JPH08318282A - ゲル状水酸化アルミニウムスラッジの処理方法 - Google Patents

ゲル状水酸化アルミニウムスラッジの処理方法

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JPH08318282A
JPH08318282A JP7124110A JP12411095A JPH08318282A JP H08318282 A JPH08318282 A JP H08318282A JP 7124110 A JP7124110 A JP 7124110A JP 12411095 A JP12411095 A JP 12411095A JP H08318282 A JPH08318282 A JP H08318282A
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JP
Japan
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sludge
aluminum
hydroxide
liquid
aluminum hydroxide
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Application number
JP7124110A
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English (en)
Inventor
Akira Morita
彰 森田
Yasushi Egami
泰 江上
Noboru Sugiyama
昇 杉山
Yoshiro Tanaka
義朗 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 アルミニウム材の表面処理に付帯して発生し
てくる処理の厄介なゲル状水酸化アルミニウムスラッジ
から、効率良く不純物を分離除去し、有効利用の可能な
アルミン酸ナトリウム溶液、あるいは、これを加水分解
して得られる有用な結晶性水酸化アルミニウムを回収す
るゲル状水酸化アルミニウムスラッジの処理方法を提供
する。 【構成】 アルミニウム又はアルミニウム合金からなる
アルミニウム材の表面処理工程で生じた廃液から発生す
るゲル状水酸化アルミニウムスラッジを処理するに際
し、このゲル状水酸化アルミニウムスラッジを水酸化ナ
トリウム含有の溶解処理液に溶解し、得られたスラッジ
溶解処理液中にアルカリ土類金属水酸化物を添加し、次
いで固液分離するゲル状水酸化アルミニウムスラッジの
処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アルミニウム又はア
ルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面処理工程
で生じた廃液から発生するゲル状水酸化アルミニウムス
ラッジの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム材は、船舶、車両、機械等の種々の部
品や、サッシ等の建築材料、電気製品、事務用品等の多
くの分野で利用されており、その際に、アルミニウム材
は、その表面の清浄化、耐蝕性や意匠性の付与等を目的
として、アルカリ溶液によるエッチング処理や酸性溶液
による陽極酸化処理等の種々の表面処理が施される。
【0003】しかしながら、何れにしてもこれらの表面
処理で用いられる処理液は、処理液中の有効成分の消費
とアルミニウム材由来のアルミニウム分の蓄積が不可避
的に発生し、これらがある一定の限度を超えると、いわ
ゆるエッチング処理老化浴や陽極酸化処理老化浴となっ
てその更新の必要が生じ、これらの老化浴はアルミニウ
ム分を多量に含有するアルミニウム含有廃液となる。
【0004】また、上述したようなアルミニウム材の表
面処理においては、そのエッチング処理や陽極酸化処理
等の処理の際に、処理中に発生する水素ガス等のガスと
共にミストとして周辺に飛散し、排気系に吸収され、ま
た、その他のハンドリングロスとして漏洩する、いわゆ
る「ミスト等由来の廃液」が発生したり、あるいは、こ
れらの表面処理後に、水で洗浄することが必須とされ、
その際に発生する多量の洗浄水由来の廃液も発生する
が、これらのミスト等由来の廃液や洗浄水由来の廃液も
アルミニウム分を含有してアルミニウム含有廃液とな
る。
【0005】そして、このようなアルミニウム材の表面
処理で発生する種々のアルミニウム含有廃液は、通常は
それらを一括してpH5〜9に中和処理し、その際に生
成したゲル状水酸化アルミニウム質のスラッジを可及的
に分離し、中性清澄液を排水としているが、スラッジに
ついては、経済的に有用資源化する方法がなく、多額な
コストを費やして廃棄処分することが行われている。
【0006】ところで、近年、このようなスラッジの発
生をできるだけ抑制し、かつ、アルミニウム含有廃液中
に存在するナトリウム分やアルミニウム分等の有価物を
できるだけ回収して有効利用するために、アルミニウム
材のエッチング処理の際に発生する老化浴については、
これを定期的にあるいは連続的に抜き出し、結晶性水酸
化アルミニウム〔αAl(OH)3 、ジブサイト〕を種
子として添加し、老化浴中のアルミン酸ナトリウムを加
水分解してアルミニウム分の一部を工業的に有価物であ
る結晶性水酸化アルミニウムとして析出させ、また、こ
れによってアルミニウム分の少なくなったアルミン酸ナ
トリウム溶液を再生エッチング処理液としてエッチング
処理に循環させてナトリウム分を再使用する、いわゆる
エッチング処理老化浴の再生有効利用が行われている。
【0007】しかしながら、その他のアルミニウム含有
廃液については、その低アルミニウム濃度や不純物のた
め、経済的な利用方法がなく、依然として一括して中和
処理する方法が採用されており、その際に発生するスラ
ッジの処理が問題になっており、その有用資源化のため
の検討も始められている。
【0008】そのうちの代表的なものとしては、スラッ
ジを水酸化ナトリウム溶液若しくは低アルミニウム濃度
のアルミン酸ナトリウム溶液(具体的には、前記エッチ
ング処理老化浴の加水分解後の再生エッチング処理液)
に溶解し、溶液のアルミニウム濃度を上げ、不溶物を分
離除去し、得られた精製液をエッチング処理老化浴と併
せて加水分解し、これによって工業的に有用な結晶性水
酸化アルミニウムとアルカリとを回収する方法が提案さ
れており(例えば、特公昭52−43,184号公報や
特開平4−323,386号公報)、スラッジの化学的
性質や設備の有効利用の点から経済的かつ容易な方法と
されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、現在通常行
われているアルミニウム材の表面処理工程における廃液
処理により発生したゲル状水酸化アルミニウムスラッジ
を、上述した特公昭52−43,184号公報や特開平
4−323,386号公報に記載の方法で処理しようと
すると、スラッジ中に含まれているアルミニウム分やナ
トリウム分以外の不純物が回収される結晶性水酸化アル
ミニウムや低アルミニウム濃度のアルミン酸ナトリウム
溶液中に不可避的に入り込み、これを無視できる程度に
まで物理的あるいは化学的に除去するのが困難であっ
て、実際には今だに実用化に至っていないのが現状であ
る。
【0010】すなわち、現在通常行われているアルミニ
ウム材表面処理工程の廃液処理は、アルミニウムを含む
アルカリ性や酸性の廃液を排水可能なpH6〜8を目標
に中和処理し、この際に発生したゲル状水酸化アルミニ
ウムスラッジを沈降処理その他の方法で濃密化し、次い
で加圧濾過等の手段で固液分離しているが、このように
して回収されるゲル状水酸化アルミニウムスラッジに
は、表面処理浴成分や、アルミニウム合金由来の金属元
素あるいは装置や治具から溶け出した種々の金属元素等
がそれぞれ水酸化物、酸化物、塩等の形で溶解して、若
しくは、ゲル状あるいは微粒子状となって懸濁して含ま
れている。
【0011】このようなゲル状水酸化アルミニウムスラ
ッジについて、その幾つかの実例を挙げると、表1に示
す通りである。
【表1】
【0012】ところで、アルミニウムを水酸化ナトリウ
ム溶液に溶解した場合、このアルミニウムは水酸化ナト
リウム溶液中にアルミン酸ナトリウム(NaAlO2
Al/NaOH当量比:1.0)の形で溶存していると
されているが、このアルミン酸ナトリウムは、一般に、
過剰の水酸化ナトリウムの存在の下でのみ安定であっ
て、溶解度の観点からすると、NaOH濃度が高くなる
ほど、また、温度が高くなるほど、Al/NaOH当量
比は1.0に近づき、反対に、NaOH濃度が低くなる
ほど、また、温度が低くなるほど、Al/NaOH当量
比は1.0から遠ざかる。また、アルミニウム分がその
溶解度を超えて溶解していても、相当に大きな過飽和状
態、例えば2〜3倍にならないと、直ちにはアルミニウ
ム分を析出し難い、という性質を有している。
【0013】このため、アルミニウム材の表面処理工程
で発生するゲル状水酸化アルミニウムスラッジを水酸化
ナトリウム溶液に溶解してアルミン酸ナトリウム溶液と
し、この溶液中のアルミン酸ナトリウムを加水分解して
有用な結晶性水酸化アルミニウムとするためには、Al
/NaOH当量比の値をある程度の加水分解駆動力が発
揮される0.30以上、好ましくは0.40以上にまで
高める必要がある。
【0014】しかるに、スラッジの割合がその溶解度以
下であれば、このスラッジ中のアルミニウム化合物はそ
れが微細構造を有するために水酸化ナトリウム溶液中に
速やかに溶解するが、同時に不純物として存在する珪素
化合物も容易に溶解し、例えばAl分7.5%及びSi
分0.15%を含むゲル状水酸化アルミニウムスラッジ
を純水酸化ナトリウム溶液で処理してNaOH濃度10
0g/リットル及びAl濃度28g/リットルの溶液を
調製するときにはそのSiO2 濃度が約1.2g/リッ
トルとなり、また、NaOH濃度100g/リットル及
びAl濃度18g/リットルの再生エッチング処理液を
使用してもこの再生エッチング処理液中のSiO2 と合
わせてそのSiO2 濃度が約0.6g/リットル(Na
OH濃度100g/リットルに換算)となる。そして、
このようなアルミニウムを含む水酸化ナトリウム溶液中
では、溶解したSiO2 はアルミニウムと結合して不溶
性のアルミノ珪酸ナトリウムを生成するので、充分に熟
成させてアルミノ珪酸ナトリウムを析出させてから固液
分離すれば特に問題はないが、そのためには長時間を要
するという問題がある。
【0015】具体的には、アルミニウム材の表面処理工
程におけるエッチング処理−アルカリ再生ラインで用い
られている通常のNaOH濃度80〜150g/リット
ルのアルミン酸ナトリウム溶液では、そのSiO2 の溶
解度が60〜100℃付近で0.15g/リットルであ
るが、この溶解SiO2 濃度をこのレベル(0.15g
/リットル)まで低下させることは容易なことではな
い。SiO2 濃度が例えば3g/リットル以上と高濃度
の場合にはこれが駆動力となって、また、一部析出した
アルミノ珪酸ナトリウムが種子として作用し、100〜
110℃では2〜3時間で実用上無害なSiO2 濃度
0.2〜0.3g/リットルまで急速に低下するが、こ
のSiO2 濃度が例えば1.5g/リットル以下と比較
的低濃度の場合には、このSiO2 濃度を0.2〜0.
3g/リットルまで低下させるのに24〜72時間の熟
成時間を必要とする。
【0016】そして、水酸化ナトリウムを含む溶解処理
液にスラッジを溶解させて得られたスラッジ溶解処理液
について、この脱SiO2 処理が不充分なままこのスラ
ッジ溶解処理液中のアルミン酸ナトリウムを加水分解さ
せて結晶性水酸化アルミニウムを析出させようとする
と、このスラッジ溶解処理液中のアルミノ珪酸ナトリウ
ムが種子として添加した結晶性水酸化アルミニウムや析
出した結晶性水酸化アルミニウムの結晶の表面に付着
し、加水分解反応の円滑な進行を阻害するほか、析出し
てくる結晶性水酸化アルミニウムの純度を低下させると
いう問題が生じる。
【0017】言い換えれば、ゲル状水酸化アルミニウム
スラッジを水酸化ナトリウム含有の溶解処理液に溶解し
て処理する場合、このスラッジ中のアルミニウム分は溶
解処理液中に速やかに溶解するものの、得られたスラッ
ジ溶解処理液からアルミン酸ナトリウムを加水分解して
結晶性水酸化アルミニウムを高純度で析出させようとす
ると、相当の長時間をかけて脱SiO2 処理のための熟
成をしなければならないという問題がある。
【0018】加えて、アルミニウム材の表面処理工程で
発生するゲル状水酸化アルミニウムスラッジには、それ
が中和処理によって発生するものであることから、生成
した水酸化アルミニウム粒子が微粒子状でゲル状沈澱と
なり、また、鉄、マグネシウム、ニッケル、3価クロム
等の酸化物もその一部がコロイド状に分散し、濾布等の
工業用濾過材による濾過では完全な分離が困難であると
いう問題もある。特に、ニッケルやクロム等の酸化物が
鉛の微細な化合物と共に分離不充分のまま存在すると、
加水分解して得られる結晶性水酸化アルミニウムが汚染
され、たとえ微量の存在でもその用途が大幅に制限され
てしまう。
【0019】しかも、現在通常行われているアルミニウ
ム材表面処理工程の廃液処理で発生するゲル状水酸化ア
ルミニウムスラッジは、表1に示す幾つかの実例からも
明らかなように、アルミニウム分の1/3〜1/2にも
及ぶ多量の硫酸根を含んでいる。この硫酸根は、単純な
水洗では除去することができず、ゲル状水酸化アルミニ
ウムスラッジの構造の一部を形成していると考えられ、
これをそのまま水酸化ナトリウムを含む溶液で処理する
と貴重な水酸化ナトリウムが硫酸根の中和に浪費され、
更に、繰り返し処理を重ねることによりこの硫酸根が蓄
積するとアルミン酸ナトリウムの加水分解反応が阻害さ
れ、また、回収された水酸化ナトリウム溶液をエッチン
グ処理に使用できなくなる、等の種々の問題を引き起こ
す。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、このようにアルミニウム材の表面処理に付帯して発
生してくるゲル状水酸化アルミニウムスラッジを処理
し、有用な結晶性水酸化アルミニウムや水酸化ナトリウ
ムを回収して利用することを妨げている種々の問題を解
決すべく鋭意研究を重ねた結果、ゲル状水酸化アルミニ
ウムスラッジを水酸化ナトリウム含有の溶解処理液に溶
解し、得られたスラッジ溶解処理液中にアルカリ土類金
属水酸化物を添加し、次いで固液分離することにより、
ゲル状水酸化アルミニウムスラッジ中に含まれる不純物
を除去することができ、これによって有用な結晶性水酸
化アルミニウムや水酸化ナトリウムを回収して利用でき
るようになることを見出し、本発明を完成した。
【0021】従って、本発明の目的は、アルミニウム材
の表面処理に付帯して発生してくる処理の厄介なゲル状
水酸化アルミニウムスラッジから、効率良く不純物を分
離除去し、有効利用の可能なアルミン酸ナトリウム溶液
を回収するゲル状水酸化アルミニウムスラッジの処理方
法を提供することにある。
【0022】また、本発明の他の目的は、アルミニウム
材の表面処理に付帯して発生してくる処理の厄介なゲル
状水酸化アルミニウムスラッジから、効率良く不純物を
分離除去し、有用な結晶性水酸化アルミニウムや水酸化
ナトリウムを回収するゲル状水酸化アルミニウムスラッ
ジの処理方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ア
ルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム
材の表面処理工程で生じた廃液から発生するゲル状水酸
化アルミニウムスラッジを処理するに際し、このゲル状
水酸化アルミニウムスラッジを水酸化ナトリウム含有の
溶解処理液に溶解し、得られたスラッジ溶解処理液中に
アルカリ土類金属水酸化物を添加し、次いで固液分離す
るゲル状水酸化アルミニウムスラッジの処理方法であ
る。
【0024】また、本発明は、アルミニウム又はアルミ
ニウム合金からなるアルミニウム材の表面処理工程で生
じた廃液から発生するゲル状水酸化アルミニウムスラッ
ジを処理するに際し、このゲル状水酸化アルミニウムス
ラッジを水酸化ナトリウム含有の溶解処理液に溶解し、
得られたスラッジ溶解処理液中にアルカリ土類金属水酸
化物を添加し、次いで固液分離して得られた分離液に種
子として結晶性水酸化ナトリウムを添加し、この結晶性
水酸化ナトリウム種子の存在下に分離液中のアルミン酸
ナトリウムを加水分解せしめ、次いで固液分離してAl
濃度の低下したアルミン酸ナトリウム水溶液と結晶性水
酸化アルミニウムとを回収するゲル状水酸化アルミニウ
ムスラッジの処理方法である。
【0025】本発明方法において、処理の対象となるゲ
ル状水酸化アルミニウムスラッジは、アルミニウム材の
表面処理の際に発生するスラッジであって、その由来に
ついては特に制限されるものではないが、エッチング処
理の際に発生するミスト等由来の漏洩廃液や洗浄水由来
の廃液、陽極酸化処理の際の老化浴由来の廃液、この陽
極酸化処理の際に発生するミスト等由来の漏洩廃液や洗
浄水由来の廃液等をpH9.0〜11.5の範囲、好ま
しくはpH9.4〜11.0の範囲で分離して処理する
廃液処理で発生するスラッジである。pH9.0以上の
廃液処理で得られたゲル状水酸化アルミニウムスラッジ
は、pH6〜8となるように中和処理する廃液処理の場
合に比べて、その硫酸根の含有量が極めて少なくなり、
また、水酸化ナトリウム含有の溶解処理液に対する溶解
性にも優れている。
【0026】そして、このようなpH9.0以上の廃液
処理でゲル状水酸化アルミニウムスラッジを回収する方
法については、特に制限されるものではないが、設備
上、薬品消費量、操業上等の観点から、先ず、廃液を従
来と同様にpH6〜8の中和処理し、次いで常法により
凝集沈降処理し、得られた濃密部にアルカリを添加して
pH9.0以上、好ましくはpH9.4〜11.0に調
整し、次いで固液分離してゲル状水酸化アルミニウムス
ラッジを回収すると共に、溶液部についてはこれを中和
処理前の廃液と合流させる方法が好ましい。このような
方法で回収されたスラッジを本発明の方法で処理するこ
とにより、SiO2 、重金属、硫酸根等の好ましからざ
る不純物を精製後の分離液に持ち込むのを可及的に防止
することができる。
【0027】本発明方法においては、先ず、このような
ゲル状水酸化アルミニウムスラッジを水酸化ナトリウム
含有の溶解処理液に溶解する。このスラッジ溶解に用い
る水酸化ナトリウム含有の溶解処理液については、基本
的にはゲル状水酸化アルミニウムスラッジを溶解できる
ものであればよく、特に制限されるものではないが、溶
解−精製後の処理方法により適当な濃度が決定される。
【0028】このスラッジ溶解処理で用いる溶解処理液
については、水酸化ナトリウムと溶存アルミニウムのみ
からなる化学工業用アルミン酸ナトリウム溶液を得よう
とするときには、溶液の安定性や輸送効率の点から、可
及的に濃厚な水酸化ナトリウム溶液が望ましく、35%
(480g/リットル)以上の水酸化ナトリウム溶液を
使用するのがよい。これ以下のNaOH濃度では、ゲル
状水酸化アルミニウムスラッジ中の多量の水分によりス
ラッジ溶解処理液中のNaOH濃度が200g/リット
ル以下にまで低下し、溶液の安定性に問題が生じるほか
輸送効率も低下し、好ましくない。
【0029】また、このような溶解処理液としては、上
述した所定のNaOH濃度の水酸化ナトリウム水溶液以
外に、ゲル状水酸化アルミニウムスラッジを溶解して精
製したアルミン酸ナトリウム溶液に結晶性水酸化アルミ
ニウム(ジブサイト)を種子として添加し、加水分解し
て析出させた結晶性水酸化アルミニウムを分離し、得ら
れたアルミニウム濃度の低いアルミン酸ナトリウム溶液
(加水分解再生液)を用いることもでき、また、このよ
うなアルミニウム低濃度の再生液を循環させて再び溶解
処理液として使用することにより、水酸化ナトリウムを
ほとんど消費することなくゲル状水酸化アルミニウムス
ラッジを有用な結晶性水酸化アルミニウムへと有用資源
化することができる。
【0030】そして、この加水分解再生液を循環させて
スラッジの溶解処理液として再使用する方法を単独の閉
回路で行う場合には、スラッジを溶解した後のスラッジ
溶解処理液について、その加水分解における良好な駆動
力を得るために、NaOH濃度100〜200g/リッ
トル、好ましくは140〜170g/リットルでAl/
NaOH当量比0.4〜0.5とする必要がある。Na
OH濃度がこれ以下の値では単位容積当たりの生産性が
悪く、また、これ以上の値になると加水分解性が低下し
てかえって生産性が低下する。そして、このためには、
NaOH濃度190〜250g/リットルでAl/Na
OH当量比概ね0.25の溶液を用いてゲル状水酸化ア
ルミニウムスラッジを処理すればよいことになるが、こ
れを定常的に実施するためには、加水分解後の再生液か
らゲル状水酸化アルミニウムスラッジを溶解した際に持
ち込まれる水分に相当する量の水を除去するのがよい。
【0031】更に、エッチング処理工程に導入される高
濃度の補給用水酸化ナトリウム溶液をゲル状水酸化アル
ミニウムスラッジの溶解処理液として用い、スラッジを
溶解させた後に精製し、得られたアルミン酸ナトリウム
溶液をアルミニウム材のエッチング処理工程で発生した
エッチング処理老化浴に合流させ、この合流液を加水分
解して固液分離し、得られたアルミニウム低濃度の再生
エッチング処理液をエッチング処理工程に循環させれ
ば、より効率的、経済的になる。アルミニウム材のエッ
チング処理工程では、ミスト等としての漏洩やアルミニ
ウム材により持ち出される不可避的な水酸化ナトリウム
の損失を補うために通常25%以上濃度の補給用水酸化
ナトリウム溶液を用いているが、この補給用水酸化ナト
リウム溶液をそのままスラッジの溶解処理液として使用
でき、また、この場合にはゲル状水酸化アルミニウムス
ラッジを溶解した際に持ち込まれる水分の問題を解消で
きるからである。
【0032】すなわち、エッチング処理工程では、アル
ミニウムの溶解に伴って生じる化学的水消費(アルミニ
ウム1モル当たり水3モルを消費する)や、ミスト等と
して飛散したり、あるいは、水洗工程に移行する際に付
着水として持ち出される物理的水消費が避けられず、ま
た、補給用水酸化ナトリウム溶液として通常25%以上
という高濃度の水酸化ナトリウム溶液が用いられるの
で、アルミニウム材の表面処理工程では何れかの段階で
希釈することが必要になるが、補給用水酸化ナトリウム
溶液をそのままスラッジの溶解処理液として使用すれ
ば、スラッジを溶解した際に持ち込まれる水分により自
動的にこの希釈に必要な水を補給していることになる。
【0033】このように、スラッジの溶解処理液として
エッチング処理工程での補給用水酸化ナトリウム溶液を
使用し、水酸化ナトリウムの利用効率を上げるために十
分な加水分解駆動力を有する溶液(例えば、Al/Na
OH当量比0.35〜0.45の溶液)にすることによ
り、エッチング処理工程由来のゲル状水酸化アルミニウ
ムスラッジを効率良く有用な結晶性水酸化アルミニウム
へと有用資源化することができる。更に、スラッジの溶
解処理液としてこのエッチング処理工程での補給用水酸
化ナトリウム溶液と再生エッチング処理液とを用いれ
ば、水酸化ナトリウムをほとんど消費することなく、エ
ッチング処理工程由来のゲル状水酸化アルミニウムスラ
ッジだけでなく、その後の水洗工程や陽極酸化処理工程
更には陽極酸化浴更新等をも含めてアルミニウム材の表
面処理工程で発生するゲル状水酸化アルミニウムスラッ
ジの全てを有用な結晶性水酸化アルミニウムへと有用資
源化することができる。
【0034】次に、このようにしてゲル状水酸化アルミ
ニウムスラッジを溶解処理液に溶解して得られたスラッ
ジ溶解処理液にはアルカリ土類金属水酸化物を添加す
る。ここで、洗浄老化液中に添加するアルカリ土類金属
水酸化物としては、具体的にはアルカリ土類金属である
ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウ
ム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(B
a)及びラジウム(Ra)の水酸化物や、強アルカリ性
の溶解処理液中で水酸化物を生成するこれらのアルカリ
土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、その他の塩類を挙げるこ
とができ、不純物の除去効率やコスト等の点から好まし
くは水酸化カルシウムや炭酸カルシウムである。
【0035】この水酸化カルシウムとしては、通常の工
業用水酸化カルシウムを用いることができるが、洗浄老
化液中での分散を容易にするために、水酸化カルシウム
の水懸濁物である石灰乳の形で、より好ましくはCa
(OH)2 を10〜200g/リットルの割合で含む石
灰乳の形で使用するのがよく、更には複数回に分割して
添加するのがよい。
【0036】このアルカリ土類金属水酸化物の添加量に
ついては、添加されるスラッジ溶解処理液中の不純物の
種類、含有量及び分散状態等や添加するアルカリ土類金
属水酸化物の種類等によっても異なるが、水酸化カルシ
ウムを添加する場合、スラッジ溶解処理液に対して水酸
化カルシウムをCa(OH)2 そのものとして通常0.
5〜10g/リットル、好ましくは1〜5g/リットル
の範囲で添加するのがよく、水酸化カルシウムの添加量
が0.5g/リットルより少ないと、この水酸化カルシ
ウムを添加する効果、例えば珪素化合物を除去する脱珪
作用や微粒不純物等の捕集作用等が充分に発揮されず、
また、10g/リットルより多く添加すると、分離除去
すべき固体不溶物が多くなりすぎ、固液分離操作が面倒
になる。このアルカリ土類金属水酸化物の添加量は、例
えば、スラッジ溶解処理液の一部をサンプリングし、こ
れにアルカリ土類金属水酸化物の定量を添加してサンプ
リングテストを行うことにより、容易に決定することが
できる。
【0037】ところで、通常の工業用水酸化カルシウム
中には、例えばJIS R9001からも明らかなよう
に、不可避的に炭酸根が含まれている。そして、炭酸カ
ルシウムは、水酸化ナトリウム溶液中に溶解して生成し
た炭酸ナトリウムが、水酸化ナトリウム及び炭酸カルシ
ウムと炭酸ナトリウム及び水酸化カルシウムとの間の平
衡濃度以下の場合には、水酸化カルシウムを生成するの
で水酸化カルシウムと同様の効果をもたらす。また、ア
ルミニウム材のエッチング処理工程では、上述したよう
にミストや持ち出し等による溶液の系外への漏洩が不可
避的にあるので、炭酸根はアルミニウム溶解度や加水分
解性に対する悪影響が発生するほどには蓄積しない。同
様の原理により、炭酸カルシウムを添加しても水酸化カ
ルシウムと同様な効果をもたらすので、水酸化カルシウ
ムに代えて炭酸カルシウムを含む化合物あるいは混合物
を添加してよいが、その場合には溶液中の炭酸ナトリウ
ムの蓄積や濾滓量の増加に留意する必要がある。
【0038】本発明の処理方法において、スラッジ溶解
処理液中にアルカリ土類金属水酸化物を添加して接触さ
せる際の条件は、このアルカリ土類金属水酸化物がスラ
ッジ溶解処理液中の不純物と充分に接触しさえすれば特
に限定されるものではないが、溶解処理を90〜110
℃で行った後、好ましくは80〜105℃、より好まし
くは85〜105℃で攪拌条件下に接触させるのがよ
く、更に好ましくはその後に30分〜3時間程度熟成さ
せるのがよい。この熟成操作を行うことにより脱珪作用
が著しく促進され、不純物としてSiO2 が含まれてい
る場合にこのSiO2 含有量を容易に0.2〜0.3g
/リットル(NaOH:100g/リットル換算)以下
に低減することができる。
【0039】そして、アルカリ土類金属水酸化物添加後
の固液分離としては、沈降槽を用いて上部上澄液をその
まま清澄液とし、下部に沈降した濃密部を濾過機等によ
り分離する等の適宜の方法を採用できるが、スラッジ溶
解処理液中の不溶物は通常概ね1%以下であるので、処
理液量によっては操業の単純化という観点から、アルカ
リ土類金属水酸化物添加後のスラッジ溶解処理液をその
まま加圧濾過する方がかえって経済的である。ここで、
固液分離により固体不溶物として回収される濾滓には種
々の不純物が含有されているので、この濾滓を洗浄した
場合の洗浄液については、これを固液分離後の分離液と
合わせることなく、次回にスラッジを溶解するために用
いる溶解処理液に戻し、再度アルカリ土類金属水酸化物
と接触させるのがよい。
【0040】このようにしてスラッジ溶解処理液を固液
分離して得られた精製後の分離液は、スラッジ中に含ま
れていた種々の不純物が固体不溶物として固定化されて
可及的に分離除去された無色透明のアルミン酸ナトリウ
ム溶液であり、そのままでも窯業や化学工業用原料、更
には水質調整剤等の化学原料として有効利用することが
できる。
【0041】更に、この精製後の分離液は、精製前のコ
ロイド状やゲル状の不純物が可及的に分離除去されるの
で、この分離液中のアルミン酸ナトリウムを結晶性水酸
化ナトリウム種子の存在下に加水分解して結晶性水酸化
アルミニウムと再生されて含有Al濃度が低下した水酸
化ナトリウム溶液を回収する際における加水分解効率が
著しく向上し、しかも、この加水分解により回収される
結晶性水酸化アルミニウムや再生水酸化ナトリウム溶液
の純度が著しく向上し、これら結晶性水酸化アルミニウ
ムや再生水酸化ナトリウム溶液の有効利用を図ることが
できる。
【0042】従って、本発明においては、上述のよう
に、ゲル状水酸化アルミニウムスラッジを水酸化ナトリ
ウム含有の溶解処理液に溶解し、得られたスラッジ溶解
処理液中にアルカリ土類金属水酸化物を添加し、次いで
固液分離して得られた精製後の分離液に対して、種子と
して結晶性水酸化ナトリウムを添加し、この結晶性水酸
化ナトリウム種子の存在下に分離液中のアルミン酸ナト
リウムを加水分解せしめ、次いで固液分離して含有Al
濃度の低下したアルミン酸ナトリウム溶液と結晶性水酸
化アルミニウムとを回収する。
【0043】このように精製後の分離液について、この
分離液中に含まれるアルミン酸ナトリウムを加水分解し
て工業的に有用な結晶性水酸化アルミニウムと含有Al
濃度の低下したアルミン酸ナトリウム溶液とを回収する
場合、精製後の分離液がNaOH濃度100〜250g
/リットル及びAl/NaOH当量比0.35〜0.5
0となるように調整し、また、加水分解後固液分離して
回収される含有Al濃度の低下したアルミン酸ナトリウ
ム溶液のAl/NaOH当量比が0.20〜0.35と
なるように調整すれば、このアルミン酸ナトリウム溶液
を再びゲル状水酸化アルミニウムスラッジを溶解するた
めの溶解処理液として又はエッチング処理液として円滑
に循環再使用することができる。
【0044】
【作用】本発明方法においては、添加したアルカリ土類
金属水酸化物が溶液中のSiO 2 と親和性に富み、水酸
化ナトリウム溶液に不溶性のアルミノ珪酸塩の晶出を促
進し、また、この生成したアルミノ珪酸塩がスラッジ中
に厄介な不純物として含まれている有機高分子化合物、
溶存状の又はコロイド状の重金属化合物等を取り込んで
除去可能にし、更には、未反応のアルカリ土類金属水酸
化物やアルミノ珪酸塩が固液分離の際における凝集作用
を発揮し、これによってスラッジの水酸化ナトリウム溶
液に対して優れた清浄化作用を発揮するものと考えられ
る。
【0045】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明
方法を具体的に説明する。
【0046】実施例1 図1に示すようなフローを有し、アルミニウム材を酸洗
・脱脂→水洗→エッチング処理→水洗→中和→陽極酸化
処理→水洗の各工程を有する処理量20,000m2
日のアルミニウム材の連続表面処理ラインを設計し、エ
ッチング処理においては、NaOH濃度94.0g/リ
ットル及びAl濃度27g/リットルのエッチング処理
液を使用し、その処理槽から70.5m3 /日のエッチ
ング処理老化浴を抜き出し、この抜き出したエッチング
処理老化浴を加水分解アルカリ再生工程に導入し、析出
した結晶性水酸化アルミニウム(ジブサイト)を固液分
離して回収すると共に、NaOH濃度97.0g/リッ
トル及びAl濃度19.1g/リットルの濾液について
はそのうちの大部分73.0m3 /日をエッチング再生
液として上記処理槽に戻し、また、回収したジブサイト
を洗浄水1.20m 3 /日で洗浄して回収された洗浄排
水0.66m3 /日についてはこれを廃液として後述す
る廃液処理の中和工程に移送した。
【0047】このアルミニウム材の連続表面処理ライン
において、エッチング処理の際のミスト等由来の廃液
(処理中の水素ガス等と共に発生するミストとして周辺
に飛散し排気系に吸収され、あるいは、その他のハンド
リングロス液として漏洩したもの)、その後の水洗工程
からの廃液、陽極酸化処理の際のミスト等由来の廃液及
びその後の水洗工程からの廃液、更には上記ジブサイト
の洗浄排水、酸洗・脱脂工程や中和工程等から排出され
る廃液を一か所に集め、Al分合計が173kg/日の
廃液を中和工程で中和し、次いで常法により凝集沈降さ
せたのち、濃密部についてはこれを水酸化ナトリウムで
pH9.8に調整して改質し、次いで濾過して得られた
固形分を当初pH9.5の水酸化ナトリウム水溶液で洗
浄すると共に引き続いて洗浄水で洗浄し、ゲル状水酸化
アルミニウムスラッジ(固形分濃度23重量%)2,3
00kg/日を回収した。そして、濾液についてはスラ
ッジの洗浄水と共に廃液の中和工程に戻し、また、凝集
沈降後の清澄液についてはこれを排水として処理するよ
うにした。
【0048】回収されたスラッジに含有された金属元素
と硫酸根とを分析した結果は、Al:7.48重量%、
Na:0.21重量%、Fe:0.06重量%、Mg:
0.06重量%、Si:0.17重量%、Ni:0.0
2重量%、及び、SO4 :0.14重量%であった。
【0049】また、上記廃液処理で回収されたゲル状水
酸化アルミニウムスラッジ2,300kg/日について
は、これを溶解精製処理工程に移送し、そこで28重量
%水酸化ナトリウム水溶液(NaOHとして457k
g)1,247リットル/日、加水分解アルカリ再生工
程後の固液分離で回収された濾液(NaOH濃度97.
0g/リットル及びAl濃度19.1g/リットル)の
一部4.19m3 /日及びCa(OH)2 100g/リ
ットル濃度の石灰乳〔Ca(OH)2 として15kg〕
150リットル/日で溶解し、不溶物を濾過して洗浄水
50リットル/日で洗浄することにより精製し、この際
に回収されたNaOH濃度113.9g/リットル及び
Al濃度32.7g/リットルの濾液7.60m3 /日
を上記加水分解アルカリ再生工程に循環させ、また、不
溶物を濾滓スラッジとして処理し、更に、不溶物の洗浄
排水を溶解精製処理工程に戻した。
【0050】ここで、加水分解アルカリ再生工程に循環
させた濾液に含有された金属元素と硫酸根とを分析した
結果は、Al:27.6g/リットル、NaOH:9
5.9g/リットル、SiO2 :0.22g/リット
ル、及び、Na2 SO4 :0.06g/リットルであっ
た。また、この実施例1のアルミニウム材の連続表面処
理ラインで回収された有価物のジブサイト(固形分濃度
約90重量%)の回収量は2,180kg/日であり、
また、濾滓スラッジとして処理された不溶物(固形分濃
度50重量%)は84kg/日であった。なお、この実
施例1においては、操業を繰り返し実施しても、加水分
解アルカリ再生工程に循環させた濾液中のNa2 SO4
濃度は1g/リットル以下であった。
【0051】比較例1 石灰乳に代えて水143リットルを用いた以外は、上記
実施例1と全く同様にしてスラッジの処理を行った。こ
の際に、加水分解アルカリ再生工程に循環させるために
回収した濾液にはゲル状浮遊物が約100mg/リット
ル含まれており、また、この濾液にはAl:27.6g
/リットル、NaOH:96.0g/リットル、SiO
2 :0.30g/リットル、及び、Na2 SO4 :0.
06g/リットルが含有されていた。この結果、加水分
解効率が実施例1の場合の31.5%に対して29.2
%に低下し、また、加水分解後の吸引濾過による固液分
離操作が困難になって操業の継続が不可能になった。
【0052】比較例2 図2に示すような従来のフローを有し、アルミニウム材
を酸洗・脱脂→水洗→エッチング処理→水洗→中和→陽
極酸化処理→水洗の各工程を有する処理量20,000
2 /日のアルミニウム材の連続表面処理ラインにおい
て、エッチング処理においては、NaOH濃度94.0
g/リットル及びAl濃度27g/リットルのエッチン
グ処理液を使用し、その処理槽から59.9m3 /日の
エッチング処理老化浴を抜き出し、この抜き出したエッ
チング処理老化浴を加水分解アルカリ再生工程に導入
し、析出した結晶性水酸化アルミニウム(ジブサイト)
を固液分離して回収すると共に回収したジブサイトを洗
浄水0.88m3 /日で洗浄し、この洗浄水も含めたN
aOH濃度94.2g/リットル及びAl濃度18.5
g/リットルの濾液59.7m3 /日には25重量%水
酸化ナトリウム水溶液1.43m3 /日(NaOHとし
て457kg)を混合し、エッチング再生液として上記
処理槽に戻した。
【0053】また、エッチング処理の際のミスト等由来
の廃液、その後の水洗工程からの廃液、陽極酸化処理の
際のミスト等由来の廃液及びその後の水洗工程からの廃
液、更には酸洗・脱脂工程や中和工程等から排出される
廃液等を一か所に集め、Al分合計が約173kg/日
の廃液を中和工程で中和し、次いで常法により凝集沈降
させたのち、濃密部についてはこれを濾過してゲル状水
酸化アルミニウムスラッジを回収すると共に、濾液につ
いては凝集沈降後の清澄液と共に排水として処理した。
【0054】この比較例2のアルミニウム材の連続表面
処理ラインにおいて、回収された有価物のジブサイト
(水分10重量%含有)は1,640kgであり、ま
た、回収された処理の困難なスラッジ(固形分濃度23
重量%、Al分7.8重量%含有)は2,200kg/
日であった。
【0055】実施例2 容量3リットルの軟鋼製容器中にAl:7.52重量
%、Na:0.07重量%、Fe:0.06重量%、M
g:0.06重量%、Si:0.17重量%、Ni:
0.02重量%、及び、SO4 :3.10重量%を含む
ゲル状水酸化アルミニウムスラッジ856gを仕込み、
これに溶解処理液として工業用28重量%水酸化ナトリ
ウム溶液(15℃でNaOH366g/リットル)1リ
ットルを添加し、105℃で10分間加熱してスラッジ
を溶解させた。得られた溶液は、約1.7リットルであ
り、NaOH濃度約200g/リットル及びAl濃度約
37g/リットルの組成を有していた。
【0056】この溶液中にCa(OH)2 50g/リッ
トル濃度の石灰乳68mlを添加し、2時間加熱しなが
らプロペラ攪拌した後、No.24濾紙を用いて濾過
し、極めて清澄な無色の濾液1.78リットルを得た。
得られた濾液を分析した結果は、Al:35.2g/リ
ットル、NaOH:192.8g/リットル、Si
2 :0.45リットル、Fe,Mg,Ni:各1mg
/リットル以下、Na2 SO4 :1.3g/リットルで
あった。また、回収された濾滓(固形分濃度50重量
%)は23gであった。
【0057】比較例3 石灰乳の添加をしなかった以外は、上記実施例2と同様
にしてゲル状水酸化アルミニウムスラッジを処理し、固
液分離して濾液1.72リットルと濾滓(固形分濃度5
0重量%)は6gとを回収した。得られた濾液を分析し
た結果は、Al:37.4g/リットル、NaOH:2
00.7g/リットル、SiO2 :1.8g/リット
ル、Fe:25mg/リットル、Mg:30mg/リッ
トル、Ni:10mg/リットル、Na2 SO4 :1.
3g/リットルであった。また、この濾液には微粒不溶
物が浮遊し、常温で1週間放置すると容器の底部に有色
沈殿物が生成した。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、アルミニウム材の表面
処理に付帯して発生してくる処理の厄介なゲル状水酸化
アルミニウムスラッジから、効率良く不純物を分離除去
し、有効利用の可能なアルミン酸ナトリウム溶液とし
て、あるいは、有用な結晶性水酸化アルミニウムやAl
濃度の低下したアルミン酸ナトリウム溶液を回収するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施例1に係るアルミニウ
ム材の表面処理ラインを示すフローチャートである。
【図2】 図2は、比較例2に係る従来のアルミニウム
材の表面処理ラインを示すフローチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 義朗 東京都港区三田3丁目13番12号 日本軽金 属株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なるアルミニウム材の表面処理工程で生じた廃液から発
    生するゲル状水酸化アルミニウムスラッジを処理するに
    際し、このゲル状水酸化アルミニウムスラッジを水酸化
    ナトリウム含有の溶解処理液に溶解し、得られたスラッ
    ジ溶解処理液中にアルカリ土類金属水酸化物を添加し、
    次いで固液分離することを特徴とするゲル状水酸化アル
    ミニウムスラッジの処理方法。
  2. 【請求項2】 処理するゲル状水酸化アルミニウムスラ
    ッジが、アルミニウム材表面処理工程で生じた廃液を処
    理する際にpH9.0以上で分離したスラッジである請
    求項1記載のゲル状水酸化アルミニウムスラッジの処理
    方法。
  3. 【請求項3】 アルカリ土類金属水酸化物が水酸化カル
    シウム又はスラッジ溶解処理液中で水酸化カルシウムを
    生成する水酸化カルシウム生成化合物であり、得られた
    スラッジ溶解処理液中に水酸化カルシウムとして0.5
    〜10g/リットルの割合で添加する請求項1又は2に
    記載のゲル状水酸化アルミニウムスラッジの処理方法。
  4. 【請求項4】 スラッジ溶解処理液への水酸化カルシウ
    ムの添加として、Ca(OH)2 10〜200g/リッ
    トル濃度の石灰乳を添加する請求項3記載のゲル状水酸
    化アルミニウムスラッジの処理方法。
  5. 【請求項5】 スラッジ溶解処理液中にアルカリ土類金
    属水酸化物を添加した後、80℃以上の温度で0.5〜
    5時間保持してから固液分離する請求項1〜4の何れか
    に記載のゲル状水酸化アルミニウムスラッジの処理方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載の方法で得
    られた分離液に種子として結晶性水酸化ナトリウムを添
    加し、この結晶性水酸化ナトリウム種子の存在下に分離
    液中のアルミン酸ナトリウムを加水分解せしめ、次いで
    固液分離してAl濃度の低下したアルミン酸ナトリウム
    水溶液と結晶性水酸化アルミニウムとを回収することを
    特徴とするゲル状水酸化アルミニウムスラッジの処理方
    法。
JP7124110A 1995-05-23 1995-05-23 ゲル状水酸化アルミニウムスラッジの処理方法 Pending JPH08318282A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010222159A (ja) * 2009-03-23 2010-10-07 Nikkei Sangyo Kk 水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法
CN110025990A (zh) * 2018-05-31 2019-07-19 沈阳铝镁设计研究院有限公司 一种沉降槽的自稀释工艺

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