JP6141550B1 - (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6141550B1
JP6141550B1 JP2016570132A JP2016570132A JP6141550B1 JP 6141550 B1 JP6141550 B1 JP 6141550B1 JP 2016570132 A JP2016570132 A JP 2016570132A JP 2016570132 A JP2016570132 A JP 2016570132A JP 6141550 B1 JP6141550 B1 JP 6141550B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acryloyl
meth
polyisobutylene polymer
terminated polyisobutylene
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016570132A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2017033749A1 (ja
Inventor
孝洋 大石
孝洋 大石
昌史 時實
昌史 時實
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP6141550B1 publication Critical patent/JP6141550B1/ja
Publication of JPWO2017033749A1 publication Critical patent/JPWO2017033749A1/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F6/00Post-polymerisation treatments
    • C08F6/06Treatment of polymer solutions
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F10/00Homopolymers and copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond
    • C08F10/04Monomers containing three or four carbon atoms
    • C08F10/08Butenes
    • C08F10/10Isobutene
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

本発明の課題は、透明性に優れた(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を製造するための方法であって、かつ実際の製造プロセスにも採用可能な簡便な方法を提供することである。前記課題は、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法であって、ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程、ルイス酸触媒を30℃〜80℃の水により失活する工程、アルカリ水溶液で洗浄する工程、を含むことを特徴とする(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法により達成できる。

Description

本発明は、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、安定して透明性の良い(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得ることのできる製造方法に関する。
UV(紫外線)やEB(電子線)などの活性エネルギー線によって樹脂を架橋させる技術は広く認知されており、従来の熱をトリガーにした硬化反応に代わり利用される場面が増えてきている。
活性エネルギー線硬化技術は、熱硬化技術に比べて硬化過程における脱溶剤化、省エネルギー化、省スペース化の他、一般に活性エネルギー線硬化は短時間で反応を完結させることができるので生産性の向上が行え、さらに複雑な形状の基材にも均一に光照射が可能であるため、高機能化が容易であるという利点がある。よってこの活性エネルギー線硬化技術は、例えば、インク、塗料、接着剤、シール剤、電気・電子用途の精密部品、造形物などの用途において使用されている。
上記分野で樹脂に要求される主な特性としては、耐久性、耐熱性、耐候性、耐水性、水気体透過性などが挙げられるが、そのような特徴を兼ね備えた樹脂の一例としては、ポリイソブチレン末端に光架橋性基を有するポリイソブチレン系重合体が挙げられる。
ポリイソブチレン末端に光架橋性基を有する樹脂としては、例えば特許文献1〜3に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレンが知られている。特許文献1には、水酸基末端ポリイソブチレン重合体を原料とした製法が、特許文献2には、塩素末端ポリイソブチレン重合体と、(メタ)アクリロイル基及び炭素−炭素二重結合を有するエンドキャップ剤との反応による製法が、特許文献3には、塩素末端ポリイソブチレン重合体と、(メタ)アクリロイル基及びフェノキシ基を有するエンドキャップ剤との反応による製法が記載されている。特に特許文献2及び3の製法は、塩素系開始剤とルイス酸触媒を用いて得られたポリイソブチレン末端とエンドキャップ剤とのワンステップの反応であり、簡便に(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得ることができる。
特開2012−82340号公報 特開2013−35901号公報 WO2013/047314号公報
一方、UV(紫外線)やEB(電子線)などの活性エネルギー線によって樹脂を硬化させる(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体においては、透明度が極めて高く、無色であることが望ましい。しかし従来は、上記透明性に優れた(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を、安定かつ簡便に得ることが難しかった。したがって、透明性に優れた(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を製造するための方法であって、かつ実際の製造プロセスにも採用可能な簡便な方法が強く望まれていた。
つまり本発明の課題は、透明性に優れた(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を製造するための方法であって、かつ実際の製造プロセスにも採用可能な簡便な方法を提供することである。
本発明者らが、極めて高い透明度かつ無色の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を安定して得られない原因を探るべく検討を行ったところ、ルイス酸触媒又はその由来物の残存が原因にあることをまず突き止めた。ルイス酸触媒自身および触媒失活後の触媒残渣が重合体中に残存すると、腐食、臭気、着色、濁り、官能基の反応阻害など多くの悪影響を引き起こすため、適切な方法により十分に取り除かなければならない。しかしながら、ルイス酸触媒を十分に取り除くことは容易ではない。特に(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の場合、ルイス酸触媒が末端の(メタ)アクリロイル基に配位し錯形成を行うため、その完全な分解除去は通常のルイス酸触媒の除去よりも困難であることがわかった。
上記特許文献1〜3のいずれの製法においても、ルイス酸が共存している後処理条件下でもポリマー末端のエステル基が加水分解されずに存在するのかという点で具体的な例示が無いだけでなく、ルイス酸触媒の効果的な除去方法についても記載が無い。
したがって、ルイス酸触媒及びルイス酸触媒残渣の除去を効率よく達成でき、かつ実際の製造プロセスにも採用可能な簡便な方法が強く望まれていた。
上記事情に鑑み、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ルイス酸触媒を含む(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体溶液を30〜80℃の温水と接触させルイス酸触媒を失活させ、さらにアルカリ水溶液で洗浄することによって、ルイス酸触媒を効率よく除去でき、また(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を効率よく精製し、透明性に優れた(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の第1は、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法であって、
ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、
ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程、
ルイス酸触媒を30℃〜80℃の水により失活する工程、
アルカリ水溶液で洗浄する工程、
を含むことを特徴とする(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第2は、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体が、下記一般式(1):
Figure 0006141550
(式中、Rは1価若しくは多価芳香族炭化水素基、または1価若しくは多価脂肪族炭化水素基を表す。Aはポリイソブチレン系重合体を表す。Rは炭素数2〜6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を含有しない基を表す。R、Rはそれぞれ水素、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、またはアルコキシ基を表す。Rは水素、またはメチル基を表す。nは自然数を表す。)で示される重合体であることを特徴とする本発明の第1に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第3は、Rが−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHCHCH−、−CHCHCHCHCHCH−からなる群から選ばれる2価の炭化水素基であることを特徴とする本発明の第2に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第4は、R、およびRが水素であることを特徴とする本発明の第2または第3のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第5は、Rが水素であることを特徴とする本発明の第2〜4のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第6は、ルイス酸触媒が、四塩化チタンであることを特徴とする本発明の第1〜5のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第7は、前記リビングカチオン重合工程で重合開始剤を使用し、ルイス酸触媒の使用量が前記重合開始剤の3〜20倍モルであることを特徴とする本発明の第1〜6のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第8は、前記リビングカチオン重合工程で重合開始剤を使用し、この重合開始剤が、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼンから選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする本発明の第1〜7のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第9は、アルカリ水溶液に含まれるアルカリの使用量が、使用したルイス酸触媒(好ましくは四塩化チタン)から発生する塩酸等の酸を中和できる量の1.05〜5倍モルであることを特徴とする本発明の第1〜8のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第10は、前記アルカリ水溶液で洗浄する工程で使用するアルカリが水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムのいずれかであることを特徴とする本発明の第1〜9のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第11は、アルカリ水溶液で洗浄する工程の温度が30〜80℃の範囲であることを特徴とする本発明の第1〜10のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第12は、リビングカチオン重合工程、及び末端官能化反応工程に使用する溶媒が、炭素数3〜8のモノハロゲン化炭化水素と、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒であることを特徴とする本発明の第1〜11のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第13は、ルイス酸触媒を失活する工程及びアルカリ水溶液で洗浄する工程のいずれにおいても、有機相と水相の体積比が、有機相/水相=0.5〜10(好ましくは有機相/水相=0.5〜5.0)の範囲であることを特徴とする本発明の第1〜12のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法、である。
本発明の第14は、本発明の第1〜13のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の精製方法、である。
本発明の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体からルイス酸触媒を除去する方法を用いれば、従来の方法と比べルイス酸触媒残渣を効率よく取り除くことができる。わずかに濁りが残る場合でも、ろ過にて濁りを容易に除去することが可能である。このことにより、従来と比べて効率よくルイス酸触媒を除去でき、安定して透明性の良い(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得ることができる。
本発明の一実施形態について説明すれば以下の通りである。なお、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
本発明は、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法であって、ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、
ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程、
ルイス酸触媒を30℃〜80℃の水により失活する工程、
アルカリ水溶液で洗浄する工程、
を含むことを特徴とする(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法である。
一般的に、(メタ)アクリロイル末端のようなエステル基を有するポリマーをアルカリと接触させると、加水分解により末端官能基が消失することが容易に想像できることからアルカリ洗浄は適切な方法とは言い難い。しかしながら、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の末端部位は、アルカリ水溶液と混合時においても極端に疎水性の環境にあり、予想外にアルカリに対して安定であることを発明者らは見出し、本発明を完成するに至った。以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。まずは、製造対象である(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体について説明する。
((メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体)
本発明におけるポリイソブチレン系重合体とは、イソブチレンを含有するものであれば特に制限は無いが、イソブチレンを主成分として構成される重合体であることが好ましい。具体的には、イソブチレンモノマーをルイス酸触媒の存在下で開始剤、必要に応じて電子供与剤とともにリビングカチオン重合して得られるものである。リビングカチオン重合して得られたポリイソブチレン系重合体は、適切なエンドキャップ剤との反応により重合反応後に末端官能化することで、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体とすることができる。(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体としては、下記一般式(1);
Figure 0006141550
で表される重合体が重合における分子量の制御の容易さや末端官能化反応の反応性の観点から好ましい。前記式(1)においてRは1価若しくは多価芳香族炭化水素基、または1価若しくは多価脂肪族炭化水素基を表す。Aはポリイソブチレン系重合体を表す。Rは炭素数2〜6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を含有しない基を表す。R、Rはそれぞれ水素、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、またはアルコキシ基を表す。Rは水素、またはメチル基を表す。nは自然数を表す。
前記式(1)におけるRは1価若しくは多価芳香族炭化水素基、または1価若しくは多価脂肪族炭化水素基である。芳香族炭化水素系基の具体例としては、クミル基、m−ジクミル基、p−ジクミル基、5−tert−ブチル−1,3−ジクミル基、5−メチル−1,3−ジクミル基、1,3,5−トリクミル基などの、アルキルのα位に遊離原子価(結合手ともいう。以下、同様)を有するアルキル置換ベンゼンが挙げられる(下式参照)。
Figure 0006141550
一方、脂肪族炭化水素系基の具体例としては、CH(CHCCH(CHC−、−(CH)CCH(CHCCH(CHC−で表される基などの、炭素数が4〜20程度であって3級炭素上に遊離原子価を有するアルキル基又はアルキレン基などが好ましい。これらの中でも特に、クミル基、m−ジクミル基、p−ジクミル基、5−tert−ブチル−1,3−ジクミル基、1,3,5−トリクミル基、CH(CHCCH(CHC−、−(CH)CCH(CHCCH(CHC−が入手性の観点から好ましく、その中でもクミル基、m−ジクミル基、p−ジクミル基、5−tert−ブチル−1,3−ジクミル基、1,3,5−トリクミル基がより好ましい。
前記式(1)におけるAはポリイソブチレン系重合体であるが、このポリイソブチレン系重合体を構成するモノマーとしてはイソブチレンを主として用いる他には、他のカチオン重合性モノマーを共重合してもよい。そのようなモノマーとしては例えば炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシランなどが挙げられる。イソブチレン系重合体中の上記他のモノマーの比率は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
前記式(1)におけるRは炭素数2〜6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を含有しない基である。具体的には、例えば、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHCHCH−、−CHCHCHCHCHCH−などの、両端に遊離原子価を有する直鎖状飽和炭化水素基が好ましい。
前記式(1)におけるR、Rはそれぞれ水素、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、またはアルコキシ基である。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デカニルオキシ基などが挙げられる。この中でも水素が入手性の観点から好ましい。
前記式(1)におけるRは水素、またはメチル基である。水素が入手性及び反応性の両面からより好ましい。
前記式(1)におけるnは自然数であるが、架橋反応によって架橋性高分子を得る際に十分な強度、耐久性、ゲル分率などを達成するためには、2または3であることが好ましい。
本発明における(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の分子量は特に制限は無いが、流動性、硬化後の物性などの面からSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定による数平均分子量が200〜500,000であることが好ましく、1,000〜500,000であることがより好ましく、5,000〜500,000であることが更に好ましい。また、活性エネルギー線硬化時の加工安定性の観点から(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の分子量分布((質量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)で表される値)は1.8以下であることが好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましい。なお分子量分布の下限は、1.1程度であってもよい。
上記(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体は、上述した様に、(1)ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、(2)ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程、(3)ルイス酸触媒を30℃〜80℃の水により失活する工程、及び(4)アルカリ水溶液で洗浄する工程を経て製造される。以下、各工程について、順に説明する。
(1)ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程
(2)ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程
本発明の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体は、ルイス酸を用いたリビングカチオン重合により得られたポリイソブチレン系重合体を末端官能化することにより得ることができる。具体的には、上述の通り、イソブチレンモノマーをルイス酸触媒の存在下で開始剤、必要に応じて電子供与剤とともにリビングカチオン重合して得られるものである(重合工程1)。リビングカチオン重合して得られたポリイソブチレン系重合体は、ルイス酸触媒の存在下、適切なエンドキャップ剤との反応により重合反応後に末端官能化することで、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体とすることができる(末端官能化工程2)。ルイス酸触媒によるリビングカチオン重合についてその詳細は、例えばJ.P.Kennedyらの著書(Carbocationic Polymerization. John Wiely & Sons. 1982年)やK.Matyjaszewskiらの著書(Cationic Polymerizations. Marcel Dekker.1996年)に合成反応の記載がまとめられている。
上記リビングカチオン重合に使用するモノマーとして、上述の通り、イソブチレンのみの場合の他、イソブチレンと、該イソブチレンとの共重合が可能な他のカチオン重合性モノマーとを用いてもよい。前記他のカチオン重合性モノマーとして、例えば炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシランなどが挙げられる。
(重合開始剤)
カチオン重合の開始反応を効率的に行う方法として、3級炭素に結合した塩素原子を有する化合物やα位に芳香族を有する塩素化合物などの化合物を重合開始剤として用いるイニファー法が開発されており(米国特許第4276394号明細書)、本発明にもこの方法を適用することができる。イニファー法に用いる重合開始剤としてはその機能を発揮するものであればよい。例えば芳香族系化合物として、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、クミルクロライドとも称する)、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、p−ジクミルクロライドとも称する)、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、m−ジクミルクロライドとも称する)、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、1,3,5−トリクミルクロライドとも称する)、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン(以下、5−tert−ブチル−1,3−ジクミルクロライドとも称する)、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−メチルベンゼン(以下、5−メチル−1,3−ジクミルクロライドとも称する)が挙げられる。また、脂肪族系化合物として、CH(CHCCH(CHCCl、Cl(CH)CCH(CHCCH(CHCClが挙げられる。これらの中でも、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、CH(CHCCH(CHCCl、Cl(CH)CCH(CHCCH(CHCClを好ましく用いることができる。より好ましくは、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼンから選択される少なくとも1種の化合物である。
(ルイス酸触媒)
(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造(重合工程1及び末端官能化工程2)の際に使用されるルイス酸触媒は、カチオン重合能を有するものであれば特にその種類を問わないが、例示するならばTiCl、AlCl、BCl、ZnCl、SnCl、エチルアルミニウムクロライド、SnBrなどが挙げられる。これらのルイス酸触媒は単独で用いても、複数以上組み合わせて用いてもよい。これらの中で、特にTiClが取り扱いやすさ、重合活性の高さ、経済性などの点で好ましい。さらにTiClは、末端アクリロイル化のためのフリーデルクラフツ反応の触媒としても好適であることからも、好ましいルイス酸触媒といえる。
ルイス酸触媒の使用量は、重合及び官能化が進行するに足りる量を用いればよいが、重合及び官能化を収率良く進行させるためには、その総使用量(重合工程1及び末端官能化工程2での合計の使用量)が重合開始剤の、例えば、2〜40倍モル、好ましくは3〜20倍モル、より好ましくは4〜10倍モルであることが好ましい。
(電子供与剤)
前記重合を行う際に、必要に応じて電子供与剤をさらに共存させてもよい。この電子供与剤は、カチオン重合に際して、成長炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体の添加によって、分子量分布の狭い、構造が制御された重合体を生成することができる。上記電子供与剤としては、種々の化合物の電子供与体(エレクトロンドナー)としての強さを表すパラメーターとして定義されるドナー数が15〜60であるものとして、通常、具体的には、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2−t−ブチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン(即ち、ルチジン)、2−メチルピリジン、ピリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、リン酸トリメチル、ヘキサメチルリン酸トリアミド、チタン(III)メトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド等のチタンアルコキシド;アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリブトキシド等のアルミニウムアルコキシド等が使用できるが、好ましいものとして、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2−メチルピリジン、ピリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド等が挙げられる。上記種々の物質のドナー数については、「ドナーとアクセプター」、グードマン著、大瀧、岡田訳、学会出版センター(1983)に示されている。これらの中でも、添加効果が顕著である2−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、トリエチルアミンが特に好ましい。
上記電子供与剤は、通常、上記重合開始剤に対して0.01〜50倍モル用いられ、0.1〜30倍モルの範囲で用いられるのが好ましく、0.2〜10倍モルの範囲で用いられるのがより好ましい。
本発明の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体は、上述の通り、例えばイソブチレンモノマーをルイス酸触媒存在下、リビングカチオン重合した後に、例えば下記一般式(2);
Figure 0006141550
で表されるエンドキャップ剤をフリーデルクラフツ反応により、イソブチレン系重合体の末端に導入することにより得られる。前記式(2)におけるR、R、R、Rは上記と同じである。前記式(2)のエンドキャップ剤の具体例としては、アクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸3−フェノキシプロピル、アクリル酸4−フェノキシブチル、アクリル酸5−フェノキシペンチル、アクリル酸6−フェノキシヘキシル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸3−フェノキシプロピル、メタクリル酸4−フェノキシブチル、メタクリル酸5−フェノキシペンチル、メタクリル酸6−フェノキシヘキシルなどが挙げられ、アクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸3−フェノキシプロピル、アクリル酸4−フェノキシブチルがフリーデルクラフツ反応の反応性、及びアクリロイル基の反応性の観点から好ましい。より好ましくはアクリル酸4−フェノキシブチルである。フリーデルクラフツ反応の触媒としては、一般的にルイス酸触媒が好適に用いられ、重合に用いたものと同じルイス酸触媒を用いてもよいし、異なるものを用いてもよいし、両者とも用いてもよい。ルイス酸触媒の詳細については、後述する。
リビングカチオン重合及び末端官能化反応は、−100〜0℃の温度範囲で実施される。エネルギーコストと重合の安定性、及びフリーデルクラフツ反応の反応性を両立させるために、特に好ましい温度範囲は−90〜−30℃である。なお前記温度は、例えば、反応液の温度を指す。
リビングカチオン重合及び末端官能化は、重合の安定性及びフリーデルクラフツ反応の反応性を両立させるために、炭素数3〜8のモノハロゲン化炭化水素と脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒中で実施することが好ましい。炭素数3〜8のモノハロゲン化炭化水素の具体例としては、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、n−ペンチルクロライドなどのモノハロゲン化アルカン、クロロベンゼンなどのモノハロゲン化アレーンなどが挙げられ、脂肪族炭化水素の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、2−メチルプロパン、2−メチルブタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどが挙げられ、芳香族炭化水素の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ブチルベンゼンなどが挙げられる。より高いレベルで重合の安定性とフリーデルクラフツ反応の反応性を両立させるためには、n−ブチルクロライドとヘキサンの混合溶媒を用いることがより好ましい。
上記混合溶媒の使用量は、得られる重合体溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合体の濃度が1〜50質量%、好ましくは5〜35質量%となるように決定される。
イソブチレン系重合体と、前記式(2)で表されるエンドキャップ剤との反応工程は、イソブチレン系重合体を一旦単離させた後に、該イソブチレン系重合体とエンドキャップ剤を反応させてもよいし、イソブチレン系重合体の重合工程の後半に上記エンドキャップ剤をその重合系中に添加して反応させてもよい。後者の場合、エンドキャップ剤を添加する時期として、ガスクロマトグラフィーによって測定したイソブチレン単量体の転化率が50%以上に達している時であることが好ましく、80%以上に達している時であることがより好ましく、95%以上に達している時であることが更に好ましい。
(3)ルイス酸触媒を30℃〜80℃の水により失活する工程
(4)アルカリ水溶液で洗浄する工程
ルイス酸触媒の失活は、30〜80℃の温水と(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を含む反応溶液を一定時間攪拌することにより実施される。温水による失活の温度(失活時の液温、後記する実施例では内温に相当する)は、失活を促進させる観点及び失活後の油水分離性の観点から上記の通り30℃以上とする。好ましくは40℃以上である。一方、上記温度が高すぎると、エネルギーコストの増加を招くため、上述の通り80℃以下とする。好ましくは70℃以下である。失活に要する時間は十分にルイス酸触媒が失活する時間であればよく、特に限定されるものではないが、通常10〜600分であり、生産性の観点からは10〜300分であることが好ましい。透明度のより高いアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得る場合には、上記失活の時間を、30分以上とすることがより好ましく、更に好ましくは60分以上である。
上記温水の量は、十分に攪拌でき失活が可能な量であれば特に限定されるものではないが、効率的に失活を行うためには有機相と水相の体積比が、有機相/水相=0.5〜10の範囲であることが好ましく、排水量削減の観点からは、有機相/水相=0.5〜5.0であることがより好ましく、有機相/水相=1.0〜5.0の範囲が特に好ましい。
失活後の油水分離性が悪い場合、その改善のために失活で用いる温水に適当な塩を添加してもよい。塩としては油水分離性を向上させ得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、などが挙げられ、工業生産を想定した場合の腐食性、経済性、入手容易性等を総合的に勘案すると硫酸ナトリウムの使用が好ましい。
アルカリ水溶液による洗浄は、失活後に一旦、油水分離及び排水を行ってから新たに水とアルカリを加えて実施してもよいし、排水することなくアルカリ又はアルカリ水溶液を追加添加して実施してもよい。排水をすることなく連続的にアルカリ水溶液による洗浄を行う方法がタイムサイクルを短縮でき、生産性を高める観点から好ましい。
使用するアルカリとしては、失活したルイス酸触媒から生成した酸を中和し、(メタ)アクリロイル末端に配位し錯形成したルイス酸を効果的に分解除去できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が例示される。これらは単独でまたは2種以上を併用してもよい。コスト及び入手性の観点からは、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
アルカリ水溶液に含まれるアルカリの量としては、使用したルイス酸から発生した酸を中和できる量以上であれば特に限定されるものではないが、効率的な触媒除去の観点からは、発生する酸に対して1.05〜5倍モルであることが好ましく、1.1〜3倍モルであることがさらに好ましい。
アルカリ水溶液の量は、十分に攪拌でき効率的な洗浄が可能な量であれば特に限定されるものではないが、効率的に洗浄を行うためには有機相と水相の体積比が、有機相/水相=0.5〜10の範囲であることが好ましく、排水量削減の観点からは、有機相/水相=0.5〜5.0であることがより好ましく、有機相/水相=1.0〜5.0の範囲が特に好ましい。
洗浄温度(洗浄時の液温、後記する実施例では内温に相当する)は特に限定されるものではないが、失活と同じ温度で実施するほうが設備的及びエネルギーコストの観点から有利であり、30〜80℃で実施することが好ましい。また洗浄後の静置分離における油水分離性向上の観点からも30℃以上であることが好ましい。より好ましくは40℃以上である。一方、上記洗浄温度が高すぎると、末端官能基が加水分解する懸念がある他、エネルギーコスト増加を招くため、上述の通り80℃以下で実施することが好ましく、より好ましくは70℃以下である。本発明では、前述の通り、本発明のポリイソブチレン系重合体の末端部位は、予想外にアルカリに対して安定であるため、アルカリを使用しかつ洗浄温度を上記の通り高めても、末端官能基を消失することなく確保できる。
洗浄時間は、特に限定されるものではないが、十分な洗浄効果を得るためには10〜240分程度が好ましく、10〜180分がより好ましく、10〜120分が特に好ましい。
アルカリ水溶液での洗浄後は、油水の静置分離を行い、排水すればよい。アルカリ水溶液による洗浄の回数は、要求される精製度に応じて選択すればよい。すなわち高い精製度が要求される場合には、洗浄回数を増やせばよい。生産性と精製度のバランスから、洗浄回数は1〜5回が好ましく、さらに好ましくは1〜3回である。複数回のアルカリ洗浄を行う場合、アルカリ洗浄は洗浄毎に油水の静置分離を行い、排水した後に新たなアルカリ水溶液を加えることで繰り返し実施される。
最終洗浄の排水後は、アルカリに偏ったpHを中性に戻すことが必要な場合、水洗を実施してもよい。水洗は、排水のpHが中性付近(例えば、5〜8程度)に戻るまで繰り返し実施すればよく、その条件は特に限定されるものではないが、通常アルカリ水溶液での洗浄と同様の温度、油水比、洗浄時間で実施され、回数は1〜3回程度で十分である。水洗後の油水分離性が悪い場合、水洗に用いる水に適当な塩を溶解させてもよい。塩としては油水分離性を向上させ得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、などが挙げられ、工業生産を想定した場合の腐食性、経済性、入手容易性等を総合的に勘案すると硫酸ナトリウムの使用が好ましい。
(ろ過)
アルカリ水溶液による洗浄のみで完全にルイス酸触媒残渣が除去できない場合には、残ったルイス酸触媒残渣はろ過により除去することができる。ろ過方法としては、例えばヌッチェ等による減圧ろ過方法、フィルタープレス方式等の加圧式ろ過方法等が例示される。不溶成分の量が少なく、ろ過性がよい場合にはカートリッジフィルター、バッグフィルター等による簡易ろ過が簡便である。精製効率を向上させるためには、ろ過助剤を使ったケーキろ過も好適である。ろ過助剤の種類としては、特に限定されるものではないが、珪藻土を好適に用いることができる。また必要に応じて吸着剤を併用することもできる。吸着剤の種類としては特に限定されるものではないが、活性炭やケイ酸塩を好適に用いることができる。
本発明の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体は、重合後の精製時や貯蔵時に必要に応じて、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(即ち、MEHQ)、p−tert−ブチルカテコール、4−メトキシ−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−N,N−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルカテコール、4,4'−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系化合物、4−ヒドロキシ−2,2,6,6、−テトラメチルピペリジン−n−オキシル、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルなどのN−オキシラジカル系化合物、フェノチアジン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N'−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン化合物、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒドロキシルアミン系化合物、ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノンなどのキノン系化合物、塩化第一鉄、ジメチルジチオカルバミン酸銅などの銅化合物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記重合禁止剤の使用量は、重合抑制効果を十分に発現させる観点から、(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の1〜5000質量ppm、好ましくは50〜3000質量ppmであることが望ましい。
本願は、2015年8月26日に出願された日本国特許出願第2015−167201号に基づく優先権の利益を主張するものである。2015年8月26日に出願された日本国特許出願第2015−167201号の明細書の全内容が、本願の参考のため援用される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1)
(重合及び末端官能化反応)
1Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)20mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)182mLを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら−70℃まで冷却した。次いで、イソブチレン72mL(0.76mol))、p−ジクミルクロライド0.84g(0.0036mol)及びルチジン0.14g(0.0013mol)を加えた。反応混合物が−70度まで冷却された後で、四塩化チタン0.4mL(0.0036mol)を加えて重合を開始した。重合開始後、ガスクロマトグラフィーで残存イソブチレン濃度を測定して、イソブチレン残存量が0.5%を下回った段階で、アクリル酸4−フェノキシブチル1.84g(0.0084mol)と四塩化チタン2.4ml(0.0218mol)を添加した(合計四塩化チタン0.0254mol:開始剤に対して7.06倍モル)。その後、−70℃で3時間攪拌を続けた。
(失活及びアルカリ洗浄)
蒸留水208ml、5%硫酸ナトリウム水溶液27g、n−ヘキサン39mL、及び塩化ブチル351mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから180分攪拌することにより失活を行った。攪拌を停止、24%水酸化ナトリウム水溶液42g(0.252mol。使用した四塩化チタン0.0254mol)から発生する塩酸0.1016molに対して2.5倍モル量)を加え、さらに内温50℃にて180分攪拌することによりアルカリ洗浄を行った。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水相を排出した。排水のpHは>14であった。蒸留水208mLと5%硫酸ナトリウム水溶液27gを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間、静置分離を行い、水相を排出した。排水のpHは10付近であった。さらに蒸留水242mLと5%硫酸ナトリウム水溶液27gを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間、静置分離を行い、水相を排出した、排水のpHは7付近であった。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ150であった。ここでいう本発明のAPHAとは、化学製品などの着色度を評価する方法としてISO6721−2:2004で規定されているハーゼン色数試験により得られるハーゼン色数を指す。ハーゼン色数試験は、SC−P分光測色計(スガ試験機株式会社製)にて実施した。上記分光測色計を、以下「色差計」という。
(ろ過及び溶媒除去)
有機相(200mL)を、加圧ろ過(ろ布;16cc/cm/sec、窒素加圧;0.04MPa、ろ過助剤;ラヂオライト100S(昭和化学工業製)(0.5g)、活性炭;TAIKO A(フタムラ化学製)(3.5g)、ろ過助剤と活性炭の合計添加濃度; 20g/L)することで、無色透明な溶液を得た。MEHQ0.076gを加え、溶媒を減圧下に留去して、得られた重合体を120℃で4時間真空乾燥することにより無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
(アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の特性)
色差計により得られた重合体のAPHAを測定したところ、10であった。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定した。詳細には、SECシステムとしてWaters社製LCModule1を、またGPCカラム(固定相)としてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(ShodexGPCK−804;昭和電工(株)製)、移動層としてクロロホルムを用いた。以下の例でも同様にして測定した。その結果、Mw:14594、Mn:12615、Mw/Mnが1.16であった。
また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnを次の様にして求めた。まず、上記GPC測定により、ポリマーの分子量を算出し、数平均分子量Mnを求めた。次にH NMR測定を行い、1.3ppm付近のポリイソブチレン骨格中の2つのメチル基に帰属されるピークの面積を先の数平均分子量Mnの値を用いて、(1.3ppm付近のピークの積分値)=((数平均分子量Mn)/56.11)x6Hとする。その際に、同H NMRチャート中で、5.8〜5.9ppm付近、6.1〜6.2ppm付近、6.4ppm付近に現れる(メタ)アクリロイル基に由来するピークの平均値を計算し、その平均された積分値を官能基数Fnとして用いた。以下の例でも同様にしてFnを求めた。その結果、該Fnは1.85であった。
(実施例2)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及びアルカリ洗浄)
蒸留水208ml、5%硫酸ナトリウム水溶液27g、n−ヘキサン39mL、及び塩化ブチル351mLを2Lのジャケット付きセパラブルフラスコに加え、攪拌しながら50℃に温調した。攪拌を停止することなく上記で得られたポリマー溶液を加え、内温が50℃に到達してから180分攪拌することで失活を行った。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水相を排出した。水相のpHは1付近であった。蒸留水208mL及び24%水酸化ナトリウム水溶液42gを加え、さらに内温50℃にて30分攪拌することでアルカリ洗浄を行った。攪拌を停止、静置分離を30分行い、水相を排出した。排水のpHは>14であった。蒸留水208mLと5%硫酸ナトリウム水溶液27gを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間、静置分離を行い、水相を排出した。排水のpHは10付近であった。さらに蒸留水242mLと5%硫酸ナトリウム水溶液27gを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間、静置分離を行い、水相を排出した、排水のpHは7付近であった。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ150であった。
(ろ過及び溶媒除去)
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより、無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
(アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の特性)
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、10であった。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15452、Mn:12686、Mw/Mnが1.22であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.84であった。
(実施例3)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及びアルカリ洗浄)
失活と続けて実施するアルカリ洗浄時、及びアルカリ洗浄後の水洗時に用いる蒸留水の量を173mlとした以外は、実施例1と同様の方法で失活及びアルカリ洗浄を行った。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ150であった。
(ろ過及び溶媒除去)
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより、無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
(アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の特性)
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、20であった。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15454、Mn:12591、Mw/Mnが1.23であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.85であった。
(実施例4)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及びアルカリ洗浄)
失活と続けて実施するアルカリ洗浄時、及びアルカリ洗浄後の水洗時に用いる蒸留水の量を150mlとした以外は、実施例1と同様の方法で失活及びアルカリ洗浄を行った。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ150であった。
(ろ過及び溶媒除去)
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより、無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
(アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の特性)
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、10であった。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15444、Mn:12680、Mw/Mnが1.22であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.85であった。
(実施例5)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及びアルカリ洗浄)
失活時間を90分とした以外は、実施例1と同様の方法で失活及びアルカリ洗浄を行った。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ150であった。
(ろ過及び溶媒除去)
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより、無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
(アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の特性)
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、30であった。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15447、Mn:12670、Mw/Mnが1.22であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.84であった。
(実施例6)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及びアルカリ洗浄)
失活時間を60分とした以外は、実施例1と同様の方法で失活及びアルカリ洗浄を行った。得られた有機相はほぼ無色透明であり、色差計によりAPHAを測定したところ160であった。
(ろ過及び溶媒除去)
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより、無色透明のアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体を得た。
(アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の特性)
得られた重合体のAPHAを色差計により測定したところ、40であった。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15451、Mn:12715、Mw/Mnが1.22であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.84であった。
(比較例1)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及びアルカリ洗浄)
アルカリ洗浄を実施しなかった以外は、実施例1と同様の方法で実施した。即ち、失活を行った後、水相を排出せずに引き続き、蒸留水208mLと5%硫酸ナトリウム水溶液27gを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間の静置分離を行った後、水相を排出した。排水のpHは約1だった。更に、蒸留水242mLと5%硫酸ナトリウム水溶液27gを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間の静置分離を行った後、水相を排出した。排水のpHは約4だった。尚、この様にルイス酸触媒が残存した状態で水洗を行うことは、上記排水のpHが低い通り、酸での洗浄と同じ状態を示す。得られた有機相はほぼ白濁しており、色差計によりAPHAを測定したところ>500であった。
(ろ過及び溶媒除去、アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の特性)
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより取得したアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体は白濁しており、色差計により得られた重合体のAPHAを測定したところ、>500であった。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15450、Mn:12680、Mw/Mnが1.22であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.85であった。
(比較例2)
(重合及び末端官能化反応)
実施例1と同様の方法で、重合/末端官能化反応を行った。
(失活及びアルカリ洗浄)
アルカリ洗浄を実施しなかった以外は、実施例2と同様の方法で実施した。即ち、失活を行った後、攪拌を停止し、静置分離を30分行ってから水相を排出した。次に、蒸留水208mLと5%硫酸ナトリウム水溶液27gを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間の静置分離を行った後、水相を排出した。更に、蒸留水242mLと5%硫酸ナトリウム水溶液27gを加え、内温が50℃に到達後30分攪拌した。攪拌を停止し、30分間の静置分離を行った後、水相を排出した。得られた有機相はほぼ白濁しており、色差計によりAPHAを測定したところ>500であった。
(ろ過及び溶媒除去、アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の特性)
実施例1と同様の方法で、ろ過及び溶媒除去を行うことにより取得したアクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体は白濁しており、色差計により得られた重合体のAPHAを測定したところ、>500であった。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により得られた重合体の分子量をポリスチレン換算で測定したところ、Mw:15296、Mn:12518、Mw/Mnが1.22であった。また、得られたアクリロイル末端ポリイソブチレン重合体の末端に導入されたアクリロイル基のFnは1.85であった。

Claims (13)

  1. (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法であって、
    ルイス酸触媒を用いたリビングカチオン重合工程、
    ルイス酸触媒を用いた末端官能化反応工程、
    ルイス酸触媒を30℃〜80℃の水により失活する工程、
    アルカリ水溶液で洗浄する工程、
    を含むことを特徴とする(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  2. (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体が、下記一般式(1):
    Figure 0006141550
    (式中、R1は1価若しくは多価芳香族炭化水素基、または1価若しくは多価脂肪族炭化水素基を表す。Aはポリイソブチレン系重合体を表す。R2は炭素数2〜6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を含有しない基を表す。R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、またはアルコキシ基を表す。R5は水素、またはメチル基を表す。nは自然数を表す。)で示される重合体であることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  3. 2が−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−からなる群から選ばれる2価の炭化水素基であることを特徴とする請求項2に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  4. 3、およびR4が水素であることを特徴とする請求項2または3に記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  5. 5が水素であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  6. ルイス酸触媒が、四塩化チタンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  7. 前記リビングカチオン重合工程で重合開始剤を使用し、
    ルイス酸触媒の使用量が前記重合開始剤の3〜20倍モルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  8. 前記リビングカチオン重合工程で重合開始剤を使用し、
    この重合開始剤が、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼンから選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  9. アルカリ水溶液に含まれるアルカリの使用量が、使用したルイス酸触媒から発生する酸を中和できる量の1.05〜5倍モルであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  10. 前記アルカリ水溶液で洗浄する工程で使用するアルカリが水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムのいずれかであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  11. アルカリ水溶液で洗浄する工程の温度が30〜80℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  12. リビングカチオン重合工程、及び末端官能化反応工程に使用する溶媒が、炭素数3〜8のモノハロゲン化炭化水素と、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  13. ルイス酸触媒を失活する工程及びアルカリ水溶液で洗浄する工程のいずれにおいても、有機相と水相の体積比が、有機相/水相=0.5〜10の範囲であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
JP2016570132A 2015-08-26 2016-08-10 (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法 Expired - Fee Related JP6141550B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015167201 2015-08-26
JP2015167201 2015-08-26
PCT/JP2016/073556 WO2017033749A1 (ja) 2015-08-26 2016-08-10 (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6141550B1 true JP6141550B1 (ja) 2017-06-07
JPWO2017033749A1 JPWO2017033749A1 (ja) 2017-08-24

Family

ID=58099977

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016570132A Expired - Fee Related JP6141550B1 (ja) 2015-08-26 2016-08-10 (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6141550B1 (ja)
WO (1) WO2017033749A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7011641B2 (ja) * 2017-02-22 2022-01-26 株式会社カネカ 硬化性組成物

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5322583A (en) * 1976-08-12 1978-03-02 Nippon Petrochemicals Co Ltd Purification of buten polymer
JP2004203922A (ja) * 2002-12-24 2004-07-22 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd イソブチレン系重合体及びその製造方法
JP2009007386A (ja) * 2006-02-17 2009-01-15 Kaneka Corp イソブチレン系重合体の製造方法
WO2013047314A1 (ja) * 2011-09-27 2013-04-04 株式会社カネカ (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体、その製造方法、および活性エネルギー線硬化性組成物
JP2013216782A (ja) * 2012-04-09 2013-10-24 Kaneka Corp 硬化性組成物およびその用途
JP2016145268A (ja) * 2015-02-06 2016-08-12 株式会社カネカ 重合体の製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5322583A (en) * 1976-08-12 1978-03-02 Nippon Petrochemicals Co Ltd Purification of buten polymer
JP2004203922A (ja) * 2002-12-24 2004-07-22 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd イソブチレン系重合体及びその製造方法
JP2009007386A (ja) * 2006-02-17 2009-01-15 Kaneka Corp イソブチレン系重合体の製造方法
WO2013047314A1 (ja) * 2011-09-27 2013-04-04 株式会社カネカ (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体、その製造方法、および活性エネルギー線硬化性組成物
JP2013216782A (ja) * 2012-04-09 2013-10-24 Kaneka Corp 硬化性組成物およびその用途
JP2016145268A (ja) * 2015-02-06 2016-08-12 株式会社カネカ 重合体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2017033749A1 (ja) 2017-03-02
JPWO2017033749A1 (ja) 2017-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2011317050A1 (en) Synthesis of methylene malonates substantially free of impurities
JP6145233B1 (ja) (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法
KR100922182B1 (ko) 리빙 개환 복분해 중합을 이용한 다면체 올리고머릭실세스퀴옥산을 포함하는 양친매성 노보넨계 블록 공중합체및 이의 제조방법
Mazurek et al. Anionic polymerization of siloxanes, 2. Internal multifunctional assistance of siloxane system to the siloxane bond cleavage by alcali metal silanolates
JP6141550B1 (ja) (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法
Nonque et al. Study on polymerization of bio-based isosorbide monomethacrylate for the formation of low-Tg and high-Tg sustainable polymers
JP5136956B2 (ja) 重合性組成物及びその重合物
WO2017099043A1 (ja) (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法
Li et al. Controlled synthesis of graft polymer through the coupling reaction between the appending β-keto ester and the terminal amine
AU1823600A (en) Silyl-functional living cationic polymers
JP2016145268A (ja) 重合体の製造方法
Liu et al. Synthesis and characterization of H-shaped copolymers by combination of RAFT polymerization and CROP
Higashimura et al. Living cationic polymerization of vinyl ethers with a functional group. VII. Polymerization of vinyl ethers with a silyloxyl group and synthesis of polyalcohols and related functional polymers
JP4932576B2 (ja) イソブチレン系重合体の製造方法
Harada et al. Vinyl polymerization versus [1, 3] O to C rearrangement in the ruthenium-catalyzed reactions of vinyl ethers with hydrosilanes
Santarella et al. Cationic polymerization of dienes III. Polymerization of 1, 3-pentadiene initiated by ferric chloride in hexane
JP7170515B2 (ja) ポリイソブチレン系重合体の製造方法
JPS63215720A (ja) 末端に官能基を有するラクトン系重合体の製造方法
RU2454434C1 (ru) Способ получения модифицированных нефтеполимерных смол
JP2012082340A (ja) (メタ)アクリロイル末端イソブチレン系重合体の精製方法
Cho et al. Controlled Anionic Synthesis of Poly [2‐(3‐nitrocarbazolyl) ethyl methacrylate]
JPH0463877B2 (ja)
WO2018190144A1 (ja) イソブチレン系重合体の製造方法
Sugimoto et al. Lanthanoid alkoxide as a novel initiator for the synthesis of polyester via polymerization of ketenes
JPH05279414A (ja) 星型ポリビニルアセタールおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170307

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170502

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6141550

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees