JP2019155578A - 保持具及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨加工後の被研磨物表面に発生するスクラッチを抑制することができる保持具及びその製造方法を提供すること。【解決手段】保持シートと、研磨加工時に被研磨物が保持シートから飛び出るのを防止するために前記保持シート上に固定されている枠材とを含む、研磨加工時に被研磨物を保持するための保持具であって、前記枠材は樹脂及び1種以上の繊維を含み、前記枠材の研磨パッドと対向する面には繊維が露出しており、前記研磨パッドと対向する面に露出した繊維の伸度が10%以上である、前記保持具。【選択図】図1

Description

本発明は保持具及びその製造方法に関する。
従来、半導体デバイス、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板等の材料(被研磨物)では、高精度な平坦性が要求されるため、研磨パッドを使用した研磨加工が行われている。通常、これらの被研磨物の研磨加工には、被研磨物を片面ずつ研磨加工する片面研磨機が使用されている。この片面研磨機では、被研磨物が保持用定盤に保持され、研磨用定盤に装着された研磨パッドで研磨加工される。研磨加工時には、研磨粒子を含む研磨液が循環されつつ供給される。
一般に、片面研磨機を使用した研磨加工では、被研磨物が金属製の保持用定盤と直接接触することで生じる被研磨物のスクラッチ(キズ)等を抑制するため、保持用定盤に軟質クロス等の保持パッドが装着される。しかしながら、保持パッドの装着によりスクラッチ等を回避することはできるものの、保持パッドと被研磨物との間の粘着性や静摩擦が不十分なとき、すなわち、保持パッドの被研磨物保持性が不十分なときは、研磨加工中に被研磨物の横ずれが生じるため、被研磨物を平坦に研磨加工することが難しくなる。この横ずれを抑制するため、被研磨物を挿入できる構造(貫通穴)を有する枠材を保持シート上に貼り付けた保持具が用いられている。保持具では、貫通穴に被研磨物を挿入して研磨加工が行われ、研磨加工後に被研磨物が保持具から取り外される。
このような保持具として、特許文献1には、保持シートの保持面が枠材に形成された貫通穴の直径に対するたわみ量の比で表されるたわみ率を0〜0.60%とすることにより、被研磨物の平坦性を高めることができる保持具の発明が開示されている。特許文献2には、枠材をラッピング加工又は研磨することにより、枠材の厚みを被研磨物の厚みに近づけて被研磨物の表面形状の部分的な悪化を抑えることができる保持具の発明が開示されている。特許文献3には、枠材表面にフィラーまたは織布を露出させることで微細な凹部を形成させた保持具の発明が開示されている(特許文献3)。
特開2017−087328号公報 特許第5169321号公報 特許5870960号公報
特許文献1及び特許文献2の保持具は、枠材としてガラスエポキシ基板が使用されている(実施例)。ガラスエポキシ基板は、熱硬化性のエポキシ樹脂を溶媒で希釈してガラス繊維を平織したガラスクロスに樹脂を含浸させた後、これを乾燥して樹脂を半硬化状態としたプリプレグを複数枚重ねて加熱加圧して積層成形し完全硬化状態としたものである。また、特許文献3では、フィラーまたは織布としてガラス製フィラー又はガラス繊維クロスが使用されている(実施例)。
しかしながら、ガラスエポキシ基板からなる枠材を用いて、研磨パッドに対して枠材と被研磨物とが略面一となるように研磨加工すると、枠材表面に存在するガラス繊維により被研磨物表面にスクラッチが発生してしまうという問題があった。同様に、ガラス製フィラー又はガラス繊維クロスを枠材表面に露出させた状態で、研磨パッドに対して枠材と被研磨物とが略面一となるように研磨加工すると、表面に存在するガラス繊維の端面により被研磨物表面にスクラッチが発生するという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、被研磨物を保持して研磨加工を行う場合に被研磨物表面に生じるスクラッチを抑制することができる保持具を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に対し鋭意検討した結果、枠材の研磨パッドと対向する面に露出している繊維の伸度を所定範囲内とすることにより、当該保持具を用いて被研磨物を保持しつつ研磨加工を行う場合に被研磨物にスクラッチが発生するのを抑制することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下を提供する。
〔1〕 被研磨物の裏面を保持する保持シートと、
前記保持シート上に固定されており且つ研磨加工時に被研磨物の側部を保持する枠材と
を含む、被研磨物の研磨加工時に被研磨物を保持するための保持具であって、
前記枠材は樹脂及び1種以上の繊維を含み、
前記枠材の研磨パッドと対向する面には繊維が露出しており、
前記研磨パッドと対向する面に露出した繊維の伸度が10%以上である、前記保持具。
〔2〕 前記研磨パッドと対向する面に露出した繊維の伸度が10〜60%である、〔1〕に記載の保持具。
〔3〕 前記枠材の研磨パッドと対向する面に露出している繊維が、有機繊維である、〔1〕又は〔2〕に記載の保持具。
〔4〕 前記研磨パッドと対向する面に露出している繊維が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、及びポリビニル系繊維から選択される少なくとも1種の有機繊維である、〔1〕又は〜〔3〕のいずれか1項に記載の保持具。
〔5〕 前記研磨パッドと対向する面に露出している繊維が、ポリエチレンテレフタレート繊維である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の保持具。
〔6〕 前記樹脂が、エポキシ樹脂である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の保持具。
〔7〕 前記枠材が、熱溶着性接着剤を介して保持シート上に固定されている、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の保持具。
〔8〕 前記熱溶着性接着剤が、熱可塑性ポリウレタン樹脂である、〔7〕に記載の保持具。
〔9〕 前記枠材は、繊維基材に樹脂を含浸させて得られるプリプレグを積層してなる積層体である、〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の保持具。
〔10〕 前記積層体の最外層が有機繊維を含み、且つ前記積層体の最外層を除く内部層がガラス繊維及び炭素繊維から選択される少なくとも1種の無機繊維を含む、〔9〕に記載の保持具。
〔11〕保持シート、及び表面に繊維が露出した枠材を用意する工程、及び
前記繊維が露出している枠材表面が研磨加工時に研磨パッドと対向するように、前記枠材を前記保持シート上に固定する工程を含む、〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の保持具の製造方法。
〔12〕 〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の保持具を用いて被研磨物を保持しながら被研磨物を研磨する工程を有する、被研磨物の研磨方法。
本発明の保持具は、従来の保持具に比べて、研磨加工後の被研磨物表面に発生するスクラッチを抑制することができる。
図1は、本発明の保持具を示す模式断面図である。 図2は、本発明の保持具を示す模式図である。 図3は、本発明の保持具により被研磨物を保持しているときの模式断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
<<保持具>>
本発明の保持具は、被研磨物の裏面を保持する保持シートと、前記保持シート上に固定されており且つ研磨加工時に被研磨物の側部を保持する枠材とを含む、被研磨物の研磨加工時に被研磨物を保持するための保持具であって、前記枠材は樹脂及び1種以上の繊維を含み、前記枠材の研磨パッドと対向する面には繊維が露出しており、前記研磨パッドと対向する面に露出した繊維の伸度が10%以上である、前記保持具である。以下、図1〜3を参照しつつ、本発明の保持具を説明する。
<伸度>
本明細書及び特許請求の範囲において、繊維の伸度とは、繊維試料を伸長させて破断した時の試料長(L1)及び伸長させる前の試料長(初期試料長)(L0)を用いて、下記式により求められる値である。
伸度(%)=(L1-L0)/L0×100
伸度は、JIS L 1013に基づき定速伸長型引張試験機であるオリエンテック(株)社製テンシロンにより測定することができる。
本発明の保持具は、枠材の研磨パッドと対向する面に露出している繊維の伸度が10%以上である。当該伸度は、10〜60%であることが好ましく、10〜50%であることがより好ましく、12〜40%であることがさらにより好ましく、15〜30%であることが特に好ましい。
伸度が上記範囲内であることにより、本発明の保持具を用いて被研磨物を保持しつつ研磨加工を行った際に生じるスクラッチの発生を抑制することができる。
前記繊維の伸度が上記範囲内であることにより、被研磨物表面に生じるスクラッチの発生を抑制することができる理由は明らかではないが、以下のように推測される。すなわち、一般的に、ガラス繊維は、伸縮しづらく、一箇所で破断が生じると傷が大きく広がり粉々になりやすいため、ガラスエポキシ基板にガラス繊維を露出させる過程で生じた微細な傷によりガラス繊維が破断し、ガラス繊維が脱落したり、ガラス粉が発生することで、被研磨物を傷つけやすい。一方、本願発明の保持具は、枠材表面に露出している繊維が伸縮可能なため、枠材表面が研磨パッド表面と接しているような場合でも、繊維が破断することなくスラリーが繊維沿って移動することができ、スラリーが枠材の外側から枠材の内側に入り込みやすく、研磨パッドと被研磨物との境界面にスラリーが流れ込みやすくなる。また、同様の理由により、研磨加工中に発生した研磨屑が枠材の内側から枠材の外側に排出されやすくなる。これらにより、枠材と研磨パッド間および枠材と被研磨物の隙間で研磨屑が滞留しにくくなり、スクラッチの発生を抑制することができるのではないかと推測される。
<保持シート>
本発明の保持具1は、保持シート(保持パッド)2を有する。保持シートは、被研磨物5の研磨される面とは反対側の面を保持するものである。
保持シートは、シート状のポリウレタン(ポリウレタンシート、発泡ポリウレタンシートともいう)であることが好ましい。ポリウレタンシートは、複数の涙形状(teardrop-shaped)気泡を有する。涙形状気泡は、湿式成膜法によってポリウレタンシート内部に形成される気泡(異方性があり、樹脂シートの上部(被研磨物と接する側)から下部に向けて径が大きい構造を有する気泡)を意図するものであり、乾式成型法によって形成される略球状の気泡と区別するために用いられる。従って、本発明の複数の涙形状気泡を有するポリウレタンシートは、湿式成膜法により形成されたポリウレタンシートと言い換えることができる。湿式成膜法とは、成膜する樹脂を有機溶媒に溶解させ、その樹脂溶液をシート状の基材に塗布後、該有機溶媒は溶解するが該樹脂は溶解しない凝固液中に通して該有機溶媒を置換し、凝固させ、乾燥して発泡層を形成する方法を意味する。通常、湿式成膜法によりポリウレタンシートを製造すると、ポリウレタンシート内部に略涙形状のマクロ気泡(涙形状気泡)が複数生じる。
本明細書及び特許請求の範囲において、ポリウレタンシートとは、ポリウレタン樹脂を主成分(50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは85質量%以上)とするシートを意味しており、他の樹脂(シリコン樹脂など)を主成分とするシートとは明確に区別される。
ポリウレタン樹脂の種類に特に制限はなく、種々のポリウレタン樹脂の中から使用目的に応じて選択すればよい。例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、又はそれら混合系の樹脂を用いることができる。
ポリエステル系の樹脂としては、エチレングリコールやブチレングリコール等とアジピン酸等とのポリエステルポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のジイソシアネートとの重合物が挙げられる。
ポリエーテル系の樹脂としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。
ポリカーボネート系の樹脂としては、ポリカーボネートポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。
これらの樹脂は、DIC(株)製の商品名「クリスボン」や、三洋化成工業(株)製の商品名「サンプレン」、大日精化工業(株)製の商品名「レザミン」など、市場で入手可能な樹脂を用いてもよく、所望の特性を有する樹脂を自ら製造してもよい。
保持シートの被研磨物を保持する面は、バフ処理などの研削処理が施されていても施されていなくてもよいが、研削処理が施されていないことが好ましい。すなわち、保持シートの被研磨物を保持する面は、スキン層を有することが好ましい。研削処理が施されていないと、被研磨物との吸着性が向上し、研磨加工中に生じる被研磨物の保持シート上での横ずれを低減しやすい。
<枠材>
本発明の保持具1は、枠材3を有する。枠材は、保持シート2上に固定されており且つ研磨加工時に被研磨物5の側部を保持するものである。好ましくは、枠材は、被研磨物を囲うことができる形状を有する。これにより、研磨加工時に被研磨物の側部を保持し、被研磨物が保持具外に飛び出るのを防止することができる。枠材の内周又は内径は、研磨対象の被研磨物の外周又は外径と同値又はそれよりも大きく、被研磨物の外周又は外径よりも大きいことが好ましい。枠材の内周又は内径が被研磨物の外周又は外径よりも大きいことにより、研磨加工後の被研磨物の保持具からの取り外しが容易になる。また、枠材の厚さは、弾性体である研磨パッドと保持パッドの物性や、使用する研磨装置や研磨条件に合わせて調整され、被研磨物の求める端部形状に合わせて、ポケット深さが被研磨物の厚さに対しプラス、或いはマイナスとなるよう最適なポケット深さが設定される。なお、ポケット深さとは、枠材の研磨面側から保持シートの保持面までの深さで、被研磨物が保持される部分の枠材の厚さである。
被研磨物を囲うことができる形状は、被研磨物を枠材で構成される囲いの内部に収めることが出来る限り特に制限はなく、例えば、円環形状(リング状)、矩形状などが挙げられる。これらの中でも円環形状であることが好ましい。
枠材は、樹脂及び1種以上の繊維を含む。樹脂としては、エポキシ樹脂が挙げられる。該エポキシ樹脂として、従来公知のエポキシ樹脂を使用可能である。上記エポキシ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名YD−128、新日鉄住金化学株式会社製)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名エピコート828、ジャパンエポキシレジン社製)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名850−S、DIC社製「850−S」)が挙げられる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名、YDF−8170C、新日鉄住金化学株式会社製)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名830−S、DIC社製)が挙げられる。ビフェニル型エポキシ樹脂の例としては、ビフェニル型エポキシ樹脂(商品名NC−3000−H、日本化薬社製)が挙げられる。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、枠材を構成する「樹脂」は、繊維状ではない樹脂を意味するものとする。従って、枠材を構成する繊維が樹脂から形成された有機繊維である場合、当該繊維は、枠材を構成する「樹脂」(すなわち、非繊維状樹脂)とは区別される。
本願明細書及び特許請求の範囲において、「枠材の研磨パッドと対向する面」とは、枠材の保持シートと(接着剤を介して)接する面とは反対側に存在する面を意味する。
枠材に含まれる1種以上の繊維のうち、枠材の研磨パッドと対向する面に露出している繊維は、有機繊維であることが好ましい。有機繊維の中でも、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、及びポリビニル系繊維から成る群から選択される少なくとも1種の繊維であることが好ましく、ポリエステル系繊維である、ポリエチレンテレフタレート繊維(伸度20〜40%)、ポリエチレンナフタレート繊維(伸度20〜40%)、ポリブチレンテレフタレート繊維(伸度20〜40%)や、ナイロン繊維(伸度25〜45%)がより好ましく、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維がさらにより好ましく、ポリエチレンテレフタレート繊維がさらにより好ましい。また、アクリル繊維(伸度12〜20%)も好ましい。当該繊維は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。ポリエチレンテレフタレート繊維としては、テトロン(登録商標)繊維(伸度17〜27%)が挙げられる。なお、テトロン(登録商標)繊維は、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールの縮重合によって合成されるポリエチレンテレフタレートの溶着紡糸により製造される合成繊維である。
枠材の研磨パッドと対向する面に露出している繊維が上記繊維であることにより、被研磨物を保持して研磨加工を行った際に、被研磨物表面にスクラッチが発生しにくくなる。また、被研磨物の研磨加工後の加工面の平坦性を向上させることができる。さらに、上記繊維はガラス繊維に比べて剛性が低く、容易に研削できるため表面を略平坦に調整しやすい。
枠材の研磨パッドと対向する面に露出している繊維が上記繊維であることにより被研磨物表面にスクラッチが発生しにくくなる理由は必ずしも明らかではないが、有機繊維は、ガラス繊維のような繊維の脆さがなく、枠材研削時に生じた破損部位からの繊維脱離が生じにくいことが、スクラッチの低減に寄与しているのではないかと考えられる。
枠材の研磨パッドと対向する面に露出している繊維が上記繊維であることにより被研磨物の加工面の平坦性が向上する理由は必ずしも明らかではないが、有機繊維が上記表面に露出していると、当該繊維の露出により織布由来の凹凸やフィラメント間の凹凸を通じて研磨液が移動しやすくなり、研磨加工に伴い生成する研磨屑も移動しやすくなる。これにより、被研磨物表面が均等に研磨されやすくなり、被研磨物の加工面の平坦性が向上するのではないかと考えられる。
なお、パラ系アラミド繊維(伸度1.5〜4.5%)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維(伸度2.5〜3.5%)、全芳香族ポリエステル繊維(伸度3.6〜4.1%)及び高強度ポリエチレン繊維(伸度3.0〜6.0%)などの高強度・高弾性率の有機繊維は、剛性が高く伸びにくいことが特徴であり、伸度が本発明の範囲外となるため伸縮性に劣り好ましくない。
繊維は枠材の研磨パッドと対向する面の一部又は全部に露出していてもよいが、当該面の5%以上が繊維で露出していることが好ましく、20%以上が繊維で露出していることがより好ましく、40%以上が繊維で露出していることがさらにより好ましく、50%以上が繊維で露出していることが好ましく、90%が繊維で露出していてもよい。
本明細書及び特許請求の範囲において、「枠材の保持シート側の面」とは、(接着剤を介して)保持シートと接している枠材表面を意味する。
枠材の保持シート側の面には、繊維が存在していても存在していなくてもよいが、存在することが好ましい。枠材の保持シート側の面に繊維が存在する場合、当該繊維は、有機繊維であっても無機繊維であってもよいが、有機繊維が好ましい。有機繊維としては、枠材の研磨パッドと対向する面に露出している繊維として例示した有機繊維を挙げることができる。枠材の保持シート側の面に存在する繊維は、枠材の研磨パッドと対向する面に露出している繊維と同じ繊維であることが好ましい。繊維は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
枠材の保持シート側の面に繊維が存在する程度に当該面を研削することにより、保持シートと接着させる枠材の面を略平滑にすることができる。また、枠材の研磨パッドと対向する面に露出している繊維と同一のものを使用することにより、プリプレグ熱圧着時の反りを小さくすることができ、これにより保持具(枠材と貼り合わされた保持シート)の平坦性を更に向上させることが出来るため、被研磨物の研磨加工後の平坦性を向上させることができる。
枠材内部には繊維が存在することが好ましい。枠材内部に存在する繊維は、有機繊維であっても無機繊維であってもよいが、無機繊維を含むことが好ましい。無機繊維としては、ガラス繊維(伸度4%)炭素繊維(伸度0.5〜2.4%)が挙げられる。これらの中でも、ガラス繊維を含むことがより好ましい。枠材内部に剛性および耐熱性の高い無機繊維を配することにより、研磨加工時に被研磨物が枠材側面に衝突したときの衝撃強さを高めることができ、枠材の変形を抑えることができる。また、枠材に含まれる繊維が有機繊維のみであると、保持シートと枠材を接着剤により貼り合わせる工程の熱プレス時に枠材がゆがみやすいが、耐熱性の高いガラス繊維を枠材内部に配することで、保持シートと枠材を接着剤により貼り合わせる工程の熱プレス時に枠材が熱で反ってゆがんでしまうのを抑制することができる。これにより、枠材と貼り合わせた保持シートの表面を平滑に保てるため、被研磨物の保持面を平滑に保つことが出来、被研磨物の研磨加工後の平坦性を更に向上させることができる。
(積層体)
本発明において、枠材は、繊維基材、すなわち繊維の織布又は不織布(好ましくは織布)に樹脂を含浸させて得られるプリプレグを積層してなる積層体であることが好ましい。積層体を用いることにより、研磨対象の被研磨物の高さに応じて、枠材の高さを容易に調節することが可能となる。また、枠材の内部と表面で異なる繊維を含めることができる。
本明細書及び特許請求の範囲において、「プリプレグ」とは、熱硬化性樹脂などの樹脂を溶媒で希釈した溶液を、繊維を平織した織布又は不織布に含浸させた後、これを乾燥して樹脂を半硬化状態にしたものをいう。
本明細書及び特許請求の範囲において、「プリプレグを積層してなる積層体」とは、複数枚のプリプレグを積層・成形(加熱加圧成形)して得られる積層体を意味する。
本明細書及び特許請求の範囲において、「保持シート側の枠材表面を構成する層」とは、積層された複数のプリプレグの層のうち、最も保持シート側に近いプリプレグの層、すなわち、(接着剤を介して)保持シートと接するプリプレグの層を意味する。同様に、「研磨パッドと対向する枠材表面を構成する層」とは、積層された複数のプリプレグ層のうち、最も保持シート側から遠いプリプレグの層を意味する。従って、「研磨パッドと対向する枠材表面を構成する層」は、積層された複数のプリプレグの層のうち、保持シート側の枠材表面を構成するプリプレグの層から最も遠いプリプレグの層と言い換えることができる。「最外層」とは、上記2つの層を意味する。例えば、積層体が6枚のプリプレグ(下から順に1〜6番のプリプレグとする)からなり、そのうち1番のプリプレグが(接着剤を介して)保持シートと接している場合、当該1番のプリプレグが「保持シート側の枠材表面を構成する層」であり、6番のプリプレグが「研磨パッドと対向する枠材表面を構成する層」である。
本明細書及び特許請求の範囲において、「積層体の内部層」とは、積層体の上記2つの最外層以外の層、すなわち、保持シート側の枠材表面を構成する層及び研磨パッドと対向する枠材表面を構成する層以外の層を意味する。例えば、積層体が6枚のプリプレグ(下から順に1〜6番のプリプレグとする)からなり、そのうち1番のプリプレグが(接着剤を介して)保持シートと接している場合、2〜5番のプリプレグが積層体の内部層である。
枠材としての積層体は、研磨パッドと対向する枠材表面を構成する層に含まれる繊維が、有機繊維を含むことが好ましく、有機繊維であることが好ましく、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、及びポリビニル系繊維から成る群から選択される少なくとも1種の繊維であることがより好ましく、ポリエステル系繊維であるポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維や、ナイロン繊維であることがさらにより好ましく、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維であることがさらにより好ましく、ポリエチレンテレフタレート繊維であることが特に好ましい。また、アクリル繊維(伸度12〜20%)も好ましい。当該繊維は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。有機繊維は、通常、モノフィラメント(単繊維)が10〜100本程度束ねられて構成されている。このモノフィラメントは、繊度が22〜333デシテックス、織布としては100〜250g/m2、緯糸密度10〜60本/インチ、横糸密度10〜60本/インチの範囲であり、モノフィラメントの繊維径や本数を変えることで、織物シートの厚みを調整することができる。
研磨パッドと対向する枠材表面を構成する層に含まれる繊維が上記繊維であることにより、研削により当該層に含まれる繊維が枠材の研磨パッドと対向する面に露出することになるため、被研磨物を保持して研磨加工を行った際に、被研磨物表面にスクラッチが発生しにくくなる。また、被研磨物の研磨加工後の加工面の平坦性を向上させることができる。さらに、上記繊維はガラス繊維に比べて剛性が低く、容易に研削できるため表面を略平坦に調整しやすい。
枠材としての積層体は、積層体中の保持シート側の枠材表面を構成する層に含まれる繊維が、有機繊維であっても無機繊維であってもよいが、有機繊維を含むことが好ましく、有機繊維であることがより好ましく、研磨パッドと対向する枠材表面を構成する層に含まれる繊維と同一の有機繊維であることがさらにより好ましい。有機繊維としては、研磨パッドと対向する面を構成する層に含まれる繊維として例示した有機繊維を挙げることが出来る。無機繊維としては、上述のガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。繊維は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
積層体中の保持シート側の枠材表面を構成する層に含まれる繊維が、研磨パッドと対向する枠材表面を構成する層に含まれる繊維と同一の有機繊維であることにより、プリプレグ熱圧着時の反りを小さくすることができ、保持具(枠材と貼り合わされた保持シート)の平坦性を向上させることができるため、当該保持具により保持される被研磨物の研磨加工後の平坦性を更に向上させることができる。
枠材としての積層体は、積層体中の研磨パッドと対向する枠材表面を構成する層と保持シート側の枠材表面を構成する層以外の層(積層体の内部層)に含まれる繊維が、無機繊維であっても有機繊維であってもよいが、ガラス繊維及び/又は炭素繊維を含むことが好ましく、ガラス繊維を含むことがより好ましく、ガラス繊維であることがさらにより好ましい。繊維は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
内部層に含まれる繊維が上記繊維であることにより、研磨加工時に被研磨物が保持孔断面(枠材側面)に衝突したときの衝撃強さを高めることができ、衝撃による枠材の剥離を抑えることができる。また、枠材全体の耐熱性を保つことができ、保持シートと枠材の熱接着時に枠材がゆがむことを抑制することができ、保持シートの平坦性を損なうことがない。これにより、被研磨物を保持しつつ研磨加工したときに、被研磨物の加工面の平坦性を更に向上させることができる。
ガラス繊維としては、当技術分野において慣用のものを使用することができる。例えば、繊維径が約3.0μm〜約10μm、構成フィラメント数70〜200本のガラス糸を使用することができる。また、ガラス繊維は、平織りして織布の形で用いられることが好ましい。ガラス繊維織布の厚さは、通常は約0.170mm〜約0.200mmである。好ましいガラス繊維織布としては、IPCスペック7628 (日東紡社製)、厚さ0.180mm、平均繊維の質量209g/m2、密度タテ44本/25mm、ヨコ32本/25mmなどが挙げられる。
積層体に存在する層の数は、プリプレグ1枚の厚さや、被研磨物の厚みに応じて調節すればよく、2〜20層であってもよく、3〜10層であってもよく、4〜8層であってもよい。
積層体は、必要に応じて、被研磨物を囲めるような形状に加工することにより、枠材として使用することが出来る。
<接着剤>
本発明の保持具1は、接着剤4を有していてもよい。接着剤4は、枠材3を保持シート2上に固定させるために用いられる。接着剤4による枠材3の保持シート2上への固定は、例えば、接着剤4を用いて枠材3を保持シート2上に接着させた後、70〜100℃で熱プレスすることにより行うことができる。
接着剤の種類に特に制限はないが、熱可塑性樹脂からなる熱溶着性接着剤であることが好ましい。接着剤としては、例えば、アクリル系、ニトリル系、ニトリルゴム系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の各種の接着剤を用いることができる。これらの中でポリウレタン系の接着剤が好ましい。また、保持シートがポリウレタン発泡シートからなるときには、ポリウレタン系の接着剤を用いることが好ましい。ポリウレタン系の接着剤としては、熱可塑性ウレタン、ウレタン樹脂を主成分とした反応性ホットメルト型接着剤が挙げられる。
接着剤の形状に特に制限はないが、熱溶着性接着剤の場合、シート状であることが好ましい。シート状の熱溶着性接着剤の場合、枠材上に熱溶着性接着剤を置き、その上に保持シートを置いた後、加熱加圧することで、熱溶着性接着剤が溶融し、当該接着剤を介して枠材と保持シートとが接着する。その後、加熱加圧状態から解放されることで、熱溶着性接着剤が固まり、枠材が保持シート上に固定される。このとき、シート状の熱溶着性接着剤と枠材とは、互いに接する面が同一形状であることが好ましい。
(他の層)
本発明の保持具は、保持シート表面(保持面)が被研磨物と接触することを前提としたものであり、従って保持シートの保持面上に他の樹脂層は存在しない。
その一方で、本発明の保持具は、保持シートの被研磨物を保持する面(保持面)とは反対側の面(裏面)には、他の樹脂層(下層、支持層)が貼り合わせられていてもよく、他の樹脂層が貼り合わされていなくてもよい。他の樹脂層の特性は特に限定されるものではないが、保持シートよりも硬い(A硬度の高い)層が貼り合わされていることが好ましい。保持シートよりも硬い層が設けられることにより、作業性が向上する。
また、保持シートの裏面又は他の層の保持シートの裏面と接する面とは反対側の面には、保持具を研磨装置の保持用定盤に装着するために、両面テープが貼り合わされていてもよい。
(研削)
本発明の保持具は、枠材の表面が研削されていても研削されていなくてもよいが、少なくとも枠材の研磨パッドと対向する面が表面上に繊維が露出する程度に研削されていることが好ましく、枠材の保持シート側の面及び研磨パッドと対向する面が研削されていることがより好ましい。枠材の材料であるプリプレグは、樹脂溶液を平織した織布や不織布に含浸させた後に含浸させた後、半硬化させたものであるため、シート状のプリプレグの両表面には樹脂が存在し、その内部に樹脂とともに繊維が存在する。枠材は、この内部の繊維が露出する程度にまで研削されることが好ましい。繊維が露出する程度に研削することで、枠材全体の厚みを均一化することができる。
(用途)
本発明の保持具は、半導体ウエハ、シリコンウエハ、ガラスなどの被研磨物を研磨する際の保持具として好適に用いることができる。これらの中でも、本発明の保持具は、半導体ウエハ、シリコンウエハの保持具として、好適に用いることが出来る。
本発明の保持具は、例えば、下記の方法により製造することができる。
<<保持具の製造方法>>
本発明の保持具の製造方法は、保持シート、及び表面に繊維が露出した枠材を用意する工程、及び前記繊維が露出している枠材表面が研磨加工時に研磨パッドと対向するように、前記枠材を前記保持シート上に固定する工程を含む、保持具の製造方法である。
以下、各工程について詳しく説明する。
<(1)保持シート、及び表面に繊維が露出した枠材を用意する工程>
(1.保持シートの製造)
保持シート、及び表面に繊維が露出した枠材を用意する工程において、保持シート、好ましくはポリウレタン樹脂を含むポリウレタンシートを用意する。ポリウレタンシートは湿式成膜法によって形成される涙形状気泡を複数有することが好ましい。また、ポリウレタンシートは、被研磨物を保持するための保持面を有することが好ましい。ポリウレタンシートは、市販されているものを用いてもよく、自ら製造したものを用いてもよい。ポリウレタンシートは、例えば、下記(i)〜(iv)の工程を経て製造することができる。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、保持シートまたはポリウレタンシートを湿式成膜シートと呼ぶことがある。
(i)ポリウレタン樹脂含有溶液の調製
ポリウレタンシートの原料となるポリウレタン樹脂を、ポリウレタン樹脂を溶解することのできる水混和性の有機溶媒に溶解することにより、ポリウレタン樹脂含有溶液を調製する。また、有機溶媒に溶解後、得られた溶液を減圧下で脱泡してもよい。
(A)ポリウレタン樹脂
ポリウレタン樹脂の種類に特に制限はなく、種々のポリウレタン樹脂の中から使用目的に応じて選択すればよい。例えば、上記保持具の項で例示したポリエステル系、ポリエーテル系、又はポリカーボネート系の樹脂を用いることができる。
ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂含有溶液中に含まれる全固形分に対して50〜98質量%含まれることが好ましく、60〜95質量%含まれることがより好ましく、70〜90質量%含まれることがさらにより好ましい。
(モジュラス)
モジュラスとは、樹脂の硬さを表す指標であり、無発泡の樹脂シートを100%伸ばしたとき(元の長さの2倍に伸ばしたとき)に掛かる荷重を単位面積で割った値である(以下、100%モジュラスと呼ぶことがある。)。この値が高い程、硬い樹脂である事を意味する。
ポリウレタン樹脂は、1〜20MPaの樹脂モジュラスを有することが好ましく、2〜10MPaであることがより好ましく、3〜8MPaであることがさらにより好ましい。樹脂モジュラスが上記範囲内であると、研磨後の被研磨物の平坦性を良好にでき、かつ被保持物に対する吸着性を上げることができる。
(B)有機溶媒
前記有機溶媒としては、ポリウレタン樹脂を溶解することができ且つ水混和性であれば特に制限なく用いることが出来る。例としては、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などが挙げられる。これらの中でも、DMF又はDMAcが好ましく用いられる。
ポリウレタン樹脂含有溶液中の固形分濃度は、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜35質量%である。上記範囲内の濃度であれば、ポリウレタン樹脂含有溶液が適度な流動性を有し、後の塗布工程において成膜基材に均一に塗布することができる。
また、ポリウレタン樹脂含有溶液は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、孔形成剤、顔料、親水性添加剤、疎水性添加剤などが挙げられる。
孔形成剤としては、ポリオールやセルロース誘導体などが挙げられる。ポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。セルロース誘導体としては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースバレレート、セルロースアセテートブチレート等のエステル系セルロース誘導体や、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のエーテル系セルロース誘導体、アセチルエチルセルロース、アセトキシプロピルセルロース等のエーテルエステル系セルロース誘導体を挙げることができる。孔形成剤を含む場合、孔形成剤は、ポリウレタン樹脂溶液中に含まれる全固形分に対して0.001〜5質量%含まれることが好ましく、0.01〜2質量%含まれることがより好ましく、0.01〜1.0質量%含まれることがさらにより好ましい。孔形成剤を含むことにより、保持面に容易に開孔部を形成調整することができる。
顔料としては、カーボンブラックが挙げられる。顔料を含む場合、顔料は、ポリウレタン樹脂溶液中に含まれる全固形分に対して0〜20質量%含まれることが好ましく、0.1〜20質量%含まれることがより好ましく、0.5〜10質量%含まれることがさらにより好ましく、1〜8質量%含まれることがさらにより好ましく、2〜7質量%含まれることがさらにより好ましい。顔料を上記範囲内で含んでいると、気泡形状が安定化されるため望ましい。
親水性添加剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、親水性のエステル系、エーテル系、エステル・エーテル系、アミド系等のノニオン界面活性剤が挙げられる。また、疎水性添加剤としては、例えば、炭素数3以上のアルキル鎖が付加したノニオン系界面活性剤、より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルが挙げられる。界面活性剤を含む場合、界面活性剤は、ポリウレタン樹脂溶液中に含まれる全固形分に対して0.01〜10質量%含まれることが好ましく、0.1〜10質量%含まれることがより好ましく、1〜8質量%含まれることがさらにより好ましく、3〜8質量%含まれることがさらにより好ましい。界面活性剤を上記範囲内で含んでいると、発泡を促進させることやポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させることができる。
(ii)塗布
上記で得られたポリウレタン樹脂含有溶液を、ナイフコーター、リバースコーター等により成膜基材上に略均一となるように、連続的に塗布する。このとき、ナイフコーター等と成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、ウレタン樹脂溶液の塗布厚さ(塗布量)が調整される。成膜基材としては、本技術分野で通常用いられる基材であれば特に制限なく用いることができる。例としては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム等の可撓性のある高分子フィルム、弾性樹脂を含浸固着させた不織布等が挙げられ、中でもポリエステルフィルムが好ましく用いられる。
(iii)凝固
ポリウレタン樹脂含有溶液が塗布された基材を、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液に浸漬する。
凝固液としては、水、水とDMF等の極性有機溶媒との混合溶液などが用いられる。極性有機溶媒としては、ポリウレタン樹脂を溶解するのに用いた水混和性の有機溶媒、例えばDMF、DMAc、THF、DMSO、NMP、アセトンが挙げられる。また、混合溶媒中の極性有機溶媒の濃度は0〜20質量%が好ましい。これらの中でも、凝固液としては、水又は水とDMFとの混合液が好ましく、水とDMFとの混合液(混合液中のDMFの割合は1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい)がより好ましい。
凝固液の温度や浸漬時間に特に制限はなく、例えば10〜60℃(好ましくは15〜50℃)で5〜120分間浸漬すればよい。
凝固液中では、まず、ウレタン樹脂溶液の凝固浴との界面に緻密なスキン層が形成される。その後、スキン層を通じてウレタン樹脂溶液中の溶媒と凝固液との置換が進行し、ウレタン樹脂が成膜基材上にシート状に凝固再生されて内部に涙形状気泡が複数形成された樹脂シートが形成される。
(iv)洗浄乾燥
凝固浴で凝固させて得られたシート状のポリウレタン樹脂を成膜基材から剥離した後又は剥離せずに、洗浄、乾燥処理を行う。
洗浄処理により、ポリウレタン樹脂中に残留する有機溶媒が除去される。洗浄に用いられる洗浄液としては、水が挙げられる。
洗浄後、ポリウレタン樹脂を乾燥処理する。乾燥処理は従来行われている方法で行えばよく、例えば80〜150℃で5〜60分程度乾燥機内で乾燥させればよい。上記の工程を経て、ポリウレタンシートを得ることができる。
ポリウレタンシートは、必要に応じて、粘着性フィルムの粘着層側の面(被研磨物を保持するための保持面)とは逆の面を研削処理してもよい。研削処理の方法に特に制限はなく、公知の方法により研削することができる。具体的には、サンドペーパーによる研削が挙げられる。また、研削処理には、バフ機やスライス機等を用いることができる。これにより、成膜樹脂の厚みが概ね均一化されたポリウレタンシートが得られる。
保持シートは、円板形状を有することが好ましく、例えば、100%モジュラス(無発泡の樹脂シート2倍長に引っ張ったときに掛かる荷重を断面積で割った値)が20MPa以下のポリウレタン樹脂を湿式成膜することで形成されていることが好ましい。また、保持シート内部には無数の気泡が形成されていることが好ましく、この気泡によって保持シートのクッション性が向上する。また、形成された発泡ポリウレタン樹脂の表面は、バフ処理などの研削処理が施されていないことが好ましく、従って、その表面には、成膜時に形成されたスキン層が残っていることが好ましい。
(2.表面に繊維が露出した枠材の製造)
保持シート、及び表面に繊維が露出した枠材を用意する工程において、表面に繊維が露出した枠材を用意する。枠材としては、上記保持具の項で挙げたものを用いることができる。枠材は、例えば、以下のようにして製造することができる。
繊維の織布又は不織布、好ましくは織布に樹脂(熱硬化性樹脂)を含浸したプリプレグを用意し、これを複数枚積層する。プリプレグは、市場で入手できるものを用いてもよく、自ら製造してもよい。自ら製造する場合、織布に樹脂を含浸させる方法は、特に限定されるものではなく、従来の方法、例えば刷毛塗り、ローラ塗装、スプレーアップ又はコーティング等の方法を採用すれば良い。繊維及び樹脂としては、上記保持具の項で挙げたものを用いることが出来る。
本発明の製造方法においては、積層するプリプレグのうち、保持シート側の枠材表面を構成するプリプレグとは反対側の枠材表面を構成するプリプレグが、有機繊維を有するプリプレグであることが好ましい。また、保持シート側の枠材表面を構成するプリプレグは、無機繊維を有するプリプレグであっても有機繊維を有するプリプレグであってもよいが、有機繊維を有するプリプレグであることが好ましい。また、積層するプリプレグのうち、当該表面を構成しない内部層のプリプレグが無機繊維を有するプリプレグであることが好ましい。有機繊維及び無機繊維としては、上記保持具の項で挙げたものを用いることができる。
積層するプリプレグの枚数は、被研磨物の厚みやプリプレグの厚みに応じて調整すればよい。プリプレグを複数枚積層した後、その上下面をプレート(鏡面板、ステンレスプレートなど)で挟みこみ、加熱加圧成形することにより、積層体が得られる。加熱加圧成形は、例えば、昇温速度1.2〜3.0℃/分、硬化温度170℃以上で30〜150分、圧力2.5〜4.0MPaで行うことができる。成形後の積層体を所望の形状(被研磨物を囲めるような形状)に切り出すことにより、枠材を得ることが出来る。
枠材は、所定の形状に切り出す前又は切り出した後に、表面を研削することが好ましい。研削手段としては、マシニングセンタやルーターが挙げられる。研削は片面でも両面でもよいが、少なくとも枠材の研磨パッドと対向する面がその表面上に繊維が露出する程度に研削されていることが好ましく、枠材の保持シート側の面及び研磨パッドと対向する面が研削されていることがより好ましい。研削することで、研磨パッドと対向する面に繊維が露出した枠材を得ることができる。また、研削することで、枠材全体の厚みを均一化することができる。
<(2)繊維が露出している枠材表面が研磨加工時に研磨パッドと対向するように、枠材を保持シート上に固定する工程>
本発明の製造方法は、繊維が露出している枠材表面が研磨加工時に研磨パッドと対向するように、枠材を保持シート上に固定する工程を有する。
枠材、保持シートとしては、それぞれ上記保持具の項で挙げたものを用いることができる。
「繊維が露出している枠材表面が研磨加工時に研磨パッドと対向するように」とは、(接着剤を介して)保持シートと接する枠材表面とは反対側の枠材表面において繊維が露出しているように、と言い換えることができる。
枠材を保持シート上に固定する方法としては、例えば、接着剤を用いる方法が挙げられる。接着剤は、シート状であることが好ましい。
シート状の場合、研磨パッドと対向する面に繊維が露出している枠材を用意し、保持シート上に接着剤を貼り付け又は配置し、その上に前記枠材を貼り付け又は配置した後、70〜100℃程度の温度及び10〜500g/cm2程度の圧力で加熱加圧することにより、枠材を保持シート上に固定することができる。この場合、シート状の接着剤と枠材とは、互いに接する面が同一形状であることが好ましい。
本発明の保持具の製造方法は、上記枠材固定の工程後、保持シートの被研磨物を保持する面とは反対側の面に他の層(下層、支持層)を貼り合わせる工程を有していてもよい。他の層の特性は特に限定されるものではないが、保持シートよりも硬い(A硬度の高い)層が貼り合わされていることが好ましい。保持シートよりも硬い層が設けられることにより、作業性が向上する。
複層構造を有する場合には、複数の層同士を両面テープや接着剤などを用いて、必要により加圧しながら接着・固定すればよい。この際用いられる両面テープや接着剤に特に制限はなく、当技術分野において公知の両面テープや接着剤の中から任意に選択して使用することが出来る。
<<研磨方法>>
本発明の研磨方法は、上記本発明の保持具を用いて被研磨物を保持しながら被研磨物を研磨する工程を有する、被研磨物の研磨方法である。
被研磨物(被保持物)としては、例えば、半導体ウエハ、シリコンウエハ、ガラスなどの被研磨物が挙げられる。これらの中でも、被研磨物としては、半導体ウエハ、シリコンウエハが好ましい。
被研磨物の研磨には、研磨液及び研磨パッドを用いることが好ましい。すなわち、研磨液を研磨パッド表面に滴下しつつ、被研磨物を研磨パッドで研磨することが好ましい。研磨液としては、例えば、酸化セリウム、コロイダルシリカなどから選ばれる研磨材を含む研磨液が挙げられる。
保持具を用いて被研磨物を保持するには、保持シートで構成される底面(又は上面)と枠材で構成される側面とで構成される空間内部に、被研磨物が保持シートに接するように置けばよい。これにより、保持シートの被研磨物と接する表面が高い吸着性を発揮し、被保持物の横ズレを低減することができる。また、保持シート上に枠材が固定されていることにより、横ズレが生じても、被研磨物が保持シートから飛び出すのを防止することができる。
本発明の研磨方法は、保持具を用いて被研磨物を保持しながら、研磨後の被研磨物のみを研磨パッドで研磨してもよく、被研磨物の厚みが保持具の枠材のポケット深さと等しくなるまで研磨パッドで研磨してもよく、被研磨物と保持具の枠材を研磨パッドで研磨してもよい。より具体的には、本発明の研磨方法は、保持具を用いて被研磨物を保持しながら、研磨後の被研磨物厚みの1/3程度突出するように研磨してもよく、被研磨物の厚みが保持具の枠材のポケット深さよりも100μm程度薄い状態で研磨してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
ガラスクロスにビスフェノールA型エポキシ樹脂を含浸した厚み0.15mmのガラスエポキシプリプレグ(製品名ニコライトNL−EG、日光化成株式会社製)5枚を重ねあわせた後、厚み0.2mmのポリエチレンテレフタレートクロスにエポキシ樹脂を含浸したエポキシテトロンプリプレグ(製品名ニコライトNL−ET、日光化成株式会社製)2枚で、前記重ね合わせたガラスエポキシプリプレグを上下方向から挟むようにして積層した。この積層品を鏡面板に挟み込み、プレス熱板間で加熱加圧成形することにより、内側にガラスエポキシ樹脂、表裏両面にポリエチレンテレフタレート/エポキシ樹脂が積層された厚さ1.15mmの積層体(積層板)を得た。得られた積層体の両表面をそれぞれ0.09mmずつマシニングセンタにより表面が平滑になるように研削し、厚み0.97mmの積層体を得た。この積層体を切削工具により切り出し、外径33.5cm内径30.2cmの円環状の枠材を形成した。枠材外径と同径に打ち抜いたポリウレタン発泡シートと枠材とを熱融着性接着剤(ポリウレタン系接着剤、製品名UH−203、日本マタイ社製)を介して120℃、圧力1.5MPaで熱圧着させて接合させ、実施例1の保持具を得た。
なお、実施例1で用いたエポキシテトロンプリプレグに含まれる繊維の伸度は17〜27%であり、ガラスエポキシプリプレグに含まれる繊維の伸度は4%である。
[実施例2]
ガラスエポキシプリプレグを用いず、厚み0.2mmのエポキシテトロンプリプレグのみを6枚重ねあわせ、プレス熱板間で加熱加圧成形することにより、厚さ1.20mmの積層体を得た。得られた積層体の両表面をそれぞれ0.1mmずつマシニングセンタにより表面が平滑になるように研削し、厚み1.00mmの積層体を得た。この積層体を切削工具により切り出し、外径33.5cm内径30.2cmの円環状の枠材を形成した。枠材外径と同径に打ち抜いたポリウレタン発泡シートと枠材とを熱融着性接着剤(ポリウレタン系接着剤、製品名UH−203、日本マタイ社製)を介して120℃、圧力1.5MPaで熱圧着させて接合させ、実施例2の保持具を得た。
なお、実施例2で用いたエポキシテトロンプリプレグに含まれる繊維の伸度は17〜27%である。
[比較例1]
エポキシテトロンプリプレグを用いず、厚み0.15mmのガラスエポキシプリプレグ8枚を重ねあわせ、プレス熱板間で加熱加圧成形することにより、厚さ1.20mmの積層体を得た。得られた積層体の両表面をそれぞれ0.1mmずつマシニングセンタにより表面が平滑になるように研削し、厚み1.00mmの積層体を得た。この積層体を切削工具により切り出し、外径33.5cm内径30.2cmの円環状の枠材を形成した。枠材外径と同径に打ち抜いたポリウレタン発泡シートと枠材とを熱融着性接着剤(ポリウレタン系接着剤、製品名UH−203、日本マタイ社製)を介して120℃、圧力1.5MPaで熱圧着させて接合させ、比較例1の保持具を得た。
なお、比較例1で用いたガラスエポキシプリプレグに含まれる繊維の伸度は4%である。
(研磨性能評価)
実施例1〜2及び比較例1の保持具を用いて、シリコンウエハの研磨加工を、以下の条件で行い、平坦性、スクラッチの有無により研磨性能を評価した。
スクラッチの有無は、研磨加工後の被研磨物の加工表面を目視にて確認した。
平坦性は、光学式表面粗さ計にて被研磨物であるシリコンウエハの外周端部から中心に向かい0.3mmの位置より半径方向に2mmの範囲で2次元プロファイル像を得て、得られた2次元プロファイル像において、半径方向をX軸、厚み方向をY軸としたときに、外周端部からX=0.5mmおよびX=1.5mmの座標位置のY軸の値がY=0となるようにレベリング補正した。このときの2次元プロファイル像のX=0.5〜1.5mm間におけるPV値を相対値で表した。平坦性の測定には、表面粗さ測定機(Zygo社製、型番New View 5022)を使用した。平坦性は、比較例1の保持具を用いて被研磨物を研磨したときの平坦性に対する実施例1、2の保持具を用いて被研磨物を研磨したときの平坦性の比を、平坦性(相対値)として算出した。平坦性(相対値)が小さいほど、比較例1の保持具を用いた場合に比べて、研磨加工後の被研磨物の平坦性が良好であることを意味する。
研磨条件及び評価基準は以下のとおりである。
(研磨条件)
使用研磨機:不二越株式会社製、MCP−150X
研磨パッド:湿式成膜された研磨パッド
回転数:(定盤)100r/m、(トップリング)75r/m
研磨圧力:330g/cm2
揺動幅:10mm(揺動中心値より200mm)
揺動移動:1mm/min
研磨剤:Nalco社製、品番2350(2350原液:水=1:9の混合液を使用)
被研磨物:8インチφシリコンウエハ
研磨時間:20分間
(評価基準)
(1)スクラッチ
A:目視にて研磨加工後の被研磨物表面にスクラッチが観察されなかった。
C:目視にて研磨加工後の被研磨物表面にスクラッチが観察された。
(2)平坦性
A:平坦性(相対値)が0.5以下であった。
B:平坦性(相対値)が0.5超過〜1.0未満であった。
その結果を表1に示す。
Figure 2019155578
(結果)
ガラスエポキシ樹脂のみからなる枠材を有する比較例1の保持具では、研磨加工後のシリコンウエハ表面に無数の傷欠陥が確認された。一方、実施例1、2の保持具では、上記研磨試験後のシリコンウエハ表面に傷欠陥は見られなかった。
また、平坦性試験の結果、比較例1の保持具を用いて研磨加工された被研磨物は、外周部の形状が大幅に悪化した。これに対し、実施例2は、比較例1に対する平坦性の相対値が0.8であり、比較例1よりも平坦性に優れていた。さらに、実施例1では、研磨後の被研磨物の比較例1に対する平坦性の相対値が0.3と非常に低く、被研磨物の研磨加工後の平坦性に極めて優れていた。
本発明の保持具は、従来の保持具に比べて、研磨加工後の被研磨物表面に発生するスクラッチを抑制することができる。よって、本発明の保持具及びその製造方法は、産業上極めて有用である。
1 保持具
2 保持シート
3 枠材
4 接着剤
5 被研磨物

Claims (12)

  1. 被研磨物の裏面を保持する保持シートと、
    前記保持シート上に固定されており且つ研磨加工時に被研磨物の側部を保持する枠材と
    を含む、被研磨物の研磨加工時に被研磨物を保持するための保持具であって、
    前記枠材は樹脂及び1種以上の繊維を含み、
    前記枠材の研磨パッドと対向する面には繊維が露出しており、
    前記研磨パッドと対向する面に露出した繊維の伸度が10%以上である、前記保持具。
  2. 前記研磨パッドと対向する面に露出した繊維の伸度が10〜60%である、請求項1に記載の保持具。
  3. 前記枠材の研磨パッドと対向する面に露出している繊維が、有機繊維である、請求項1又は2に記載の保持具。
  4. 前記研磨パッドと対向する面に露出している繊維が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、及びポリビニル系繊維から選択される少なくとも1種の有機繊維である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の保持具。
  5. 前記研磨パッドと対向する面に露出している繊維が、ポリエチレンテレフタレート繊維である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の保持具。
  6. 前記樹脂が、エポキシ樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の保持具。
  7. 前記枠材が、熱溶着性接着剤を介して保持シート上に固定されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の保持具。
  8. 前記熱溶着性接着剤が、熱可塑性ポリウレタン樹脂である、請求項7に記載の保持具。
  9. 前記枠材は、繊維基材に樹脂を含浸させて得られるプリプレグを積層してなる積層体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の保持具。
  10. 前記積層体の最外層が有機繊維を含み、且つ前記積層体の最外層を除く内部層がガラス繊維及び炭素繊維から選択される少なくとも1種の無機繊維を含む、請求項9に記載の保持具。
  11. 保持シート、及び表面に繊維が露出した枠材を用意する工程、及び
    前記繊維が露出している枠材表面が研磨加工時に研磨パッドと対向するように、前記枠材を前記保持シート上に固定する工程
    を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の保持具の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の保持具を用いて被研磨物を保持しながら被研磨物を研磨する工程を有する、被研磨物の研磨方法。
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