JP2007254592A - イソブチレン系ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

イソブチレン系ブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ルイス酸残渣が少なく、透明性の高い樹脂が得られ、コストや環境上の問題も少ないイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】 ルイス酸存在下に、イソブチレンを主成分とする単量体成分(A)及びイソブチレンを主成分としない単量体成分(B)を順次加えてリビングカチオン重合させることによりイソブチレン系ブロック共重合体を得た後、この反応溶液と、反応溶液100重量部に対して1〜10重量部の水とを混合して、反応溶液と水が均一になるように当該混合溶液を撹拌処理することにより、透明性の高いイソブチレン系ブロック共重合体を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、重合触媒に由来する触媒残渣含有量が低いイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法に関する。
イソブチレンなどのカチオン重合性を有する単量体成分を重合する方法として、ルイス酸存在下に、塩化メチル等のハロゲン化炭化水素系溶媒とメチルシクロヘキサン等の脂肪族または芳香族炭化水素系溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いて、上記単量体成分をカチオン重合する方法がある。
これらの明細書中には、触媒の除去方法として、反応溶液に少量のメタノールを添加することにより触媒を失活させた後、大量のメタノール中に反応溶液を添加して重合体を再沈殿することにより、重合体と触媒を分離する方法が記載されている。また、カチオン重合後の反応溶液を大量の水に投入して触媒を失活させるとともに、水相と有機相を分離することにより重合体と触媒を分離する方法も開示されている(特許文献1〜4)。
米国特許第4946899号公報 特公平7−59601号公報 特開平7−196724号公報 特開平11−349648号公報
上記のとおり、従来は、反応後の重合溶液を大量の水やメタノールに投入して、重合体と触媒を分離していた。しかし、大量の水を用いる方法では、ルイス酸由来の残渣の除去を十分に行うことができず、樹脂の着色を防ぐことができなかった。一方、メタノールを用いる方法では、ルイス酸残渣の除去は可能であるが、樹脂分離後の溶媒が回収できないためコストアップにつながっていた。また、回収できない溶媒は廃棄する必要があり、環境上の問題となっていた。
本発明は、上記現状を鑑み、触媒残渣が極めて少なく、透明性の高いイソブチレン系ブロック共重合体を与えることが可能であって、コストや環境上の問題も少ない製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねた結果、カチオン重合終了後の重合体溶液を水で失活する場合に、反応溶液100重量部に対し10重量部以下の少量の水を用いることで前記課題を解決可能であることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、ルイス酸存在下に、イソブチレンを主成分とする単量体成分(A)及びイソブチレンを主成分としない単量体成分(B)を順次加えてリビングカチオン重合させることによりイソブチレン系ブロック共重合体を得た後、この反応溶液とに、反応溶液100重量部に対して1〜10重量部の水とを混合して、反応溶液と水が均一になるように当該混合溶液を撹拌することを特徴とするイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法に関する。
好ましい実施態様としては、ルイス酸存在下に、イソブチレンを主成分とする単量体成分(A)及びイソブチレンを主成分としない単量体成分(B)を順次加えてリビングカチオン重合させることによりイソブチレン系ブロック共重合体を得た後、この反応溶液と、反応溶液100重量部に対して2〜5重量部の水とを混合して、反応溶液と水が均一になるように当該混合溶液を撹拌することを特徴とするイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法が挙げられる。
好ましい実施態様としては、リビングカチオン重合により得たイソブチレン系ブロック共重合体の反応溶液と、水とを混合して、反応溶液と水が均一になるように当該混合溶液を撹拌した後、ルイス酸残渣量が一定になった時点で、更に水10〜200重量部を混合して、反応溶液と水が均一になるように当該混合溶液を撹拌することを特徴とするイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法が挙げられる。
好ましい実施態様としては、イソブチレンを主成分としない単量体成分(B)が芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックであるイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法が挙げられる。
本発明の方法によれば、触媒残渣が極めて少なく、透明性の高いイソブチレン系ブロック共重合体を提供することができる。また、本発明の方法によれば、従来に比べて低コストで製造が可能であって、本発明の方法は環境上の負荷も少ないという点で有利である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明でいうイソブチレン系ブロック共重合体とは、(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと(B)イソブチレン以外の単量体成分を主体として構成される重合体ブロックからなるブロック共重合体である。このようなブロック共重合体は、開始剤存在下で、ルイス酸触媒を用いて、イソブチレンを主体とする単量体成分と、イソブチレン以外の単量体を主体とする単量体成分をカチオン重合することによって得ることができる。
イソブチレン以外の単量体成分を主体として構成される重合体ブロックとしては、例えば、芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックが挙げられる。芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。更に好ましい芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンからなる群から選ばれた1種以上の単量体を使用することが好ましく、コストの面からスチレン、α−メチルスチレン、あるいはこれらの混合物を用いることが特に好ましい。また、芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体成分は、物性及び重合特性等のバランスから、芳香族ビニル系単量体の含有量が60重量%以上、好ましくは80重量%以上であることが好ましい。
本発明の(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロック中の芳香族ビニル系単量体以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、シラン類、ビニルカルバゾール、β−ピネン、アセナフチレン等の単量体が例示できる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用される。
脂肪族オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキセン、オクテン、ノルボルネン等が挙げられる。
ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。
ビニルエーテル系単量体としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、(n−、イソ)プロピルビニルエーテル、(n−、sec−、tert−、イソ)ブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテル等が挙げられる。
シラン化合物としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
また、本発明の(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックは、イソブチレン以外の単量体を含んでいても含んでいなくても良いが、イソブチレンを60重量%以上含有しているのが好ましく、80重量%以上含有するしているのが更に好ましい。イソブチレン以外の単量体としてはカチオン重合可能な単量体であれば特に制限はないが、例えば上記の単量体等が挙げられる。
イソブチレンを主体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックの割合に関しては、特に制限はないが、各種物性の面から、イソブチレンを主体とする重合体ブロックが95から40重量%、芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックが5から60重量%であることが好ましく、イソブチレンを主体とする重合体ブロックが85から50重量%、芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックが15から50重量%であることが特に好ましい。
またイソブチレン系ブロック共重合体の数平均分子量にも特に制限はないが、流動性、加工性、物性等の面から、10000〜500000であることが好ましく、30000〜400000であることが特に好ましい。イソブチレン系ブロック共重合体の数平均分子量が上記範囲より低い場合には、機械的な物性が十分に発現されない傾向にある。一方、上記範囲を超える場合には流動性、加工性の面で不利である。
本発明におけるカチオン重合に用いられる重合溶媒としては、カチオン重合で一般的に使用される溶媒であれば特に限定されず、ハロゲン化炭化水素からなる溶媒、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素等の非ハロゲン系の溶媒又はこれらの混合物を用いることができる。上記ハロゲン化炭化水素としては、特に限定されず、塩化メチル、塩化メチレン、1−クロロプロパン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルブタン、1−クロロ−3−メチルブタン、1−クロロ−2,2−ジメチルブタン、1−クロロ−3,3−ジメチルブタン、1−クロロ−2,3−ジメチルブタン、1−クロロペンタン、1−クロロ−2−メチルペンタン、1−クロロ−3−メチルペンタン、1−クロロ−4−メチルペンタン、1−クロロヘキサン、1−クロロ−2−メチルヘキサン、1−クロロ−3−メチルヘキサン、1−クロロ−4−メチルヘキサン、1−クロロ−5−メチルヘキサン、1−クロロヘプタン、1−クロロオクタン、2−クロロプロパン、2−クロロブタン、2−クロロペンタン、2−クロロペンタン、2−クロロヘキサン、2−クロロヘプタン、2−クロロオクタン、クロロベンゼン等が使用でき、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。本発明で使用できる脂肪族及び/又は芳香族系炭化水素としては、ブタン、ペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用可能である。なかでも、炭素数3〜8の1級及び2級のモノハロゲン化炭化水素と脂肪族及び芳香族炭化水素との混合溶媒を用いることが、イソブチレン系ブロック共重合体の溶解度、コストの点から好ましく、1−クロロブタンとヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンの組み合わせが最適である。
なお、カチオン重合の際に用いる開始剤としては、下記式(1)で表わされる化合物を用いるのが好ましい。
Figure 2007254592
[式中、複数のR1は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表わす。R2は、1価若しくは多価の芳香族炭化水素基又は1価若しくは多価の脂肪族炭化水素基を表わす。Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基又はアシルオキシル基を表わす。nは、R2の価数に等しく、1〜6の整数を表わす。nが2以上の場合、複数のXは、同一であってもよく、異なっていてもよい。]
上記一般式(1)で表わされる化合物は、ルイス酸等の存在下炭素陽イオンを生成し、カチオン重合の開始点になる。本発明で用いられる一般式(1)の化合物の例としては、次のような化合物等が挙げられる。(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C65C(CH32Cl]、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,4−Cl(CH32CC64C(CH32Cl]、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,3−Cl(CH32CC64C(CH32Cl]、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,3,5−(ClC(CH32363]、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン[1,3−(C(CH32Cl)2−5−(C(CH33)C63]。
これらの中でも特に好ましいのは(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C65C(CH32Cl〕、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C64(C(CH32Cl)2]である[なおビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、ビス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンあるいはジクミルクロライドとも呼ばれる]。
本発明においては、イソブチレン系ブロック共重合体を重合する際に、さらにルイス酸触媒を共存させる。このようなルイス酸としてはカチオン重合に使用できるものであれば良く、TiCl4、TiBr4、BCl3、BF3、BF3・OEt2、SnCl4、SbCl5、SbF5、WCl6、TaCl5、VCl5、FeCl3、ZnBr2、AlCl3、AlBr3等の金属ハロゲン化物;Et2AlCl、EtAlCl2等の有機金属ハロゲン化物を好適に使用することができる。中でも触媒としての能力、工業的な入手の容易さを考えた場合、TiCl4、BCl3、SnCl4が好ましい。ルイス酸の使用量は、特に限定されないが、使用する単量体の重合特性あるいは重合濃度等を鑑みて設定することができる。通常は一般式(1)で表される化合物に対して0.1〜100モル当量使用することができ、好ましくは1〜60モル当量の範囲である。
イソブチレン系ブロック共重合体の重合に際しては、さらに必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。この電子供与体成分は、カチオン重合に際して、成長炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体の添加によって分子量分布の狭い構造が制御された重合体が生成する。使用可能な電子供与体成分としては特に限定されないが、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、または金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
各成分の使用量は目的とする重合体の特性によって適宜設計することが可能である。まずイソブチレン系単量体及びイソブチレンとは別種のカチオン重合性単量体と一般式(1)で表わされる化合物のモル当量関係によって、得られる重合体の分子量が決定できる。通常得られるブロック共重合体の数平均分子量が10000〜500000程度になるように設定される。
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−30℃〜−80℃である。
本発明におけるイソブチレン系ブロック共重合体は、イソブチレンを主体とする重合体ブロック及び芳香族ビニル系単量体を主成分とする単量体からなる重合体ブロックを有しているものであれば特に制限はなく、例えば、直鎖状、分岐状、星状等の構造を有するブロック共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体等のいずれも選択可能である。好ましいブロック共重合体としては、例えば、芳香族ビニル系単量体を主体とする重合体ブロック−イソブチレンを主体とする重合体ブロック−芳香族ビニル系単量体を主体とする重合体ブロックからなるトリブロック共重合体、芳香族ビニル系単量体を主体とする重合体ブロック−イソブチレンを主体とする重合体ブロックからなるジブロック共重合体、芳香族ビニル系単量体を主体とする重合体ブロックとイソブチレンを主体とする重合体ブロックからなるアームを3つ以上有する星型ブロック共重合体、又はこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。
上記のごとく製造されたイソブチレン系ブロック共重合体は、カチオン重合終了後にブロック共重合体、溶媒、ルイス酸、場合によっては電子供与体成分を含む混合溶液となる。イソブチレン系ブロック共重合体を単離するためには、溶媒、ルイス酸、電子供与体の除去が必要となる。
本発明では、カチオン重合終了後に、反応溶液100重量部に対し、1〜10重量部の水を反応溶液に加えることにより、ルイス酸等の除去を行う。添加する水の量は、2〜5重量部であるのがより好ましい。ルイス酸残渣の水への溶解性は、水の酸性度が高いほうが高くなることが知られている。そのため、重合に使用するルイス酸量に対し失活に使用する水の量が多くなるほど、溶解性は低くなる。そのため、水量が10重量部以上になると、ルイス酸残渣が水に移行しにくくなり、樹脂着色が顕著となってくるものと考えられる。一方、水量が1重量部以下の場合は、反応溶液と水の分離が困難となり、そのため、ルイス酸残渣の除去効率も低下する。
本発明の、使用する水を少量にしたイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法は、反応溶液の粘度が高い場合に特に有効であり、また、反応溶液粘度が低い場合でも、ルイス酸残渣除去時間を短くすることが可能である。なお、反応溶液と水を混合撹拌することにより、ルイス酸残渣が水相に移行するが、重合体の構造や重合体溶液の濃度によっても、その移行速度が変化する。重合体の分子量が高い場合や溶液濃度が高い場合は水の拡散し難さにより、その移行速度が低下する。ここで、ルイス酸残渣が除去できたかどうかは、実際に撹拌途中でサンプリングしてルイス酸残渣量を測定し、ルイス酸残渣量がほぼ一定量となっていることを確認することにより行う。なお、反応溶液が透明になれば、ルイス酸が除去できているとの目安とすることもできる。
更に、上記混合撹拌操作時に加温することも、ルイス酸除去の点で有効である。これは、加温することにより、イソブチレン系ブロック共重合体溶液の粘度が低下し、水との混合が容易になるためであると考えられる。加温の程度は、使用する溶媒または水の沸点までが好ましい。
本発明でのルイス酸残渣の除去、洗浄に用いられる装置としては、撹拌機を備えた容器であって、混合溶液を均一に撹拌できる装置であれば特に制限はない。撹拌翼の形状にも特に制約はなく、スクリュー翼、プロペラ翼、アンカー翼、パドル翼、ピッチトパドル翼、タービン翼、大型格子翼等の任意の翼を使用することができる。容器の材質としては、ルイス酸を取り扱うため耐酸性のものが好ましい。
イソブチレン系ブロック共重合体溶液(ルイス酸残渣を含む)と少量の水の混合物を撹拌後、油相と水相が分離するまで静置し、水相を除去することによりルイス酸残渣が取り除かれたイソブチレン系ブロック共重合体溶液が得られる。得られた溶液中には、ルイス酸が加水分解して生成した酸成分が残存する場合があるが、酸成分の除去は水による洗浄を数回繰り返すことで達成される。重合体溶液と少量の水の撹拌によりルイス酸残渣が除去できた時点で、水を更に追加し、ルイス酸残渣濃度を低くしておくと、酸成分除去のための水による洗浄回数を少なくすることができる。
重合体溶液と少量の水を撹拌した後、ルイス酸残渣が一定になった時点(ルイス酸残渣ほぼ除去できたと判断できた時点)で添加する水の量は、反応溶液100重量部に対して10〜200重量部である。10重量部未満の場合、酸成分除去のための洗浄効果がほとんどなく、200重量部より多い場合は、水による洗浄での酸成分除去効果は高くなるが、水を大量に使用するために大きな反応槽が必要となり、コストアップにつながる。また、水を投入したり排出するのに時間がかかり、生産性が低下する。水を添加した混合溶液は、反応溶液と水が均一になるように撹拌を行う。酸成分量は、洗浄した後の廃水の電気伝導率を測定して、廃水中の酸成分濃度を算出することにより確認することが可能である。廃水中の電気伝導率が低い値を示した場合、廃水中の酸成分濃度が低いことを示している。例えば、1×10-4モル/Lの塩酸水溶液の電気伝導率は50μS/cmの値を示す。樹脂溶液と水中の酸成分濃度が同一と仮定すれば、廃水の電気伝導率が50μS/cm以下の値となれば、酸成分がほとんど除去できたと考えられる。
本発明の製造法により得られた組成物は、一般的な熱可塑性樹脂に制振性及びガスバリアー性を付与できると共に、透明性が必要な材料として使用できる。具体的には、食品用途、日用雑貨、玩具・運動用具用途、文具用途、自動車内外装用途、土木・建築用途、粘着材用途、家電機器用途、衣料・履物用途、医療用途、衛生用品、包装輸送資材、電線用途等に利用可能である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本実施例に示すブロック共重合体の分子量は、Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製ShodexK−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)を用い測定し、数平均分子量はポリスチレン換算で表記した。スチレン含量は1H−NMR(GEMINI300:Varian社製、溶媒:CDCl3)の測定を行い、フェニル基部位とアルキル基部位の積分曲線比より算出した。酸成分除去のための水による洗浄後の廃水の電気伝導率は、電気伝導率計(電気化学計器(株)製AOC−10)により測定した。触媒成分の残量の指標であるチタンは、ICP質量分析(横河アナリティカルシステムズ(株)製HP−4500)にて定量した。得られた樹脂の色相(YI)は、2mm厚のプレスシートを作成し、色差計(日本電色工業(株)製SE−2000)により測定した。なお、YI値が高い値を示す方が、樹脂の着色度合いが大きい。
(製造例1)
撹拌機付き2Lの反応容器に1−クロロブタン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)510mL、ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)57mL、p−ジクミルクロライド0.35g、2−メチルピリジン0.33gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、イソブチレン165mLを添加した。更に四塩化チタン2.2mLを加えて重合を開始し、−70℃で1.5時間攪拌した。次いで反応溶液にスチレン55mLを添加し、更に1時間反応させ重合体溶液640gを得た。
(実施例1)
撹拌機付き3Lの反応容器に純水25gを加えた。製造例1で得られた重合体溶液500gを反応容器に投入し、55℃に加熱し、重合体溶液と水が均一になるようにして1時間撹拌した。撹拌終了後30分間静置して、その後に水相を除去した。更に、得られた重合体溶液に純水500gを添加し、30分間撹拌した。撹拌を止め、30分静置後、水相を除去した。上記水による洗浄操作を更に4回繰り返した。表1に水洗後の水の電気伝導率を示す。得られた重合体溶液から溶媒を留去し、更に、80℃の真空乾燥機で24時間乾燥することにより、イソブチレン系ブロック共重合体固形物を得た。イソブチレン系ブロック共重合体の分子量を測定した結果、数平均分子量が88000、分子量分布が1.42であった。また、スチレン含量は31重量%であった。
(実施例2)
初期に加える純水を12.5g用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
(実施例3)
撹拌機付き3Lの反応容器に純水25gを加えた。製造例1で得られた重合体溶液500gを反応容器に投入し、55℃に加熱し、1時間均一に撹拌した。1時間撹拌後、純水を更に475g添加し、30分均一に撹拌した。撹拌終了後、30分間静置し、水相を除去した。更に、得られた重合体溶液に純水500gを添加し、30分間撹拌した。撹拌を止め、30分静置後、水相を除去した。上記水による洗浄操作を更に2回繰り返した。表1に水洗後の水の電気伝導率を示す。
(比較例1)
初期に加える純水を330g用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
(比較例2)
初期に加える純水を100g用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
(比較例3)
初期に加える純水を2.5g用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
表1に実施例、比較例の重合体溶液の透明性、樹脂シートの色差、樹脂中のTi含量を示す。
Figure 2007254592
実施例1〜3では、乾燥しプレス成形したシートのYI値はいずれも15程度であった。樹脂中のTi原子含量はいずれも20〜30ppm程度であった。実施例1では純水による洗浄操作を4回繰返すことで、洗浄水の電気伝導率が69μS/cmとなった。反応溶液と少量の水を撹拌後に更に水を添加した実施例3では、その後の純水よる洗浄操作を2回実施することで、洗浄水の電気伝導率が49μS/cmとなった。
実施例に対し、初期に用いる水量を増加させた比較例1,2では、乾燥した樹脂シートのYI値は22、31と実施例に対し高い値となった。また、樹脂中のTi原子含量は80〜100ppmと高い値となり、Ti除去が不十分である結果となった。
一方、実施例に対し、初期に用いる水量を減少させた比較例3では、撹拌終了後に静置しても、油相と水相の分離が不十分であり、水相を少量しか除去できなかった。得られた樹脂シートのYI値は28と高く、Ti原子含量も83ppmと高い値を示した。
以上の実施例、比較例より重合後の反応溶液100重量部に対し、1〜5重量部の水で失活処理することによりイソブチレン系ブロック共重合体よりルイス酸残渣を効果的に除去することが可能であり、得られたシートも高い透明性を示すことがわかる。

Claims (4)

  1. ルイス酸存在下に、イソブチレンを主成分とする単量体成分(A)及びイソブチレンを主成分としない単量体成分(B)を順次加えてリビングカチオン重合させることによりイソブチレン系ブロック共重合体を得た後、この反応溶液と、反応溶液100重量部に対して1〜10重量部の水とを混合し、反応溶液と水が均一になるように当該混合溶液を撹拌することを特徴とするイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法。
  2. ルイス酸存在下に、イソブチレンを主成分とする単量体成分(A)及びイソブチレンを主成分としない単量体成分(B)を順次加えてリビングカチオン重合させることによりイソブチレン系ブロック共重合体を得た後、この反応溶液と、反応溶液100重量部に対して2〜5重量部の水とを混合して、反応溶液と水が均一になるように当該混合溶液を撹拌することを特徴とする請求項1記載のイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法。
  3. リビングカチオン重合により得たイソブチレン系ブロック共重合体の反応溶液と、水とを混合して、反応溶液と水が均一になるように当該混合溶液を撹拌した後、ルイス酸残渣量が一定になった時点で、更に水10〜200重量部を混合して、反応溶液と水が均一になるように当該混合溶液を撹拌することを特徴とする請求項1または2記載のイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法。
  4. イソブチレンを主成分としない単量体成分(B)が芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法。
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