JP7170515B2 - ポリイソブチレン系重合体の製造方法 - Google Patents

ポリイソブチレン系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ルイス酸触媒を用いたポリイソブチレン系重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、ルイス酸触媒を用いたポリイソブチレン系重合体からのルイス酸触媒の効率的な除去、すなわちポリイソブチレン系重合体の効率的な精製によるポリイソブチレン系重合体の製造方法に関するものである。
ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合によるポリイソブチレン系重合体の製造においては、触媒失活後の触媒残渣が重合体中に残存すると腐食、臭気、着色など多くの悪影響を引き起こすため、適切な方法によって厳重に取り除かなければならない。
特にポリイソブチレン系重合体の中でも、光によって樹脂を架橋させることができる(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体は、通常、極めて高い透明度と無色であることが要求される。したがって、ルイス酸触媒及びルイス酸触媒残渣の除去を効率よく達成でき、かつ実際の製造プロセスにも採用可能な生産性の高い方法が強く望まれている。
(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法としては、例えば特許文献1~4に記載の方法が知られている。特許文献1には、水酸基末端ポリイソブチレン重合体を原料とした製法が、特許文献2には、塩素末端ポリイソブチレン重合体と、(メタ)アクリロイル基及び炭素-炭素二重結合を有するエンドキャップ剤との反応による製法が、特許文献3には、塩素末端ポリイソブチレン重合体と、(メタ)アクリロイル基及びフェノキシ基を有するエンドキャップ剤との反応による製法が記載されている。特に特許文献2及び3の製法は、塩素系開始剤とルイス酸触媒を用いて得られたポリイソブチレン末端とエンドキャップ剤とのワンステップの反応であり、簡便に(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得ることができる。しかしながら、これらの製法においては、ルイス酸触媒の効果的な除去方法について記載が無い。特許文献4の製法は、基本的には特許文献3と同じであり、ルイス酸触媒の除去方法として、アルカリ水溶液で失活した後に、さらに水洗を繰り返すことで透明かつ無色の重合体が得られることが記載されている。
特開2012-82340号公報 特開2013-35901号公報 WO2013/047314号公報 特許第6145233号
特許文献4に記載の方法においてポリイソブチレン系重合体の製造を本発明者らが実施したところ、アルカリ水溶液で失活した後の油水分離において、粒状の油滴や水滴が界面付近に残存し油水界面付近がエマルジョン化し、結果として油水分離不良を引き起こすことがあることがわかった。
本発明の課題は、ポリイソブチレン系重合体の製造に使用されたルイス酸触媒の除去を効率よく行い、ポリイソブチレン系重合体を効率よく精製し、透明性に優れたポリイソブチレン系重合体の製造方法を提供することである。
上記事情に鑑み、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ルイス酸触媒を含むポリイソブチレン系重合体溶液をアルカリ水溶液と接触させルイス酸触媒を失活させ、油水分離および排水後に、残った有機層と、油水界面付近の粒状の油滴と水滴とを攪拌した後に油水分離を行い、失活後の油水分離で除去しきれなかった水層を排水する残存粒状油滴凝集工程を行うことによってルイス酸触媒を効率よく除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の第1は、ポリイソブチレン系重合体の製造方法であって、
ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、
ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.0~5倍モル量のアルカリ化合物を有するアルカリ水溶液を加え、ルイス酸触媒の失活を行った後に油水分離を行い、排水する失活工程、
残った有機層と、油水界面付近の粒状の油滴及び水滴とを攪拌した後に油水分離を行い、分離した水層を排水する残存粒状油滴凝集工程、
を含むことを特徴とするポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第2は、前記残存粒状油滴凝集工程の後に、残った有機層に水を加え洗浄し油水分離を行い排水する操作を、排水のpHが5.5~10.0となるまで、繰り返し行う水洗工程を行う、本発明の第1に記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第3は、失活工程の排水前に、水洗工程を無くすまたは水洗工程の水洗回数を低減するために、酸を添加し水層の中和を行うことを特徴とする本発明の第1または2に記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第4は、残存粒状油滴凝集工程の攪拌時間が0.5~30分であることを特徴とする本発明の第1~3のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第5は、ポリイソブチレン系重合体がイソブチレンに由来する繰り返し単位を80重量%以上含む重合体であることを特徴とする本発明の第1~4に記載のイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第6は、ポリイソブチレン系重合体が、前記ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程の後に、ルイス酸触媒を用いた末端(メタ)アクリロイル化反応工程を行うことを特徴とする、本発明の第1~5のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第7は、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体が、下記一般式(1):
Figure 0007170515000001
(式中、R1は1価若しくは多価芳香族炭化水素基、または1価若しくは多価脂肪族炭化水素基を表す。Aはポリイソブチレン系重合体を表す。R2は炭素数2~6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を含有しない基を表す。R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1~20の1価の炭化水素基、またはアルコキシ基を表す。R5は水素、またはメチル基を表す。nは自然数を表す。)で示される重合体であることを特徴とする本発明の第6に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第8は、R2が-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-からなる群から選ばれる2価の炭化水素基であることを特徴とする本発明の第7に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第9は、R3、およびR4が水素であることを特徴とする本発明の第7または第8に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
本発明の第10は、R5が水素であることを特徴とする本発明の第7~9のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第11は、ルイス酸触媒が、四塩化チタンであることを特徴とする本発明の第1~10のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第12は、ルイス酸触媒の使用量が重合開始剤の3~20倍モルであることを特徴とする本発明の第1~11のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第13は、重合開始剤が、(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼンから選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする本発明の第1~12のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第14は、失活工程で用いるアルカリ化合物が水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムからなる群の少なくとも1種であることを特徴とする本発明の第1~13のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第15は、アルカリ水溶液により触媒を失活する工程の温度が30~80℃であることを特徴とする本発明の第1~14のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第16は、添加する酸が塩酸、硫酸、酢酸、アスコルビン酸からなる群の少なくとも1種であることを特徴とする本発明の第15に記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第17は、水洗工程の温度が30~80℃の範囲であることを特徴とする本発明の第1~16に記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第18は、使用する溶媒が、炭素数3~8のモノハロゲン化炭化水素と、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒であることを特徴とする本発明の第1~17のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明の第19は、ルイス酸触媒を失活する工程及び水洗工程のいずれにおいても、有機層と水層の体積比が、有機層/水層=0.5~10の範囲であることを特徴とする本発明の第1~18のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
本発明のポリイソブチレン系重合体からルイス酸触媒を除去する方法を用いれば、従来の方法と比べルイス酸触媒残渣を効率よく取り除くことができる。わずかに濁りが残る場合でも、ろ過にて濁りを容易に除去することが可能である。このことにより、従来と比べて効率よくルイス酸触媒を除去でき、安定的かつ高い生産性において透明性の良いポリイソブチレン系重合体を得ることができる。
本発明の一実施形態について説明すれば以下の通りである。なお、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
本発明は、ポリイソブチレン系重合体の製造方法であって、ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程、ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.0~5倍モル量のアルカリ化合物を有するアルカリ水溶液を加え、ルイス酸触媒の失活を行った後に油水分離を行い、排水する失活工程、さらに残った有機層と、油水界面付近の粒状の油滴と水滴とを攪拌した後に油水分離を行い、分離した水層を排水する残存粒状油滴凝集工程、を含むことを特徴とするポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
一般的に、触媒失活や精製のためにポリマー溶液を水または水溶液と接触混合させた場合、油水分離時に粒状の油滴や水滴が界面付近に残存し、油水分離不良を引き起こすことがある。残存した油滴や水滴を凝集させ、油水分離不良を改善する方法としては、例えば水層に無機塩などを投入し比重差を大きくする方法が一般的である。無機塩の投入は油滴を凝集させる効果も期待できる。しかし、このような副資材の投入は品質管理上好ましくなく、またプロセスの観点からも工程増につながり好ましくない。また、粒状の油滴や水滴を破壊し凝集させるには、攪拌することも考えられるが、一般的に一旦粒状となった油滴と水滴のエマルジョンを攪拌混合すると、さらにエマルジョン化が進行してしまい油水分離は困難な状態となる。しかしながら、ポリイソブチレン系重合体においては、予想外に短時間攪拌することで粒状の油滴や水滴が凝集し、続く静置分離によりわずかに残存していた排水が分離し排出できることを発明者らは見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のポリイソブチレン系重合体は、ルイス酸を用いたリビングカチオン重合により得られ、さらに得られたポリイソブチレン系重合体を末端官能化してもよい。ルイス酸触媒によるリビングカチオン重合についてその詳細は、例えばJ.P.Kennedyらの著書(Carbocationic Polymerization. John Wiely & Sons. 1982年)やK.Matyjaszewskiらの著書(Cationic Polymerizations. Marcel Dekker. 1996年)に合成反応の記載がまとめられている。
(ポリイソブチレン系重合体)
本発明におけるポリイソブチレン系重合体とは、イソブチレンを含有するものであれば特に制限は無いが、イソブチレンを主成分として構成される重合体であることが好ましく、イソブチレンに由来する繰り返し単位を80量%以上含むのが好ましい。具体的には、イソブチレンモノマーをルイス酸触媒の存在下で開始剤、必要に応じて電子供与剤とともにリビングカチオン重合して得られるものである。リビングカチオン重合して得られたポリイソブチレン系重合体は、適切なエンドキャップ剤との反応により重合反応後に末端官能化することで、例えば(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体とすることができる。(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体としては、下記一般式(1);
Figure 0007170515000002
で表される重合体が重合における分子量の制御の容易さや末端官能化反応の反応性の観点から好ましい。前記式(1)においてR1は1価若しくは多価芳香族炭化水素基、または1価若しくは多価脂肪族炭化水素基を表す。Aはポリイソブチレン系重合体を表す。R2は炭素数2~6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を含有しない基を表す。R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1~20の1価の炭化水素基、またはアルコキシ基を表す。R5は水素、またはメチル基を表す。nは自然数を表す。
前記式(1)におけるR1は1価若しくは多価芳香族炭化水素基、または1価若しくは多価脂肪族炭化水素基である。芳香族炭化水素系基の具体例としては、クミル基、m-ジクミル基、p-ジクミル基、5-tert-ブチル-1,3-ジクミル基、5-メチル-1,3-ジクミル基、1,3,5-トリクミル基などが挙げられる。一方、脂肪族炭化水素系基の具体例としては、CH3(CH32CCH2(CH32C-、-(CH3)2CCH2(CH32CCH2(CH32C-で表される基などが好ましい。これらの中でも特に、クミル基、m-ジクミル基、p-ジクミル基、5-tert-ブチル-1,3-ジクミル基、CH3(CH32CCH2(CH32C-、-(CH3)2CCH2(CH32CCH2(CH32C-が入手性の観点から好ましい。
前記式(1)におけるAはポリイソブチレン系重合体であるが、このポリイソブチレン系重合体を構成するモノマーとしてはイソブチレンを主として用いる他には、他のカチオン重合性モノマーを共重合してもよい。そのようなモノマーとしては例えば炭素数4~12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシランなどが挙げられる。
前記式(1)におけるR2は炭素数2~6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を含有しない基である。具体的には、例えば、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-などが好ましい。
前記式(1)におけるR3、R4はそれぞれ水素、炭素数1~20の1価の炭化水素基、またはアルコキシ基である。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デカニルオキシ基などが挙げられる。この中でも水素が入手性の観点から好ましい。
前記式(1)におけるR5は水素、またはメチル基である。水素が入手性及び反応性の両面からより好ましい。
前記式(1)におけるnは自然数であるが、架橋反応によって架橋性高分子を得る際に十分な強度、耐久性、ゲル分率などを達成するためには、2または3であることが好ましい。
このような(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体は、イソブチレンモノマーをルイス酸触媒存在下、リビングカチオン重合した後に、例えば下記一般式(2);
Figure 0007170515000003
で表されるエンドキャップ剤をフリーデルクラフツ反応により、イソブチレン系重合体の末端に導入することにより得られる。前記式(2)におけるR2、R3、R4、R5は上記と同じである。前記式(2)のエンドキャップ剤の具体例としては、アクリル酸2-フェノキシエチル、アクリル酸3-フェノキシプロピル、アクリル酸4-フェノキシブチル、アクリル酸5-フェノキシペンチル、アクリル酸6-フェノキシヘキシル、メタクリル酸2-フェノキシエチル、メタクリル酸3-フェノキシプロピル、メタクリル酸4-フェノキシブチル、メタクリル酸5-フェノキシペンチル、メタクリル酸6-フェノキシヘキシルなどが挙げられ、アクリル酸2-フェノキシエチル、アクリル酸3-フェノキシプロピル、アクリル酸4-フェノキシブチルがフリーデルクラフツ反応の反応性、及びアクリロイル基の反応性の観点から好ましい。フリーデルクラフツ反応の触媒としては、一般的にルイス酸触媒が好適に用いられ、重合に用いたものと同じルイス酸触媒を用いてもよいし、異なるものを用いてもよいし、両者とも用いてもよい。ルイス酸触媒の詳細については、後述する。
リビングカチオン重合及び官能化反応は、-100~0℃の温度範囲で実施される。エネルギーコストと重合の安定性、及びフリーデルクラフツ反応の反応性を両立させるために、特に好ましい温度範囲は-90~-30℃である。
リビングカチオン重合及び官能化は、重合の安定性及びフリーデルクラフツ反応の反応性を両立させるために、炭素数3~8のモノハロゲン化炭化水素と脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒中で実施することが好ましい。炭素数3~8のモノハロゲン化炭化水素の具体例としては、n-プロピルクロライド、n-ブチルクロライド、n-ペンチルクロライド、クロロベンゼンなどが挙げられ、脂肪族炭化水素の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、2-メチルプロパン、2-メチルブタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどが挙げられ、芳香族炭化水素の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ブチルベンゼンなどが挙げられる。より高いレベルで重合の安定性とフリーデルクラフツ反応の反応性を両立させるためには、n-ブチルクロライドとヘキサンの混合溶媒を用いることがより好ましい。
(電子供与剤)
上記電子供与体剤としては、種々の化合物の電子供与体(エレクトロンドナー)としての強さを表すパラメーターとして定義されるドナー数が15~60であるものとして、通常、具体的には、2,6-ジ-t-ブチルピリジン、2-t-ブチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、2-メチルピリジン、ピリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、リン酸トリメチル、ヘキサメチルリン酸トリアミド、チタン(III)メトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド等のチタンアルコキシド;アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリブトキシド等のアルミニウムアルコキシド等が使用できるが、好ましいものとして、2,6-ジ-t-ブチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、2-メチルピリジン、ピリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド等が挙げられる。上記種々の物質のドナー数については、「ドナーとアクセプター」、グードマン著、大瀧、岡田訳、学会出版センター(1983)に示されている。これらの中でも、添加効果が顕著である2-メチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、トリエチルアミンが特に好ましい。
上記電子供与体成分は、通常、上記重合開始剤に対して0.01~50倍モル用いられ、0.1~30倍モルの範囲で用いられるのが好ましい。
(重合開始剤)
カチオン重合の開始反応を効率的に行う方法として、3級炭素に結合した塩素原子を有する化合物やα位に芳香族を有する塩素化合物などの化合物を重合開始剤として用いるイニファー法が開発されており(米国特許第4276394号明細書)、本発明にもこの方法を適用することができる。イニファー法に用いる重合開始剤としてはその機能を発揮するものであればよく、例えば(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼンを好ましい例として挙げることができる。
(ルイス酸触媒)
ポリイソブチレン系重合体の製造の際に使用されるルイス酸触媒は、カチオン重合能を有するものであれば特にその種類を問わないが、例示するならばTiCl4、AlCl4、BCl3、ZnCl2、SnCl4、エチルアルミニウムクロライド、SnBr4などが挙げられる。これらのルイス酸触媒は単独で用いても、複数以上組み合わせて用いてもよい。これらの中で、特にTiCl4が取り扱いやすさ、重合活性の高さ、経済性などの点で好ましい。さらにTiCl4は、末端アクリロイル化のためのフリーデルクラフツ反応の触媒としても好適であることからも、好ましいルイス酸触媒といえる。
ルイス酸触媒の使用量は、重合及び官能化が進行するに足りる量を用いればよいが、重合及び官能化を収率良く進行させるためには、その総使用量が重合開始剤の3~20倍モルであることが好ましい。
(アルカリ水溶液による失活及び洗浄)
ルイス酸触媒の失活は、ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.0~5倍モル量のアルカリ化合物を有するアルカリ水溶液とポリイソブチレン系重合体を含む反応溶液を一定時間攪拌することにより実施される。ここでいうルイス酸を完全に中和失活するために必要なアルカリ化合物の量とは、使用したルイス酸が全て失活したときに生成する酸を中和するために必要な量である。例えば、ルイス酸がTiCl4の場合、失活時にはTiCl4の4倍モル量の塩酸が生成するため、この塩酸を完全に中和するために必要なアルカリ化合物の量ということであり、アルカリ化合物として水酸化ナトリウムを用いた場合にはTiCl4の4倍モル量ということになる。ルイス酸としてBCl3を用いた場合には、失活時にはBCl3の3倍モル量の塩酸が生成し、これを中和するために必要な量となる。
失活に要する時間は十分にルイス酸触媒が失活する時間であればよく、特に限定されるものではないが、通常10~600分であり、生産性の観点からは10~300分であることが好ましい。アルカリ水溶液の量は、十分に攪拌でき失活が可能な量であれば特に限定されるものではないが、効率的に失活を行うためには有機層と水層の体積比が、有機層/水層=0.5~10の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは有機層/水層=1.0~8.0の範囲である。
アルカリ水溶液による失活の温度は、特に限定されるものではないが、設備的及びエネルギーコストの観点から、30~80℃で実施することが好ましい。使用するアルカリ化合物としては、失活したルイス酸触媒から生成した酸を中和できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどが例示される。コスト及び入手性の観点からは、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
失活後に排水を行うが、油水界面付近に粒状の油滴と水滴が残存し、油水界面が明確に検知できない場合、残った有機層を再攪拌することで油滴と水滴を凝集させることができる(残存粒状油滴凝集工程)。油水界面付近とは、例えば、有機層や水層の高さが10cmである場合は、油水界面から1cmぐらいまでの範囲のことであり、油水界面付近とは、界面から有機層や水層の高さの10分の1ぐらいや、より好ましくは20分の1ぐらいまでの範囲のことを言う。有機層を攪拌する時間は、凝集させるために十分な時間であれば特に制限はないが、生産性の観点からは0.5~30分程度が好ましく、さらに好ましくは0.5~10分である。また、再攪拌の回転数は凝集可能な回転数であれば特に制限されるものではないが、装置上、また運転の簡便さの観点から失活時と同じ回転数であることが好ましい。再攪拌時の温度は、失活時からの変更は余分なエネルギーコストが必要となり、また温調に要する時間から生産性低減にもつながることから、失活時と同じ温度であることが好ましい。残存粒状油滴凝集工程では、上記の水層の量の約0.01%~10%、より好ましくは0.5~5%の水を排出することができる。
失活後、アルカリ性に偏ったpHを中性に戻すための水洗を実施するのが好ましい。水洗は、排水のpHが5.5~10.0となるまで繰り返し実施すればよく、洗浄毎に油水の静置分離を行い、排水した後に新たな水を加えることで繰り返し実施される。洗浄時間は、特に限定されるものではないが、十分な洗浄効果を得るためには10~240分程度が好ましく、10~120分が特に好ましい。水洗の温度は、設備的及びエネルギーコストの観点から、30~80℃で実施することが好ましい。洗浄の回数は、要求される精製度に応じて選択すればよい。すなわち高い精製度が要求される場合には、洗浄回数を増やせばよい。生産性と精製度のバランスから、洗浄回数は1~5回が好ましく、さらに好ましくは1~3回である。
pHを中性に戻すための水洗回数を低減するために、失活工程の排水前に酸を添加し水層のpHを7~11の範囲に調整してもよい。中和後のpHが7付近となった場合には、水洗回数をゼロとすることも可能である。この場合、使用する酸としては特に限定されるものではないが、例えば塩酸、硫酸、酢酸、アスコルビン酸を例示することができる。入手性や経済性の観点からは、塩酸もしくはアスコルビン酸を好ましい酸として挙げる事ができる。
水洗後の油水分離性が悪い場合、水洗に用いる水に適当な塩を溶解させてもよい。塩としては油水分離性を向上させ得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、などが挙げられ、工業生産を想定した場合の腐食性、経済性、入手容易性等を総合的に勘案すると硫酸ナトリウムの使用が好ましい。
(ろ過)
前記の失活・水洗のみで完全にルイス酸触媒残渣が除去できない場合には、残ったルイス酸触媒残渣はろ過により除去することができる。ろ過方法としては、例えばヌッチェ等による減圧ろ過方法、フィルタープレス方式等の加圧式ろ過方法等が例示される。不溶成分の量が少なく、ろ過性がよい場合にはカートリッジフィルター、バッグフィルター等による簡易ろ過が簡便である。精製効率を向上させるためには、ろ過助剤を使ったケーキろ過も好適である。ろ過助剤の種類としては、特に限定されるものではないが、珪藻土を好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1)
(重合及び末端官能化反応)
1Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、n-ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)25g及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)298gを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら-70℃まで冷却した。次いで、イソブチレン134mL(1.42mol))、p-ジクミルクロライド1.57g(0.0068mol)及びルチジン0.27g(0.0025mol)を加えた。反応混合物が-70度まで冷却された後で、四塩化チタン1.28g(0.0068mol)を加えて重合を開始した。重合開始後、ガスクロマトグラフィーで残存イソブチレン濃度を測定して、イソブチレン残存量が0.5%を下回った段階で、アクリル酸2-フェノキシブチル3.43g(0.0156mol)と四塩化チタン7.7g(0.0406mol)を添加した(合計四塩化チタン0.0474mol:開始剤に対して7.0倍モル)。その後、-70℃で3時間攪拌を続けた。
(失活及び水洗)
蒸留水485ml、48%水酸化ナトリウム水溶液17.4g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して1.1倍モル量)、n-ヘキサン5.94g、及び塩化ブチル71.8gを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから60分攪拌することにより失活を行った(有機層中のポリマー濃度:16.5%)。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水層(405g)を排出した。排水のpHは>14であった。残った有機層を5分間攪拌し、静置分離を30分行い、水層(11g)を排出した。蒸留水123mLを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間、静置分離を行い、水層を排出した。排水のpHは7付近であった。得られた有機層はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ150であった。ここでいうAPHAとは、化学製品などの着色度を評価する方法としてISO6721-2:2004で規定されているハーゼン色数試験により得られるハーゼン色数を指す。ハーゼン色数試験は、SC-P分光測色計(スガ試験機株式会社製)にて実施した。
(ろ過及び溶媒除去)
有機層を、加圧ろ過(ろ布;16cc/cm2/sec、窒素加圧;0.04MPa、ろ過助剤;ラヂオライト100S(昭和化学工業製)、助剤添加濃度; 20g/L)することで、無色透明な溶液を得た。ポリマーに対し1700ppm相当量のMEHQ(55mg)を加え、溶媒を減圧下に留去して、得られた重合体を120℃で4時間真空乾燥することにより無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。色差計により得られた重合体のAPHAを測定したところ、20であった。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:14598、Mn:12637、Mw/Mnが1.16であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.85であった。Fnは重合体末端への官能基導入量であり、定量的に導入された場合には今回用いた開始剤では2.0である。導入率はNMR分析により、開始剤と末端官能基のシグナルを比較して定量化した。
(実施例2)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合末端官能化反応を行った。
(失活及び水洗)
失活及び排水後に残った有機層を10分間攪拌した以外は、実施例1と同様の方法で失活及び水洗を行った。
(ろ過及び溶媒除去)
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより、無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。色差計により得られた重合体のAPHAを測定したところ、10であった。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15541、Mn:12779、Mw/Mnが1.22であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.84であった。
(実施例3)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合および末端官能化反応を行った。
(失活及び水洗)
蒸留水513ml、48%水酸化ナトリウム水溶液39.5g(四塩化チタンから発生する塩酸に対して2.5倍モル量)、n-ヘキサン5.94g、及び塩化ブチル71.8gを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから90分攪拌することにより失活を行った(有機層中のポリマー濃度:16.5%)。続いて攪拌しながら35%塩酸水溶液29.7gを加え、内温が50℃に到達してから30分間攪拌した。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水層を排出した。排水のpHは7付近であった。残った有機層を5分間攪拌し、静置分離を30分行い水層を排出した。得られた有機層は、ほぼ無色透明でありさらなる水洗は必要なかった。色差計によりAPHAを測定したところ130であった。
(ろ過及び溶媒除去)
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより、無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。色差計により得られた重合体のAPHAを測定したところ、10であった。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15546、Mn:12765、Mw/Mnが1.22であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.85であった。
(比較例1)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及び水洗)
実施例1と同様の方法で失活を行い、失活排水後に残った有機層を再攪拌しないまま、続けて実施例1と同様の方法で水洗を行った。
(ろ過及び溶媒除去)
得られた有機層には水滴が認められたが、実施例1と同様の方法にてろ過処理を行った。得られたろ液は白濁が認められ、これ以上の検討を打ち切った。
(比較例2)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及び水洗)
実施例3と同様の方法で塩酸添加及び排水まで行い、残った有機層を再攪拌しないまま、次工程のろ過に供した。
(ろ過及び溶媒除去)
得られた有機層には水滴が認められたが、実施例1と同様の方法にてろ過処理を行った。得られたろ液は白濁が認められ、これ以上の検討を打ち切った。
(参考例2)
数平均分子量300のポリプロピレントリオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの開環重合を行い、触媒および/またはその残渣である金属化合物を不純物をして含む、水酸基末端ポリエーテルを得た。得られた水酸基末端ポリエーテルの数平均分子量をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により測定したところ、約15000であった。この水酸基末端ポリエーテルの水酸基に対して1.0倍当量のナトリウムメトキシドの30%メタノール溶液を添加してメタノールを留去した後、水酸基に対して1.8倍当量のアリルクロライドを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。アリルクロライドを留去し、不飽和基含有ポリエーテルを得た。この不飽和基含有ポリエーテル(500g)に水(500g)を加え、90℃で15分間、攪拌回転数900rpmで攪拌し、触媒失活操作を行った。30分静置分離を行い、水層を払い出したところ排水量は464.9gであり排水率は93%であった。油水界面付近に粒状の油滴および水滴が認められた。そこで900rpmで5分間攪拌し30分静置することで粒状の油滴および水滴を凝集させ油水分離を試みたが、油水分離は全く認められずさらなる排水は不可能であった。

Claims (19)

  1. ポリイソブチレン系重合体の製造方法であって、
    ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、
    ルイス酸触媒を完全に中和失活するために必要な量の1.0~5倍モル量のアルカリ化合物を有するアルカリ水溶液を加え、ルイス酸触媒の失活を行った後に油水分離を行い、排水する失活工程、
    残った有機層と、油水界面付近の粒状の油滴及び水滴とを攪拌した後に油水分離を行い、分離した水層を排水する残存粒状油滴凝集工程、
    を含むことを特徴とするポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  2. 前記残存粒状油滴凝集工程の後に、残った有機層に水を加え洗浄し油水分離を行い排水する操作を、排水のpHが5.5~10.0となるまで、繰り返し行う水洗工程を行う、請求項1に記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  3. 失活工程の排水前に、水洗工程を無くすまたは水洗工程の水洗回数を低減するために、酸を添加し水層の中和を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  4. 残存粒状油滴凝集工程の攪拌時間が0.5~30分であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  5. ポリイソブチレン系重合体がイソブチレンに由来する繰り返し単位を80重量%以上含む重合体であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のイソブチレン系重合体の製造方法。
  6. ポリイソブチレン系重合体が、前記ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程の後に、ルイス酸触媒を用いた末端(メタ)アクリロイル化反応工程を行うことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  7. (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体が、下記一般式(1):
    Figure 0007170515000004

    (式中、R1は1価若しくは多価芳香族炭化水素基、または1価若しくは多価脂肪族炭化水素基を表す。Aはポリイソブチレン系重合体を表す。R2は炭素数2~6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を含有しない基を表す。R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1~20の1価の炭化水素基、またはアルコキシ基を表す。R5は水素、またはメチル基を表す。nは自然数を表す。)で示される重合体であることを特徴とする請求項6に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  8. 2が-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-からなる群から選ばれる2価の炭化水素基であることを特徴とする請求項7に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  9. 3、およびR4が水素であることを特徴とする請求項7または8に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  10. 5が水素であることを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  11. ルイス酸触媒が、四塩化チタンであることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  12. ルイス酸触媒の使用量が重合開始剤の3~20倍モルであることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  13. 重合開始剤が、(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼンから選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  14. 失活工程で用いるアルカリ化合物が水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムからなる群の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  15. アルカリ水溶液により触媒を失活する工程の温度が30~80℃であることを特徴とする請求項1~14のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  16. 添加する酸が塩酸、硫酸、酢酸、アスコルビン酸からなる群の少なくとも1種であることを特徴とする請求項15に記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  17. 水洗工程の温度が30~80℃の範囲であることを特徴とする請求項1~16のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  18. 使用する溶媒が、炭素数3~8のモノハロゲン化炭化水素と、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒であることを特徴とする請求項1~17のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  19. ルイス酸触媒を失活する工程及び水洗工程のいずれにおいても、有機層と水層の体積比が、有機層/水層=0.5~10の範囲であることを特徴とする請求項1~18のいずれかに記載のポリイソブチレン系重合体の製造方法。
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