JP3651690B2 - カチオン重合体の精製工程における触媒の除去方法 - Google Patents

カチオン重合体の精製工程における触媒の除去方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はカチオンリビング重合における触媒の効率的な失活・除去方法、並びに重合体の効率的な精製法及び精製に要する水の使用量低減方法に関する。詳細にはルイス酸触媒を用いた溶解系のカチオンリビング重合において、重合終了後に反応溶液を水、あるいは酸性水溶液により処理し触媒を失活させ、次にこれを重合体が含まれる有機相と触媒が溶解している水相とに分液し触媒を重合体から効率良く分離する方法、並びに繰り返し水洗で重合体を精製する工程において精製の後段で使用した廃水を触媒失活用の水として再利用し、水の使用量を低減する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来カチオン重合は反応中の連鎖移動が大きく分子量の制御が困難であること、官能基導入が難しいこと等の理由によって、重合体の構造制御が難しい重合方法と考えられてきた。例えば組成として51モル%以上のイソブチレン単位を含むイソブチレン系重合体(以下簡単のためイソブチレン系重合体と記す)は連鎖移動を避けるために一般に極低温でのカチオン重合により製造されるが、高分子量のイソブチレン系重合体は重合中に析出するため粘稠な固体として系外に取り出されるが、室温で必要な流動性を示さない、溶剤に対する溶解性が乏しい、架橋が困難といった問題があり成形・加工材料としての用途が限定されている。
【0003】
しかしながら近年ケネディ氏らの精力的な検討によってカチオンリビング重合は大きな進歩を見せ、重合体の数平均分子量を任意にコントロールしたり更に分子内に種々の官能基を導入したりすることが可能となった(J.P.Kennedy and B.Ivan著 Designed Polymers by Carbocationic Molecular Engineering: Theory and Practice, Carl Hanser Verlag, Munich 1992)。分子量や末端への官能基導入率がコントロールされたテレケリック重合体は官能基を様々な方法で架橋に関与させることにより、高分子量重合体の成形・加工性に関わる欠点を改良することができるので、接着剤、粘着剤、塗料、コーティング材、弾性シーリング材、電気電子用封止材等の原料として有望である。重合体の構造を良く制御するためには重合溶剤の組成を適切に選択し重合体を析出させないことが重要であり、本発明者らはイソブチレン系重合体の優れたゴム的弾性、電気絶縁性、低い水蒸気透過性を生かすために工業的に有利なテレケリック重合体の製造方法確立に取り組んできた。
【0004】
カチオン重合において用いたルイス酸触媒は重合体中に残存すると腐食や酸の発生を引き起こすため、重合後適切な方法によって失活させ取り除かなければならない。例えば高分子量イソブチレン系重合体の場合には粘稠な重合体を水、あるいは熱水中に注いで触媒を失活させることは古くから公知の技術である。
一方テレケリック重合体においてはケネディ氏らはメタノール等の予冷されたアルコール類やアミン類等を用いる方法を賞用している(特開昭62−48704、特開昭64−62308、特開平1−318014など)が、有機溶媒を使用するため回収コストを考えると工業的な製造には不向きである。またケネディ氏らはこういった有機溶剤以外に飽和重曹水等のアルカリ性水溶液によって触媒を失活させ、有機相を無水硫酸マグネシウムのような無機脱水剤を用いて乾燥させる方法も開示している(特開昭63−105005)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのように反応溶液をアルカリ性水溶液で処理した場合、失活した触媒は組成の一定しないハロゲン化物/水酸化物/酸化物の混合物質となり一部が有機相中に残ってしまうことが、発明者らの検討の結果明らかとなった。このような組成の一定しない触媒残渣は非常に長い時間をかけて加水分解を受けて酸を発生するため、これよりも後の工程、例えば溶媒留去等において望ましくない高分子量体の副生、機器の腐食等の悪影響を及ぼすことがわかった。このようにして内部に残った酸は水洗等の通常の精製操作によって取り除くことが著しく困難で、安定的な製造を行うためには触媒残渣を吸着剤等により吸着させた後濾過により取り除く工程が必要となる。
【0006】
また析出した触媒残渣の取扱いも析出粒径が細かく嵩比重が低いために大変厄介で、濾過・遠心分離・吸着等により有機相から分離する必要があり、工程が複雑となっている。
本発明はこれらの課題を解決し、カチオンリビング重合に使用された触媒の失活・除去を確実に行い、得られた重合体を効率よく精製するための方法を提供するためになされたものであり、また精製における水洗水の使用量低減化を目的とするものでもある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するため本発明者らは触媒の除去方法および重合体の精製方法について鋭意検討を行い、本発明に至った。
すなわち本発明は一般式MXn (Mは金属原子、Xはハロゲン原子または炭素数1〜5の一価アルキル基、nは金属の酸化数に対応する整数)で表されるルイス酸を触媒とし重合体が析出しない溶解度の範囲内で行うカチオンリビング重合において、生成する重合体を含む反応溶液を、水もしくは酸性水で処理することにより上記触媒を失活させ、次にこれを重合体が含まれる有機相と触媒が溶解している水相を分液し触媒を重合体から分離する触媒の除去方法、
一般式MXn (Mは金属原子、Xはハロゲン原子または炭素数1〜5の一価アルキル基、nは金属の酸化数に対応する整数)で表されるルイス酸を触媒とし重合体が析出しない溶解度の範囲内で行うカチオンリビング重合において、生成する重合体を含む反応溶液を、水もしくは酸性水で処理することにより上記触媒を失活させ、次にこれを重合体が含まれる有機相と失活触媒が溶解している水相を分液し触媒を重合体から除いた後、回分式または連続式に有機相を繰り返し水洗することを特徴とする重合体の精製方法、並びに
一般式MXn (Mは金属原子、Xはハロゲン原子または炭素数1〜5の一価アルキル基、nは金属の酸化数に対応する整数)で表されるルイス酸を触媒とし重合体が析出しない溶解度の範囲内で行うカチオンリビング重合において、生成する重合体を含む反応溶液を、水もしくは酸性水で処理することにより上記触媒を失活させ、次にこれを重合体が含まれる有機相と触媒が溶解している水相を分液し触媒を重合体から効率良く分離した後、2)回分式または連続式に有機相を繰り返し水洗し重合体を更に精製するにあたって、3)精製の後段で使用した廃水を触媒失活用の水とする水洗水の再利用方法である。
【0008】
アルカリ性水溶液で酸触媒を失活させるのは常識的な発想であるが、意外なことに実際には両者が急激に反応してできる固体層によって残渣内部へのアルカリ性水溶液の進入が阻まれ、内部には分解されない酸が残ってしまうことがわかった。このような事実は水洗を重ねた有機相をpH試験紙に浸すと全体は中性であるにも拘らず、所々斑点状に酸性点が現れることでしばしば確認される。
本発明者らは水相と有機相の間のルイス酸の分配平衡を測定し、酸性条件では有機相中の水素イオン濃度の対数値と水相中の水素イオン濃度の対数値にほぼ一次の関係を認めた。この結果は酸性側ではプロトンの移動を妨げるような固体層が形成されないことを示しており、これを重合体の精製方法に応用した。すなわち本発明の第一である触媒失活方法においては重合後の重合体を含む反応溶液を、水もしくは酸性水で処理し触媒を失活させるとともにその大半を水中に抽出させる。酸触媒の固体を析出させることなしに水側に抽出できることが、アルカリ条件での抽出との大きな違いである。
【0009】
触媒失活にあたっては反応溶液と水をできるだけ均一に分散させることが必要で、一般に行われる攪拌による混合分散の他、容器の振とう、超音波の利用など、分散効率を向上させる操作を必要に応じて取り入れることができる。分配平衡を考えると失活に使用する水の液性は酸性が望ましいが、実際にはルイス酸の速やかな失活によって系中でハロゲン化水素が発生するため中性の水は全く問題なく使用でき、弱アルカリ性の水であっても使用できる場合もある。但しこのような場合でも失活終了時の液性は酸性である事が必要である。触媒の析出を抑えるため、必要に応じて若干量の塩酸、硫酸、酢酸等のプロトン酸を水で希釈しpHを調節した水溶液を用いることも行われる。
【0010】
触媒の失活に使用する水もしくは酸性水の使用量は処理量、装置形状、失活時間等を考慮して定めることができるが、通常反応溶液に対して少なくとも5体積%以上、好ましくは20体積%以上、さらに好ましくは40体積%以上が必要である。これ以下の使用量では十分に触媒を失活させたり抽出することが難しく、必要以上に多くの水を使用すると水処理の負荷が大きくなるのでこれも望ましくない。
【0011】
さらに本発明者らは触媒失活時の気温が微妙に精製工程に影響することに気づき、失活時の温度が重要な要素であることを発見した。すなわち失活時の水/反応液混合物の液温が5℃未満となると触媒が抽出困難な微粒子となって有機相に残留するため、常に5℃以上に混合物の温度を保つ必要がある。ここで生成する微粒子状触媒の性状はアルカリ失活を行った場合と似ており、一旦生成すると水洗等で除くことは困難である。触媒の失活自身は発熱反応であるが、実際にはカチオン重合は−30℃以下の低温で行われることが多く、室温の水を失活に用いると水/反応液混合物はしばしば0℃付近まで液温が低下する。使用する水もしくは酸性水及び/または失活に使用する装置を予め加温し、失活中の温度を制御することが重要である。
失活工程の圧力や所要時間については特に制限を加えるものではないが、有機溶剤を使用するため常圧、不活性ガスの存在下で工程を進めるのが好ましい。水もしくは酸性水を系に投入すれば重合自体は速やかに停止するが、触媒の抽出にはある程度の時間が必要であり、その温度での抽出平衡に達する時間を調べて時間を決定することができる。
【0012】
引き続き重合体が含まれる有機相と触媒が溶解している水相を分液し触媒を重合体から除くが、有機相と水相の分離方法としては様々な実施態様を取り得る。すなわち触媒失活に引き続き分離を行う回分式の他に、失活と分離を同時に行う連続式であっても差し支えない。失活・分離は独立した複数の装置をつないで行っても良く、実質的に1つと見なせる容器の中で行っても良い。分離は両層の比重差を利用したデカンテーション法の他に、遠心分離等の公知技術の利用が可能である。
【0013】
本発明の精製方法ではカチオンリビング重合により得られるものであれば重合体の種類を選ばないが、組成比で51モル%以上のイソブチレン単位を含む数平均分子量1,000以上30,000未満のイソブチレン系重合体が、重合体の特性から好適な実施態様である。必要に応じてカチオンリビング重合性のモノマー、例えばプロピレン、n−ブテン等のオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類、1,5−ペンタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエン類、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ピネン、インデン、ノルボルネン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等をイソブチレンに共重合していても、本発明の実施に際し何等差し支えない。
本発明でカチオンリビング重合に使用され精製によって取り除かれる触媒は、一般にルイス酸として分類され重合能を有するものであれば特にその種類を問わないが、これも例示するならばカチオンリビング重合に使用され精製によって取り除かれる触媒がAlCl3 、AlBr3 、SnCl4 、TiCl4 、TiBr4 、VCl5 、FeCl3 、ZnBr2 、BF3 、BCl3 等の金属ハロゲン化物、またはEt2 AlCl、EtAlCl2 等の有機金属ハロゲン化物が挙げられる。
また、これらの触媒は1種で使用しても、2種以上で使用してもよい。
【0014】
本発明を構成する第二番目の発明は触媒を重合体から除いた後、有機相を繰り返し水洗し重合体をさらに高度に精製するもので、なかんずく精製の後段で使用した廃水を触媒失活用の水として再利用することを特徴とするものである。 ケネディ氏らが実施しているような精製に無機乾燥剤を使用する方法は、乾燥剤を使い捨てにすることから工業的には実現が難しく、微量の触媒を高度に除くためには有機相を繰り返し水洗することが現実的である。水洗時にはイオン性夾雑物を含まないイオン交換水または蒸留水を用いることが望ましく、水の使用量は回分式の場合通常反応溶液に対して少なくとも5体積%以上、好ましくは20体積%以上、さらに好ましくは40体積%以上であり、デカンテーションや遠心分離といった通常の方法によって廃水は系外に除かれる。連続式で水洗を行う場合には有機相の供給量や有機相中の重合体の濃度、水洗効率等を考慮して水の使用量を決定されるが、有機相と水の比重差を利用した向流対向方式が大規模での実施の場合には好ましい。
水洗による精製の進行は廃水の電気伝導度やpHによって監視が可能で、例を示すならば有機相と同体積の水を用いて廃水電気伝導度が一定の値、通常20〜30μS/cmを示すまで繰り返し水洗を行えば精製の目的は達せられる。
【0015】
重合体の精製を高度に行うことと水の使用量の低減は両立が困難であるが、本発明者らは精製の後段で使用した廃水を触媒失活用の水として再利用することを試み、何等問題なく使用できることを見いだした。これは精製が進むにつれて廃水中の触媒量は減少するため、触媒失活用の水として再利用するには十分な純度を持つためである。ここでは汚れの少ない洗浄廃水を失活用に用いることを述べたが、同様にして第(m+1)回目の洗浄廃水(ここでmは自然数を表す)を第m回目の洗浄水として用いることも、本発明の権利範囲に包含されるものである。
排出された廃水は中和処理を行い、触媒に由来する無機物を析出させて除去し、最終的には活性汚泥や活性炭吸着により有機汚濁を取り除いて廃棄される。中和処理を製品である重合体の存在下で行うと重合体中に触媒の混入が避けられないが、有機相から触媒を除いた後で中和処理を行えば重合体に残渣が混入する可能性はなくなる。
本発明の第一の触媒失活・抽出工程と第二の水洗工程はもちろん独立に実施が可能であるが、組み合わせて使用することが一層効果的である。
【0016】
【発明の効果】
本発明のイソブチレン系重合体の精製方法によると、触媒失活と触媒の水もしくは酸性水への抽出が容易となる。そのためアルカリ性水溶液により触媒を失活させた場合にしばしば観察された最終的に得られる重合体が白濁する現象はなく、重合体は無色透明で夾雑無機物を事実上含まない。またアルカリ性水溶液として飽和重曹水を用いて反応溶液を処理し、失活が不十分な触媒種の吸着濾過を行わないまま溶媒を加熱留去した場合には高分子量体の副生等重合体品質への悪影響が見られることがあるが、水もしくは酸性水溶液により反応溶液を処理した場合には、このような品質低下は認められない。
さらに精製の後段で使用した廃水を触媒失活用の水として再利用できることも見いだしたので、水の総使用量を低減することが可能となりコスト面だけでなく環境対策の面からも従来の方法に比べ優っている。
【0017】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
参考例1
ルイス酸の分配平衡を知るために予備実験を行った。分液ロートにイオン交換水100mL、3重量%の四塩化チタンを溶解したn−ヘキサン100mLを入れ3分間強く振とうを続けた。5分間の静置後水相を抜き取りpHと電気伝導度を測定し、分液ロートには新しいイオン交換水100mLを加え同様の操作を繰り返した。なお全ての操作は22℃の室温で行い、結果を表1に示した。
【0018】
【表1】
Figure 0003651690
【0019】
参考例2
イオン交換水100mLの代わりにイオン交換水50mLを用いた以外は参考例1と全く同様の操作を行った。結果を表2に示した。また表1、2のpHから抽出が平衡に達していると仮定して水相/有機相の水素イオン濃度を求め、結果を図1に示した。
【0020】
【表2】
Figure 0003651690
【0021】
図1から明らかなように、有機相中の水素イオン濃度の対数値と水相中の水素イオン濃度の対数値の間には一次の相関が見られる。
【0022】
重合例1
〔不飽和基含有イソブチレン重合体溶液の作成〕
不飽和基含有重合体の作成は、特願平5−120451記載の方法に従った。装置図を図2に示す。モノマー貯槽11、開始剤溶解槽12、ポリマークッション槽2をN2置換して、それぞれに各原料、即ちモノマー13、溶剤14、開始剤15を投入した。モノマー貯槽11にはイソブチレンモノマー1327gを、開始剤溶解槽12には開始剤としてp−DCC20.8g、添加剤として酢酸エチル0.79g及び混合溶剤として塩化メチレン3.94L(リットル)、ノルマルヘキサン4.16Lを仕込んだ。また、ポリマークッション槽2には1,9−デカジエン1339g、触媒のTiCl4を919gを塩化メチレン9.79L、ノルマルヘキサン4.16L中に仕込み、攪拌機を起動して触媒溶液を調製した。この触媒溶液を冷却しながら循環ポンプ7で送液し、液温が一定になるまで(−30℃)循環を続けた。触媒溶液の液温が一定になったら、イソブチレンモノマー、開始剤溶液をポンプ16、17でそれぞれ50mL/min、127mL/minの速度で送液し、触媒溶液の循環している熱交換器型反応器1中に添加した。送液時間は45分であった。原料送液停止後、末端へのデカジエン導入率を上げるために同一条件でさらに60分循環、攪拌を続けた。
【0023】
実施例1
分液ロートに重合例1で得られた重合体溶液300mLと氷冷した水道水150mLを加えて3分間強く振とうを続けた。この時内容物の温度は2℃であった。5分間の静置後水相を抜き取り触媒失活廃水を捨て、分液ロートには新しいイオン交換水75mLを加え水洗を繰り返した。廃水のpHと電気伝導度を測定し結果を表3に示した。
【0024】
【表3】
Figure 0003651690
【0025】
実施例2
分液ロートに重合例1で得られた重合体溶液200mLと室温の水道水150mLを加えて3分間強く振とうを続けた。この時内容物の温度は20℃であった。5分間の静置後水相を抜き取り失活廃水を捨て、分液ロートには新しいイオン交換水50mLを加え水洗を繰り返した。廃水のpHと電気伝導度を測定し結果を表4に示した。
【0026】
【表4】
Figure 0003651690
【0027】
表3、4を比較すると触媒失活時の温度が低いと、洗浄工程が大きく阻害されることがわかる。繰り返し洗浄を行っても、一旦生成した微粒の触媒は取り除くことが困難である。特に表3の5、6回目の水洗を比較すると、一晩放置でpHが低下し電気伝導度が急上昇しており、このような触媒も長い時間の内には加水分解を受けて酸を発生することを示している。失活を20℃で行うと失活を低温で行った場合に比べ少ない水洗回数で精製を終えることができた。
【0028】
実施例3
分液ロートに重合例1で得られた重合体溶液87mLと予め30℃に加熱したイオン交換水45mLを加えて3分間強く振とうを続けた。5分間の静置後水相を抜き取って廃水のpHと電気伝導度を測定し、分液ロートには新しいイオン交換水44mLを加え水洗を繰り返した。結果を表5に示した。
【0029】
【表5】
Figure 0003651690
【0030】
実施例4
分液ロートに重合例1で得られた重合体溶液40mLと予め50℃に加熱したイオン交換水45mLを加えて3分間強く振とうを続けた。5分間の静置後1相を抜き取って廃水のpHと電気伝導度を測定し、分液ロートには新しいイオン交換水20mLを加え水洗を繰り返した。結果を表6に示した。
【0031】
【表6】
Figure 0003651690
【0032】
実施例5
図3に示す装置による実施形態では、重合液24と水を攪拌槽21へ供給して混合してから、次に遠心分離機22にて水相を分離し、有機相25は更に抽出塔23にて水洗浄されて取り出される。この時、洗浄に用いる水26は、まず抽出塔23へ供給されて精製の後段から前段へと順次使用された後、攪拌槽21へ導入されて遠心分離機22から取り出されて廃水処理工程29へ排出される。
【図面の簡単な説明】
【図1】水相/有機相の水素イオン濃度の測定結果を示す。
【図2】重合体溶液製造装置図の一例を示す。
【図3】本発明に使用する装置の一例を示す。
【符号の説明】
1:熱交換器型反応器
2:ポリマークッション槽
3:モノマー・開始剤供給管
4:触媒供給管
5:溶剤供給管
6:非共役ジエン供給管
7:循環ポンプ
8:循環ライン
10:製品払出管
11:モノマー貯槽
12:開始剤溶解槽
13:モノマー
14:溶剤
15:開始剤
16:ポンプ
17:ポンプ
21:攪拌槽
22:遠心分離機
23:抽出塔
24:重合液
25:有機相
26:水
27:有機相排出管
28:洗浄廃水導入管
29:廃水処理工程

Claims (9)

  1. 一般式MXn(Mは金属原子、Xはハロゲン原子または炭素数1〜5の一価アルキル基、nは金属の酸化数に対応する整数)で表されるルイス酸を触媒とし重合体が析出しない溶解度の範囲内で行うカチオンリビング重合において、生成する重合体を含む反応溶液を、水あるいは酸性水で処理することにより上記触媒を失活させ、次にこれを重合体が含まれる有機相と触媒が溶解している水相を分液し触媒を重合体から分離する触媒の除去方法。
  2. 触媒の失活に使用する水もしくは酸性水及び/または失活に使用する装置を予め加温し、失活時の水/反応液混合物の液温を5℃以上に保つことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. カチオンリビング重合により得られる上記重合体が、組成比で51モル%以上のイソブチレン単位を含む数平均分子量1,000以上30,000未満の重合体であることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. カチオンリビング重合に使用され精製によって取り除かれる触媒がAlCl3 、AlBr3 、SnCl4 、TiCl4 、TiBr4 、VCl5 、FeCl3 、ZnBr2 、BF3 、BCl3 等の金属ハロゲン化物、およびEt2 AlCl、EtAlCl2 等の有機金属ハロゲン化物から少なくとも1種選ばれてなるルイス酸である請求項1、2または3記載の方法。
  5. 触媒の失活に使用する水もしくは酸性水の使用量が、反応溶液に対して少なくとも5体積%以上である請求項1、2、3または4記載の方法。
  6. 触媒の失活に使用する酸性水として、塩酸、硫酸、酢酸等のプロトン酸を水で希釈した水溶液を用いることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の方法。
  7. 一般式MXn (Mは金属原子、Xはハロゲン原子または炭素数1〜5の一価アルキル基、nは金属の酸化数に対応する整数)で表されるルイス酸を触媒とし重合体が析出しない溶解度の範囲内で行うカチオンリビング重合において、生成する重合体を含む反応溶液を、水もしくは酸性水で処理することにより上記触媒を失活させ、次にこれを重合体が含まれる有機相と失活触媒が溶解している水相を分液し触媒を重合体から除いた後、回分式または連続式に有機相を繰り返し水洗することを特徴とする重合体の精製方法。
  8. 触媒を重合体から除いた後、回分式または連続式に有機相を繰り返し水洗し重合体を更に高度に精製するにあたり、精製の後段で使用した廃水を触媒失活用及び/又は水洗の前段用の水として再利用することを特徴とする請求項7記載の重合体の精製方法。
  9. 1)一般式MXn (Mは金属原子、Xはハロゲン原子または炭素数1〜5の一価アルキル基、nは金属の酸化数に対応する整数)で表されるルイス酸を触媒とし重合体が析出しない溶解度の範囲内で行うカチオンリビング重合において、生成する重合体を含む反応溶液を、水もしくは酸性水で処理することにより上記触媒を失活させ、次にこれを重合体が含まれる有機相と触媒が溶解している水相を分液し触媒を重合体から効率良く分離した後、2)回分式または連続式に有機相を繰り返し水洗し重合体を更に精製するにあたって、3)精製の後段で使用した廃水を触媒失活用の水とする水洗水の再利用方法。
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