JP4164908B2 - リン酸の回収方法およびそのリン酸を用いたポリベンザゾールの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリベンザゾールの製造工程より排出されるリン酸廃液の回収方法とその再利用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾールに代表されるポリベンザゾールは、非常に高い強度と弾性率を有し、耐熱性も極めて高いため、次世代の高機能材料として注目されている。ポリベンザゾールは、一般的にはテレフタル酸やイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸と、ジアミノレゾルシノールやジアミノベンゼンジチオールなどのアミノフェノールやアミノチオフェノール化合物との脱水重縮合により合成される。この際、脱水反応を促進させるためにポリリン酸が重合溶媒として用いられる。またポリリン酸の脱水能力を高めるために無水リン酸を添加することも行われる。
【0003】
ポリベンザゾールは重合反応後、ポリリン酸に溶解した溶液、いわゆるポリマードープとして得られ、これらをノズル、ダイから押し出すことで、繊維、フィルム状に成形される。その後、成形体よりポリリン酸は水などで抽出され、乾燥、熱処理などを行うと、高強度、高弾性率、高耐熱性を有した製品となる。これら一連の工程中に、重合溶媒のポリリン酸は、加水分解を受けるとともに水で希釈され、大量のリン酸水溶液として排出されるため、その処理方法が問題となっていた。
【0004】
リン酸廃液の廃棄処理に関する従来の技術としては、リン酸廃液を水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物で中和処理して、リン酸のアルカリ土類金属塩として回収し、埋没処理する方法、あるいはリン酸廃液を活性汚泥により生物処理する方法などが挙げられる。しかしながら、これらの方法では大量の廃液を処理することは困難であり、またリン酸を使い捨てすることになるため、経済的にまた環境的にも問題があった。
【0005】
ポリベンザゾール製造工程で発生する大量のリン酸廃液を処理する手段として、リン酸廃液から水を留去し濃縮する、特に、ポリベンザゾールの重合溶媒として用いる場合にはポリリン酸となるまで(リン酸換算濃度で100重量%以上)濃縮する方法が考えられる。しかし、リン酸廃液は、モノマー分解物由来と考えられる不純物を含有しているために着色しており、そのままポリベンザゾールの重合溶媒として用いた場合、重合反応が阻害され、所望の重合度のポリマーを得ることができないという問題があった。
【0006】
不純物を含有するリン酸を精製する方法としては、湿式リン酸製造における精製方法が提案されている。これはおもに溶媒抽出、分解、沈殿工程を組み合わせて精製する方法である。具体的には、ブタノール、アミルアルコールなどの有機溶媒で抽出する方法(特公昭55−16093号公報)、塩素酸塩と塩化水素と接触させ不純物を分解する方法(特開昭59−24723号公報)、硫化剤などを添加し不純物と沈殿を形成させ除去する方法(特公昭55−110997号公報)などが挙げられる。
【0007】
しかしながら、これらの処理方法では、工業用途のリン酸あるいはポリリン酸として再利用できず、特にポリベンザゾールの重合溶媒としてポリリン酸は再利用できないことが判明した。例えば、有機溶媒で抽出する方法では不純物の除去が不十分であり、ポリベンザゾールの重合溶媒として再利用した場合、所望の重合度のポリマーを得ることはできなかった。また塩素酸塩と塩酸を併用する方法では有機物の分解は可能であるが、一般的な反応装置では塩酸による腐食が問題となり、また処理後に残存する塩素酸塩によってモノマーの分解劣化が起こるため、還元剤処理工程が必要となり、処理コストの面で問題があった。またポリベンザゾール製造工程より排出されるリン酸廃液中の含有不純物に対しては、適当な沈殿形成剤を見出すことはできなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、その目的は、重合溶媒としてポリリン酸を用いるポリベンザゾールの製造工程で排出されるリン酸廃液を低コストで回収し、工業用途のリン酸あるいはポリリン酸に再生すること、特にポリベンザゾールの製造における重合溶媒に再利用可能なポリリン酸に再生することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下の通りである。
(1) ポリリン酸を重合溶媒とするポリベンザゾール製造工程から排出されるリン酸廃液をオゾンと接触させる工程、およびリン酸廃液をリン酸濃度が70重量%以上となるまで濃縮する工程を含むリン酸の回収方法。
(2) ポリベンザゾール製造工程から排出されるリン酸廃液をオゾンと接触させた後、リン酸濃度が70重量%以上となるまで濃縮することを含む上記(1) に記載のリン酸の回収方法。
(3) 濃縮が、リン酸換算濃度で105重量%以上のポリリン酸となるまで行われる上記(1) または(2) に記載のリン酸の回収方法。
(4) 上記(3) に記載の方法により回収されたポリリン酸を重合溶媒として用いるポリベンザゾールの製造方法。
【0010】
【作用】
本発明のリン酸回収方法は、ポリベンザゾールの製造工程で排出される、モノマー分解物由来の不純物を含有する着色リン酸廃液を、オゾンと接触させる工程、およびリン酸廃液をリン酸濃度が70重量%以上となるまで濃縮する工程を含む方法で処理することにより、当該不純物を酸化分解し、無色透明の回収リン酸が得られる。従って、工業用途のリン酸として、あるいはリン酸換算濃度で100重量%以上まで濃縮することによりポリリン酸として再利用可能となり、特に、ポリリン酸はポリベンザゾールの製造における重合溶媒として好適に再利用できる。また本発明のリン酸回収方法においては、処理剤として用いるオゾンが空気や水を原料とするため、また触媒や紫外線照射などにより容易に酸素に分解されるため、リン酸回収にかかる処理コストを大幅に低減する効果を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、オゾンとリン酸廃液を接触させる方法としては、特に限定されないが、リン酸廃液にオゾンガスをバブリングする方法、エゼクターを用いる方法、ポンプの吸引側からオゾンガスを導入してポンプ内で接触させる気液混合ポンプを用いる方法などが挙げられる。この中でも特に気液混合の効率が高く、連続的に処理できる点からエゼクターや気液混合ポンプを用いる方法が望ましい。
【0012】
オゾンは、一般的には、空気あるいは酸素を原料とする放電式のオゾン発生器、または水を電気分解する水電解方式のオゾン発生器により得ることができる。空気をオゾン原料とする場合は、オゾン/空気の混合気体として、水あるいは酸素をオゾン原料とする場合は、オゾン/酸素の混合気体としてオゾンが得られる。本発明で用いるオゾンは、いずれの方式で発生させたものでも構わないが、水分解方式で発生させたオゾンは、水分を含むためリン酸廃液中への溶解度が高いという点で好ましい。
【0013】
本発明で用いるオゾンガス中のオゾン濃度は、1重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。1重量%未満のオゾンガスの使用は、リン酸廃液中へのオゾン溶解度が低くなってオゾンが素抜けし、リン酸廃液中の不純物に作用する実質的なオゾン量が減少するため、処理時間が極めて長くかかり、経済的な方法とは言えない。
【0014】
オゾンと接触させる際のリン酸廃液のリン酸濃度は、リン酸濃度が高くなるに伴い、処理時間が増大するため、連続的に処理する場合には、リン酸濃度は好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、特に好ましくは30重量%以下である。しかし、リン酸濃度が50重量%より高い場合には、バッチ処理を行いオゾンとの接触時間を長くする方法、あるいはオゾンとの接触処理回数を増やす方法も選択できる。
【0015】
リン酸廃液とオゾンガスとを接触させる際の混合割合は、リン酸廃液重量に対するオゾン添加量が好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、最も好ましくは15ppm以上となるように設定する。ガス流量が多過ぎる場合には、エゼクターや気液混合ポンプがキャビテーションを引き起こして混合不良に陥り、不純物の分解効果が低下する恐れがあるため、使用する気液混合装置の能力範囲内とする。また、リン酸廃液重量に対するオゾン添加量が5ppm未満の場合はオゾンによるモノマー分解物由来の不純物への分解作用が不十分であり、無色透明のリン酸を得ることが困難である。
【0016】
リン酸廃液の濃縮工程では、濃縮は、減圧下、加熱し、水を留去することで達成できる。但し、リン酸は腐食性が高いため、濃縮装置の接液部には、パイレックスガラス、ハステロイB、ハステロイCなどの耐腐食性材料を用いることが望ましい。濃縮工程は、一段濃縮、多段濃縮のいずれでも良いが、ポリリン酸まで濃縮する(リン酸換算濃度で100重量%以上)場合は、まず70重量%以上まで濃縮し、ついで100重量%以上のリン酸すなわちポリリン酸まで濃縮する二段階以上の濃縮が好ましい。また、特にポリベンザゾールの重合溶媒として用いる場合には、ポリマー製造工程で十分な重合速度を得るために、ポリリン酸の濃度がリン酸換算濃度で105重量%以上となるまで濃縮することが好ましい。
【0017】
オゾン処理工程と濃縮工程の順序は特に限定されず、オゾン処理工程はリン酸濃縮前、中間濃縮段階、濃縮後のいずれでも実施することができるが、上述のようにリン酸廃液中のリン酸濃度が高いほど不純物の分解処理に時間がかかるため、オゾン処理工程を行った後、濃縮工程を行うことが望ましい。またオゾン処理工程と濃縮工程は、他の処理工程と組み合わせて実施することもできる。例えば、ポリマーくずや不溶性不純物などの浮遊成分による、濃縮装置内のスケール形成抑制、あるいは混合装置破損回避のために、ろ過工程を設けることができる。また、特にオゾン処理工程の後には、紫外線照射などの廃オゾンを処理する工程を設けることもできる。
【0018】
オゾン処理工程と濃縮工程後に得られるポリリン酸を、ポリベンザゾールの重合溶媒として再利用する場合、その重合条件は、市販の新しいポリリン酸を用いた場合と同様である。すなわち、ポリリン酸に無水リン酸とモノマーとを添加後、混合加熱し、脱水重縮合させる。脱水重縮合時の反応温度は50〜230℃の間で設定される、より具体的には、50〜170℃で攪拌混合とオリゴマー化を、次いで160〜230℃でポリマー化を行う段階的な反応がより好ましい。
【0019】
このようなリン酸回収方法により得られたポリリン酸を重合溶媒として製造したポリベンザゾールは、新しいポリリン酸(再生したポリリン酸ではない)を重合溶媒として製造したポリベンザゾールと比較しても、色調は同等であり、重合度も充分に高く、同水準の品質を有するものである。
【0020】
回収されたリン酸のポリベンザゾールの重合溶媒以外の用途としては、例えば、肥料、金属表面処理剤などが挙げられる。
【0021】
以下に本発明の一実施形態を、シス−ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールを例に挙げ説明する。
シス−ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール製造工程より排出されたリン酸廃液(リン酸濃度15〜25重量%)をろ過し、ポリマーくずなどの浮遊物を除去する。ついで、ろ過したリン酸廃液を気液混合装置中に流通し、オゾンガス(オゾン濃度13〜19重量%)と接触させる。この際、リン酸廃液重量に対するオゾン添加量が5ppm以上になるように、オゾンガスとリン酸廃液流量を調整する。
【0022】
オゾン処理後のリン酸廃液を、50〜150℃/5〜200mmHgの条件で50〜90重量%まで濃縮すると無色透明のリン酸が得られる。シス−ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールの重合溶媒として用いる場合は、50〜90重量%のリン酸を、さらに150〜250℃/0.01〜10mmHgの条件で濃縮し、リン酸換算濃度110重量%以上の無色透明のポリリン酸を得る。
【0023】
以上のようにして得られるポリリン酸に、窒素などの不活性ガス雰囲気中で、無水リン酸を加えた後、モノマーの4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩とテレフタル酸を添加し、50〜100℃で攪拌混合後、100〜180℃で0.5〜24時間、さらに180〜230℃で0.1〜3時間加熱重合することでシス−ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールを得ることができる。
【0024】
【実施例】
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例を示す。なお、実施例中のポリマーの固有粘度は、0.1Mメタンスルホン酸ナトリウム/蒸留メタンスルホン酸中、25℃で測定した。
【0025】
実施例1
シス−ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールの製造工程より排出されたリン酸廃液(リン酸濃度20重量%)を、孔径10μmのテフロンフィルターでろ過し、ポリマーくずや不溶性不純物などの浮遊物を除去した。ろ過したリン酸廃液を、気液混合ポンプを用い送液しながら、水電解式オゾン発生装置から得られたオゾン濃度17重量%のオゾンガスと接触混合させた。この際、リン酸廃液重量に対するオゾン添加量が15ppmとなるようにオゾンガスとリン酸廃液の流速を調整した。オゾン処理後のリン酸廃液を70〜80℃/30mmHgの条件でロータリーエバポレータを用いて75重量%まで濃縮した。次いで75重量%リン酸を薄膜蒸留装置を用いて200〜220℃/0.01〜10mmHgの条件で2回濃縮し、リン酸換算濃度110重量%の無色透明のポリリン酸を得た。
【0026】
以上のようにして得られた110重量%のポリリン酸35.4gに、無水リン酸23.0gと4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩9.10gとテレフタル酸7.10gとを添加し、70℃で攪拌混合後、130℃で12時間、200℃で2時間重合させ、シス−ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールを得た。得られたポリマーの固有粘度は43dl/g、ポリマードープの色は黄色であり、新しいポリリン酸から重合したポリマーの色調、重合度と同水準の品質であった。
【0027】
実施例2
シス−ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールの製造工程より排出されたリン酸廃液(リン酸濃度20重量%)を、孔径10μmのテフロンフィルターでろ過し、ポリマーくずや不溶性不純物などの浮遊物を除去した。ろ過したリン酸廃液を、送液ポンプを用いエゼクターに送液しながら、放電式オゾン発生装置から得られたオゾン濃度2重量%のオゾンガスと接触混合させた。この際、リン酸廃液重量に対するオゾン添加量が40ppmとなるようにオゾンガスとリン酸廃液の流速を調整した。オゾン処理後のリン酸廃液を70〜80℃/30mmHgの条件でロータリーエバポレータを用いて75重量%まで濃縮した。次いで75重量%リン酸を薄膜蒸留装置を用いて200〜220℃/0.01〜10mmHgの条件で2回濃縮し、リン酸換算濃度110重量%の無色透明のポリリン酸を得た。
【0028】
以上のようにして得られた110重量%のポリリン酸35.4gに、無水リン酸23.0gと4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩9.10gとテレフタル酸7.10gとを添加し、70℃で攪拌混合後、130℃で12時間、200℃で2時間重合させ、シス−ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールを得た。得られたポリマーの固有粘度は40dl/g、ポリマードープの色は黄色であり、新しいポリリン酸から重合したポリマーの色調、重合度と同水準の品質であった。
【0029】
比較例1
シス−ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールの製造工程より排出されたリン酸廃液(リン酸濃度20重量%)を、オゾン処理工程を行わずに実施例1と同様の条件で濃縮し、黒褐色の110重量%のポリリン酸を得た。このポリリン酸を重合溶媒として実施例1と同じ条件で重合を行ったところ、得られたシス−ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールは緑色で、ポリマーの固有粘度は21dl/gであり、新しいポリリン酸から重合したポリマーの色調、重合度よりも劣るものであった。
【0030】
実施例3
トランス−ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾールの製造工程より排出されたリン酸廃液(リン酸濃度20重量%)を、孔径10μmのテフロンフィルターでろ過し、ポリマーくずや不溶性不純物などの浮遊物を除去した。ろ過したリン酸廃液を、気液混合ポンプを用い送液しながら、水電解式オゾン発生装置から得られたオゾン濃度17重量%のオゾンガスと接触混合させた。この際、リン酸廃液重量に対するオゾン添加量が15ppmとなるようにオゾンガスとリン酸廃液の流速を調整した。オゾン処理後のリン酸廃液を70〜80℃/30mmHgの条件でロータリーエバポレータを用いて75重量%まで濃縮した。次いで75重量%リン酸を薄膜蒸留装置を用いて200〜220℃/0.01〜10mmHgの条件で2回濃縮し、リン酸換算濃度110重量%の無色透明のポリリン酸を得た。
【0031】
以上のようにして得られた110重量%のポリリン酸35.4gに、無水リン酸23.0gと2,5−ジアミノ−1,4−べンゼンジチオール二塩酸塩10.48gとテレフタル酸7.10gとを添加し、70℃で攪拌混合後、130℃で12時間、200℃で2時間重合させ、トランス−ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾールを得た。得られたポリマーの固有粘度は40dl/g、ポリマードープの色は濃黄緑色であり、新しいポリリン酸から重合したポリマーの色調、重合度と同水準の品質であった。
【0032】
実施例4
トランス−ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾールの製造工程より排出されたリン酸廃液(リン酸濃度20重量%)を、孔径10μmのテフロンフィルターでろ過し、ポリマーくずや不溶性不純物などの浮遊物を除去した。ろ過したリン酸廃液を、送液ポンプを用いエゼクターに送液しながら、放電式オゾン発生装置から得られたオゾン濃度2重量%のオゾンガスと接触混合させた。この際、リン酸廃液重量に対するオゾン添加量が40ppmとなるようにオゾンガスとリン酸廃液の流速を調整した。オゾン処理後のリン酸廃液を70〜80℃/30mmHgの条件でロータリーエバポレータを用いて75重量%まで濃縮した。次いで75重量%リン酸を薄膜蒸留装置を用いて200〜220℃/0.01〜10mmHgの条件で2回濃縮し、リン酸換算濃度110重量%の無色透明のポリリン酸を得た。
【0033】
以上のようにして得られた110重量%のポリリン酸35.4gに、無水リン酸23.0gと2,5−ジアミノ−1,4−べンゼンジチオール二塩酸塩10.48gとテレフタル酸7.10gとを添加し、70℃で攪拌混合後、130℃で12時間、200℃で2時間重合させ、トランス−ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾールを得た。得られたポリマーの固有粘度は41dl/g、ポリマードープの色は濃黄緑色であり、新しいポリリン酸から重合したポリマーの色調、重合度と同水準の品質であった。
【0034】
比較例2
トランス−ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾールの製造工程より排出されたリン酸廃液(リン酸濃度20重量%)を、オゾン処理工程を行わずに実施例3と同様の条件で濃縮し、黒褐色の110重量%のポリリン酸を得た。このポリリン酸を重合溶媒として実施例3と同じ条件で重合を行ったところ、得られたトランス−ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾールは緑色で、ポリマーの固有粘度は21dl/gであり、新しいポリリン酸から重合したポリマーの色調、重合度よりも劣るものであった。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、ポリベンザゾール製造工程から排出される大量のリン酸廃液を工業用途のリン酸として、特にポリベンザゾールの重合溶媒として低コストで再利用することが可能となり、産業廃棄物の低減、地球資源の節約に寄与するところ大である。
Claims (3)
- ポリリン酸を重合溶媒とするポリベンザゾール製造工程から排出されるリン酸廃液をオゾンと接触させた後、リン酸廃液をリン酸濃度が70重量%以上となるまで濃縮することを含むリン酸の回収方法。
- 濃縮が、リン酸換算濃度で105重量%以上のポリリン酸となるまで行われる請求項1に記載のリン酸の回収方法。
- 請求項2に記載の方法により回収されたポリリン酸を重合溶媒として用いるポリベンザゾールの製造方法。
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