JP2006257178A - 微細気泡ポリウレタン発泡体、微細気泡ポリウレタン発泡体シート及び、研磨パッド並びに、微細気泡ポリウレタン発泡体の製造方法 - Google Patents
微細気泡ポリウレタン発泡体、微細気泡ポリウレタン発泡体シート及び、研磨パッド並びに、微細気泡ポリウレタン発泡体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 安定した生産が可能な、気泡(気孔)を均一に分散させた微細気泡ポリウレタン発泡体を提供すること。さらに、この微細気泡ポリウレタン発泡体から、研磨特性が優れている研磨パッドを提供すること。
【解決手段】 イソシアネート基含有化合物を含む第1成分と活性水素基含有化合物を含む第2成分を主成分とする微細気泡ポリウレタン発泡体で、イソシアネート基含有化合物が下記条件を満たすことを特徴とする微細気泡ポリウレタン発泡体である。
0.40Pa・s≦η80≦2.80Pa・s (η80:80℃での溶融粘度)
Ea≦80kJ/mol (Ea:活性化エネルギー)
また、研磨パッド用ポリウレタンシートの裏面に下地層を貼り合せることにより得た研磨パッド。
【効果】 本発明により、生産安定性が優れた微細気泡ポリウレタン発泡体を得ることができる。また、優れた研磨特性を有する研磨パッドが得られる。
【選択図】 なし
【解決手段】 イソシアネート基含有化合物を含む第1成分と活性水素基含有化合物を含む第2成分を主成分とする微細気泡ポリウレタン発泡体で、イソシアネート基含有化合物が下記条件を満たすことを特徴とする微細気泡ポリウレタン発泡体である。
0.40Pa・s≦η80≦2.80Pa・s (η80:80℃での溶融粘度)
Ea≦80kJ/mol (Ea:活性化エネルギー)
また、研磨パッド用ポリウレタンシートの裏面に下地層を貼り合せることにより得た研磨パッド。
【効果】 本発明により、生産安定性が優れた微細気泡ポリウレタン発泡体を得ることができる。また、優れた研磨特性を有する研磨パッドが得られる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ウエハ表面の凹凸をケミカルメカニカルポリシングで平坦化する際に使用される研磨パッドの研磨層に最適な微細気泡ポリウレタン発泡体、及び研磨パッドに関する。さらには、その微細気泡ポリウレタン発泡体の製造方法に関する。
半導体装置を製造する際には、ウエハ表面に導電性膜を形成し、フォトリソグラフィー、エッチング等をすることにより配線層を形成する工程や、配線層の上に層間絶縁膜を形成する工程等が行われ、これらの工程によってウエハ表面に金属等の導電体や絶縁体からなる凹凸が生じる。近年、半導体集積回路の高密度化を目的として配線の微細化や多層配線化が進んでいるが、これに伴い、ウエハ表面の凹凸を平坦化する技術が重要となってきた。
ウエハ表面の凹凸を平坦化する方法としては、一般的にケミカルメカニカルポリシング(Chemical Mechanical Polishing:以下CMPという)法が採用されている。CMPは、ウエハの被研磨面を研磨パッドの研磨面に押し付けた状態で、砥粒が分散されたスラリー状の研磨剤(以下スラリーという)を用いて研磨する技術である。
高精度の研磨に使用される研磨パッドとしては、ポリウレタン等のマトリックス樹脂に、高圧ガス内包の中空微小球体を分散させた研磨パッドが広く知られている(特許文献1)。
その他に、ポリウレタン中に加熱膨張性微小中空球体や発泡済みポリスチレン系ビーズを分散させた研磨パッドを提案し(特許文献2、3)、ポリウレタン中に膨張済み微小中空球体、加熱膨張性微小中空球体及び、水を組み合わせて、異なる径を有する気孔を分散させた研磨パッドを提案している(特許文献4、5、6)。
これら研磨パッドを形成する気孔分散ポリウレタンの製造手段としては、イソシアネート基含有化合物に気孔となる成分(微小中空球体等)を予め混ぜておき、活性水素基含有化合物を加えて反応させる方法が一般的である。この際、気孔をポリウレタン中に均一に分散させるためには、イソシアネート基含有化合物の溶融粘度は非常に重要なファクターと言える。また、これら従来の微小中空球体等を分散させたポリウレタンだけでなく、気体を機械的に取り込ませた微細気泡ポリウレタン発泡系においても、同様にイソシアネート基含有化合物の溶融粘度は非常に重要なファクターと言える。
しかし、上記研磨パッドについて、イソシアネート基含有化合物の溶融粘度に関して、詳細な議論はされていない。
また、ジフェニルメタンジイソシアネート系化合物とポリオールからなるイソシアネート末端化合物(A液)と短鎖ジオール、発泡剤、触媒からなる硬化剤(B液)を混合して得られる、研磨材用ポリウレタン系発泡体が提案されているが(特許文献7)、A液の溶融粘度は測定しているものの、その重要性、特に気孔を均一に分散させることとの関係については、何ら触れられていない。
特許第3013105号公報
特開平11−322877号公報
特開平11−322878号公報
特開2000−343412号公報
特開2000−344850号公報
特開2000−344902号公報
特開2000−248034号公報
研磨パッドは、研磨特性が安定していることが強く望まれている。そのためには、研磨パッド(研磨層)が気孔分散タイプのポリウレタンからできている場合、その気孔はポリウレタン中に均一に分散されている必要があり、このようなポリウレタンを安定的に生産する必要がある。特に、気孔分散ポリウレタンを作った後、所定の厚みにスライスしていく場合には、より気孔の均一分散性が要求される。
よって、本発明の目的は、安定した生産が可能な、気泡(気孔)を均一に分散させた微細気泡ポリウレタン発泡体を提供することにある。さらに、この微細気泡ポリウレタン発泡体から、研磨特性が優れている研磨パッドを提供することにある。
本発明者等は、上述のような現状に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、研磨パッド(研磨層)を形成する微細気泡ポリウレタン発泡体を得るのに、ある特定の溶融粘度及び活性化エネルギーを有するイソシアネート基含有化合物を用いることで、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は、イソシアネート基含有化合物を含む第1成分と活性水素基含有化合物を含む第2成分を主成分とする微細気泡ポリウレタン発泡体において、イソシアネート基含有化合物が下記条件を満たすことを特徴とする微細気泡ポリウレタン発泡体に関する。
0. 40Pa・s≦η80≦2.80Pa・s
η80:80℃での溶融粘度
η80:80℃での溶融粘度
Ea≦80kJ/mol
Ea:活性化エネルギー
Ea:活性化エネルギー
本発明では、研磨パッドの研磨層(研磨シート)を形成するのは微細気泡ポリウレタン発泡体である。ポリウレタンが微細気泡を有することにより、研磨操作時にパッド表面にスラリー中の砥粒を保持することができるため、満足のできる研磨速度が得られる。
また、本発明では、研磨パッドの研磨層(研磨シート)を形成する微細気泡ポリウレタン発泡体は、ある特定の溶融粘度及び活性化エネルギーを有するイソシアネート基含有化合物を原料として用いている。このようにある特定の溶融粘度及び活性化エネルギーを有するイソシアネート基含有化合物を用いることで、安定した生産が可能な、気孔が均一に分散した微細気泡ポリウレタン発泡体を得ることができ、さらに、研磨特性が優れた研磨パッドを得ることが可能になる。
ここで、イソシアネート基含有化合物の80℃での溶融粘度は、E型粘度計で測定した値で、活性化エネルギーは、溶融粘度を更に30℃、50℃で測定し、アレニウスの式から求めた値である。
イソシアネート基含有化合物の溶融粘度を80℃で規定しているのは以下の理由による。通常、研磨パッドの研磨層に用いるポリウレタンの原料である活性水素基含有化合物として、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)を用いることが多く、その場合、60〜80℃程度に加温したイソシアネート基含有化合物と100℃以上で溶融させた4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)を混合することになり、その際のイソシアネート基含有化合物の温度は80℃程度になると考えられるからである。
また、イソシアネート基含有化合物の活性化エネルギーは、溶融粘度の温度依存性を表す尺度といえる。温度依存性が大きい場合、小さな温度変化でもイソシアネート基含有化合物の溶融粘度が大きく変化してしまい、気孔が均一に分散した微細気泡ポリウレタン発泡体が得難く、また安定した生産が難しくなる。この理由から、イソシアネート基含有化合物の活性化エネルギーは非常に重要な尺度といえる。
前記イソシアネート基含有化合物の80℃での溶融粘度は、0.40Pa・s以上、2.80Pa・s以下の範囲である。0.40Pa・s未満だと、活性水素基含有化合物と反応、硬化して微細気泡ポリウレタン発泡体を得る際、気泡(気孔)が抜けやすく、気孔が均一分散したポリウレタンを得難くなり好ましくない。
80Pa・sを超えると、活性水素基含有化合物と反応、硬化して微細気泡ポリウレタン発泡体を得る際、気泡(気孔)を分散させること自体が難しくなり、また成形性が悪くなるので好ましくない。
以上より前記イソシアネート基含有化合物の80℃での溶融粘度は、0.40Pa・s以上、2.80Pa・s以下の範囲が良い。さらには、0.60Pa・s以上、2.60Pa・s以下の範囲がより好ましい。
前記イソシアネート基含有化合物の活性化エネルギーは、80kJ/mol以下である。活性化エネルギーが80kJ/molを超えると、小さな温度変化でもイソシアネート基含有化合物の溶融粘度が大きく変化してしまい、気孔が均一に分散した微細気泡ポリウレタン発泡体を作ることが難しく、また再現性の良い安定した生産が困難となるため好ましくない。
本発明では、前記微細気泡ポリウレタン発泡体において、整泡剤としてシリコン系界面活性剤を含むことが好ましい。微細気泡ポリウレタン発泡体の製造にあたり、ポリウレタン原料に予め整泡剤としてシリコン系界面活性剤を混合しておくことは、微細気泡を安定的に作るのに有利であり、ポリウレタンの物性を損なうことなく、気泡が均一なポリウレタン発泡体が安定して得られる。
微細気泡ポリウレタン発泡体が有する気泡は、気泡径(セル径)が平均70μm以下のもの、好ましくは50μm以下である。
本発明は、前記微細気泡ポリウレタン発泡体からなる研磨パッド用ポリウレタンシートに関する。前記微細気泡ポリウレタン発泡体を所定の研磨パッド用ポリウレタンシートのサイズに裁断すると研磨層として使用できる。
本発明では、前記研磨パッド用ポリウレタンシートは表面に溝構造を有している。溝構造の一部が裏面まで貫通していても良い。微細気泡ポリウレタン発泡体を用いていることにより、研磨表面に多くの開口を有し、スラリーを保持する働きを持っているが、更なるスラリーの保持性とスラリーの更新を効率よく行うため、また被研磨対象物との吸着による被研磨体の破壊を防ぐためにも、研磨層表面に溝構造(表面凹凸)を有することが好ましい。スラリーを保持・更新する表面形状であれば、特に限定されるものではなく、例えば、XY格子溝、同心円状溝、貫通孔、貫通していない穴、多角柱、円柱、螺旋状溝、偏心円状溝、放射状溝やこれらの溝を組み合わせたものが挙げられる。また、これらの表面凹凸は規則性のあるものが一般的であるが、スラリーの保持・更新性を望ましいものにするため、ある範囲ごとに溝ピッチ、溝幅、溝深さ等を変化させることも可能である。
本発明は、前記研磨パッド用ポリウレタンシートの裏面に下地層を貼り合せることにより得た研磨パッドに関する。該下地層は、研磨層の特性を補うものである。下地層は、CMPにおいて、トレードオフの関係にあるプラナリティとユニフォーミティの両者を両立させるために重要な役割を果たす。プラナリティとは、パターン形成時に発生する微小凹凸のある被研磨対象物を研磨した時のパターン部の平坦性をいい、ユニフォーミティとは、被研磨対象物全体の均一性をいう。研磨層の特性によって、プラナリティを改善し、下地層の特性によってユニフォーミティを改善することを行う。本発明の研磨パッドにおいては、下地層は研磨層より柔らかいものを用いる。
本発明は、前記研磨パッド用ポリウレタンシートの裏面に下地層を貼り合わせるのに両面テープを用いた研磨パッドに関する。両面テープを使用する利点としては、研磨層と下地層は組成が異なることもあるため、両面テープの各接着層の組成を異なるものとし、各層の接着力を適正化することが可能となる。
本発明は、下地層の、研磨パッド用ポリウレタンシートが貼り合わされている面の反対面にさらに、両面テープが貼り合わされたこと研磨パッドに関する。両面テープを使用する利点としては、下地層とプラテンは組成が異なることが多く、両面テープの各接着層の組成を異なるものとし、下地層、プラテンへの接着力を適正化することが可能となる。
本発明は、イソシアネート基含有化合物を含む第1成分と活性水素基含有化合物を含む第2成分を主成分とする微細気泡ポリウレタン発泡体の製造方法で、イソシアネート基含有化合物が下記条件を満たし、かつ整泡剤としてシリコン系界面活性剤を第1成分、第2成分の少なくとも一方に予め混合しておくことを特徴とする微細気泡ポリウレタン発泡体の製造方法に関する。
0. 40Pa・s≦η80≦2.80Pa・s
η80:80℃での溶融粘度
η80:80℃での溶融粘度
Ea≦80kJ/mol
Ea:活性化エネルギー
Ea:活性化エネルギー
本発明の微細気泡ポリウレタン発泡体は、生産安定性がロット間でも、ロット内でも優れている。イソシアネート基含有化合物の溶融粘度、活性化エネルギーを特定の範囲内にすることで、微細気泡が均一に分散したポリウレタン発泡体が得られた。また、本発明の研磨パッドは、研磨レートが高く、平坦性も優れた研磨特性を有する。
本発明の微細気泡ポリウレタン発泡体は、イソシアネート基含有化合物を含む第1成分と活性水素基含有化合物を含む第2成分を主成分としている。
本発明に使用するイソシアネート基含有化合物としては、ポリウレタン分野において公知のポリイソシアネート化合物は、限定なく使用可能である。特に、ジイソシアネート化合物とその誘導体、とりわけイソシアネートプレポリマーの使用が、得られる微細気泡ポリウレタン発泡体の物理的特性が優れており、好適である。ちなみにポリウレタンの製造方法としては、プレポリマー法、ワンショット法が知られているが、本発明においてはいずれの方法も使用可能である。
本発明に使用可能な有機ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’− ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’− ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類等が挙げられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
有機ポリイソシアネートとしては、上記ジイソシアネート化合物の他に、3官能以上の多官能ポリイソシアネート化合物も使用可能である。多官能のイソシアネート化合物としては、デスモジュール−N(バイエル社製)や商品名デュラネート(旭化成工業社製)として一連のジイソシアネートアダクト体化合物が市販されている。これら3官能以上のポリイソシアネート化合物は、単独で使用するとプレポリマー合成に際して、ゲル化しやすいため、ジイソシアネート化合物に添加して使用することが好ましい。
本発明において第1成分として使用が好適なイソシアネート基含有化合物は、上記のイソシアネート化合物と活性水素基含有化合物との反応物であるイソシアネートプレポリマーである。このような活性水素基含有化合物としては、後述するポリオール化合物や鎖延長剤が使用され、イソシアネート基(NCO)と活性水素(H*)の当量比NCO/H*が1.2〜5.0、好ましくは1.6〜2.6の範囲で加熱反応して、イソシアネート基末端のオリゴマーであるイソシアネートプレポリマーが製造される。市販品のイソシアネートプレポリマーの使用も好適である。
本発明に使用する活性水素基含有化合物は、少なくとも2以上の活性水素原子を有する有機化合物であり、ポリウレタンの技術分野において通常ポリオール化合物、鎖延長剤と称される化合物である。
活性水素基とはイソシアネート基と反応する水素を含む官能基であり、水酸基、第1級もしくは第2級アミノ基、チオール基(SH)などが例示される。
ポリオール化合物としては、ポリウレタンの技術分野において、通常ポリオール化合物として用いられるものを挙げることができる。例えば、ポリテトラメチレンエ−テルグリコ−ル、ポリエチレングリコール等に代表されるポリエ−テルポリオール、ポリブチレンアジペ−トに代表されるポリエステルポリオ−ル、ポリカプロラクトンポリオ−ル、ポリカプロラクトンのようなポリエステルグリコ−ルとアルキレンカ−ボネ−トとの反応物などで例示されるポリエステルポリカ−ボネ−トポリオ−ル、エチレンカ−ボネ−トを多価アルコ−ルと反応させ、次いでえられた反応混合物を有機ジカルボン酸と反応させたポリエステルポリカ−ボネ−トポリオ−ル、ポリヒドキシル化合物とアリ−ルカ−ボネ−トとのエステル交換反応により得られるポリカ−ボネ−トポリオ−ルなどが挙げられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
なお、これらポリオール化合物の数平均分子量は、特に限定するものではないが、得られる微細気泡ポリウレタン発泡体の弾性特性等の観点から、500から2000までであることが望ましい。
ポリオール化合物の数平均分子量が500未満であると、これを用いて得られる微細気泡ポリウレタン発泡体は十分な弾性特性を有さず、脆いポリマーとなり易く、この微細気泡ポリウレタン発泡体からなる研磨層が硬くなりすぎ、研磨対象である加工物の研磨面のスクラッチの原因となる場合がある。また摩耗しやすくなるため、研磨パッドの寿命の観点からも好ましくない。
一方、数平均分子量が2000を超えると、これを用いて得られる微細気泡ポリウレタン発泡体からなる研磨層が軟らかくなり、十分に満足のいくプラナリティーが得られないため好ましくない。
また、ポリオール化合物としては、上述した高分子量ポリオールの他に、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の低分子量ポリオールを併用しても構わない。これらポリオール化合物は1種で用いてもよく、2種以上を混合しても良い。
活性水素基含有化合物のうちで、鎖延長剤と称されるものは、分子量が500程度以下の化合物である。具体的には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等に代表される脂肪族系低分子グリコールやトリオール類、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、m−キシリレンジオール等に代表される芳香族系ジオール類、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン等に代表されるポリアミン類等を挙げることができる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
本発明における有機ポリイソシアネート、ポリオール化合物、鎖延長剤の比は、各々の分子量やこれらから製造されるポリウレタンの用途(例えば研磨パッド)の所望物性などにより種々変え得る。所望する研磨特性を有する研磨パッドを得るためには、ポリオール化合物と鎖延長剤の合計官能基数に対する有機ポリイソシアネートのイソシアネート基数は、0.95〜1.15の範囲が望ましく、好ましくは、0.99〜1.10であることがより望ましい。
ポリウレタンは、溶融法、溶液法など公知のウレタン化技術を応用して製造することができるが、本発明の微細気泡ポリウレタン発泡体に関しては、気孔(気泡)をポリウレタン中に取り込む必要があること、さらにコスト、作業環境などを考慮した場合、溶融法で製造することが好ましい。
前記微細気泡ポリウレタン発泡体は、イソシアネート基含有化合物を含む第1成分及び、活性水素基含有化合物を含む第2成分を混合して硬化させるものである。プレポリマー法では、イソシアネート末端プレポリマーがイソシアネート基含有化合物となり、鎖延長剤が活性水素基含有化合物となる。ワンショット法では、有機ポリイソシアネートがイソシアネート基含有化合物となり、鎖延長剤及びポリオール化合物が活性水素基含有化合物となる。
本発明において、ポリウレタンに対して、必要に応じて、酸化防止剤等の安定剤、界面活性剤、滑剤、顔料、充填剤、帯電防止剤、その他の添加剤を加えても差し支えない。
前記微細気泡ポリウレタン発泡体の製造方法としては、中空ビーズを添加させる方法、機械的発泡法、化学的発泡法等により発泡体とする方法が挙げられるが、これらに限定されない。各方法を併用しても良いが、気孔の均一分散性、コスト等の観点より、機械的発泡法が望ましい。機械的発泡法では、ポリウレタン原料(イソシアネート基含有化合物を含む第1成分及び、活性水素基含有化合物を含む第2成分)を混合、撹拌する前に、または混合、撹拌する際にポリウレタン原料中に、非反応性気体からなる気泡を取り込んだ後、硬化・発泡させ、微細気泡ポリウレタン発泡体を作製する手法を採用するのが一般的である。
その際に、ポリウレタン原料(イソシアネート基含有化合物を含む第1成分及び/または、活性水素基含有化合物を含む第2成分)に整泡剤を添加しておき、前記整泡剤を添加した成分を非反応性気体と撹拌して、微細気泡として分散させた後、または分散させながら、これに残りの成分を混合するのが好ましい。整泡剤をポリウレタン原料、特に下記条件を満たすイソシアネート基含有化合物に予め混合しておくことは、微細気泡を安定的に作るのに非常に有効な手段である。
0. 40Pa・s≦η80≦2.80Pa・s
η80:80℃での溶融粘度
η80:80℃での溶融粘度
Ea≦80kJ/mol
Ea:活性化エネルギー
Ea:活性化エネルギー
整泡剤としては、ポリウレタン原料と反応しないで、微細な気泡を安定的に形成するものは、限定無く使用可能であるが、ポリウレタンの物性が損なわれず、均一的な微細気泡を安定的に作るという観点より、シリコン系界面活性剤が好ましい。特に、シリコンとポリエーテルの共重合体の界面活性剤が良い。ここでポリエーテルとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、これらの共重合体などが例示できる。かかるシリコン系界面活性剤としては、SH−192(東レダウコーニングシリコン製)等が好適な化合物として例示される。
前記整泡剤の添加量は、ポリウレタンに対して、0.1〜5重量%であることが好ましい。0.1重量%未満では、気泡の微細な発泡体が得られない場合がある。かかる観点から、整泡剤の添加量は1重量%以上とするのが好ましい。一方、5重量%を越えるとポリウレタン微発泡体中のセル数が多くなり、高硬度のポリウレタン発泡体を得にくい。かかる観点から、整泡剤の添加量は5重量%以下とするのが好ましい。
前記非反応性気体は、イソシアネート基または活性水素基と反応しない常温気体成分のみから構成されている気体である。気体は積極的に液中に送り込んでも良く、また撹拌中に気体が自然に巻き込まれる状況のみであっても良い。微細気泡を形成するために使用される非反応性気体としては、可燃性でないものが好ましく、具体的には窒素、酸素、炭酸ガス、ヘリウムやアルゴン等の希ガスやこれらの混合気体が例示され、乾燥して水分を除去した空気がコスト的に最も好ましい。
非反応性気体を微細気泡状にしてシリコン系界面活性剤を含むポリウレタン原料、特にイソシアネート基含有化合物に、分散させる撹拌装置としては、公知の撹拌装置は特に限定なく使用可能であり、具体的にはホモジナイザー、ディゾルバー、2軸遊星型ミキサー(プラネタリーミキサー)等が例示される。撹拌装置の撹拌翼の形状も特に限定されないが、ホイッパー型の撹拌翼の使用が、微細気泡が得られ好ましい。
なお、気泡分散イソシアネート基含有化合物液を作製する分散工程における攪拌と、鎖延長剤を添加する混合工程における撹拌は、異なる撹拌装置を使用することも好ましい態様である。特に混合工程における撹拌は気泡を形成する撹拌でなくてもよく、大きな気泡を巻き込まない撹拌装置の使用が好ましい。このような撹拌装置としては、遊星型ミキサーが好適である。分散工程と混合工程の撹拌装置を同一の撹拌装置を使用しても支障はなく、必要に応じて撹拌翼の回転速度を調整する等の撹拌条件の調整を行って使用することも好適である。
微細気泡ポリウレタン発泡体の製造方法においては、気泡分散液を型に流し込んで流動しなくなるまで反応した発泡体を、加熱、ポストキュアすることは、発泡体の物理的特性を向上させる効果があり、極めて好適である。金型に気泡分散液を流し込んで直ちに加熱オーブン中に入れてポストキュアを行う条件としてもよく、そのような条件下でもすぐに反応成分に熱が伝達されないので、気泡径が大きくなることはない。硬化反応は常圧で行うことが、気泡形状が安定するために好ましい。
微細気泡ポリウレタン発泡体の製造において、第3級アミン系、有機スズ系等の公知のポリウレタン反応を促進する触媒を使用してもかまわない。触媒の種類、添加量は、混合工程後、所定形状の型に流し込む流動時間を考慮して選択する。
微細気泡ポリウレタン発泡体の製造は、容器に各成分を計量して投入し、撹拌するバッチ方式であっても、また撹拌装置に各成分と非反応性気体を連続して供給して撹拌し、気泡分散液を送り出して成形品を製造する連続生産方式であってもよい。
微細気泡ポリウレタン発泡体は、研磨パッド用シート(研磨層)に適した厚みにスライスされる。研磨層の厚さは、0.8mm〜2mm程度であり、通常は1.2mm程度の厚さのシートが使用される。また、この方法とは別に、目的とする研磨層の厚みと同じキャビティーを備えた金型にポリウレタン成分を流し込んで作製しても良い。
研磨層表面には、スラリーの保持性とスラリーの更新を効率よく行うため、また被研磨対象物との吸着による被研磨体の破壊を防ぐためにも、溝構造(表面凹凸)を有することが好ましい。スラリーを保持・更新する表面形状であれば、特に限定されるものではなく、例えば、XY格子溝、同心円状溝、貫通孔、貫通していない穴、多角柱、円柱、螺旋状溝、偏心円状溝、放射状溝やこれらの溝を組み合わせたものが挙げられる。また、これらの溝構造は規則性のあるものが一般的であるが、スラリーの保持・更新性を望ましいものにするため、ある範囲ごとに溝ピッチ、溝幅、溝深さ等を変化させることも可能である。条溝の形状は、特に限定されるものではないが、断面が矩形、三角形、U字型、半円状等が例示され、微粉末が通過する断面積を有したものでよい。
研磨層表面の溝構造の作製方法は特に限定されるものではないが、例えば、所定サイズのバイトのような治具を用い機械切削する方法、所定の表面形状を有した金型に硬化前の微細気泡ポリウレタンを流しこみ、硬化させることにより作製する方法、所定の表面形状を有したプレス板で微細気泡ポリウレタン発泡体をプレスし作製する方法、フォトリソグラフィを用いて作製する方法、印刷手法を用いて作製する方法、炭酸ガスレーザーなどを用いたレーザー光による作製方法などが挙げられる。
研磨パッド用ポリウレタンシート(研磨層)の裏面に貼り合わせる下地層としては、研磨層より柔らかいものであれば限定されることはない。例えば、ポリエステル不織布、ナイロン不織布、アクリル不織布などの繊維不織布やポリウレタンを含浸したポリエステル不織布のような樹脂含浸不織布、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォームなどの高分子樹脂発泡体、ブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのゴム性樹脂、感光性樹脂などが挙げられる。
研磨パッド用ポリウレタンシート(研磨層)と下地層を貼り合わせる両面テープとしては、基材の両面に接着層を設けた一般的な構成を取ったものを用いることができる。基材としては、例えば不織布やフィルム等が挙げられる。下地層へのスラリーの浸透等を防ぐことを考慮すれば、基材にフィルムを用いることが好ましい。また、接着層の組成としては、例えば、ゴム系接着剤やアクリル系接着剤等が挙げられる。金属イオンの含有量を考慮すると、アクリル系接着剤は、金属イオン含有量が少ないため好ましい。また、研磨層と下地層は組成が異なることもあるため、両面テープの各接着層の組成を異なるものとし、各層の接着力を適正化することも可能である。
下地層の、研磨層とは反対面に貼る両面テープとしては、上述と同様に基材の両面に接着層を設けた一般的な構成を取ったものである。基材としては、例えば不織布やフィルム等が挙げられる。研磨パッドの使用後のプラテンからの剥離を考慮すれば、基材にフィルムを用いることが好ましい。また、接着層の組成としては、例えば、ゴム系接着剤やアクリル系接着剤等が挙げられる。金属イオンの含有量を考慮すると、アクリル系接着剤は、金属イオン含有量が少ないため好ましい。また、下地層とプラテンは組成が異なることが多く、両面テープの各接着層の組成を異なるものとし、下地層、プラテンへの接着力を適正化することも可能である。
以下、本発明を実施例を上げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
溶融粘度測定方法
E型粘度計(東京計器(株)製、VISCONIC EHDR型)を用い、サンプル量0.4ml、特殊コーン(3°)で測定した。恒温槽で水温を設定し、サンプルの入るカップに循環させることで、温度設定を行った。
E型粘度計(東京計器(株)製、VISCONIC EHDR型)を用い、サンプル量0.4ml、特殊コーン(3°)で測定した。恒温槽で水温を設定し、サンプルの入るカップに循環させることで、温度設定を行った。
活性化エネルギー算出方法
30℃、50℃、80℃で測定した溶融粘度の値をアレニウスの式に当てはめてプロットし、その傾きより算出した。
30℃、50℃、80℃で測定した溶融粘度の値をアレニウスの式に当てはめてプロットし、その傾きより算出した。
平均気泡径測定方法
サンプルを1mm以下になるべく薄くミクロトームカッターで平行に切り出したものを平均気泡径測定用試料とした。試料をスライドガラス上に固定し、画像処理装置(東洋紡社製 Image Analyzer V10)を用いて測定した。
サンプルを1mm以下になるべく薄くミクロトームカッターで平行に切り出したものを平均気泡径測定用試料とした。試料をスライドガラス上に固定し、画像処理装置(東洋紡社製 Image Analyzer V10)を用いて測定した。
比重測定方法
JIS Z8807−1976に準拠して行った。4cm×8.5cmの短冊状(厚み:任意)に切り出したものを比重測定用試料とし、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の環境で16時間静置した。測定には比重計(ザルトリウス社製)を用い、比重を測定した。
JIS Z8807−1976に準拠して行った。4cm×8.5cmの短冊状(厚み:任意)に切り出したものを比重測定用試料とし、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の環境で16時間静置した。測定には比重計(ザルトリウス社製)を用い、比重を測定した。
硬度測定方法
JIS K6253−1997に準拠して行った。2cm×2cm(厚み:任意)の大きさに切り出したものを硬度測定用試料とし、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の環境で16時間静置した。測定時には、試料を重ね合わせ、厚み6mm以上とした。硬度計(高分子計器社製 アスカーD型硬度計)を用い、硬度を測定した。
JIS K6253−1997に準拠して行った。2cm×2cm(厚み:任意)の大きさに切り出したものを硬度測定用試料とし、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の環境で16時間静置した。測定時には、試料を重ね合わせ、厚み6mm以上とした。硬度計(高分子計器社製 アスカーD型硬度計)を用い、硬度を測定した。
貯蔵弾性率測定法
JIS K7198−1991に準拠して行った。3mm x 40mmの短冊状(厚み;任意)に切り出したものを動的粘弾性測定用試料とし、23℃の環境条件で、シリカゲルを入れた容器内に4日間静置した。切り出した後の各シートの正確な幅および厚みの計測は、マイクロメータにて行った。測定には動的粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所製、現アイエス技研)を用い、貯蔵弾性率E'を測定した。その際の測定条件を下記に示す。
JIS K7198−1991に準拠して行った。3mm x 40mmの短冊状(厚み;任意)に切り出したものを動的粘弾性測定用試料とし、23℃の環境条件で、シリカゲルを入れた容器内に4日間静置した。切り出した後の各シートの正確な幅および厚みの計測は、マイクロメータにて行った。測定には動的粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所製、現アイエス技研)を用い、貯蔵弾性率E'を測定した。その際の測定条件を下記に示す。
測定条件
測定温度 ; 40℃
印加歪 ; 0.03%
初期荷重 ; 20g
周波数 ; 1Hz
測定温度 ; 40℃
印加歪 ; 0.03%
初期荷重 ; 20g
周波数 ; 1Hz
生産安定性評価
評価法1
微細気泡ポリウレタン発泡体の製造を5回繰り返し、各々を研磨層に最適な厚みのシートにスライスして、そのシートの比重がどの程度揃っているかを見た。バラツキとしては、5回分の測定値の最大値と最小値の差を用いた。この際、比重を測定するシートは、各発泡体の厚み方向に見て、中間部位に位置するシートを用いた。
評価法1
微細気泡ポリウレタン発泡体の製造を5回繰り返し、各々を研磨層に最適な厚みのシートにスライスして、そのシートの比重がどの程度揃っているかを見た。バラツキとしては、5回分の測定値の最大値と最小値の差を用いた。この際、比重を測定するシートは、各発泡体の厚み方向に見て、中間部位に位置するシートを用いた。
評価法2
微細気泡ポリウレタン発泡体を研磨層に最適な厚みのシートにスライスした際、厚み方向に見て、最上部に近い位置のシート、中間部位のシート、最下部に近い位置のシートの比重がどの程度揃っているかを見た。バラツキとしては、3部位の測定値の最大値と最小値の差を用いた。この際、発泡体5回繰り返し製造の第1回目の発泡体を用いた。
微細気泡ポリウレタン発泡体を研磨層に最適な厚みのシートにスライスした際、厚み方向に見て、最上部に近い位置のシート、中間部位のシート、最下部に近い位置のシートの比重がどの程度揃っているかを見た。バラツキとしては、3部位の測定値の最大値と最小値の差を用いた。この際、発泡体5回繰り返し製造の第1回目の発泡体を用いた。
研磨特性の評価
研磨装置としてSPP600S(岡本工作機械社製)を用い、作製した研磨パッドを用いて、研磨特性の評価を行った。研磨レートは、8インチのシリコンウエハに熱酸化膜を1μm製膜したものを、約0.5μm研磨して、このときの時間から算出した。酸化膜の膜厚測定には、干渉式膜厚測定装置(大塚電子社製)を用いた。研磨条件としては、スラリーとして、シリカスラリー(SS12 キャボット社製)を研磨中に流量150ml/min添加した。研磨荷重としては350g/cm2、研磨定盤回転数35rpm、ウエハ回転数30rpmとした。
研磨装置としてSPP600S(岡本工作機械社製)を用い、作製した研磨パッドを用いて、研磨特性の評価を行った。研磨レートは、8インチのシリコンウエハに熱酸化膜を1μm製膜したものを、約0.5μm研磨して、このときの時間から算出した。酸化膜の膜厚測定には、干渉式膜厚測定装置(大塚電子社製)を用いた。研磨条件としては、スラリーとして、シリカスラリー(SS12 キャボット社製)を研磨中に流量150ml/min添加した。研磨荷重としては350g/cm2、研磨定盤回転数35rpm、ウエハ回転数30rpmとした。
平坦化特性の評価では、8インチシリコンウエハに熱酸化膜を0.5μm堆積させた後、所定のパターニングを行った後、p−TEOSにて酸化膜を1μm堆積させ、初期段差0.5μmのパターン付きウエハを作製し、このウエハを前述条件にて研磨を行い、研磨後、各段差を測定し平坦化特性を評価した。平坦化特性としては2つの段差を測定した。一つはローカル段差であり、これは幅270μmのラインが30μmのスペースで並んだパターンにおける段差であり、1分後の段差を測定した。もう一つは削れ量であり、幅270μmのラインが30μmのスペースで並んだパターンと幅30μmのラインが270μmのスペースで並んだパターンにおいて、上記の2種のパターンの、ライン上部の段差が2000Å以下になるときの、270μmのスペースの削れ量を測定した。ローカル段差の数値が低いとウエハ上のパターン依存により発生した酸化膜の凹凸に対し、ある時間において平坦になる速度が速いことを示す。また、スペースの削れ量が少ないと削れて欲しくない部分の削れ量が少なく平坦性が高いことを示す。
実施例1
イソシアネート基含有化合物1
ユニロイヤル社製のポリエーテル系イソシアネート末端プレポリマー・アジプレンL−325(以下、イソシアネート基含有化号物1と略す)の80℃での溶融粘度、及び活性化エネルギーは表1に示す通りであった。
イソシアネート基含有化合物1
ユニロイヤル社製のポリエーテル系イソシアネート末端プレポリマー・アジプレンL−325(以下、イソシアネート基含有化号物1と略す)の80℃での溶融粘度、及び活性化エネルギーは表1に示す通りであった。
微細気泡ポリウレタン発泡体の製造
テフロン(登録商標)コーティングした反応容器内に、フィルタリングしたイソシアネート基含有化合物1(イソシアネート基濃度 2.22meq/g)100重量部とフィルタリングしたシリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニングシリコーン社製 SH192)3重量部とを混合し、反応温度を80℃に調整した。テフロン(登録商標)コーティングした撹拌翼を用いて、回転数900rpmで反応系内に気泡を取り込むように激しく攪拌を行った。そこへ予め120℃で溶融させ、フィルタリングした4,4‘−メチレンビス(o−クロロアニリン)(イハラケミカル社製 イハラキュアミンMT:以下MBOCAと略す)を26重量部添加した。約1分間撹拌を続けた後、テフロン(登録商標)コーティングしたパン型のオープンモールドへ反応溶液を流し込んだ。この反応溶液に流動性がなくなった時点で、オーブン内に入れ、110℃で6時間ポストキュアを行い微細気泡ポリウレタン発泡体を得た。
テフロン(登録商標)コーティングした反応容器内に、フィルタリングしたイソシアネート基含有化合物1(イソシアネート基濃度 2.22meq/g)100重量部とフィルタリングしたシリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニングシリコーン社製 SH192)3重量部とを混合し、反応温度を80℃に調整した。テフロン(登録商標)コーティングした撹拌翼を用いて、回転数900rpmで反応系内に気泡を取り込むように激しく攪拌を行った。そこへ予め120℃で溶融させ、フィルタリングした4,4‘−メチレンビス(o−クロロアニリン)(イハラケミカル社製 イハラキュアミンMT:以下MBOCAと略す)を26重量部添加した。約1分間撹拌を続けた後、テフロン(登録商標)コーティングしたパン型のオープンモールドへ反応溶液を流し込んだ。この反応溶液に流動性がなくなった時点で、オーブン内に入れ、110℃で6時間ポストキュアを行い微細気泡ポリウレタン発泡体を得た。
微細気泡ポリウレタン発泡体シート及び研磨パッドの製造
この微細気泡ポリウレタン発泡体からバンドソータイプのスライサー(フェッケン社製)を使用して研磨パッド用微細気泡ポリウレタン発泡体シートを得た。次にこのシートをバフ機(アミテック社製)を使用して、所定の厚さに表面バフをし、厚み精度を整えたシートとした。
この微細気泡ポリウレタン発泡体からバンドソータイプのスライサー(フェッケン社製)を使用して研磨パッド用微細気泡ポリウレタン発泡体シートを得た。次にこのシートをバフ機(アミテック社製)を使用して、所定の厚さに表面バフをし、厚み精度を整えたシートとした。
本発泡体の生産安定性を表2に示す。
代表特性として、第1回製造の発泡体の中間部位のシートを用いて、以下の評価に供した。得られた微細気泡ポリウレタン発泡体シートの平均気泡径、比重、硬度、貯蔵弾性率は、表3に示す通りであった。
このバフ処理をしたシートを所定の直径に打ち抜き、溝加工機を用いて表面に溝幅0.25mm、溝ピッチ1.50mm、溝深さ0.40mmの同心円状の溝加工を行い、研磨層となるシートを完成させた。このシートの溝加工面と反対の面(研磨面)にラミ機を使用して、両面テープ(積水化学工業社製 ダブルタックテープ)を貼った。更に、下地層として、表面をバフがけ、コロナ処理をしたポリエチレンフォーム(東レ社製 トーレペフ、厚み0.8mm)をラミ機を使用して貼り合わせ、下地層の、研磨層を貼り合わせた面と反対の面にラミ機を使用して両面テープを貼り合わせ、研磨パッドを作製した。
得られた研磨パッドの研磨特性は、表3に示す通りであった。
実施例2
イソシアネート基含有化合物2
トルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物:以下、TDIと略す)29.5重量部、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート(以下、HMDIと略す)14.8重量部、数平均分子量が844のポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと略す)49.5重量部、ジエチレングリコール(以下、DEGと略す)6.2重量部から得たイソシアネート末端プレポリマー(以下、イソシアネート基含有化号物2と略す)の80℃での溶融粘度、及び活性化エネルギーは表1に示す通りであった。
イソシアネート基含有化合物2
トルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物:以下、TDIと略す)29.5重量部、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート(以下、HMDIと略す)14.8重量部、数平均分子量が844のポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと略す)49.5重量部、ジエチレングリコール(以下、DEGと略す)6.2重量部から得たイソシアネート末端プレポリマー(以下、イソシアネート基含有化号物2と略す)の80℃での溶融粘度、及び活性化エネルギーは表1に示す通りであった。
微細気泡ポリウレタン発泡体、シート、及び研磨パッドの製造
イソシアネート基含有化合物1をイソシアネート基含有化合物2(イソシアネート基濃度 2.18meq/g)に、MBOCAの量を27.5重量部に変えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果は表2、3に示す。
イソシアネート基含有化合物1をイソシアネート基含有化合物2(イソシアネート基濃度 2.18meq/g)に、MBOCAの量を27.5重量部に変えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果は表2、3に示す。
実施例3
イソシアネート基含有化合物3
TDIを30.8重量部、HMDIを19.9重量部、数平均分子量が645のPTMGを42.4重量部、DEGを7.0重量部用いて得たイソシアネート末端プレポリマー(以下、イソシアネート基含有化号物3と略す)の80℃での溶融粘度、及び活性化エネルギーは表1に示す通りであった。
イソシアネート基含有化合物3
TDIを30.8重量部、HMDIを19.9重量部、数平均分子量が645のPTMGを42.4重量部、DEGを7.0重量部用いて得たイソシアネート末端プレポリマー(以下、イソシアネート基含有化号物3と略す)の80℃での溶融粘度、及び活性化エネルギーは表1に示す通りであった。
微細気泡ポリウレタン発泡体、シート、及び研磨パッドの製造
イソシアネート基含有化合物1をイソシアネート基含有化合物3(イソシアネート基濃度 2.42meq/g)に、MBOCAの量を31.2重量部に変えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果は表2、3に示す。
イソシアネート基含有化合物1をイソシアネート基含有化合物3(イソシアネート基濃度 2.42meq/g)に、MBOCAの量を31.2重量部に変えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果は表2、3に示す。
実施例4
イソシアネート基含有化合物4
TDIを31.0重量部、HMDIを15.5重量部、数平均分子量が645のPTMGを45.9重量部、DEGを7.5重量部用いて得たイソシアネート末端プレポリマー(以下、イソシアネート基含有化号物4と略す)の80℃での溶融粘度、及び活性化エネルギーは表1に示す通りであった。
イソシアネート基含有化合物4
TDIを31.0重量部、HMDIを15.5重量部、数平均分子量が645のPTMGを45.9重量部、DEGを7.5重量部用いて得たイソシアネート末端プレポリマー(以下、イソシアネート基含有化号物4と略す)の80℃での溶融粘度、及び活性化エネルギーは表1に示す通りであった。
微細気泡ポリウレタン発泡体、シート、及び研磨パッドの製造
イソシアネート基含有化合物1をイソシアネート基含有化合物4(イソシアネート基濃度 1.91meq/g)に、MBOCAの量を24.1重量部に変えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果は表2、3に示す。
イソシアネート基含有化合物1をイソシアネート基含有化合物4(イソシアネート基濃度 1.91meq/g)に、MBOCAの量を24.1重量部に変えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果は表2、3に示す。
比較例1
イソシアネート基含有化合物5
TDIを25.0重量部、HMDIを6.7重量部、数平均分子量が1508のPTMGを63.8重量部、DEGを4.5重量部用いて得たイソシアネート末端プレポリマー(以下、イソシアネート基含有化号物5と略す)の80℃での溶融粘度、及び活性化エネルギーは表1に示す通りであった。
イソシアネート基含有化合物5
TDIを25.0重量部、HMDIを6.7重量部、数平均分子量が1508のPTMGを63.8重量部、DEGを4.5重量部用いて得たイソシアネート末端プレポリマー(以下、イソシアネート基含有化号物5と略す)の80℃での溶融粘度、及び活性化エネルギーは表1に示す通りであった。
微細気泡ポリウレタン発泡体、シート、及び研磨パッドの製造
イソシアネート基含有化合物1をイソシアネート基含有化合物5(イソシアネート基濃度 1.69meq/g)に、MBOCAの量を21.5重量部に変えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果は表2、3に示す。
イソシアネート基含有化合物1をイソシアネート基含有化合物5(イソシアネート基濃度 1.69meq/g)に、MBOCAの量を21.5重量部に変えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果は表2、3に示す。
比較例2
イソシアネート基含有化合物6
TDIを29.9重量部、HMDIを15.0重量部、数平均分子量が645のPTMGを47.3重量部、DEGを7.8重量部用いて得たイソシアネート末端プレポリマー(以下、イソシアネート基含有化号物6と略す)の80℃での溶融粘度、及び活性化エネルギーは表1に示す通りであった。
イソシアネート基含有化合物6
TDIを29.9重量部、HMDIを15.0重量部、数平均分子量が645のPTMGを47.3重量部、DEGを7.8重量部用いて得たイソシアネート末端プレポリマー(以下、イソシアネート基含有化号物6と略す)の80℃での溶融粘度、及び活性化エネルギーは表1に示す通りであった。
微細気泡ポリウレタン発泡体、シート、及び研磨パッドの製造
イソシアネート基含有化合物1をイソシアネート基含有化合物6(イソシアネート基濃度 1.64meq/g)に、MBOCAの量を20.8重量部に変えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果は表2、3に示す。
イソシアネート基含有化合物1をイソシアネート基含有化合物6(イソシアネート基濃度 1.64meq/g)に、MBOCAの量を20.8重量部に変えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果は表2、3に示す。
Claims (9)
- イソシアネート基含有化合物を含む第1成分と活性水素基含有化合物を含む第2成分を主成分とする微細気泡ポリウレタン発泡体で、イソシアネート基含有化合物が下記条件を満たすことを特徴とする微細気泡ポリウレタン発泡体。
0.40Pa・s≦η80≦2.80Pa・s (η80:80℃での溶融粘度)
Ea≦80kJ/mol (Ea:活性化エネルギー) - 微細気泡ポリウレタン発泡体となるよう、整泡剤としてシリコン系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1請求の微細気泡ポリウレタン発泡体。
- 請求項1、2記載の微細気泡ポリウレタン発泡体からなる研磨パッド用ポリウレタンシート。
- 表面に溝構造を有していることを特徴とする請求項3記載の研磨パッド用ポリウレタンシート。
- 溝構造の一部が裏面まで貫通していることを特徴とする請求項4記載の研磨パッド用ポリウレタンシート。
- 請求項4、5記載の研磨パッド用ポリウレタンシートの裏面に下地層を貼り合せることにより得た研磨パッド。
- 研磨パッド用ポリウレタンシートの裏面に下地層を貼り合わせるのに両面テープを用いた請求項6記載の研磨パッド。
- 下地層の、研磨パッド用ポリウレタンシートが貼り合わされている面の反対面にさらに、両面テープが貼り合わされたことを特徴とする請求項7記載の研磨パッド。
- イソシアネート基含有化合物を含む第1成分と活性水素基含有化合物を含む第2成分を主成分とする微細気泡ポリウレタン発泡体の製造方法で、イソシアネート基含有化合物が下記条件を満たし、かつ整泡剤としてシリコン系界面活性剤を第1成分、第2成分の少なくとも一方に予め混合しておくことを特徴とする微細気泡ポリウレタン発泡体の製造方法。
0.40Pa・s≦η80≦2.80Pa・s (η80:80℃での溶融粘度)
Ea≦80kJ/mol (Ea:活性化エネルギー)
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