JPWO2017047335A1 - (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、透明性に優れた(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を製造するための方法であって、かつ実際の製造プロセスにも採用可能な簡便な方法を提供することである。前記課題は、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法であって、ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程、ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.02〜5倍モル量のアルカリを有するアルカリ水溶液を加え、ルイス酸触媒の失活を行った後に油水分離を行い、排水する失活工程、残った有機相に水を加え洗浄し油水分離を行い排水する操作を、排水のpHが5.5〜8.5となるまで、繰り返し行う水洗工程、を含むことを特徴とする(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法により達成できる。

Description

本発明は、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、安定して透明性の良い(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得ることのできる製造方法に関する。
UV(紫外線)やEB(電子線)などの活性エネルギー線によって樹脂を架橋させる技術は広く認知されており、従来の熱をトリガーにした硬化反応に代わり利用される場面が増えてきている。
活性エネルギー線硬化技術は、熱硬化技術に比べて硬化過程における脱溶剤化、省エネルギー化、省スペース化の他、一般に活性エネルギー線硬化は短時間で反応を完結させることができるので生産性の向上が行え、さらに複雑な形状の基材にも均一に光照射が可能であるため、高機能化が容易であるという利点がある。よってこの活性エネルギー線硬化技術は、例えば、インク、塗料、接着剤、シール剤、電気・電子用途の精密部品、造形物などの用途において使用されている。
上記分野で樹脂に要求される主な特性としては、耐久性、耐熱性、耐候性、耐水性、水気体透過性などが挙げられるが、そのような特徴を兼ね備えた樹脂の一例としては、ポリイソブチレン末端に光架橋性基を有するポリイソブチレン系重合体が挙げられる。
ポリイソブチレン末端に光架橋性基を有する樹脂としては、例えば特許文献1〜3に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレンが知られている。特許文献1には、水酸基末端ポリイソブチレン重合体を原料とした製法が、特許文献2には、塩素末端ポリイソブチレン重合体と、(メタ)アクリロイル基及び炭素−炭素二重結合を有するエンドキャップ剤との反応による製法が、特許文献3には、塩素末端ポリイソブチレン重合体と、(メタ)アクリロイル基及びフェノキシ基を有するエンドキャップ剤との反応による製法が記載されている。特に特許文献2及び3の製法は、塩素系開始剤とルイス酸触媒を用いて得られたポリイソブチレン末端とエンドキャップ剤とのワンステップの反応であり、簡便に(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得ることができる。
特開2012−82340号公報 特開2013−35901号公報 WO2013/047314号公報
一方、UV(紫外線)やEB(電子線)などの活性エネルギー線によって樹脂を硬化させる(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体においては、透明度が極めて高く、無色であることが望ましい。しかし従来は、上記透明性に優れた(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を、安定かつ簡便に得ることが難しかった。したがって、透明性に優れた(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を製造するための方法であって、かつ実際の製造プロセスにも採用可能な簡便な方法が強く望まれていた。
つまり本発明の課題は、透明性に優れた(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を製造するための方法であって、かつ実際の製造プロセスにも採用可能な簡便な方法を提供することである。
本発明者らが、極めて高い透明度かつ無色の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を安定して得られない原因を探るべく検討を行ったところ、ルイス酸触媒又はその由来物の残存が原因にあることをまず突き止めた。ルイス酸触媒自身および触媒失活後の触媒残渣が重合体中に残存すると、腐食、臭気、着色、濁り、官能基の反応阻害など多くの悪影響を引き起こすため、適切な方法により十分に取り除かなければならない。しかしながら、ルイス酸触媒を十分に取り除くことは容易ではない。特に(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の場合、ルイス酸触媒が末端の(メタ)アクリロイル基に配位し錯形成を行うため、その完全な分解除去は通常のルイス酸触媒の除去よりも困難であることがわかった。
上記特許文献1〜3のいずれの製法においても、ルイス酸が共存している後処理条件下にてポリマー末端のエステル基が加水分解されずに存在するのかという点で具体的な例示が無いだけでなく、ルイス酸触媒の効果的な除去方法についても記載が無い。
したがって、ルイス酸触媒及びルイス酸触媒残渣の除去を効率よく達成でき、かつ実際の製造プロセスにも採用可能な簡便な方法が強く望まれていた。
上記事情に鑑み、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ルイス酸触媒を含む(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体溶液をアルカリ水溶液と接触させルイス酸触媒を失活させ、さらに水洗することによってルイス酸触媒を効率よく除去でき、また(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を効率よく精製し、透明性に優れた(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の第1は、
(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法であって、
ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、
ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程、
ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.02〜5倍モル量のアルカリを有するアルカリ水溶液を加え、ルイス酸触媒の失活を行った後に油水分離を行い、排水する失活工程、
残った有機相に水を加え洗浄し油水分離を行い排水する操作を、排水のpHが5.5〜8.5となるまで、繰り返し行う水洗工程、
を含むことを特徴とする(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第2は、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体が、下記一般式(1):
Figure 2017047335
(式中、Rは1価若しくは多価芳香族炭化水素基、または1価若しくは多価脂肪族炭化水素基を表す。Aはポリイソブチレン系重合体を表す。Rは炭素数2〜6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を含有しない基を表す。R、Rはそれぞれ水素、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、またはアルコキシ基を表す。Rは水素、またはメチル基を表す。nは自然数を表す。)で示される重合体であることを特徴とする本発明の第1に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第3は、Rが−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHCHCH−、−CHCHCHCHCHCH−からなる群から選ばれる2価の炭化水素基であることを特徴とする本発明の第2に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第4は、R、およびRが水素であることを特徴とする本発明の第2または第3に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第5は、Rが水素であることを特徴とする本発明の第2〜4のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第6は、ルイス酸触媒が、四塩化チタンであることを特徴とする本発明の第1〜5のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第7は、前記リビングカチオン重合工程で重合開始剤を使用し、ルイス酸触媒の使用量が前記重合開始剤の3〜20倍モルであることを特徴とする本発明の第1〜6のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第8は、前記リビングカチオン重合工程で重合開始剤を使用し、この重合開始剤が、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼンから選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする本発明の第1〜7のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第9は、失活工程で用いるアルカリが水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムからなる群の少なくとも1種であることを特徴とする本発明の第1〜8のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第10は、アルカリ水溶液により触媒を失活する工程の温度が30〜80℃であることを特徴とする本発明の第1〜9のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第11は、失活工程において、ルイス酸触媒が完全に失活した後に酸を添加し、油水分離後の排水のpHを7〜11の範囲に調整することを特徴とする本発明の第1〜10のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第12は、添加する酸が塩酸、硫酸、酢酸、アスコルビン酸からなる群の少なくとも1種であることを特徴とする本発明の第11に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第13は、水洗工程の温度が30〜80℃の範囲であることを特徴とする本発明の第1〜12のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第14は、リビングカチオン重合工程、及び末端官能化反応工程に使用する溶媒が、炭素数3〜8のモノハロゲン化炭化水素と、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒であることを特徴とする本発明の第1〜13のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第15は、ルイス酸触媒を失活する工程及び水洗工程のいずれにおいても、有機相と水相の体積比が、有機相/水相=0.5〜10の範囲であることを特徴とする本発明の第1〜14のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第16は、本発明の第1〜15のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の精製方法、である。
本発明の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体からルイス酸触媒を除去する方法を用いれば、従来の方法と比べルイス酸触媒残渣を効率よく取り除くことができる。わずかに濁りが残る場合でも、ろ過にて濁りを容易に除去することが可能である。このことにより、従来と比べて効率よくルイス酸触媒を除去でき、安定的かつ高い生産性において透明性の良い(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得ることができる。
本発明の一実施形態について説明すれば以下の通りである。なお、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
本発明は、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法であって、ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程、ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.02〜5倍モル量のアルカリを有するアルカリ水溶液を加え、ルイス酸触媒の失活を行った後に油水分離を行い、排水する失活工程、残った有機相に水を加え洗浄し油水分離を行い排水する操作を、排水のpHが5.5〜8.5となるまで、繰り返し行う水洗工程、を含むことを特徴とする(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
一般的に、(メタ)アクリロイル末端のようなエステル基を有するポリマーをアルカリと接触させると、加水分解により末端官能基が消失することが容易に想像できることからアルカリ水溶液による失活は適切な方法とは言い難い。しかしながら、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の末端部位は、アルカリ水溶液と混合時においても極端に疎水性の環境にあり、予想外にアルカリに対して安定であることを発明者らは見出し、本発明を完成するに至った。以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。まずは、製造対象である(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体について説明する。
((メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体)
本発明におけるポリイソブチレン系重合体とは、イソブチレンを含有するものであれば特に制限は無いが、イソブチレンを主成分として構成される重合体であることが好ましい。具体的には、イソブチレンモノマーをルイス酸触媒の存在下で開始剤、必要に応じて電子供与剤とともにリビングカチオン重合して得られるものである。リビングカチオン重合して得られたポリイソブチレン系重合体は、適切なエンドキャップ剤との反応により重合反応後に末端官能化することで、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体とすることができる。(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体としては、下記一般式(1);
Figure 2017047335
で表される重合体が重合における分子量の制御の容易さや末端官能化反応の反応性の観点から好ましい。前記式(1)においてRは1価若しくは多価芳香族炭化水素基、または1価若しくは多価脂肪族炭化水素基を表す。Aはポリイソブチレン系重合体を表す。Rは炭素数2〜6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を含有しない基を表す。R、Rはそれぞれ水素、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、またはアルコキシ基を表す。Rは水素、またはメチル基を表す。nは自然数を表す。
前記式(1)におけるRは1価若しくは多価芳香族炭化水素基、または1価若しくは多価脂肪族炭化水素基である。芳香族炭化水素系基の具体例としては、クミル基、m−ジクミル基、p−ジクミル基、5−tert−ブチル−1,3−ジクミル基、5−メチル−1,3−ジクミル基、1,3,5−トリクミル基などの、アルキルのα位に遊離原子価(結合手ともいう。以下、同様)を有するアルキル置換ベンゼンが挙げられる(下式参照)。
Figure 2017047335
一方、脂肪族炭化水素系基の具体例としては、CH(CHCCH(CHC−、−(CH)CCH(CHCCH(CHC−で表される基などの、炭素数が4〜20程度であって3級炭素上に遊離原子価を有するアルキル基又はアルキレン基などが好ましい。これらの中でも特に、クミル基、m−ジクミル基、p−ジクミル基、5−tert−ブチル−1,3−ジクミル基、1,3,5−トリクミル基、CH(CHCCH(CHC−、−(CH)CCH(CHCCH(CHC−が入手性の観点から好ましい。その中でもクミル基、m−ジクミル基、p−ジクミル基、5−tert−ブチル−1,3−ジクミル基、1,3,5−トリクミル基がより好ましい。
前記式(1)におけるAはポリイソブチレン系重合体であるが、このポリイソブチレン系重合体を構成するモノマーとしてはイソブチレンを主として用いる他には、他のカチオン重合性モノマーを共重合してもよい。そのようなモノマーとしては例えば炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシランなどが挙げられる。イソブチレン系重合体中の上記他のモノマーの比率は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
前記式(1)におけるRは炭素数2〜6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を含有しない基である。具体的には、例えば、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHCHCH−、−CHCHCHCHCHCH−などの、両端に遊離原子価を有する直鎖状飽和炭化水素基が好ましい。
前記式(1)におけるR、Rはそれぞれ水素、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、またはアルコキシ基である。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デカニルオキシ基などが挙げられる。この中でも水素が入手性の観点から好ましい。
前記式(1)におけるRは水素、またはメチル基である。水素が入手性及び反応性の両面からより好ましい。
前記式(1)におけるnは自然数であるが、架橋反応によって架橋性高分子を得る際に十分な強度、耐久性、ゲル分率などを達成するためには、2または3であることが好ましい。
本発明における(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の分子量は特に制限は無いが、流動性、硬化後の物性などの面からSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定による数平均分子量が200〜500,000であることが好ましく、1,000〜500,000であることがより好ましく、5,000〜500,000であることが更に好ましい。また、活性エネルギー線硬化時の加工安定性の観点から(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の分子量分布((質量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)で表される値)は1.8以下であることが好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましい。なお分子量分布の下限は、1.1程度であってもよい。
上記(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体は、上述した様に、(1)ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、(2)ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程、(3)ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.02〜5倍モル量のアルカリを有するアルカリ水溶液を加え、ルイス酸触媒の失活を行った後に油水分離を行い、排水する失活工程、(4)残った有機相に水を加え洗浄し油水分離を行い排水する操作を、排水のpHが5.5〜8.5となるまで、繰り返し行う水洗工程を経て製造される。以下、各工程について、順に説明する。
(1)ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程
(2)ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程
本発明の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体は、ルイス酸を用いたリビングカチオン重合により得られたポリイソブチレン系重合体を末端官能化することにより得ることができる。具体的には、上述の通り、イソブチレンモノマーをルイス酸触媒の存在下で開始剤、必要に応じて電子供与剤とともにリビングカチオン重合して得られるものである(重合工程1)。リビングカチオン重合して得られたポリイソブチレン系重合体は、ルイス酸触媒の存在下、適切なエンドキャップ剤との反応により重合反応後に末端官能化することで、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体とすることができる(末端官能化工程2)。ルイス酸触媒によるリビングカチオン重合についてその詳細は、例えばJ.P.Kennedyらの著書(Carbocationic Polymerization. John Wiely & Sons. 1982年)やK.Matyjaszewskiらの著書(Cationic Polymerizations. Marcel Dekker.1996年)に合成反応の記載がまとめられている。
上記リビングカチオン重合に使用するモノマーとして、上述の通り、イソブチレンのみの場合の他、イソブチレンと、該イソブチレンとの共重合が可能な他のカチオン重合性モノマーとを用いてもよい。前記他のカチオン重合性モノマーとして、例えば炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシランなどが挙げられる。
(重合開始剤)
カチオン重合の開始反応を効率的に行う方法として、3級炭素に結合した塩素原子を有する化合物やα位に芳香族を有する塩素化合物などの化合物を重合開始剤として用いるイニファー法が開発されており(米国特許第4276394号明細書)、本発明にもこの方法を適用することができる。イニファー法に用いる重合開始剤としてはその機能を発揮するものであればよい。例えば芳香族系化合物として、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、クミルクロライドとも称する)、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、p−ジクミルクロライドとも称する)、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、m−ジクミルクロライドとも称する)、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、1,3,5−トリクミルクロライドとも称する)、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン(以下、5−tert−ブチル−1,3−ジクミルクロライドとも称する)、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−メチルベンゼン(以下、5−メチル−1,3−ジクミルクロライドとも称する)が挙げられる。また、脂肪族系化合物として、CH(CHCCH(CHCCl、Cl(CH)CCH(CHCCH(CHCClが挙げられる。これらの中でも、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、CH(CHCCH(CHCCl、Cl(CH)CCH(CHCCH(CHCClを好ましく用いることができる。より好ましくは、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼンから選択される少なくとも1種の化合物である。
(ルイス酸触媒)
(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造(重合工程1及び末端官能化工程2)の際に使用されるルイス酸触媒は、カチオン重合能を有するものであれば特にその種類を問わないが、例示するならばTiCl、AlCl、BCl、ZnCl、SnCl、エチルアルミニウムクロライド、SnBrなどが挙げられる。これらのルイス酸触媒は単独で用いても、複数以上組み合わせて用いてもよい。これらの中で、特にTiClが取り扱いやすさ、重合活性の高さ、経済性などの点で好ましい。さらにTiClは、末端アクリロイル化のためのフリーデルクラフツ反応の触媒としても好適であることからも、好ましいルイス酸触媒といえる。
ルイス酸触媒の使用量は、重合及び官能化が進行するに足りる量を用いればよいが、重合及び官能化を収率良く進行させるためには、その総使用量(重合工程1及び末端官能化工程2での合計の使用量)が重合開始剤の、例えば、2〜40倍モル、好ましくは3〜20倍モル、より好ましくは4〜10倍モルであることが好ましい。
(電子供与剤)
前記重合を行う際に、必要に応じて電子供与剤をさらに共存させてもよい。この電子供与剤は、カチオン重合に際して、成長炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体の添加によって、分子量分布の狭い、構造が制御された重合体を生成することができる。上記電子供与剤としては、種々の化合物の電子供与体(エレクトロンドナー)としての強さを表すパラメーターとして定義されるドナー数が15〜60であるものとして、通常、具体的には、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2−t−ブチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン(即ち、ルチジン)、2−メチルピリジン、ピリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、リン酸トリメチル、ヘキサメチルリン酸トリアミド、チタン(III)メトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド等のチタンアルコキシド;アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリブトキシド等のアルミニウムアルコキシド等が使用できるが、好ましいものとして、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2−メチルピリジン、ピリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド等が挙げられる。上記種々の物質のドナー数については、「ドナーとアクセプター」、グードマン著、大瀧、岡田訳、学会出版センター(1983)に示されている。これらの中でも、添加効果が顕著である2−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、トリエチルアミンが特に好ましい。
上記電子供与剤は、通常、上記重合開始剤に対して0.01〜50倍モル用いられ、0.1〜30倍モルの範囲で用いられるのが好ましく、0.2〜10倍モルの範囲で用いられるのがより好ましい。
本発明の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体は、上述の通り、例えばイソブチレンモノマーをルイス酸触媒存在下、リビングカチオン重合した後に、例えば下記一般式(2);
Figure 2017047335
で表されるエンドキャップ剤をフリーデルクラフツ反応により、イソブチレン系重合体の末端に導入することにより得られる。前記式(2)におけるR、R、R、Rは上記と同じである。前記式(2)のエンドキャップ剤の具体例としては、アクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸3−フェノキシプロピル、アクリル酸4−フェノキシブチル、アクリル酸5−フェノキシペンチル、アクリル酸6−フェノキシヘキシル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸3−フェノキシプロピル、メタクリル酸4−フェノキシブチル、メタクリル酸5−フェノキシペンチル、メタクリル酸6−フェノキシヘキシルなどが挙げられ、アクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸3−フェノキシプロピル、アクリル酸4−フェノキシブチルがフリーデルクラフツ反応の反応性、及びアクリロイル基の反応性の観点から好ましい。より好ましくはアクリル酸4−フェノキシブチルである。フリーデルクラフツ反応の触媒としては、一般的にルイス酸触媒が好適に用いられ、重合に用いたものと同じルイス酸触媒を用いてもよいし、異なるものを用いてもよいし、両者とも用いてもよい。ルイス酸触媒の詳細については、後述する。
リビングカチオン重合及び末端官能化反応は、−100〜0℃の温度範囲で実施される。エネルギーコストと重合の安定性、及びフリーデルクラフツ反応の反応性を両立させるために、特に好ましい温度範囲は−90〜−30℃である。なお前記温度は、例えば、反応液の温度を指す。
リビングカチオン重合及び末端官能化は、重合の安定性及びフリーデルクラフツ反応の反応性を両立させるために、炭素数3〜8のモノハロゲン化炭化水素と脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒中で実施することが好ましい。炭素数3〜8のモノハロゲン化炭化水素の具体例としては、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、n−ペンチルクロライドなどのモノハロゲン化アルカン、クロロベンゼンなどのモノハロゲン化アレーンなどが挙げられ、脂肪族炭化水素の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、2−メチルプロパン、2−メチルブタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどが挙げられ、芳香族炭化水素の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ブチルベンゼンなどが挙げられる。より高いレベルで重合の安定性とフリーデルクラフツ反応の反応性を両立させるためには、n−ブチルクロライドとヘキサンの混合溶媒を用いることがより好ましい。
上記混合溶媒の使用量は、得られる重合体溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合体の濃度が1〜50質量%、好ましくは5〜35質量%となるように決定される。
イソブチレン系重合体と、前記式(2)で表されるエンドキャップ剤との反応工程は、イソブチレン系重合体を一旦単離させた後に、該イソブチレン系重合体とエンドキャップ剤を反応させてもよいし、イソブチレン系重合体の重合工程の後半に上記エンドキャップ剤をその重合系中に添加して反応させてもよい。後者の場合、エンドキャップ剤を添加する時期として、ガスクロマトグラフィーによって測定したイソブチレン単量体の転化率が50%以上に達している時であることが好ましく、80%以上に達している時であることがより好ましく、95%以上に達している時であることが更に好ましい。
(3)ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.02〜5倍モル量のアルカリを有するアルカリ水溶液を加え、ルイス酸触媒の失活を行った後に油水分離を行い、排水する失活工程
(4)残った有機相に水を加え洗浄し油水分離を行い排水する操作を、排水のpHが5.5〜8.5となるまで、繰り返し行う水洗工程
ルイス酸触媒の失活は、ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.02〜5倍モル量のアルカリを有するアルカリ水溶液と、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体とを含む反応溶液を、一定時間攪拌することにより実施される。ここでいうルイス酸を完全に中和失活するために必要なアルカリの量とは、ルイス酸が全て失活したときに生成する酸を中和するために必要な量である。例えば、ルイス酸がTiClの場合、失活時にはTiClの4倍モル量の塩酸が生成するため、この塩酸を完全に中和するために必要なアルカリの量ということであり、アルカリとして水酸化ナトリウムを用いた場合にはTiClの4倍モル量ということになる。ルイス酸としてBClを用いた場合には、失活時にはBClの3倍モル量の塩酸が生成し、これを中和するために必要な量となる。前記アルカリの量は、ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の、1.02〜4倍モルであることが好ましく、より好ましくは1.02〜3.0倍モルである。
使用するアルカリとしては、失活したルイス酸触媒から生成した酸を中和し、(メタ)アクリロイル末端に配位し錯形成したルイス酸を効果的に分解除去できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が例示される。これらは単独でまたは2種以上を併用してもよい。コスト及び入手性の観点からは、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
アルカリ水溶液の量は、十分に攪拌でき失活が可能な量であれば特に限定されるものではないが、効率的に失活を行うためには有機相と水相の体積比が、有機相/水相=0.5〜10の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは有機相/水相=1.0〜8.0の範囲である。特に好ましくは有機相/水相=1.0〜5.0の範囲である。
アルカリ水溶液による失活の温度(失活時の液温、後記する実施例では内温に相当する)は、特に限定されるものではないが、設備的及びエネルギーコストの観点から、30〜80℃で実施することが好ましい。また失活を促進させる観点及び失活後の油水分離性の観点からも30℃以上であることが好ましい。より好ましくは40℃以上である。一方、上記洗浄温度が高すぎると、末端官能基が加水分解する懸念がある他、エネルギーコスト増加を招くため、上述の通り80℃以下で実施することが好ましく、より好ましくは70℃以下である。本発明では、前述の通り、本発明のポリイソブチレン系重合体の末端部位は、予想外にアルカリに対して安定であるため、アルカリを使用しかつ洗浄温度を上記の通り高めても、末端官能基を消失することなく確保できる。
失活に要する時間は十分にルイス酸触媒が失活する時間であればよく、特に限定されるものではないが、通常10〜600分であり、生産性の観点からは10〜300分であることが好ましい。より好ましくは10〜150分、更に好ましくは10〜120分である。
失活後の油水分離性が悪い場合、その改善のために水相に適当な塩を添加してもよい。塩としては油水分離性を向上させ得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、などが挙げられ、工業生産を想定した場合の腐食性、経済性、入手容易性等を総合的に勘案すると硫酸ナトリウムの使用が好ましい。
失活後、アルカリに偏ったpHを中性に戻すための水洗を実施する。水洗は、排水のpHが5.5〜8.5となるまで繰り返し実施すればよく、洗浄毎に油水の静置分離を行い、排水した後に新たな水を加えることで繰り返し実施される。
洗浄時間は、特に限定されるものではないが、十分な洗浄効果を得るためには1回ごとの洗浄時間が10〜240分程度が好ましく、10〜120分が特に好ましい。水洗の温度(洗浄時の液温、後記する実施例では内温に相当する)は、設備的、エネルギーコスト及び水洗後の油水分離性の観点から、30〜80℃で実施することが好ましい。より好ましくは40℃以上、70℃以下である。洗浄の回数は、要求される精製度に応じて選択すればよい。すなわち高い精製度が要求される場合には、洗浄回数を増やせばよい。生産性と精製度のバランスから、洗浄回数は1〜5回が好ましく、さらに好ましくは1〜3回である。
pHを中性に戻すための水洗回数を低減するために、失活後に酸を添加し水相のpHを7〜11の範囲に調整してもよい。使用する酸としては特に限定されるものではないが、例えば塩酸、硫酸、酢酸、アスコルビン酸を例示することができる。入手性や経済性の観点からは、塩酸もしくはアスコルビン酸を好ましい酸として挙げる事ができる。
中和後のpHが高めである場合、更に水洗を行ってより中性に戻してもよい。即ち、前記酸を添加して洗浄した後、油水の静置分離を行い、排水した後に新たな水を加えて水洗を1回または複数回行ってもよい。一方、中和後のpHが7付近となった場合には、その後の水洗回数をゼロとすることも可能である。
水洗後の油水分離性が悪い場合、水洗に用いる水に適当な塩を溶解させてもよい。塩としては油水分離性を向上させ得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、などが挙げられ、工業生産を想定した場合の腐食性、経済性、入手容易性等を総合的に勘案すると硫酸ナトリウムの使用が好ましい。
(ろ過)
前記の失活・水洗のみで完全にルイス酸触媒残渣が除去できない場合には、残ったルイス酸触媒残渣はろ過により除去することができる。ろ過方法としては、例えばヌッチェ等による減圧ろ過方法、フィルタープレス方式等の加圧式ろ過方法等が例示される。不溶成分の量が少なく、ろ過性がよい場合にはカートリッジフィルター、バッグフィルター等による簡易ろ過が簡便である。精製効率を向上させるためには、ろ過助剤を使ったケーキろ過も好適である。ろ過助剤の種類としては、特に限定されるものではないが、珪藻土を好適に用いることができる。また必要に応じて吸着剤を併用することもできる。吸着剤の種類としては特に限定されるものではないが、活性炭やケイ酸塩を好適に用いることができる。
本発明の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体は、重合後の精製時や貯蔵時に必要に応じて、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(即ち、MEHQ)、p−tert−ブチルカテコール、4−メトキシ−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−N,N−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルカテコール、4,4'−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系化合物、4−ヒドロキシ−2,2,6,6、−テトラメチルピペリジン−n−オキシル、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルなどのN−オキシラジカル系化合物、フェノチアジン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N'−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン化合物、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒドロキシルアミン系化合物、ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノンなどのキノン系化合物、塩化第一鉄、ジメチルジチオカルバミン酸銅などの銅化合物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記重合禁止剤の使用量は、重合抑制効果を十分に発現させる観点から、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の1〜5000質量ppm、好ましくは50〜3000質量ppmであることが望ましい。
本願は、2015年9月16日に出願された日本国特許出願第2015−183328号に基づく優先権の利益を主張するものである。2015年9月16日に出願された日本国特許出願第2015−183328号の明細書の全内容が、本願の参考のため援用される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1)
(重合及び末端官能化反応)
1Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)25mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)298mLを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら−70℃まで冷却した。次いで、イソブチレン134mL(1.42mol))、p−ジクミルクロライド1.57g(0.0068mol)及びルチジン0.27g(0.0025mol)を加えた。反応混合物が−70度まで冷却された後で、四塩化チタン0.74mL(0.0068mol)を加えて重合を開始した。重合開始後、ガスクロマトグラフィーで残存イソブチレン濃度を測定して、イソブチレン残存量が0.5%を下回った段階で、アクリル酸4−フェノキシブチル3.43g(0.0156mol)と四塩化チタン4.5ml(0.0406mol)を添加した(合計四塩化チタン0.0474mol:開始剤に対して7.0倍モル)。その後、−70℃で3時間攪拌を続けた。
(失活及び水洗)
蒸留水164ml、48%水酸化ナトリウム水溶液17.4g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して1.1倍モル量)、n−ヘキサン3.6mL、及び塩化ブチル43.4mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから60分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:18%)。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水相を排出した。排水のpHは>14であった。蒸留水114mLを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間、静置分離を行い、水相を排出した。排水のpHは7付近であった。失活及び水洗を併せ、洗浄回数は2回であった。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ150であった。ここでいう本発明のAPHAとは、化学製品などの着色度を評価する方法としてISO6721−2:2004で規定されているハーゼン色数試験により得られるハーゼン色数を指す。ハーゼン色数試験は、SC−P分光測色計(スガ試験機株式会社製)にて実施した。上記分光測色計を、以下「色差計」という。
(ろ過及び溶媒除去)
有機相(200mL)を、加圧ろ過(ろ布;16cc/cm/sec、窒素加圧;0.04MPa、ろ過助剤;ラヂオライト100S(昭和化学工業製)(0.5g)、活性炭;TAIKO A(フタムラ化学製)(3.5g)、ろ過助剤と活性炭の合計添加濃度; 20g/L)することで、無色透明な溶液を得た。ポリマーに対し1700ppm相当量のMEHQを加え、溶媒を減圧下に留去して、得られた重合体を120℃で4時間真空乾燥することにより無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
(アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の特性)
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、30であった。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定した。詳細には、SECシステムとしてWaters社製LCModule1を、またGPCカラム(固定相)としてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(ShodexGPCK−804;昭和電工(株)製)、移動層としてクロロホルムを用いた。以下の例でも同様にして測定した。その結果、Mw:14595、Mn:12616、Mw/Mnが1.16であった。
また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnを次の様にして求めた。まず、上記GPC測定により、ポリマーの分子量を算出し、数平均分子量Mnを求めた。次にH NMR測定を行い、1.3ppm付近のポリイソブチレン骨格中の2つのメチル基に帰属されるピークの面積を先の数平均分子量Mnの値を用いて、(1.3ppm付近のピークの積分値)=((数平均分子量Mn)/56.11)x6Hとする。その際に、同H NMRチャート中で、5.8〜5.9ppm付近、6.1−6.2ppm付近、6.4ppm付近に現れる(メタ)アクリロイル基に由来するピークの平均値を計算し、その平均された積分値を官能基数Fnとして用いた。以下の例でも同様にしてFnを求めた。その結果、該Fnは1.85であった。
(実施例2)
(重合及び末端官能化反応)
1Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)22mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)267mLを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら−70℃まで冷却した。次いで、イソブチレン120mL(1.27mol))、p−ジクミルクロライド1.4g(0.0061mol)及びルチジン0.24g(0.0022mol)を加えた。反応混合物が−70度まで冷却された後で、四塩化チタン0.66mL(0.0061mol)を加えて重合を開始した。重合開始後、ガスクロマトグラフィーで残存イソブチレン濃度を測定して、イソブチレン残存量が0.5%を下回った段階で、アクリル酸4−フェノキシブチル3.07g(0.0139mol)と四塩化チタン4.0ml(0.0363mol)を添加した(合計四塩化チタン0.0424mol:開始剤に対して7.0倍モル)。その後、−70℃で3時間攪拌を続けた。
(失活及び水洗)
蒸留水219ml、48%水酸化ナトリウム水溶液15.5g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して1.1倍モル量)、n−ヘキサン18.7mL、及び塩化ブチル226.3mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから60分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:12%)。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水相を排出した。排水のpHは>14であった。蒸留水199mLを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間、静置分離を行い、水相を排出した。排水のpHは7付近であった。失活及び水洗を併せ、洗浄回数は2回であった。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ130であった。
(ろ過及び溶媒除去)
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより、無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
(アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の特性)
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、10であった。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15462、Mn:12688、Mw/Mnが1.22であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.84であった。
(実施例3)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及び水洗)
蒸留水513ml、48%水酸化ナトリウム水溶液38.7g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して2.5倍モル量)、n−ヘキサン7.6mL、及び塩化ブチル92.4mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから90分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:16%)。続いて攪拌しながら35%塩酸水溶液28.8gを加え、内温が50℃に到達してから30分間攪拌した。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水相を排出した。排水のpHは約7であり、さらなる水洗は必要なかった。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ130であった。
(ろ過及び溶媒除去)
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより、無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
(アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の特性)
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、10であった。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15444、Mn:12680、Mw/Mnが1.22であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.85であった。
(実施例4)
(重合及び末端官能化反応)
実施例2と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及び水洗)
蒸留水186ml、48%水酸化ナトリウム水溶液34.8g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して2.5倍モル量)、n−ヘキサン18.7mL、及び塩化ブチル226.3mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから90分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:12%)。続いて攪拌しながら35%塩酸水溶液24.1gを加え、内温が50℃に到達してから30分間攪拌した。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水相を排出した。排水のpHは約11であった。蒸留水199mLを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間、静置分離を行い、水相を排出した。排水のpHは7付近であった。失活及び水洗を併せ、洗浄回数は2回であった。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ120であった。
(ろ過及び溶媒除去)
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより、無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
(アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の特性)
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、10であった。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15454、Mn:12591、Mw/Mnが1.23であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.85であった。
(比較例1)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及び水洗)
蒸留水164ml、48%水酸化ナトリウム水溶液7.9g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して0.5倍モル量)、n−ヘキサン3.6mL、及び塩化ブチル43.4mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから60分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:18%)。攪拌を停止、静置分離を30分行ったが系全体がエマルジョン化しており油水分離が困難な状態となった。そのまま一晩静置分離を行ったが、エマルジョン状態は改善せず、わずかに分離した水相を排出したが排出率は10%に留まった。これ以上静置分離を継続しても、エマルジョン状態の完全な解消は困難と判断し、これ以上の検討を打ち切った。
(比較例2)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及び水洗)
蒸留水164ml、48%水酸化ナトリウム水溶液14.2g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して0.9倍モル量)、n−ヘキサン3.6mL、及び塩化ブチル43.4mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから60分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:18%)。攪拌を停止、静置分離を30分行ったが系全体がエマルジョン化しており油水分離が困難な状態となった。そのまま一晩静置分離を行ったが、エマルジョン状態は改善せず、わずかに分離した水相を排出したが排出率は12%に留まった。これ以上静置分離を継続しても、エマルジョン状態の完全な解消は困難と判断し、これ以上の検討を打ち切った。
(比較例3)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及び水洗)
蒸留水164ml、48%水酸化ナトリウム水溶液158.2g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して10倍モル量)、n−ヘキサン3.6mL、及び塩化ブチル43.4mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから60分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:18%)。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水相を排出した。排水のpHは>14であった。蒸留水114mLを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間、静置分離を行い、水相を排出した。この水洗操作を排水のpHが7付近となるまで繰り返したところ、水洗回数は3回必要であった。したがって失活及び水洗を併せ、洗浄回数は4回であり、いずれの実施例と比較しても多くの水洗回数を要しており生産性に劣る結果となった。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ150であった。
(ろ過及び溶媒除去)
有機相(200mL)を、加圧ろ過(ろ布;16cc/cm/sec、窒素加圧;0.04MPa、ろ過助剤;ラヂオライト100S(昭和化学工業製)(0.5g)、活性炭;TAIKO A(フタムラ化学製)(3.5g)、ろ過助剤と活性炭の合計添加濃度; 20g/L)することで、無色透明な溶液を得た。ポリマーに対し1700ppm相当量のMEHQを加え、溶媒を減圧下に留去して、得られた重合体を120℃で4時間真空乾燥することにより無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
(アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の特性)
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、40であった。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:14598、Mn:12655、Mw/Mnが1.15であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.32であった。いずれの実施例と比較してもFnの値が著しく低下している。失活時のアルカリ使用量が多すぎたため、末端アクリロイル基が一部、失活工程において加水分解した可能性が高いと考えられる。

Claims (16)

  1. (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法であって、
    ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、
    ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程、
    ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.02〜5倍モル量のアルカリを有するアルカリ水溶液を加え、ルイス酸触媒の失活を行った後に油水分離を行い、排水する失活工程、
    残った有機相に水を加え洗浄し油水分離を行い排水する操作を、排水のpHが5.5〜8.5となるまで、繰り返し行う水洗工程、
    を含むことを特徴とする(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  2. (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体が、下記一般式(1):
    Figure 2017047335
    (式中、Rは1価若しくは多価芳香族炭化水素基、または1価若しくは多価脂肪族炭化水素基を表す。Aはポリイソブチレン系重合体を表す。Rは炭素数2〜6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を含有しない基を表す。R、Rはそれぞれ水素、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、またはアルコキシ基を表す。Rは水素、またはメチル基を表す。nは自然数を表す。)で示される重合体であることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  3. が−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHCHCH−、−CHCHCHCHCHCH−からなる群から選ばれる2価の炭化水素基であることを特徴とする請求項2に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  4. 、およびRが水素であることを特徴とする請求項2または3に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  5. が水素であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  6. ルイス酸触媒が、四塩化チタンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  7. 前記リビングカチオン重合工程で重合開始剤を使用し、
    ルイス酸触媒の使用量が前記重合開始剤の3〜20倍モルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  8. 前記リビングカチオン重合工程で重合開始剤を使用し、
    この重合開始剤が、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼンから選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  9. 失活工程で用いるアルカリが水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムからなる群の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  10. アルカリ水溶液により触媒を失活する工程の温度が30〜80℃であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  11. 失活工程において、ルイス酸触媒が完全に失活した後に酸を添加し、油水分離後の排水のpHを7〜11の範囲に調整することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  12. 添加する酸が塩酸、硫酸、酢酸、アスコルビン酸からなる群の少なくとも1種であることを特徴とする請求項11に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  13. 水洗工程の温度が30〜80℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  14. リビングカチオン重合工程、及び末端官能化反応工程に使用する溶媒が、炭素数3〜8のモノハロゲン化炭化水素と、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  15. ルイス酸触媒を失活する工程及び水洗工程のいずれにおいても、有機相と水相の体積比が、有機相/水相=0.5〜10の範囲であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の精製方法。
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