JP3327157B2 - アルミニウム材表面処理廃液の処理方法 - Google Patents

アルミニウム材表面処理廃液の処理方法

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JP3327157B2 JP01696597A JP1696597A JP3327157B2 JP 3327157 B2 JP3327157 B2 JP 3327157B2 JP 01696597 A JP01696597 A JP 01696597A JP 1696597 A JP1696597 A JP 1696597A JP 3327157 B2 JP3327157 B2 JP 3327157B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウム又
はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面処理
廃液の処理方法に係り、特に硫酸コバルト溶液等のコバ
ルト塩溶液を用いるアルミニウム材の電解着色処理にお
いて、Coイオンを回収して再利用する閉回路を構成す
る装置のメンテナンス時に不可避的に発生するCoイオ
ン含有のメンテナンス廃液を処理するための方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム材は、船舶、車両、機械等の種々の部
品や、サッシ等の建築材料、その他電気製品、事務用
品、日用品等の多くの分野で広範に用いられており、こ
のようなアルミニウム材については、その耐久性を改善
するために表面に陽極酸化皮膜を形成せしめる陽極酸化
処理や、その意匠性を向上させるために表面に着色皮膜
を形成せしめる電解着色処理等の表面処理が行われてい
る。
【0003】そして、アルミニウム材の陽極酸化処理に
おいては、その前工程として行われるエッチング工程に
おいてエッチング浴として大量の水酸化ナトリウム溶液
が用いられ、また、陽極酸化工程において陽極酸化浴と
して大量の硫酸溶液が用いられるが、エッチング工程か
ら排出されるエッチング老化浴については、例えば、結
晶性水酸化アルミニウムの存在下に加水分解してアルミ
ニウム分を工業的に有用な結晶性水酸化アルミニウムと
して回収すると共に、アルミニウム分の低減したアルミ
ン酸ナトリウム溶液を再生エッチング浴として循環使用
することが行われており(アルカリ再生工程)、また、
陽極酸化工程から排出される陽極酸化老化浴について
は、例えば、そのまま工業薬品用原料として利用するこ
とが行われている。
【0004】また、アルミニウム材の電解着色処理にお
いては、処理液として一般に重金属塩溶液が用いられる
が、濃色着色性や耐候性に優れていることから硫酸コバ
ルト溶液からなる電解着色浴が広く用いられており、そ
して、この電解着色工程では、電解着色浴に用いられる
コバルト金属が高価であり、しかも、Coイオンが排水
中に流出すると環境上好ましくないので、Coイオンが
外部に漏洩しないようにこの電解着色処理を閉回路(ク
ローズドシステム)に構成し、Coイオンをほぼ完全に
回収して再利用することが行われている。
【0005】そして、この電解着色処理においては、そ
の電解着色工程で電解着色槽から抜き出された電解着色
老化浴については製品品質に有害な蓄積不純物、アルミ
ニウム、ナトリウム、アンモニウム等を除去して再び電
解着色浴として再生したり、あるいは、電解着色処理後
の水洗工程で用いた洗浄排水については濃縮又は濃縮と
不純物除去とを施した後に電解着色浴に還流させること
が行われており、その際には種々のイオン交換樹脂を充
填した脱不純物塔の使用が必須であるほか、プレフィル
ターや逆浸透膜等も用いられ(例えば、特開昭51−1
3161号公報、特開昭51−42358号公報、特開
昭53−127329号公報、特開昭57−29418
号公報等)、これらの装置が閉回路を構成している。
【0006】しかるに、これら電解着色処理の電解着色
工程や水洗工程で閉回路を構成するために用いられてい
るイオン交換樹脂の脱不純物塔やその他のプレフィルタ
ーや逆浸透膜等の種々の装置については、これらの装置
に吸着され、あるいは、蓄積されてくる不純物を除去す
るために、定期的にあるいは不定期的に再生処理を行っ
たり、装置内の清掃を行う必要があり、この閉回路を構
成する装置の再生処理や清掃等のメンテナンスにおい
て、Coイオンを0.2〜4g/リットル廃液(以下、
単に「メンテナンス廃液」と称する)が不可避的に発生
する。
【0007】そして、このメンテナンス廃液について
は、Coイオンのほかに装置内より除去された有害不純
物や再生剤等が含まれるので、これを再利用することは
困難であり、従来においては、電解着色処理以外の他の
アルミニウム材の表面処理に由来する不可避的な表面処
理廃液(すなわち、エッチング工程や陽極酸化工程等の
表面処理の際に発生するガスと共にミストとして飛散
し、排気系に吸収されて発生したり、その他のハンドリ
ングロスとして漏洩する、いわゆる「ミスト等由来の廃
液」や、これら各表面処理の後に行われる水洗工程で発
生する多量の「洗浄水由来の廃液」等)に合流せしめ、
次いでpH5.5〜8.5、好ましくはpH6.0〜
8.0を目標とする中和処理を行い、このメンテナンス
廃液中に含有されるCoイオンを中和処理の際に生成す
る含水ゲル状水酸化アルミニウムスラッジ(以下、単に
「スラッジ」と称する)と共に析出させて回収し、廃棄
処理している。
【0008】しかしながら、このような従来のメンテナ
ンス廃液の処理方法においては、たとえ極微量ではあっ
ても、メンテナンス廃液中に含まれるCoイオンを表面
処理廃液の中和処理の際にスラッジと共に廃棄している
ことになり、その量は陽極酸化皮膜中に析出して着色に
寄与するコバルトの理論量と比較すると約1〜2倍にも
達し、貴重なコバルト金属を無駄に消費していることに
なるほか、表面処理廃液の中和処理の際にそのpH値が
極端に酸性側にずれたり、あるいは、継続的に酸性側に
ずれたような場合には、間欠的に発生するメンテナンス
廃液から持ち込まれるCoイオンの量にもよるが、中和
処理後の排水中のCoイオン量が一時的には例えば約1
0ppm程度にまで上昇する虞もある。
【0009】加えて、表面処理廃液の中和処理により回
収されるスラッジは、比較的多量のアルミニウム分を含
むことから、これを工業薬品用、窯業用、冶金用等の用
途に用いるアルミナ源として活用することも検討されて
いるが、メンテナンス廃液からこのスラッジ中に持ち込
まれたCo水酸化物は利用製品の外観及び性能に悪影響
を及ぼすことから、その利用範囲が制限されることがあ
る。
【0010】ここで、電解着色処理の装置メンテナンス
廃液をこの電解着色処理以外の他の表面処理に由来する
不可避的な表面処理廃液と共に中和処理して回収された
スラッジの組成について、その具体例を示すと、下記表
1の通りである。
【表1】
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、上述した従来のアルミニウム材表面処理廃液の処理
方法における問題点を解消することについて鋭意検討し
た結果、電解着色処理の閉回路を構成する装置のメンテ
ナンスにおいて発生するメンテナンス廃液をそれ以外の
他の表面処理に由来する表面処理廃液と分別して回収
し、メンテナンス廃液を水酸化ナトリウムでアルカリ性
にして固液分離し、Coイオンを水酸化コバルトとして
回収すると共に清澄濾液を表面処理廃液の中和処理に用
いることにより、アルミニウム材の表面処理工程におい
て廃液処理に用いられる水酸化ナトリウムの消費量を特
に増加させることなく、上述した従来の種々の問題点を
解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0012】従って、本発明の目的は、電解着色処理の
閉回路を構成する装置のメンテナンスにおいて不可避的
に発生するCoイオン含有のメンテナンス廃液を処理す
るに際し、高価なコバルト金属を可及的に回収すること
ができると共にCoイオンの排水中への漏洩をほぼ完全
に防止することができ、しかも、電解着色処理以外の他
の表面処理に由来する不可避的な表面処理廃液からCo
イオンをほとんど含有せず、アルミナ源として有効利用
可能なスラッジを得ることができるアルミニウム材表面
処理廃液の処理方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、C
oイオンを回収して再利用するための閉回路が形成され
ている電解着色処理を含むアルミニウム材の表面処理工
程から排出される廃液を処理するに際し、上記電解着色
処理の閉回路を構成する装置のメンテナンス時に不可避
的に発生するCoイオン含有のメンテナンス廃液を電解
着色処理以外の他の表面処理に由来する不可避的な表面
処理廃液と分別して回収し、このメンテナンス廃液を水
酸化ナトリウムでアルカリ性にしてCoイオンを水酸化
物として不溶化せしめ、不溶化した水酸化コバルトを固
液分離して回収すると共に清澄濾液を上記表面処理廃液
の中和処理に用いるアルミニウム材表面処理廃液の処理
方法である。
【0014】本発明方法が適用されるアルミニウム材の
表面処理工程は、少なくともアルミニウム材の耐久性を
改善するために表面に陽極酸化皮膜を形成せしめる陽極
酸化処理と、意匠性を向上させるために表面に着色皮膜
を形成せしめる閉回路の電解着色処理を含むものであ
り、陽極酸化処理については通常その前工程として行わ
れるエッチング工程を含んでいる。
【0015】また、本発明方法において、主として処理
の対象になる廃液は、電解着色処理の電解着色工程や水
洗工程で閉回路を構成しているイオン交換樹脂の脱不純
物塔やその他のプレフィルターや逆浸透膜等の種々の装
置について、定期的にあるいは不定期的に再生処理や清
掃等のメンテナンスを行った際に、装置内残液、イオン
交換樹脂の溶離液、装置の洗浄液等の不純物を比較的多
量に含んで閉回路内には戻すことのできない不可避的に
発生してくる、いわゆるメンテナンス廃液である。
【0016】このメンテナンス廃液の組成は、電解着色
処理の閉回路を構成する装置の構成や、使用する電解着
色浴の組成、更には再生処理や清掃等のメンテナンスの
頻度や手順、メンテナンス時に混入する電解着色浴の
量、等の種々の操業条件によって広範に異なるが、一般
的には概ねCo:0.2〜4g/リットル、Al:0.
01〜0.5g/リットル、Na:1〜4g/リット
ル、Fe:0.01〜0.2g/リットル、Cr:〜
0.04g/リットル、硼酸根(BO3 3- ):0.1〜
2.5g/リットル、硫酸根(SO4 2- ):1〜5g/
リットルであり、また、このメンテナンス廃液の発生量
は、例えば着色アルミニウム材製品10000m2 /日
生産の場合でCo分5〜10kg/日相当である。
【0017】そして、このメンテナンス廃液について
は、もし電解着色浴の混入量が多くて固体濃度が高い場
合には、スラリー濃度が高くなり、成分均一化や固液分
離操作に不都合が生じる虞があるので、好ましくはCo
濃度5g/リットル以下に希釈するのがよい。
【0018】また、閉回路を構成する装置の再生処理や
清掃等のメンテナンスは、通常、自動装置により運転さ
れ、その際に仕上げ洗浄等で用いられてCoイオンをほ
とんど含まない洗浄水については、これをそのままメン
テナンス廃液とは分別して回収される電解着色処理以外
の他の表面処理に由来する不可避的な表面処理廃液(以
下、単に「表面処理廃液」という)に合流させ、処理を
要するメンテンス廃液のCo濃度が希釈されて処理量が
大量になるのを防止できるが、これは設備費や回収され
る水酸化コバルトをどのような製品として処分するかの
方針によって決定できる。
【0019】本発明において、上記メンテナンス廃液
は、表面処理廃液が中和処理されるのとは異なり、水酸
化ナトリウムで完全にアルカリ性側にされ、これによっ
てメンテナンス廃液中のCoイオンを水酸化物として不
溶化せしめる。このCoイオン不溶化処理におけるpH
値は通常9.0〜13.5の範囲であり、硫酸根や硼酸
根が含まれているような場合には、好ましくはpH1
1.0〜13.5で行うのがよい。このCoイオンの不
溶化処理のpH値が9.0より低いと、メンテナンス廃
液中のCoイオンが完全に不溶化されず廃水中のCoイ
オン濃度が減少しない。また、pHが11.0以上にな
ると、水酸化コバルトに吸着される酸根が減少し、Co
収率はほぼ100%に近いままで純度が向上し、有用資
源化がより容易になる。pH13.0を越えると、Co
の溶解が始まるが、なお微量であり、収率にはほとんど
影響がないままAlイオンの溶解が始まり、Alイオン
を溶液中に残すようになるので、回収水酸化コバルトの
純度は更に向上する。しかしながら、pHが13.5を
越えると、水酸化ナトリウムの使用量が急激に増加し、
また、Co溶解量も増加して収率が低下するので、水酸
化ナトリウムを無駄に使用することになる。
【0020】また、本発明において、メンテナンス廃液
中のCoイオンを不溶化処理するに際しては、好ましく
はこのCoイオンの不溶化処理に先駆けて加温するのが
よく、より好ましくは50℃以上常圧沸点以下に、操作
上から更に好ましくは50〜100℃に、更により好ま
しくは70〜80℃に加温するのがよい。このようにC
oイオンの不溶化処理に先駆けてメンテナンス廃液を加
温することにより、生成した水酸化コバルトが凝集し易
くなり、沈降性が向上してCoイオンの不溶化処理の処
理速度が向上するほか、固液分離の際の濾滓の水切れも
よくなり、更に付着水分量も低減して有用資源化がより
容易となる。
【0021】メンテナンス廃液に水酸化ナトリウムを添
加してCoイオンの不溶化処理を行った後、水酸化物と
して析出した水酸化コバルトは固液分離されて回収され
る。この固液分離の方法については、特に制限はない
が、好ましくは加圧濾過、遠心分離等の方法である。
【0022】更に本発明方法においては、メンテナンス
廃液の不溶化処理後に析出した水酸化コバルトを固液分
離して回収した後の清澄濾液を、上記メンテナンス廃液
とは分別して回収された電解着色処理以外の他の表面処
理に由来する不可避的な表面処理廃液に合流させ、この
表面処理廃液を中和処理するためのアルカリ源として利
用する。ここで、表面処理廃液としては、典型的には、
エッチング工程や陽極酸化工程等で不可避的に発生する
ミスト等由来の廃液や、これら各工程の後に行われる水
洗工程で発生する多量の洗浄水由来の廃液等や、更に
は、アルミニウム材の予備酸洗工程、エッチング工程と
陽極酸化工程の間に行われる脱スマット工程等で発生す
る廃液等が挙げられる。
【0023】水酸化コバルトを固液分離した後の清澄濾
液が合流された表面処理廃液は、電解着色処理からのC
oイオンの混入がほとんどないので、従来の表面処理廃
液の中和処理と同様に、pH5.5〜8.5、好ましく
はpH6.0〜8.0の範囲に調整され、凝集剤を添加
して析出したスラッジを固液分離し、得られたスラッジ
はアルミナ源として有用資源化されると共に、清澄な濾
過液については排水として放流される。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて、本発
明の実施の形態を説明する。
【0025】図1は、Coイオンを回収して再利用する
ための閉回路が形成されている電解着色処理を含むアル
ミニウム材の表面処理工程のフローチャートであり、こ
のアルミニウム材の表面処理工程においては、電解着色
処理の電解着色工程及び水洗工程において閉回路を構成
する装置のメンテナンス時に不可避的に発生するCoイ
オン含有のメンテナンス廃液と、この電解着色処理以外
の他の表面処理に由来する不可避的な表面処理廃液とが
分別して回収されるようになっており、また、表面処理
廃液については、予備酸洗工程での洗浄液由来の廃液、
エッチング工程や陽極酸化工程でのミスト等由来の廃
液、これら各工程の中間で行われる水洗工程での洗浄水
由来の廃液がある。
【0026】図2は、上記メンテナンス廃液と表面処理
廃液とを本発明の方法で廃液処理する際のフローチャー
トを示すもので、Coイオンを含まない表面処理廃液は
そのまま水酸化ナトリウム又は硫酸を用いてpH5.5
〜8.5、好ましくはpH6.0〜8.0に調整する中
和処理の工程に移送される。
【0027】また、上記表面処理廃液とは分別して回収
したCoイオンを含むメンテナンス廃液については、そ
の全体を一括するとCo濃度が概ね0.2〜0.4g/
リットルとなるが、図2に点線で示すように、Coイオ
ンをほとんど含まない仕上げ洗浄等で用いられた洗浄水
からなる廃液をそのまま表面処理廃液に合流させれば、
処理対象液のCo濃度は概ね2〜4g/リットルとな
り、メンテナンス廃液の量は1/5〜1/10に減少
し、このメンテナンス廃液の処理の操作性等が向上す
る。
【0028】ところで、電解着色処理の電解着色工程及
び水洗工程において閉回路を構成する装置のメンテナン
スは、通常は所定の周期毎の定期的に行われるものであ
るから、このメンテナンス廃液もその周期毎の間欠的に
発生するものであり、装置のメンテナンス時にそのメン
テナンスにより発生した廃液をまとめて貯槽に回収して
組成を可及的に均一化し、次いで水酸化ナトリウムを用
いてアルカリ性にしてCoイオンを水酸化物として不溶
化させるCo不溶化処理を行うのがよい。
【0029】このCo不溶化処理においては、好ましく
はメンテナンス廃液を50〜100℃に加温し、攪拌下
に例えば25重量%工業用水酸化ナトリウム水溶液を好
ましくはpH9.0〜13.5の範囲内で設定した所定
のpH値に達するまで添加する。このCo不溶化処理
は、バッチ式でも連続式でもよいが、連続式で行う場合
には滞留時間が0.5〜2時間となるようにするのがよ
い。
【0030】このCo不溶化処理により生成した水酸化
コバルトを含むスラリーは、析出した水酸化コバルトの
含有量が多い場合にはそのまま、その含有量が少ない場
合には好ましくは沈降槽を用いて沈降処理し、上澄み液
を除いた濃密部を加圧濾過装置に移送し、固液分離す
る。この際、有機高分子凝集剤の使用は、凝集促進、沈
降性向上及び濾過性向上に有効である。この目的で添加
する有機高分子凝集剤としては、例えば、耐アルカリ性
に優れたポリアクリル酸ナトリウム系のもの(例えば、
興南化学工業(株)製LTX−200等)等が挙げられ
る。
【0031】ここで、スラリーの沈降処理を行う際に
は、Co不溶化処理を常温で行った場合には滞留時間が
24時間程度となるように、また、Co不溶化処理を常
温で行ってその後に凝集剤を添加した場合には滞留時間
が3〜4時間程度となるように、更に、Co不溶化処理
を50〜100℃の加温下に行った場合には滞留時間が
2〜3時間程度となるようにするのがよい。なお、この
スラリーの沈降処理に際しては、例えば、50〜100
℃の加温下に行ったCo不溶化処理後のスラリーとこの
Co不溶化処理前のメンテナンス廃液とを熱交換し、加
温されたスラリーの温度を低下させると共にメンテナン
ス廃液の温度を上昇させて熱回収を行うようにしてもよ
い。
【0032】Co不溶化処理後の水酸化コバルトを含む
スラリーは、加圧濾過装置で固液分離され、必要により
洗浄水で洗浄し、好ましくは水分含有量(105℃乾燥
減量)75%以下として回収し、製品の水酸化コバルト
とする。また、スラリーを固液分離して得られた清澄な
アルカリ性濾液は、ほとんどCoイオンを含まないの
で、上記表面処理廃液の中和処理の工程に移送し、そこ
で中和のための水酸化ナトリウムとして使用する。
【0033】上記表面処理廃液とCo不溶化処理工程を
経て得られた清澄濾液は、中和処理された後に高分子凝
集剤を添加して凝集沈降させ、次いで加圧濾過の工程を
経て生成した含水ゲル状水酸化アルミニウムスラッジ
(スラッジ)を回収し、また、凝集沈降の上澄み液や加
圧濾過の清澄な濾液は、中性であってCoイオンをほと
んど含まず、排水として放流される。
【0034】
【実施例】以下、試験例及び実施例並びに比較例に基づ
いて、本発明を具体的説明する。
【0035】〔試験例〕図1のフローチャートに従っ
て、硫酸コバルト溶液を用いて5500m2 /日の処理
量の電解着処理を行っているアルミニウム材の表面処理
工場から、メンテナンス廃液(組成;Co:3.60g
/リットル、Al:0.23g/リットル、Fe:0.
16g/リットル、Cr:0.04g/リットル、硫酸
根(SO4 2 - ):23.80g/リットル、硼酸根(B
3 3- ):5.96g/リットル)500mlをサンプ
リングし、このメンテナンス廃液に200g/リットル
濃度の水酸化ナトリウム溶液を段階的に添加し、ブフナ
ー漏斗と東洋濾紙No.5A(11cmφ)を用いて−
550mmHgの減圧下に吸引濾過し、濾滓を100m
lの洗浄水で洗浄し、得られた溶液のpH値及びCo濃
度、並びに、湿濾滓を105℃で4時間乾燥した際の減
量を水分とし、また、乾燥物の組成を測定した。結果を
図3のグラフに示す。
【0036】この結果によれば、pH7.0まではCo
イオンはほとんど溶液中に存在し、pH8.0で約60
%が水酸化コバルトとして不溶化し、pH8.5で約9
2%が水酸化コバルトとして不溶化し、更に、pH9.
0で99.7%が水酸化コバルトとして不溶化し、Co
濃度は10mg/リットル以下に低下する。Co濃度1
0mg/リットル以下になると、この溶液を表面処理廃
液中に合流させて中和処理しても、この溶液中に残存し
たCoイオンはそのほとんどが析出するスラッジと共沈
し、中性排水中におけるCo濃度は容易に0.1mg/
リットル以下になる。
【0037】濾滓(水酸化コバルト)中のCo濃度は、
不溶化処理の際のpHが高くなるにつれて高くなってい
るが、pH13までは主として硫酸根(SO4 2- )や硼
酸根(BO3 3- )等の酸性不純物の減少によるものであ
り、pH13.0以上では更にAl分の減少(溶解)に
よるものである。なお、NaOH濃度が高すぎると、例
えば100g/リットル以上では、Co分の溶解が始ま
り、濾滓中のCo濃度及びCo捕集率が急激に低下す
る。
【0038】〔実施例1〕図1に示すようなフローを有
し、1日当たりの処理量が全陽極酸化処理量10000
2 及び全着色処理量5500m2 〔硫酸コバルト(7
水和物)使用量55kg〕であるアルミニウム材の表面
処理工程に、図2に示すようなフローの廃液処理工程を
組み込み、電解着色処理においてその電解着色工程及び
水洗工程の閉回路を構成する装置のメンテナンス時に発
生する廃液(10m3 /日)のうち、Coイオンを全く
含まないか若しくは極微量含む仕上げ洗浄等で用いられ
た洗浄水を、この電解着色処理以外の他の表面処理に由
来する不可避的な表面処理廃液に合流せしめ、残りの廃
液(1ヵ月平均1.3m3 /日)をメンテナンス廃液と
して20m3 容量の貯槽に導き、全体の廃液を均一化し
ながら平均組成Co:3.60g/リットル、Al:
0.23g/リットル、Fe:0.16g/リットル、
Cr:0.040g/リットル、硫酸(H2 SO4 ):
24g/リットル、及び硼酸根(H3 BO3 ):6.0
g/リットルのメンテナンス廃液とし、平均1.3m3
/日の処理量(稼働時間6hr/日)で連続的にCo不
溶化処理を行った。
【0039】貯槽からはメンテナンス廃液を210リッ
トル/hrの速度で抜き出し、容量1.0m3 の不溶化
槽に導入し、攪拌下に工業用25重量%水酸化ナトリウ
ム溶液を添加し、不溶化槽内の溶液のpH値を13.0
に維持し、常温でメンテナンス廃液中のCoイオンの不
溶化処理を行った。
【0040】不溶化槽からは析出した水酸化コバルトを
含むスラリー220リットル/hrを連続的に抜き出
し、このスラリーを耐圧30気圧の加圧濾過器を用いて
連続的に加圧濾過して固液分離し、次いで洗浄水で洗浄
して300リットル/hrの清澄濾液を回収すると共
に、主として水酸化コバルトよりなる濾滓35kgを回
収した。この濾滓中のCo濃度は13.3重量%であっ
た。
【0041】スラリーを加圧濾過して得られた清澄濾液
1.8m3 は、表面処理廃液400m3 に合流させ、p
H6〜8に調整して中和処理し、高分子凝集剤を添加し
て凝集沈降せしめ、その濃密部を加圧濾過してスラッジ
を回収すると共に、凝集沈降時の上澄み液と加圧濾過時
の濾液を排水として放流した。
【0042】放流された排水のpH値及びCo濃度と、
回収された濾滓(水酸化コバルト)の生成量及び水分含
有量並びに105℃で乾燥した乾燥物の組成と、回収さ
れたスラッジの生成量及び水分含有量並びに105℃で
乾燥した乾燥物の組成とを調べた。結果を表2に示す。
【0043】〔比較例1〕図1に示すフローにおいて、
回収されたメンテナンス廃液の全てを表面処理廃液に合
流せしめ、実施例1と同様にその中和処理を行ってスラ
ッジを回収すると共に、排水を放流した。この時の排水
のpH値及びCo濃度と、回収されたスラッジの生成量
及び水分含有量並びに実施例1と同様にして乾燥した乾
燥物の組成とを調べた。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】〔実施例2〕実施例1で用いられたメンテ
ナンス廃液に蒸気を吹き込んで75℃に加温しながら不
溶化槽に導入し、実施例1と同様にしてCo不溶化処理
を行い、加圧濾過して主として水酸化コバルトからなる
濾滓を回収すると共に、上澄み液及び清澄濾液を表面処
理廃液に合流させて中和処理し、更に実施例1と同様に
して凝集沈降、加圧濾過を行い、スラッジを回収し、ま
た、清澄な排水を放流した。
【0046】回収されたスラッジ及び放流した排水の性
状は上記実施例1とほとんど同じであったが、回収され
た濾滓(水酸化コバルト)の生成量は23.7kgであ
って、その有効Co含有量は19.4重量%であり、1
05℃乾燥減量は65重量%であった。乾燥物組成は、
Co:55.5重量%、Fe:2.5重量%、Al:
1.8重量%、Cr:0.6重量%であった。
【0047】〔実施例3〕実施例1で得られたスラッジ
10kgを98重量%硫酸3.7kg及び水3.2kg
の混合溶液中に加えて溶解し、30分後に不溶物を濾過
して硫酸アルミニウム溶液16.6kgを得た。得られ
た硫酸アルミニウム溶液(8重量%Al2 3 )中のC
o濃度は0.02重量%であってCr濃度は2〜3pp
mであった。
【0048】〔比較例2〕比較例1で得られたスラッジ
10kgを98重量%硫酸3.7kg及び水3.0kg
の混合溶液中に加えて溶解し、実施例3と同様にして硫
酸アルミニウム溶液16.4kgを得た。得られた硫酸
アルミニウム溶液(8重量%Al2 3 )中のCo濃度
は0.11重量%であって、また、Cr濃度は13pp
mであり、溶液はやや青色を呈していた。
【0049】
【発明の効果】本発明方法によれば、Coイオンを回収
して再利用するための閉回路が形成されている電解着色
処理を含むアルミニウム材の表面処理工程から排出され
る廃液を処理するに際し、廃液処理に用いられる水酸化
ナトリウムの消費量を特に増加させることなく、高価な
コバルト金属を可及的に回収することができると共にC
oイオンの排水中への漏洩をほぼ完全に防止することが
でき、しかも、電解着色処理以外の他の表面処理に由来
する不可避的な表面処理廃液からCoイオンをほとんど
含有せず、アルミナ源として有効利用可能なスラッジを
得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、電解着色処理を含むアルミニウム材
の表面処理工程において発生する廃液を示すフローチャ
ートである。
【図2】 図2は、本発明の廃液の処理方法を示すフロ
ーチャートである。
【図3】 図3は、本発明の試験例で得られた結果を示
すグラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江上 泰 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社 グループ技術セ ンター内 (72)発明者 朝原 捷治 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社 グループ技術セ ンター内 (72)発明者 田中 義朗 東京都品川区東品川2丁目2番20号 日 本軽金属株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−249997(JP,A) 特開 平8−318282(JP,A) 特開 昭59−186692(JP,A) 特開 昭49−40243(JP,A) 特開 昭51−13161(JP,A) 特開 昭58−113400(JP,A) 特開 昭51−140898(JP,A) 特開 平5−337474(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/62 C01G 51/04 C22B 23/00 C23F 1/46 C25D 21/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Coイオンを回収して再利用するための
    閉回路が形成されている電解着色処理を含むアルミニウ
    ム材の表面処理工程から排出される廃液を処理するに際
    し、上記電解着色処理の閉回路を構成する装置のメンテ
    ナンス時に不可避的に発生するCoイオン含有のメンテ
    ナンス廃液を電解着色処理以外の他の表面処理に由来す
    る不可避的な表面処理廃液と分別して回収し、このメン
    テナンス廃液を水酸化ナトリウムでアルカリ性にしてC
    oイオンを水酸化物として不溶化せしめ、不溶化した水
    酸化コバルトを固液分離して回収すると共に清澄濾液を
    上記表面処理廃液の中和処理に用いることを特徴とする
    アルミニウム材表面処理廃液の処理方法。
  2. 【請求項2】メンテナンス廃液を水酸化ナトリウムでp
    H9.0〜13.5のアルカリ性にする請求項1に記載
    のアルミニウム材表面処理廃液の処理方法。
  3. 【請求項3】メンテナンス廃液を50℃以上に加温した
    後、水酸化ナトリウムでアルカリ性にする請求項1又は
    2に記載のアルミニウム材表面処理廃液の処理方法。
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