JPH0986925A - アルミニウム材表面処理廃液を用いたアルミナゲルの製造法及び結晶性水酸化アルミニウムの製造法 - Google Patents

アルミニウム材表面処理廃液を用いたアルミナゲルの製造法及び結晶性水酸化アルミニウムの製造法

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JPH0986925A
JPH0986925A JP7253321A JP25332195A JPH0986925A JP H0986925 A JPH0986925 A JP H0986925A JP 7253321 A JP7253321 A JP 7253321A JP 25332195 A JP25332195 A JP 25332195A JP H0986925 A JPH0986925 A JP H0986925A
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aluminum
solution
sludge
alumina gel
treatment
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JP7253321A
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Inventor
Akira Morita
彰 森田
Yasushi Egami
泰 江上
Noboru Sugiyama
昇 杉山
Shoji Asahara
捷治 朝原
Yoshiro Tanaka
義朗 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 アルミニウム材の表面処理に付帯して発生す
る廃液を処理しアルミナゲルと結晶性水酸化アルミニウ
ムを製造する。 【解決手段】 アルミニウム材の表面処理工程で生じた
アルミニウムを含む廃液を中和処理し、ゲル状水酸化ア
ルミニウムスラッジを凝集沈降せしめ、上澄み液は排水
として処理し、スラッジは水酸化ナトリウムを添加して
pHを9.0以上に調整したのち固液分離するアルミナ
ゲルの製造法と、アルミナゲルを水酸化ナトリウム含有
溶液に溶解し、得られた溶解液から不溶物を分離除去
し、結晶性水酸化アルミニウムの種子を添加して溶液中
のアルミン酸ナトリウムを加水分解し、アルミナゲル中
のアルミニウム分の一部を結晶性水酸化アルミニウムと
して回収する製造法より成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウム又
はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面処理
工程で生じたアルミニウムを含むアルカリ性及び/又は
酸性の廃液から工業的に有用なアルミナゲルを製造する
方法、及び、この方法で製造されたアルミナゲルを用い
て工業的に価値ある結晶性水酸化アルミニウムを製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム材は、船舶、車両、機械当の種々の部
品やサッシ等の建築材料を始め、電気製品、事務用品等
の多くの分野で利用されており、その際に、アルミニウ
ム材には、その表面の清浄化、耐蝕性や意匠性の付与等
を目的として、アルカリ溶液によるエッチング処理や酸
性溶液による陽極酸化処理等の種々の表面処理が施され
る。
【0003】しかしながら、このような表面処理で用い
られる処理液については、処理液中の有効成分の消費や
アルミニウム材由来のアルミニウム分の蓄積が不可避的
に発生し、これらの消費や蓄積がある一定の限度を超え
ると、いわゆるエッチング処理老化浴や陽極酸化処理老
化浴となってその更新が必要になり、これらの老化浴は
アルミニウム分を多量に含有するアルミニウム含有廃液
となる。
【0004】近年、これらの老化浴そのものは、アルミ
ニウム分の有用資源化を図りながらこれを再生処理する
方法が工夫され、あるいは、他の分野の工業薬品として
利用されるようになり、これらアルミニウム含有廃液の
処理上の問題は克服され、従来に比べて効率の良い表面
処理が行われれるようになっている。。
【0005】しかるに、アルミニウム材の表面処理にお
いては、単に老化浴からなるアルミニウム含有廃液に限
らず、アルミニウム材の表面処理の際に発生するガスと
共にミストとして飛散し、排気系に吸収されて発生した
り、その他のハンドリングロスとして漏洩する、いわゆ
る「ミスト等由来の廃液」が発生し、また、各表面処理
の後に行われる水洗工程で発生する多量の「洗浄水由来
の廃液」が発生する。
【0006】そして、これらのミスト等由来の廃液や洗
浄水由来の廃液は、その濃度が希薄であって、しかも、
多種多様な不純物を含んでいるために有効な利用方法が
なく、一括して廃液処理されている。
【0007】この廃液処理としては、通常、先ずその廃
液をpH5〜9、好ましくはpH5.5〜8.5に中和
処理し、その際に生成したゲル状水酸化アルミニウムス
ラッジ(以下、単に「スラッジ」と称することがある)
を可及的に分離除去し、得られた中性の清澄液を排水と
して処理すると共に、スラッジについてはこれを経済的
に有用資源化することが困難であり、時には多額の処理
コストを費やして廃棄処分にすることが行われている。
【0008】ここで、アルミニウム材の表面処理工程に
おける廃液処理から工業的に回収されたスラッジについ
てその実例の幾つかを表1に示す。
【0009】
【表1】
【0010】上記表1から明らかなように、スラッジの
主成分はアルミニウム分〔Al、超微粒アルミナ水和物
(アルミナゲル)〕であるが、このスラッジにはAl分
の1/4〜1/2にも及ぶ多量の硫酸根(SO4 2- )が
含まれ、しかも、全体の70〜80%(105℃乾燥物
基準:105℃で乾燥した残分を固形分と仮定して計算
した値)にも及ぶ多量の水分が含まれている。
【0011】ところで、アルミニウムは、窯業、金属工
業の融剤あるいは造滓剤、化学工業の重要な一成分とし
て広く用いられており、その基本的な物質としてアルミ
ニウム酸化物は重要な位置を占めている。しかしなが
ら、アルミニウム製品が中性の製品であったり、あるい
は、アルカリ性の成分を含むものである場合、スラッジ
のように多量の硫酸イオンを含むとその用途は極めて制
限されてしまい、このことがスラッジの有効利用を困難
にする重大な原因になっている。
【0012】また、スラッジ中の多量の水分は、その重
量及び嵩の点から輸送コストの負担を大きくし、また、
利用する上でも製品の物理的、化学的な品質を低下さ
せ、あるいは、このようなスラッジを利用するプロセス
に特別な脱水プロセスを必要とさせ、結果としてスラッ
ジの有効利用を防げている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、このようにアルミニウム材の表面処理における廃液
処理に付帯して発生するゲル状水酸化アルミニウムスラ
ッジの有用資源化を妨げている種々の問題を解消すべく
鋭意研究を重ねた結果、廃液を中和処理して生じたスラ
ッジを高pH下で処理してゲル状水酸化アルミニウムを
得ることにより、スラッジ中の不純物の大部分を分離除
去することができ、スラッジの性状を大幅に改善してそ
の有用資源化が可能になることを見出し、本発明を完成
した。
【0014】従って、本発明の目的は、アルミニウム材
の表面処理に付帯して発生する廃液を処理し、回収され
るゲル状水酸化アルミニウムスラッジから不純物の少な
い有効利用可能なアルミナゲルを製造することができる
アルミニウム材表面処理廃液を用いたアルミナゲルの製
造法を提供することにある。
【0015】また、本発明の他の目的は、アルミニウム
材の表面処理に付帯して発生する廃液から製造された不
純物の少ないアルミナゲルを使用し、アルミン酸ナトリ
ウム溶液を経由して容易かつ経済的に有用な結晶性水酸
化アルミニウムを製造することができるアルミニウム材
表面処理廃液由来のアルミナゲルを用いた結晶性水酸化
アルミニウムの製造法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ア
ルミニウム又はアルミニウム合金よりなるアルミニウム
材の表面処理工程で生じたアルミニウムを含むアルカリ
性及び/又は酸性の廃液を中和処理し、生成したゲル状
水酸化アルミニウムスラッジを凝集沈降せしめ、上澄み
液についてはこれを排水として処理し、また、濃密部に
ついてはこれに水酸化ナトリウムを添加して共存溶液の
pHを9.0以上に調整したのち固液分離し、分離され
た溶液を中和処理前の廃液中に循環せしめると共にゲル
状水酸化アルミニウムを得るアルミニウム材表面処理廃
液を用いたアルミナゲルの製造法である。
【0017】また、本発明は、アルミニウム又はアルミ
ニウム合金よりなるアルミニウム材の表面処理工程で生
じたアルミニウムを含むアルカリ性及び/又は酸性の廃
液を中和処理し、生成したゲル状水酸化アルミニウムス
ラッジの懸濁液又は凝集沈降後の濃密懸濁液を固液分離
し、分離された溶液についてはこれを排水として処理
し、また、回収されたゲル状水酸化アルミニウムスラッ
ジについては、リパルピングした後、水酸化ナトリウム
を添加して共存溶液のpHを9.0以上に調整したのち
固液分離し、分離された溶液を中和処理前の廃液中に循
環せしめると共にゲル状水酸化アルミニウムを得るアル
ミニウム材表面処理廃液を用いたアルミナゲルの製造法
である。
【0018】更に、本発明は、このようにアルミニウム
材表面処理廃液を用いて製造されたアルミナゲルを使用
し、このアルミナゲルを水酸化ナトリウム含有溶液で処
理してアルミニウム分を溶解せしめ、得られた溶解液か
ら不溶物を分離除去し、次いでこの溶解液に結晶性水酸
化アルミニウムの種子を添加して溶液中のアルミン酸ナ
トリウムを加水分解し、アルミナゲル中のアルミニウム
分の一部を結晶性水酸化アルミニウムとして回収すると
共に、水酸化ナトリウム含有溶液を再生して再使用する
アルミナゲルを用いた結晶性水酸化アルミニウムの製造
法である。
【0019】本発明方法において、アルミナゲルの製造
に用いる廃液は、アルミニウム材の表面処理の際に発生
する廃液であって、その由来については特に制限される
ものではないが、通常、主としてエッチング処理や陽極
酸化処理の際に発生するミスト等由来の廃液、洗浄水由
来の廃液、その他エッチング処理の前に酸性液により脱
脂又は脱膜した後の洗浄液やエッチング処理の後に脱ス
マットをした際の溢流液及び洗浄液に由来する廃液等が
ある。なお、必要により、エッチング処理老化浴や陽極
酸化処理老化浴の一部あるいは全部を本発明方法におけ
るアルミナゲル製造用の廃液として用いることもでき
る。
【0020】本発明方法において、このようなアルミニ
ウム材表面処理廃液は、先ず、pH5〜9、好ましくは
5.5〜8.5、より好ましくは6〜8に調整する中和
処理に付される。この中和処理に用いられるアルカリ及
び酸については、特に制限されるものではないが、一般
にエッチング処理に用いられる水酸化ナトリウム及び陽
極酸化処理に用いられる硫酸であり、この中和処理によ
り溶存アルカリ性金属イオンが水酸化物として不溶化さ
れ、捕集される。
【0021】この中和処理後、ゲル状水酸化アルミニウ
ムスラッジを不溶物主成分とする懸濁液は、常法に従っ
て凝集沈降処理に付され、精澄な中性の上澄み液につい
ては排水として処分し、不溶物が多量に含まれている濃
密部についてはこれに水酸化ナトリウムを添加してpH
9.0以上、好ましくは9.4〜11.0に調整する、
いわゆる高pH処理を行う。
【0022】本発明者らの検討によれば、中和処理後に
懸濁液から加圧濾過等の手段で回収されたスラッジを通
常の方法で水洗すると、このスラッジ中のNa分は次第
に減少してトレース状になることもあるが、硫酸根(S
4 2- )については、中和処理時のpH、その他の条件
にもよるが、Al分の1/4〜1/2(重量比)にも相
当するものがほとんどそのまま残留し、この硫酸根は単
なる付着ではなくゲル構造の一成分として存在すると考
えられる。しかるに、上記凝集沈降処理で得られた能密
部をpH値9.0以上に調整する高pH処理した後に固
液分離して得られたスラッジ中の硫酸根残留量(SO4
/Al重量比)は、顕著に減少してpH9.4でほぼゼ
ロになり、この9.4以上の高pH値、特にpH11.
0以上ではかえって水洗で取りきれないナトリウム分
(Na分)が増加する。
【0023】また、このpH値と残留硫酸根又はNa分
との関係は、中和処理を酸性側から行ってもアルカリ性
側から行ってもほぼ同様な結果が得ら、例えばpH9.
4で生成し洗浄された硫酸根及びNa分をほとんど含ま
ないスラッジをpH7.0の中性Na2 SO4 溶液と混
合すると、溶液は瞬時に微アルカリ性を呈し、これを固
液分離して得られるスラッジ中には再び水洗では取りき
れない硫酸根が取り込まれてくる。
【0024】従って、中和処理後、凝集沈降処理して回
収された濃密部に水酸化ナトリウムを添加して高pH処
理することにより、この濃密部中のスラッジに取り込ま
れていた硫酸根は共存溶液中に溶出し、スラッジ中から
容易に除去される。
【0025】また、上記中和処理後の凝集沈降処理にお
いてその濃密部のスラリー濃度が上昇し難い場合には、
中和処理して得られたスラッジの懸濁液を凝集沈降処理
することなく、あるいは、この懸濁液を凝集沈降処理し
て得られた能密部を加圧濾過や遠心分離等の方法で固液
分離し、分離された溶液を排水として処分し、また、回
収されたケーキ状あるいは極粘稠状のスラッジを水もし
くは微アルカリ性溶液でリパルピング(repulping )し
て固形物濃度(105℃乾燥物基準)10〜50g/リ
ットルに均一分散させてスラッジ懸濁液とし、このスラ
ッジ懸濁液を上記と同様に水酸化ナトリウムで高pH処
理し、スラッジ中から脱硫酸根を除去する。
【0026】この高pH処理のための水酸化ナトリウム
の添加は、回分式で行ってもよいが、例えば、濃密部又
はスラッジ懸濁液を連続的に攪拌槽に導入し、溶液のp
Hを確認しつつこの攪拌槽内に連側的に水酸化ナトリウ
ム水溶液を添加する連続式で行うこともでき、更にはス
ラッジ中からの硫酸根の除去が比較的速やかに行われる
ので、pH値のフィードバックと水酸化ナトリウム水溶
液の添加速度の制御を行うことができるときには、濃密
部又はスラッジ懸濁液を移送する送液用配管途上で水酸
化ナトリウム水溶液を連続的に添加することもできる。
【0027】このようにして濃密部又はスラッジ懸濁液
を高pH処理した後、得られた高pH処理済の懸濁液を
固液分離し、硫酸根が溶離して硫酸根含有量が顕著に低
減した低硫酸根含有のゲル状水酸化アルミニウム(アル
ミナゲル)を回収する。ここで、この固液分離の方法と
しては、特に限定されるものではないが、加圧濾過や遠
心分離等の方法が好適に適用され、この際に得られたア
ルミナゲルに付着する水分を可及的に分離除去するのが
よい。
【0028】このようにして得られた低硫酸根含有のア
ルミナゲルは、付着している水に溶解しているNa2
4 を可及的に除去するために、必要により洗浄され、
好ましくは始めにpH9.0以上の水酸化ナトリウム水
溶液で1回又は複数回洗浄し、次いで中性の水で1回又
は複数回洗浄する。また、この際においても、得られた
アルミナゲルに付着する水分を可及的に分離除去するの
がよい。
【0029】高pH処理済の懸濁液を固液分離して回収
された分離液は、アルカリ性であって微量のAl分を溶
解しているので、そのまま放流することなく中和処理前
の廃液中に循環され、また、この際に上記アルミナゲル
の洗浄に用いられた洗浄液も必要により循環される。こ
れにより、系外に放出される排水は中性で清澄な液のみ
となり、また、高pH処理で用いられた水酸化ナトリウ
ムもそのほとんどが中和処理前の廃液中に循環されるの
で、水酸化ナトリウム消費量が増加することはほとんど
ない。
【0030】このようにして得られた低硫酸根含有のア
ルミナゲルは、そのままでも工業上有用なアルミナ資源
として利用可能であるが、通常70〜80重量%(10
5℃乾燥物基準)という多量の水分を含んでおり(以
下、「含水アルミナゲル」と称することがある)、好ま
しくは水分含有量(105℃乾燥物基準)50重量%以
下、より好ましくは30〜50重量%に乾燥する(以
下、「乾燥アルミナゲル」と称することがある)。水分
含有量(105℃乾燥物基準)を50重量%以下にする
ことにより、輸送混合等の操作性が容易になるほか、活
性物質に加工した際の品質向上や、化学的処理の際の操
業単純化が可能になる。なお、過度に乾燥すると、得ら
れた乾燥アルミナゲルの粒子内に空隙が生じ、ある程度
以上の容積減少効果が達成できなくなく、また、輸送上
あるいは加工処理中に粉塵が発生し易くなる。
【0031】ここで、含水アルミナゲルを水分含有量
(105℃乾燥物基準)50重量%以下に乾燥する際の
乾燥方法については、特に制限されるものではないが、
例えば加圧濾過によりケーキ状で得られた含水アルミナ
ゲルをそのまま定置式乾燥法で乾燥するとそのまま強固
なケーキ状塊になって均一な乾燥が難しくなる場合があ
るので、好ましくは解砕効果を有するロータリー型乾燥
機で乾燥するのが好ましい。この際の加熱源は、電気、
燃料、スチーム等の何れの方法でもよく、間接加熱でも
直接加熱でもよいが、好ましくは内部に攪拌用の羽根、
段、堰、ガイド等が存在し、多少の造粒効果を有するも
のが望ましい。
【0032】本発明方法で得られたアルミナゲル(ゲル
状水酸化アルミニウム:含水アルミナゲル及び乾燥アル
ミナゲルの両者を含めて称する)は、それ自体で有用な
アルミナ資源として利用できるが、これを水酸化ナトリ
ウム含有溶液に溶解し、アルミン酸ナトリウムとしてか
ら加水分解することにより、極めて容易に、かつ、低コ
ストで更に有用な結晶性水酸化アルミニウム(ジブサイ
ト)とすることができる。
【0033】すなわち、上記本発明方法で得られたアル
ミナゲルを水酸化ナトリウム含有溶液で処理してアルミ
ニウム分を溶解せしめ、得られた溶解液から不溶物を分
離除去し、次いでこの溶解液に結晶性水酸化アルミニウ
ムの種子を添加して溶液中のアルミン酸ナトリウムを加
水分解し、アルミナゲル中のアルミニウム分の一部を結
晶性水酸化アルミニウムとして回収すると共に、水酸化
ナトリウム含有溶液を再生して再使用する。
【0034】ここで、アルミナゲルを溶解する水酸化ナ
トリウム含有溶液としては、具体的には水酸化ナトリウ
ム水溶液や、アルミニウム材のエッチング処理工程で回
収されたエッチング老化液や、エッチング処理のアルカ
リ再生工程でエッチング老化液を再生処理して得られた
アルカリ再生液や、更にはアルミニウムビレットを所定
の形状に塑性加工する形材加工プロセスにおいてその加
工用工具を洗浄して回収される工具洗浄老化液等が挙げ
られる。
【0035】そして、水酸化ナトリウム含有溶液として
水酸化ナトリウム水溶液を用いて本発明の方法を実施す
る場合には、専らアルミナゲルから結晶性水酸化アルミ
ニウムを製造する単独のプロセスとして構成してもよ
く、また、エッチング処理工程でその系外に不可避的に
持ち出される水酸化ナトリウム分を補給するためのプロ
セスとして組み込むこともできる。
【0036】また、水酸化ナトリウム含有溶液としてエ
ッチング老化液やアルカリ再生液を用いる場合には、好
ましくはエッチング処理のアルカリ再生工程に組み込む
のがよく、この場合にはエッチング処理工程及びそのア
ルカリ再生工程におけるNaOH濃度や循環水バランス
を必要な範囲内に管理する必要がある。
【0037】従って、本発明方法によりアルミナゲルか
らジブサイトを製造する場合、好ましくは乾燥アルミナ
ゲルを用いるのがよく、この乾燥アルミナゲルを用いる
ことにより、特にエッチング処理のアルカリ再生工程に
組み込む際にNaOH濃度や循環水バランスの管理が容
易になる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて、本発
明の実施の形態を説明する。
【0039】〔第一の実施形態〕図1に本発明の第一の
実施形態に係るアルミナゲルの製造法を示すフローチャ
ートが記載されている。図1に示すように、この第一の
実施形態において、アルミニウム材の表面処理設備で発
生した種々の廃液、すなわちミスト等由来の廃液、洗浄
水由来の廃液、その他エッチング処理の前に酸性液によ
り脱脂又は脱膜した後の洗浄液やエッチング処理の後に
脱スマットをした際の溢流液及び洗浄液に由来する廃液
等は一括して中和槽に集められ、そこで中和処理に付さ
れる。
【0040】この中和処理においては、廃液のpH値に
応じて中和槽内に酸(硫酸)又はアルカリ(水酸化ナト
リウム)が添加され、そのpH値が6.5〜8.5の範
囲に調整される。
【0041】このようにして中和処理終了後、ゲル状水
酸化アルミニウムスラッジをその不溶物の主成分とする
懸濁液は、凝集沈降槽に導入され、そこで常法に従って
凝集沈降処理に付される。
【0042】この凝集沈降処理の終了後、清澄な中性の
上澄み液についてはそのままで環境上問題がないので排
水として放出し、また、不溶物が多量に含まれている濃
密部については、高pH処理槽(改質槽)に移送され、
そこで水酸化ナトリウムが添加されてpH9.0〜1
1.0の範囲に調整される、いわゆる高pH処理に付さ
れる。この高pH処理において、水酸化ナトリウムを添
加は、25重量%水溶液としてpH自動コントロール装
置により流量コントロールされて行われる。
【0043】この高pH処理の終了後、懸濁液は加圧濾
過により固液分離され、ゲル状水酸化アルミニウム(含
水アルミナゲル)が得られる。用途によりそのままの状
態では硫酸根やNaの含有量が許容範囲を逸脱する場合
には、この含水アルミナゲルをその容量の1〜2倍の水
で洗浄し、含水アルミナゲル中に含まれている水分を新
鮮な水で置換する。なお、より厳密な硫酸根の除去が要
求される場合には、先ずpH9.0の洗浄液で洗浄し、
次いで水で洗浄するのがよい。このようにして得られた
含水アルミナゲルは、通常、70〜80重量%の水分を
含有し、白色のケーキ状である。
【0044】このようにして得られた含水アルミナゲル
は、次にドラム型乾燥機等により最高接触温度300℃
以下の条件で乾燥され、水分含有量30〜50重量%の
乾燥アルミナゲルとなる。この乾燥アルミナゲルは、粘
りつかず流動性に優れていて白色粒状である。
【0045】また、上記加圧濾過により回収された分離
液や洗浄液は、アルカリ性であって微量のAl分を含有
しているので、中和処理前の廃液と共に中和槽に循環さ
れ、そこで中和処理に付される。従って、この第一の実
施形態において、アルミニウム材表面処理廃液から工業
的に有用な含水アルミナゲル若しくは乾燥アルミナゲル
が製造され、また、その際に廃棄されるものは凝集沈降
槽から排出される清澄で中性の排水のみである。
【0046】〔第二の実施形態〕図2に本発明の第二の
実施形態に係るアルミナゲルの製造法を示すフローチャ
ートが記載されている。
【0047】この第二の実施形態においては、上記第一
の実施形態の場合と異なり、凝集沈降処理により得られ
た濃密部を加圧濾過により固液分離し、得られたゲル状
水酸化アルミニウムスラッジを水でリパルピングして固
形物濃度(105℃乾燥物基準)10〜50g/リット
ルのスラッジ懸濁液とし、このスラッジ懸濁液につい
て、上記第一の実施形態と同様に、高pH処理、加圧濾
過及び乾燥して含水アルミナゲル又は乾燥アルミナゲル
を製造している。
【0048】この第二の実施形態においても、アルミニ
ウム材表面処理廃液から工業的に有用な含水アルミナゲ
ル若しくは乾燥アルミナゲルが製造され、また、その際
に廃棄されるものは凝集沈降槽から排出される清澄で中
性の排水のみである。
【0049】〔第三の実施形態〕NaOH濃度100〜
300g/リットルの水酸化ナトリウム含有溶液に溶解
後の溶液のAl/NaOH当量比が0.35〜0.45
になるように乾燥アルミナゲルを添加して溶解し、析出
する水酸化鉄、水酸化マグネシウム、生成アルミノケイ
酸ナトリウム等の少量の不溶物を分離除去し、次いでこ
の溶解液に種子として結晶性水酸化アルミニウム(ジブ
サイト)を200〜250g/リットルの範囲で添加
し、攪拌下に50〜60℃で24〜48時間維持し、溶
解液中のアルミン酸ナトリウムを加水分解させる。
【0050】加水分解終了後、析出したジブサイトがス
ラリー状に懸濁した懸濁液を吸引濾過又は遠心分離によ
り固液分離し、水洗してジブサイトを得ると共に、分離
液や洗浄水についてはこれを再び水酸化ナトリウム含有
溶液として繰り返し用いる。
【0051】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明
をより具体的に説明する。
【0052】実施例1 アルミニウム材表面処理工場の廃液処理工程に設けら
れ、pH6.6に中和処理した後の懸濁液を凝集沈降さ
せる凝集沈降槽の下部よりゲル状水酸化アルミニウムス
ラッジが高濃度に含まれている濃密部(固体濃度34g
/リットル、pH6.6)200リットルを採取し、こ
れを鉄製の300リットル容器に入れて攪拌しながら工
業用水酸化ナトリウムの25重量%水溶液(NaOH濃
度:約320g/リットル)を滴下し、pH10.0に
調整して高pH処理した後、加圧濾過装置で固液分離し
た。
【0053】この固液分離においては、得られたケーキ
状のゲル状水酸化アルミニウム(含水アルミナゲル)の
上からその1kg当たりpH9.5の水酸化ナトリウム
水溶液1リットルを流し、次いで水(pH7.5)1リ
ットルを流して洗浄し、また、これらの洗浄液は固液分
離の分離液と共に中和処理工程に戻した。
【0054】このようにして得られた含水アルミナゲル
27.5kgを、直径300mm、長さ2000mm及
び傾斜角1.6°であって3rpmの攪拌羽及び堰付き
ステンレス製間接電熱加熱式ロータリー型乾燥装置を使
用し、滞留時間60分の条件で乾燥し、乾燥アルミナゲ
ル13kgを得た。
【0055】得られた乾燥アルミナゲルは、水分含有量
(105℃乾燥物基準)が48%であって、Al:1
7.1%、SO4 2- :0.34%、Fe:0.15%、
Mg:0.15%、Si:0.39%、Na:0.32
%であり、嵩比重が0.55トン/m3 でアルミナ換算
輸送効率は約180kgAl2 3 /m3 であった。
【0056】次に、上記のようにして得られた乾燥アル
ミナゲル1783gを工業用水酸化ナトリウムの50重
量%水溶液(NaOH濃度:約764g/リットル)1
リットルに添加し、100℃で攪拌してアルミニウム分
を溶解してNa2 O/Al23 のモル比1.7(Al
/NaOH等量比:0.95)の溶液とし、更に攪拌下
に100℃で3時間維持した後に不溶物を分離除去し、
NaOH:334g/リットル、Al:130g/リッ
トル、SiO2 :0.6g/リットル及びNa 2
4 :4g/リットルの組成を有するアルミン酸ナトリ
ウム溶液2.27リットルを得た。
【0057】このアルミン酸ナトリウム溶液は、そのN
aOH濃度及びAl濃度が高く、溶液として安定であっ
てハンドリングが容易であり、排水処理における凝集剤
としての用途や、サイズ剤、土壌硬化剤、セメント混合
剤等として有用なものであった。
【0058】比較例1 実施例1において、従来法と同様に、凝集沈降処理して
得られた濃密部をそのまま固液分離し、ゲル状水酸化ア
ルミニウムスラッジを得た。得られたスラッジの組成は
水分:74%、Al:7.93%、SO4 2- :3.14
%、Fe:0.07%、Mg:0.07%、Si:0.
18%、Na:0.06%であって多量の無用な硫酸根
(SO4 2- )が含まれており、また、輸送効率は80k
gAl2 3 /m3 にすぎなかった。
【0059】このようにして得られたスラッジを工業用
水酸化ナトリウムの50重量%水溶液(NaOH濃度:
約764g/リットル)に溶解し、上記実施例1の場合
と同様にしてアルミン酸ナトリウム溶液の調製を試み
た。この比較例1の場合には、スラッジ中の硫酸根及び
水分により、NaOHが消費されると共にNaOH濃度
が希釈され、スラッジを効率良く処理し、また、清澄な
アルミン酸ナトリウム溶液を得るのに工業用水酸化ナト
リウムの50重量%水溶液1リットルに溶解させるスラ
ッジの量を3100g以下に止める必要があった。
【0060】このため、得られたアルミン酸ナトリウム
溶液は、その量が3.56リットルであり、また、その
組成がNaOH:190g/リットル、Al:67g/
リットル、SiO2 :0.3g/リットル及びNa2
4 :40g/リットルであった。
【0061】このアルミン酸ナトリウム溶液は、そのN
aOH濃度及びAl濃度が低く(通常、NaOH濃度:
300g/リットル以上が必要)、溶液として不安定で
あり、排水処理の凝集剤、サイズ剤、土壌硬化剤、セメ
ント混合剤等の用途に使用するのが困難なものであっ
た。
【0062】実施例2 図3に示すプロセスフロー図において、アルミニウムビ
レットを形材加工プロセスの押出加工で得られたアルミ
ニウム形材や図示外の板材製造プロセスで製造されたア
ルミニウム板材等のアルミニウム材は、処理量20,0
00m2 /日の表面処理プロセスにおいて、酸洗・脱脂
→水洗→エッチング処理→水洗→脱スマット処理→陽極
酸化処理→水洗の工程で表面処理され、形材あるいは板
材からなるアルミニウム製品として製造された。
【0063】形材加工プロセスの押出加工に用いられた
ダイスは、形材加工プロセスに付設されて465kg/
日の水酸化ナトリウムが消費される工具洗浄工程におい
て、NaOH濃度232g/リットル及びAl濃度63
g/リットルの組成(その他、SiO2 や固体潤滑剤由
来の超微粒子状不溶物更には種々の金属酸化物等が含ま
れている)を持つ工具洗浄老化液2.0m3 /日が排出
された。
【0064】上記表面処理プロセスのエッチング処理工
程において、エッチング液35m3を収容したエッチン
グ処理槽からNaOH濃度92.0g/リットル、Al
濃度27.0g/リットル及びSiO2 濃度0.27g
/リットルの組成のエッチング老化液70.49m3
日が抜き出され、このエッチング処理工程に付設された
アルカリ再生工程を経てNaOH濃度94.9g/リッ
トル及びAl濃度17.1g/リットルの組成に再生さ
れたアルカリ再生液73.00m3 /日がエッチング処
理槽に戻るように操業された。
【0065】また、上記表面処理プロセスにおいては、
その酸洗・脱脂後の水洗工程から、エッチング処理後の
水洗工程や脱スマット処理工程から、また、陽極酸化処
理後の水洗工程から、更には、エッチング処理工程や陽
極酸化処理工程でミスト等を吸収する排気系を始めとす
るその他の場所からそれぞれ廃液が集められ、中和処理
に付された。
【0066】この中和処理では、水酸化ナトリウム又は
硫酸を用いて集められた廃液のpHが5.5〜8.5の
範囲に調整され、次いで常法により凝集沈降処理され、
回収された上澄み液は放流されると共に、濃密部(20
3 /日)は高pH処理に導入され、そこでは、25重
量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて上記濃密部をpH
9.5〜11.0(目標pH10.0)に調整された。
【0067】この高pH処理された濃密部は、次いで加
圧濾過により固液分離され、濾液は中和処理に循環され
ると共に、固形分としてケーキ状のゲル状水酸化アルミ
ニウム(含水アルミナゲル)が回収された。この含水ア
ルミナゲルは、その量が2235kg/日であって、そ
の組成がAl:7.7重量%、SO4 2- :0.15重量
%、Na:0.12重量%、Mg:0.03重量%、N
i:0.05重量%、Si:0.45重量%、及び付着
水分:75重量%であった。また、上記濃密部の高pH
処理において消費された水酸化ナトリウムの量は56k
g/日であった。
【0068】回収された含水アルミナゲル2235kg
/日は、ガス加熱内燃式ロータリー型乾燥機を用いて乾
燥され、水分含有量45重量%の乾燥アルミナゲル99
9kg/日として回収された。この乾燥アルミナゲルの
組成は、Al:17.30重量%、SO4 2- :0.34
重量%、Na:0.27重量%、Mg:0.07重量
%、Ni:0.11重量%、及びSi:1.00重量%
であった。
【0069】このようにして調製された乾燥アルミナゲ
ル999kg/日は、アルミナゲル溶解槽に導入され、
そこで上記工具洗浄老化液(NaOH濃度232g/リ
ットル及びAl濃度63g/リットル)2.0m3 /日
とアルカリ再生液(NaOH濃度94.9g/リットル
及びAl濃度17.1g/リットル)18.02m3
日との混合液により攪拌下100℃で5時間の条件で溶
解され、得られた溶解液は100℃、5時間の条件で熟
成することにより精製処理された。
【0070】このようにして精製されたアルミナゲル溶
解液は、次に加圧濾過の手段で固液分離され、固形分に
ついては洗浄水0.08m3 /日で洗浄し、水分含有量
約50重量%の濾滓140kg/日が回収され、また、
濾液と洗浄水についてはNaOH濃度103.8g/リ
ットル及びAl濃度30.3g/リットルの組成を有す
る精製アルミナゲル溶解液20.82m3 /日として上
記エッチング老化液70.49m3 /日に合流され、両
者の混合液(NaOH濃度94.7g/リットル及びA
l濃度27.8g/リットル)91.32m3 /日とな
ってアルカリ再生工程に導入された。
【0071】アルカリ再生工程では、ジブサイト220
g/リットルの存在下に55℃及び滞留時間36時間で
加水分解され、次いで固液分離され、また、固形分につ
いては洗浄水1.38m3 /日で水洗して有価物である
ジブサイト(水分含有量約10重量%)2562kg/
日として回収し、また、濾液と洗浄水についてはアルカ
リ再生液としてその一部(73.00m3 /日)をエッ
チング工程に循環させてエッチング液として使用すると
共に、その残部(18.02m3 /日)を上記アルミナ
ゲル溶解処理に移送させた。
【0072】この実施例2において、アルミニウム材の
表面処理により不可避的に発生した廃液中のアルミニウ
ム分はその約94重量%がジブサイトとして有用資源化
された。また、エッチング槽からは液量70.5m3
日が抜き出され、工具洗浄老化液中の水酸化ナトリウム
分によりアルカリ補給されて液量73.0m3 /日で還
流さるが、エッチング工程ではミストや持ち出し等によ
る容積減少因子があり、エッチング槽内の液流量は溢流
することなく維持され、連続操業が可能であった。
【0073】比較例2 図4に示すプロセスフロー図に従って実施された。この
比較例2においては、上記実施例2とは異なり、形材加
工プロセスに付設された工具洗浄工程から排出される工
具洗浄老化液を表面処理プロセスから集められた廃液と
共に中和処理に移送し、pH5.5〜8.5(目標pH
6.8)に中和処理し、次いで常法により凝集沈降処理
し、回収された上澄み液は放流すると共に、濃密部を加
圧濾過により固液分離し、濾液は放流し、また、固形分
についてはスラッジとして別途廃棄処理した。
【0074】ここで、回収されたスラッジは、その回収
量が4280kg/日であって、その組成がAl:7.
0重量%、SO4 2- :4.3重量%、Na:0.8重量
%、Mg:0.03重量%、Ni:0.05重量%、S
i:0.41重量%、及び水分:74重量%であった。
【0075】また、この比較例2の表面処理プロセスに
おいては、そのエッチング処理工程において、エッチン
グ液59.9m3 を収容したエッチング処理槽からNa
OH濃度92.0g/リットル、Al濃度27.0g/
リットル及びSiO2 濃度0.27g/リットルの組成
のエッチング老化液59.91m3 /日が抜き出されて
アルカリ再生工程に導入された。
【0076】このアルカリ再生工程では、ジブサイト2
20g/リットルの存在下に50℃及び滞留時間31時
間で加水分解され、次いで固液分離され、また、固形分
については洗浄水0.88m3 /日で水洗して有価物で
あるジブサイト(水分含有量約10重量%)1638k
g/日として回収し、また、濾液についてはアルカリ再
生液(NaOH濃度92.2g/リットル、Al濃度1
8.5g/リットル及びSiO2 濃度0.26g/リッ
トル)59.72m3 /日としてエッチング工程に循環
させ、その際に25重量%水酸化ナトリウム水溶液1.
40m3 /日(NaOHとして448kg/日)を導入
し、NaOH濃度97.5g/リットル、Al濃度1
8.1g/リットル及びSiO2 濃度0.24g/リッ
トルの組成を有するエッチング液61.08m3 /日と
して使用した。
【0077】上記実施例2とこの比較例2とを比較する
と、水酸化ナトリウムの使用量が320kg/日減少
し、また、中和用の硫酸の使用量も300kg/日減少
し、更に、比較的多量の硫酸根が含まれていて処理の困
難なスラッジも4130kg/日減少し、しかも、工業
的に有用な結晶性水酸化アルミニウム(ジブサイト)の
生成量が920kg/日増加した。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、アルミニウム材の表面
処理において、不可避的に発生する廃液を処理し、回収
されるゲル状水酸化アルミニウムスラッジから不純物、
特に有害な硫酸根をほとんど含まないで有効利用可能な
アルミナゲルを製造することができ、しかも、発生する
排水も従来と同様に中性でかつ清浄なものであり、工業
的価値の極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の第一の実施形態に係るアル
ミニウム材表面処理廃液を用いたアルミナゲル製造法の
プロセスフローを示すフローチャートである。
【図2】 図2は、第二の実施形態に係る図1と同様の
フローチャートである。
【図3】 図3は、本発明の実施例2に係るプロセスフ
ローを示すフローチャートであり、アルミニウム材表面
処理廃液を用いてアルミナゲルを製造し、次いで得られ
たアルミナゲルから結晶性水酸化アルミニウム(ジブサ
イト)を製造する工程をアルミニウム材の形材加工プロ
セス及び表面処理プロセスに組み込んだプロセスフロー
を示すものである。
【図4】 図4は、比較例2に係る従来のアルミニウム
材の形材加工プロセス及び表面処理プロセスを示すフロ
ーチャートである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年10月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】本発明者らの検討によれば、中和処理後に
懸濁液から加圧濾過等の手段で回収されたスラッジを通
常の方法で水洗すると、このスラッジ中のNa分は次第
に減少してトレース状になることもあるが、硫酸根(S
4 2- )については、中和処理時のpH、その他の条件
にもよるが、Al分の1/4〜1/2(重量比)にも相
当するものがほとんどそのまま残留し、この硫酸根は単
なる付着ではなくゲル構造の一成分として存在すると考
えられる。しかるに、上記凝集沈降処理で得られた濃密
をpH値9.0以上に調整する高pH処理した後に固
液分離して得られたスラッジ中の硫酸根残留量(SO4
/Al重量比)は、顕著に減少してpH9.4でほぼゼ
ロになり、この9.4以上の高pH値、特にpH11.
0以上ではかえって水洗で取りきれないナトリウム分
(Na分)が増加する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】また、このpH値と残留硫酸根又はNa分
との関係は、中和処理を酸性側から行ってもアルカリ性
側から行ってもほぼ同様な結果が得られ、例えばpH
9.4で生成し洗浄された硫酸根及びNa分をほとんど
含まないスラッジをpH7.0の中性Na2 SO4 溶液
と混合すると、溶液は瞬時に微アルカリ性を呈し、これ
を固液分離して得られるスラッジ中には再び水洗では取
りきれない硫酸根が取り込まれてくる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】また、上記中和処理後の凝集沈降処理にお
いてその濃密部のスラリー濃度が上昇し難い場合には、
中和処理して得られたスラッジの懸濁液を凝集沈降処理
することなく、あるいは、この懸濁液を凝集沈降処理し
て得られた濃密部を加圧濾過や延伸分離等の方法で固液
分離し、分離された溶液を排水として処分し、また、回
収されたケーキ状あるいは極粘稠状のスラッジを水もし
くは微アルカリ性溶液でリパルピング(repulping )し
て固形物濃度(105℃乾燥物基準)10〜50g/リ
ットルに均一分散させてスラッジ懸濁液とし、このスラ
ッジ懸濁液を上記と同様に水酸化ナトリウムで高pH処
理し、スラッジ中から硫酸根を除去する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】この高pH処理のための水酸化ナトリウム
の添加は、回分式で行ってもよいが、例えば、濃密部又
はスラッジ懸濁液を連続的に攪拌槽に導入し、溶液のp
Hを確認しつつこの攪拌槽内に連続的に水酸化ナトリウ
ム水溶液を添加する連続式で行うこともでき、更にはス
ラッジ中からの硫酸根の除去が比較的済速やかに行われ
るので、pH値のフィードバックと水酸化ナトリウム水
溶液の添加速度の制御を行うことができるときには、濃
密部又はスラッジ懸濁液を移送する送液用配管途上で水
酸化ナトリウム水溶液を連続的に添加することもでき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25F 7/02 C25F 7/02 (72)発明者 杉山 昇 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 朝原 捷治 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 田中 義朗 東京都港区三田3丁目13番12号 日本軽金 属株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金より
    なるアルミニウム材の表面処理工程で生じたアルミニウ
    ムを含むアルカリ性及び/又は酸性の廃液を中和処理
    し、生成したゲル状水酸化アルミニウムスラッジを凝集
    沈降せしめ、上澄み液についてはこれを排水として処理
    し、また、濃密部についてはこれに水酸化ナトリウムを
    添加して共存溶液のpHを9.0以上に調整したのち固
    液分離し、分離された溶液を中和処理前の廃液中に循環
    せしめると共にゲル状水酸化アルミニウムを得ることを
    特徴とするアルミニウム材表面処理廃液を用いたアルミ
    ナゲルの製造法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム又はアルミニウム合金より
    なるアルミニウム材の表面処理工程で生じたアルミニウ
    ムを含むアルカリ性及び/又は酸性の廃液を中和処理
    し、生成したゲル状水酸化アルミニウムスラッジの懸濁
    液又は凝集沈降後の濃密懸濁液を固液分離し、分離され
    た溶液についてはこれを排水として処理し、また、回収
    されたゲル状水酸化アルミニウムスラッジについては、
    リパルピングした後、水酸化ナトリウムを添加して共存
    溶液のpHを9.0以上に調整したのち固液分離し、分
    離された溶液を中和処理前の廃液中に循環せしめると共
    にゲル状水酸化アルミニウムを得ることを特徴とするア
    ルミニウム材表面処理廃液を用いたアルミナゲルの製造
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2で回収されたゲル状水酸
    化アルミニウムを乾燥して水分含有量50重量%以下に
    するアルミニウム材表面処理廃液を用いたアルミナゲル
    の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載のアルミナ
    ゲルを水酸化ナトリウム含有溶液で処理してアルミニウ
    ム分を溶解せしめ、得られた溶解液から不溶物を分離除
    去し、次いでこの溶解液に結晶性水酸化アルミニウムの
    種子を添加して溶液中のアルミン酸ナトリウムを加水分
    解し、アルミナゲル中のアルミニウム分の一部を結晶性
    水酸化アルミニウムとして回収すると共に、水酸化ナト
    リウム含有溶液を再生して再使用することを特徴とする
    アルミナゲルを用いた結晶性水酸化アルミニウムの製造
    法。
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