JP2004123997A - イソブチレン系重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ルイス酸を触媒とする重合反応において生成したイソブチレン系重合体から触媒の残さを効率的に除去することを可能とし、透明度の高いイソブチレン系重合体を製造する方法を提供する。
【解決手段】ルイス酸を触媒とする重合反応により生成したイソブチレン系重合体を含む反応溶液を水と接触させることにより失活させた触媒の残さを、無機凝集剤を用いて重合体から除去することを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法。
【選択図】
なし
【解決手段】ルイス酸を触媒とする重合反応により生成したイソブチレン系重合体を含む反応溶液を水と接触させることにより失活させた触媒の残さを、無機凝集剤を用いて重合体から除去することを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法。
【選択図】
なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イソブチレン系重合体の製造方法、詳細には、ルイス酸を触媒とする重合反応により生成したイソブチレン系重合体から触媒の残さを効率的に除去することを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カチオン重合は反応中の連鎖移動が大きく分子量の制御が困難であること、官能基導入が難しいこと等の理由によって、重合体の構造制御が難しい重合方法と考えられてきた。しかしながら近年、リビングカチオン重合技術は大きな進歩を見せ、重合体の数平均分子量を任意にコントロールしたり更に分子内に種々の官能基を導入したりすることが可能となった。
【0003】
イソブチレンとスチレン等の芳香族ビニル系単量体とをカチオン重合することにより、イソブチレンを主成分とする重合体ブロックと芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体の製造法については、例えば、米国特許第4946899号(特許文献1)明細書に、塩化メチルとメチルシクロヘキサンを組み合わせた混合溶媒中での製造方法が開示されている。
【0004】
また、特公平7−59601号公報(特許文献2)にも、塩化メチレンとヘキサンからなる混合溶媒中で、イソブチレン重合体ブロックとスチレン重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法が開示されている。
【0005】
一般に、カチオン重合に使用したルイス酸触媒が重合体中に残存すると製品の白濁を招く、あるいは、重合体本来の物性を低下させることがあるため、ルイス酸触媒は失活させて、その失活により生じる化合物とともに充分に除去する必要がある。
【0006】
ルイス酸触媒の失活、除去方法についての検討例は数多く提案されており、例えば、特開平6−287256号公報(特許文献3)には、重合溶液に溶解度係数が24〜30(MPa)1/2の極性溶媒を添加して触媒残さを除去する方法が記載されている。しかしながら、この方法では、その後に遠心分離などの操作が必要であり、実際の製造プロセスでは設備が大がかりとなる。
【0007】
また、特開平7−196724号公報(特許文献4)、特開平8−269118号公報(特許文献5)には、リビングカチオン重合で得られた反応混合物を水洗することにより、ルイス酸等の重合用添加剤を除去する方法が記載されているが、失活された触媒の残さの粒子がかなり小さいために、単なる水洗では洗浄効果は不充分であり、重合体中に触媒残さが含有してしまう、あるいは、それを回避するために大量の水を要し、実際の製造プロセスでは排水処理が大変になるといった問題が発生する。
【0008】
このように、カチオン重合におけるルイス酸触媒の失活、除去方法は、課題を多く抱えているのが現状であり、触媒残さの除去を効率よく達成でき、かつ、実際の製造プロセスにも採用可能な簡便な方法が望まれていた。
【0009】
【特許文献1】米国特許第4946899号
【0010】
【特許文献2】特公平7−59601号
【0011】
【特許文献3】特開平6−287256号
【0012】
【特許文献4】特開平7−196724号
【0013】
【特許文献5】特開平8−269118号
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、ルイス酸を触媒とする重合反応において生成したイソブチレン系重合体から触媒の残さを効率的に除去する方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するため、本発明者らはイソブチレン系重合体の製造方法について鋭意検討を行い、本発明に至った。
【0016】
すなわち本発明は、ルイス酸を触媒とする重合反応により生成したイソブチレン系重合体を含む反応溶液を水と接触させることにより失活させた触媒の残さを、無機凝集剤を用いて重合体から除去することを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0017】
好ましい実施態様としては、無機凝集剤がポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ塩化第2鉄、ポリ硫酸第2鉄より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0018】
好ましい実施態様としては、ルイス酸が金属ハロゲン化物であることを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0019】
好ましい実施態様としては、ルイス酸がTiCl4、SnCl4、AlCl3より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0020】
好ましい実施態様としては、イソブチレン系重合体が、イソブチレンを主体として構成されるイソブチレン重合体であることを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0021】
好ましい実施態様としては、イソブチレン系重合体が、イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体であることを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0022】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明でいうイソブチレン重合体とは、組成比で51モル%以上のイソブチレン単位を含む数平均分子量1,000以上100,000未満の重合体であり、具体的には、イソブチレン単量体をルイス酸触媒の存在下で開始剤と共にカチオン重合して得られるものである。
【0024】
また、本発明でいうイソブチレン系ブロック共重合体とは、(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックからなるものであり、具体的には、イソブチレンと芳香族ビニル系単量体などの単量体をルイス酸触媒の存在下で開始剤と共にカチオン重合して得られるものである。
【0025】
イソブチレン系ブロック共重合体の数平均分子量にも特に制限はないが、流動性、加工性、物性等の面から、30000〜500000であることが好ましく、50000〜400000であることが特に好ましい。
【0026】
(A)のイソブチレンを主体として構成される重合体ブロックは、通常、イソブチレン単位を60重量%以上、好ましくは80重量%以上含有する重合体ブロックである。また、(B)の芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックは、通常、芳香族ビニル系単量体単位を60重量%以上、好ましくは80重量%以上含有する重合体ブロックである。
【0027】
芳香族ビニル系単量体としては特に限定されず、例えば、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、インデン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、コストの面から、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン又はこれらの混合物が特に好ましい。
【0028】
本発明におけるルイス酸触媒は、カチオン重合に使用できるものであれば特に限定されず、TiCl4、BCl3、BF3、AlCl3、SnCl4等の金属ハロゲン化物、または(CH3CH2)2AlCl、CH3CH2AlCl2等の有機金属ハロゲン化物が挙げられる。そのなかでも、イソブチレン系重合体を対象とする重合反応には金属ハロゲン化物が一般的に使用されるが、BCl3などは極めて高価で工業原料としては実用性に欠けるなどの理由により、TiCl4、SnCl4、AlCl3が特に好ましい。これらは一種、または2種以上の組み合わせて使用することができる。
【0029】
上記カチオン重合において用いられる重合溶媒としては特に限定されず、ハロゲン化炭化水素からなる溶媒、非ハロゲン系の溶媒又はこれらの混合物を用いることができる。好ましくは、炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素と脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒である。
【0030】
上記炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素としては特に限定されず、塩化メチル、塩化メチレン、1−クロロブタン、クロロベンゼンなどを挙げることができる。また、上記脂肪族及び/又は芳香族系炭化水素としては特に限定されず、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。
【0031】
なお、カチオン重合の際に用いる開始剤としては、下記式(I)で表される化合物を用いるのが好ましい。
【0032】
(CR1R2X)nR3 (I)
[式中、Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基若しくはアシロキシ基を表す。R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6の1価炭化水素基を表し、R1とR2は同一であっても異なっていてもよい。R3は多価芳香族炭化水素基又は多価脂肪族炭化水素基を表す。nは1〜6の自然数を示す。]
上記一般式(I)の化合物の具体例としては、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼン[C6H4(C(CH3)2Cl)2]が挙げられる[なお、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼンはジクミルクロライドとも呼ばれる]。
【0033】
カチオン重合に際しては、更に必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。このような化合物として、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、又は、金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
【0034】
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下、例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−80℃〜−30℃である。
【0035】
本発明でいう、反応溶液とは、一般に、上記のようにして合成された重合体と、上記の重合溶媒及びルイス酸触媒等からなる溶液のことをいうが、これに限定されるものではない。
【0036】
このような反応溶液に対し水を接触させることにより、ルイス酸と水との配位子交換が生じることでルイス酸触媒は失活し、重合反応は停止する。失活したルイス酸は水に溶解されるために、水を分離することでルイス酸を重合体を含む溶液(以下、ルイス酸触媒失活後の重合体を含む溶液を重合体溶液とよぶ)から分離することができるが、水相と重合体溶液との完全な分離は困難であり、重合体溶液中に触媒残さは多少なりとも取り込まれた状態となる。したがって、触媒を重合体から高度に取り除くためには、一旦、水相を重合体溶液と分液して払い出し、重合体溶液を繰り返し洗浄するのが一般的である。
【0037】
重合体に取り込まれている触媒残さは粒子径が小さいために、従来の水だけの洗浄では効率が悪いため、本発明では、洗浄水に無機凝集剤を添加することにより触媒残さを凝集させて粒子を肥大化させることを図った。粒子肥大化により触媒残さを沈降しやすくし、また、後工程の濾過工程での捕集効率を高めることで、除去効率向上を実現するに至った。使用する無機凝集剤として、アルミニウム塩、鉄塩、マグネシウム塩などがあり、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、塩化第2鉄、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどが挙げられる。無機凝集剤には、凝集性塩類と高分子凝集剤があるが、無機高分子凝集剤が好適である。無機高分子凝集剤は、強力な凝集作用があり大きなフロックを形成する、フロックの生成・沈降速度が速い、スラッジの濾過性が優れているなどの特徴がある。無機高分子凝集剤として、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ塩化第2鉄、ポリ硫酸第2鉄などが挙げられるが、その中でも、入手のし易さ、純度の高いものが流通していることなどから、ポリ塩化アルミニウムが好適である。無機凝集剤の使用量は触媒残さの量により異なるが、0.01%〜10%水溶液として使用する。
【0038】
なお、高度に触媒残さを取り除くためには、上記のように、触媒残さが少ない状態である重合体の水洗過程で無機凝集剤を添加する方が効果は大きく好ましいが、触媒失活過程で触媒失活に使用する水に無機凝集剤を添加しても効果は発現する。
【0039】
洗浄水のpHについては、特に限定はないが、凝集剤の最適pHが中性近傍にあることが多いことと、排水はいずれ排水処理工程で中和処理する必要があることから、洗浄水に塩基性水溶液を添加して排水pHを中性にしておくことも可能である。pH調整に使用する塩基性水溶液は特に限定はないが、取り扱い易さから水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液が好適である。
【0040】
水洗にはイオン性夾雑物を含まないイオン交換水または蒸留水を用いることが望ましく、水の使用量は回分式の場合、通常、重合溶液に対して少なくとも5体積%以上、好ましくは20体積%以上、さらに好ましくは40体積%以上であり、静置分離によって洗浄水は系外に除かれる。連続式で水洗を行う場合には重合溶液の供給量や重合体の濃度、水洗効率等を考慮して水の使用量は決定される。
【0041】
高度に触媒残さを除去するには、触媒失活、水洗後の重合体溶液を濾過処理すればよい。この濾過に対しても、水洗工程で触媒を肥大化させておくことは好都合である。濾過の装置としては、フィルターにより固液分離するものであれば限定されない。濾過の迅速化のために、重合体溶液中に、ケイソウ土、シリカ、合成ゼオライト、パーライトなどの濾過助剤を添加(ボディフィード)してもよいし、予め濾過装置に濾過助剤のベッドを形成(プレコート)してから濾過を行ってもよい。濾材としては、金網を有するリーフフィルター、布製フィルター(濾布)、合成樹脂製フィルター、紙製フィルター(濾紙)などが挙げられる。実際の製造工程では、その中でも強度と繰り返し使用が可能な点で金網を有するリーフフィルター、布製フィルター(濾布)などが好ましい。
【0042】
以下に、四塩化チタン触媒を用いたイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法を例に、触媒失活、水洗操作について更に詳細に説明する。
【0043】
本発明ではルイス酸触媒の失活、水洗に用いられる装置としては攪拌機を備えた容器が好適に用いられる。攪拌翼の形状には特に制約はなく、スクリュー翼、プロペラ翼、アンカー翼、パドル翼、ピッチトパドル翼、タービン翼、大型格子翼等の任意の翼を使用することができる。
【0044】
また、触媒失活、水洗に用いる容器は内温を制御する機能を持つことができれば特に形状その他に制約はなく、一般に使用される撹拌機とジャケットを備えた反応容器を使用することができる。この他、攪拌の効率を高めるためにバッフル、あるいは同様の効果を持つ保護管入り温度計等が容器中にあっても何ら差し支えない。
【0045】
水を張った上記容器に、四塩化チタン触媒を用いて重合したイソブチレン系重合体溶液を移液する。重合体の移液の際に、重合体溶液の粘度低下を目的として重合溶媒をあわせて投入してもよい。重合体溶液と水を攪拌混合することで、重合体溶液と水を接触させ触媒を失活させる。この触媒失活反応により酸化チタンと塩化水素が生成する。酸化チタンの多くは水相に抽出され、静置分離して水相を払い出す。触媒失活が完了した重合体溶液に、引き続いて新たに水洗用の水を投入する。この際に、無機凝集剤であるポリ塩化アルミニウムを添加する。あわせて、水酸化ナトリウム水溶液など塩基性水溶液を添加してもよい。触媒失活操作と同様、攪拌混合した後、静置分離し、凝集剤適用で凝集した触媒残さを含む水洗水を払い出す。必要であれば、水洗操作を再度行う。触媒失活、水洗後の重合体溶液は、溶剤蒸発して重合体を単離する前に、濾過処理を行えば、さらに触媒残さを低減できる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0047】
本発明では、以下の分析機器を使用した。
【0048】
分子量:Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)。
【0049】
濁度:日本電子工業(株)製の濁度計(型式NDH−300A)。
【0050】
(製造例1)
攪拌機付き2L反応容器に、1−クロロブタン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)737g、ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)60.9g、p−ジクミルクロライド0.407gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、イソブチレン119gを添加した。さらに四塩化チタン4.67gを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら75分間反応させた。次いで反応溶液にスチレン57.4gを添加し、さらに85分間反応を続けて、最終的に重量平均分子量約120,000、重合濃度18%のイソブチレン−スチレンブロック共重合体溶液を得た。
【0051】
(実施例1)
攪拌機付き2L反応容器においてあらかじめ60℃に加温しておいたイオン交換水930gに、製造例1の方法で得た重合体溶液を投入した。溶液の温度を約60℃に調節しながら120分間攪拌混合し、触媒を失活させた。30分間静置分離し、水相を払い出した。次に、重合体溶液にポリ塩化アルミニウム0.2重量%を含むイオン交換水930gを投入し、約60℃に調節しながら30分間攪拌混合し、水洗1回目を終えた。30分間静置分離し、水相を払い出した。水相のpHは3.8であった。次に、重合体溶液にイオン交換水930gを投入し、約60℃に調節しながら30分間攪拌混合し、水洗2回目を終えた。30分間静置分離し、水相を払い出した。重合体溶液を目開き4μmの紙製フィルター(濾紙)を用いて濾過処理を行った後、真空乾燥機にて溶剤を蒸発させ、イソブチレン−スチレンブロック共重合体を単離した。これをプレス機にかけて2mm厚みのシート状とし、シート状にした重合体の濁度を濁度計にて測定した。測定の結果、濁度は10hazeであった。目視でも重合体の透明度は問題ないことが観察された。結果を表1に示す。
【0052】
(実施例2)
水洗1回目で、ポリ塩化アルミニウム0.2%を含むイオン交換水を水酸化ナトリウム水溶液でpH調整を行ったこと(払い出し水のpHは6.5であった)以外は実施例1と同様の処理を行った。シート状にした重合体の濁度を濁度計にて測定した結果、濁度は10hazeであった。目視でも重合体の透明度は問題ないことが観察された。結果を表1に併せて示す。
【0053】
(実施例3)
触媒失活に用いるイオン交換水にポリ塩化アルミニウム0.2%を含有させたこと、そのかわりに、水洗1回目にはイオン交換水にポリ塩化アルミニウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の処理を行った。シート状にした重合体の濁度を濁度計にて測定した結果、濁度は15hazeであった。目視でも重合体の透明度は問題ないことが観察された。結果を表1に併せて示す。
【0054】
(比較例1)
水洗1回目で、ポリ塩化アルミニウムを入れなかったこと以外は実施例1と同様の処理を行った。シート状にした重合体の濁度を濁度計にて測定した結果、濁度は19hazeであった。重合体は白濁しており、不満足なものであった。結果を表1に併せて示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
本発明により、ルイス酸を触媒とする重合反応において生成したイソブチレン系重合体から効率的に触媒の残さを除去することを可能とし、透明度の高い重合体を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、イソブチレン系重合体の製造方法、詳細には、ルイス酸を触媒とする重合反応により生成したイソブチレン系重合体から触媒の残さを効率的に除去することを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カチオン重合は反応中の連鎖移動が大きく分子量の制御が困難であること、官能基導入が難しいこと等の理由によって、重合体の構造制御が難しい重合方法と考えられてきた。しかしながら近年、リビングカチオン重合技術は大きな進歩を見せ、重合体の数平均分子量を任意にコントロールしたり更に分子内に種々の官能基を導入したりすることが可能となった。
【0003】
イソブチレンとスチレン等の芳香族ビニル系単量体とをカチオン重合することにより、イソブチレンを主成分とする重合体ブロックと芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体の製造法については、例えば、米国特許第4946899号(特許文献1)明細書に、塩化メチルとメチルシクロヘキサンを組み合わせた混合溶媒中での製造方法が開示されている。
【0004】
また、特公平7−59601号公報(特許文献2)にも、塩化メチレンとヘキサンからなる混合溶媒中で、イソブチレン重合体ブロックとスチレン重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法が開示されている。
【0005】
一般に、カチオン重合に使用したルイス酸触媒が重合体中に残存すると製品の白濁を招く、あるいは、重合体本来の物性を低下させることがあるため、ルイス酸触媒は失活させて、その失活により生じる化合物とともに充分に除去する必要がある。
【0006】
ルイス酸触媒の失活、除去方法についての検討例は数多く提案されており、例えば、特開平6−287256号公報(特許文献3)には、重合溶液に溶解度係数が24〜30(MPa)1/2の極性溶媒を添加して触媒残さを除去する方法が記載されている。しかしながら、この方法では、その後に遠心分離などの操作が必要であり、実際の製造プロセスでは設備が大がかりとなる。
【0007】
また、特開平7−196724号公報(特許文献4)、特開平8−269118号公報(特許文献5)には、リビングカチオン重合で得られた反応混合物を水洗することにより、ルイス酸等の重合用添加剤を除去する方法が記載されているが、失活された触媒の残さの粒子がかなり小さいために、単なる水洗では洗浄効果は不充分であり、重合体中に触媒残さが含有してしまう、あるいは、それを回避するために大量の水を要し、実際の製造プロセスでは排水処理が大変になるといった問題が発生する。
【0008】
このように、カチオン重合におけるルイス酸触媒の失活、除去方法は、課題を多く抱えているのが現状であり、触媒残さの除去を効率よく達成でき、かつ、実際の製造プロセスにも採用可能な簡便な方法が望まれていた。
【0009】
【特許文献1】米国特許第4946899号
【0010】
【特許文献2】特公平7−59601号
【0011】
【特許文献3】特開平6−287256号
【0012】
【特許文献4】特開平7−196724号
【0013】
【特許文献5】特開平8−269118号
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、ルイス酸を触媒とする重合反応において生成したイソブチレン系重合体から触媒の残さを効率的に除去する方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するため、本発明者らはイソブチレン系重合体の製造方法について鋭意検討を行い、本発明に至った。
【0016】
すなわち本発明は、ルイス酸を触媒とする重合反応により生成したイソブチレン系重合体を含む反応溶液を水と接触させることにより失活させた触媒の残さを、無機凝集剤を用いて重合体から除去することを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0017】
好ましい実施態様としては、無機凝集剤がポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ塩化第2鉄、ポリ硫酸第2鉄より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0018】
好ましい実施態様としては、ルイス酸が金属ハロゲン化物であることを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0019】
好ましい実施態様としては、ルイス酸がTiCl4、SnCl4、AlCl3より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0020】
好ましい実施態様としては、イソブチレン系重合体が、イソブチレンを主体として構成されるイソブチレン重合体であることを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0021】
好ましい実施態様としては、イソブチレン系重合体が、イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体であることを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0022】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明でいうイソブチレン重合体とは、組成比で51モル%以上のイソブチレン単位を含む数平均分子量1,000以上100,000未満の重合体であり、具体的には、イソブチレン単量体をルイス酸触媒の存在下で開始剤と共にカチオン重合して得られるものである。
【0024】
また、本発明でいうイソブチレン系ブロック共重合体とは、(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックからなるものであり、具体的には、イソブチレンと芳香族ビニル系単量体などの単量体をルイス酸触媒の存在下で開始剤と共にカチオン重合して得られるものである。
【0025】
イソブチレン系ブロック共重合体の数平均分子量にも特に制限はないが、流動性、加工性、物性等の面から、30000〜500000であることが好ましく、50000〜400000であることが特に好ましい。
【0026】
(A)のイソブチレンを主体として構成される重合体ブロックは、通常、イソブチレン単位を60重量%以上、好ましくは80重量%以上含有する重合体ブロックである。また、(B)の芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックは、通常、芳香族ビニル系単量体単位を60重量%以上、好ましくは80重量%以上含有する重合体ブロックである。
【0027】
芳香族ビニル系単量体としては特に限定されず、例えば、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、インデン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、コストの面から、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン又はこれらの混合物が特に好ましい。
【0028】
本発明におけるルイス酸触媒は、カチオン重合に使用できるものであれば特に限定されず、TiCl4、BCl3、BF3、AlCl3、SnCl4等の金属ハロゲン化物、または(CH3CH2)2AlCl、CH3CH2AlCl2等の有機金属ハロゲン化物が挙げられる。そのなかでも、イソブチレン系重合体を対象とする重合反応には金属ハロゲン化物が一般的に使用されるが、BCl3などは極めて高価で工業原料としては実用性に欠けるなどの理由により、TiCl4、SnCl4、AlCl3が特に好ましい。これらは一種、または2種以上の組み合わせて使用することができる。
【0029】
上記カチオン重合において用いられる重合溶媒としては特に限定されず、ハロゲン化炭化水素からなる溶媒、非ハロゲン系の溶媒又はこれらの混合物を用いることができる。好ましくは、炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素と脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒である。
【0030】
上記炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素としては特に限定されず、塩化メチル、塩化メチレン、1−クロロブタン、クロロベンゼンなどを挙げることができる。また、上記脂肪族及び/又は芳香族系炭化水素としては特に限定されず、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。
【0031】
なお、カチオン重合の際に用いる開始剤としては、下記式(I)で表される化合物を用いるのが好ましい。
【0032】
(CR1R2X)nR3 (I)
[式中、Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基若しくはアシロキシ基を表す。R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6の1価炭化水素基を表し、R1とR2は同一であっても異なっていてもよい。R3は多価芳香族炭化水素基又は多価脂肪族炭化水素基を表す。nは1〜6の自然数を示す。]
上記一般式(I)の化合物の具体例としては、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼン[C6H4(C(CH3)2Cl)2]が挙げられる[なお、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼンはジクミルクロライドとも呼ばれる]。
【0033】
カチオン重合に際しては、更に必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。このような化合物として、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、又は、金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
【0034】
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下、例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−80℃〜−30℃である。
【0035】
本発明でいう、反応溶液とは、一般に、上記のようにして合成された重合体と、上記の重合溶媒及びルイス酸触媒等からなる溶液のことをいうが、これに限定されるものではない。
【0036】
このような反応溶液に対し水を接触させることにより、ルイス酸と水との配位子交換が生じることでルイス酸触媒は失活し、重合反応は停止する。失活したルイス酸は水に溶解されるために、水を分離することでルイス酸を重合体を含む溶液(以下、ルイス酸触媒失活後の重合体を含む溶液を重合体溶液とよぶ)から分離することができるが、水相と重合体溶液との完全な分離は困難であり、重合体溶液中に触媒残さは多少なりとも取り込まれた状態となる。したがって、触媒を重合体から高度に取り除くためには、一旦、水相を重合体溶液と分液して払い出し、重合体溶液を繰り返し洗浄するのが一般的である。
【0037】
重合体に取り込まれている触媒残さは粒子径が小さいために、従来の水だけの洗浄では効率が悪いため、本発明では、洗浄水に無機凝集剤を添加することにより触媒残さを凝集させて粒子を肥大化させることを図った。粒子肥大化により触媒残さを沈降しやすくし、また、後工程の濾過工程での捕集効率を高めることで、除去効率向上を実現するに至った。使用する無機凝集剤として、アルミニウム塩、鉄塩、マグネシウム塩などがあり、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、塩化第2鉄、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどが挙げられる。無機凝集剤には、凝集性塩類と高分子凝集剤があるが、無機高分子凝集剤が好適である。無機高分子凝集剤は、強力な凝集作用があり大きなフロックを形成する、フロックの生成・沈降速度が速い、スラッジの濾過性が優れているなどの特徴がある。無機高分子凝集剤として、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ塩化第2鉄、ポリ硫酸第2鉄などが挙げられるが、その中でも、入手のし易さ、純度の高いものが流通していることなどから、ポリ塩化アルミニウムが好適である。無機凝集剤の使用量は触媒残さの量により異なるが、0.01%〜10%水溶液として使用する。
【0038】
なお、高度に触媒残さを取り除くためには、上記のように、触媒残さが少ない状態である重合体の水洗過程で無機凝集剤を添加する方が効果は大きく好ましいが、触媒失活過程で触媒失活に使用する水に無機凝集剤を添加しても効果は発現する。
【0039】
洗浄水のpHについては、特に限定はないが、凝集剤の最適pHが中性近傍にあることが多いことと、排水はいずれ排水処理工程で中和処理する必要があることから、洗浄水に塩基性水溶液を添加して排水pHを中性にしておくことも可能である。pH調整に使用する塩基性水溶液は特に限定はないが、取り扱い易さから水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液が好適である。
【0040】
水洗にはイオン性夾雑物を含まないイオン交換水または蒸留水を用いることが望ましく、水の使用量は回分式の場合、通常、重合溶液に対して少なくとも5体積%以上、好ましくは20体積%以上、さらに好ましくは40体積%以上であり、静置分離によって洗浄水は系外に除かれる。連続式で水洗を行う場合には重合溶液の供給量や重合体の濃度、水洗効率等を考慮して水の使用量は決定される。
【0041】
高度に触媒残さを除去するには、触媒失活、水洗後の重合体溶液を濾過処理すればよい。この濾過に対しても、水洗工程で触媒を肥大化させておくことは好都合である。濾過の装置としては、フィルターにより固液分離するものであれば限定されない。濾過の迅速化のために、重合体溶液中に、ケイソウ土、シリカ、合成ゼオライト、パーライトなどの濾過助剤を添加(ボディフィード)してもよいし、予め濾過装置に濾過助剤のベッドを形成(プレコート)してから濾過を行ってもよい。濾材としては、金網を有するリーフフィルター、布製フィルター(濾布)、合成樹脂製フィルター、紙製フィルター(濾紙)などが挙げられる。実際の製造工程では、その中でも強度と繰り返し使用が可能な点で金網を有するリーフフィルター、布製フィルター(濾布)などが好ましい。
【0042】
以下に、四塩化チタン触媒を用いたイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法を例に、触媒失活、水洗操作について更に詳細に説明する。
【0043】
本発明ではルイス酸触媒の失活、水洗に用いられる装置としては攪拌機を備えた容器が好適に用いられる。攪拌翼の形状には特に制約はなく、スクリュー翼、プロペラ翼、アンカー翼、パドル翼、ピッチトパドル翼、タービン翼、大型格子翼等の任意の翼を使用することができる。
【0044】
また、触媒失活、水洗に用いる容器は内温を制御する機能を持つことができれば特に形状その他に制約はなく、一般に使用される撹拌機とジャケットを備えた反応容器を使用することができる。この他、攪拌の効率を高めるためにバッフル、あるいは同様の効果を持つ保護管入り温度計等が容器中にあっても何ら差し支えない。
【0045】
水を張った上記容器に、四塩化チタン触媒を用いて重合したイソブチレン系重合体溶液を移液する。重合体の移液の際に、重合体溶液の粘度低下を目的として重合溶媒をあわせて投入してもよい。重合体溶液と水を攪拌混合することで、重合体溶液と水を接触させ触媒を失活させる。この触媒失活反応により酸化チタンと塩化水素が生成する。酸化チタンの多くは水相に抽出され、静置分離して水相を払い出す。触媒失活が完了した重合体溶液に、引き続いて新たに水洗用の水を投入する。この際に、無機凝集剤であるポリ塩化アルミニウムを添加する。あわせて、水酸化ナトリウム水溶液など塩基性水溶液を添加してもよい。触媒失活操作と同様、攪拌混合した後、静置分離し、凝集剤適用で凝集した触媒残さを含む水洗水を払い出す。必要であれば、水洗操作を再度行う。触媒失活、水洗後の重合体溶液は、溶剤蒸発して重合体を単離する前に、濾過処理を行えば、さらに触媒残さを低減できる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0047】
本発明では、以下の分析機器を使用した。
【0048】
分子量:Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)。
【0049】
濁度:日本電子工業(株)製の濁度計(型式NDH−300A)。
【0050】
(製造例1)
攪拌機付き2L反応容器に、1−クロロブタン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)737g、ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)60.9g、p−ジクミルクロライド0.407gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、イソブチレン119gを添加した。さらに四塩化チタン4.67gを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら75分間反応させた。次いで反応溶液にスチレン57.4gを添加し、さらに85分間反応を続けて、最終的に重量平均分子量約120,000、重合濃度18%のイソブチレン−スチレンブロック共重合体溶液を得た。
【0051】
(実施例1)
攪拌機付き2L反応容器においてあらかじめ60℃に加温しておいたイオン交換水930gに、製造例1の方法で得た重合体溶液を投入した。溶液の温度を約60℃に調節しながら120分間攪拌混合し、触媒を失活させた。30分間静置分離し、水相を払い出した。次に、重合体溶液にポリ塩化アルミニウム0.2重量%を含むイオン交換水930gを投入し、約60℃に調節しながら30分間攪拌混合し、水洗1回目を終えた。30分間静置分離し、水相を払い出した。水相のpHは3.8であった。次に、重合体溶液にイオン交換水930gを投入し、約60℃に調節しながら30分間攪拌混合し、水洗2回目を終えた。30分間静置分離し、水相を払い出した。重合体溶液を目開き4μmの紙製フィルター(濾紙)を用いて濾過処理を行った後、真空乾燥機にて溶剤を蒸発させ、イソブチレン−スチレンブロック共重合体を単離した。これをプレス機にかけて2mm厚みのシート状とし、シート状にした重合体の濁度を濁度計にて測定した。測定の結果、濁度は10hazeであった。目視でも重合体の透明度は問題ないことが観察された。結果を表1に示す。
【0052】
(実施例2)
水洗1回目で、ポリ塩化アルミニウム0.2%を含むイオン交換水を水酸化ナトリウム水溶液でpH調整を行ったこと(払い出し水のpHは6.5であった)以外は実施例1と同様の処理を行った。シート状にした重合体の濁度を濁度計にて測定した結果、濁度は10hazeであった。目視でも重合体の透明度は問題ないことが観察された。結果を表1に併せて示す。
【0053】
(実施例3)
触媒失活に用いるイオン交換水にポリ塩化アルミニウム0.2%を含有させたこと、そのかわりに、水洗1回目にはイオン交換水にポリ塩化アルミニウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の処理を行った。シート状にした重合体の濁度を濁度計にて測定した結果、濁度は15hazeであった。目視でも重合体の透明度は問題ないことが観察された。結果を表1に併せて示す。
【0054】
(比較例1)
水洗1回目で、ポリ塩化アルミニウムを入れなかったこと以外は実施例1と同様の処理を行った。シート状にした重合体の濁度を濁度計にて測定した結果、濁度は19hazeであった。重合体は白濁しており、不満足なものであった。結果を表1に併せて示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
本発明により、ルイス酸を触媒とする重合反応において生成したイソブチレン系重合体から効率的に触媒の残さを除去することを可能とし、透明度の高い重合体を得ることができる。
Claims (6)
- ルイス酸を触媒とする重合反応により生成したイソブチレン系重合体を含む反応溶液を水と接触させることにより失活させた触媒の残さを、無機凝集剤を用いて重合体から除去することを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法。
- 無機凝集剤がポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ塩化第2鉄、ポリ硫酸第2鉄より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載のイソブチレン系重合体の製造方法。
- ルイス酸が金属ハロゲン化物であることを特徴とする請求項1または2記載のイソブチレン系重合体の製造方法。
- ルイス酸がTiCl4、SnCl4、AlCl3より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項3記載のイソブチレン系重合体の製造方法。
- イソブチレン系重合体が、イソブチレンを主体として構成されるイソブチレン重合体であることを特徴とする請求項1〜4記載のイソブチレン系重合体の製造方法。
- イソブチレン系重合体が、イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜4記載のイソブチレン系重合体の製造方法。
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JP2002293162A JP2004123997A (ja) | 2002-10-07 | 2002-10-07 | イソブチレン系重合体の製造方法 |
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JP2010037313A (ja) * | 2008-08-08 | 2010-02-18 | Hitachi Chem Co Ltd | (メタ)アクリル酸エステルの製造方法及び樹脂組成物 |
WO2017047335A1 (ja) * | 2015-09-16 | 2017-03-23 | 株式会社カネカ | (メタ)アクリロイル末端ポリイソブチレン系重合体の製造方法 |
-
2002
- 2002-10-07 JP JP2002293162A patent/JP2004123997A/ja active Pending
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