JPWO2017014239A1 - ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法及びポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法及びポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

THF以外のVOCも含めて、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体からVOCを放出させにくくする技術を提供する。本発明は、直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法であって、ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法;及び直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、前記マスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程を含む製造方法に関する。

Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法及びポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法に関する。
ポリエステル樹脂は、優れた機械特性、耐熱性、成形性を有するため、自動車部品、フィルム、電気・電子部品等に幅広く使用されている。中でもポリエステル樹脂の1種であるポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」ともいう。)樹脂は無機強化材による補強効果が高く、耐薬品性にも優れることから、自動車や電気・電子機器のコネクター、リレー、スイッチ等の工業用成形体を製造するための原料として広く使用されている。
しかし、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂は、成形時の樹脂の分解等によって発生したガスを、成形体の使用時に放出する現象が見られる。発生するガスの中でも、常温でも揮発しやすい低分子量の有機化合物(揮発性有機化合物(VOC))の放出が問題となる。
近年、自動車メーカーにおいて、自動車の内装部品から放出されるVOC量についての基準が規定され、各自動車メーカーで様々な測定方法、規定が設けられている。ドイツ自動車工業協会においては、VDA277という揮発性有機化合物を検出する試験方法を定めている。
具体的には、例えば、非特許文献1のp.26に示されるように、VDA277に規定のVOC測定法によるVOC排出量としては、50μgC/g以下といった要求が出てきている。
揮発性有機化合物の中にはテトラヒドロフラン(THF)があり、特許文献1にはポリブチレンテレフタレート樹脂の末端水酸基量が多い場合に、成形時のTHFの発生量が多くなることが記載されており、末端水酸基濃度の低いポリブチレンテレフタレート樹脂を使用することが開示されている。そして、アルカリ金属塩をポリブチレンテレフタレート樹脂に添加することで、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端の水酸基を安定化させられることが開示されている。ただし、特許文献1の中でも記載されている通り、「末端水酸基濃度は全末端数からCOOH末端数を減じて求める」ため、「末端水酸基濃度が低い」というのは「COOH末端が多い」ことでもあり、そのようなポリブチレンテレフタレート樹脂は耐加水分解性が不利である。
特許文献2には、ポリブチレンテレフタレート樹脂を重合する際に、チタン触媒とリン化合物とアルカリ又はアルカリ土類金属を添加することでTHFの発生を防止することが開示されている。しかしこの方法では、使用するアルカリ性金属化合物の種類及び添加量によって、重合速度が遅くなる等の問題がある。
また、特許文献3には、ポリブチレンテレフタレート樹脂を重合する際に有機チタン化合物やアルカリ金属塩を分割添加することで、重合速度の遅延を抑えつつ異物や末端カルボキシル基濃度を低減する方法が開示されている。しかし、この方法は、有機チタン化合物やアルカリ金属塩の添加段階を分割するため、管理が煩雑となる。更に、この方法では、添加装置の追加も必要なため既存の設備の転用は難しい事から、更に投資が必要となり経済的に不利である。
特開平06−9858号公報 特開平10−30054号公報 特開2010−100668号公報
C.Henneuse and T.Pacary(2003) Emissions from Plastics, Rapra Review Reports, Vol.14, No.1
ポリブチレンテレフタレート樹脂を含有するポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の成形時に、VOCが発生すると、上記成形体の使用時に上記成形体からVOCが放出されやすくなる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、THF以外のVOCも含めて、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体からVOCを放出させにくくする技術を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、本発明者らは、ポリブチレンテレフタレート樹脂成形体を構成するマトリクス樹脂の主成分であるポリブチレンテレフタレート樹脂として、特許文献1で使用されているような、エステル交換法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂を用いると、副生成物であるアルコール由来のアルデヒドが、成形時に発生するVOC量を増大させる原因となることを見出した。更に、本発明者らは、ポリアルキレンテレフタレート樹脂とアルカリ化合物とを含むマスターバッチの形態でアルカリ化合物の添加を行うことにより、また、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂として、アルカリ化合物を添加して直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂ではなく、アルカリ化合物を添加せずに直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂を用いることにより、簡便な方法で効率よく上記アルデヒドによる問題が抑えられ、かつ、成形体の使用時に放出されるVOC量も低減させられることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には本発明は以下のものを提供する。
(1)直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法であって、ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法。
(2)前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂と、前記アルカリ化合物とを溶融混練して、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、(1)に記載の製造方法。
(3)前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造において、エステル化反応若しくはエステル交換反応、及び/又は重縮合反応を、前記アルカリ化合物の存在下で行って、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、(1)に記載の製造方法。
(4)前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10〜45質量ppmである(1)から(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)前記アルカリ化合物は、酢酸カリウムである(1)から(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、前記(1)から(5)のいずれかに記載の製造方法により得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形する工程を含む製造方法。
(7)直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程を含む製造方法。
(8)前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂と、前記アルカリ化合物とを溶融混練して、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、(7)に記載の製造方法。
(9)前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造において、エステル化反応若しくはエステル交換反応、及び/又は重縮合反応を、前記アルカリ化合物の存在下で行って、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、(7)に記載の製造方法。
(10)前記ポリブチレンテレフタレート樹脂成形体において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10〜45質量ppmである(7)から(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)前記アルカリ化合物は、酢酸カリウムである(7)から(10)のいずれかに記載の製造方法。
(12)前記成形体の、ドイツ自動車工業会VDA277に規定のVOC測定法によるVOC排出量が50μgC/g以下である(6)から(11)のいずれかに記載の製造方法。
(13)前記成形体中の前記ポリブチレンテレフタレート樹脂は、末端カルボキシル基量が40meq/kg以下である(6)から(12)のいずれかに記載の製造方法。
(14)前記成形体が自動車内装部品である(6)から(13)のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、使用時に放出されるVOC量が少ないポリブチレンテレフタレート樹脂成形体を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法>
本発明は、一実施形態において、直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法であって、
ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法に関する。本発明に係る、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法によれば、ポリアルキレンテレフタレート樹脂とアルカリ化合物とを含むマスターバッチの形態でアルカリ化合物の添加を行うことにより、アルカリ化合物の直接添加を行う場合と比較して、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の成形体から発生するVOC量を低減することができる。
上記マスターバッチの調製方法としては、特に限定されず、例えば、前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを、1軸又は2軸の押出機又はその他の溶融混練装置を使用して溶融混練し、ペレットとして調製する方法が挙げられる。その際、押出機又はその他の溶融混練装置は複数使用してもよい。また、全ての成分をホッパから同時に投入してもよいし、一部の成分はサイドフィード口から投入してもよい。溶融混練でマスターバッチを調製する場合、後述する、前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造時にマスターバッチを調製する場合に対し、アルカリ化合物による重合反応の阻害等を考慮せずに済むため、添加量の自由度が高い点で有利となる。なお、マスターバッチのベースとして用いるポリアルキレンテレフタレート樹脂は、成形体からのアルデヒド発生量を抑制する観点から、直接エステル化法で製造されたポリアルキレンテレフタレート樹脂(例えば、直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂)を用いるのが好ましいが、後述するように、マスターバッチの添加量を本発明の効果を阻害しない範囲に調整することにより、エステル交換法で製造されたポリアルキレンテレフタレート樹脂(例えば、エステル交換法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂)を用いることもできる。
上記溶融混練で調製されるマスターバッチにおいて、上記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の添加量は、好ましくは99〜99.99質量%、より好ましくは99.5〜99.98質量%、特に好ましくは99.7〜99.95質量%、最も好ましくは99.8〜99.9質量%であり、上記アルカリ化合物の添加量は、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.02〜0.5質量%、特に好ましくは0.05〜0.3質量%、最も好ましくは0.1〜0.2質量%である。上記ポリアルキレンテレフタレート樹脂及び上記アルカリ化合物の添加量が上記の範囲内であると、マスターバッチ中にアルカリ化合物が均一に分散しやすく、ひいてはポリブチレンテレフタレート樹脂組成物やその成形体中にアルカリ化合物が均一に分散しやすい。
また、上記マスターバッチは、前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造時に調製してもよい。具体的には、テレフタル酸(又はそのエステル形成誘導体)を主成分とするジカルボン酸成分と、アルキレングリコール(又はそのエステル形成誘導体)を主成分とするグリコール成分とを、有機チタン化合物の存在下でエステル化反応(又はエステル交換反応)させた後、連続的又は段階的に重縮合反応させるポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造において、アルカリ化合物の存在下で、エステル化反応若しくはエステル交換反応、及び/又は重縮合反応を行うことで、マスターバッチを調製することができる。なお、前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造時にマスターバッチを調製する場合、前述した溶融混練でマスターバッチを調製する場合に対し、マスターバッチのベースとなるポリアルキレンテレフタレート樹脂が受ける熱履歴が少ない分、ポリアルキレンテレフタレート樹脂の熱分解等を抑えられる点で有利となる。
上記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造時に調製されるマスターバッチにおいて、上記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の添加量は、好ましくは99.95〜99.999質量%、より好ましくは99.96〜99.995質量%、特に好ましくは99.97〜99.99質量%、最も好ましくは99.975〜99.985質量%であり、上記アルカリ化合物の添加量は、好ましくは0.001〜0.05質量%、より好ましくは0.005〜0.04質量%、特に好ましくは0.01〜0.03質量%、最も好ましくは0.015〜0.025質量%である。上記ポリアルキレンテレフタレート樹脂及び上記アルカリ化合物の添加量が上記の範囲内であると、アルカリ化合物が均一に分散しやすいだけでなく、ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造時における反応が阻害され難いためマスターバッチの生産が容易となる。
上記マスターバッチの調製の際、アルカリ化合物は、水に溶かした状態で押出機等の溶融混練装置やエステル化反応槽、重縮合反応槽等の反応槽に投入することが好ましい。樹脂組成物や成形体中により均一にアルカリ化合物が分散するからである。更に、アルカリ化合物を固体として添加する場合には、アルカリ化合物が核剤として作用することがあるが、アルカリ化合物を水に溶かした状態で添加する場合には、アルカリ化合物が核剤として作用することを抑制できるため、靭性等に影響を及ぼすおそれが少ない点で好ましい。この水溶液のアルカリ化合物の濃度は1mol/L以上100mol/L以下であることが好ましく、2mol/L以上50mol/L以下であることがより好ましい。これは、アルカリ化合物の濃度が1mol/L以上の場合、水分量が多くなりすぎず、ポリブチレンテレフタレートの加水分解が促進されにくく、一方、アルカリ化合物の濃度が100mol/L以下の場合、アルカリ化合物が均一に分散しやすいためである。
本発明に係る、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法においては、一般に樹脂組成物の調製法として公知の設備と方法により、樹脂組成物を調製することができる。例えば、必要な成分を、1軸又は2軸の押出機又はその他の溶融混練装置を使用して溶融混練し、成形用ペレットとして調製することができる。また、押出機又はその他の溶融混練装置は複数使用してもよい。また、全ての成分をホッパから同時に投入してもよいし、一部の成分はサイドフィード口から投入してもよい。
上記直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂に、溶融混練で調製されたマスターバッチを添加して製造されるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、直接エステル化法で製造された上記ポリブチレンテレフタレート樹脂の添加量は、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂と上記溶融混練で調製されたマスターバッチとの合計100質量%に対し、好ましくは80〜99.5質量%、より好ましくは90〜99質量%、特に好ましくは95〜98.5質量%であり、上記溶融混練で調製されたマスターバッチの添加量は、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂と上記溶融混練で調製されたマスターバッチの合計に対し、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは1.5〜5質量%である。また、上記直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂に、上記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造時に調製されたマスターバッチを添加して製造されるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、直接エステル化法で製造された上記ポリブチレンテレフタレート樹脂の添加量は、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂と上記重合工程で調製されたマスターバッチの合計に対し、好ましくは70〜95質量%、より好ましくは75〜90質量%、特に好ましくは80〜88質量%であり、上記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造時に調製されたマスターバッチの添加量は、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂と上記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造時に調製されたマスターバッチの合計に対し、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%、特に好ましくは12〜20質量%である。上記ポリブチレンテレフタレート樹脂及び上記マスターバッチの添加量が上記の範囲内であると、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物やその成形体中にアルカリ化合物が均一に分散しやすく、かつ、エステル交換法で製造されたポリアルキレンテレフタレート樹脂を用いたマスターバッチを添加した場合においても、成形体からのアルデヒドの発生量を低減しやすい。
<ポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法>
本発明は、別の実施形態において、直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、
本発明に係る、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法により得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形する工程、又は、
ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程
を含む製造方法に関する。本発明に係る、ポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法によれば、ポリアルキレンテレフタレート樹脂とアルカリ化合物とを含むマスターバッチの形態でアルカリ化合物の添加を行うことにより、アルカリ化合物の直接添加を行う場合と比較して、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂成形体から発生するVOC量を低減することができる。
成形方法としては、特に限定されず、射出成形等の従来公知の成形方法を用いることができる。
本発明に係る、ポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法において、マスターバッチの調製方法としては、上記で例示したのと同様の方法が挙げられる。
本発明に係る、ポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法により得られるポリブチレンテレフタレート樹脂成形体は、ドイツ自動車工業会VDA277に規定のVOC測定法によるVOC排出量が、好ましくは50μgC/g以下であり、より好ましくは35μgC/g以下であり、更により好ましくは30μgC/g以下である。したがって、上記成形体は、使用時に放出されるVOC量が少ない。使用時に放出されるVOCは、成形体が自動車内装部品として用いられる等、車内や室内で使用される場合に特に問題となる。上記成形体であれば車内や屋内でも好ましく使用できる。また、上述の通り、耐加水分解性の観点から、上記成形体中のポリブチレンテレフタレート樹脂において、末端カルボキシル基量は、40meq/kg以下であることが好ましく、25meq/kg以下であることがより好ましい。
[ポリブチレンテレフタレート樹脂]
本発明で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、一般的なポリブチレンテレフタレート樹脂であり、少なくともテレフタル酸に由来する繰り返し単位と、少なくとも炭素原子数4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)に由来する繰り返し単位とを含む。
本発明で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂である。ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造方法としては、直接エステル化法とエステル交換法とが知られているが、本発明では直接エステル化法でポリブチレンテレフタレート樹脂を製造しているため、下記の通り、成形体から発生するVOC量を少なくすることができる。
直接エステル化法とは、主原料としてテレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを用いて、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとをエステル化反応触媒の存在下で反応させる方法である。一方、エステル交換法は主原料としてテレフタル酸ジアルキルと1,4−ブタンジオールとを用いて、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとをエステル交換反応触媒の存在下で反応させる方法である。
直接エステル化法ではエステル化反応の際に水が生成するが、エステル交換法の場合にはアルコールが生成する。例えば、テレフタル酸ジメチルを用いてポリブチレンテレフタレート樹脂を製造した場合にはメタノールが生成する。メタノールはホルムアルデヒドに変化するため、成形体から発生するVOC量を増加させてしまう。このように、エステル交換法でポリブチレンテレフタレート樹脂を製造すると、副生成物としてアルコールが生成する。そして、このアルコールはアルデヒドに変化して、成形体から発生するVOC量を増大させる。直接エステル化法では、副生成物としてアルコールが生成することは無いため、この副生成物のアルコール由来のアルデヒドが成形体から放出されることは無い。
本発明においてポリブチレンテレフタレート樹脂は、直接エステル化法で製造されたものであればよく、製造条件は特に限定されない。エステル化反応触媒としては、例えば、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、スズ化合物、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物等を使用することができる。また、触媒の使用量も特に限定されず、適宜設定すればよい。
また、反応温度、反応圧力、反応時間等の反応条件も特に限定されず、所望の分子量等に応じて適宜設定すればよい。
このようにして製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸に由来する繰り返し単位と、1,4−ブタンジオールに由来する繰り返し単位とを有する。また、本発明で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、ブチレンテレフタレート単位からなるホモポリブチレンテレフタレート樹脂に限らず、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上(特に75モル%以上95モル%以下)含有する共重合体であってもよい。
テレフタル酸以外のジカルボン酸成分(コモノマー成分)としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル等のC8−14の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC4−16のアルカンジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等のC5−10のシクロアルカンジカルボン酸が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分(コモノマー成分)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール等のC2−10のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等の、ビスフェノールAのC2−4のアルキレンオキサイド付加体が挙げられる。これらのグリコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量(以下、「CEG」ともいう。)は特に制限されないが、本発明は末端カルボキシル基量の少ない、即ち、末端水酸基量の多いポリブチレンテレフタレート樹脂を用いても、成形体から発生するVOC量を低減できる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端に水酸基がある場合、末端の水酸基と、末端の水酸基と結合するブチレン基とでテトラヒドロフラン(THF)を生成する。THFはVOCの一種であるから、末端水酸基量が多いポリブチレンテレフタレート樹脂を用いて成形体にすると、成形時にTHFが発生するため、成形体から放出されるVOC量が増加する。しかし、本願発明では、直接エステル化法でポリブチレンテレフタレート樹脂を製造するとともに、ポリブチレンテレフタレート樹脂を、マスターバッチの形態で添加されたアルカリ化合物と併用することで、末端水酸基量の多いポリブチレンテレフタレート樹脂を用いても、上記VOC放出量を抑えることができる。
また、末端カルボキシル基量の少ないポリブチレンテレフタレート樹脂は、耐加水分解性に優れる。このようなポリブチレンテレフタレート樹脂を含む組成物を用いて製造した成形体は、耐加水分解性に優れるとともに、VOCの放出量も少ない。
ここで、末端カルボキシル基量が少ないとは、成形前及び/又は成形体中のポリブチレンテレフタレート樹脂において、末端カルボキシル基量が40meq/kg以下であることを指す。耐加水分解性をより高める観点から、成形前及び/又は成形体中のポリブチレンテレフタレート樹脂において、末端カルボキシル基量は、25meq/kg以下がより好ましい。このようにポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシルキ量を25meq/kg以下にして、成形体が湿熱環境下での加水分解による強度低下を受けにくくなるようにしても、本発明によれば、成形体から発生するVOC量を大幅に低減できる。なお、本明細書において、末端カルボキシル基量とは、ポリブチレンテレフタレート樹脂の粉砕試料、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む成形体の粉砕試料等の、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む粉砕試料をベンジルアルコール中215℃で10分間溶解後、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液にて滴定し、測定することにより求められる量をいう。
本発明において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に制限されない。ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は0.65dL/g以上1.4dL/g以下であるのが好ましい。かかる範囲の固有粘度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合には、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が特に成形性に優れたものとなる。また、異なる固有粘度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂をブレンドして、固有粘度を調整することもできる。例えば、固有粘度1.0dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂と固有粘度0.7dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂とをブレンドすることにより、固有粘度0.9dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂を調製することができる。ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は、o−クロロフェノール中で温度35℃の条件で測定することができる。
本発明に係る製造方法により得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物又はポリブチレンテレフタレート樹脂成形体中のポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は特に限定されないが、10質量%以上99.99質量%未満であることが好ましい。また、上記含有量が30質量%以上であればポリブチレンテレフタレート樹脂を含有することによる物性の向上が成形体に表れるため特に好ましい。より好ましい上記含有量は50質量%以上99.99質量%未満である。
[アルカリ化合物]
本発明に係る製造方法により得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物又はポリブチレンテレフタレート樹脂成形体はアルカリ化合物を含む。アルカリ化合物が含まれることで、成形体から放出されるVOC量を抑えることができる。
本発明で使用できるアルカリ化合物の種類は特に限定されないが、例えば、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられ、具体的には、塩化カリウム、カリウムミョウバン、ギ酸カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸水素二カリウム、クエン酸二水素カリウム、グルコン酸カリウム、コハク酸カリウム、酪酸カリウム、シュウ酸二カリウム、シュウ酸水素カリウム、ステアリン酸カリウム、フタル酸カリウム、フタル酸水素カリウム、メタリン酸カリウム、リンゴ酸カリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、亜硝酸カリウム、安息香酸カリウム、酒石酸水素カリウム、重シュウ酸カリウム、重フタル酸カリウム、重酒石酸カリウム、重硫酸カリウム、硝酸カリウム、酢酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸カリウムナトリウム、炭酸水素カリウム、乳酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸二水素ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、シュウ酸二ナトリウム、シュウ酸水素ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸水素ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酒石酸水素ナトリウム、重シュウ酸ナトリウム、重フタル酸ナトリウム、重酒石酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、乳酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化リチウム、ギ酸リチウム、クエン酸三リチウム、クエン酸水素二リチウム、クエン酸二水素リチウム、グルコン酸リチウム、コハク酸リチウム、酪酸リチウム、シュウ酸二リチウム、シュウ酸水素リチウム、ステアリン酸リチウム、フタル酸リチウム、フタル酸水素リチウム、メタリン酸リチウム、リンゴ酸リチウム、リン酸三リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸二水素リチウム、亜硝酸リチウム、安息香酸リチウム、酒石酸水素リチウム、重シュウ酸リチウム、重フタル酸リチウム、重酒石酸リチウム、重硫酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、乳酸リチウム、硫酸リチウム、硫酸水素リチウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酪酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、フタル酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、亜硝酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酒石酸カルシウム、重シュウ酸カルシウム、重フタル酸カルシウム、重酒石酸カルシウム、重硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、硫酸カルシウム等を例示することができる。これらのアルカリ化合物の中で、酢酸カリウム、炭酸カルシウムが好ましく、酢酸カリウムが特に好ましい。
本発明で使用されるアルカリ化合物の形状は特に限定されないが、例えば、粉状、粒状、塊状、錠剤状等を例示することができる。
本発明に係る製造方法により得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物又はポリブチレンテレフタレート樹脂成形体中に含まれるアルカリ化合物の含有量は、所望のVOC排出量等に応じて設定すればよいため、特に限定されないが、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10〜45質量ppmであることが好ましい。上記含有量が10質量ppm以上であることは、モノマー成分に由来するVOCの生成を更に十分抑制できるという理由で好ましく、上記含有量が45質量ppm以下であることは、成形体の色目(b値)を効果的に改善させることができるとともに、アルカリ化合物がポリブチレンテレフタレート樹脂を分解させることに起因するVOCの発生を更に抑えられるため好ましい。より好ましい上記含有量は20〜40質量ppmである。なお、上記好ましい範囲外であっても、ポリブチレンテレフタレート樹脂の種類が異なれば(例えば、分子量、末端カルボキシル基量、含まれる共重合成分が異なる場合)、VOC排出量が所望の範囲に入る場合もあり、このような場合も本発明の範囲内である。本発明では、マスターバッチの形態でアルカリ化合物の添加を行うことにより、アルカリ化合物の添加量を大幅に減らすことができる。
[その他の成分]
本発明に係る製造方法により得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物又はポリブチレンテレフタレート樹脂成形体は、上記必須成分以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、充填剤(無機充填剤等)、核剤、顔料、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤及び難燃剤等の添加剤、その他の樹脂等を挙げることができる。その他の成分は、マスターバッチに添加してもよく、及び/又は、マスターバッチとポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練若しくはドライブレンドする際に添加してもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<材料>
直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂:ウィンテックポリマー社製、「ジュラネックス(登録商標)」、IV=0.75dL/g、末端カルボキシル基量が11.3meq/kg、直接エステル化法による製造時にアルカリ化合物を添加せず
酢酸カリウム:和光純薬工業株式会社、酢酸カリウム
<マスターバッチの製造方法>
直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と50質量%酢酸カリウム水溶液とを、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂と酢酸カリウムとの質量比が99.9:0.1となるように混合したものを原料とし、この原料を単軸押出機(石中鉄工所製、HS65)に投入し、溶融混練してマスターバッチを製造した。なお、冷却時間以外の条件は下記の通りである。
(溶融混練条件)
シリンダー温度:250℃
スクリュー回転数:200rpm
<樹脂組成物の製造方法>
直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂とマスターバッチ又は酢酸カリウムとを、表1に示す割合で混合したものを原料とし、この原料を二軸押出機(JSW製、TEX−30)に投入し、溶融混練してポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットを製造した。ただし、後述の通り、実施例6では、直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂とマスターバッチとのドライブレンド物を、直接、成形に用いたため、溶融混練による樹脂組成物の製造を行っていない。なお、冷却時間以外の条件は下記の通りである。
(溶融混練条件)
シリンダー温度:260℃
スクリュー回転数:130rpm
<成形体の製造>
実施例又は比較例の樹脂ペレットを、射出成形機(JSW社製、「J75EP」)に供給して成形体(100mm×40mm×2mm)を下記成形条件で製造した。ただし、実施例6では、樹脂ペレットを用いる代わりに、直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂とマスターバッチとのドライブレンド物(各々の割合は、表1に示す通りである。)を用いた。なお、成形体製造時の原料を表1に示す。表1における「溶融混練物」は、樹脂ペレットを意味する。
(成形条件)
成形条件:シリンダー温度:250℃
射出圧力:60(MPa)
射出速度:1.0(m/min)
金型温度:60(℃)
<VOC排出量の測定>
実施例又は比較例の成形体を10〜25mgに切断したサンプル約2gをそれぞれ22mlのバイアル瓶に入れ、サンプル重量を精秤した後、密封してHS−GCで120℃、5時間加熱処理を行った。そして、ガスクロマトグラフィーで検出された揮発有機物成分のピーク積分面積を算出し、アセトンを標準に重量換算値として、成形体の重量当たりの揮発性有機化合物量(μgC/g)を求めた。結果を表1に示す。
<色目(b値)の測定>
実施例又は比較例の成形体について、分光色差計(日本電色工業製SE6000)にて色目(b値)の測定を行った。結果を表1に示す。なお、b値はハンターLab表色系の黄色度の指標であり、値が低いほど、例えば4以下であれば成形品の黄変が少なく好ましい。
<成形体中のポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量の測定>
実施例又は比較例の成形体を粉砕し、得られた粉砕試料をベンジルアルコール中215℃で10分間溶解後、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液にて滴定して、上記末端カルボキシル基量を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2017014239
表1から明らかなように、直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、マスターバッチの形態で添加されたアルカリ化合物とを組み合わせて用いれば、成形体中のポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量が低減されるとともに、アルカリ化合物の直接添加を行う場合と比較して、成形体から放出されるVOC量が非常に低くなることが確認された。また、アルカリ化合物の添加量を10〜45質量ppmとすることにより、成形体の色目(b値)が改善することが確認された。
また、実施例2と実施例6との比較から明らかなように、溶融混練によるペレット化を経ることで熱履歴を1回多く受けている実施例2の成形体(原料として溶融混練物を使用)の方が、意外にも、熱履歴が少ない実施例6の成形体(原料としてドライブレンド物を使用)より、VOC量、色目、及びCEGのいずれにおいても優れていた。

Claims (14)

  1. 直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法であって、
    ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法。
  2. 前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂と、前記アルカリ化合物とを溶融混練して、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造において、エステル化反応若しくはエステル交換反応、及び/又は重縮合反応を、前記アルカリ化合物の存在下で行って、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10〜45質量ppmである請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記アルカリ化合物は、酢酸カリウムである請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、
    請求項1から5のいずれかに記載の製造方法により得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形する工程を含む製造方法。
  7. 直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、
    ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程を含む製造方法。
  8. 前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂と、前記アルカリ化合物とを溶融混練して、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造において、エステル化反応若しくはエステル交換反応、及び/又は重縮合反応を、前記アルカリ化合物の存在下で行って、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、請求項7に記載の製造方法。
  10. 前記ポリブチレンテレフタレート樹脂成形体において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10〜45質量ppmである請求項7から9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 前記アルカリ化合物は、酢酸カリウムである請求項7から10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 前記成形体の、ドイツ自動車工業会VDA277に規定のVOC測定法によるVOC排出量が50μgC/g以下である請求項6から11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 前記成形体中の前記ポリブチレンテレフタレート樹脂は、末端カルボキシル基量が40meq/kg以下である請求項6から12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 前記成形体が自動車内装部品である請求項6から13のいずれかに記載の製造方法。
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