する。ただし、この段階では、得られる樹脂含浸編地の樹脂内部において、湿式凝固法に由来する微細な気泡が多く、編地と湿式樹脂との密着性及び強度は十分とはいえない。次いで、浸漬工程を経ることで、湿式樹脂の微細な気泡に浸漬溶液が充填され、乾燥による加温により湿式樹脂が再溶解し、樹脂含浸編地内部の微細な気泡(例えば閉気孔及び開口部の小さい開気孔)が減少すると共に、編地に含浸している樹脂(湿式樹脂)が繊維周辺で高密度化するので、編地の繊維と湿式樹脂との密着性が向上するとともに強度が向上する。また、微細気泡が減少することで、2次含浸工程における乾式樹脂の含浸の均一化や強度向上につながる。さらに、2次含浸工程を経ることで、編地繊維上の湿式樹脂の層の表面に、さらに乾式樹脂の層が形成される。
本実施形態によると、浸漬工程において、気泡が減少するため、2次含浸工程において含浸可能な空隙が確保されるとともに通気性が改善され、乾式樹脂が浸入し難い箇所が少なくなり、乾式樹脂の存在する領域が増加する。そのため、乾式樹脂が均一に含浸することができる。また、編地に直接付着していない部分の湿式樹脂が減少するため、研磨の際にラッピング材内の樹脂の剥離が抑制され、寿命を長くすることができる。このように、本実施形態のラッピング材においては、編地を基材とし、当該編地上に湿式樹脂の層が形成され、当該湿式樹脂の層上に乾式樹脂の層が形成されるものと推察される。また、ラッピング材の全体としては、編地と湿式樹脂の層との間の密着性及び湿式樹脂の層と乾式樹脂の層との密着性は、いずれも良好であるものと推察される。上記の観点から、本実施形態のラッピング材は、十分な強度を確保することができるものと考えられる。
上述のようにして得られたラッピング材は、その後、必要に応じて、円形等の所望の形状、寸法に裁断されてもよく、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を施されてもよい。
また、得られたラッピング材は、その表面が研磨面となるが、そのラッピング材を用いて被研磨物(以下、「ワーク」ともいう。)を研磨する場合、予め、ラッピング材の研磨面とは反対側の面に、研磨機の研磨定盤にラッピング材を貼着するための両面テープ(粘着層及び剥離紙を備えるもの)を貼り合わせてもよい。
〔研磨物の製造方法〕
本実施形態の研磨物の製造方法は、上記ラッピング材を用いて、被研磨物をラッピングするラッピング工程を有する方法であれば、特に限定されない。ラッピング工程は、1次ラッピング研磨(粗ラッピング)であってもよく、2次ラッピング(仕上げラッピング)であってもよく、それら両方の研磨を兼ねるものであってもよい。
被研磨物としては、特に限定されないが、例えば、半導体デバイス、電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、SiC(炭化珪素)基板、GaAs(ガリウム砒素)基板、ガラス、ハードディスクやLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の薄型基板(被研磨物)が挙げられる。このなかでも、本実施形態の研磨物の製造方法は、パワーデバイス、LEDなどに適用され得る材料、例えば、サファイア、SiC、GaN、及びダイヤモンドなど、研磨加工の困難な難加工材料の製造方法として好適に用いることができる。
ラッピング方法としては、従来公知の方法を用いることができ、特に限定されない。以下、砥粒の存在下、ラッピング材により被研磨物にラッピング加工を施す方法を例に説明する。
ラッピング方法は、ラッピング加工前に、ラッピング材に砥粒を埋め込む、砥粒埋め込み工程を有することが好ましい。砥粒埋め込み工程では、砥粒を、ラッピング材の研磨面Sとなる面側から、ラッピング材に埋め込む。埋め込む方法としては、例えば、ラッピング材の上記表面に砥粒を所望の量となるように散布した後、ラッピング材の上記表面上に載置された砥粒をラッピング材の方に向けて所定の圧力で押圧して、砥粒を埋め込む(チャージングする)方法が挙げられる。押圧するのに用いられる手段としては、例えば、リテーナリングが挙げられる。砥粒の散布は、砥粒を単独で散布してもよいが、複数の砥粒同士が凝集するのを防ぐ観点から、砥粒を分散剤に分散させた状態で塗布することで散布するのが好ましい。分散剤としては、通常のダイヤモンド砥粒分散液やダイヤモンド砥粒を含む研磨スラリに用いられる液であればよく、例えばグリセリンと水との混合液が挙げられる。
また、砥粒埋め込み工程は、ラッピング材を用いて被研磨物にラッピング加工を施す前に設けてもよいが、上記ラッピング加工の工程の際に設けてもよい。砥粒の埋め込みをラッピング加工と共に行う場合、砥粒を含む研磨スラリをラッピング材上に供給しながら、被研磨物によってラッピング材上の砥粒をラッピング材の方に押圧することによって埋め込むことができる。
砥粒は、予めラッピング材の研磨面Sに埋め込まれているが、それに加えて、ラッピング加工の際に新たに供給され、ラッピング材の研磨面に埋め込まれたものであってもよく、遊離しているもの(ラッピング材の研磨面に埋め込まれることなく遊離しているもの、及び/又は、一旦研磨面に埋め込まれていたが、その後遊離したもの)であってもよい。これらの結果、研磨表面のみに研削力の高い状態でダイヤモンド砥粒を密に固定化することができ、ラッピングレートを上げつつ、被研磨物の表面品質も上げることができる。
ラッピング方法では、まず、ラッピング装置の所定位置にラッピング材を装着する。この装着の際には、上述の粘着層を介して、ラッピング材がラッピング装置に固定されるよう装着される。そして、ラッピング定盤としてのラッピング材と対向するように配置された保持定盤に保持させた被研磨物を研磨面側へ押し付けると共に、外部からダイヤモンド砥粒を含む研磨スラリを供給しながら、ラッピング材及び/又は保持定盤を回転させる。これにより、ラッピング材と被研磨物との間に供給され、ラッピング材に埋め込まれた砥粒の作用で、被研磨物の加工面(被研磨面)にラッピング加工を施す。
研磨スラリは、好ましくは、ダイヤモンド砥粒と、それを分散する分散剤とを含む。研磨スラリにおけるダイヤモンド砥粒の含有割合は特に限定されないが、ラッピング加工をより有効に行うと共に、被研磨物における加工変質層が厚くなるのを抑制する観点から、研磨スラリの全体量に対して0.01〜1.0質量%であると好ましい。また、ダイヤモンド砥粒の平均粒径は0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.2〜3μmが更に好ましく、0.3〜2μmが特に好ましい。ダイヤモンド砥粒の平均粒径が上記範囲内にあることにより、ラッピングレートをより向上すると共に、ワーク表面におけるスクラッチの発生をより抑制することができる。
分散剤としては、例えば、水及び有機溶媒が挙げられ、被研磨物の変質をより抑制する観点から、有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、炭化水素が好ましく、高沸点を有する炭化水素がより好ましい。炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、芳香族系炭化水素及び脂環式炭化水素が挙げられる。高沸点を有する炭化水素としては、例えば、初留点220℃以上の石油系炭化水素が挙げられる。溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、溶媒には、必要に応じて、その他の添加剤が含まれていてもよい。そのような添加剤としては、例えば非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド及びカルボン酸等が挙げられる。
なお、ラッピング加工時にラッピング材と被研磨物との間の摩擦に伴う温度上昇を抑制する観点から、砥粒を含まず、添加剤を含んでもよい溶媒をラッピング材の研磨面に適宜供給してもよい。用いる有機溶媒及び添加剤の例としては上記のものが挙げられる。
被研磨物は、従来、ラッピング加工を施されるものであれば特に限定されず、例えば、半導体ウエハ、磁気ディスク及び光学ガラス等が挙げられる。これらの中では、本実施形態のラッピング材による作用効果をより有効に活用できる観点から、半導体ウエハが好ましく、SiC基板、サファイア基板、ダイヤモンド基板又はGaN基板が好ましい。その材質としては、SiC単結晶及びGaN単結晶等の難削材が好ましいが、サファイア、窒化珪素、窒化アルミニウム、ダイヤモンドの単結晶などであってもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔A硬度〕
バネを介して厚さ4.5mm以上の試験片表面に押針(測定子)を押し付け30秒後の押針の押し込み深さから、ラッピング材のA硬度を測定した。測定装置としては、デュロメータ タイプAを用いた。これを3回行って相加平均からA硬度を求めた。具体的には、ラッピング材を10cm×10cmに切り出し、試料片とし、厚さ4.5mm以上になるように複数枚重ねて測定した。
〔圧縮率及び圧縮弾性率〕
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、ラッピング材の圧縮率及び圧縮弾性率を測定した。具体的には、初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0を測定し、次に最終荷重のもとで5分間放置後の厚さt1を測定した。全ての荷重を除き、1分間放置後、再び初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0’を測定した。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2であった。圧縮率は、下記数式(1)で算出し、圧縮弾性率は、下記数式(2)で算出した。
数式(1):圧縮率(%)=(t0−t1)/t0×100
数式(2):圧縮弾性率(%)=(t0’−t1)/(t0−t1)×100
〔厚さ〕
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、ラッピング材の厚さを測定した。具体的には、ラッピング材を10cm×10cmに切り出した試料片3枚用意し、各試料片毎に、厚さ測定器の所定位置にセットした後、480g/cm2の荷重をかけた加圧面を試料片の表面に載せ、5秒経過後に厚さを測定した。1枚の試料片につき、5箇所の厚さを測定し相加平均を算出し、さらに3枚の試料片の相加平均を求めた。
〔密度〕
ラッピング材を10cm×10cmに切り出し、試料片とし、その質量を測定し、上記サイズから求めた体積と上記質量から、ラッピング材の密度(かさ密度)(g/cm3)を算出した。
〔ラッピング加工試験〕
ラッピング材を両面ラッピング装置の所定位置にアクリル系接着剤を有する両面テープを介して設置し、被研磨物としての2インチの6H−SiC n型ウエハに対して、下記条件にてラッピング加工を施すラッピング加工試験を行った。なお、ラッピング加工試験の際には、まず、ダイヤモンド砥粒(多結晶、平均粒径:0.5μm又は3μm)0.1質量%と水及びグリセリンの混合液(分散剤)とからなる分散液を、ラッピング材の表面に滴下しながら、SUS製キャリヤで所定時間押圧しダイヤモンド砥粒をラッピング材に埋め込んでから、ラッピング加工を実施した。
(ラッピング条件)
使用したラッピング装置の定盤サイズ:直径935mm
定盤回転数:10rpm
加工圧力:278g/cm2
ラッピング加工時間:1時間
(ラッピングレート)
ラッピングレート(単位:μm/hr)は、上記ラッピング加工前後の被研磨物の質量減少から求めた研磨量、被研磨物の研磨面積及び比重から、ラッピングにより除去された厚さを算出し、時間当たりの除去された厚さとして評価した。
(面品位)
上記ラッピング加工試験後の被研磨物5枚について、被研磨面のスクラッチを目視にて確認した。スクラッチの確認結果に基づいて、下記評価基準により面品位を評価した。
◎: スクラッチ等の欠陥が全く見られなかった
○: スクラッチ等の欠陥がほとんど見られなかった
△: スクラッチ等の欠陥が複数認められた
〔編地〕
ポリエチレンテレフタレート繊維により構成される編地Aを用意した。下記表1に編地Aの構成を記載する。なお、編地Aの表裏面を構成する繊維と、編地の中構造(表面と裏面の間)を構成する繊維とを分けて記載する。
Figure 0006912239
編地Aは、F1〜F6の給糸口を有する丸編機で編成された、下記編地組織よりなる丸編地(段ボールニット)である。
F1:タック(奇数番号のシリンダー針と偶数番号のダイヤル針とのタック組織(次編成と編成かぶり))
F2:ダイヤル半(シリンダーは編成せずに奇数番号のダイヤル針のみ編成)
F3:シリンダー半(ダイヤルは編成せずに偶数番号のシリンダー針のみ編成)
F4:タックニット(F1の逆で、偶数番号のシリンダー針と奇数番号のダイヤル針とのタック組織)
F5:ダイヤル半(F2の逆で、シリンダーは編成せずに偶数番号のダイヤル針のみ編成)
F6:シリンダー半(F3の逆で、ダイヤルは編成せずに偶数番号のシリンダー針のみ編成)
〔実施例1〕
(1次含浸工程)
ポリカーボネート系ウレタン樹脂(DIC社製、商品名「クリスボンS705」)56.7質量部と、N,N−ジメチルホルムアミド43.3質量部と、を混合し、樹脂溶液を調製した。得られた樹脂溶液に編地Aを浸漬させ、マングルローラを用いて余分な樹脂溶液を絞り落とすことで、編地Aに樹脂溶液を略均一に含浸させた。次いで、18℃の水からなる凝固液中に編地Aを浸漬することにより、1次含浸樹脂を凝固再生させて樹脂含浸編地を得た。その後、樹脂含浸編地を凝固液から取り出して乾燥させ、樹脂含浸編地を得た。
(浸漬工程)
次いで、N,N−ジメチルホルムアミドと純水とを65対35で混合した浸漬溶媒に、上記で得られた樹脂含浸編地を浸漬した。その後、乾燥を行い、浸漬工程後の樹脂含浸編地を得た。
(切断工程)
得られた浸漬工程後の樹脂含浸編地を、バンドナイフタイプのスライサーを用いて上下の厚さが均等になるように面方向に切断(スライス)した。
(2次含浸工程)
さらに、エポキシ樹脂(DIC社製、商品名「EPICLON850−S」、エポキシ当量:183〜193g/eq)19質量部と、テトラヒドロフタル酸無水物(DIC社製、商品名「EPICLONB−570−H」、酸無水物当量:166g/eq)17質量部とN,N−ジメチルホルムアミド19質量部、メチルエチルケトン45質量部と、を混合し、樹脂溶液を調製した。得られた樹脂溶液に、浸漬工程後の樹脂含浸編地を浸漬した。その後、洗浄・乾燥を行い、厚さ調整のため切断面側をバフィングし、実施例1のラッピング材を得た。ラッピング材全体に対して、編地含有量は51質量%であった。得られたラッピング材を、切断面の反対面を研磨面として用いて、平均粒径0.5μmのダイヤモンド砥粒を使用する条件でラッピング加工試験を行った。なお、上記のエポキシ当量は、JIS K 7236(2009)に準拠して測定した。なお、各加工工程前後の重量から、第1の樹脂と第2の樹脂の総量に対する、第1の樹脂の含有量は、44.5質量%と算出され、第2の樹脂の含有量は、55.5質量%と算出された。
〔実施例2〕
実施例1のラッピング材を用いて、平均粒径3μmのダイヤモンド砥粒を使用する条件でラッピング加工試験を行った。
〔比較例1〕
浸漬工程までは、実施例1と同様にして、浸漬工程後の樹脂含浸編地を得た。
(2次含浸工程)
さらに、ウレタンプレポリマー(DIC社製、商品名「パンデックスTM363」、NCO当量:286g/eq)24.11質量部と、硬化剤(DIC社製、商品名「パンデックスE」)10.91質量部とN,N−ジメチルホルムアミド60.04質量部と、を混合し、樹脂溶液を調製した。得られた樹脂溶液に、浸漬工程後の樹脂含浸編地を浸漬した。その後、洗浄・乾燥を行い、実施例1のラッピング材を得た。ラッピング材全体に対して、編地含有量は37質量%であった。得られたラッピング材を、切断面の反対面を研磨面として用いて、平均粒径0.5μmのダイヤモンド砥粒を使用する条件でラッピング加工試験を行った。なお、上記のNCO当量は、JIS K 7301(1995)に準拠して測定した(以下同様)。
〔比較例2〕
比較例1のラッピング材を用いて、平均粒径3μmのダイヤモンド砥粒を使用する条件でラッピング加工試験を行った。
〔実施例3〕
実施例1のラッピング材を、切断面を研磨面として用いて、平均粒径0.5μmのダイヤモンド砥粒を使用する条件でラッピング加工試験を行った。
〔比較例3〕
比較例1のラッピング材を、切断面を研磨面として用いて、平均粒径0.5μmのダイヤモンド砥粒を使用する条件でラッピング加工試験を行った。
〔実施例4〕
2次含浸工程で調製する樹脂溶液に、ヒュームドシリカ(日本アエロジル社製:アエロジルRY200S)2質量部をさらに添加したこと以外は、実施例1と同様にして、ラッピング材を得た。得られたラッピング材を、切断面と反対面を研磨面として用いて、平均粒径3μmのダイヤモンド砥粒を使用する条件でラッピング加工試験を行った。
表2に、上記実施例及び比較例で得られた各ラッピング材の硬度、圧縮率、圧縮弾性率、厚さ、密度を示す。また、ラッピングレート及び面品位の評価結果を示す。
Figure 0006912239
※DMP:ダイヤモンドメカニカルポリッシング
本発明は、ラッピング材、特に難削材用のラッピング材として産業上の利用可能性を有する。

Claims (15)

  1. 経編又は緯編で構成された編地と、該編地に含浸された樹脂と、を有し、
    前記樹脂が、第1の樹脂と、当該第1の樹脂とは異なる第2の樹脂と、を含み、
    前記第2の樹脂が、エポキシ樹脂を含み、
    前記編地を構成する繊維の少なくとも一部が、仮撚糸である、
    ラッピング材。
  2. 前記編地を構成する繊維の表面の少なくとも一部を被覆する第1の樹脂被膜と、
    該第1の樹脂被膜の表面の少なくとも一部を被覆する第2の樹脂被膜と、を有し、
    前記第1の樹脂被膜が、前記第1の樹脂を含み、
    前記第2の樹脂被膜が、前記第2の樹脂を含む、
    請求項1に記載のラッピング材。
  3. 前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が、150〜300g/eqである、
    請求項1又は2に記載のラッピング材。
  4. 前記第1の樹脂が、ポリウレタン系樹脂を含む、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のラッピング材。
  5. 前記編地の含有量が、前記編地、前記第1の樹脂、及び前記第2の樹脂の総量に対して、35〜65質量%である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のラッピング材。
  6. 前記編地を構成する単糸の数平均直径が、3〜30μmである、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のラッピング材。
  7. 圧縮率が、2〜7%である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のラッピング材。
  8. 圧縮弾性率が、30〜80%である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のラッピング材。
  9. A硬度が、50〜98°である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のラッピング材。
  10. 厚さが、0.5〜5.0mmである、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のラッピング材。
  11. 経編又は緯編で構成された編地に第1の樹脂を含む樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行うことにより、樹脂含浸編地を得る1次含浸工程と、
    前記樹脂含浸編地を、前記第1の樹脂が可溶な溶媒を含む浸漬液に浸漬する浸漬工程と、
    前記浸漬工程の後の前記樹脂含浸編地を、第2の樹脂を含む樹脂溶液に含浸する2次含浸工程と、を有し、
    前記第2の樹脂が、エポキシ樹脂を含む、
    ラッピング材の製造方法。
  12. 前記第1の樹脂が、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上に可溶である、
    請求項11に記載のラッピング材の製造方法。
  13. 前記浸漬工程において用いる前記溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上の溶媒を含む、
    請求項11又は12に記載のラッピング材の製造方法。
  14. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のラッピング材を用いて、被研磨物をラッピングするラッピング工程を有する、
    研磨物の製造方法。
  15. 前記ラッピング工程において、平均粒径0.1〜5μmの砥粒を用いて被研磨物をラッピングする、
    請求項14に記載の研磨物の製造方法。
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