JP2001131221A - イオン性高分子化合物の製法 - Google Patents

イオン性高分子化合物の製法

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JP2001131221A
JP2001131221A JP31784399A JP31784399A JP2001131221A JP 2001131221 A JP2001131221 A JP 2001131221A JP 31784399 A JP31784399 A JP 31784399A JP 31784399 A JP31784399 A JP 31784399A JP 2001131221 A JP2001131221 A JP 2001131221A
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ion
aqueous solution
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Takahiro Arimoto
敬浩 有元
Seiji Tamaoki
清二 玉置
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Kao Corp
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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Abstract

(57)【要約】 【課題】イオン性低分子量不純物が効率よく、高度に除
去されたイオン性高分子化合物を簡便に製造しうる方法
を提供すること。 【解決手段】イオン性低分子量不純物と、塩生成基を有
するイオン性高分子化合物とを含有する水溶液をイオン
交換樹脂で処理した後、該水溶液を中和するイオン性高
分子化合物の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン性高分子化
合物の製法に関する。更に詳しくは、半導体分野、その
他電子部品分野等の不純物の低減が望まれている分野で
好適に使用しうるイオン性高分子化合物の製法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】高分子化合物に含有されている低分子量
の不純物を除去する方法としては、一般に、該不純物を
蒸発させることによって除去する方法が採られている。
しかし、この不純物が電解質等のイオン性化合物である
場合には、該イオン性化合物は不揮発性であるため、こ
の方法を適用することができない。
【0003】その他の方法として、高分子化合物の溶液
に使用されている溶媒とは異なる溶媒を使用して該高分
子化合物を抽出したり、再沈殿させて低分子量の不純物
を除去する方法がある。しかし、この方法には、不純物
の除去に適した溶媒を選択することが困難であり、また
多量の溶媒を必要とするので経済面で不利であったり、
更には高分子化合物に残存している溶媒を除去する工程
を要するなどの煩雑な操作が必要であるという欠点があ
る。
【0004】また、低分子量の物質を除去する他の方法
として、限外濾過膜を用いて低分子量の物質を除去する
方法(特開平3−66705号公報、特公平7−596
09号公報、特開平8−217802号公報)や、電気
透析法を用いてカチオン性高分子化合物から未反応単量
体を主成分とする不純物を除去する方法(特公平7−6
8298号公報)が知られている。しかし、前者の方法
には、前記低分子量の物質を除去するには、長時間を要
するという欠点がある。また、後者の方法には、低分子
量のイオン性物質濃度が0.1w/v%未満では電流量
が小さいため、精製に長時間を要するという欠点があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、イオン性低
分子量不純物が効率よく、高度に除去されたイオン性高
分子化合物を簡便に製造しうる方法を提供することを課
題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、イオン性低分
子量不純物と、塩生成基を有するイオン性高分子化合物
とを含有する水溶液をイオン交換樹脂で処理した後、該
水溶液を中和するイオン性高分子化合物の製法に関す
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本明細書において、イオン性高分
子化合物の塩生成基とは、酸又は塩基によって塩を形成
する解離基をいう。塩生成基としては、カルボキシル
基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム
基等が挙げられ、これらの基は1つのイオン性高分子化
合物中に2種以上含まれていてもよい。これらの塩生成
基の中では、カルボキシル基は、弱酸性を有し、酸性水
溶液中で解離せず、イオン交換時に妨害イオンとして作
用しない点で好ましい。
【0008】塩生成基を有するイオン性高分子化合物
は、アニオン性、カチオン性及び両イオン性のいずれで
あってもよい。これらの中でも、半導体分野等の電子部
品分野で低減が望まれている遷移金属やアルカリ金属等
のカチオンと塩を形成するアニオン性高分子化合物に、
本発明の製法を好適に適用することができる。
【0009】塩生成基を有するイオン性高分子化合物
は、天然高分子化合物、半合成高分子化合物及び合成高
分子化合物のいずれであってもよい。
【0010】天然あるいは半合成高分子化合物の具体例
としては、ムコ多糖類であるヒアルロン酸;ヘミセルロ
ース類であるアルギン酸等が挙げられる。
【0011】合成高分子化合物としては、塩生成基を有
するモノマーを重合させて得られるポリマー、塩生成基
を有するモノマーと塩生成基を有しないモノマーとを重
合させて得られるコポリマー等が挙げられる。
【0012】塩生成基を有するモノマーとしては、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコ
ン酸等の不飽和カルボン酸又はそれらの酸無水物;スチ
レンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸等の不飽和スルホン酸;ビニルホスホン
酸、アシッド・ホスホキシエチル(メタ)アクリレート
等の不飽和リン酸モノマー等のアニオン性モノマー;ジ
メチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルア
ミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等のジ
アルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル
又は(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノスチレ
ン、ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキルアミ
ノ基を有するスチレン類;4−ビニルピリジン、2−ビ
ニルピリジン等のビニルピリジン類;ハロゲン化アルキ
ル、ハロゲン化ベンジル、アルキルスルホン酸、アリー
ルスルホン酸、硫酸ジアルキル等の四級化剤を用いて、
これらを四級化したもの等のカチオン性モノマー;N−
(3−スルホプロピル)−N−アクリロイルオキシエチ
ル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3
−スルホプロピル)−N−メタクリロイルアミドプロピ
ル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3
−カルボキシメチル)−N−メタクリロイルアミドプロ
ピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−
(3−スルホプロピル)−N−メタクリロイルオキシエ
チル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−カ
ルボキシメチル−N−メタクリロイルオキシエチル−
N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等の両イオン性
モノマーが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混
合して用いることができる。
【0013】塩生成基を有しないモノマーとしては、酢
酸ビニル等の脂肪族カルボン酸ビニルエステル;メチル
メタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;メチ
ルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;N−ビ
ニルピロリドン等のN−ビニル環状アミド;スチレン、
アルキル置換スチレン等のスチレン類等が挙げられ、こ
れらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ
る。
【0014】イオン性高分子化合物を重合する際には、
2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロ
クロライド、2,2−アゾビス(2−(5−メチル−2
−イミダゾリン−2−イル)プロパン)ジハイドロクロ
ライド、2,2−アゾビス(2−イミダゾリン−2−イ
ル)ジハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2−メ
チルブタンアミドオキシム)ジハイドロクロライド等の
アゾ系水溶性重合開始剤や過硫酸カリウム、過硫酸アン
モニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩系重合開始剤
を使用することができる。
【0015】イオン性高分子化合物の重量平均分子量
は、収率及び処理効率の観点から、500〜50万が好
ましく、1000〜10万がより好ましい。
【0016】イオン性高分子化合物水溶液におけるイオ
ン性高分子化合物の濃度は、収率及び処理効率の観点か
ら、1〜70重量%が好ましく、5〜60重量%がより
好ましい。
【0017】イオン交換性樹脂で処理する前のイオン性
高分子化合物の塩生成基の塩生成率には特に限定がない
が、処理効率を向上させる観点から、塩生成率は、低い
ほうが好ましい。塩生成率を中和度で示すと、10モル
%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましく、0.
1モル%以下が特に好ましい。中和度の高いものに関し
ては、必要に応じて、通常用いられている脱塩処理、例
えば、電気透析等の前処理を行なうことができる。
【0018】イオン性低分子量不純物としては、例え
ば、イオン性高分子化合物を調製したときの残存モノマ
ー、副生成物であるオリゴマー、重合開始剤分解物、連
鎖移動剤等の添加物由来のイオン性残留物、原料モノマ
ーに含まれている重合禁止剤、金属化合物等のイオン性
低分子量化合物、原料モノマーを重合させる際に使用し
た機材が腐食して生成したイオン性物質、外部から混入
したイオン性物質等が挙げられる。これらの中でも特
に、半導体分野やその他電子部品分野で低減が望まれて
いるイオン性金属化合物をイオン性低分子量不純物とし
て含有する水溶液に対して本発明の製法を好適に使用す
ることができる。イオン性金属化合物の中でも、遷移金
属やアルカリ金属の塩、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩酸
塩等に対して特に好適に使用することができる。例え
ば、アルカリ金属イオン及び遷移金属イオンに対して当
量以上の該イオン種と交換可能な交換基を有するイオン
交換樹脂を用いた場合には、アルカリ金属イオン及び遷
移金属イオンの含有量が0.3ppm以下、なかんづく
50ppb以下、さらには10ppb以下、とりわけ2
ppb以下となるように除去することができる。
【0019】イオン性低分子量不純物の分子量は、イオ
ン性高分子化合物とイオン性低分子化合物とを容易に分
離し、イオン性低分子化合物をイオン交換樹脂で効率よ
く除去する観点から、500以下であることが好まし
い。
【0020】イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹
脂及び陰イオン交換樹脂が挙げられる。例えば、金属イ
オン等の陽イオンを処理する際には陽イオン交換を、硫
酸イオン等の陰イオンを処理する際には陰イオン交換樹
脂を、また陽イオン及び陰イオンの双方を処理する際に
は陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を使用するこ
とが好ましい。陽イオン及び陰イオンのいずれを除去す
るかは、得られるイオン性高分子化合物の用途等に応じ
て適宜決定することが好ましい。
【0021】陽イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオ
ン交換樹脂及び弱酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。
【0022】強酸性陽イオン交換樹脂としては、例え
ば、交換基がスルホン基である樹脂が挙げられる。その
具体例としては、三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK
1B、SK104、SK110、SK112、SK11
6、PK208、PK212、PK216、PK22
0、PK228、HPK25(以上、商品名)、オルガ
ノ(株)製、アンバーライトIR−120B、IR−1
24、200C、201B、252、IR−118(以
上、商品名)等が挙げられる。
【0023】弱酸性陽イオン交換樹脂としては、例え
ば、交換基がカルボン酸基であるメタクリル酸系及びア
クリル酸系のイオン交換樹脂等が挙げられる。その具体
例としては、三菱化学(株)製ダイヤイオンWK10、
WK11、WK100、WT01S、WK40(以上、
商品名)、オルガノ(株)製、アンバーライトIRC−
50、IRC−76(以上、商品名)等が挙げられる。
【0024】陽イオン交換樹脂を用いる場合、イオン性
低分子量不純物と、塩生成基を有するイオン性高分子化
合物を含有する水溶液のpHが5未満である場合には、
全pH領域で使用しうる強酸性陽イオン交換樹脂を用い
ることが好ましい。また、前記水溶液のpHが5以上で
ある場合には、イオンの総交換容量が大きく、再生が容
易な弱酸性陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。
【0025】陰イオン交換樹脂としては、強塩基性陰イ
オン交換樹脂及び/又は弱塩基性陰イオン交換樹脂を用
いることができる。
【0026】強塩基性陰イオン交換樹脂としては、例え
ば、交換基に4級アンモニウム基を有する樹脂等が挙げ
られる。その例としては、ダイヤイオンSA10A、S
A11A、SA12A、NSA100、SA20A、S
A21A、PA308、PA312、PA316、PA
408、PA412、PA418(以上、三菱化学
(株)製、商品名);アンバーライトIRA−400、
IRA−401、IRA−402、IRA−410、I
RA−411S、IRA−440B、IRA−458、
IRA−458、IRA−478、IRA−900、I
RA−904、IRA−910、IRA−958(以
上、オルガノ(株)製、商品名)等が挙げられる。
【0027】弱塩基性陰イオン交換樹脂としては、例え
ば、交換基が1〜3級アミノ基であるアクリル系、スチ
レン系ポリアミン型、スチレン系ジメチルアミン型のイ
オン交換樹脂等が挙げられる。その例としては、ダイヤ
イオンWA10、WA20、WA21J、WA30(以
上、三菱化学(株)製、商品名);アンバーライトIR
A−35、IRA−60E、IRA−68、IRA−9
3ZU、IRA−94S(以上、オルガノ(株)製、商
品名)等が挙げられる。
【0028】陰イオン交換樹脂を用いる場合、イオン性
高分子化合物を含む水溶液のpHが9を超えるときに
は、全pH領域で使用が可能な強塩基性陰イオン交換樹
脂を用いることが望ましい。また、イオン性高分子化合
物を含む水溶液のpHが9以下のときには、イオンの総
交換容量が大きく、再生の容易な弱塩基性イオン交換樹
脂を用いることが望ましい。
【0029】イオン交換樹脂が陽イオン交換樹脂である
場合、イオン選択性の低いナトリウム等を除去すること
ができることから、H型を用いることが好ましい。ま
た、イオン交換樹脂が陰イオン交換樹脂である場合、イ
オン選択性の低いフッ素等を除去することができること
から、OH型を用いることが好ましい。
【0030】陽イオン交換樹脂をH型にする方法として
は、塩酸水溶液又は硫酸水溶液を用いて陽イオン交換樹
脂を処理した後に、脱塩水で洗浄する方法が挙げられ
る。
【0031】また陰イオン交換樹脂をOH型にする方法
としては、水酸化ナトリウム水溶液を用いて陰イオン交
換樹脂を処理した後に、脱塩水で洗浄する方法が挙げら
れる。
【0032】イオン交換樹脂の量は、イオン性低分子量
不純物と塩生成基を有するイオン性高分子化合物とを含
有する水溶液に含まれているイオン性低分子量不純物の
うち、除去したいイオン種、具体的にはカチオン単独、
アニオン単独又はカチオンとアニオンの双方の1当量に
対し、該イオン種と交換可能な交換基が1当量以上とな
るように、調整することが好ましい。
【0033】イオン交換樹脂は、バッチ式及びカラム式
のいずれに使用してもよい。
【0034】バッチ式では、1当量以上の交換基を有す
る陽イオン交換樹脂及び/又は陰イオン交換樹脂を該水
溶液に加え、0.1〜10時間程度攪拌した後、イオン
交換樹脂を分離する。イオン交換樹脂の分離は、例え
ば、濾過、遠心分離等の常法で行なうことができる。
【0035】カラム式では、循環法及び流通法のいずれ
であってもよい。循環法とは、被処理液をカラムに通液
し、得られた液を何回も同一カラムに通液する方法であ
る。また、流通法とは、被処理液をカラムに一度だけ通
液する方法である。これらの方法の中では、イオン交換
樹脂の使用効率、イオン性低分子量不純物の低減効果及
び操作時間の面から、流通法が好ましい。
【0036】カラムにおけるイオン性低分子量不純物と
塩生成基を有するイオン性高分子化合物とを含有する水
溶液の流量及びイオン交換樹脂の体積は、特に限定がな
い。
【0037】空間速度〔原料供給容積速度(m3 /h)
/反応充填物の体積(m3 )〕は、循環法では1h-1
上であることが好ましい。流通法では、空間速度は、1
00h-1以下であることが好ましく、カラムのイオン交
換樹脂の使用効率の観点から10h-1以下であることが
より好ましく、また処理時間の短縮の観点から1h-1
上であることが好ましい。また、イオン交換樹脂強度を
考慮すれば、前記空間速度の範囲内で、イオン交換樹脂
層の差圧が1MPa以下となるように操作することが好
ましい。
【0038】カラムの容量は、イオン交換樹脂の膨潤収
縮性、イオン交換樹脂の再生及び洗浄操作を考慮し、イ
オン交換樹脂体積の1.2〜5倍であることが好まし
い。
【0039】陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを
併用する場合、各樹脂をそれぞれ別の容器又はカラムに
充填して処理する多床式精製方法、それらを混合して容
器又はカラムに充填して処理する混床式精製方法等を採
用することができる。一般に、イオン交換反応は可逆的
反応であることから、可逆的反応を抑制することによ
り、イオン性低分子量不純物を低減することができる混
床式精製方法が好ましい。
【0040】操作温度は、イオン交換樹脂の熱分解の観
点から、前記溶液の融点〜80℃以下であることが好ま
しい。
【0041】イオン交換処理を行なうにあたり、必要に
応じて、通常の前処理、例えば、限外濾過や電気透析を
行なうことができる。
【0042】次に、イオン交換樹脂によりイオン性低分
子量不純物が除去されたイオン性高分子化合物水溶液を
中和する。
【0043】前記水溶液を中和する際には、酸又はアル
カリ等の中和剤を用いることができる。中和剤として、
アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸
等が挙げられる。中和剤を使用する際には、イオン性低
分子量不純物が混入しないようにすることに配慮するこ
とが好ましい。したがって、通常、中和剤として、高純
度薬品等の高純度化されたものを用いることが好まし
い。
【0044】中和剤の量は、特に限定がないが、通常、
充分に中和をする観点及び塩の析出を回避する観点か
ら、中和度が30〜100モル%であることが好まし
く、50〜95モル%であることがより好ましい。
【0045】イオン性高分子化合物がアニオン性高分子
化合物であって、これを半導体産業分野等で使用する場
合には、アニオン性高分子化合物のアンモニウム塩であ
ることが、配線の腐食を回避し、回路部品の誤作動を起
こさせない観点から、好ましい。
【0046】
【実施例】製造例 80重量%アクリル酸水溶液を重合させ、35重量%ポ
リアクリル酸水溶液を得た。ゲルパーミエイションクロ
マトグラフィー(GPC)により重量平均分子量を測定
したところ、7000であった。
【0047】また、原子吸光分光光度計((株)日立製
作所製、商品名:Z−6100)にてナトリウム及びカ
リウムの残存量を測定したころ、それぞれ11ppm及
び2ppmであった。また、イオンクロマトグラフを用
いて硫酸イオンの残存量を測定したところ、2600p
pmであった。
【0048】実施例1 耐圧ガラス製カラム(内径26mm、長さ500mm)
内に、カチオン交換樹脂(三菱化学(株)製、商品名:
ダイヤイオンPK−228LH、交換基:水素原子)2
40mlを充填した。
【0049】次に、製造例で得られた35%ポリアクリ
ル酸水溶液を空間速度3h-1(流速720ml/h)で
前記カラム内に通液した。
【0050】得られた液800gに、28%アンモニア
水210g及びイオン交換水120gを添加し、30%
ポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液1130gを得
た。ナトリウム及びカリウムの残存量を原子吸光分光光
度計で測定したが、検出限界以下であったので、ICP
質量分析計(セイコー電子工業(株)製、商品名:SP
Q−80000)を用いてナトリウム及びカリウムの残
存量を測定したころ、各々0.25ppm及び8ppb
であった。また、イオン交換クロマトグラフを用いて硫
酸イオンの残存量を測定したところ、2600ppmで
あった。
【0051】実施例2 耐圧ガラス製カラム(内径26mm、長さ500mm)
内に、アニオン交換樹脂(あらかじめイオン交換基を水
酸基にしたもの、三菱化学(株)製、商品名:ダイヤイ
オンSA10A)240mlを充填した。
【0052】また、別の耐圧ガラス製カラム(内径26
mm、長さ500mm)内に、カチオン交換樹脂(あら
かじめ交換基を水素原子にしたもの:三菱化学(株)
製、商品名:SK1B)240mlを充填した。
【0053】次に、製造例で得られた35%ポリアクリ
ル酸水溶液を空間速度5h-1(流速1200ml/h)
でアニオン交換樹脂240mlを充填した耐圧ガラス製
カラム(内径26mm、長さ500mm)内に通液し、
次に同条件でカチオン交換樹脂を充填した耐圧ガラス製
カラム(内径26mm、長さ500mm)内に通液し
た。
【0054】得られた液800gに28%アンモニア水
210g及びイオン交換水120gを添加し、30%ポ
リアクリル酸アンモニウム塩水溶液1130gを得た。
得られた液について実施例1と同様にしてナトリウム及
びカリウムの残存量を測定したころ、各々45ppb及
び2ppbであった。また、電気泳動法で硫酸イオンの
残存量を測定したところ、1ppm以下であった。
【0055】実施例3 耐圧ガラス製カラム(内径26mm、長さ500mm)
に、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂の混合品(オ
ルガノ工業(株)製、商品名:MB−2)480mlを
充填した。
【0056】次に、製造例で得られた35%ポリアクリ
ル酸水溶液を空間速度10h-1(流速4800ml/
h)で通液した。
【0057】得られた液800gに28%アンモニア水
210g及びイオン交換水100gを添加し、30%ポ
リアクリル酸アンモニウム塩水溶液1130gを得た。
得られた液について実施例1と同様にしてナトリウム及
びカリウムの残存量を測定したころ、各々6ppb及び
2ppbであった。また、電気泳動法で硫酸イオンの残
存量を測定したところ、1ppm以下であった。
【0058】比較例1 耐圧ガラス製カラム(内径26mm、長さ500mm)
にカチオン交換樹脂(三菱化学(株)製、商品名:ダイ
ヤイオンPK−228LH、交換基:水素原子)240
mlを充填した。
【0059】製造例で得られた35重量%ポリアクリル
酸水溶液800gに、28%アンモニア水210g及び
イオン交換水120gを添加し、30%ポリアクリル酸
アンモニウム塩水溶液を得た。
【0060】得られた水溶液について、製造例と同様に
してナトリウム及びカリウムの残存量を測定したころ、
それぞれ10ppm及び1.8ppmであった。
【0061】次に、得られた水溶液を空間速度3h
-1(流速720ml/h)で前記カラム内に通液した。
【0062】通液した水溶液について、実施例1と同様
にしてナトリウム及びカリウムの残存量を測定したこ
ろ、それぞれ8ppm及び0.4ppmであった。
【0063】以上の結果から、実施例1〜3の方法によ
れば、イオン性低分子量不純物が効率よく、高度に除去
されたイオン性高分子化合物を簡便に製造することがで
きることがわかる。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、イオン性低分子量不純
物が効率よく、高度に除去されたイオン性高分子化合物
を簡便に製造することができるという効果が奏される。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン性低分子量不純物と、塩生成基を
    有するイオン性高分子化合物とを含有する水溶液をイオ
    ン交換樹脂で処理した後、該水溶液を中和するイオン性
    高分子化合物の製法。
  2. 【請求項2】 イオン性高分子化合物がアニオン性高分
    子化合物のアンモニウム塩である請求項1記載の製法。
  3. 【請求項3】 イオン性低分子量不純物がイオン性金属
    化合物である請求項1又は2記載の製法。
  4. 【請求項4】 イオン性高分子化合物の塩生成基がカル
    ボキシル基である請求項1〜3いずれか記載の製法。
  5. 【請求項5】 イオン交換樹脂がH型陽イオン交換樹脂
    及び/又はOH型陰イオン交換樹脂である請求項1〜4
    いずれか記載の製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001288209A (ja) * 2000-04-10 2001-10-16 Nof Corp ホスホリルコリン類似基含有重合体の製造方法
WO2012101886A1 (ja) * 2011-01-27 2012-08-02 東亞合成株式会社 カルボキシル基含有重合体の製造方法
US8846533B2 (en) 2008-05-26 2014-09-30 Kao Corporation Cleaning solution for substrate for semiconductor device

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