JPH09224942A - ヒトヘモグロビンの安定化方法 - Google Patents
ヒトヘモグロビンの安定化方法Info
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- JPH09224942A JPH09224942A JP4103096A JP4103096A JPH09224942A JP H09224942 A JPH09224942 A JP H09224942A JP 4103096 A JP4103096 A JP 4103096A JP 4103096 A JP4103096 A JP 4103096A JP H09224942 A JPH09224942 A JP H09224942A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 抗ヒトヘモグロビン抗体を用いたヒトヘモグ
ロビンの検出において、溶液中におけるヒトヘモグロビ
ンの変性・分解を抑制する安定化法を開発すること。 【解決手段】 ヒトヘモグロビン含有溶液中において、
アジ化ナトリウムと、アラビアゴムおよび/またはトラ
ガカントゴムを共存させ、さらに蛋白質を共存させるこ
とを特徴とするヒトヘモグロビンの安定化法。
ロビンの検出において、溶液中におけるヒトヘモグロビ
ンの変性・分解を抑制する安定化法を開発すること。 【解決手段】 ヒトヘモグロビン含有溶液中において、
アジ化ナトリウムと、アラビアゴムおよび/またはトラ
ガカントゴムを共存させ、さらに蛋白質を共存させるこ
とを特徴とするヒトヘモグロビンの安定化法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶液中におけるヒ
トヘモグロビンの安定化方法に関するものである。本発
明方法をヒトヘモグロビン検出に適用することにより、
被検試料、陽性対照溶液(以下陽性コントロール液と称
す)、標準溶液等の溶液中でのヒトヘモグロビンの変性
・分解が抑制され、より正確にヒトヘモグロビン濃度を
測定することができる。
トヘモグロビンの安定化方法に関するものである。本発
明方法をヒトヘモグロビン検出に適用することにより、
被検試料、陽性対照溶液(以下陽性コントロール液と称
す)、標準溶液等の溶液中でのヒトヘモグロビンの変性
・分解が抑制され、より正確にヒトヘモグロビン濃度を
測定することができる。
【0002】
【従来の技術】近年、大腸癌などの下部消化器の疾患を
検査する方法として、消化器官からの出血に起因する糞
便中の便潜血成分、特にヒトヘモグロビンの検出が広く
行われている。このようなヒトヘモグロビンの検出方法
としては、食品摂取や薬剤投与の制限を必要としない免
疫学的検出法が普及し、手軽な検査方法として定着して
いる。上記免疫学的検出方法としては、例えば、寒天平
板内で抗ヘモグロビン抗体と被検試料中のヒトヘモグロ
ビンとの沈降線を利用する一次元免疫拡散法、抗ヒトヘ
モグロビン抗体を感作した動物血球を用いる逆受身血球
凝集法、抗ヒトヘモグロビン抗体を感作したラテックス
粒子を用いるラテックス凝集法、酵素や放射性元素で標
識した抗ヒトヘモグロビン抗体を用いる酵素免疫法や放
射免疫法、抗ヒトヘモグロビン抗体を感作した金コロイ
ド粒子を用いる金コロイド凝集法等があげられる。
検査する方法として、消化器官からの出血に起因する糞
便中の便潜血成分、特にヒトヘモグロビンの検出が広く
行われている。このようなヒトヘモグロビンの検出方法
としては、食品摂取や薬剤投与の制限を必要としない免
疫学的検出法が普及し、手軽な検査方法として定着して
いる。上記免疫学的検出方法としては、例えば、寒天平
板内で抗ヘモグロビン抗体と被検試料中のヒトヘモグロ
ビンとの沈降線を利用する一次元免疫拡散法、抗ヒトヘ
モグロビン抗体を感作した動物血球を用いる逆受身血球
凝集法、抗ヒトヘモグロビン抗体を感作したラテックス
粒子を用いるラテックス凝集法、酵素や放射性元素で標
識した抗ヒトヘモグロビン抗体を用いる酵素免疫法や放
射免疫法、抗ヒトヘモグロビン抗体を感作した金コロイ
ド粒子を用いる金コロイド凝集法等があげられる。
【0003】上記検出法においては被検物質であるヒト
ヘモグロビンは通常、溶液状態で検査に供される。例え
ば便潜血検査では糞便を生理食塩水や緩衝液中に溶解
し、その溶液をヒトヘモグロビン測定用の被検試料とし
て用いている。被検液中のヒトヘモグロビンは、温度お
よび時間に従い、常に変性・分解の可能性があることが
知られている。ヒトヘモグロビンの変性・分解は抗原決
定基の失活につながり、従来からの免疫学的検出法では
検出感度が著しく低下する。特にヒトヘモグロビンが低
濃度である場合には、上記変性・分解が顕著であり、診
断上意義のある低濃度域での検出が困難になる。同様な
ヒトヘモグロビンの変性が、検査性能の確認や定量を行
うために利用する陽性コントロール液や標準溶液中で生
じ、正確な測定の障害ともなっている 便潜血検査の実状は、被験者自身が自宅などで採便し、
これを便溶解液に溶かし、郵送又は被験者が病院へ持参
するため、検査機関における検査までに溶液状態で数日
間要することが多い。また、検査機関で採便する場合に
おいても、他項目の検査も実施しているため、検査まで
に多くの時間を要する場合もある。このような検査の状
況下では、前述のようにヒトヘモグロビンの変性・分解
が生じ好ましくない。
ヘモグロビンは通常、溶液状態で検査に供される。例え
ば便潜血検査では糞便を生理食塩水や緩衝液中に溶解
し、その溶液をヒトヘモグロビン測定用の被検試料とし
て用いている。被検液中のヒトヘモグロビンは、温度お
よび時間に従い、常に変性・分解の可能性があることが
知られている。ヒトヘモグロビンの変性・分解は抗原決
定基の失活につながり、従来からの免疫学的検出法では
検出感度が著しく低下する。特にヒトヘモグロビンが低
濃度である場合には、上記変性・分解が顕著であり、診
断上意義のある低濃度域での検出が困難になる。同様な
ヒトヘモグロビンの変性が、検査性能の確認や定量を行
うために利用する陽性コントロール液や標準溶液中で生
じ、正確な測定の障害ともなっている 便潜血検査の実状は、被験者自身が自宅などで採便し、
これを便溶解液に溶かし、郵送又は被験者が病院へ持参
するため、検査機関における検査までに溶液状態で数日
間要することが多い。また、検査機関で採便する場合に
おいても、他項目の検査も実施しているため、検査まで
に多くの時間を要する場合もある。このような検査の状
況下では、前述のようにヒトヘモグロビンの変性・分解
が生じ好ましくない。
【0004】このようなヒトヘモグロビンの変性・分解
を防止する目的で、便潜血検出用の便溶解用緩衝液に、
牛血清アルブミン等の蛋白保護効果を示す蛋白質やチメ
ロサール,クロルヘキシジン,アジ化ナトリウム等一般
的抗菌剤を添加する方法の他に、動物血清を添加する方
法(特開平4−145366号公報)、糖類を添加する
方法(特開昭63−243756号公報)、アジ化ナト
リウム,アルブミンおよび乳酸を添加する方法(特開平
6−281654号公報)も知られている。また溶菌酵
素の添加(特公平5−69466号公報)、プロテアー
ゼ阻害物質の添加(特開平3−279859号公報)、
pHのコントロール(特開平5−281226)、鉄プ
ロトポルフィリンの添加(特開平5−281227号公
報)等が知られている。この他にもエチレンジアミン4
酢酸等のキレート剤を用いた安定化効果も知られている
(特開平5−99923号公報)。しかし、これらの公
知のヒトヘモグロビン安定化技術では、糞便を含む被検
液中のヒトヘモグロビンの変性・分解を十分に抑制する
ことができない。更に、糞便を含まない陽性コントロー
ル液や標準溶液として利用する目的で、ヒトヘモグロビ
ン標品、あるいは赤血球より調製したヒトヘモグロビン
を上記公知技術の溶液に溶解しても、ヒトヘモグロビン
は非常に不安定でありその変性・分解を防ぐことはでき
ない。
を防止する目的で、便潜血検出用の便溶解用緩衝液に、
牛血清アルブミン等の蛋白保護効果を示す蛋白質やチメ
ロサール,クロルヘキシジン,アジ化ナトリウム等一般
的抗菌剤を添加する方法の他に、動物血清を添加する方
法(特開平4−145366号公報)、糖類を添加する
方法(特開昭63−243756号公報)、アジ化ナト
リウム,アルブミンおよび乳酸を添加する方法(特開平
6−281654号公報)も知られている。また溶菌酵
素の添加(特公平5−69466号公報)、プロテアー
ゼ阻害物質の添加(特開平3−279859号公報)、
pHのコントロール(特開平5−281226)、鉄プ
ロトポルフィリンの添加(特開平5−281227号公
報)等が知られている。この他にもエチレンジアミン4
酢酸等のキレート剤を用いた安定化効果も知られている
(特開平5−99923号公報)。しかし、これらの公
知のヒトヘモグロビン安定化技術では、糞便を含む被検
液中のヒトヘモグロビンの変性・分解を十分に抑制する
ことができない。更に、糞便を含まない陽性コントロー
ル液や標準溶液として利用する目的で、ヒトヘモグロビ
ン標品、あるいは赤血球より調製したヒトヘモグロビン
を上記公知技術の溶液に溶解しても、ヒトヘモグロビン
は非常に不安定でありその変性・分解を防ぐことはでき
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したとおり、溶液
中でのヒトヘモグロビンの安定化について、糞便を含む
場合および含まない場合のいずれの場合にも、より効果
的な方法の開発が望まれる。このような実情に鑑み、本
発明者らはヒトヘモグロビンの溶液中での変性・分解を
抑制する改良された安定化法を見い出すべく種々研究し
た。しかして、本発明の目的は、新規なヒトヘモグロビ
ンの安定化方法を提供することであり、さらに具体的に
は、糞便を含む被検試料中のヒトヘモグロビンの安定化
を増すことによって、より正確な測定値を得ることを目
的とし、また便を溶解した場合に、ヒトヘモグロビンが
安定化された被検試料とするための便溶解液を提供する
ことを目的とする。本発明は、さらにヒトヘモグロビン
を安定化した優れた陽性コントロール液または標準溶液
を提供することを目的とする。
中でのヒトヘモグロビンの安定化について、糞便を含む
場合および含まない場合のいずれの場合にも、より効果
的な方法の開発が望まれる。このような実情に鑑み、本
発明者らはヒトヘモグロビンの溶液中での変性・分解を
抑制する改良された安定化法を見い出すべく種々研究し
た。しかして、本発明の目的は、新規なヒトヘモグロビ
ンの安定化方法を提供することであり、さらに具体的に
は、糞便を含む被検試料中のヒトヘモグロビンの安定化
を増すことによって、より正確な測定値を得ることを目
的とし、また便を溶解した場合に、ヒトヘモグロビンが
安定化された被検試料とするための便溶解液を提供する
ことを目的とする。本発明は、さらにヒトヘモグロビン
を安定化した優れた陽性コントロール液または標準溶液
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれ
ば、抗ヒトヘモグロビン抗体を用いたヒトヘモグロビン
の検出において、溶液中にアジ化ナトリウム、アラビア
ゴムおよび/またはトラガカントゴム、所望によりさら
に蛋白質を共存させることにより、ヒトヘモグロビンを
安定化できることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、溶液中にアジ化ナトリウム
と、アラビアゴムおよび/またはトラガカントゴム、所
望によりさらに蛋白質を共存させることを特徴とするヒ
トヘモグロビンの安定化法を提供するものである。ま
た、本発明は、アジ化ナトリウムとアラビアゴムを含む
ことを特徴とするヒトヘモグロビンを溶解するためのヒ
トヘモグロビン溶解用緩衝液または便検体を溶解するた
めの便溶解液、さらにヒトヘモグロビン、アジ化ナトリ
ウムとアラビアゴムおよび/またはトラガカントガムを
含む、陽性コントロール液、あるいはヘモグロビン濃度
既知の標準溶液を提供するものである。本発明の別の態
様によれば、ヒトヘモグロビンを含有する凍結乾燥品
に、あるいは凍結乾燥品とその溶解用緩衝液の両方に、
アジ化ナトリウムとアラビアゴムおよび/またはトラガ
カントゴムを含有することを特徴とする陽性コントロー
ル液あるいは標準溶液とするための凍結乾燥品とその溶
解液を提供するものである。上記の各溶液および凍結乾
燥品とその溶解液に蛋白質を含有させることにより、さ
らに安定性を改善することができる。以下にその詳細に
ついて説明する。
ば、抗ヒトヘモグロビン抗体を用いたヒトヘモグロビン
の検出において、溶液中にアジ化ナトリウム、アラビア
ゴムおよび/またはトラガカントゴム、所望によりさら
に蛋白質を共存させることにより、ヒトヘモグロビンを
安定化できることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、溶液中にアジ化ナトリウム
と、アラビアゴムおよび/またはトラガカントゴム、所
望によりさらに蛋白質を共存させることを特徴とするヒ
トヘモグロビンの安定化法を提供するものである。ま
た、本発明は、アジ化ナトリウムとアラビアゴムを含む
ことを特徴とするヒトヘモグロビンを溶解するためのヒ
トヘモグロビン溶解用緩衝液または便検体を溶解するた
めの便溶解液、さらにヒトヘモグロビン、アジ化ナトリ
ウムとアラビアゴムおよび/またはトラガカントガムを
含む、陽性コントロール液、あるいはヘモグロビン濃度
既知の標準溶液を提供するものである。本発明の別の態
様によれば、ヒトヘモグロビンを含有する凍結乾燥品
に、あるいは凍結乾燥品とその溶解用緩衝液の両方に、
アジ化ナトリウムとアラビアゴムおよび/またはトラガ
カントゴムを含有することを特徴とする陽性コントロー
ル液あるいは標準溶液とするための凍結乾燥品とその溶
解液を提供するものである。上記の各溶液および凍結乾
燥品とその溶解液に蛋白質を含有させることにより、さ
らに安定性を改善することができる。以下にその詳細に
ついて説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で安定化するヒトヘモグロ
ビンは、糞便中に含まれるものでも赤血球より調製した
ものでもよく、またヒトヘモグロビン標品として市販さ
れているものでもよい。溶液中でヒトヘモグロビンを安
定化させるのに用いる、アジ化ナトリウム、アラビアゴ
ム、トラガカントゴムは市販品を用いることができる。
アラビアゴム,トラガカントゴムはグルコース,ガラク
トース,マンノース,ショ糖,マルトース等の糖類とは
異なり、下記に示すように複雑な構造をしたヘテロ多糖
である。多糖類としてのデキストラン,ヘテロ多糖とし
てのヘパリン,カラジーナン等ではヒトヘモグロビンの
安定化効果はほとんど認められなく、アラビアゴムおよ
びトラガカントゴムに特徴的なものである。
ビンは、糞便中に含まれるものでも赤血球より調製した
ものでもよく、またヒトヘモグロビン標品として市販さ
れているものでもよい。溶液中でヒトヘモグロビンを安
定化させるのに用いる、アジ化ナトリウム、アラビアゴ
ム、トラガカントゴムは市販品を用いることができる。
アラビアゴム,トラガカントゴムはグルコース,ガラク
トース,マンノース,ショ糖,マルトース等の糖類とは
異なり、下記に示すように複雑な構造をしたヘテロ多糖
である。多糖類としてのデキストラン,ヘテロ多糖とし
てのヘパリン,カラジーナン等ではヒトヘモグロビンの
安定化効果はほとんど認められなく、アラビアゴムおよ
びトラガカントゴムに特徴的なものである。
【0008】アラビアゴムはアカシア族の樹液に含まれ
る水溶性、低粘性の酸性ヘテロ多糖、分子量2.2〜3
×105でL−アラビノース(30%),D−ガラクト
ース(37%),D−グルクロン酸(14%),L−ラ
ムノース(11%)から構成され、β1→3結合のガラ
クトース残基の主鎖のC−6から枝分かれした複雑な構
造を有する。トラガカントゴムは、別名トラガント,ト
ラガントゴム,トラガカント,トラガカンタとも呼ばれ
る植物ゴム質の一種で、アラビノース、キシロース、フ
コース、ガラクトース、ガラクツロン酸などから成る複
雑な多糖質混合物である。主成分は酸性および中性の2
種の多糖類であるが、全構造はまだ明らかでない。一部
分は水に完全に溶解するが、大部分(60〜70%)は
分散するのみで溶解しない。
る水溶性、低粘性の酸性ヘテロ多糖、分子量2.2〜3
×105でL−アラビノース(30%),D−ガラクト
ース(37%),D−グルクロン酸(14%),L−ラ
ムノース(11%)から構成され、β1→3結合のガラ
クトース残基の主鎖のC−6から枝分かれした複雑な構
造を有する。トラガカントゴムは、別名トラガント,ト
ラガントゴム,トラガカント,トラガカンタとも呼ばれ
る植物ゴム質の一種で、アラビノース、キシロース、フ
コース、ガラクトース、ガラクツロン酸などから成る複
雑な多糖質混合物である。主成分は酸性および中性の2
種の多糖類であるが、全構造はまだ明らかでない。一部
分は水に完全に溶解するが、大部分(60〜70%)は
分散するのみで溶解しない。
【0009】本発明のヒトヘモグロビン溶液中で用いる
アジ化ナトリウム濃度は0.001〜10%(重量%、
以下同じ)、好ましくは0.05〜1.0%である。アラ
ビアゴム濃度は0.001〜20%、好ましくは0.02
〜5%である。トラガカントゴム濃度は0.001%〜
5.0%、好ましくは0.005〜1.0%である。本発
明のヒトヘモグロビン溶液中には緩衝剤が含まれ、例え
ばリン酸、クエン酸、β,β'−ジメチルグルタル酸、ホ
ウ酸、およびグリシン、グリシルグリシン、トリス−塩
酸、MES[2−(N−モルホリノ)エタンスルホン
酸]、HEPES[N−2−ヒドロキシエチル−ピペラ
ジン−N'−エタンスルホン酸]、TES[N−トリス
(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホ
ン酸]、MOPS[3−(N−モルホリン)プロパンス
ルホン酸]等のグッド(Good)緩衝剤などが用いら
れ、本発明のヒトヘモグロビン溶液のpHは4.5〜
9.5、好ましくは6.0〜8.0の範囲である。
アジ化ナトリウム濃度は0.001〜10%(重量%、
以下同じ)、好ましくは0.05〜1.0%である。アラ
ビアゴム濃度は0.001〜20%、好ましくは0.02
〜5%である。トラガカントゴム濃度は0.001%〜
5.0%、好ましくは0.005〜1.0%である。本発
明のヒトヘモグロビン溶液中には緩衝剤が含まれ、例え
ばリン酸、クエン酸、β,β'−ジメチルグルタル酸、ホ
ウ酸、およびグリシン、グリシルグリシン、トリス−塩
酸、MES[2−(N−モルホリノ)エタンスルホン
酸]、HEPES[N−2−ヒドロキシエチル−ピペラ
ジン−N'−エタンスルホン酸]、TES[N−トリス
(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホ
ン酸]、MOPS[3−(N−モルホリン)プロパンス
ルホン酸]等のグッド(Good)緩衝剤などが用いら
れ、本発明のヒトヘモグロビン溶液のpHは4.5〜
9.5、好ましくは6.0〜8.0の範囲である。
【0010】更に本発明ではヒトヘモグロビン溶液中に
蛋白質を含有させることにより、ヒトヘモグロビンの安
定化効果が更に増すため、蛋白質を含有させることが好
ましい。蛋白質としてはアルブミン,カゼイン,スキム
ミルク,ゼラチン,γ−グロブリン,フィブリノーゲン
等の免疫学的検出法で一般的に用いられる蛋白質が挙げ
られる。それら蛋白質の濃度としては0.001〜10
%、好ましくは0.01〜1.0%である。また、本発明
のヒトヘモグロビン溶液中には生理食塩濃度近傍の塩化
ナトリウムを添加することも望ましい。その他の無機塩
や糖類、アミノ酸類、キレート剤等を添加してもよい。
特にヒトヘモグロビンの検出においては抗原抗体反応に
よるため、その反応をコントロールする目的で、ポリエ
チレングリコール(2,000,4,000,6,00
0,20,000)やデキストラン等の物質を、本発明
のヒトヘモグロビン溶液に添加することもある。
蛋白質を含有させることにより、ヒトヘモグロビンの安
定化効果が更に増すため、蛋白質を含有させることが好
ましい。蛋白質としてはアルブミン,カゼイン,スキム
ミルク,ゼラチン,γ−グロブリン,フィブリノーゲン
等の免疫学的検出法で一般的に用いられる蛋白質が挙げ
られる。それら蛋白質の濃度としては0.001〜10
%、好ましくは0.01〜1.0%である。また、本発明
のヒトヘモグロビン溶液中には生理食塩濃度近傍の塩化
ナトリウムを添加することも望ましい。その他の無機塩
や糖類、アミノ酸類、キレート剤等を添加してもよい。
特にヒトヘモグロビンの検出においては抗原抗体反応に
よるため、その反応をコントロールする目的で、ポリエ
チレングリコール(2,000,4,000,6,00
0,20,000)やデキストラン等の物質を、本発明
のヒトヘモグロビン溶液に添加することもある。
【0011】ヒトヘモグロビンの測定方法としては、ヒ
トヘモグロビン抗体を用いた免疫学的検出法であればど
のようなものでもよく、例えば、金コロイド比色法があ
る。金コロイド比色法は、金コロイド標識ヒトヘモグロ
ビン抗体がヒトヘモグロビンを介して凝集する際に生じ
る色差(色調変化)を光学的に測定して、ヒトヘモグロ
ビンを検出する方法で、この方法を原理とした免疫便潜
血検査用金コロイド試薬には「メイチェックヘモプレー
ト(オート)」(日本商事(株)製)がある。
トヘモグロビン抗体を用いた免疫学的検出法であればど
のようなものでもよく、例えば、金コロイド比色法があ
る。金コロイド比色法は、金コロイド標識ヒトヘモグロ
ビン抗体がヒトヘモグロビンを介して凝集する際に生じ
る色差(色調変化)を光学的に測定して、ヒトヘモグロ
ビンを検出する方法で、この方法を原理とした免疫便潜
血検査用金コロイド試薬には「メイチェックヘモプレー
ト(オート)」(日本商事(株)製)がある。
【0012】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが本発明はこれらに限定されない。 実施例1 (1)ヒトヘモグロビンの調製 健常人より採血した血液9mlに3.2%クエン酸ナトリ
ウム液1mlを混合し、遠心する(800gx10mi
n)。その上清を除いた後、生理食塩水を添加し、遠心
(800gx10min)を行い上清を除くという処理
を5回行い、洗浄赤血球を得る。洗浄赤血球液のヒトヘ
モグロビン濃度をネスコートヘモキット−N(日本商事
(株)製)により測定する。その洗浄赤血球を蒸留水で希
釈し、赤血球破壊を行った後、更に生理食塩水で希釈し
ヒトヘモグロビン濃度1mg/mlの溶液を調製し−30℃
で凍結保存する。
説明するが本発明はこれらに限定されない。 実施例1 (1)ヒトヘモグロビンの調製 健常人より採血した血液9mlに3.2%クエン酸ナトリ
ウム液1mlを混合し、遠心する(800gx10mi
n)。その上清を除いた後、生理食塩水を添加し、遠心
(800gx10min)を行い上清を除くという処理
を5回行い、洗浄赤血球を得る。洗浄赤血球液のヒトヘ
モグロビン濃度をネスコートヘモキット−N(日本商事
(株)製)により測定する。その洗浄赤血球を蒸留水で希
釈し、赤血球破壊を行った後、更に生理食塩水で希釈し
ヒトヘモグロビン濃度1mg/mlの溶液を調製し−30℃
で凍結保存する。
【0013】(2)コントロール溶液の調製 0.9%塩化ナトリウム,1.8%ポリエチレングリコー
ル20,000,0.2%牛血清アルブミン(以下BS
Aと略),0.1%アジ化ナトリウム,50mMMES
pH6.0を含有する溶液を調製する。 (3)試験溶液の調製 上記コントロール溶液に0.05%アラビアゴム,0.1
%アラビアゴム,0.2%アラビアゴム,0.002%ト
ラガカントゴム,0.01%トラガカントゴム,0.04
%κ−カラジーナン,0.04%λ−カラジーナンまた
は0.04%グアヤク脂を各々添加して試験溶液を調製
する。 (4)比較溶液の調製 0.1%アジ化ナトリウム,0.2%BSA,0.5%乳
酸(特開平6−281654のヒトヘモグロビン分解抑
制法の処方)と、0.9%塩化ナトリウム,1.8%ポリ
エチレングリコール20,000,50mM MES
pH6.0を含む溶液を調製する。
ル20,000,0.2%牛血清アルブミン(以下BS
Aと略),0.1%アジ化ナトリウム,50mMMES
pH6.0を含有する溶液を調製する。 (3)試験溶液の調製 上記コントロール溶液に0.05%アラビアゴム,0.1
%アラビアゴム,0.2%アラビアゴム,0.002%ト
ラガカントゴム,0.01%トラガカントゴム,0.04
%κ−カラジーナン,0.04%λ−カラジーナンまた
は0.04%グアヤク脂を各々添加して試験溶液を調製
する。 (4)比較溶液の調製 0.1%アジ化ナトリウム,0.2%BSA,0.5%乳
酸(特開平6−281654のヒトヘモグロビン分解抑
制法の処方)と、0.9%塩化ナトリウム,1.8%ポリ
エチレングリコール20,000,50mM MES
pH6.0を含む溶液を調製する。
【0014】(5)ヒトヘモグロビン安定化試験 上記コントロール溶液、試験溶液および比較溶液に、上
記(1)で調製したヒトヘモグロビンを30ng/ml,60ng
/ml,120ng/mlとなる様に添加して試料とし、以下の
方法でヒトヘモグロビンを測定した。ヒトヘモグロビン
の測定には金コロイド試薬(メイチェックヘモプレート
(オート)日本商事(株)製)を用いた。金コロイド比色
法により、室温で行った、EIA用プレートに試料60
μlを分注し、金コロイド試薬を140μl添加し、1
5秒間マイクロミキサー(三光純薬(株))で撹拌後、
45秒間静置し、マイクロプレートリーダー(和光純薬
(株))で主波長540nm,副波長630nmで測定し
吸光度(A1)を測定した後、正確に30分後に再度吸
光度(A2)を測定し、A2/A1の吸光度比(%)を
求めた。本測定ではヒトヘモグロビン濃度の増加に依存
し吸光度比は低下する。試料調製当日(0日)及び20
℃保存1日,2日,6日後に測定を行った。0日のヒト
ヘモグロビン濃度に対する吸光度比より各試料の検量線
を作成し、その検量線より各測定日のヒトヘモグロビン
濃度を求め、各試料の0日のヒトヘモグロビン濃度(添
加ヒトヘモグロビン濃度)を100%とし、%で表し
た。その結果を表1に示す。
記(1)で調製したヒトヘモグロビンを30ng/ml,60ng
/ml,120ng/mlとなる様に添加して試料とし、以下の
方法でヒトヘモグロビンを測定した。ヒトヘモグロビン
の測定には金コロイド試薬(メイチェックヘモプレート
(オート)日本商事(株)製)を用いた。金コロイド比色
法により、室温で行った、EIA用プレートに試料60
μlを分注し、金コロイド試薬を140μl添加し、1
5秒間マイクロミキサー(三光純薬(株))で撹拌後、
45秒間静置し、マイクロプレートリーダー(和光純薬
(株))で主波長540nm,副波長630nmで測定し
吸光度(A1)を測定した後、正確に30分後に再度吸
光度(A2)を測定し、A2/A1の吸光度比(%)を
求めた。本測定ではヒトヘモグロビン濃度の増加に依存
し吸光度比は低下する。試料調製当日(0日)及び20
℃保存1日,2日,6日後に測定を行った。0日のヒト
ヘモグロビン濃度に対する吸光度比より各試料の検量線
を作成し、その検量線より各測定日のヒトヘモグロビン
濃度を求め、各試料の0日のヒトヘモグロビン濃度(添
加ヒトヘモグロビン濃度)を100%とし、%で表し
た。その結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】上記結果から明らかなように、コントロー
ル溶液(BSA,アジ化ナトリウム添加)及び比較溶液
(アジ化ナトリウム、BSAおよび乳酸添加)では1日
後で2−3割,6日後で約6割の検出値の低下が認めら
れた。これに対し、試験溶液中、コントロール溶液のア
ジ化ナトリウム等に加えてさらにアラビアゴムを添加し
た溶液ではアラビアゴム濃度に依存して検出値の低下が
抑制され、0.2%では6日後においてもほとんど低下
しなかった。同様の安定化効果が0.01%トラガカン
トゴムで認められた。κ−カラジーナン,λ−カラジー
ナン,グアヤク脂ではヒトヘモグロビンの安定化効果は
認められなかった。
ル溶液(BSA,アジ化ナトリウム添加)及び比較溶液
(アジ化ナトリウム、BSAおよび乳酸添加)では1日
後で2−3割,6日後で約6割の検出値の低下が認めら
れた。これに対し、試験溶液中、コントロール溶液のア
ジ化ナトリウム等に加えてさらにアラビアゴムを添加し
た溶液ではアラビアゴム濃度に依存して検出値の低下が
抑制され、0.2%では6日後においてもほとんど低下
しなかった。同様の安定化効果が0.01%トラガカン
トゴムで認められた。κ−カラジーナン,λ−カラジー
ナン,グアヤク脂ではヒトヘモグロビンの安定化効果は
認められなかった。
【0017】実施例2 蛋白質の添加効果を調べるために、0.9%塩化ナトリ
ウム,1.8%ポリエチレングリコール20,000,
0.1%アラビアゴム,0.1%アジ化ナトリウム,50
mM MESpH6.0を含有する溶液を基本溶液とし、
これに、さらに0.2%BSA,0.2%卵白アルブミ
ン,0.2%ゼラチン,0.1%ウシγ−グロブリン,
0.1%ヒトフィブリノーゲンまたは0.1%ペルオキシ
ダーゼを各々添加して試験溶液を調製する。また比較溶
液として実施例1−(4)と同じ処方の溶液を調製する。
これらの溶液に実施例1−(1)で調製したヒトヘモグロ
ビンを30ng/ml,60ng/ml,120ng/mlとなる様に
添加して試料とし、実施例1−(5)と同様にして、試料
調製当日(0日)及び20℃保存した1日,2日,6日
後にヒトヘモグロビンを測定した。測定結果は実施例1
−(5)と同様に表示した。その結果を表2に示す。
ウム,1.8%ポリエチレングリコール20,000,
0.1%アラビアゴム,0.1%アジ化ナトリウム,50
mM MESpH6.0を含有する溶液を基本溶液とし、
これに、さらに0.2%BSA,0.2%卵白アルブミ
ン,0.2%ゼラチン,0.1%ウシγ−グロブリン,
0.1%ヒトフィブリノーゲンまたは0.1%ペルオキシ
ダーゼを各々添加して試験溶液を調製する。また比較溶
液として実施例1−(4)と同じ処方の溶液を調製する。
これらの溶液に実施例1−(1)で調製したヒトヘモグロ
ビンを30ng/ml,60ng/ml,120ng/mlとなる様に
添加して試料とし、実施例1−(5)と同様にして、試料
調製当日(0日)及び20℃保存した1日,2日,6日
後にヒトヘモグロビンを測定した。測定結果は実施例1
−(5)と同様に表示した。その結果を表2に示す。
【0018】
【表2】 上記結果から明らかなように、基本溶液のアジ化ナトリ
ウム、アラビアゴムに加えて、さらに各種蛋白質を添加
することにより、ヒトヘモグロビンの安定性が更に増し
た。例えば、0.2%卵白アルブミン添加の6日保存の
ものでは、基本溶液の2日保存のものより検出されるヒ
トヘモグロビンの量が多く、著しい安定性が認められ
た。また比較溶液に比べてすべての蛋白質添加例でヒト
ヘモグロビン安定化効果が顕著に優れていた。
ウム、アラビアゴムに加えて、さらに各種蛋白質を添加
することにより、ヒトヘモグロビンの安定性が更に増し
た。例えば、0.2%卵白アルブミン添加の6日保存の
ものでは、基本溶液の2日保存のものより検出されるヒ
トヘモグロビンの量が多く、著しい安定性が認められ
た。また比較溶液に比べてすべての蛋白質添加例でヒト
ヘモグロビン安定化効果が顕著に優れていた。
【0019】実施例3 アラビアゴムの濃度による影響を調べるために、0.9
%塩化ナトリウム,1.8%ポリエチレングリコール2
0,000,0.2%BSA,0.1%アジ化ナトリウ
ム,50mM MES pH6.0を含有するコントロー
ル溶液に、アラビアゴムを0.25%,0.5%,1.0
%,2.0%,4.0%,または8.0%を各々添加して
試験溶液を調製する。また比較溶液として実施例1−
(4)と同じ処方の溶液を調製する。これらの溶液に健常
人の便を約1mg/mlとなるように懸濁溶解し、その便懸
濁液に実施例1−(1)で調製したヒトヘモグロビンを無
添加および30ng/ml,60ng/mlとなる様に添加し試料
とし、実施例1−(5)と同様にしてヒトヘモグロビンを
測定した。ただし、アラビアゴムを4.0%,8.0%の
濃度に添加したのものでは、反応が促進されるため、通
常の30分後の測定では各濃度とも反応が既に終点に達
してしまい、測定試薬の一定時間内の色調変化を測定す
る金コロイド比色法では定量的処理ができない。従って
アラビアゴムを4.0%,8.0%の濃度に添加したもの
は10分間の吸光度比より求めた。試料調製当日(0
日)及び20℃保存した1日,2日,4日後に測定し
た。測定結果は便宜的に0日のヒトヘモグロビン無添加
を0ng/mlとし、ヒトヘモグロビン添加濃度に対する吸
光度比より各試料の検量線を作成し、その検量線より1
日,2日,4日後のヒトヘモグロビン濃度を求め、各試
料の添加ヒトヘモグロビン濃度を100%とし、%で表
した。その結果を表3に示す。
%塩化ナトリウム,1.8%ポリエチレングリコール2
0,000,0.2%BSA,0.1%アジ化ナトリウ
ム,50mM MES pH6.0を含有するコントロー
ル溶液に、アラビアゴムを0.25%,0.5%,1.0
%,2.0%,4.0%,または8.0%を各々添加して
試験溶液を調製する。また比較溶液として実施例1−
(4)と同じ処方の溶液を調製する。これらの溶液に健常
人の便を約1mg/mlとなるように懸濁溶解し、その便懸
濁液に実施例1−(1)で調製したヒトヘモグロビンを無
添加および30ng/ml,60ng/mlとなる様に添加し試料
とし、実施例1−(5)と同様にしてヒトヘモグロビンを
測定した。ただし、アラビアゴムを4.0%,8.0%の
濃度に添加したのものでは、反応が促進されるため、通
常の30分後の測定では各濃度とも反応が既に終点に達
してしまい、測定試薬の一定時間内の色調変化を測定す
る金コロイド比色法では定量的処理ができない。従って
アラビアゴムを4.0%,8.0%の濃度に添加したもの
は10分間の吸光度比より求めた。試料調製当日(0
日)及び20℃保存した1日,2日,4日後に測定し
た。測定結果は便宜的に0日のヒトヘモグロビン無添加
を0ng/mlとし、ヒトヘモグロビン添加濃度に対する吸
光度比より各試料の検量線を作成し、その検量線より1
日,2日,4日後のヒトヘモグロビン濃度を求め、各試
料の添加ヒトヘモグロビン濃度を100%とし、%で表
した。その結果を表3に示す。
【0020】
【表3】 多少のバラツキはあるがアラビアゴム添加濃度に依存し
たヒトヘモグロビンの安定化効果が認められた。コント
ロール溶液および比較溶液では20℃,4日保存で約5
0%のヒトヘモグロビンの検出値の低下が認められたの
に対し、アラビアゴム2.0%以上添加では約30%の
低下であった。このように、実施例1,2で認められた
効果が便懸濁液中でも認められた。
たヒトヘモグロビンの安定化効果が認められた。コント
ロール溶液および比較溶液では20℃,4日保存で約5
0%のヒトヘモグロビンの検出値の低下が認められたの
に対し、アラビアゴム2.0%以上添加では約30%の
低下であった。このように、実施例1,2で認められた
効果が便懸濁液中でも認められた。
【0021】実施例4 安定化ヒトヘモグロビン凍結乾燥品の調製 0.9%塩化ナトリウム,0.2%BSA,0.4%アラ
ビアゴム,0.01%アジ化ナトリウム,1.0%乳糖,
50mM MES pH6.0の溶液に実施例1−(1)で
調製したヒトヘモグロビンを160ng/mlとなるように
添加し、2.5mlずつ5ml用バイアルに分注し、凍結乾
燥して安定化ヒトヘモグロビン凍結乾燥品を調製する。
ビアゴム,0.01%アジ化ナトリウム,1.0%乳糖,
50mM MES pH6.0の溶液に実施例1−(1)で
調製したヒトヘモグロビンを160ng/mlとなるように
添加し、2.5mlずつ5ml用バイアルに分注し、凍結乾
燥して安定化ヒトヘモグロビン凍結乾燥品を調製する。
【0022】実施例5 ヒトヘモグロビン陽性コントロール液の調製 0.45%塩化ナトリウム,1.8%ポリエチレングリコ
ール20,000,0.1%アジ化ナトリウム,25mM
MES pH6.0の溶液を調製し、この調製溶液5m
lで、上記実施例4で調製した凍結乾燥バイアルの内容
物を溶解してヒトヘモグロビン陽性コントロール液を調
製する。
ール20,000,0.1%アジ化ナトリウム,25mM
MES pH6.0の溶液を調製し、この調製溶液5m
lで、上記実施例4で調製した凍結乾燥バイアルの内容
物を溶解してヒトヘモグロビン陽性コントロール液を調
製する。
【0023】実施例6 ヒトヘモグロビン陽性コントロール液の調製 0.45%塩化ナトリウム,1.8%ポリエチレングリコ
ール20,000,0.1%アジ化ナトリウム,0.4%
アラビアゴム,25mM MES pH6.0の溶液を調
製し、この調製溶液5mlで、上記実施例4で調製した凍
結乾燥バイアルの内容物を溶解してヒトヘモグロビン陽
性コントロール液を調製する。
ール20,000,0.1%アジ化ナトリウム,0.4%
アラビアゴム,25mM MES pH6.0の溶液を調
製し、この調製溶液5mlで、上記実施例4で調製した凍
結乾燥バイアルの内容物を溶解してヒトヘモグロビン陽
性コントロール液を調製する。
【0024】
【発明の効果】本発明の溶液中におけるヒトヘモグロビ
ンの安定化法によれば、アジ化ナトリウムとアラビアゴ
ムおよび/またはトラガカントゴムを溶液中に共存させ
ることにより、ヒトヘモグロビンの変性・分解を抑制す
ることができる。該溶液中にさらに蛋白質を共存させる
ことにより、変性・分解の抑制がより効果的になる。本
発明により、便潜血検査において被検試料中のヒトヘモ
グロビンを数日間保存することが可能となり、検査機関
で検出されるまで安定な状態で保存することができる。
さらにヒトヘモグロビンを含む陽性コントロール液また
は標準溶液を作製し、測定値の精度管理を行うことが可
能となり、より正確な測定結果を得ることができる。
ンの安定化法によれば、アジ化ナトリウムとアラビアゴ
ムおよび/またはトラガカントゴムを溶液中に共存させ
ることにより、ヒトヘモグロビンの変性・分解を抑制す
ることができる。該溶液中にさらに蛋白質を共存させる
ことにより、変性・分解の抑制がより効果的になる。本
発明により、便潜血検査において被検試料中のヒトヘモ
グロビンを数日間保存することが可能となり、検査機関
で検出されるまで安定な状態で保存することができる。
さらにヒトヘモグロビンを含む陽性コントロール液また
は標準溶液を作製し、測定値の精度管理を行うことが可
能となり、より正確な測定結果を得ることができる。
Claims (17)
- 【請求項1】 ヒトヘモグロビン含有溶液中において、
アジ化ナトリウムと、アラビアゴムおよび/またはトラ
ガカントゴムを共存させることを特徴とするヒトヘモグ
ロビンの安定化方法。 - 【請求項2】 さらに蛋白質を共存させることを特徴と
する請求項1記載のヒトヘモグロビンの安定化方法。 - 【請求項3】 蛋白質がアルブミン、ゼラチン、カゼイ
ン、スキムミルク、グロブリンおよびフィブリノーゲン
から選ばれる1種または2種以上である請求項2記載の
ヒトヘモグロビンの安定化方法。 - 【請求項4】 アジ化ナトリウムと、アラビアゴムおよ
び/またはトラガカントゴムを共存させることにより安
定化されたヒトヘモグロビン含有溶液。 - 【請求項5】 さらに蛋白質を共存させることを特徴と
する請求項4記載のヒトヘモグロビン含有溶液。 - 【請求項6】 蛋白質がアルブミン、ゼラチン、カゼイ
ン、スキムミルク、グロブリンおよびフィブリノーゲン
から選ばれる1種または2種以上である請求項5記載の
ヒトヘモグロビン含有溶液。 - 【請求項7】 アジ化ナトリウムおよびアラビアゴムを
配合したことを特徴とする検体中ヒトヘモグロビン安定
化用便溶解液。 - 【請求項8】 さらに蛋白質を共存させることを特徴と
する請求項7記載の便溶解液。 - 【請求項9】 蛋白質がアルブミン、ゼラチン、カゼイ
ン、スキムミルク、グロブリンおよびフィブリノーゲン
から選ばれる1種または2種以上である請求項8記載の
便溶解液。 - 【請求項10】 請求項1、2または3に記載の方法に
より安定化されたヒトヘモグロビン測定用の陽性対照溶
液または標準溶液。 - 【請求項11】 アジ化ナトリウム濃度が0.001〜
10重量%、アラビアゴム濃度が0.001〜20重量
%、トラガカントゴム濃度が0.001〜5.0重量%
である請求項4〜10のいずれか1つに記載の溶液。 - 【請求項12】 ヒトヘモグロビンにアジ化ナトリウム
と、アラビアゴムおよび/またはトラガカントゴムを配
合したことを特徴とする、ヒトヘモグロビン測定用の陽
性対照液または標準溶液調製用の安定化ヒトヘモグロビ
ン凍結乾燥品。 - 【請求項13】 さらに蛋白質を共存させることを特徴
とする請求項12記載の凍結乾燥品。 - 【請求項14】 蛋白質がアルブミン、ゼラチン、カゼ
イン、スキムミルク、グロブリンおよびフィブリノーゲ
ンから選ばれる1種または2種以上である請求項13記
載の凍結乾燥品。 - 【請求項15】 ヒトヘモグロビン溶解用緩衝液に、ア
ジ化ナトリウムと、アラビアゴムおよび/またはトラガ
カントゴムを配合したことを特徴とする、ヒトヘモグロ
ビン測定用の陽性対照液または標準溶液調製用のヒトヘ
モグロビン溶解液。 - 【請求項16】 さらに蛋白質を共存させることを特徴
とする請求項15記載の溶解液。 - 【請求項17】 蛋白質がアルブミン、ゼラチン、カゼ
イン、スキムミルク、グロブリンおよびフィブリノーゲ
ンから選ばれる1種または2種以上である請求項16記
載の溶解液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4103096A JPH09224942A (ja) | 1996-02-28 | 1996-02-28 | ヒトヘモグロビンの安定化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4103096A JPH09224942A (ja) | 1996-02-28 | 1996-02-28 | ヒトヘモグロビンの安定化方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09224942A true JPH09224942A (ja) | 1997-09-02 |
Family
ID=12597009
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4103096A Withdrawn JPH09224942A (ja) | 1996-02-28 | 1996-02-28 | ヒトヘモグロビンの安定化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09224942A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011058958A1 (ja) * | 2009-11-10 | 2011-05-19 | 富士レビオ株式会社 | ヘムタンパク質の安定化用組成物及びそれを用いたヘムタンパク質の安定化方法 |
WO2019168109A1 (ja) * | 2018-03-02 | 2019-09-06 | 栄研化学株式会社 | 検体中に含まれる蛋白質を安定化する方法、検体中に含まれる蛋白質を安定化させるための溶液 |
WO2019190787A1 (en) * | 2018-03-27 | 2019-10-03 | Exact Sciences Corporation | Method for stabilizing hemoglobin and reagents for performing the same |
JP2021042166A (ja) * | 2019-09-11 | 2021-03-18 | 日油株式会社 | 蛋白質安定化剤および安定化された蛋白質を含有する試薬、ならびに試薬に含有される蛋白質の安定化方法 |
-
1996
- 1996-02-28 JP JP4103096A patent/JPH09224942A/ja not_active Withdrawn
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011058958A1 (ja) * | 2009-11-10 | 2011-05-19 | 富士レビオ株式会社 | ヘムタンパク質の安定化用組成物及びそれを用いたヘムタンパク質の安定化方法 |
WO2019168109A1 (ja) * | 2018-03-02 | 2019-09-06 | 栄研化学株式会社 | 検体中に含まれる蛋白質を安定化する方法、検体中に含まれる蛋白質を安定化させるための溶液 |
JPWO2019168109A1 (ja) * | 2018-03-02 | 2021-02-25 | 栄研化学株式会社 | 検体中に含まれる蛋白質を安定化する方法、検体中に含まれる蛋白質を安定化させるための溶液 |
WO2019190787A1 (en) * | 2018-03-27 | 2019-10-03 | Exact Sciences Corporation | Method for stabilizing hemoglobin and reagents for performing the same |
CN111936059A (zh) * | 2018-03-27 | 2020-11-13 | 精密科学公司 | 稳定血红蛋白的方法和实施该方法的试剂 |
JP2021518561A (ja) * | 2018-03-27 | 2021-08-02 | イグザクト サイエンシーズ コーポレイション | ヘモグロビンの安定化方法およびそれを行うための試薬 |
EP3773236A4 (en) * | 2018-03-27 | 2021-12-15 | Exact Sciences Corporation | HEMOGLOBIN AND REAGENTS STABILIZATION PROCESS FOR ITS IMPLEMENTATION |
US11385243B2 (en) | 2018-03-27 | 2022-07-12 | Exact Sciences Corporation | Method for stabilizing hemoglobin and reagents for performing the same |
US11703512B2 (en) | 2018-03-27 | 2023-07-18 | Exact Sciences Corporation | Method for stabilizing hemoglobin and reagents for performing the same |
US11994524B2 (en) | 2018-03-27 | 2024-05-28 | Exact Sciences Corporation | Method for stabilizing hemoglobin and reagents for performing the same |
CN111936059B (zh) * | 2018-03-27 | 2024-09-06 | 精密科学公司 | 稳定血红蛋白的方法和实施该方法的试剂 |
JP2021042166A (ja) * | 2019-09-11 | 2021-03-18 | 日油株式会社 | 蛋白質安定化剤および安定化された蛋白質を含有する試薬、ならびに試薬に含有される蛋白質の安定化方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20030506 |