JP4039590B2 - ヘモグロビン試料の安定化 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ヘモグロビンの安定化方法に関するものである。具体的には、検出の対象となる試料中のヘモグロビンや、陽性対照として用いる標準物質としてのヘモグロビンの安定化技術に関するものである。尿や糞便などに含まれるヘモグロビンの検出は、多くの疾患の診断に有用である。特に糞便中のヘモグロビン(便潜血)の検出は、大腸癌をはじめとする消化器系の疾患の診断における重要な情報である。古くから便中のヘモグロビンに利用されていた化学的な発色反応に基づく試験紙法に代わり、近年は、ヒト・ヘモグロビンに特異的な抗体を利用した免疫学的手法による検出方法が普及し、食事制限を必要としない手軽な検査方法として定着している。
【0002】
【従来技術の問題点】
糞便等の試料中に含まれるヘモグロビンを検出するには、検査施設まで試料を輸送する必要がある。糞便試料の輸送には、採便機構と糞便懸濁液のろ過機構を備えた輸送容器[ 1]が利用されている。この種の容器を利用することにより、糞便の定量的な採取が可能となり、また簡単に糞便懸濁液をろ過することができる。糞便を採取した容器は、郵送等の手段で検査施設に輸送される。
【0003】
輸送中は糞便に含まれる細菌やその他の多くの成分とヘモグロビンが共存する状態にある。また一般には温度の管理が困難なため、保存上は好ましくない温度条件にさらされることも避けられない。したがって輸送中のヘモグロビンは、常に変性・分解の可能性がある。輸送中のヘモグロビンの変性・分解は誤った診断結果につながるので極力小さくすることが望まれる。
【0004】
ヘモグロビンに限らず、蛋白物質の安定化には通常、他の蛋白や糖が添加が有効である。ヘモグロビンについても、蛋白としてウシ血清アルブミン(以下BSAと省略する)、ウサギ血清アルブミン、あるいは卵白アルブミン等が、また糖としてはショ糖等が安定化効果を示す[ 2]ことが知られている。また動物血清の利用も報告されている[ 3]。しかしこれらの一般的な安定剤は特に糞便懸濁液中でのヘモグロビン安定化効果が小さく、十分な保存性能を期待できない。糞便中には細菌や蛋白分解酵素のようなヘモグロビンの変性・分解の原因となる多くの成分が存在し、蛋白や糖のみではヘモグロビンを十分に保護できないのである。更に動物血清では、精製された純粋な物質ではないために安定化効果にロット差を生じ易い。加えて、多くの成分を含む動物血清中には、ヘモグロビンに対して変性作用をもたらす成分が存在する可能性を否定できないので、望ましい安定化剤とは言い難い。またウシ血清でヘモグロビンの安定化を試みた報告[ 3]では、10−20%v/vという多量の血清を加える必要があった。高価な動物血清を多量に必要とする安定化技術は、経済的には不利である。
【0005】
糞便懸濁液中のヘモグロビンを安定化する技術としては、溶菌酵素の添加[ 4]、抗菌性化合物等の利用[ 5][ 6]、動物ヘモグロビンの添加[ 7]、プロテアーゼ阻害物質の添加[ 8]、pHのコントロール[ 9]、鉄プロトポルフィリン[10]の添加、トランスフェリン[11][15]やペルオキシダーゼ[12]のような鉄含有蛋白質、そしてフッ化ナトリウム[14]の添加等が公知である。あるいは複数成分の組合せ[13]も試みられた。これらは細菌の影響を抑制したり、あるいはヘモグロビンと構造的に類似する化合物によりヘモグロビンに対する影響を分散させることでヘモグロビンの保護効果を示すものと考えられる。
【0006】
この他にもエチレンジアミン4酢酸(以下EDTAと省略する)によるヘモグロビン安定化効果が知られている[16]。しかし本発明者による追試の結果、EDTAでは糞便中のヘモグロビンに対して十分な安定化作用を期待できないことが確認された。単なるEDTAのみよりも安定化効果の高い遷移金属イオンの水溶性金属錯体の使用について本出願人は特許出願している[17]。更に、糞便成分に対する抗体が、糞便中に存在する血液蛋白の安定化に寄与することを利用した血液蛋白の安定化技術についても特許出願した[18]。
【0007】
これらの安定化剤のうち、ヘモグロビンと構造的に類似する物質、例えばヘム、ヘミン等の鉄ポルフィリンや動物ヘモグロビンは、免疫反応におけるヘモグロビンの抗原安定性に特に有効である。しかしながら、ヘム、ヘミンは水に対する溶解性が十分でなく、安定化させるに足る量を糞便懸濁液等に含有させるには、溶解促進剤の検討を必要とする。また異種動物ヘモグロビンの添加は、どうしても交差反応が避けられず擬陽性を生じやすい欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規なヘモグロビン保護物質の提供を第一の課題としている。特に変性・分解作用の強い糞便成分と共存するヘモグロビンを、効果的に安定化するための技術の提供が本発明の最も大きな課題である。
また本発明の第二の課題は、分析用試料としてのヘモグロビンを安定化する技術の提供にある。具体的には、現在の主流であるヘモグロビンを認識する抗体を利用した免疫学的な手法によるヘモグロビンの検出方法において検出対象となるヘモグロビン安定化技術の提供を課題としている。
本発明の第三の課題は、新しいヘモグロビン安定化剤を利用した、免疫学的な分析を目的とする糞便試料懸濁用の分散媒や、これを利用した測定技術を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ヘモグロビンの酵素分解産物を共存させることによるヘモグロビンの安定化方法、ならびにこの安定化方法を適用した糞便試料懸濁用分散媒である。加えて本発明は、生体試料中に含まれるヒト・ヘモグロビンのヘモグロビンを認識する抗体による免疫学的測定方法であって、ヘモグロビンの酵素分解産物存在下で保存した生体試料を分析対象とする測定方法を提供する。
【0010】
酵素分解するヘモグロビンは、ヒト・ヘモグロビンであっても、異種動物ヘモグロビンであってもかまわない。抗原性を有するグロビンは、ペプシン等の蛋白分解酵素によって分解され抗原性を失うからである。ヘモグロビンのペプシン消化時間は、37℃、1時間程度が適当である。グロビンは6kD以下に断片化されてヘモグロビン抗体に対する抗原性は完全に失なわれる。酵素反応をこれ以上継続すると、グロビンがさらに消化されてヘムが出現し溶解性が低下するとともに、蛋白(グロビン断片)による補助的な安定化作用が失われる。
【0011】
酸性条件で活性を有するペプシンとは逆のアルカリ性で活性を有するアルカラーゼによる分解産物もペプシン消化産物とほぼ同等の効果を有することを本発明者等は見いだした。この方法によるヘモグロビン分解産物は、旭化成より吸収性に優れる鉄の供給源HIP(Hem Iron Compound)として商品化されている。
【0012】
本発明のヘモグロビン安定化方法は、生体試料中に存在する分析対象としてのヘモグロビンを安定化するために有用である。特にヘモグロビンを認識する抗体を用いた免疫学的手法によるヘモグロビンの測定方法において、測定対象となるヘモグロビンの抗原性を高度に安定化する。ヘモグロビンを検出すべき生体試料には、糞便や尿が知られている。糞便中のヘモグロビンは消化器における出血の指標となり、一方、尿中のヘモグロビンは、尿路における出血が疑われる。
特に糞便中のヘモグロビンは、食事に由来するヘモグロビンと識別するために高度な特異性を備えた免疫学的手法が利用されることが一般的になってきており、その抗原性を安定に維持する必要性が高い。
【0013】
本発明の安定化方法を、糞便試料に存在するヘモグロビンに応用する場合には、糞便を懸濁させる分散媒にヘモグロビン分解産物を添加しておくと良い。通常の糞便中のヘモグロビンの検出にあたっては、糞便を適当な分散媒に懸濁させ必要に応じてろ過して免疫学的な分析用試料とする。このときに用いる分散媒にヘモグロビンの分解産物を添加しておくのが有利である。分散媒におけるヘモグロビンの分解産物の濃度は、実験の結果1μg/ml以上が使用量となる。
【0014】
他方、先に説明したように、現在は糞便の採取・輸送・懸濁・ろ過を一つの容器で実施できる簡便な輸送用容器が実用化されている。この種の容器には、出荷時に分散媒が充填されており被検者が自身で糞便を採取し、容器を検査施設に郵送すれば良いようになっている。一般には被検者はこのような作業に不慣れなため、糞便の採取量を厳密に制御できないケースを想定しなければならない。また輸送中にヘモグロビンの分解産物のヘモグロビン保護作用が多少低下しても問題の無いように、過剰量で用いるのが望ましい。分散媒中でヘモグロビンを速やかにヘモグロビンの分解産物と接触させるためにも、過剰量で用いるのが望ましい条件である。したがって、たとえばヘモグロビン分解産物をヒトのヘモグロビンの安定化のために用いるケースを想定すると、設計時に想定した糞便採取量1mg便に対して、0.1〜100μg、望ましくは1〜30μgの範囲でヘモグロビン分解産物を加えるようにすると良い。
【0015】
本発明の保護剤であるヘモグロビンの分解産物の他、分散媒には公知の成分を添加することができる。たとえば、ヘモグロビンの保存に有利なpHを与える緩衝剤、微生物の不必要な繁殖を防ぐための抗菌剤、あるいはこれまでに知られている多くのヘモグロビン保護成分の添加も有効である。たとえば次のような成分の保護効果が公知である。
ヘモグロビンの安定化作用を持つ不活性蛋白として、ヒト、ウシ、ウサギ、ウマ、ヒツジ、あるいはヤギ等に由来する血清アルブミン、あるいは卵白に由来するアルブミン等を示すことができる。リジンやヒスチジン等のアミノ酸にもヘモグロビンの保護作用が認められる。抗菌性物質としては、溶菌酵素[ 4]、アジ化物、安息香酸エチル、ペニシリン、ファンギソン[ 5]、ストレプトマイシン、あるいはセファマイシン他非ペニシリン系の一連の抗生物質[ 6]等が公知である。トリプシンインヒビターやα2マクログロブリンのようなプロテアーゼ抑制物質がヘモグロビンを安定化することも知られている[ 8]。フッ化ナトリウム[14]、あるいはFeIIIEDTA錯体のような遷移金属イオンの水溶性金属錯体[17]でも、ヘモグロビンの安定化作用が報告されている。更にイオン強度を調節する塩類等を加えることができる。
【0016】
本発明に基づくヘモグロビン安定化用の溶液について、具体的な組成の例を次に示す。
ヘモグロビンの分解産物:100μg/ml
HEPES緩衝液(pH7.4):10〜500mM
BSA:0.1〜5%
NaN3:0.1〜1%
【0017】
分散媒のpHは、ヘモグロビンを安定に保持できる範囲に設定する。極端な酸やアルカリ条件下ではヘモグロビンの安定性を損なう恐れがあり、また分解に用いた消化酵素が活性を取り戻す可能性もあるため、中性域のpHが望ましい。具体的には5〜10、好ましくは6〜8程度のpHとするとよい。pHの維持のためには適当な緩衝剤を利用する。たとえば、ヒドロキシエチルピペラジン−2−エタンスルホン酸(N-2-Hydroxyethylpiperazine-N'-2-ethanesulfonic acid 、HEPESと省略する)や、ピペラジン−ビス(2−エタンスルホン酸)(Piperazine-N、N'-bis(2-ethanesulfonic acid)、PIPESと省略する)等のグッド緩衝剤は、ヘモグロビンの構造を最も安定化すると思われるpH(6〜8)を与えると同時に、免疫反応によってヘモグロビンを検出する時の反応用緩衝液としても利用されているものであり特に好ましい緩衝剤として挙げられる。この他、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、グリシン緩衝液等を利用することもできる。
【0018】
本発明のヘモグロビンの安定化方法は、糞便潜血の検出を目的とする糞便試料中のヘモグロビンの安定化に利用することができる。特に抗原構造の保護が要求される免疫学的な分析対象としてのヘモグロビンについて、その抗原性の維持に有用である。
【0019】
本発明は、前記ヘモグロビン安定化技術を応用したヘモグロビンの免疫学的測定方法を提供する。免疫学的な測定方法としては、ラテックス凝集反応法、金コロイド凝集反応法、イムノクロマトグラフ法、あるいはELISA法等を挙げることができる。いずれの測定方法においても、ヘモグロビン含有試料にヘモグロビンの分解産物を共存させることによって、保存中の抗原活性は保護され測定値の低下が抑制される。
【0020】
またモノクローナル抗体のみで凝集反応系を構成することも可能である。モノクローナル抗体のみで凝集反応を行うには、ヘモグロビン上の異なるエピトープを認識するものを複数種組み合せるのが有利である。ヘモグロビンはα鎖とβ鎖が2つづつ会合した4量体構造を持っており、原理的には1種類のモノクローナル抗体であっても凝集する。しかし、ヘモグロビンは溶液中ではαβという2量体構造と4量体構造との平衡状態にあるので、単一のモノクローナル抗体ではその全てと反応することができない。また単一のモノクローナル抗体ではターゲットとなるエピトープが変性を受けると反応できなくなってしまうので、複数種のモノクローナル抗体を組み合せて用いるのは確率的にも有利である。
【0021】
【作用】
本発明におけるヘモグロビンの分解産物は、保存期間中におけるヘモグロビンの測定値低下を効果的に抑制する作用を持つ。特に変性・分解作用成分を多く含み、また保存条件の管理が困難な糞便懸濁液中のヘモグロビンに対しても十分な保護作用を示す。
ヘモグロビンの分解産物がどのような作用機序によってヘモグロビンを保護するのかは不明である。
【0022】
【発明の効果】
本発明のヘモグロビン安定化技術では、ヘモグロビンに対して強い変性・分解作用を持つ糞便成分との共存下においても保護作用を得ることができる。したがって、糞便潜血の分析を目的とする試料に含まれるヘモグロビンの安定化に有用である。特に抗原構造の保護が要求される免疫学的な分析対象としてのヘモグロビンについて、その抗原性の維持に貢献する。本発明によって糞便試料中のヘモグロビンが効果的に安定化され、ヘモグロビンの変性・分解による偽陰性結果の防止を期待することができる。本発明に必要なヘモグロビンの酵素分解産物は、原料および分解に使用する酵素が安価であり経済的に有利である。またヘモグロビンの分解産物が少量で高い安定化効果を示すことからも、やはり経済的に有利な安定化技術と言うことができる。
続いて実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
【0023】
【実施例】
1.動物ヘモグロビンの酵素分解産物の生成
屠殺した豚より採血した豚血液に0.3%となるようクエン酸ナトリウムを加え、遠心分離(6000rpm・20分)により豚血球を得た。この豚血球を凍結融解をくり返して溶血させた。この溶血液1000mlに約8mlの濃塩酸を加えてpHを1とし、ペプシン粉末(1200U/mg・シグマ社)50gを加えて30℃、1時間穏やかに攪拌した後、1molのNaOHを加えて溶血液のpHを中性とし酵素反応を停止した。続いて限外濾過膜(SIP1013・旭化成製)を用いて、分子量5000〜6000の画分を分取し凍結乾燥した。
【0024】
2.ヘモグロビン分解産物によるヘモグロビン安定化
糞便懸濁液( HEPES緩衝液(pH7.4)100mM,BSA 1%,NaN3 0.3%)に実施例1で得た牛ヘモグロビンの酵素分解産物およびHIP(旭化成製)をそれぞれ100μg/mlの濃度で加え、糞便懸濁液のみ場合とヘモグロビンの安定性を比較した。
上記2種の緩衝液をOC−ヘモディア'栄研’(栄研化学製)の採便容器に2mlづつ分注し、ヒトの糞便を取扱説明書に従って同容器に採取し,採取直後ならびに37℃24時間後のヘモグロビン量を、便潜血測定機OC−センサーII(栄研化学販売)にて測定した。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0004039590
【0026】
懸濁液のみのヘモグロビンは37℃24時間後に平均16.5%に低下しているのに対し、同懸濁液に牛ヘモグロビンの酵素分解産物を加えた緩衝液中のヘモグロビンは、平均53%残存し、HIP添加において平均50%残存していた。共にヘモグロビンの抗原性に対する優れた安定化効果を有することが確認された。
【0027】
3.交差反応性の確認
糞便懸濁液に牛ヘモグロビンおよび豚ヘモグロビンを加えたヘモグロビン濃度5000μg/mlの原液をそれぞれ用意し、糞便懸濁液で倍々希釈した希釈系列を作成した。同様にヘモグロビン濃度5000μg/mlに相当する牛ヘモグロビンおよび豚ヘモグロビンの酵素分解物(ペプシン処理)を用意し、それぞれ希釈系列を作成した。それらのヒト・ヘモグロビン抗体との反応性を、OCセンサーIIで測定した。結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
Figure 0004039590
【0029】
プロゾーン現象により、測定値100ng/ml以上での直線性が失われているが、ヒト・ヘモグロビン抗体に対して、牛ヘモグロビンは、添加量の約1/1000が交差反応を示し、豚ヘモグロビンは、1/300が交差反応を示した。一方、ペプシン消化したヘモグロビン分解物の交差反応性は、1/10万以下に減少している。ヘモグロビン安定化効果を示すヘモグロビン分解物の添加濃度10〜200μg/mlでは、測定値に影響を与えないことが確認された。
【0030】
引用文献
[ 1] 実公平5−17652
[ 2] 特開昭63−243756
[ 3] 特開平4−145366
[ 4] 特公平5−69466
[ 5] 特開昭63−271160
[ 6] 特開平7−72154
[ 7] 特開平2−296149
[ 8] 特開平3−279859
[ 9] 特開平5−281226
[10] 特開平5−281227
[11] 特開平8−29429
[12] 特開平8−29430
[13] 特開平6−281654
[14] 特開平7−191026
[15] 特開平8−262020
[16] 特開平2−221859
[17] 特開平7−229902
[18] 特願平7−302051

Claims (11)

  1. 哺乳動物のヘモグロビンを認識する抗体を用いる免疫学的ヘモグロビン測定において、蛋白分解酵素によるヘモグロビンの部分分解産物を共存させることによるヘモグロビン試料の安定化方法
  2. 蛋白分解酵素がトリプシン、ペプシン又はアルカラーゼである請求項1のヘモグロビン試料の安定化法
  3. ヘモグロビン試料が糞便懸濁液中に存在しており、この懸濁液の分散媒が蛋白分解酵素によるヘモグロビンの部分分解産物を含んでいる請求項1または2のヘモグロビン試料の安定化方法
  4. ヘモグロビン試料が尿中に存在しており、尿に蛋白分解酵素によるヘモグロビンの部分分解産物を加えることによる請求項1または2のヘモグロビン試料の安定化方法
  5. ヘモグロビン試料がヒト・ヘモグロビンである請求項1から4のヘモグロビン試料の安定化方法
  6. ヘモグロビンの存在を試験すべき糞便試料を懸濁させるための分散媒であって、予め蛋白分解酵素によるヘモグロビンの部分分解産物を添加した分散媒
  7. 懸濁すべき糞便1mg当たり、10−200μgの蛋白分解酵素によるヘモグロビンの部分分解産物を添加した請求項6の分散媒
  8. 蛋白分解酵素によるヘモグロビンの部分分解産物の分散媒中の濃度が1μg/ml以上である請求項7の分散媒
  9. 請求項1の免疫学的測定方法が、ヒト・ヘモグロビンを認識する抗体を結合した不溶性担体粒子の免疫学的な凝集によるものである測定方法
  10. ヒト・ヘモグロビンを認識するモノクローナル抗体を結合した不溶性担体粒子と、ヒト・ヘモグロビンを認識するポリクローナル抗体を結合した不溶性担体粒子の混合物を用いる請求項9に記載の測定方法
  11. 請求項1の免疫学的測定方法が、ヒト・ヘモグロビンを認識するモノクローナル抗体を結合した着色不溶性担体粒子をマーカーとするイムノクロマトグラフである測定方法
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