JPWO2017033960A1 - 加熱器具加飾用着色組成物、加熱器具加飾用転写材料、加熱器具および調理器 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、Ti膜を加飾材(遮光層)として用いたものは、保護層であるTi膜の色調であるシルバー色以外の色に着色させられなかった。このため、加飾材を種々の色に着色させることが可能で、かつ耐熱性に優れた加熱器具が求められている。
また、本発明者らが特許文献2に記載のアクリル樹脂を用いた加飾材を有する調理器トッププレートである加熱器具の性能を検討したところ、着色の観点での耐熱性に改善が求められることがわかった。
本発明者らが特許文献3の実施例に記載の三官能シリコーン樹脂を用いた加飾材を有する調理器トッププレートの性能を検討したところ、ひび割れの観点での耐熱性に改善が求められることがわかった。また、本発明者らが特許文献3の比較例に記載の二官能シリコーン樹脂を用いた加飾材を有する調理器トッププレートの性能を検討したところ、指で触った際の耐傷性に改善が求められることがわかった。
本発明が解決しようとする課題は、耐傷性、ひび割れの観点での耐熱性、着色の観点での耐熱性および調色性が良好である加熱器具加飾用着色組成物を含む、加熱器具加飾用転写材料および加熱器具、ならびに、この加熱器具を有する調理器を提供することである。
[1] 着色剤と、
下記一般式Dで表されるD体構造と下記一般式Tで表されるT体構造を有し、かつ、下記式で表されるD/T比が0を超え2.5以下であるシリコーン樹脂、および、D体構造を有するシリコーンゴムのうち少なくとも一方とを含む加熱器具加飾用着色組成物;
D/T比=(D体構造に含まれるケイ素原子のモル量)/(T体構造に含まれるケイ素原子のモル量)
[2] [1]に記載の加熱器具加飾用着色組成物は、調理器トッププレートに用いられることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の加熱器具加飾用着色組成物は、D/T比が0を超え2.5以下であるシリコーン樹脂が、D/T比が0.5を超え2.5以下であるシリコーン樹脂であることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一つに記載の加熱器具加飾用着色組成物は、着色剤の、加熱器具加飾用着色組成物に含まれるシリコーン樹脂のうちD/T比が1未満のシリコーン樹脂の合計に対する含有割合が1.0を越えることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一つに記載の加熱器具加飾用着色組成物は、着色剤が無機顔料であることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一つに記載の加熱器具加飾用着色組成物は、さらに下記一般式1で表されるグラフト型シリコーンポリマーを含むことが好ましい;
[7] 仮支持体と、着色層とを有し、
着色層が[1]〜[6]のいずれか一つに記載の加熱器具加飾用着色組成物を含む加熱器具加飾用転写材料。
[8] 基板上に加飾材を有し、
加飾材が[1]〜[6]のいずれか一つに記載の加熱器具加飾用着色組成物を含む加熱器具。
[9] 基板上に加飾材を有し、
加飾材が、[7]に記載の加熱器具加飾用転写材料の着色層の転写物である、加熱器具。
[10] [8]または[9]に記載の加熱器具は、加飾材の基板とは反対側に保護層を有することが好ましい。
[11] [8]〜[10]のいずれか一つに記載の加熱器具は、タッチパネルを有することが好ましい。
[12] [11]に記載の加熱器具は、タッチパネルが静電容量型入力装置であることが好ましい。
[13] [8]〜[12]のいずれか一つに記載の加熱器具は、加熱器具が調理器トッププレートであることが好ましい。
[14] [8]〜[13]のいずれか一つに記載の加熱器具を有する調理器。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル及びメタクリロイルを表す。
また、本発明において、「質量部」と「部」とは同義である。
また、本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本発明では、ポリマー成分の分子量については、テトラヒドロフランを溶媒とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;gel permeation chromatography)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。具体的には、下記の条件で測定することができる。
・カラム:GPCカラム TSKgelSuper HZM−H(東ソー(株)製)
・溶媒:テトラヒドロフラン
・標準物質:単分散ポリスチレン
なお、本明細書において透明とは、波長400nm〜700nmの可視光の平均透過率が、80%以上であることを意味する。したがって、透明な層とは、波長400nm〜700nmの可視光の平均透過率が80%以上である層を指す。透明な層の波長400nm〜700nmの可視光の平均透過率は、90%以上であることが好ましい。
本発明の転写フィルム、または、転写フィルムの透明な層の波長400nm〜700nmの可視光の平均透過率は、日立製作所(株)製の分光光度計U−3310を用いて測定する。
本発明の加熱器具加飾用着色組成物は、着色剤と、
下記一般式Dで表されるD体構造と下記一般式Tで表されるT体構造を有し、かつ、下記式で表されるD/T比が0を超え2.5以下であるシリコーン樹脂、および、D体構造を有するシリコーンゴムのうち少なくとも一方とを含む加熱器具加飾用着色組成物である;
D/T比=(D体構造に含まれるケイ素原子のモル量)/(T体構造に含まれるケイ素原子のモル量)
この構成によって、本発明の加熱器具加飾用着色組成物は、耐傷性、ひび割れの観点での耐熱性、着色の観点での耐熱性および調色性が良好である。その詳細な作用機序は明確ではないが、シリコーン樹脂を用いることで、着色の観点での耐熱性と調色性を、アクリル樹脂を用いた加飾材やスパッタリング法で形成した加飾材と比べて改善することができる。シリコーン樹脂のD/T比が0を超えることにより、2官能体であるD体構造部分が硬化膜に柔軟性を付与し、硬化により生じる収縮応力を緩和することがひび割れの観点での耐熱性を改善できる一因と推測している。シリコーン樹脂のD/T比が2.5以下であることにより、粘度を適当な範囲に制御することが耐傷性を改善できる一因と推測している。
一般的に、加飾材を厚くすることにより、加飾材の白色度を向上させることができるが、厚い加飾材ではひび割れが発生しやすくなってしまう。ひび割れの発生を抑制することができる本発明の加熱器具加飾用着色組成物は、この加飾材を厚くした場合にも好適である。
本発明の加熱器具加飾用着色組成物は、調理器トッププレートに用いられることが好ましく、すなわち調理器トッププレート加飾用着色組成物であることが好ましい。
以下、本発明の加熱器具加飾用着色組成物の好ましい態様を説明する。
本発明の加熱器具加飾用着色組成物は、着色剤を有する。
着色剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
着色剤としては特に制限はなく、公知の顔料や公知の染料を用いることができる。着色剤は顔料であることが好ましく、無機顔料であることがより好ましい。
着色剤の中でも、白色顔料、黒色顔料を用いることが、白色加飾材、黒色加飾材を形成する観点から好ましい。
本発明の加熱器具加飾用着色組成物は、着色剤の、加熱器具加飾用着色組成物に含まれるシリコーン樹脂のうちD/T比が1未満のシリコーン樹脂の合計に対する含有割合が0.5を超えることが好ましく、1.0を超えることがより好ましく、1.2〜2.0であることが特に好ましい。
白色顔料としては特に限定されないが、特開2005−7765号公報の段落0015や段落0114に記載の白色顔料を用いることができる。
具体的には、白色顔料としては二酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウムが好ましく、二酸化チタン、酸化亜鉛がより好ましく、白色顔料が二酸化チタンであることが更に好ましく、その中でもルチル型又はアナターゼ型二酸化チタンが特に好ましく、ルチル型二酸化チタンが最も好ましい。
これにより二酸化チタンの触媒活性を抑制でき、耐熱性、褪光性等を改善することができる。
本発明の加熱器具加飾用着色組成物の塗布膜を高温処理した後のb値を抑制する観点から、二酸化チタンの表面への表面処理はアルミナ処理、ジルコニア処理、シリカ処理が好ましく、アルミナ/ジルコニア併用、又は、アルミナ/シリカ併用処理が特に好ましい。
市販の白色顔料として、特開2014−137617号に記載の二酸化チタンを用いることができ、特にCR−97、CR―63、CR−60、CR−90(以上、石原産業(株)製)等を好ましく用いることができる。
なお、ここでいう「一次粒子の平均粒径」とは粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径をいい、また「数平均粒径」とは多数の粒子について上記の粒径を求め、この100個平均値をいう。
一方、分散液、塗布液中の平均粒径を測定する場合には、レーザー散乱HORIBAH((株)堀場アドバンスドテクノ製)を用いることができる。
なお、「全固形分」とは、加熱器具加飾用着色組成物から、溶媒等の揮発性成分を除いた成分を意味する。
黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン、黒鉛などが挙げられ、酸化チタン及びカーボンブラックのうち少なくとも1つを含むことが好ましく、カーボンブラックを含むことがより好ましい。
黒色顔料の含有量は、加熱器具加飾用着色組成物の全固形分に対して、3〜60質量%であることが好ましく、5〜45質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることが更に好ましい。
その他の色の顔料としては、従来公知の種々の無機顔料や有機顔料を用いることができる。
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で表される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び、上記金属の複合酸化物等を挙げることができる。
有機顔料としては、
C.I.(Colour Index Internationalの略称) Pigment Red 177,224,242,254,255
C.I. Pigment Yellow 138,139,150,180,185
C.I. Pigment Green 7,36,58
C.I. Pigment Blue 15:1,15:3,15:4,15:6,
C.I. Pigment Violet 23
を挙げることができる。
また、上記その他の色の顔料を白色顔料に添加することにより、パステルカラーに調整することができる。
黒色顔料及び白色顔料以外の顔料としては、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリン顔料、アゾメチン顔料、及び、ジオキサジン顔料から選ばれる顔料であることが好ましい。特に、C.I.ピグメントレッド177(アントラキノン顔料),C.I.ピグメントレッド254(ジケトピロロピロール顔料)、C.I.ピグメントグリーン7,36,58、C.I.ピグメントブルー15:6(フタロシアニン顔料)、C.I.ピグメントイエロー138(キノフタロン顔料)、C.I.ピグメントイエロー139,185(イソインドリン顔料)、C.I.ピグメントイエロー150(アゾメチン顔料)、C.I.ピグメントバイオレット23(ジオキサジン顔料)が好ましく例示される。また、銀色顔料としてアルミペーストのミネラルスピリット溶液であるFD−5060、CP−525(いずれも旭化成メタルズ(株)製)も好ましい。
その他の色の顔料の含有量は、加熱器具加飾用着色組成物の全固形分に対して、50〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。
また、黒色顔料及び白色顔料以外の顔料の含有量は、加熱器具加飾用着色組成物に対して、3〜99質量%であることが好ましく、5〜90質量%であることがより好ましい。
染料としては、特に制限はなく公知の染料を用いることができる。
例えば、特開2014−177502号公報の[0010]〜[0188]に記載の染料を好ましく用いることができ、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
染料の具体例としては、例えば以下の染料を好ましく用いることができる。
加熱器具加飾用着色組成物は、下記一般式Dで表されるD体構造と下記一般式Tで表されるT体構造を有し、かつ、下記式で表されるD/T比が0を超え2.5以下であるシリコーン樹脂を含む。
D/T比=(D体構造に含まれるケイ素原子のモル量)/(T体構造に含まれるケイ素原子のモル量)
以下、一般式Dで表されるD体構造と一般式Tで表されるT体構造を有し、かつ、D/T比が0を超え2.5以下であるシリコーン樹脂のことを、特定シリコーン樹脂ともいう。
特定シリコーン樹脂の方が、D体構造を有するシリコーンゴムよりも耐傷性の観点から好ましい。
加熱器具加飾用着色組成物は、ひびわれ等、所望の性能が得られるよう、膜質を自在に制御できる観点から特定シリコーン樹脂を2種類以上含むことが好ましい。特に、加熱器具加飾用着色組成物は、D/T比が0.5を超え2.5以下である特定シリコーン樹脂と、D/T比が0を超え0.5以下である特定シリコーン樹脂を併用することが、ひび割れと耐傷性を両立できる加飾材が得られる点から好ましい。
加熱器具加飾用着色組成物の中におけるD/T比が0を超え0.5以下である特定シリコーン樹脂と、D/T比が0.5を超え2.5以下である特定シリコーン樹脂との含有割合は、1:1〜100:1であることが好ましく、3:1〜50:1であることがより好ましく、5:1〜40:1であることが特に好ましく、5:1〜20:1であることがより特に好ましい。
上記その他の構造としては、下記式Mで表される構造や、下記Qで表される構造が挙げられる。
上記加水分解性基としては、アルコキシ基又はハロゲン原子が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は、塩素原子が好ましい。
特定シリコーン樹脂に上記一般式Tで表される構造と、上記一般式Dで表される構造を含有させるため、縮合後に上記一般式Tで表される構造を形成できる、加水分解性基を3つ有するシラン化合物と、縮合後に上記一般式Dで表される構造を形成できる、加水分解性基を2つ有するシラン化合物とを縮合させることが好ましい。
また、特定シリコーン樹脂に、上記式Mで表される構造や、上記式Qで表される構造を含有させるため、加水分解性基を1つ有するシラン化合物と、加水分解性基を4つ有するシラン化合物とを更に縮合させてもよい。
加水分解性基を3つ有するシラン化合物と、加水分解性基を2つ有するシラン化合物の使用量は、特定シリコーン樹脂のD/T比を0を超え2.5以下とする必要があるため、(加水分解性基を2つ有するシラン化合物のモル量)/(加水分解性基を3つ有するシラン化合物のモル量)が0を超え2.5以下であることがより好ましい。
式T1及び式D1のRT1、RD1、及び、RD2は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基又はナフチル基であることがより好ましく、メチル基又はフェニル基であることが更に好ましく、波線部は他の構造との結合部位を表す。
式T1及び式D1のRT2〜RT4は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、又は、イソプロピル基が好ましく、メチル基、又は、イソプロピル基がより好ましい。
特定シリコーン樹脂のTgは、0℃以上であることが好ましく、10℃〜120℃であることがより好ましい。Tgが上記範囲であることにより、得られる硬化物の加熱時のひび割れ耐性に優れ、また、転写材料や加飾材としてより好適に用いることができる。
特定シリコーン樹脂のTgの測定方法としては、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定する方法が挙げられる。
本発明の加熱器具加飾用着色組成物は、D体構造を有するシリコーンゴムを含んでいてもよい。
シリコーンゴムとしては特に制限はないが、D体構造を有するシリコーンゴムであることが好ましい。
シリコーンゴムとしては、下記式12で表される構造を有する化合物が好ましい。
式12で表される構造を2以上有する場合、2以上存在するRbはそれぞれ、同じであっても、異なっていてもよい。
式12におけるRbは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であることが好ましく、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、メチル基又はフェニル基であることが更に好ましい。
Rbにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等を挙げることができる。
Rbにおける炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
Rbにおける炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。Rbにおける炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の中では、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
また、Rbにおける炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、オルトトリル基、メタトリル基、パラトリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、1−ナフチル基等を挙げることができる。Rbにおける炭素数6〜20のアリール基の中では、加熱時ベンゼンを発生しにくい観点から、無置換のフェニル基以外、すなわちオルトトリル基、メタトリル基、パラトリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、1−ナフチル基が好ましく、オルトトリル基、メタトリル基、パラトリル基がより好ましい。一方、入手容易性の観点からは、フェニル基が好ましい。
Rcにおけるハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基の具体例、及び、その好ましい態様としては、上述したRbにおけるアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基の具体例、及び、その好ましい態様と同様である。
式12で表される構造を有する化合物は、シリコーン鎖を有する化合物であることが好ましく、式12で表される構造及び式13で表される構造が任意の順で結合したシリコーン鎖を有する化合物であることがより好ましい。
また、式12で表される構造を有する化合物は、式12で表される構造を有する直鎖シリコーン化合物であることが好ましい。更に、式12で表される構造を有する化合物におけるシリコーン結合(−O−Si−O−)の総数は、1以上であればよく、2〜200であることが好ましく、5〜100であることがより好ましく、10〜50であることが更に好ましい。
式12で表される構造を有する化合物が上記式13で表される構造を更に有する場合、式12で表される構造を有する化合物における式12で表される構造と式13で表される構造とのモル比は、特に制限はない。式12で表される構造:式13で表される構造=10:1〜1:100であることが好ましく、5:1〜1:20であることがより好ましく、2:1〜1:10であることが更に好ましい。
式12で表される構造を有する化合物は、シリコーンゴムであることが好ましく、ビニルメチルシリコーンゴム又はフェニルビニルメチルシリコーンゴムであることがより好ましい。なお、ビニルメチルシリコーンゴムは、全てのケイ素原子上にビニル基を有する必要はなく、メチルシリコーンゴムのケイ素原子上のメチル基の少なくとも一部がビニル基に置き換わったものであればよい。また、フェニルビニルメチルシリコーンゴムは、全てのケイ素原子上にビニル基を有する必要はなく、フェニルメチルシリコーンゴムのケイ素原子上のメチル基及び/又はフェニル基の少なくとも一部がビニル基に置き換わったものであればよい。
このビニル基以外のケイ素原子に結合した有機基(Rs)は異種類でも同種類でもよいが、具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換した同種類又は異種類の非置換又は置換の脂肪族不飽和基を除く一価炭化水素基であることが好ましい。また、上記ポリオルガノシロキサン化合物は、全Rsの少なくとも50モル%がメチル基であるものが好ましく挙げられる。これらポリオルガノシロキサン化合物は、1種類単独の化合物であっても、2種類以上の混合物であってもよい。
シリコーンゴムの重量平均分子量は、1,000〜500,000であることが好ましく、1,000〜300,000であることがより好ましく、1,000〜200,000であることが更に好ましく、1,000〜100,000であることが特に好ましい。上記範囲であると、十分な硬化性が得られ、クラック耐性により優れた硬化膜を得ることができる。
シリコーンゴムは、1種類のみを用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
以下、各成分について説明する。
本発明において、加熱器具加飾用着色組成物は、その他の樹脂を含有してもよい。
加熱器具加飾用着色組成物が含有するその他の樹脂は特に制限はないが、熱架橋性樹脂であることが好ましい。熱架橋性樹脂としては、例えば、シロキサン結合を主鎖に有するその他のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、中でもシロキサン結合を主鎖に有するその他のシリコーン樹脂が好ましい。なお、その他のシリコーン樹脂は、特定シリコーン樹脂、シリコーンゴム及びグラフト型シリコーンポリマー以外のシリコーン樹脂である。
本発明の加熱器具加飾用着色組成物は、加熱後のひび割れ抑制の観点から、シリコーン樹脂のうちD/T比が1未満のシリコーン樹脂を含むことが好ましい。そして、加熱器具加飾用着色組成物は、D/T比が0のシリコーン樹脂を含む態様も耐傷性の観点からは好ましい。
中でも、その他のシリコーン樹脂としては、シラノール基を有し、かつTgが10℃以上であるシリコーン樹脂であることが好ましい。上記態様であると、得られる硬化物の加熱時のひび割れ耐性により優れ、硬化物の熱に起因する着色がより少なく、また、硬化物の耐摩耗性により優れる。
その他のシリコーン樹脂は、1種類のみを用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。これらを任意の比率で混合することにより膜物性を制御することもできる。
その他のシリコーン樹脂は、有機溶媒などに溶解されたものを用いてもよく、例えば、キシレン溶液やトルエン溶液に溶解されたものを用いることができる。
本発明に用いられる加熱器具加飾用着色組成物は、顔料分散剤を含有することが色分かれ抑制の観点から好ましい。加熱器具加飾用着色組成物が顔料分散剤を含有することにより、着色剤の加熱器具加飾用着色組成物中での分散性を向上させることができる。また、分散剤はシリコーンを骨格中に有することが耐熱性(着色)の点から好ましい。
顔料分散剤としては、公知の顔料分散剤から適宜選択して用いることができる。
顔料分散剤は、単独で顔料の分散性を向上させる機能を有する化合物であり、本発明において、高分子分散剤が好ましく例示される。高分子分散剤は、顔料吸着部位を有する基、及び、立体反発鎖の双方を有していることが好ましい。
これらの中でも、シリコーン系の顔料分散剤が好ましく、具体的には、信越シリコーン(株)製「KP−541、KP−578(アクリルシリコーン)」等が挙げられる。
R1〜R10におけるアリール基としては、フェニル基や置換フェニル基を挙げることができる。
R1〜R10における炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基を挙げることができ、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
R1〜R10は、更に置換基を有していてもよい。例えば、R1〜R10がヒドロキシ基を表す場合、任意のアルキル基を更に置換基として有し、アルコキシ基を形成してもよい。ただし、R1〜R10は更に置換基を有さないことが好ましい。
mが2以上である場合、m個のR6は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
nが2以上である場合、n個のR7は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
mが2以上である場合、m個のR11は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
nが2以上である場合、n個のR12は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
mが2以上である場合、m個のR13は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
一般式1中、R14は、単結合又は二価の有機連結基を表す。
nが2以上である場合、n個のR13は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
R13又はR14における二価の有機連結基としては、1〜100個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜200個の水素原子、及び、0〜20個の硫黄原子からなる基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。
R13又はR14における二価の有機連結基は、具体的な例として、下記の構造単位群Gから選ばれる構造単位、又は、これらの構造単位が組み合わさって構成される基を挙げることができる。
R13は、−(CH2)−CH(R13A)−で表される二価の有機連結基であることが好ましい。R13Aは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、水素原子又はメチル基であることが好ましい。R13Aは、更に置換基を有していてもよく、置換基を有する場合は、カルボキシ基が好ましい。
R14は、−(CH2)−CH(R14A)−C(=O)−O−(CqH2q)−で表される二価の有機連結基であることが好ましい。R14Aは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、水素原子又はメチル基であることが好ましい。R14Aは、更に置換基を有していてもよい。qは0以上の整数を表し、1以上の整数であることが好ましい。
mが2以上である場合、m個のAは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
Aは、1つの顔料吸着部位を有していてもよいし、複数の顔料吸着部位を有していてもよい。Aが複数の顔料吸着部位を有する場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
Aは、例えば、顔料吸着部位と、1〜200個の炭素原子、0〜20個の窒素原子、0〜100個の酸素原子、1〜400個の水素原子及び0〜40個の硫黄原子から構成される有機連結基とが結合してなる一価の有機基であることが好ましい。顔料吸着部位自体が一価の有機基を構成する場合には、顔料吸着部位そのものがAで表される有機基であってももちろんよい。
kは1以上の整数を表し、2〜300の整数であることが好ましく、10〜200の整数であることがより好ましい。
一般式2で表される構造は、シリコーン系モノマーから誘導される構造であることが好ましい。B単独がシリコーン系モノマーから誘導される構造であってもよく、BとR14の組み合わせがシリコーン系モノマーから誘導される構造であってもよい。シリコーン系モノマーは、シリコーン系マクロマーであってもよい。なお、本明細書中、「マクロマー(マクロモノマーともいう。)」は、重合性官能基を持ったオリゴマー(重合度2以上300以下程度)あるいはポリマーの総称であり、高分子と単量体(モノマー)との両方の性質を有するものである。上記式2で表される構造は、重量平均分子量が1,000〜50,000(より好ましくは1,000〜10,000であり、更に好ましくは1,000〜5,000)であるシリコーン系マクロマーから誘導される構造であることが好ましい。
一般式1中、mは0以上の整数を表し、1以上の整数であることが顔料の分散性を高める観点から好ましく、1〜60の整数であることがより好ましく、1〜30の整数であることが特に好ましい。
一般式1中、nは1以上の整数を表し、1〜100の整数であることが好ましく、1〜60の整数であることがより好ましく、1〜30の整数であることが特に好ましい。
また、一般式1で表されるグラフト型シリコーンポリマーにおける各部分構造(右下にl〜nの添え字が付された各括弧内の構造や、後述する式3で表される繰り返し単位)の順番は、特に制限はなく、任意の順番で結合していればよく、例えば、ブロックを形成して結合していても、ランダムに結合していてもよい。
一般式1中、mは1以上の整数を表すことが好ましい。
その他の繰り返し単位としては、A以外の顔料吸着部位を有するその他の繰り返し単位を挙げることができる。例えば、一般式1で表されるグラフト型シリコーンポリマーは、下記式4で表される(未反応の)チオール基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
sは、0であることが好ましい。
式4で表されるチオール基を有する繰り返し単位を含むポリマーの例には、信越化学工業(株)製KF−2001及びKF−2004などを挙げることができる。
式3におけるA1及びm1の好ましい範囲は、一般式1におけるA及びmの好ましい範囲とそれぞれ同様である。
上述の一般式1で表されるグラフト型シリコーンポリマーの製造方法としては特に制限はない。
例えば、以下のメルカプト変性シリコーンである化合物A、シリコーンマクロモノマーである化合物B、及び、顔料吸着部位を有するマクロモノマーである化合物Cの組み合わせにより合成することができ、例えば以下のスキーム1により合成できる。なお、下記スキーム1ではマクロモノマー(具体的にはラジカル重合性モノマー、より具体的には(メタ)アクリルモノマー)である化合物B及び化合物Cを用いた例を示したが、上述の一般式1で表されるグラフト型シリコーンポリマーの製造方法はこの製造方法に限定されるものではない。
化合物A、B、C及びScheme 1中、R1〜R11、l、m、及び、nは、一般式1中のR1〜R11、l、m、及び、nとそれぞれ同義であり、pは0以上の整数であり、kは1以上の整数であり、RBは任意の置換基であり、R及びXはそれぞれ以下の置換基を表し、PGMEAはエステル系溶媒の一例であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、V−601は重合開始剤の一例であるジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)である。
顔料分散剤の含有量は、白色顔料100質量部に対し、1〜40質量部であることが好ましく、2〜30質量部であることがより好ましく、2〜15質量部であることが更に好ましい。
顔料は、顔料分散液として、加熱器具加飾用着色組成物に添加してもよい。
顔料分散液は、上記白色顔料と、上記顔料分散剤と、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及びアルコール系溶媒よりなる群から選ばれた少なくとも1種類の溶媒とを含有することが好ましい。
上記顔料分散剤としては、上記グラフト型シリコーンポリマーが好ましい。
顔料分散液を調製する方法としては、特に制限はないが、顔料分散時には顔料、グラフト型シリコーンポリマー、溶媒及び選択的に少量の分散バインダーのみが使われることが好ましい。また、顔料分散時には、分散補助剤として機能する先述の特定シリコーン樹脂や、後述の縮合触媒などの添加剤を顔料分散液の材料として添加してもよい。
炭化水素系溶媒としては、キシレン、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、ヘキサンなどが好ましい。
ケトン系溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、ジエチルケトンなどが好ましい。
エステル系溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどが好ましい。
アルコール系溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ノルマルプロピルアルコール、ブタノールなどが好ましい。
中でも、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒及びケトン系溶媒よりなる群から選ばれた少なくとも1種類の溶媒が好ましく、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルよりなる群から選ばれた少なくとも1種類の溶媒が特に好ましい。
顔料分散液(全固形分と溶媒の合計)に対する溶媒の含有量としては、5〜98質量%が好ましく、10〜95質量%がより好ましい。
顔料分散液中の全固形分に対するバインダーの含有量としては、0.1〜30質量%が好ましく、0.2〜20質量%がより好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
また、顔料分散液におけるグラフト型シリコーンポリマーの含有量は、白色顔料又は黒色顔料100質量部に対し、1〜40質量部であることが好ましく、3〜30質量部であることがより好ましく、5〜20質量部であることが更に好ましい。
本発明の加熱器具加飾用着色組成物は、溶媒を含有していてもよい。
溶媒としては、特に制限はなく、公知の溶媒を用いることができる。中でも、上述した、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及びアルコール系溶媒よりなる群から選ばれた少なくとも1種類の溶媒が好ましく、炭化水素系溶媒及びケトン系溶媒よりなる群から選ばれた少なくとも1種類の溶媒がより好ましく、芳香族炭化水素系溶媒及びケトン系溶媒よりなる群から選ばれた少なくとも1種類の溶媒が特に好ましい。
溶媒は、1種類単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
加熱器具加飾用着色組成物がシリコーン樹脂を含有する場合、その架橋反応を促進し、硬化膜を形成するために、縮合触媒(縮合反応硬化触媒、重合触媒と言われることもある)を用いてもよい。縮合触媒は、金属塩であることが好ましく、有機酸金属塩を含有する縮合触媒であることがより好ましい。
加熱器具加飾用着色組成物は、上述した以外の他の添加剤を含有していてもよい。
本発明の加熱器具加飾用転写材料は、仮支持体と、着色層とを有し、着色層が本発明の加熱器具加飾用着色組成物を含む。
加熱器具加飾用転写材料は、仮支持体を有する。
仮支持体としては、可撓性を有し、加圧下、又は、加圧及び加熱下においても著しい変形、収縮又は伸びを生じないことが好ましい。この性質を満たす仮支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を挙げることができ、中でも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
仮支持体の膜厚は、特に限定はないが、5〜300μmが好ましく、20〜200μmがより好ましい。
また、仮支持体は、透明でもよいし、染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有していてもよい。
また、仮支持体には、特開2005−221726号公報に記載の方法などにより、導電性を付与することができる。
本発明の加熱器具加飾用転写材料は、着色層を有し、着色層が本発明の加熱器具加飾用着色組成物を含む。
着色層が白色層および黒色層のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。着色層が白色層および黒色層を含む場合は、上記仮支持体と白色層の間に、黒色層を遮光層として有することが好ましい。
上記白色層又は黒色層としては、未硬化の白色層(以下、「未硬化白色層」ともいう。)又は未硬化の黒色層(以下、「未硬化黒色層」ともいう。)が好ましい。
また、本発明の加熱器具加飾用転写材料は、仮支持体上に黒色層及び白色層をこの順で有することがより好ましい。なお、以下の説明において、仮支持体上に黒色層及び白色層をこの順で有する加熱器具加飾用転写材料を中心に説明するが、本発明の加熱器具加飾用転写材料はこれに限定されるものではなく、白色層を有していなくてもよく、黒色層を有していなくてもよく、また、白色層や黒色層の代わりに他の色相を有する層を有していてもよく、特に限定されるものではない。
図5に記載される未硬化白色層(加熱前の加飾材2a)や未硬化黒色層(加熱前の加飾材2b)等を、加熱器具加飾用転写材料を用いて形成すると、開口部を有する基板(前面板)でも開口部からレジスト成分のモレおよび/またははみ出しがなく、特に基板の縁部の境界線直上まで遮光パターンを形成する必要のある加飾材2aや加飾材2bにおいて、基材の縁部からのレジスト成分のモレおよび/またははみ出しがない。そのため基板の非接触面側を汚染することなく、簡略な工程で、薄層化および軽量化されたタッチパネルの製造が可能となる。
加熱器具加飾用転写材料は、熱可塑性樹脂層を少なくとも1層有していてもよい。
熱可塑性樹脂層は、仮支持体と未硬化白色層との間に設けられることが好ましい。すなわち、加熱器具加飾用転写材料は、仮支持体、熱可塑性樹脂層、未硬化黒色層及び未硬化白色層をこの順で含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的には、アメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235に基づくポリマー軟化点測定法)で求められる軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。
上記範囲であると、基板上に凹凸がある場合であっても、凹凸を十分に吸収でき、平滑性に優れる。
加熱器具加飾用転写材料は、複数の塗布層の塗布時、及び塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を少なくとも1層有していてもよい。
中間層は、仮支持体と未硬化白色層との間、熱可塑性樹脂層を有する場合には、熱可塑性樹脂層と未硬化黒色層との間に設けられることが好ましい。すなわち、転写材料は、仮支持体、熱可塑性樹脂層、中間層、未硬化黒色層及び未硬化白色層をこの順で含むことが好ましい。
中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。
酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。中でも、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとを含有する層が特に好ましい。
加熱器具加飾用転写材料には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために未硬化白色層を覆うようにして、保護剥離層(好ましくは、保護フィルムまたはカバーフィルム)が設けられることが好ましい。保護剥離層は仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、未硬化白色層から容易に分離されねばならない。保護剥離層の材料としては、例えば、シリコーン紙、ポリオレフィン又はポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。
保護剥離層の膜厚は、1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、10〜30μmであることが特に好ましい。この膜厚が1μm以上であれば、保護剥離層の強度が十分であり、破断しにくく、また、100μm以下であると保護剥離層の価格が高くならず、また、保護剥離層をラミネートする際にシワが発生しにくい。
加熱器具加飾用転写材料を製造する方法としては、特に限定はないが、例えば、特開2005−3861号公報の段落0064〜0066に記載の工程によって製造することができる。また、加熱器具加飾用転写材料は、例えば特開2009−116078号公報に記載の方法で作製することもできる。
加熱器具加飾用転写材料の製造方法の一例としては、仮支持体上に本発明の加熱器具加飾用着色組成物(黒色層形成用組成物や白色樹脂組成物等)を塗布し、乾燥させて層を形成する工程と、形成された層を保護剥離層で覆う工程と、を有して構成される方法が挙げられる。
本発明の加熱器具加飾用転写材料では、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、その他の層を更に形成してもよい。また、未硬化白色層の形成前に、熱可塑性樹脂層及び/又は中間層を塗布形成してもよい。
仮支持体上に、本発明の加熱器具加飾用着色組成物(黒色層形成用組成物や白色樹脂組成物等)、熱可塑性樹脂層形成用の塗布液、中間層形成用の塗布液等を塗布する方法としては公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー等の塗布機を用いて、それらの塗液を塗布し、乾燥させることにより形成できる。
加熱器具加飾用転写材料の各層は、各成分と共に溶媒を用いて好適に調製することができる。
溶媒としては、エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、並びに、3−アルキルオキシプロピオン酸メチル及び3−アルキルオキシプロピオン酸エチルなどの3−アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル)、並びに、2−アルキルオキシプロピオン酸メチル、2−アルキルオキシプロピオン酸エチル及び2−アルキルオキシプロピオン酸プロピルなどの2−アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル)、並びに、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;
エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;
ケトン類、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;
芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン等が挙げられる。
これらのうち、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好適である。
溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
圧着には、ラミネーター、真空ラミネーター、及び、より生産性を高めることができるオートカットラミネーター等の公知のラミネーターを使用することができる。
圧着の条件としては、雰囲気温度20〜45℃、線圧1,000〜10,000N/mが好ましい。
本発明の加熱器具の第1の態様は、基板上に加飾材を有し、加飾材が本発明の加熱器具加飾用着色組成物を含む。
本発明の加熱器具の第2の態様は、基板上に加飾材を有し、加飾材が本発明の加熱器具加飾用転写材料の着色層の転写物である。
本発明の加熱器具は、調理器、実験器具、製造設備、服飾用アイロン、暖房器具であることが好ましく、調理器であることがより好ましい。調理器の好ましい態様は、調理器の説明において後述する。
本発明の加熱器具は、本発明の加熱器具加飾用着色組成物を含む加飾材を加熱器具のどの部材に有していてもよいが、本発明の加熱器具は加熱器具のトッププレートであることが好ましく、調理器トッププレートであることがより好ましい。なお、本発明の加熱器具は、トッププレートを有さない調理器に用いてもよい。
本発明の加熱器具は、基板、加飾材をこの順で有することが好ましい。
また、本発明において、加熱器具に含まれる着色層を「加飾材」ともいう。ただし、「加飾材」は着色層が加熱されて形成されたことが好ましい。
加熱器具では、加飾材が熱処理等によって変色(着色)することが問題となっていた。
更に、白色層および/または黒色層が上記グラフト型シリコーンポリマーを含むことが好ましい。
白色層および/または黒色層が上記グラフト型シリコーンポリマーを含むことにより、白色層の変色が抑えられる詳細な作用機序は明確ではないが、以下のように推定される。すなわち、白色層に、分散剤として従来の分散剤が使用されていると、加熱器具に熱処理が行われた際に、従来の分散剤が着色し、その結果、白色層の変色が起こると考えられる。黒色層に、分散剤として従来の分散剤が使用されていると、黒色層に存在する分散剤の一部が白色層に移動すると考えられ、加熱器具に熱処理が行われた際に、従来の分散剤が着色し、その結果、白色層の変色が起こると考えられる。白色層および/または黒色層が、分散剤として上述した一般式1で表されるグラフト型シリコーンポリマーを含むことにより、着色が抑制され、その結果、白色層の変色が抑制されたものと考えられる。
本発明の加熱器具は、基板、白色層、黒色層及び導電性層をこの順で有することが好ましい。
加熱器具は、膜厚方向に光を透過する透光領域を有することが好ましい。
加飾材(例えば白色層及び黒色層)は、透光領域を囲むように基板上に積層され、加飾材の内縁には透光領域の内方に向かい加飾材の膜厚が薄くなるように形成された傾斜部を有することが好ましい。
傾斜部表面と基板表面とのなす傾斜角が10〜60度であることが好ましい。加飾材に傾斜部を有し、傾斜部表面と基板表面とのなす傾斜角が10〜60度であることにより、加飾材と、加飾材が形成されていない基板の箇所との間の膜厚段差が緩やかとなり、加飾材上の導電性層が断線等の問題を起こしにくくなる。
以下、本発明の加熱器具の好ましい態様について説明する。
傾斜部を設けたことにより、加飾材と、加飾材が形成されていない基板の箇所との間の膜厚段差が緩やかとなり、導電性層の断線等の問題を起こしにくくなる。
傾斜部の形成方法については、特に限定されず、加飾材2bを加熱により収縮させることにより形成する方法、本発明の加熱器具加飾用着色組成物からなる層又は本発明の加熱器具加飾用着色組成物を乾燥させた層(未硬化の加飾材2a)を加熱によりメルトさせることにより形成する方法などが挙げられ、加飾材2bを加熱により収縮させることにより形成する方法が好ましい。加飾材2bが加熱により収縮することにより、加飾材2b側の未硬化の加飾材2aも加飾材2bに追随して収縮する一方、基板側の未硬化加飾材2aは加飾材2bに追随しないので、傾斜部2cを形成することができる。
加飾材2bを加熱により収縮させることにより傾斜部を形成することについては後記する。
図4に示す傾斜角θは、10〜60度であり、15〜55度がより好ましい。傾斜角θが10度以上であると、加飾材2a上に加飾材2bが存在しない箇所が減少し、外観異常、すなわち、光学濃度が低い領域が減少し、表示装置の光漏れや表示装置の引き回し回路が見える場合が少なくなる。一方、傾斜角θが60度以下であると、導電性層が断線等の問題を引き起こすことが少なくなる。
加飾材2bを加熱により収縮させることで傾斜部を形成する場合、加飾材2a及び/又は加飾材2bを構成する樹脂の種類及び/又は組成を変化させることにより、所望の傾斜角を有する傾斜部を形成することができる。
加飾材2aの基板側の幅と、加飾材2bの幅との差(エッジの差)としては、200μm以下が好ましく、5〜100μmがより好ましく、10〜90μmが更に好ましい。
加飾材2aの基板側の幅とは、加飾材2aのうち、基板と接している側の加飾材2aの幅をいう。
本発明の加熱器具に用いる基板としては、種々のものを用いることができるが、フィルム基板であることが好ましく、光学的に歪みがないものおよび透明度が高いものがより好ましい。本発明の加熱器具における基板は、波長400nm〜700nmの可視光の平均透過率が、80%以上であることが好ましい。
また、基板は、ガラスなどでもよい。
基板は、ガラス、TAC、PET、PC、COP又はシリコーン樹脂(ただし、本明細書中におけるシリコーン樹脂やポリオルガノシロキサンは、R2SiOの構造単位で表される狭義の意味に限定されるものではなく、RSiO1.5の構造単位で表されるシルセスキオキサン化合物も含む。)から選ばれることが好ましく、ガラス、シクロオレフィンポリマー又はシリコーン樹脂からなることが好ましい。
シリコーン樹脂は、籠型ポリオルガノシロキサンを主成分とすることが好ましく、籠型シルセスキオキサンを主成分とすることがより好ましい。なお、組成物又は層の主成分とは、その組成物又はその層の50質量%以上を占める成分のことをいう。
シリコーン樹脂を含む基板としては、特許第4142385号、特許第4409397号、特許第5078269号、特許第4920513号、特許第4964748号、特許第5036060号、特開2010−96848号、特開2011−194647号、特開2012−183818号、特開2012−184371号、特開2012−218322号の各公報に記載のものを用いることができ、これらの公報に記載の内容は本明細書に組み込まれる。
加熱器具は、加熱器具の表面に導電性層を有することが好ましい。
導電性層としては、特表2009−505358号公報に記載のものが好ましく挙げられる。
また、基板は、耐傷層及び防眩層のうち少なくとも1つを更に有することが好ましい。
(白色加飾材)
本発明の加熱器具は、加飾材として白色加飾材を含むことが好ましい。白色加飾材は、基板と隣接して設けられることが好ましい。
白色加飾材は、白色顔料と、少なくとも特定シリコーン樹脂が縮合した縮合物とを含むことが好ましい。
特定シリコーン樹脂において説明したD/T比の測定方法と同様に、白色加飾材に含まれる樹脂のD/T比を測定し、D/T比が0を超え2.5以下であれば、本発明における特定シリコーン樹脂を使用したと推定することが可能である。
上記D/T比は、上記特定シリコーン樹脂におけるD/T比と同様に測定できる。
また、白色加飾材は、上述した本発明の加熱器具加飾用着色組成物において説明した、白色顔料及び特定シリコーン樹脂以外の各成分を、更に含有することが好ましい。
本発明の加熱器具は、黒色加飾材を含むことも好ましく、白色加飾材を基準として、基板とは反対側に、黒色加飾材を含むことがより好ましい。黒色加飾材は、白色加飾材と隣接して設けられることが好ましいが、白色加飾材と黒色加飾材との間に、接着層等が設けられていてもよい。
黒色加飾材は、上述の黒色層形成用組成物により作製することが好ましい。
また、黒色加飾材は、上述した本発明の黒色層形成用組成物において説明した各成分を、含有することが好ましい。
本発明の加熱器具における黒色加飾材の膜厚は、黒色加飾材の隠蔽力を高めるための観点から、1.0〜5.0μmであることが好ましく、1.0〜4.0μmであることがより好ましい。
黒色加飾材の光学濃度(OD;Optical Density)は、黒色加飾材の隠蔽力を高めるための観点から、3.5以上であることが好ましく、4.0以上であることが特に好ましい。
黒色加飾材の表面抵抗は、1.0×1010Ω/□以上であることが好ましく、1.0×1011Ω/□以上であることがより好ましく、1.0×1012Ω/□以上であることが更に好ましく、1.0×1013Ω/□以上であることが特に好ましい。なお、Ω/□は、Ω毎スクウェアである。
本発明の加熱器具は、加飾材の基板とは反対側に保護層を有することが好ましい。
耐熱性に優れるシリコーン樹脂やシリコーンゴムを加熱器具に適用した際に、加飾材の基板とは反対側に保護層を付与することで、耐傷性をさらに改良することができる。
保護層の材料としては、特に制限はない。保護層の材料として、アクリル樹脂などのハードコート層の材料として公知の材料や、シリコーン樹脂およびシリコーンゴムなどのシロキサン結合を有する化合物を用いることができる。その中でも、保護層の材料は、シリコーン樹脂またはシリコーンゴムであることが、耐熱性(ひび割れおよび着色)を改善しつつ、耐傷性を高める観点から好ましい。アクリル樹脂などのハードコート層の材料として公知の材料よりも、シリコーン樹脂またはシリコーンゴムの方が、耐熱性(ひび割れおよび着色)に悪影響を与えずに、耐傷性を高めることができる。保護層に用いられる特定シリコーン樹脂のD/T比は、0を超え2.5以下であることが好ましく、0.2〜1.0であることがより好ましい。保護層に用いられるシリコーン樹脂およびシリコーンゴムのその他の好ましい態様は、本発明の加熱器具加飾用着色組成物に用いられるシリコーン樹脂またはシリコーンゴムの好ましい態様と同様である。
保護層の膜厚は30〜500μmであることが耐傷性を高める観点から好ましく、50〜300μmであることが特に好ましい。
アクリル樹脂などのハードコート層の材料として公知の材料に比べて、シリコーン樹脂およびシリコーンゴムなどのシロキサン結合を有する化合物は一般に膜を形成した場合の膜質が脆く、表面硬度を高くしにくい。そのため、シリコーン樹脂またはシリコーンゴムを保護層の材料として用いる場合は、保護層の膜厚を厚くすることにより耐傷性を高めて、加熱器具の使用時の取り扱いや製造時の取り扱いをしやすくすることが好ましい。
本発明の加熱器具は、加飾材上に導電性層を更に有することが好ましく、黒色加飾材上に導電性層を更に有することがより好ましい。
導電性層としては、特表2009−505358号公報に記載のものを好ましく用いることができる。また、導電性層の構成や形状については、後述のタッチパネルの説明中における第一の透明電極パターン、第二の電極パターン、別の導電性要素の説明の中に記載する。
導電性層が、インジウム(酸化インジウムスズ(ITO;Indium Tin Oxide)やインジウム合金など、インジウム含有化合物を含む。)を含むことが好ましい。
本発明では加飾材のひび割れ耐性が高いため、導電性層をスパッタにより蒸着してなる場合でも加飾材の膜物性を改善することができる。
本発明の加熱器具は、タッチパネルを有することが好ましい。
携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、券売機、銀行の端末などの電子機器には、近年、タッチパネル式の入力装置を有する液晶表示装置を備え、液晶表示装置に表示された画像等に指またはタッチペンなどを接触させて所望の指示を入力することが出来る電子機器がある。
入力装置(タッチパネル)には、抵抗膜型、静電容量型などがある。静電容量型の入力装置は、単に一枚の基板に透明導電膜を形成すればよいという利点がある。カバーガラス一体型(OGS:One Glass Solution)タッチパネルの静電容量型タッチパネルは、前面板が静電容量型の入力装置と一体化しているため、薄層化および/または軽量化が可能となる。
静電容量型の入力装置においては、表示装置の引き回し回路等を使用者から視認されないようにするため、また、見栄えをよくするため、指又はタッチペンなどで触れる情報表示部(画像表示部、透光領域ともいう。)を囲む枠状に加飾材が形成されて、加飾が行われている。加飾をするための加飾材としては、デザインや見栄えの観点から白色加飾材が求められている。また、白色加飾材(白色層)だけでは表示装置の引き回し回路等が透けて使用者から視認されてしまわないように、黒色加飾材(遮光層と呼ばれることもある。)や、その他の色に着色された加飾材を用いることが求められることもある。
白色加飾材などの加飾材を製造する際には、基板上に着色層(例えば白色樹脂組成物)を配置し、必要に応じて更に他の着色層(例えば遮光層形成用組成物)を配置した後に、ポストベーク(加熱)を行うことにより、未硬化の着色層を硬化させて加飾材とすることが好ましい。
タッチパネルは、静電容量型入力装置であることが好ましい。
静電容量型入力装置は、前面板(基板ともいう。)と、前面板の非接触面側に少なくとも下記(1)〜(4)の要素を有し、かつ、前面板(基板)と(1)加飾材の積層体として本発明の加熱器具を含むことが好ましい。
(1)加飾材
(2)複数のパッド部分が接続部分を介して第一の方向に延在して形成された複数の第一の透明電極パターン
(3)第一の透明電極パターンと電気的に絶縁され、第一の方向に交差する方向に延在して形成された複数のパッド部分からなる複数の第二の電極パターン
(4)第一の透明電極パターンと第二の電極パターンとを電気的に絶縁する絶縁層
また、静電容量型入力装置は、第二の電極パターンが透明電極パターンであってもよい。
更に、静電容量型入力装置は、下記(5)を更に有していてもよい。
(5)第一の透明電極パターン及び第二の透明電極パターンの少なくとも一方に電気的に接続され、第一の透明電極パターン及び第二の透明電極パターンとは別の導電性要素
更に、静電容量型入力装置は、前面板(基板)と(1)加飾材と、導電性層として上述の(2)、(3)及び(5)のうち少なくとも1つの電極パターンを有する積層体として、本発明の加熱器具を含むことがより好ましい。
(1)加飾材は、遮光層を更に有していることが好ましい。
まず、静電容量型入力装置の構成について説明する。
図5及び図6は、静電容量型入力装置の中でも好ましい構成を示す断面図である。
図5において静電容量型入力装置は、ガラス1G(カバーガラス)と、加飾材2aと、加飾材2bと、第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、絶縁層5と、別の導電性要素6と、透明保護層7と、から構成されている。加飾材2aには傾斜部2cが設けられており、加飾材2aは、静電容量型入力装置の内方に向かい膜厚が薄くなるように形成されている。
加飾材を設けた前面板は、ガラス1G(カバーガラス)からなる前面板に加飾材を設けた態様、又は、ガラス1G(カバーガラス)および基板1(フィルム基板)を含む前面板に加飾材を設けた態様のいずれも用いることができる。
カバーガラスからなる前面板に加飾材を設けた態様は、タッチパネル薄型化の観点から好ましい。
カバーガラスおよびフィルム基板を含む前面板に加飾材を設けた態様は、フィルム基板に加飾材を設け、そのフィルム基板をカバーガラスに張り合わせて製造することができ、タッチパネル生産性の観点から好ましい。
また、フィルム基板の電極の反対側に、更にカバーガラスを設けることができる。
ガラスとしては、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラスなどを用いることができる。
また、図5及び図6において、基板の各要素が設けられている側を非接触面1aと称する。静電容量型入力装置においては、基板の接触面(非接触面1aの反対の面)に指などを接触させて入力が行われることが好ましい。
静電容量型入力装置には、不図示の配線取出し口を設けることができる。
配線取出し部を有する静電容量型入力装置の加飾材付き基板を形成する場合、加飾材形成用液体レジストやスクリーン印刷インクを用いて加飾材2aを形成してもよいが、基板裏側の汚染を容易に防ぐ観点から、配線取出し部を有する加飾材付き基板を用いることが好ましい。
また、焼成により、アモルファスのITO膜を多結晶のITO膜とする場合、電気的抵抗を低減することもできる。
また、第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、後述する別の導電性要素6は、導電性繊維を用いた加飾材を有する転写フィルムを用いて製造することもできる。その他、ITO等によって第一の透明電極パターン等を形成する場合には、特許第4506785号公報の段落0014〜0016等を参考にすることができる。
図7は、第一の透明電極パターン及び第二の透明電極パターンの一例を示す説明図である。
図7に示すように、第一の透明電極パターン3は、パッド部分3aが接続部分3bを介して第一の方向に延在して形成されている。また、第二の透明電極パターン4は、絶縁層5を介して配置される第一の透明電極パターン3と電気的に絶縁されており、第一の方向に交差する方向(図7における第二の方向)に延在して形成された複数のパッド部分によって構成されている。ここで、第一の透明電極パターン3を形成する場合、パッド部分3aと接続部分3bとを一体として作製してもよいし、接続部分3bのみを作製して、パッド部分3aと第二の透明電極パターン4とを一体として作製(パターニング)してもよい。パッド部分3aと第二の透明電極パターン4とを一体として作製(パターニング)する場合、図7に示すように接続部分3bの一部とパッド部分3aの一部とが連結され、かつ、絶縁層5によって第一の透明電極パターン3と第二の透明電極パターン4とが電気的に絶縁されるように各層が形成される。
加熱器具の製造方法は、基板上に着色層を形成する層形成工程、着色層を加熱して加飾材とするポストベーク工程を含むことが好ましく、その他の工程を更に含むことが好ましい。
着色層形成工程としては、特に制限はないが、白色樹脂組成物からなる層及び黒色層形成用組成物からなる層、又は、白色樹脂組成物を乾燥させた層(未硬化白色層)及び黒色層形成用組成物を乾燥させた層(未硬化黒色層)などの着色層を、転写、熱転写印刷、スクリーン印刷及びインクジェット印刷よりなる群から選ばれた方法で作製することが好ましく、本発明の加熱器具加飾用転写材料を用いたフィルム転写(ラミネート方法)により作製することがより好ましい。上記転写材料としては、本発明の加熱器具加飾用転写材料が好ましく用いられる。
加飾材がスパッタリング法で製造された加熱器具では加飾材が導電性を有するために配線等を作製できないのに対し、本発明の加熱器具は特定の構造のシリコーン樹脂またはシリコーンゴムを用いた加飾材を用いるためにタッチパネルを設けることができる。
着色層形成工程は、具体的には、基板上に未硬化白色層及び未硬化黒色層をこの順で積層する工程を含むことが好ましい。着色層形成工程は、未硬化白色層及び未硬化黒色層を、それぞれ仮支持体上に少なくとも未硬化白色層及び未硬化黒色層の一方を含む加熱器具加飾用転写材料から少なくとも未硬化白色層及び未硬化黒色層の一方を転写した後に仮支持体を取り除く方法;仮支持体上に少なくとも未硬化白色層及び未硬化黒色層の一方を含む熱転写材料の仮支持体側を加熱して、仮支持体から少なくとも未硬化白色層及び未硬化黒色層の一方を転写する熱転写印刷;白色層形成用組成物又は黒色層形成用組成物のスクリーン印刷;及び、白色層形成用組成物又は黒色層形成用組成物のインクジェット印刷よりなる群から選ばれた方法で作製することが好ましい。
また、加飾材は、基板上において透光領域を囲む額縁状の形状を有し、加飾材の内縁には、透光領域の内方に向かい加飾材の膜厚が薄くなる傾斜部を形成する工程を含むことが好ましい。
未硬化白色層及び未硬化黒色層などの着色層は、フィルム転写、熱転写印刷、スクリーン印刷及びインクジェット印刷のうちの複数を組み合わせて形成してもよい。
更に、加熱器具の製造方法では、
少なくとも仮支持体、未硬化黒色層及び未硬化白色層の順に含む加熱器具加飾用転写材料から未硬化黒色層及び未硬化白色層を、基板上に転写した後に仮支持体を取り除く方法;あるいは、
仮支持体及び未硬化白色層を有する加熱器具加飾用転写材料から未硬化白色層を基板上に転写した後に仮支持体を取り除き、更に少なくとも仮支持体及び未硬化黒色層を含む加熱器具加飾用転写材料から未硬化黒色層を未硬化白色層上に転写した後に仮支持体を取り除く方法
を用いて、未硬化白色層及び未硬化黒色層を形成することが好ましい。
以下、加熱器具の製造方法について、着色層形成工程におけるフィルム転写、熱転写印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ポストベーク工程、及び、その他の工程の詳細を記載する。
本発明において、転写(ラミネート方法)は、本発明の加熱器具加飾用転写材料を用いる方法であり、白色層及び黒色層、又は、白色層形成用組成物を乾燥させた層(未硬化白色層)及び黒色層形成用組成物を乾燥させた層(未硬化黒色層)などの着色層を少なくとも基板へ転写する転写工程を含む方法であることが好ましい。
未硬化白色層及び未硬化黒色層などの着色層の基板表面への転写(貼り合わせ)は、未硬化白色層を基板表面に重ね、加圧、加熱することに行われる。貼り合わせには、上記した公知のラミネーターを使用することができる。
ラミネート方法は、所望の打ち抜いた未硬化白色層及び未硬化黒色層などの着色層を基板に転写することから、毎葉式であることが、精度が良い観点から好ましい。ラミネート方法は、基板と未硬化白色層などの着色層間に気泡が入らない方法であることが、収率を上げられる観点から好ましい。具体的には、真空ラミネーターを使用することが好ましい。
ラミネート(連続式/枚葉式)に用いられる装置としては、例えば、クライムプロダクツ(株)製V−SE340aaHなどを挙げることができる。
真空ラミネーター装置としては、例えば、高野精機(有)製のものや、大成ラミネーター(株)製FVJ−540R、FV700などを挙げることができる。
熱可塑性樹脂層及び/又は中間層を除去する工程は、一般にフォトリソ方式で使用されるアルカリ現像液を用いて行うことができる。
アルカリ現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。なお、現像液は加飾材が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa(power of Ka;Kaは酸解離定数を表す)=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶媒を少量添加してもよい。
水と混和性を有する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。有機溶媒の濃度は、0.1〜30質量%が好ましい。
また、アルカリ現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は、0.01〜10質量%が好ましい。
熱転写印刷を用いる場合は、未硬化白色層及び未硬化黒色層などの着色層を、それぞれ仮支持体上に少なくとも未硬化白色層及び未硬化黒色層の一方を含む熱転写材料の仮支持体側を加熱して、仮支持体から少なくとも未硬化白色層及び未硬化黒色層の一方を基板上に転写する熱転写印刷で作製することが好ましい。なお、熱転写印刷においては、未硬化白色層及び未硬化黒色層などの着色層が完全に硬化しない程度の加熱温度及び加熱時間で行うことが好ましい。
熱転写印刷の方法としては、インクリボン印刷が好ましい。加熱器具の製造方法に用いられるインクリボン印刷の方法としては、「ノンインパクトプリンティング−技術と材料−((株)シーエムシー刊、1986年12月1日)」などに記載の方法を挙げることができる。
スクリーン印刷を用いる場合は、未硬化白色層及び/又は未硬化黒色層などの着色層を、白色樹脂組成物及び/又は遮光層形成用組成物などの加熱器具加飾用着色組成物を基板上にスクリーン印刷する方法で作製することが好ましい。
スクリーン印刷の方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができ、例えば特許第4021925号公報に記載の方法などを用いることができる。また、スクリーン印刷を複数回行うことにより、スクリーン印刷でも膜厚を厚くすることもできる。
インクジェット印刷を用いる場合は、未硬化白色層及び/又は未硬化黒色層などの着色層を、白色樹脂組成物及び/又は黒色層形成用組成物などの加熱器具加飾用着色組成物を基板上にインクジェット印刷する方法で作製することが好ましい。加熱器具の製造方法に用いられるインクジェット印刷の方法としては、「インクジェット技術のエレクトロニクス応用((株)リアライズ理工センター刊、2006年9月29日)」などに記載の方法を挙げることができる。
加熱器具を形成する場合、着色層形成工程後にポストベーク工程を含むことが好ましく、フィルム転写により着色層形成工程を行う場合は、熱可塑性樹脂層及び/又は中間層を除去する工程後にポストベークを行う工程を含むことがより好ましい。ポストベークを行うことにより、未硬化白色層及び/又は未硬化黒色層などの着色層を硬化させて加飾材とすることが好ましい。
加熱器具の製造方法では、ポストベーク工程により、本発明の加熱器具加飾用着色組成物を硬化して加飾材を形成するか、本発明の加熱器具加飾用転写材料の着色層を転写されて形成された転写物を硬化して加飾材を形成することが好ましい。
ポストベーク工程においては、加熱器具形成用転写材料の未硬化白色層及び未硬化黒色層などの着色層を0.08〜1.2気圧の環境下で50℃〜300℃に加熱して形成することが強度と生産性との両立の観点から好ましい。なお、1気圧=0.101325MPaである。
また、加飾材の内縁には、透光領域の内方に向かい加飾材の膜厚が薄くなるように形成された傾斜部を有することが好ましいが、傾斜部は、着色層(特に黒色層)を加熱により収縮させることにより形成することが好ましい。例えば、ポストベーク工程において、加飾材を50℃〜300℃で加熱することにより着色層を収縮させ、これにより傾斜部を形成することができる。
ポストベークの温度は、50℃〜300℃が好ましく、100℃〜300℃がより好ましく、120℃〜300℃がより好ましい。
また、ポストベークは2以上の異なる温度でそれぞれ所定の時間だけ行ってもよい。例えば、まず、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは100℃〜200℃で加熱し、次いで、好ましくは200℃〜280℃、より好ましくは220℃〜260℃で加熱することができる。
ポストベークの時間は、20〜150分間であることがより好ましく、30〜100分間であることが特に好ましい。2段階以上の温度でポストベークを行う場合には、各段階のポストベーク時間の合計が20〜150分間となるように行うことが好ましい。
ポストベークは、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよいが、空気環境下で行うことが、特別な減圧装置を用いることなく製造コストを低減できる観点から特に好ましい。
加熱器具の製造方法は、上述した以外のその他の工程を有していてもよい。
なお、熱可塑性樹脂層及び/又は中間層を除去する工程、並びに、その他の工程の例としては、特開2006−23696号公報の段落0035〜0051に記載の方法を本発明においても好適に用いることができる。
本発明の調理器は、本発明の加熱器具を有する。
以下、本発明の調理器の好ましい態様について説明する。
図8に本発明の調理器の一例の構成を示す。図8に示した本発明の調理器31は、調理器トッププレート23である加熱器具の上に誘導加熱部21を有し、調理器トッププレート23が加飾材2aと加飾材2aが形成されていない部分にタッチパネル22を有する。
調理器トッププレート23は、不図示の基板の上に形成されていてもよい。
本発明の調理器は、特に制限はないが、画像表示部やタッチパネルを有する調理器であることが好ましい。例えば、本発明の調理器は、電磁加熱(induction heating;IH)調理器、赤外線加熱調理器、ガス調理器、電子レンジ、オーブン、炊飯器、保温器、鍋、電気ポットなどであることが好ましく、これらの調理器に画像表示部やタッチパネルを設けたものがより好ましい。その他、本発明の調理器は、近年のIoT(Internet of Things;インターネットオブシングス)化の影響を受け、インターネットを介して外部から操作可能であって画像表示部を有する調理器であることも好ましい。これらの中でも本発明の調理器は、調理器トッププレートを有する調理器である電磁加熱調理器、赤外線加熱調理器、ガス調理器であることがより好ましく、電磁加熱調理器であることが特に好ましい。
<加熱器具加飾用着色組成物(白色着色組成物)の調製>
下記表1または表2に記載の白色着色組成物である実施例1〜22および比較例1〜6の加熱器具加飾用着色組成物を、以下の材料を用いて調製した。下記表1または表2中の数値は、各加熱器具加飾用着色組成物の全質量に対する各成分の含有量(質量部)を示し、「−」は各成分を含有していないことを示している。
・白色顔料分散液1:FP White AD4035、山陽色素(株)製(酸化チタン濃度70%、固形分濃度73%)
酸化チタン(CR−97、石原産業(株)製):60.0部
分散剤A(下記に合成法記載):6.0部
キシレン:34.0部
キシレン100部にKF−2001(信越化学工業(株)製)45.8部、KF−2012(信越化学工業(株)製)53.3部、メタクリル酸0.9部を溶解すると共に、重合開始剤(ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、V−601、和光純薬工業(株)製)を全重合成分に対する比率で0.3mol%溶解させ、窒素雰囲気下、80℃で重合を行った。途中、重合開始2時間後に重合開始剤(V−601)を全重合成分に対する比率で0.3mol%追加で添加し、合計4時間重合した。重合後、精製処理及び乾燥を行い、分散剤A(重量平均分子量40,000)を得た。
なお、KF−2001は、以下の式で表される構造(RAは任意の連結基を表し、a1及びa2は自然数を表す)であり、官能基当量1,900(g/mol)である。
−シリコーン樹脂3の合成法−
撹拌機、コンデンサー、温度計および加熱、冷却用ジャケットを備えた反応容器に477部のトルエン、420.7部のトリエトキシメチルシラン(東京化成(株)製)および77.4部のジクロロジメチルシラン(東京化成(株)製)を仕込み、均一になるように撹拌した。
次いで、反応容器に200部の純水を滴下し、加水分解を行った。その後、反応液を撹拌しつつ50℃まで昇温し、還流状態にして温度を一定に保持しながらさらに80分間撹拌を続けた。次いで、反応液を静置して有機層と水層を分離させた。分離した有機層に純水200部を加えて水洗した。再び静置分離を行い、分離した有機層に淡黄色透明なシリコーン樹脂のトルエン溶液500部を得た。さらに有機層にトルエンを加えてシリコーン樹脂含有量が30質量%の溶液(シリコーン樹脂3)とした。
シリコーン樹脂3の重量平均分子量は3,000,000であり、シリコーン樹脂3のD/T比は0.25である。
シリコーン樹脂3の合成において、トリエトキシメチルシランの量を394.4部、ジクロロジメチルシランの量を96.8部として合成することにより、シリコーン樹脂4を得た。
シリコーン樹脂4の重量平均分子量は2,500,000であり、シリコーン樹脂4のD/T比は0.33である。
シリコーン樹脂3の合成において、トリエトキシメチルシランの量を260.0部、ジクロロジメチルシランの量を185.0部として合成することにより、シリコーン樹脂5を得た。
シリコーン樹脂5の重量平均分子量は2,500,000であり、シリコーン樹脂5のD/T比は1.03である。
−シリコーン樹脂10の合成法−
撹拌機、コンデンサー、温度計および加熱、冷却用ジャケットを備えた反応容器に1600部のトルエン、534.5部のトリエトキシメチルシラン(東京化成(株)製)および447.6部のジクロロジメチルシラン(東京化成(株)製)、882.0部のジクロロジフェニルシラン(東京化成(株)製)を仕込み、均一になるように撹拌した。
次いで、反応容器に200部の純水を滴下し、加水分解を行った。その後、反応液を撹拌しつつ50℃まで昇温し、還流状態にして温度を一定に保持しながらさらに80分間撹拌を続けた。次いで、反応液を静置して有機層と水層を分離させた。分離した有機層に純水200部を加えて水洗した。再び静置分離を行い、分離した有機層に淡黄色透明なシリコーン樹脂のトルエン溶液を得た。さらに有機層にトルエンを加えてシリコーン樹脂含有量が50質量%の溶液(シリコーン樹脂10)とした。
シリコーン樹脂10の重量平均分子量は5,000であり、シリコーン樹脂10のD/T比は2.30である。
シリコーン樹脂10の合成において、トリエトキシメチルシランの量を712.4部、ジクロロジメチルシランの量を383.9部、ジクロロジフェニルシランの量を755.8部として合成することにより、シリコーン樹脂11を得た。
シリコーン樹脂11の重量平均分子量は6,000であり、シリコーン樹脂11のD/T比は1.50である。
シリコーン樹脂10の合成において、トリエトキシメチルシランの量を511.8部、ジクロロジメチルシランの量を882.0部、ジクロロジフェニルシランの量を755.8部として合成することにより、シリコーン樹脂12を得た。
シリコーン樹脂12の重量平均分子量は5,000であり、シリコーン樹脂12のD/T比は3.00である。
・シリコーンゴム2(X−21−3043、信越シリコーン(株)製):シリコーンゴム(固形分100質量%)
D/T比は、「シリコーンハンドブック(伊藤邦雄著、日刊工業新聞社)」の第20章に記載の方法を参考にし、下記の方法により測定される。
29Si−NMR(日本電子(株)製ECP400)を用いて、29Si−NMRのピーク面積比から、シリコーン樹脂のD/T比を求める。29Si−NMRの測定条件は、PTFE製10mm直径試料管使用、プローブ:T10、共鳴周波数79.42MHz、パルス幅10μsec(secは、秒の略称)、待ち時間20sec、積算時間1,500回、緩和試薬:Chromium(III) acetylacetonateであるCr(acac)3を0.1質量%、外部標準試料:テトラメチルシランとする。また、各構造に由来する29Si−NMRの化学シフトは、以下のとおりである。
D体構造:−20〜−25ppm
T体構造:−60〜−70ppm
上記測定方法により、2種類以上のシリコーン樹脂またはシリコーンゴムを含む組成物中のシリコーン樹脂のD/T比またはシリコーンゴムのD/T比をそれぞれ測定できる。
<加熱器具加飾用着色組成物(黒色着色組成物)の調製>
下記表3に記載の黒色着色組成物である実施例23〜28および比較例7の加熱器具加飾用着色組成物、以下の材料を用いて調製した。下記表3中の数値は、各加熱器具加飾用着色組成物の全質量に対する各成分の含有量(質量部)を示し、「−」は各成分を含有していないことを示している。
・黒色顔料分散液1:GC4151、山陽色素(株)製(カーボンブラック濃度15%、固形分濃度20.7%)
カーボンブラック(三菱化学(株)製):15.0部
分散剤A(合成法上記):4.8部
シリコーンオイル(X−22−4039、信越化学(株)製):3.0部
キシレン:77.2部
<加熱器具加飾用着色組成物(着色組成物)の調製>
下記表4に記載の実施例29〜41の加熱器具加飾用着色組成物(着色組成物)を、以下の材料を用いて調製した。下記表4中の数値は、各加熱器具加飾用着色組成物の全質量に対する各成分の含有量(質量部)を示し、「−」は各成分を含有していないことを示している。
・銀色顔料分散液1(FD−5060、旭化成メタルズ(株)製):アルミペーストのミネラルスピリット溶液(固形分72質量%)
・銀色顔料分散液2(CP−525、旭化成メタルズ(株)製):アルミペーストのミネラルスピリット溶液(固形分79質量%)
・イエロー染料:下記黄色染料化合物12.5質量部をテトラヒドロフラン(和光純薬社製)87.5質量部に溶解させたもの(特開2014−177502号公報中に記載の染料)。
(シアン顔料分散液の調製)
下記組成の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3000rpmで3時間撹拌して混合し、顔料を含む混合溶液を調製した。
−顔料を含む混合溶液の組成−
・Pigment Yellow 185 125部
・フタロシアニン誘導体 5部
(ソルスパース3000、日本ルーブリゾール(株)製)
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=70/30[モル比])共重
合体(重量平均分子量:5,000)のプロピレングリコールモノメチル
エーテルアセテート溶液 (固形分50%) 15部
・分散剤(Disperbyk−161、ビックケミー・ジャパン(株)製
) 60部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 795部
(ブルー顔料分散液の調製)
下記組成Aの各成分をニーダーにて30分間混練した後、さらに二本ロールにて高粘度分散処理を行った。
−組成A−
・顔料(C.I.(C.I.はColour Index Internationalの略称) Pigment Blue15:6) 30部
・分散剤(ディスパー163、BYK社) 3部
・樹脂(ベンジル(メタ)アクリレート/メタクリル酸の共重合物)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分50%) 20部
−組成B−
・樹脂(ベンジル(メタ)アクリレート/メタクリル酸の共重合物)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分50%) 20部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 170部
<加熱器具加飾用転写材料の作製>
(剥離フィルムの準備)
加熱器具加飾用転写材料の剥離層付きの仮支持体として、以下の剥離フィルムを準備した。
ユニピール TR6(ユニチカ(株)製、膜厚75μmのPETフィルム上に、剥離層からマット剤が200nm隆起しているオレフィン系の剥離層を有する)
次に、以下の保護フィルムを準備した。
GF−8(タマポリ(株)製、膜厚35μmのポリエチレンフィルム)
エクストルージョン型塗布機を使用し、剥離層付きの仮支持体の剥離層上に、上記表1または表2に記載の実施例1〜20および比較例1〜6の加熱器具加飾用着色組成物(白色着色組成物)を乾燥膜厚40.0μmとなるように塗布し、乾燥させた。白色着色層の上に、上記の保護フィルムを圧着した。
こうして仮支持体と白色着色層とが一体となった下記表5に記載の実施例101〜120および比較例101〜106の加熱器具加飾用転写材料を作製した。
また、白色着色組成物のかわりに、上記表3に記載の実施例23〜28および比較例7の加熱器具加飾用着色組成物(黒色着色組成物)を乾燥膜厚4.0μmとなるように塗布することにより、下記表5に記載の実施例121〜126および比較例107の加熱器具加飾用転写材料を作製した。
エクストルージョン型塗布機を使用し、剥離層付きの仮支持体の剥離層上に、黒色着色層を形成するための上記表3に記載の加熱器具加飾用着色組成物(黒色着色組成物)のうち、下記表5に記載の加熱器具加飾用着色組成物(黒色着色組成物)を乾燥膜厚3.0μmとなるように塗布し、乾燥させた。
黒色着色層の上に、白色着色層を形成するための上記表1または表2に記載の加熱器具加飾用着色組成物(白色着色組成物)のうち、下記表5に記載の加熱器具加飾用着色組成物(白色着色組成物)を乾燥膜厚40.0μmとなるように塗布し、乾燥させた。
白色着色層の上に、上記の保護フィルムを圧着した。
こうして仮支持体と、黒色着色層および白色着色層の積層体と、保護フィルムを有する下記表5に記載の実施例127〜130の加熱器具加飾用転写材料を作製した。
<加熱器具の作製(転写方式)>
結晶化ガラス(日本電気硝子社製「ネオセラムN−0」:30℃〜500℃における平均線熱膨張係数:1 ×10−7/℃、膜厚4mm)を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄した。これをガラス基板として用いた。このガラス基板を基板予備加熱装置で90℃、2分間予備加熱した。
上記のガラス基板上に、実施例101の加熱器具加飾用転写材料をガラス基板の四辺に対応するサイズの額縁状に成形し、後述するタッチパネルを形成するため、パネル操作部に相当する部分をダイカット方式にて打抜き、除去した。打抜き後の加熱器具加飾用転写材料から保護フィルムを剥がした後で、白色着色層および仮支持体をガラス基板の上に転写した。その後、実施例101の加熱器具加飾用転写材料の仮支持体を剥離した。白色着色層を硬化するため、得た膜をガラス基板(基板)ごと、150℃30分間加熱、更に、240℃30分間、300℃30分間の順で3回の熱処理(ベーク処理)を行い、白色着色層を加熱して形成された白色加飾材を有する実施例201の加熱器具(調理器トッププレート)を得た。
実施例201において、用いた加熱器具加飾用転写材料を下記表7または表8に記載の通りに変更した以外は、実施例201と同様に、ガラス基板上に白色着色層及び/または黒色着色層が形成された実施例202〜230および比較例201〜207の加熱器具を得た。
<加熱器具の作製(印刷方式)>
上記ガラス基板上に、実施例1の加熱器具加飾用着色組成物をスクリーン印刷機(ミシマ株式会社製;UDF−5L、メッシュサイズ250μm)でスクリーン印刷した。後述するタッチパネルを形成するためのパネル操作部にあたる部分はインクがのらないよう、印刷を行った後、150℃、10分間乾燥した。さらに上記同様にスクリーン印刷し、100℃10分間の乾燥をした。この印刷から乾燥の工程を繰り返し、計3回行った。インク乾燥後の着色層の厚みは40μmであった。150℃、30分間の乾燥をして、実施例231の加熱器具を作製した。
実施例1の加熱器具加飾用着色組成物のかわりに、下記表8に記載の加熱器具加飾用着色組成物を用いることで、実施例232〜253および、比較例208〜210の加熱器具を作製した。
<加熱器具、保護層の作製>
実施例254では、実施例241の加熱器具の加飾材の上に、下記表6に記載の保護層用塗布液Aをスクリーン印刷機(ミシマ株式会社製;UDF−5L、メッシュサイズ250μm)でスクリーン印刷し、150℃、10分間乾燥した。さらに上記同様にスクリーン印刷し、100℃10分間の乾燥をした。この印刷から乾燥の工程を繰り返し、乾燥後の保護層の厚みが100μmとなるよう、塗布、乾燥を繰り返した。最後に240℃、30分間の乾燥をして、加飾材の上に保護層を有する調理器具である実施例254の調理器具を作製した。
実施例254において、保護層用塗布液Aのかわりに下記表6に記載の保護層用塗布液Bを用いた以外は実施例254と同様にして、実施例255の調理器具を作製した。
・シリコーン樹脂13:合成物
シリコーン樹脂3の合成において、トリエトキシメチルシランの量を368.1部、ジクロロジメチルシランの量を116.2部として合成することにより、シリコーン樹脂13を得た。
シリコーン樹脂13の重量平均分子量は2,500,000であり、シリコーン樹脂13のD/T比は0.43である。
<調理器トッププレートの作製(スパッタ方式)>
上記ガラス基板の上に、下記表7に示す膜材質を用い、下記表7に示す膜厚となるように、干渉層、遮光層、及び保護層をこの順序でそれぞれスパッタ(スパッタリング法の略称)方式により形成した。後述するタッチパネルを形成するためのパネル操作部にあたる部分はスパッタされないよう保護を行った。なお、スパッタリング法で各層を形成する際の成膜雰囲気は、下記表7に示すガス雰囲気とした。なお、下記表7に示すガス雰囲気条件の%は、体積%である。
得られた積層体を、比較例211および212の加熱器具とした。
上記で得た加熱器具の特性の評価方法を以下に示す。
各実施例及び比較例の加熱器具について、指で触った際の耐傷性について評価した。
評価結果は官能評価にて、以下のように評価した。
A: 強く触っても、指紋等の跡は見られない。
B: 指で強く触った場合は跡が見られるが、軽く触った場合は触った跡が確認できない。
C: 指で触るとべとつきが見られ、軽く触っただけでも指紋等の跡が確認できる。
耐傷性のレベルとしてはA、B評価であることが実用上必要であり、Aであることが好ましい。
得られた結果を下記表8または表9に記載した。
各実施例及び比較例の加熱器具について、ひび割れの有無を目視で観察した。
評価結果は官能評価にて、以下のように評価した。
A: 目視でひび割れが確認できない。
B: 端部に1mmに満たないレベルの極軽微なひび割れが1〜2本認められる(インク等で修正可能なレベル)。
C: 端部に1mmに満たないレベルのわずかなひび割れが数本認められる(インク等で修正可能なレベル)。
D: 全面にひび割れが見られる。
耐熱性(ひびわれ)のレベルとしてはA、B、C評価であることが実用上必要であり、A、Bであることが好ましく、Aであることがより好ましい。
得られた結果を下記表8または表9に記載した。
各実施例及び比較例の加熱器具について、着色の有無を目視で観察した。
評価結果は官能評価にて、以下のように評価した。
A: ベーク処理前後で色味の変化が見られない。
B: ベーク処理前後で色味の変化があるものの、許容範囲である。
C: ベーク処理前後で色味の変化があるものの、色味調整可能な範囲である。
D: ベーク処理前後で色味変化があり、色味調整不可能な範囲である。
耐熱性(着色)のレベルとしてはA、B、C評価であることが実用上必要であり、A,Bであることが好ましく、Aであることがさらに好ましい。
得られた結果を下記表8または表9に記載した。
各実施例及び比較例の加熱器具は、他の着色剤を添加することにより、容易に色味を調整可能であることが好ましい。
目標色味からずれた際の色味調整可能な領域を示すため、白色顔料分散液1および黒色顔料分散液1の少なくとも一方を添加して、各実施例及び比較例の加熱器具加飾材の色味を調整する際の色味変化が可能であるかを示す。評価結果は官能評価にて、以下のように評価した。
A:白色顔料分散液1および黒色顔料分散液1の添加により、色味の調整が可能である。
B:白色顔料分散液1の添加により、色味可能である(黒色方向は調整不可能である)。
C:調整不可能(白色顔料分散液1および黒色顔料分散液1が添加できず)。
調色性のレベルとしてはA、Bであることが実用上必要であり、Aであることが好ましい。
得られた結果を下記表8または表9に記載した。
シリコーン樹脂またはシリコーンゴム中にD体構造を含まない材料を用いて加飾材が形成された比較例201〜203、208の加熱器具は、ベーク処理後に数多くのひび割れが生じ、ひび割れの観点での耐熱性が悪く、外観に問題が見られた。一方、D/T比が2.5を超えるシリコーン樹脂のみをシリコーン樹脂として用いた材料を用いて加飾材が形成された比較例204、205、209、210の加熱器具は、ベーク処理後でも膜面にべとつきが見られ、耐傷性が悪く、製造時の取り扱い性に難があることが分かった。
アクリル樹脂を用いて加飾材が形成された比較例206および207の加熱器具はベーク処理後の色味変化が大きく、着色の観点での耐熱性が悪く、外観に問題が見られた。
一方、比較例211および212で示したスパッタ方式では、スパッタ膜の透過濃度が高いことから、着色剤を用いた色味調整はできず、トッププレートの色味はシルバー系(金属系)の色味に限定される。
<ひび割れが見られた加熱器具の修正>
端部に数本のわずかなひび割れが認められた実施例101の加熱器具に対して、ひび割れ部に白色顔料分散液1を筆により塗りつけ、ひび割れが目立たないよう修正を施した。修正した加熱器具を、150℃30分間加熱、更に、240℃30分間の順で熱処理を行い、得られた加熱器具を以降の評価に用いた。
同様に、耐熱性(ひび割れ)評価がB、C、Dの実施例、比較例の加熱器具に対しても同様に修正作業を行った。
(透明電極層の形成)
実施例201の加熱器具を、真空チャンバー内に導入し、SnO2含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DC(Direct Current)マグネトロンスパッタリング(条件:基板の温度250℃、アルゴン圧0.13Pa、酸素圧0.01Pa)により、膜厚40nmのITO薄膜を形成し、透明電極層を形成した前面板を得た。ITO薄膜の表面抵抗は80Ω/□(Ω毎スクエア)であった。
以下の方法で仮基材上に熱可塑性樹脂層と中間層を形成した。
膜厚75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、下記の処方E1からなるエッチング用光硬化性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。このようにして仮基材の上に乾燥膜の厚みが15.1μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜の厚みが1.6μmの中間層と、厚み2.0μmエッチング用光硬化性樹脂層からなる積層体を得、最後に保護フィルム(厚み12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。こうして仮基材と熱可塑性樹脂層と中間層とエッチング用光硬化性樹脂層とが一体となったエッチング用感光性フィルムE1を作製した。
・メチルメタクリレート/スチレン/メタクリル酸共重合体
(共重合体組成(質量%):31/40/29、重量平均分子量6000
0、 酸価163mgKOH/g) :16質量部
・モノマー1(商品名:BPE−500、新中村化学工業(株)製)
:5.6質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネートのテトラエチレンオキシドモノメタクリ
レート0.5モル付加物 :7質量部
・分子中に重合性基を1つ有する化合物としてのシクロヘキサンジメタノー
ルモノアクリレート :2.8質量部
・2−クロロ−N−ブチルアクリドン :0.42質量部
・2,2−ビス(オルトクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフ
ェニルビイミダゾール :2.17質量部
・マラカイトグリーンシュウ酸塩 :0.02質量部
・ロイコクリスタルバイオレット :0.26質量部
・フェノチアジン :0.013質量部
・界面活性剤(商品名:メガファックF−780F、大日本インキ(株)製
) :0.03質量部
・メチルエチルケトン :40質量部
・1−メトキシ−2−プロパノール :20質量部
なお、エッチング用光硬化性樹脂層用塗布液E1の溶剤除去後の100℃の粘度は2500Pa・sであった。
・メタノール:11.1質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:6.36質量部
・メチルエチルケトン:52.4質量部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃):5.83質量部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃):13.6質量部
・モノマー(商品名:BPE−500、新中村化学工業(株)製):9.1質量部
・塗布助剤(メガファックF−780F、DIC(株)製):0.54質量部
なお、熱可塑性樹脂層用塗布液H1の溶剤除去後の120℃の粘度は1,500Pa・secであった。
・ポリビニルアルコール :32.2質量部
(商品名:PVA205、(株)クラレ製、鹸化度=88%、重合度550
)
・ポリビニルピロリドン :14.9質量部
(商品名:K−30、アイエスピー・ジャパン(株)製)
・蒸留水 :524質量部
・メタノール :429質量部
白色加飾材、透明電極層を形成した加熱器具を洗浄し、保護フィルムを除去したエッチング用転写フィルムE1を、透明電極層の表面とエッチング用光硬化性樹脂層の表面とが対向するようにラミネートした(基板温度:130℃、ゴムローラー温度120℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分)。仮基材を剥離後、熱可塑性樹脂層と中間層はエッチング用光硬化性樹脂層とともに、透明電極層の表面に転写された。露光マスク(透明電極パターンを有する石英露光マスク)面と前述のエッチング用光硬化性樹脂層との間の距離を200μmに設定し、熱可塑性樹脂層と中間層を介して、エッチング用光硬化性樹脂層を露光量50mJ/cm2(i線)でパターン露光した。
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて25℃で100秒間現像処理し、熱可塑性樹脂層および中間層を溶解し、界面活性剤含有洗浄液(商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて33℃で20秒間洗浄処理した。超高圧洗浄ノズルから純水を噴射し、回転ブラシで熱可塑性樹脂層と中間層の残渣を除去し、さらに130℃、30分間のポストベーク処理を行って、白色加飾材、透明電極層とエッチング用光硬化性樹脂層パターンとを形成した加熱器具を得た。
次に、エッチング用光硬化性樹脂層パターンのついた透明電極層付の前面板を、レジスト剥離液(N−メチル−2−ピロリドン、モノエタノールアミン、界面活性剤(商品名:サーフィノール465、エアープロダクツ製)液温45℃)を入れたレジスト剥離槽に浸漬し、200秒間処理し(剥離処理)、エッチング用光硬化性樹脂層を除去し、白色加飾材と、前述の加熱器具の非接触面に図5のように設置された第一の透明電極パターンとを形成した加熱器具を得た。
−絶縁層形成用転写フィルムW1の調製−
エッチング用転写フィルムE1の調製において、前述のエッチング用光硬化性樹脂層用塗布液を、下記処方W1からなる絶縁層形成用塗布液に代えた以外はエッチング用転写フィルムE1の調製と同様にして、仮基材、熱可塑性樹脂層、中間層、絶縁層用光硬化性樹脂層及び保護フィルムとが一体となった、絶縁層形成用転写フィルムW1を得た(絶縁層用光硬化性樹脂層の膜厚は1.4μm)。
・バインダー3(シクロヘキシルメタクリレート(a)/メチルメタクリレート(b)/メタクリル酸共重合体(c)のグリシジルメタクリレート付加物(d)(組成(質量%):a/b/c/d=46/1/10/43、重量平均分子量:36,000、酸価66mgKOH/g)の1−メトキシ−2−プロパノール、メチルエチルケトン溶液(固形分:45%)):12.5質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(76質量%):1.4質量部
・ウレタン系モノマー(商品名:NKオリゴUA−32P、新中村化学(株)製、不揮発分75%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25%):0.68質量部
・トリペンタエリスリトールオクタアクリレート(商品名:V#802、大阪有機化学工業(株)製):1.8質量部
・ジエチルチオキサントン:0.17質量部
・2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名:Irgacure379、BASF社製):0.17質量部
・分散剤(商品名:ソルスパース20000、アビシア社製):0.19質量部
・界面活性剤(商品名:メガファックF−780F、DIC(株)製):0.05質量部
・メチルエチルケトン:23.3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:59.8質量部
なお、絶縁層形成用塗布液W1の溶剤除去後の100℃の粘度は4,000Pa・secであった。
得られた積層体から仮基材を剥離後、露光マスク(絶縁層用パターンを有す石英露光マスク)面と前述のエッチング用光硬化性樹脂層との間の距離を100μmに設定し、露光量30mJ/cm2(i線)でパターン露光した。
次に、パターン露光後の積層体(フィルム基板)を、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を33℃で60秒間、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム系現像液(商品名:T−CD1(富士フイルム(株)製)を純水で5倍に希釈した液)を25℃で50秒間、界面活性剤含有洗浄液(商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて33℃で20秒間洗浄処理した。超高圧洗浄ノズルから純水を噴射し、回転ブラシで熱可塑性樹脂層と中間層の残渣を除去し、さらに230℃、60分間のポストベーク処理を行って、白色加飾材、第一の透明電極パターン、絶縁層パターンを形成した加熱器具を得た。
−透明電極層の形成−
第一の透明電極パターンの形成と同様にして、白色加飾材、第一の透明電極パターン、絶縁層パターンを形成した加熱器具をDCマグネトロンスパッタリング処理し(条件:基板の温度50℃、アルゴン圧0.13Pa、酸素圧0.01Pa)、膜厚80nmのITO薄膜を形成し、白色加飾材、第一の透明電極パターン、絶縁層パターン、透明電極層を形成した加熱器具を得た。ITO薄膜の表面抵抗は110Ω/□であった。
さらに、第一の透明電極パターンの形成と同様にして、エッチング(30℃、50秒間)して、エッチング用光硬化性樹脂層を除去(45℃、200秒間)することにより、白色加飾材、第一の透明電極パターン、絶縁層パターン、前述の加熱器具の非接触面および前述の白色加飾材の前述の前面板とは逆側の面の両方の領域にまたがって図5のように設置された第二の透明電極パターンを形成した加熱器具を得た。
第一の透明電極パターン及び第二の透明電極パターンの形成と同様にして、白色加飾材、第一の透明電極パターン、絶縁層パターン、第二の透明電極パターンを形成した前面板をDCマグネトロンスパッタリング処理し、膜厚200nmのアルミニウム(Al)薄膜を形成した加熱器具を得た。
更に、第一の透明電極パターンの形成と同様にして、エッチング(30℃、50秒間)して、エッチング用光硬化性樹脂層を除去(45℃、200秒間)することにより、白色加飾材、第一の透明電極パターン、絶縁層パターン、第二の透明電極パターン、別の導電性要素を形成した加熱器具を得た。
絶縁層の形成と同様にして、別の導電性要素まで形成した前面板に、保護フィルムを除去した絶縁層形成用転写フィルムW1をラミネートし、仮基材を剥離後、露光マスクを介さずに露光量50mJ/cm2(i線)で全面露光し、現像、ポスト露光(1000mJ/cm2)、ポストベーク処理を行って、白色加飾材、第一の透明電極パターン、絶縁層パターン、第二の透明電極パターンおよび別の導電性要素の全てを覆う絶縁層(透明保護層)を図5のように積層した加熱器具を得た。得られた加熱器具は静電容量型入力装置として利用可能である。
特開2009−47936号公報の段落0097〜段落0119段落に記載の方法で製造した液晶表示素子に、先に製造した前面板(静電容量型入力装置)を貼り合せ、公知の方法で静電容量型入力装置を構成要素として備えた実施例301の加熱器具を作製した。
実施例201の加熱器具に代えて、実施例202〜255、及び、比較例201〜212の加熱器具を用いて、加熱器具を作製することにより、実施例302〜355、及び、比較例301〜312のタッチパネルを有する加熱器具を作製した。
実施例301〜355の加熱器具では、第一の透明電極パターン、第二の透明電極パターン、及び、これらとは別の導電性要素の、各々の導電性には問題がなく、一方で、第一の透明電極パターンと第二の透明電極パターンの間では絶縁性を有していた。
更に、表示特性および動作性に優れたタッチパネルが得られた。
一方、比較例301〜305、307〜312の加熱器具ではタッチパネルの動作性に問題が見られることから、タッチパネルを有する加熱器具としては使用に耐えないものであった。
加熱器具のタッチパネル動作性の評価結果を上記表8または表9に示す。
<タッチパネル付き調理器の作製>
市販の電磁加熱調理器(機種名KZ−T773S、パナソニック株式会社製)から調理器トッププレートを取り外し、代わりに得られた実施例301〜355のタッチパネルを有する加熱器具(調理器トッププレート)を、調理器に設置し、タッチパネル付き調理器である実施例401〜455の調理器を得た。
実施例401〜455の調理器は、調理器、および調理器トッププレート上のタッチパネルが問題なく動作することを確認した。
1G:ガラス(カバーガラス。カバーガラスのみを前面板としてもよく、基板とガラスの積層体を前面板としてもよい。)
2a:加飾材
2b:加飾材
2c:傾斜部
3:導電性層(第一の透明電極パターン)
3a:パッド部分
3b:接続部分
4:導電性層(第二の透明電極パターン)
5:絶縁層
6:導電性層(別の導電性要素)
7:透明保護層
21:タッチパネル
22:誘導加熱部
23:調理器トッププレート
31:調理器
C:第1の方向
D:第2の方向
Claims (14)
- 調理器トッププレートに用いられる請求項1に記載の加熱器具加飾用着色組成物。
- 前記D/T比が0を超え2.5以下であるシリコーン樹脂が、前記D/T比が0.5を超え2.5以下であるシリコーン樹脂である請求項1または2に記載の加熱器具加飾用着色組成物。
- 前記着色剤の、前記加熱器具加飾用着色組成物に含まれるシリコーン樹脂のうち前記D/T比が1未満のシリコーン樹脂の合計に対する含有割合が1.0を越える請求項1〜3のいずれか一項に記載の加熱器具加飾用着色組成物。
- 前記着色剤が無機顔料である請求項1〜4のいずれか一項に記載の加熱器具加飾用着色組成物。
- さらに下記一般式1で表されるグラフト型シリコーンポリマーを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の加熱器具加飾用着色組成物;
- 仮支持体と、着色層とを有し、
前記着色層が請求項1〜6のいずれか一項に記載の加熱器具加飾用着色組成物を含む加熱器具加飾用転写材料。 - 基板上に加飾材を有し、
前記加飾材が請求項1〜6のいずれか一項に記載の加熱器具加飾用着色組成物を含む加熱器具。 - 基板上に加飾材を有し、
前記加飾材が、請求項7に記載の加熱器具加飾用転写材料の前記着色層の転写物である加熱器具。 - 前記加飾材の前記基板とは反対側に保護層を有する請求項8または9に記載の加熱器具。
- タッチパネルを有する請求項8〜10のいずれか一項に記載の加熱器具。
- 前記タッチパネルが静電容量型入力装置である請求項11に記載の加熱器具。
- 前記加熱器具が調理器トッププレートである請求項8〜12のいずれか一項に記載の加熱器具。
- 請求項8〜13のいずれか一項に記載の加熱器具を有する調理器。
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