JPWO2017002894A1 - 血圧降下用組成物 - Google Patents

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Abstract

血圧降下用組成物、血圧を下げるための素材の使用、及び血圧を下げる方法を提供する。さらに、血圧上昇抑制用組成物、血圧の上昇を抑制するための素材の使用、及び血圧の上昇を抑制する方法も提供する。植物由来ペプチドの熱処理物が降圧作用を有することを見出した。従って、本発明は、高血圧症の予防又は改善や、脳卒中、心疾患、及び腎不全等の高血圧症に起因する様々な疾患の予防又は改善のための新たな手段を提供するものである。

Description

本発明は、血圧降下用組成物等に関する。さらに詳しくは、植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として含有する血圧降下用組成物、血圧を下げるための植物由来ペプチド熱処理物の使用、及び植物由来ペプチド熱処理物を利用した血圧を下げる方法に関する。また、本発明は、植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として含有する血圧上昇抑制用組成物、血圧の上昇を抑制するための植物由来ペプチド熱処理物の使用、及び植物由来ペプチド熱処理物を利用した血圧の上昇を抑制する方法にも関する。
食生活の変化や運動不足、ストレス、喫煙、遺伝的要因等が原因となって、高血圧症や高脂血症等の生活習慣病が引き起こされることが広く知られている。特に高血圧症は顕著な自覚症状なく症状が進行するという特徴を有し、高血圧症予備軍まで含めると極めて高い罹患率を示す。また、高血圧症は、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血等)、心疾患(狭心症、心筋梗塞、心肥大、心不全等)、及び腎不全(高血圧性腎症等)等の重篤な疾患に繋がることが知られている。そのため、高血圧症の予防及び早期改善が社会的に求められている。
一般に、高血圧症の改善のためには、利尿剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬、交感神経遮断薬、又は血管拡張剤等による薬物療法が行われている。しかしながら、これらの薬物療法は、胃の不快感、下痢、及び血管浮腫等の様々な副作用を伴うことが報告されている。そのため、高血圧症の予防及び改善のために、安全でかつ長期摂取可能な有効成分の開発が望まれている。
例えば、特許文献1には、植物由来のチオールプロテアーゼで魚肉又は大豆を分解して得られるペプチド混合物が、アンジオテンシン変換酵素阻害作用を有することが開示されている。また、特許文献2には、加熱変性させた大豆タンパク質を酵素分解して得られる大豆タンパク質分解混合物を含む機能性食品及び医薬が降圧作用を有することが開示されている。さらに、特許文献3には、大豆ホエイタンパク質をプロテアーゼ処理した加水分解物又はその分画物が、アンジオテンシン変換酵素阻害作用を有することが開示されている。しかしながら、これまでの報告例では、原料の酵素処理や分画、濃縮等の煩雑な処理工程を要することが問題とされていた。そのため、より簡便に製造でき、かつ有効性の高い血圧降下用組成物や血圧上昇抑制用組成物の開発が求められている。
特開昭62−169732号公報 特開2003−210138号公報 特許4797627号公報
本発明の課題は、公知の植物由来ペプチド含有素材と比較してより簡便に製造でき、かつより高い効果を有する血圧降下用組成物、血圧を下げるための素材の使用、及び血圧を下げる方法を提供することにある。さらに、簡便に製造でき、かつ高い効果を有する血圧上昇抑制用組成物、血圧の上昇を抑制するための素材の使用、及び血圧の上昇を抑制する方法を提供することも本発明の課題である。
本発明者らは、上記問題点に鑑み鋭意検討した結果、植物由来ペプチドを100℃を超える温度で高温加熱処理して得られる植物由来ペプチド熱処理物が、植物由来ペプチド非加熱物と比較してより強力な降圧作用を有することを見出した。その結果、前記植物由来ペプチド熱処理物が高血圧症の予防又は改善効果や、脳卒中、心疾患、及び腎不全等の高血圧症に起因する様々な疾患の予防又は改善効果を有すると考えられ、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下に関するが、これらに限定されない。
(1)植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として含有する血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物であって、
植物由来ペプチド熱処理物の環状ジペプチド又はその塩の総量が、20000μg/100g/Brix以上である、前記組成物。
(2)植物由来ペプチド熱処理物の環状ジペプチド又はその塩の総量が、30000μg/100g/Brix以上である、(1)に記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
(3)植物由来ペプチド熱処理物が、植物由来ペプチドの高温高圧処理物である、(1)又は(2)に記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
(4)植物由来ペプチド熱処理物が、植物由来ペプチドを100℃を超える温度かつ0.101MPa以上の圧力で高温高圧処理して得られるものである、(1)〜(3)のいずれかに記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
(5)高温高圧処理物が、3時間以上の高温高圧処理で得られるものである、(1)〜(4)のいずれかに記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
(6)植物由来ペプチドが、大豆ペプチド、茶ペプチド、又は麦芽ペプチドである、(1)〜(5)のいずれかに記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
(7)植物由来ペプチドが大豆ペプチドである、(1)〜(5)のいずれかに記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
(8)高血圧の予防又は改善用である、(1)〜(7)のいずれかに記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
(9)脳卒中、心疾患、又は腎不全の予防又は改善用である、(1)〜(7)のいずれかに記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
(10)血圧降下又は血圧の上昇抑制により発揮される機能の表示を付した(1)〜(9)のいずれかに記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
(11)機能の表示が、「血圧を下げる」、「血圧低下を期待する」、「血圧の上昇を抑制する」、「血圧の上昇を緩やかにする」、「起床時の急な血圧の上昇を抑制する」、「高血圧症を予防する」、「高血圧症の改善に役立つ」、「腎機能を保護する」、及び「腎機能を改善する」からなる群から選択されるものである、請求項10に記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
(12)血圧を下げるための又は血圧の上昇を抑制するための、植物由来ペプチド熱処理物の使用であって、
植物由来ペプチド熱処理物の環状ジペプチド又はその塩の総量が、20000μg/100g/Brix以上である、前記使用。
(13)植物由来ペプチドが、大豆ペプチド、茶ペプチド、又は麦芽ペプチドである、(12)に記載の使用。
(14)植物由来ペプチドが大豆ペプチドである、(12)に記載の使用。
(15)植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として使用する、血圧を下げる又は血圧の上昇を抑制する方法であって、
植物由来ペプチド熱処理物の環状ジペプチド又はその塩の総量が、20000μg/100g/Brix以上である、前記方法。
(16)植物由来ペプチドが、大豆ペプチド、茶ペプチド、又は麦芽ペプチドである、(15)に記載の方法。
(17)植物由来ペプチドが大豆ペプチドである、(15)に記載の方法。
本発明では、高温高圧処理という簡便な加工技術により、公知の植物由来ペプチド含有素材と比較してより強力な降圧効果や血圧上昇抑制効果を有する組成物を提供することができる。本発明の組成物に含まれる植物由来ペプチド熱処理物は安全性が高いため、本発明の組成物は市場における利用価値が高いと言える。また、本発明の組成物を摂取することにより、高血圧症の予防又は改善効果や、脳卒中、心疾患、及び腎不全等の高血圧症に起因する様々な疾患の予防又は改善効果が発揮される。
図1には、自然発症高血圧ラットに対する大豆ペプチド又は大豆ペプチド熱処理物投与後の収縮期血圧の経時変化を示す。
本発明の一態様は、植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として含有する血圧降下用組成物である。また、本発明は、植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として含有する血圧上昇抑制用組成物でもある。
1.植物由来ペプチド
本明細書において「植物由来ペプチド」とは、特に断りがない限り、植物由来のタンパク質又はタンパク質を含む植物体に既知の分解処理(熱や圧力による分解処理、酸やアルカリによる分解処理、酵素による分解処理等)を施して低分子化することにより生じるペプチドを意味する。
本発明の植物由来ペプチドは、植物由来のタンパク質又はタンパク質を含む植物体から得られる1種類のペプチドであってもよいし、2種類以上のペプチドの混合物であってもよい。植物由来ペプチドを構成するアミノ酸の個数は、特に限定されないが、2〜数十個が好ましく、2〜数個(即ち、オリゴペプチド)がより好ましい。
本発明において植物由来ペプチドは、分子量5000以下のペプチドの割合が高いものを用いるのが好ましく、分子量3000以下のペプチドの割合が高いものを用いるのがより好ましく、分子量1000以下のペプチドの割合が高いものを用いるのが特に好ましい。ここで、「ペプチドの割合が高い」とは、植物由来ペプチド全体の少なくとも50%がそのペプチドに該当している状態を意味する。当該分子量の測定は、当業者に周知の方法及び装置(HPLC等)を用いて行うことができる。
本発明の植物由来ペプチドは、特に限定されないが、豆類、葉類、種子類、又は芋類等の植物由来のペプチドが好適に利用される。豆類としては、例えば、大豆、小豆、黒豆等が挙げられる。葉類としては、茶葉(緑茶葉、紅茶葉、烏龍茶葉)等が挙げられる。種子類としては、例えば、大麦、小麦(小麦胚芽を含む)、麦芽、胡麻、米等が挙げられる。芋類としては、例えば、さつまいも、じゃがいも等が挙げられる。これらの植物の中で、本発明では、大豆、茶葉、麦芽が好ましく、大豆がより好ましい。尚、本明細書では、特定の植物に由来する植物由来ペプチドについて、「由来の」の記載を省略する場合がある。例えば、「大豆由来のペプチド」の場合、これを「大豆ペプチド」と称することがある。このとき、両者は互換可能に使用される。
植物由来ペプチドは、植物由来のタンパク質又はタンパク質を含む植物体を従来公知の方法で分解処理することにより得ることができる。かかる分解処理としては、熱や圧力による分解処理、酸やアルカリによる分解処理、酵素による分解処理等が挙げられる。いずれの処理においても、水やエタノール等が溶媒として使用可能であり、例えば、加熱による分解処理であれば、100℃以上の温度で30分〜数時間の条件が示される。尚、この加熱処理は、上述した植物由来ペプチド熱処理物の加熱処理と同時に行うことも可能である。また、酵素による分解処理であれば、種々のタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)をその目的に応じて適宜使用することができる。
植物由来ペプチドは、公知の方法を用いて自ら調製したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販の植物由来ペプチドとしては、例えばハイニュートAM、ハイニュートDC、ハイニュートHK(以上、不二製油社製)等の大豆ペプチド、オリザペプチド−P60(オリザ油化社製)等のコメペプチド、グルタミンペプチドGP−1N、グルタミンペプチドGP−N(以上、日清ファルマ社製)等の小麦ペプチド、ゴマペプチドKM−20(KISCO社製)等のゴマペプチドが挙げられる。
2.植物由来ペプチド熱処理物
植物由来ペプチド熱処理物は、植物由来ペプチドを液体中で高温加熱処理することによって得られる。当該高温加熱処理は、特に限定されないが、高温条件のみならず高圧条件も加えた条件での処理が好ましい。従って、本明細書において「植物由来ペプチド熱処理物」とは、植物由来ペプチドの高温加熱処理物であっても、高温高圧処理物であってもよい。高温加熱処理及び高温高圧処理における液体としては純水を好適に用いることができるが、これにエタノール等有機溶媒を適宜含有させることもできる。また、抽出溶媒にミネラル分を添加することにより適宜硬度を調整することもできる。
本明細書において「高温加熱処理」とは、100℃を超える温度かつ大気圧を超える圧力下で一定時間処理することを意味する。高温高圧処理装置としては、耐圧性抽出装置や圧力鍋、オートクレーブ等を条件に合わせて用いることができる。
高温加熱処理における温度は、100℃を超える温度である限り特に限定されないが、好ましくは105℃以上、110℃以上、115℃以上、120℃以上、125℃以上、130℃以上、又は135℃以上である。また、当該温度は、好ましくは170℃以下、165℃以下、160℃以下、155℃以下、150℃以下、145℃以下、又は140℃以下である。典型的には、当該温度は105℃〜170℃、好ましくは110℃〜150℃、より好ましくは120℃〜140℃である。尚、この温度は、加熱装置として耐圧性抽出装置を用いた場合には抽出カラムの出口温度を測定した値を示し、加熱装置としてオートクレーブを用いた場合には、圧力容器内の中心温度の温度を測定した値を示す。
高温高圧の圧力は、大気圧を越える圧力であれば特に限定されないが、好ましくは0.101MPa以上、0.15MPa以上、0.2MPa以上、0.25MPa以上、又は0.3MPa以上である。また、当該圧力は、好ましくは0.79MPa以下、0.75MPa以下、0.7MPa以下、0.65MPa以下、0.6MPa以下、0.55MPa以下、0.5MPa以下、0.48MPa以下である。典型的には、当該圧力は0.101MPa〜0.79MPa、好ましくは0.101MPa〜0.60MPa、より好ましくは0.101MPa〜0.48MPaである。
高温加熱処理時間は、所望の処理物が得られる限り特に限定されないが、好ましくは10分以上、15分以上、30分以上、60分以上、120分以上、又は180分以上である。また、当該高温加熱処理時間、好ましくは600分以下、500分以下、400分以下、300分以下、又は200分以下である。典型的には、当該高温加熱処理時間は、好ましくは10分〜600分程度、30分〜500分程度、60分〜400分程度、又は180分〜300分程度である。
本発明において植物由来ペプチド熱処理物を得るためのより適した高温処理条件は、例えば、横軸を時間(min.)、縦軸を温度(℃)とした座標系において、次の座標系(i)〜(vi)によって囲まれる時間及び温度の範囲内で保持される高温処理である。(i)(170℃, 30min.)、(ii)(150℃, 30min.)、(iii)(115℃, 180min.)、(iv)(105℃, 480min.)、(v)(135℃, 480min.)、(vi)(150℃, 180min.)
植物由来ペプチド熱処理物を得るための植物由来ペプチドの温度、圧力及び時間に関する処理条件は、特に限定されないが、例えば以下の通り設定することができる:
(温度、圧力、時間)=
(105℃〜170℃、0.101MPa〜0.79MPa、15分〜600分)、
(105℃〜170℃、0.101MPa〜0.79MPa、30分〜500分)、
(105℃〜170℃、0.101MPa〜0.79MPa、60分〜300分)、
(105℃〜170℃、0.15MPa〜0.48MPa、15分〜600分)、
(105℃〜170℃、0.15MPa〜0.48MPa、30分〜500分)、
(105℃〜170℃、0.15MPa〜0.48MPa、60分〜300分)、
(110℃〜150℃、0.101MPa〜0.79MPa、15分〜600分)、
(110℃〜150℃、0.101MPa〜0.79MPa、30分〜500分)、
(110℃〜150℃、0.101MPa〜0.79MPa、60分〜300分)、
(110℃〜150℃、0.15MPa〜0.48MPa、15分〜600分)、
(110℃〜150℃、0.15MPa〜0.48MPa、30分〜500分)、
(110℃〜150℃、0.15MPa〜0.48MPa、60分〜300分)、
(120℃〜140℃、0.101MPa〜0.79MPa、15分〜600分)、
(120℃〜140℃、0.101MPa〜0.79MPa、30分〜500分)、
(120℃〜140℃、0.101MPa〜0.79MPa、60分〜300分)、
(120℃〜140℃、0.15MPa〜0.48MPa、15分〜600分)、
(120℃〜140℃、0.15MPa〜0.48MPa、30分〜500分)、
(120℃〜140℃、0.15MPa〜0.48MPa、60分〜300分)等。
本発明において植物由来ペプチド熱処理物は、上述した処理条件を提供できる装置を用いて調製することができる。そのような装置としては、例えば、当業者に周知の耐圧性抽出装置、圧力鍋、及びオートクレーブ等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。また、植物由来ペプチド熱処理物は、加熱処理の前及び/又は後において固液分離を行ったものであってもよい。固液分離の処理を行うことにより液部を回収することができ、固体のみで取り扱うことが可能となる。固液分離には、濾液及び/又は遠心分離等の手段が用いられる。また、植物由来ペプチド熱処理物は、加熱処理後に精製処理をさらに施したものであってもよい。精製処理を行うことにより、植物由来ペプチド熱処理物に含まれる特定の成分を濃縮することができる。植物由来ペプチド熱処理物の精製処理は、公知の方法及び装置を用いて行うことができる。また、植物由来ペプチド熱処理物は、加熱処理の前及び/又は後において清澄化処理をさらに行ったものであってもよい。清澄化処理は、公知の方法及び装置を用いて行うことができ、当該処理により植物由来ペプチド熱処理物を添加する組成物の設計の自由度を増すことができる。また、植物由来ペプチド熱処理物は、公知の方法及び装置を用いて凍結乾燥又は粉末化したものであってもよい。その他、本発明における植物由来ペプチド熱処理物の製造方法は、国際公開第2014/200000号に記載の方法を参考にすることができる。
3.環状ジペプチド又はその塩
植物由来ペプチド熱処理物は、植物由来ペプチドを高温加熱処理又は高温高圧処理することにより得られるが、当該処理により多量の環状ジペプチド又はその塩が植物由来ペプチド熱処理物の中に含まれるようになる。即ち、本発明において植物由来ペプチド熱処理物は、その特徴の一つとして環状ジペプチド又はその塩を含有する。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、植物由来ペプチド熱処理物には多量の環状ジペプチド又はその塩が含まれることから、当該環状ジペプチド又はその塩が血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物の有効成分となり得る。尚、本明細書では、環状ジペプチド又はその塩をまとめて単に環状ジペプチドと称する場合がある。
本明細書でいう環状ジペプチドとは、アミノ酸を構成単位とすることを特徴とし、アミノ酸のアミノ基とカルボキシル基とが脱水縮合することにより生成したジケトピペラジン構造を有するジペプチドのことをいう。そのため、環状ジペプチドは、直鎖状のジペプチドとは区別される。
環状ジペプチドにはあらゆるアミノ酸の組み合わせが含まれ、2種類のアミノ酸は同一であってもよいし、異なっていてもよい。環状ジペプチドの種類としては、特に限定されないが、例えば、シクロアラニルグルタミン(CAS Registry Number:268221-76-7;Cyclo(Ala-Gln))、シクロヒスチジルプロリン(CAS Registry Number:53109-32-3;Cyclo(His-Pro))、シクロアラニルアラニン(CAS Registry Number: 5845-61-4;Cyclo(Ala-Ala))、シクログリシルプロリン(CAS Registry Number:3705-27-9;Cyclo(Gly-Pro))、シクロセリルチロシン(CAS Registry Number:21754-31-4;Cyclo(Ser-Tyr))、シクロプロリルスレオニン(CAS Registry Number:227777-31-3;Cyclo(Pro-Thr))、シクロヒスチジルフェニルアラニン(CAS Registry Number:56586-95-9;Cyclo(His-Phe))、シクロアラニルプロリン(CAS Registry Number:65556-33-4;Cyclo(Ala-Pro))、シクロフェニルアラニルセリン(CAS Registry Number:35591-00-5;Cyclo(Phe-Ser))、シクログリシルロイシン(CAS Registry Number:5845-67-0;Cyclo(Gly-Leu))、シクログリシルフェニルアラニン(CAS Registry Number:10125-07-2;Cyclo(Gly-Phe))、シクロプロリルプロリン(Cyclo(Pro-Pro))、シクログリシルトリプトファン(Cyclo(Gly-Trp))、シクロアスパルチルフェニルアラニン(CAS Registry Number:5262-10-2;Cyclo(Asp-Phe))、シクロバリルプロリン(Cyclo(Val-Pro))、シクロプロリルチロシン(Cyclo(Pro-Tyr))、シクロメチオニルプロリン(Cyclo(Met-Pro))、シクロメチオニルメチオニン(Cyclo(Met-Met))、シクロバリルバリン(Cyclo(Val-Val))、シクロロイシルプロリン(CAS Registry Number:2873-36-1;Cyclo(Leu-Pro))、シクロトリプトファニルチロシン(Cyclo(Trp-Tyr))、シクロフェニルアラニルプロリン(CAS Registry Number:3705-26-8;Cyclo(Phe-Pro))、シクロロイシルトリプトファン(CAS Registry Number:15136-34-2;Cyclo(Leu-Trp))、シクロフェニルアラニルトリプトファン(CAS Registry Number:82597-82-8;Cyclo(Phe-Trp))、シクロロイシルフェニルアラニン(CAS Registry Number:7280-77-5;Cyclo(Leu-Phe))、シクロロイシルロイシン(CAS Registry Number:952-45-4;Cyclo(Leu-Leu))、シクロフェニルアラニルフェニルアラニン(CAS Registry Number:2862-51-3;Cyclo(Phe-Phe))等が挙げられる。環状ジペプチドは1種類のみであってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。なお、環状ジペプチドについては、2種類のアミノ酸の構成が同じであればそれらの記載順序はいずれが先でも構わず、例えば、〔Cyclo(Pro-Hyp)〕と〔Cyclo(Hyp-Pro)〕は同じ環状ジペプチドを表すものである。
環状ジペプチドの塩には、薬理学的に許容される任意の塩(無機塩及び有機塩を含む)が含まれる。そのような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、有機酸塩(酢酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、蟻酸塩、安息香酸塩、ピクリン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等)等が挙げられるが、これらに限定されない。
植物由来ペプチド熱処理物に含まれる環状ジペプチド又はその塩の量は、植物由来ペプチド熱処理物の種類等に応じて異なり、特に限定されない。例えば、その含有量は、Cyclo(Ala-Gln)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Leu-Trp)及びCyclo(Phe-Phe)のいずれか一以上が、ブリックス(Brix)あたりの含量として10μg/100g/Brix以上である。別の例としては、本発明における植物由来ペプチド熱処理物に含まれる環状ジペプチド又はその塩の総量は、ブリックス(Brix)あたりの含有量として、好ましくは20000μg/100g/Brix以上、25000μg/100g/Brix以上、30000μg/100g/Brix以上、より好ましくは35000μg/100g/Brix以上である。また、当該総量は、好ましくは500mg/100g/Brix以下、400mg/100g/Brix以下、300mg/100g/Brix以下、より好ましくは200mg/100g/Brix以下である。典型的には、本発明における植物由来ペプチド熱処理物に含まれる環状ジペプチド又はその塩の総量は、好ましくは20000μg/100g/Brix〜500mg/100g/Brix、より好ましくは30000μg/100g/Brix〜400mg/100g/Brix、さらにより好ましくは35000μg/100g/Brix〜300mg/100g/Brixである。環状ジペプチドが塩の形態である場合は、遊離体(フリー体)に換算した上で上記含有量を算出するものとする。尚、本明細書では、特に断りがない限り、環状ジペプチド又はその塩の総量は、Cyclo(X-Y)で表記される任意の環状ジペプチドの合計値を表すものとする。但し、X、Yはグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リジン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン、ヒドロキシプロリン等からなる群から選ばれる任意のアミノ酸であり、XとYは同じであっても異なっていてもよい。
尚、本明細書において「ブリックス(Brix)あたりの含有量」は、20℃のショ糖溶液(ショ糖のみを溶質として含む水溶液)の質量百分率に相当する値で定められる量を意味する。Brixあたりの環状ジペプチド又はその塩の含有量は、市販のBrix測定計測器にて計測することができる。
本発明における植物由来ペプチド熱処理物の好適な態様として、大豆ペプチド熱処理物、茶ペプチド熱処理物、及び麦芽ペプチド熱処理物が例示できる。以下、これらの熱処理物について詳述する。
3−1.大豆ペプチド熱処理物
原料となる大豆(学名:Glycine max)は品種や産地などの制限なく用いることができ、粉砕品などの加工品段階のものを用いることもできる。大豆中のタンパク質は、約3割を占めると言われている。大豆タンパク質は、茶葉タンパク質のように水不溶性タンパク質が多くはないため、水溶性タンパク質を除去する前処理は必須ではなく、必要に応じて行えばよい。水溶性タンパク質を除去する前処理がない場合、ワンポット(One-Pot)反応で、より簡便に環状ジペプチドを高濃度に含有する大豆ペプチド熱処理物を製造することができる。
本発明における大豆ペプチド熱処理物は、従来の大豆タンパク分解物(大豆ペプチド)には含まれていなかった環状ジペプチドであるCyclo(Ala-Gln)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Leu-Trp)及びCyclo(Phe-Phe)のいずれか一以上をBrixあたりの含量が10μg/100g/Brix以上で含有する。
また、本発明における大豆ペプチド熱処理物は、Cyclo(Ala-Gln)、Cyclo(His-Pro)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Gly-Pro)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Pro-Thr)、Cyclo(His-Phe)、Cyclo(Ala-Pro)、Cyclo(Phe-Ser)、Cyclo(Gly-Leu)、Cyclo(Gly-Phe)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Asp-Phe)、Cyclo(Val-Pro)、Cyclo(Pro-Tyr)、Cyclo(Met-Pro)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Phe-Pro)、Cyclo(Leu-Trp)、Cyclo(Leu-Phe)、Cyclo(Leu-Leu)及びCyclo(Phe-Phe)をそれぞれ0.1ppm/Brix(10μg/100g/Brix)以上の濃度で含有する。好ましくは上記の環状ジペプチドそれぞれを0.5ppm/Brix以上、より好ましくは0.7ppm/Brix以上、さらに好ましくは0.9ppm/Brix以上、特に好ましくは1.0ppm/Brix以上、特に好ましくは1.2ppm/Brix以上の濃度で含有する大豆ペプチド熱処理物である。さらに、Cyclo(Leu-Leu)、Cyclo(Leu-Phe)、Cyclo(Ser-Tyr)及びCyclo(Pro-Thr)を、それぞれ0.1ppm/Brix(10μg/100g/Brix)以上、好ましくは0.2ppm/Brix以上、より好ましくは0.3ppm/Brix以上の濃度で含有させることができる。
この大豆ペプチド熱処理物(特に、大豆又はその粉砕物を原料として得られる熱処理物)は、苦味が強い環状ジペプチドとして知られているCyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)を含有するにも関わらず、その苦味が低減されている。同じ濃度のCyclo(Leu-Pro)及びCyclo(Phe-Pro)を含有する水溶液を調製した場合には、強い苦いが感じられたことから、共存する他の環状ジペプチドや大豆由来の成分が相加的又は相乗的にCyclo(Leu-Pro)、及びCyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)の苦味を緩和していると考えられる。特に、Cyclo(Leu-Leu)とCyclo(Leu-Phe)の総量(A)に対する苦味を有する環状ジペプチドCyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)の総量(B)の割合[(B)/(A)]が、1.0以下(好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.5以下)となる大豆ペプチド熱処理物は、苦味が顕著に低減された環状ジペプチド含有熱処理物であり、経口適用が可能である。
本発明における大豆ペプチド熱処理物中のBrixあたりの環状ジペプチド又はその塩の総量は、好ましくは20000μg/100g/Brix以上、25000μg/100g/Brix以上、30000μg/100g/Brix以上、より好ましくは35000μg/100g/Brix以上である。また、当該総量は、好ましくは500mg/100g/Brix以下、400mg/100g/Brix以下、300mg/100g/Brix以下、より好ましくは200mg/100g/Brix以下である。典型的には、本発明における大豆ペプチド熱処理物中のBrixあたりの環状ジペプチド又はその塩の総量は、好ましくは20000μg/100g/Brix〜500mg/100g/Brix、より好ましくは30000μg/100g/Brix〜400mg/100g/Brix、さらにより好ましくは35000μg/100g/Brix〜300mg/100g/Brixである。
本発明における大豆ペプチド熱処理物は、好適にはCyclo(Leu-Leu)、Cyclo(Leu-Phe)、Cyclo(Ser-Tyr)及びCyclo(Pro-Thr)を高濃度に含有する。大豆ペプチド熱処理物において、これらの濃度はそれぞれ5.0ppm/Brix(500μg/100g/Brix)以上、好ましくは6.0ppm/Brix以上、より好ましくは7.0ppm/Brix以上である。特に、Cyclo(Leu-Leu)及びCyclo(Leu-Phe)の含有量は、10.0ppm/Brix以上、好ましくは12.0ppm/Brix以上であることが好ましい。これらの上限は、50.0ppm/Brix以下、好ましくは40.0ppm/Brix以下、より好ましくは35.0ppm/Brix以下、さらに好ましくは30.0ppm/Brix以下程度である。尚、特に断りがない限り、本明細書において用いる「ppm」は、重量/容量(w/v)のppmを意味する。
3−2.茶ペプチド熱処理物
抽出原料となる茶葉としては、茶樹(学名:Camellia sinensis)を用いて製造された茶葉の葉、茎など、抽出して飲用可能な部位を使用することができる。また、その形態も大葉、粉状など制限されない。茶葉の収穫期についても、所望する香味に合わせて適宜選択できる。
本発明における茶ペプチド熱処理物は、発酵過程を経ずに製造することで副生成物の生成を抑え、香味のよいものが得られることを特徴とする。この香味の観点から、茶葉は、煎茶、番茶、ほうじ茶、玉露、かぶせ茶、甜茶等の蒸し製の不発酵茶(緑茶)や、嬉野茶、青柳茶、各種中国茶等の釜炒茶等の不発酵茶を用いることが好ましい。
一方、本発明における茶ペプチド熱処理物は、従来の茶類には含まれていなかった環状ジペプチドであるCyclo(Ala-Gln)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Leu-Trp)及びCyclo(Phe-Phe)のいずれか一以上を、10μg/100g/Brix以上の濃度で含有する。
また、本発明における茶葉ペプチド熱処理物は、Cyclo(Ala-Gln)、Cyclo(His-Pro)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Gly-Pro)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Pro-Thr)、Cyclo(His-Phe)、Cyclo(Ala-Pro)、Cyclo(Phe-Ser)、Cyclo(Gly-Leu)、Cyclo(Gly-Phe)、Cyclo(Pro-Pro)、Cyclo(Asp-Phe)、Cyclo(Val-Pro)、Cyclo(Pro-Tyr)、Cyclo(Met-Pro)、Cyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)、Cyclo(Leu-Phe)、及びCyclo(Leu-Leu)をそれぞれ0.1ppm/Brix(10μg/100g/Brix)以上の濃度で含有する。好ましくは上記の環状ジペプチドそれぞれを0.2ppm/Brix以上、より好ましくは0.3ppm/Brix以上、さらに好ましくは0.4ppm/Brix以上、特に好ましくは0.5ppm/Brix以上の濃度で含有する茶葉ペプチド熱処理物である。さらに、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Leu-Trp)、Cyclo(Phe-Trp)及びCyclo(Phe-Phe)を、それぞれ0.1ppm/Brix(10μg/100g/Brix)以上、好ましくは0.2ppm/Brix以上、より好ましくは0.3ppm/Brix以上の濃度で含有させることができる。
本発明における茶ペプチド熱処理物中のBrixあたりの環状ジペプチド又はその塩の総量は、好ましくは20000μg/100g/Brix以上、25000μg/100g/Brix以上、30000μg/100g/Brix以上、より好ましくは35000μg/100g/Brix以上である。また、当該総量は、好ましくは500mg/100g/Brix以下、400mg/100g/Brix以下、300mg/100g/Brix以下、より好ましくは200mg/100g/Brix以下である。典型的には、本発明における茶ペプチド熱処理物中のBrixあたりの環状ジペプチド又はその塩の総量は、好ましくは20000μg/100g/Brix〜500mg/100g/Brix、より好ましくは30000μg/100g/Brix〜400mg/100g/Brix、さらにより好ましくは35000μg/100g/Brix〜300mg/100g/Brixである。
本発明における茶ペプチド熱処理物は、好適にはCyclo(Leu-Leu)、Cyclo(Leu-Phe)、及びCyclo(Ala-Ala)を高濃度に含有する。これらを濃度で表わすと、それぞれ5.0ppm/Brix(500μg/100g/Brix)以上、好ましくは8.0ppm/Brix以上、より好ましくは10.0ppm/Brix以上の濃度となる茶ペプチド熱処理物となる。これらの上限は、50.0ppm/Brix以下、好ましくは40.0ppm/Brix以下、より好ましくは35.0ppm/Brix以下、さらに好ましくは30.0ppm/Brix以下程度である。
3−3.麦芽ペプチド熱処理物
原料となる麦芽(malt)は、品種や産地などの制限なく用いることができるが、特に大麦の種子を発芽させた大麦麦芽が好適に用いられる。本明細書においては、大麦麦芽を単に「麦芽」と表記することもある。大麦麦芽は、皮部を除去してタンパク質含量の高い画分を分離して用いるのが実用的であり効率的である。タンパク質含量の高い画分は、麦芽を表面から徐々に削り、穀皮を除去し、その後、アリューロン層および胚乳といったタンパク質が多く含まれる画分を削りとるという方法が挙げられる。或いは、茶葉ペプチド熱処理物のように、前抽出を行った抽出残渣を利用することができる。抽出残渣としては、ビール製造時に発生する麦芽の絞り粕を例示できる。
タンパク質含量の高い画分を原料とすれば、ワンポット(One-Pot)反応で、より簡便に環状ジペプチドを高濃度に含有する麦芽ペプチド熱処理物を製造することができる。
本発明における麦芽ペプチド熱処理物は、従来、抽出されにくかった環状ジペプチドであるCyclo(Ala-Gln)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Leu-Trp)及びCyclo(Phe-Phe)のいずれか一以上を、10μg/100g/Brix以上の濃度で含有する。
また、本発明における麦芽ペプチド熱処理物は、Cyclo(Ala-Gln)、Cyclo(His-Pro)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo (Gly-Pro)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Pro-Thr)、Cyclo(His-Phe)、Cyclo(Ala-Pro)、Cyclo (Phe-Ser)、Cyclo(Gly-Leu)、Cyclo(Gly-Phe)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Asp-Phe)、Cyclo (Val-Pro)、Cyclo(Pro-Tyr)、Cyclo(Met-Pro)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Leu-Pro)、Cyclo (Trp-Tyr)、Cyclo(Phe-Pro)、Cyclo(Leu-Trp)、Cyclo(Leu-Phe)、Cyclo(Leu-Leu) 及びCyclo(Phe-Phe)をそれぞれ0.1ppm/Brix(50μg/100g/Brix)以上の濃度で含有する。麦芽ペプチド熱処理物は、好ましくは上記の環状ジペプチドそれぞれを0.3ppm/Brix以上、より好ましくは0.4ppm/Brix以上、さらに好ましくは0.5ppm/Brix以上、特に好ましくは0.6ppm/Brix以上の濃度で含有する。
本発明における麦芽ペプチド熱処理物は、苦味が強い環状ジペプチドとして知られているCyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)を含有するにも関わらず、その苦味が低減されている。特に、Cyclo(Leu-Leu)とCyclo(Leu-Phe)の総量(A)に対する苦味を有する環状ジペプチドCyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)の総量(B)の割合[(B)/(A)]が、1.0以下(好ましくは0.8以下)となる麦芽ペプチド熱処理物は、苦味が顕著に低減された環状ジペプチド含有熱処理物であり、経口適用が可能である。
本発明における麦芽ペプチド熱処理物中のBrixあたりの環状ジペプチド又はその塩の総量は、好ましくは20000μg/100g/Brix以上、25000μg/100g/Brix以上、30000μg/100g/Brix以上、より好ましくは35000μg/100g/Brix以上である。また、当該総量は、好ましくは500mg/100g/Brix以下、400mg/100g/Brix以下、300mg/100g/Brix以下、より好ましくは200mg/100g/Brix以下である。典型的には、本発明における麦芽ペプチド熱処理物中のBrixあたりの環状ジペプチド又はその塩の総量は、好ましくは20000μg/100g/Brix〜500mg/100g/Brix、より好ましくは30000μg/100g/Brix〜400mg/100g/Brix、さらにより好ましくは35000μg/100g/Brix〜300mg/100g/Brixである。
本発明における麦芽ペプチド熱処理物は、好適にはCyclo(Leu-Leu)、Cyclo(Leu-Phe)及びCyclo(Ala-Ala)を高濃度に含有する。具体的には、これらの濃度は麦芽ペプチド熱処理物においてそれぞれ5.0ppm/Brix(500μg/100g/Brix)以上、好ましくは6.0ppm/Brix以上、より好ましくは7.0ppm/Brix以上である。これらの上限は、50.0ppm/Brix以下、好ましくは40.0ppm/Brix以下、より好ましくは30.0ppm/Brix以下、さらに好ましくは20.0ppm/Brix以下程度である。
4.血圧降下用組成物及び血圧上昇抑制用組成物
本発明の一態様は、植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として含有する血圧降下用組成物である。また、本発明は、植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として含有する血圧上昇抑制用組成物でもある。
本発明の組成物における植物由来ペプチド熱処理物の含有量は、その投与形態、投与方法などを考慮し、本発明の所望の効果が得られるような量であればよく、特に限定されるものではない。例えば、植物由来ペプチド熱処理物の含有量は、本発明の組成物の全重量に対して0.10重量%以上、好ましくは0.20重量%以上、より好ましくは0.40重量%以上である。また、植物由来ペプチド熱処理物の含有量は、本発明の組成物の全重量に対して50重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5.0重量%以下である。典型的には、植物由来ペプチド熱処理物の含有量は、本発明の組成物の全重量に対して0.10重量%〜50重量%、好ましくは0.20重量%〜10重量%、より好ましくは0.4重量%〜5.0重量%である。尚、特に断りがない限り、本明細書において用いる「重量%」は、重量/重量(w/w)を意味する。
4−1.他の成分
本発明の組成物は、その形態に応じて、植物由来ペプチド熱処理物の他に、任意の添加剤、通常用いられる任意の成分を含有することができる。これらの添加剤及び/又は成分の例としては、ビタミン類、ミネラル類、栄養成分、香料などの生理活性成分の他、製剤化において配合される賦形剤、結合剤、乳化剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤、着色剤、凝固剤、又はコーティング剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
4−2.用途
前述の植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として含有する組成物を摂取することで、血圧を下げることができ、これにより、高血圧症や高血圧症に起因する疾患を改善することができる。さらに、前述の植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として含有する組成物を摂取することで、血圧の上昇も抑制することができ、結果として高血圧症を予防することができる。尚、本発明において、高血圧症に起因する疾患は特に限定されないが、例えば、脳卒中、心疾患、腎不全等が挙げられる。また、脳卒中としては脳梗塞、脳出血、くも膜下出血等が挙げられ、心疾患としては狭心症、心筋梗塞、心肥大、心不全等が挙げられる。従って、前述の植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として含有する組成物を摂取することで、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血等の脳卒中、狭心症、心筋梗塞、心肥大、心不全等の心疾患、及び腎不全等の高血圧症に起因する疾患を予防又は改善することができる。
本発明の組成物は、例えば、植物由来ペプチド熱処理物を含有する原料に、所望により溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、又は滑沢剤等を加えて、公知の方法に従って、錠剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、又はカプセル剤等の固形剤や、通常液剤、懸濁剤、又は乳剤等の液剤等に製剤化することができる。これらの組成物はそのまま水等と共に服用することができる。また、容易に配合することが出来る形態(例えば、粉末形態や顆粒形態)に調製後、例えば、医薬品の原材料として用いることができる。
本発明は、一例として、剤の形態で提供することができるが、本形態に限定されるものではない。当該剤をそのまま組成物として、或いは当該剤を含む組成物として提供することもできる。一例として、医薬等の形態で提供することができるが、本形態に限定されるものではない。本発明の組成物としては、医薬組成物、飲食品組成物、食品組成物、飲料組成物、化粧用組成物等が挙げられるが、これらに限定されない。食品組成物の限定的でない例として、機能性食品、健康補助食品、栄養機能食品、特別用途食品、特定保健用食品、栄養補助食品、食事療法用食品、健康食品、サプリメント、食品添加剤等が挙げられる。
本発明の組成物は、治療的用途(医療用途)又は非治療用途(非医療用途)のいずれにも適用することができる。具体的には、医薬品、医薬部外品及び化粧料等としての使用が挙げられ、また、薬事法上はこれらに属さないが、血圧を下げる効果、血圧の上昇を抑制する効果、血圧の上昇を緩やかにする効果、起床時の急な血圧の上昇を抑制する効果、高血圧症の予防効果、高血圧症の改善効果、腎機能を保護する効果、又は腎機能を改善する効果等を明示的又は暗示的に訴求する組成物としての使用が挙げられる。
本発明は、別の側面では、血圧降下により発揮される機能の表示を付した、前記血圧降下用組成物に関する。このような表示又は機能表示は特に限定されないが、例えば、「血圧を下げる」、「血圧低下を期待する」、「高血圧症を予防する」、「高血圧症の改善に役立つ」、及び「腎機能を改善する」などが挙げられる。
本発明は、血圧の上昇抑制により発揮される機能の表示を付した、前記血圧上昇抑制用組成物であってもよい。このような表示又は機能表示は特に限定されないが、例えば、「血圧の上昇を抑制する」、「血圧の上昇を緩やかにする」、「起床時の急な血圧の上昇を抑制する」、「高血圧症を予防する」、「高血圧症の改善に役立つ」、「腎機能を保護する」、及び「腎機能を改善する」などが挙げられる。
本発明において、当該表示及び機能表示のような表示は、組成物自体に付されてもよいし、組成物の容器又は包装に付されていてもよい。
本発明の組成物は、その形態に応じた適当な方法で摂取することができる。摂取方法としては、例えば、内用(経口用)、外用、注射等による方法が挙げられるが、本発明の所望の効果が発揮される限り、その方法は特に限定されない。尚、本明細書において「摂取」とは、摂取、服用、又は飲用等の全態様を含むものとして用いられる。
本発明の組成物の適用量は、その形態、投与方法、使用目的及び投与対象である患者又は患獣の年齢、体重、症状によって適時設定され、一定ではない。本発明における植物由来ペプチド熱処理物の有効ヒト摂取量としては、一定ではないが、例えば、体重50kgのヒトで一日当たり、好ましくは500mg以上、より好ましくは1000mg以上である。また、投与は所望の投与量範囲内において、1日内において単回又は数回に分けて行ってもよい。投与期間も任意である。尚、植物由来ペプチド熱処理物の有効ヒト摂取量とは、ヒトにおいて有効な効果を示す植物由来ペプチド熱処理物の摂取量のことを意味する。
本発明の剤の適用対象は、好ましくはヒトであるが、ウシ、ウマ、ヤギ等の家畜動物、イヌ、ネコ、ウサギ等のペット動物、又は、マウス、ラット、モルモット、サル等の実験動物であってもよい。ヒト以外の動物を対象に投与する場合、ラット1個体当たり約20gに対して1日あたりの使用量は、組成物中の有効成分の含有量、適用対象者の状態、体重、性別及び年齢等の条件により異なるが、通常、植物由来ペプチド熱処理物の投与量は、好ましくは100mg/kg以上、より好ましくは1000mg/kg以上である。
5.血圧を下げるための植物由来ペプチド熱処理物の使用、及び血圧の上昇を抑制するための植物由来ペプチド熱処理物の使用
本発明の一態様は、植物由来ペプチド熱処理物の血圧を下げるための使用である。また、本発明は、植物由来ペプチド熱処理物の血圧の上昇を抑制するための使用であってもよい。
本発明の植物由来ペプチド熱処理物の使用には、例えば、高血圧症の予防又は改善や、脳卒中、心疾患、及び腎不全等の高血圧症に起因する様々な疾患の予防又は改善のための使用が含まれるが、これらに限定されるものではない。また、当該使用は、ヒト又は非ヒト動物における使用であり、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。ここで、「非治療的」とは、医療行為、即ち、治療による人体への処理行為を含まない概念である。
6.血圧を下げる方法、及び血圧の上昇を抑制する方法
本発明の一態様は、血圧降下を必要とする対象に、植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として治療有効量を投与することを含む、血圧を下げる方法である。また、本発明は、血圧の上昇抑制を必要とする対象に、植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として治療有効量を投与することを含む、血圧の上昇を抑制する方法であってもよい。
尚、血圧降下を必要とする対象は、本発明の血圧降下用組成物の前記投与対象と同様であり、血圧の上昇抑制を必要とする対象は、本発明の血圧上昇抑制用組成物の前記投与対象と同様である。
また、本明細書中において治療有効量とは、本発明の植物由来ペプチド熱処理物を上記対象に摂取させた場合に、摂取していない対象と比較して、血圧を降下させることができる量又は血圧の上昇を抑制できる量のことである。具体的な有効量としては、投与形態、投与方法、使用目的及び対象の年齢、体重、症状等によって適時設定され一定ではない。
本発明の方法においては、前記治療有効量となるよう、植物由来ペプチド熱処理物をそのまま、或いは、植物由来ペプチド熱処理物を含有する組成物として投与してもよい。
本発明の方法によれば、副作用を生じることなく、血圧を下げることや、血圧の上昇を抑制することが可能になる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、これにより本発明の範囲を限定するものではない。当業者は、本発明の方法を種々変更、修飾して使用することが可能であり、これらも本発明の範囲に含まれる。
実施例1:大豆ペプチド熱処理物の調製
植物由来ペプチドとして大豆ペプチドを用い、液体中にて高温高圧処理して大豆ペプチド熱処理物を製造した。具体的には、大豆ペプチド(ハイニュートAM、不二製油社製)3gに15mlの蒸留水を加え、オートクレーブ(トミー精工社製)に入れて、135℃、0.31MPa、3時間高温高圧処理を加えた。このようにして得られた大豆ペプチド熱処理物に含まれる環状ペプチドまたはその塩の総量は91386.43μg/100g/Brixであった。また、比較例として、同じペプチドを用いて高温高圧処理を行わない大豆ペプチド非加熱物を調製した。
実施例2:自然発症高血圧ラット(SHR)を用いた大豆ペプチド熱処理物の降圧作用
実施例1で調整した大豆ペプチド熱処理物(1g/kg、2g/kg)による降圧作用を評価した。対照群として大豆ペプチド非加熱物(2g/kg)による降圧作用も併せて評価した。具体的な実験方法を以下に示す。一夜絶食した動物を用いて、体重測定後に小動物無加温型非観血式血圧計(MK-2000,室町機械(株))を用いて収縮期血圧を測定した(プレ値)。測定終了後に投与物質を経口投与し,投与2、4、6、8及び24時間後にラットの収縮期血圧を測定した。絶食は、投与4時間後の測定を終了した後に解除した。得られた収縮期血圧の値は各個体についてプレ値に対する変化量(mmHg)として算出し、各群で変化量の平均値及び標準誤差を算出した。各群間の有意差はTukey法により平均値の比較を行った。その際、有意水準を危険率5%及び1%とした。結果を図1に示す。
投与後各時間において各群の平均値をTukey法により比較したところ、投与6時間後の対照群と大豆ペプチド熱処理物2g/kg投与群においてのみ、危険率10%以下の有意差が認められた(P=0.07)。また、大豆ペプチド熱処理物1g/kg投与群では、非加熱物2g/kg投与群と同様の血圧推移を示した。このことから、大豆ペプチド熱処理物は、非加熱物と比較して優れた降圧作用を有し、血圧降下用組成物や血圧上昇抑制用組成物の有効成分として有用であることが示唆された。
本発明は、高温高圧処理により簡便に製造される植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として含有し、公知の植物由来ペプチド含有素材と比較してより強力な効果を有する血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物を提供するものである。従って、本発明は、高血圧症や脳卒中、心疾患、及び腎不全等の高血圧症に起因する疾患等の予防又は改善のための安全で効果的な新たな手段を提供するものであるため、産業上の利用性が高い。

Claims (17)

  1. 植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として含有する血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物であって、
    植物由来ペプチド熱処理物の環状ジペプチド又はその塩の総量が、20000μg/100g/Brix以上である、前記組成物。
  2. 植物由来ペプチド熱処理物の環状ジペプチド又はその塩の総量が、30000μg/100g/Brix以上である、請求項1に記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
  3. 植物由来ペプチド熱処理物が、植物由来ペプチドの高温高圧処理物である、請求項1又は2に記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
  4. 植物由来ペプチド熱処理物が、植物由来ペプチドを100℃を超える温度かつ0.101MPa以上の圧力で高温高圧処理して得られるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
  5. 高温高圧処理物が、3時間以上の高温高圧処理で得られるものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
  6. 植物由来ペプチドが、大豆ペプチド、茶ペプチド、又は麦芽ペプチドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
  7. 植物由来ペプチドが大豆ペプチドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
  8. 高血圧の予防又は改善用である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
  9. 脳卒中、心疾患、又は腎不全の予防又は改善用である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
  10. 血圧降下又は血圧の上昇抑制により発揮される機能の表示を付した、請求項1〜9のいずれか一項に記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
  11. 機能の表示が、「血圧を下げる」、「血圧低下を期待する」、「血圧の上昇を抑制する」、「血圧の上昇を緩やかにする」、「起床時の急な血圧の上昇を抑制する」、「高血圧症を予防する」、「高血圧症の改善に役立つ」、「腎機能を保護する」、及び「腎機能を改善する」からなる群から選択されるものである、請求項10に記載の血圧降下用組成物又は血圧上昇抑制用組成物。
  12. 血圧を下げるための又は血圧の上昇を抑制するための、植物由来ペプチド熱処理物の使用であって、
    植物由来ペプチド熱処理物の環状ジペプチド又はその塩の総量が、20000μg/100g/Brix以上である、前記使用。
  13. 植物由来ペプチドが、大豆ペプチド、茶ペプチド、又は麦芽ペプチドである、請求項12に記載の使用。
  14. 植物由来ペプチドが大豆ペプチドである、請求項12に記載の使用。
  15. 植物由来ペプチド熱処理物を有効成分として使用する、血圧を下げる又は血圧の上昇を抑制する方法であって、
    植物由来ペプチド熱処理物の環状ジペプチド又はその塩の総量が、20000μg/100g/Brix以上である、前記方法。
  16. 植物由来ペプチドが、大豆ペプチド、茶ペプチド、又は麦芽ペプチドである、請求項15に記載の方法。
  17. 植物由来ペプチドが大豆ペプチドである、請求項15に記載の方法。
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