JPH0987863A - アルミニウム製品の製造設備における廃液処理方法 - Google Patents

アルミニウム製品の製造設備における廃液処理方法

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JPH0987863A
JPH0987863A JP24454295A JP24454295A JPH0987863A JP H0987863 A JPH0987863 A JP H0987863A JP 24454295 A JP24454295 A JP 24454295A JP 24454295 A JP24454295 A JP 24454295A JP H0987863 A JPH0987863 A JP H0987863A
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sludge
aluminum
liquid
solution
etching
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Application number
JP24454295A
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English (en)
Inventor
Akira Morita
彰 森田
Yasushi Egami
泰 江上
Noboru Sugiyama
昇 杉山
Shoji Asahara
捷治 朝原
Yoshiro Tanaka
義朗 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 形材加工プロセスと表面処理プロセスとが併
設されたアルミニウム製品の製造設備における廃液処理
方法を提供する。 【解決手段】 表面処理プロセスからの廃液を回収して
pH9.0以上で含水ゲル状水酸化アルミニウムスラッ
ジを回収するスラッジ回収工程と、このスラッジを形材
加工プロセスで発生した工具洗浄老化液と表面処理プロ
セスで得られたアルカリ再生液とで溶解するスラッジ溶
解工程と、スラッジ溶解液から不溶物を分離して除去す
る不溶物分離工程と、精製スラッジ溶解液を表面処理プ
ロセスのアルカリ再生工程に導入してエッチング老化液
と共に加水分解して固液分離するアルカリ再生工程と、
アルカリ再生液の一部をエッチング液としてエッチング
工程に循環させると共にその残部をスラッジ溶解工程に
循環させる再生液循環工程とから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウム又
はアルミニウム合金からなるアルミニウム素材を所定の
形状のアルミニウム形材に加工する形材加工プロセス
と、この形材加工プロセスで製造されたアルミニウム形
材や、板材製造プロセスで製造されたアルミニウム板材
等のアルミニウム又はアルミニウム合金からなる種々の
アルミニウム材を表面処理してアルミニウム製品を製造
する表面処理プロセスとが併設されているアルミニウム
製品の製造設備で発生するアルミニウム分を含む廃液を
処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム素材から所定の形状を有す
るアルミニウム形材を製造する方法としては、通常、ア
ルミニウム素材の押出加工が広く一般に採用されている
が、この押出加工でアルミニウム形材を製造する場合に
は製品の形状に応じてそれぞれのダイスが用意され、素
材としてのアルミニウムビレットはこのダイスを通過し
て所定の形状に成形される。
【0003】そして、この押出加工の操作が終了する
と、アルミニウム材はダイス面に沿って機械的に切断さ
れ、その一部がダイスの孔内部に残留するが、引き続い
て同じ材質のアルミニウム形材を製造する等の特別な場
合を除いて、通常の断面形状のダイスではその修正や補
修のため、また、複雑断面形状のダイスにあってはその
再使用のために、孔内部に残留したアルミニウム材が除
去される。
【0004】このダイスの洗浄は、通常、200〜45
0g/リットル程度の高濃度の水酸化アルミニウム溶液
からなる工具洗浄液を用い、80〜100℃程度の加温
下で孔内部に残留したアルミニウムを溶解することによ
り行われているが、この工具洗浄液は、ダイスの洗浄に
繰り返し使用されると、工具洗浄液の水酸化アルミニウ
ム溶液中にアルミニウムがアルミン酸ナトリウムとして
次第に蓄積し、これに伴って工具洗浄液のアルミニウム
に対する溶解速度が低下し、次第にその作業性が低下す
るほか、結晶性水酸化アルミニウム(ジブサイト)の溶
解度以上になるとこのジブサイトが析出して白濁し、器
壁等に付着する等の危険が生じる。
【0005】このため、所定量の洗浄処理を経た後にあ
るいは所定時間の洗浄処理経過後にはこの老化した工具
洗浄液を新しい水酸化アルミニウム溶液に更新する必要
がある。しかしながら、この工具洗浄老化液中には、ア
ルミニウム素材の押出加工時に使用された固体潤滑剤由
来のカーボン、グラファイト、窒化硼素等の超微粒子状
不純物や、アルミニウム素材由来のコロイド状、ゲル状
あるいは溶存状態の金属酸化物が多量に含まれており、
これらはこの工具洗浄老化液の加水分解を阻害したり、
また、この加水分解で析出した結晶性水酸化アルミニウ
ムの品質や純度を極端に悪化させる原因になり、しか
も、これら超微粒子状不純物や金属酸化物を効率良く分
離除去する方法もない。
【0006】この工具洗浄老化液の処理量は、例えば、
1日当たりアルミニウム形材を50〜100トン生産す
る工場の場合、硬質材、軟質材等のアルミニウムの種類
や製品形状にもよるが、軟質材のアルミニウムの場合に
はNaOH量に換算して300〜600kg/日にも及
び、また、溶解Al分に換算して100〜150kg/
日にも及ぶ。従って、このような形材加工プロセスにお
いては、通常、所定量のあるいは所定時間の洗浄処理経
過後の老化した工具洗浄液、すなわち工具洗浄老化液
は、廃液として中和処理し、廃棄せざるを得ないのが現
状であった。
【0007】また、このような形材加工プロセスで製造
されたアルミニウム形材や、板材製造プロセスで製造さ
れたアルミニウム板材等の種々のアルミニウム材につい
ては、その表面の意匠性、耐久性、耐腐蝕性等の向上を
目的に、陽極酸化処理を主とするアルミニウム材の表面
処理が行われ、また、その陽極酸化処理による膜形成の
前処理として表面状態を整えるためのエッチング処理が
行われており、このエッチング処理においては、通常、
NaOH濃度70〜150g/リットルの水酸化ナトリ
ウム溶液(いわゆる、エッチング液)が使用されてい
る。
【0008】そして、このエッチング処理においては、
その処理の過程でアルミニウム材の表面がエッチング液
中に溶解され、エッチング液中にアルミニウム分がアル
ミン酸ナトリウムとして次第に蓄積されてくる。
【0009】しかるに、このアルミン酸ナトリウムは、
過剰の水酸化ナトリウムの存在下にのみ安定に存在し、
過飽和状態を超えると加水分解を受けて水酸化アルミニ
ウムが析出する。そして、この加水分解で生成した水酸
化アルミニウムは、エッチング液を懸濁させ、また、エ
ッチング液中で沈降物となったり、更には、エッチング
処理槽の壁面等にスケールとして強固に付着する。この
ため、アルミニウム材のエッチング処理においては、一
定量のアルミウム材を処理する毎に使い古したエッチン
グ液(すなわち、エッチング老化液)を新しいエッチン
グ液に交換することが必要であり、エッチング老化液を
エッチング処理槽から定期的に抜き出して処理する必要
がある。
【0010】このようにして抜き出されたエッチング老
化液の処理方法としては、従来は中和処理が行われてい
たが、この中和処理の際に多量の含水ゲル状水酸化アル
ミニウムスラッジ(以下、単に「スラッジ」と称する)
が発生し、このスラッジの処理に更に多額の費用を必要
とするという問題があった。
【0011】そこで、この問題を解決するため、例えば
特公昭51−22901号公報や特開昭58−2798
4号公報においては、アルミニウムを過飽和に含むエッ
チング老化液を定期的に、あるいは、連続的に系外に取
り出し、これを水洗工程の水洗浄液等の水で希釈し、更
に、ジブサイトと称される結晶性水酸化アルミニウム
〔結晶性のαAl(OH)3 〕を種子として添加し(通
常は、前回処理で得られたジブサイトの一部を用い
る)、このジブサイトの存在下に加水分解してアルミニ
ウム分を結晶性水酸化アルミニウムとして析出させ、こ
れを沈降、濾過、あるいは遠心分離等の方法で固液分離
し、エッチング液として有用なアルミン酸ナトリウム溶
液を再生し、これを再生エッチング液として循環使用す
ると共に、アルミニウム分を工業原料として有用なジブ
サイトの形で取り出すことが行われている。そしてこの
方法は、それまでの中和処理法に比べ、中和のための薬
品のコストを軽減できるほか、エッチング処理で失われ
たアルミニウム分をジブサイトという別の有価物の形で
回収でき、極めて大きい経済効果をもたらしており、ア
ルミニウム材の表面処理プロセスで広く採用されてい
る。
【0012】このように、エッチング処理槽内にあるエ
ッチング老化液については、この加水分解法によりアル
ミニウム分を回収し、これによりアルカリ再生を行って
再生エッチング液として循環使用することができるが、
このエッチング処理の際に発生する水素ガスと共にミス
ト等として周辺に飛散し排気系に吸収されるいわゆる
「ミストロス」や、エッチング処理後に被処理材に付着
して水洗槽に持ち込まれるいわゆる「持出しロス」等を
始めとする、アルミニウム材のエッチング処理で不可避
的に発生する種々のハンドリングロス液については、た
とえその回収を行ってもNaOH濃度が希薄なためにそ
のアルカリ分を回収する適当な方法がなく、一括して廃
液処理に付されるのが現状である。
【0013】従って、アルミニウム材のエッチング処理
においては、少なくともこれらハンドリングロス液に基
づくアルカリ損失分に相当する水酸化ナトリウムについ
ては、エッチング処理においてこれを補給する必要があ
り、そして、この補給する水酸化ナトリウムの量は、例
えば、1日当りアルミニウム材を2万m2 処理する工場
の場合、NaOH量に換算して350〜500kg/日
にも及んでいる。
【0014】このように、上述したアルミニウム素材か
らアルミニウム形材を加工する形材加工プロセスでは、
その工具洗浄工程で1日当り相当量の水酸化ナトリウム
やアルミニウム分が工具洗浄老化液として廃棄されてお
り、また、アルミニウム形材やアルミニウム板材等のア
ルミニウム材の表面処理プロセスでは、1日当り相当量
の水酸化ナトリウムを常時補給する必要が生じているの
が現状であり、しかも、中和処理のために多量の酸を使
用し、また、中和により生じた多量の水分を含むスラッ
ジの処理も加わり、アルミニウム製品の製造設備におい
て経済的に大きな負担になっていた。
【0015】更に、このようにしてエッチング処理され
たアルミニウム材は、水洗された後にスマットや残留ア
ルカリを除去するために酸性溶液で処理する、いわゆる
脱スマット処理に付され、次いで通常遊離硫酸110〜
170g/リットルを含む電解液を用いて陽極酸化処理
に付される。
【0016】そして、この陽極酸化処理においては、ア
ルミニウム材の表面の陽極酸化と同時に少量のアルミニ
ウム分が電解液中に溶出し、この電解液中のAl濃度が
高くなりすぎると製品品質に悪影響を及ぼすので、通常
Al濃度20g/リットルを超えないように、老化した
電解処理液(すなわち、電解老化液)の更新を行ってお
り、ここで回収された電解老化液は、硫酸及び硫酸アル
ミニウムを含むので他の化学工業用の用途に再利用され
ている。
【0017】しかるに、この陽極酸化処理においても、
上記エッチング処理と同様に、その処理の際に電解液が
不可避的にミスト等として周辺に飛散し、これが排気系
に吸収され、また、この陽極酸化処理の後にも水洗が必
要であり、希薄なAl濃度の廃液が発生する。
【0018】このように、アルミニウム素材をアルミニ
ウム形材に加工する形材加工プロセスやアルミニウム形
材やアルミニウム板材等のアルミニウム材の表面処理プ
ロセスにおいては、その多くの工程でアルミニウム分、
水酸化ナトリウム、硫酸等を含む廃液が発生し、これら
の廃液処理の過程で処理の困難な多量のスラッジが発生
し、このスラッジの処理に大きな経済的負担を強いら
れ、特に、形材加工プロセスでアルミニウム材を形成
し、このアルミニウム材を表面処理してアルミニウム製
品を製造する製造設備においては、このスラッジの処理
が大きな問題になっている。
【0019】そこで、このようなスラッジに含まれるア
ルミニウム分に着目し、このスラッジを有用資源化する
試みも行われており、例えば、スラッジを水酸化ナトリ
ウム溶液に溶解し、不溶物を分離除去したのちに結晶性
水酸化アルミニウム(ジブサイト)種子の存在下に加水
分解し、スラッジ中のアルミニウム分を工業的に有用な
結晶性水酸化アルミニウムとして回収する方法が提案さ
れている。
【0020】しかしながら、例えば下記表1の「スラッ
ジの実例」に示すように、スラッジが分離困難なコロイ
ド状不溶物や70〜75重量%にも及ぶ多量の水分を含
み、しかも、含有アルミニウム分の1/4〜1/2にも
及ぶ多量でかつ分離除去が困難な硫酸根(SO4 2- )を
含むほか、含有アルミニウム分の1/20〜1/10に
及ぶ二酸化珪素(SiO2 )を始とする金属酸化物等も
含み、実際にはこの方法においても、中和反応による多
量の水酸化ナトリウムの損失や溶液濃縮の必要が生じて
実用化が困難であり、依然として経済的に大きな負担に
なっている。
【0021】
【表1】
【0022】例えば、実際に建材を主要製品として2
0,000m2 /日の表面処理を行うアルミニウム製品
の製造設備においては、工具洗浄老化液の更新による水
酸化ナトリウム廃棄量が300〜600kg/日、エッ
チング処理における水酸化ナトリウム補給量が350〜
500kg/日、主として工具洗浄老化液の中和に用い
られる中和用硫酸使用量が400〜450kg/日、及
び、スラッジ発生量が3,500〜4,000kg/日
にも及び、水酸化ナトリウムの二重投資と多量のスラッ
ジ処理が必要とされている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、かかる問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、
廃液の中和処理で発生したスラッジをpH9.0以上で
処理してスラッジ中の硫酸根を可及的に除去し、この硫
酸根が除去されたスラッジを形材加工プロセスの工具洗
浄老化液と表面処理プロセスのアルカリ再生液とで溶解
することにより、工具洗浄老化液やスラッジ中に含まれ
ている除去し難い不純物を効果的に除去できることを見
出し、本発明を完成した。
【0024】本発明の課題は、形材加工プロセスと表面
処理プロセスとが併設されたアルミニウム製品の製造設
備において、形材加工プロセスで発生する工具洗浄老化
液中の有価物である水酸化ナトリウムを有効利用すると
共に、この工具洗浄老化液中のアルミニウム分と表面処
理プロセスで不可避的に発生するスラッジ中のアルミニ
ウム分とを工業的に有用な結晶性水酸化アルミニウムと
して回収し、これによって水酸化ナトリウムの二重投資
を解消すると共に処理の困難なスラッジの発生を可及的
に減少せしめることができるアルミニウム製品の製造設
備における廃液処理方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ア
ルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム
素材を所定の形状を有するアルミニウム形材に加工する
と共にこの加工に用いた加工用工具を工具洗浄液で洗浄
する工具洗浄工程を備えた形材加工プロセスと、この形
材加工プロセスで製造されたアルミニウム形材を始とす
るアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニ
ウム材をエッチング処理又はこのエッチング処理と陽極
酸化処理とにより表面処理してアルミニウム製品を製造
すると共にエッチング処理により老化したエッチング老
化液を加水分解してアルカリ再生を行うアルカリ再生工
程を備えた表面処理プロセスとが併設されたアルミニウ
ム製品の製造設備における廃液処理方法であり、上記表
面処理プロセスで発生したアルミニウム分を含む廃液を
回収し、この回収した廃液からpH9.0以上で含水ゲ
ル状水酸化アルミニウムスラッジを回収するスラッジ回
収工程と、このスラッジ回収工程で回収されたスラッジ
を、上記形材加工プロセスの工具洗浄工程で発生した工
具洗浄老化液と上記表面処理プロセスのアルカリ再生工
程で得られたアルカリ再生液とで溶解するスラッジ溶解
工程と、このスラッジ溶解工程で得られたスラッジ溶解
液から不溶物を分離して除去する不溶物分離工程と、こ
の不溶物分離工程で得られた精製スラッジ溶解液を上記
表面処理プロセスのアルカリ再生工程に導入し、表面処
理プロセスのエッチング工程から回収されたエッチング
老化液と共に加水分解して固液分離するアルカリ再生工
程と、このアルカリ再生工程で得られたアルカリ再生液
の一部をエッチング液としてエッチング工程に循環させ
ると共にその残部を上記スラッジ溶解工程に循環させる
再生液循環工程とを含むアルミニウム製品の製造設備に
おける廃液処理方法である。
【0026】本発明方法において、処理の対象となる廃
液は、主として、形材加工プロセスで製造されたアルミ
ニウム形材を始とするアルミニウム又はアルミニウム合
金からなるアルミニウム板材等のアルミニウム材をエッ
チング処理又はこのエッチング処理と陽極酸化処理とに
より表面処理するアルミニウム材の表面処理プロセスか
ら排出されるアルミニウム分を含有する廃液であり、具
体的には、酸洗・脱脂工程後の水洗工程、エッチング処
理工程後の水洗工程や脱スマット処理工程、陽極酸化処
理工程後の水洗工程、更には、エッチング処理工程や陽
極酸化処理工程においてミスト等として周辺に飛散し排
気系に吸収されるミスト等由来の漏洩廃液やその他アル
ミニウム分を含有する全ての廃液が含まれる。
【0027】このような廃液は、次にpH9.0以上で
含水ゲル状水酸化アルミニウムスラッジを回収するスラ
ッジ回収工程に導入される。このスラッジ回収工程で
は、種々の廃液が一旦中和処理の中和槽に集められ、そ
こで通常pH5.5〜8.5の範囲、好ましくはpH
6.0〜8.0の範囲に調製して中和処理され、次いで
凝集沈降処理により上澄み液と濃密部とに分離され、上
澄み液については排水として放流されると共に、濃密部
については硫酸根を可及的に除去するために水酸化ナト
リウム又はその水溶液を用いてpH9.0以上、好まし
くはpH9.4以上、より好ましくはpH9.4〜1
1.0に調整され、加圧濾過等の手段で固液分離し、硫
酸根を可及的に除去した含水ゲル状水酸化アルミニウム
スラッジを回収する(スラッジ回収工程)と共に、濾液
等の固液分離後の分離液についてはこれを中和処理に循
環させる。pH調整がpH9.0より低いと、たとえp
H7.0以上であっても、硫酸根が十分に除去されたス
ラッジを回収することができない。本発明のスラッジ回
収工程で回収されるスラッジの硫酸根は、通常、SO4
/Al重量比で0.05以下にまで減少しており、好ま
しくは0.025以下であるのがよい。
【0028】上記スラッジ回収工程で回収されたスラッ
ジは、次にスラッジ溶解工程に移送され、そこでは形材
加工プロセスの工具洗浄工程で発生した工具洗浄老化液
と表面処理プロセスのアルカリ再生工程で得られたアル
カリ再生液とを用いて溶解される。
【0029】ここで、形材加工プロセスの工具洗浄工程
で発生してスラッジ溶解工程で用いられる工具洗浄老化
液については、そのNaOH濃度が通常160〜400
g/リットル、好ましくは250〜400g/リットル
という高濃度NaOH水溶液であって、アルミニウム分
をAl/NaOH当量比0.2〜0.7の濃度で溶解し
ている。この工具洗浄老化液のNaOH濃度があまり低
いと、本発明のプロセスの水バランスを維持し難くなっ
て溢流発生や水使用の自由度が損なわれる原因になるの
で、工具洗浄老化液のNaOH濃度は250g/リット
ル以上が好ましい。また、アルカリ再生液は、通常、N
aOH濃度80〜150g/リットル、好ましくは95
〜105g/リットル及びAl/NaOH当量比0.2
5〜0.30であり、そのままエッチング処理工程でエ
ッチング液として利用できるものである。
【0030】そして、スラッジを溶解する際に用いる工
具洗浄老化液とアルカリ再生液との使用割合は、これら
工具洗浄老化液やアルカリ再生液のNaOH濃度及びA
l/NaOH当量比によっても異なるが、結果としてス
ラッジを溶解した後のスラッジ溶解液のNaOH濃度が
少なくとも200g/リットル以下であって、Al/N
aOH当量比が0.5以下、好ましくは0.35〜0.
45の範囲内であることが好ましい。このスラッジ溶解
液のNaOH濃度が200g/リットルより高いと、こ
のスラッジ溶解液から不溶物を析出させ、分離して精製
するのが困難になる。なお、スラッジ溶解液のAl/N
aOH当量比をエッチング老化液のそれと同様にすれ
ば、精製中の安定性や加水分解駆動力が得られる。
【0031】従って、スラッジ溶解に使用する溶液量
は、工具洗浄老化液のAl/NaOH当量比がエッチン
グ老化液のそれより低い場合には、その差に相当するア
ルミニウム分及びアルカリ再生液のアルミニウム分溶解
余力(エッチング老化液とアルカリ再生液のアルミニウ
ム濃度差)により求められ、また、工具洗浄老化液のA
l/NaOH当量比がエッチング老化液のそれとほぼ同
じか高い場合には、溶解原質は主としてアルカリ再生液
に依存することになり、スラッジ中のアルミニウム分と
アルカリ再生液のアルミニウム分溶解余力により求めら
れる。
【0032】工具洗浄老化液は、精製のために自ら希釈
される一方、スラッジ溶解液の過度の希釈を防ぎ、安定
性を維持する効果があるが、工具洗浄老化液のAl/N
aOH当量比が極端に高く、更に、スラッジの量が少な
い場合には、スラッジをアルカリ再生液に溶解し、次い
で工具洗浄老化液と混合する方法も採用できる。
【0033】なお、工具洗浄老化液のAl/NaOH当
量比が低くてこの工具洗浄老化液が高いスラッジ溶解性
を有する場合には、特にアルカリ再生液を使用しなくて
もスラッジを溶解することができるが、工具洗浄老化液
についてこのような高いスラッジ溶解性を得るために
は、多量の工具洗浄液を必要とし、NaOHの消費量が
増して好ましくない。
【0034】スラッジの溶解処理は、目標とするAl/
NaOH当量比での溶解度を向上させ、また、溶解後の
安定性を確保するために、高温で、好ましくは90〜常
圧沸点(通常は、約109℃程度)で行うのがよく、ス
ラッジが元来ゲル状の微細構造であり、しかも、本発明
による高pH処理により活性化されているので、数分間
の攪拌でアルミニウム分は容易に溶解する。
【0035】このようにしてスラッジ溶解工程で得られ
たスラッジ溶解液については、次にこのスラッジ溶解液
から不溶物を分離して除去する不溶物分離工程に導入さ
れ、精製スラッジ溶解液としてこの不溶物分離工程から
抜き出される。
【0036】ここで行われる不溶物分離操作としては、
特に限定されるものではないが、通常、シックナーを併
用した加圧濾過、あるいは、直接濾過等が行われ、ま
た、必要により洗浄水による洗浄も行われ、濾滓につい
ては廃棄物処理去れると共に、回収された精製スラッジ
溶解液については表面処理プロセスのアルカリ再生工程
に導入される。
【0037】スラッジ溶解液には、工具洗浄老化液中の
アルミニウム素材加工時の潤滑剤由来の超微粒固体潤滑
材が含まれているが、NaOH濃度が200g/リット
ル以下になっているため、この超微粒固体潤滑材は、ス
ラッジ溶解処理の際に工具洗浄老化液中から析出し凝集
した重金属酸化物やスラッジ中の不溶性の金属酸化物又
は金属水酸化物に同伴されて濾過の際に捕集され、工具
洗浄老化液単独の場合より簡単に分離除去される。
【0038】また、このスラッジ溶解液にはアルミニウ
ム分以外の不純物、例えばSiO2、Zn、潤滑剤由来
の有機高分子化合物等)が不可避的に存在するが、この
スラッジ溶解液がエッチング老化液と混合されて加水分
解性、結晶性水酸化アルミニウムの純度、アルカリ再生
液のエッチング性等に実用上無害な程度に希釈されるよ
うなときには、上述の用にしてスラッジ中のアルミニウ
ム分を溶解した後、直ちに不溶物を分離してもよい。
【0039】アルカリ再生工程を有するアルミニウム材
のエッチング処理では、アルミニウム材中のSi分はエ
ッチング液とほとんど全量反応するが、アルミニウム材
表面に付着するスマットやエッチング液の水洗水への持
ち出しにより、通常の建材用アルミニウム合金材では、
エッチング老化液中のSiO2 濃度はほぼ0.2〜0.
3g/リットルの範囲でバランスしており、加水分解に
より生成する結晶性水酸化アルミニウム中に移行するS
iO2 量は少量に過ぎない。
【0040】しかしながら、エッチングの際のスマット
化や工業用水中のSiO2 の共沈等のためにスラッジ中
にはSiO2 が濃縮され、また、このスラッジ溶解のた
めに用いる工具洗浄老化液中にも比較的高濃度のSiO
2 が含まれており、結果としてスラッジ溶解液中にはエ
ッチング老化液に比べてSiO2 が高濃度に含まれてお
り、SiO2 濃度がAl濃度に対して相対的に高くなっ
ている。そして、このSiO2 濃度が高くなると、例え
ば、エッチング老化液に対するスラッジ溶解液の割合に
もよるが、このスラッジ溶解液のSiO2 濃度が0.6
g/リットル以上になると、エッチング老化液と合流さ
せた後における加水分解性、固液分離の操作性、結晶性
水酸化アルミニウムの純度等に悪影響を及ぼすので、こ
のような場合には予めこのSiO2 濃度を低下させてお
く必要がある。
【0041】スラッジ溶解液のSiO2 濃度を予め低下
させる場合、本発明においては、スラッジ溶解処理後に
そのままの温度で攪拌を継続することにより、いわゆる
熟成処理を行う。この熟成処理において、スラッジ溶解
液中のSiO2 分は共存成分と反応してアルミノケイ酸
ナトリウムを生成し不溶化する、いわゆる脱ケイ反応が
進行する。この脱ケイ反応は、単にSiO2 濃度を低下
させるだけでなく、アルミノケイ酸ナトリウムの生成中
やその濾過の際に他の微粒懸濁物を取り込んだり、溶存
重金属イオンや高分子化合物を取り込み、生成をより効
果的にする副次的な作用も有する。
【0042】この熟成処理は、必要に応じて必要な時間
だけ行われるものであり、スラッジ溶解液中のSiO2
濃度にもよるが、通常10時間程度までで十分である。
そして、SiO2 濃度は、この熟成処理により、NaO
H濃度100g/リットルに換算して0.6g/リット
ル以下、好ましくは0.3g/リットル以下にされる
が、脱ケイ反応の反応速度は溶液の初期SiO2 濃度に
依存する性質があり、この初期SiO2 濃度が高いほど
短時間で終了する。このため、濾滓を一部フィードバッ
クしたり、ケイ酸ナトリウム等の易溶性ケイ酸化合物を
少量添加することも効果的であり、また、SiO2 濃度
が2g/リットル以上と高い場合には熟成処理3時間程
度でSiO2 濃度0.3g/リットル以下にまで低下す
る。
【0043】上記脱ケイ反応や固液分離による精製効果
を上げるために、より好ましくは、スラッジ溶解工程で
含水ゲル状水酸化アルミニウムスラッジを溶解する際に
若しくは溶解した後に水酸化カルシウムを添加し、熟成
の際にスラッジ溶解液中に水酸化カルシウムを共存させ
て熟成処理を行うのがよい。この水酸化カルシウムを共
存させて行う熟成処理も、特にその処理時間については
制限はないが、水酸化カルシウムの脱ケイ反応に対する
反応進行の刺激効果や固液分離に対する濾過助剤として
の作用により、通常は5時間の範囲内で十分な精製効果
が得られる。
【0044】この目的で添加される水酸化カルシウム
は、通常Ca(OH)2 として0.3〜3g/リットル
の範囲で添加され、好ましくはこの水酸化カルシウムを
固体濃度50〜200g/リットルの石灰乳として添加
するのがよい。この水酸化カルシウムの添加量は、Ca
(OH)2 として0.3g/リットルより少ないと、こ
の水酸化カルシウムを添加する意義が失われ、また、3
g/リットルより多く添加しても、水酸化カルシウムを
添加する効果があまり向上しない。
【0045】このようにして、不溶物分離工程を経て得
られた精製スラッジ溶解液は、表面処理プロセスのエッ
チング工程から回収されたエッチング老化液と共にアル
カリ再生工程に導入され、そこで加水分解されて固液分
離され、生成した結晶性水酸化アルミニウムは工業的に
有用な有価物として回収され、また、アルカリ再生液は
再生液循環工程を経てその一部(エッチング処理に必要
とされる必要量)がエッチング液としてエッチング工程
に循環されると共にその残部が上記スラッジ溶解工程に
循環される。
【0046】本発明の方法において、スラッジ溶解工程
で用いる工具洗浄老化液由来の水酸化ナトリウムの量が
表面処理プロセスで失われる水酸化ナトリウムの量に比
べて少ない場合には、工具洗浄工程で用いる工具洗浄老
化液のNaOH濃度を高くしてその洗浄効率を高めるよ
うにしてもよいほか、不足分をエッチング液として用い
るアルカリ再生液に添加してもよい。
【0047】反対に、スラッジ溶解工程で用いる工具洗
浄老化液由来の水酸化ナトリウムの量が表面処理プロセ
スで失われる水酸化ナトリウムの量に比べて多い場合に
は、工具洗浄老化液の一部をスラッジの溶解に用いて残
りを別に廃液処理するか、あるいは、アルカリ再生工程
を経てAl濃度が低下したアルカリ再生液の一部をエッ
チング液として用い、その残りを廃液の中和工程にアル
カリ源として、又は、工具洗浄液を更新する際の建浴の
ベース液として使用するのがよい。
【0048】
【作用】本発明の方法によれば、廃液の中和処理で発生
したスラッジをpH9.0以上で処理してスラッジ中の
硫酸根を可及的に除去し、この硫酸根が除去されたスラ
ッジを形材加工プロセスの工具洗浄老化液と表面処理プ
ロセスのアルカリ再生液とで溶解することにより、工具
洗浄老化液やスラッジ中に含まれている除去し難い不純
物を効果的に除去でき、また、廃液(すなわち、スラッ
ジ)中のアルミニウム分や工具洗浄老化液中のアルミニ
ウム分及び水酸化ナトリウム等の有効利用を図ることが
できる。
【0049】また、本発明の方法によれば、表面処理プ
ロセスで発生して多量の水を含むスラッジを、形材加工
プロセスの工具洗浄工程で発生した高NaOH濃度の工
具洗浄老化液と表面処理プロセスのアルカリ再生工程で
得られるアルカリ再生液とで溶解するので、結果とし
て、高NaOH濃度の工具洗浄老化液をスラッジの水で
希釈することになり、余分な水を使用しないので水バラ
ンスを維持し易いという利点がある。
【0050】更に、スラッジ中に不溶物として含まれる
金属酸化物、特にSiO2 等がスラッジ溶解液の不溶物
分離工程で濾過助剤として作用し、結果として、工具洗
浄老化液から持ち込まれる濾過の困難な固体潤滑剤由来
の超微粒子状不純物等やその他の金属酸化物を効果的に
分離除去できるようになり、高度に精製されたアルカリ
再生液や結晶性水酸化アルミニウムを得ることができ
る。
【0051】加えて、本発明の方法によれば、形材加工
プロセスで発生する工具洗浄老化液中の水酸化ナトリウ
ムで表面処理プロセスで不可避的に発生する水酸化ナト
リウムのロスを補うことができ、これによって水酸化ナ
トリウムの二重投資を解消することができると同時に、
処理の困難なスラッジの発生を可及的に減少せしめるこ
とができる。
【0052】
【発明の実施の形態】図1は本発明の典型的な実施の形
態を示すプロセスフロー図であり、アルミニウム製品
は、先ず、アルミニウムビレットを形材加工プロセスの
押出加工工程で押出成形し、得られたアルミニウム形材
をアルミニウム材の表面処理プロセスへ移送し、この表
面処理プロセスで酸洗・脱脂→水洗→エッチング処理→
水洗→脱スマット処理→陽極酸化処理→水洗の工程を経
て表面処理することにより製造される。
【0053】形材加工プロセスの押出加工に用いられた
ダイス等の加工用工具は、形材加工プロセスに付設され
た工具洗浄工程で高NaOH濃度の水酸化ナトリウム水
溶液からなる工具洗浄液で洗浄され、この工具洗浄工程
から排出された工具洗浄老化液はスラッジ溶解工程に移
送される。
【0054】また、上記アルミニウム材の表面処理プロ
セスでは、そのエッチング処理工程にアルカリ再生工程
が付設され、そこでは比較的高Al濃度のエッチング老
化液が結晶性水酸化アルミニウム(ジブサイト)の存在
下に加水分解され、次いで固液分離及び水洗されて有価
物であるジブサイトが回収され、また、比較的低Al濃
度のアルカリ再生液の一部がエッチング液としてエッチ
ング工程に循環されると共に、このアルカリ再生液の残
部がスラッジ溶解工程に移送される。
【0055】そして、上記アルミニウム材の表面処理プ
ロセスでは、その多くの工程で発生するアルミニウム
分、水酸化ナトリウム、硫酸等を含む廃液が中和工程に
移送され、そこでpH5.5〜8.5の間に調整されて
中和され、次いで凝集沈降処理され、上澄み液について
は放流され、また、回収された濃密部についてはスラッ
ジ回収工程に導入され、そこで水酸化ナトリウムを添加
してpH9.0以上にpH調整されると共に、必要によ
り熟成された後に不溶物が固液分離される。このスラッ
ジ回収工程で回収された不溶物はスラッジとしてスラッ
ジ溶解工程に移送され、また、濾液については上記廃液
の中和工程に循環され、再び中和用のアルカリ源として
利用される。
【0056】上記スラッジ回収工程で回収されたスラッ
ジは、スラッジ溶解工程で工具洗浄老化液とアルカリ再
生液とにより溶解され、次いで所定時間所定温度で熟成
された後に固液分離され、固形分については洗浄水で洗
浄されたのちに濾滓として廃棄され、また、濾液につい
ては精製スラッジ溶解液としてエッチング処理工程に付
設されたアルカリ再生工程に移送され、そこでエッチン
グ老化液と共に加水分解される。
【0057】この実施に係るプロセスにおいては、表面
処理プロセスのエッチング処理工程に付設されたアルカ
リ再生工程から、エッチング処理工程で使用するエッチ
ング液の液量を超えるアルカリ再生液が回収されるが、
そのアルカリ再生液は廃液の中和工程に循環され、再び
中和用のアルカリ源として利用されるようになってい
る。
【0058】更に、図2は本発明の他の典型的な実施の
形態を示すプロセスフロー図であり、図1の場合と異な
り、スラッジ溶解液を熟成させる工程で所定量の石灰乳
を導入するようにしたもので、これによって熟成処理に
おける滞留時間を短縮することができる。
【0059】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明
を具体的に説明する。
【0060】実施例1 図1に示すプロセスフロー図において、アルミニウムビ
レットを形材加工プロセスの押出加工で得られたアルミ
ニウム形材や図示外の板材製造プロセスで製造されたア
ルミニウム板材等のアルミニウム材は、処理量20,0
00m2 /日の表面処理プロセスにおいて、酸洗・脱脂
→水洗→エッチング処理→水洗→脱スマット処理→陽極
酸化処理→水洗の工程で表面処理され、形材あるいは板
材からなるアルミニウム製品として製造された。
【0061】形材加工プロセスの押出加工に用いられた
ダイスは、形材加工プロセスに付設されて468kg/
日の水酸化ナトリウムが消費される工具洗浄工程におい
て、NaOH濃度312g/リットル、Al濃度84g
/リットル及びSiO2 濃度0.73g/リットルの組
成(その他、固体潤滑剤由来の超微粒子状不溶物や種々
の金属酸化物等が含まれている)を持つ工具洗浄老化液
1.5m3 /日が排出された。
【0062】上記表面処理プロセスのエッチング処理工
程において、エッチング液35m3を収容したエッチン
グ処理槽からNaOH濃度92.0g/リットル、Al
濃度27.0g/リットル及びSiO2 濃度0.27g
/リットルの組成のエッチング老化液70.49m3
日が抜き出され、このエッチング処理工程に付設された
アルカリ再生工程を経てNaOH濃度94.9g/リッ
トル、Al濃度19.1g/リットル及びSiO2 濃度
0.20g/リットルの組成に再生されたアルカリ再生
液73.00m3 /日がエッチング処理槽に戻るように
操業された。
【0063】また、上記表面処理プロセスにおいては、
その酸洗・脱脂後の水洗工程から、エッチング処理後の
水洗工程や脱スマット処理工程から、また、陽極酸化処
理後の水洗工程から、更には、エッチング処理工程や陽
極酸化処理工程でミスト等を吸収する排気系を始めとす
るその他の場所からそれぞれ廃液が集められ、中和工程
に導入された。
【0064】この中和工程では、水酸化ナトリウム又は
硫酸を用いて集められた廃液のpHが5.5〜8.5の
範囲に調整され、次いで常法により凝集沈降処理され、
回収された上澄み液は放流されると共に、濃密部はスラ
ッジ回収のためのスラッジ回収工程に導入された。
【0065】このスラッジ回収工程では、先ず、水酸化
ナトリウムを用いて上記濃密部をpH10.0に調整
し、次いで濃密部中の不溶物を加圧濾過により固液分離
し、濾液を中和工程に循環させると共に、固形分をスラ
ッジとして回収した。
【0066】このスラッジ回収工程で回収されたスラッ
ジは、その量が2242kg/日であって、その組成が
Al:7.73重量%、SO4 2- :0.15重量%、N
a:0.12重量%、Mg:0.03重量%、Ni:
0.06重量%、Si:0.5重量%、及び付着水分:
76.5重量%であった。また、上記中和工程からスラ
ッジ回収工程までにおいて消費された水酸化ナトリウム
の量は180kg/日であった。
【0067】スラッジ回収工程で回収されたスラッジ2
242kg/日は、次に2基の5m 3 容量の溶解・熟成
槽を接続して構成したスラッジ溶解工程及び熟成処理工
程へと移送され、第1基目の溶解・熟成槽では上記スラ
ッジを工具洗浄老化液1.5m3 /日とアルカリ再生液
17.78m3 /日とを用いて105℃で溶解して熟成
し、また、第2基目の溶解・熟成槽では100℃で熟成
させ、滞留時間が全体で合計9時間となるように操業し
た。
【0068】このようにして熟成されたスラッジ溶解液
は、次に加圧濾過の手段で固液分離され、固形分につい
ては洗浄水0.18m3 /日で洗浄し、水分含有量約5
0重量%の濾滓176kg/日が回収され、また、濾液
についてはNaOH濃度100.3g/リットル、Al
濃度29.3g/リットル及びSiO2 濃度0.27g
/リットルの組成を有する精製スラッジ溶解液21.3
0m3 /日として上記エッチング老化液70.49m3
/日に合流され、両者の混合液(NaOH濃度93.9
g/リットル、Al濃度27.5g/リットル及びSi
2 濃度0.27g/リットル)91.80m3 /日と
なってアルカリ再生工程に導入された。
【0069】アルカリ再生工程では、ジブサイト220
g/リットルの存在下に50℃及び滞留時間31時間で
加水分解され、次いで固液分離され、また、固形分につ
いては洗浄水1.38m3 /日で水洗して有価物である
ジブサイト(水分含有量約10重量%)2554kg/
日として回収し、また、濾液についてはアルカリ再生液
としてその一部(73.00m3 /日)をエッチング工
程に循環させてエッチング液として使用すると共に、そ
の残部(17.78m3 /日)を上記スラッジ溶解工程
に移送させた。
【0070】この際、上記ジブサイトの洗浄に用いた洗
浄水については、その一部(0.65m3 /日)を濾液
に合流させてアルカリ再生液とすると共に、残部(0.
48m3 /日)については上記中和工程に導入して処理
した。
【0071】この実施例1において、アルカリ再生工程
における平衡後の溶液中のNa2 SO4 濃度は1.2g
/リットルであり、アルミニウム材のエッチング処理に
用いるエッチング液として十分に許容できる値であった
ほか、エッチング槽内の液流量は溢流することなく維持
された。
【0072】実施例2 図2に示すプロセスフロー図に従って実施された。この
実施例2においては、上記実施例1とは異なって、スラ
ッジ溶解工程及び熟成処理工程が1基の5m3容量の溶
解・熟成槽からなり、この溶解・熟成槽では、先ずスラ
ッジを工具洗浄老化液とアルカリ再生液の混合液中10
5℃で溶解させ、次いでこれにCa(OH)2 濃度10
0g/リットルの石灰乳0.21m3 /日を添加し、滞
留時間4.5時間で熟成させた。
【0073】このようにして熟成されたスラッジ溶解液
は、加圧濾過により固液分離され、固形分については洗
浄水0.24m3 /日で洗浄して水分含有量約50重量
%の濾滓237kg/日が回収され、また、濾液につい
てはNaOH濃度99.3g/リットル、Al濃度2
8.9g/リットル及びSiO2 濃度0.26g/リッ
トルの組成を有する精製スラッジ溶解液21.53m3
/日として上記エッチング老化液70.49m3 /日に
合流され、両者の混合液(NaOH濃度93.7g/リ
ットル、Al濃度27.4g/リットル及びSiO2
度0.27g/リットル)92.02m3 /日となって
アルカリ再生工程に導入された。
【0074】なお、上記濾滓の洗浄に用いられた洗浄水
は、洗浄後にそのまま溶解・熟成槽に導入された。ま
た、アルカリ再生工程では、上記実施例1と同様に操業
され、有価物であるジブサイト(水分含有量約10重量
%)2544kg/日が回収された。
【0075】比較例1 図3に示すプロセスフロー図に従って実施された。この
比較例1においては、上記実施例1及び2とは異なり、
形材加工プロセスに付設された工具洗浄工程から排出さ
れる工具洗浄老化液を表面処理プロセスから集められた
廃液と共に中和工程に移送し、そこで硫酸394kg/
日を用いてpH5.5〜8.5に中和処理し、次いで常
法により凝集沈降処理し、回収された上澄み液は放流す
ると共に、濃密部を加圧濾過により固液分離し、濾液は
放流し、また、固形分についてはスラッジとして別途廃
棄処理した。ここで、回収されたスラッジは、その回収
量が4275kg/日であって、その組成がAl:6.
99重量%、SO4 2- :4.34重量%、Na:0.7
9重量%、Mg:0.03重量%、Ni:0.05重量
%、Si:0.41重量%、及び付着水分:74.5重
量%であった。
【0076】また、この比較例1の表面処理プロセスに
おいては、そのエッチング処理工程において、エッチン
グ液59.9m3 を収容したエッチング処理槽からNa
OH濃度92.0g/リットル、Al濃度27.0g/
リットル及びSiO2 濃度0.27g/リットルの組成
のエッチング老化液59.91m3 /日が抜き出されて
アルカリ再生工程に導入された。
【0077】このアルカリ再生工程では、ジブサイト2
20g/リットルの存在下に50℃及び滞留時間31時
間で加水分解され、次いで固液分離され、また、固形分
については洗浄水0.88m3 /日で水洗して有価物で
あるジブサイト(水分含有量約10重量%)1638k
g/日として回収し、また、濾液についてはアルカリ再
生液(NaOH濃度92.2g/リットル、Al濃度1
8.5g/リットル及びSiO2 濃度0.26g/リッ
トル)59.72m3 /日としてエッチング工程に循環
させ、その際に25重量%水酸化ナトリウム水溶液1.
40m3 /日(NaOHとして448kg/日)を導入
し、NaOH濃度97.5g/リットル、Al濃度1
8.1g/リットル及びSiO2 濃度0.24g/リッ
トルの組成を有するエッチング液61.08m3 /日と
して使用した。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、形材加工プロセスと表
面処理プロセスとが併設されたアルミニウム製品の製造
設備において、形材加工プロセスで発生する工具洗浄老
化液中の有価物である水酸化ナトリウムを有効利用する
ことができると共に、この工具洗浄老化液中のアルミニ
ウム分と表面処理プロセスで不可避的に発生するスラッ
ジ中のアルミニウム分とを工業的に有用な結晶性水酸化
アルミニウムとして効率良く回収することができ、これ
によって水酸化ナトリウムの二重投資を解消できると共
に処理の困難なスラッジの発生を可及的に減少せしめる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施例1に係るアルミニウ
ム製品製造設備のプロセスフローを示すフロー図であ
る。
【図2】 図2は、本発明の実施例2に係るアルミニウ
ム製品製造設備のプロセスフローを示すフロー図であ
る。
【図3】 図3は、本発明の比較例1に係る従来のアル
ミニウム製品製造設備のプロセスフローを示すフロー図
である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年10月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】
【表1】
フロントページの続き (72)発明者 杉山 昇 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 朝原 捷治 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 田中 義朗 東京都港区三田3丁目13番12号 日本軽金 属株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なるアルミニウム素材を所定の形状を有するアルミニウ
    ム形材に加工すると共にこの加工に用いた加工用工具を
    工具洗浄液で洗浄する工具洗浄工程を備えた形材加工プ
    ロセスと、この形材加工プロセスで製造されたアルミニ
    ウム形材を始とするアルミニウム又はアルミニウム合金
    からなるアルミニウム材をエッチング処理又はこのエッ
    チング処理と陽極酸化処理とにより表面処理してアルミ
    ニウム製品を製造すると共にエッチング処理により老化
    したエッチング老化液を加水分解してアルカリ再生を行
    うアルカリ再生工程を備えた表面処理プロセスとが併設
    されたアルミニウム製品の製造設備における廃液処理方
    法であり、 上記表面処理プロセスで発生したアルミニウム分を含む
    廃液を回収し、この回収した廃液からpH9.0以上で
    含水ゲル状水酸化アルミニウムスラッジを回収するスラ
    ッジ回収工程と、 このスラッジ回収工程で回収されたスラッジを、上記形
    材加工プロセスの工具洗浄工程で発生した工具洗浄老化
    液と上記表面処理プロセスのアルカリ再生工程で得られ
    たアルカリ再生液とで溶解するスラッジ溶解工程と、 このスラッジ溶解工程で得られたスラッジ溶解液から不
    溶物を分離して除去する不溶物分離工程と、 この不溶物分離工程で得られた精製スラッジ溶解液を上
    記表面処理プロセスのアルカリ再生工程に導入し、表面
    処理プロセスのエッチング工程から回収されたエッチン
    グ老化液と共に加水分解して固液分離するアルカリ再生
    工程と、 このアルカリ再生工程で得られたアルカリ再生液の一部
    をエッチング液としてエッチング工程に循環させると共
    にその残部を上記スラッジ溶解工程に循環させる再生液
    循環工程とを含むことを特徴とするアルミニウム製品の
    製造設備における廃液処理方法。
  2. 【請求項2】 スラッジ回収工程において、アルミニウ
    ム分を含む廃液をpH5.5〜8.5で中和処理して凝
    集沈降せしめ、その上澄み液を排水すると共にその濃密
    部をpH9.0〜11.0に調整した後に固液分離し、
    含水ゲル状水酸化アルミニウムスラッジを回収すると共
    に分離液を中和処理前の廃液に合流せしめる請求項1に
    記載のアルミニウム製品の製造設備における廃液処理方
    法。
  3. 【請求項3】 形材加工プロセスの工具洗浄工程で用い
    る工具洗浄液がNaOH濃度250g/リットル以上の
    高濃度水酸化ナトリウム溶液である請求項1又は2に記
    載のアルミニウム製品の製造設備における廃液処理方
    法。
  4. 【請求項4】 スラッジ溶解工程で得られたスラッジ溶
    解液を攪拌下に80℃から常圧沸点までの温度範囲で保
    持して熟成させ、次いで熟成したスラッジ溶解液から不
    溶物を分離して除去する請求項1〜3の何れかに記載の
    アルミニウム製品の製造設備における廃液処理方法。
  5. 【請求項5】 スラッジ溶解工程で含水ゲル状水酸化ア
    ルミニウムスラッジを溶解する際に若しくは溶解した後
    に、水酸化カルシウムを添加し、得られたスラッジ溶解
    液を攪拌下に80℃から常圧沸点までの温度範囲で保持
    して熟成させ、次いで熟成したスラッジ溶解液から不溶
    物を分離して除去する請求項1〜3の何れかに記載のア
    ルミニウム製品の製造設備における廃液処理方法。
  6. 【請求項6】 水酸化カルシウムをCa(OH)2 とし
    て0.3〜3g/リットルの範囲で添加する請求項5に
    記載のアルミニウム製品の製造設備における廃液処理方
    法。
  7. 【請求項7】 水酸化カルシウムを固体濃度50〜20
    0g/リットルの石灰乳として添加する請求項5又は6
    に記載のアルミニウム製品の製造設備における廃液処理
    方法。
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