JP5503049B2 - 保持パッド - Google Patents

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Description

本発明は保持パッドに係り、特に、湿式成膜で内部に発泡が略均等に形成された軟質プラスチックシートと、軟質プラスチックシートの一面側に配置され被研磨物の横ずれ範囲を規制する枠材と、軟質プラスチックシートの他面側に配置された基材とを備えた保持パッドに関する。
従来、レンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料、ハードディスク用基板、シリコンウエハ、液晶ディスプレイ用ガラス基板等の材料(被研磨物)では、高精度な平坦性が要求されるため、研磨布を使用した研磨加工が行われている。例えば、シリコンウエハの研磨加工では、研磨布が研磨面を上向きに装着された研磨定盤と、シリコンウエハが被研磨面(加工面)を下向きに保持されシリコンウエハを押圧可能なウエハホルダとを備え、研磨定盤およびウエハホルダ共に回転するウエハ研磨機が用いられている。ウエハホルダには、シリコンウエハのスクラッチ(キズ)等を回避するため、スエード状の保持面を有する保持パッドが装着されている。この保持パッドには、シリコンウエハの横ずれ(移動)範囲を規制するテンプレート(枠材)が取り付けられている。
一般に、保持パッドには、ポリウレタン等の軟質プラスチックシートが使用されている。この軟質プラスチックシートが柔軟なことから、ウエハホルダへの装着時等の取り扱いを容易にするために基材と貼り合わされている。軟質プラスチックシートは、樹脂を水混和性の有機溶媒に溶解させた樹脂溶液をシート状の成膜基材に塗布後、水系凝固液中で樹脂をシート状に凝固再生させること(湿式成膜法)で製造されている。製造された軟質プラスチックシートの表面には緻密な微多孔が形成された厚さ数μm程度の表面層(スキン層)が形成され、スキン層の内側(内部)にはスキン層の微多孔より孔径の大きな発泡が略均等に形成されている。スキン層の表面は、緻密に形成された微多孔により平坦性を有しており、シリコンウエハとの接触性に優れるため、保持面としてシリコンウエハの保持が可能となる。研磨加工時には、シリコンウエハが保持パッドの表面(保持面)に水などの液体を介して吸着される。
ところが、湿式成膜法では、樹脂溶液が粘性を有するため、成膜基材への塗布時や、樹脂の凝固再生時に厚さバラツキが生じやすく、軟質プラスチックシート自体の表面の平坦性が損なわれる(大きく波打った表面となる)。厚さバラツキが生じた軟質プラスチックシートを使用した保持パッドでは、研磨加工時に保持パッドの厚さの大きな部分でシリコンウエハにかかる圧力が大きくなるため、当該部分の被研磨面が大きく研磨されて平坦性を損なうこととなる。軟質プラスチックシートの厚さバラツキを低減するため、軟質プラスチックシートのスキン層側がバフ処理(表面サンディング)されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、厚さバラツキが改善されるものの、スキン層が削り取られるため、樹脂の表面が引きちぎられた状態、すなわち、微少な凹凸を生じた毛羽状となる。このため、スキン層表面でガラス基板などを保持する保持パッドに比べて吸着力が小さくなることから、シリコンウエハが、研磨加工中にテンプレートから飛び出したり、ウエハホルダに保持された状態での搬送中に落下したりといったトラブルが発生するおそれがある。
保持パッドの吸着力を高めるにはシリコンウエハをスキン層で保持するようにすればよいが、ウエハ研磨機のように研磨定盤およびウエハホルダが共に回転する場合、ウエハホルダにシリコンウエハが強く吸着されたままでは、シリコンウエハに過度の負荷がかかり平坦性が上がらなくなってしまう。また、保持面にシリコンウエハが吸着され固定された状態が長時間続くと、シリコンウエハの被研磨面に保持パッドの表面形状が転写されてしまうおそれもある。このため、平坦性の向上には、研磨中のシリコンウエハが保持面に沿う方向(水平方向)にある程度自由に動ける(テンプレート内で自転できる)ことが重要となる。研磨加工時にシリコンウエハを移動させる技術として、研磨布の研磨面に形成する溝の密度を研磨布の内周側と外周側とで異なるようにする技術が開示されている(特許文献2参照)。
特開平2−88229号公報 特開平11−285963号公報
しかしながら、スキン層の厚さが軟質プラスチックシートの厚さバラツキより小さいことから、厚さバラツキを解消する程バフ処理するとスキン層が消失してしまうため、被研磨物に対する吸着力が低下する。スキン層を残したままでは厚さバラツキが解消されないため、被研磨面の平坦性を向上させることが難しくなる。また、バフ処理では、発生したバフ粉が保持面の開孔の中に入り込んでしまうことがある。このようなバフ粉が研磨加工中に脱落し被研磨面に付着すると、スクラッチの発生や平坦性の低下を招くおそれがあるが、バフ処理後に洗浄等を行っても開孔の中に入り込んだバフ粉を完全に取り除くことは困難である。一方、上述した特許文献2の技術では、研磨布の溝によりシリコンウエハを移動させることができるものの、従来の保持パッドが用いられるため、吸着力が不十分でありシリコンウエハの平坦性の向上が十分とはいえない。シリコンウエハを安定的に自転させながら研磨加工を行う場合、研磨布と共に保持パッドもシリコンウエハに接触するため、保持パッドの改善も重要となる。このような観点から、保持面に直交する方向(垂直方向)ではシリコンウエハを確実に吸着することができ、水平方向ではシリコンウエハがある程度自由に動けるような保持パッドが望まれている。
本発明は上記事案に鑑み、被研磨物の平坦性を向上させることができる保持パッドを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、湿式成膜で内部に発泡が略均等に形成された軟質プラスチックシートと、前記軟質プラスチックシートの一面側に配置され被研磨物の横ずれ範囲を規制する枠材と、前記軟質プラスチックシートの他面側に配置された基材とを備えた保持パッドにおいて、前記軟質プラスチックシートは、前記一面側がスライス処理されて前記発泡が該一面側で開孔しており、前記一面側に水を介して吸着保持させた被研磨物を前記一面側の表面に直交する方向に引っ張ったときの吸着力が2kg〜8kgの範囲であり、かつ、前記一面側に水を介して吸着保持させた被研磨物を前記一面側の表面に沿う方向に引っ張ったときの摩擦力が2kg〜15kgの範囲であることを特徴とする。
本発明では、軟質プラスチックシートの一面側がスライス処理されたことで、バフ処理された面が毛羽状に形成されるのと比べてスライス処理された面が平滑性に優れるため、被研磨物に対する吸着力を確保しやすくすることができ、内部に略均等に形成された発泡が一面側で開孔しており、吸着力を2kg〜8kgの範囲、摩擦力を2kg〜15kgの範囲としたことで、被研磨物に対する吸着力と摩擦力とがバランスよく調整されるため、吸着力を保ちつつ被研磨物の移動が許容されるとともに、被研磨物が移動しても枠材に強く当たることなく被研磨物の損傷が抑制されるので、被研磨物の平坦性を向上させることができる。
この場合において、軟質プラスチックシートが互いに交差する2方向のうちの一方向であってスライス処理用の刃先と平行な方向の長さが固定され他方向に張力がかけられた状態で、一面側がスライス処理されていてもよい。また、軟質プラスチックシートの一面側の開孔の平均開孔径を10μm〜60μmの範囲とすることが好ましい。軟質プラスチックシートの一面側の開孔率を10%〜70%の範囲とすることが好ましい。軟質プラスチックシートの厚さを0.8mm〜2.0mmの範囲としてもよい。
本発明によれば、軟質プラスチックシートの一面側がスライス処理されたことで、バフ処理された面が毛羽状に形成されるのと比べてスライス処理された面が平滑性に優れるため、被研磨物に対する吸着力を確保しやすくすることができ、内部に略均等に形成された発泡が一面側で開孔しており、吸着力を2kg〜8kgの範囲、摩擦力を2kg〜15kgの範囲としたことで、被研磨物に対する吸着力と摩擦力とがバランスよく調整されるため、吸着力を保ちつつ被研磨物の移動が許容されるとともに、被研磨物が移動しても枠材に強く当たることなく被研磨物の損傷が抑制されるので、被研磨物の平坦性を向上させることができる、という効果を得ることができる。
本発明を適用した実施形態の保持パッドを示す断面図である。 シート基材と貼り合わせた成膜樹脂をスライスするときの成膜樹脂とバンドナイフとの位置関係を示す断面図である。 ポリウレタンシートを評価するときのポリウレタンシートおよび被研磨物の位置関係を模式的に示し、(A)は吸着力を評価するときの断面図、(B)は摩擦力を評価するときの断面図である。
以下、図面を参照して、本発明を適用したシリコンウエハ保持用の保持パッドの実施の形態について説明する。
(保持パッド)
図1に示すように、本実施形態の保持パッド1は、100%モジュラス(2倍長に引っ張る時の張力)が20MPa以下のポリウレタン樹脂で形成された軟質プラスチックシートとしてのポリウレタンシート2を有している。
ポリウレタンシート2は、シリコンウエハ(被研磨物)をウエハホルダ(保持定盤)に保持させるときにシリコンウエハに当接する保持面Pを有している。ポリウレタンシート2の保持面P側には、ポリウレタンシート2の厚さ(図1の縦方向の長さ)が一様となるようにスライス処理が施されている(詳細後述)。ポリウレタンシート2は、厚さの平均値に対する標準偏差の割合を百分率で示した厚さ変動率が5%以下となるように形成されている。本例では、厚さ変動率が2%に設定されている。このため、ポリウレタンシート2の保持面Pが略平坦となる。ポリウレタンシート2の厚さは、平均値として、0.2〜2.0mmの範囲とすることが好ましく、本例では、0.8mmに設定されている。
ポリウレタンシート2の内部には、湿式成膜により、ポリウレタンシート2の厚さ方向に沿って丸みを帯びた断面略三角状の発泡3が略均等に分散した状態で形成されている。発泡3は、保持面P側の大きさが、保持面Pと反対の面側より小さく形成されている。発泡3同士の間のポリウレタン樹脂中には、発泡3より小さい図示しない発泡が形成されている(以下、説明を簡単にするために発泡3および図示しない発泡をあわせて発泡3と称する。)。発泡3は、不図示の連通孔で立体網目状につながっている。保持面P側がスライス処理されているため、発泡3の一部が保持面Pで開孔して開孔4を形成している。発泡3が略均等に形成されていることから、保持面Pでは開孔4が略均等に分散した状態で形成されている。開孔4は、平均開孔径が10〜60μmの範囲に設定されることが好ましく、本例では、40μmに設定されている。また、保持面Pの全面積に対する開孔4の合計面積の割合を百分率で示した開孔率が10〜70%に設定されることが好ましく、本例では、25%に設定されている。このポリウレタンシート2では、保持面Pに水を介して吸着保持させたシリコンウエハを保持面Pに直交する方向(以下、垂直方向という。)に引っ張ったときの力(以下、吸着力という。)が2〜8kgの範囲に設定されることが好ましい。また、研磨加工中のシリコンウエハに良好な自転(移動)を許容するために、シリコンウエハに荷重をかけ保持面Pに沿う方向(以下、水平方向という。)に引っ張ったときの力(以下、摩擦力という。)が2〜15kgの範囲に設定されることが好ましい。本例では、垂直方向の吸着力が3kgに設定されており、水平方向の摩擦力が5.0kgに設定されている。
保持パッド1の保持面P側には、研磨加工中にシリコンウエハが横ずれを起こしウエハホルダから飛び出すことを抑制する(横ずれ範囲を規制する)枠材としてのテンプレート8が貼り合わされている。テンプレート8には、ガラスエポキシ樹脂(ガラス繊維を含有するエポキシ樹脂)やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を主体とした材質が使用されている。テンプレート8は、外径がポリウレタンシート2と同じ大きさで、内径がシリコンウエハより大きなリング状を呈している。テンプレート8は、ポリウレタンシート2の保持面P側にホットメルト(感熱型接着剤)を介して接着されている。ホットメルトには、例えば、アクリル系、ニトリル系、ニトリルゴム系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の熱可塑性接着剤が使用されている。ホットメルトを熱溶融させることで、保持面Pとテンプレート8の接着面とがほぼ一定の間隔で接着されている。
また、保持パッド1は、保持面Pと反対の面側に、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)フィルム製の基材6が貼り合わされている。基材6のポリウレタンシート2と反対側の面には、一面側(図1の最下面側)に剥離紙を有し研磨機に保持パッド1を装着するための両面テープ7の他面側が貼り合わされている。両面テープ7は、PETフィルム製の基材の両面に接着剤層を有している。
(保持パッドの製造)
保持パッド1は、湿式成膜、スライス処理、ラミネートおよび裁断の各工程を経て製造される。以下、工程順に説明する。まず、湿式成膜工程では、ポリウレタン樹脂を有機溶媒に溶解させたポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し、水系凝固液に浸漬することでポリウレタン樹脂をシート状に凝固再生させ、洗浄後乾燥させて帯状(長尺状)のポリウレタンシート2を得る。
ポリウレタン樹脂溶液は、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒及び添加剤を混合し、濾過により凝集塊等を除去した後、真空下で脱泡することで調製される。有機溶媒には、本例では、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)が用いられている。ポリウレタン樹脂には、100%モジュラスが20MPa以下のポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂から選択して用い、例えば、ポリウレタン樹脂が30%となるようにDMFに溶解させる。添加剤としては、発泡3の大きさや量(個数)を制御するため、カーボンブラック等の顔料、発泡を促進させる親水性活性剤及びポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させる疎水性活性剤等を用いることができる。換言すれば、親水性活性剤や疎水性活性剤の配合割合を調整することで、得られるポリウレタンシート2に形成される発泡3の大きさや量を制御することができる。
調製されたポリウレタン樹脂溶液は、常温下でナイフコータ等の塗布機により帯状の成膜基材に略均一に塗布される。このとき、ナイフコータと成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、ポリウレタン樹脂溶液の塗布厚さ(塗布量)が調整される。成膜基材には、可撓性フィルム、不織布、織布等を用いることができる。不織布や織布を用いる場合は、ポリウレタン樹脂溶液の塗布時に成膜基材内部へのポリウレタン樹脂溶液の浸透を抑制するため、予め水又はDMF水溶液(DMFと水との混合液)等に浸漬する前処理(目止め)が行われる。成膜基材としてPET製等の可撓性フィルムを用いる場合は、液体の浸透性を有していないため、前処理が不要となる。以下、本例では、成膜基材をPET製フィルムとして説明する。
ポリウレタン樹脂溶液が塗布された成膜基材は、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液に浸漬される。凝固液中では、まず、塗布されたポリウレタン樹脂溶液の表面に緻密な微多孔が形成された厚さ数μmのスキン層が形成される。その後、ポリウレタン樹脂溶液中のDMFと凝固液との置換の進行によりポリウレタン樹脂が成膜基材の片面にシート状に凝固再生する。DMFのポリウレタン樹脂溶液からの脱溶媒による凝固液との置換に伴い、ポリウレタン樹脂の内部に発泡3が略均等に分散した状態で形成され、発泡3を立体網目状に連通する不図示の連通孔が形成される。このとき、成膜基材のPET製フィルムが水(凝固液)を浸透させないため、ポリウレタン樹脂溶液の表面(スキン層)側で脱溶媒が生じて成膜基材側が表面側より大きな発泡3が形成される。
凝固再生したポリウレタン樹脂(以下、成膜樹脂という。)が成膜基材から剥離され、水等の洗浄液中で洗浄されて成膜樹脂中に残留するDMFが除去される。洗浄後、成膜樹脂をシリンダ乾燥機で乾燥させる。シリンダ乾燥機は内部に熱源を有するシリンダを備えている。成膜樹脂がシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。乾燥後の成膜樹脂は、ロール状に巻き取られる。
スライス処理工程は、準備ステップとスライスステップとを有している。準備ステップでは、湿式成膜工程で巻き取られた成膜樹脂のスキン層側に略平坦なシート基材が貼り合わされ幅方向の長さが固定される。長尺状のシート基材は、ロール状に巻かれており、長手方向と交差する幅方向の長さが成膜樹脂より大きく設定されている。シート基材には、伸縮性を有しないPET製シートが用いられている。シート基材と成膜樹脂との貼合わせには、アクリル系接着剤等の感圧型接着剤が用いられている。ロール状に巻き取られた成膜樹脂がスキン層を上側にして略水平に引き出され、上面(スキン層の表面)に感圧型接着剤が略均一に塗布される。成膜樹脂の上側からシート基材が重ね合わされ、成膜樹脂の幅方向に張力をかけた状態で、成膜樹脂とシート基材とが加圧により貼り合わされる。成膜樹脂の幅方向にかける張力は、スライス時に成膜樹脂に弛みが生じない程度で十分である。なお、感圧型接着剤としては、後述するようにスライス時には成膜樹脂の長手方向にも張力がかけられることを考慮し、張力下で剥離しない程度の接着力を有するものを用いることが好ましい。また、幅方向に張力をかけずに幅方向の長さを固定するようにしてもよい。
スライスステップでは、シート基材と貼り合わされた成膜樹脂のスキン層側(シート基材と貼り合わされた面側)がスライスされる。スライスには、帯状で環状に形成されたバンドナイフを備えたスライス機が使用される。スライス機は、長手方向が成膜樹脂(シート基材)の幅方向となるように配置されている。バンドナイフは、スライス機の長手方向両側にそれぞれ配設された回転駆動ローラ及び従動ローラ間に張架されており、2本のローラ間に位置する部分が略水平となるように調整されている。バンドナイフは、成膜樹脂の搬送方向上流側に刃先を向けて配置されている。バンドナイフを一定方向に回転させ、シート基材と貼り合わされた成膜樹脂を搬送方向に通過させることで、成膜樹脂がスライスされる。
スライス時には、成膜樹脂の長手方向に張力がかけられる。長手方向にかけられる張力は、成膜樹脂のポリウレタン樹脂の破断伸度(短冊状の試験片を長手方向に引っ張り、試験片が破断したときの伸度)の5%〜50%の範囲に設定される。張力が破断伸度の5%より小さい場合は、スライス時に成膜樹脂の弛みが生じやすくなり、スライス後のポリウレタンシート2に厚さバラツキが生じやすくなる。反対に、張力が破断伸度の50%を超えた場合は、スライスの途中でポリウレタンシート2が破断してしまうおそれがある。成膜樹脂が弾力性を有しているため、シート基材と貼り合わされていない成膜樹脂のみに長手方向の張力をかけると、幅方向に収縮し、幅方向の長さが小さくなる。本例では、成膜樹脂がシート基材と貼り合わされ幅方向の長さが固定されているため、幅方向に収縮することなく長手方向および幅方向に張力がかかり、成膜樹脂の厚さがほぼ一様となる。長手方向にかける張力は、スライス機への成膜樹脂(シート基材)の供給量(供給速度)と、スライス後のポリウレタンシート2の巻き取り量(巻取速度)とを変えることで調整することができる。スライス後、形成された帯状のポリウレタンシート2は、張力がかけられた状態でロール状に巻き取られる。
スライス処理では、図2に示すように、成膜樹脂2aが搬送方向(図2の矢印A方向)に搬送されるときに、成膜樹脂2aのシート基材12側がバンドナイフKでスライスされる。このとき、スライス後のポリウレタンシート2の厚さ変動率が5%以下となるように切断位置が調整されている。すなわち、成膜樹脂2aの厚さバラツキが大きいほどスキン層表面から離れた位置でスライスする(得られるポリウレタンシート2の厚さが小さくなる)。本例では、連続的に製造された成膜樹脂2aが帯状のため、成膜樹脂2aを連続的にスライスする。ポリウレタンシート2は、スキン層側が切り取られることで略平坦(平滑)な保持面Pが形成され厚さバラツキが解消される。このとき、発泡3が開孔して開孔4が形成される。ポリウレタン樹脂溶液に配合する親水性活性剤や疎水性活性剤を調整し、スライス処理で厚さ変動率が5%以下となるように切断位置を調整することで、開孔4の平均開孔径、開孔率を上述した範囲に設定することができ、シリコンウエハを吸着保持させたときの吸着力や摩擦力を設定することができる。スライス処理では、成膜樹脂2aが伸縮性を有しないシート基材12と貼り合わされているため、長手方向にかけられる張力が厳密にはスライス後のポリウレタンシート2にかかることとなるが、スライス時に瞬間的に幅方向の固定が解除されると共にスライスされる。このため、スライスの瞬間では長手方向および幅方向の2方向に張力がかかっており、ポリウレタンシート2の厚さ変動率に対する影響はほとんどない。
ラミネート工程では、スライス後ロール状に巻き取られたポリウレタンシート2のスライスされた面と反対の面側に、基材6を接着剤や粘着剤で貼り合わせる。このとき、ポリウレタンシート2に張力をかけて貼り合わせる。張力は、ポリウレタンシート2の破断伸度の2〜30%の範囲に設定される。張力が破断伸度の2%より小さい場合は、ポリウレタンシート2が弛みやすくなるため、ポリウレタンシート2が波打った状態で貼り合わされるおそれがある。反対に、張力が破断伸度の30%を超えた場合は、接着剤や粘着剤に強力なものを使用しないと、貼り合わせが安定せず、端部(周縁部)等で剥離が生じやすくなるおそれがある。基材6のポリウレタンシート2と反対側の面には、一面側に剥離紙が貼付された両面テープ7の他面側を貼り合わせる。裁断工程で円形等の所望の形状、サイズに裁断した後、ポリウレタンシート2のスライスされた面側にテンプレート8をホットメルトで貼り合わせる。その後、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い保持パッド1を完成させる。
シリコンウエハの研磨加工を行うときは、ウエハ研磨機のウエハホルダに保持パッド1を装着し、保持パッド1でシリコンウエハを保持させる。ウエハホルダに保持パッド1を装着するには、両面テープ7の剥離紙を取り除き、露出した接着剤層で保持面Pが下方に向くようにウエハホルダに接着固定する。テンプレート8の略中央部に露出している保持面Pに適量の水を含ませてシリコンウエハを押し付けることで、シリコンウエハが水の表面張力及びポリウレタンシート2のポリウレタン樹脂の粘着性によりウエハホルダに保持される。このとき、シリコンウエハの被研磨面(加工面)が下方に向いている。一方、ウエハホルダの下方でウエハホルダと対向するように配置された研磨定盤には、表面に研磨布を研磨面が上方に向くように装着する。シリコンウエハの被研磨面が研磨布の研磨面に接触するように、ウエハホルダを研磨定盤の方へ移動させシリコンウエハを搬送する。ウエハホルダでシリコンウエハを研磨布側に押圧しながら、ウエハホルダと研磨定盤とを回転させることで、シリコンウエハの加工面が研磨布で研磨加工される。ポリウレタンシート2の吸着力が摩擦力より大きく設定されているため、ウエハホルダに保持させたシリコンウエハが搬送中(研磨布に押圧されるまで)脱落することなく、研磨加工中にはシリコンウエハがテンプレート8の内側で移動(自転)しながら研磨加工される。
(作用)
次に、本実施形態の保持パッド1の作用等について説明する。
本実施形態の保持パッド1では、ポリウレタンシート2は、湿式成膜後、保持面P(スキン層)側がスライス処理され、厚さ変動率が2%(5%以下)に設定されている。このため、研磨加工時に保持したシリコンウエハを研磨布側に略均等に押圧することができる。また、ポリウレタンシート2が保持面Pに発泡3の開孔による開孔4が形成されている。このため、研磨加工時に保持するシリコンウエハは、開孔4以外の部分では水を介して保持面Pに当接し、開孔4では当接しなくなる。これにより、シリコンウエハに対する吸着力と摩擦力とがバランスよく調整されるので、吸着力を確保することができ、研磨加工中にシリコンウエハがテンプレート8の中側で移動可能となる。従って、シリコンウエハがある程度自由に移動しながら研磨加工されるので、シリコンウエハの平坦性を向上させることができる。
また、本実施形態の保持パッド1では、ポリウレタンシート2の保持面P側がスライス処理されている。スライス処理に代えてバフ処理を行った場合、バフ処理された面が微小な凹凸で毛羽状に形成されるため、シリコンウエハに対する吸着力が不均一となり、シリコンウエハの平坦性の低下や微少な傷の原因となる。これに対しスライス処理では、スライスされた面が平滑となり、広い範囲の厚さバラツキだけではなく、微少な凹凸についても改善される。このため、保持パッド1をウエハ研磨機のウエハホルダに装着することで、保持面Pの平坦性を格段に向上させることができる。また、バフ処理では生じたバフ屑等が保持面Pに形成された開孔に入り込み研磨加工中に脱落してシリコンウエハの平坦性を損なうことがあるのに対して、スライス処理ではこのような問題が生じることはない。このため、保持パッド1の平滑な保持面Pとシリコンウエハとの接触性が向上するため、シリコンウエハを確実に保持することができる。更に、バフ処理した面では、シリコンウエハを交換するたびに、シリコンウエハに接触する毛羽状部分の向きや面積がランダムに変化する。これに対して、スライス処理した保持面Pでは、保持面Pが略平坦な構造となる。このため、シリコンウエハを交換しても、保持面との接触が常にほぼ一定となるので、安定した研磨加工を行うことができる。
更に、本実施形態の保持パッド1では、保持面P側がスライス処理されているため、略平坦な部分(開孔4以外の部分)の面積が広くなりシリコンウエハに対する吸着力を確保しやすくなる。更に、保持面Pが略平坦となることで、ホットメルトによるテンプレート8の接着性が向上するので、研磨加工中にテンプレート8が剥離しにくくなり、保持パッド1の寿命を向上させることができる。
また更に、本実施形態の保持パッド1では、開孔部4を構成する開孔の平均開孔径が40μm(10〜60μmの範囲)で、開孔率が25%(10〜70%の範囲)に設定されている。平均開孔径が10μmより小さい場合や開孔率が10%より低い場合には、シリコンウエハに対する吸着力が大きくなり研磨加工中にシリコンウエハが水平方向に動けなくなるため、シリコンウエハに過度の負荷がかかるおそれがある。反対に、開孔径が60μmより大きい場合や開孔率が70%を超えた場合には、シリコンウエハに対する吸着力が弱くなってしまう。吸着力が弱くなると、シリコンウエハを保持パッド1に吸着保持させてから研磨布に押圧するまでの搬送中にシリコンウエハが脱落してしまう可能性がある。平均開孔径、開孔率を本実施形態の範囲に設定することで、吸着力を保ちつつ研磨加工時にシリコンウエハの移動が可能となるので、平坦性を向上させた研磨加工を行うことができる。
更にまた、本実施形態の保持パッド1では、ポリウレタンシート2の厚さが0.8mm(0.2〜2.0mmの範囲)に設定されている。ポリウレタンシート2の厚みが大きすぎる場合は、湿式成膜時にポリウレタン樹脂を内部まで十分に凝固再生させることが難しくなる。反対に、厚みが小さすぎる場合は、保持パッドとして要求されるクッション性が不十分となり、シリコンウエハにキズ等を発生させる原因となる。ポリウレタンシート2の厚さを0.2〜2.0mmの範囲に設定することで、湿式成膜で十分に凝固再生させることができ、保持パッドとして十分なクッション性を有するポリウレタンシート2を得ることができる。被研磨物に対するクッション性を考慮すれば、厚さを0.8〜2.0mmとすることがより好ましい。
また、本実施形態の保持パッド1では、ポリウレタンシート2のシリコンウエハに対する吸着力が3kg(2〜8kgの範囲)に設定されており、摩擦力が5.0kg(2〜15kgの範囲)に設定されている。吸着力が2kg未満では、吸着保持させたシリコンウエハが搬送中等に脱落してしまう可能性がある。吸着力が8kgを超える場合、保持面Pにシリコンウエハが吸着され固定された状態が長時間続くと、シリコンウエハの表面(被研磨面)に保持パッド1の表面形状が転写されてしまうおそれもある。摩擦力が大きすぎると研磨加工時にシリコンウエハが移動できなくなり、特に、15kgより大きい場合は、研磨加工中にシリコンウエハが移動し難くなりシリコンウエハに過度の負荷がかかるため、平坦性の低下を招きやすくなる。保持面Pがシリコンウエハを吸着し固定したままで研磨加工が続けられると、シリコンウエハの被研磨面に保持パッド1の表面形状が転写されてしまう可能性もある。反対に、摩擦力が2kgより小さい場合は、研磨加工中にシリコンウエハがテンプレート8と強く衝突してしまい傷発生の原因となるおそれがある。ポリウレタンシート2のシリコンウエハに対する吸着力を2〜8kgの範囲に設定し、摩擦力を2〜15kgの範囲に設定することで、シリコンウエハに対する吸着力と摩擦力とがバランスよく調整されるので、シリコンウエハの平坦性を向上させることができる。シリコンウエハの平坦性を一層向上させるためには、吸着力を2〜6kgの範囲、摩擦力を3〜10kgの範囲にそれぞれ設定することがより好ましい。
更に、本実施形態の保持パッド1では、成膜樹脂2aとシート基材12とが貼り合わされて幅方向の長さが固定され、長手方向に張力をかけて成膜樹脂2aがスライスされる。例えば、ある程度の硬度を有するブロック状の樹脂であれば、容易にスライスすることができるのに対し、ポリウレタンの成膜樹脂2aが弾力性を有するシート状であることから、厚さ精度よくスライスすることは容易ではない。シート基材12に貼り合わされていない成膜樹脂2aのみでは、長手方向に張力をかけることで幅方向に収縮し幅方向の長さが小さくなるため、厚さバラツキが生じやすくなる。成膜樹脂2aがシート基材12と貼り合わされることで、スライス時(スライスの瞬間)には成膜樹脂2aが長手方向および幅方向に張力がかけられた状態となる。これにより、弾力性を有するポリウレタン樹脂でも、厚さが一様となるようにスライスすることができる。従って、保持パッド1の全体について厚さバラツキを低減することができる。
また更に、本実施形態の保持パッド1では、保持面Pと反対の面側に基材6としてPET製フィルムが貼り合わされている。このため、柔軟なポリウレタンシート2が基材6で支持されるので、保持パッド1の搬送時やウエハ研磨機への装着時の取り扱いを容易にすることができる。
なお、本実施形態では、スライス処理を施すことでポリウレタンシート2の厚さ変動率を2%(5%以下)とする例を示したが、研磨加工時にシリコンウエハの平坦性を一層向上させるためには、厚さ変動率を極力小さくすることが好ましい。このことは、スライス時にかける張力やスライスする位置(切断位置)を調整することで、例えば、厚さ変動率を1%以下にすることも可能である。厚さ変動率が5%より大きい場合は、シリコンウエハの平坦性を低下させるおそれがある。
また、本実施形態では、保持面Pの開孔率を25%(10〜70%の範囲)に設定する例を示した。ポリウレタンシート2の吸着力と摩擦力とをバランスよく調整することを考慮すれば、開孔率を15〜60%の範囲に設定することが好ましく、20〜50%に設定することがより好ましい。
更に、本実施形態では、ポリウレタンシート2の保持面Pと反対の面側に基材6を貼り合わせる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、両面テープ7の基材をそのまま保持パッド1の基材とすることもできる。また、基材6としては、PET製フィルム以外に、不織布や織布等を使用してもよい。
また更に、本実施形態では、リング状のテンプレート8を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、大型の保持パッドで複数のシリコンウエハを同時に研磨加工する場合には、テンプレートにシリコンウエハより大きい径の複数の開口を形成するようにしてもよい。また、テンプレート8の材質に制限がないことはもちろんである。
更にまた、本実施形態では、湿式成膜工程で連続的に帯状の成膜樹脂を形成し、ラミネート工程までの各工程を連続的に行い、裁断工程で所望の形状、サイズに裁断する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、湿式成膜時に所望の形状、サイズに形成してもよく、連続的に形成した成膜樹脂を裁断した後、スライス処理工程、ラミネート工程を行うようにしてもよい。量産時の製造効率を考慮すれば、連続的に行うことが好ましい。
また、本実施形態では、連続的に処理するため、成膜樹脂2aとシート基材12とを貼り合わせることで成膜樹脂2aの幅方向の長さを固定し、長手方向に張力をかけてスライスする例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、所望の形状、サイズに形成した成膜樹脂をスライスするには、スライス機に対する搬送方向に張力をかけ、該搬送方向と交差する方向の長さを固定することで、互いに交差する2方向に張力がかかるようにすればよい。また、所望の形状、サイズに形成した成膜樹脂2aをスライス機に向けて搬送することに代えて、スライス機が移動するようにしてもよい。この場合には、スライス機の移動方向と交差する方向で成膜樹脂2aに張力がかかるようにすれば、厚さが一様となるようにスライスすることが可能である。
更に、本実施形態では、スライス処理工程において、長尺状の成膜樹脂のスキン層側に略平坦なシート基材を貼り合わせることで成膜樹脂の幅方向の長さを固定する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。本実施形態以外に、成膜樹脂の幅方向の長さを固定するために、例えば、幅方向の両側をテンション(張力)をかけて引っ張ったり、幅方向の長さを固定したまま、平坦な面を有する治具で成膜樹脂を上下から挟んだりしてもよい。また、本実施形態では、湿式成膜工程で成膜基材から成膜樹脂を剥離する例を示したが、成膜樹脂の幅方向の長さが固定された状態であれば(成膜基材が伸縮性を有していなければ)、成膜基材から成膜樹脂を剥離することなくそのままスライス処理するようにしてもよい。
また更に、本実施形態では、湿式成膜工程で得られた成膜樹脂は、スライス機でスキン層側がスライスされるが、スライスで切り取られる量(バンドナイフKで切断する位置)については特に制限されるものではない。得られるポリウレタンシート2の厚さを考慮し、成膜樹脂の厚さバラツキやスライス時にかける張力により適宜設定すればよい。また、本実施形態では、バンドナイフKを備えたスライス機で成膜樹脂をスライスする例を示したが、本発明はこれに制限されるものではなく、スライス後のポリウレタンシート2を厚さ変動率が5%以下となるように形成できればよい。
以下、本実施形態に従い製造した保持パッド1の実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例の保持パッドについても併記する。
(実施例1)
実施例1では、ポリウレタン樹脂として、100%モジュラスが10MPaのポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用いた。このポリウレタン樹脂のDMF溶液(濃度30%)100部に対して、粘度調整用のDMFの45部、顔料のカーボンブラックを30%含むDMF分散液の40部、疎水性活性剤の2部を混合してポリウレタン樹脂溶液を調製した。このポリウレタン樹脂溶液を成膜基材のPET製シートに塗布する際に塗布厚を1mmに設定した。スライス処理では、成膜樹脂2aの長手方向にかける張力をポリウレタン樹脂の破断伸度の10%に設定し、厚さ変動率が5%以下となるように切断位置を調整した。
(比較例1)
比較例1では、スライス処理で厚さ変動率が5%を超えるように調整した以外は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
比較例2では、スライス処理で平均開孔径が60μmを超えるように調整した以外は、実施例1と同様にした。
実施例1、比較例1及び比較例2について、作製時にポリウレタンシート2の厚さを測定し平均値及び厚さ変動率を求めた。また、ポリウレタンシート2の平均開孔径および開孔率を測定した。厚さの測定では、ポリウレタンシートの縦断面を、マイクロスコープ(KEYENCE製、VHX−600)で1.1mm×1.5mmの範囲を200倍に拡大して観察した。このとき、保持面P側で最高地点から高い順に5点、最低地点から低い順(発泡内部は除く)に5点をそれぞれ選び、各地点でのポリウレタンシート2の厚さ(10箇所)を測定した。各測定値から平均値、標準偏差を求め、平均値に対する標準偏差の割合の百分率を厚さ変動率(単位%)として求めた。すなわち、厚さ変動率(%)=(標準偏差/平均値)×100で求めた。平均開孔径および開孔率の測定では、マイクロスコープ(KEYENCE製、VH−6300)で約1.3mm四方の範囲を175倍に拡大し観察した。この画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver.1.3)により処理し平均開孔径および開孔率を算出した。
また、得られた保持パッド1のシリコンウエハに対する吸着力および摩擦力を次のようにして測定した。吸着力の測定では、図3(A)に示すように、測定用の保持パッド1を水に15分間浸漬した後、ウエハホルダ18に貼り付けた。保持パッド1の表面(上面)を霧吹きで湿らせ、ワイパで水気を拭き取った後、SUS板16に貼り付けたシリコンウエハ15aを保持パッド1上に載置した。初期荷重12kg(150g/cm)を1分間かけた後荷重を外した。SUS板16を垂直方向(図3(A)の矢印C方向)に引っ張り、シリコンウエハ15aから保持パッド1が外れたときの力を測定した。測定は3回行い、平均値を吸着力とした。一方、摩擦力の測定では、図3(B)に示すように、測定用の保持パッド1を水に15分間浸漬した後、ウエハホルダ18に貼り付けた。保持パッド1の表面(上面)を霧吹きで湿らせ、ワイパで水気を拭き取った後、SUS板16に貼り付けた10cm角のシリコンウエハ15bを保持パッド1上に載置した。10kgの荷重(100g/cm)をかけながらSUS板16を水平方向(図3(B)の矢印D方向)に80mm引っ張ったときの力の最大値を測定した。測定は3回行い、平均値を摩擦力とした。下表1に、厚さの平均値、厚さ変動率、平均開孔径、開孔率、吸着力および摩擦力の各測定結果を示す。
Figure 0005503049
表1に示すように、比較例1では、厚さの平均値が864μm、厚さ変動率が5.13%であった。これに対して、実施例1では、厚さの平均値が858μmであり、厚さ変動率が1.02%を示した。また、比較例1では平均開孔径が38.9μm、開孔率が19.5%を示したのに対し、実施例1では平均開孔径が40.8μm、開孔率が23.4%を示した。一方、比較例2では、厚さ変動率は1.08%を示したが、平均開孔径が61.3μm、開孔率が34.9%を示した。このことから、厚さ変動率が5%を超えると平均開孔径、開孔率ともに大きくなることが判った。吸着力、摩擦力では、実施例1と比較例1、比較例2とで大きな差異が認められた。すなわち、比較例1、比較例2では吸着力がそれぞれ1.8kg、1.5kgを示し2kgより小さくなり、摩擦力がそれぞれ5.2kg、3.7kgであったのに対して、実施例1では吸着力が3.1kg、摩擦力が4.9kgであった。このことから、比較例1、比較例2では、シリコンウエハを保持パッドで確実に保持することができず、搬送中に脱落してしまうこととなる。更に、比較例1では、厚さ変動率が5%を超えるため、シリコンウエハの平坦性を低下させることとなる。これに対して、実施例1では、吸着力、摩擦力がバランスよく調整されているため、シリコンウエハの平坦性を向上させることが期待できる。従って、本実施形態で示したように、湿式成膜された成膜樹脂を厚さ変動率が5%以下となるようにスライス処理し、平均開孔径、開孔率を調整することで、研磨加工時のシリコンウエハに対する吸着力、摩擦力をバランスよく調整してシリコンウエハの平坦性を向上させることができることが判明した。
本発明は被研磨物の平坦性を向上させることができる保持パッドを提供するため、保持パッドの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
1 保持パッド
2 ポリウレタンシート(軟質プラスチックシート)
3 発泡
4 開孔
6 基材
8 テンプレート(枠材)
15 シリコンウエハ(被研磨物)

Claims (5)

  1. 湿式成膜で内部に発泡が略均等に形成された軟質プラスチックシートと、前記軟質プラスチックシートの一面側に配置され被研磨物の横ずれ範囲を規制する枠材と、前記軟質プラスチックシートの他面側に配置された基材とを備えた保持パッドにおいて、前記軟質プラスチックシートは、前記一面側がスライス処理されて前記発泡が該一面側で開孔しており、前記一面側に水を介して吸着保持させた被研磨物を前記一面側の表面に直交する方向に引っ張ったときの吸着力が2kg〜8kgの範囲であり、かつ、前記一面側に水を介して吸着保持させた被研磨物を前記一面側の表面に沿う方向に引っ張ったときの摩擦力が2kg〜15kgの範囲であることを特徴とする保持パッド。
  2. 前記軟質プラスチックシートは、互いに交差する2方向のうちの一方向であってスライス処理用の刃先と平行な方向の長さが固定され他方向に張力がかけられた状態で、前記一面側がスライス処理されたことを特徴とする請求項1に記載の保持パッド。
  3. 前記軟質プラスチックシートは、前記一面側の開孔の平均開孔径が10μm〜60μmの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の保持パッド。
  4. 前記軟質プラスチックシートは、前記一面側の開孔率が10%〜70%の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の保持パッド。
  5. 前記軟質プラスチックシートは、厚さが0.8mm〜2.0mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の保持パッド。
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