JP2016069573A - 熱硬化性樹脂組成物、及び、加飾材 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、及び、加飾材 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱時の耐着色性及びクラック耐性に優れた硬化物を得ることができる熱硬化性樹脂組成物、並びに、上記熱硬化性樹脂組成物を用いた加飾材、加飾材付き基材、転写材料、タッチパネル、及び、情報表示装置の提供。【解決手段】白色無機顔料と、ガラス転移温度が20℃以上である少なくとも1種のシリコーン樹脂と、特定の官能基を有するケイ素化合物とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、及び、加飾材に関する。
携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、券売機、銀行の端末などの電子機器では、近年、液晶装置などの表面にタッチパネル型の入力装置が配置され、液晶装置の画像表示領域に表示された指示画像を参照しながら、この指示画像が表示されている箇所に指又はタッチペンなどを触れることで、指示画像に対応する情報の入力が行えるものがある。
このような入力装置(タッチパネル)には、抵抗膜型、静電容量型などがある。静電容量型の入力装置は、単に一枚の基板に透光性導電膜を形成すればよいという利点がある。また、静電容量型の入力装置は、一枚の基板に透光性導電膜を形成すればよいという利点がある。カバーガラス一体型(OGS:One Glass Solution)タッチパネルの静電容量型タッチパネルは、前面板が静電容量型の入力装置と一体化しているため、薄層/軽量化が可能となる。
このような静電容量型の入力装置においては、表示装置の引き回し回路等を使用者から視認されないようにするため、また、見栄えをよくするため、指又はタッチペンなどで触れる情報表示部(画像表示部、透光領域ともいう。)を囲む枠状に加飾材が形成されて、加飾が行われている。このような加飾をするための加飾材としては、デザインや見栄えの観点から白色加飾材が求められている。また、白色加飾材だけでは表示装置の引き回し回路等が透けて使用者から視認されてしまわないように、黒色加飾材(遮光層と呼ばれることもある。)や、その他の色に着色された加飾材を用いることが求められることもある。
白色加飾材などの着色された加飾材を製造する際に、一般的に顔料分散液を用いる方法が知られている。顔料分散液には、顔料の分散性を高めるために高分子化合物を顔料分散剤として添加されることがある。
また、従来の転写フィルムとしては、特許文献1に記載の転写フィルムが知られている。
また、組成物としては、特許文献2〜4に記載のものが知られている。
特開2014−24316号公報 国際公開第2012−46714号 国際公開第2007−291372号 特表2008−534768号公報
本発明が解決しようとする課題は、加熱時の耐着色性及びクラック耐性に優れた硬化物を得ることができる熱硬化性樹脂組成物、並びに、上記熱硬化性樹脂組成物を用いた加飾材、加飾材付き基材、転写材料、タッチパネル、及び、情報表示装置を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>、<8>又は<10>〜<14>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である、<2>〜<7>及び<9>とともに以下に記載する。
<1> 白色無機顔料と、ガラス転移温度が20℃以上である少なくとも1種のシリコーン樹脂と、下記式1〜5のいずれかで表される化合物と、を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物、
Figure 2016069573
式1〜5中、X11はアミノ基(−R1NH2)、アルキレンジアミノアルキル基(−R2NH−R3−NH2)、エポキシ基、ヒドロキシメチル基、カルボキシ基、メルカプト基、アラルキル基、又は、ポリエーテル基(−R4−(R5O)r1−R6)を表し、R1はアルキル基を表し、R2〜R5はそれぞれ独立に、アルキレン基を表し、R6はアルキル基又は水素原子を表し、r1は1〜100の整数を表し、p1及びq1はそれぞれ独立に、1〜2,000の整数を表し、X21はエポキシ基、ヒドロキシメチル基、ジヒドロキシアルキル基(−R7−C(R8OH)(R9OH)−R10)、カルボキシ基、又は、(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、R7〜R9はそれぞれ独立に、アルキレン基を表し、R10はアルキル基を表し、p2は1〜2,000の整数を表し、X31及びX32はそれぞれ独立に、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシメチル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、ヒドロキシフェニルアルキル基、ヒドロキシ基、カルボン酸無水物、又は、ポリエーテル基を表し、を表し、p3は1〜2,000の整数を表し、X41〜X43はそれぞれ独立に、アミノ基、メトキシ基、又は、エポキシ基を表し、p4及びq4はそれぞれ独立に、1〜2,000の整数を表し、X51及びX52はそれぞれ独立に、アルキル基、水素原子又はアリール基を表し、p5及びq5はそれぞれ独立に、1〜2,000の整数を表す、
<2> 上記式1〜5のいずれか1つで表される化合物が、式1〜4のいずれか1つで表される化合物である、<1>に記載の熱硬化性樹脂組成物、
<3> 上記白色無機顔料が、二酸化チタンである、<1>又は<2>に記載の熱硬化性樹脂組成物、
<4> ガラス転移温度が20℃未満であり、シロキサン結合を主鎖に有する架橋剤を更に含有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物、
<5> オニウム塩化合物を更に含む、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物、
<6> シロキサン結合を主鎖に有する顔料分散剤を更に含有する、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物、
<7> 上記顔料分散剤が、下記式gp−1で表されるグラフト型シリコーンポリマーである、<6>に記載の熱硬化性樹脂組成物、
Figure 2016069573
式gp−1中、Rg1〜Rg10はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アリール基又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rg11及びRg12はそれぞれ独立に、アリーレン基又は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Rg13及びRg14はそれぞれ独立に、単結合又は二価の有機連結基を表し、Agは顔料吸着部位を有する基を表し、Bgは下記式gp−2で表される構造を有する基を表し、G1及びG3はそれぞれ独立に、1以上の整数を表し、G2は0以上の整数を表す、
Figure 2016069573
式gp−2中、Rg15及びRg16はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アリール基又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、G4は1以上の整数を表す、
<8> <1>〜<7>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる加飾材、
<9> タッチパネル用であり、かつ白色加飾材である、<8>に記載の加飾材、
<10> <8>又は<9>に記載の加飾材と、基材とを有する加飾材付き基材、
<11> <1>〜<7>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物を含む加飾層形成用の転写材料、
<12> <11>に記載の転写材料を基材上に転写し、硬化させてなる加飾材付き基材、
<13> <8>又は<9>に記載の加飾材、若しくは、<10>又は<12>に記載の加飾材付き基材を有するタッチパネル、
<14> <13>に記載のタッチパネルを有する情報表示装置。
本発明によれば、加熱時の耐着色性及びクラック耐性に優れた硬化物を得ることができる熱硬化性樹脂組成物、並びに、上記熱硬化性樹脂組成物を用いた加飾材、加飾材付き基材、転写材料、タッチパネル、及び、情報表示装置を提供することができる。
加飾材の一例を示す、部分拡大断面図である。 加飾材の他の一例を示す、部分拡大断面図である。 加飾材の他の一例を示す、部分拡大断面図である。 傾斜部と基材とのなす傾斜角を表した部分拡大断面図である。 本発明の加飾材付き基材を用いた、本発明のタッチパネルの一例の構成を示す断面概略図である。 本発明の加飾材付き基材を用いた、本発明のタッチパネルの他の一例の構成を示す断面概略図である。 本発明のタッチパネルにおける前面板の一例を示す説明図である。 本発明のタッチパネルにおける第一の透明電極パターン及び第二の透明電極パターンの一例を示す説明図である。 開口部が形成された強化処理ガラスの一例を示す上面図である。 加飾材及び遮光層が形成された本発明のタッチパネルの一例を示す上面図である。 第一の透明電極パターンが形成された本発明のタッチパネルの一例を示す上面図である。 第一及び第二の透明電極パターンが形成された本発明のタッチパネルの一例を示す上面図である。 第一及び第二の透明電極パターンとは別の導電性要素が形成された本発明のタッチパネルの一例を示す上面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
なお、本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリル及びメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイル及びメタクリロイルを表す。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本発明では、ポリマー成分の分子量については、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(熱硬化性樹脂組成物)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、白色無機顔料と、ガラス転移温度が20℃以上である少なくとも1種のシリコーン樹脂と、下記式1〜5のいずれかで表される化合物と、を含有することを特徴とする。
Figure 2016069573
式1〜5中、X11はアミノ基(−R1NH2)、アルキレンジアミノアルキル基(−R2NH−R3−NH2)、エポキシ基、ヒドロキシメチル基、カルボキシ基、メルカプト基、アラルキル基、又は、ポリエーテル基(−R4−(R5O)r1−R6)を表し、R1はアルキル基を表し、R2〜R5はそれぞれ独立に、アルキレン基を表し、R6はアルキル基又は水素原子を表し、r1は1〜100の整数を表し、p1及びq1はそれぞれ独立に、1〜2,000の整数を表し、X21はエポキシ基、ヒドロキシメチル基、ジヒドロキシアルキル基(−R7−C(R8OH)(R9OH)−R10)、カルボキシ基、又は、(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、R7〜R9はそれぞれ独立に、アルキレン基を表し、R10はアルキル基を表し、p2は1〜2,000の整数を表し、X31及びX32はそれぞれ独立に、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシメチル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、ヒドロキシフェニルアルキル基、ヒドロキシ基、カルボン酸無水物、又は、ポリエーテル基を表し、を表し、p3は1〜2,000の整数を表し、X41〜X43はそれぞれ独立に、アミノ基、メトキシ基、又は、エポキシ基を表し、p4及びq4はそれぞれ独立に、1〜2,000の整数を表し、X51及びX52はそれぞれ独立に、アルキル基、水素原子又はアリール基を表し、p5及びq5はそれぞれ独立に、1〜2,000の整数を表す。
本発明者らは上記観点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上である少なくとも1種のシリコーン樹脂と、上記式1〜5のいずれかで表される化合物とを含有することにより、白色無機顔料を含有する熱硬化性樹脂組成物であっても、上記組成物を硬化した硬化物に対し加熱を行っても、クラックの発生を抑制できることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
詳細な効果の発現機構は不明であるが、上記式1〜5のいずれかで表される化合物が可塑剤として機能し、白色無機顔料を含有する硬化物の熱による体積変化等を吸収でき、得られる硬化物の加熱時のクラック耐性が優れると推定している。
また、詳細な効果の発現機構は不明であるが、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化して得られた硬化物は、熱による着色が少ない。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、加飾材形成用熱硬化性樹脂組成物として好適に用いることができ、白色加飾材形成用熱硬化性樹脂組成物としてより好適に用いることができる。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、加飾層形成用転写材料に好適に用いることができ、白色加飾層形成用転写材料により好適に用いることができる。
詳しくは、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、加飾層形成用転写材料の加飾層形成用転写層として好適に用いることができ、白色加飾層形成用転写材料の白色加飾層形成用転写層としてより好適に用いることができる。
<ガラス転移温度が20℃以上である少なくとも1種のシリコーン樹脂>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上である少なくとも1種のシリコーン樹脂を含有する。
なお、上記Tgが20℃以上であるシリコーン樹脂は、上記式1〜5で表される化合物以外のシリコーン樹脂である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が含有する少なくとも1種のシリコーン樹脂のTgは、20℃以上であり、20℃〜120℃であることが好ましく、30℃〜100℃であることがより好ましい。Tgが上記範囲であることにより、得られる硬化物の加熱時のクラック耐性に優れ、また、転写材料や加飾材としてより好適に用いることができる。
シリコーン樹脂のTgの測定方法は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定する方法が挙げられる。
シリコーン樹脂としては、公知のものが使用でき、メチル系ストレートシリコーンレジン(ポリジメチルシロキサン)、メチルフェニル系ストレートシリコーンレジン(メチル基の一部をフェニル基に置換したポリジメチルシロキサン)、アクリル樹脂変性シリコーンレジン、ポリエステル樹脂変性シリコーンレジン、エポキシ樹脂変性シリコーンレジン、アルキッド樹脂変性シリコーンレジン及びゴム系のシリコーンレジン等が好ましく使用できる。中でも、メチル系ストレートシリコーンレジン、メチルフェニル系ストレートシリコーンレジン、アクリル樹脂変性シリコーンレジンがより好ましく挙げられ、メチル系ストレートシリコーンレジン、メチルフェニル系ストレートシリコーンレジンが更に好ましく挙げられる。
中でも、Tgが20℃以上であるシリコーン樹脂としては、シラノール基を有し、かつTgが20℃以上であるシリコーン樹脂であることが好ましい。上記態様であると、得られる硬化物の加熱時のクラック耐性により優れ、硬化物の熱による着色がより少なく、また、硬化物の耐摩耗性により優れる。
Tgが20℃以上であるシリコーン樹脂は、1種のみを用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらを任意の比率で混合することにより膜物性を制御することもできる。
Tgが20℃以上であるシリコーン樹脂は、有機溶媒などに溶解されたものを用いてもよく、例えば、キシレン溶液やトルエン溶液に溶解されたものを用いることができる。
Tgが20℃以上であるシリコーン樹脂としては、市販のシリコーン樹脂を用いてもよく、例えば、信越化学工業(株)製KR251、KR255、KR300、KR311、KR216、ES−1001N、ES−1002T、ES−1023等が好ましく挙げられる。
Tgが20℃以上であるシリコーン樹脂の重量平均分子量としては、1,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、10,000を超えることが更に好ましく、また、5,000,000以下であることが好ましく、3,000,000以下であることがより好ましく、2,000,000以下であることが更に好ましい。
Tgが20℃以上であるシリコーン樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分量に対し、1〜90質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、30〜70質量%であることが更に好ましい。なお、熱硬化性樹脂組成物における「固形分」とは、溶媒等の揮発性成分を除いた成分を表す。
Tgが20℃以上であるシリコーン樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全質量に対し、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、5〜35質量%であることが更に好ましい。
<式1〜5で表される化合物>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記式1〜5のいずれかで表される化合物を含有する。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、溶媒やシリコーン樹脂との相溶性の観点から、上記式1〜4のいずれかで表される化合物を含有することが好ましい。
式1中、X11はアミノ基(−R1NH2)、アルキレンジアミノアルキル基(−R2NH−R3−NH2)、エポキシ基、ヒドロキシメチル基、カルボキシ基、メルカプト基、アラルキル基、又は、ポリエーテル基(−R4−(R5O)r1−R6)を表し、アミノ基、アルキレンジアミノアルキル基、エポキシ基、又は、メルカプト基であることが好ましく、アミノ基、アルキレンジアミノアルキル基、又は、エポキシ基であることがより好ましく、エポキシ基であることが更に好ましい。
1はアルキル基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
2〜R5はそれぞれ独立に、アルキレン基を表し、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜5のアルキレン基がより好ましい。
6はアルキル基又は水素原子を表す。
r1は1〜100の整数を表し、1〜50の整数が好ましい。
p1及びq1はそれぞれ独立に、1〜2,000の整数を表し、100〜2,000であることが好ましく、150〜1,500であることがより好ましく、200〜1,000であることが更に好ましい。
式2中、X21はエポキシ基、ヒドロキシメチル基、ジヒドロキシアルキル基(−R7−C(R8OH)(R9OH)−R10)、カルボキシ基、又は、(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、エポキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。
7〜R9はそれぞれ独立に、アルキレン基を表し、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましい。
10はアルキル基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
p2は1〜2,000の整数を表し、100〜2,000であることが好ましく、150〜1,500であることがより好ましく、200〜1,000であることが更に好ましい。
式3中、X31及びX32はそれぞれ独立に、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシメチル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、ヒドロキシフェニルアルキル基、ヒドロキシ基、カルボン酸無水物、又は、ポリエーテル基を表し、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシフェニルアルキル基、メルカプト基、又は、カルボン酸無水物が好ましい。ヒドロキシフェニルアルキル基に含まれるアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましい。
また、X31及びX32は異なる基であってもよいが、同一の基であることが好ましい。
p3は1〜2,000の整数を表し、100〜2,000であることが好ましく、150〜1,500であることがより好ましく、200〜1,000であることが更に好ましい。
式4中、X41〜X43はそれぞれ独立に、アミノ基、メトキシ基、又は、エポキシ基を表し、X41及びX42がメトキシ基であり、かつ、X43がアミノ基であるか、X41〜X43の全てがエポキシ基であることが好ましい。
p4及びq4はそれぞれ独立に、1〜2,000の整数を表し、100〜2,000であることが好ましく、150〜1,500であることがより好ましく、200〜1,000であることが更に好ましい。
式5中、X51及びX52はそれぞれ独立に、アルキル基、水素原子又はアリール基を表し、X51及びX52が共にアルキル基であるか、X51及びX52の一方がアルキル基を、もう一方が水素原子であるか、X51及びX52の両方共がアリール基であることが好ましい。
上記アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。
p5及びq5はそれぞれ独立に、1〜2,000の整数を表し、100〜2,000であることが好ましく、150〜1,500であることがより好ましく、200〜1,000であることが更に好ましい。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記Tgが20℃以上であるシリコーン樹脂、上記式1で表される化合物、及び、後述する式gp−1で表されるグラフト型グラフト型シリコーンポリマーを含むシリコーン化合物、並びに、白色無機顔料の総含有量が、熱硬化性樹脂組成物の全固形分量に対し、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。上記範囲であると、得られる硬化物の加熱時の耐着色性及びクラック耐性により優れる。
<白色無機顔料>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、白色無機顔料を含有する。
白色無機顔料としては、特開2005−7765号公報の段落0015や段落0114に記載の白色無機顔料を用いることができる。
具体的には、白色無機顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウムが好ましく、二酸化チタン、酸化亜鉛がより好ましく、二酸化チタンが更に好ましく、ルチル型又はアナターゼ型二酸化チタンが特に好ましく、ルチル型二酸化チタンが最も好ましい。
白色無機顔料、特に二酸化チタンの表面は、シリカ処理、アルミナ処理、チタニア処理、ジルコニア処理、有機物処理等の表面処理を行ってもよく、また、それらを併用してもよい。これにより、白色無機顔料、特に二酸化チタンの触媒活性を抑制でき、耐熱性、褪光性等を改善することができる。
硬化物の熱処理後のb*値を抑制する観点から、二酸化チタンの表面への表面処理は、アルミナ処理、ジルコニア処理、シリカ処理が好ましく、アルミナ処理及びジルコニア処理の併用、又は、アルミナ処理及びシリカ処理の併用が特に好ましい。
なお、従来公知の白色以外の無機顔料を更に添加することにより、パステルカラーに調製してもよい。
白色無機顔料は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
白色無機顔料の含有量は、熱硬化性組成物の全固形分に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、30〜75質量%であることが更に好ましい。
〔顔料分散液〕
また、白色無機顔料は、顔料分散液として、熱硬化性組成物に添加してもよい。
顔料分散液は、白色無機顔料と、後述する顔料分散剤と、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及びアルコール系溶媒よりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒とを含有することが好ましい。
顔料分散液を調製する方法としては、特に制限はないが、顔料分散時には顔料、顔料分散剤、溶媒及び選択的に少量の分散バインダーのみが使われることが好ましい。特に、顔料分散時には後述の追加のバインダーや後述の重合触媒などの添加剤を顔料分散液の材料として添加しないことが、分散工程の妨げとならないようにする観点から好ましい。
顔料分散液に用いられる溶媒としては、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及びアルコール系溶媒よりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒を用いることが好ましい。
炭化水素系溶媒としては、キシレン、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、ヘキサンなどが好ましい。
ケトン系溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、ジエチルケトンなどが好ましい。
エステル系溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどが好ましい。
アルコール系溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ノルマルプロピルアルコール、ブタノールなどが好ましい。
中でも、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒及びケトン系溶媒よりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒が好ましく、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒が特に好ましい。
顔料分散液(全固形分と溶媒の合計)に対する溶媒の含有量としては、8〜90質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、12〜50質量%が特に好ましい。
顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438頁に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル、ビーズミル等の公知の分散機が挙げられる。更に上述の文献310頁記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
白色無機顔料は、分散安定性及び隠蔽力の観点から、一次粒子の平均粒径が、0.005〜0.5μmであることが好ましく、0.16〜0.3μmであることがより好ましく、0.18〜0.27μmであることが更に好ましく、0.19〜0.25μmであることが特に好ましい。上記範囲であると、隠蔽力が高く、遮光層の下地が見えにくくなり、粘度上昇を起こしにくく、色度が十分に高く、また、塗布した際の面状が良好となる。
なお、ここで言う「一次粒子の平均粒径」とは粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を言い、また「数平均粒径」とは多数の粒子について上述の粒径を求め、この100個平均値をいう。
無機顔料粒子の沈降、凝集を抑制するため、バインダーを顔料分散液に添加してもよい。バインダーとしては、耐着色性の観点から、上述したガラス転移温度(Tg)が20℃以上である少なくとも1種のシリコーン樹脂、上記式1〜5で表される化合物、及び/又は、これら以外のシリコーン樹脂が挙げられる。
顔料分散液中の全固形分に対するバインダーの含有量としては、0.1〜30質量%が好ましく、0.2〜20質量%がより好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
また、顔料分散液における後述する顔料分散剤の含有量は、無機顔料100質量部に対し、0.2〜25質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましく、1〜15質量部であることが更に好ましい。
<顔料分散剤>
本発明の熱硬化性組成物は、顔料分散剤を含有することが好ましい。
顔料分散剤としては、公知の顔料分散剤を用いることができ、顔料分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
高分子分散剤としては、DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、DISPERBYK−111、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−167、DISPERBYK−168、DISPERBYK−170、DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−182(BYKケミー社製);EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA745、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(エフカアディティブ社製);TEGO Dispers 685(Evonik社製);ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製);ソルスパース(SOLSPERSE)3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、22000、24000、26000、28000、32000、36000、39000、41000、71000などの各種ソルスパース分散剤(Noveon社製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123((株)ADEKA製)、イオネットS−20(三洋化成工業(株)製);ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)(楠本化成(株)製)、KP−578(アクリル系グラフト共重合体)(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
本発明に用いることができる顔料分散剤としては、シロキサン結合を主鎖に有する顔料分散剤が好ましい。
シロキサン結合を主鎖に有する高分子分散剤としては、ポリエーテル変性シリコーンオイル、ポリグリセリン変性シリコーンオイル、アクリルシリコーンが好ましく用いられ、KF−6011、KF−6011P、KF−6012、KF−6013、KF−6015、KF−6016、KF−6017、KF−6017P、KF−6004、KF−6028、KF−6028P、KF−6038、KF−6043、KF−6100、KF−6104、KF−6105、KP−541、KP−543、KP−545、KP−549、KP−550、KP−545L、KP−578、KP−561P、KP−562P、BYK−SILCLEAN 3700、BYK−SILCLEAN 3720(BYKケミー社製)が好ましく挙げられる。
また、本発明に用いることができる顔料分散剤としては、下記式gp−1で表されるグラフト型シリコーンポリマーが更に好ましい。
Figure 2016069573
式gp−1中、Rg1〜Rg10はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アリール基又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rg11及びRg12はそれぞれ独立に、アリーレン基又は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Rg13及びRg14はそれぞれ独立に、単結合又は二価の有機連結基を表し、Agは顔料吸着部位を有する基を表し、Bgは下記式gp−2で表される構造を有する基を表し、G1及びG3はそれぞれ独立に、1以上の整数を表し、G2は0以上の整数を表す。
Figure 2016069573
式gp−2中、Rg15及びRg16はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アリール基又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、G4は1以上の整数を表す。
式gp−1中、Rg1〜Rg10はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アリール基又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、アリール基又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。
g1〜Rg10におけるアリール基としては、フェニル基や置換フェニル基を挙げることができる。
g1〜Rg10における炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基を挙げることができ、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
g1〜Rg10は、更に置換基を有していてもよい。例えば、Rg1〜Rg10がヒドロキシ基を表す場合、任意のアルキル基を更に置換基として有し、アルコキシ基を形成してもよい。ただし、Rg1〜Rg10は更に置換基を有さないことが好ましい。
G1が2以上である場合、G1個のRg4及びRg5はそれぞれ互いに同一であっても、異なっていてもよい。
G2が2以上である場合、G2個のRg6は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
G3が2以上である場合、G3個のRg7は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
式gp−1中、Rg11及びRg12はそれぞれ独立に、アリーレン基又は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。
G2が2以上である場合、G2個のRg11は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
G3が2以上である場合、G3個のRg12は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
式gp−1中、Rg13は、単結合又は二価の有機連結基を表す。
G2が2以上である場合、G2個のRg13は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
式gp−1中、Rg14は、単結合又は二価の有機連結基を表す。
G3が2以上である場合、G3個のRg13は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
g13又はRg14における二価の有機連結基としては、1〜100個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜200個の水素原子、及び、0〜20個の硫黄原子からなる基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。
g13又はRg14における二価の有機連結基は、具体的な例として、下記の構造単位群から選ばれる構造単位、又は、これらの構造単位が組み合わさって構成される基を挙げることができる。
Figure 2016069573
g13又はRg14としては、単結合、又は、1〜50個の炭素原子、0〜8個の窒素原子、0〜25個の酸素原子、1〜100個の水素原子及び0〜10個の硫黄原子からなる二価の有機連結基が好ましく、単結合、又は、1〜30個の炭素原子、0〜6個の窒素原子、0〜15個の酸素原子、1〜50個の水素原子及び0〜7個の硫黄原子からなる二価の有機連結基がより好ましく、単結合、又は、1〜10個の炭素原子、0〜5個の窒素原子、0〜10個の酸素原子、1〜30個の水素原子及び0〜5個の硫黄原子からなる二価の有機連結基が特に好ましい。
g13又はRg14は、単結合、又は、上記構造単位群Gから選ばれた構造単位若しくはこれらの構造単位が組み合わさって構成される、「1〜10個の炭素原子、0〜5個の窒素原子、0〜10個の酸素原子、1〜30個の水素原子及び0〜5個の硫黄原子」からなる二価の有機連結基(置換基を有していてもよく、この置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素原子数6〜16のアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素原子数1〜6のアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素原子数1〜6のアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。)であることが好ましい。
g13は、−(CH2)−CH(Rg13A)−で表される二価の有機連結基であることが好ましい。Rg13Aは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、水素原子又はメチル基であることが好ましい。Rg13Aは、更に置換基を有していてもよく、置換基を有する場合は、カルボキシル基が好ましい。
g14は、−(CH2)−CH(Rg14A)−C(=O)−O−(Cq2q)−で表される二価の有機連結基であることが好ましい。Rg14Aは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、水素原子又はメチル基であることが好ましい。Rg14Aは、更に置換基を有していてもよい。qは0以上の整数を表し、1以上の整数であることが好ましい。
式gp−1中、Agは顔料吸着部位を有する基を表す。
G2が2以上である場合、G2個のAgは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
gは、1つの顔料吸着部位を有していてもよいし、複数の顔料吸着部位を有していてもよい。Agが複数の顔料吸着部位を有する場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
gは、例えば、顔料吸着部位と、1〜200個の炭素原子、0〜20個の窒素原子、0〜100個の酸素原子、1〜400個の水素原子及び0〜40個の硫黄原子から構成される有機連結基とが結合してなる一価の有機基であることが好ましい。顔料吸着部位自体が一価の有機基を構成する場合には、顔料吸着部位そのものがAgで表される有機基であってももちろんよい。
上記顔料吸着部位は、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、複素環残基、アミド基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基及びチオール基よりなる群から選択される部位を、少なくとも一種類含むことが好ましく、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、配位性酸素原子を有する基、複素環残基、アミド基、アルコキシシリル基、ヒドロキシ基及びチオール基よりなる群から選択される部位を少なくとも一種類含むことがより好ましく、酸性基及びアルコキシシリル基よりなる群から選択される部位を少なくとも一種類含むことが特に好ましく、カルボン酸基、リン酸基又はトリメトキシシリル基であることがより特に好ましい。
顔料吸着部位における酸性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基(ホスホノ基など)、ホスホノオキシ基、モノリン酸エステル基、及び、ホウ酸基が好ましく挙げられ、カルボン酸基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基、ホスホノオキシ基、及び、モノリン酸エステル基がより好ましく挙げられ、カルボン酸基、スルホン酸基、及び、リン酸基が特に好ましく挙げられる。
顔料吸着部位における塩基性窒素原子を有する基としては、アミノ基(−NH2)、置換イミノ基(−NHRC1、−NRC2C3、ここで、RC1、RC2及びRC3はそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6以上のアリール基又は炭素数7以上のアラルキル基を表す。)、グアニジル基又はアミジニル基などが挙げられる。
顔料吸着部位におけるウレア基としては、−NRC4CONRC5C6(ここで、RC4〜RC6はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6以上のアリール基又は炭素数7以上のアラルキル基を表す。)が挙げられ、−NRC4CONHRC6(ここで、RC4及びRC6はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6以上のアリール基又は炭素数7以上のアラルキル基を表す。)がより好ましく、−NHCONHRC6(ここで、RC6は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6以上のアリール基又は炭素数7以上のアラルキル基を表す。)が特に好ましい。
顔料吸着部位におけるウレタン基としては、−NHCOORC7、−NRC8COORC9、−OCONHRC10、−OCONRC11C12(ここで、RC7〜RC12はそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6以上のアリール基又は炭素数7以上のアラルキル基を表す。)などが挙げられ、−NHCOORC7、−OCONHRC10(ここで、RC7及びRC10はそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6以上のアリール基又は炭素数7以上のアラルキル基を表す。)がより好ましく、−NHCOORC7、−OCONHRC10(ここで、RC7及びRC10はそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6以上のアリール基又は炭素数7以上のアラルキル基を表す。)が特に好ましい。
顔料吸着部位における配位性酸素原子を有する基としては、アセチルアセトナート基、クラウンエーテルなどが挙げられる。
顔料吸着部位における炭素数4以上の炭化水素基としては、炭素数4以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数7以上のアラルキル基などが挙げられ、炭素数4〜20アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基がより好ましく、炭素数4〜15アルキル基(例えば、オクチル基、ドデシル基など)、炭素数6〜15のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)又は炭素数7〜15のアラルキル基(例えばベンジル基など)が特に好ましい。
顔料吸着部位における複素環残基としては、チオフェン、フラン、キサンテン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ジオキソラン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンゾチアゾール、コハクイミド、フタルイミド、ナフタルイミド、ヒダントイン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、及び、アントラキノンよりなる群から選ばれた複素環を有する残基等が挙げられる。
顔料吸着部位におけるアミド基としては、−CONHRC13(ここで、RC13は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6以上のアリール基又は炭素数7以上のアラルキル基を表す。)などが挙げられる。
顔料吸着部位におけるアルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
顔料吸着部位を有する有機基のその他のとり得る態様の例は、特開2013−43962号公報の段落0016〜0046に記載された態様が挙げられ、特開2013−43962号公報の段落0016〜0046は本発明に組み込まれる。
式gp−1中、Bgは式gp−2で表される構造を有する基を表す。
Figure 2016069573
式gp−2中、Rg15及びRg16はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アリール基又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、G4は1以上の整数を表す。
g15及びRg16はそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
G4は1以上の整数を表し、2〜300の整数であることが好ましく、10〜200の整数であることがより好ましい。
gは式gp−2で表される構造を有する基を表す。
式gp−2で表される構造は、シリコーン系モノマーから誘導される構造であることが好ましい。Bg単独がシリコーン系モノマーから誘導される構造であってもよく、BgとRg14の組み合わせがシリコーン系モノマーから誘導される構造であってもよい。シリコーン系モノマーは、シリコーン系マクロマーであってもよい。なお、本明細書中、「マクロマー(マクロモノマーともいう。)」は、重合性官能基を持ったオリゴマー(重合度2以上300以下程度)あるいはポリマーの総称であり、高分子と単量体(モノマー)との両方の性質を有するものである。上記式gp−2で表される構造は、重量平均分子量が1,000〜50,000(より好ましくは1,000〜10,000であり、更に好ましくは1,000〜5,000)であるシリコーン系マクロマーから誘導される構造であることが好ましい。
更には、式gp−1で表されるグラフト型シリコーンポリマーは、有機溶媒に可溶であることが好ましい。有機溶媒との親和性が高いと、例えば、分散剤として使用した場合、分散媒との親和性が強まり、分散安定化に十分な吸着層を確保しやすい。
式gp−2で表される構造を有する基の例には、信越化学工業(株)製のX−22−174ASX、X−22−174BX、KF−2012、X−22−173BX、X−22−3710由来の基などを挙げることができる。
式gp−1中、G1は1以上の整数を表し、1〜100の整数であることが好ましく、1〜60の整数であることがより好ましく、1〜30の整数であることが特に好ましい。
式gp−1中、G2は0以上の整数を表し、1以上の整数であることが顔料の分散性を高める観点から好ましく、1〜60の整数であることがより好ましく、1〜30の整数であることが特に好ましい。
式gp−1中、G3は1以上の整数を表し、1〜100の整数であることが好ましく、1〜60の整数であることがより好ましく、1〜30の整数であることが特に好ましい。
式gp−1で表されるグラフト型シリコーンポリマーにおける各部分構造の含有量の割合は、特に制限はない。すなわち、式gp−1中、G1とG2とG3との割合は、特に制限はない。
また、式gp−1で表されるグラフト型シリコーンポリマーにおける各部分構造(右下にG1〜G3の添え字が付された各括弧内の構造や、後述する式gp−3で表される繰り返し単位)の順番は、特に制限はなく、任意の順番で結合していればよく、例えば、ブロックを形成して結合していても、ランダムに結合していてもよい。
本発明の顔料分散液は、式gp−1中、G2は1以上の整数を表すことが好ましい。
式1で表されるグラフト型シリコーンポリマーはG1、G2、G3、G4個の繰り返し単位以外のその他の繰り返し単位を有していてもよいが、その他の繰り返し単位を有さないことが好ましい。
その他の繰り返し単位としては、Ag以外の顔料吸着部位を有するその他の繰り返し単位を挙げることができる。例えば、式gp−1で表されるグラフト型シリコーンポリマーは、下記式gp−3で表される(未反応の)チオール基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
Figure 2016069573
式gp−3中、Rg17及びRg18はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アリール基又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、G5は0以上の整数を表す。
式gp−3におけるRg17及びRg18の好ましい態様は、式gp−1におけるRg6及びRg11の好ましい態様と同様である。
G5は、0であることが好ましい。
式gp−3で表されるチオール基を有する繰り返し単位を含むポリマーの例には、信越化学工業(株)製KF−2001及びKF−2004などを挙げることができる。
顔料分散剤の重量平均分子量としては、1,000〜5,000,000であることが好ましく、2,000〜3,000,000であることがより好ましく、2,500〜3,000,000であることが特に好ましい。重量平均分子量が1,000以上であると、製膜性が良好となる。
顔料分散剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における顔料分散剤の含有量は、無機顔料100質量部に対し、0.2〜25質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましく、1〜15質量部であることが更に好ましい。
<ガラス転移温度が20℃未満であり、シロキサン結合を主鎖に有する架橋剤>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ガラス転移温度(Tg)が20℃未満であり、シロキサン結合を主鎖に有する架橋剤(以下、単に架橋剤ともいう。)を含有することが好ましい。
なお、上記Tgが20℃以上である架橋剤は、上記式1〜5で表される化合物以外の架橋剤である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が含有する少なくとも1種の架橋剤のTgは、20℃未満であり、−200℃〜15℃であることが好ましく、−150℃〜10℃であることがより好ましい。Tgが上記範囲であることにより、得られる硬化物の加熱時のクラック耐性に優れ、また、転写材料や加飾材としてより好適に用いることができる。
架橋剤のTgの測定方法は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定する方法が挙げられる。
架橋剤としては、公知のものが使用でき、メチル系シリコーンアルコキシオリゴマー(アルコキシ基を有するポリジメチルシロキサン)、メチルフェニル系アルコキシオリゴマー(メチル基の一部をフェニル基に置換した、アルコキシ基を有するポリジメチルシロキサン)、反応性官能基含有オリゴマー(反応性官能基を有するポリジメチルシロキサン)、及び、アルコキシ基及び反応性官能基を有するアルコキシオリゴマーが好ましく使用できる。中でも、メチル系シリコーンアルコキシオリゴマー、メチルフェニル系シリコーンアルコキシオリゴマー、エポキシ基含有オリゴマーがより好ましく挙げられ、メチル系アルコキシオリゴマー、メチルフェニル系アルコキシオリゴマーが更に好ましく挙げられる。
中でも、架橋剤としては、シラノール基を有することが好ましい。上記態様であると、得られる硬化物の加熱時のクラック耐性により優れ、硬化物の熱による着色がより少なく、また、硬化物の耐摩耗性により優れる。
架橋剤は、1種のみを用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらを任意の比率で混合することにより膜物性を制御することもできる。
架橋剤は、有機溶媒などに溶解されたものを用いてもよく、例えば、キシレン溶液やトルエン溶液に溶解されたものを用いることができる。
架橋剤としては、市販のシリコーンオリゴマーを用いてもよく、例えば、信越化学工業(株)製KC−89S、KR−500、X−40−9225、X−40−9246、X−40−9250、KR−401N、X−40−9227、KR−510、KR−9218、KR−213、X−41−1053、X−41−1059A、X−24−9590、KR−516、X−41−1805、X−41−1818、X−41−1810、KR−513、X−40−2670等が好ましく挙げられる。
架橋剤の重量平均分子量としては、500〜10,000が膜強度の観点から好ましく、1,000〜8,000であることがより好ましく、2,000〜7,000であることが更に好ましい。
架橋剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分量に対し、1〜90質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、30〜70質量%であることが更に好ましい。なお、熱硬化性樹脂組成物における「固形分」とは、溶媒等の揮発性成分を除いた成分を表す。
架橋剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全質量に対し、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、5〜35質量%であることが更に好ましい。
<オニウム塩化合物>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、本発明に用いられる、架橋剤を更に含有する場合、硬化触媒(重合触媒)として、オニウム塩化合物を含有することが好ましい。オニウム塩化合物を含有することにより、熱硬化性に優れ、また、硬化物のクラック耐性及び耐摩耗性により優れる。
オニウム塩化合物としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、オキソニウム塩、ニトリニウム塩、ニトロソニウム塩が挙げられる。
中でも、熱酸発生剤として優れる観点から、スルホニウム塩、又は、ヨードニウム塩が好ましく、下記式L−1で表されるスルホニウム塩、又は、下記式L−2で表されるヨードニウム塩がより好ましい。
Figure 2016069573
式L−1及び式L−2中、RL1〜RL5はそれぞれ独立に、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基若しくはオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は、炭素数7〜12のアラルキル基若しくはアリールオキソアルキル基を表し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、RL2とRL3とは環を形成してもよく、環を形成する場合には、RL2とRL3とが結合した基は、炭素数1〜6のアルキレン基であることが好ましい。XL1-及びXL2-はそれぞれ独立に、非求核性対向イオンを表す。
上記RL1〜RL5は互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルエチル基、4−エチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルエチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−エチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジエチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。
アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。
L1-及びXL2-における非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
オニウム塩化合物は、1種のみを用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
オニウム塩化合物の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分量に対し、0.05〜30質量%であることが好ましく、0.05〜20質量%であることがより好ましく、0.1〜15質量%であることが更に好ましい。
<他の硬化触媒>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化触媒(重合触媒ともいう。)として、オニウム塩化合物以外の硬化触媒を含有していてもよい。なお、上記重合には、縮合も含まれる。
他の硬化触媒としては、金属塩が好ましく挙げられ、有機酸金属塩がより好ましく挙げられる。
金属塩(アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を除く。)、より好ましくは有機酸金属塩(アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を除く。)からなる硬化触媒は、従来公知の硬化触媒が好適に用いられる。すなわち、上記硬化触媒として、有機酸のアルミニウム塩、錫塩、鉛塩又は遷移金属塩を挙げることができ、有機酸と上述の金属イオンとがキレート構造に代表される錯塩を形成しているものでもよい。このような硬化触媒は、アルミニウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、コバルト、パラジウム、錫、水銀又は鉛から選ばれる1種又は2種以上の金属を含有する硬化触媒がより好ましく挙げられ、有機酸ジルコニウム塩、有機酸錫塩、有機酸アルミニウム塩が更に好ましく挙げられる。
他の硬化触媒の具体例として、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オクチル酸スズなどの有機酸スズ塩;テトラ(i−プロピル)チタネート、テトラ(n−ブチル)チタネート、ジブトキシビス(アセチルアセトナート)チタン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネートなどの有機酸チタン塩;テトラブチルジルコネート、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトライソブチルジルコネート、ブトキシトリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウムなどの有機酸ジルコニウム塩;トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムなどの有機酸アルミニウム塩;ナフテン酸亜鉛、ギ酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルトなどの有機酸金属塩が挙げられる。また、市販品としては、CAT−AC、D−15、D−25(以上、信越化学工業(株)製)が挙げられる。
他の硬化触媒は、1種単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。
他の硬化触媒の含有量は、オニウム塩化合物の含有量よりも少ないことが好ましい。
<溶媒>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、溶媒を含有していてもよい。
溶媒としては、特に制限はなく、公知の溶媒を用いることができる。中でも、上述した、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及びアルコール系溶媒よりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒が好ましく挙げられ、炭化水素系溶媒及びケトン系溶媒よりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒がより好ましく挙げられ、芳香族炭化水素系溶媒及びケトン系溶媒よりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒が更に好ましく挙げられる。
溶媒は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における溶媒の含有量は、特に制限はないは、熱硬化性樹脂組成物の全質量に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。
<他の添加剤>
本発明の熱硬化性樹脂組成物としては、上述した以外のその他の添加剤を含有していてもよい。
他の添加剤としては、特に制限はなく、公知の添加剤を用いることができ、例えば、塗布助剤、酸化防止剤、重合禁止剤等を用いることができる。
(加飾材)
本発明の加飾材は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる加飾材である。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物が溶媒を含む場合は、溶媒を除去して硬化させることが好ましい。
本発明の加飾材は、タッチパネル用であることが好ましい。
また、本発明の加飾材は、白色加飾材であることが好ましい。 本発明の加飾材は、タッチパネル用であり、かつ、白色加飾材であることが特に好ましい。
本発明の加飾材は、隠蔽力を高めるための観点から、厚さが10〜40μmであることが好ましく、15〜40μmであることがより好ましく、20〜38μmであることが更に好ましい。
本発明の加飾材の光学濃度(ODともいう。)は、隠蔽力を高めるための観点から、0.5以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましい。
(加飾材付き基材)
本発明の加飾材付き基材は、本発明の加飾材と、基材(基板)とを有する。
また、本発明の加飾材付き基材は、本発明の転写材料を基材上に転写し、硬化させてなる加飾材付き基材であることが好ましい。
本発明の加飾材付き基材は、遮光層を更に有することが好ましい。
また、本発明の加飾材付き基材は、導電性層を更に有することが好ましい。
本発明の加飾材付き基材は、基材、本発明の加飾材、遮光層及び導電性層をこの順で有する加飾材付き基材であることがより好ましい。
本発明の加飾材付き基材は、基材、本発明の加飾材、遮光層及び導電性層をこの順で有する加飾材付き基材であって、加飾材付き基材は、厚さ方向に光を透過する透光領域を有し、本発明の加飾材(及び任意に有していてもよい遮光層)は、透光領域を囲むように基材上に積層され、加飾材の内縁には、透光領域の内方に向かい加飾材の厚さが薄くなるように形成された傾斜部を有することが好ましく、傾斜部表面と基材表面とのなす傾斜角が10〜60度であることがより好ましい。加飾材に傾斜部を有し、傾斜部表面と基材表面とのなす傾斜角が10〜60度であることにより、加飾材と、加飾材が形成されていない基材の箇所との間の膜厚段差が緩やかとなり、加飾材(又は加飾材の上に遮光層が設けられている場合は遮光層)上の導電性層が断線等の問題を起こしにくくなる。
以下、本発明の加飾材付き基材の好ましい態様について説明する。
本発明の加飾材付き基材においては、本発明の加飾材を単層で有していてもよいし、本発明の加飾材を2層以上有していてもよい。
本発明の加飾材付き基材では、基材(フィルム又はガラス)側より加飾材及び遮光層をこの順で含む構成とすることにより、光漏れ等を抑えることが好ましい。
本発明の加飾材付き基材は、加飾材付き基材の光学濃度が、3.5〜6.0であることが好ましく、4.0〜5.5であることがより好ましく、4.5〜5.0であることが特に好ましい。
本発明の加飾材付き基材は、加飾材として白色加飾材を基材側に含む場合、加飾材付き基材の基材側の色味が、SCI指標で、L*値が85以上であることが好ましく、86以上であることがより好ましく、87以上であることが更に好ましく、88以上であることが特に好ましい。更に本発明の加飾材付き基材は、280℃、40分間の高温処理後の加飾材付き基材の基材側のL*値がSCI指標で、上記範囲であることが、遮光層の上に導電性層をスパッタにより蒸着した後の色味を改善する観点から好ましい。
本発明の加飾材付き基材は、加飾材として白色加飾材を基材側に含む場合、加飾材付き基材の基材側の色味が、SCI指標で、b*値が1.0未満であることが好ましく、0.5〜1.0であることがより好ましく、−0.1〜0.5であることが更に好ましく、−0.1以下であることが特に好ましい。更に、本発明の加飾材付き基材は、280℃、40分間の高温処理後の加飾材付き基材の基材側のL*値がSCI指標で、上記範囲であることが、遮光層の上に導電性層をスパッタにより蒸着した後の色味を改善する観点から好ましい。
本発明の加飾材の好ましい実施態様は、タッチパネル前面板の非接触側に形成された透光領域(表示領域)周囲の額縁状のパターンであり、引回し配線等が見えないようにする目的や、加飾を目的として形成される。図1〜図3に一例を示すように、基材1上に設けられた、加飾材2aと遮光層2bとの積層体である加飾材の内縁には、透光領域の内方に向かい加飾材の厚さが薄くなるように形成された傾斜部2cを有することが好ましい。導電性層6は、加飾材上に形成されており、加飾材の傾斜部2cに沿って、基材1に延在していることが好ましい。
傾斜部を設けたことにより、加飾材と、加飾材が形成されていない基材の箇所との間の膜厚段差が緩やかとなり、導電性層の断線等の問題を起こしにくくなる。
傾斜部の形成方法については、特に限定されず、遮光層を加熱により収縮させることにより形成する方法、本発明の熱硬化性樹脂組成物からなる層又は本発明の熱硬化性樹脂組成物を乾燥させた層(以下、「未硬化層」ともいう。)を加熱によりメルトさせることにより形成する方法などが挙げられ、遮光層を加熱により収縮させることにより形成する方法が好ましい。遮光部が加熱により収縮することにより、遮光部側の未硬化層も遮光層に追随して収縮する一方、基材側の未硬化層は遮光層に追随しないので、傾斜部を形成することができる。遮光層を加熱により収縮させることにより傾斜部を形成することについては後記する。
加飾材における傾斜部2cの形状については特に制限はなく、例えば、図1及び図3に一例を示すように、盛り上がった突出部を有していたり、図2に一例を示すように、なだらかな曲線でつながる形状を有していたりしていてもよい。また、図1〜図3に示したように、傾斜部2cは加飾材2aの厚さが透光領域の内方に向かい薄くなっていればよく、遮光層2bも加飾材2aとともに厚さが透光領域の内方に向かい薄くなっていてもよい。図3に一例を示したように、加飾材は、加飾材2aは2層以上が積層されている態様であってもよい。
図4に示す傾斜部表面と基材表面とのなす傾斜角θは、10〜60度であり、15〜55度がより好ましい。傾斜角θが10度以上であると、加飾材上に遮光層を有さない箇所が減少し、外観異常、すなわち、光学濃度が低い領域が減少し、表示装置の光漏れや回路の輔が見える場合が少なくなる。一方、傾斜角θが60度以下であると、導電性層が断線等の問題を引き起こすことが少なくなる。
傾斜角θは、図1〜4の点線で示すように、傾斜部表面を平面に近似し、この平面と基材表面とのなす傾斜角である。傾斜角θは、基材を切断し、断面方向から光学顕微鏡を用いて基材と傾斜のなす角度を測定することで求めことができる。
遮光層を加熱により収縮させることで傾斜部を形成する場合、加飾材及び/又は遮光層を構成する樹脂の種類及び/又は組成を変化させることにより、所望の傾斜角を有する傾斜部を形成することができる。
本発明においては、加飾材の基材側の幅と、遮光層の幅との差が、200μm以下となるように、傾斜角θを設けることが好ましい。このような構成とすることで、外観異常及び導電性層の断線等の問題を解消することができる。
加飾材の基材側の幅と、遮光層の幅との差(エッジの差)としては、200μm以下が好ましく、5〜100μmがより好ましく、10〜90μmが更に好ましい。
加飾材の基材側の幅とは、加飾材のうち、基材と接している側の加飾材の幅をいう。
<基材>
本発明の加飾材付き基材に用いる基材としては、種々のものを用いることができるが、フィルム基材であることが好ましく、光学的に歪みがないものや、透明度が高いものがより好ましい。本発明の加飾材付き基材における基材は、全光透過率が、80%以上であることが好ましい。
基材がフィルム基材である場合の具体的な素材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)を挙げることができる。
また、基材は、ガラスなどでもよい。
本発明の加飾材付き基材では、基材は、ガラス、TAC、PET、PC、COP又はシリコーン樹脂(ただし、本明細書中におけるシリコーン樹脂やポリオルガノシロキサンは、R2SiOの構成単位で現れる狭義の意味に限定されるものではなく、RSiO1.5の構成単位で表されるシルセスキオキサン化合物も含む。)から選ばれることが好ましく、ガラス、シクロオレフィンポリマー又はシリコーン樹脂からなることが好ましい。
シリコーン樹脂は、籠型ポリオルガノシロキサンを主成分とすることが好ましく、かご型シルセスキオキサンを主成分とすることがより好ましい。なお、組成物又は層の主成分とは、その組成物又はその層の50質量%以上を占める成分のことをいう。
シリコーン樹脂を含む基材としては、特許第4142385号、特許第4409397号、特許第5078269号、特許第4920513号、特許第4964748号、特許第5036060号、特開2010−96848号、特開2011−194647号、特開2012−183818号、特開2012−184371号、特開2012−218322号の各公報に記載のものを用いることができ、これらの公報に記載の内容は本発明に組み込まれる。
また、基材表面には、種々の機能を付加してもよい。具体的には、反射防止層、防眩層、位相差層、視野角向上層、保護層、自己修復層、帯電防止層、防汚層、防電磁波層、導電性層を挙げることができる。
本発明の加飾材付き基材では、基材は、基材表面に導電性層を有することが好ましい。
導電性層としては、特表2009−505358号公報に記載のものが好ましく挙げられる。
また、基材は、耐傷層及び防眩層のうち少なくとも1つを更に有することが好ましい。
本発明の加飾材付き基材における基材の膜厚は、35〜200μmであることが好ましく、40〜150μmであることがより好ましく、40〜100μmであることが特に好ましい。
また、転写材料に加飾材を用いる場合、加飾材の密着性を高めるために、予め基材(前面板)の非接触面に表面処理を施すことができる。表面処理としては、シラン化合物を用いた表面処理(シランカップリング処理)を実施することが好ましい。シラン化合物を用いた表面処理としては、例えば、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄する。この後、加熱により反応させる。加熱槽を用いてもよく、ラミネーターの基材予備加熱でも反応を促進できる。
<遮光層>
本発明の加飾材付き基材は、加飾材として白色加飾材を基材側に含む場合、白色加飾材において、基材とは反対側の面上に遮光層を含むことが好ましい。遮光層を形成する樹脂は特に制限はないが、熱架橋性樹脂であることが好ましい。
熱架橋性樹脂としては、例えば、シロキサン結合を主鎖に有するシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、中でもシロキサン結合を主鎖に有するシリコーン樹脂が好ましい。また、遮光層は顔料を含むことが好ましい。
遮光層は、シロキサン結合を主鎖に有するシリコーン樹脂を含むことが好ましく、中でもメチルシリコーン樹脂であることが好ましい。また、シロキサン結合を主鎖に有するシリコーン樹脂として、上述の式gp−1で表されるグラフト型シリコーンポリマーを用いてもよい。ただし、本発明の加飾材付き基材は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて遮光層中にその他のバインダー樹脂を含んでいてもよい。
遮光層に用いることができる、上述のシリコーン樹脂や顔料以外の成分としては、本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いることができるものとそれぞれ同様である。
遮光層中に含まれる顔料以外の成分に対するシリコーン樹脂の割合が60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
更に、本発明の加飾材付き基材は、白色加飾材中に含まれる顔料以外の成分に対するシリコーン樹脂の割合が90質量%以上であり、かつ、遮光層中に含まれる顔料以外の成分に対するシリコーン樹脂の割合が70質量%以上であることが好ましい。
遮光層用の着色剤としては、顔料が好ましく、黒色顔料がより好ましい。
黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン、黒鉛などが挙げられ、本発明の加飾材付き基材においては、遮光層が、酸化チタン及びカーボンブラックのうち少なくとも1つを含むことが好ましく、カーボンブラックを含むことがより好ましい。
本発明の加飾材付き基材における遮光層の膜厚は、遮光層の隠蔽力を高めるための観点から、1.0〜5.0μmであることが好ましく、1.0〜4.0μmであることがより好ましく、1.5〜3.0μmであることが更に好ましい。
遮光層の光学濃度(OD)は、遮光層の隠蔽力を高めるための観点から、3.5以上であることが好ましく、4.0以上であることが特に好ましい。
遮光層の表面抵抗は、1.0×1010Ω/□以上であることが好ましく、1.0×1011Ω/□以上であることがより好ましく、1.0×1012Ω/□以上であることが更に好ましく、1.0×1013Ω/□以上であることが特に好ましい。なお、Ω/□は、Ω毎スクウェアである。
<導電性層>
本発明の加飾材付き基材は、遮光層上に、導電性層を更に有することが好ましい。
導電性層としては、特表2009−505358号公報に記載のものを好ましく用いることができる。また、導電性層の構成や形状については、後述の本発明のタッチパネルの説明中における第一の透明電極パターン、第二の電極パターン、他の導電性要素の説明に記載する。
本発明の加飾材付き基材は、導電性層が、インジウム(酸化インジウムスズ(ITO)やインジウム合金など、インジウム含有化合物を含む。)を含むことが好ましい。
本発明の加飾材付き基材は、本発明の加飾材のクラック耐性が高いため、導電性層をスパッタにより蒸着してなる場合でも加飾材の膜物性を改善することができ、また、加飾材が白色加飾材である場合、加飾材のb*値を小さくすることができる。
<加飾材付き基材の製造方法>
本発明の加飾材付き基材の製造方法としては、特に制限はないが、本発明の熱硬化性樹脂組成物からなる層又は本発明の熱硬化性樹脂組成物を乾燥させた層(未硬化層)を、フィルム転写、熱転写印刷、スクリーン印刷及びインクジェット印刷よりなる群から選ばれた方法で作製することが好ましく、フィルム転写により作製することがより好ましい。
また、遮光層を形成する場合も、同様にして作製することが好ましい。
具体的には、加飾材付き基材の製造方法は、基材上に未硬化層及び遮光層をこの順で積層する工程を含み、未硬化層及び遮光層を、それぞれ仮支持体上に少なくとも未硬化層及び遮光層の一方を含むフィルム転写材料から少なくとも着色層及び遮光層の一方を転写した後に仮支持体を取り除く方法、仮支持体上に少なくとも未硬化層及び遮光層の一方を含む熱転写材料の仮支持体側を加熱して、仮支持体から少なくとも未硬化層及び遮光層の一方を転写する熱転写印刷、本発明の熱硬化性樹脂組成物又は遮光層形成用組成物のスクリーン印刷、及び、本発明の熱硬化性樹脂組成物又は遮光層形成用組成物のインクジェット印刷よりなる群から選ばれた方法で作製することが好ましい。また、加飾材は、基材上において透光領域を囲むよう額縁上の形状を有するようにし、加飾材の内縁には、透光領域の内方に向かい加飾材の厚さが薄くなるよう傾斜部を形成する工程を含むことが好ましい。
未硬化層及び遮光層は、フィルム転写、熱転写印刷、スクリーン印刷及びインクジェット印刷のうちの複数を組み合わせて形成してもよい。
更に、加飾材付き基材の製造方法は、未硬化層及び遮光層を、少なくとも仮支持体、遮光層及び未硬化層の順に含むフィルム転写材料から遮光層及び未硬化層を、基材上に転写した後に仮支持体を取り除くこと、あるいは、仮支持体及び着色層を有するフィルム転写材料から未硬化層を基材上に転写した後に仮支持体を取り除き、更に少なくとも仮支持体及び遮光層を含むフィルム転写材料から遮光層を未硬化層上に転写した後に仮支持体を取り除くことにより形成することが好ましい。
(加飾材形成用の転写材料)
<フィルム転写:フィルム転写材料>
本発明の加飾材形成用の転写材料は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を含み、仮支持体上に、本発明の熱硬化性樹脂組成物からなる層又は本発明の熱硬化性樹脂組成物を乾燥させた層(未硬化層)を有することが好ましい。
本発明の加飾材形成用の転写材料は、フィルム転写材料であることが好ましい。
図7の構成の開口部8を有する静電容量型入力装置において、図5に記載される未硬化層(加熱前の加飾材2a)や遮光層2b等を、フィルム転写材料を用いて形成すると、開口部を有する基材(前面板)でも開口部分からレジスト成分のモレがなく、特に前面板の境界ギリギリまで遮光パターンを形成する必要のある加飾材2aや遮光層2bでのガラス端からのレジスト成分のはみ出しがないため基材裏側を汚染することなく、簡略な工程で、薄層/軽量化のメリットがあるタッチパネルの製造が可能となる。
フィルム転写材料は、仮支持体、遮光層、及び、本発明の熱硬化性樹脂組成物からなる層又は本発明の熱硬化性樹脂組成物を乾燥させた層(未硬化層)を有することが好ましい。
また、フィルム転写材料における遮光層は、本発明の熱硬化性樹脂組成物からなる層又は本発明の熱硬化性樹脂組成物を乾燥させた層であってもよいし、他の組成物からなる層であってもよい。他の組成物からなる遮光層の組成としては、上述した遮光層の組成が好ましく挙げられる。
〔仮支持体〕
転写材料は、仮支持体を有することが好ましい。
仮支持体としては、可撓性を有し、加圧下、又は、加圧及び加熱下においても著しい変形、収縮又は伸びを生じないことが好ましい。そのような仮支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を挙げることができ、中でも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
仮支持体の厚さは、特に限定はないが、5〜300μmが好ましく、20〜200μmがより好ましい。
また、仮支持体は、透明でもよいし、染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有していてもよい。
また、仮支持体には、特開2005−221726号公報に記載の方法などにより、導電性を付与することができる。
〔熱可塑性樹脂層〕
転写材料は、熱可塑性樹脂層を少なくとも1層有していてもよい。
熱可塑性樹脂層は、仮支持体と未硬化層との間に設けられることが好ましい。すなわち、転写材料は、仮支持体、熱可塑性樹脂層及び未硬化層をこの順で含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的には、アメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。
熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂層として具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル又はそのケン化物との共重合体、エチレンとアクリル酸エステル又はそのケン化物との共重合体などのエチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物との共重合体などの塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル又はそのケン化物との共重合体などのスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル又はそのケン化物の共重合体などのビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニルとの共重合体などの(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンなどのポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
熱可塑性樹脂層の厚さは、6〜100μmが好ましく、6〜50μmがより好ましい。上記範囲であると、基材上に凹凸がある場合であっても、凹凸を十分に吸収でき、平滑性に優れる。
〔中間層〕
転写材料は、複数の塗布層の塗布時、及び塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を少なくとも1層有していてもよい。
中間層は、仮支持体と未硬化層との間、熱可塑性樹脂層を有する場合には、熱可塑性樹脂層と未硬化層との間に設けられることが好ましい。すなわち、転写材料は、仮支持体、熱可塑性樹脂層、中間層、及び、未硬化層をこの順で含むことが好ましい。
中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。
酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。中でも、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとを含有する層が特に好ましい。
中間層の厚さは、0.1〜5.0μmが好ましく、0.5〜2.0μmがより好ましい。上記範囲であると、酸素遮断機能が低下することもなく、現像時又は中間層除去時に時間がかかりすぎることもない。
〔保護剥離層〕
転写材料には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために未硬化層を覆うようにして、保護剥離層(カバーフィルムともいう。)が設けられることが好ましい。保護剥離層は仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、未硬化層から容易に分離されねばならない。保護剥離層の材料としては、例えば、シリコーン紙、ポリオレフィン又はポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。
保護剥離層の厚さは、1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、10〜30μmであることが特に好ましい。この厚さが1μm以上であれば、保護剥離層の強度が十分であり、破断しにくく、また、100μm以下であると保護剥離層の価格が高くならず、また、保護剥離層をラミネートする際にシワが発生しにくい。
保護剥離層は、市販のものとして、例えば、王子製紙(株)製アルファンMA−410、E−200C、E−501、信越フィルム(株)製等のポリプロピレンフィルム、帝人(株)製PS−25等のPSシリーズなどのポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられるが、これに限られたものではない。また、市販のフィルムをサンドブラスト加工することにより、簡単に製造することが可能である。
保護剥離層としては、ポリエチレンフィルムなどのポリオレフィンフィルムを用いることができる。また、保護剥離層として用いられるポリオレフィンフィルムは、原材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング又はインフレーション法によって好適に製造される。
<フィルム転写材料の製造方法>
フィルム転写材料を製造する方法としては、特に限定はないが、例えば、特開2005−3861号公報の段落0064〜0066に記載の工程によって製造することができる。また、フィルム転写材料は、例えば特開2009−116078号公報に記載の方法で作製することもできる。
フィルム転写材料の製造方法の一例としては、仮支持体上に本発明の熱硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて層を形成する工程と、形成された層を保護剥離層で覆う工程と、を有して構成される方法が挙げられる。
ここで、本発明に用いることができるフィルム転写材料は、未硬化層及び遮光層の2層を少なくとも形成してもよく、一方で仮支持体及び未硬化層を有するフィルム転写材料を基材上に転写した後に仮支持体を取り除き、更に少なくとも仮支持体及び遮光層を含むフィルム転写材料を未硬化層上に転写する場合は未硬化層及び遮光層のうち少なくとも1層を形成したものを用いてもよい。前者の場合、本発明の転写材料は、仮支持体上に、未硬化層及び遮光層をこの順番で積層したものであってもよく、この場合は、基材、好ましくはガラス上に、一度に加飾材と遮光材を設けることができ、工程的に好ましい。
本発明に用いることができるフィルム転写材料では、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、その他の層を更に形成してもよい。また、未硬化層の形成前に、熱可塑性樹脂層及び/又は中間層(酸素遮断層)を塗布形成してもよい。
仮支持体上に、本発明の熱硬化性樹脂組成物、熱可塑性樹脂層形成用の塗布液、中間層形成用の塗布液を塗布する方法としては公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー等の塗布機を用いて、それらの塗液を塗布し、乾燥させることにより形成できる。
〔溶媒〕
フィルム転写材料の各層は、各成分と共に溶媒を用いて好適に調製することができる。
溶媒としては、エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、並びに、3−オキシプロピオン酸メチル及び3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル)、並びに、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル及び2−オキシプロピオン酸プロピルなどの2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル)、並びに、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;
エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;
ケトン類、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;
芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン;等が挙げられる。
これらのうち、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好適である。
溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
保護剥離層で着色層を覆う方法としては特に限定はないが、仮支持体上の未硬化層に保護剥離層を重ね、圧着する方法を用いることができる。
圧着には、ラミネーター、真空ラミネーター、及び、より生産性を高めることができるオートカットラミネーター等の公知のラミネーターを使用することができる。
圧着の条件としては、雰囲気温度20〜45℃、線圧1,000〜10,000N/mが好ましい。
〔転写方法(ラミネート方法)〕
本発明の転写方法(ラミネート方法)は、本発明の加飾層形成用の転写材料を用いる方法であり、本発明の熱硬化性樹脂組成物からなる層又は本発明の熱硬化性樹脂組成物を乾燥させた層(未硬化層)を少なくとも基材へ転写する転写工程を含む方法であることが好ましい。
未硬化層の基材表面への転写(貼り合わせ)は、未硬化層を基材表面に重ね、加圧、加熱することに行われる。貼り合わせには、上記したような公知のラミネーターを使用することができる。
ラミネート方法は、所望の打ち抜いた未硬化層を基材に転写することから、毎葉式で精度よく、基材と未硬化層間に気泡が入らない方法が、得率を上げられる観点から好ましい。具体的には、真空ラミネーターの使用を好ましく挙げることができる。
ラミネート(連続式/枚葉式)に用いられる装置としては、例えば、クライムプロダクツ(株)製V−SE340aaHなどを挙げることができる。
真空ラミネーター装置としては、例えば、高野精機有限会社製のものや、大成ラミネーター(株)製FVJ−540R、FV700などを挙げることができる。
フィルム転写材料を基材に貼り付ける前に、仮支持体の未硬化層と反対側に、更に支持体を積層する工程を含むことが、ラミネート時に気泡を入れない好ましい効果を得ることができることがある。このときに用いる支持体としては、特に制限はないが、支持体の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマーを挙げることができる。
また、上記支持体の膜厚は、50〜200μmの範囲あることが好ましい。
〔仮支持体を取り除く工程〕
本発明の転写方法は、基材に貼り付けられた転写材料から仮支持体を取り除く工程を含むことが好ましい。
〔熱可塑性樹脂層を除去する工程、中間層を除去する工程〕
更に、フィルム転写材料が熱可塑性樹脂層や中間層を含む場合は、本発明の転写方法は、熱可塑性樹脂層及び/又は中間層を除去する工程を有することが好ましい。
熱可塑性樹脂層及び/又は中間層を除去する工程は、一般にフォトリソ方式で使用されるアルカリ現像液を用いて行うことができる。
アルカリ現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。なお、現像液は加飾材が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。有機溶剤の濃度は、0.1〜30質量%が好ましい。
また、アルカリ現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は、0.01〜10質量%が好ましい。
熱可塑性樹脂層及び/又は中間層を除去する工程の方式としては、パドル、シャワー、シャワー&スピン、ディプ等のいずれでもよい。ここで、シャワーについて説明すると、熱可塑性樹脂層や中間層を、現像液をシャワーにより吹き付けることにより除去することができる。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、残渣を除去することが好ましい。液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、pHは、8〜13が好ましい。
〔ポストベーク工程〕
本発明の転写方法は、転写工程後にポストベーク工程を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂層及び/又は中間層を除去する工程後にポストベークを行う工程を含むことがより好ましい。ポストベークを行うことにより、未硬化層を硬化させ加飾材とすることが好ましい。
ポストベーク工程においては、転写材料の未硬化層及び遮光層を0.08〜1.2気圧の環境下で50℃〜300℃に加熱して形成することが強度と生産性との両立の観点から好ましい。なお、1気圧=0.101325MPaである。
また、本発明における加飾材の内縁には、透光領域の内方に向かい加飾材の厚さが薄くなるように形成された傾斜部を有することが好ましいが、傾斜部は、遮光層を加熱により収縮させることにより形成することが好ましい。例えば、ポストベーク工程において、加飾材を50℃〜300℃で加熱することにより遮光層を収縮させ、これにより傾斜部を形成することができる。
ポストベークの加熱は、0.5気圧以上の環境下で行うことがより好ましい。一方、1.1気圧以下の環境下で行うことがより好ましく、1.0気圧以下の環境下で行うことが特に好ましい。更に、約1気圧(大気圧)環境下で行うことが特別な減圧装置を用いることなく製造コストを低減できる観点からより特に好ましい。ここで、従来は未硬化層及び遮光層を加熱により硬化して形成する場合、非常に低い圧力の減圧環境下で行い、酸素濃度を低くすることでベーク後の強度を維持していたが、フィルム転写材料を用いることにより、上記圧力の範囲でベークした後も本発明の加飾材付き基材の加飾材及び遮光層の基材側の色味を改善し(b*値を小さくし)、白色度を高めることができる。
ポストベークの温度は、50℃〜300℃が好ましく、100℃〜300℃がより好ましく、120℃〜300℃が更に好ましい。
また、ポストベークは2以上の異なる温度でそれぞれ所定の時間だけ行ってもよい。例えば、まず、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは100℃〜200℃で加熱し、次いで、好ましくは200℃〜280℃、より好ましくは220℃〜260℃で加熱することができる。
ポストベークの時間は、20〜150分であることがより好ましく、30〜100分であることが特に好ましい。2段階以上の温度で行う場合には、各段階の温度の合計が20〜150分となるように行うことが好ましい。
ポストベークは、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよいが、空気環境下で行うことが、特別な減圧装置を用いることなく製造コストを低減できる観点から特に好ましい。
〔その他の工程〕
本発明の転写方法は、上述した以外のその他の工程を有していてもよい。
なお、現像工程、熱可塑性樹脂層及び/又は中間層を除去する工程、並びに、その他の工程の例としては、特開2006−23696号公報の段落0035〜0051に記載の方法を本発明においても好適に用いることができる。
<熱転写印刷>
熱転写印刷は、未硬化層及び遮光層を、それぞれ仮支持体上に少なくとも未硬化層及び遮光層の一方を含む熱転写材料の仮支持体側を加熱して、仮支持体から少なくとも未硬化層及び遮光層の一方を転写する熱転写印刷で作製し、熱転写材料中に含まれる未硬化層が式gp−1で表されるグラフト型シリコーンポリマーを含むことが好ましい。なお、熱転写においては、未硬化層が完全に硬化しない程度の加熱温度及び加熱時間で行うことが好ましい。
熱転写印刷の方法としては、インクリボン印刷が好ましい。本発明の加飾材付き基材の製造方法に用いられるインクリボン印刷の方法としては、「ノンインパクトプリンティング−技術と材料−((株)シーエムシー刊、1986年12月1日)」などに記載の方法を挙げることができる。
<スクリーン印刷>
スクリーン印刷は、未硬化層及び/又は遮光層を、本発明の熱硬化性樹脂組成物及び/又は遮光層形成用組成物のスクリーン印刷で作製し、用いる本発明の熱硬化性樹脂組成物及び遮光層形成用組成物が式gp−1で表されるグラフト型シリコーンポリマーを含むことが好ましい。
スクリーン印刷の方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができ、例えば特許第4021925号公報に記載の方法などを用いることができる。また、スクリーン印刷を複数回行うことにより、スクリーン印刷でも膜厚を厚くすることもできる。
<インクジェット印刷>
インクジェット印刷は、未硬化層及び/又は遮光層を、本発明の熱硬化性樹脂組成物及び/又は遮光層形成用組成物のインクジェット印刷で作製し、本発明の熱硬化性樹脂組成物及び遮光層形成用組成物が式gp−1で表されるグラフト型シリコーンポリマーを含むことが好ましい。本発明の加飾材付き基材の製造方法に用いられるインクジェット印刷の方法としては、「インクジェット技術のエレクトロニクス応用((株)リアライズ理工センター刊、2006年9月29日)」などに記載の方法を挙げることができる。
(タッチパネル)
本発明のタッチパネルは、本発明の加飾材、本発明の加飾材形成用の転写材料を用いて形成した加飾材、又は、本発明の加飾材付き基材を有する。
このようなタッチパネルは、静電容量型入力装置であることが好ましい。
<静電容量型入力装置、及び、静電容量型入力装置を構成要素として備えた画像表示装置>
静電容量型入力装置は、前面板(基板ともいう。)と、前面板の非接触側に少なくとも下記(1)〜(4)の要素を有し、前面板(基板)と(1)加飾材の積層体として本発明の加飾材付き基材を含むことが好ましい。
(1)加飾材
(2)複数のパッド部分が接続部分を介して第一の方向に延在して形成された複数の第一の透明電極パターン
(3)第一の透明電極パターンと電気的に絶縁され、第一の方向に交差する方向に延在して形成された複数のパッド部分からなる複数の第二の電極パターン
(4)第一の透明電極パターンと第二の電極パターンとを電気的に絶縁する絶縁層
また、静電容量型入力装置は、第二の電極パターンが透明電極パターンであってもよい。
更に、静電容量型入力装置は、下記(5)を更に有していてもよい。
(5)第一の透明電極パターン及び第二の透明電極パターンの少なくとも一方に電気的に接続され、第一の透明電極パターン及び第二の透明電極パターンとは別の導電性要素
更に、静電容量型入力装置は、前面板(基板)と(1)加飾材と、導電性層として上述の(2)、(3)及び(5)のうち少なくとも1つの電極パターンを有する積層体として、本発明の加飾材付き基材を含むことがより好ましい。
(1)加飾材は、遮光層を更に有していることが好ましい。
<静電容量型入力装置の構成>
まず、本発明の製造方法によって形成される静電容量型入力装置の構成について説明する。
図5及び図6は、本発明の静電容量型入力装置の中でも好ましい構成を示す断面図である。
図5において静電容量型入力装置10は、前面板1G(カバーガラス)と、加飾材2aと、遮光層2bと、第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、絶縁層5と、導電性要素6と、透明保護層7と、から構成されている。加飾材2aには傾斜部2cが設けられており、加飾材2aは、静電容量型入力装置10の内方に向かい厚みが薄くなるように形成されている。
前面板1及び/又は1Gは、透光性基材で構成されていることが好ましい。透光性基材はカバーガラス1Gに下記加飾材を設けたもの、又は、カバーガラス1G、フィルム基材1の順にフィルム基材に下記加飾材を設けたもの、いずれをも用いることができる。
カバーガラスに加飾材を設ける場合は、タッチパネル薄型化に、フィルム基材に加飾材を設け、それをカバーガラスに張り合わせる場合は、タッチパネル生産性に、各々好ましい。
また、フィルム基材の電極の反対側に、更にカバーガラス1Gを設けることができる。
ガラス基材としては、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラスなどを用いることができる。
また、図5及び図6において、前面板1及び/又は1Gの各要素が設けられている側を非接触面1aと称する。本発明の静電容量型入力装置10においては、前面板1及び/又は1Gの接触面(1a非接触面の反対の面)に指などを接触などさせて入力が行われる。以下、前面板を、「基材」と称する場合がある。
また、前面板1及び/又は1Gの非接触面上には加飾材2aと遮光層2bとが設けられている。加飾材2aと遮光層2bとは加飾材として、タッチパネル前面板の非接触側に形成された透光領域(表示領域)周囲の額縁状のパターンであり、引回し配線等が見えないようにする目的や、加飾を目的として形成される。
本発明の静電容量型入力装置10には、不図示の配線取出し口を設けることができる。配線取出し口を有する静電容量型入力装置の加飾材付き基材を形成する場合、加飾材形成用液体レジストやスクリーン印刷インクを用いて加飾材2aを形成してもよいが、基材裏側の汚染を容易に防ぐ観点から、配線取出し部を有する加飾材付き基材を用いることが好ましい。
前面板1及び/又は1Gの非接触面には、複数のパッド部分が接続部分を介して第一の方向に延在して形成された複数の第一の透明電極パターン3と、第一の透明電極パターン3と電気的に絶縁され、第一の方向に交差する方向に延在して形成された複数のパッド部分からなる複数の第二の透明電極パターン4と、第一の透明電極パターン3と第二の透明電極パターン4を電気的に絶縁する絶縁層5とが形成されている。第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、後述する導電性要素6とは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透光性の導電性金属酸化膜で作製することができる。このような金属膜としては、ITO膜;Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等の金属膜;SiO2等の金属酸化膜などが挙げられる。この際、各要素の、膜厚は10〜200nmとすることができる。また、焼成により、アモルファスのITO膜を多結晶のITO膜とするため、電気的抵抗を低減することもできる。また、第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、後述する導電性要素6とは、上述の導電性繊維を用いた加飾材を有する転写フィルムを用いて製造することもできる。その他、ITO等によって第一の導電性パターン等を形成する場合には、特許第4506785号公報の段落0014〜0016等を参考にすることができる。
また、第一の透明電極パターン3及び第二の透明電極パターン4の少なくとも一方は、前面板1及び/又は1Gの非接触面及び遮光層2bの前面板1及び/又は1Gとは逆側の面の両方の領域にまたがって設置することができる。図5及び図6においては、第二の透明電極パターン4が、前面板1及び/又は1Gの非接触面及び遮光層2bの前面板1及び/又は1Gとは逆側の面の両方の領域にまたがって設置され、加飾材2aの側面を第二の透明電極パターン4が覆っている図が示されている。ただし、加飾材2aの幅を、遮光層2bの幅よりも狭くすることもでき、その場合は第一の透明電極パターン3及び第二の透明電極パターン4の少なくとも一方は、前面板1及び/又は1Gの非接触面、加飾材2a及び遮光層2bの前面板1及び/又は1Gとは逆側の面の領域にまたがって設置することができる。このように、一定の厚みが必要な加飾材2a及び遮光層2bを含む加飾材と前面板裏面とにまたがって転写フィルムをラミネートする場合でも、フィルム転写材料(特に熱可塑性樹脂層を有するフィルム転写材料)を用いることで真空ラミネーターなどの高価な設備を用いなくても、簡単な工程で加飾材2の部分境界に泡の発生がないラミネートが可能になる。
図8を用いて第一の透明電極パターン3及び第二の透明電極パターン4について説明する。
図8は、本発明における第一の透明電極パターン及び第二の透明電極パターンの一例を示す説明図である。
図8に示すように、第一の透明電極パターン3は、パッド部分3aが接続部分3bを介して第一の方向に延在して形成されている。また、第二の透明電極パターン4は、第一の透明電極パターン3と絶縁層5によって電気的に絶縁されており、第一の方向に交差する方向(図8における第二の方向)に延在して形成された複数のパッド部分によって構成されている。ここで、第一の透明電極パターン3を形成する場合、パッド部分3aと接続部分3bとを一体として作製してもよいし、接続部分3bのみを作製して、パッド部分3aと第二の透明電極パターン4とを一体として作製(パターニング)してもよい。パッド部分3aと第二の透明電極パターン4とを一体として作製(パターニング)する場合、図8に示すように接続部分3bの一部とパッド部分3aの一部とが連結され、かつ、絶縁層5によって第一の透明電極パターン3と第二の透明電極パターン4とが電気的に絶縁されるように各層が形成される。
図5及び図6において、遮光層2bの前面板1及び/又は1Gとは逆側の面側には導電性要素6が設置されている。導電性要素6は、第一の透明電極パターン3及び第二の透明電極パターン4の少なくとも一方に電気的に接続され、かつ、第一の透明電極パターン3及び第二の透明電極パターン4とは別の要素である。図5及び図6においては、導電性要素6が第二の透明電極パターン4に接続されている図が示されている。
また、図5及び図6においては、各構成要素の全てを覆うように透明保護層7が設置されている。透明保護層7は、各構成要素の一部のみを覆うように構成されていてもよい。絶縁層5と透明保護層7とは、同一材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。絶縁層5と透明保護層7とを構成する材料としては、表面硬度、耐熱性が高いものが好ましく、公知の感光性シロキサン樹脂材料、アクリル樹脂材料などが用いられる。
本発明の製造方法の過程で形成される態様例として、図9〜13の態様を挙げることができる。
図9は、開口部8が形成された強化処理ガラス11の一例を示す上面図である。図10は、加飾材2aが形成された前面板の一例を示す上面図である。図11は、第一の透明電極パターン3が形成された前面板の一例を示す上面図である。図12は、第二の透明電極パターン4が形成された前面板の一例を示す上面図である。図13は、第一及び第二の透明電極パターンとは別の導電性要素6が形成された前面板の一例を示す上面図である。これらは、上記説明を具体化した例を示すものであり、本発明の範囲はこれらの図面により限定的に解釈されることはない。
静電容量型入力装置、及び、この静電容量型入力装置を構成要素として備えた画像表示装置は、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日発行、(株)テクノタイムズ社)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004.12)、FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック、Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に開示されている構成を適用することができる。
(情報表示装置)
本発明の情報表示装置は、本発明のタッチパネルを有する。本発明のタッチパネルは、OGS型タッチパネルとして用いることが有効である。
本発明のタッチパネルを使用することができる情報表示装置としては、モバイル機器が好ましく、例えば、以下の情報表示装置を挙げることができる。
iPhone4(登録商標)、iPad(登録商標)(以上、米国アップル社製)、Xperia(SO−01B)(ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーション(株)製)、Galaxy S(SC−02B)、Galaxy Tab(SC−01C)(以上、韓国サムスン電子社製)、BlackBerry 8707h(加国リサーチ・イン・モーション社製)、Kindle(米国アマゾン社製)、Kobo Touch(楽天(株)製)。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
<顔料分散剤X−1の合成>
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に、メルカプト変性ジメチルポリシロキサンであるKF−2001(信越化学工業(株)製)88.4質量部と、シリコーンマクロモノマーであるX−22−174ASX、信越化学工業(株)製)8.4質量部と、顔料吸着部位を持つ重合成分としてメタクリル酸3.2質量部と、を溶解すると共に、重合開始剤(ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、「V−601」)を全重合成分に対する比率で0.3mol%溶解させ、窒素雰囲気下、80℃で重合を行った。途中、重合開始2時間後に重合開始剤(V−601)を全重合成分に対する比率で0.3mol%追添し、合計4時間重合した。重合後、精製処理及び乾燥を行い、顔料分散剤X−1(式gp−1で表されるグラフト型シリコーンポリマー)を得た。
<顔料分散液1の作製>
顔料分散剤TEGO Dispers 685(Evonik社製)3.5質量%と、白色顔料である酸化チタン(アルミナ及びジルコニアで表面処理されたルチル型酸化チタン粒子、一次粒子径0.25μm)70質量%と、キシレン26.5質量%とを混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いてビーズミルで2時間分散し、顔料分散液1を得た。
<顔料分散液2の作製>
顔料分散剤をBYK−SILCLEAN 3700(BYKケミー社製)に変更した以外は、顔料分散液1の作製と同様にして、顔料分散液2を作製した。
<顔料分散液3の作製>
顔料分散剤を顔料分散剤X−1に変更した以外は、顔料分散液1の作製と同様にして、顔料分散液3を作製した。
(実施例1〜11、及び、比較例1〜2)
<熱硬化性組成物の作製>
各実施例及び比較例について、下記表1に記載のシリコーン樹脂、式1〜5のいずれか1つで表される化合物、シロキサン結合を主鎖に有する架橋剤、顔料分散液、及び、0.1質量部の重合触媒、0.05質量部の酸化防止剤、1質量部の塗布助剤を使用し、計100質量部になるようメチルエチルケトンを使用して、実施例1〜11、及び、比較例1〜2の白色熱硬化性組成物をそれぞれ調製した。
Figure 2016069573
<シリコーン樹脂>
・KR300、信越化学工業(株)製、シリコーン樹脂のキシレン溶液(不揮発分50質量%)
なお、KR300のTgは20℃以上であった。
<式1〜5のいずれか1つで表される化合物>
・KF−2012、信越化学工業(株)製、片末端メタクリレート変性シリコーンオイル
・X−22−167C、信越化学工業(株)製、両末端チオール変性シリコーンオイル
・KF−1001、信越化学工業(株)製、側鎖エポキシ変性シリコーンオイル
・KF−864、信越化学工業(株)製、側鎖アミン変性シリコーンオイル
・KF−869、信越化学工業(株)製、側鎖アルキレンジアミノアルキル変性シリコーンオイル
・KF−8010、信越化学工業(株)製、両末端アミン変性シリコーンオイル
・KF−2200、信越化学工業(株)製、両末端ヒドロキシフェニル変性シリコーンオイル
・X−22−163B、信越化学工業(株)製、両末端エポキシ変性シリコーンオイル
・X−22−168B、信越化学工業(株)製、両末端カルボン酸変性シリコーンオイル
・フタル酸ジオクチル
<シロキサン結合を主鎖に有する架橋剤>
・X−40−9246、信越化学工業(株)製、シリコーンオリゴマー
<重合触媒>
・重合触媒1(D−15、信越化学工業(株)製、亜鉛含有触媒のキシレン溶液(固形分25質量%))
<酸化防止剤>
・酸化防止剤(IRGAFOS 168、BASF社製、下記化合物)
Figure 2016069573
<塗布助剤>
・塗布助剤(メガファックF−780F、DIC(株)製、フッ素系界面活性剤のメチルエチルケトン溶液(不揮発分30質量%))
<溶媒>
・メチルエチルケトン(東燃化学(株)製)
(白色加飾材の作製)
<白色層塗布サンプルの作製>
得られた各白色熱硬化性組成物を、厚さ0.7mmの白板ガラス上に乾燥膜厚35μmとなるようにスピンコートし、評価用の各実施例及び比較例の白色層塗布サンプルとした。
<白色加飾材の作製>
その後、各実施例及び比較例の白色層塗布サンプルに対して、150℃30分、240℃30分、280℃40分の順で3回の熱処理を行い、3回の熱処理を行ったサンプルを各実施例及び比較例の耐着色性評価用サンプルとした。得られた熱処理後の耐着色性評価用サンプルを、各実施例及び比較例の白色加飾材とした。
(評価)
<耐着色性評価>
白色加飾材における各実施例及び比較例の耐着色性評価用サンプルのガラス側の反射スペクトルを積分球付き分光光度計(日本分光(株)製、型番:V−570)で測定し、それを元に色座標L***を計算した。L*は主に耐着色性評価用サンプルの明るさを示し、a*は主に耐着色性評価用サンプルの赤みを示し、b*は主に耐着色性評価用サンプルの黄色味を示す。
熱処理に影響されやすいb*を指標とし、以下のように評価した。
A:b*≦−0.1
B:−0.1<b*≦0.5
C:0.5<b*≦1
D:b*>1
着色による耐着色性評価は、A、B又はC評価であることが実用上必要であり、A又はB評価であることが好ましく、A評価であることがより好ましい。
<耐クラック性評価>
熱処理後の耐着色性評価用サンプル中のクラック有無を目視により観察し、以下のように評価した。
A:クラックが認められない
B:クラックが一部認められる
C:クラックが全面に認められる
各評価結果をまとめて表2に示す。
Figure 2016069573
1:基材(フィルム基材。フィルム基材のみを前面板としてもよい。)
1G:ガラス(カバーガラス。カバーガラスのみを前面板としてもよく、基材とガラスの積層体を前面板としてもよい。)
2a:加飾材
2b:遮光層
2c:傾斜部
3:導電性層(第一の透明電極パターン)
3a:パッド部分
3b:接続部分
4:導電性層(第二の透明電極パターン)
5:絶縁層
6:導電性層(他の導電性要素)
7:透明保護層
8:開口部
10:静電容量型入力装置
11:強化処理ガラス
C:第1の方向
D:第2の方向

Claims (9)

  1. 白色無機顔料と、
    ガラス転移温度が20℃以上である少なくとも1種のシリコーン樹脂と、
    下記式1〜5のいずれかで表される化合物と、を含有することを特徴とする
    熱硬化性樹脂組成物。
    Figure 2016069573
    式1〜5中、X11はアミノ基(−R1NH2)、アルキレンジアミノアルキル基(−R2NH−R3−NH2)、エポキシ基、ヒドロキシメチル基、カルボキシ基、メルカプト基、アラルキル基、又は、ポリエーテル基(−R4−(R5O)r1−R6)を表し、R1はアルキル基を表し、R2〜R5はそれぞれ独立に、アルキレン基を表し、R6はアルキル基又は水素原子を表し、r1は1〜100の整数を表し、p1及びq1はそれぞれ独立に、1〜2,000の整数を表し、X21はエポキシ基、ヒドロキシメチル基、ジヒドロキシアルキル基(−R7−C(R8OH)(R9OH)−R10)、カルボキシ基、又は、(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、R7〜R9はそれぞれ独立に、アルキレン基を表し、R10はアルキル基を表し、p2は1〜2,000の整数を表し、X31及びX32はそれぞれ独立に、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシメチル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、ヒドロキシフェニルアルキル基、ヒドロキシ基、カルボン酸無水物、又は、ポリエーテル基を表し、を表し、p3は1〜2,000の整数を表し、X41〜X43はそれぞれ独立に、アミノ基、メトキシ基、又は、エポキシ基を表し、p4及びq4はそれぞれ独立に、1〜2,000の整数を表し、X51及びX52はそれぞれ独立に、アルキル基、水素原子又はアリール基を表し、p5及びq5はそれぞれ独立に、1〜2,000の整数を表す。
  2. 前記式1〜5のいずれか1つで表される化合物が、式1〜4のいずれか1つで表される化合物である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記白色無機顔料が、二酸化チタンである、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. ガラス転移温度が20℃未満であり、シロキサン結合を主鎖に有する架橋剤を更に含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. オニウム塩化合物を更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. シロキサン結合を主鎖に有する顔料分散剤を更に含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 前記顔料分散剤が、下記式gp−1で表されるグラフト型シリコーンポリマーである、請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
    Figure 2016069573
    式gp−1中、Rg1〜Rg10はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アリール基又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rg11及びRg12はそれぞれ独立に、アリーレン基又は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Rg13及びRg14はそれぞれ独立に、単結合又は二価の有機連結基を表し、Agは顔料吸着部位を有する基を表し、Bgは下記式gp−2で表される構造を有する基を表し、G1及びG3はそれぞれ独立に、1以上の整数を表し、G2は0以上の整数を表す。
    Figure 2016069573
    式gp−2中、Rg15及びRg16はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アリール基又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、G4は1以上の整数を表す。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる加飾材。
  9. タッチパネル用であり、かつ白色加飾材である、請求項8に記載の加飾材。
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