JPWO2017047335A1 - (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法であって、
ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、
ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程、
ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.02〜5倍モル量のアルカリを有するアルカリ水溶液を加え、ルイス酸触媒の失活を行った後に油水分離を行い、排水する失活工程、
残った有機相に水を加え洗浄し油水分離を行い排水する操作を、排水のpHが5.5〜8.5となるまで、繰り返し行う水洗工程、
を含むことを特徴とする(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明におけるポリイソブチレン系重合体とは、イソブチレンを含有するものであれば特に制限は無いが、イソブチレンを主成分として構成される重合体であることが好ましい。具体的には、イソブチレンモノマーをルイス酸触媒の存在下で開始剤、必要に応じて電子供与剤とともにリビングカチオン重合して得られるものである。リビングカチオン重合して得られたポリイソブチレン系重合体は、適切なエンドキャップ剤との反応により重合反応後に末端官能化することで、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体とすることができる。(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体としては、下記一般式(1);
(2)ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程
本発明の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体は、ルイス酸を用いたリビングカチオン重合により得られたポリイソブチレン系重合体を末端官能化することにより得ることができる。具体的には、上述の通り、イソブチレンモノマーをルイス酸触媒の存在下で開始剤、必要に応じて電子供与剤とともにリビングカチオン重合して得られるものである(重合工程1)。リビングカチオン重合して得られたポリイソブチレン系重合体は、ルイス酸触媒の存在下、適切なエンドキャップ剤との反応により重合反応後に末端官能化することで、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体とすることができる(末端官能化工程2)。ルイス酸触媒によるリビングカチオン重合についてその詳細は、例えばJ.P.Kennedyらの著書(Carbocationic Polymerization. John Wiely & Sons. 1982年)やK.Matyjaszewskiらの著書(Cationic Polymerizations. Marcel Dekker.1996年)に合成反応の記載がまとめられている。
カチオン重合の開始反応を効率的に行う方法として、3級炭素に結合した塩素原子を有する化合物やα位に芳香族を有する塩素化合物などの化合物を重合開始剤として用いるイニファー法が開発されており(米国特許第4276394号明細書)、本発明にもこの方法を適用することができる。イニファー法に用いる重合開始剤としてはその機能を発揮するものであればよい。例えば芳香族系化合物として、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、クミルクロライドとも称する)、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、p−ジクミルクロライドとも称する)、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、m−ジクミルクロライドとも称する)、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、1,3,5−トリクミルクロライドとも称する)、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン(以下、5−tert−ブチル−1,3−ジクミルクロライドとも称する)、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−メチルベンゼン(以下、5−メチル−1,3−ジクミルクロライドとも称する)が挙げられる。また、脂肪族系化合物として、CH3(CH3)2CCH2(CH3)2CCl、Cl(CH3)2CCH2(CH3)2CCH2(CH3)2CClが挙げられる。これらの中でも、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、CH3(CH3)2CCH2(CH3)2CCl、Cl(CH3)2CCH2(CH3)2CCH2(CH3)2CClを好ましく用いることができる。より好ましくは、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼンから選択される少なくとも1種の化合物である。
(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造(重合工程1及び末端官能化工程2)の際に使用されるルイス酸触媒は、カチオン重合能を有するものであれば特にその種類を問わないが、例示するならばTiCl4、AlCl3、BCl3、ZnCl2、SnCl4、エチルアルミニウムクロライド、SnBr4などが挙げられる。これらのルイス酸触媒は単独で用いても、複数以上組み合わせて用いてもよい。これらの中で、特にTiCl4が取り扱いやすさ、重合活性の高さ、経済性などの点で好ましい。さらにTiCl4は、末端アクリロイル化のためのフリーデルクラフツ反応の触媒としても好適であることからも、好ましいルイス酸触媒といえる。
前記重合を行う際に、必要に応じて電子供与剤をさらに共存させてもよい。この電子供与剤は、カチオン重合に際して、成長炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体の添加によって、分子量分布の狭い、構造が制御された重合体を生成することができる。上記電子供与剤としては、種々の化合物の電子供与体(エレクトロンドナー)としての強さを表すパラメーターとして定義されるドナー数が15〜60であるものとして、通常、具体的には、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2−t−ブチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン(即ち、ルチジン)、2−メチルピリジン、ピリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、リン酸トリメチル、ヘキサメチルリン酸トリアミド、チタン(III)メトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド等のチタンアルコキシド;アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリブトキシド等のアルミニウムアルコキシド等が使用できるが、好ましいものとして、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2−メチルピリジン、ピリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド等が挙げられる。上記種々の物質のドナー数については、「ドナーとアクセプター」、グードマン著、大瀧、岡田訳、学会出版センター(1983)に示されている。これらの中でも、添加効果が顕著である2−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、トリエチルアミンが特に好ましい。
(4)残った有機相に水を加え洗浄し油水分離を行い排水する操作を、排水のpHが5.5〜8.5となるまで、繰り返し行う水洗工程
ルイス酸触媒の失活は、ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.02〜5倍モル量のアルカリを有するアルカリ水溶液と、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体とを含む反応溶液を、一定時間攪拌することにより実施される。ここでいうルイス酸を完全に中和失活するために必要なアルカリの量とは、ルイス酸が全て失活したときに生成する酸を中和するために必要な量である。例えば、ルイス酸がTiCl4の場合、失活時にはTiCl4の4倍モル量の塩酸が生成するため、この塩酸を完全に中和するために必要なアルカリの量ということであり、アルカリとして水酸化ナトリウムを用いた場合にはTiCl4の4倍モル量ということになる。ルイス酸としてBCl3を用いた場合には、失活時にはBCl3の3倍モル量の塩酸が生成し、これを中和するために必要な量となる。前記アルカリの量は、ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の、1.02〜4倍モルであることが好ましく、より好ましくは1.02〜3.0倍モルである。
前記の失活・水洗のみで完全にルイス酸触媒残渣が除去できない場合には、残ったルイス酸触媒残渣はろ過により除去することができる。ろ過方法としては、例えばヌッチェ等による減圧ろ過方法、フィルタープレス方式等の加圧式ろ過方法等が例示される。不溶成分の量が少なく、ろ過性がよい場合にはカートリッジフィルター、バッグフィルター等による簡易ろ過が簡便である。精製効率を向上させるためには、ろ過助剤を使ったケーキろ過も好適である。ろ過助剤の種類としては、特に限定されるものではないが、珪藻土を好適に用いることができる。また必要に応じて吸着剤を併用することもできる。吸着剤の種類としては特に限定されるものではないが、活性炭やケイ酸塩を好適に用いることができる。
(重合及び末端官能化反応)
1Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)25mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)298mLを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら−70℃まで冷却した。次いで、イソブチレン134mL(1.42mol))、p−ジクミルクロライド1.57g(0.0068mol)及びルチジン0.27g(0.0025mol)を加えた。反応混合物が−70度まで冷却された後で、四塩化チタン0.74mL(0.0068mol)を加えて重合を開始した。重合開始後、ガスクロマトグラフィーで残存イソブチレン濃度を測定して、イソブチレン残存量が0.5%を下回った段階で、アクリル酸4−フェノキシブチル3.43g(0.0156mol)と四塩化チタン4.5ml(0.0406mol)を添加した(合計四塩化チタン0.0474mol:開始剤に対して7.0倍モル)。その後、−70℃で3時間攪拌を続けた。
蒸留水164ml、48%水酸化ナトリウム水溶液17.4g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して1.1倍モル量)、n−ヘキサン3.6mL、及び塩化ブチル43.4mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから60分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:18%)。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水相を排出した。排水のpHは>14であった。蒸留水114mLを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間、静置分離を行い、水相を排出した。排水のpHは7付近であった。失活及び水洗を併せ、洗浄回数は2回であった。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ150であった。ここでいう本発明のAPHAとは、化学製品などの着色度を評価する方法としてISO6721−2:2004で規定されているハーゼン色数試験により得られるハーゼン色数を指す。ハーゼン色数試験は、SC−P分光測色計(スガ試験機株式会社製)にて実施した。上記分光測色計を、以下「色差計」という。
有機相(200mL)を、加圧ろ過(ろ布;16cc/cm2/sec、窒素加圧;0.04MPa、ろ過助剤;ラヂオライト100S(昭和化学工業製)(0.5g)、活性炭;TAIKO A(フタムラ化学製)(3.5g)、ろ過助剤と活性炭の合計添加濃度; 20g/L)することで、無色透明な溶液を得た。ポリマーに対し1700ppm相当量のMEHQを加え、溶媒を減圧下に留去して、得られた重合体を120℃で4時間真空乾燥することにより無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、30であった。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定した。詳細には、SECシステムとしてWaters社製LCModule1を、またGPCカラム(固定相)としてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(ShodexGPCK−804;昭和電工(株)製)、移動層としてクロロホルムを用いた。以下の例でも同様にして測定した。その結果、Mw:14595、Mn:12616、Mw/Mnが1.16であった。
(重合及び末端官能化反応)
1Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)22mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)267mLを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら−70℃まで冷却した。次いで、イソブチレン120mL(1.27mol))、p−ジクミルクロライド1.4g(0.0061mol)及びルチジン0.24g(0.0022mol)を加えた。反応混合物が−70度まで冷却された後で、四塩化チタン0.66mL(0.0061mol)を加えて重合を開始した。重合開始後、ガスクロマトグラフィーで残存イソブチレン濃度を測定して、イソブチレン残存量が0.5%を下回った段階で、アクリル酸4−フェノキシブチル3.07g(0.0139mol)と四塩化チタン4.0ml(0.0363mol)を添加した(合計四塩化チタン0.0424mol:開始剤に対して7.0倍モル)。その後、−70℃で3時間攪拌を続けた。
蒸留水219ml、48%水酸化ナトリウム水溶液15.5g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して1.1倍モル量)、n−ヘキサン18.7mL、及び塩化ブチル226.3mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから60分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:12%)。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水相を排出した。排水のpHは>14であった。蒸留水199mLを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間、静置分離を行い、水相を排出した。排水のpHは7付近であった。失活及び水洗を併せ、洗浄回数は2回であった。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ130であった。
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより、無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、10であった。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15462、Mn:12688、Mw/Mnが1.22であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.84であった。
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
蒸留水513ml、48%水酸化ナトリウム水溶液38.7g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して2.5倍モル量)、n−ヘキサン7.6mL、及び塩化ブチル92.4mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから90分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:16%)。続いて攪拌しながら35%塩酸水溶液28.8gを加え、内温が50℃に到達してから30分間攪拌した。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水相を排出した。排水のpHは約7であり、さらなる水洗は必要なかった。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ130であった。
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより、無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、10であった。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15444、Mn:12680、Mw/Mnが1.22であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.85であった。
(重合及び末端官能化反応)
実施例2と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
蒸留水186ml、48%水酸化ナトリウム水溶液34.8g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して2.5倍モル量)、n−ヘキサン18.7mL、及び塩化ブチル226.3mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから90分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:12%)。続いて攪拌しながら35%塩酸水溶液24.1gを加え、内温が50℃に到達してから30分間攪拌した。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水相を排出した。排水のpHは約11であった。蒸留水199mLを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間、静置分離を行い、水相を排出した。排水のpHは7付近であった。失活及び水洗を併せ、洗浄回数は2回であった。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ120であった。
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより、無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、10であった。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15454、Mn:12591、Mw/Mnが1.23であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.85であった。
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
蒸留水164ml、48%水酸化ナトリウム水溶液7.9g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して0.5倍モル量)、n−ヘキサン3.6mL、及び塩化ブチル43.4mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから60分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:18%)。攪拌を停止、静置分離を30分行ったが系全体がエマルジョン化しており油水分離が困難な状態となった。そのまま一晩静置分離を行ったが、エマルジョン状態は改善せず、わずかに分離した水相を排出したが排出率は10%に留まった。これ以上静置分離を継続しても、エマルジョン状態の完全な解消は困難と判断し、これ以上の検討を打ち切った。
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
蒸留水164ml、48%水酸化ナトリウム水溶液14.2g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して0.9倍モル量)、n−ヘキサン3.6mL、及び塩化ブチル43.4mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから60分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:18%)。攪拌を停止、静置分離を30分行ったが系全体がエマルジョン化しており油水分離が困難な状態となった。そのまま一晩静置分離を行ったが、エマルジョン状態は改善せず、わずかに分離した水相を排出したが排出率は12%に留まった。これ以上静置分離を継続しても、エマルジョン状態の完全な解消は困難と判断し、これ以上の検討を打ち切った。
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及び水洗)
蒸留水164ml、48%水酸化ナトリウム水溶液158.2g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して10倍モル量)、n−ヘキサン3.6mL、及び塩化ブチル43.4mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから60分攪拌することにより失活を行った(有機相中のポリマー濃度:18%)。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水相を排出した。排水のpHは>14であった。蒸留水114mLを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間、静置分離を行い、水相を排出した。この水洗操作を排水のpHが7付近となるまで繰り返したところ、水洗回数は3回必要であった。したがって失活及び水洗を併せ、洗浄回数は4回であり、いずれの実施例と比較しても多くの水洗回数を要しており生産性に劣る結果となった。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ150であった。
有機相(200mL)を、加圧ろ過(ろ布;16cc/cm2/sec、窒素加圧;0.04MPa、ろ過助剤;ラヂオライト100S(昭和化学工業製)(0.5g)、活性炭;TAIKO A(フタムラ化学製)(3.5g)、ろ過助剤と活性炭の合計添加濃度; 20g/L)することで、無色透明な溶液を得た。ポリマーに対し1700ppm相当量のMEHQを加え、溶媒を減圧下に留去して、得られた重合体を120℃で4時間真空乾燥することにより無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、40であった。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:14598、Mn:12655、Mw/Mnが1.15であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.32であった。いずれの実施例と比較してもFnの値が著しく低下している。失活時のアルカリ使用量が多すぎたため、末端アクリロイル基が一部、失活工程において加水分解した可能性が高いと考えられる。
Claims (16)
- (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法であって、
ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、
ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程、
ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.02〜5倍モル量のアルカリを有するアルカリ水溶液を加え、ルイス酸触媒の失活を行った後に油水分離を行い、排水する失活工程、
残った有機相に水を加え洗浄し油水分離を行い排水する操作を、排水のpHが5.5〜8.5となるまで、繰り返し行う水洗工程、
を含むことを特徴とする(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。 - R2が−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−からなる群から選ばれる2価の炭化水素基であることを特徴とする請求項2に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
- R3、およびR4が水素であることを特徴とする請求項2または3に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
- R5が水素であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
- ルイス酸触媒が、四塩化チタンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
- 前記リビングカチオン重合工程で重合開始剤を使用し、
ルイス酸触媒の使用量が前記重合開始剤の3〜20倍モルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。 - 前記リビングカチオン重合工程で重合開始剤を使用し、
この重合開始剤が、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼンから選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。 - 失活工程で用いるアルカリが水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムからなる群の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
- アルカリ水溶液により触媒を失活する工程の温度が30〜80℃であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
- 失活工程において、ルイス酸触媒が完全に失活した後に酸を添加し、油水分離後の排水のpHを7〜11の範囲に調整することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
- 添加する酸が塩酸、硫酸、酢酸、アスコルビン酸からなる群の少なくとも1種であることを特徴とする請求項11に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
- 水洗工程の温度が30〜80℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
- リビングカチオン重合工程、及び末端官能化反応工程に使用する溶媒が、炭素数3〜8のモノハロゲン化炭化水素と、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
- ルイス酸触媒を失活する工程及び水洗工程のいずれにおいても、有機相と水相の体積比が、有機相/水相=0.5〜10の範囲であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
- 請求項1〜15のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の精製方法。
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