JP2009501248A - 高品質のポリイソブテンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ポリイソブテンの製造方法に関するものであり、前記方法の場合に、イソブテンを、液状有機相中でルイス酸触媒の存在で、重合させ、有機相を、反応停止のために、1つの外周壁及び2つの端壁から形成される回転対称な混合室と、その中の回転駆動の混合ローターとを有するダイナミックミキサー中で、水性停止剤と混合し、その際に有機相を、外周壁中に設けられた第一の入口オリフィスを介して、かつ水性停止剤を、外周壁中に設けられた第二の入口オリフィスを経て介して導入し、かつ外周壁中に設けられた出口オリフィスを介して、有機相及び停止剤の微細分散された混合物を取り出し、かつ相分離に供給する。本方法は、高反応性ポリイソブテン及び/又は狭い分子量分布を有するポリイソブテンの製造に使用される。

Description

本発明は、ポリイソブテン、特に高反応性ポリイソブテン及び/又は狭い分子量分布を有するポリイソブテンの製造方法に関する。
高反応性ポリイソブテンとは、高い含量の末端メチリデン基を有するそのようなものを呼ぶ。メチリデン基は本出願明細書の範囲内で、ポリイソブテン高分子中の二重結合の位置が、一般式
Figure 2009501248
によって記載されるそのような二重結合であると理解され、ここで、"ポリマー"は、1個のイソブテン単位だけ短くなったポリイソブテン基を表す。メチリデン基は最も高い反応性を示すが、それに反して前記高分子のさらに内部にある二重結合は官能化反応の際に、反応性を示さないか又はより低い反応性のみを示す。高反応性ポリイソブテンはとりわけ、潤滑剤用及び燃料用の添加剤の製造のための中間生成物として使用される。
そのような高反応性ポリイソブテンは、例えば、欧州特許(EP)第0 628 575号明細書の方法によれば、0℃〜−60℃の温度で三フッ化ホウ素及び第二級アルコールを用いて液相中でイソブテンをカチオン重合することによって得ることができる。得ようとする分子量に達した後に、重合触媒は失活され、このようにして重合は停止される。欧州特許(EP)第0 628 575号明細書は、反応排出物を、このためには、媒体、例えば水、アルコール、アセトニトリル、アンモニア又は鉱物塩基(Mineralbasen)の水溶液、例えばアルカリ金属水酸化物溶液及びアルカリ土類金属水酸化物溶液、これらの金属の炭酸塩の溶液中へ導通することを推奨する。
高反応性ポリイソブテン及び/又は狭い分子量分布を有するポリイソブテンの製造のためには、得ようとする分子量に達した後に、重合触媒が、分子量分布の広がりと、二重結合が分子の内部の熱力学的により好都合な位置を占めるポリイソブテン分子への異性化反応とを防止するために、できるだけ迅速にかつ定量的に失活されることが重要である。即座の反応停止の必要を、米国特許(US-A)第4,849,572号明細書も指摘する。
有機停止剤、例えばアセトニトリル及びアルコールは、これらが有機反応相と混和性であり、故にこの中で容易に均一に分布可能であるという利点を有する。しかしながら、これらは、BF3分子に対するそれらの親和力が比較的低く、故にこれらが緩徐な触媒失活をもたらすに過ぎないという欠点を有する。さらに、これらは相媒介剤(Phasenvermittler)として作用しうるので、これらは、触媒失活生成物の除去のためのその後の水での抽出を困難にする。
水性停止剤、例えば特に水自体は、触媒失活及び触媒失活生成物もしくは触媒加水分解生成物の抽出除去が同時に行われることができるという利点を有する。しかしながらその際に、水相が有機反応相と非混和性であり、かつ触媒失活及び触媒失活生成物の分離にとって、相界面での物質輸送が速度決定的であることは不利である。有機反応相が水性停止剤と接触した後ですら、重合は、依然として制御されずに進行しうるかもしくは望ましくない異性化が進行しうる。即座の完全な触媒失活及び同時の、有機反応相からの水相中への触媒失活生成物の移行は、故に、狭い分子量分布、低い含量の副成分、特に含フッ素副成分、及び/又は高い割合の末端メチリデン基の点で傑出している得られたポリマーの品質にとって決定的である。失活生成物の負荷された水相の分離は、前記方法の経済性に影響を及ぼす。
国際公開(WO)第02/053601号パンフレットは、反応相を、二段階で水と混合することを推奨する。
狭い分子量分布(低い分散性)、低い含量の副成分、特に含フッ素副成分、及び/又は高い割合の末端メチリデン基を有するポリイソブテンの経済的な製造方法を提供するという課題が本発明の基礎となっている。
本発明によれば、この課題は、ポリイソブテンの製造方法によって解決され、前記方法の場合に、
a)イソブテンを、液状有機相中でルイス酸触媒の存在で、重合させ、
b)有機相を、反応停止のために、1つの外周壁(Umfangswand)及び2つの端壁(Stirnwaenden)から形成される回転対称な混合室と、その中の回転駆動の混合ローターとを有するダイナミックミキサー中で、水性停止剤と混合し、その際に有機相を、外周壁中に設けられた第一の入口オリフィスを介して、かつ水性停止剤を、外周壁中に設けられた第二の入口オリフィスを介して導入し、かつ
c)外周壁中に設けられた出口オリフィスを介して、有機相及び停止剤の微細分散された混合物を取り出し、かつ相分離に供給する。
この手順を用いて、有機反応相中での全ての停止剤の極めて迅速で均質な分散が行われ、それによって、ほぼ急激で定量的かつ均一な触媒失活が一工程ででき、かつ同時に触媒失活生成物は、ほぼ完全に水相中へ移行される。こうして得られた分散液は、後接続された相分離容器(鎮め帯域)中で地球の重力場中で経済的に分離されることができるので、双方の相は、つながった形で及び大体において異種相不含で相互に重なり合って層状で存在する。
有利には、回転駆動の混合ローターの回転数は、変動する生産負荷の場合にもポリイソブテンの再現可能かつ変わらない性質を達成するために、制御可能である。
特に好ましい一実施態様において、ダイナミックミキサー中での有機相の平均滞留時間は、10秒未満、好ましくは2秒未満である。
ダイナミックミキサーは、1つの外周壁及び2つの端壁から形成されている回転対称な混合室を有し、その際に外周壁中に少なくとも2つの入口オリフィスが設けられている。混合室中で、好ましくはその外周に均一に分布されたベベル(Kantenbrueche)又はパドルを有する円板型の混合ローターが回転する。
第一の入口オリフィスを介して有機反応相が、好ましくはローターの回転方向でずらして配置されている、第二の入口オリフィスを介して全ての停止剤が、供給される。外周壁上の出口オリフィスを介して、混合物は分散液として排出される。まず最初に、混合ローターにより発生される遠心力のために、液体リングが混合室の外周壁の領域中で形成される。出口オリフィスと入口オリフィスとの間に、入口への逆搬送を防止するためのバッフルが存在する。
好ましい実施態様において、混合ローターは、その端面上にくり抜き穴(Ausnehmungen)を有し、これらは放射状の棒(Stege)によって互いに離れており、かつ混合室は、その端壁上に環形のチャネルを有し、これらは、混合ローターの向かい合っている端壁中のくり抜き穴とオーバーラップする。くり抜き穴は、混合室の端壁中の環形のチャネルと共に、流動工学的に互いに結合されている圧力セルを形成する。
混合室中で圧力増加し続けることにより、液体は、圧力セル中へ押しやられ、かつ圧縮され、その際に強い乱れが発生し、かつ混合ローターが浸される。確立される循環流は、交互に、圧力セルのより迅速に回転する液体内容物と外周壁の領域中でゆっくりと流れる液体リングとの交換をもたらす。この過程の際に、エネルギー伝達はインパルス交換により行われ、かつ乱れはさらに強化される。この集中的な液体交換に基づいて、特に均質な分散液が生じ、この分散液は、その後に連続的に混合室の外周壁中の出口オリフィスから出てくる。
本発明による方法における使用に適している特に好ましいダイナミックミキサーは、独国特許出願公開(DE-A)第42 20 239号明細書に記載されており、前記明細書の全内容に関して関連づけられる。意外であるのは、液状の、場合によりガス状の成分を含有している混合物の製造のために意図されるように使用されるこのミキサーを用いて、本発明の基礎となる課題も解決されることができたことであった。
入口オリフィスの特に有利な設計は、これらが、混合室の方向でノズル状に先が細くなっていることである。このようにして、有機反応相もしくは停止剤は、より高い速度下に混合室中へ到達する。前記成分は、突然の相互遭遇によってだけでなく、それらの流れ自体によって発生される渦効果によっても、混合される。さらに、前記成分は、混合室をさらにより迅速に貫流し、かつより迅速な混合が全体として達成される。
一般的に、有機反応相1質量部を基準として、停止剤0.05〜0.8質量部、好ましくは0.2〜0.6質量部が、入口オリフィスを介して、混合空間の循環流中へ直接導入される。別個に供給される有機反応相と共に、微細分散液が得られ、その際に前記の量の停止剤と共に、これは一般的に分散相として存在する。
本発明によれば、停止剤は、3μmを上回り200μmまで、好ましくは50μmを上回り100μmまでの平均直径の小滴の形で、混合室中で分散され、それに対し、有機相はつながった相を形成する。
回転数制御可能な駆動が設けられた混合ローターは、ミキサージオメトリー及びロータージオメトリーの処理量に依存して、エネルギー密度が好ましくは3×105J/m3を上回り、特に5〜6×105J/m3であるように操作される。エネルギー密度の決定は、例えば、回転軸で奪われた出力によって行われることができる。
水性停止剤は、溶解された物質、例えば鉱物塩基、例えばアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ土類金属炭酸塩、アンモニア又は酸、例えば塩酸等を含有していてよい。しかしながら、それらとは、通例、より大きな利点が結びついていないので、停止剤は、好ましくは特記すべき量の溶解された物質を含有しない。水道水又は河水が適している。しかし一般的に、脱イオン水が好ましく、これは例えば、過熱蒸気凝縮物の形で利用可能である。pH値は一般的に6〜10の範囲内である。
停止剤の温度はそれ自体として重要ではない。通常0℃未満の温度を有する有機反応相との接触の際に、ダイナミックミキサーの機能を妨げる氷結晶が形成されないように、停止剤は好ましくは予熱される。停止剤は典型的には35〜150℃の温度を有する。100℃を上回る温度は、この水が周囲圧力よりも高い圧力で保持されることが必要である。
有機反応相は、ミキサーの外周壁中への導入の時点まで本質的には反応温度を有し、すなわちこれは、所望の重合度に達した後に、混合室中で循環する停止剤との接触が行われる前には加熱されず、その際に触媒はほぼ急激に失活される。
有機反応相が停止剤と接触することによって、得られた分散液は、好ましくは5〜50℃、特に10〜45℃の温度を有する。
ミキサーから出る分散液は、分散された水滴の分離のために、鎮め容器中へ導通される。相分離は好都合には、少ない流量で貫流される横型の相分離容器中で行われる。同時に存在する相の密度差により制約されて、特により重い水相は下相として有機相から分離される。双方の相は、相分離容器の出口で、大体において異種相不含で相互に重なり合って層状で存在する。
水相の自発的に凝集しない滴の分離のために、凝集を促進する内部構造物が相分離容器中へ取り付けられてよい。密度差に基づく凝集されない滴の完全な分離は、経験上極めて長い滞留時間を必要とし、それによって経済的な分離は不可能である。
凝集を促進する内部構造物は、充填物、凝集表面又は微孔状の内部構造物である。
充填物として、蒸留の際に通常使用される充填物床が適している。好ましくは、全分散液が充填物床に導通される。大きな充填物表面の湿潤によって、表面凝集に基づいて及び同時に滴−滴−凝集によってより大きな滴の形成をもたらし、これらの滴はついで、地球の重力場中で問題なく分離される。
凝集表面は一般的に、波形の表面又は斜めに置かれた表面として設計された規則的なプレートアセンブリであり、それらの上に分散される小滴が蓄積され、ついで薄膜を形成し、相応する薄膜の厚さで、それぞれのプレート縁部上で大きな滴として離れ、ついで問題なく分離される。
水相の依然として残留している極めて微細な滴は、経済的に、後接続された相分離容器中で、微孔状の凝集内部構造物、いわゆる、フィルターキャンドルの形で設計されている凝集フィルターを用いて凝集され、ついで前記の凝集措置の場合のようにより大きな滴として問題なく分離されることができる。前記の微孔状の凝集内部構造物の場合に、内部構造は、微細に分散された滴を、それら自体と及びフィルターの内部表面と強制的に接触させる。
異種相不含の有機相のさらなる蒸留による後処理の前に、これは有利には、水での洗浄にかけられ、それによって、溶解された触媒失活生成物及び副生物が抽出分離される。
有機相の抽出精製を最も微細な滴分離と結び付けることが有利であることが判明している。このためには、後接続された凝集措置の前に、有機相は、ある量の水と混合され、そのためには経験上、有機相を基準として0.01〜0.1質量部で十分である。抽出剤として、脱イオン水が好ましい。
所望のポリイソブテンの単離のための、水相が取り除かれた有機相の後処理は、常法で行われる。ポリイソブテンは通例蒸留により、未反応イソブテン、不活性希釈剤及び場合によりイソブテンオリゴマーが取り除かれ、かつ蒸留残留物として、例えば蒸留塔の缶出液として、生じる。
イソブテンの重合はそれ自体として知られている;この重合は、連続的にか又は不連続に行われてよく、しかしながら好ましくは連続的に行われる。液状有機相中でルイス酸触媒の存在で連続的に重合する方法は、それ自体として知られている。連続法の場合に、重合反応器中で生じた反応混合物の一部が連続的に排出される。排出物に相応する量の出発物質、ここではイソブテンもしくはイソブテン含有フィードは、重合反応器に連続的に供給される。ポリイソブテンへのイソブテンの連続的な重合の際に、循環/フィード比により決定される、重合反応器中に存在する物質量対排出される量の比は、通例1000:1〜1:1の範囲内、好ましくは500:1〜5:1の範囲内及び特に50:1〜200:1の範囲内である。重合反応器中の重合すべきイソブテンの平均滞留期間は、5秒〜数時間であってよい。1〜30分、特に2〜20分の滞留時間が特に好ましい。
イソブテンの重合は、常用の反応器、例えば撹拌釜、管形反応器、管束反応器及びループ反応器中で行われ、その際にループ反応器、すなわち撹拌釜特性を有する管(束)反応器が好ましい。部分領域中で乱れをもたらす管断面を有する管形反応器が特に好都合である。
重合は、−60〜−4℃、特に−25〜−5℃の反応温度で、実施される。重合熱は、冷却装置を用いて、相応して導出される。これは、例えば、冷却剤としての液体アンモニアを用いて操作されることができる。重合熱を導出する他の可能性は、蒸発冷却である。その場合に、遊離する熱は、反応混合物、例えばイソブテン及び/又はイソブテンフィードの他の易揮発性の成分又は易揮発性希釈剤の部分蒸発によって、導出される。好ましくは、等温条件下で操作され、すなわち、重合反応器中の液状の有機反応相の温度は、定常的な値を有し、かつ反応器の操作の間に変わらないか又は僅かな程度でのみ変わる。
液状反応相中のイソブテンの濃度は、液状有機相を基準として、通例0.2〜50質量%の範囲内、好ましくは0.5〜35質量%の範囲内である。この濃度はとりわけ、製造すべきポリイソブテンの得ようとする分子量に依存する。
供給原料として、イソブテン自体だけでなく、イソブテン含有C4−炭化水素流、例えばC4−ラフィネート、イソブタン脱水素からのC4−留分、スチームクラッカー、FCC−クラッカー(流動接触クラッキング)からのC4−留分も、その中に含まれている1,3−ブタジエンが大体において取り除かれている限りは、適している。適したC4−炭化水素流は、ブタジエンを通例500ppm未満、好ましくは200ppm未満含有する。1−ブテン、シス−2−ブテン及びトランス−2−ブテンの存在は、大体において重要でない。典型的には、C4−炭化水素流中のイソブテン濃度は、40〜60質量%の範囲内である。出発物質としてのC4−留分の使用の際に、イソブテンとは異なる炭化水素は、以下に説明されるように、不活性希釈剤の役割を引き受ける。イソブテン含有フィードは、重大な収率又は選択率の損失とはならないように、少量の汚染物、例えば水、カルボン酸又は鉱酸を含有しうる。これらの不純物の蓄積を、例えば、固体吸着剤、例えば活性炭、モレキュラーシーブ又はイオン交換体上への吸着によって、そのような有害物質をイソブテン含有フィードから除去することによって、回避することは目的にかなっている。
ポリイソブテンの高い粘度に基づいて、重合を不活性希釈剤の存在で実施することは有利である。使用される不活性希釈剤は、生じる反応熱の導出が保証されることができる限り、重合反応の間に観察されうる反応溶液の粘度の増大を低下させるのに適しているべきである。希釈剤として、使用される試薬に対して不活性であるそのような溶剤又は溶剤混合物が適している。適している希釈剤は例えば、飽和炭化水素、例えばブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、例えばn−ヘキサン、イソオクタン、シクロペンタン、ハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチル、ジクロロメタン又はトリクロロメタン、並びに前記の希釈剤の混合物であり、これらの中ではn−ヘキサンが特に好ましい。好ましくは、希釈剤は、それらの使用前に、不純物、例えば水、カルボン酸又は鉱酸が、例えば、固体吸着剤、例えば活性炭、モレキュラーシーブ又はイオン交換体上への吸着によって、取り除かれる。
反応器中のBF3濃度は、液状反応相を基準として、通例0.005〜1質量%の範囲内、特に0.01〜0.7質量%の範囲内及び殊に0.02〜0.5質量%の範囲内である。
三フッ化ホウ素錯体は、別個の反応器中で、本発明による方法におけるそれらの使用前に予め形成され、それらの形成後に中間貯蔵され、かつ必要に応じて重合装置中へ配量されることができる。
好ましい他の変法は、三フッ化ホウ素錯体を、重合装置又はフィード中でインサイチュー(in situ)製造することにある。この手順の場合に、それぞれの助触媒は、場合により溶剤と共に、重合装置又はフィード中へ供給され、かつ三フッ化ホウ素は必要な量で、反応物のこの混合物中に分散される。この場合に、三フッ化ホウ素及び助触媒は、三フッ化ホウ素錯体に変換される。付加的な溶剤の代わりに、三フッ化ホウ素−触媒−錯体のインサイチュー製造の場合に、未反応イソブテン及びポリイソブテンからなる反応混合物は、溶剤として機能しうる。
ルイス酸触媒は、好ましくは、BF3ベースの触媒もしくはBF3錯体触媒である。これらは、BF3に加えて、たいてい1つ又はそれ以上の助触媒を含有する。
三フッ化ホウ素は、好都合には、ガス状三フッ化ホウ素の形で使用され、その際に工業用の、依然として少量の二酸化硫黄及びSiF4を含有している三フッ化ホウ素、しかし好ましくは約99.5質量%の純度を有する高純度三フッ化ホウ素が使用されることができる。
助触媒は、一方では、引抜き可能な水素原子を有する化合物であってよい。これらは、"開始剤"と呼ばれる、それというのも、それらの活性水素原子は、成長するポリイソブテン鎖の出発点に組み込まれるからである。それに加えて、t−ブチルカチオンを容易に形成するt−ブチルエーテル、例えばt−ブチルメチルエーテル、フェノール類、例えばフェノール又はクレゾール類、又はハロゲン炭化水素、例えばジクロロメタン又はトリクロロメタンが適している。助触媒として、例えば水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、2−ブタノール、s−ペンタノール、s−ヘキサノール、s−ヘプタノール及び/又はs−オクタノールが適している。これらの中では、メタノール及び2−プロパノールが最も好ましい。
好ましくは、三フッ化ホウ素対助触媒のモル比は、1:1〜1:10、特に1:1.1〜1:5及び特に好ましくは1:1.2〜1:2.5である。
反応器中の三フッ化ホウ素及び助触媒の錯体の濃度は、液状有機相を基準として、通例0.01〜1質量%の範囲内、特に0.02〜0.7質量%の範囲内及び特に好ましくは0.03〜0.5質量%の範囲内である。
所望の重合度に達した後に、反応温度を本質的に有する有機相は、前記のように、停止剤で処理される。
本発明による方法は、好ましくは高い含量のメチリデン基及び/又は低い分散性によって特徴付けられている、500〜100 000の数平均分子量を有するポリイソブテンの製造に一般的に適している。
"メチリデン基含量"という表現は、試料中の全てのオレフィン系不飽和ポリイソブテン分子の数を基準として、メチリデン基を有するポリイソブテン分子の百分率割合に関連している。これは、当業者によく知られているように、1H−NMR分光法及び/又は13C−NMR分光法によって、算出されることができる。
分散性(分子量分布の均一性)は、質量平均分子量Mw及び数平均分子量MNの商として定義されている。
本方法は、500〜10 000の数平均分子量、60mol%を上回るメチリデン基含量及び1.5〜3の分散性を有するポリイソブテンの製造に特に適している。
さらに、本方法は、10 000〜60 000の数平均分子量及び1.5〜3.2の分散性を有するポリイソブテンの製造に特に適している。
さらに、本方法は、60 000〜100 000の数平均分子量及び2〜5の分散性を有するポリイソブテンの製造に特に適している。
本発明は、添付された図面及び以下の実施例及び比較例によって、より詳細に説明される。
図1は、イソブテン重合の反応排出物の後処理の過程を略示的に示す。"1"で示されている流れは、ポリイソブテン、未反応イソブテン、不活性希釈剤及び触媒から本質的になる有機反応相である。反応相は、ミキサー中で、停止剤("2"で示されている)と緊密に接触され、その際に、触媒は、失活され、かつ生じる触媒失活生成物は同時に水相中へ抽出される。"3"で示されている混合相の流れは相分離にかけられ;水相は分離される。"4"で示されている有機相は、好ましくは水性抽出剤("5"で示されている)でのさらなる洗浄にかけられる。"6"で示されているポリイソブテン溶液からは、未反応イソブテン及び不活性希釈剤が、最終生成物を得るために、留去される。
例1〜3(本発明による)
イソブテン含有フィードを、組み込まれた循環ポンプが設けられているループ反応器の吸引側に供給した。触媒として三フッ化ホウ素及び助触媒としてイソプロパノールを、別個の流れ中に供給した。反応器を、反応媒体中の温度が−15℃であるように冷却した。(助)触媒量及び反応器中の平均の滞留時間を、以下の表に記載された分子量の低分子量もしくは中分子量のポリイソブテンが得られるように制御した。イソブテン含有フィードとして、一方ではイソブテン約50質量%及びヘキサン50質量%の混合物("純イソブテン")、他方ではイソブテンを含有しているラフィネート1(イソブテン約40%、異なる濃度の1−ブテン、2−ブテン類、n−ブタン及びイソブタン60%)を使用した。
それぞれのポリマー、残存イソブテン、不活性溶剤及び三フッ化ホウ素錯体からなる反応器排出物を、反応の停止のために、直接、反応温度で、独国特許出願公開(DE-A)第42 20 239号明細書記載のダイナミックミキサーの外周壁中へ、1500rpmの混合ローター回転数で供給した。停止剤として使用される熱い凝縮物を、別個に外周壁を経て、直接、混合室の循環流中へ供給した。混合装置から生じた分散液を、横型の相分離容器中で分離した。その後の熱い凝縮物を用いる洗浄は、最も微細な水小滴の分離と結び付いており、その際に分散液は凝集フィルターを用いて分離された。
生成物の流れのデータ及び品質の特徴は、以下の表中に記載されており、ここで"流れ1"等の呼称は図1に示された流れに関連している。
例4及び5(比較例)
前記の例とは異なり、ダイナミックミキサーの代わりにスタティックミキサー(工業製品SULZER)を使用し、その際に、有機反応相及び停止剤をスタティックミキサーの入口で一緒にし、混合管に沿って分散が進行することによってはじめて反応停止が行われた。停止及び相分離後に取得されるポリマー溶液は、195もしくは287mg/kgの高いフッ素含量を有する。その後の2つの抽出工程後にも、凝集フィルター中での最も微細な小滴分離後に触媒錯体は不完全にのみ分離されることができた。
例6(比較例)
スタティックミキサーを有し、例4及び5に記載された通りの装置配置中で、平均分子量10 000及び15 000ダルトンを有するポリイソブテンの製造も試験的に調べた。このためには、予め、反応条件(反応温度、反応混合物の組成及び触媒量)を、高い分子量に調節した。反応器排出物は、それぞれのポリマー、残存イソブテン約25%、不活性溶剤約55%及び三フッ化ホウ素錯体からなっていた。得られたポリマーの分散性は約7であった。
例7(本発明による)
例6に相応する反応器排出物を、反応の停止のために、独国特許出願公開(DE-A)第42 20 239号明細書記載のダイナミックミキサーの外周壁中へ、直接供給した。停止剤として使用され、70℃の温度を有する熱い凝縮物を、0.2〜06kg/kgの比で、外周壁中の第二の入口オリフィスを介して供給した。25℃の温度を有し、分散装置から生じた分散液を、相分離装置中で、凝集フィルターを用いて、澄明なポリマー溶液及び水相へ分離した。ポリマーの高い分子量及び高い残存イソブテン含量にもかかわらず、フッ素は、付加的な抽出なしで8〜10mg/kgの残存含量に及び第三級ブタノールは約10mgの残存含量に分離されることができた。例6とは異なり、2.5の低く、ひいては規格に適合した分散性が達成された。
このポリマー溶液は、付加的な抽出工程なしで直接さらに加工されることができる。当該の経験によれば、ポリマー溶液のさらなる後処理の際に、例4及び5の場合のような腐食問題を生じなかった。
Figure 2009501248
イソブテン重合の反応排出物の後処理の過程の略示図。
符号の説明
1 有機反応相、 2 停止剤、 3 混合相の流れ、 4 有機相、 5 水性抽出剤、 6 ポリイソブテン溶液

Claims (14)

  1. ポリイソブテンの製造方法であって、
    a)イソブテンを、液状有機相中でルイス酸触媒の存在で、重合させ、
    b)有機相を、反応停止のために、1つの外周壁及び2つの端壁から形成される回転対称な混合室と、その中の回転駆動の混合ローターとを有するダイナミックミキサー中で、水性停止剤と混合し、その際に有機相を、外周壁中に設けられた第一の入口オリフィスを介して、かつ水性停止剤を、外周壁中に設けられた第二の入口オリフィスを経て介して導入し、かつ
    c)外周壁中に設けられた出口オリフィスを介して、有機相及び停止剤の微細分散された混合物を取り出し、かつ相分離に供給する
    ことを特徴とする、ポリイソブテンの製造方法。
  2. 第二の入口オリフィスが、ローターの回転方向で第一の入口オリフィスに対してずらして配置されている、請求項1記載の方法。
  3. 混合ローターが、その外周に、均一に間隔の空いたパドルを有する、請求項2記載の方法。
  4. 混合ローターが、その端面上にくり抜き穴を有し、これらは放射状の棒によって互いに離れており、かつ混合室が、その端壁上に環形のチャネルを有する、請求項3記載の方法。
  5. ルイス酸触媒が、三フッ化ホウ素及び少なくとも1つの助触媒の錯体である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 有機相1質量部を基準として、停止剤0.05〜0.8質量部、好ましくは0.2〜0.6質量部を導入する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. ミキサーの出口オリフィスから排出される混合物中で、停止剤が分散相として存在する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 停止剤が、3μmを上回り200μmまでの平均直径の小滴の形で存在する、請求項7記載の方法。
  9. 停止剤を分散させるためのエネルギー密度が、3×105J/m3を上回り、好ましくは5〜6×105J/m3である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 混合ローターを、毎分500〜3000の回転数で回転させる、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 500〜100 000の数平均分子量を有するポリイソブテンが得られるまで、工程a)において重合させる、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. ポリイソブテンが500〜10 000の数平均分子量、60mol%を上回る末端二重結合含量及び1.5〜3の分散性を有する、請求項11記載の方法。
  13. ポリイソブテンが10 000〜60 000の数平均分子量及び1.5〜3.2の分散性を有する、請求項11記載の方法。
  14. ポリイソブテンが60 000〜100 000の数平均分子量及び2〜5の分散性を有する、請求項11記載の方法。
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