JPH07196724A - カチオン重合体の精製工程における触媒の除去方法 - Google Patents

カチオン重合体の精製工程における触媒の除去方法

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JPH07196724A
JPH07196724A JP35067493A JP35067493A JPH07196724A JP H07196724 A JPH07196724 A JP H07196724A JP 35067493 A JP35067493 A JP 35067493A JP 35067493 A JP35067493 A JP 35067493A JP H07196724 A JPH07196724 A JP H07196724A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カチオン重合によって生成した重合体を精製
する際に、触媒を重合体の含まれる有機層から効率良く
分離すること。 【構成】 ルイス酸触媒を用いた溶解系のカチオン重
合において、重合終了後に反応溶液を水、あるいは酸性
水溶液により処理し触媒を失活させ、次にこれを重合体
が含まれる有機相と触媒が溶解している水層とに分液し
触媒を重合体から分離する触媒の除去方法、前記重合
体が含まれる有機相と触媒が溶解している水相とに分液
し触媒を重合体から除いた後、繰り返し水洗で重合体を
精製する方法、並びに前記精製の後段で使用した廃水
を触媒失活用の水とする水洗水の再利用方法。 【効果】 重合体の高度な精製が可能となると共に、精
製に要する水の使用量を低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカチオン重合における触
媒の効率的な失活・除去方法、並びに重合体の効率的な
精製法及び精製に要する水の使用量低減方法に関する。
詳細にはルイス酸触媒を用いた溶解系のカチオン重合に
おいて、重合終了後に反応溶液を水、あるいは酸性水溶
液により処理し触媒を失活させ、次にこれを重合体が含
まれる有機相と触媒が溶解している水相とに分液し触媒
を重合体から効率良く分離する方法、並びに繰り返し水
洗で重合体を精製する工程において精製の後段で使用し
た廃水を触媒失活用の水として再利用し、水の使用量を
低減する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来カチオン重合は反応中の連鎖移動が
大きく分子量の制御が困難であること、官能基導入が難
しいこと等の理由によって、重合体の構造制御が難しい
重合方法と考えられてきた。例えば組成として51モル
%以上のイソブチレン単位を含むイソブチレン系重合体
(以下簡単のためイソブチレン系重合体と記す)は連鎖
移動を避けるために一般に極低温でのカチオン重合によ
り製造されるが、高分子量のイソブチレン系重合体は重
合中に析出するため粘稠な固体として系外に取り出され
るが、室温で必要な流動性を示さない、溶剤に対する溶
解性が乏しい、架橋が困難といった問題があり成形・加
工材料としての用途が限定されている。
【0003】しかしながら近年ケネディ氏らの精力的な
検討によってカチオンリビング重合は大きな進歩を見
せ、重合体の数平均分子量を任意にコントロールしたり
更に分子内に種々の官能基を導入したりすることが可能
となった(J.P.Kennedy and B.Ivan著 Designed Polyme
rs by Carbocationic Molecular Engineering: Theorya
nd Practice, Carl Hanser Verlag, Munich 1992)。分
子量や末端への官能基導入率がコントロールされたテレ
ケリック重合体は官能基を様々な方法で架橋に関与させ
ることにより、高分子量重合体の成形・加工性に関わる
欠点を改良することができるので、接着剤、粘着剤、塗
料、コーティング材、弾性シーリング材、電気電子用封
止材等の原料として有望である。重合体の構造を良く制
御するためには重合溶剤の組成を適切に選択し重合体を
析出させないことが重要であり、本発明者らはイソブチ
レン系重合体の優れたゴム的弾性、電気絶縁性、低い水
蒸気透過性を生かすために工業的に有利なテレケリック
重合体の製造方法確立に取り組んできた。
【0004】カチオン重合において用いたルイス酸触媒
は重合体中に残存すると腐食や酸の発生を引き起こすた
め、重合後適切な方法によって失活させ取り除かなけれ
ばならない。例えば高分子量イソブチレン系重合体の場
合には粘稠な重合体を水、あるいは熱水中に注いで触媒
を失活させることは古くから公知の技術である。一方テ
レケリック重合体においてはケネディ氏らはメタノール
等の予冷されたアルコール類やアミン類等を用いる方法
を賞用している(特公昭62−48704、特公昭64
−62308、特公平1−318014など)が、有機
溶媒を使用するため回収コストを考えると工業的な製造
には不向きである。またケネディ氏らはこういった有機
溶剤以外に飽和重曹水等のアルカリ性水溶液によって触
媒を失活させ、有機相を無水硫酸マグネシウムのような
無機脱水剤を用いて乾燥させる方法も開示している(特
公昭63−105005)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
に反応溶液をアルカリ性水溶液で処理した場合、失活し
た触媒は組成の一定しないハロゲン化物/水酸化物/酸
化物の混合物質となり一部が有機相中に残ってしまうこ
とが、発明者らの検討の結果明らかとなった。このよう
な組成の一定しない触媒残渣は非常に長い時間をかけて
加水分解を受けて酸を発生するため、これよりも後の工
程、例えば溶媒留去等において望ましくない高分子量体
の副生、機器の腐食等の悪影響を及ぼすことがわかっ
た。このようにして内部に残った酸は水洗等の通常の精
製操作によって取り除くことが著しく困難で、安定的な
製造を行うためには触媒残渣を吸着剤等により吸着させ
た後濾過により取り除く工程が必要となる。
【0006】また析出した触媒残渣の取扱いも析出粒径
が細かく嵩比重が低いために大変厄介で、濾過・遠心分
離・吸着等により有機相から分離する必要があり、工程
が複雑となっている。本発明はこれらの課題を解決し、
カチオン重合に使用された触媒の失活・除去を確実に行
い、得られた重合体を効率よく精製するための方法を提
供するためになされたものであり、また精製における水
洗水の使用量低減化を目的とするものでもある
【0007】
【課題を解決するための手段】上記のような課題を解決
するため本発明者らは触媒の除去方法および重合体の精
製方法について鋭意検討を行い、本発明に至った。すな
わち本発明は一般式MXn (Mは金属原子、Xはハロゲ
ン原子または炭素数1〜5の一価アルキル基、nは金属
の酸化数に対応する整数)で表されるルイス酸を触媒と
し重合体が析出しない溶解度の範囲内で行うカチオン重
合において、生成する重合体を含む反応溶液を、水もし
くは酸性水で処理することにより上記触媒を失活させ、
次にこれを重合体が含まれる有機相と触媒が溶解してい
る水相を分液し触媒を重合体から分離する触媒の除去方
法、一般式MXn (Mは金属原子、Xはハロゲン原子ま
たは炭素数1〜5の一価アルキル基、nは金属の酸化数
に対応する整数)で表されるルイス酸を触媒とし重合体
が析出しない溶解度の範囲内で行うカチオン重合におい
て、生成する重合体を含む反応溶液を、水もしくは酸性
水で処理することにより上記触媒を失活させ、次にこれ
を重合体が含まれる有機相と失活触媒が溶解している水
相を分液し触媒を重合体から除いた後、回分式または連
続式に有機相を繰り返し水洗することを特徴とする重合
体の精製方法、並びに一般式MXn (Mは金属原子、X
はハロゲン原子または炭素数1〜5の一価アルキル基、
nは金属の酸化数に対応する整数)で表されるルイス酸
を触媒とし重合体が析出しない溶解度の範囲内で行うカ
チオン重合において、生成する重合体を含む反応溶液
を、水もしくは酸性水で処理することにより上記触媒を
失活させ、次にこれを重合体が含まれる有機相と触媒が
溶解している水相を分液し触媒を重合体から効率良く分
離した後、2)回分式または連続式に有機相を繰り返し
水洗し重合体を更に精製するにあたって、3)精製の後
段で使用した廃水を触媒失活用の水とする水洗水の再利
用方法である。
【0008】アルカリ性水溶液で酸触媒を失活させるの
は常識的な発想であるが、意外なことに実際には両者が
急激に反応してできる固体層によって残渣内部へのアル
カリ性水溶液の進入が阻まれ、内部には分解されない酸
が残ってしまうことがわかった。このような事実は水洗
を重ねた有機相をpH試験紙に浸すと全体は中性である
にも拘らず、所々斑点状に酸性点が現れることでしばし
ば確認される。本発明者らは水相と有機相の間のルイス
酸の分配平衡を測定し、酸性条件では有機相中の水素イ
オン濃度の対数値と水相中の水素イオン濃度の対数値に
ほぼ一次の関係を認めた。この結果は酸性側ではプロト
ンの移動を妨げるような固体層が形成されないことを示
しており、これを重合体の精製方法に応用した。すなわ
ち本発明の第一である触媒失活方法においては重合後の
重合体を含む反応溶液を、水もしくは酸性水で処理し触
媒を失活させるとともにその大半を水中に抽出させる。
酸触媒の固体を析出させることなしに水側に抽出できる
ことが、アルカリ条件での抽出との大きな違いである。
【0009】触媒失活にあたっては反応溶液と水をでき
るだけ均一に分散させることが必要で、一般に行われる
攪拌による混合分散の他、容器の振とう、超音波の利用
など、分散効率を向上させる操作を必要に応じて取り入
れることができる。分配平衡を考えると失活に使用する
水の液性は酸性が望ましいが、実際にはルイス酸の速や
かな失活によって系中でハロゲン化水素が発生するため
中性の水は全く問題なく使用でき、弱アルカリ性の水で
あっても使用できる場合もある。但しこのような場合で
も失活終了時の液性は酸性である事が必要である。触媒
の析出を抑えるため、必要に応じて若干量の塩酸、硫
酸、酢酸等のプロトン酸を水で希釈しpHを調節した水
溶液を用いることも行われる。
【0010】触媒の失活に使用する水もしくは酸性水の
使用量は処理量、装置形状、失活時間等を考慮して定め
ることができるが、通常反応溶液に対して少なくとも5
体積%以上、好ましくは20体積%以上、さらに好まし
くは40体積%以上が必要である。これ以下の使用量で
は十分に触媒を失活させたり抽出することが難しく、必
要以上に多くの水を使用すると水処理の負荷が大きくな
るのでこれも望ましくない。
【0011】さらに本発明者らは触媒失活時の気温が微
妙に精製工程に影響することに気づき、失活時の温度が
重要な要素であることを発見した。すなわち失活時の水
/反応液混合物の液温が5℃未満となると触媒が抽出困
難な微粒子となって有機相に残留するため、常に5℃以
上に混合物の温度を保つ必要がある。ここで生成する微
粒子状触媒の性状はアルカリ失活を行った場合と似てお
り、一旦生成すると水洗等で除くことは困難である。触
媒の失活自身は発熱反応であるが、実際にはカチオン重
合は−30℃以下の低温で行われることが多く、室温の
水を失活に用いると水/反応液混合物はしばしば0℃付
近まで液温が低下する。使用する水もしくは酸性水及び
/または失活に使用する装置を予め加温し、失活中の温
度を制御することが重要である。失活工程の圧力や所要
時間については特に制限を加えるものではないが、有機
溶剤を使用するため常圧、不活性ガスの存在下で工程を
進めるのが好ましい。水もしくは酸性水を系に投入すれ
ば重合自体は速やかに停止するが、触媒の抽出にはある
程度の時間が必要であり、その温度での抽出平衡に達す
る時間を調べて時間を決定することができる。
【0012】引き続き重合体が含まれる有機相と触媒が
溶解している水相を分液し触媒を重合体から除くが、有
機相と水相の分離方法としては様々な実施態様を取り得
る。すなわち触媒失活に引き続き分離を行う回分式の他
に、失活と分離を同時に行う連続式であっても差し支え
ない。失活・分離は独立した複数の装置をつないで行っ
ても良く、実質的に1つと見なせる容器の中で行っても
良い。分離は両層の比重差を利用したデカンテーション
法の他に、遠心分離等の公知技術の利用が可能である。
【0013】本発明の精製方法ではカチオン重合により
得られるものであれば重合体の種類を選ばないが、組成
比で51モル%以上のイソブチレン単位を含む数平均分
子量1,000以上30,000未満のイソブチレン系
重合体が、重合体の特性から好適な実施態様である。必
要に応じてカチオン重合性のモノマー、例えばプロピレ
ン、n−ブテン等のオレフィン類;ブタジエン、イソプ
レン等の共役ジエン類、1,5−ペンタジエン、1,9
−デカジエン等の非共役ジエン類、スチレン、α−メチ
ルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルビニルエー
テル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ピ
ネン、インデン、ノルボルネン、シクロペンタジエン、
ジシクロペンタジエン等をイソブチレンに共重合してい
ても、本発明の実施に際し何等差し支えない。本発明で
カチオン重合に使用され精製によって取り除かれる触媒
は、一般にルイス酸として分類され重合能を有するもの
であれば特にその種類を問わないが、これも例示するな
らばカチオン重合に使用され精製によって取り除かれる
触媒がAlCl3 、AlBr3 、SnCl4 、TiCl
4 、TiBr4 、VCl5 、FeCl3 、ZnBr2
BF3 、BCl3 等の金属ハロゲン化物、またはEt2
AlCl、EtAlCl2 等の金属ハロゲン化物、また
はEt2 AlCl、EtAlCl2 等の有機金属ハロゲ
ン化物が挙げられる。また、これらの触媒は1種で使用
しても、2種以上で使用してもよい。
【0014】本発明を構成する第二番目の発明は触媒を
重合体から除いた後、有機相を繰り返し水洗し重合体を
さらに高度に精製するもので、なかんずく精製の後段で
使用した廃水を触媒失活用の水として再利用することを
特徴とするものである。 ケネディ氏らが実施している
ような精製に無機乾燥剤を使用する方法は、乾燥剤を使
い捨てにすることから工業的には実現が難しく、微量の
触媒を高度に除くためには有機相を繰り返し水洗するこ
とが現実的である。水洗時にはイオン性夾雑物を含まな
いイオン交換水または蒸留水を用いることが望ましく、
水の使用量は回分式の場合通常反応溶液に対して少なく
とも5体積%以上、好ましくは20体積%以上、さらに
好ましくは40体積%以上であり、デカンテーションや
遠心分離といった通常の方法によって廃水は系外に除か
れる。連続式で水洗を行う場合には有機相の供給量や有
機相中の重合体の濃度、水洗効率等を考慮して水の使用
量を決定されるが、有機相と水の比重差を利用した向流
対向方式が大規模での実施の場合には好ましい。水洗に
よる精製の進行は廃水の電気伝導度やpHによって監視
が可能で、例を示すならば有機相と同体積の水を用いて
廃水電気伝導度が一定の値、通常20〜30μS/cm
を示すまで繰り返し水洗を行えば精製の目的は達せられ
る。
【0015】重合体の精製を高度に行うことと水の使用
量の低減は両立が困難であるが、本発明者らは精製の後
段で使用した廃水を触媒失活用の水として再利用するこ
とを試み、何等問題なく使用できることを見いだした。
これは精製が進むにつれて廃水中の触媒量は減少するた
め、触媒失活用の水として再利用するには十分な純度を
持つためである。ここでは汚れの少ない洗浄廃水を失活
用に用いることを述べたが、同様にして第(m+1)回
目の洗浄廃水(ここでmは自然数を表す)を第m回目の
洗浄水として用いることも、本発明の権利範囲に包含さ
れるものである。排出された廃水は中和処理を行い、触
媒に由来する無機物を析出させて除去し、最終的には活
性汚泥や活性炭吸着により有機汚濁を取り除いて廃棄さ
れる。中和処理を製品である重合体の存在下で行うと重
合体中に触媒の混入が避けられないが、有機相から触媒
を除いた後で中和処理を行えば重合体に残渣が混入する
可能性はなくなる。本発明の第一の触媒失活・抽出工程
と第二の水洗工程はもちろん独立に実施が可能である
が、組み合わせて使用することが一層効果的である。
【0016】
【発明の効果】本発明のイソブチレン系重合体の精製方
法によると、触媒失活と触媒の水もしくは酸性水への抽
出が容易となる。そのためアルカリ性水溶液により触媒
を失活させた場合にしばしば観察された最終的に得られ
る重合体が白濁する現象はなく、重合体は無色透明で夾
雑無機物を事実上含まない。またアルカリ性水溶液とし
て飽和重曹水を用いて反応溶液を処理し、失活が不十分
な触媒種の吸着濾過を行わないまま溶媒を加熱留去した
場合には高分子量体の副生等重合体品質への悪影響が見
られることがあるが、水もしくは酸性水溶液により反応
溶液を処理した場合には、このような品質低下は認めら
れない。さらに精製の後段で使用した廃水を触媒失活用
の水として再利用できることも見いだしたので、水の総
使用量を低減することが可能となりコスト面だけでなく
環境対策の面からも従来の方法に比べ優っている。
【0017】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。 参考例1 ルイス酸の分配平衡を知るために予備実験を行った。分
液ロートにイオン交換水100mL、3重量%の四塩化
チタンを溶解したn−ヘキサン100mLを入れ3分間
強く振とうを続けた。5分間の静置後水相を抜き取りp
Hと電気伝導度を測定し、分液ロートには新しいイオン
交換水100mLを加え同様の操作を繰り返した。なお
全ての操作は22℃の室温で行い、結果を表1に示し
た。
【0018】
【表1】
【0019】参考例2 イオン交換水100mLの代わりにイオン交換水50m
Lを用いた以外は参考例1と全く同様の操作を行った。
結果を表2に示した。また表1、2のpHから抽出が平
衡に達していると仮定して水相/有機相の水素イオン濃
度を求め、結果を図1に示した。
【0020】
【表2】
【0021】図1から明らかなように、有機相中の水素
イオン濃度の対数値と水相中の水素イオン濃度の対数値
の間には一次の相関が見られる。
【0022】重合例1 〔不飽和基含有イソブチレン重合体溶液の作成〕不飽和
基含有重合体の作成は、特願平5−120451記載の
方法に従った。装置図を図2に示す。モノマー貯槽1
1、開始剤溶解槽12、ポリマークッション槽2をN2
置換して、それぞれに各原料、即ちモノマー13、溶剤
14、開始剤15を投入した。モノマー貯槽11にはイ
ソブチレンモノマー1327gを、開始剤溶解槽12に
は開始剤としてp−DCC20.8g、添加剤として酢
酸エチル0.79g及び混合溶剤として塩化メチレン
3.94L(リットル)、ノルマルヘキサン4.16L
を仕込んだ。また、ポリマークッション槽2には1,9
−デカジエン1339g、触媒のTiCl4を919g
を塩化メチレン9.79L、ノルマルヘキサン4.16
L中に仕込み、攪拌機を起動して触媒溶液を調製した。
この触媒溶液を冷却しながら循環ポンプ7で送液し、液
温が一定になるまで(−30℃)循環を続けた。触媒溶
液の液温が一定になったら、イソブチレンモノマー、開
始剤溶液をポンプ16、17でそれぞれ50mL/mi
n、127mL/minの速度で送液し、触媒溶液の循
環している熱交換器型反応器1中に添加した。送液時間
は45分であった。原料送液停止後、末端へのデカジエ
ン導入率を上げるために同一条件でさらに60分循環、
攪拌を続けた。
【0023】実施例1 分液ロートに重合例1で得られた重合体溶液300mL
と氷冷した水道水150mLを加えて3分間強く振とう
を続けた。この時内容物の温度は2℃であった。5分間
の静置後水相を抜き取り触媒失活廃水を捨て、分液ロー
トには新しいイオン交換水75mLを加え水洗を繰り返
した。廃水のpHと電気伝導度を測定し結果を表3に示
した。
【0024】
【表3】
【0025】実施例2 分液ロートに重合例1で得られた重合体溶液200mL
と室温の水道水150mLを加えて3分間強く振とうを
続けた。この時内容物の温度は20℃であった。5分間
の静置後水相を抜き取り失活廃水を捨て、分液ロートに
は新しいイオン交換水50mLを加え水洗を繰り返し
た。廃水のpHと電気伝導度を測定し結果を表4に示し
た。
【0026】
【表4】
【0027】表3、4を比較すると触媒失活時の温度が
低いと、洗浄工程が大きく阻害されることがわかる。繰
り返し洗浄を行っても、一旦生成した微粒の触媒は取り
除くことが困難である。特に表3の5、6回目の水洗を
比較すると、一晩放置でpHが低下し電気伝導度が急上
昇しており、このような触媒も長い時間の内には加水分
解を受けて酸を発生することを示している。失活を20
℃で行うと失活を低温で行った場合に比べ少ない水洗回
数で精製を終えることができた。
【0028】実施例3 分液ロートに重合例1で得られた重合体溶液87mLと
予め30℃に加熱したイオン交換水45mLを加えて3
分間強く振とうを続けた。5分間の静置後水相を抜き取
って廃水のpHと電気伝導度を測定し、分液ロートには
新しいイオン交換水44mLを加え水洗を繰り返した。
結果を表5に示した。
【0029】
【表5】
【0030】実施例4 分液ロートに重合例1で得られた重合体溶液40mLと
予め50℃に加熱したイオン交換水45mLを加えて3
分間強く振とうを続けた。5分間の静置後1相を抜き取
って廃水のpHと電気伝導度を測定し、分液ロートには
新しいイオン交換水20mLを加え水洗を繰り返した。
結果を表6に示した。
【0031】
【表6】
【0032】実施例5 図3に示す装置による実施形態では、重合液24と水を
攪拌槽21へ供給して混合してから、次に遠心分離機2
2にて水相を分離し、有機相25は更に抽出塔23にて
水洗浄されて取り出される。この時、洗浄に用いる水2
6は、まず抽出塔23へ供給されて精製の後段から前段
へと順次使用された後、攪拌槽21へ導入されて遠心分
離機22から取り出されて廃水処理工程29へ排出され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】水相/有機相の水素イオン濃度の測定結果を示
す。
【図2】重合体溶液製造装置図の一例を示す。
【図3】本発明に使用する装置の一例を示す。
【符号の説明】
1:熱交換器型反応器 2:ポリマークッション槽 3:モノマー・開始剤供給管 4:触媒供給管 5:溶剤供給管 6:非共役ジエン供給管 7:循環ポンプ 8:循環ライン 10:製品払出管 11:モノマー貯槽 12:開始剤溶解槽 13:モノマー 14:溶剤 15:開始剤 16:ポンプ 17:ポンプ 21:攪拌槽 22:遠心分離機 23:抽出塔 24:重合液 25:有機相 26:水 27:有機相排出管 28:洗浄廃水導入管 29:廃水処理工程

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式MXn (Mは金属原子、Xはハロ
    ゲン原子または炭素数1〜5の一価アルキル基、nは金
    属の酸化数に対応する整数)で表されるルイス酸を触媒
    とし重合体が析出しない溶解度の範囲内で行うカチオン
    重合において、生成する重合体を含む反応溶液を、水あ
    るいは酸性水で処理することにより上記触媒を失活さ
    せ、次にこれを重合体が含まれる有機相と触媒が溶解し
    ている水相を分液し触媒を重合体から分離する触媒の除
    去方法。
  2. 【請求項2】 触媒の失活に使用する水もしくは酸性水
    及び/または失活に使用する装置を予め加温し、失活時
    の水/反応液混合物の液温を5℃以上に保つことを特徴
    とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 カチオン重合により得られる上記重合体
    が、組成比で51モル%以上のイソブチレン単位を含む
    数平均分子量1,000以上30,000未満の重合体
    であることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 カチオン重合に使用され精製によって取
    り除かれる触媒がAlCl3 、AlBr3 、SnC
    4 、TiCl4 、TiBr4 、VCl5 、FeC
    3 、ZnBr2 、BF3 、BCl3 等の金属ハロゲン
    化物、およびEt2 AlCl、EtAlCl2 等の有機
    金属ハロゲン化物から少なくとも1種選ばれてなるルイ
    ス酸である請求項1、2または3記載の方法。
  5. 【請求項5】 触媒の失活に使用する水もしくは酸性水
    の使用量が、反応溶液に対して少なくとも5体積%以上
    である請求項1、2、3または4記載の方法。
  6. 【請求項6】 触媒の失活に使用する酸性水として、塩
    酸、硫酸、酢酸等のプロトン酸を水で希釈した水溶液を
    用いることを特徴とする請求項1、2、3、4または5
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 一般式MXn (Mは金属原子、Xはハロ
    ゲン原子または炭素数1〜5の一価アルキル基、nは金
    属の酸化数に対応する整数)で表されるルイス酸を触媒
    とし重合体が析出しない溶解度の範囲内で行うカチオン
    重合において、生成する重合体を含む反応溶液を、水も
    しくは酸性水で処理することにより上記触媒を失活さ
    せ、次にこれを重合体が含まれる有機相と失活触媒が溶
    解している水相を分液し触媒を重合体から除いた後、回
    分式または連続式に有機相を繰り返し水洗することを特
    徴とする重合体の精製方法。
  8. 【請求項8】 触媒を重合体から除いた後、回分式また
    は連続式に有機相を繰り返し水洗し重合体を更に高度に
    精製するにあたり、精製の後段で使用した廃水を触媒失
    活用及び/又は水洗の前段用の水として再利用すること
    を特徴とする請求項7記載の重合体の精製方法。
  9. 【請求項9】 1)一般式MXn (Mは金属原子、Xは
    ハロゲン原子または炭素数1〜5の一価アルキル基、n
    は金属の酸化数に対応する整数)で表されるルイス酸を
    触媒とし重合体が析出しない溶解度の範囲内で行うカチ
    オン重合において、生成する重合体を含む反応溶液を、
    水もしくは酸性水で処理することにより上記触媒を失活
    させ、次にこれを重合体が含まれる有機相と触媒が溶解
    している水相を分液し触媒を重合体から効率良く分離し
    た後、2)回分式または連続式に有機相を繰り返し水洗
    し重合体を更に精製するにあたって、3)精製の後段で
    使用した廃水を触媒失活用の水とする水洗水の再利用方
    法。
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