JP2003503676A - インスリン抵抗性疾患に関する方法及び組成物 - Google Patents

インスリン抵抗性疾患に関する方法及び組成物

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マイケル・コーソーン
ジェン−チャールズ・サーンチェズ
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プロティオーム・サイエンシィズ・ピーエルシー
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Abstract

(57)【要約】 (a)少なくとも一つのタンパク質が、特異的なレベルのインスリン感受性を有する患者から得た関連組織、または上記患者の代表的な関連組織において特異的に発現されるというパラダイムを確立する工程;(b)スクリーニングされている試薬で治療された、インスリン抵抗性患者から得た関連組織、または上記患者の代表的な関連組織のサンプルを得る工程;(c)治療された患者から得た組織、または上記患者の代表的な組織における特異的に発現されたタンパク質の存在、不存在、または発現の度合いを測定する工程;並びに(d)治療されたインスリン抵抗性患者における特異的に発現されたタンパク質の発現、活性または量を変化させる程度に従って、上記試薬を選択または拒絶する工程;の工程を含む、インスリン抵抗性の治療における有用性を決定するための試薬のスクリーニング方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非インスリン非依存性糖尿病を、これに制限されることなく含む、
インスリン抵抗性疾患の治療のための方法及び組成物に関する。特に本発明は、
正常な状態またはインスリン非依存性疾患の状態での発現に対して、インスリン
抵抗性疾患の状態で特異的に発現されるタンパク質を同定し且つそれを記載し、
並びにインスリン感受性における変化と無関係な操作に対応して特異的に発現さ
れるタンパク質を同定する。さらに本発明は、インスリン抵抗性疾患及び/また
はインスリン非依存性糖尿病と相互作用する能力によってタンパク質を同定し且
つ記載する。さらにまた、本発明は、インスリン非依存性糖尿病を、それに制限
されることなく含む、インスリン抵抗性疾患のための治療薬としての化合物また
は組成物の同定のための方法、及びそれらの治療上の使用を提供する。さらに本
発明は、最も適切な治療の予測値を含む、各種のインスリン抵抗性疾患の診断上
の評価及び予後のための方法、並びに上記疾患に対する素因を示す患者の同定の
ための方法を記載する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病は、世界で1億人以上が罹患している最も一般的な代謝性疾患の一つで
ある。そのグローバルな発症は、2010年までに二倍になると予想されている
【0003】 糖尿病には、二つのタイプが存在する。I型またはインスリン依存性糖尿病(
IDDM)は、膵臓ベータ細胞の進行性の自己免疫破壊の結果であり、全糖尿病
人口の5−10%を構成する。インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)または
成人発症型糖尿病としても周知であるII型糖尿病は、糖尿病人口の90−95
%を占める。典型的にそれは、中年及び高齢の患者で発症するが、若年の患者で
も発症することがあり、一般的に肥満症と関連している。NIDDMは、二つの
代謝障害と関連する:インスリン抵抗性と不適切なインスリン分泌である。イン
スリン抵抗性は、特に骨格筋及び脂肪組織に影響して減少したグルコースの取り
込みを生じ、また肝臓に影響しグルコースの上昇した肝臓生産を生ずる。家系の
研究により、NIDDMの罹患において主要な遺伝学的構成成分が示されている
が、若年の成人発症型糖尿病(MODY)と称されるNIDDMのサブタイプと
は無関係であり、可能性のある遺伝子はまだほとんど同定されていない。
【0004】 NIDDMに対する治療は、血液グルコースの制御に焦点が当てられている。
しかしながら現在の試薬は一般的に、非糖尿病患者に存在するものと同程度に血
液グルコースの制御を達成できない。さらにNIDDM患者はしばしば、上昇し
た血漿トリグリセリドと上昇した血漿コレステロールを有し、または低い割合の
HDL:LDL−コレステロール値を有する。全てのこれらの代謝の変化は、心
臓血管疾患、失明、ネフロパシー、発作、及び微小血管疾患といった糖尿病の二
次的合併症に対して不利である。
【0005】 インスリン抵抗性は、NIDDM以外にも、多嚢胞性卵巣症候群、クッシング
病、発作、心臓血管疾患、高血圧、肥満症、及びインスリン依存性糖尿病を含む
多くの他の疾患の構成因子である。
【0006】 インスリン抵抗性疾患(NIDDMを含む)に関するミューテーションを有す
る動物モデルが、この疾患の研究のためのモデルとして使用されている。最も研
究されている動物はマウスであり、それは常染色体劣性ミューテーションob/
ob(肥満症)及びdb/db(糖尿病)を含む。これらのミューテーションは
、それぞれ第6染色体及び第4染色体に存在するが、遺伝子が同じバックグラン
ドの株で発現されている限り、臨床上同じ表現型を導く。
【0007】 ob遺伝子産物は、脳に脂肪組織上の脂肪貯蔵のシグナルを提供する、脂肪組
織によって主に生産される16kDaポリペプチドとして同定されている。循環
タンパク質(レプチンと称される)を生産しないミューテーションを有するマウ
スは過食症で肥満症であり、微弱な熱調節と身震いすることのない熱調節を有し
、減少したグルコース不耐症を有してインスリン抵抗性である。ob遺伝子ミュ
ーテーションがC5B1/6バックグランドで存在する場合、マウスは健在糖尿
病を有さないが、過度に高インスリン血症である。
【0008】 db/dbマウスは、JAK/STAT経路を介する正常なシグナル伝達を有
さないように、レプチンに対するレセプターにおいてミューテーションを有する
。このミューテーションがC57B1/6バックグランドに存在する場合、ob
ミューテーションと表現型的に同等となる。しかしながら、db/dbミューテ
ーションはC57B1/Ksマウスバックグランドで正常に発現され、このバッ
クグランドではこのミューテーションは明らかな糖尿病を引き起こす。インスリ
ン抵抗性と関連する他のマウスミューテーションは、インスリン非依存性糖尿病
のモデルであるが、第7染色体のアグーチローカスでのイエローミューテーショ
ン、ファット及びツビーローカスでのミューテーション、アジポーズローカスで
のドミナントミューテーションを含む。
【0009】 他のミュータント動物モデルは、fa/fa(脂肪過多)ラット及びZDF脂
肪過多ラットを含み、これらはob/ob及びdb/dbマウスとそれぞれ強力
な相同性を有する。かくしてfa/faラットは肥満症であり、インスリン抵抗
性であり、非常に高インスリン血症であり、グルコース不耐症である一方、ZD
Fラットは、肥満症であり、インスリン抵抗性であり、高インスリン血症である
が、約6週齢の後に明らかな糖尿病を発症する。
【0010】 NZOマウス、日本KKマウス、及びGKラットのような同系交配マウス株は
、インスリン抵抗性及び糖尿病のモデルとなる。さらに、アフリカトゲネズミ及
びサンドラットのような砂漠の齧歯類は、その天然の生息地においてインスリン
抵抗性でも糖尿病でもないが、標準的な実験室用の食餌を与えた場合、インスリ
ン抵抗性及びグルコース不耐症となる。
【0011】 インスリン抵抗性とグルコース不耐性は、高齢の齧歯類の一般的な特徴であり
、それらにおけるインスリン抵抗性の発症は、高脂肪含量の食餌を摂取すること
によって加速でき、これらの食餌は合成の均質な食餌であっても、高脂肪含量の
ヒトの食物の添加若しくはそれによる正常なラットの食物の置換の結果でも良い
【0012】 これらの動物モデルの全ては、ヒトまたはイヌやネコといったペット動物にお
けるインスリン抵抗性またはインスリン非依存性糖尿病のための治療の可能性の
ある新規な試薬を評価するために場合により使用されている。この試薬スクリー
ニングは主に経験的なものであり、ある酵素活性の個々の変化が、ある動物モデ
ルにおいて同定されていたとしても、インスリン非抵抗性動物と比較したインス
リン抵抗性動物の組織におけるタンパク質発現の差異は系統的に評価されてはい
ない。タンパク質発現のこれらの差異が、インスリン抵抗性の発症の基礎となる
のである。
【0013】 米国特許第5,702,902号(Tartaglia)は、正常な状態の発現に対して、体重異常
状態のmRNAレベルで特異的に発現される遺伝子を同定し記載する。ここで、遺伝
子発現を改変することによって、または特異的に発現される遺伝子の遺伝子産物
(タンパク質)相互作用することによってのいずれかで、体重異常を治療するた
めに治療上使用できる化合物を同定するために、遺伝子発現パターンが使用でき
ることが示唆されている。
【0014】 インスリン抵抗性疾患のような疾患プロセスの分子的基礎を同定するためのツ
ールとしての、特異的な遺伝子発現の使用は、特異的なタンパク質発現に直接翻
訳される特異的遺伝子mRNA発現に依存する。これはこの場合には該当しない。存
在するタンパク質の量は、該当するmRNAのターンオーバー速度、個々のタンパク
質のターンオーバー速度、結合タンパク質とのタンパク質の相互作用、及びリン
酸化のような翻訳後修飾によって影響されるため、タンパク質発現の変化はずっ
とより複雑である。かくして、タンパク質発現の変化(翻訳後修飾を含む)は、
インスリン非依存性糖尿病を含むインスリン抵抗性疾患の発症の基礎をなす。こ
れらのタンパク質発現の同じ変化は、ヒト及びネコやイヌといったペットの動物
におけるインスリン非依存性糖尿病を含むインスリン抵抗性疾患の原因となるよ
うである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
インスリン抵抗性の分子的基礎の同定のためのより予測的な方法を見出し、そ
れによってが上記疾患を治療するための試薬を同定するために使用できる分子標
的を規定することが課題である。上記利用可能な治療上のツールから、インスリ
ン抵抗性疾患、特にインスリン非依存性糖尿病のひどさ及び罹患を与えるインス
リン抵抗性疾患を有するいずれかの患者のための最も適切な治療を同定すること
も課題であり、正常なまたはインスリン非抵抗性患者のレベルに、インスリン抵
抗性疾患を有する患者における、上記疾患の原因となるタンパク質の発現レベル
または活性を変化させることは、上記疾患を治療する手段を表すため、上記タン
パク質の系統的な同定のための大きな必要性が存在する。さらに、インスリン抵
抗性状態の全体には複数の原因が存在するため、上記方法体系は、インスリン抵
抗性疾患に罹患しているいずれかの患者を治療するための最も適切で最も有効で
あると介される治療を形成する可能性を与えるであろう。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述の課題は、特異的なインスリン感受性を有する患者または動物から得た組
織における、タンパク質の特異的な発現の評価に基づく方法によって解決される
ことが見出された。
【0017】 広い意味で本発明は、インスリン非依存性糖尿病を、これに制限されることな
く含むインスリン抵抗性の治療のための方法及び組成物に関する。特に本発明は
、正常またはインスリン非抵抗性状態における発現に対する、インスリン抵抗性
状態において特異的に発現されるタンパク質を同定し且つ記載し、さらにインス
リン感受性の調節と無関係な操作に応答して特異的に発現されるタンパク質を同
定する。上記特異的に発現されるタンパク質は、「標的タンパク質」及び/また
はフィンガープリントタンパク質を表しても良い。さらに本発明は、インスリン
感受性の調節に関与するタンパク質と同語作用する能力を介するパスウェイタン
パク質と称されるタンパク質を同定し且つ記載する。パスウェイタンパク質は、
標的タンパク質及び/またはフィンガープリントタンパク質の特徴を示しても良
い。
【0018】 従って第一の特徴点として、本発明は、以下の工程: (a)少なくとも一つのタンパク質が、特異的なレベルのインスリン感受性を有す
る患者から得た関連組織、または上記患者の代表的な関連組織において特異的に
発現されるというパラダイムを確立する工程; (b)スクリーニングされている試薬で治療された、インスリン抵抗性患者から得
た関連組織、または上記患者の代表的な関連組織のサンプルを得る工程; (c)治療された患者から得た組織、または上記患者の代表的な組織における特異
的に発現されたタンパク質の存在、不存在、または発現の度合いを測定する工程
;並びに (d)治療されたインスリン抵抗性患者における特異的に発現されたタンパク質の
発現、活性または量を変化させる程度に従って、上記試薬を選択または拒絶する
工程; を含む、インスリン抵抗性の治療における有用性を決定するための試薬のスクリ
ーニング方法を提供する。
【0019】 上記パラダイムは、特異的に発現される少なくとも一つのタンパク質を確立す
ることを含んでも良い。しかしながらいくつかの実施態様においては、上記パラ
ダイムは、少なくとも2,3,4,5,6,7,8,9,10または20の特異
的に発現されるタンパク質を使用しても良い。
【0020】 さらなる特徴点として本発明は、以下の工程: (a)特異的にレベルのインスリン作用、即ち特異的なインスリン感受性を示す実
験上及び/または臨床上のパラダイムを確立する工程; (b)特異的なレベルのインスリン作用を示す動物またはヒトの組織における特異
的に発現されるタンパク質を同定する工程;並びに (c)インスリン抵抗性疾患状態の治療における使用のための、インスリン抵抗性
状態における特異的に発現されるタンパク質の一つ以上の発現及び/または活性
を、正常な状態に変換する試薬を選択する工程; を含む、インスリン抵抗性疾患の治療における使用のための試薬の同定のための
方法を提供する。
【0021】 さらなる特徴点として本発明は、上記方法を使用して試薬を同定する工程と、
上記試薬を製造する工程、及び製薬組成物を提供するために許容可能な担体とそ
れを製剤化する工程を含む、製薬組成物を作製する方法を提供する。
【0022】 さらなる特徴点として本発明は、インスリン抵抗性によって特徴づけられる疾
患の治療のための医薬の調製のための、上記方法によって同定された試薬の使用
を提供する。
【0023】 さらなる特徴点として本発明は、上記方法によって同定された上記試薬の治療
上または予防上の有効量を投与することを含む、患者においてインスリン抵抗性
によって特徴づけられる疾患を治療する方法を提供する。
【0024】 さらなる特徴点として本発明は、以下の工程: (a)少なくとも一つのタンパク質が、特異的なレベルのインスリン感受性を有す
る患者から得た関連組織、または上記患者の代表的な関連組織において特異的に
発現するというパラダイムを確立する工程; (b)上記組織のサンプルを得る工程;並びに (c)上記サンプルにおける特異的に発現するタンパク質の存在、不存在または発
現の度合いを測定する工程;並びに (d)上記測定値と臨床上の情報の間の従前の測定値を参考にして、インスリン抵
抗性の性質または度合いについて測定値を関連させる工程; を含む、ヒトまたは動物患者から得たサンプルまたは関連組織におけるインスリ
ン抵抗性の性質または度合いを測定する方法を提供する。
【0025】 簡便には、上記方法で使用される患者のサンプルは、組織サンプルまたは体液
サンプルまたは尿であっても良い。この方法は、患者におけるインスリン抵抗性
のタイプを、当該技術分野で入手可能な予防上または治療上の治療についての各
種のタイプと相関させ、それによって治療に対する患者の応答の可能性を増大す
ることを許容する。
【0026】 さらなる特徴点として本発明は、糖尿病予備患者におけるインスリン非依存性
糖尿病の罹患を予防するための、インスリン抵抗性状態において特異的に発現さ
れる一つ以上のタンパク質の発現を、正常な状態において見出されるものに戻す
であろう試薬の使用による治療の方法を提供する。
【0027】 さらなる特徴点として本発明は、インスリン抵抗性を有する患者の組織サンプ
ルまたは体液サンプルまたは尿における特異的に発現されるタンパク質のパター
ンを使用して、インスリン抵抗性状態を緩和し上記治療の成功をモニターする最
も適切で有効な治療を予測する方法を提供する。
【0028】 本発明は、物理化学的方法によって分離された特異的に発現するタンパク質の
感度の良い検出と結びついたインスリン抵抗性及びインスリン非依存性糖尿病の
実験場のパラダイムと関与する系統的研究ストラテジーに部分的に基づく。二次
元ゲル電気泳動が、インスリン抵抗性疾患及びその治療に関連する特異的に発現
されるタンパク質を分離するために、成功して適用できることが見出されている
。それ故本発明は、ゲル上でのスポットとしてまたは精製形態のいずれかで、本
発明の方法によって入手可能な特異的に発現されるタンパク質を提供する。しか
しながら以降の記載のように、タンパク質の特異的な発現を生ずるための他の方
法が、本発明において使用可能である。
【0029】 従ってさらなる特徴点として、本発明は、以下の工程: (a)3mm×180mmのアクリルアミドポリマーの非直線状固定化pH勾配(IPG)断片を
準備する工程; (b)尿素(8M)、3-[(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホナ
ート(CHAPS、2%w/v)、ジチオエリスリトール(DTE、10mM)、pH3.5から10の酸
及び塩基(2%w/v)、及び微量のBromophenol Blueの水溶液を25ml含むカセットに
、上記IPG断片を再水和する工程; (c)上記カセットから液体を除き、湿った電極芯、電極、及びサンプルカップを
備えた電気泳動トレーに上記断片を移し、上記断片とカップを低粘度のパラフィ
ン油で覆う工程; (d)上記IPG断片の陰極末端で、サンプルカップに、尿素(8M)、CHAPS(4%w/v)、Tr
is(40mM)、DTE(65mM)、SDS(0.05%w/v)、及び微量のBromophenol Blue中で、関連
生体組織の乾燥し電荷材料の水溶液の200マイクログラムを提供する工程; (e)3時間で300から3500Vの直線状の増加の、その後さらに3時間3500Vの、その
後pI依存性最終地点に上記断片中で上記タンパク質が移動するのに十分な時間50
00Vの電圧で、ゲル上で等電点電気泳動を実施する工程; (f)Tris-HCl(50mM)pH6.8、尿素(6M)、グリセロール(30%v/v)、SDS(2%w/v)及びDT
E(2%w/v)を含む100mlの水溶液で12分間、トレー内で上記断片を平衡化する工
程; (g)5分間この溶液を、Tris-HCl(50mM)pH6.8、尿素(6M)、グリセロール(30%v/v)
、SDS(2%w/v)、ヨードアセタミド(2.5%w/v)、及び微量のBromophenol Blueを含
む100mlの水溶液によって置換する工程; (h)リーディングバッファーとして、Tris-HCl(0.375M)pH8.8中のTEMED(0.5%w/v)
、過硫酸アンモニウム(0.1%w/v)、及びチオ硫酸ナトリウム(5mM)の存在下で重合
した、アクリルアミド/ピペラジン−ジアクリリル架橋剤(9-16%T/2.6%C)の160
×200×1.5mmの縦勾配スラムゲルを準備する工程; (i)約2時間sec-ブタノールで上記ゲルを浸し、この液を除去し、それを水と置
換する工程; (j)陽極末端から6mmと陰極末端から14mmを除去して、二次元電気泳動のために適
したサイズにIPGゲル断片を切断する工程;並びに (k)リーディングバッファーとして、アガロース(0.5%w/v)及びTris-グリシン-SD
S(25mM-198mM-0.1%w/v)の水溶液でスラブゲルを浸し、70℃に加熱し、この浸
した溶液を通じてスラブゲル上に上記IPG断片を乗せる工程; (l)8-12℃で5時間40mAの一定電流で、二次元電気泳動を実施する工程;並びに
(m)ゲルを洗浄する工程; を含む、異なるレベルのインスリン感受性を有する患者から得た関連組織、また
は上記患者の代表的な関連組織において特異的に発現されるタンパク質で、上述
の組織またはそのタンパク質含有抽出物で実施される二次元ゲル電気泳動によっ
て入手可能であるタンパク質を提供する。
【0030】 特異的に発現されるタンパク質の例は、以下のものを含む: (a)ロシグリタゾン(rosiglitazone)で処理されても良い、肥満症でインスリン抵
抗性のマウスのマウス肝細胞から入手可能で、ここで、LOM16, LOM17, LOM18, L
OMT19, LOM20, LOMT21, LOMT22, LOMT23, LOMT24, LOMT25, LOMT26, LOM27, LOM
28, LOM29またはLSEM30と称されるタンパク質; (b)ロシグリタゾンで処理されても良い、肥満症でインスリン抵抗性のマウスの
骨格筋細胞から入手可能で、ここで、MOM31, MOM32, MOM33, MOMT34, MOMT35ま
たはMOM36と称されるタンパク質; (c)ロシグリタゾンで処理されても良い、肥満症でインスリン抵抗性のマウスの
白色脂肪組織から入手可能で、ここで、WOMT37, WOM38, WOMT39, WOM40, WOM41,
WOMT42, WOM43, WOM44, WOM45, WOM46, WOM47, WOMT48, WOMT49, WOMT50, WOM5
1から64またはWSEM65と称されるタンパク質; (d)ロシグリタゾンで処理されても良い、肥満症でインスリン抵抗性のマウスの
褐色脂肪組織から入手可能で、ここで、BOM66, BOM67, BOMT68, BOM69から75, B
OMT76またはBOM77と称されるタンパク質。
【0031】 さらなる特徴点として本発明は、以下の工程: (a)少なくとも一つのタンパク質が、特異的なレベルのインスリン感受性を有す
る患者または動物から得た関連組織、または上記患者の代表的な関連組織におい
て特異的に発現されるというパラダイムを確立する工程; (b)上記特異的に発現されるタンパク質を同定する工程; (c)特異的に発現されるタンパク質の発現レベルまたは活性を、インスリン非抵
抗性患者のレベルに改変するであろう化合物を検出するために、スクリーニング
、好ましくはin vitroでの高スループットスクリーニングを確立する工程。かく
して、上記タンパク質が抵抗性状態で減少して発現されているならば上記発現ま
たは活性が増大され、上記タンパク質が過剰発現されているのであれば減少され
るはずである; (d)動物または細胞ベースのシステムにおいて、(c)におけるポジティブエフェク
ターとして考慮される化合物の効果を評価し、それらがインスリン感受性を調節
するかどうか測定する工程; (e)インスリン抵抗性パラダイムのタンパク質発現パターンに対する、(c)におけ
るポジティブエフェクターの効果を評価し、上記タンパク質発現パターンが、非
インスリン抵抗性状態のものへと変化されるかどうか測定する工程; (f)さらに従来の製薬学的パラメーターに基づいて、治療薬を選択する工程; を含む、インスリン抵抗性を治療するのに有用である試薬のスクリーニングの方
法を提供する。
【0032】 さらなる特徴点として本発明は、以下の工程: (a)少なくとも一つのタンパク質が、特異的なレベルのインスリン感受性を有す
る患者または動物から得た関連組織、または上記患者の代表的な関連組織におい
て特異的に発現され、一つ以上の特異的に発現されるタンパク質の発現が、周知
のインスリン感作薬での治療、またはインスリン抵抗性を増大する運動といった
治療により、インスリン抵抗性動物またはヒトから得た組織において、インスリ
ン非抵抗性または正常な動物またはヒトの同じ組織におけるタンパク質発現パタ
ーンに改変することが見出されるというパラダイムを確立する工程; (b)周知のインスリン感作薬での治療、またはインスリン抵抗性を増大する運動
といった治療により発現が好適に改変される、インスリン抵抗性状態と正常な状
態の間で特異的に発現されるタンパク質を同定する工程; (c)インスリン抵抗性を示す動物またはヒトの治療により、インスリン感作薬ま
たは治療により改変される、インスリン抵抗性またはインスリン非抵抗性状態の
間で特異的な発現を有するタンパク質の発現レベルまたは活性を改変するであろ
うさらなる化合物を検出するために、スクリーニング、好ましくはin vitroでの
高スループットスクリーニングを確立する工程。上記in vitroスクリーニングの
目的は、インスリン感作薬または治療によって生じるものと同様の特異的タンパ
ク質発現パターンの変化を生ずる化合物を同定することである。in vitroスクリ
ーニングによって同定された上記化合物は、強力なインスリン感作薬であるが、
初期治療インスリン感作薬として使用されるインスリン感作薬または治療とは全
く異なる性質を有する。; (d)動物または細胞ベースのシステムにおいて、(c)におけるポジティブエフェク
ターとして考慮される化合物の効果を評価し、それらがインスリン感受性を調節
するかどうか測定する工程; (e)インスリン抵抗性パラダイムのタンパク質発現パターンに対する、(c)由来の
ポジティブエフェクターの効果を評価し、上記タンパク質発現パターンが、非イ
ンスリン抵抗性状態のものへと変化されるかどうか測定する工程; (f)さらに従来の製薬学的パラメーターに基づいて、治療薬を選択する工程; を含む、インスリン抵抗性を治療するのに有用である試薬のスクリーニングの方
法を提供する。
【0033】 さらなる特徴点として本発明は、以下の工程: (a)インスリン抵抗性と非インスリン抵抗性の動物またはヒトの両者が、インス
リン感作薬または試薬で治療されるされるパラダイムを確立し、組織におけるタ
ンパク質の特異的発現を比較する工程。インスリン抵抗性状態において好適に変
化されるが、インスリン非抵抗性状態においては変化されない発現を有する、イ
ンスリン抵抗性状態とインスリン非抵抗性状態の間で特異的に発現されるタンパ
ク質が、インスリン感受性を改良するための試薬として分子標的の標的となるで
あろう。インスリン抵抗性状態を有する動物またはヒトの間で特異的に発現され
るタンパク質、またはインスリン抵抗性状態の間で特異的には発現されないが、
インスリン抵抗性状態とインスリン非抵抗性状態の両者、またはインスリン感作
薬での治療を与えたインスリン非抵抗性状態でのみ改変される発現を有するタン
パク質が、上記薬剤の副作用のための分子標的となるであろう(副作用マーカー
)。上記副作用マーカーは、インスリン抵抗性と関連する特異的に発現されるタ
ンパク質に対して各種の組織で見出されるであろう; (b)インスリン感受性を改良する試薬に対する標的であるタンパク質、及び副作
用マーカーであるタンパク質の両者を同定する工程; (c)第一に、分子標的タンパク質の発現レベルまたは活性を好適に改変するであ
ろうさらなる化合物を検出し、第二に副作用マーカーの発現または活性を改変し
ない化合物を検出するために、スクリーニング、好ましくはin vitroでの高スル
ープットスクリーニングを確立する工程。第一の試験ではポジティブであるが、
第二の試験では効果を有さない化合物が、元となるパラダイムにおいて使用され
るインスリン感作薬に対して減少した副作用を有するインスリン抵抗性疾患のた
めの治療上の試薬となるであろう; (d)動物または細胞ベースのシステムにおいて、(c)において同定された化合物の
効果を評価し、それらがインスリン感受性を調節するかどうか測定する工程; (e)動物または細胞ベースのシステムにおいて、(c)において同定された化合物の
効果を評価し、副作用プロフィールが変化するかどうか測定する工程; (f)これらの動物に上記化合物を投与することにより、インスリン抵抗性パラダ
イムとインスリン非抵抗性パラダイムのタンパク質発現パターンに対する、(c)
から得た上記化合物の効果を評価し、タンパク質発現パターンにおける変化を測
定する工程; (g)さらに従来の製薬学的パラメーターに基づいて、治療薬を選択する工程; を含む、減少した副作用を有するインスリン抵抗性を治療するのに有用や試薬の
スクリーニングの方法を提供する。 別の特徴点として本発明は、特異的に発現されたタンパク質に特異的な抗体、
特にモノクローナル及び組換え生産抗体を含み、並びに治療薬及び診断薬の両者
としての上記抗体の使用を含む。
【0034】 本発明は、患者におけるインスリン抵抗性状態を緩和するための、標的タンパ
ク質またはそのインヒビターの医薬的使用を含む。特に本発明は、インスリン抵
抗性疾患を緩和するのに有効量の標的タンパク質またはそのインヒビターを患者
に対して投与することを含む、患者におけるインスリン抵抗性疾患を治療する方
法を含む。
【0035】 定義: ここで使用される「特異的な発現」は、組織タンパク質発現における少なくと
も一つの認識可能な差異を指す。それは、組織タンパク質発現における量的に測
定可能な差異、半量的に見積もり可能な差異、または質的に検出可能な差異であ
っても良い。かくして、特異的に発現されるタンパク質(ここでDEPと称する)
は、正常な状態における組織で強力に発現され、インスリン抵抗性(疾患)状態
の組織においてあまり強力に発現されない若しくは全く発現されないものでも良
い。逆にそれは、疾患状態における組織において強力に発現され、正常な状態に
おいてあまり強力に発現されない若しくは全く発現されないものでも良い。同様
に特異的な発現は、非治療組織と治療組織の間の比較において各方向で見出され
る。さらに発現は、上記タンパク質が比較の元で二つの状態の間で認識可能な変
化を受けているのであれば、特異的として考慮されても良い。
【0036】 用語、「パラダイム」は、プロトタイプの例、試験モデル、またはスタンダー
ドを意味する。
【0037】 特異的な発現タンパク質がスクリーニング方法において使用される場合はいつ
でも、タンパク質の特異的な発現性が事前に測定されるパラダイムを確立する予
備工程を、過去のある時点でなされている必要がある。一度パラダイムが確立さ
れたならば、スクリーニング方法が実施される全ての場合で再確立される必要は
ない。従って用語、「パラダイムの確立」が、構築されなければならない。
【0038】 「インスリン抵抗性」は、糖尿病、特にNIDDM及び糖尿病の二次的合併症、例
えば心臓血管疾患、失明、ネフロパシー、発作及び心臓血管疾患、多嚢胞性卵巣
症候群、クッシング病、発作、心臓血管疾患、高血圧及びインスリン依存性糖尿
病のような疾患の特徴である。
【0039】 「関連組織」は、体内のインスリンの作用に応答する生物学的変化を受けるい
ずれかの組織、またはこの変化によって影響される全ての他の組織を意味する。
【0040】 「患者の代表的な組織」は、上述の生物学的変化が、研究室の課題のために刺
激できるいずれかの組織を意味し、例えば一次細胞組織、または関連組織から究
極的に由来する細胞系を含む。
【0041】 用語、「患者」は、ヒト及び動物の患者を含む。
【0042】 上記に対して称される治療は、一つ以上の試薬または食物の投与、及び/また
は食餌または運動のような他の因子を含むことができる。
【0043】 特異的に発現されるタンパク質(DEP)は、「フィンガープリントタンパク質」
、「標的タンパク質」または「パスウェイタンパク質」を含む。
【0044】 ここで使用される用語、「フィンガープリントタンパク質」はDEPを意味し、
その発現が単独でまたは他のDEPと組み合わされて、インスリン抵抗性に罹患し
てる疑いのある患者の状態をモニターまたは評価するために使用できる。これら
のタンパク質は、通常組み合わせて、特に4種以上と組み合わせて使用され、場
合により単独でまたはこの目的のための一つまたは二つの他のタンパク質と共に
使用される可能性を排除しない。上記フィンガープリントタンパク質は、例えば
インスリン抵抗性の特定のタイプを診断し、それに対する特別の治療を示唆する
ために使用できる。
【0045】 ここで使用される用語、「診断」は、患者における上記疾患の存在、不存在ま
たは可能性に関するいずれかの情報の提供を含む。それはさらに、それと関係す
るまたは関係すると経験的に認識される疾患または症状のタイプまたは分類に関
する情報の提供を含む。
【0046】 ここで使用される用語、「標的タンパク質」はDEPを意味し、そのレベルまた
は活性が、インスリン抵抗性疾患を緩和するための治療によって調節できる。患
者における標的タンパク質のレベルまたは活性の調節は、例えば標的タンパク質
、それと相互作用する別のタンパク質若しくは遺伝子、例えば上記タンパク質に
対する抗体、上記タンパク質の競合的なインヒビター、または対応する遺伝子の
転写若しくは翻訳のプロセスにおいて作用する試薬を投与することによって達成
されても良い。
【0047】 インスリン抵抗性に関してここで使用される用語、「緩和」は、一つ以上のそ
の非所望の症状または影響を減少するいずれかの形態を意味する。患者のインス
リン抵抗性状態のいずれかの改善は、用語「緩和」の範囲にある。
【0048】 別法としてまたは加えて、DEPは、インスリン感受性の調節に関与する少なく
とも一つの他のタンパク質または遺伝子と相互作用できる。上記他のタンパク質
は、ここで「パスウェイタンパク質」(PP)と称される。この用語は、DEPと相互
作用するタンパク質に適用され、DEP自体には適用されないが、パスウェイタン
パク質が別のDEPであっても良い。
【0049】 ここで使用される用語、「含む」は、「より成るまたは含む」を意味する。
【0050】 例として、本発明の実施態様が、添付された図面を参考にしてより詳細に記載
されるであろう。
【0051】 [発明の詳細な説明] パラダイムの類型 本発明は、タンパク質の特異的な発現を、インスリン感受性における遺伝子座
の変化を同定する手段として使用する。インスリンがその受容体と相互作用して
、シグナル伝達及び数多くの代謝的事象の活性化を生じさせるプロセスの分子機
構には、グルコース及び脂質の代謝への影響、並びに数多くの遺伝子の転写への
影響が含まれるが、この機構は、非常に複雑であり、完全には理解されていない
。そのため、インスリンの変化は潜在的に、数多くのタンパク質濃度の変化が関
与すると考えられる。また、インスリン抵抗性は通常、組織内の特性のタンパク
質の濃度を潜在的に変化させる数多くの二次的合併症と関係している。従って、
インスリン感受性の制御にとって重要なタンパク質を決定するためには、特異的
な発現している一又はそれ以上のタンパク質を同定するであろう明確な実験的パ
ラダイム(パラダイム)を仕様することが必要である。インスリン抵抗性の全て
の場合における分子的標的を単一のパラダイムで同定することができないことは
、当業者らには明らかであろう。従って、特異的な発現したタンパク質を同定す
るのに、最も適切なパラダイムを使用することは非常に重要な判断事項である。
インスリン抵抗性の数多くの実験的パラダイムにおいて特異的な発現しているタ
ンパク質は、潜在的に非常に重要である。
【0052】 当該パラダイムの第一の態様において、本発明は、相対的にインスリン抵抗性
である状態と、相対的にインスリン感受性である状態との間で特異的な発現して
いるタンパク質を使用する。原理的には、このようないずれの二つの状態の比較
を行う。簡便法としては、健常な及びインスリン抵抗性の被験者からの組織を比
較する。あるいは、又はこれに付け加えて、健常な個人と、及び高度に(異常に)
インスリン感受性である個人、例えば定期的にエクササイズを行っている個人と
の間で発現を比較する。この第一のタイプのパラダイムにより、グループ1型の
DEPが分類され、そして「OM」(肥満マウスモデルと呼ぶ)という名称により、
図中に示されている。これにより、指紋的タンパク質であり、且つ標的タンパク
質となりえるDEPが分類される。
【0053】 例えば、健常な状態で過剰発現し、そしてインスリン抵抗性(疾患)の状態では
過小発現しているDPEは、インスリン抵抗性の患者においてその産生を増大さ
せる治療の標的である。逆に、DEPが正常な状態において過小発現し、疾患状態
で過剰発現している場合は、これは、患者におけるその産生、発現、又は活性を
阻害する、治療の標的となる。
【0054】 当該パラダイムの第二の態様においては、発現の付加的比較、すなわちインス
リン抵抗性の被験者と、インスリン感受性を増大するように処置された被験者(
ヒト又は動物)との間での比較を行う。これらには、食事の制限若しくは加減、
運動、又はインスリン感作剤、典型的には薬剤若しくは薬剤の組み合わせでの処
置、又はこれらのものの何れかの組み合わせによりインスリン抵抗性を軽減する
処置が含まれる。このようなインスリン感作剤の好ましいものは、チアゾリジン
ジオン(thiazolidinedione)タイプのものの一つ、特にはロシグリタゾン(ros
iglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone)や、トログリタゾン(troglita
zone)がある。
【0055】 薬剤は、非-チオゾリジンジオン型のもの、例えば(a)PPARガンマ核受容体のア
ゴニスト若しくは部分的アゴニスト、(b)b3-アドレナリン受容体アゴニスト、例
えばBRL 35135やBRL 26830、又は(c)レプチン若しくはレプチンの断片、とする
ことができる。他の薬剤には、オキサゾリジンジオン類、例えばJTT501、メトフ
ォルミン、そしてPPARガンマとヘテロダイマーを形成するRXR活性化因子が含ま
れる。
【0056】 このようなパラダイムにより、インスリン抵抗性状態及びインスリン感受性状
態の間で特異的な発現していて、その発現が特定のインスリン感作剤でインスリ
ン抵抗性被験者を処置することによりインスリン抵抗性状態において変化するタ
ンパク質についての情報が提供されるであろう。このようなDEPは、患者の治
療のための標的タンパク質である。
【0057】 このパラダイムは、インスリン抵抗性モデルの被験者が薬剤で治療されたとき
に観察される特異的な発現が、インスリン感受性の被験者が同様に治療されたと
きに観察されないならば、非常に大きな価値を有するものである。さもなければ
、DEPは当該薬剤のインスリン感作性の作用を純粋に反映していないのかもし
れず、むしろ別の作用を反映しているのかもしれない。このような他の作用は、
副作用と見なすことができるが、もっとも、このような副作用は、必ずしも有害
であるとは限らないことは勿論である。従ってもう少し一般化すると、第三のパ
ラダイムにおいては、正常な被験者と比較して、処置済みのインスリン抵抗性被
験者において特異的な発現している当該タンパク質は、未処置の被験者と比較す
ると、処置済みの正常な被験者の組織内においては低減されたレベルで特異的な
発現しているか、又は全く特異的な発現していない。この第三のタイプのパラダ
イムは、図中において例示されていて、「OMT」の名称の(処置済みの肥満マ
ウスのモデルとよばれる)、第二のタイプのDEPを生じる。
【0058】 薬剤での処置による結果としてインスリン感受性モデルの被験者において観察
される差分配列の変化により、副作用が明確となったパラダイムは更に、二つの
理由により価値がある。まず、副作用は医学的に重篤ではないか、及び/又は、
もしかすると許容できる程度の低頻度で現れるかもしれない。次に、このような
パラダイムは、薬剤の副作用についてのスクリーニングに使用できる。これは、
「SEM」(副作用マーカとよばれる)の名称を有する第三グループのDEPを構
成し、未処置の被験者と処置済みの被験者との間でのタンパク質の特異的な発現
を、インスリン感受性被験者及びインスリン抵抗性被験者の両方で検出すること
で到達されるものである。このような差異のそれぞれは、独立して、広範囲であ
るか又は過剰発現である。
【0059】 第一、第二、及び第三のタイプのパラダイムの間の本質的な違いは、第一のも
のにおいては如何なる治療体制や薬剤によってもパラダイムが確立されるもので
はないことにあるが、それは、正常な被験者(例えばやせた対照マウス)が疾患
の被験者と比較されているからであり、一方、第二の場合には、この比較は、疾
患の被験者、未処置の、及び処置済みの被験者(例えば肥満の対照マウス、及び
薬剤での処置を行っておいた肥満のマウス)との間での更なる比較により補充さ
れる。従って、例えば痩せたマウスと肥満のマウスとを使用し、治療用の薬剤と
してロシグリタゾンを使用してパラダイムを確立するに際しては、一度に4つの
実験群で行うことが好都合である。そしてDEPは、以下のようにグループ化す
ることができる。
【0060】 グループ1(「OM」):痩せた対照 対 肥満の対照でDEPを比較。但し
、これはグループ2のDEPではない。
【0061】 グループ2(OMT):痩せた対照 対 肥満の対照でDEPを比較。ここで
のDPEは、処置済肥満 対 肥満対照の比較におけるDEPであるが、痩せた
対照 対 痩せた処置済のものの比較におけるDEPではない。
【0062】 グループ3(「SEM」):処置済み肥満 対 肥満対照でDEPを比較。但
し、ここでのDEPは、痩せた処置済のもの 対 痩せた対照での比較における
DEPではない。
【0063】 上に例示されるこのような1型、2型、又は3型のそれぞれのパラダイムは、
ロシグリタゾンでの事例の場合には特定の治療と関連していることがわかるであ
ろう。他のインスリン感作剤「X」(既知のもの又はこれらから発見されるもの)
を使用して、パラダイムを確立する場合には、ある程度の差が存在することが予
想できるであろう。例えば、「ロシグリタゾン-非感受性の」、グループ1のD
EPの中には、更に薬剤「X」に対して感受性のものが有るかもしれなく、従っ
て、新たなパラダイムにおいてはグループ2であるかもしれない。更に、このD
EPを、痩せた処置済みのもの 対 痩せた対照を比較して、大きな差異が全く
ない場合には、グループ2に属するであろう。
【0064】 パラダイム用のモデル被験者 このパラダイムは、例えば齧歯類等の動物モデルにおいて「実験的に」確立す
ることが便利であるが、もっともヒトや動物の被験体を使用して「臨床的な」パ
ラダイムを提供することも可能である。
【0065】 一の態様において、この比較は、遺伝的な(genetic or heritable)インスリ
ン抵抗性疾患(NIDDMを含む)に関係するDEPが検出されるようにして設計さ
れている。例えばマウスの場合には、このような比較によりob/ob、tub又は肥満
遺伝子産物により直接的又は間接的に制御されるタンパク質を同定できるかもし
れない。ラットにおいては、fa遺伝子産物により直接的又は間接的に制御される
タンパク質が同定されるかもしれない。一の特定のパラダイムにおいては、被験
体には、ob/ob、db/db、tub/tub、又はfat/fatの実験マウス、及び痩せた同腹子
の対照、又はfa/fa若しくは2DFのラットと痩せた対照が含まれる。このような動
物は、正常な食餌を一定期間与えられ、その後で組織試料を分析用に回収する。
【0066】 更なる態様においては、ob/ob、db/db、tub/tub、及び/又はfat/fatのマウス
、及び/又はfa/faのラット、及び痩せた対照動物は、インスリン感受性を改善す
る薬剤で処置してもよい。このような薬剤には、上記のインスリン感作剤が含ま
れる。
【0067】 タイプについての更なる比較においては、ob/ob、db/db、tub/tub、及び/又は
fat/fat のマウス、及び/又はfa/faのラット、及び/又は非変異型の動物に、イ
ンスリン抵抗性状態を悪化させるか、インスリン感受性を改善するかのいずれか
の食餌療法を与えてもよい。例えば、インスリン感受性又はインスリン抵抗性の
動物の何れかには、高脂肪の食餌を与えて、インスリン抵抗性状態を悪化させる
こともできる。この一の態様においては、若いか年取ったマウス又はラットに対
して、人間のスナック食物からなる、自由選択の食餌又は高脂肪の食餌を与える
。200g未満の体重の若いラットは、高脂肪又は自由選択の食餌を与えられた
場合には、インスリン抵抗性の発症に対して抵抗を示したが、一方、350g以
上のラットは、急速にインスリン抵抗性となった。従って、この方法を使用して
、インスリン抵抗性状態と関連するDEPを検出することが可能である。上記し
たようにして、薬剤治療ベースの比較を導入することにより、更に改良すること
も可能である。
【0068】 天然の動物の血統の中には、実験室的食餌類(a laboratory chow or other l
aboratory diets)を与えた場合に、インスリン抵抗性、及び非インスリン依存
性糖尿病のいずれも示さないものがある。これらには砂漠の齧歯類、アフリカト
ゲネズミや、砂漠に住む各種のネズミが含まれている。天然の食餌を与えた動物
と、実験室的食餌を与えたものとの間の比較により、インスリン抵抗性と関連し
たDEPを検出することが可能になる。
【0069】 DEPを確認するための他の態様においては、妊娠中のマウス又はラットに、
低タンパク質の食餌(典型的には6-8%タンパク質)を妊娠中及び/又は受乳期間中
に付与し、一方、対照動物には、通常のタンパク質含有量の食餌(典型的には15%
)を付与することができる。離乳後は、子供に高脂肪の食餌を与えてもよい。こ
のような後者の子供は、インスリン抵抗性及び非インスリン依存性糖尿病を発症
する。異なる食餌を、懐胎期間、離乳期間、及び/又は、成体期に与えられた種
々の動物間で比較を行うと、インスリン抵抗性と関連したDEPを検出すること
ができる。
【0070】 このパラダイムは、例えば、(a)当該疾患を代表するものとして、インスリン
非依存性糖尿病、糖認容障害、肥満、多嚢胞性卵巣症候群、クッシング症候群、
X症候群や、インスリン抵抗性症候群、を有する被験者、(b)健常者、及び(c)異
常性インスリン感受性状態を代表するものとして定期的にエクササイズを行って
いる者、としたときに(a)、((b)、及び(c)の何れかの2つ又は全てを
使用して臨床的に確立することが可能である。
【0071】 モデルとなる被験体は、遺伝子導入又はノックアウト動物(通常はマウスであ
あう)とすることができ、これはそのインスリン感受性が、野生型のものに対し
て変化しているが、これは一以上の遺伝子の過剰発現及び/又はノックアウトの
結果である。
【0072】 パラダイムを確立するために使用した組織の種類 パラダイムは、インスリン作用に対して感受性であり、そのためインスリン感
受性において変化することのできる何れの細胞組織をも使用して確立することが
できる。これらのものには、例えば、骨格筋、肝臓、及び褐色及び白色の脂肪組
織が含まれる。全細胞組織、又は細胞成分の画分若しくはその抽出物も使用でき
る。特に有用なものとしては、核タンパク質の画分がある。
【0073】 パラダイムのための細胞モデル このパラダイムは更に、in vivoの生体組織の代表例である、株化細胞又は培養
細胞においても確立することができる。
【0074】 これらの細胞は、細胞の初代培養物、例えば脂肪細胞であって先に記載した態
様の何れかより得られるものとすることができる。あるいは、これらの細胞は、
株化細胞、例えば前脂肪細胞株(例えば3T3-LIやF42Aマウス前脂肪細胞株)、肝
臓細胞株(例えばHepal-6マウス肝細胞株、HepG2ヒト肝細胞株)、筋肉細胞株(
例えばL6やC2C12株化細胞))とすることができる。
【0075】 一の特定態様においては、インスリン感受性を調節する能力を有することが既
知である一連の薬剤で処置し、そしてDEPが同定される、マイクロプレートフ
ォーマットの細胞株の試料を想定している。
【0076】 特異的な発現の検出方法 当該パラダイムにおいて特異的な発現を検出する好ましい方法は、2次元ゲル
電気泳動法(2-DGE)である。2DGEにおいては、タンパク質の混合物を含む試
料を、1次元の等電点電気泳動にかけて、タンパク質をその電荷に準じて分離し
、そして別の次元に関して電気泳動を行って、タンパク質をその相対的分子量に
準じて分離する。2番目の次元は、通常はSDS-PAGEである。染色後、スポットの
複雑なパターンが得られる。これは、2次元の地図になぞらえることができる。
試料を異常性を示す患者より採取する場合は、この技術の成功は、異常な試料に
由来する地図と正常な試料に由来する地図とを比較し、差異を探しだすことにか
かっている。従ってこの技術が何れの特定の異常性に関してうまくいくかどうか
は、多くの複雑な因子に関係するものであるが、それらには、異常な組織では存
在するが正常な組織では存在しないか、又は正常な組織では存在するが異常な組
織では存在しない、何れのスポットが検出されるか否かにかかっている。スポッ
トが異常な組織及び正常な組織において存在するが、異なる密度においてである
場合には、それは当該組織における異なる濃度を意味していて、分析は困難とな
る。タンパク質の発現に差異が存在する場合、これらは、両方の組織に共通する
、他のスポットにより隠されてしまうかもしれないし、又は信頼性をもって観察
できないかもしれない。しかしながら本発明の場合には、2-DGEにより、インス
リン抵抗性と、そしてその治療とに関与するDEPを同定することが可能である
ことが判明した。
【0077】 タンパク質の特異的な発現を検出する他の方法も使用できる。それらには、画
分の連続的クロマトグラフィック分離とピークの比較、キャピラリ電気泳動法、
及びミクロ-チャネルネットワークを使用した分離(マイクロチップ上のものを
含む)が含まれる。
【0078】 クロマトグラフィー分離は、ファルマシアの文献に記載の高速液体クロマトグ
ラフィーにより実行できるが、そのクロマトグラムは、280nmでの吸光度を分離
時間に対してプロットした形態で得られる。完全には分離していないピークを与
える物質は、次に再度、クロマトグラフィー等にかける。
【0079】 キャピラリー電気泳動法は、数多くの刊行物に記載される技術であり、例えば
ベックマンのP/ACE5000システムとともに提供される文献、「Total CE」がある
。この技術は、小さい毛細館内に含まれている試料対して電場を適用して行う。
この管は、荷電した表面を有し、例えばマイナスに荷電したケイ酸塩ガラス等が
ある。反対に荷電したイオン(この場合にはプラスのイオン)は、その表面に引
き寄せられ、そして当該表面と同じ極性の、適切な電極(この場合には、カソー
ド)へと遊走する。試料のこのような電気浸透フロー(EOF)においては、プ
ラスのイオンは最も速く動き、その次には未荷電の物質、そしてマイナスに荷電
したイオンと続く。従って、タンパク質はその表面の電荷に本質的に準じて分離
される。
【0080】 マイクロチャンネルネットワークは、幾分、毛細管のごとく機能し、そしてポ
リマー物質の光除去(photoablation)により形成することができる。この技術
においては、適切なUV吸収性を有するポリマー、たとえばポリエチレンテレフ
タレートやポリカーボネートへ爆発的に発火する高エネルギーの光パルスを作り
出すためにレーザを使用することができる。入射する光子は、一定の閉じた空間
を有する化学結合を切断し、内圧の上昇、小爆発、及び切断物質の排出が生じ、
ミクロ-チャネルを形成する空隙を後に残す。このミクロチャンネル材料は、E
OFベースの分離を、キャピラリ電気泳動法の場合のように達成する。これはミ
クロチップ形状に適応することもでき、それぞれのチップは、自身の試料インジ
ェクタ、分離カラム、及び電気化学的検出器を有している(J.S.Rossier et. a
l.、1999、Electrophoresis 20: pages 727-731を参照)。
【0081】 二次元ゲル電気泳動の実行 2-DGEは好ましくは、アクリルアミドポリマーゲルで行われるが、これは二次
元-PAGEとして知られている。
【0082】 通常は、第一次元の分離は、両性化合物がその等電点(pI)により実質的に
連続するpH勾配に沿って分離される電気泳動技術である、等電点電気泳動(I
EF)を含む。キャリアの両性電解質を使用するIEFのプロセス中、pH勾配
はアノードからカソードへと増加するものであるが、これは間隔の狭いpI(一
定範囲のpHにわたるもの)を有する両性電解質の溶液に電流をかけることによ
り作り出し、そしてこれを維持する。この電気泳動的輸送により、キャリアの両
性電解質がそのpIに応じてスタックする。このスタッキングプロセスが完了し
た後、キャリア両性電解質の中には、より高いか又はより低いpHのゾーンへと
拡散して入るものがあるが、ここではそれらはもはや等電点性の平衡にはない。
しかしながら、そのようなゾーンに入り込むやいなや、これらは電荷を帯び、適
用電圧により、一種の振り子運動のようにその平衡位置にまで戻される。
【0083】 pH勾配を固定化した(IPG)IEFの好ましい方法においては、一定のp
H範囲を有するようなゲル片を調製するが、これはIEFの実行自体の前に存在
する。効果的には、キャリア両性電解質を、アクリルアミドと共重合されるもの
であって、故に不溶性のイオンをポリアクリルアミドマトリックス内に提供する
種々のモノマーで置換する。これらのモノマは、一連の弱酸及び弱塩基であり、
好ましくは、「Immobiline」の商標名で販売されるものがよい。場を適用する場
合には、試料分子のみ(及びいずれの残りのイオンであって不溶化しなかったも
の)が電場中を移動する。電泳動が終了すると、タンパク質は静的な等電ゾーン
へと分離される。
【0084】 ポリアクリルアミドゲル内での、タンパク質の2番目の次元での分離において
は、タンパク質をその個々のポリペプチドサブユニットへと解離する緩衝液を使
用する。最も一般的に使用される解離剤は、イオン性界面活性剤であるドデシル
硫酸ナトリウム(SDS)である。タンパク質混合物を、過剰のSDS、及びジスル
フィド結合を切断するためのチオール剤の存在下で変性させる。このような条件
下では、ほとんどのポリペプチドは、一定の重量比(単位グラムのポリペプチド
当たり約1.4gのSDS)でSDSに結合する。当該ポリペプチドの本質的な変化は
、結合した界面活性剤によるその大きな陰性電荷の割には重要ではなく、SDS
-ポリペプチド複合体は、本質的に同一の電荷密度を有し、そして正確な多孔性
のポリアクリルアミドゲル内を、ポリペプチドサイズに応じて、即ち相対的分子
量に応じて移動する。
【0085】 2-DGEスポットは、染色と、その後の適宜の写真撮影により可視化できる。生
かしながら、より正確な表示は、比重走査を行い、その後で結果のコンピュータ
イメージングを行うことにより可能である。このようにして洗練されたデータベ
ースが構築される。
【0086】 DEPの定義 DEPは、2-DGE地図上における、他のタンパク質スポットとの相対的な位置
関係における、その位置によって定義できる。あるいは、より望ましくはないが
、通常は横軸(x軸)であるpI座標軸、及び通常は縦軸(y軸)である相対的
分子量との関係で定義できる。IPG断片を使用する場合には、pIは適度に再
現性があるものの、相対的分子量は、実行ごとの再現性はより低い。このために
、図面では、DEPに対応するスポットと同じように定義された、同等の条件下
で特異的な発現してないタンパク質に相当する、「参照」スポットが示されてい
る。これらの参照スポットのうちの、少なくとも1、通常は2以上のものは、D
EPスポットの位置を示すのに役立つ。
【0087】 スポットの染色及び比重走査(densitometiric scanning)後、その相対的密
度は、特定のスポットの容量比率又は光学密度においてコンピュータプログラム
により推定することができ、これは地図上の全てのスポットの、全容量又は光学
密度のそれぞれとの関係において表されるが、もっともこれらの測定は実行ごと
に変動するかもしれない。
【0088】 図に示されたマップを作製したときの好ましいゲル電気泳動条件は、等電点電
気泳動についてS字形IPGと、2次元で若干の小さな修正(架橋剤としてピペ
ラジンジアクリリルと、ゲルの染色において背景を減少させるためのナトリウム
チオサルフェートの添加)を加えた従来のSDSポリアクリルアミドゲルについて
、シグモイド形のIPGを使用した。感受性の高いアンモニア銀染色を用いた。ス
キャンの後、2−D−PAGE画像を「Melanie II」画像分析ソフトウェアで分
析した。
【0089】 DEPは、実際に用いられる2−DGE法により得られる、特徴的に発現され
るスポットのタンパク質として簡便に定義できるものである。より詳細にはこの
方法は以下のものを含む。 (a)アクリルアミドポリマー3mm×180mmの非直線状固定化pH勾配(
IPG)細片を提供すること; (b)尿素(8M)、3−[(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プ
ロパンスルホネート(CHAPS、2%w/v)ジチオエリトリトール(DTE
,10mM)、pH3.5乃至10の酸と塩基の混合物(2%w/v)、及び微
量のブロモフェノールブルーの水溶液25mlを含むカセット中で、IPG細片
を再度水和すること; (c)液体のカセットを空にすること、細片を、湿式電極芯、電極及び試料カッ
プを備えた塩基泳動トレーに移すこと、細片とカップを低粘度のパラフィン油で
覆うこと; (d)尿素(8M)、CHAPS(4%w/v)、トリス(40mM)、DTE
(65mM)、SDS(0.05%w/v)及び微量のブロモフェノールブルー
中の、関連する体組織の乾燥、粉末化物質の約200マイクログラムの水溶液を
、試料カップに、IPGの陰極端で適用すること (e)3時間かけて300Vから3500Vに直線状に増加し、その後さらに3
時間3500V、そしてその後タンパク質が、それらのpI依存性最終位置へ細
片中を移動するのに有効な時間5000Vの電圧で、ゲル上で等電点電気泳動を
行なうこと; (f)トリス−HCl(50mM)pH6.8、尿素(6M)、グリセロール(
30%v/v)、SDS(2%w/v)及びDTE(2%w/v)を含む、100
ml水溶液の入ったトレー内で、12分間、細片を平衡化すること; (g)この溶液を、トリス−HCl(50mM)pH6.8、尿素(6M)、グ
リセロール(30%v/v)、SDS(2%w/v)、ヨードアセトアミド(2.
5%w/v)及び微量のブロモフェノールブルーを含む、100ml水溶液で、
5分間置換すること; (h)リーディングバッファーとして、トリス−HCl(0.375M)pH8
.8中、TEMED(0.5%w/v)、過流酸アンモニウム(0.1%w/v)
及びチオ硫酸ナトリウム(5mM)の存在下で重合させた、アクリルアミド/ピ
ペラジン−ジアクリリル架橋剤(9−16%T/2.6%C)の垂直勾配スラブ
ゲル160×200×1.5mmを提供すること (i)約2時間、sec-ブタノールをゲルの上にのせ、のせた層を除去して、水で
置換すること; (j)IPGゲル細片を、2次元電気泳動に適したサイズに切断し、陽極端から
6mmと陰極端から14mm除去すること; (k)スラブゲルの上に、リーディングバッファーとしてアガロース(0.5%
w/v)及びトリス−グリシン−SDS(25mM−198mM−0.1%w/v
)の水溶液をのせ、70℃に加熱し、こののせた層を介して、スラブゲル上にI
PGゲル細片をのせること; (l)40mAの一定電流において、8−12℃、5時間、2次元電気泳動を行
なうこと;及び (m)ゲルを洗浄すること。
【0090】 本発明のDEPsなどの特異的なものは、ここでは、図において「OM」「O
MT」「SEM」で示し、その前に組織を示す文字(L=肝臓、M=骨格筋、W
=白色脂肪、B=茶色脂肪)を示す。本発明は、それ自体、上述の2−DGE法
で得られるような(しかしながら、実際にそれで得られなければならない訳では
ない)、DEPsを含む。一度DEPsが2−DGEにより得られれば、それら
は、例えば組換えDNA経路により、同定され合成されることができることが理
解されるであろう。
【0091】 DEPsの使用 本発明で得られたすべてのDEPsは、診断に有用である。グループ1のもの
は、フィンガープリントタンパク質であり、標的タンパク質であり得、グループ
2のものは標的タンパク質であり、グループ3のものは、スクリーニングされた
試験薬剤の潜在的な又は実際の副作用を示すことにおいて有用である。さらに、
それらのすべてが、それらに対する抗体を引き起こす目的のために有用であり、
それはこれらの抗体を用いてイムノアッセイにより決定されるスクリーニングに
おけるDEPsの発現を可能にできるためである。
【0092】 DEPsの同定と特徴づけ 第1に、タンパク質のスポットをゲルから切除し、部分的なアミノ酸配列を従
来法により決定することができる。それらは、当業者によく知られた質量スペク
トル技術を用いてペプチドマスフィンガープリンティングにより分析することも
できる。この方法において、ペプチド断片の非常に正確に決定された質量は、可
能性のある配列を与えるマス断片のデータベースに一致させる。タンパク質がす
でに知られていて、それに対する抗体が利用可能なものに対応すると考えられる
ところは、その同定は免疫ブロッティングにより確認することができる。
【0093】 第2に、DEPsは、部分アミノ酸配列(上述)を得て、ついで対応する遺伝
子を同定することにより特徴づけすることができる。これは、オリゴヌクレオチ
ドプローブ又はPCRプライマーのプールを構築することによりなされ、それは
関連する組織(好ましくはそこから2−DGEによりDEPが得られたもの)の
cDNAライブラリーのスクリーニングに用いられる。当業者に知られたハイブ
リダイゼーション又はPCR技術を用いることにより、タンパク質をコードする
組織中のDNAを同定することができる。DNAの関連するオープンリーディン
グフレームにより予想されるタンパク質は、ついでDEPとして同定される。
【0094】 第3に、組織の分析及び/又はタンパク質の細胞タイプの配分を、当業者に知
られている標準技術を用いて、対応するmRNAの配分において、直接行なうこ
とができる。それらは例えば、ノザン、RNase保護、RT−PCR分析を含
む。そのような分析は、例えば、同定されたタンパク質が、対象のインスリン抵
抗性障害に寄与していることが予想される組織又は細胞タイプ中で発現している
かどうかに関して、情報を提供する。そのような分析は、組織内の細胞のサブセ
ットだけがインスリン抵抗性障害に関連すると考えられる場合、インスリン抵抗
性障害に関して、同定されたタンパク質の生物学的機能に関する情報を提供する
ことができる。
【0095】 第4に、同定されたタンパク質の生物学的機能は、インビボ又はインビトロで
より直接的に評価されることができる。例えば、(a)インスリン抵抗性障害様
症状を自然に示す、(b)そのような症状を示すように誘導された、又は(c)
トランスジェニック又は「ノックアウト」の動物を用いることができる。そのよ
うな動物はさらに、以下に例示される。対象のインスリン抵抗性障害に寄与する
と知られている又は考えられているタイプの細胞を用いることができる。それら
は野生型の細胞でもよく、対象のインスリン抵抗性障害に寄与することが知られ
ている、又は考えられている改変を含む非野生型でもよい。そのようなシステム
は、以下に詳細に議論される。
【0096】 DEPsの生物学的機能のさらなる特徴づけにおいて、これらのタンパク質の
発現は、例えば、トランスジェニック動物及び/又はセルラインにおいて、イン
ビボ及び/又はインビトロシステム内で、すなわち過剰発現又は過小発現のいず
れかで、モジュレートされことができ、システムでその後の効果をアッセイする
ことができる。あるいは、同定されたタンパク質の活性は、対象のインビボ及び
/又はインビトロシステムにおける活性のレベルを増加させるか、あるいは減少
させることにより、モジュレートされることができ、ついでその後の効果をアッ
セイすることができる。
【0097】 そのような特徴づけを通して得られる情報は、対象のタンパク質を含むインス
リン抵抗性障害の治療のために関連する方法を示唆することができる。対象のタ
ンパク質を含む非インスリン依存性糖尿病のコントロールのためのさらに関連す
る方法は、そのような特徴づけから得られる情報により示唆されることができる
。例えば、治療はタンパク質発現及び/又はタンパク質活性のモジュレーション
を含むことができる。ここで記載されたような特徴づけの方法は、そのようなモ
ジュレーションが、対象のタンパク質の発現又は活性での増加又は減少を含むべ
きであることを示すことができる。治療のそのような方法は以下に議論される。
【0098】 経路タンパク質の検出、同定及び特徴づけ ここに記載する方法は、経路タンパク質(PPs)の検出及び同定のためであ
り、インスリン抵抗性障害に関与するDEPsと相互作用する。PPはそれ自身
特徴的に発現されることができる。それは、標的タンパク質の特徴を有すること
ができ、フィンガープリントタンパク質として診断に有用である。
【0099】 タンパク質−タンパク質相互作用を検出するために適したいかなる方法も、未
知のタンパク質(候補PPs)とDEPsの間の相互作用を同定することにより
PPsを同定するために、用いることができる。そのような候補PPsは細胞内
又は細胞外タンパク質とすることができる。
【0100】 用いることができる伝統的方法の中には、共免疫沈降、架橋、及び勾配又はク
ロマトグラフカラムを通した共精製がある。これらなどの方法を用いてPPsの
検出をすることができる。一度検出されると、PPは、DEPsの特徴づけに関
連して上記した標準技術とともに、その対応する経路遺伝子を同定するために用
いることができる。
【0101】 インビボの、タンパク質相互作用を検出する1つの方法、2種ハイブリッドシ
ステムが記載されており(Chienら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,9578-95
82)、それがClontechから市販されている(Palo Alto,Calif.)。要約すると、
2つの融合タンパク質をコードするプラスミドが構築される。第1のプラスミド
は、既知のタンパク質、この場合DEPに融合された、転写アクチベータータン
パク質、例えばGAL4のDNA結合ドメインの融合タンパク質をコードするD
NAを含む。他のプラスミドは、未知のタンパク質(候補PP)に融合された、
同じ転写アクチベータータンパク質のアクチベータードメインの融合タンパク質
をコードするDNAを含む。未知のタンパク質は、cDNAライブラリーの一部
としてこのプラスミド内に組換えられたcDNAによりコードされる。2つのプ
ラスミドは、その制御領域が転写アクチベーター結合部位を含むレポーター遺伝
子、例えばlacZを含む、酵母Saccharomyces cerevisiaeの株中に形質転換さ
れる。ハイブリッドタンパク質単独は、レポーター遺伝子の転写を活性化するこ
とができない:DNA結合ドメインハイブリッドは、活性化機能を提供しないの
で、活性化できず、活性化ドメインハイブリッドは、アクチベータータンパク質
の結合部位の場所を探し当てられないので、活性化できない。2つのハイブリッ
ドタンパク質の相互作用は、機能性転写アクチベータータンパク質、例えばGA
L4を再構築し、その結果、レポーター遺伝子、例えばlacZの発現をもたら
す。これは、レポーター遺伝子産物についてのアッセイにより検出され、この例
ではβ−ガラクトシダーゼでありXgalプレート上で青色を与える。
【0102】 レポーター遺伝子を発現する、形質転換されたS.cerevisiaeのコロニーは、精
製され、レポーター遺伝子を発現できるライブラリープラスミドが単離される。
ついでDNAの配列が決められて、ライブラリーcDNAによりコードされる経
路タンパク質を同定することができる。
【0103】 ついで未知のタンパク質のcDNAを、これらの株から精製し、当業者により
日常行なわれている技術を用いて、経路タンパク質を生産し単離するために用い
ることができる。
【0104】 タンパク質相互作用は、生体分子結合をモニターするためのBiocore(登録商
標)システムを用いてモニターし、分析することができる。Biocore(登録商標
)技術は、方法進展の迅速な評価とこれらの生体分子の精製について、直接の検
出と生体分子結合のモニターを可能にする。標的の生体分子、例えば特徴的に発
現するタンパク質は、センサーの表面に結合し、試料のアリコートがこの表面に
わたされる。さらなるタンパク質が、センサー表面上の第1のタンパク質に結合
するとき(ヒット)、表面に近いマス濃度の変化がある。この濃度の変化はリア
ルタイムで検出され、標識又はタグを前もって導入することなく、標的タンパク
質への、複合体混合物からのネイティブタンパク質の結合をモニターする機会を
提供する。結合タンパク質は、ついでセンサーチップの表面から除去され、従来
法により精製される(Nordhoffら、Nat.Biotech.17(9):884-888、1999)。Bioco
re(登録商標)技術は、タンパク質相互作用の反応速度論、親和性、特異性につ
いての情報を提供することができる。こうしてBiocore(登録商標)技術を、経
路タンパク質を検出することができる。
【0105】 一度経路タンパク質を同定すると、さらに、特徴的に発現される標的タンパク
質として同様に特徴付けることができる。
【0106】 DEPs又はPPsに特異的な抗体 このセクションは、フィンガープリントタンパク質上のDEP(標的タンパク
質であり得る)又はPPの1以上のエピトープを特異的に認識できる抗体の生産
のための方法を記載する。そのような抗体は、ポリクローナル抗体、モノクロー
ナル抗体(mAbs)、ヒト化又はキメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(
ab)’2断片、FAb発現ライブラリーにより生産される断片、抗イディオタ
イプ(抗−Id)抗体、及び上記いずれかのエピトープ結合断片を含むことがで
きる。そのような抗体は、インスリン抵抗性治療法の一部として用いることがで
き、及び/又は、DEP又はPPの異常なレベル又は型について患者がテストさ
れることができる診断技術の一部として用いることができる。
【0107】 DEP又はPPに対する抗体の生産のために、種々の宿主動物が、DEP又は
PP又はそれらのペプチドの接種により免疫化されることができる。ペプチドを
担体、例えばKLHに、当業者に知られている方法で、コンジュゲートすること
ができる。そのような宿主動物は、ウサギ、マウス及びラットを含む。リソレク
チニン、ポリオキシエチレンポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマ
ルホン、及びBCG及びCorynebacterium parvumなどの潜在的に有用なヒトアジ
ュバントなどの活性基質を含む、宿主の種に応じて、種々のアジュバントを用い
て、免疫反応を増加させることができる。
【0108】 ポリクローナル抗体は、DEP又はPP、又はその抗原機能性誘導体で免疫さ
れた動物の血清から得ることができる。
【0109】 モノクローナル抗体は、特定の抗原に対する抗体の均質な集団であり、培養で
連続的セルラインにより抗体分子の生産を提供するいかなる技術でも、得ること
ができる。これらは、Kohler及びMilstein、1975、Nature、256、495-497;及び
米国特許第4,376,110号、ヒトB−細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら
、1983、Immunology Today 4:72;Coleら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80;20
26-2030)及びEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら,"Monoclonal Antibodies a
nd Cancer Therapy",Alan R. Liss Inc.,pp-77-96)のハイブリドーマ技術を含
む。そのような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgD及びそれらの
サブクラスを含むいかなる免疫グロブリンクラスでも良い。本発明のmAbを生
産するハイブリドーマは、インビトロでも培養することができるが、好ましくは
インビボで培養することができる。
【0110】 さらに、適当な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子を、適当な生物活性
のヒト抗体分子からの遺伝子と共にスプライシングすることにより、キメラ抗体
の生産のために開発された技術(Morrisonら、1984,Proc.Natl.Acad.Sci.81:685
1-6855;Neubergerら、1984,Nature 312:604-608;Takedaら、1985,Nature 314:45
2-454)も用いることができる。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物の種か
ら由来する分子であり、例えばネズミmAbから由来する可変領域とヒト免疫グ
ロブリン定常領域を有する。
【0111】 あるいは、一本鎖抗体の生産のために記載された技術は(米国特許第4,94
6,778号;Bird,1988,Science 242:423-426;Hustonら、1988,Proc.Natl.Aca
d.sci.USA 85:5879-5883;及びWardら、1989,Nature 334:544-546)、DEP又は
PP一本鎖抗体を生産するために、適合させることができる。一本鎖抗体は、ア
ミノ酸橋を介してFv領域の重鎖断片と軽鎖断片を連結させることにより形成さ
れて、一本鎖ポリペプチドとなる。
【0112】 抗体断片は、特異的エピトープを認識するものであるが、既知の技術により生
成されることができる。例えば、そのような断片は、抗体分子のペプシン消化に
より生産されるF(ab’)2断片と、F(ab’)2断片のジスルフィド橋を還
元することにより生成されるFab断片を含む。あるいは、Fab発現ライブラ
リーは、所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速容易な同定を可
能にするために構築されることができる(Huseら、1989, Science 246:1275-128
1)。
【0113】 インスリン抵抗性を改善するための剤のスクリーニング そのさらなる特徴づけが、タンパク質の発現のモジュレーション又はタンパク
質の活性のモジュレーションがインスリン抵抗性障害のいずれかを改善できるこ
とをを示すような、特徴的に発現されるタンパク質が、標的タンパク質である。
そのような標的タンパク質は、以下に記載されるように、記載された化合物発見
戦略の焦点を構成する。そのような標的タンパク質及び/又はモジュレート化合
物は、インスリン抵抗性障害の治療の一部として用いることができ、その障害は
インスリン依存性糖尿病を含むがこれに限定されない。
【0114】 さらに、経路タンパク質は、その後特徴的に発現されていることが見出される
ことができ、そのさらなる特徴づけが、タンパク質の発現のモジュレーション又
はタンパク質の活性のモジュレーションがインスリン抵抗性障害のいずれかを改
善できることをを示すもので、標的タンパク質とされ、記載された化合物発見戦
略の焦点を構成することができる。
【0115】 さらに、1以上の経路タンパク質が、特徴的な発現の欠如が明らかにされるこ
とができるが、特徴づけが、タンパク質の発現又は活性のモジュレーションがイ
ンスリン抵抗性障害をそれにもかかわらず改善することを示すことができる。そ
のような場合、これらの経路タンパク質は、化合物発見先着の焦点に考えられる
であろう。
【0116】 標的タンパク質の特徴づけが、非インスリン依存性糖尿病を含むインスリン抵
抗性障害の治療に関連する方法を示唆されることができる。例えば、特徴づけ方
法は、そのようなモジュレーションが、対象の標的タンパク質(類)の発現又は
活性において増加又は減少を含むべきところを示すことができる。
【0117】 化合物発見戦略の鍵となる成分は、スクリーン、好ましくはハイスループット
又はウルトラハイスループットスクリーンを進めるところであるが、インスリン
感受性の好ましいモジュレーションに一致するように、標的タンパク質(類)に
作用した又は標的タンパク質(類)の発現レベルをモジュレートした化合物を検
出する能力を提供できたいかなるスクリーンも、用いることができた。スクリー
ンは、サブ細胞アッセイ又は細胞ベース又は全動物ベースとすることができた。
【0118】 本発明の一実施態様において、スクリーンは、標的タンパク質の発現レベルに
対する化合物の効果を決定するように設計することができる。組換え標的遺伝子
の得ることを含む技術は、制御配列とともに、よく記載されており、標的遺伝子
の制御配列を用いて、レポーター遺伝子アッセイを確立するための方法論と同様
である。そのようなアッセイは、インスリン感受性での増加と一致する方向で標
的タンパク質の発現レベルをモジュレートする化合物を同定するために用いるこ
とができた。
【0119】 さらなる実施態様において、標的タンパク質と相互作用する化合物のスクリー
ニングアッセイは用いることができるであろう。
【0120】 こうして、トランスジェニック動物は、インスリン抵抗性の進展において標的
タンパク質(類)が原因となることの証明を提供することに加えて、発現を変化
させることにより、又はトランスジーンとして発現された標的タンパク質の活性
を改変することにより、インスリン抵抗性を改善する可能性のある化合物をスク
リーニングするためにも用いることができる。そのような動物は、トランスジー
ンがヒト標的タンパク質であるとき、特別の価値を有する。
【0121】 以下のアッセイは、標的タンパク質に結合し、標的のタンパク質と相互作用す
る他の細胞内タンパク質に、そして他の細胞内タンパク質との標的タンパク質の
相互作用を干渉する化合物に結合する化合物を同定するためにデザインされる。
そのような化合物は、他の細胞内タンパク質を含むことができるがこれに限定さ
れない。そのような細胞内タンパク質の同定の方法は以下に記載される。
【0122】 化合物はペプチド、例えば、標的タンパク質トランスメンブレンレセプターの
細胞外部分を含む、Igテール誘導ペプチド、D−及び/又はL−配置アミノ酸
からなるランダムペプチドライブラリーのメンバー(例えばLam,K.S.ら、1991,N
ature 354:82-82;Houghton,R.ら、1991,Nature 354:84-86参照)を含むがこれに
限定されない可溶性ペプチド;ホスホペプチド(ホスホペプチドライブラリーに
対する、ランダム又は部分的に変性したメンバーを含むがこれに限定されない:
例えばSongyang,Zら,1993,Cell 72:767-778)、抗体(ポリクローナル、モノク
ローナル、ヒト化、抗イディオタイプ、キメラ又は一本鎖抗体、及びFAb、F
(ab)’2及びFAb発現ライブラリー断片及びそのエピトープ結合断片を含
むがこれに限定されない)、及び小さな臓器又は無機分子を含むことができるが
、これに限定されない。
【0123】 ここに記載されたアッセイにより同定される化合物は、例えば、標的タンパク
質の生物学的機能を作り上げることにおいて、及びインスリン抵抗性障害を改善
するために有用であり得る。例えば、インスリン抵抗性障害状態は、そのような
インスリン抵抗性障害に関与する細胞又は組織において標的タンパク質発現及び
/又は標的タンパク質活性の全体的に低いレベルから生じる場合は、標的タンパ
ク質と相互作用する化合物は、結合された標的タンパク質の活性を強める又は増
幅するものを含むことができる。そのような化合物は、標的タンパク質活性のレ
ベルにおいて有効な増加をもたらし、よって症状を改善するであろう。標的遺伝
子内の変異が、インスリン抵抗性障害をもたらす有害な効果を有するものとされ
る変種の標的タンパク質を生成させる場合は、標的タンパク質を結合する化合物
は、結合した標的タンパク質の活性を阻害すると同定され得る。
【0124】 標的タンパク質を結合する化合物のインビトロスクリーニング インビトロシステムは、本発明の標的タンパク質に結合できる化合物を同定す
るようにデザインされることができる。同定された化合物は、例えば野生型及び
/又は変異標的タンパク質の活性をモジュレートすることにおいて有用であり得
、標的タンパク質の生物学的機能を作り上げることにおいて有用であり得、正常
標的タンパク質の相互作用を分断する、又はそれ自身そのような相互作用を分断
する可能性のある化合物を同定するためのスクリーニングにおいて用いられるこ
とができる。
【0125】 標的タンパク質に結合する化合物を同定するために用いられるアッセイの原理
は、2つの成分が相互作用し結合し、それにより反応混合物中で除去できる及び
/又は検出できる複合体を形成するために可能にするための条件下かつ十分な時
間、標的タンパク質と試験化合物の反応混合物を調製することを含む。これらの
アッセイは種々の方法で行なうことができる。例えば、そのようなアッセイを行
なうための1つの方法は、固相への標的タンパク質又は試験基質のアンカーリン
グ、及び反応の最後に固相上にアンカリングされた標的タンパク質/試験化合物
複合体の検出を含むであろう。そのような方法の一の実施態様において、標的タ
ンパク質は固体表面上にアンカリングされ、アンカリングされない試験化合物は
直接的又は間接的に標識され得る。
【0126】 実際に、マイクロタイタプレートを固体相として都合よく利用することができ
る。固定された成分を、非共有または共有結合によって固定することができる。
非共有結合は、単に固体表面をタンパク溶液で被覆し、かつ乾燥させることによ
って行ってもよい。あるいは、固定化されるべきタンパクに特異的な固定された
抗体、好ましくはモノクローナル抗体を用いて、タンパクを固体表面に固定して
もよい。表面は、あらかじめ調製され、貯蔵されてもよい。
【0127】 アッセイを行うために、非固定化成分が、固定された成分を含む被覆された表
面に添加される。反応が終了した後、未反応成分を、形成されたあらゆる複合体
が固体表面に固定されたまま残るような条件下で除く(例えば、洗浄により)。
固体表面に固定された複合体の検出は、多くの手段により行うことができる。先
に非固定化成分が予めラベルされている場合は、表面に固定されたラベルの検出
が複合体の形成を示す。先に非固定化成分が予めラベルされていない場合は、間
接的ラベルが、表面に固定された複合体を検出するために用いられ、例えば、予
め非固定化成分に特異的なラベル化抗体が用いられる(抗体が、ラベルされた抗
Ig抗体で直接的または間接的にラベルされてもよい)。
【0128】 あるいは、反応を液相で行ってもよく、反応生成物を未反応成分から分離し、
複合体を、例えば溶液中に形成されたあらゆる複合体を固定するための標的タン
パクまたはテスト化合物に特異的な固定された抗体、並びに、固定化された複合
体を検出するための可能な複合体の別の成分に特異的なラベルされた抗体を用い
て検出することができる。
【0129】 標的タンパクと相互作用する細胞性タンパクのアッセイ タンパク−タンパク相互作用を検出するのに適したあらゆる方法を、新規の標
的タンパク−細胞性または細胞外性タンパク相互作用を同定するために使用する
ことができる。これらの方法は、経路タンパクの同定のところで上述したとおり
であり、同定された標的タンパクと相互作用するタンパクの同定に関して、ここ
で利用できる。
【0130】 標的タンパク/細胞性高分子相互作用を妨げる化合物のアッセイ 本発明の標的タンパクは、in vivoにおいて、一以上の細胞性または細胞外性
高分子、例えばタンパクと相互作用しうる。かかる高分子は、以下に限定される
ものではないが、上記のような方法を介して同定されるタンパクおよび核酸分子
を含みうる。この議論のため、かかる細胞性及び細胞外性高分子を、“結合パー
トナー”と称する。かかる相互作用を妨害する化合物は、標的タンパク、特に変
異標的タンパクの活性を制御するのに使用できる。かかる化合物は、以下に限定
されないが、抗体、ペプチド等の分子を含む。
【0131】 標的タンパクとその細胞性または細胞外性結合パートナーとの間の相互作用を
妨げる化合物を同定するために使用されるアッセイシステムの基本原理は、標的
タンパクと結合パートナーとを含む反応混合物を、これら二つが相互作用し結合
するのに十分な条件下及び時間の下に調製し、かくして複合体を形成することを
含む。阻害活性について化合物を試験するために、反応混合物を、テスト化合物
の存在下及び不在下で調製する。このテスト化合物は、最初から反応混合物に含
まれてもよく、また、標的タンパク及びその細胞性または細胞外性結合パートナ
ーの添加後に加えられてもよい。コントロール反応混合物は、テスト化合物なし
に、またはプラシーボと共にインキュベートされる。標的タンパクと細胞性また
は細胞外性結合パートナーとの間のあらゆる複合体の形成が検出される。コント
ロール反応における複合体の形成は、しかしテスト化合物を含む反応混合物にお
けるものではないが、標的タンパクと相互作用結合パートナーとの相互作用をそ
の化合物が妨げることを意味する。さらに、反応混合物内の複合体形成は、テス
ト化合物と変異標的タンパクとを含む。この比較は、正常な標的タンパクではな
く、変異標的タンパクの相互作用を妨げる化合物を同定したい場合に重要となり
うる。
【0132】 標的と結合パートナーとの相互作用を妨げる化合物のアッセイは、異種または
同種のフォーマットにおいて実施することができる。異種アッセイは、標的タン
パクまたは結合パートナーを固体相に結合させ、反応の最後に固体相に結合した
複合体を検出することを含む。同種アッセイでは、反応全体が液相で実施される
。いずれのアプローチにおいても、反応物の添加順序は、テストされる化合物に
ついて異なる情報を得るために変更することができる。例えば、標的タンパクと
結合パートナーとの相互作用を、例えば競合により妨げるテスト化合物は、テス
ト物質の存在下で反応を実施することによって、すなわち、標的タンパクと相互
作用細胞性または細胞外性結合パートナーと同時またはそれよりも前にそのテス
ト物質を反応混合物に加えることによって、同定することができる。あるいは、
予め形成された複合体を妨げるテスト化合物、例えば複合体から成分の一つを置
換するより高い結合定数を備えた化合物は、複合体が形成された後に反応混合物
にそのテスト化合物を添加することによって試験することができる。種々のフォ
ーマットを、以下に簡単に記載する。
【0133】 異種アッセイシステムでは、標的タンパクまたは相互作用細胞性または細胞外
性結合パートナーのいずれかが、固体表面に固定されるが、非固定種は、直接ま
たは間接的にラベル化される。実際に、マイクロタイタプレートを、都合よく利
用することができる。固定された種は、非共有または共有結合によって固定され
てもよい。非共有結合は、単に固体表面を標的遺伝子産物または結合パートナー
の溶液で被覆し、かつ乾燥させることによって行ってもよい。あるいは、固定化
されるべき種に特異的な固定された抗体を用いて、その種を固体表面に固定して
もよい。表面は、あらかじめ調製され、貯蔵されてもよい。
【0134】 アッセイを行うために、非固定化種のパートナーが、テスト化合物を用いて、
あるいは用いずに被覆された表面に曝される。反応が終了した後、未反応成分を
除き(例えば、洗浄により)、形成されたあらゆる複合体が固体表面に固定され
たまま残る。固体表面に固定された複合体の検出は、多くの手段により行うこと
ができる。非固定化種が予めラベルされている場合は、表面に固定されたラベル
の検出は複合体が形成されたことを示す。非固定化種が予めラベルされていない
場合は、間接的ラベルが、表面に固定された複合体を検出するために用いられ、
例えば、最初に非固定化種に特異的なラベル化抗体が用いられる(抗体が、ラベ
ルされた抗Ig抗体で直接的または間接的にラベルされてもよい)。反応成分の
添加順序に依存して、複合体形成を阻害、または予め形成された複合体を妨げる
テスト化合物が検出される。
【0135】 あるいは、反応を、テスト化合物の存在下または不在下において液相で行って
もよく、反応生成物を未反応成分から分離し、複合体を、例えば溶液中に形成さ
れたあらゆる複合体を固定するための結合成分の一つに特異的な固定された抗体
、並びに、固定化された複合体を検出するための別のパートナーに特異的なラベ
ルされた抗体を用いて検出することができる。液相に対する反応物の添加順序に
依存して、複合体形成を阻害、または予め形成された複合体を妨げるテスト化合
物が検出される。
【0136】 本発明の他の実施態様では、同種アッセイを用いることができる。このアプロ
ーチでは、標的タンパクと相互作用細胞性または細胞外性結合パートナーとの予
め形成された複合体が調製され、標的タンパクまたはその結合パートナーのいず
れかがラベルされるが、ラベルにより生成されるシグナルは複合体形成により消
失されてしまう(例えば、イムノアッセイにこのアプローチを用いるRubenstein
による米国特許第4109496号参照)。予め形成された複合体に由来する種
の一つと競合し、かつ置換するテスト物質の添加は、バックグラウンドの上にシ
グナルの生成をもたらす。このように、標的タンパク/細胞性または細胞外性結
合パートナー相互作用を妨げるテスト物質を同定することができる。
【0137】 特定の実施態様では、標的タンパクは組み換えDNA技術を用いた固定化のた
めに調製することができる。例えば、標的タンパク遺伝子コード領域を、pGE
X−5X−1のような融合ベクターを用いてグルタチオン−S−トランスフェラ
ーゼ(GST)に、得られた融合タンパクにおいてその結合活性が維持されるよ
うに、融合させることができる。当該技術分野において機械的に実施される上記
の方法を用いて、相互作用細胞性または細胞外性結合パートナーを精製し、モノ
クローナル抗体を生成するために使用することができる。この抗体は、例えば、
当該技術分野において機械的に実施される方法により、放射活性同位体125Iで
ラベルすることができる。異種アッセイでは、例えば、GST−標的タンパク遺
伝子融合タンパクを、グルタチオン−アガロースビーズに固定することができる
。次いで、相互作用および結合を生じさせるように、相互作用細胞性または細胞
外性結合パートナーを、テスト化合物の存在下または不在下で添加することがで
きる。反応の最後に、未結合物質を洗浄し、ラベル化モノクローナル抗体をこの
システムに添加し、複合体形成成分に結合させることができる。標的タンパクと
相互作用細胞性または細胞外性結合パートナーとの間の相互作用を、グルタチオ
ン−アガロースビーズと結合して残る放射活性の量を測定することによって検出
することができる。成功したテスト化合物による相互作用の阻害は、測定された
放射活性に低減をもたらす。
【0138】 あるいは、GST−標的タンパク遺伝子融合タンパクと、相互作用細胞性また
は細胞外性結合パートナーとを、固形グルタチオン−アガロースビーズの存在下
で、液中で混合することができる。このテスト化合物を、種が相互作用する間ま
たはその後に添加することができる。この混合物を、グルタチオン−アガロース
ビーズに添加し、未結合物質を洗浄することができる。標的タンパク/結合パー
トナー相互作用の阻害の程度を、ラベル化抗体を添加し、ビーズに結合した放射
活性を測定することによって検出することができる。
【0139】 本発明の他の実施態様では、一方または両方の全長タンパクの代わりに、標的
タンパクおよび/または相互作用細胞性または細胞外性結合パートナー(結合パ
ートナーがタンパクの場合)の結合ドメインに対応するペプチドフラグメントを
用いて、これらと同一の技術を用いることができる。当該技術分野で機械的に用
いられている多数の方法を、結合部位を同定および単離するために使用すること
ができる。これらの方法は、以下に限定されないが、タンパクの一つをコードす
る遺伝子の変異および共免疫沈降アッセイにおける結合の阻害のスクリーニング
を含む。次いで、複合体における第二の種をコードする遺伝子における補償変異
を、選択することができる。各タンパクをコードする遺伝子の配列分析は、相互
作用結合に関与するタンパクの領域に対応する変異を現すであろう。あるいは、
あるタンパクを、このセクションにおいて上述した方法を用いて固体表面に固定
することができ、トリプシンのようなタンパク分解酵素を用いて処理された、そ
のラベル化された結合パートナーと相互作用して結合することができる。洗浄後
、結合ドメインを有する、短い、ラベル化されたペプチドが固形物質と結合して
残り、単離され、アミノ酸配列決定により同定されうる。また、細胞性または細
胞外性結合パートナーをコードする遺伝子が得られたら、短い遺伝子セグメント
を、タンパクのペプチドフラグメントを発現するように処理することができ、こ
れをその後、結合活性について試験し、精製または合成することができる。
【0140】 例えば、しかし限定するものではないが、標的タンパクを、このセクションに
おいて上述したように、GST−標的タンパク遺伝子融合タンパクを形成し、か
つ、それをグルタチオン−アガロースビーズに結合させることにより、固形物質
に固定することができる。この相互作用細胞性または細胞外性結合パートナーを
35Sのような放射活性同位体を用いてラベル化し、トリプシンのようなタンパ
ク分解酵素で切断することができる。次いで、切断生成物を、固定されたGST
−標的タンパク遺伝子融合タンパクに添加し、結合させることができる。未結合
ペプチドを洗浄した後、細胞性または細胞外性結合パートナー結合ドメインを示
すラベル化された結合物質を溶出し、精製し、周知の方法によりアミノ酸配列に
ついて分析することができる。このように同定されたペプチドを、合成により製
造し、あるいは、組み換えDNA技術を用いて適切な容易なタンパクに融合融合
することができる。
【0141】 さらなる実施態様では、標的タンパクをコードする標的遺伝子配列を含みかつ
発現し、そしてさらに、インスリン抵抗性疾患に関連する細胞表現形を示す細胞
を、インスリン抵抗性疾患の症状を改善する能力を示す化合物を同定するために
利用することができる。細胞表現形は、インスリン抵抗性疾患を改善する能力を
示すことができ、例えば、グルコース利用またはインスリン介在性の含脂肪細胞
によるグルコースの取り込みの阻害を含む。
【0142】 さらに、興味の向けられた細胞のタンパク発現のフィンガープリントパターン
を分析し、正常な、インスリン敏感性フィンガープリントパターンと比較しても
よい。インスリン抵抗性疾患様細胞表現型を示す細胞に、関心の向けられた細胞
の正常なフィンガープリントパターンと密接に類似するフィンガープリントパタ
ーンを生じさせる化合物は、インスリン抵抗性疾患の症状を改善する能力につい
てさらにテストする候補と考えられる。
【0143】 かかるアッセイに利用される細胞は、例えば、非組み換え細胞系統、例えば3
T3−L1およびTA1マウス前含脂肪細胞(preadipocyte)系統のような前含脂
肪細胞系統、Hepa1-6マウス肝臓細胞系統のような肝臓細胞系統、およびHepG2ヒ
ト肝臓細胞系統を含む。
【0144】 さらに、かかるアッセイに用いられる細胞系統は、組み換え、トランスジェニ
ック細胞系統を含むことができる。例えば、上記の本発明にかかるインスリン抵
抗性疾患動物モデルは、インスリン抵抗性疾患に関連する一以上の細胞タイプを
含む細胞系統を生じるために用いられ、これはこの疾患の細胞培養モデルとして
使用することができる。本発明のインスリン抵抗性疾患トランスジェニック動物
から誘導された一次培養物を利用できるが、連続した細胞系統の世代が好ましい
。トランスジェニック動物に由来する連続した細胞系統を誘導するために使用さ
れる技術の例として、Smallら, 1985,Mol.Cell Biol.5:642-648を参照。
【0145】 あるいは、インスリン抵抗性疾患に関与することが知られているタイプの細胞
を、細胞内の標的タンパクの量を増加または減少させることができる配列を用い
てトランスフェクションしてもよい。例えば、標的タンパクの遺伝子配列を、関
心の向けられた細胞のゲノムに導入し過剰発現させるか、あるいは、標的タンパ
クの内因性遺伝子配列が存在するのであれば、それらを過剰発現するか、または
妨げて、標的タンパク発現を低発現または不活性化させてもよい。
【0146】 標的タンパクの遺伝子配列を過剰発現するために、標的遺伝子配列のコード部
位を、制御配列にリゲートしてもよく、これは、興味のある細胞タイプにおける
遺伝子発現を操作することができる。かかる制御領域は、当業者に周知であり、
過度の実験をすることなく利用できる。
【0147】 内因性標的タンパクの低発現に関しては、その遺伝子配列を単離し、かつ、興
味の向けられた細胞タイプのゲノムに再導入された際に、その内因性標的遺伝子
アレルが不活性化されるように操作する。好ましくは、操作された標的遺伝子配
列は、その操作された標的遺伝子配列の、細胞のゲノムへの組み込みの際に、そ
の内因性標的配列が妨げられるような遺伝子ターゲッティングを用いて導入され
る。
【0148】 標的タンパク遺伝子配列核酸のトランスフェクションを、標準的な技術を用い
て行うことができる。例えば、Ausebel, 1989上記を参照。トランスフェクショ
ンされた細胞は、組み換え標的遺伝子配列の存在、標的遺伝子mRNAの発現お
よび蓄積、および組み換え標的タンパク産生物の存在について調べるべきである
。標的タンパク発現の低減が望ましい場合には、標準的な技術を用いて、内因性
標的遺伝子発現および/または標的タンパク産生の低減が達成されたか否かを調
べることができる。
【0149】 さらなる実施態様では、インスリン抵抗性疾患の動物をベースとしたモデルシ
ステムを、以下に限定されないが、非組み換えおよび組み換えトランスジェニッ
ク動物を含むスクリーニングのために使用することができる。
【0150】 インスリン抵抗性疾患の非組み換え動物モデルは、例えば、遺伝モデルを含む
ことができる。かかる遺伝インスリン抵抗性モデルは、例えば、非インスリン依
存性糖尿病および/または肥満のマウスモデル、例えば常染色体性劣性ob、d
bまたはtubアレルに関してホモ接合体のマウスを含むことができる。
【0151】 インスリン抵抗性疾患の非組み換え、非遺伝動物モデルは、例えば、大量の脂
肪を含む食事を常食としたラットまたはマウスを含むことができる。かかる食事
は、脂肪含量(発熱量による)が50%以上の合成餌とすることができる。ある
いは、サラミやバターのような高脂肪含量の人用の食事を動物に与えてもよい。
【0152】 さらに、インスリン抵抗性疾患様症状を示す動物モデルは、例えば、当業者に
周知のトランスジェニック動物を産生するための技術に関連して、上記のような
標的タンパクの遺伝子配列利用することによって操作されてもよい。例えば、標
的タンパクの遺伝子配列を、関心の向けられた動物のゲノムに導入し過剰発現さ
せるか、あるいは、標的タンパクの内因性遺伝子配列が存在するのであれば、そ
れらを過剰発現するか、または妨げて、標的タンパクの遺伝子発現を低発現また
は不活性化させてもよい。
【0153】 標的タンパクの標的遺伝子配列を過剰発現するために、標的遺伝子配列のコー
ド部位を、制御配列にリゲートしてもよく、これは、興味のある細胞タイプおよ
び動物における遺伝子発現を操作することができる。かかる制御領域は、当業者
に周知であり、過度の実験をすることなく利用できる。
【0154】 標的タンパクの内因性遺伝子配列の低発現に関しては、その遺伝子配列を単離
し、かつ、興味の向けられた動物のゲノムに再導入された際に、その標的タンパ
クの内因性遺伝子アレルが不活性化されるように操作する。好ましくは、標的タ
ンパクの操作された遺伝子配列は、その操作された標的遺伝子配列の、動物のゲ
ノムへの組み込みの際に、その内因性配列が妨げられるような遺伝子ターゲッテ
ィングを用いて導入される。
【0155】 以下に限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、ミニブ
タ、ヤギ、およびヒト以外の霊長類、例えばヒヒ、リス、サルおよびチンパンジ
ーを含むあらゆる種の動物を用いて、インスリン抵抗性疾患動物モデル作製して
もよい。
【0156】 当該技術分野で公知のあらゆる技術を用いて、標的タンパクの標的遺伝子トラ
ンスジーンを動物に導入して、トランスジェニック動物の創始者系統(founder l
ine)を生じることができる。かかる技術は、以下に限定されないが、前核マイク
ロインジェクション(Hoppe,P.C.とWagner,T.E.,1989,US Pat.No.4,873,191);生
殖細胞系へのレトロウイルス介在性遺伝子輸送(Van der Puttenら,1985,Proc.N
at.,Acad.Sci.,USA 82:6148-6152);胚幹細胞における遺伝子ターゲッティング
(Thompsonら,1989,Cell 56:313-321);胚のエレクトロポレーション(Lo,1983
, Mol.Cell Biol.3:1803-1814);および、精子媒介性遺伝子輸送(Lavitranoら
,1989,Cell 57:717-723)等を含む。かかる技術のレビューについては、Gordon,
1989,Transgenic Animalsm Intl.Rev.Cytol.115:171-229を参照。この文献の全
体をここに参照として含める。
【0157】 本発明は、その全ての細胞にトランスジーンを有するトランスジェニック動物
、並びに、その全ての細胞ではないがその一部にトランスジーンを有する動物、
すなわちモザイク動物を提供する(例えば、Jakobovits,1994,Curr.Biol.4:761-
763に記載された技術を参照)。トランスジーンは、単一のトランスジーンとし
て、あるいはコンカテマーとして、例えば、ヘッド−ヘッドタンデムまたはヘッ
ド−テイルタンデムに組み込まれてもよい。このトランスジーンは、例えば、La
skoら(Lasko,M.ら,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232-6236)の教示に従って
、特定の細胞タイプに選択的に導入および活性化されてもよい。かかる細胞タイ
プ特異的活性化に必要な制御配列は、関心の向けられた特定の細胞タイプに依存
し、当業者に自明である。
【0158】 標的遺伝子トランスジーンが内因性標的遺伝子の染色体部位に組み込まれるこ
とを望むのであれば、遺伝子ターゲッティングが好ましい。要約すると、かかる
技術を利用する場合には、興味の向けられた内因性標的タンパクの遺伝子に相同
なヌクレオチド配列を含むベクターを、染色体配列との相同的組み換えを介して
、内因性標的遺伝子のヌクレオチド配列に組み込みかつその機能を妨げるように
設計する。トランスジーンは、例えばGuらの教示(Gu, H.ら,1994,Science 265:1
03-106)に従って、特定の細胞タイプに選択的に導入されて、その細胞タイプの
みにおいて興味の向けられた内因性遺伝子を不活性化することもできる。かかる
細胞型特異的不活性化に必要な制御配列は、関心の向けられた特定の細胞タイプ
に依存し、当業者に自明である。
【0159】 トランスジェニック動物が発生したところで、組換え標的遺伝子及びタンパク
質の発現を、定法を用いて検定する。最初のスクリーニングは、サザンブロット
分析またはPCR技術によって達成してもよく、動物組織を分析して導入遺伝子
の組込が起こったか否かを評価する。トランスジェニック動物の組織中における
導入遺伝子のmRNA発現のレベルもまた、これらに限定されるものではないが
、動物から得た組織サンプルのノーザンブロット分析、原位置ハイブリダイゼー
ション分析、及びRT−PCRを含む技術を利用して評価してもよい。標的タン
パク質発現組織のサンプルもまた、問題とされる導入遺伝子に特異的な抗体を使
用して免疫細胞学的に評価してもよい。
【0160】 標的遺伝子mRNAまたは標的タンパク質導入遺伝子ペプチド(標的タンパク
質エピトープに対して抗体を使用して免疫細胞学的に検出)を容易に検出可能な
レベルで発現する標的タンパク質トランスジェニック動物は、特徴的なインスリ
ン抵抗性障害のような症状を呈する動物を識別するために、更に評価すべきであ
る。こうした症状には、例えば、肥満、グルコース不耐性及び/または非インス
リン依存性糖尿病が含まれる。更にまた、トランスジェニック動物内における特
定の細胞型を分析し、インスリン耐性障害の細胞表現型の特徴について検定して
もよい。こうした細胞表現型は、例えば、異常脂肪細胞分化(例えば異常な前脂
肪細胞/脂肪細胞分化)及び代謝を含んでも良い。更にまた、こうした細胞表現
型は、特定細胞型フィンガープリントパターンの発現の評価及び、その、インス
リン耐性障害を呈する動物中における特定の細胞タイプの既知のフィンガープリ
ント発現プロフィールとの比較を含んでも良い。こうしたトランスジェニック動
物は、インスリン耐性障害の適当なモデルとして役立つ。
【0161】 標的タンパク質トランスジェニック始祖動物(すなわち、問題とされる細胞ま
たは組織中において標的タンパク質を発現し、更に好ましくはインスリン耐性障
害の症状を呈する動物)が産生されたところで、これらを交配、同系交配、異系
交配、または異種交配して特定動物のコロニーを産生させる。こうした交配戦略
の例には、これらに限定されるものではないが、一つ以上の組込部位を有する始
祖動物の異系交配をして別々の系を構築すること;別々の系を同系交配して、各
標的遺伝子導入遺伝子の付加的発現の効果によって問題とされる標的タンパク質
をより高レベルでトランスジェニックとして発現する化合物標的タンパク質トラ
ンスジェニックを産生すること;異型接合の動物を交配して所定の組込部位につ
いて同型接合の動物を産生し、これによって発現を増大させると共にDNA分析
による動物のスクリーニングが必要となる可能性を消失させること;別々の同型
接合の系を交配して異型接合の化合物または同型接合の系を産生すること;動物
を様々な同系交配遺伝的バックグラウンドに品種改良して、標的タンパク質の発
現及びインスリン耐性障害様症状の進展に対する対立遺伝子変更の効果を試験で
きるようにすることが含まれる。こうしたアプローチの一つは、標的タンパク質
トランスジェニック始祖動物を野生型株と交配して、異数林耐性障害様症状、例
えばグルコース不耐性、抗インスリン血症、非インスリン依存性糖尿病、及び肥
満等を呈するF1世代を産生することである。該F1世代は、その後同系交配さ
れ、同型接合の標的タンパク質トランスジェニック動物が生存可能な場合には同
型接合の系を発生する。
【0162】 (DEPs及びPPsについての診断上の検定) 当業者にとっては、インスリン耐性の発生の原因及び性質が、全ての個体にお
いて同一でないであろうことは明白であろう。したがって、DEPsのパターン
は全ての個体において同一ではないであろう。これらの様々なインスリン耐性の
病因及びDEPsのパターンから、多様な原因のインスリン耐性のそれぞれにつ
いて、異なる最適な療法を見い出せるであろう。こうして、非インスリン依存性
糖尿病を含むインスリン耐性の被験者において、DEPパターンを識別できる診
断上の検定によれば、最適な療法を診断できるであろう。さらに、こうした診断
上の検定によれば、あらゆる治療の価値を予測することができるであろう。
【0163】 こうした診断上の検定に使用されるサンプルは、インスリン耐性に関連するあ
らゆる適当な細胞物質であってもよい。パラダイムの確立に関して上述したもの
の他に、これらは、単球またはリンパ球であってよい。理想的には、該サンプル
は、血液または尿などの容易に入手可能な体液であって、ここではフィンガープ
リントタンパク質が分泌され、その濃度はインスリン耐性の発達及び程度に反映
される。
【0164】 適当な身体組織由来のサンプル中におけるDEPまたはPPの存在を検定(定
量、評価、または検出)する好ましい方法の一つには、該サンプルを特定の結合
パートナー、好ましくは抗体であって、DEPに特異的なものと反応させて、反
応生成物、典型的にはDEPとその抗体との複合物を生成させ、反応生成物の存
在またはその量を決定することが含まれる。好ましくは、これらは親和力検定法
または免疫学的検定法である。
【0165】 こうした好適な抗体の例は、上述のものである。免疫学的検定のあらゆる既知
の方法を使用しても良い。抗体捕捉検定が好ましい。ここでは、試験サンプルを
、プラスチックのマイクロタイタプレートのウェル等の固相に結合させ、その後
抗DEPまたはPP抗体を結合させる。未結合の物質を洗い流した後、固相に結
合した抗体の存在またはその量を、当業者には周知の通り、標識した第二の抗体
を使用して決定する。第二の抗体は、第一の分子と同一の分子内にまたは別の分
子として与えられると良く、通常は第一の抗体の抗Igである。
【0166】 あるいはまた、サンプルと、DEPまたはPPの適当なエピトープと同一の配
列を有する標識ペプチドとで競合アッセイを行っても良く、これら二つの抗原は
固形支持体に結合する限定量の抗体をめぐって競合する。標識ペプチドは固相上
に抗体と共にプレインキュベートしても良く、これによってサンプル中のDEP
またはPPは、抗体に結合したペプチドの一部に取って代わる。あるいは、二つ
の抗原を単一の共インキュベートにおいて抗体と競合させる。洗浄により支持体
から未結合の抗原を除去した後、支持体に結合した標識の量を測定し、サンプル
中のDEPまたはPPを、規定の標準滴定曲線に照らして検出または測定する。
【0167】 酵素のための基質は、発色性、蛍光性、または化学発光性であってよい。
【0168】 増幅された形式の検定法を使用することがいっそう好ましく、これにより比較
的に低レベルのタンパク質から発せられる強化された「シグナル」が検出される
。増幅された免疫学的検定法の特に良く知られた形式の一つは、強化化学発光(
ECL)検定法である。ここでは、抗体は好ましくはホースラディッシュペルオ
キシダーゼで標識されており、これがルミノール、過酸化物基質、及び発光の強
度及び持続性を増大させる化合物、典型的には4-ヨードフェノールまたは4-ヒ
ドロキシケイ皮酸との化学発光反応に関与する。
【0169】 増幅された免疫学的検定法の別の好ましい形式は、免疫PCRである。この技
術においては、抗体は、PCRプライマーを含む任意のDNAの分子に共有結合
的に結合し、これによって、抗体が結合してなるDNAがポリメラーゼ連鎖反応
によって増幅される。E. R. Hendrickson et al., Nucleis Acids research, 19
95: 23, 522-529.またはT. Sano et al., 1995, in "Molecular Biology and Bi
othchnology" ed. Robert A. Meyers, VCH Publishers, Inc., pages 458-460.
を参照のこと。シグナルは、前記同様に読みとられる。
【0170】 検定試薬は、キットとして、通常は検定しようとするタンパク質と同様の適当
な標準と共に処方される。したがって、本発明のキットは、好ましくは、直接又
は間接的にDEPまたはPPに標識された検定しようとする抗体、並びにDEP
またはPP自体を標準として含む。これは任意にバッファー、基質(標識が酵素
である場合)及び(抗体がDNAに結合している場合には、)DNAのためのP
CRプライマーを含んでも良い。
【0171】 (標的タンパク質の発現、合成、または活性の抑制) 標的タンパク質がインスリン耐性状態において過剰発現した場合、その生体内
における発現、産生、または活性を抑制することが望ましい。そのための方法は
数多くある。例としては以下のものが挙げられる。
【0172】 A.生体内において標的タンパク質に結合する化合物、例えば、膜貫通レセプタ
ーの作用を擬態する標的タンパク質または化合物(ペプチドもしくは非ペプチド
)のための膜貫通レセプターの可溶性細胞外部分に相当するペプチドを投与する
こと。好ましくは、該化合物は、例えば600未満の低分子量の非ペプチド有機
化合物である。しかしながら、これはまた、標的タンパク質の結合部位に結合す
るために十分な長さのペプチドであり、よってその膜貫通レセプターとの相互作
用を遮断するようであってもよい。
【0173】 B.標的タンパク質に特異的な抗体、好ましくはそれに対して培養されたモノク
ローナル抗体を投与すること。
【0174】 C.標的タンパク質は、生体内において、一以上の細胞または細胞外巨大分子結
合パートナー、例えばタンパク質または核酸と相互作用してもよい。こうした相
互作用を途絶させる化合物は、標的タンパク質の活性の制御において有用であろ
う。更に、これらは、Aにおいて前述の通り好ましくは低分子量有機化合物また
はペプチドである。
【0175】 D.標的タンパク質の合成は、遺伝子レベルで抑制可能である。相当する遺伝子
は、"Identification and characterisation of DEPs"に記載のように同定可能
である。アンチセンス、リボザイム、または三重螺旋形成分子を、標的タンパク
質遺伝子の発現を低減させるまたは抑制するように設計可能である。
【0176】 こうした分子の産生及び使用のための技術は、当業界においては周知である。
【0177】 A−Dにおける適切の剤の同定方法の更なる詳細は、明細書の最後の補足1に
記載する。
【0178】 標的タンパク質の合成はまた、標的タンパク質遺伝子配列の調節領域に作用す
る剤、またはインスリン耐性状態において標的タンパク質を調節する天然因子の
産生または作用を遮断する剤によって抑制されうる。
【0179】 (標的タンパク質のレベルまたは活性を増大させる方法) 標的タンパク質が、インスリン耐性状態において発現不足である場合には、そ
の生体内における発現、産生、または活性を増大させるか、または置換タンパク
質を用いることが望ましい。そのための方法は数多くある。例としては以下のも
のが挙げられる。
【0180】 A.組換え標的タンパク質を、インスリン耐性障害症状を緩和するために十分な
レベルで、こうした症状を呈する患者に投与すること。
【0181】 B.標的タンパク質遺伝子の調節配列に結合し、標的タンパク質の合成における
増大に影響する化合物を投与すること。こうした化合物は、好ましくは、600
未満の低分子量の非ペプチド有機化合物である。
【0182】 C.標的タンパク質mRNAの安定性を増大させる、または標的タンパク質の代
謝回転の速度を抑制する化合物を投与すること。
【0183】 D.患者を、遺伝子置換療法によって治療することもできる。正常な標的タンパ
ク質遺伝子の一以上の複製または、標的タンパク質遺伝子機能を有する正常な標
的タンパク質の産生を指示する遺伝子の部分を、細胞に挿入してもよく、アデノ
ウィルス、アデノ関連ウィルス、及びレトロウィルスベクターを含むベクターを
、リポソーム等の細胞中にDNAを導入する他の粒子に加えて、使用する。更に
また、上述のような技術は、ヒト細胞への正常な標的タンパク質遺伝子配列の導
入のために利用しても良い。
【0184】 正常な標的タンパク質遺伝子配列を含む細胞、好ましくは自系細胞は、その後
患者に、インスリン耐性障害症状の改善が可能な位置にて導入又は再導入するこ
ことができる。こうした細胞置換技術は、例えば、標的タンパク質が分泌された
細胞外タンパク質である場合に好ましい。
【0185】 更に、標的タンパク質に特異的に結合し、結合によって、直接的又は間接的に
標的タンパク質機能の活性化に役立つ抗体を、投与しても良い。こうした抗体は
、DEPsに関して上述したいずれのものであっても良い。これらは上述の技術
によって投与することができる。
【0186】 (投与の方法) 上述のスクリーン法によって選択された剤(化合物)は、インスリン耐性障害
を治療または緩和するために、治療として有効な投薬量で患者に投与可能である
。治療として有効な投薬量とは、結果として非インスリン依存性糖尿病を含むイ
ンスリン耐性障害の症状を緩和するために十分な前記剤の量を意味する。
【0187】 (有効な投薬量) こうした化合物の毒性及び治療有効性は、細胞培養または実験動物における標準
的な製薬手法、例えばED50(インスリン感受性において50%向上の作用を与
える投薬量)による決定のため、及びあらゆる副作用のED50(毒性−TD50
の測定により決定可能である。毒性と治療有効性との投薬量比は、治療法指数で
あり、TD50/ED50なる比として表すことができる。大きな治療法指数を示す
化合物が好ましい。毒性の副作用を揺する化合物を使用しても良い一方で、患部
組織の部位を標的としたこうした化合物のデリバリーシステムは、細胞への損害
の可能性を最小限にし、よって副作用が低減されるように注意深く設計するべき
である。
【0188】 細胞培養検定及び動物実験から得られたデータは、ヒトにおける使用のための
一定範囲の投薬量の処方に利用可能である。こうした化合物の投薬量は、毒性が
僅かまたは全くないED50を含む循環濃度の範囲内であることが好ましい。該投
薬量は、この範囲内で、利用する投薬形態及び使用する投与経路によって変化し
ても良い。
【0189】 ヒトの治療のためには、前記剤の一日当たりの典型的な投薬量は、全て体重7
0kgに基づいて1日当たり0.01mg乃至4g、好ましくは0.01乃至400m
g、更に好ましくは0.1乃至10mgであって、一回でまたは一日に上限8回で
与えられるが、一日に4回を越えないことが好ましい。
【0190】 (製剤) スクリーン法によって選択される剤は、単一の化合物または二つの化合物の混
合物又はコンビネーションであってよい。「化合物」なる語は、本セクションに
おいて簡潔さのために使用され、単数及び複数を含むことが理解される。本発明
のスクリーン法によって選択される化合物は、定法によって製剤され、通常は製
薬組成物として当該化合物及び一以上の生理学的に許容される担体、希釈剤、補
助剤または賦形剤を含む。こうして、該化合物及びその生理学的に許容される塩
及び溶媒和化合物を、吸入または通気(口または鼻のいずれかから)による投与
または口、頬、非経口の、及び直腸からの投与のために製剤してもよい。
【0191】 経口投与のためには、該製薬組成物は、例えば、定法により、結合剤(例えば
プレゼラチン化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキ
シプロピルメチルセルロース)充填剤(例えばラクトース、ミクロクリスタリン
セルロース、またはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えばマグネシウムステ
アレート、タルク、またはシリカ);崩壊剤(ジャガイモデンプンまたはナトリ
ウムデンプングリコレート);または湿潤剤(例えばナトリウムラウリルスルフ
ェート)等の製薬的に許容される賦形剤を用いて調製される錠剤、カプセルの形
態をとりうる。錠剤は、当業界において周知の方法により被覆されても良い。経
口投与のための液体調剤は、例えば、溶液、糖液、または懸濁液の形態をとって
よく、あるいは使用前に水または他の好適な媒体と併せるための乾燥製品として
もよい。こうした液体調剤は、懸濁剤(例えばソルビトールシロップ、セルロー
ス誘導体、または水素化食用脂肪);乳化剤(例えばレシチンまたはアカシア)
;及び保存料(例えばメチルもしくはプロピル=p-ヒドロキシベンゾエート、ま
たはソルビン酸)等の製薬として許容される添加剤を用い、定法によって調製す
ることができる。該調剤はまた、バッファー塩、香料、着色料、及び甘味料を適
宜含有しても良い。
【0192】 経口投与のための調剤はまた、活性化合物の制御された放出を与えるために好
適に製剤されうる。
【0193】 頬からの投与のためには、該組成物は定法によって製剤された錠剤またはロゼ
ンジの形態をとりうる。
【0194】 吸入による投与のためには、該化合物は、簡便のため、加圧パックまたは噴霧
器から、適当な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロ
メタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適当な気体を
使用して放出されるエアロゾルスプレーの形態で送達される。加圧エアロゾルの
場合には、投薬単位は測定量を送達するためのバルブを設けることによって決定
することができる。吸入または通気において使用するための、例えばゼラチン等
のカートリッジ及びカプセルは、該化合物の粉末混合物と、ラクトースまたはデ
ンプンなどの適当な粉末ベースとを包含して製剤されるとよい。
【0195】 該化合物は、注射、例えばボーラス注射または連続注入による非経口投与向け
に製剤されても良い。注射のための製剤は、単位投薬量形態とされるとよく、例
えばアンプルまたはマルチ投薬容器中で更に保存料を加えたものであって良い。
該組成物は、油性または水性の媒体中における懸濁液、溶液、またはエマルジョ
ン等の形態をとってよく、懸濁、安定化及びまたは分散剤などの製剤化剤を含ん
でも良い。あるいはまた、該活性成分は、好適な媒体、例えば滅菌され、発熱物
質を含まない水等と使用前に併せるための粉末形態としても良い。
【0196】 該化合物はまた、坐剤または停留浣腸、例えばココアバターまたは他のグリセ
リド等の従来の坐剤ベースを含有するもの等の結腸組成物中に処方されても良い
【0197】 前述の製剤に加え、該化合物はまた蓄積調剤として製剤されても良い。こうし
た長時間作用型製剤は、移植(例えば皮下または筋内への)によって、または筋
内注射によって投与しても良い。したがって、例えば、該化合物は好適なポリマ
ー性または疎水性物質(例えば許容されるオイル中のエマルジョンとして)また
はイオン交換樹脂、または微溶性(sparingly soluble)誘導体として、例えば
微溶性塩と共に製剤されても良い。
【0198】 該組成物は、所望により、パックまたはディスペンサー装置中としても良く、
これは活性成分を含む一以上の単位投薬量形態を収容するとよい。パックは、例
えば、金属またはプラスチックのホイル、例えばプラスチック包み(blister pa
ck)を含んでも良い。パックまたはディスペンサー装置には、投与のための指示
を添付してあると良い。
【0199】 (インスリン耐性障害の診断) 本発明には、選択的にスクリーンされた剤の有効性を、例えばその臨床試行の
間に観察するための、及びこうしたインスリン耐性障害の治療のための臨床評価
を受ける患者を観察するための、インスリン耐性障害の性質または程度、インス
リン障害に陥る予備傾向の診断が含まれる。
【0200】 該方法は、治療を受けた、または受けていない被験者に適用可能である。彼ら
は糖尿病または糖尿病前症状態でありうる。
【0201】 該方法は、上述のように適当なパラダイムを確立する工程、患者(ヒトまたは
動物)由来の、とりわけ単核球またはリンパ球由来の組織のサンプル、または適
当な体液を得る工程、及び、パラダイムを確立してなる一以上のDEPの組織中
における発現の存在または量について、該サンプルを検定する工程を含む。こう
したDEPは、フィンガープリントタンパク質として説明しても良い。その後、
観察されたパターン及び/または発現の量を予め得られた臨床情報と関連づけ、
これによって「標準」を確立する。
【0202】 臨床情報を得る方法には、患者から採取したリンパ球等の原始細胞調製物中へ
、または生体内反応へのグルコースまたはアミノ酸の取り込み等のように、細胞
処理におけるその通常の反応の仲介におけるインスリンの有効性の測定等の定法
が含まれる。更に、ヒトまたは全動物中におけるグルコース/インスリン比の測
定またはグルコース耐性試験または正常血糖高インスリン血症クランプ処置等の
技術を使用しても良い。
【0203】 NIDDMを検出し、治療の有効性を、世界保険機構、国際糖尿病連合及び米
国糖尿病協会等の組織体によって認定された方法及びパラメーターによって測定
することができる。
【0204】 上述のようにDEPs及びPPsを検定するために使用される方法及び試薬は
、実験室及び臨床試行において使用しても良い。とりわけ、こうした方法及び試
薬は、例えば以下のために使用しても良い:(1)標的タンパク質突然変異の存
在の検出、または(2)非インスリン耐性障害状態に関する標的タンパク質のア
バンダンスが過剰であるか不足であるかの検出。
【0205】 以下の例は、本発明を詳説する。
【0206】 実施例1 マウス治療プロトコール やせた及び肥満のメスのC57 B1/6J ob/obマウスに、BRL 49653、ロシグリタゾ
ンを、7日間の経口胃管栄養によって10mg/kg/日で与えた。この治療は、ob/ob
マウスにおいて経口のグルコース不耐性とインスリン感受性の顕著な改良を与え
たが、やせた小さいマウスでは何の効果も有さなかった。肝臓組織を、約8週齢
のやせた及びob/obマウスから採取した。非絶食動物に50%の"Hyponovel"と50%の
"Hyponorm"で麻酔をかけ、二酸化炭素ガスで慈悲深く殺害した。肝臓を0.9%塩水
バッファーで潅流した。次いで上記サンプルを切片化し、液体窒素にはさみの間
で瞬時に凍結し、48時間凍結乾燥し、液体窒素の存在下でモルタルに詰め込ん
だ。生じた乾燥化パウダーを分析まで−80℃で貯蔵した。
【0207】 タンパク質溶解化 2-D-PAGEでの分析のため、200ミリグラムの乾燥化肝臓を、尿素(8M)、CHAP
S(4%w/v)、Tris(40mM)、DTE(65mM)、SDS(0.05%w/v)及び微量のBromophenol Blue
を含む溶液の60ミリリットルで混合した。最終希釈サンプル(100マイクロ
グラムのタンパク質)の測量部分を、IPGゲルの陰極末端でサンプルカップ内に
乗せた。
【0208】 第一次元電気泳動 IPG断片(3.5-10.0 NL IPG 18cm)の非直線的固定化pH勾配を、第一次元として
使用した。それは高い分解能と、格別の再生産性を与え、高いタンパク質搭載量
を可能にした。Geneva University Hospitalの明細書に基づいて、非直線的pH勾
配断片を、Amersham-Pharmacia Biotechnology ABによって調製し、それは商業
的に入手可能である。上記断片は、3mmの幅と180mmの長さを有した。
【0209】 IPG断片の水和を、尿素(8M)、CHPS(2%w/v)、DTE(10mM)、Resolyte pH 3.5-10
(2%v/v)及び微量のBromophenol Blueの25ml溶液で、Pharmacia再膨潤カセット中
に一晩で実施した。
【0210】 水和カセットが完全に空になり開いてから、上記断片をPharmacia断片トレー
に移した。IPG断片、湿った電極芯、電極及びサンプルカップを所定の位置に配
置した後に、上記断片及びカップを低粘度のパラフィン油で覆った。サンプルを
、ゲルにふれることなくゆっくりと連続的な態様で、IPG断片の陰極末端でカッ
プ中に適用した。
【0211】 電圧を3時間で300から3500Vに直線的に増大し、その後さらに3時間3500Vを
適用し、続いて電圧を5000Vに増大した。全部で100kvhの電圧時間を、一晩の稼
働で使用した。
【0212】 電気泳動の第二次元 第一次元の稼働の後、IPG断片を平衡化して、タンパク質を再溶解し、-S-S-結
合を還元した。かくして上記断片を、Tris-HCl(50mM)pH6.8、尿素(6M)、グリセ
ロール(30%v/v)、SDS(2%w/v)及びDTE(2%w/v)を含む100mlの溶液で12分断片ト
レー内で平衡化した。その後SH基をTris-HCl(50mM)pH6.8、尿素(6M)、グリセロ
ール(30%v/v)、SDS(2%w/v)、ヨードアセタミド(2.5%w/v)及び微量のBromophenol
Blueを含む100mlの溶液で5分ブロッキングした。
【0213】 第二次元の稼働において、Laemmli-SDS-不連続システムを有する縦方向勾配ス
ラブゲルを、いくつかわずかに修飾して使用し、それは以下のように要約された
: ・ゲルはSDSの存在下で重合されない。これは、アクリルアミドモノマーを含む
ミセルの形成を妨げるようであり、かくして孔のサイズの均一性を増大し、ポリ
アクリルアミドにおける非重合モノマーの濃度を減少する。ゲルランニングバッ
ファーにおいて使用されるSDSは、タンパク質上の必要とされる負の電荷を維持
するのに十分である。 ・ピペラジン−ジアクリリル(PDA)を架橋剤として使用する。これはN末端タン
パク質ブロッケージを減少すると解され、より優れたタンパク質の分解を与え、
ジアミン銀染色バックグランドを減少する。 ・チオ硫酸ナトリウムを添加剤として使用し、ゲルの銀染色におけるバックグラ
ンドを減少する。 ・IPG断片とアガロースの組み合わせは、スタッキングゲルに対する必要性を避
ける。
【0214】 ゲルの組成及びサイズは以下の通りであった: サイズ: 160×200×1.5mm 分解ゲル アクリルアミド/PDA(9-16%T/2.6%C) スタッキングゲル: スタッキングなし リーディングバッファー: Tris-HCl(0.375M)pH8.8 トレーリングバッファー: Tris-グリシン−SDS(25mM-198mM-0.1%w/v)pH8.3 添加剤: チオ硫酸ナトリウム(5mM) 重合剤: TEMED(0.05%)APS(0.1%)
【0215】 ゲルを、プレートの上部から0.7cmまで注ぎ、約2時間sec-ブタノールで覆っ
た。覆いを除去し、それを水で置換した後、ゲルを一晩放置した。
【0216】 平衡化の後、IPG断片を所定のサイズに切断した。陽極末端から6mmと、陰極末
端から14mmを除去した。第二次元ゲルを、約70℃に加熱したアガロース(0.5%w
/v)とTris-グリシン-SDS(25mM-198mM-0.1%w/v)pH8.3を含む溶液で覆い、IPG断片
をそこに迅速に乗せた。
【0217】 ゲルを、40mA/ゲルの一定電流で5時間8-12℃で稼働した。電圧は制限しない
が、100から400Vが必要であった。
【0218】 染色 クマシーブリリアントブルー染色より100倍感度がよい銀染色を使用した(
他に断り書きがある場合を除いて)。かくして2-DGEゲルを、以下のようにアン
モニア性銀染色で染色した:
【0219】 全ての工程を、36rpmで軌道上のシェイカーで実施した。 工程1:第二次元の稼働の最後で、ゲルをガラスプレートから取り出し、脱イオ
ン水で5分洗浄した。 工程2:ゲルを1時間エタノール:酢酸:水(40:10:50容量比)に浸した。 工程3:ゲルを2時間または一晩、エタノール:酢酸:水(5:5:90容量比)に浸し
た。 工程4:ゲルを脱イオン水で5分洗浄した。 工程5:ゲルをグルタルアルデヒド(1%v/v)及び酢酸ナトリウム(0.5M)を含む溶
液で30分浸した。 工程6:ゲルを脱イオン水で10分3回洗浄した。 工程7:タンパク質の均一で暗い褐色の染色を得るために、ゲルを30分2,7-ナ
フタレンスルホン酸溶液(0.05%w/v)に二回浸した。 工程8:ゲルを脱イオン水で15分4回すすいだ。 工程9:ゲルを新たに調製されたアンモニア性硝酸銀溶液で30分染色した。75
0mlのこの溶液を調製するために、6gの硝酸銀を30mlの脱イオン水に溶解し、そ
れを160mlの水、20mlの濃縮アンモニア(25%)及び1.5mlの水酸化ナトリウム(10N)
を含む溶液に混合した。一過的な褐色の沈殿が形成されても良かった。それが透
明化した後、水を加えて最終容量とした。 工程10:染色後、ゲルを脱イオン水において4分4回洗浄した。 工程11:イメージを、クエン酸(0.01%w/v)とホルムアルデヒド(0.1%v/v)の溶
液で5から10分現像した。 工程12:和巣カナバックグランド染色が出現したら、Tris(5%w/v)及び酢酸(2%
v/v)の溶液で現像を停止した。
【0220】 ゲルのスキャン Molecular Dynamics社製のLaser Densitometer (4000×5000ピクセル; 12ビッ
ト/ピクセル)と、Bio-Rad社製のGS-700を、スキャン装置として使用した。これ
らのスキャナーを、"Sparc"ワークステーションの"Macintosh"コンピューターに
接続した。
【0221】 "Melanie II"を使用するゲルの定量的イメージ分析 二次元ポリアクリルアミドゲルを、コンピューターによってデジタル化して分
析し、定量的イメージ分析と自動ゲル比較を可能にした。2-D-PAGE法は、1975年
に初めて開発されたため、いくつかのコンピューターシステムが、主にアカデミ
ックな2-D-PAGE関連研究室によって製造されている。この研究では、University
Hospital og Genevaで開発された"Melanie II"が使用された。それは、"Unix(
登録商標)"ワークステーション、並びに"Power Macintosh"及びIBM-適合コンピ
ューターについて利用可能である。
【0222】 ob/obb及びやせたマウスのスポット検出、定量化及びマッチング、ゲルイメー
ジ抽出、ズーミング、ワーピング及びプリンティング、並びにゲルのスタッキン
グ及びフリッピングは、"MelView"プログラムで実施した。
【0223】 次いでイメージを4種のクラスに分類した:やせたコントロール、ob/obコン
トロール、やせた処理種、及びob/ob処理種。各スポットの相対的量(%容量)を使
用する微分分析とスチューデントT検定により、過剰発現及び過小発現ポリペプ
チドの有意な検出が可能であった(p<0.01)。
【0224】 予備的2-D-PAGE 上述の分析的2-DGEを、以下の変更と共に繰り返した。4mgの乾燥化肝臓を、14
0マイクロリットルの溶解溶液と混合し、ゲル中の水和によりIPG断片に乗せた。
第一次元の稼働の後、上記断片を溝当たり3mlの各バッファーを使用して平衡化
した。
【0225】 タンパク質電気的ブロッティング ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)への2-D-PAGEによって分離したタンパク質
のブロッティングにより、複雑な生物学的サンプルから得たタンパク質の同定と
特徴付けが可能である。タンパク質のトランスファーは、真空、毛細管、または
電場のようないくつかの方法を使用して実施できる。垂直バッファータンクまた
は半乾燥法を使用する電気的ブロッティングが好ましい。両者の方法は、3-[シ
クロヘキサミノ]-1-プロパンスルホン酸(CAPS)トランスファーバッファーを使用
できる。グローブを装着し、全てのフィルターペーパーを水中で3分3回、トラ
ンスファーバッファーで3回洗浄しなければならない。これらの二つの工程は、
いずれかのタンパク質またはアミノ酸の混在を避けるために重要である。
【0226】 方法は以下のものであった。第二次元の電気泳動の後、ゲルを脱イオン水に3
分浸した。次いでゲルを10mM CAPS pH11を含む溶液で30分平衡化した。同時に
PVDF膜をメタノールで1分湿らせ、10mM CAPS pH11及びメタノール(10%v/v)を含
む溶液でさらに30分平衡化した。
【0227】 電気的ブロッティングを、10mM CAPS pH11とメタノール(20%v/v陽極側;5%v/v
陰極側)を含む溶液で、15℃で3時間1mA/cm2の一定電流で半乾燥装置で実施し
た。
【0228】 PVDF膜でのタンパク質検出 Amido Black及びクマシーブリリアントブルーR-250を、PVDF膜上のタンパク質
を視覚化するために銀染色の代わりに使用し、その後の分離後の分析と適合的で
ある。かくして別の2-DGE稼働において、電気的トランスファーの後に、PVDF膜
を、Amido Black(0.5%w/v)、イソプロパノール(25%v/v)及び酢酸(10%v/v)を含む
溶液で2分染色した。脱イオン水中のいくつかの浸液により、脱色を実施した。
【0229】 別の稼働で、電気的トランスファーの後、PVDF膜を、クマシーブリリアントブ
ルーR-250(0.1%v/v)とメタノール(50&v/v)を含む溶液で15分染色した。脱色を
、メタノール(40%v/v)と酢酸(10%v/v)を含む溶液で実施した。同じ方法を、ペプ
チドマスフィンガープリントのようなさらなる分離後の分析のために電気的トラ
ンスファーの必要のない、予備的ゲルについて使用した。
【0230】 PVDF染色膜を、風乾、または37℃で10分加熱プレートでの3mmの厚さ
のプレートでの乾燥のいずれかを実施した。
【0231】 スキャン これは上述のように実施した。
【0232】 タンパク質の同定 エドマン分解によるアミノ酸配列分析において、アミノ酸誘導体をタンパク質
から一度に一つ連続的に切断した。化学的に接近不可能なアルファ−アミノ基を
有するタンパク質は、この方法では直接配列決定できず、N末端ブロック化と称
される。ブロック化タンパク質を解消する最適な方法は、化学的またはタンパク
質切断によって個々の断片を精製することである。
【0233】 繰り返し、10から12のエドマン分解サイクルを、各スポットについて実施
した。SWISS-SPOTデータベースにおけるサーチを、周知のタンパク質配列との同
一性を検出するために使用した。
【0234】 Amido Black染色タンパク質を、レーザーブレードで検出し、N末端配列決定を
、"Problott"カートリッジを備えたApplied Biosystems社製のABIモデル473Aま
たは477Aミクロシークエンサーを使用して実施した。
【0235】 内部配列決定のため、興味あるスポットを取り出し、酢酸(100mM)、メタノー
ル(10%v/v)及びPVP-10(1%v/v)を含む溶液に37℃で2時間浸した。脱イオン水
での3回の洗浄の後、PVDFスポットを小片(約1mm2)に切り取り、リン酸ナトリ
ウム(100mM)pH8.0及びリシルエンドペプチダーゼ(1マイクログラム)を含む溶
液で25マイクロリットルでインキュベートした。室温で一晩の切断に引き続き
、グアニジン-HCl(28mg)及びDTT(100マイクログラム)を加えた。37℃で2時間
の還元の後、混合物を、300マイクログラムのヨードアセタミドで室温で30分
インキュベートした。切断バッファーを除去して放置した。PVDF断片を、イソプ
ロパノール(70%v/v)及びトリフルオロ酢酸(5%w/v)を含む25マイクロリットル
の溶液で一晩抽出した。この溶出溶液を取り出し、PVDFを60マイクロリットル
のTFA(0.1%w/v)で二回洗浄した。切断及び溶出溶液を二回の最終洗浄物と共にプ
ールし、この混合物を二次元逆相HPLCによって分離し、配列決定を実施した。
【0236】 イムノブロッティング PVDF膜を最初に染色してタンパク質を視覚化し、その後免疫検出を実施した。
これにより、非特異的タンパク質染色で検出されたものに対するECLで検出され
たタンパク質のマッチングが、両イメージのコンピューターでの比較を通じて可
能であった。PVDFの機械的強度もまた、同じ2-Dゲルを異なる抗体について多数
回使用できるように利用した。
【0237】 方法全体は、室温で回転オーブン中で実施した。核酸グラスハイブリダイザー
の使用は、容量とコストを最小化した。 ・膜を、PBS(pH7.2)とノンファットドライミルク(5%w/v)の10mlの溶液で30分
ブロックした。 ・次いで膜をPBS-"Tween"20(0.5%v/v)、ノンファットドライミルク(5%w/v)及び
一次抗体(抗体に依存して1:100以上)を含む10mlの溶液で2時間インキュベー
トした。 ・3回の迅速なリンスを、10mlのPBS-"Tween"20(0.5%v/v)で実施し、次いで膜を
10mlのPBS-"Tween"20(0.5%v/v)で3×10分洗浄した。 ・膜を、PBS-"Tween"20(0.5%v/v)、ノンファットドライミルク(5%w/v)及び二次
ペルオキシダーゼ接合抗体(1:1000;もし一次抗体がヒツジ抗マウスであれば、
ヤギ抗ヒツジIgGが二次抗体として使用された)を含む10mlの溶液で1時間イン
キュベートした。 ・3回の迅速なリンスを、10mlのPBS-"Tween"20(0.5%v/v)で実施し、次いで膜を
10mlのPBS-"Tween"20(0.5%v/v)で5×10分洗浄した。 ・最後の洗浄の後、膜をクリーンなガラスプレートに移し、10mlの現像溶液(例
えばAmersham InternationalまたはRoche Diagnostics社製のECL)でカバーした
。 ・過剰な現像液を除き、膜を"Saran"フィルムで巻き、X線フィルムカセットに
固定してタンパク質を検出した。 ・X線フィルムを数秒から数分間まで暗所で露光した。
【0238】 ペプチドマスフィンガープリント クマシー染色を使用することを除いて、2-DGE法を繰り返した。2-DGEスポット
を、37℃で45分50mMの二炭酸アンモニウム中の30%アセトニトリルの100
マイクロリットルで脱染色した。上清を除き、ゲルスポットを30分"SpeedVac"
で乾燥した。ゲルスポットを、0.2マイクログラムのブタトリプシンと50mMの
二炭酸ナトリウムを含む20マイクログラムの溶液で35℃で2時間再水和した
。次いでゲルスポットと上清を"SpeedVac"で30分乾燥し、20マイクロリット
ルの水で35℃で30分再水和し、再び30分乾燥した。50%のアセトニトリ
ルと0.1%のTFAの12マイクロリットルの溶液をスポットに加え、10分間
ソニケートした。
【0239】 2マイクロリットルの上清を、96または400 MALDI標的プレートの各ウェルに
乗せた。サンプルを風乾した。次いで4mg/mlのアルファ−シアノ−ヒドロキシケ
イ皮酸、50%アセトニトリル及び0.1%TFAを含む溶液の2マイクロリット
ルを各ウェルに加え風乾した。
【0240】 ペプチド混合物を、窒素レーザー(337nm)を備えたマトリックス補助レーザー
脱着/イオン化タイムオブフライトマススペクトロメーター(Perseptive Biosys
tems Voyager Elite MALDI-TOF-MS)によって分析し、反射遅延抽出モードで操作
した。
【0241】 ペプチドの同定を、"PeptIdent"(http://www.expasy.ch/sprot/peptident.hym
l)を使用して実施した。それは、pI、相対的分子量、及びペプチドマスフィンガ
ープリントデーターを使用して、タンパク質の同定を可能にする道具である。例
示的に測定された使用者特異的ペプチドマスを、SWISS-PROT/TREMBLデータベー
スの全てのタンパク質について計算された理論的ペプチドと比較した。
【0242】 MS/MS配列決定 タンパク質の同定が、ペプチドマスフィンガープリント法で成功しなかった場
合、切断スポットの上清を、"ZipTip" C18ペプチドチップ(Millipore)で脱塩し
、50%アセトニトリルと0.1%TFAで溶出した。ペプチドを、MicroMass (UK)社製の
フライトチューブ(Q-TOF)の二つの四極子及び直交時間よりなるタンデムマスス
ペクトロメーターい、ナノフロー(研究室内ナノスプレー)サンプル導入によって
適用した。断片イオンスペクトルを、NOWSEデータベースサーチで解釈した(http
://www.segnet.dl.ac.uk/mowse.html)。
【0243】 データマネージメント:マウスSWISS-2-DPAGEデータベース SWISS-2-DPAGEは、全てのデータがコンピュータープログラムによって容易に
検索され、現在利用可能な最も流通し注目されているタンパク質配列データベー
スの一つであるSWISS-PROT Protein Sequence Databaseの物と同様なフォーマッ
トで貯蔵される、注目されている2-D-PAGEデータベースである。SWISS-2-DPAGE
データベースは、各種の2-D-PAGEマップで同定されたタンパク質でデータを集積
する。各SWISS-2-DPAGEエントリーは、一つのタンパク質についてのデータを含
み、マッピング方法、物理化学的及び生理的データ、並びに関連文献、加えてタ
ンパク質位置を示すいくつかの2-D-PAGEイメージを含む。クロスリファレンスは
SWISS-PROTに適用され、後者を通じて他のデータベースに提供される(EMBL, Gen
bank, PROSITE, OMIT等)。上記データベースは、ExPASy World Wide Webサーバ
ー(http://www.expasy.ch/)にセットアップされている。世界的に同じ2-D-PAGE
プロトコールを使用する科学者(第一次元の分離で固定化pH勾配)は、そのイメ
ージをSWISS-2-DPAGEマップと比較することが可能である。
【0244】 結果 以下のDEPが見出された:
【0245】 グループ1:LOM16, LOM17, LOM18, LOM20, LOM27, LOM28, LOM29について特異
的発現が、やせたコントロールとob/obコントロールの比較により観察された。
これらの"OM"タンパク質の特異的発現は、ob/ob非処理動物をob/ob処理動物と比
較した場合見られなかった。言い換えると、これらのタンパク質は、ロシグリタ
ゾンに感受性ではなかった。
【0246】 グループ2:LOMT19, LOMT21-LOMT26についての特異的発現が、やせたコントロ
ールとob/obコントロールを比較することによって観察され、それらはob/obコン
トロールを0b/0b処理動物と比較した場合にも特異的に発現されていた。処理の
後に、これらのDEPのそれぞれの発現は、やせたコントロールにおける発現と同
様となった。言い換えると、上記処理は、正常な動物で生じるタンパク質の発現
のほとんどまたは全てを回復するようであった。各場合でやせた処理動物をやせ
たコントロールと比較し、DEPの発現の変化は観察されなかった。言い換えると
、特異的発現はob/obマウスにおけるインスリン抵抗性状態の治療と関連してる
ようであり、単にロシグリタゾンのいくつかの副作用に関連しているようではな
かった。
【0247】 グループ3:一つのDEP、LSEM30のみが、このグループに属する。それは、やせ
た処理動物をやせたコントロールと比較した場合、このDEPの発現の変化が観察
される点のみで、グループ2とは異なる。かくして、このDEPは、ロシグリタゾ
ン処理の副作用の可能性を表すであろう。この情報は、他の薬剤をスクリーニン
グする際に、それらが作用においてロシグリタゾンと同様または異なるかどうか
を測定するのに有用であろう。
【0248】 図面は、図1を参考にしてDEPの位置を示すために提示され、特異的な発現が
観察されないコントロールタンパク質を示す図17と共に、図2−16において
特異的な発現を示すために提示される。
【0249】 上記位置は、図1A−1Eのマップにおいて示され、ここで図1Aは、やせた
マウスの肝臓組織の2-D-PAGEから得られた完全なマップを示す(たまたま、同定
された全ての特異的に発現されるタンパク質が、ob/obコントロールマウスに対
してやせたコントロールマウスで過剰発現されているようである)、上記マップ
は、以下の態様で4個の四分割に分割される:
【表1】 ここで、pIは左(低pI)から右(高pI)に向かい、相対的分子量は上部から底部
に向かい、図1Bの四分割は、最も低いpIで最も高い相対的分子量のタンパク質
に対応するスポットを示し、図1Eの四分割は、最も高いpIで最も低い相対的分
子量のものを示す。DEPは、LOM16, LOM17, LOM18, LOMT19, LOM20, LOMT21, LOM
T22, LOMT23, LOMT24, LOMT25, LOMT26, LOM27, LOM28, LOM29, LSEM30として示
されている。同定された他のスポットは、参考の目的を有し、SWISS-PROT登録番
号に対応して"P"または"Q"によって先行する5桁の数字を有し、かくしてその遺
伝子に対してスポットが関連づけられる。以下の表2及び3は、相対的容量、領
域、及び光学密度、及び見かけのpI、及び相対的分子量に関して、DEPスポット
の特徴を掲載する。
【0250】 表2:ロシグリタゾンで処理された肥満マウスの肝臓から得られるDEPスポット
【表2】
【0251】 表3:肥満コントロールマウスの肝臓から得られる参考スポット
【表3】
【0252】 DEPのいくつかの位置は、参考スポットの位置と一致する。それらが実際に同
じであるかチェックするために配列決定を使用できる。
【0253】 以下のタンパク質が、肝臓マーカーとして同定されている。
【0254】
【表4】
【0255】 図2−16を参考として、これらの図面は、一つのマウスに関するやせたコン
トロール(左)とob/ob(「肥満型」)コントロール(右)のイメージを示す。
これらのイメージは、コンピューターによって測定可能な発現の差異を視覚的に
十分に表すことができないことを予測すべきである。かくして、下図において、
全てのスポットの全容量のパーセンテージとしてのスポットの容量をy軸に示す
棒グラフが提供される。全ての棒グラフは、4匹のマウスに関し、スチューデン
トT検定(p<0.01)から生じた。グループ1のスポット("OM"と称する)について、
やせた及びoc/ocコントロールのみが示される。やせた処理動物及びob/ob処理動
物は、各コントロールから得られる結果と有意に変化がないので省略する。グル
ープ2のスポット("OMT"と称する)について、ob/ob(「肥満型」)処理動物のバ
ーも示されている。それはやせたコントロールと同様の度合いを有することが見
られるであろう。やせた処理動物についてのバーは、発現がやせたコントロール
と有意に変わらないため示されない。ob/ob及びやせた処理動物についてのイメ
ージが得られるが、明確性及び単純性の関心のためここでは示されない。グルー
プ3のスポット("SEM"と称する)については、4種のイメージ及びバーが示され
る。
【0256】 実施例2: 肝臓組織を200マイクログラム(分析スケール)または4mg(予備スケール
)の乾燥化腓腹筋組織に置換し、実施例1に記載されタンパク質溶解溶液とそれ
ぞれ同じ容量を使用して、実施例1の方法を繰り返した。かくして2-DGEマップ
を得て、そこからDEPを同定して単離した。
【0257】 その結果が図18−23に示されている。図18は、参考スポットとして一連
のタンパク質マーカーを使用して測定されたタンパク質の位置を示す。図19−
23は、特異的発現を示す。
【0258】 筋肉DPEは、実施例1と同様にグループに分割できるが、グループ3には何も
入らなかった。それらは以下の通りである: グループ1:MOM31, 32, 33及び36 グループ2:MOMT34及び35。 MOM33及びMOMT35は、ob/ob(「肥満型」)コントロールに対してやせたコントロ
ールで過小発現した。他のものは、やせたコントロールにおいて相対的に過剰発
現した。再言すると、棒グラフは、スポットの相対適量を容量の基準で評価可能
である。
【0259】
【表5】
【0260】 以下のタンパク質が、筋肉マーカーとして同定されなかった
【0261】
【表6】
【0262】 実施例3: 肝臓組織を16mg(分析スケール)または160mg(予備スケール)の白色脂肪組
織に置換し、実施例1に記載されタンパク質溶解溶液とそれぞれ同じ容量を使用
して、実施例1の方法を繰り返した。かくして2-DGEマップを得て、そこからDEP
を同定して単離した。
【0263】 その結果が図24−49に示されている。図24は、参考スポットとして一連
のタンパク質マーカーを使用して測定されたタンパク質の位置を示す。図25−
49は、特異的発現を示す。
【0264】 白色脂肪DPEは、実施例1と同様にグループに分割できる。それらは以下の通
りである: グループ1:WOM38, 40, 41, 43-47及び51-64 グループ2:WOMT37, 39, 42及び48-50 グループ3:WSEM65 WOM39-41, 43, 46, 47及び51は、ob/ob(「肥満型」)コントロールに対してや
せたコントロールで過小発現した。他のものは、やせたコントロールにおいて相
対的に過剰発現した。再言すると、棒グラフは、スポットの相対適量を容量の基
準で評価可能である。
【0265】
【表7】
【0266】 以下の脂肪マーカーが同定されている。
【0267】
【表8】
【0268】 実施例4: 肝臓組織を400マイクログラム(分析スケール)または4mg(調製スケール
)の褐色脂肪組織に置換し、実施例1に記載されタンパク質溶解溶液とそれぞれ
同じ容量を使用して、実施例1の方法を繰り返した。搭載されたサンプルの重量
は、150マイクログラム(分析的)または1.5mg(予備的)であった。かくし
て2-DGEマップを得て、そこからDEPを同定して単離した。
【0269】 その結果が図50−62に示されている。図50は、参考スポットとして一連
のタンパク質マーカーを使用して測定されたタンパク質の位置を示す。図51−
62は、特異的発現を示す。
【0270】 褐色脂肪DPEは、実施例1と同様にグループに分割できるが、グループ3には
何も入らなかった。それらは以下の通りである: グループ1:BOM66, 67, 69-75及び77 グループ2:BOMT68及び76 再言すると、棒グラフは、スポットの相対適量を容量の基準で評価可能である。
【0271】
【表9】
【0272】 以下のタンパク質が、褐色脂肪組織マーカーとして同定されている。
【0273】
【表10】
【0274】 上述の参考文献のそれぞれは、それがここで引用する範囲で参考としてここに
取り込まれる。
【0275】 以下のクレームは、本発明のいくつかの重要な実施態様を規定するが、上記示
された発明の概念の一般性から限定されるものとして考慮されるべきではない。
【0276】 補足1 A.標的タンパク質に結合する化合物のアッセイ 以下のアッセイは、標的タンパク質を結合する化合物、標的タンパク質と相互
作用する他の細胞タンパク質に結合する化合物、及び他の細胞タンパク質と標的
タンパク質の相互作用を妨害する化合物を同定する。上記化合物は、他の細胞タ
ンパク質を含んでも良い。
【0277】 結合化合物は例えば、標的タンパク質膜貫通レセプターの細胞外部分を含むIg
テール化融合ペプチド、及びD-及び/またはL-型アミノ酸よりなるランダムペプ
チドライブラリーのメンバー(例えばLam等, 1991, Nature 354: 82-84; Houghte
n等, 1991, Nature 354: 84-86参照)、ホスホペプチド(ランダムなまたは部分
的に縮重した指向性ホスホペプチドのメンバーを含む:例えばSongyang等, 1993
, Call 72: 767-778参照)、抗体(ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、
抗イディオタイプ、キメラまたは一本鎖抗体、及びFAb、F(ab')2及びFAb発現ラ
イブラリー断片、及びエピトープ結合断片を制限することなく含む)、及び小有
機または無機分子を制限することなく含む可溶性ペプチドのようなペプチドを含
んでも良い。
【0278】 ここに記載されるようなアッセイを介して同定された化合物は、例えば標的タ
ンパク質の生物学的機能を調べるため、及びインスリン抵抗性疾患を緩和するた
めに有用であろう。例えば、インスリン抵抗性疾患状態が、上記インスリン抵抗
性疾患に関与する細胞または組織における、標的タンパク質発現及び/または標
的タンパク質活性の全体の低いレベルから生じている場合には、標的タンパク質
と相互作用する化合物は、結合した標的タンパク質の活性を促進するまたは増幅
するものを含んでも良い。上記化合物は、標的タンパク質活性のレベルの有効な
増大をもたらし、かくして症状を緩和するであろう。標的遺伝子内のミューテー
ションが、インスリン抵抗性疾患を導く負の効果を有する異常な標的タンパク質
の生産を導く場合、結合標的タンパク質の活性を阻害する標的タンパク質を結合
する化合物が同定されても良い。
【0279】 標的タンパク質に結合する化合物を同定するために使用されるアッセイの原理
は、DEPについての診断アッセイについて上述されたものと同様である。かくし
て、それは、標的タンパク質と試験化合物を相互作用させ結合させる条件の下で
十分な時間、上記二種の構成成分を反応させ、検出可能な産物複合体を形成させ
ることを含む。これらのアッセイは、各種の方法で実施できる。例えば、標的タ
ンパク質または試験物質のいずれかを固相に固定化し、上記固相につながれた標
的タンパク質/試験化合物複合体を反応の最後で検出することができる。上記方
法の一つの実施態様として、標的タンパク質が固相につながれて、つながれてい
ない試験化合物が直接または間接にラベルされても良い。
【0280】 別法として、反応は液相において実施でき、反応産物を秘書理性分から分離し
、複合体を検出する、例えば溶液中で形成されたいずれかの複合体につなぐため
に、標的タンパク質または試験化合物に対して特異的な固定化抗体と、つながれ
た複合体を検出するために、可能性のある複合体の他の成分に特異的なラベル化
抗体を使用しても良い。
【0281】 標的タンパク質と相互作用する化合物が細胞タンパク質である場合、タンパク
質−タンパク質相互作用を検出するのに適したいずれかの方法、特にPPの検出
について上述のような方法が、その同定のために使用されても良い。
【0282】 B.標的タンパク質の阻害のための抗体 標的タンパク質を妨害しその活性を減少する標的タンパク質に特異的な抗体は
、標的タンパク質機能を阻害するために使用されても良い。上記抗体は、タンパ
ク質自体に対して、またはタンパク質の一部に対応するペプチドに対して、上述
の標準法を使用して生産されても良い。これらの抗体は、DEPに関して上述のよ
うな、ポリクローナル、モノクローナル、Fab断片、一本鎖抗体、キメラ抗体を
含む。
【0283】 標的遺伝子のタンパク質が細胞内にあり、抗体全体が使用される場合、内部化
抗体が好ましいであろう。しかしながらリポフェクチンまたはリポソームが、細
胞内の標的タンパク質エピトープに結合する抗体またはFab領域の断片を輸送す
るために使用されても良い。抗体の断片が使用される場合、標的タンパク質の結
合ドメインに結合する最小の阻害断片が好ましい。例えば、標的タンパク質に結
合する抗体の可変領域のドメインに対応するアミノ酸配列を有するペプチドが使
用されても良い。上記ペプチドは、化学的に合成されても良く、当該技術分野で
周知の方法を使用して、組換えDNA法を使用して生産されても良い(例えばCreig
hton, 1983, "Proteins: Strustures and Molecular Principles", W.H. Freema
n & Co., New York,及びSambrook等, 1989, "Molecular cloning: A Laboratory
Manual", Cold Spring Harbor, New York参照)。
【0284】 別法として、細胞内標的タンパク質エピトープに結合する一本鎖中和抗体が、
投与されても良い。上記一本鎖抗体は、例えばMarasco等, 1993, Proc. Natl. A
cad. Sci. USA, 90: 7889-7893に記載されたもののような方法を使用することに
よって、標的細胞集団内に一本鎖抗体をコードするヌクレオチド配列を発現する
ことによって投与されても良い。
【0285】 標的タンパク質が細胞外にある場合、または膜貫通タンパク質である場合、ペ
プチド投与のために適した以下に記載される投与方法のいずれかが、阻害標的タ
ンパク質抗体またはその作用物を有効に投与するために使用されても良い。
【0286】 C.標的タンパク質/細胞マクロ分子相互作用を妨害する化合物のアッセイ 本発明によって同定される標的タンパク質は、例えばタンパク質または核酸と
いった一つ以上の細胞内または細胞外マクロ分子結合パートナーとin vivoで相
互作用しても良い。上記相互作用を破壊する化合物は、特にミュータント標的タ
ンパク質といった標的タンパク質の活性を調節するのに有用であろう。
【0287】 標的タンパク質と、その細胞内または細胞外結合パートナーの間の相互作用を
妨害する化合物を同定するために使用されるアッセイシステムの基本的原理は、
標的タンパク質と結合パートナーを相互作用させて結合させ、複合体を形成する
のに十分な条件と時間の下で、上記2種を含む反応混合物を調製することを含む
。阻害活性について化合物を試験するために、上記反応混合物を試験化合物の存
在下と不存在下で調製する。試験化合物は、最初に反応混合物に含ませても良く
、または標的タンパク質とその細胞内若しくは細胞外結合パートナーの添加に引
き続いて加えても良い。コントロール反応混合物は、試験化合物が存在しない、
または偽薬が存在する条件でインキュベートされる。次いで、標的タンパク質と
細胞内または細胞外結合パートナーの間の複合体の形成が検出される。コントロ
ール反応物で生じ、試験化合物を含む反応混合物では生じない複合体の形成は、
上記化合物が標的タンパク質と相互活性結合パートナーの相互作用を妨げること
を示す。さらに、試験化合物とミュータント標的タンパク質を含む反応混合物内
での複合体形成がアッセイされても良い。ミュータントの相互作用は破棄するが
正常型の標的タンパク質は破壊しない化合物を同定することが所望される場合、
この比較は重要であろう。 このアッセイは必要に応じて、異種または同種のフォーマットで標的タンパク
質に結合する他の化合物について上述のように実施できる。いずれのアプローチ
においても、反応物を加える順序は、試験される化合物についての異なる情報を
得るために変化できる。例えば、標的タンパク質と結合パートナーの間の相互作
用を、例えば競合によって妨げる試験化合物は、試験物質の存在下で反応を実施
することによって、即ち標的タンパク質と相互活性細胞内または細胞外結合パー
トナーとの前または同時に、反応混合物に試験物質を加えることによって同定で
きる。別法として、形成前の複合体を破壊する化合物、例えば複合体から構成成
分の一つを置換する高い結合定数を有する化合物は、複合体が形成された後に反
応混合物に試験化合物を加えることによって試験できる。
【0288】 D.標的タンパク質をコードする遺伝子の発現のブロック アンチセンスRNA及びDNA分子は、標的化mRNAにハイブリダイズし、タンパク質
の翻訳を妨げることによって、mRNAの翻訳を直接ブロックするように機能する。
アンチセンスDNAについては、例えば興味ある標的遺伝子ヌクレオチド配列の-10
から+10領域の間である翻訳開始部位から由来するオリゴデオキシリボヌクレオ
チドが好ましい。
【0289】 リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒することが可能な酵素的RNA分子である
(レビューとして、Rossi, 1994, Current Biology 4: 469-471参照)。リボザ
イムの作用のメカニズムは、相補的な標的RNAに対するリボザイム分子の配列特
異的ハイブリダイゼーションと、その後のエンドヌクレオリティックな切断を含
む。実践的なリボザイム分子は、リボザイムRNAに対するDNAカウンターパートを
有し、好ましくは周知のハンマーヘッド型を有する。
【0290】 いずれかの可能性のあるRNA標的内での特異的なリボザイム切断部位は、以下
の配列:GUA、GUU及びGUCの一つを含むリボザイム切断部位に対する興味ある分
子のスキャンによって初めに同定される。一度同定されると、切断部位を含む標
的タンパク質RNAの領域に対応する15から20のリボヌクレオチドの短いTNA配列が
、二次構造のような予測される構造的特徴について評価され、上記構造は、提案
されたリボヌクレオチドリボザイムcDNA配列を不適切なものにするであろう。候
補の配列の適切性は、リボヌクレアーゼ保護アッセイを使用して、相補的なオリ
ゴヌクレオチドとハイブリダイズする感受性を試験することによっても評価され
る。
【0291】 転写の阻害のための三分子へリックス形成において使用される核酸分子は、一
本鎖でありデオキシヌクレオチドより成るべきである。これらのオリゴヌクレオ
チドの塩基組成は、Hoogsteen塩基ペア規則による三分子へリックス形成を促進
するようにデザインされなけれならず、上記規則は一般的に、二本鎖の中の一方
の鎖に存在するプリンまたはピリミジンのそれぞれのかなりのストレッチを必要
とする。ヌクレオチド配列はピリミジンベースでも良く、それは生じた三分子へ
リックスの3個の会合する鎖を通じてTAT及びCGC+三塩基を生じるであろう。ピ
リミジンリッチな分子は、二本鎖の中の一方の鎖のプリンリッチな領域に対して
相補的な塩基を、上記鎖と平行な向きに提供する。加えて、例えばG残基のスト
レッチを含むプリンリッチな核酸分子が選択されても良い。これらの分子は、G
CペアをリッチなDNA二本鎖を有する三分子へリックスを形成し、その場合プリ
ン残基の多数が、標的二本鎖の一方の鎖に存在し、三重鎖の三つの鎖を通じてGG
C三塩基を生じる。
【0292】 別法として、三分子へリックス形成のための標的となり得る可能性のある配列
は、「スイッチバック」核酸分子と称されるものを作製することによって増大さ
れても良い。スイッチバック分子は、二本鎖の第一の一方の鎖と塩基ペアを形成
するように、5'-3'の態様で改変し、次いで他方を3'-5'の態様で改変し、二本鎖
の一方の鎖に存在するプリンまたはピリミジンのそれぞれのかなりのストレッチ
に対する必要性を消失させるように合成される。
【0293】 アンチセンスRNA及びDNA、リボザイム、及び三分子へリックス形成分子は、DN
A及びRNA分子の合成について当該技術分野で周知の方法によって調製されても良
い。それらは、例えば固相ホスホロアミダイト化学合成のような、当該技術分野
で周知のオリゴデオキシリボヌクレオチド及びオリゴリボヌクレオチドを化学的
に合成するための方法を含む。別法として、RNA分子はアンチセンスRNA分子をコ
ードするDNA配列のin vitro及びin vivo転写によって生産されても良い。上記DN
A分子は、広範囲のベクター内に取り込まれても良く、上記ベクターは、T7また
はSP6ポリメラーゼプロモーターのような適切なRNAポリメラーゼプロモーターを
取り込む。別法として、使用されるプロモーターに依存して構成的にまたは誘導
可能なアンチセンスRNAを合成するアンチセンスcDNA構築物が、細胞系内に安定
に取り込まれても良い。
【0294】 DNA分子に対する各種の周知な修飾が、細胞内安定性及び半減期を増大する手
段として導入されても良い。考え得る修飾は、上記分子の隣接配列、または5'及
び/または3'末端へのリボまたはデオキシリボヌクレオチドの添加、あるいはオ
リゴデオキシリボヌクレオチド骨格内へのホスホジエステラーゼ結合よりむしろ
ホスホロチオエートまたは2'-O-メチルの使用を含む。
【0295】 補足2 トランスジェニック動物 さらに、インスリン抵抗性疾患様の症状を示す動物モデルが、例えばトランス
ジェニック動物を生産するための周知の方法と結びつけて、DEPまたはPPの遺伝
子配列を使用することによって「操作」されても良い。例えば標的タンパク質の
遺伝子配列が、興味ある動物のゲノム内に導入されて過剰発現されてもよく、ま
たはもし興味あるタンパク質の内因性遺伝子配列が存在するのであれば、それら
が過剰発現されてもよく、または別法として、標的タンパク質の遺伝子発現を過
剰発現または不活性化するために破壊されても良い。
【0296】 標的タンパク質の標的遺伝子配列を過剰発現するために、標的遺伝子配列のコ
ード部分を調節配列に結合しても良く、上記調節配列は、興味ある動物及び細胞
タイプにおいて遺伝子発現を達成可能である。上記調節領域は、当業者に周知で
あり、過度の実験の必要なく使用できるであろう。
【0297】 標的タンパク質の内因性遺伝子配列の過小発現のため、上記配列が単離され操
作されて、興味ある動物のゲノム内に再導入された場合に、標的タンパク質の内
因性遺伝子対立遺伝子が不活性化されても良い。好ましくは、標的タンパク質の
操作された遺伝子配列は遺伝子ターゲッティングにより導入され、内因性配列が
、動物のゲノム内に操作された標的遺伝子配列の挿入により破壊される。ゲノム
ターゲッティングは以下に議論される。
【0298】 マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、ミニブタ、ヤギ及び非ヒト霊長
類、例えばヒヒ、リスザル、サル、及びチンパンジーを制限することなく含むい
ずれかの種の動物が、インスリン抵抗性疾患動物モデルを生産するために使用さ
れても良い。
【0299】 当該技術分野で周知のいずれかの方法が、トランスジェニック動物の第一世代
を生産するために、動物内に標的タンパク質の標的遺伝子配列を導入するために
使用されても良い。上記方法は、プロヌクレアマイクロインジェクション(Hoppe
及びWagner, 米国特許第4,873,191号);生殖系列へのレトロウイルス介在遺伝子
トランスファー(Van der Putten等, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 82: 6
148-6152);胚性幹細胞への遺伝子ターゲッティング(Thompson等, 1989, Cell 5
6: 313-321);胚のエレクトロポレーション(Lo, 1983, Mol. Cell Biol. 3: 180
3-1814);並びに精液介在遺伝子トランスファー(Lavitrano等, 1989, Cell 57:
717-723)を含む。
【0300】 上記方法のレビューとして、Gordon, 1989, Trnsgenic Animals, Intl. Rev.
Cytol. 115: 171-229参照。上記トランスジェニック動物は、全てまたはいくつ
かのみの細胞においてトランスジーンを有しても良い(例えばJakobovits, 1994,
Curr. Biol. 4: 761-763に記載の方法を参照)。上記トランスジーンは、単一の
トランスジーンとして、または例えばヘッドトゥヘッドタンデム若しくはヘッド
トゥテールタンデムといった重合体として導入されても良い。トランスジーンは
また、Lasko等, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 6232-6236の教示に従
って、選択的に特定の細胞タイプに導入されて活性化されても良い。上記細胞タ
イプ特異的な活性化に必要とされる調節配列は、興味ある特定の細胞タイプに依
存し、当業者に明らかであろう。
【0301】 標的遺伝子トランスジーが内因性標的遺伝子の染色体部位に導入されることが
所望される場合、遺伝子ターゲッティングが好ましい。略記すると上記方法が使
用される場合、興味ある内因性標的タンパク質の遺伝子とホモローガスないくつ
かのヌクレオチド配列を含むベクターが、挿入、ホモローガスな染色体配列との
組換えの目的のためにデザインされ、内因性標的遺伝子のヌクレオチド配列の機
能を破壊するであろう。トランスジーンはまた、特定の細胞タイプ内に選択的に
導入されても良く、かくしてGu等, 1994, Science 265: 103-106の教示に従って
、当該細胞タイプのみで興味ある内因性遺伝子を不活性化しても良い。上記細胞
タイプ特異的不活性化のために必要な調節配列は、興味ある特定の細胞タイプに
依存し、当業者に明らかである。
【0302】 一度トランスジェニック動物が生産されると、組換え標的遺伝子及びタンパク
質の発現が、標準法を使用してアッセイされても良い。最初のスクリーニングは
、トランスジーンの挿入が達成されたかをアッセイするための、動物組織を分析
するサザンブロット分析またはPCR法によって達成されても良い。トランスジェ
ニック動物の組織におけるトランスジーンのmRNA発現のレベルは、動物から得ら
れた組織サンプルのノーザンブロット分析、in situハイブリダイゼーション分
析、及びRT-PCRを含む方法を使用して評価されても良い。標的タンパク質発現組
織のサンプルは、興味あるトランスジーンのタンパク質に特異的な抗体を使用し
て免疫組織化学的に評価されても良い。
【0303】 標的遺伝子mRNAを発現し、容易に検出可能なレベルで標的タンパク質トランス
ジーンペプチド(標的タンパク質エピトープに対して向けられた抗体を使用して
組織化学的に検出される)を生産するトランスジェニック動物は、特徴的なイン
スリン抵抗性疾患様症状を示す動物を同定するためにさらに評価されるべきであ
る。上記症状は例えば、肥満症、グルコース不耐症及び/またはインスリン非依
存性糖尿病を含んでも良い。さらに、トランスジェニック動物内の特定の細胞タ
イプが、インスリン抵抗性疾患の特徴を有する細胞表現型について分析されアッ
セイされても良い。上記細胞表現型は例えば、異常な脂肪細胞分化(例えば異常
な前駆体脂肪細胞/脂肪細胞分化)及び異常な代謝を含んでも良い。さらに上記
細胞表現型は、発現の特定の細胞タイプのフィンガープリントパターンの評価、
及びインスリン抵抗性疾患を示す動物における特定の細胞タイプの周知のフィン
ガープリント発現プロフィールとの比較を含んでも良い。上記トランスジェニッ
ク動物は、インスリン抵抗性疾患についての適切なモデルシステムとして機能す
る。
【0304】 一度標的タンパク質トランスジェニック第一世代動物が生産されると(即ち興
味ある細胞または組織において標的タンパク質を発現し、インスリン抵抗性疾患
の症状を好ましくは示す動物)それらは、特定の動物のコロニーを生産するよう
に交配され、同系交配され、異系交配され、または交差交配される。上記交配ス
トラテジーの例は、別個の型を確立するために一つ以上の挿入された部位を有す
る第一世代の異系交配;各標的遺伝子トランスジーンの累積的な発現の効果のた
め、より高いレベルで興味ある標的タンパク質をトランスジェニックに発現する
化合物標的タンパク質トランスジェニックスを生産するための別個の系との同系
交配;両者の増大した発現のためにより、DNA分析による動物のスクリーニング
の考え得る必要性を除去するための、所定の挿入部位について同系の動物を生産
する異系遺伝子トランスジェニック動物の交差;同系遺伝子または異系遺伝子系
列の化合物を生産するための、別個の同系系列の交差;標的タンパク質の発現に
対する修飾対立遺伝子の効果と、インスリン抵抗性疾患様症状の形成を調べるた
めの、異なる同系交配遺伝子バックグランドへの動物の交差を含む。一つの上記
アプローチは、グルコース不耐症、高インスリン血症、インスリン非依存性糖尿
病、及び肥満症のようなインスリン抵抗性疾患様症状を示すF1世代を生産するた
めに、野生型株と標的タンパク質トランスジェニック第一世代を交差することで
ある。上記F1世代は、同系遺伝子標的タンパク質トランスジェニック動物が生存
可能であることが見出されたならば、同系遺伝子系列を形成するために同系交配
されても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、やせたマウスの肝細胞から得た染色2-DGEゲルのコン
ピューターイメージを示す。図1Aは、存在するスポットを同定することなくゲ
ル全体を示し、図1A−1Dは、図1Aのゲルの4分割を示し、DEPを含む存在
するスポットを同定する拡大図である。
【図2】 図2は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞から
得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図3】 図3は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞から
得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図4】 図4は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞から
得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図5】 図5は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞から
得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図6】 図6は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞から
得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図7】 図7は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞から
得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図8】 図8は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞から
得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図9】 図9は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞から
得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図10】 図10は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞
から得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図11】 図11は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞
から得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図12】 図12は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞
から得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図13】 図13は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞
から得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図14】 図14は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞
から得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図15】 図15は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞
から得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図16】 図16は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞
から得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。
【図17】 図17は、タンパク質の特異的発現を示す、マウスの肝細胞
から得た染色2D-ゲルのコンピューターミニイメージである。図17はコントロ
ールである。
【図18】 図18は、マウスの骨格筋細胞から得た染色2-DGEゲルのコ
ンピューターイメージを示す。Genomic Solutionsから入手可能な商業的なマー
カータンパク質が、参考として使用されているが、上記コンピューターイメージ
図には示されていない。
【図19】 図19は、骨格筋であることを除いて、図2−16のものと
同じミニイメージを示す。
【図20】 図20は、骨格筋であることを除いて、図2−16のものと
同じミニイメージを示す。
【図21】 図21は、骨格筋であることを除いて、図2−16のものと
同じミニイメージを示す。
【図22】 図22は、骨格筋であることを除いて、図2−16のものと
同じミニイメージを示す。
【図23】 図23は、骨格筋であることを除いて、図2−16のものと
同じミニイメージを示す。
【図24】 図24は、マウスの白色脂肪組織から得た染色2-DGEゲルの
コンピューターイメージを示す。Genomic Solutionsから入手可能な商業的なマ
ーカータンパク質が、参考として使用されているが、上記コンピューターイメー
ジ図には示されていない。
【図25】 図25は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図26】 図26は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図27】 図27は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図28】 図28は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図29】 図29は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図30】 図30は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図31】 図31は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図32】 図32は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図33】 図33は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図34】 図34は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図35】 図35は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図36】 図36は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図37】 図37は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図38】 図38は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図39】 図39は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図40】 図40は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図41】 図41は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図42】 図42は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図43】 図43は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図44】 図44は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図45】 図45は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図46】 図46は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図47】 図47は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図48】 図48は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図49】 図49は、白色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図50】 図50は、マウスの褐色脂肪組織から得た染色2-DGEゲルの
コンピューターイメージを示す。Genomic Solutionsから入手可能な商業的なマ
ーカータンパク質が、参考として使用されているが、上記コンピューターイメー
ジ図には示されていない。
【図51】 図51は、褐色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図52】 図52は、褐色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図53】 図53は、褐色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図54】 図54は、褐色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図55】 図55は、褐色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図56】 図56は、褐色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図57】 図57は、褐色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図58】 図58は、褐色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図59】 図59は、褐色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図60】 図60は、褐色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図61】 図61は、褐色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
【図62】 図62は、褐色脂肪組織であることを除いて、図2−16の
ものと同じミニイメージを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 15/00 A61P 39/00 39/00 43/00 43/00 C07K 1/26 C07K 1/26 1/28 1/28 14/47 ZNA 14/47 ZNA G01N 33/50 Z G01N 27/447 27/26 325C 33/50 315G 315H 325A 325E A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR ,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 ジェン−チャールズ・サーンチェズ スイス・CH−1208・ジュネーブ・フラン ク−トーマス・42 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA12 DA13 DA36 FB05 4C084 AA02 AA17 BA01 BA22 BA44 DC50 ZA81 ZC35 ZC54 4C086 AA01 BC82 GA08 GA10 NA05 ZA81 ZC35 ZC54 4H045 AA10 BA10 CA40 EA30 FA71 GA32 GA33 HA01 HA10

Claims (52)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)少なくとも一つのタンパク質が、特異的なレベルのイン
    スリン感受性を有する患者から得た関連組織、または上記患者の代表的な関連組
    織において特異的に発現されるというパラダイムを確立する工程; (b)スクリーニングされている試薬で治療された、インスリン抵抗性患者から得
    た関連組織、または上記患者の代表的な関連組織のサンプルを得る工程; (c)治療された患者から得た組織、または上記患者の代表的な組織における特異
    的に発現されたタンパク質の存在、不存在、または発現の度合いを測定する工程
    ;並びに (d)治療されたインスリン抵抗性患者における特異的に発現されたタンパク質の
    発現、活性または量を変化させる程度に従って、上記試薬を選択または拒絶する
    工程; の工程を含む、インスリン抵抗性の治療における有用性を決定するための試薬の
    スクリーニング方法。
  2. 【請求項2】 上記試薬が、特異的に発現されるタンパク質の発現を、正常
    なまたはよりインスリン感受性の患者のものに変化するならば選択される、請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 上記試薬が、上記タンパク質の発現を、正常なまたはよりイ
    ンスリン感受性の患者のものに変化するならば選択される、請求項2記載の方法
  4. 【請求項4】 上記パラダイムにおいて、特異的なレベルのインスリン感受
    性を有する患者が、正常な患者及びインスリン抵抗性の患者を含む、請求項1か
    ら3のいずれか一項記載の方法。
  5. 【請求項5】 上記パラダイムにおいて、特異的なレベルのインスリン感受
    性を有する患者が、正常な患者及び異常なインスリン感受性の患者を含む、請求
    項1から3のいずれか一項記載の方法。
  6. 【請求項6】 上記異常なインスリン感受性の患者が、運動により正常な感
    受性より高いものを獲得している、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 上記関連組織が、肝臓、骨格筋、白色または褐色脂肪組織で
    ある、請求項1から6のいずれか一項記載の方法。
  8. 【請求項8】 上記パラダイムにおいて、特異的なレベルのタンパク質発現
    を有する患者が、 (a)比較的インスリン感受性の患者、及びインスリン抵抗性の患者;並びに (b)上記試薬で治療されていないインスリン抵抗性の患者、及び上記試薬で治療
    されているインスリン抵抗性の患者; を含む、請求項1から7のいずれか一項記載の方法。
  9. 【請求項9】 上記特異的なレベルのタンパク質発現が、上記試薬で治療さ
    れたまたは治療されていない比較的インスリン感受性の患者において観察されな
    い、請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 上記パラダイムにおいて、特異的なレベルのタンパク質発
    現を有する患者が、 (a)上記試薬で治療されているまたは治療されていない比較的インスリン感受性
    の患者;並びに (b)上記試薬で治療されているまたは治療されていないインスリン抵抗性の患者
    ; を含む、請求項1から9のいずれか一項記載の方法。
  11. 【請求項11】 上記特異的なレベルのタンパク質発現が、比較的インスリ
    ン感受性の患者及びインスリン抵抗性の患者において観察されず、両群の患者が
    上記試薬で治療されていない、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 上記比較的インスリン感受性の患者が、正常な患者または
    異常なインスリン感受性の患者である、請求項8から11のいずれか一項記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 上記異常なインスリン感受性の患者が、運動により正常な
    感受性よりも高いものを獲得している、請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 上記パラダイムにおいて、インスリン抵抗性の患者が、遺
    伝学的ミューテーションの結果としてインスリン抵抗性である動物であり、上記
    正常な患者が、正常なコントロール動物である、請求項1から13のいずれか一
    項記載の方法。
  15. 【請求項15】 上記正常なコントロール動物が、遺伝学的にミューテーシ
    ョンを受けた動物のインスリン感受性同腹子である、請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 上記パラダイムが、食餌の結果としてインスリン抵抗性で
    ある動物から得た組織、または上記動物の代表的な組織において確立され、正常
    な患者が正常なコントロール動物である、請求項1から15のいずれか一項記載
    の方法。
  17. 【請求項17】 上記パラダイムにおいて、正常な及びインスリン抵抗性の
    患者が、天然の食餌ではインスリン感受性である動物であるが、非天然の研究室
    の食餌を与えるとインスリン抵抗性を罹患する、請求項1から16のいずれか一
    項記載の方法。
  18. 【請求項18】 上記パラダイムにおいて、インスリン感受性のレベルを増
    大するための治療が、インスリン感作薬での治療を含む、請求項1から17のい
    ずれか一項記載の方法。
  19. 【請求項19】 上記インスリン感作薬がチアゾリジンジオンである、請求
    項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 上記チアゾリジンジオンがロシグリタゾン(BRL 49653)で
    ある、請求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】 上記インスリン感作薬が、(a)PPARガンマ核レセプターの
    アゴニストまたは部分的アゴニスト、(b)b3−アドレノセプターアゴニスト、ま
    たは(c)レプチン若しくはレプチン断片であってチアゾリジンジオンではない、
    請求項18記載の方法。
  22. 【請求項22】 上記パラダイムにおいて、インスリン感受性のレベルを増
    大する治療が、食事制限及び/または運動を含む、請求項1から21のいずれか
    一項記載の方法。
  23. 【請求項23】 得られたサンプルが、インスリン非依存性糖尿病に罹患し
    ている患者から得られる、または上記患者の代表物である、請求項1から22の
    いずれか一項記載の方法。
  24. 【請求項24】 上記サンプルが、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、インス
    リン抵抗性症候群、またはI型糖尿病に罹患している患者から得られる、または
    上記患者の代表物である、請求項1から22のいずれか一項記載の方法。
  25. 【請求項25】 上記パラダイムが、上記関連組織またはそのタンパク質含
    有抽出物で実施された二次元ゲル電気泳動によって確立される、請求項1から2
    4のいずれか一項記載の方法。
  26. 【請求項26】 上記特異的に発現されるタンパク質の発現が、上記サンプ
    ルまたはそのタンパク質含有抽出物で実施された二次元ゲル電気泳動によって測
    定される、請求項1から25のいずれか一項記載の方法。
  27. 【請求項27】 さらに、上記方法において同定された特異的に発現される
    タンパク質を単離する工程を含む、請求項1から26のいずれか一項記載の方法
  28. 【請求項28】 さらに、上記単離されたタンパク質を特徴付けする工程を
    含む、請求項27記載の方法。
  29. 【請求項29】 上記特異的に発現されるタンパク質が、LOM16, LOM17, LO
    M18, LOM19, LOM20, LOMT21, LOMT22, LOMT23, LOMT24, LOMT25, LOMT26, LOM27
    , LOM28, LOM29またはLSEM30, MOM31, MOM32, MOM33, MOMT34, MOMT35, MOM36,
    WOMT37, WOM38, WOMT39, WOM40, WOM41, WOMT42, WOM43, WOM46, WOM47, WOMT48
    , WOMT49, WOMT50, WOM51から55, WOM57から64, WSEM65, BOM66, BOM67, BOMT68
    , BOM69から75, BOMT76またはBOM77の一つ以上を含む、請求項1から28のいず
    れか一項記載の方法。
  30. 【請求項30】 さらに、上記タンパク質の特異的結合パートナーに対する
    アッセイにおいて上記タンパク質を使用することを含む、請求項28記載の方法
  31. 【請求項31】 さらに、上記タンパク質のアゴニストまたはアンタゴニス
    トをスクリーニングするアッセイにおいて上記タンパク質を使用することを含む
    、請求項28記載の方法。
  32. 【請求項32】 上記試薬またはタンパク質が、高スループットスクリーニ
    ング法を使用してスクリーニングされる、請求項1から31のいずれか一項記載
    の方法。
  33. 【請求項33】 請求項1から32のいずれか一項記載の方法を使用して試
    薬を同定する工程、さらに上記試薬を製造し、それを許容可能な担体と製剤化し
    、製薬組成物を提供する工程を含む、製薬組成物の作製の方法。
  34. 【請求項34】 上記タンパク質が、LOM16, LOM17, LOM18, LOMT19, LOM20
    , LOMT21, LOMT22, LOMT23, LOMT24, LOMT25, LOMT26, LOM27, LOM28, LOM29ま
    たはLSEM30, MOM31, MOM32, MOM33, MOMT34, MOMT35, MOM36, WOMT37, WOM38, W
    OMT39, WOM40, WOM41, WOMT42, WOM43, WOM44, WOM45, WOM46, WOM47, WOMT48,
    WOMT49, WOMT50, WOM51から55, WOM57から64, WSEM65, BOM66, BOM67, BOMT68,
    BOM69から75, BOMT76またはBOM77から選択される、医学的治療の方法における使
    用のためのタンパク質。
  35. 【請求項35】 インスリン抵抗性によって特徴付けされる疾患の治療のた
    めの医薬の調製のための、請求項1から32のいずれか一項記載の方法によって
    同定された試薬の使用。
  36. 【請求項36】 上記疾患が、 (a)インスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病)についての糖尿病予備状態; (b)2型糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、またはインスリン抵抗性症候
    群; である、請求項35記載の使用。
  37. 【請求項37】 上記試薬が、LOM16, LOM17, LOM18, LOMT19, LOM20, LOMT
    21, LOMT22, LOMT23, LOMT24, LOMT25, LOMT26, LOM27, LOM28, LOM29またはLSE
    M30, MOM31, MOM32, MOM33, MOMT34, MOMT35, MOM36, WOMT37, WOM38, WOMT39,
    WOM40, WOM41, WOMT42, WOM43, WOM44, WOM45, WOM46, WOM47, WOMT48, WOMT49,
    WOMT50, WOM51から55, WOM57から64, WSEM65, BOM66, BOM67, BOMT68, BOM69か
    ら75, BOMT76またはBOM77から選択されるタンパク質である、請求項35または
    36記載の使用。
  38. 【請求項38】 患者に請求項1から32のいずれか一項記載の方法によっ
    て同定された上記試薬の治療上または予防上の有効量を投与することを含む、患
    者におけるインスリン抵抗性によって特徴付けされる疾患の治療の方法。
  39. 【請求項39】 (a)少なくとも一つのタンパク質が、特異的なレベルのイ
    ンスリン感受性を有する患者から得た関連組織、または上記患者の代表的な関連
    組織において特異的に発現するというパラダイムを確立する工程; (b)上記組織のサンプルを得る工程;並びに (c)上記サンプルにおける特異的に発現するタンパク質の存在、不存在または発
    現の度合いを測定する工程;並びに (d)上記測定値と臨床上の情報の間の従前の測定値を参考にして、インスリン抵
    抗性の性質または度合いについて測定値を関連させる工程; の工程を含む、ヒトまたは動物患者から得たサンプルまたは関連組織におけるイ
    ンスリン抵抗性の性質または度合いを測定する方法。
  40. 【請求項40】 上記パラダイムにおいて、少なくとも4種のタンパク質が
    特異的に発現し、インスリン抵抗性の性質または度合いのマルチタンパク質フィ
    ンガープリントを提供する、請求項39記載の方法。
  41. 【請求項41】 上記パラダイムにおいて、特異的なレベルのインスリン感
    受性を有する患者が、正常な患者及びインスリン抵抗性の患者を含む、請求項3
    9または40記載の方法。
  42. 【請求項42】 上記特異的なレベルのインスリン感受性を有する患者が、
    正常な患者及び異常に高いインスリン感受性を有する患者を含む、請求項39か
    ら41のいずれか一項記載の方法。
  43. 【請求項43】 さらに、上記異常を治療するための有効な治療を決定する
    ことを含む、請求項39から42のいずれか一項記載の方法。
  44. 【請求項44】 上記サンプルがインスリン抵抗性についての治療の受けて
    いる患者から採取され、上記方法がさらに上記治療をモニターする工程を含む、
    請求項39から43のいずれか一項記載の方法。
  45. 【請求項45】 (a)3mm×180mmのアクリルアミドポリマーの非直線状固定
    化pH勾配(IPG)断片を準備する工程; (b)尿素(8M)、3-[(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホナ
    ート(CHAPS、2%w/v)、ジチオエリスリトール(DTE、10mM)、pH3.5から10の酸
    及び塩基(2%w/v)、及び微量のBromophenol Blueの水溶液を25ml含むカセットに
    、上記IPG断片を再水和する工程; (c)上記カセットから液体を除き、湿った電極芯、電極、及びサンプルカップを
    備えた電気泳動トレーに上記断片を移し、上記断片とカップを低粘度のパラフィ
    ン油で覆う工程; (d)上記IPG断片の陰極末端で、サンプルカップに、尿素(8M)、CHAPS(4%w/v)、Tr
    is(40mM)、DTE(65mM)、SDS(0.05%w/v)、及び微量のBromophenol Blue中で、関連
    生体組織の乾燥し電荷材料の水溶液の200マイクログラムを提供する工程; (e)3時間で300から3500Vの直線状の増加の、その後さらに3時間3500Vの、その
    後pI依存性最終地点に上記断片中で上記タンパク質が移動するのに十分な時間50
    00Vの電圧で、ゲル上で等電点電気泳動を実施する工程; (f)Tris-HCl(50mM)pH6.8、尿素(6M)、グリセロール(30%v/v)、SDS(2%w/v)及びDT
    E(2%w/v)を含む100mlの水溶液で12分間、トレー内で上記断片を平衡化する工
    程; (g)5分間この溶液を、Tris-HCl(50mM)pH6.8、尿素(6M)、グリセロール(30%v/v)
    、SDS(2%w/v)、ヨードアセタミド(2.5%w/v)、及び微量のBromophenol Blueを含
    む100mlの水溶液によって置換する工程; (h)リーディングバッファーとして、Tris-HCl(0.375M)pH8.8中のTEMED(0.5%w/v)
    、過硫酸アンモニウム(0.1%w/v)、及びチオ硫酸ナトリウム(5mM)の存在下で重合
    した、アクリルアミド/ピペラジン−ジアクリリル架橋剤(9-16%T/2.6%C)の160
    ×200×1.5mmの縦勾配スラムゲルを準備する工程; (i)約2時間sec-ブタノールで上記ゲルを浸し、この液を除去し、それを水と置
    換する工程; (j)陽極末端から6mmと陰極末端から14mmを除去して、二次元電気泳動のために適
    したサイズにIPGゲル断片を切断する工程;並びに (k)リーディングバッファーとして、アガロース(0.5%w/v)及びTris-グリシン-SD
    S(25mM-198mM-0.1%w/v)の水溶液でスラブゲルを浸し、70℃に加熱し、この浸
    した溶液を通じてスラブゲル上に上記IPG断片を乗せる工程; (l)8-12℃で5時間40mAの一定電流で、二次元電気泳動を実施する工程;並びに
    (m)ゲルを洗浄する工程; の工程を含む、異なるレベルのインスリン感受性を有する患者から得た関連組織
    、または上記患者の代表的な関連組織において特異的に発現されるタンパク質で
    、上述の組織またはそのタンパク質含有抽出物で実施される二次元ゲル電気泳動
    によって入手可能であるタンパク質。
  46. 【請求項46】 ロシグリタゾンで処理されても良い、肥満症でインスリン
    抵抗性のマウスのマウス肝細胞から入手可能で、ここで、LOM16, LOM17, LOM18,
    LOM19, LOM20, LOMT21, LOMT22, LOMT23, LOMT24, LOMT25, LOMT26, LOM27, LO
    M28, LOM29またはLSEM30と称される、請求項45記載の特異的に発現されるタン
    パク質。
  47. 【請求項47】 ロシグリタゾンで処理されても良い、肥満症でインスリン
    抵抗性のマウスの骨格筋細胞から入手可能で、ここで、MOM31, MOM32, MOM33, M
    OMT34, MOMT35またはMOM36と称される、請求項45記載の特異的に発現されるタ
    ンパク質。
  48. 【請求項48】 ロシグリタゾンで処理されても良い、肥満症でインスリン
    抵抗性のマウスの白色脂肪組織から入手可能で、ここで、WOMT37, WOM38, WOMT3
    9, WOM40, WOM41, WOMT42, WOM43, WOM46, WOM47, WOMT48, WOMT49, WOMT50, WO
    M51から55, WOM57から64またはWSEM65と称される、請求項45記載の特異的に発
    現されるタンパク質。
  49. 【請求項49】 ロシグリタゾンで処理されても良い、肥満症でインスリン
    抵抗性のマウスの褐色脂肪組織から入手可能で、ここで、BOM66, BOM67, BOMT68
    , BOM69から75, BOMT76またはBOM77と称される、請求項45記載の特異的に発現
    されるタンパク質。
  50. 【請求項50】 表2から10に示された一つ以上の同定された特徴を有す
    る、特異的に発現されるタンパク質。
  51. 【請求項51】 同定された特徴がpI及びMwである、請求項50記載の
    特異的に発現されるタンパク質。
  52. 【請求項52】 インスリン抵抗性を有する患者の組織サンプルまたは体液
    サンプルにおける特異的に発現されるタンパク質のパターンが使用されて、イン
    スリン抵抗性を緩和する最も適切で有効な治療を予測し、上記治療の成功をモニ
    ターする方法。
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