JPWO2016203520A1 - Tスロットカッタ - Google Patents

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Abstract

Tスロットカッタ(1)は、ワークにT溝を切削する為の工具であり、ボディ(2A)とインサート部(3)を備える。インサート部(3)は、ボディ(2A)の先端部にネジ(8)で固定される。インサート部(3)はインサート(4)と(5)を重ね合わせて構成される。インサート部(3)を構成するインサートの組み合わせを変えることで、ワークに切削するT溝の溝幅と角形状を簡単に調整できる。また、インサート(4,5)の夫々の合わせ面にて、インサート(4)の合わせ面の凸部と凹部は、インサート(5)の合わせ面の凹部と凸部に重ねられる。それ故、インサート(4,5)は厚み方向において互いに一部が重なるので、インサート部(3)の突出長を短くできる。

Description

本発明はワークにT字状の溝を切削するTスロットカッタに関する。
柄部と、柄部の先端に設けられた刃部とを有し、軸心回りに回転駆動されることによって、ワークにT字状の溝を切削するTスロットカッタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−18354号公報
特許文献1に記載のTスロットカッタは、ワークに加工する溝の幅(軸方向に平行な長さ)と角形状に合わせて夫々用意する必要がある。それ故、工具本数が多くなってしまうので、工具の制作費用が増加する上、工具管理が面倒であるという問題点があった。
本発明の目的は、ワークに加工される溝幅と溝の角形状を簡単に調整できるTスロットカッタを提供することである。
本発明の態様によれば、円柱状のボディと、円盤状のインサート部と、前記ボディの軸方向の一端部に前記インサート部を着脱可能に固定する固定手段とを備え、ワークにT字状の溝を加工する為のTスロットカッタであって、前記インサート部は、刃部を外周と側面に備える円盤状のインサートを一枚で、又は複数枚を互いに同軸上に重ね合わせて構成することが可能であって、前記インサートは両面の夫々に、前記インサートの厚み方向の中心から前記厚み方向の両側に夫々突出して形成され、前記中心から最も離間する凸部と、前記凸部を除く部分に設けられ、前記中心から前記厚み方向の両側に夫々突出して形成され、前記凸部よりも低い凹部とを備え、複数枚の前記インサートを互いに同軸上に重ね合わせたときに、互いに重なり合う第1のインサートと第2のインサートの夫々の合わせ面において、前記第1のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凸部は、前記第2のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凹部内に挿入され、
前記第2のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凸部は、前記第1のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凹部内に挿入されることを特徴とするTスロットカッタが提供される。
本態様は、インサート部を、複数枚のインサートを同軸上に重ね合わせて構成できるので、ワークに加工する溝幅や溝の角形状を、組み合わせるインサートで簡単に調整できる。また、互いに重ね合わされた第1インサートと第2インサートの夫々の合わせ面において、第1インサート側の凸部は、第2インサート側の凹部に挿入され、第2インサート側の凸部は、第1インサート側の凹部に挿入される。第1インサートと第2インサートは、夫々の厚み方向において互いに一部が重なる。よって、第1インサートと第2インサートを重ね合わせたときのインサート部の厚みは、第1インサートと第2インサートの夫々の単体の厚みの合計よりも小さくなる。従って、本態様は、インサート部の突出長を短くできるので、工具剛性を向上できる。さらに、回転時に生じる振れを抑制できる。
本態様の前記凸部は、前記刃部と前記インサートの中心部との間に設けられていてもよい。本態様は、インサートのうち厚みのある凸部を、インサートの外周に設けられた刃部に対応して配置するので、刃部を支持するインサートの外周部分の剛性を向上できる。
本態様の前記インサートの前記中心部には、前記厚み方向に貫通する軸穴が設けられ、前記ボディの前記一端部には、前記インサートの片面と接触する接触面が設けられ、前記接触面の中心には、前記ボディの軸方向に沿って突出し、前記軸穴に挿入されるボスが設けられていてもよい。インサートをボディの一端部に固定するとき、ボディ側のボスをインサートの軸穴に挿入し、インサートの片面をボディ側の接触面に接触させた状態で、固定手段で固定する。それ故、本態様は、ボディの一端部に対してインサートを簡単に位置決めできるので、ボディに対するインサートの取付作業を効率よく行うことができる。
本態様の前記接触面には、前記片面に設けられた前記凹部に対応する位置に、前記片面側に突出して設けられ、前記凹部内に挿入されるボディ側凸部と、前記片面に設けられた前記凸部に対応する位置に、前記ボディ側凸部よりも低く設けられ、前記凸部を内側に挿入させるボディ側凹部とが夫々設けられていてもよい。接触面にインサートの片面を接触させるとき、インサートの片面に設けられた凸部を、接触面に設けられたボディ側凹部内に挿入できる。それ故、本態様は、インサート部の突出長をさらに短くできる。
本態様の前記固定手段はネジであって、前記インサートには、前記厚み方向に貫通し、前記ネジの軸部を挿入する為の挿入穴が設けられ、前記接触面において前記挿入穴に対応する位置には、前記ネジを締結する為のネジ穴が設けられていてもよい。それ故、本態様は、インサートをボディに対して強固に固定できる。
本態様の前記第1インサートの前記合わせ面に設けられた前記凸部の先端部は、前記第2インサートの前記合わせ面に設けられた前記凹部の底部と当接し、前記第2インサートの前記合わせ面に設けられた前記凸部の先端部は、前記第1インサートの前記合わせ面に設けられた前記凹部の底部とは接触しないようにしてもよい。それ故、本態様は、第1インサートの合わせ面と第2インサートの合わせ面をがたつくことなく平行に重ね合わせることができるので、複数枚のインサートで構成されたインサート部の厚みを均一にできる。
本態様の前記インサートの両面の夫々において、前記凸部の数と前記凹部の数は同一のn個であり、前記インサートの中心部から前記凸部の最外周縁部と接触し、且つ前記凸部を間に全て含むときの二本の第1仮想直線が示す最小角度をX、前記中心部から前記凹部の最外周縁部と接触する二本の第2仮想直線の間に前記凸部を含まないときの最大角度をYとした場合、X<Yであり、n個の前記凸部の夫々のXの合計は180°未満であり、n個の前記凹部の夫々のYの合計は180°より大きく、n個の前記凸部の夫々のXのうち最大角度Xmaxは180/n未満であり、n個の前記凹部の夫々のYのうち最大角度Ymaxは180/nよりも大きくなるようにしてもよい。それ故、インサートの両面の夫々に設けられた凸部及び凹部は、インサートを裏返しても、他方のインサートの凹部及び凸部と重なることができる。
本態様の前記インサート部を、複数枚の前記インサートを互いに同軸上に重ね合わせて構成したときに、複数枚の前記インサートのうち何れかを、厚みの異なる前記インサートと入れ替え交換することで、複数枚の前記インサートに夫々設けられた前記刃部によって前記ワークに切削する溝幅を調節可能としてもよい。それ故、本態様は、ワークに切削される溝幅を簡単に調節できる。
本態様の前記インサート部は、前記第1のインサート及び前記第2のインサートと、前記第1のインサートと前記第2のインサートとの間に重ね合される前記インサートである第3のインサートとを備え、前記第3のインサートの厚みを変えることで、前記ワークに切削する前記溝の前記軸方向に平行な長さである溝幅を調節可能としてもよい。それ故、本態様は、インサート部において、厚みの異なるインサートを重ねることで、インサート部3の厚みが変わるので、ワークに切削される溝幅を簡単に調節できる。
本態様は、複数枚の前記インサートを互いに同軸上に重ね合わせたときに、前記第1のインサートの前記合わせ面と前記第2のインサートの前記合わせ面との間に重ねる板状のスペーサを備えてもよい。それ故、本態様は、厚みの異なるスペーサを入れ替え交換することで、ワークに切削される溝幅を簡単に調節できる。
本態様の前記スペーサは、前記第1のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凸部と、当該凸部の先端部と当接する前記第2のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凹部の底部との間に配置されてもよい。これにより、ワークに切削される溝幅に対して、スペーサの厚み分を簡単に追加できる。
Tスロットカッタ1の全体斜視図である。 インサート4の斜視図である。 インサート4の平面図である。 インサート4の側面図である。 インサート5の斜視図である。 インサート5の平面図である。 インサート5側面図である。 インサート4と5を重ね合わせ、インサート部3を作成する方法を示す図である。 インサート部3をインサート4側から見た図である。 インサート130の側面図である。 インサート部130の平面図である。 ボディ2Aの先端側の部分拡大斜視図である。 ボディ2Aの先端側の端面図である。 ボディ2Bの先端側の部分拡大斜視図である。 ボディ2Bの先端側の端面図である。 ボディ2Aの取付面90にインサート5を重ね合わせた状態を示す図である。 ボディ2Bの取付面190にインサート4を重ね合わせた状態を示す図である。 Tスロットカッタ1で、ワーク100にT溝501を切削するときの概念図である。 インサート4と6で構成されたインサート部3の側面図である。 インサート7と9で構成されたインサート部3の側面図である。 3枚のインサート4,5,4で構成されたインサート部3の斜視図である。 Tスロットカッタ110で、ワーク100にT溝502を切削するときの概念図である。 Tスロットカッタ210で、ワーク100にT溝103を切削するときの概念図である。 スペーサ300の平面図である。 インサート5の片面にスペーサ300を配置した状態を示す図である。 インサート5の両側にスペーサ300を一枚ずつ挟み込んだインサート部3の側面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下説明する実施形態の具体的構成に何ら限定されるものではない。
図1,図18を参照し、Tスロットカッタ1の構造を説明する。図1に示すTスロットカッタ1は、例えばワーク100にT字状の溝501(以下「T溝」と呼ぶ)を切削する為の工具である(図18参照)。Tスロットカッタ1はインサート式工具であり、略円柱状のボディ2Aと、該ボディ2Aの先端部(軸線方向一端部)に着脱可能に固定されたインサート部3とを備える。ボディ2Aは、図示しない工作機械の主軸等に取り付けられて回転駆動されるシャンクである。ボディ2Aの材質は、例えばインサート部3を構成する後述するインサート4,5に比較して耐摩耗性、硬さ、強度等が低い炭素鋼や合金鋼等を採用できる。
インサート部3は、ボディ2Aの先端部に対し、4本のネジ8で着脱可能に固定されている。インサート部3は、一枚、又は複数枚の円盤状のインサートを同軸上に重ね合わせて構成される。図1に示すインサート部3は、2枚のインサート4,5を同軸上に重ね合わせて構成されている。インサート4,5は、超硬合金、高速度工具鋼、又はセラミック等の所定材料で形成される。また、必要に応じてTiNやTiCN、TiAlN、CrN等の化合物被膜やDLC(Diamond Like Carbon;ダイヤモンド状カーボン)膜、ダイヤモンド被膜等の硬質被膜をコーティングしてもよく、水蒸気処理、窒化処理等を施してもよい。尚、後述するが、インサート部3を構成するインサートの組み合わせは、ワークに切削するT溝の溝幅(軸方向に平行な長さ)と、T溝の角形状に合わせて選択される。
図2〜4を参照し、インサート4の構造を具体的に説明する。なお、図4は、図3に示すインサート4を矢印D1方向から見たときの側面図である。図2,図3に示すように、インサート4は、インサート本体10と、8つの刃部11〜18とを備える。インサート本体10は、所定厚を有する略円盤状に形成され、一面10Aと他面10B(図4参照)を備える。インサート本体10は、軸穴41と4つの挿入穴43〜46を備える。軸穴41は、インサート本体10の中心部に設けられ、一面10Aと他面10Bを貫通する。軸穴41には、ボディ2Aの先端部に設けられた後述するボス111(図12参照)が挿入される。4つの挿入穴43〜46は、軸穴41を中心に十字の方向に夫々配置され、且つ後述する刃部12,14,16,18に夫々対応する位置に設けられている。これら挿入穴43〜46には、4本のネジ8(図1参照)が挿入される。
刃部11〜18は、インサート本体10の外周縁部において、周方向に互いに等間隔に設けられている。なお、説明の便宜上、刃部11〜18は、インサート本体10を一面10Aから見たときに、時計回りに順に配置されているものとする。刃部11〜18は、径方向外側に略矩形状に突出し、且つ軸方向に対して平行に形成されている。刃部11〜18の刃先11A〜18Aは、一面10A側から見たときの周方向左側(他面10Bから見たときの周方向右側)に夫々形成されている。刃先11A〜18Aの両角部は、軸方向に対して斜めに延びるテーパ状に形成されている。それ故、刃部11〜18は、ワークに切削するT溝の両角部をテーパ状に加工する。即ち、刃部の刃先形状は、ワークに切削するT溝の両角部の形状に対応する。
次に、インサート本体10の表面形状を説明する。図2,図3に示すように、一面10Aと他面10Bには、8つの略扇型状の凸部21〜28、8つの略扇型状の凹部31〜38、環状凹部39が夫々設けられている。一面10Aと他面10Bの夫々において、凸部21〜28は、刃部11〜18に夫々対応する位置に設けられている。凸部21は、刃部11と軸穴41の間に、インサート本体10の厚み方向に突出して設けられ、刃部11の基部から軸穴41側に向かって先細りに形成されている。凸部22は、刃部12と挿入穴43の間に、インサート本体10の厚み方向に突出して設けられ、刃部12の基部から挿入穴43側に向かって先細りに形成されている。
凸部23,25,27は、凸部21と同様に、刃部13,15,17と軸穴41との間において、インサート本体10の厚み方向に突出して設けられ、刃部13,15,17の基部から軸穴41側に向かって先細りに形成されている。また、凸部24,26,28は、凸部22と同様に、挿入穴44,45,46と、刃部14,16,18との間において、インサート本体10の厚み方向に突出して設けられ、刃部14,16,18の夫々の基部から挿入穴44,45,46側に向かって先細りに形成されている。
一面10Aと他面10Bにおいて、凹部31〜38は、凸部21〜28を除く部分で、且つ凸部21〜28の夫々の間に設けられ、インサート本体10の厚み方向において、凸部21〜28よりも低く形成されている。凹部31は、凸部21と22の間に設けられ、インサート本体10の外周縁部から軸穴41側に向かって先細りに形成されている。そして、凹部31と同様に、凹部32は、凸部22と23の間に設けられ、凹部33は、凸部23と24の間に設けられ、凹部34は、凸部24と25の間に設けられ、凹部35は、凸部25と26の間に設けられ、凹部36は、凸部26と27の間に設けられ、凹部37は、凸部27と28の間に設けられ、凹部38は、凸部28と21の間に設けられ、インサート本体10の外周縁部から軸穴41側に向かって先細りに夫々形成されている。環状凹部39は、軸穴41の外周縁部に沿って環状に、且つ凸部21〜28よりも低く形成され、凹部31〜38の夫々の軸穴41側の端部と接続する。環状凹部39と凹部31〜38は、互いに同一平面である。図4に示すように、一面10Aに設けられた凸部21〜28及び凹部31〜38と、他面10Bに設けられた凸部21〜28及び凹部31〜38とは、インサート10本体の厚み方向において互いに同一位置に夫々配置されている。
図4に示すように、上記構造を備えるインサート4において、インサート本体10の厚み方向の中心から一面10A側の凸部21〜28の各先端部までの長さをM1、他面10B側の凸部21〜28の各先端部までの長さをM2、インサート本体10の厚み方向の中心から一面10A側の凹部31〜38の各底部までの長さをN1、インサート本体10の厚み方向の中心から他面10B側の凹部31〜38の各底部までの長さをN2とする。インサート4の厚みL1は、一面10A側の凸部21〜28から、他面10B側の凸部21〜28までの長さであるので、M1とM2を加算した長さである。このとき、インサート4は、M1=M2、M1>M2、M1<M2、N1=N2、N1>N2、N1<N2の何れの場合も適用可能である。
図5〜7を参照し、インサート5の構造を具体的に説明する。なお、図7は、図6に示すインサート5を矢印D2方向から見たときの側面図である。図5,図6に示すように、インサート5は、インサート本体50と、8つの刃部51〜58とを備える。インサート本体50は、所定厚を有する略円盤状に形成され、一面50Aと他面50B(図7参照)を備える。インサート本体50は、軸穴81と4つの挿入穴83〜86を備える。軸穴81は、インサート本体50の中心部に設けられ、一面50Aと他面50Bを貫通する。軸穴81には、ボディ2Aの先端部に設けられた後述するボス111(図12参照)が挿入される。4つの挿入穴83〜86は、軸穴81を中心に十字の方向に夫々配置され、刃部51と52の間、刃部53と54の間、刃部55と56の間、刃部57と58の間に夫々対応する各位置に設けられている。これら挿入穴83〜86には、4本のネジ8(図1参照)が挿入される。
刃部51〜58は、インサート本体50の外周縁部において、周方向に互いに等間隔に設けられている。なお、説明の便宜上、刃部51〜58は、インサート本体50を一面50Aから見たときに、時計回りに順に配置されているものとする。刃部51〜58は、径方向外側に略矩形状に突出し、且つ軸方向に対して平行に形成されている。刃部51〜58の刃先51A〜58Aは、一面50A側から見たときの周方向左側(他面50Bから見たときの周方向右側)に夫々形成されている。インサート4と同様に、刃先51A〜58Aの両角部も、軸方向に対して斜めに延びるテーパ状に形成されている。それ故、刃部51〜58は、ワークに切削するT溝の両角部をテーパ状に加工する。
次に、インサート本体50の表面形状を説明する。図5,図6に示すように、一面50Aと他面50Bには、8つの略扇型状の凸部61〜68、8つの略扇型状の凹部71〜78、環状凹部79が夫々設けられている。一面50Aと他面50Bの夫々において、凸部61〜68は、刃部51〜58に夫々対応する位置に設けられている。凸部61は、刃部51と軸穴81の間に、インサート本体50の厚み方向に突出して設けられ、刃部51の基部から軸穴81側に向かって先細りに形成されている。凸部61の挿入穴83と重複する部分は、挿入穴83の湾曲する外縁部に沿って湾曲して形成されている。凸部62は、刃部52と軸穴81の間に、インサート本体50の厚み方向に突出して設けられ、刃部52の基部から軸穴81側に向かって先細りに形成されている。凸部62の挿入穴83と重複する部分は、挿入穴83の湾曲する外縁部に沿って湾曲して形成されている。
なお、凸部61,62と同様に、凸部63,64は、刃部53,54と軸穴81の間に、インサート本体50の厚み方向に突出して設けられ、刃部53,54の基部から軸穴81に向かって先細りに形成されている。凸部63,64の挿入穴84と重複する部分は、挿入穴84の湾曲する外縁部に沿って夫々湾曲して形成されている。凸部65,66は、刃部55,56と軸穴81の間に、インサート本体50の厚み方向に突出して設けられ、刃部55,56の基部から軸穴81側に向かって先細りに形成されている。凸部65,66の挿入穴85と重複する部分は、挿入穴85の湾曲する外縁部に沿って夫々湾曲して形成されている。凸部67,68は、刃部57,58と軸穴81の間に、インサート本体50の厚み方向に突出して設けられ、刃部57,58の基部から軸穴81に向かって先細りに形成されている。凸部67,68の挿入穴86と重複する部分は、挿入穴86の湾曲する外縁部に沿って夫々湾曲して形成されている。
一面50Aと他面50Bにおいて、凹部71〜78は、凸部61〜68を除く部分で、且つ凸部61〜68の夫々の間に設けられ、インサート本体50の厚み方向において、凸部61〜68よりも低く形成されている。凹部71は、凸部61と62の間に設けられ、凹部72は、凸部62と63の間に設けられ、凹部73は、凸部63と64の間に設けられ、凹部74は、凸部64と65の間に設けられ、凹部75は、凸部65と66の間に設けられ、凹部76は、凸部66と67の間に設けられ、凹部77は、凸部67と68の間に設けられ、凹部78は、凸部68と61の間に設けられている。凹部71〜78は、夫々、インサート本体50の外周縁部から軸穴81側に向かって先細りに形成されている。
挿入穴83〜86は、凹部71,73,75,77の夫々の軸穴81側に設けられている。環状凹部79は、軸穴81の外周縁部に沿って環状に、且つ凸部61〜68よりも低く形成され、凹部71〜78の夫々の軸穴81側の端部と接続する。環状凹部79と凹部71〜78は、互いに同一平面である。図7に示すように、一面50Aに設けられた凸部61〜68及び凹部71〜78と、他面50Bに設けられた凸部61〜68及び凹部71〜78とは、インサート本体50の厚み方向において互いに同一位置に夫々配置されている。
上記構造を備えるインサート5において、インサート本体50の厚み方向の中心から一面50A側の凸部61〜68の各先端部までの長さをM3、他面50B側の凸部61〜68の各先端部までの長さをM4、インサート本体50の厚み方向の中心から一面50A側の凹部71〜78の各底部までの長さをN3、インサート本体50の厚み方向の中心から他面50B側の凹部71〜78の各底部までの長さをN4とする。インサート5の厚みL2は、一面50A側の凸部61〜68から、他面50B側の凸部61〜68までの長さであるので、M3とM4を加算した長さである。このとき、インサート5は、M3=M4、M3>M4、M3<M4、N3=N4、N3>N4、N3<N4の何れの場合も適用可能である。
図8,図9を参照し、インサート4と5を重ね合わせてインサート部3を作成する方法を説明する。なお、図8に示すインサート4は、図3のインサート4を矢印D1方向から見たときの側面を示す。図8に示すインサート5は、図6のインサート5を矢印D3方向から見たときの側面を示す。図9では、インサート5を実線、インサート4を二点鎖線で示している。
図8に示すように、例えば、インサート4の他面10Bと、インサート5の一面50Aを対向させ、互いに重ね合わせる。このとき、他面10Bと一面50Aが合わせ面となる。
図8,図9に示すように、他面10Bに設けられた凸部21は、一面50Aに設けられた凹部78に挿入される。他面10Bに設けられた凸部22は、一面50Aに設けられた凹部71に挿入される。他面10Bに設けられた凸部23は、一面50Aに設けられた凹部72に挿入される。他面10Bに設けられた凸部24は、一面50Aに設けられた凹部73に挿入さる。他面10Bに設けられた凸部25は、一面50Aに設けられた凹部74に挿入される。他面10Bに設けられた凸部26は、一面50Aに設けられた凹部75に挿入される。他面10Bに設けられた凸部27は、一面50Aに設けられた凹部76に挿入される。他面10Bに設けられた凸部28は、一面50Aに設けられた凹部77に挿入される。
一方、一面50Aに設けられた凸部61は、他面10Bに設けられた凹部31に挿入される。一面50Aに設けられた凸部62は、他面10Bに設けられた凹部32に挿入される。一面50Aに設けられた凸部63は、他面10Bに設けられた凹部33に挿入される。一面50Aに設けられた凸部64は、他面10Bに設けられた凹部34に挿入される。一面50Aに設けられた凸部65は、他面10Bに設けられた凹部35に挿入される。一面50Aに設けられた凸部66は、他面10Bに設けられた凹部36に挿入される。一面50Aに設けられた凸部67は、他面10Bに設けられた凹部37に挿入される。一面50Aに設けられた凸部68は、他面10Bに設けられた凹部38に挿入される。このようにして、インサート4と5が同軸上に互いに重ね合わされ、インサート部3が構成される。
ここで、インサート部3では、他面10Bに設けられた凸部21の先端部が、一面50Aに設けられた凹部78の底部と当接する。他面10Bに設けられた凸部22の先端部が、一面50Aに設けられた凹部71の底部と当接する。他面10Bに設けられた凸部23の先端部が、一面50Aに設けられた凹部72の底部と当接する。他面10Bに設けられた凸部24の先端部が、一面50Aに設けられた凹部73の底部と当接する。他面10Bに設けられた凸部25の先端部が、一面50Aに設けられた凹部74の底部と当接する。他面10Bに設けられた凸部26の先端部が、一面50Aに設けられた凹部75の底部と当接する。他面10Bに設けられた凸部27の先端部が、一面50Aに設けられた凹部76の底部と当接する。他面10Bに設けられた凸部28の先端部が、一面50Aに設けられた凹部77の底部と当接する。
一方、他面50Bに設けられた凸部61の先端部は、一面50Aに設けられた凹部31の底部に対して隙間を空けて対向する。他面50Bに設けられた凸部62の先端部は、一面50Aに設けられた凹部32の底部に対して隙間を空けて対向し、他面50Bに設けられた凸部63の先端部は、一面50Aに設けられた凹部33の底部に対して隙間を空けて対向する。他面50Bに設けられた凸部64の先端部は、一面50Aに設けられた凹部34の底部に対して隙間を空けて対向する。他面50Bに設けられた凸部65の先端部は、一面50Aに設けられた凹部35の底部に対して隙間を空けて対向する。他面50Bに設けられた凸部66の先端部は、一面50Aに設けられた凹部36の底部に対して隙間を空けて対向する。他面50Bに設けられた凸部67の先端部は、一面50Aに設けられた凹部37の底部に対して隙間を空けて対向する。他面50Bに設けられた凸部68の先端部は、一面50Aに設けられた凹部38の底部に対して隙間を空けて対向する。
図8に示すように、インサート部3の厚みL3は、インサート4の一面10Aに設けられた凸部21〜28の各先端部と、インサート5の他面50Bに設けられた凸部61〜68の各先端部との間の距離に相当する。そして、上記のように、他面10Bと一面50Aの夫々の凸部と凹部が互いに重ね合されることで、インサート4の他面10B側の厚みM2(図4参照)と、インサート5の一面50A側の厚みM3(図7参照)とを、インサート部3の厚み方向において互いに重ねることができる。即ちTスロットカッタ1は、インサート部3の厚みL3を、インサート4の厚みL1(図4参照)とインサート5の厚みL2(図7参照)を加算した距離よりも短くすることができる。例えば、インサート4の厚みL1が5mm、インサート5の厚みL2が4mmのとき、インサート4,5の単体の厚みL1,L2の合計が9mmに対し、重ねた状態での厚みの合計L3は8mmとなる。この場合のインサート4と5の厚み方向において互いに重なる長さは1mmである。これにより、Tスロットカッタ1は、インサート部3の軸線方向における突出長を短くできるので、インサート部3の剛性を向上できる。さらに、インサート部3の剛性を向上できるので、Tスロットカッタ1の回転時に生じる振れを抑制できる。
また、インサート4と5を、厚み方向において一部を重ねることができるので、インサート4の刃部11〜18と、インサート5の刃部51〜58とが厚み方向において一部が重なる。これにより、刃部11〜18で切削される切削面と、刃部51〜58で切削される切削面とが離れずに連続するので、切削面を滑らかにできる。
また、上記のように、インサート4の他面10Bの凸部21〜28の先端部は、インサート5の一面50Aの凹部71〜78の底部と夫々当接するが、インサート5側の凸部61〜68の先端部は、インサート4の凹部31〜38の底部とは接触しない。これは、インサート5の凸部61〜68の高さの方が、インサート4の凹部31〜38の深さよりも低いからである。なお、凸部の高さとは、凹部との高低差であり、凹部の底部から凸部の先端部までの長さである。凹部の深さとは、凸部との高低差であり、凸部の先端部から凹部の底部までの長さである。これにより、インサート部3は、インサート4と5を偏りなく互いに平行に重ね合わせることができる。
図10,図11を参照し、インサートにおける凸部と凹部の配置条件を説明する。図8に示すインサート4と5の夫々の合わせ面に設けられた凸部と凹部は、インサート4,5の一方、又は両方を裏返しても、互いに重ね合わせることができる。その為には、インサートの両面に設ける凸部と凹部を、後述する配置条件に従って配置する必要がある。そこで、図10,図11に示すインサート130を例に、凸部と凹部の配置条件を説明する。なお、図10は、図11のインサート130を矢印D4方向から見たときの側面図である。
インサート130は、円盤状のインサート本体140を備える。なお、図10,図11では、インサート130に設けられる刃部、軸穴、挿入穴を省略している。インサート本体140は、一面140Aと他面140Bを備える。一面140Aと他面140Bの表面形状は同一である。
図11に示すように、一面140Aには、中心Oを取り囲むようにして時計回りに、5つの凸部141〜145と、5つの凹部151〜155とが交互に配置されている。次いで、中心Oから凸部141の周方向両側の最外周縁部に夫々接触する仮想直線A1とA2を引き、これら仮想直線A1とA2の間に凸部141を全て含むときの最小角度をX1とする。そして、凸部141と同様に、凸部142の最外周縁部に夫々接触する2本の仮想直線の最小角度をX2、凸部143の最外周縁部に夫々接触する2本の仮想直線の最小角度をX3、凸部144の最外周縁部に夫々接触する2本の仮想直線の最小角度をX4、凸部145の最外周縁部に夫々接触する2本の仮想直線の最小角度をX5とする。なお、凸部141〜145の夫々の形状は、2本の仮想直線の間であれば、どのような形状であってもよい。
さらに、中心Oから凹部151の周方向両側の最外周縁部に夫々接触する2本の仮想直線B1とB2を引き、これら仮想直線B1とB2の間に凸部を含まないときの最大角度をY1とする。凹部151と同様に、凹部152の最外周縁部に夫々接触する2本の仮想直線の間に凸部を含まないときの最大角度をY2、凹部153の最外周縁部に夫々接触する2本の仮想直線の間に凸部を含まないときの最大角度をY3、凹部154の最外周縁部に夫々接触する2本の仮想直線の間に凸部を含まないときの最大角度をY4、凹部155の最外周縁部に夫々接触する2本の仮想直線の間に凸部を含まないときの最大角度をY5とする。
このような凸部と凹部を両面に備える2枚のインサート130を互いに重ね合わせてインサート部3を構成する場合に、一方を裏返しても他方と重ね合わせることができる為には、以下の5つの条件を満たすことが必要である。
(1)X1〜X5の何れもY1〜Y5より小さい。
(2)凸部141〜145の夫々のX1〜X5の合計は180°未満。
(3)凹部151〜155の夫々のY1〜Y5の合計は180°より大きい。
(4)X1〜X5のうち最大角度Xmaxは180/5°未満。
(5)Y1〜Y5のうち最大角度Ymaxは180/5°よりも大きい。
さらに、X1+Y1、X2+Y2、X3+Y3、X4+Y4、X5+Y5が何れも360/5°と同じになる場合は等分割となる。この場合、一方のインサート130の合わせ面に設けられた凸部141〜145と凹部151〜155は、他方のインサート130の合わせ面に設けられた凹部151〜155と凸部141〜145に対して、どの位置でも干渉なく重ね合わせることができる。なお、本実施形態のインサート4,5は、上記の配置条件を何れも満たしている。よって、インサート部3において、インサート4,5の一方、又は両方を裏返しても互いに重ね合わせることができ、夫々の両面に設けられた凸部と凹部は、どの位置でも干渉無く重ね合わせることができる。
図12,図13を参照し、ボディ2Aの取付面90の形状を説明する。ボディ2Aは、先端部に円形状の取付面90を備える。取付面90には、インサート5(図5,図6参照)を着脱可能に取り付けることができる。取付面90には、ボス111と、4つのネジ穴113〜116とが夫々設けられている。ボス111は、取付面90の中心部に設けられ、ボディ2Aの軸線上に沿って延びる略円柱状に形成されている。4つのネジ穴113〜116は、ボス111を中心に十字の方向に夫々配置され、時計回りに順に配置されている。これらネジ穴113〜116には、4本のネジ8(図1参照)が締結される。
取付面90は、インサート5の両面の凹凸形状に対応する凹凸形状を備える。取付面90には、8つの略扇型状の凸部91〜98、8つの略扇型状の凹部101〜108、環状凹部109が夫々設けられている。凸部91は、ネジ穴113と116の間の中央に、ボディ2Aの軸線方向に対して平行に突出して設けられ、取付面90の外周縁部からボス111側に向かって先細りに形成されている。凸部92は、ネジ穴113の位置に、ボディ2Aの軸線方向に対して平行に突出して設けられ、外周縁部からボス111側に向かって先細りに形成されている。凸部92はネジ穴113によって分断されている。
また、凸部91と同様に、凸部93はネジ穴113と114の間の中央に、凸部95はネジ穴114と115の間の中央に、凸部97はネジ穴115と116の間の中央に、ボディ2Aの軸線方向に対して平行に突出して設けられ、取付面90の外周縁部からボス111側に向かって先細りに夫々形成されている。また、凸部92と同様に、凸部94はネジ穴114の位置に、凸部96はネジ穴115の位置に、凸部98はネジ穴116の位置に、ボディ2Aの軸線方向に対して平行に突出して設けられ、取付面90の外周縁部からボス111側に向かって先細りに夫々形成されている。凸部94,96,98はネジ穴114,115,116によって分断されている。
一方、凹部101〜108は、凸部91〜98の夫々の間に設けられ、ボディ2Aの軸線方向において、凸部91〜98よりも軸線方向後端側に低く形成されている。凹部101は、凸部91と92の間に設けられ、取付面90の外周縁部からボス111側に向かって先細りに形成されている。そして、凹部101と同様に、凹部102は、凸部92と93の間に設けられ、凹部103は、凸部93と94の間に設けられ、凹部104は、凸部94と95の間に設けられ、凹部105は、凸部95と96の間に設けられ、凹部106は、凸部96と97の間に設けられ、凹部107は、凸部97と98の間に設けられ、凹部108は、凸部98と91の間に設けられ、取付面90の外周縁部からボス111側に向かって先細りに夫々形成されている。
環状凹部109は、ボス111の外周に沿って環状に設けられ、凹部101〜108の夫々のボス111側の端部と接続する。環状凹部109は、ボディ2Aの軸線方向において、凹部101〜108よりも低く形成されている。そして、取付面90の凸部91〜98と凹部101〜108も、上記の凸部と凹部の配置条件を満たしている。
図12,図13,図16を参照し、ボディ2Aに対してインサート部3を取り付ける方法を説明する。なお、ここでは、図1に示すTスロットカッタ1を作成することを目的として、インサート部3をボディ2Aに取り付ける方法を説明する。上記のように、ボディ2Aは、インサート5を取り付けることができる。それ故、ボディ2Aの取付面90に対して、インサート部3のうちインサート5の他面50B側を対向させる。次いで、取付面90のボス111を、インサート5の軸穴81、インサート4の軸穴41の順に挿入させる。そして、インサート5の他面50Bを、取付面90に対して重ね合わせる。このとき、他面50Bと取付面90が合わせ面となる。
図16では、ボディ2Aの取付面90を実線、インサート5を二点鎖線で示している。図16に示すように、インサート5の他面50Bに設けられた凸部61は、取付面90に設けられた凹部101に挿入される。他面50Bに設けられた凸部62は、取付面90に設けられた凹部102に挿入される。他面50Bに設けられた凸部63は、取付面90に設けられた凹部103に挿入される。他面50Bに設けられた凸部64は、取付面90に設けられた凹部104に挿入される。他面50Bに設けられた凸部65は、取付面90に設けられた凹部105に挿入される。他面50Bに設けられた凸部66は、取付面90に設けられた凹部106に挿入される。他面50Bに設けられた凸部67は、取付面90に設けられた凹部107に挿入される。他面50Bに設けられた凸部68は、取付面90に設けられた凹部108に挿入される。
一方、取付面90に設けられた凸部91は、他面50Bに設けられた凹部78に挿入される。取付面90に設けられた凸部92は、他面50Bに設けられた凹部71に挿入される。取付面90に設けられた凸部93は、他面50Bに設けられた凹部72に挿入される。取付面90に設けられた凸部94は、他面50Bに設けられた凹部73に挿入される。取付面90に設けられた凸部95は、他面50Bに設けられた凹部74に挿入される。取付面90に設けられた凸部96は、他面50Bに設けられた凹部75に挿入される。取付面90に設けられた凸部97は、他面50Bに設けられた凹部76に挿入される。取付面90に設けられた凸部98は、他面50Bに設けられた凹部77に挿入される。
次いで、インサート4の挿入穴43〜46と、インサート5の挿入穴83〜86とに対して、4本のネジ8を夫々挿入し、取付面90のネジ穴113〜116に夫々締結する。このようにして、ボディ2Aの取付面90に対し、インサート部3が固定され、Tスロットカッタ1が構成される。なお、このTスロットカッタ1は、インサート4,5の夫々の刃先が軸方向後端側から見て右側に配置されるので、右刃である。
ここで、図16に示すように、インサート5の他面50Bがボディ2Aの取付面90に取り付けられた状態では、取付面90に設けられた凸部91の先端部が、他面50Bに設けられた凹部78の底部と当接する。取付面90に設けられた凸部92の先端部が、他面50Bに設けられた凹部71の底部と当接する。取付面90に設けられた凸部93の先端部が、他面50Bに設けられた凹部72の底部と当接する。取付面90に設けられた凸部94の先端部が、他面50Bに設けられた凹部73の底部と当接する。取付面90に設けられた凸部95の先端部が、他面50Bに設けられた凹部74の底部と当接する。取付面90に設けられた凸部96の先端部が、他面50Bに設けられた凹部75の底部と当接する。取付面90に設けられた凸部97の先端部が、他面50Bに設けられた凹部76の底部と当接する。取付面90に設けられた凸部98の先端部が、他面50Bに設けられた凹部77の底部と当接する。
一方、他面50Bに設けられた凸部61の先端部は、取付面90に設けられた凹部101の底部に対して隙間を空けて対向する。他面50Bに設けられた凸部62の先端部は、取付面90に設けられた凹部102の底部に対して隙間を空けて対向する。他面50Bに設けられた凸部63の先端部は、取付面90に設けられた凹部103の底部に対して隙間を空けて対向する。他面50Bに設けられた凸部64の先端部は、取付面90に設けられた凹部104の底部に対して隙間を空けて対向する。他面50Bに設けられた凸部65の先端部は、取付面90に設けられた凹部105の底部に対して隙間を空けて対向する。他面50Bに設けられた凸部66の先端部は、取付面90に設けられた凹部106の底部に対して隙間を空けて対向する。他面50Bに設けられた凸部67の先端部は、取付面90に設けられた凹部107の底部に対して隙間を空けて対向する。他面50Bに設けられた凸部68の先端部は、取付面90に設けられた凹部108の底部に対して隙間を空けて対向する。
このように、取付面90と他面50Bの夫々の凸部と凹部が互いに重ね合わされることで、ボディ2Aの先端部と、インサート5の他面50B側の厚みM4(図7参照)とが、Tスロットカッタ1の軸線方向において互いに重なることができる。これにより、Tスロットカッタ1は、インサート部3の軸線方向における突出長をさらに短くできる。
また、上記のように、取付面90側の凸部91〜98は、インサート5側の凹部71〜78に夫々当接するが、インサート5側の凸部61〜68は、取付面90側の凹部101〜108とは接触しない。これにより、取付面90に対して、インサート5を偏りなく平行に重ねることができるので、ボディ2Aに対して、インサート部3を直交して取り付けることができる。
また、上記の通り、取付面90の凸部91〜98と凹部101〜108は、上記の凸部と凹部の配置条件を満たしているので、ボディ2Aの取付面90に対して、インサート5を裏返して取り付けることもできる。この場合、インサート4も裏返してインサート5の他面50B側に重ね合せ、取付面90に対して、インサート5の一面50A側が取り付けられるので、左刃とすることができる。例えば、切削溝にねじれがある場合、切り屑の排出方向を変えることができる。これにより、例えば右刃右ねじれの場合、切り屑をボディ側に排出するので、工作機械の主軸に装着する工具ホルダ(図示略)のボディの後端部を把握する把握力が弱いと、ボディが工具ホルダから抜け落ちてしまう可能性がある。これを左刃右ねじれにすることで、切り屑の排出方向が逆になるので、ボディが工具ホルダから抜け落ちるトラブルを回避できる。
図14,図15を参照し、ボディ2Bの取付面190の形状を説明する。ボディ2Bは、先端部に円形状の取付面190を備える。取付面190には、インサート4(図2,図3参照)を取り付けることができる。取付面190には、ボス211と、4つのネジ穴213〜216とが夫々設けられている。ボス211は、取付面190の中心部に設けられ、ボディ2Bの軸線上に沿って延びる略円柱状に形成されている。4つのネジ穴213〜216は、ボス211を中心に十字の方向に夫々配置され、時計回りに順に配置されている。これらネジ穴213〜216には、4本のネジ8(図1参照)が締結される。
取付面190は、インサート4の両面の凹凸形状に対応する凹凸形状を備える。取付面190には、8つの略扇型状の凸部191〜198、8つの略扇型状の凹部201〜208、環状凹部209が夫々設けられている。凸部191と192は、ネジ穴213を周方向両側から挟み込むようにして夫々設けられている。凸部193と194は、ネジ穴214を周方向両側から挟み込むようにして夫々設けられている。凸部195と196は、ネジ穴215を周方向両側から挟み込むようにして夫々設けられている。凸部197と198は、ネジ穴216を周方向両側から挟み込むようにして夫々設けられている。これら凸部191〜198は、ボディ2Aの軸線方向に対して平行に突出して設けられ、取付面190の外周縁部からボス111側に向かって先細りに夫々形成されている。
一方、凹部201〜208は、凸部191〜198の夫々の間に設けられ、ボディ2Bの軸線方向において、凸部191〜198よりも軸線方向後端側に低く形成されている。凹部201は、凸部191と192の間に設けられ、凹部202は、凸部192と193の間に設けられ、凹部203は、凸部193と194の間に設けられ、凹部204は、凸部194と195の間に設けられ、凹部205は、凸部195と196の間に設けられ、凹部206は、凸部196と197の間に設けられ、凹部207は、凸部197と198の間に設けられ、凹部208は、凸部198と191の間に設けられ、取付面190の外周縁部からボス211側に向かって先細りに夫々形成されている。ネジ穴213は、凹部201のボス211側に設けられ、ネジ穴214は、凹部203のボス211側に設けられ、ネジ穴215は、凹部205のボス211側に設けられ、ネジ穴216は、凹部207のボス211側に設けられている。
環状凹部209は、ボス211の外周に沿って環状に設けられ、凹部201〜208の夫々のボス211側の端部と接続する。環状凹部209は、ボディ2Bの軸線方向において、凹部201〜208よりも軸線方向後端側に低く形成されている。そして、取付面190の凸部191〜198と凹部201〜208も、上記の凸部と凹部の配置条件を満たしている。
図14,図15,図17を参照し、ボディ2Bに対してインサート部3を取り付ける方法を説明する。なお、ここでは、インサート4と5の組み合わせ順序(位置関係)を図1に示すTスロットカッタ1とは反対にしたTスロットカッタ(図示略)を作成することを目的として、インサート部3をボディ2Bに取り付ける方法を説明する。上記のように、ボディ2Bは、インサート4を取り付けることができる。それ故、ボディ2Bの取付面190に対して、インサート部3のうちインサート4の他面10B側を対向させる。次いで、取付面190のボス211を、インサート4の軸穴41、インサート5の軸穴81の順に挿入させる。そして、インサート4の他面10Bを、取付面190に対して重ね合わせる。このとき、他面10Bと取付面190が合わせ面となる。
図17では、ボディ2Bの取付面190を実線、インサート4を二点鎖線で示している。インサート4の他面10Bに設けられた凸部21は、取付面190に設けられた凹部208に挿入される。他面10Bに設けられた凸部22は、取付面190に設けられた凹部201に挿入される。他面10Bに設けられた凸部23は、取付面190に設けられた凹部202に挿入される。他面10Bに設けられた凸部24は、取付面190に設けられた凹部203に挿入される。他面10Bに設けられた凸部25は、取付面190に設けられた凹部204に挿入される。他面10Bに設けられた凸部26は、取付面190に設けられた凹部205に挿入される。他面10Bに設けられた凸部27は、取付面190に設けられた凹部206に挿入される。他面10Bに設けられた凸部28は、取付面190に設けられた凹部207に挿入される。
一方、取付面190に設けられた凸部191は、インサート4の他面10Bに設けられた凹部31に挿入される。取付面190に設けられた凸部192は、他面10Bに設けられた凹部32に挿入される。取付面190に設けられた凸部193は、他面10Bに設けられた凹部33に挿入される。取付面190に設けられた凸部194は、他面10Bに設けられた凹部34に挿入される。取付面190に設けられた凸部195は、他面10Bに設けられた凹部35に挿入される。取付面190に設けられた凸部196は、他面10Bに設けられた凹部36に挿入される。取付面190に設けられた凸部197は、他面10Bに設けられた凹部37に挿入される。取付面190に設けられた凸部198は、他面10Bに設けられた凹部38に挿入される。
次いで、インサート5の挿入穴83〜86と、インサート4の挿入穴43〜46とに対して、4本のネジ8を夫々挿入し、取付面190のネジ穴213〜216に夫々締結する。このようにして、ボディ2Bの取付面190に対し、インサート部3が固定され、Tスロットカッタが構成される。
そして、取付面190と他面10Bの夫々の凸部と凹部が互いに重ね合わされることで、ボディ2Bの先端部と、インサート4の他面10B側の厚みM1とを、Tスロットカッタの軸線方向において互いに重ねることができる。これにより、Tスロットカッタは、インサート部3の軸線方向における突出長をさらに短くできる。
なお、詳述しないが、取付面190側の凸部191〜198の先端部を、インサート4側の凹部31〜38の底部に夫々当接させ、インサート4側の凸部21〜28の先端部を、取付面190側の凹部201〜208の底部とは接触させないようにしてもよい。この場合、取付面190に対して、インサート4を偏りなく平行に重ねることができるので、ボディ2Bに対して、インサート部3を直交して取り付けることができる。
また、上記の通り、取付面190の凸部191〜198と凹部201〜208は、上記の凸部と凹部の配置条件を満たしているので、ボディ2Bの取付面190に対して、インサート4を裏返して取り付けることもできる。この場合、インサート5も裏返してインサート4の他面10B側に重ね合せ、取付面190に対して、インサート4の一面10A側が取り付けられるので、左刃とすることができる。
図18〜図20を参照し、Tスロットカッタで切削するT溝の溝幅と角形状の調整方法を説明する。図18に示すように、Tスロットカッタ1は、ワーク100にT溝501を切削できる。T溝501の溝幅Q(溝の軸方向長さ)は、Tスロットカッタ1のインサート部3の厚みL3(図8参照)に対応する。T溝501の角形状とは、T溝501の角501A,501Bの夫々の形状を意味する。角501A,501Bは、インサート4の刃部11〜18の刃先11A〜18Aの形状と、インサート5の刃部51〜58の刃先51A〜58Aの形状とに対応して、テーパ状に形成される。それ故、T溝501の溝幅Qと角形状は、インサート部3を構成するインサートの種類と組み合わせを変えることで、簡単に調整できる。
例えば、図18に示すT溝501の角形状はそのままで、溝幅Qのみを長くしたい場合、図19に示すインサート部3を用いることができる。このインサート部3は、図8に示すインサート部3のインサート5に代えて、インサート6をインサート4に重ね合わせたものである。インサート6の刃先形状は、インサート5の刃先形状と同一であるが、インサート6の厚みL4は、インサート5の厚みL2(図7参照)よりも厚い。それ故、インサート部3の厚みL5は、図8に示すインサート部3の厚みL3よりも厚い。このようなインサート部3を有するTスロットカッタで、ワーク100を切削することで、角形状はそのままで、溝幅Qのみが長くなったT溝(図示略)を切削できる。なお、図示しないが、T溝501の角形状はそのままで、溝幅Qのみを短くしたい場合、例えばインサート5(又はインサート4)よりも薄いインサートを組み合わせればよい。
他方、T溝501の溝幅Qはそのままで、角形状のみを変更したい場合、図20に示すインサート部3を用いることができる。このインサート部3は、インサート7と9を重ね合わせて構成されている。インサート7は、上記のインサート4(図4参照)と同じ厚みと表面形状を有し、刃先形状のみが異なる。インサート9は、上記のインサート5(図7参照)と同じ厚みと表面形状を有し、刃先形状のみが異なる。それ故、インサート部3の厚みはL3のままである。インサート7,9の夫々の刃先の両角部はテーパではなく、略直角に形成されている。このようなインサート部3を有するTスロットカッタでワーク100を切削することで、溝幅Qはそのままで、角形状が略直角になったT溝(図示略)を切削できる。
図21〜図23を参照し、3枚のインサートで構成されたインサート部3を備えるTスロットカッタと、そのTスロットカッタで切削されるT溝の溝幅と角形状の調整方法を説明する。図21に示すインサート部3は、2枚の同一のインサート4の間に、1枚のインサート5を挟み込んで重ね合わせて構成されている。図22に示すように、このようなインサート部3の一方のインサート4の片面に、ボディ2Bの取付面190(図14,図15参照)を取り付けることで、Tスロットカッタ110が構成される。Tスロットカッタ110は、ワーク100にT溝502を切削できる。インサート4の刃先形状はテーパであるので、T溝502の角形状もテーパである。
例えば、T溝502の角形状はテーパのままで、溝幅Q1のみを変更したい場合、3枚のインサートのうち、両側のインサート4は変えずに、中央に挟まれるインサート5を、厚みの異なる他のインサートに変えればよい。例えば、図23に示すように、インサート部3において、両側のインサート4は変えずに、中央のインサート5の代わりにインサート6を2枚のインサート4の間に重ねればよい。このようなインサート部3を備えたTスロットカッタ210で、ワーク100を切削することで、T溝503を切削できる。T溝503は、図22に示すT溝502と同一の角形状を有し、溝幅Q2は溝幅Q1よりも長い。なお、図示しないが、T溝502の角形状はそのままで、溝幅Q1のみを短くしたい場合、両側のインサート4は変えずに、中央のインサート5に代えて、インサート5よりも薄いインサートを挟めばよい。
また、T溝502の溝幅Q1はそのままで、角形状のみを略直角に変更したい場合、例えば、中央のインサート6はそのままで、両側の2枚のインサート4を、インサート7(図20参照)に置き換えればよい。上記の通り、インサート7は、インサート4と同じ厚みと表面形状を有し、刃先形状のみが略直角である。そのようなインサート部(図示略)を備えたTスロットカッタ(図示略)で、ワーク100を切削することで、図22に示すT溝502と同一の溝幅Q1で、角形状のみが略直角になったT溝(図示略)を切削できる。
図24〜図26を参照し、スペーサ300を用いたT溝の溝幅調整方法を説明する。本実施形態は、インサート部3の厚みを変える為に、互いに重ね合される2枚のインサートの合わせ面の間に、スペーサ300を挟み込むことができる。なお、ここでは、図21に示す3枚のインサートで構成されたインサート部3において、インサート5の両側に、スペーサ300を一枚ずつ配置する場合を例に説明する。
図24に示すように、スペーサ300は、環状部301と、4枚の羽根部311〜314を備える。環状部301は、中央に軸穴310を備える環状に形成されている。4枚の羽根部311〜314は、環状部301に等間隔に配置され、径方向内側から外側に向かうにつれて幅の拡がる略扇形状に夫々形成されている。図25に示すように、羽根部311〜314の形状は、インサート5の凹部形状に対応している。
図25では、スペーサ300を実線、インサート5を二点鎖線で示している。例えば、インサート5の合わせ面である一面50Aに、スペーサ300を配置する。このとき、スペーサ300の環状部301を他面50Bの環状凹部79に配置し、羽根部311を他面50Bの凹部78に配置し、羽根部312を他面50Bの凹部72に配置し、羽根部313を他面50Bの凹部74に配置し、羽根部314を他面50Bの凹部76に配置する。
次いで、スペーサ300を配置したインサート5の一面50Aに対して、インサート4の他面10B(図8,図9参照)を重ね合わせる。他方、インサート5の他面50Bに対しても同様に、スペーサ300を配置し、インサート4の一面10Aを重ね合わせる(図26参照)。
このとき、インサート5の他面50B及び一面50Aの夫々において、インサート4の凸部21の先端部は、スペーサ300の羽根部311を介して、インサート5の凹部78の底部と当接する。インサート4の凸部23の先端部は、スペーサ300の羽根部312を介して、インサート5の凹部72の底部と当接する。インサート4の凸部25の先端部は、スペーサ300の羽根部313を介して、インサート5の凹部74の底部と当接する。インサート4の凸部27の先端部は、スペーサ300の羽根部314を介して、インサート5の凹部76の底部と当接する。
これにより、図26に示すインサート部3の厚みは、図21に示すインサート部3の厚みに、2枚のスペーサ300の厚み分を追加した距離となるので、ワークに切削するT溝の溝幅を長くできる。なお、溝幅をさらに長くしたい場合、スペーサ300よりも厚いスペーサを重ねたり、スペーサ300を複数枚重ねてもよい。そして、変更する溝幅に応じて、インサート部3に挟み込むスペーサ300の厚みや枚数を適宜変えればよい。なお、本実施形態は、3枚のインサートで構成されたインサート部3を一例として説明したが、2枚、又は4枚以上のインサートで構成されたインサート部3にも適用可能である。
また、インサート部3の厚みを変更する方法は、上記方法以外に、例えばインサート4に対し、インサート5のN3とN4の距離(図7参照)を変更したインサート(図示略:L2は同じ)を重ねることによっても変更できる。また、インサート5に対し、インサート4のN1とN2の距離を変更したインサート(図示略:L1は同じ)を重ねることによっても変更できる。このような方法でインサート部3の厚みを変更することで、T溝の溝幅を調整してもよい。
以上説明において、ボディ2A,2Bの取付面90,190が本発明の「接触面」に相当し、仮想直線A1,A2が本発明の「第1仮想直線」に相当し、仮想直線B1,B2が本発明の「第2仮想直線」に相当する。
以上説明したように、本実施形態のTスロットカッタ1は、ボディ2Aと、インサート部3と、4本のネジ8とを備える。ネジ8は、ボディ2Aの先端部にインサート部3を着脱可能に固定する。インサート部3は、円盤状のインサート4,5を互いに同軸上に重ね合わせて構成される。インサート4は両面の夫々に、凸部21〜28と凹部31〜38を備える。凸部21〜28は、インサート4の厚み方向の中心から厚み方向の両側に夫々突出して形成され、該中心から最も離間する部分である。凹部31〜38は、凸部21〜28を除く部分に設けられ、凸部21〜28よりも低い部分である。インサート5も両面の夫々に、凸部61〜68と凹部71〜78を備える。凸部61〜68は、インサート5の厚み方向の中心から厚み方向の両側に夫々突出して形成され、該中心から最も離間する部分である。凹部71〜78は、凸部61〜68を除く部分に設けられ、凸部61〜68よりも低い部分である。インサート4,5を互いに重ね合わせたときに、インサート4の合わせ面に設けられた凸部21〜28は、インサート5の合わせ面に設けられた凹部71〜78の何れかに挿入される。インサート5の合わせ面に設けられた凸部61〜68は、インサート4の合わせ面に設けられた凹部31〜38の何れかに挿入される。
それ故、Tスロットカッタ1は、インサート部3を、インサート4,5を組み合わせて構成できるので、切削するT溝について、様々な溝幅と角形状に対応できる。また、インサート部3におけるインサート4,5は、夫々の厚み方向において互いに一部が重なるので、インサート部3の厚みは、インサート4,5の夫々単体としての厚みの合計よりも小さくなる。それ故、Tスロットカッタは、インサート部3の突出長を短くできるので、工具剛性を向上できると共に、回転時に生じる振れを抑制できる。
また、上記実施形態では、インサート4に設けられる凸部21〜28は、刃部11〜18とインサート4の軸穴41との間に設けられている。つまり、インサート4のうち厚みのある凸部21〜28は、刃部11〜18に対応して夫々配置されている。これにより、Tスロットカッタ1は、刃部11〜18を支持するインサート4の外周部分の剛性を向上できる。
また、上記実施形態では、例えば、インサート5の中心部には、厚み方向に貫通する軸穴81が設けられている。一方、ボディ2Aの先端部には、インサート5の片面と接触する取付面90が設けられ、その取付面90の中心には、ボディ2Aの軸方向に沿って突出し、軸穴41に挿入されるボス111が設けられている。例えば、インサート5をボディ2Aの取付面90に固定するとき、ボディ2A側のボス111をインサート5の軸穴81に挿入し、インサート5の片面をボディ2A側の取付面90に接触させた状態で、4本のネジ8で固定する。これにより、Tスロットカッタは、ボディ2Aの先端部に対してインサート5を簡単に位置決めできるので、ボディ2Aに対するインサート5の取付作業を効率よく行うことができる。
また、上記実施形態では、取付面90にも、凸部91〜98と凹部101〜108が夫々設けられている。凸部91〜98は、インサート5の片面に設けられた凹部71〜78に対応する位置に設けられている。凹部101〜108は、インサート5に設けられた凸部61〜68に対応する位置に設けられている。取付面90にインサート5の片面を接触させるとき、インサート5の片面に設けられた凸部61〜68は、取付面90に設けられた凹部101〜108の何れかに挿入される。それ故、Tスロットカッタは、インサート部3の突出長をさらに短くできる。
また、上記実施形態では、インサート5には、4つの挿入穴83〜86が設けられ、取付面90において挿入穴83〜86の夫々に対応する位置には、ネジ穴113〜116が設けられている。それ故、4本のネジ8を4つの挿入穴83〜86に夫々挿入し、取付面90のネジ穴113〜116に締結することで、Tスロットカッタは、インサート5をボディ2Aに対して強固に固定できる。
また、上記実施形態では、インサート4の合わせ面に設けられた凸部21〜28の先端部は、インサート5の合わせ面に設けられた凹部71〜78の底部と当接するが、インサート5の合わせ面に設けられた凸部61〜68の先端部は、インサート4の合わせ面に設けられた凹部31〜38の底部とは接触しない。これにより、インサート4の合わせ面とインサート5の合わせ面をがたつくことなく互いに平行に重ね合わせることができる。これにより、複数枚を重ね合わせて構成されたインサート部3の厚みを均一にできる。
また、上記実施形態では、インサート部3を構成するインサートの両面の夫々において、凸部の数と凹部の数は同一のn個であり、インサートの中心部から凸部の最外周縁部と接触し、且つ凸部を間に全て含むときの二本の仮想直線が示す最小角度をX、中心部から凹部の最外周縁部と接触する二本の第2仮想直線の間に凸部を含まないときの最大角度をYとした場合、インサートは、以下の条件を全て満たしている。
(1)X<Y
(2)n個の凸部の夫々のXの合計は180°未満。
(3)n個の凹部の夫々のYの合計は180°より大きい。
(4)n個の凸部の夫々のXのうち最大角度Xmaxは180/n未満。
(5)n個の凹部の夫々のYのうち最大角度Ymaxは180/nよりも大きい。
以上の条件を全て満たすことによって、インサートの両面の夫々に設けられた凸部と凹部は、インサートを裏返しても他方のインサートの凹部と凸部に重ね合わせることができる。さらに、互いに隣り合うX+Yが360/5となる場合は等分割となるので、凸部と凹部はどの位置でも干渉無く重なることができる。
また、上記実施形態は、インサート部3において、厚みの異なるインサートと入れ替え交換することで、インサート部3の厚みを変えることができるので、ワークに切削するT溝の溝幅を簡単に調節できる。
また、上記実施形態では、インサート部3を3枚のインサートを重ね合わせて構成した場合に、中央に挟まれたインサートの厚みを変えることで、T溝の角形状を変えることなく、ワークに切削するT溝の溝幅を簡単に調整できる。
また、上記実施形態では、インサート部3を構成するインサート4と5の合わせ面に、厚みの異なるスペーサ300を重ねることで、インサート部3の厚みを変えることができるので、ワークに切削するT溝の溝幅を簡単に調節できる。
また、上記実施形態では、スペーサ300は、インサート4の合わせ面に設けられた凸部21〜28と、当該凸部21〜28の先端部と当接するインサート5の合わせ面に設けられた凹部71〜78の底部との間に配置される。これにより、ワークに切削される溝幅に対して、スペーサ300の厚み分を追加できるので、溝幅を簡単に調整できる。
なお、本発明が、上記実施形態の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。例えば、上記実施形態では、インサートを2枚重ねたものと3枚重ねたものを説明したが、4枚以上重ねて構成してもよく、1枚で構成してもよい。
上記実施形態のインサート4,5の夫々に設けられる挿入穴の個数は4つに限定されないが、軸穴41,81を取り囲むようにして、複数個設けるのが好ましい。また、上記実施形態は、インサート4又は5をボディ2A,2Bの取付面90,190に対して、4本のネジ8で固定するが、その他の手段で着脱自在に固定するようにしてもよい。例えば、インサートを一本のボルトでボディに固定するようにしてもよい。図示しないが、このタイプでは、ボディの取付面に配置されたインサートの軸穴からボスを突出させ、そのボスの先端部に設けられたネジ穴にボルトの軸部を締結する。これにより、インサートの取付面と接触する面とは反対側の面に対し、ボルトの頭部が係合するので、上記実施形態と同様に、インサートをボディの取付面に固定できる。
上記実施形態において、インサート4,5の夫々に設ける凸部と凹部の数は8つであるが、同一の数であれば個数は限定されない。
上記実施形態において、例えば、図8に示すように、インサート5の合わせ面に設けられた凸部61〜68の先端部は、インサート4の合わせ面に設けられた凹部31〜38の底部に接触しないようになっているが、接触させてもよい。また、これとは逆に、インサート5の合わせ面に設けられた凸部61〜68の先端部を、インサート4の合わせ面に設けられた凹部31〜38の底部に接触させ、インサート4の合わせ面に設けられた凸部21〜28の先端が、インサート5の合わせ面に設けられた凹部71〜78の底部に接触しないようにしてもよい。
上記実施形態において、インサート5の他面50Bに設けられた凸部61〜68の先端部は、ボディ2Aの取付面90に設けられた凹部101〜108の底部に接触しないようになっているが、接触させてもよい。
また、上記実施形態のインサート4の刃部11〜18は、径方向外側に略矩形状に突出し、且つ軸方向に対して平行に形成されているが、捩じれていてもよい。インサート5の刃部51〜58についても同様である。

Claims (11)

  1. 円柱状のボディと、
    円盤状のインサート部と、
    前記ボディの軸方向の一端部に前記インサート部を着脱可能に固定する固定手段と
    を備え、ワークにT字状の溝を加工する為のTスロットカッタであって、
    前記インサート部は、刃部を外周と側面に備える円盤状のインサートを一枚で、又は複数枚を互いに同軸上に重ね合わせて構成することが可能であって、
    前記インサートは両面の夫々に、
    前記インサートの厚み方向の中心から前記厚み方向の両側に夫々突出して形成され、前記中心から最も離間する凸部と、
    前記凸部を除く部分に設けられ、前記中心から前記厚み方向の両側に夫々突出して形成され、前記凸部よりも低い凹部と
    を備え、
    複数枚の前記インサートを互いに同軸上に重ね合わせたときに、互いに重なり合う第1のインサートと第2のインサートの夫々の合わせ面において、
    前記第1のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凸部は、前記第2のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凹部内に挿入され、
    前記第2のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凸部は、前記第1のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凹部内に挿入されること
    を特徴とするTスロットカッタ。
  2. 前記凸部は、前記刃部と前記インサートの中心部との間に設けられたこと
    を特徴とする請求項1に記載のTスロットカッタ。
  3. 前記インサートの前記中心部には、前記厚み方向に貫通する軸穴が設けられ、
    前記ボディの前記一端部には、前記インサートの片面と接触する接触面が設けられ、
    前記接触面の中心には、前記ボディの軸方向に沿って突出し、前記軸穴に挿入されるボスが設けられたこと
    を特徴とする請求項1又は2に記載のTスロットカッタ。
  4. 前記接触面には、
    前記片面に設けられた前記凹部に対応する位置に、前記片面側に突出して設けられ、前記凹部内に挿入されるボディ側凸部と、
    前記片面に設けられた前記凸部に対応する位置に、前記ボディ側凸部よりも低く設けられ、前記凸部を内側に挿入させるボディ側凹部と
    が夫々設けられていること
    を特徴とする請求項3に記載のTスロットカッタ。
  5. 前記固定手段はネジであって、
    前記インサートには、前記厚み方向に貫通し、前記ネジの軸部を挿入する為の挿入穴が設けられ、
    前記接触面において前記挿入穴に対応する位置には、前記ネジを締結する為のネジ穴が設けられていること
    を特徴とする請求項4に記載のTスロットカッタ。
  6. 前記第1のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凸部の先端部は、前記第2のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凹部の底部と当接し、
    前記第2のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凸部の先端部は、前記第1のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凹部の底部とは接触しないこと
    を特徴とする請求項1から5の何れか一つに記載のTスロットカッタ。
  7. 前記インサートの両面の夫々において、
    前記凸部の数と前記凹部の数は同一のn個であり、
    前記インサートの中心部から前記凸部の最外周縁部と接触し、且つ前記凸部を間に全て含むときの二本の第1仮想直線が示す最小角度をX、前記中心部から前記凹部の最外周縁部と接触する二本の第2仮想直線の間に前記凸部を含まないときの最大角度をYとした場合、
    X<Yであり、
    n個の前記凸部の夫々のXの合計は180°未満であり、
    n個の前記凹部の夫々のYの合計は180°より大きく、
    n個の前記凸部の夫々のXのうち最大角度Xmaxは180/n未満であり、
    n個の前記凹部の夫々のYのうち最大角度Ymaxは180/nよりも大きいこと
    を特徴とする請求項1から6の何れか一つに記載のTスロットカッタ。
  8. 前記インサート部を、複数枚の前記インサートを互いに同軸上に重ね合わせて構成したときに、
    複数枚の前記インサートのうち何れかを、厚みの異なる前記インサートと入れ替え交換することで、複数枚の前記インサートに夫々設けられた前記刃部によって前記ワークに切削する溝幅を調節可能としたこと
    を特徴とする請求項1から7の何れか一つに記載のTスロットカッタ。
  9. 前記インサート部は、
    前記第1のインサート及び前記第2のインサートと、
    前記第1のインサートと前記第2のインサートとの間に重ね合される前記インサートである第3のインサートと
    を備え、
    前記第3のインサートの厚みを変えることで、前記ワークに切削する前記溝の前記軸方向に平行な長さである溝幅を調節可能としたこと
    を特徴とする請求項1から8の何れか一つに記載のTスロットカッタ。
  10. 複数枚の前記インサートを互いに同軸上に重ね合わせたときに、
    前記第1のインサートの前記合わせ面と前記第2のインサートの前記合わせ面との間に重ねる板状のスペーサを備えたこと
    を特徴とする請求項1から9の何れか一つに記載のTスロットカッタ。
  11. 前記スペーサは、
    前記第1のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凸部と、当該凸部の先端部と当接する前記第2のインサートの前記合わせ面に設けられた前記凹部の底部との間に配置されること
    を特徴とする請求項10に記載のTスロットカッタ。
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