JPWO2016159203A1 - ヘムタンパク質の保存液及びヘムタンパク質の安定化方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ヘムタンパク質の変性あるいは分解に対して有効な、新たなヘムタンパク質の保存液及びヘムタンパク質の安定化方法を提供することを目的とし、具体的には、ジスルホン酸又はその塩を含むヘムタンパク質の保存液、及びヘムタンパク質を含む試料中にジスルホン酸又はその塩を共存させるヘムタンパク質の安定化方法に関する。

Description

本発明は、ヘムタンパク質の保存液及びヘムタンパク質の安定化方法に関する。特に、免疫学的測定法において有用なヘムタンパク質の保存液及びヘムタンパク質の安定化方法に関する。
近年、がんの罹患率が増加していることに伴い、大腸がん検診の一次検査や下部消化管疾患のスクリーニング法として、糞便中の血液を検出する便潜血検査が広く行われている。便潜血検査は、ヘムタンパク質であるヘモグロビンの持つペルオキシダーゼ様活性を利用した化学的な発色反応に基づく化学的測定法や、ヒトヘモグロビンに特異的な抗体を利用した免疫学的測定法によって行われ、特に、免疫学的測定法は、化学的測定法と比較して検査前の食事制限や服薬制限を必要とせず、簡便で迅速な測定が可能であるため、便潜血検査の主な検査方法として定着している。
しかしながら、ヘモグロビンは溶液中で非常に不安定であり、変性あるいは分解しやすいことが知られている。この変性あるいは分解によって、ヘモグロビンの立体構造が破壊され、その抗原性が低下するため、ヘモグロビンの免疫学的測定法において誤った測定結果が導かれてしまう。ヘモグロビンの変性あるいは分解の原因としては、保存温度の上昇、時間経過、細菌や酵素等様々なものが挙げられるが、例えば、保存温度については、溶液中のヘモグロビンは凍結又は冷蔵状態では比較的安定であるが、室温又はそれ以上の温度では変性あるいは分解が進むことが知られている。
特に、便潜血検査においては、被験者自身が自宅等で糞便を採取し、便検体用希釈液を含む密閉容器に糞便を懸濁して検査に供する場合が多く、この場合、糞便中のヒトヘモグロビンは、溶液中で数日間放置され、郵便等の輸送手段を利用することによって高温下に置かれることもある。さらに、病院や検査機関では、多数の検体及び他項目の検査を実施しているため、測定結果を得るまでに多くの時間を要することもある。それゆえ、便潜血検査では、温度上昇や時間経過等の原因が重なり合い、ヘモグロビンの変性あるいは分解が生じやすい。
さらに、便潜血検査では、多くの検体を正確かつ迅速に測定できる自動分析装置を用いて測定が行われることが多い。自動分析装置を用いた測定では、試薬や装置の変化が検査結果の精度に影響するため、既知濃度のヘモグロビンを含む標準試料及び既知濃度のヘモグロビンを含むコントロール試料を用いて定期的に自動分析装置のキャリブレーションや精度管理が行われている。キャリブレーションでは、複数の既知濃度の測定対象物質を含む標準試料を自動分析装置で測定して、検量線を作成し、自動分析装置の校正を行い、精度管理では、既知濃度の測定対象物質を含むコントロール試料を自動分析装置で測定し、測定値が所定範囲内に収まっているか否かにより、分析精度を判定する。しかしながら、標準試料及びコントロール試料中に含まれるヘモグロビンが変性あるいは分解していると、キャリブレーションや精度管理を正確に行うことができず、測定の誤りを招くこととなる。
従って、ヘモグロビンの変性あるいは分解を抑制し、正確な測定結果を得るために、これまで、ヘモグロビンを安定化するための様々な方法が提案されてきた。例えば、チメロサールやクロルヘキシジン等抗菌剤を添加する方法(例えば、特許文献1参照)、ヒト以外の動物ヘモグロビンを添加する方法(例えば、特許文献2参照)、ヒト以外の動物血清を添加する方法(例えば、特許文献3参照)、グリコシダーゼ型溶菌酵素を添加する方法(例えば、特許文献4参照)、亜硫酸や二亜硫酸等を添加する方法(例えば、特許文献5参照)、アシルアルギニンエステル及びカチオン性界面活性剤を添加する方法(例えば、特許文献6参照)、グリオキシル酸を添加する方法(例えば、特許文献7参照)等が提案されている。
さらに、本出願人は、フェロシアン化合物等の水溶性遷移金属錯体を添加する方法(例えば、特許文献8、特許文献9参照)、ヘモグロビンの酵素分解産物を添加する方法(例えば、特許文献10参照)、遷移金属類を添加する方法(例えば、特許文献11参照)、リンゴ酸等の有機酸を添加する方法(例えば、特許文献12参照)、脱脂アルブミンを添加する方法(例えば、特許文献13参照)、イミノカルボン酸を添加する方法(例えば、特許文献14参照)等を既に提案している。
しかしながら、ヘモグロビンは非常に不安定であることから、これらのヘモグロビンの安定化方法であっても、その変性あるいは分解を十分に防ぐには至っていないという問題がある。
特開昭63−271160号公報 特開平2−296149号公報 特開平4−145366号公報 特公平5−69466号公報 特開2000−258420号公報 特開2009−222710号公報 特開2013−257216号公報 特開平7−229902号公報 特開平11−118806号公報 特開平11−218533号公報 特開2001−249132号公報 特開2003−14768号公報 特開2003−194825号公報 特開2009−097956号公報
このような問題を解決するため、本発明は、ヘモグロビンに代表されるヘムタンパク質の変性あるいは分解に対して有効な、新たなヘムタンパク質の保存液及びヘムタンパク質の安定化方法を提供することを目的とする。
本発明のヘムタンパク質の保存液は、ジスルホン酸又はその塩を含むことを特徴とする。また、本発明のヘムタンパク質の安定化方法は、ヘムタンパク質を含む試料中にジスルホン酸又はその塩を共存させることを特徴とする。
すなわち、本発明は、以下を包含する。
(1) ジスルホン酸又はその塩を含むヘムタンパク質の保存液。
(2) ジスルホン酸又はその塩が、鎖式の炭化水素基又は環式の炭化水素基の少なくとも1つを有するジスルホン酸又はその塩であって、
前記鎖式の炭化水素基が分岐状もしくは直鎖状の炭化水素基であり、かつ分岐状の前記鎖式の炭化水素基の主鎖もしくは直鎖状の前記鎖式の炭化水素基の炭素数が1乃至10のいずれかであるジスルホン酸又はその塩、
前記環式の炭化水素基がシクロアルキレン基もしくはアリール基であり、かつ前記環式の炭化水素基の炭素数が3乃至10のいずれかであるジスルホン酸又はその塩、並びに、
前記シクロアルキレン基もしくは前記アリール基が1個以上の置換された窒素原子を有するジスルホン酸又はその塩からなる群より選択される少なくとも1種である(1)に記載のヘムタンパク質の保存液。
(3) ジスルホン酸又はその塩が、メタンジスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロパンジスルホン酸、ブタンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)又はその塩からなる群より選択される少なくとも1種である(1)又は(2)に記載のヘムタンパク質の保存液。
(4) ジスルホン酸又はその塩の濃度が0.001mol/L以上0.3mol/L以下である(1)乃至(3)のいずれかに記載のヘムタンパク質の保存液。
(5) N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−エタンスルホン酸をさらに含む(1)乃至(4)のいずれかに記載のヘムタンパク質の保存液。
(6) 標準試料又はコントロール試料として用いられる、ヘムタンパク質をさらに含む(1)乃至(5)のいずれかに記載のヘムタンパク質の保存液。
(7) 免疫学的測定に用いられる(1)乃至(6)のいずれかに記載のヘムタンパク質の保存液。
(8) ヘムタンパク質を含む試料中に、ジスルホン酸又はその塩を共存させるヘムタンパク質の安定化方法。
(9) ジスルホン酸又はその塩の濃度が0.001mol/L以上0.3mol/L以下である(8)記載のヘムタンパク質の安定化方法。
(10) ヘムタンパク質と抗ヘムタンパク質抗体とをジスルホン酸又はその塩の存在下で接触させる工程を含む、ヘムタンパク質の免疫学的測定方法。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2015-070667号の開示内容を包含する。
本発明のヘムタンパク質の保存液及びヘムタンパク質の安定化方法によれば、ヘムタンパク質の変性あるいは分解を抑制し、ヘムタンパク質を安定的に保存することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のヘムタンパク質の保存液は、ジスルホン酸又はその塩を含む。また、本発明のヘムタンパク質の安定化方法は、ヘムタンパク質を含む試料中にジスルホン酸又はその塩を共存させる。
本発明に用いられるジスルホン酸又はその塩は、特に限定されるものではなく、公知のものから選択することができる。本発明に用いられるジスルホン酸は、飽和又は不飽和結合を有していてもよい鎖式又は環式の炭化水素基を少なくとも1つ有するジスルホン酸であり、特に、鎖式又は環式の炭化水素基と、2つのスルホン基とからなるジスルホン酸であることが好ましい。本発明に用いられるジスルホン酸は、鎖式の炭化水素基又は環式の炭化水素基のいずれかを有してもよく、両方を有していてもよい。
特に、本発明に用いられるジスルホン酸が有する鎖式炭化水素基は、分岐状又は直鎖状の炭化水素基である。分岐状の炭化水素基の主鎖又は直鎖状の炭化水素基の炭素数は、好ましくは1乃至10、より好ましくは1乃至4、さらに好ましくは1又は2のいずれかである。分岐状の炭化水素基の主鎖又は直鎖状の炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アルケニレン基、もしくはアルキニレン基であることが好ましい。アルキレン基を有するジスルホン酸としては、例えば、メタンジスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸(以下、1,2−EDSという)、1,3−プロパンジスルホン酸、1,4−ブタンジスルホン酸、1,5−ペンタンジスルホン酸、1,6−ヘキサンジスルホン酸等が挙げられる。
また、本発明に用いられるジスルホン酸が有する環式の炭化水素基の炭素数は、3乃至10のいずれかであることが好ましい。環式の炭化水素基は、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、又はアリール基であることが好ましい。特に、アリール基は、好ましくはフェニレン基又はナフチレン基である。フェニレン基もしくはナフチレン基を有するジスルホン酸としては、例えば、1,2−ベンゼンジスルホン酸、1,3−ベンゼンジスルホン酸、1,4−ベンゼンジスルホン酸、1,6−ナフタレンジスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸等が挙げられる。
また、環式の炭化水素基は、分岐状の炭化水素基であってもよい。また、環式の炭化水素基は、1個以上、好ましくは1乃至3個、より好ましくは1乃至2個のいずれかの窒素原子で置換されていてもよい。窒素原子で置換されている炭化水素基を有するジスルホン酸としては、例えば、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)を挙げることができる。
また、より好ましくは、本発明に用いられるジスルホン酸は、鎖式又は環式の炭化水素基に2つのスルホン基が結合したジスルホン酸である。さらに、鎖式の炭化水素基を有するジスルホン酸は、2つのスルホン基を、分岐状の炭化水素基の主鎖もしくは直鎖状の炭化水素基の異なる炭素原子に有することが好ましく、より好ましくはこれらの各末端に有する。本発明に用いられるジスルホン酸は、1,2−エタンジスルホン酸(1,2−EDS)であることが好ましい。
本発明に用いられるジスルホン酸の炭化水素基は、ハロゲン基及び/又はヒドロキシ基等の置換基を有してもよい。また、分岐状の炭化水素基を有するジスルホン酸では、分岐鎖が炭化水素からなることが好ましい。また、本発明に用いられるジスルホン酸又はその塩は、少なくとも1種であり、2種以上を混合した混合物であってもよい。
本発明によれば、保存液又は試料中にヘムタンパク質とジスルホン酸又はその塩とを含むことによって、ヘムタンパク質の変性あるいは分解を抑制することができる。特に、本発明によれば、ジスルホン酸がエタンジスルホン酸を含むことによって、ヘムタンパク質の安定性をより高めることができる。本発明に用いられるジスルホン酸は、測定に悪影響を及ぼさず、特にラテックス免疫凝集法を用いる免疫測定方法に好適である。
本発明に用いられるジスルホン酸の塩は、特に限定されないが、ジスルホン酸の1価、2価、又は3価の金属塩である。ジスルホン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカリ土類金属塩、鉄塩、又はアルミニウム塩等が挙げられる。アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えばカルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムが挙げられる。
本発明のヘムタンパク質の保存液又はヘムタンパク質を含む試料に含まれるジスルホン酸又はその塩の濃度の上限は、0.3mol/L以下、より好ましくは0.2mol/L以下、さらに好ましくは0.15mol/L以下であり、下限は0.001mol/L以上、より好ましくは0.005mol/L以上、さらに好ましくは0.01mol/L以上、最も好ましくは0.02mol/L以上である。ジスルホン酸又はその塩の濃度が0.001mol/L未満であると、ヘムタンパク質の安定化効果が不十分になる。一方、ジスルホン酸又はその塩の濃度が0.3mol/Lを超えると、免疫反応が阻害され、測定に影響を及ぼしやすくなる他、十分なヘムタンパク質の安定化効果が得られなくなる。
本発明が対象とするヘムタンパク質及び本発明の試料に含まれるヘムタンパク質は、ヘムを構成成分とするタンパク質の中から適宜選択することができる。ヘムタンパク質としては、例えば、ヘモグロビン、ミオグロビン、ペルオキシターゼ又はカタラーゼ等が挙げられる。特に、本発明が対象とするヘムタンパク質及び本発明の試料に含まれるヘムタンパク質は、好ましくは免疫学的な分析対象となるヘムタンパク質であり、より好ましくはヒトヘモグロビンである。免疫学的測定法では、検出対象の抗原性を維持することが重要であるが、本発明によればヘムタンパク質の抗原性を維持することができるため、より精確なヘムタンパク質の測定が可能となる。特に、本発明が対象とするヘムタンパク質及び本発明の試料に含まれるヘムタンパク質を生体試料中のヘモグロビンとすることで、大腸がん等の疾病の診断における測定結果の誤りを防ぐことが期待できる。ヘモグロビンは、便中に含まれるヘモグロビン、赤血球より調製したヘモグロビンを含む標準試料又はコントロ−ルとして市販されているヘモグロビン、及び凍結乾燥ヘモグロビン等を含むことができる。
また、本発明のヘムタンパク質の保存液又はヘムタンパク質を含む試料は、ヘムタンパク質を溶解できる溶液を含むことができる。溶液としては、ヘムタンパク質を溶解できる溶液であればよく、例えば、緩衝液を挙げることができ、緩衝液の調製に使用される緩衝剤としては、緩衝能を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グッド緩衝剤やリン酸緩衝剤、トリス緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤等が挙げられる。
さらに、グッド緩衝剤としては、例えば、2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)緩衝剤、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)緩衝剤、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)緩衝剤、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)緩衝剤、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)緩衝剤、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)緩衝剤、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)緩衝剤、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)緩衝剤、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸(TES)緩衝剤、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−エタンスルホン酸(HEPES)緩衝剤、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)緩衝剤、2−ヒドロキシ−3−{[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸(TAPSO)緩衝剤、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパン−3−スルホン酸)(POPSO)緩衝剤、N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)ピペラジン(HEPPSO)緩衝剤、N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(3−スルホプロピル)ピペラジン(EPPS)緩衝剤、トリシン[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン]緩衝剤、ビシン[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン]緩衝剤、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノプロパンスルホン酸(TAPS)緩衝剤、2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)緩衝剤、3−(N−シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(CAPSO)緩衝剤、3−(N−シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸(CAPS)緩衝剤等が挙げられる。特に、本発明では、グッド緩衝剤の中でもHEPESを用いることが好ましく、ジスルホン酸又はその塩を共存させることで、ヘムタンパク質の安定性を著しく高めることができる。
緩衝剤の濃度は、測定に適した濃度であれば特に限定されないが、0.001乃至2.0mol/L、好ましくは0.005乃至1.5mol/L、さらに好ましくは0.01乃至1.0mol/Lである。
また、本発明のヘムタンパク質の保存液又はヘムタンパク質を含む試料のpHは、中性域が好ましく、5乃至10が好ましく、より好ましくは6乃至8の範囲である。pHが5より低い、あるいは10より高い場合は、ヘムタンパク質の安定性が損なわれ、ヘムタンパク質が変性あるいは分解しやすくなる。pHは、公知の方法で調整でき、NaOHや適当な緩衝剤を用いて調整してもよい。
さらに、本発明のヘムタンパク質の保存液又はヘムタンパク質を含む試料は、水溶性遷移金属錯体、フェロシアン化合物、ヘモグロビンの酵素分解産物、遷移金属類、有機酸、イミノカルボン酸、アルブミンやゼラチンに代表される不活性タンパク質、及びアジ化ナトリウム等、公知のタンパク質保護剤を含むことができる。また、微生物の不必要な繁殖を防ぐための抗菌剤等を含んでもよい。さらに、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、塩、凝集促進剤、その他の成分を含んでもよい。本発明によれば、従来のタンパク質保護剤や抗菌剤等の作用を阻害することなく、従来のタンパク質保護剤や抗菌剤等と共にヘムタンパク質の安定性を高めることができる。
また、本発明のヘムタンパク質の保存液又はヘムタンパク質を含む試料がアルブミンを含む場合には、アルブミンとして、牛、馬、豚、羊、兎、ヒト、ラット等のアルブミンを用いることができ、アルブミンを含有する血清を用いるようにしてもよい。本発明のヘムタンパク質の保存液又はヘムタンパク質を含む試料中のアルブミンの濃度は、0.0005乃至2.0w/v%、より好ましくは0.01乃至0.5w/v%である。
ヘムタンパク質の測定方法は、特に限定されるものではないが、抗ヘムタンパク質抗体(ヘムタンパク質に特異的に結合する抗体)を用いた免疫学的測定法、好ましくは、抗ヒトヘモグロビン抗体を用いた免疫学的測定法である。具体的には、試料において、ヘムタンパク質(例えば、ヒトヘモグロビン)と抗ヘムタンパク質抗体(例えば、抗ヒトヘモグロビン抗体)とをジスルホン酸又はその塩の存在下で接触させ、抗原抗体反応を生じさせ、形成した免疫複合体に基づいて当該試料中のヘムタンパク質を検出又は測定する。ヘムタンパク質がヒトヘモグロビンである場合には、ヒトヘモグロビンの免疫学的測定法としては、例えば、寒天平板内で抗ヒトヘモグロビン抗体と被検試料中のヒトヘモグロビンの結合による免疫複合体による沈降線の発現を確認する一元放射状免疫拡散法、抗ヒトヘモグロビン抗体を感作したラテックス粒子を用いるラテックス免疫凝集法、酵素や放射性元素で標識した抗ヒトヘモグロビン抗体を用いる酵素免疫測定法や放射免疫測定法、抗ヒトヘモグロビン抗体を感作した金コロイド粒子を用いる金コロイド凝集比色法、ニトロセルロース膜等のメンブレンにおいて、金属コロイド等で標識した抗ヒトヘモグロビン抗体及び当該抗ヒトヘモグロビン抗体とヒトヘモグロビンとの免疫複合体を捕捉する捕捉抗体を用いるイムノクロマト法等が挙げられる。具体的に、ラテックス免疫凝集法では、抗ヒトヘモグロビン抗体を感作したラテックス粒子と試料中のヒトヘモグロビンとを反応させ、免疫複合体の形成によりラテックス粒子が凝集し、当該ラテックスの凝集による濁度の変化に基づいて、ヒトヘモグロビンを測定する。また、イムノクロマト法では、ニトロセルロース膜等のメンブレンにおいて、試料を供給し、試料中のヒトヘモグロビンは金属コロイド等で標識した抗ヒトヘモグロビン抗体を保持する標識試薬保持部で抗ヒトヘモグロビン抗体と反応して免疫複合体を形成し、さらに免疫複合体が毛細管現象によってメンブレン中を移動し、メンブレンの所定の位置に固定された捕捉抗体により当該免疫複合体が捕捉され、当該捕捉による呈色に基づいてヒトヘモグロビンを検出する。いずれの測定方法においても、ジスルホン酸又はその塩を含む本発明のヘムタンパク質の保存液又はヘムタンパク質を含む試料によれば、ヘムタンパク質の抗原活性を保護し、測定値の誤りを抑制することができる。
本発明のヘムタンパク質の保存液は、ヘムタンパク質を保存するための溶液として様々な用途に用いることができ、例えば、糞便、尿、及び血液等、生体試料由来のヘムタンパク質の溶解用溶液や、希釈液及び抽出液等の溶液として用いることができる。特に、ヘムタンパク質の検出を行うための検査、例えば便潜血検査の便検体用希釈液として有用である。
また、本発明のヘムタンパク質の保存液は、上述の本発明が対象とするヘムタンパク質を含んでいてもよく、ヘムタンパク質を含む様々な溶液として使用できる。同様に、本発明のヘムタンパク質の安定化方法は、ヘムタンパク質を含む様々な試料に適用できる。例えば、本発明のヘムタンパク質の保存液及びヘムタンパク質を含む試料は、ヘムタンパク質を含む標準試料又はヘムタンパク質を含むコントロール試料等、特に自動分析装置のキャリブレーション又は精度管理用のヘムタンパク質を含む標準試料又はヘムタンパク質を含むコントロール試料として使用できる。ヘムタンパク質を含む標準試料及びコントロール試料は、長期的に保存された場合においても、ヘムタンパク質の測定値が変動しないことが必要とされるが、本発明によれば、比較的高温で保存された場合においても標準試料及びコントロール試料中のヘムタンパク質の変性あるいは分解を抑制できるため、ヘムタンパク質の測定値の安定化に貢献することができる。従って、本発明のヘムタンパク質の保存液及びヘムタンパク質を含む試料は、ヘムタンパク質を含む標準試料及びコントロール試料として好適である。
さらに、本発明のヘムタンパク質の保存液は、例えば便潜血検査等に使用される、ヘムタンパク質(例えば、ヒトヘモグロビン)の免疫学的測定用キットとして提供することもできる。当該キットは、本発明のヘムタンパク質の保存液の他に、採便容器等の試料保存容器、キットの取扱説明書や、例えば免疫学的測定法がラテックス免疫凝集法である場合には抗ヘムタンパク質抗体を感作したラテックス液、希釈液等、あるいは免疫学的測定法がイムノクロマト法である場合にはイムノクロマトグラフデバイス(例えば、試料供給部と、金属コロイド等で標識した抗ヘムタンパク質抗体を保持する標識試薬保持部と、所定の位置に固定された捕捉抗体を含む検出部とを有する、支持体に担持されたニトロセルロース膜等のメンブレン)等を含むことができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1
0.3w/v%の牛血清アルブミン、NaOH、及び緩衝液として0.05mol/Lのリン酸緩衝液を含み、残部を純水とするpH7.0の溶液を調製した。この溶液に、添加物として1,2−EDSを表1に示す各濃度(0.01乃至0.2mol/L)となるように添加し、各濃度の溶液を調製した。この調製した各溶液10mLに溶血ヘモグロビンを600ng/mLとなるように添加し、試料とした。
ヘモグロビンの添加直後に、各試料のヘモグロビン濃度を測定した(添加直後濃度)。次いで、各試料を37℃で保存した。ヘモグロビンの添加時点を保存0時間として、6時間保存後及び24時間保存後に各試料のヘモグロビン濃度を測定した(6時間保存後濃度及び24時間保存後濃度)。
ヘモグロビンの濃度測定は、OCセンサーDIANA分析機(栄研化学(株)製)を用いて、免疫学的測定法の一種であるラテックス凝集反応を測定原理とする専用試薬(OCヘモディアオートIII:栄研化学(株)製)を用いて行った。詳細には、試料から35μLを採取して試験液とし、この試験液にラテックス乳液(20vol%の抗ヒトヘモグロビンウサギポリクローナル抗体感作ラテックス液)60μL及び希釈液(11.92mg/mLのHEPES)300μLを加え、波長660nmで吸光度を測定した。予め作成した検量線に基づき、得られた測定値から試験液中のヘモグロビン濃度を決定した。各試料について、3重測定を行い、測定結果の平均値を各試料のヘモグロビン濃度とした。
測定したヘモグロビン濃度から、以下の式に基づいてヘモグロビンの残存率を求めた。
6時間保存後又は24時間保存後のヘモグロビンの残存率[%] = 100 × ヘモグロビンの6時間保存後濃度又は24時間保存後濃度[ng/mL] / 対照試料の添加直後濃度[ng/mL]
すなわち、各試料のヘモグロビンの残存率は、対照試料におけるヘモグロビンの添加直後濃度を100%とする相対値である。本実施例における対照試料は、牛血清アルブミン及びNaOHを含むリン酸緩衝液(1,2−EDSを含まない)であり、対照試料の添加直後濃度は583ng/mLであった。結果を表1に示す。
Figure 2016159203
表1に示す通り、ジスルホン酸である1,2−EDSを含む試料は、対照試料と比較して、6時間保存後及び24時間保存後の残存率が高く、1,2−EDSがヘモグロビンの安定化効果を有することが分かる。さらに、1,2−EDSの濃度の増加に伴い、残存率が高くなり、ヘモグロビンの安定化効果を高めていることが分かる。
実施例2
リン酸緩衝液の代わりに、0.05mol/LのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−エタンスルホン酸(以下、HEPESという)を用いた点、表2に示す各濃度(0.005乃至0.2mol/L)となるように1,2−EDSを添加した点以外は、実施例1と同様にして試料を調製し、ヘモグロビン濃度を測定した。結果を表2に示す。なお、各試料の残存率は、対照試料(牛血清アルブミン及びNaOHを含むHEPES緩衝液(1,2−EDSを含まない))における添加直後濃度(576ng/mL)を100%とする相対値で示した。
Figure 2016159203
表2に示す通り、ジスルホン酸である1,2−EDSを含む試料は、対照試料と比較して6時間保存後及び24時間保存後の残存率が高く、1,2−EDSがヘモグロビンの安定化効果を有することが分かる。特に、HEPESと1,2−EDSとを含むことによって、1,2−EDSの添加濃度が5mMという低濃度である試料においても6時間保存後及び24時間保存後の残存率が高いことが分かる。さらに、1,2−EDSの添加濃度の増加に伴い、残存率が高くなり、ヘモグロビンの安定化効果を高めていることが分かる。
実施例3
リン酸緩衝液の代わりに、0.05mol/LのHEPES、0.05mol/Lのピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(以下、PIPESという)、又は0.05mol/Lの2−モルホリノエタンスルホン酸(以下、MESという)を用いた点、1,2−EDSを表3に示す濃度となるように添加した点以外は、実施例1と同様にして試料を調製し、ヘモグロビン濃度を測定した。結果を表3に示す。なお、各試料の残存率は、対照試料(牛血清アルブミン及びNaOHを含むリン酸緩衝液(1,2−EDSを含まない))における添加直後濃度(583ng/mL)を100%とする相対値で示した。
Figure 2016159203
表3に示す通り、緩衝液が異なる試料においても、1,2−EDSによるヘモグロビンの安定化効果がみられた。特に、HEPESと、1,2−EDSとを含む試料は、HEPESを緩衝液として1,2−EDSを含まない試料と比較して、6時間保存後及び24時間保存後の残存率が著しく高く、ヘモグロビンの変性あるいは分解の抑制効果が極めて高いことが分かると共に、長期的にヘモグロビンを安定化できることが示唆された。また、HEPESと、1,2−EDSとを含む試料は、グッド緩衝剤であるPIPESやMESと、1,2−EDSとを含む試料と比較しても、6時間保存後及び24時間保存後の残存率が高く、ヘモグロビンの変性あるいは分解の抑制効果をより高めていることから、相乗的なヘモグロビン安定化効果を有することが分かる。
実施例4
1,2−EDSの代わりに、1,4−ブタンジスルホン酸(以下、1,4−BDSという)、又は2,6−ナフタレンジスルホン酸(以下、2,6−NDSという)、PIPESを表4に示す濃度となるように添加した点、及びリン酸緩衝液の代わりに、0.05mol/LのHEPESを用いた点以外は、実施例1と同様にして試料を調製し、ヘモグロビン濃度を測定した。結果を表4に示す。なお、各試料の残存率は、対照試料(牛血清アルブミン及びNaOHを含むリン酸緩衝液(ジスルホン酸を含まない))における添加直後濃度(548ng/mL)を100%とする相対値で示した。
Figure 2016159203
表4に示す通り、ジスルホン酸である1,4−BDS、2,6−NDS、及びPIPESがヘモグロビンの安定化効果を有することが分かる。
比較例1
1,2−EDSの代わりに8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸(以下、ANSという)もしくは2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム(以下、MESSという)を0.01mol/Lとなるように添加した点以外は、実施例1と同様にして試料を調製し、ヘモグロビン濃度を測定した。結果を表5に示す。なお、各試料の残存率は、対照試料(牛血清アルブミン及びNaOHを含むリン酸緩衝液(添加物を含まない))における添加直後濃度(583ng/mL)を100%とする相対値で示した。
Figure 2016159203
表5に示す通り、ジスルホン酸ではないスルホン酸を含む試料では、ヘモグロビンの変性あるいは分解が進んでいる可能性があることが分かる。
従って、1,4−BDS、2,6−NDS、及び1,2−EDS等のジスルホン酸を含む保存液及び試料は、37℃という高温下で保存された場合においても、6時間保存後及び24時間保存後のヘモグロビンの残存率を高く保つことが可能であることが示された。この結果から、本発明のジスルホン酸を含む保存液及び試料は、温度上昇及び時間経過を伴う場合においてもヘモグロビンの変性あるいは分解を抑制し、ヘモグロビンの安定化効果を有することが分かる。
また、実施例1乃至実施例4及び比較例1の各試料に便検体を添加し、同様の測定を行ったところ、実施例1乃至実施例4及び比較例1の測定結果と同様の傾向がみられた。
以上より、ジスルホン酸又はその塩を含む本発明のヘムタンパク質の保存液及びヘムタンパク質の安定化方法によれば、ヘムタンパク質の変性あるいは分解を抑制し、ヘムタンパク質を安定化できることが明らかとなった。
本発明のヘムタンパク質の保存液及びヘムタンパク質の安定化方法によれば、ヘムタンパク質の変性あるいは分解を抑制し、ヘムタンパク質を安定的に保存することができ、便潜血検査の便検体用希釈液、ヘムタンパク質を含む標準試料、及びヘムタンパク質を含むコントロール試料等のヘムタンパク質を安定的に保存することができる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (10)

  1. ジスルホン酸又はその塩を含むヘムタンパク質の保存液。
  2. 前記ジスルホン酸又はその塩が、鎖式の炭化水素基又は環式の炭化水素基の少なくとも1つを有するジスルホン酸又はその塩であって、
    前記鎖式の炭化水素基が分岐状もしくは直鎖状の炭化水素基であり、かつ分岐状の前記鎖式の炭化水素基の主鎖もしくは直鎖状の前記鎖式の炭化水素基の炭素数が1乃至10のいずれかであるジスルホン酸又はその塩、
    前記環式の炭化水素基がシクロアルキレン基もしくはアリール基であり、かつ前記環式の炭化水素基の炭素数が3乃至10のいずれかであるジスルホン酸又はその塩、並びに、
    前記シクロアルキレン基もしくは前記アリール基が1個以上の置換された窒素原子を有するジスルホン酸又はその塩からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載のヘムタンパク質の保存液。
  3. 前記ジスルホン酸又はその塩が、メタンジスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロパンジスルホン酸、ブタンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)又はその塩からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載のヘムタンパク質の保存液。
  4. 前記ジスルホン酸又はその塩の濃度が0.001mol/L以上0.3mol/L以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のヘムタンパク質の保存液。
  5. N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−エタンスルホン酸をさらに含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヘムタンパク質の保存液。
  6. 標準試料又はコントロール試料として用いられる、ヘムタンパク質をさらに含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載のヘムタンパク質の保存液。
  7. 免疫学的測定に用いられる請求項1乃至6のいずれか1項に記載のヘムタンパク質の保存液。
  8. ヘムタンパク質を含む試料中に、ジスルホン酸又はその塩を共存させるヘムタンパク質の安定化方法。
  9. 前記ジスルホン酸又はその塩の濃度が0.001mol/L以上0.3mol/L以下である請求項8記載のヘムタンパク質の安定化方法。
  10. ヘムタンパク質と抗ヘムタンパク質抗体とをジスルホン酸又はその塩の存在下で接触させる工程を含む、ヘムタンパク質の免疫学的測定方法。
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